説明

無線機器

【課題】内部アンテナと外部アンテナとの切り換えを確実かつ簡便に行うことのできるデータキャリア質問器等の無線機器を提供する。
【解決手段】無線機器10は、データの受入/発生部24に通じる通信回路26を共通端子33とする切換スイッチ8の、第1切換端子31が内部アンテナ4に通じ、第2切換端子32が脱着コネクタ16,17を介して外部アンテナ3に通じており、該脱着コネクタ16,17の接近または接触を検知するセンサ7、および該センサ7の出力により切換スイッチ8の切換制御部29を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部アンテナの接続により、通信回路との接続を内部アンテナから外部アンテナに切り換え可能なデータキャリア質問器等の無線機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
データキャリア質問器等の無線機器は、端末内にアンテナ(内部アンテナ)及び通信回路を内蔵し、通信回路が内部アンテナを介して非接触ICタグ等の応答器とのデータ通信を行っている。内部アンテナは、端末内の物理的スペースの制約から、小型化されている。そのため、小型化された内部アンテナは、通信距離が短い。
【0003】
その解決策として、無線機器に外部アンテナを接続して通信距離を延ばしている。この際、通信回路との接続を内部アンテナから外部アンテナに切り換える必要がある。
【0004】
そのため、無線機器と外部アンテナとの接続部分である着脱コネクタには、同軸スイッチやアンテナ切換スイッチ等の機構的切換スイッチが備えられている。これらの着脱コネクタを備えた無線機器及び外部アンテナは、構造上大きく、重い。また、着脱コネクタ同士の位置合わせが難しく、手間がかかる。落下等の衝撃を受けると、着脱コネクタが変形してこの位置合わせはさらに困難になる。この場合、着脱コネクタ同士が接続されても、機構的切換スイッチが正常に働かないことがある。また、無線機器を携帯端末等に用いる場合には、着脱コネクタに防水性能を備えていることが求められる。しかしながら、防水性能を備えた着脱コネクタは、構造が複雑なため、製造が非常に困難であり、コストがかかる。
【0005】
特許文献1には、センサを有する外部アンテナ用コネクタと、内蔵アンテナと、高周波信号の経路となる高周波ケーブルとを備え、外部アンテナのプラグがコネクタの着脱をセンサによって検知し、検知した信号を受けた電気的制御スイッチにより内蔵アンテナ又は外部アンテナ用コネクタのいずれかを選定するアンテナ回路が示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平8−172377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、内部アンテナと外部アンテナとの切り換えを確実かつ簡便に行うことのできるデータキャリア質問器等の無線機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載の無線機器は、データ発生/受入部に通じる通信回路を共通端子とする切換スイッチの、第1切換端子が内部アンテナに通じ、第2切換端子が脱着コネクタを介して外部アンテナに通じており、該脱着コネクタの接近または接触を検知するセンサ、および該センサの出力により切換スイッチの切換制御部を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の無線機器は、請求項1に記載されたもので、該無線機器がデータキャリアシステムのデータキャリア質問器であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の無線機器は、請求項1に記載されたもので、該センサが、外部アンテナに取り付けられた磁性体を検知する磁気センサであることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の無線機器は、請求項1に記載されたもので、該センサが、該共通端子と該第2切換端子との導通を検知する電気センサであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の無線機器は、着脱コネクタの接近・接触をセンサで検知することにより、内部アンテナと外部アンテナとの切り換えを確実かつ簡便に行うことができる。したがって、無線機器は、着脱コネクタの構造が単純化され、小型化・軽量化が図られる。
【0013】
また、着脱コネクタの構造が単純なため、コネクタ同士の位置合わせを簡便に行うことができる。
【0014】
センサは非接触で外部アンテナの接近・接触を検知できるので、防水性能を備えた着脱コネクタであっても、着脱コネクタの構造を単純化することができる。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明するが、本発明の範囲はこの実施例に限定されるものではない。
【0016】
本発明を適用する無線機器の実施例としてデータキャリア質問器、及び外部アンテナのブロック図が図1に示されている。
【0017】
データキャリア質問器10には、主にデータ受入/発生部24,通信回路26,アンテナ回路12,給電部21及び内部アンテナ4が備えられている。アンテナ回路12は、磁気センサ7,切換制御部29及び切換スイッチ8からなる。切換スイッチ8には、共通端子33,第1切換端子31及び第2切換端子32が備えられている。データ受入/発生部24は、通信回路26に接続されている。通信回路26は、共通端子33,第1切換端子31及び給電部21を介して内部アンテナ4に接続されている。スプリングコネクタ17(質問器側着脱コネクタ)は、切換スイッチ8の第2切換端子32に接続されている。また、データキャリア質問器10には、表面近傍に磁気センサ7が備えられている。磁気センサ7は、切換制御部29を介して切換スイッチ8と接続されている。
【0018】
外部アンテナ3には、磁石6,接点端子16(外部アンテナ側着脱コネクタ)及び給電部22が備えられている。外部アンテナ3のアンテナは、給電部22を介して接点端子16に接続されている。そして、外部アンテナ3は、表面近傍に磁石6が備えられている。
【0019】
また、接点端子16と磁石6との幅と、スプリングコネクタ17と磁気センサ7との幅は、一致している。
【0020】
このデータキャリア質問器は、以下のようにしてデータ送信が行われる。
【0021】
データ受入/発生部24は、データ信号を通信回路26に伝達する。通信回路26は、伝達されたデータ信号を、共通端子33,第1切換端子31及び給電部21を介して内部アンテナ4に伝達する。内部アンテナ4は、データ信号を外部の応答器(不図示)に送信する。
【0022】
応答器からデータ受入/発生部24へのデータ受信は、上記と逆の流れによって行われる。
【0023】
接点端子16とスプリングコネクタ17との位置を合わせ、外部アンテナ3を矢印に示すように、外部アンテナ3の接点端子16をスプリングコネクタ17に接続する。すると、磁気センサ7は接近した磁石6の磁界を検知する。磁気センサ7は、検知した信号を切換制御部29に出力する。出力された検知信号により、切換制御部29は、切換スイッチ8に信号を送り、共通端子33の接続を第1切換端子31から第2切換端子32に切り換える。すると、通信回路26は、内部アンテナ4から外部アンテナ3に接続が切り換わり、外部アンテナ3を介して応答器との通信が可能となる。
【0024】
図1に示す矢印と逆の方向に引き抜き、接続された外部アンテナ3の接点端子16を質問器10のスプリングコネクタ17から抜く。すると、磁気センサ7は、信号を検知しなくなり、それをトリガとする切換制御部29の信号により共通端子33の接続を第2切換端子32から第1切換端子31に切り換える。通信回路26は、外部アンテナ3から内部アンテナ4に接続が切り換わり、内部アンテナ4を介して応答器との通信が可能となる。
【0025】
無線機器及び外部アンテナの着脱コネクタとしては、構造が単純なコネクタや接点端子を用いればよく、スプリングコネクタのような接触のみのバネ式接点であることが好ましい。
【0026】
図2に、本発明を適用する図1の実施例のデータキャリア質問器におけるアンテナ回路12の等価回路図の実施例が示されている。
【0027】
データキャリア質問器は、アンテナ回路12が、磁気センサ7,切換スイッチ8及びスイッチングトランジスタ43で構成されている。スイッチングトランジスタ43はNPNトランジスタであり、ベースに磁気センサ7が接続し、エミッタに切換スイッチ8が短絡し、コレクタにスプリングコネクタ17が接続している。
【0028】
通信回路26は、共通端子33及び第一切換端子31を介して給電部21に接続されている。外部アンテナの接点端子16をスプリングコネクタ17に接続すると、磁気センサ7は接近した磁石6の磁界を検知する。磁気センサ7からのベース電圧でスイッチングトランジスタ43がオンになり切換スイッチ8は給電部22と接続する。すると、切換スイッチ8は、共通端子33の接続を第1切換端子31から第2切換端子32に切り換える。すると、通信回路26は、内部アンテナ4から外部アンテナ3に接続が切り換わり、外部アンテナ3を介して応答器との通信が可能となる。
【0029】
外部アンテナの接点端子16をスプリングコネクタ17から抜く。すると、磁気センサ7は磁石6の磁界を検知しなくなる。これにより、磁気センサ7からのベース電圧がなくなるため、スイッチングトランジスタ43がオフになり、切換スイッチ8は給電部22との接続が切断される。これをトリガとして切換スイッチ8は、共通端子33の接続を第2切換端子32から第1切換端子31に切り換える。すると、通信回路26は、外部アンテナから内部アンテナに接続が切り換わり、内部アンテナを介して応答器との通信が可能となる。
【0030】
図3に、本発明を適用するデータキャリア質問器の別な実施例のアンテナ回路のブロック図が示されている。
【0031】
データキャリア質問器は、スプリングコネクタ17が、切換制御部29の入力となっている。センサは格別設けていない。その余は、図1と同様の構造を有している。
【0032】
通信回路26は、切換スイッチ8の共通端子33及び第1切換端子31を介して給電部21に接続されている。外部アンテナの接点端子16をスプリングコネクタ17に接続すると、給電部22からの電流で、切換制御部29は切換スイッチ8に信号を送り、共通端子33の接続を第1切換端子31から第2切換端子32に切り換える。すると、通信回路26は、内部アンテナから外部アンテナに接続が切り換わり、外部アンテナを介して応答器との通信が可能となる。
【0033】
外部アンテナの接点端子16をスプリングコネクタ17から抜くと、給電部22から切換制御部29への電流が止まる。これをトリガとして切換制御部29は切換スイッチ8に信号を送り、共通端子33の接続を第2切換端子32から第1切換端子31に切り換える。すると、通信回路26は、外部アンテナから内部アンテナに接続が切り換わり、内部アンテナを介して応答器との通信が可能となる。
【0034】
図4には、本発明を適用する図3の実施例のデータキャリア質問器におけるアンテナ回路12の等価回路図の実施例が示されている。
【0035】
データキャリア質問器は、アンテナ回路12が、スイッチングトランジスタ41、42で構成されている。スイッチングトランジスタ41はNPNトランジスタであり、ベースにスプリングコネクタ17が接続し、コレクタに通信回路26が短絡し、エミッタにスプリングコネクタ17が接続している。スイッチングトランジスタ42はPNPトランジスタであり、トランジスベースにスプリングコネクタ17が接続し、トランジスエミッタに通信回路26が短絡し、トランジスコレクタに給電部21が接続している。
【0036】
通信回路26は、スイッチングトランジスタ42を介して給電部21に接続されている。外部アンテナの接点端子16をスプリングコネクタ17に接続すると、給電部22からのベース電圧でスイッチングトランジスタ41がオンになり通信回路26は給電部22と接続する。同じく給電部22からのベース電圧で、スイッチングトランジスタ42がオフになり、通信回路26は給電部21との接続が切断される。すると、通信回路26は、内部アンテナから外部アンテナに接続が切り換わり、外部アンテナを介して応答器との通信が可能となる。
【0037】
外部アンテナの接点端子16をスプリングコネクタ17から抜くと、給電部22からのベース電圧がなくなるため、スイッチングトランジスタ41がオフになり通信回路26は給電部22との接続が切断される。同じく給電部22からのベース電圧がなくなるため、スイッチングトランジスタ42がオンになり、通信回路26は給電部21と接続する。すると、通信回路26は、外部アンテナから内部アンテナに接続が切り換わり、内部アンテナを介して応答器との通信が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明を適用する無線機器の実施例としてデータキャリア質問器、及び外部アンテナを示すブロック図である。
【図2】本発明を適用する図1の実施例のデータキャリア質問器におけるアンテナ回路を示す等価回路図である。
【図3】本発明を適用する無線機器の別な実施例としてデータキャリア質問器のアンテナ回路を示すブロック図である。
【図4】本発明を適用する図3の実施例のデータキャリア質問器におけるアンテナ回路を示す等価回路図である。
【符号の説明】
【0039】
3は外部アンテナ、4は内部アンテナ、6は磁石、7は磁気センサ、8は切換スイッチ、10はデータキャリア質問器、12はアンテナ回路、16は接点端子、17はスプリングコネクタ、21は給電部、22は給電部、24はデータ受入/発生部、26は通信回路、29は切換制御部、31は第1切換端子、32は第2切換端子、33は共通端子、41・42・43はスイッチングトランジスタである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ発生/受入部に通じる通信回路を共通端子とする切換スイッチの、第1切換端子が内部アンテナに通じ、第2切換端子が脱着コネクタを介して外部アンテナに通じており、該脱着コネクタの接近または接触を検知するセンサ、および該センサの出力により切換スイッチの切換制御部を有することを特徴とする無線機器。
【請求項2】
該無線機器がデータキャリアシステムのデータキャリア質問器であることを特徴とする請求項1に記載の無線機器。
【請求項3】
該センサが、外部アンテナに取り付けられた磁性体を検知する磁気センサであることを特徴とする請求項1に記載の無線機器。
【請求項4】
該センサが、該共通端子と該第2切換端子との導通を検知する電気センサであることを特徴とする請求項1に記載の無線機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−219412(P2008−219412A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53263(P2007−53263)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(390035884)株式会社ウェルキャット (18)
【Fターム(参考)】