説明

無線端末装置及び無線基地局装置

【課題】E-UTRA方式などの無線システムの下りリンクにおいて、制御情報を無線リソースに適切に配置することを図る。
【解決手段】無線基地局装置から無線端末装置へ向かう下りリンクにおいて、サブフレーム内の第1OFDMシンボルの先頭のサブキャリアからPCFICHを配置し、無線端末装置から無線基地局装置へ向かう上りリンクのためのACK/NACK (ACK/NACK for UL)信号を周波数領域でブロック化して多重し、周波数分割多重又は時間分割多重を用いてACK/NACK信号とPDCCHを多重する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Evolved UTRA(E-UTRA)方式などの無線システムの無線基地局装置及び無線端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、第3世代(3G)移動体通信システムのLTE(Long Term Evolution)標準規格の検討が標準化プロジェクト「3GPP:3rd Generation Partnership Project」で行われている。その検討課題の一つに、下りリンク(無線基地局から無線端末へ向かう方向の無線リンク)における、無線基地局(eNB, e-Node B)から各ユーザ(無線端末装置、UE、User Equipment terminal)に対する無線リソースの割当方法、及び、各ユーザに割り当てられた無線リソースのマッピング方法がある。3GPPでは、制御情報に関し、以下に示す決定事項(1)〜(4)がある。
(1)L1/L2制御情報は、サブフレーム内の1番目のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)シンボル(第1OFDMシンボル)から、最大で、3番目のOFDMシンボル(第3OFDMシンボル)までを利用する。
(2)PCFICH((Physical Control Format Indicator Channel)は、サブフレーム内の第1OFDMシンボルに配置される。
(3)無線端末装置から無線基地局装置へ向かう上りリンクのためのACK/NACK信号は、第1OFDMシンボルのみ、又は、第1OFDMシンボルから第3OFDMシンボルに、配置される。
(4)PDCCH(Physical Downlink Control Channel: UL grant, DL grant)は、第1OFDMシンボルから、最大で、第3OFDMシンボルまでに配置される。
【非特許文献1】3GPP, MCC, “Draft report of 3GPP TSG RAN WG1#49b v0.1.0., Orlando, Florida, USA, June 25-27, 2007.
【非特許文献2】3GPP, R1-073199, AT&T, KDDI, NTT DoCoMo, et al., “Some operators view on ACK/NACK mapping”, June 25-27, 2007.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した決定事項(1)〜(4)に係る制御情報をどこに、どのように配置するのかが課題となっている。
【0004】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、E-UTRA方式などの無線システムの下りリンクにおいて、制御情報を無線リソースに適切に配置することのできる無線基地局装置及び無線端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明に係る無線基地局装置は、無線基地局装置から無線端末装置へ向かう下りリンクにおいて、サブフレーム内の第1OFDMシンボルの先頭のサブキャリアからPCFICHを配置する手段と、無線端末装置から無線基地局装置へ向かう上りリンクのためのACK/NACK信号を周波数領域でブロック化して多重する手段と、周波数分割多重又は時間分割多重を用いてACK/NACK信号とPDCCHを多重する手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明に係る無線端末装置は、無線基地局装置から無線端末装置へ向かう下りリンクにおいて、サブフレーム内の第1OFDMシンボルの先頭のサブキャリアからPCFICHを受信する手段と、周波数領域でブロック化して多重されている無線端末装置から無線基地局装置へ向かう上りリンクのためのACK/NACK信号を受信する手段と、周波数分割多重又は時間分割多重を用いて多重されているACK/NACK信号とPDCCHを受信する手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、E-UTRA方式などの無線システムの下りリンクにおいて、制御情報を無線リソースに適切に配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、3GPPで検討されている第3世代移動体通信システムを例に挙げて説明する。
【0009】
本実施形態に係る、無線システムの下りリンクにおいて制御情報を無線リソースに配置する方式(A−1〜8)を示す。
(A−1)PCFICHは、サブフレーム内の第1OFDMシンボルの先頭のサブキャリアから多重する。
(A−2)無線端末装置から無線基地局装置へ向かう上りリンクのためのACK/NACK信号は、周波数領域でブロック化して多重する。PDCCHについても、周波数領域でブロック化して多重する。ACK/NACK信号とPDCCHの多重方式には、周波数分割多重(FDM)又は時間分割多重(TDM)を用いる。
(A−3)ACK/NACK信号の無線リソース数(多重している無線端末(UE)の数やRepetition factorに依存)、PDCCHの無線リソース数は、TTI(Transmission Time Interval)毎に可変とする。
(A−4)PDCCHの各ユーザに対するRE(Resource Element)の配置は、各ユーザがブラインド検出する。
(A−5)無線端末装置から無線基地局装置へ向かう上りリンクのためのACK/NACK信号の無線リソースの配置と、PDCCHのUL grantのCCE(Control Channel Element)との関係は、1対1(図1参照)とする。図1は、本実施形態に係る上りgrantと上りのACK/NACK信号との関係の例である。
(A−6)毎サブフレームで、UL grant、USCH(Uplink Shared Channel)及び無線端末装置から無線基地局装置へ向かう上りリンクのためのACK/NACK信号の配置場所の関係を予め決めておく(図2参照)。図2は、本実施形態に係るPCFICH、PDCCH及び無線端末装置から無線基地局装置へ向かう上りリンクのためのACK/NACK信号のFDM多重方法を説明する説明図である。
(A−7)PCFICHは、サブフレーム内の第1OFDMシンボルの先頭のサブキャリアから配置する。
(A−8)無線端末装置から無線基地局装置へ向かう上りリンクのためのACK/NACK信号は、周波数領域で複数のUEのACK/NACK信号をブロック化し、PDCCHと交互に複数のブロックを配置する。若しくは、無線端末装置から無線基地局装置へ向かう上りリンクのためのACK/NACKとPDCCHは交互に配置せずに、まとめて配置してもよい。
【0010】
次に、本実施形態に係る、下りリンクにおけるACK/NACK信号のユーザ間の多重方式(B−1〜6)を示す。
(B−1)ユーザ間は、周波数分割多元接続(Frequency Division Multiple Access:FDMA)と符号分割多元接続(Code Division Multiple Access:CDMA)のハイブリッド多重とする。
(B−2)無線端末装置から無線基地局装置へ向かう上りリンクのためのACK/NACK信号は、周波数領域で複数のUEのACK/NACK信号をブロック化し、PDCCHと交互に複数のブロックを配置する。
(B−3)1UEのACK/NACK信号についてシンボル繰り返し(Repetition)する場合には、複数のブロックにわたりマッピングする。繰り返しシンボル数(RF: Repetition Factor)は、最小が1、最大が16程度とする。RFの制御方法は、次の2通り(B−3−1,2)がある。
(B−3−1)UE毎にRFを変える方法
RFをUEの場所(チャネル状態)に応じて適応制御することによって、UEの受信品質を制御する。これにより、UE数、各UEのRFに応じて効率的な無線リソース(サブキャリア、シンボル)の割り当てが可能となる。RFに応じて、予め、RE配置パターンを決めておく。これは、ブラインド検出を避けるためである。
(B−3−2)全UEで共通のRFを用いる方法
UEの受信品質は、送信電力を制御することによって調整する。UEの受信品質に関わらず、最大のRFの無線リソース(サブキャリア)を確保するために、無線リソースの効率は低下する。全てのUEで共通(1つ)のRepetitionパターンを用意する。
(B−4)CDMAの場合の拡散率(SF:Spreading factor)は、最大で4とする。
(B−5)CDMAでは、異なるSFのUE間でOVSF(Orthogonal Variable Spreading Factor)を適用する。
(B−6)拡散率(Repetition factor)の設定方法としては、ブロードキャストチャネル(Dynamic BCH)を用いて各ユーザに通知する。
【実施例1】
【0011】
図3は、本発明に係る各UE(無線端末)のACK/NACK信号をマッピングする方式の一実施例(実施例1)である。
図3において、PCFICHは、サブフレーム内の第1OFDMシンボルの先頭のサブキャリアから配置する。無線端末装置から無線基地局装置へ向かう上りリンクのためのACK/NACK信号は、周波数領域で複数のUEのACK/NACK信号をブロック化し、PDCCHと交互に複数のブロックを配置する。ACK/NACK情報を複数のREに分散的にマッピングすることもあり得る。
【実施例2】
【0012】
図4は、本発明に係る、複数のUEのACK/NACK信号を一つのACK/NACK用のRE(Resource Element)ブロックに多重する方式の一実施例(実施例2)である。図4の例は、各UEのRF(Repetition factor)重複回数が異なる場合である。図4においては、重複回数(RF)が大きくなる場合には、時間領域のシンボルを利用する。
【実施例3】
【0013】
図5は、本発明に係る、複数のUEのACK/NACK信号を一つのACK/NACK用のREブロックに多重する方式の他の実施例(実施例3)である。図5の例は、各UEのRF重複回数が異なる場合である。図5においては、それぞれの重複回数(RF(図5の例では2又は4))に応じてシンボルを予約(Reserve)する。
【実施例4】
【0014】
図6は、本発明に係る、複数のUEのACK/NACK信号を一つのACK/NACK用のREブロックに多重する方式の他の実施例(実施例4)である。図6の例は、各UEのRF重複回数が固定している場合である。図6においては、1つのOFDMシンボル区間のみがL1/L2制御信号用に指定される。
【実施例5】
【0015】
図7は、本発明に係る、複数のUEのACK/NACK信号を一つのACK/NACK用のREブロックに多重する方式の他の実施例(実施例5)である。図7の例は、各UEのRF重複回数が固定している場合である。図7においては、2つのOFDMシンボル区間のみがL1/L2制御信号用に指定される。
【実施例6】
【0016】
図8は、本発明に係る、複数のUEのACK/NACK信号を一つのACK/NACK用のREブロックに多重する方式の他の実施例(実施例6)である。図8の例は、各UEのRF重複回数が異なり、且つ、FDMとCDMが混在している場合である。図8においては、UE毎に、1つ又は2つのOFDMシンボル区間がL1/L2制御信号用に指定される。
【実施例7】
【0017】
図9は、本発明に係る、複数のUEのACK/NACK信号を一つのACK/NACK用のREブロックに多重する方式の他の実施例(実施例7)である。図9の例は、各UEのRF重複回数が固定であり、且つ、UEのACK/NACK間でFDMとCDMが混在している場合である。図9においては、1つのOFDMシンボル区間のみがL1/L2制御信号用に指定される。
【実施例8】
【0018】
図10は、本発明に係る、複数のUEのACK/NACK信号を一つのACK/NACK用のREブロックに多重する方式の他の実施例(実施例8)である。図10の例は、各UEのRF重複回数が異なり、且つ、FDMとCDMが混在している場合においてOVSFを適用するときである。図10においては、異なるSF(Spreading factor)値が存在する場合にOVSFを利用し、CDM多重する。また、UE毎に、1つ又は2つのOFDMシンボル区間がL1/L2制御信号用に指定される。
【0019】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る上りgrantと上りのACK/NACK信号との関係の例である。
【図2】本発明の一実施形態に係るPCFICH、PDCCH及びACK/NACK signals for UL(無線端末装置から無線基地局装置へ向かう上りリンクのためのACK/NACK)のFDM多重方法を説明する説明図である。
【図3】本発明に係る各UEのACK/NACK信号をマッピングする方式の一実施例(実施例1)である。
【図4】本発明に係る、複数のUEのACK/NACK信号を一つのACK/NACK用のREブロックに多重する方式の一実施例(実施例2)である。
【図5】本発明に係る、複数のUEのACK/NACK信号を一つのACK/NACK用のREブロックに多重する方式の他の実施例(実施例3)である。
【図6】本発明に係る、複数のUEのACK/NACK信号を一つのACK/NACK用のREブロックに多重する方式の他の実施例(実施例4)である。
【図7】本発明に係る、複数のUEのACK/NACK信号を一つのACK/NACK用のREブロックに多重する方式の他の実施例(実施例5)である。
【図8】本発明に係る、複数のUEのACK/NACK信号を一つのACK/NACK用のREブロックに多重する方式の他の実施例(実施例6)である。
【図9】本発明に係る、複数のUEのACK/NACK信号を一つのACK/NACK用のREブロックに多重する方式の他の実施例(実施例7)である。
【図10】本発明に係る、複数のUEのACK/NACK信号を一つのACK/NACK用のREブロックに多重する方式の他の実施例(実施例8)である。
【符号の説明】
【0021】
UE…無線端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局装置から無線端末装置へ向かう下りリンクにおいて、
サブフレーム内の第1OFDMシンボルの先頭のサブキャリアからPCFICHを配置する手段と、
無線端末装置から無線基地局装置へ向かう上りリンクのためのACK/NACK信号を周波数領域でブロック化して多重する手段と、
周波数分割多重又は時間分割多重を用いてACK/NACK信号とPDCCHを多重する手段と、
を備えたことを特徴とする無線基地局装置。
【請求項2】
無線基地局装置から無線端末装置へ向かう下りリンクにおいて、
サブフレーム内の第1OFDMシンボルの先頭のサブキャリアからPCFICHを受信する手段と、
周波数領域でブロック化して多重されている無線端末装置から無線基地局装置へ向かう上りリンクのためのACK/NACK信号を受信する手段と、
周波数分割多重又は時間分割多重を用いて多重されているACK/NACK信号とPDCCHを受信する手段と、
を備えたことを特徴とする無線端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−49579(P2009−49579A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211939(P2007−211939)
【出願日】平成19年8月15日(2007.8.15)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】