説明

無線管理装置、無線管理方法、及びプログラム

【課題】アンテナ装置と無線制御装置との間の接続関係の更新と、隣接セルリストの更新との時間差を削減する。
【解決手段】無線管理装置は、無線制御装置それぞれに接続されているアンテナ装置を示す接続アンテナ装置リストを記憶している第1のテーブル部と、アンテナ装置ごとに該アンテナ装置が有する通信エリアと隣接する通信エリアを有している他のアンテナ装置である隣接アンテナ装置を示す隣接アンテナ装置リストを記憶している第2のテーブル部と、アンテナ装置と無線制御装置との接続の切り替えを示す切替信号に応じて、接続アンテナ装置リストを更新するテーブル更新部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線管理装置、無線管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
第3.9世代の移動通信システムとして、3GPP(3rd Generation Partnership Project)において標準化が進められているLTE(Long Term Evolution)などでは、基地局間における移動端末のハンドオーバをサポートするために、基地局は自局がカバーするエリアに隣接したエリアをカバーする基地局を示す情報を保持している。この隣接したエリアをカバーする基地局を示す情報である隣接セルリストは、報知チャネルなどを用いて基地局から移動端末に通知されている(非特許文献1)。
移動端末は、接続中の基地局や、隣接セルリストに含まれている基地局からの信号強度を測定し、測定結果を接続中の基地局に通知する。基地局は移動端末から受信した測定結果に基づいて、ハンドオーバの要否や、ハンドオーバ先の基地局を選択している。
【0003】
ところで、基地局を新設した際や、撤去した際にも、適切にハンドオーバがなされるためには、隣接セルリストを実際の基地局の配置と一致させておく必要がある。一般的な移動通信システムでは、基地局の設置や撤去に応じて、移動通信システムの管理者又は運用者が隣接セルリストを手動で更新することが行われていた。しかし、移動通信システムの運用の自動化を目指し、人手を介さずに隣接セルリストを更新するANR(Automatic Neighbor Relation)が検討されている(非特許文献1)。
ANRを用いる場合、移動端末は、基地局からの指示に基づいて、現在の位置において検出可能な基地局からの信号強度などを測定し、測定結果を基地局に送信する(Measurement Report)。基地局は、移動端末から受信した測定結果に基づき、隣接セルリストを更新することにより、実際の基地局の配置と隣接セルリストとを一致させて最新の状態に保つことが可能となる。
【0004】
今後、益々増加する移動通信システムにおけるトラヒックを収容するために、基地局が備えている機能を、無線制御装置とアンテナ装置とに分離した上、複数の無線制御装置を同一局舎に集約する無線ネットワークアーキテクチャが検討されている(非特許文献2、3)。
この無線ネットワークアーキテクチャの特徴は、無線制御装置とアンテナ装置との接続関係を柔軟かつ動的に変更できる点である。例えば、トラヒックの時間変動や日次変動などに応じて、トラヒックの多く発生するエリアに、より多くの無線制御装置を割り当てることにより、限られた無線制御装置のリソースを効率的に利用することが可能となる。なお、無線ネットワークアーキテクチャにおいても、移動端末が適切に基地局間でハンドオーバできるように、隣接セルリストの更新が必要となる。隣接セルリストは、無線プロトコル処理を行う無線制御装置ごとに管理されており、無線制御装置がカバーするエリアに隣接するエリアをカバーする無線制御装置を示す情報を有する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TS 36.300, “Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN); Overall description; Stage 2”
【非特許文献2】"Nokia Siemens Networks launches Liquid Radio"、[online]、平成23年3月21日、Nokia Siemens Networks、[平成23年9月16日検索]、インターネット<http://www.nokiasiemensnetworks.com/news-events/press-room/press-releases/nokia-siemens-networks-launches-liquid-radio>
【非特許文献3】" Light Radio(TM):Evolve your wireless broadband network for the new generation of applications and users"、[online]、平成23年7月29日、Alcatel-Lucent、[平成23年9月19日検索]、インターネット<http://www.alcatel-lucent.com/features/light_radio/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献2、3などのように検討が進んでいる、基地局を無線制御装置とアンテナ装置とに分離し、複数の無線制御装置を集約する無線ネットワークアーキテクチャでは、トラヒック状況等に応じて、無線制御装置とアンテナ装置との接続関係を動的に変更する。接続関係を変更する際には、無線制御装置の隣接関係が換わるため、適切に隣接セルリストを更新する必要がある。
例えば、隣接セルリストの更新にANRを適用した場合、移動端末で基地局からの信号強度などを測定し、測定結果を無線制御装置に送信する必要があるため、隣接セルリストが正しく更新されるまでに生じるタイムラグが長くなる可能性がある。この場合、隣接セルリストが更新されるまでの間に、移動端末のハンドオーバが生じると、正しくハンドオーバを行うことができずに、移動端末の通信が切断されてしまう可能性があるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、アンテナ装置と無線制御装置との接続関係を動的に変更できる無線ネットワークアーキテクチャにおいて、アンテナ装置と無線制御装置との間の接続関係の更新と、隣接セルリストの更新との時間差を削減する無線管理装置、無線管理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するために、本発明は、移動端末との無線通信を行う複数のアンテナ装置と、前記アンテナ装置を制御する複数の無線制御装置と、前記アンテナ装置と前記無線制御装置との間の接続関係を管理する無線管理装置とを備えた移動通信システムにおける無線管理装置であって、前記無線制御装置それぞれに接続されている前記アンテナ装置を示す接続アンテナ装置リストを記憶している第1のテーブル部と、前記アンテナ装置ごとに該アンテナ装置が有する通信エリアと隣接する通信エリアを有している他の前記アンテナ装置である隣接アンテナ装置を示す隣接アンテナ装置リストを記憶している第2のテーブル部と、前記アンテナ装置と前記無線制御装置との接続の切り替えを示す切替信号に応じて、前記接続アンテナ装置リストを更新するテーブル更新部とを備えていることを特徴とする無線管理装置である。
【0009】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記テーブル更新部は、前記接続先を切り替えるアンテナ装置を示す情報を、該アンテナ装置が接続されている前記無線制御装置に対応する接続アンテナ装置リストから削除するとともに、該アンテナ装置を新たに接続する前記無線制御装置に対応する接続アンテナ装置リストに該アンテナ装置を示す情報を追加し、前記無線制御装置に対応する前記接続アンテナ装置リストに含まれる前記アンテナ装置の隣接アンテナ装置を前記隣接アンテナ装置リストから検出し、検出した隣接アンテナ装置に接続されている他の前記無線制御装置を示す情報を新たな隣接セルリストにすることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記テーブル更新部は、前記切替信号が示す接続先を切り替える前記アンテナ装置の隣接アンテナ装置を前記隣接アンテナ装置リストから検出し、前記検出した隣接アンテナ装置に接続している前記無線制御装置を前記接続アンテナ装置リストから検出し、前記無線制御装置に接続されている前記アンテナ装置の隣接アンテナ装置に接続されている他の前記無線制御装置を示す隣接セルリストを更新する対象に、前記検出した無線制御装置と、前記切替信号が示す接続先を切り替えるアンテナ装置が接続されている前記無線制御装置と、該アンテナ装置を新たに接続する前記無線制御装置とを選択することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記テーブル更新部は、更に、前記隣接セルリストを更新した後に、前記更新した隣接セルリストを、前記更新対象に選択した無線制御装置に送信することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記テーブル更新部は、更に、前記切替信号が示す接続先を切り替える前記アンテナ装置の隣接アンテナ装置を前記隣接アンテナ装置リストから検出し、前記検出した隣接アンテナ装置に接続している前記無線制御装置を前記接続アンテナ装置リストから検出し、前記検出した無線制御装置のうち、前記切替信号が示す接続先を切り替えるアンテナ装置が接続されている前記無線制御装置と、該アンテナ装置を新たに接続する前記無線制御装置とを除いた無線制御装置に、接続先を切り替える前記アンテナ装置と、該アンテナ装置の切り替え先の前記無線制御装置とを示す更新指示信号を送信することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記テーブル更新部は、更に、前記切替信号が示す接続先を切り替えるアンテナ装置に対応する隣接アンテナ装置リストと、該隣接アンテナ装置リストに含まれるアンテナ装置に接続されている前記無線制御装置とを示す情報と前記アンテナ装置の切り替え元及び切り替え先の前記無線制御装置に送信することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、移動端末との無線通信を行う複数アンテナ装置ごとに該アンテナ装置が有する通信エリアと隣接する通信エリアを有している他の前記アンテナ装置である隣接アンテナ装置を示す隣接アンテナ装置リストを記憶している第2のテーブル部と、前記アンテナ装置を制御する複数の無線制御装置それぞれに接続されている前記アンテナ装置を示す接続アンテナ装置リストを記憶している第1のテーブルとを備えている無線管理装置における無線管理方法であって、前記アンテナ装置と前記無線制御装置との接続の切り替えを示す切替信号に応じて、前記接続アンテナ装置リストを更新するテーブル更新ステップを有することを特徴とする無線管理方法である。
【0015】
また、本発明は、移動端末との無線通信を行う複数アンテナ装置ごとに該アンテナ装置が有する通信エリアと隣接する通信エリアを有している他の前記アンテナ装置である隣接アンテナ装置を示す隣接アンテナ装置リストを記憶している第2のテーブル部と、前記アンテナ装置を制御する複数の無線制御装置それぞれに接続されている前記アンテナ装置を示す接続アンテナ装置リストを記憶している第1のテーブルとを備えている無線管理装置に設けられているコンピュータに、前記アンテナ装置と前記無線制御装置との接続の切り替えを示す切替信号に応じて、前記接続アンテナ装置リストを更新するテーブル更新ステップを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、無線管理装置は切替信号に応じて接続アンテナ装置リストを更新する。これにより、無線管理装置は、更新した接続アンテナ装置リストと隣接アンテナ装置リストとから、各無線制御装置に接続されているアンテナ装置が有する通信エリアに隣接する通信エリアを有する他のアンテナ装置に接続されている無線制御装置を検出することができ、隣接セルリストを更新することができる。すなわち、無線管理装置は、アンテナ装置と無線制御装置との接続を切り替える直前、同時、又は切り替えた直後に、移動端末における測定結果を用いることなく、アンテナ装置の接続を切り替えた後の状態に対応する隣接セルリストを得ることができ、接続の切り替えと隣接セルリストの更新とが行われる際のタイムラグを削減することができる。その結果、移動端末のハンドオーバの失敗などを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態における移動通信システム100の構成を示す概略図である。
【図2】同実施形態における無線管理装置1と無線制御装置2との構成を示す概略ブロック図である。
【図3】同実施形態におけるRCUテーブル11の一例を示す図である。
【図4】同実施形態におけるRRHテーブル12の一例を示す図である。
【図5】同実施形態において図1に示したアンテナ装置3cの接続先を変更した図である。
【図6】同実施形態における隣接セルリストを更新する処理例を示すシーケンス図である。
【図7】同実施形態における隣接セルリスト及び接続RRHリストを更新する処理のフローチャートである。
【図8】同実施形態においてアンテナ装置3cの接続先を無線制御装置2Cから無線制御装置2Bに切り替えた後のRCUテーブルを示す図である。
【図9】第2実施形態における無線管理装置5と無線制御装置2との構成を示す概略ブロック図である。
【図10】同実施形態におけるRCUテーブル52に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報の一例を示す図である。
【図11】同実施形態におけるRRHテーブル61に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報の一例を示す図である。
【図12】同実施形態における隣接セルリストを更新する処理例を示すシーケンス図である。
【図13】同実施形態における切り替え元の無線制御装置6の隣接セルリストを更新する処理(ステップS205)を示す図である。
【図14】同実施形態における切り替え先の無線制御装置6の隣接セルリストを更新する処理(ステップS207)を示す図である。
【図15】同実施形態における隣接セルリストの更新が必要となる無線制御装置6の隣接セルリストを更新する処理(ステップS210)を示す図である。
【図16】同実施形態においてアンテナ装置3cの接続先を無線制御装置6Cから無線制御装置6Bに切り替えた後のRCUテーブル52を示す図である。
【図17】第3実施形態における無線管理装置7と無線制御装置8との構成を示す概略ブロック図である。
【図18】同実施形態における隣接セルリストを更新する処理例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態における無線管理装置、無線管理方法、及びプログラムを説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における移動通信システム100の構成を示す概略図である。同図に示されるように、移動通信システム100は、無線管理装置(Radio Management Unit;RMU)1と、無線管理装置1に接続された複数の無線制御装置(Radio Control Unit;RCU)2A〜2Eと、無線制御装置2A〜2Eに接続された複数のアンテナ装置(Remote Radio Head;RRH)3a〜3hと、無線管理装置1をパケット・コア103に接続するパケットゲートウェイ102とを具備している。各無線制御装置2A〜2Eは同じ構成を有しており、以下、無線制御装置2A〜2Eのいずれか又は全体を示す場合に無線制御装置2という。また、アンテナ装置3a〜3hは同じ構成を有しており、以下、アンテナ装置3a〜3hのいずれか又は全体を示す場合にアンテナ装置3という。
【0020】
無線管理装置1は、無線制御装置2とアンテナ装置3との接続関係を制御し、無線制御装置2それぞれに接続する移動端末(不図示)の数や、各無線制御装置2に要求されるトラヒックなどに応じて、無線制御装置2と接続するアンテナ装置3との接続関係を決定する。また、無線管理装置1は、決定した接続関係に基づいて、アンテナ装置3との接続の切り替えを示す切替指示信号と、隣接セルリストを更新させる更新指示信号とを無線制御装置2に送信する。隣接セルリストとは、無線制御装置2ごとに、無線制御装置2が形成するセル間の隣接関係を示すリストである。
【0021】
無線制御装置2は、無線基地局装置における呼制御や無線リソースのスケジューリングなどの処理を行い、無線管理装置1及びパケットゲートウェイ102を介してパケット・コア103に接続され、上りリンク及び下りリンクのベースバンド処理を行う。また、各無線制御装置2A〜2Eは、それぞれに異なるアンテナ装置3が接続され、接続されているアンテナ装置3から上りリンクの信号を受信し、接続されているアンテナ装置3に下りリンク信号を送信する。
【0022】
また、無線制御装置2には、複数のアンテナ装置3を接続することが可能であり、複数のアンテナ装置3が接続されている場合、分散アンテナ技術と同様に、接続されている複数のアンテナ装置3から同一データを含む信号を送信する。また、無線制御装置2は、接続されているアンテナ装置3の通信可能なエリア(通信エリア)でセルを形成する。複数のアンテナ装置3が接続されている場合、各アンテナ装置3の通信可能なエリアをまとめて1つのセルを形成する。
アンテナ装置3は、無線基地局装置におけるアンテナ素子と含む無線通信機能を独立させた無線通信ユニットであり、移動端末と無線通信を行う。また、アンテナ装置3は、光ファイバ回線などを用いて無線制御装置2A〜2Eと接続されている。
【0023】
図1に示す例では、アンテナ装置3aはアンテナ装置3b、3eと隣接して配置され、アンテナ装置3bはアンテナ装置3a、3c、3fと隣接して配置され、アンテナ装置3cはアンテナ装置3b、3d、3gと隣接して配置され、アンテナ装置3dはアンテナ装置3c、3hと隣接して配置されている。
また、アンテナ装置3eはアンテナ装置3a、3fと隣接して配置され、アンテナ装置3fはアンテナ装置3b、3e、3gと隣接して配置され、アンテナ装置3gはアンテナ装置3c、3f、3hと隣接して配置され、アンテナ装置3hはアンテナ装置3d、3gと隣接して配置されている。
無線制御装置2Aにはアンテナ装置3a、3eが接続されている。無線制御装置2Bにはアンテナ装置3b、3fが接続されている。無線制御装置2Cにはアンテナ装置3c、3gが接続されている。無線制御装置2Dにはアンテナ装置3dが接続されている。無線制御装置2Eにはアンテナ装置3hが接続されている。
【0024】
無線管理装置1と無線制御装置2とは、例えば集約センター101にまとめて設置される。アンテナ装置3は、集約センター101から離れた位置に設置される。
パケットゲートウェイ102は、集約センター101に設置されている無線管理装置1と、パケット・コア103とを接続し、無線管理装置1とパケット・コア103との間における信号の送受信を行い、信号を中継する。
パケット・コア103は、他の移動通信システムや、インターネットなどの外部ネットワークに接続されたネットワークである。
【0025】
図2は、本実施形態における無線管理装置1と無線制御装置2との構成を示す概略ブロック図である。同図に示されるように、無線管理装置1は、RCUテーブル11と、RRHテーブル12と、リソース割当部13と、RCUテーブル更新部14とを備えている。
【0026】
RCUテーブル11には、無線制御装置2ごとに、接続アンテナ装置リストと隣接セルリストとを対応付けて記憶している。ここで、接続アンテナ装置リスト(以下、接続RRHリストという。)は、無線制御装置2に接続されているアンテナ装置3を示す情報である。隣接セルリストは、無線制御装置2のセルに隣接するセルを形成している無線制御装置2を示す情報である。例えば、図1において、無線制御装置2Bに対応付けられている接続アンテナ装置リストは、「アンテナ装置3b、アンテナ装置3f」を示す情報である。また、無線制御装置2Bに対応付けられている隣接セルリストは、「無線制御装置2A、無線制御装置2C」を示す情報である。
【0027】
RRHテーブル12には、アンテナ装置3ごとに、隣接RRHリストが対応付けられて予め記憶されている。隣接RRHリストは、アンテナ装置3の通信可能なエリアに隣接するエリアを通信可能なエリアとするアンテナ装置3を示す情報である。例えば、図1において、アンテナ装置3cに対応付けられている隣接RRHリストは、「アンテナ装置3b、アンテナ装置3d、アンテナ装置3g」を示す情報である。
【0028】
図3は、本実施形態におけるRCUテーブル11の一例を示す図である。同図に示されるように、RCUテーブル11は、各無線制御装置2を識別する識別子(RCU−ID)に、接続RRHリストと隣接セルリストとが対応付けられている。例えば、無線制御装置2Cを示すRCU−ID「C」には、「アンテナ装置3c、アンテナ装置3g」を示す接続RRHリスト「c,g」と、「無線制御装置2B、無線制御装置2D、無線制御装置2E」を示す隣接セルリスト「B,D,E」とが対応付けられている。
【0029】
図4は、本実施形態におけるRRHテーブル12の一例を示す図である。同図に示されるように、RRHテーブル12は、各アンテナ装置3を識別する識別子(RRH−ID)に、隣接RRHリストが対応付けられている。例えば、アンテナ装置3cを示すRRH−ID「c」には、「アンテナ装置3b、アンテナ装置3d、アンテナ装置3g」を示す隣接RRHリスト「b,d,g」が対応付けられている。
【0030】
図2に戻って、無線管理装置1と無線制御装置2との構成の説明を続ける。
リソース割当部13は、無線制御装置2から受信するトラヒック情報に基づいて、各無線制御装置2に接続するアンテナ装置3を決定し、決定に応じた切替信号を生成する。トラヒック情報は、例えば、無線制御装置2が各アンテナ装置3を用いて送受信するデータ量を示す情報である。切替信号は、接続先を変更するアンテナ装置3を示す情報と、当該アンテナ装置3の新たな接続先を示す情報とを含む信号である。また、リソース割当部13は公知の技術を用いて接続関係を決定する。
【0031】
RCUテーブル更新部14は、リソース割当部13から入力される切替信号と、RRHテーブル12に記憶されている隣接RRHリストとに基づいて、RCUテーブル11に記憶されている接続RRHリスト及び隣接セルリストを更新する。RCUテーブル更新部14は、接続RRHリスト及び隣接セルリストの更新結果に基づいて、アンテナ装置3との接続を切り替えさせる切替指示信号と、各無線制御装置2に記憶されている隣接セルリストを更新させる更新指示信号とを生成し、無線制御装置2に送信する。
【0032】
無線制御装置2は、隣接セルテーブル21と、通信部22と、隣接セルテーブル更新部23とを備えている。隣接セルテーブル21には、自装置のセルと隣接するセルを形成している無線制御装置2を示す隣接セルリストが記憶されている。
通信部22は、隣接セルテーブル更新部23から入力される切替指示信号が指定するアンテナ装置3と接続し、接続したアンテナ装置3を介して移動端末と通信をする。通信部22は、各アンテナ装置3が移動端末と送受信するトラヒック情報を無線管理装置1に送信する。また、通信部22は、隣接セルテーブル21に記憶されている隣接セルリストを読み出し、読み出した隣接セルリストをアンテナ装置3に送信する。アンテナ装置3において、隣接セルリストは報知チャネルなどを用いて移動端末に送信される。
隣接セルテーブル更新部23は、無線管理装置1から切替指示信号及び更新指示信号を受信する。隣接セルテーブル更新部23は、受信した切替指示信号を通信部22に出力し、受信した更新指示信号に基づいて隣接セルテーブル21に記憶されている隣接セルリストを更新する。
【0033】
以下、具体的な例を示して無線制御装置2に記憶されている隣接セルリストを更新する処理を説明する。図5は、図1に示した移動通信システム100におけるアンテナ装置3cの接続先を変更した図である。ここでは、図5に示すように、無線制御装置2Cに接続されているアンテナ装置3cの接続先を無線制御装置2Bに切り替える場合における処理を例にして、無線管理装置1及び無線制御装置2の動作を説明する。すなわち、図1に示した接続関係を図5に示した接続関係に変更する場合における動作を説明する。また、無線制御装置2A〜2Eそれぞれを識別するRCU−IDを「A」、「B」、「C」、「D」、「E」とし、アンテナ装置3a〜3hそれぞれを識別するRRH−IDを「a」、「b」、「c」、「d」、「e」、「f」、「g」、「h」として説明をする。
【0034】
図5に示すように、アンテナ装置3cの接続先を無線制御装置2Bに切り替えることにより、無線制御装置2B、2C、2Dそれぞれの隣接するセルが変わる。無線制御装置2Bの隣接セルは、無線制御装置2A、2C、2Dが形成するセルとなる。無線制御装置2Cの隣接セルは、無線制御装置2B、2Eが形成するセルとなる。無線制御装置2Dの隣接セルは、無線制御装置2B、2Eが形成するセルとなる。
【0035】
図6は、本実施形態における隣接セルリストを更新する処理例を示すシーケンス図である。同図に示されるように、各無線制御装置(RCU)2A〜2Eにおいて、通信部22は、予め定められた周期ごとに定期的に、あるいは無線管理装置(RMU)1が指定した時刻ごとに各アンテナ装置3が移動端末と送受信するトラヒック情報を、無線管理装置1に送信する(ステップS1)。
【0036】
無線管理装置1において、リソース割当部13は、各無線制御装置2から受信したトラヒック情報に基づいて、無線制御装置2とアンテナ装置3との接続関係を決定する(ステップS2)。また、リソース割当部13は、決定した接続関係に応じた切替信号を生成し、生成した切替信号をRCUテーブル更新部14に出力する。
【0037】
接続関係の決定は、例えば、所定の無線制御装置2に対して移動端末から要求されるトラヒック量の和が閾値以下となった場合に、アンテナ装置3の接続先を変更することが行われる。ここでは、無線制御装置2Cにおけるトラヒック量が閾値以上となり、無線制御装置2Bにおけるトラヒック量が閾値以下であったため、無線制御装置2Cに接続されていたアンテナ装置3cを無線制御装置2Bに切り替える接続関係の決定がなされている。
なお、接続関係の決定は、各無線制御装置2におけるトラヒック量を平均するようにしてもよいし、又は、予め定められた無線制御装置2(又はセル)におけるトラヒックを優先的に処理するようにしてもよい。
【0038】
RCUテーブル更新部14は、リソース割当部13から入力された切替信号に応じて、RCUテーブル11に記憶されている接続RRHリスト及び隣接セルリストを更新する(ステップS3)。
RCUテーブル更新部14は、接続RRHリストの更新対象となった無線制御装置2Cに対して、接続されているアンテナ装置3cとの接続を切断させる切替指示信号と、隣接セルリストを「B,E」に更新させる更新指示情報とを送信する(ステップS4)。
RCUテーブル更新部14は、接続RRHリストの更新対象となった無線制御装置2Bに対して、アンテナ装置3cを接続させる切替指示信号と、隣接セルリストを「A,C,D」に更新させる更新指示情報とを送信する(ステップS5)。
RCUテーブル更新部14は、接続RRHリストの更新対象ではないが隣接セルリストの更新対象となった無線制御装置2Dに対して、隣接セルリストを「B,E」に変更させる更新指示情報を送信する(ステップS6)。
【0039】
切替指示信号を受信した無線制御装置2B、2Cにおいて、通信部22は、互いに連携を取りながら、アンテナ装置3cの接続を切り替える(ステップS7)。このとき、無線制御装置2Cに備えられた通信部22と、無線制御装置2Bに備えられた通信部22とは、アンテナ装置3cが無線制御装置2C、2Bの両方に同時に接続されないように、切り替えを行う。
また、無線制御装置2Cに備えられている隣接セルテーブル更新部23は、アンテナ装置3cの切断が完了したことを通知する信号を無線制御装置2Bに備えられている隣接セルテーブル更新部23に送信し、無線制御装置2Bに備えられている隣接セルテーブル更新部23は、当該信号を受信した後にアンテナ装置3cを接続するようにしてもよい。また、各通信部22は、RCUテーブル更新部14が設定した時刻において、アンテナ装置3cの切り替えを行うようにしてもよい。
【0040】
更新指示情報を受信した無線制御装置2B、2C、2Dにおいて、隣接セルテーブル更新部23は、受信した更新指示情報に基づいて、隣接セルテーブル21に記憶されている隣接セルリストを更新する(ステップS8)。
上述のステップS1からステップS8の処理により、アンテナ装置3の接続先の変更にともなう隣接セルリストの更新が行われる。
なお、上述のステップS4及びステップS5において、RCUテーブル更新部14は、切替指示信号と更新指示信号とを異なるタイミングで各無線制御装置2に送信するようにしてもよい。また、ステップS6における更新指示信号の送信をステップS4又はステップS5の前に行うようにしてもよい。
【0041】
次に、ステップS3におけるRCUテーブル11を更新する処理をより詳細に説明する。図7は、本実施形態における隣接セルリスト及び接続RRHリストを更新する処理のフローチャートである。ここでは、図6における説明と同様に、図1に示した無線制御装置2とアンテナ装置3との接続関係を、図5に示した無線制御装置2とアンテナ装置3との接続関係に変更する場合を例にして説明する。
【0042】
無線管理装置1において、RCUテーブル更新部14は、アンテナ装置3cの接続先を無線制御装置2Cから無線制御装置2Bに切り替える切替信号がリソース割当部13から入力されると、RRHテーブル12に記憶されている隣接RRHリストに基づいて、接続先を切り替える対象のアンテナ装置3cと通信可能エリアが隣接しているアンテナ装置3(以下、隣接RRHという。)が、アンテナ装置3b、3d、3gであることを検出する(ステップS11)。
RCUテーブル更新部14は、RCUテーブル11に記憶されている接続RRHリストに基づいて、隣接RRHが接続されている無線制御装置2(以下、隣接RCUという。)を検出する。ここでは、隣接RCUは、アンテナ装置3bが接続されている無線制御装置2B、アンテナ装置3dが接続されている無線制御装置2D、アンテナ装置3gが接続されている無線制御装置2Cである。しかし、アンテナ装置3cの接続を切り替える対象(以下、切替対象という。)である無線制御装置2B及び無線制御装置2Cは、隣接RCUから除外する。そのため、隣接RCUは、無線制御装置2Dとなる。また、RCUテーブル更新部14は、隣接RCUと、アンテナ装置3cが接続されている無線制御装置2C(切り替え元)と、アンテナ装置3cの接続を切り替える先の無線制御装置2Bとを隣接セルリストの更新対象に選択する(ステップS12)。
【0043】
RCUテーブル更新部14は、RRHテーブル12に記憶されている隣接RRHリストと、RCUテーブル11に記憶されている接続RRHリストとに基づいて、切替対象である無線制御装置2B、2Cと、隣接RCUである無線制御装置2Dとを隣接セルリストの更新対象に選択し、更新対象に選択された無線制御装置2に対応付けられている隣接セルリストを更新する(ステップS13)。
具体的には、RCUテーブル更新部14は、接続先を切り替えるアンテナ装置3cの切り替え元の無線制御装置2Cに対応する接続RRHリストから、接続先を切り替えるアンテナ装置3cの識別子を削除する。また、RCUテーブル更新部14は、接続先を切り替えるアンテナ装置3cの切り替え先の無線制御装置2Bに対応する接続RRHリストに、接続先を切り替えるアンテナ装置3cの識別子を追加する。
更に、RCUテーブル更新部14は、RCUテーブル11に記憶されている接続RRHリストのうち、更新対象の無線制御装置2の接続RRHリストを順に読み出し、読み出した接続RRHリストに対応する無線制御装置2の隣接セルリストを更新する。RCUテーブル更新部14は、読み出した接続RRHリストに含まれているアンテナ装置3の隣接RRHリストをRRHテーブル12から読み出す。続いて、RCUテーブル更新部14は、読み出した隣接RRHリストに含まれているアンテナ装置3に接続されている無線制御装置2をRCUテーブル11から検出し、検出した無線制御装置2を隣接セルとして隣接セルリストを更新する。なお、RCUテーブル更新部14は、隣接セルリストを更新する際に、自装置が隣接セルリストに含まれないようにする。
【0044】
例えば、無線制御装置2Bの隣接セルリストの更新に関しては、切り替え後に、無線制御装置2Bに接続するアンテナ装置3は、アンテナ装置3b、アンテナ装置3c、及びアンテナ装置3fであり、アンテナ装置3bの隣接RRHはアンテナ装置3a、3c、3fであり、アンテナ装置3cの隣接RRHはアンテナ装置3b、3d、3gであり、アンテナ装置3fの隣接RRHはアンテナ装置3b、3e、3gである。それぞれの隣接RRHのうち、アンテナ装置3b、3c、3fは、無線制御装置2Bに接続するアンテナ装置3であるため隣接RRHから除外すると、残る隣接RRHは、アンテナ装置3a、3d、3e、3gとなる。
残る隣接RRHのうち、アンテナ装置3a、3eは無線制御装置2Aに接続され、アンテナ装置3dは無線制御装置2Dに接続され、アンテナ装置3gは無線制御装置2Cに接続されている。その結果、無線制御装置2Bの隣接セルリストは、無線制御装置2A、2C、2Dを示す「A,C,D」に変更されることになる。
また、無線制御装置2Cと、無線制御装置2Dとに対しても同様に、隣接RRHを検出し、検出した隣接RRHに基づいて、隣接セルリストの更新を行う。
【0045】
上述のステップS11からステップS13の処理を行うことにより、アンテナ装置3cの接続先を無線制御装置2Cから無線制御装置2Bに切り替えた場合におけるRCUテーブル11は、図8に示すように変更される。
図8は、本実施形態においてアンテナ装置3cの接続先を無線制御装置2Cから無線制御装置2Bに切り替えた後のRCUテーブル11を示す図である。図8と図3とを比べると、無線制御装置2Bに対応する接続RRHリストには「c」が追加されているとともに、隣接セルリストには「D」が追加されている。また、無線制御装置2Cに対応する接続RRHリストから「c」が削除され、隣接セルリストから「D」が削除されている。また、無線制御装置2Dに対応する隣接セルリストは「D」が「B」に変更されている。
【0046】
無線制御装置2とアンテナ装置3との接続関係を動的に変更する移動通信システム100において、無線管理装置1は、RCUテーブル11に記憶されている各無線制御装置2の接続RRHリストと、RRHテーブル12に記憶されている各アンテナ装置3の隣接RRHリストとに基づいて、隣接セルリストを更新することができる。
これにより、無線制御装置2とアンテナ装置3との接続を変更後に、移動端末における信号強度の測定を行わずとも隣接セルリストの更新を行うことができる。また、アンテナ装置3の接続を切り替える前に、隣接セルリストを更新することができるので、接続先の切り替える直前、同時、又は切り替えた直後に、隣接セルリストの更新を行うことができるので、接続先の切り替えと隣接セルリストの更新との間のタイムラグを短くすることができる。
【0047】
また、無線制御装置2は、接続するアンテナ装置3を切り替えるタイミングと、アンテナ装置3を介して自装置と通信する移動端末に更新した隣接セルリストを通知するタイミングとの差を短くすることにより、正しくハンドオーバを行うことができずに移動端末の通信が切断されてしまう可能性を低くすることができ、移動通信システム100の安定性を向上させることができる。
また、隣接セルリストの更新にあたり、アンテナ装置3、無線制御装置2、及び無線管理装置1と、移動端末との間において、ANRを適用した場合に生じるような信号強度の測定結果を送受信する必要がなく、通信リソースにおけるオーバヘッドを削減することができ、通信リソースを効率的に利用することができる。
【0048】
なお、上述のステップS4からステップS6において、RCUテーブル更新部14は、隣接セルリストの更新内容を各無線制御装置2に送信する構成を説明したが、これに限ることなく、更新後の隣接セルリストを各無線制御装置2に送信するようにしてもよい。なお、本実施形態では、無線管理装置1がRCUテーブル11と、RRHテーブル12とを個別に備える構成について説明したが、接続RRHリスト、隣接セルリスト、及び各アンテナ装置3に対する隣接RRHリストを記憶する1つの記憶部(テーブル)を備えるようにしてもよい。
【0049】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態における無線管理装置5と無線制御装置2との構成を示す概略ブロック図である。なお、本実施形態における移動通信システムは、第1実施形態における移動通信システム100が具備する無線管理装置1に替えて無線管理装置5を具備し、無線制御装置2に替えて無線制御装置6を具備している。
【0050】
同図に示されるように、無線管理装置5は、リソース割当部51と、RCUテーブル52と、RCUテーブル更新部53とを備えている。リソース割当部51は、各無線制御装置6から受信するトラヒック情報に基づいて、各無線制御装置6に接続するアンテナ装置3を決定し、決定した接続関係に応じた切替指示信号を生成する。RCUテーブル52には、無線管理装置5に接続されている無線制御装置6ごとに、接続RRH情報と、隣接RRH情報とが記憶されている。
ここで、接続RRH情報は、無線制御装置6に接続されているアンテナ装置3を示す識別子(RRH−ID)である。隣接RRH情報は、無線制御装置6に接続されているアンテナ装置3が有する通信エリアに隣接する通信エリアを有する他のアンテナ装置3を示す識別子と、当該他のアンテナ装置3に接続されている無線制御装置6を示す識別子(RCU−ID)とを組み合わせた情報である。
【0051】
RCUテーブル更新部53は、RCUテーブル52に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報を更新する。また、RCUテーブル更新部53は、隣接セルリスト更新指示信号を生成し、生成した隣接セルリスト更新信号を無線制御装置6に送信する。
ここで、RRH情報は、無線制御装置6との接続を切り替えるアンテナ装置3に関する情報である。
【0052】
無線制御装置6は、RRHテーブル61と、隣接セルテーブル62と、通信部63と、隣接セルリスト更新部64とを備えている。
RRHテーブル61には、自装置に接続されているアンテナ装置3を示す接続RRH情報ごとに、隣接RRH情報が記憶されている。
隣接セルテーブル62には、自装置のセルに隣接するセルを形成している他の無線制御装置6を示す識別子(RCU−ID)のリストである隣接セルリストが記憶されている。
通信部63は、隣接セルリスト更新部64から入力される切替指示信号により指定されるアンテナ装置3と接続し、接続したアンテナ装置3を介して移動端末と通信をする。通信部63は、各アンテナ装置3が移動端末と送受信するトラヒック情報を無線管理装置5に送信する。また、通信部63は、隣接セルテーブル62に記憶されている隣接セルリストを読み出し、読み出した隣接セルリストをアンテナ装置3に送信する。アンテナ装置3において、隣接セルリストは報知チャネルなどを用いて移動端末に送信される。
隣接セルリスト更新部64は、無線管理装置5から切替指示信号を受信し、受信した切替指示信号に応じて、RRHテーブル61に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報を更新し、更新結果に応じて、隣接セルテーブル62に記憶されている隣接セルリストを更新する。
【0053】
図10は、本実施形態におけるRCUテーブル52に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報の一例を示す図である。同図に示されている例は、図1における無線制御装置とアンテナ装置との接続関係に対応している。RCUテーブル52には、無線制御装置6を示す情報(RCU−ID)ごとに、接続RRH情報、及び隣接RRH情報が記憶されている。
例えば、無線制御装置6Bを示す「B」に、無線制御装置6Bに接続されているアンテナ装置3b、3fを示す「b」及び「f」と、アンテナ装置3bに対する隣接RRH情報「a−A,c−C,f−B」及びアンテナ装置3fに対する隣接RRH情報「b−B,e−A,g−C」とが対応付けられている。ここでは、アンテナ装置3a〜3hそれぞれの識別子(RRH−ID)を「a」〜「h」で表し、無線制御装置6A〜6Eそれぞれの識別子(RCU−ID)を「A」〜「E」で表している。
【0054】
図11は、本実施形態におけるRRHテーブル61に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報の一例を示す図である。同図に示す接続RRH情報及び隣接RRH情報は、図1に示した無線制御装置とアンテナ装置との接続関係に対応している。図11(a)は無線制御装置6Aに備えられているRRHテーブル61に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報を示している。図11(b)〜図11(e)は、図11(a)と同様に、それぞれが無線制御装置6B〜6Eに備えられているRRHテーブル61に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報を示している。
例えば、図11(b)で示されている無線制御装置6Bに備えられているRRHテーブル61には、無線制御装置6Bに接続されているアンテナ装置3b、3fを示す「b」及び「f」が接続RRH情報として記憶されている。接続RRH情報「b」には、隣接RRH情報としてRRH−ID「a」とRCU−ID「A」との組み合わせ、RRH−ID「c」とRCU−ID「C」との組み合わせ、及び、RRH−ID「f」とRCU−ID「B」との組み合わせが対応付けられている。同様に、接続RRH情報「f」には、「b−B」、「e−A」及び「g−C」の組み合わせが対応付けられている。
【0055】
以下、具体的な例を示して、各無線制御装置6に記憶されている隣接セルリストを更新する処理を説明する。ここでは、図5に示すように、無線制御装置6Cに接続されているアンテナ装置3cの接続先を無線制御装置6Bに切り替える場合における処理を例にして、無線管理装置5及び無線制御装置6の動作を説明する。すなわち、図1に示した接続関係を図5に示した接続関係に変更する場合における動作を説明する。
【0056】
図12は、本実施形態における隣接セルリストを更新する処理例を示すシーケンス図である。ここでは、第1実施形態における図6に示した例と同様に、無線制御装置6Cにおけるトラヒック量が予め定められた閾値以上となり、無線制御装置6Bにおけるトラヒック量が閾値以下であったため、無線制御装置6Cに接続されていたアンテナ装置3cを無線制御装置6Bに切り替える場合(図1に示す接続関係から図5に示す接続関係に切り替える場合)を例にして説明する。
【0057】
図12に示されるように、各無線制御装置(RCU)6A〜6Eにおいて、通信部63は、予め定められた周期ごとに定期的に、あるいは無線管理装置(RMU)5が指定した時刻ごとに、各アンテナ装置3が移動端末と送受信するトラヒック情報を無線管理装置5に送信する(ステップS201)。
【0058】
無線管理装置5において、リソース割当部51は、各無線制御装置6から受信したトラヒック情報に基づいて、無線制御装置6とアンテナ装置3との接続の変更を決定する(ステップS202)。また、リソース割当部51は、決定した接続変更に応じた切替指示信号を生成し、生成した切替指示信号を無線制御装置6Cと無線制御装置6Bとに送信する(ステップS203)。ステップS203において送信される切替指示信号は、無線制御装置6Cに接続されているアンテナ装置3cの接続先を無線制御装置6Bに切り替えることを示す信号である。
【0059】
無線制御装置6Cにおいて、隣接セルリスト更新部64は、受信した切替指示信号を通信部63に出力し、通信部63にアンテナ装置3cとの接続を切断させる。この後、無線制御装置6Bにおいて、隣接セルリスト更新部64は、受信した切替指示信号を通信部63に出力し、通信部63にアンテナ装置3cとの接続をさせる(ステップS204)。このとき、無線制御装置6Cに備えられた通信部63と、無線制御装置6Bに備えられた通信部63とは、互いに連携を取りながら、アンテナ装置3cが無線制御装置6B、2Cの両方に同時に接続されないように、切り替えを行う。
【0060】
アンテナ装置3cの切り替え元である無線制御装置6Cにおいて、アンテナ装置3cの接続の切り替えが完了すると、隣接セルリスト更新部64は、RRHテーブル61に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報を更新し、更新結果に基づいて隣接セルテーブル62に記憶されている隣接セルリストを更新する(ステップS205)。
隣接セルリスト更新部64は、接続の切り替え対象である無線制御装置6Cに対するRRH情報を生成し、アンテナ装置3cの切り替え先である無線制御装置6Bに生成したRRH情報を送信する(ステップS206)。
【0061】
アンテナ装置3cの切り替え先である無線制御装置6Bにおいて、隣接セルリスト更新部64は、無線制御装置6CからRRH情報を受信すると、受信したRRH情報を用いてRRHテーブル61に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報を更新し、更新結果に基づいて、隣接セルテーブル62に記憶されている隣接セルリストを更新する(ステップS207)。
【0062】
無線管理装置5において、RCUテーブル更新部53は、ステップS203において生成した切替指示信号に基づいて、RCUテーブル52に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報を更新する。
具体的には、RCUテーブル更新部53は、RCUテーブル52において、切替指示信号が示す切り替え対象のアンテナ装置3cに対応する接続RRH情報(RRH−ID「c」)及び隣接RRH情報(「b−B、d−D、g−C」)と、アンテナ装置3cの切り替え元の無線制御装置6Cを示すRCU−ID「C」との対応を削除する。また、RCUテーブル更新部53は、RCUテーブル52において、切替指示信号が示す切り替え対象のアンテナ装置3cに対応する、接続RRH情報(RRH−ID「c」)及び隣接RRH情報(「b−B、d−D、g−C」)を、アンテナ装置3cの切り替え先の無線制御装置6Bを示すRCU−ID「B」に対応付ける。更に、RCUテーブル更新部53は、RCUテーブル52に記憶されている隣接RRH情報のうち、切り替え対象のアンテナ装置3cと組み合わされているRCU−ID「C」を、切り替え先の無線制御装置6Bを示すRCU−ID「B」に変更する。
なお、RCUテーブル更新部53は、ステップS206において無線制御装置6Cから無線制御装置6Bに送信されるRRH情報を受信し、受信したRRH情報に基づいて、RCUテーブル52に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報を更新するようにしてもよい。
【0063】
RCUテーブル更新部53は、アンテナ装置3cが無線制御装置6Bに接続されていることを示す隣接セルリスト変更指示信号を生成し(ステップS208)、生成した隣接セルリスト更新信号を、RCUテーブル52に記憶されている隣接RRH情報が変更された無線制御装置6のうち、切り替え先、及び切り替え元の無線制御装置6以外の無線制御装置6Dに送信する(ステップS209)。
無線制御装置6Dにおいて、隣接セルリスト更新部64は、無線管理装置5から隣接セルリスト更新指示信号を受信すると、RRHテーブル61に記憶されている隣接RRH情報を更新する(ステップS210)。
上述のステップS201からステップS210の処理により、アンテナ装置3の接続先の変更に伴う隣接セルリストの更新が行われる。
【0064】
以下に、ステップS205、ステップS207、及びステップS210における処理をより詳細に説明する。
図13は、本実施形態における切り替え元の無線制御装置6の隣接セルリストを更新する処理(ステップS205)を示す図である。
図13(a)は、切り替え元の無線制御装置6における隣接セルリストを更新する処理のフローチャートである。図13(b)は、無線制御装置6CのRRHテーブル61に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報の更新前と更新後とを示す図である。
【0065】
無線制御装置6Cにおいて、隣接セルリスト更新部64は、RRHテーブル61に記憶されている隣接RRH情報から、RRH情報を生成する。隣接セルリスト更新部64は、接続を切り替える対象のアンテナ装置3cを示す接続RRH情報「c」と、RRH−ID「c」に対応する隣接RRH情報(b−B,d−D,g−C)とを削除する(ステップS211)。
ここで、RRH情報には、接続を切り替える対象のアンテナ装置3を示す情報(RRH−ID)と、当該アンテナ装置3に対応する隣接RRH情報とが含まれている。本例においては、接続を切り替えるアンテナ装置3を示す情報としてRRH−ID「c」と、RRH−ID「c」に対応する隣接RRH情報として「b−B,d−D,g−C」とがRRH情報に含まれている。
【0066】
隣接セルリスト更新部64は、RRHテーブル61に記憶されている隣接RRH情報に、接続を切り替えるアンテナ装置3cが含まれている場合に、当該アンテナ装置3cと組み合わせられている無線制御装置6の識別子(RCU−ID)を切り替え先の無線制御装置6Bの識別子に変更する。本例では、RRH−ID「g」に対応する隣接RRH情報に、「c−C」の組み合わせが含まれているので、当該組み合わせを「c−B」に変更する(ステップS212)。
隣接セルリスト更新部64は、更新後のRRHテーブル61に記憶されている隣接RRH情報に基づいて、隣接セルテーブル62に記憶されている隣接セルリストを更新する。本例では、隣接RRH情報に含まれる無線制御装置6のRCU−IDは「B」と「E」とであるので、隣接セルリスト更新部64は「B,E」を更新後の隣接セルリストとして隣接セルテーブル62に記憶させる(ステップS213)。
【0067】
隣接セルリスト更新部64は、ステップS211において生成したRRH情報を、接続を切り替えるアンテナ装置3の切り替え先の無線制御装置6に送信する(ステップS214)。ステップS214は、図12のステップS206に対応する。
上述のステップS211からステップS213の処理により、切り替え元の無線制御装置6Cにおける隣接セルリストが図13(b)に示されているように更新される。
【0068】
図14は、本実施形態における切り替え先の無線制御装置6の隣接セルリストを更新する処理(ステップS207)を示す図である。
図14(a)は、切り替え先の無線制御装置6における隣接セルリストを更新する処理のフローチャートである。図14(b)は、無線制御装置6BのRRHテーブル61に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報の更新前と更新後とを示す図である。
【0069】
無線制御装置6Bにおいて、隣接セルリスト更新部64は、接続を切り替えるアンテナ装置3cの切り替え元の無線制御装置6Cから、RRH情報を受信すると(ステップS221)、受信したRRH情報に含まれるRRH−ID及び隣接RRH情報を、RRHテーブル61に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報に追加する(ステップS222)。
隣接セルリスト更新部64は、受信したRRH情報に含まれるRRH−IDがRRHテーブル61に記憶されている隣接RRH情報に含まれている場合、当該RRH−IDと組み合わされているRCU−IDを、切り替え先の無線制御装置6を示すRCU−IDに変更する。本例では、RRH−ID「b」に対応する隣接RRH情報に含まれている「c−C」を「c−B」に変更する(ステップS223)。
【0070】
隣接セルリスト更新部64は、更新後のRRHテーブル61に記憶されている隣接RRH情報に基づいて、隣接セルテーブル62に記憶されている隣接セルリストを更新する。本例では、隣接RRH情報に含まれる無線制御装置6のRCU−IDは「A」、「B」、「C」及び「D」とであり、隣接セルリスト更新部64は、自装置「B」を除いた「A,C,D」を更新後の隣接セルリストとして隣接セルテーブル62に記憶させる(ステップS224)。
上述のステップS221からステップS224の処理により、切り替え先の無線制御装置6Bにおける隣接セルリストが図14(b)に示されているように更新される。
【0071】
図15は、本実施形態における隣接セルリストの更新が必要となる無線制御装置6の隣接セルリストを更新する処理(ステップS210)を示す図である。
図15(a)は、アンテナ装置3の切り替え先、及び切り替え元以外の無線制御装置6における隣接セルリストを更新する処理のフローチャートである。図15(b)は、無線制御装置6DのRRHテーブル61に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報の更新前と更新後とを示す図である。
【0072】
無線制御装置6Dにおいて、隣接セルリスト更新部64は、無線管理装置5から隣接セルリスト更新指示信号を受信すると(ステップS231)、受信した隣接セルリスト更新指示信号に基づいて、RRHテーブル61に記憶されている隣接RRH情報を更新する。本例では、隣接セルリスト更新指示信号が示す「アンテナ装置3cの接続先が無線制御装置6Bである」ことに基づいて、隣接RRH情報に含まれるアンテナ装置3cと組み合わされている無線制御装置6のRCU−IDを「B」に変更する(ステップS232)。
【0073】
隣接セルリスト更新部64は、更新後のRRHテーブル61に記憶されている隣接RRH情報に基づいて、隣接セルテーブル62に記憶されている隣接セルリストを更新する。本例では、隣接RRH情報に含まれる無線制御装置6のRCU−IDは「B」と「E」とであるので、隣接セルリスト更新部64は「B,E」を更新後の隣接セルリストとして隣接セルテーブル62に記憶させる(ステップS233)。
上述のステップS231からステップS233の処理により、切り替え元及び切り替え先以外の無線制御装置6Dにおける隣接セルリストが図15(b)に示されているように更新される。
【0074】
図16は、本実施形態においてアンテナ装置3cの接続先を無線制御装置6Cから無線制御装置6Bに切り替えた後のRCUテーブル52を示す図である。図16と図10とを比べると、接続RRH情報のRRH−ID「c」が無線制御装置6BのRCU−ID「B」に対応付けられ、RRH−ID「c」の隣接RRH情報がRCU−ID「B」に対応付けられている。また、RRH−ID「b」の隣接RRH情報と、RRH−ID「g」の隣接RRH情報と、RRH−ID「d」の隣接RRH情報とにおいて「c−C」が「c−B」に変更されている。
【0075】
上述のように、無線制御装置6とアンテナ装置3との接続関係を動的に変更する移動通信システムにおいて、無線制御装置6は、アンテナ装置3の接続を切り替える切替指示信号を受信すると、RRHテーブル61に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報に基づいて、隣接セルテーブル62に記憶されている隣接セルリストを更新することができる。また、切替指示信号を受信した無線制御装置6は接続先を切り替えるアンテナ装置3に関する情報(RRH情報)を無線管理装置5に送信する。無線管理装置5は、RRH情報を受信すると、切替指示信号を受信しない無線制御装置6のうち、アンテナ装置3の接続を切り替えることにより隣接セルリストの更新が必要な無線制御装置6に対して、隣接セルリスト更新指示信号を送信する。隣接セルリスト更新指示信号を受信した無線制御装置6は、受信した隣接セルリスト更新指示信号に基づいて、RRHテーブル61に記憶されている隣接RRH情報を更新するとともに、隣接セルリストを更新することができる。
これにより、無線制御装置6とアンテナ装置3との接続を変更後に、移動端末における信号強度の測定を行わずとも隣接セルリストの更新を行うことができ、接続先の切り替えた直後に、隣接セルリストの更新を行うことができるので、接続先の切り替えと隣接セルリストの更新との間のタイムラグを短くすることができる。
また、無線制御装置6とアンテナ装置3との接続を変更後に、移動端末における信号強度の測定を行わずとも隣接セルリストの更新を行うことができ、アンテナ装置3と無線制御装置6との間の接続を切り替え、隣接セルリストを更新する際に生じるオーバヘッドを低減させることができる。
【0076】
(第3実施形態)
図17は、第3実施形態における無線管理装置7と無線制御装置8との構成を示す概略ブロック図である。なお、本実施形態における移動通信システムは、第1実施形態における移動通信システム100が具備する無線管理装置1に替えて無線管理装置7を具備し、無線制御装置2に替えて無線制御装置8を具備している。また、同図において、第2実施形態における機能部と同じ機能部には同じ符号を付し、当該機能部についての説明を省略する。
【0077】
同図に示されるように、無線管理装置7は、リソース割当部51と、RCUテーブル52と、RCUテーブル更新部73とを備えている。RCUテーブル更新部73は、リソース割当部51が生成する切替指示信号に基づいて、RCUテーブル52に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報を更新する。また、RCUテーブル更新部73は、更新した接続RRH情報及び隣接RRH情報からRRH情報を生成し、生成したRRH情報と切替指示信号とを、切り替え先及び切り替え元の無線制御装置8に送信する。また、RCUテーブル更新部73は、隣接セル更新指示信号を受信し、隣接RRH情報を更新する。
【0078】
無線制御装置8は、RRHテーブル61と、隣接セルテーブル62と、通信部63と、隣接セルリスト更新部84とを備えている。隣接セルリスト更新部84は、無線管理装置7から受信する切替指示信号及びRRH情報に基づいて、RRHテーブル61に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報を更新する。また、隣接セルリスト更新部84は、他の無線制御装置8から受信する隣接セルリスト更新指示信号に基づいて、RRHテーブル61に記憶されている隣接RRH情報を更新する。また、隣接セルリスト更新部84は、隣接RRH情報の更新結果に応じて、隣接セルテーブル62に記憶されている隣接セルリストを更新する。
【0079】
以下、具体的な例を示して、各無線制御装置8に記憶されている隣接セルリストを更新する処理を説明する。ここでは、図5に示すように、無線制御装置8Cに接続されているアンテナ装置3cの接続先を無線制御装置8Bに切り替える場合における処理を例にして、無線管理装置7及び無線制御装置8の動作を説明する。すなわち、図1に示した接続関係を図5に示した接続関係に変更する場合における動作を説明する。
【0080】
図18は、本実施形態における隣接セルリストを更新する処理例を示すシーケンス図である。ここでは、第1実施形態における図6に示した例と同様に、無線制御装置8Cにおけるトラヒック量が予め定められた閾値以上となり、無線制御装置8Bにおけるトラヒック量が閾値以下であったため、無線制御装置8Cに接続されていたアンテナ装置3cを無線制御装置8Bに切り替える場合を例にして説明する。また、RCUテーブル52に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報は、図10に示した状態になっているものとする。
【0081】
図18に示されるように、各無線制御装置(RCU)8A〜8Eにおいて、通信部63は、予め定められた周期ごとに定期的に、あるいは無線管理装置(RMU)1が指定した時刻ごとに、各アンテナ装置3が移動端末と送受信するトラヒック情報を無線管理装置7に送信する(ステップS301)。
無線管理装置7において、リソース割当部51は、各無線制御装置8から受信したトラヒック情報に基づいて、アンテナ装置3cの接続先を無線制御装置8Cから無線制御装置8Bに切り替える接続の変更を決定する(ステップS302)。
【0082】
RCUテーブル更新部73は、リソース割当部51が決定した接続変更に基づいて、RCUテーブル52に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報を更新する。具体的には、RCUテーブル更新部73は、RCUテーブル52において、切り替え対象のアンテナ装置3cを示すRRH−ID「c」及び隣接RRH情報「b−B、d−D,g−C」と、切り替え元の無線制御装置8Cを示すRCU−ID「C」との対応を削除する。また、RCUテーブル更新部53は、RCUテーブル52において、切り替え対象のアンテナ装置3cを示すRRH−ID「c」及び隣接RRH情報「b−B、d−D,g−C」を、切り替え先の無線制御装置8Bを示すRCU−ID「B」に対応付ける。更に、RCUテーブル更新部53は、RCUテーブル52に記憶されている隣接RRH情報のうち、切り替え対象のアンテナ装置3cと組み合わされているRCU−IDを、切り替え先の無線制御装置8Bを示すRCU−ID「B」に変更する。
RCUテーブル更新部73は、切り替え対象のアンテナ装置3cを示す情報と、アンテナ装置3cに対応する隣接RRH情報とを含むRRH情報を生成し(ステップS303)、生成したRRH情報及び切替指示信号を切り替え先及び切り替え元の無線制御装置8B、8Cに送信する(ステップS304)。
【0083】
無線制御装置8Cにおいて、隣接セルリスト更新部84は、受信した切替指示信号を通信部63に出力し、通信部63にアンテナ装置3cとの接続を切断させる。この後、無線制御装置8Bにおいて、隣接セルリスト更新部84は、受信した切替指示信号を通信部63に出力し、通信部63にアンテナ装置3cとの接続をさせる(ステップS305)。
【0084】
無線制御装置8Cにおいて、アンテナ装置3cの接続の切り替えが完了すると、隣接セルリスト更新部84は、RRHテーブル61に記憶されている接続RRH情報から、アンテナ装置3cを示すRRH−ID「c」と、アンテナ装置3cに対応する接続RRH情報とを削除して更新を行い、更新結果に基づいて隣接セルテーブル62に記憶されている隣接セルリストを更新する。この更新により、RRHテーブル61は図13(b)に示されている状態となる。
また、無線制御装置8Bにおいて、アンテナ装置3cの接続の切り替えが完了すると、隣接セルリスト更新部84は、RRHテーブル61に記憶されている接続RRH情報に、RRH情報に含まれているRRH−ID「c」を追加し、RRHテーブル61に記憶されている隣接RRH情報に、RRH情報に含まれている隣接RRH情報を追加する更新を来ない、更新結果に基づいて隣接セルテーブル62に記憶されている隣接セルリストを更新する。この更新により、RRHテーブル61は図14(b)に示されている状態となる(ステップS306)。
【0085】
切り替え先である無線制御装置8Bにおいて、隣接セルリスト更新部84は、更新後のRRHテーブル61の記憶されている隣接RRH情報に基づいて、アンテナ装置3cの接続の切り替えに直接関与しないが、隣接セルリストの更新が必要となる無線制御装置8Dに、隣接セルリスト更新指示信号を送信する(ステップS307)。ステップS307における隣接セルリスト更新信号は、アンテナ装置3cが無線制御装置8Bに接続されていることを示す信号である。
【0086】
無線制御装置8Dにおいて、隣接セルリスト更新部84は、無線制御装置8Bから隣接セルリスト更新指示信号を受信すると、RRHテーブル61に記憶されている隣接RRH情報を更新する(ステップS308)。なお、ステップS308における隣接セルリストの更新は図15に示した処理と同様に行う。
上述のステップS301からステップS308の処理により、アンテナ装置3の接続先の変更に伴う隣接セルリストの更新が行われる。
なお、ステップS307において、切り替え先の無線制御装置8Bが隣接セルリスト更新指示を無線制御装置8Dに送信する例を説明したが、切り替え元の無線制御装置8Cが隣接セルリスト更新指示信号を無線制御装置8Dに送信するようにしてもよい。
【0087】
上述のように、無線制御装置8とアンテナ装置3との接続関係を動的に変更する移動通信システムにおいて、無線制御装置8は、アンテナ装置3の接続を切り替える切替指示信号及びRRH情報とを受信すると、RRHテーブル61に記憶されている接続RRH情報及び隣接RRH情報を更新し、更新結果から隣接セルリストを更新することができる。また、切替指示信号を受信した無線制御装置8は、切替指示信号を受信しない無線制御装置8のうち、アンテナ装置3の接続を切り替えることにより隣接セルリストの更新が必要な無線制御装置8に対して、隣接セルリスト更新指示信号を送信する。隣接セルリスト更新指示信号を受信した無線制御装置8は、受信した隣接セルリスト更新指示信号に基づいて、RRHテーブル61に記憶されている隣接RRH情報を更新するとともに、隣接セルリストを更新することができる。
これにより、無線制御装置8とアンテナ装置3との接続を変更後に、移動端末における信号強度の測定を行わずとも隣接セルリストの更新を行うことができ、接続先の切り替えた直後に、隣接セルリストの更新を行うことができるので、接続先の切り替えと隣接セルリストの更新との間のタイムラグを短くすることができる。
また、無線制御装置8とアンテナ装置3との接続を変更後に、移動端末における信号強度の測定を行わずとも隣接セルリストの更新を行うことができ、アンテナ装置3と無線制御装置8との間の接続を切り替え、隣接セルリストを更新する際に生じるオーバヘッドを低減させることができる。
【0088】
なお、第2及び第3実施形態において、RCUテーブル52に接続RRH情報及び隣接RRH情報を記憶させる構成について説明したが、これに限ることなく、接続RRH情報と隣接RRH情報とを個別のテーブル(又は記憶部)に記憶させるようにしてもよい。
また、本発明における隣接アンテナ装置リストは上述の実施形態における隣接RRHリストに対応する。また、本発明における接続アンテナ装置リストは上述の実施形態における接続RRHリストに対応する。また、本発明における隣接アンテナ装置情報は上述の実施形態における隣接RRH情報に対応する。また、本発明におけるテーブル更新部は、上述の実施形態におけるRCUテーブル更新部に対応する。また、本発明における第1のテーブル部及び第2のテーブル部は、第1実施形態におけるRCUテーブル及びRRHテーブル、及び第2、第3実施形態におけるRCUテーブルに対応する。
【0089】
なお、本発明における無線管理装置1の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりRCUテーブル11、RRHテーブル12、リソース割当部13、及びRCUテーブル更新部14が行う処理を行わせるようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。更に「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0090】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。更に、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0091】
1,5,7…無線管理装置
2,2A,2B,2C,2D,2E,6,6A,6B,6C,6D,6E,8,8A,8B,8C,8D,8E…無線制御装置
3,3a,3b、3c,3d,3e,3f,3g,3h…アンテナ装置
11,52…RCUテーブル
12,61…RRHテーブル
13,51…リソース割当部
14,53,73…RCUテーブル更新部
21,62…隣接セルテーブル
22,63…通信部
23…隣接セルテーブル更新部
64,84…隣接セルリスト更新部
100…移動通信システム
101…集約センター
102…パケットゲートウェイ
103…パケット・コア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末との無線通信を行う複数のアンテナ装置と、前記アンテナ装置を制御する複数の無線制御装置と、前記アンテナ装置と前記無線制御装置との間の接続関係を管理する無線管理装置とを備えた移動通信システムにおける無線管理装置であって、
前記無線制御装置それぞれに接続されている前記アンテナ装置を示す接続アンテナ装置リストを記憶している第1のテーブル部と、
前記アンテナ装置ごとに該アンテナ装置が有する通信エリアと隣接する通信エリアを有している他の前記アンテナ装置である隣接アンテナ装置を示す隣接アンテナ装置リストを記憶している第2のテーブル部と、
前記アンテナ装置と前記無線制御装置との接続の切り替えを示す切替信号に応じて、前記接続アンテナ装置リストを更新するテーブル更新部と
を備えていることを特徴とする無線管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線管理装置であって、
前記テーブル更新部は、
前記接続先を切り替えるアンテナ装置を示す情報を、該アンテナ装置が接続されている前記無線制御装置に対応する接続アンテナ装置リストから削除するとともに、該アンテナ装置を新たに接続する前記無線制御装置に対応する接続アンテナ装置リストに該アンテナ装置を示す情報を追加し、
前記無線制御装置に対応する前記接続アンテナ装置リストに含まれる前記アンテナ装置の隣接アンテナ装置を前記隣接アンテナ装置リストから検出し、検出した隣接アンテナ装置に接続されている他の前記無線制御装置を示す情報を新たな隣接セルリストにする
ことを特徴とする無線管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の無線管理装置であって、
前記テーブル更新部は、
前記切替信号が示す接続先を切り替える前記アンテナ装置の隣接アンテナ装置を前記隣接アンテナ装置リストから検出し、
前記検出した隣接アンテナ装置に接続している前記無線制御装置を前記接続アンテナ装置リストから検出し、
前記無線制御装置に接続されている前記アンテナ装置の隣接アンテナ装置に接続されている他の前記無線制御装置を示す隣接セルリストを更新する対象に、前記検出した無線制御装置と、前記切替信号が示す接続先を切り替えるアンテナ装置が接続されている前記無線制御装置と、該アンテナ装置を新たに接続する前記無線制御装置とを選択する
ことを特徴とする無線管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の無線管理装置であって、
前記テーブル更新部は、更に、
前記隣接セルリストを更新した後に、前記更新した隣接セルリストを、前記更新対象に選択した無線制御装置に送信する
ことを特徴とする無線管理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の無線管理装置であって、
前記テーブル更新部は、更に、
前記切替信号が示す接続先を切り替える前記アンテナ装置の隣接アンテナ装置を前記隣接アンテナ装置リストから検出し、
前記検出した隣接アンテナ装置に接続している前記無線制御装置を前記接続アンテナ装置リストから検出し、
前記検出した無線制御装置のうち、前記切替信号が示す接続先を切り替えるアンテナ装置が接続されている前記無線制御装置と、該アンテナ装置を新たに接続する前記無線制御装置とを除いた無線制御装置に、接続先を切り替える前記アンテナ装置と、該アンテナ装置の切り替え先の前記無線制御装置とを示す更新指示信号を送信する
ことを特徴とする無線管理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の無線管理装置であって、
前記テーブル更新部は、更に、
前記切替信号が示す接続先を切り替えるアンテナ装置に対応する隣接アンテナ装置リストと、該隣接アンテナ装置リストに含まれるアンテナ装置に接続されている前記無線制御装置とを示す情報とを含む切替指示信号を、前記アンテナ装置の切り替え元及び切り替え先の前記無線制御装置に送信する
ことを特徴とする無線管理装置。
【請求項7】
移動端末との無線通信を行う複数アンテナ装置ごとに該アンテナ装置が有する通信エリアと隣接する通信エリアを有している他の前記アンテナ装置である隣接アンテナ装置を示す隣接アンテナ装置リストを記憶している第2のテーブル部と、前記アンテナ装置を制御する複数の無線制御装置それぞれに接続されている前記アンテナ装置を示す接続アンテナ装置リストを記憶している第1のテーブルとを備えている無線管理装置における無線管理方法であって、
前記アンテナ装置と前記無線制御装置との接続の切り替えを示す切替信号に応じて、前記接続アンテナ装置リストを更新するテーブル更新ステップ
を有することを特徴とする無線管理方法。
【請求項8】
移動端末との無線通信を行う複数アンテナ装置ごとに該アンテナ装置が有する通信エリアと隣接する通信エリアを有している他の前記アンテナ装置である隣接アンテナ装置を示す隣接アンテナ装置リストを記憶している第2のテーブル部と、前記アンテナ装置を制御する複数の無線制御装置それぞれに接続されている前記アンテナ装置を示す接続アンテナ装置リストを記憶している第1のテーブルとを備えている無線管理装置に設けられているコンピュータに、
前記アンテナ装置と前記無線制御装置との接続の切り替えを示す切替信号に応じて、前記接続アンテナ装置リストを更新するテーブル更新ステップ
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−90039(P2013−90039A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226809(P2011−226809)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】