説明

無線装置およびそれを備えた無線通信システム

【課題】他の無線装置から干渉を受けている場合に無線通信の可否を簡単に判定可能な無線装置を提供する。
【解決手段】無線装置5は、無線装置3と無線通信を開始するとき、Kmax個のプローブ信号PRBj(1)〜PRBj(Kmax)を無線装置3へ送信する。無線装置3は、プローブ信号PRBj(1)〜PRBj(Kmax)を無線装置5から受信したときに得られる干渉パワーI(1)〜I(Kmax)を計測する。無線装置5は、干渉パワーI(1)〜I(Kmax)を無線装置3から受信し、干渉パワーI(1)〜I(Kmax)および目標の信号対雑音干渉比SINRに基づいて評価項目|W(1,t)|〜|W(Kmax,t)|を演算する。無線装置5は、Kmax番目の評価項目|W(Kmax,t)|が1よりも小さいと判定されたとき、通常のデータを含むパケットを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線通信を行なう無線装置およびそれを備えた無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に無線通信システムは、複数の無線装置からなる。そして無線通信システムにおいては、無線装置A,Bが相互に無線通信を行なっている場合、他の無線装置Cは、無線通信を行なっている無線装置A,Bから干渉を受ける。
【0003】
従って、他の無線装置Cは、無線通信を行なう場合、無線装置A,Bによって行なわれている無線通信に与える干渉を最小にするパワーで無線通信を行なう必要がある。即ち、他の無線装置Cは、送信パワーを制御して無線通信を行なう必要がある。
【0004】
このために、理論的には、次の方法によって、無線装置Cが無線通信を行なうか否かを決定していた(非特許文献1〜4)。無線装置Cは、ネットワーク情報の行列の支配的な固有値が“1”よりも小さいと判定したときのみ、無線通信を行なう。ネットワーク情報の行列は、無線通信システムにおける全ての無線リンクの信号対雑音干渉比(SINR:Signal to Interference and Noise Ratio)と、無線通信システムにおける全ての無線装置のチャネルゲインとからなる要素によって構成される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】J. Zander, “Distributed co-channel interference control in cellular radio systems”, IEEE Trans. Veh. Technol., vol. 41, no. 4, pp. 305-311, Aug. 1992.
【非特許文献2】G. Foschini and Z. Miljanic, “A simple distributed autonomous power control algorithm and its convergence”, IEEE Trans. Veh. Technol., vol. 42, no. 4, pp. 641-646, Aug. 1993.
【非特許文献3】T. Holliday, A. Goldsmith, P. Glynn, and N. Bambos, “Distributed power and admission control for time-varying wireless networks”, in Proc. of IEEE Global Telecommunications Conference (Globecom), Dallas, Texas, Nov. 29-Dec. 3, 2004, pp. 768-774.
【非特許文献4】J. Luo, S. Ulukus, and A. Ephremides, “Standard and quasi-standard stochastic power control algorithms”, IEEE Trans Inform. Theory, vol. 51, no. 7, pp. 2612-2624, July 2005.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、行列の固有値を計算して無線通信の可否を判定する方法は、行列の要素が増加すると、計算が複雑になるという問題がある。あいにく、行列の固有値の計算は、困難である。4組よりも多くの送信機−受信機のペアからなるネットワークに対する一般的な閉じた式は、存在しない。そして、基準の数値的な方法は、例えば、分散逆行列の前提、またはグローバルネットワーク情報の交換のために、非常に複雑である。
【0007】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、他の無線装置から干渉を受けている場合に無線通信の可否を簡単に判定可能な無線装置を提供することである。
【0008】
また、この発明の別の目的は、他の無線装置から干渉を受けている場合に無線通信の可否を簡単に判定可能な無線装置を備えた無線通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明によれば、無線装置は、送信手段と、受信手段と、演算手段と、判定手段とを備える。送信手段は、第1の周波数帯域において第1の送信パワーでKmax(Kmaxは3以上)個のプローブ信号を異なったタイミングで送信する第1の処理を実行する。受信手段は、送信先がKmax個のプローブ信号を受信したときに得られるKmax個の干渉パワーを送信先から受信する第2の処理を実行する。演算手段は、受信された干渉パワーを第1の送信パワーで除算し、その除算結果に予め決定されたパラメータを乗算することによって評価項目を演算する処理をKmax個の干渉パワーに対して実行し、Kmax個の評価項目を取得する。判定手段は、Kmax番目の評価項目が1よりも小さいか否かを判定する。送信手段は、Kmax番目の評価項目が1よりも小さいと判定されたとき、第1の周波数帯域と異なる第2の周波数帯域において第1の送信パワーよりも大きい第2の送信パワーで通常のデータを含むパケットを送信する。予め決定されたパラメータは、当該無線装置と送信先との間のリンクの評価関数を定義するパラメータである。
【0010】
また、この発明によれば、無線通信システムは、第1および第2の無線装置を備える。第1の無線装置は、Kmax(Kmaxは3以上)個のプローブ信号の受信時にKmax個の干渉パワーを計測し、その計測したKmax個の干渉パワーを送信する。第2の無線装置は、第1の周波数帯域において第1の送信パワーでKmax個のプローブ信号を異なったタイミングで第1の無線装置へ送信する第1の処理を実行し、Kmax個の干渉パワーを第1の無線装置から受信する第2の処理を実行し、受信した干渉パワーを第1の送信パワーで除算し、その除算結果に予め決定されたパラメータを乗算することによって評価項目を演算する処理をKmax個の干渉パワーに対して実行し、Kmax個の評価項目を取得し、Kmax番目の評価項目が1よりも小さいと判定されたとき、第1の周波数帯域と異なる第2の周波数帯域において第1の送信パワーよりも大きい第2の送信パワーで通常のデータを含むパケットを第1の無線装置へ送信する。予め決定されたパラメータは、当該無線装置と送信先との間のリンクの評価関数を定義するパラメータである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、送信元は、Kmax個の評価項目を演算し、Kmax番目の評価項目が1よりも小さいと判定されたとき、無線通信が可能であると判定する。
【0012】
従って、送信元は、無線通信が可能であるか否かを簡単に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態による無線通信ネットワークの概略図である。
【図2】図1に示す無線装置の実施の形態1における構成図である。
【図3】サービス品質ごとに決定された評価関数の第1の例を示す図である。
【図4】サービス品質ごとに決定された評価関数の第2の例を示す図である。
【図5】サービス品質ごとに決定された評価関数の第3の例を示す図である。
【図6】サービス品質ごとに決定された評価関数の第4の例を示す図である。
【図7】周波数帯域の概念図である。
【図8】実施の形態1による無線通信方法を説明するための概念図である。
【図9】実施の形態1における無線通信方法を示すフローチャートである。
【図10】図1に示す無線装置の実施の形態2における構成図である。
【図11】実施の形態2による無線通信方法を示すフローチャートである。
【図12】図1に示す無線装置の実施の形態3における構成図である。
【図13】外挿値を決定する方法を説明するための概念図である。
【図14】実施の形態3による無線通信方法を示すフローチャートである。
【図15】図1に示す無線装置の実施の形態4における構成図である。
【図16】外挿最大値を推定する方法を説明するための概念図である。
【図17】実施の形態4による無線通信方法を示すフローチャートである。
【図18】図17のステップS33の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0015】
図1は、この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。図1を参照して、無線通信システム10は、無線装置1〜5を備える。無線装置1〜5は、無線通信空間に配置される。より具体的には、無線装置1〜5は、無線装置1〜5が相互に、直接、無線通信可能な領域REGに配置される。そして、無線装置1〜5の各々は、自己以外の他の無線装置が無線通信を行なっているとき、後述する方法によって、無線通信が可能であるか否かを判定し、無線通信が可能であると判定したとき、1つの周波数帯域を用いて無線通信を行なう。
【0016】
[実施の形態1]
図2は、図1に示す無線装置1の実施の形態1における構成図である。図2を参照して、無線装置1は、アンテナ11と、送受信手段12と、通信手段13と、判定手段14と、演算手段15とを備える。
【0017】
アンテナ11は、無線通信空間を介して他の無線装置からパケットを受信し、その受信したパケットを送受信手段12へ出力する。
【0018】
また、アンテナ11は、送受信手段12からパケットを受け、その受けたパケットを無線通信空間を介して他の無線装置へ送信する。
【0019】
送受信手段12は、アンテナ11がシグナルチャネルにおいてプローブ信号PRBjを受信したときに得られる干渉パワーIjsを計測する。シグナルチャネルは、リンクj上のプローブ信号PRBjを送受信するために設けられる。
【0020】
また、送受信手段12は、アンテナ11がデータチャネルにおいて通常のデータを含むパケットを受信したときに得られる干渉パワーIjdを計測する。
【0021】
送受信手段12は、計測した干渉パワーIjs,Ijdを通信手段13へ出力する。
【0022】
また、送受信手段12は、アンテナ11からパケットを受ける。送受信手段12は、パケットが送信先における干渉パワーIjs,Ijdを含むとき、干渉パワーIjs,Ijdをパケットから取り出す。そして、送受信手段12は、その取り出した干渉パワーIjs,Ijdを演算手段15へ出力する。
【0023】
一方、送受信手段12は、パケットが通常のデータを含むとき、パケットを通信手段13へ出力する。
【0024】
更に、送受信手段12は、演算手段15から送信パワーσjd=SINR×Ijd,σjs=α×SINR×Ijsを受ける。定数σは、0より大きく、かつ、1以下である。定数σは、無線通信システム10において予め決定される。
【0025】
更に、送受信手段12は、干渉パワーIjs,Ijdを含むパケットを通信手段13から受ける。送受信手段12は、その受けたパケットをアンテナ11を介して送信元へ送信する。
【0026】
更に、送受信手段12は、Kmax(Kmaxは3以上)個のプローブ信号を通信手段13から受ける。そして、送受信手段12は、その受けたKmax個のプローブ信号を周波数帯域BW0における周波数を有するシグナルチャネルにおいて送信パワーσjs=α×SINR×Ijsで、異なったタイミングで送信先へ送信する。
【0027】
更に、送受信手段12は、通常のデータを含むパケットを通信手段3から受ける。そして、送受信手段12は、無線通信が可能であることを示す信号COKを判定手段14から受けると、周波数帯域BW1における周波数を有するデータチャネルにおいて送信パワーσjd=SINR×Ijdで、通常のデータを含むパケットを送信先へ送信する。周波数帯域BW1は、周波数帯域BW0と異なる。
【0028】
通信手段13は、送受信手段12から干渉パワーIjs,Ijdを受ける。
通信手段13は、干渉パワーIjs,Ijdをデータ部に含むパケットを生成し、その生成したパケットを送受信手段12へ出力する。
【0029】
更に、通信手段13は、判定手段14から信号COKを受けると、通常のデータをデータ部に含むパケットを生成し、その生成したパケットを送受信手段12へ出力する。
【0030】
更に、通信手段13は、Kmax個のプローブ信号PRBj(1)〜PRBj(Kmax)を生成し、その生成したKmax個のプローブ信号PRBj(1)〜PRBj(Kmax)を送受信手段12へ出力する。
【0031】
判定手段14は、Kmax個の評価項目|W(1,t)|〜|W(Kmax,t)|を演算手段15から受ける。そして、判定手段14は、評価項目|W(Kmax,t)|が1よりも小さいか否かを判定する。
【0032】
判定手段14は、評価項目|W(Kmax,t)|が1よりも小さいと判定されたとき、信号COKを生成し、その生成した信号COKを送受信手段12および通信手段13へ出力する。
【0033】
一方、判定手段14は、評価項目|W(Kmax,t)|が1以上であると判定されたとき、信号を生成しない。
【0034】
演算手段15は、定数αと、目標の信号対雑音干渉比SINRとを保持する。演算手段15は、干渉パワーIjs,Ijdを送受信手段12から受信する。そして、演算手段15は、送信パワーσjd=SINR×Ijd,σjs=α×SINR×Ijsを演算し、その演算した送信パワーσjd=SINR×Ijd,σjs=α×SINR×Ijsを送受信手段12へ出力する。
【0035】
演算手段15は、干渉パワーIjsを受ける毎に、後述する方法によって、評価項目|W(k,t)|を演算する。そして、演算手段15は、その演算した評価項目|W(k,t)|を判定手段14へ出力する。
【0036】
なお、図1に示す無線装置2〜5の各々も、図2に示す無線装置1と同じ構成からなる。
【0037】
図3から図6は、それぞれ、サービス品質ごとに決定された評価関数の第1〜第4の例を示す。図3から図6において、縦軸は、送信パワーを表し、横軸は、干渉パワーを表す。
【0038】
図3を参照して、曲線k1は、例えば、携帯電話機における送信パワーσjsの干渉パワー依存性を示す。送信パワーσjsは、干渉パワーが基準値Ith1よりも小さいとき、干渉パワーに対して一定値を保持する。送信パワーσjsは、干渉パワーが基準値Ith1以上であるとき、干渉パワーの増加に対して下に凸の曲線に従って減少し、ほぼ一定値になる。
【0039】
携帯電話機は、多くのユーザによって使用されるので、あるユーザが携帯電話機を用いて無線通信を行なうとき、他のユーザが携帯電話機を用いて無線通信を既に行なっている場合が想定される。
【0040】
このような場合、あるユーザの携帯電話機は、他のユーザの携帯電話機からの干渉を受ける。そして、要求される送信パワーが、干渉パワーが大きくなるに従って大きくなると、各携帯電話機によって要求される送信パワーが更に大きくなり、無線通信を行なうことが困難になる。
【0041】
そこで、送信パワーσjsは、干渉パワーに対して曲線k1に示されるように変化することにしたのである。
【0042】
従って、曲線k1によって示される送信パワーσjsの干渉パワー依存性は、一般的には、多くのユーザが同時に無線通信を行なう場合に使用される。
【0043】
図4を参照して、曲線k2は、例えば、車両に設置された無線装置における送信パワーσjsの干渉パワー依存性を示す。送信パワーσjsは、上限値σLimitよりも低いとき、干渉パワーの増加に対して上に凸の曲線に従って増加し、ほぼ一定値になる。
【0044】
無線装置は、車両に搭載されている場合、情報をできる限り速く送信先へ送信する必要がある。
【0045】
そこで、干渉パワーが大きくなっても高い送信レートを確保するために、送信パワーσjsを干渉パワーに対して曲線k2によって示されるように増加させることにしたものである。
【0046】
図5を参照して、曲線k3は、例えば、一定の送信レートでパケットを送信する無線装置における送信パワーσjsの干渉パワー依存性を示す。送信パワーσjsは、干渉パワーが基準値Ith2よりも小さいとき、干渉パワーの増加に対して直線的に増加する。送信パワーσjsは、干渉パワーが基準値Ith2以上であるとき、干渉パワーに対して上に凸の曲線に従って増加する。
【0047】
干渉パワーが存在する無線通信環境において送信レートを一定に保持するためには、干渉パワーの増加に対して送信パワーを増加させる必要がある。
【0048】
そこで、干渉パワーが基準値Ith2よりも小さいとき、干渉パワーの増加に対して送信パワーσjsを線形に増加させることにしたものである。干渉パワーが基準値Ith2以上であるとき、送信パワーσjsは、送信パワーσjsの上限値σLimitを考慮して干渉パワーの増加に対して非線形に増加させることにしたものである。
【0049】
図6を参照して、曲線k4は、例えば、所定の範囲の送信パワーを使用する無線装置における送信パワーσjsの干渉パワー依存性を示す。送信パワーσjsは、干渉パワーの増加に対して送信パワーσ1から送信パワーσ2までの範囲で変化する。より具体的には、送信パワーσjsは、干渉パワーが基準値Ith3よりも小さいとき、干渉パワーの増加に対して送信パワーσ1から上に凸の曲線に従って増加する。送信パワーσjsは、干渉パワーが基準値Ith3から基準値Ith4までの範囲においては、干渉パワーの増加に対してほぼ一定である。送信パワーσjsは、干渉パワーが基準値Ith4以上であるとき、下に凸の曲線に従って送信パワーσ2まで増加する。
【0050】
送信パワーσjsを所定の範囲に設定する場合において、干渉パワーが基準値Ith3から基準値Ith4までの範囲であるとき、送信パワーσjsを送信パワーσ1と送信パワーσ2との平均値に近い値に設定すればよい。しかし、干渉パワーが基準値Ith3以下の範囲または基準値Ith4以上の範囲においては、干渉パワーの送信パワーσjsへの影響を低減させる必要がある。
【0051】
そこで、送信パワーσjsを干渉パワーに対して曲線k4に示すように増加させることにしたものである。
【0052】
なお、無線装置1〜5の各々においては、演算手段15は、多くのユーザが同時に無線通信を行なうというサービス品質に対応付けて曲線k1を保持し、高い送信レートを確保するというサービス品質に対応付けて曲線k2を保持し、一定の送信レートを保持するというサービス品質に対応付けて曲線k3を保持し、所定の範囲の送信パワーを使用するというサービス品質に対応付けて曲線k4を保持する。
【0053】
信号対雑音干渉比SINRは、全体のサービス品質を表す。この実施の形態においては、リンクは、干渉の関数として目標のSINRを定義することによって、必要な、または好ましいQoSを表す。実際の目的のためには、リンクは、送信パワーの干渉への依存性を定義する等価な関数を使用する。従って、曲線k1〜k4の各々は、評価関数β(I)を構成する。リンクjの送信機における送信パワーσjsは、σjs=β(I)によって割り当てられる。
【0054】
評価項目|W(k,t)|の演算方法を下記に示す。評価関数β(I)は、b+a*Iによって定義される。パラメータb,aの各々は、評価関数β(I)を定義するためのパラメータである。
【0055】
演算手段15は、干渉パワーIjsを送受信手段12から受けると、曲線k1〜k4のいずれかを参照して、その受けた干渉パワーIjsに対応する評価関数β(I)の値を検出する。そして、演算手段15は、その検出した値がb+a*Iに等しくなるように、パラメータb,aを決定する。
【0056】
その後、演算手段15は、干渉パワーIjs、および目標の信号対雑音干渉比SINRを用いて送信パワーσjs(k−t)=SINR×Ijsを演算する。なお、k(1≦k≦Kmax)は、回数を表し、tは、遅延(>0)を表す。
【0057】
また、演算手段15は、送信パワーσjs(k−t)、パラメータa、および干渉パワーIjs(k)に基づいて、次の式を用いて評価項目|W(k,t)|を演算する。
[式1]
|W(k,t)|=|ajs(k)σjs(k−t)| ・・・(1)
【0058】
図7は、周波数帯域の概念図である。図7を参照して、周波数帯域BW0は、プローブ信号PRBjを送受信するために設けられる。周波数帯域BW1は、通常のデータを含むパケットを送受信するために設けられる。
【0059】
無線装置1〜5の各々は、自己が送信先と無線通信を開始するとき、周波数帯域BW0のシグナルチャネルにおいて送信パワーσjs=α×SINR×Ijsでプローブ信号PRBjを送信先へ送信する。
【0060】
図8は、実施の形態1による無線通信方法を説明するための概念図である。図8を参照して、無線装置2は、周波数帯域BW0のシグナルチャネルにおいてリンクML1で無線装置1へプローブ信号PRBjを送信する。無線装置2は、周波数帯域BW1のデータチャネルにおいてリンクML1で無線装置1へ通常のデータを含むパケットを送信する。無線装置1は、シグナルチャネルにおいてプローブ信号PRBjを受信したとき、干渉パワーI1sを計測する。また、無線装置1は、データチャネルにおいて、通常データを含むパケットを受信したとき、干渉パワーI1dを計測する。そして、無線装置1は、干渉パワーI1s,I1dを無線装置2へ送信する。
【0061】
無線装置2は、無線装置1から干渉パワーI1s,I1dを受信する。そして、無線装置2は、干渉パワーI1dを用いて、送信パワーσ1d=α×SINR×I1dを演算し、干渉パワーI1sを用いて、送信パワーσ1s=α×SINR×I1sを演算する。従って、無線装置2は、アクティブリンクとしてのリンクML1でデータチャネルにおける送信パワーσ1d=SINR×I1dで通常データを含むパケットを送信する。また、無線装置2は、アクティブリンクとしてのリンクML1でシグナルチャネルにおける送信パワーσ1s=α×SINR×I1sでプローブ信号PRBjを送信する。
【0062】
無線装置4は、無線装置2と同じ方法によって、リンクML2で、シグナルチャネルにおける送信パワーσ2s=α×SINR×I2sでプローブ信号PRBjを送信し、データチャネルにおける送信パワーσ1d=SINR×I1dで通常データを含むパケットを送信する。
【0063】
この状況において、無線装置5は、周波数帯域BW1のデータチャネルにおいてリンクML3で無線装置3との無線通信を開始する。この場合、無線装置3は、送信先であり、無線装置5は、送信元である。
【0064】
送信元である無線装置5は、周波数帯域BW0のシグナルチャネルにおいて送信パワーσjs=α×SINR×Ijs(k−1)でプローブ信号PRBj(k)を送信先である無線装置3へ送信する。送信先である無線装置3は、無線装置3が無線装置5からシグナルチャネルにおいてプローブ信号PRBj(k)を受信するとき、無線装置2,4からそれぞれ干渉パワーI1,I2を受ける。
【0065】
なお、送信パワーσは、無線装置1〜5の各々がKmax個のプローブ信号PRBj(1)〜PRBj(Kmax)を初めて送信するときに使用される。送信パワーσは、無線通信システム10において予め決定され、無線装置1〜5の各々は、送信パワーσを保持する。
【0066】
無線装置3の送受信手段12は、アンテナ11が無線装置5からプローブ信号PRBj(k)を受信したときに得られる干渉パワーIjs(k)を計測する。無線装置3の送受信手段12は、その計測した干渉パワーIjs(k)を通信手段13へ出力する。
【0067】
無線装置3の通信手段13は、送受信手段12から干渉パワーIjs(k)を受ける。そして、無線装置3の通信手段13は、干渉パワーIjs(k)と無線装置5のアドレスAdd5とを含むパケットPKT1=[Add5/Ijs(k)]を生成し、その生成したパケットPKT1=[Add5/Ijs(k)]を送受信手段12へ出力する。
【0068】
無線装置3の送受信手段12は、通信手段13からパケットPKT1=[Add5/Ijs(k)]を受け、周波数帯域BW0のシグナルチャネルにおいてパケットPKT1=[Add5/Ijs(k)]を無線装置5へ送信する。
【0069】
無線装置5の送受信手段12は、周波数帯域BW0のシグナルチャネルにおいてアンテナ11を介してパケットPKT1=[Add5/Ijs(k)]を受信する。そして、無線装置5の送受信手段12は、パケットPKT1から干渉パワーIjs(k)を取り出す。無線装置5の送受信手段12は、その取り出した干渉パワーIjs(k)を演算手段15へ出力する。
【0070】
無線装置5の演算手段15は、送受信手段12から干渉パワーIjs(k)を受けると、送信パワーσjs(k−t)=SINR×Ijs(k),σjd(k−t)=SINR×Ijd(k)を演算し、その演算した送信σjs(k−t)=SINR×Ijs(k),σjd(k−t)=SINR×Ijd(k)を送受信手段12へ出力する。
【0071】
また、無線装置5の演算手段15は、式(1)を用いて評価項目|W(k,t)|を演算し、その演算した評価項目|W(k,t)|を判定手段14へ出力する。
【0072】
無線装置5の判定手段14は、Kmax個の評価項目|W(1,t)|〜|W(Kmax,t)|を演算手段15から受けると、評価項目|W(Kmax,t)|が1より小さいか否かを判定する。評価項目|W(Kmax,t)|が1より小さいと判定されたとき、無線装置5の判定手段14は、COK信号を生成し、その生成したCOK信号を送受信手段12および通信手段13へ出力する。
【0073】
無線装置5の通信手段13は、判定手段14からCOK信号を受けると、通常のデータと、送信先である無線装置3のアドレスAdd3とを含むパケットPKT2=[Add3/Data]を生成し、その生成したパケットPKT2=[Add3/Data]を送受信手段12へ出力する。
【0074】
無線装置5の送受信手段12は、演算手段15から送信パワーσjs(k−t)=SINR×Ijs(k),σjd(k−t)=SINR×Ijd(k)を受け、通信手段13からパケットPKT2=[Add3/Data]を受ける。無線装置5の送受信手段12は、判定手段14からCOK信号を受けると、送信周波数帯域BW1のデータチャネルにおいてパワーσjd(k−t)=SINR×Ijd(k)でパケットPKT2=[Add3/Data]を無線装置3へ送信する。
【0075】
無線装置3の送受信手段12は、周波数帯域BW1のデータチャネルにおいてパケットPKT2=[Add3/Data]を受信し、パケットPKT2=[Add3/Data]を通信手段13へ出力する。そして、無線装置3の通信手段13はパケットPKT2=[Add3/Data]を受理する。
【0076】
なお、評価項目|W(Kmax,t)|が1以上であると判定されたとき、無線装置5の判定手段14は、信号を生成しないので、無線装置5の通信手段13は、パケットPKT2=[Add3/Data]を生成せず、無線装置5の送受信手段12は、パケットPKT2=[Add3/Data]を送信しない。この場合、無線装置5の通信手段13は、Kmax個のプローブ信号PRBj(1)〜PRBj(Kmax)を送信した後、所定の期間に、判定手段14からCOK信号を受けないとき、Kmax個のプローブ信号PRBj(1)〜PRBj(Kmax)を、再度、生成し、その生成したKmax個のプローブ信号PRBj(1)〜PRBj(Kmax)を送受信手段12へ出力する。そして、無線装置5の送受信手段12は、通信手段13から受けたKmax個のプローブ信号PRBj(1)〜PRBj(Kmax)を送信する。その後、無線装置5は、上述した方法によって無線通信が可能であるか否かを判定し、無線通信が可能であると判定したとき、通常のデータを含むパケットを送信先である無線装置3へ送信する。
【0077】
図9は、実施例1による無線通信方法を示すフローチャートである。図9を参照して、一連の動作が開始されると、送信元は、k=1を設定し(ステップS1)、周波数帯域BW0のシグナルチャネルにおいて送信パワーσjs=α×SINR×Ijs(k−1)またはσでプローブ信号PRBj(k)を送信する(ステップS2)。
【0078】
送信先は、アンテナ11が送信元からシグナルチャネルにおいてプローブ信号PRBj(k)を受信するときに得られる干渉パワーIjs(k)を計測する(ステップS3)。送信先は、その計測した干渉パワーIjs(k)を含むパケットPKT1=[Ijs(k)]を生成し、その生成したパケットPKT1=[Ijs(k)]を送信元へ送信する(ステップS4)。
【0079】
送信元は、送信先からパケットPKT1=[Ijs(k)]を受信する(ステップS5)。送信元は、パケットPKT1から干渉パワーIjs(k)を取り出す。送信元は、送信パワーσjs(k)=α×SINR×Ijs(k)を演算する(ステップS6)。また、送信元は、上述した方法によって、評価項目|W(k,t)|を演算する(ステップS7)。
【0080】
送信元は、kがKmaxに等しいか否かを判定する(ステップS8)。ステップS8においてkがKmaxに等しくないと判定されたとき、送信元は、k=k+1を設定する(ステップS9)。その後、一連の動作は、ステップS2へ戻り、ステップS8においてkがKmaxに等しいと判定されるまで、ステップS2〜S9が繰り返し実行される。
【0081】
一方、ステップS8においてkがKmaxに等しいと判定されたとき、送信元は、評価項目|W(Kmax,t)|が1よりも小さいか否かを更に判定する(ステップ10)。
【0082】
ステップ10において、評価項目|W(Kmax,t)|が1よりも小さいと判定されたとき、送信元は、通常のデータを含むパケットPKT2=[Data]を生成し、周波数帯域BW1のデータチャネルにおいて送信パワーσjd(k)でパケットPKT2=[Data]を送信先へ送信する(ステップS11)。なお、送信元は、送信パワーσjd(k)=SINR×Ijd(k)を演算し、送信パワーσjd(k)=SINR×Ijd(k)を保持する。送信先は、周波数帯域BW1のデータチャネルにおいてパケットPKT2=[Data]を受信する(ステップS12)。
【0083】
ステップS10において、評価項目|W(Kmax,t)|が1以上であると判定されたとき、またはステップS12の後、一連の動作は、終了する。
【0084】
なお、送信元は、ステップS1〜S12を繰り返し実行することによって、送信先へ通常のデータを含むパケットを送信する。
【0085】
上述したように、送信元は、評価項目|W(Kmax,t)|が1よりも小さいと判定されたとき、無線通信が可能であると判定し、通常のデータを含むパケットPKT2=[Data]を送信する(ステップS10の“YES”およびステップS11参照)。その理由は、次のとおりである。評価項目|W(1,t)|〜|W(Kmax,t)|の各々は、式(1)を用いて演算される。従って、評価項目|W(1,t)|〜|W(Kmax,t)|の各々は、送信先によって計測された干渉パワーIjs(k)に比例する。その結果、評価項目|W(Kmax,t)|が1よりも小さいとき、送信先の干渉パワーIjs(k)は、送信元の送信パワーが一定ならば、一定になる。送信先の干渉パワーIjs(k)が一定になれば、無線通信空間は、安定になる。従って、評価項目|W(Kmax,t)|が1よりも小さいと判定されたとき、無線通信が可能であると判定することにしたものである。
【0086】
上述したように、送信元は、Kmax個の評価項目|W(1,t)|〜|W(Kmax,t)|を演算し、評価項目|W(Kmax,t)|が1よりも小さいと判定されたとき、無線通信が可能であると判定する。従って、送信元は、無線通信が可能であるか否かを簡単に判定できる。
【0087】
更に、送信元は、干渉パワーIjs(k)を受信すると、送信パワーσjs(k)=α×SINR×Ijs(k)を演算する。従って、送信パワーσjs(k)=α×SINR×Ijs(k)を決定する時間を短くできる。
【0088】
[実施の形態2]
図10は、図1に示す無線装置1〜5の実施の形態2における構成図である。実施の形態2においては、無線装置1〜5の各々は、図10に示す無線装置1Aからなる。
【0089】
図10を参照して、無線装置1Aは、図2に示す無線装置1の判定手段14および演算手段15をそれぞれ判定手段14Aおよび演算手段15Aに代えたものであり、その他の部分は、無線装置1と同じである。
【0090】
判定手段14Aは、Kmax個の評価項目|W(1,t)|/α〜|W(Kmax,t)|/αを演算手段15Aから受ける。そして、判定手段14Aは、評価項目|W(Kmax,t)|/αが1よりも小さいか否かを判定する。評価項目|W(Kmax,t)|/αが1よりも小さいと判定されたとき、判定手段14Aは、信号COKを生成し、その生成した信号COKを送受信手段12および通信手段13へ出力する。一方、評価項目|W(Kmax,t)|/αが1以上であると判定されたとき、判定手段14Aは、信号を生成しない。
【0091】
その他の機能については、判定手段14Aは、判定手段14と同じ機能を果たす。
【0092】
演算手段15Aは、送受信手段12から干渉パワーIjs(k)を受けると、上述した方法によって評価項目|W(k,t)|を演算する。そして、演算手段15Aは、評価項目|W(k,t)|/αを演算し、評価項目|W(k,t)|/αを判定手段14Aへ出力する。
【0093】
その他の機能については、演算手段15Aは、演算手段15と同じ機能を果たす。
【0094】
図11は、実施の形態2による無線通信方法を示すフローチャートである。図11に示すフローチャートは、図9に示すフローチャートのステップS7をステップS7Aに代えたものであり、その他の部分は、図9に示すフローチャートと同じである。
【0095】
図11を参照して、一連の動作が開始されると、ステップS1〜S6が上述したように実行される。ステップS6の後、送信元は、評価項目|W(k,t)|/αを演算する(ステップS7A)。そして、ステップS8〜S12が上述したように実行される。
【0096】
なお、送信元は、ステップS1〜S6,S7A,S8〜S12を繰り返し実行することによって、通常のデータを含むパケットを送信先へ送信する。
【0097】
上述したように、送信元は、Kmax個の評価項目|W(1,t)|/α〜|W(Kmax,t)|/αを演算し、評価項目|W(Kmax,t)|/αが1よりも小さいと判定されたとき、無線通信が可能であると判定する。従って、送信元は、無線通信が可能であるか否かを簡単に判定できる。
【0098】
実施の形態2におけるその他の説明については、実施の形態1と同じである。
【0099】
[実施の形態3]
図12は、図1に示す無線装置1〜5の実施の形態3における構成図である。実施の形態3においては、無線装置1〜5の各々は、図12に示す無線装置1Bからなる。
【0100】
図12を参照して、無線装置1Bは、図2に示す無線装置1の判定手段14および演算手段15をそれぞれ判定手段14Bおよび演算手段15Bに代えたものであり、その他の部分は、無線装置1と同じである。
【0101】
判定手段14Bは、演算手段15Bから外挿値Lを受ける。そして、判定手段14Bは、外挿値Lが1よりも小さいか否かを判定する。判定手段14Bは、外挿値Lが1よりも小さいと判定したとき、信号COKを生成し、その生成した信号COKを送受信手段12および通信手段13へ出力する。一方、判定手段14Bは、外挿値Lが1以上であると判定したとき、信号を生成しない。
【0102】
判定手段14Bは、その他の機能については、判定手段14と同じ機能を果たす。
【0103】
演算手段15Bは、干渉パワーIjs(k)を送受信手段12から受けると、上述した方法によって、評価項目|W(k,t)|を演算する。演算手段15Bは、Kmax個の評価項目|W(1,t)|〜|W(Kmax,t)|の演算を完了すると、指数関数を用いてKmax個の評価項目|W(1,t)|〜|W(Kmax,t)|を外挿し、外挿値Lを得る。そして、演算手段15Bは、外挿値Lを判定手段14Bへ出力する。
【0104】
演算手段15Bは、その他の機能については、演算手段15と同じ機能を果たす。
【0105】
図13は、外挿値Lを決定する方法を説明するための概念図である。図13において、縦軸は、評価項目|W(k,t)|を表し、横軸は、時間を表す。曲線k5は、指数関数を表す。なお、図13は、4個の評価項目|W(1,t)|〜|W(4,t)|が演算される場合を示す。
【0106】
図13を参照して、送信元である無線装置1〜5(=1B)の各々において、演算手段15Bは、例えば、4個の評価項目|W(1,t)|〜|W(4,t)|を演算する。そして、演算手段15Bは、例えば、a×(t)1/2の指数関数(=k5)を用いて4個の評価項目|W(1,t)|〜|W(4,t)|を外挿する。なお、aは、定数である。
【0107】
その結果、演算手段15Bは、指数関数(=k5)が一定になる値を外挿値Lとして得る。
【0108】
図14は、実施の形態3による無線通信方法を示すフローチャートである。図14に示すフローチャートは、図9に示すフローチャートのステップS10をステップS10A,S10Bに代えたものであり、その他の部分は、図9に示すフローチャートと同じである。
【0109】
図14を参照して、一連の動作が開始されると、ステップS1〜S9が上述したように実行される。ステップS8において、kがKmaxに等しいと判定されると、送信元は、Kmax個の評価項目|W(1,t)|〜|W(Kmax,t)|を外挿し、外挿値Lを得る(ステップS10A)。そして、送信元は、外挿値Lが1よりも小さいか否かを判定する(ステップS10B)。
【0110】
ステップS10Bにおいて、外挿値Lが1よりも小さいと判定されたとき、ステップS11,S12が上述したように実行される。
【0111】
一方、ステップS10Bにおいて、外挿値Lが1以上であると判定されたとき、一連の動作は、終了する。
【0112】
なお、送信元は、ステップS1〜S9,S10A,S10B,S11,S12を繰返し実行することによって通常のデータを含むパケットを送信先へ送信する。
【0113】
上述したように、送信元は、外挿値Lが1よりも小さいと判定されたとき、パケットPKT2=[Data]を送信先へ送信する(ステップS10Bの“YES”およびステップS11参照)。その理由は、次のとおりである。外挿値Lが1よりも小さいとき、干渉パワーIjs(k)は、送信パワーσjs(k)よりも小さい。その結果、送信先は、通常のデータを含むパケットPKT2=[Data]を安定して受信できる。従って、外挿値Lが1よりも小さいとき、無線通信が可能であると判定することにしたものである。
【0114】
実施の形態3においては、送信元は、Kmax個の評価項目|W(1,t)|〜|W(Kmax,t)|を演算し、Kmax個の評価項目|W(1,t)|〜|W(Kmax,t)|を外挿して外挿値Lを取得し、外挿値Lを用いて無線通信が可能であるか否かを判定する。従って、無線通信が可能であるか否かを判定するためのエネルギーを低減できる。
【0115】
実施の形態3におけるその他の説明は、実施の形態1と同じである。
【0116】
[実施の形態4]
図15は、図1に示す無線装置1〜5の実施の形態4における構成図である。実施の形態4においては、無線装置1〜5の各々は、図15に示す無線装置1Cからなる。
【0117】
図15を参照して、無線装置1Cは、図2に示す無線装置1の送受信手段12、通信手段13、判定手段14および演算手段15をそれぞれ送受信手段12A、通信手段13A、判定手段14Cおよび演算手段15Cに代えたものであり、その他の部分は、無線装置1と同じである。
【0118】
送受信手段12Aは、m(mは2以上)個の送信パワーσ01〜σ0mを演算手段15Cから受ける。例えば、m個の送信パワーσ01〜σ0mは、それぞれ、0.1×σjs,0.2×σjs,0.3×σjsである。
【0119】
送受信手段12Aは、Kmax個のプローブ信号PRBj(1)〜PRBj(Kmax)を通信手段13Aから受けると、周波数帯域BW0のシグナルチャネルにおいて送信パワーσ01〜σ0mの各々でKmax個のプローブ信号PRBj(1)〜PRBj(Kmax)を送信先へ送信する。
【0120】
送信先の送受信手段12Aは、アンテナ11が送信パワーσ01で送信されたKmax個のプローブ信号PRBj(1)〜PRBj(Kmax)を受信したときに得られるKmax個の干渉パワーI(1)〜I(Kmax)を計測する。また、送信先の送受信手段12Aは、アンテナ11が送信パワーσ02で送信されたKmax個のプローブ信号PRBj(1)〜PRBj(Kmax)を受信したときに得られるKmax個の干渉パワーI(1)〜I(Kmax)を計測する。送信先の送受信手段12Aは、同様にして、アンテナ11が送信パワーσ0mで送信されたKmax個のプローブ信号PRBj(1)〜PRBj(Kmax)を受信したときに得られるKmax個の干渉パワーI(1)〜I(Kmax)を計測する。そして、送受信手段12Aは、干渉パワーI(1)〜I(Kmax),I(1)〜I(Kmax),・・・,I(1)〜I(Kmax)を通信手段13Aへ出力する。
【0121】
送信先の送受信手段12Aは、m個のグループG1=[I(1)〜I(Kmax)],G2=[I(1)〜I(Kmax)],・・・,Gm=[I(1)〜I(Kmax)]を含むパケットPKT1=[G1/G2/・・・/Gm]を通信手段13Aから受ける。そして、送信先の送受信手段12Aは、周波数帯域BW0のシグナルチャネルにおいてパケットPKT1=[G1/G2/・・・/Gm]を送信元へ送信する。
【0122】
送信元の送受信手段12Aは、周波数帯域BW0のシグナルチャネルにおいてアンテナ11を介してパケットPKT1=[G1/G2/・・・/Gm]を送信先から受信する。送信元の送受信手段12Aは、m個のグループG1〜GmをパケットPKT1から取り出し、その取り出したm個のグループG1〜Gmを演算手段15Cへ出力する。
【0123】
送受信手段12Aは、その他の機能については、送受信手段12と同じ機能を果たす。
【0124】
通信手段13Aは、m個のグループG1〜Gmを送受信手段12Aから受ける。そして、通信手段13Aは、パケットPKT1=[G1/G2/・・・/Gm]を生成し、パケットPKT1=[G1/G2/・・・/Gm]を送受信手段12Aへ出力する。
【0125】
通信手段13Aは、その他の機能については、通信手段13と同じ機能を果たす。
【0126】
判定手段14Cは、外挿最大値LMAXを演算手段15Cから受ける。そして、判定手段14Cは、外挿最大値LMAXが1よりも小さいか否かを判定する。判定手段14Cは、外挿最大値LMAXが1よりも小さいと判定されたとき、信号COKを生成し、その生成した信号COKを送受信手段12Aおよび通信手段13Aへ出力する。
【0127】
演算手段15Cは、送信パワーσjsに一定値c,c,・・・,cを乗算することによってm個の送信パワーσ01,σ02,・・・,σ0mを演算する。一定値c,c,・・・,cの各々は、0よりも大きく、かつ、0.5よりも小さい。そして、演算手段15Cは、その演算した送信パワーσ01,σ02,・・・,σ0mを送受信手段12Aへ出力する。
【0128】
演算手段15Cは、m個のグループG1〜Gmを送受信手段12Aから受ける。演算手段15Cは、グループG1に基づいて、Kmax個の送信パワーσ11=SINR×Ijs(1),σ12=SINR×Ijs(2),・・・,σ1Kmax=SINR×Ijs(Kmax)を演算する。また、演算手段15Cは、グループG2に基づいて、Kmax個の送信パワーσ21=SINR×Ijs(1),σ22=SINR×Ijs(2),・・・,σ2Kmax=SINR×Ijs(Kmax)を演算する。同様にして、演算手段15Cは、グループGmに基づいて、Kmax個の送信パワーσm1=SINR×Ijs(1),σm2=SINR×Ijs(2),・・・,σmKmax=SINR×Ijs(Kmax)を演算する。
【0129】
演算手段15Cは、パラメータa、Kmax個の送信パワーσ11〜σ1KmaxおよびKmax個の干渉パワーIjs(1)〜Ijs(Kmax)を式(1)に代入することによって、Kmax個の評価項目|W11(k,t)|,|W12(k,t)|,・・・,|W1Kmax(Kmax,t)|を演算する。また、演算手段15Cは、パラメータa、Kmax個の送信パワーσ21〜σ2KmaxおよびKmax個の干渉パワーIjs(1)〜Ijs(Kmax)を式(1)に代入することによって、Kmax個の評価項目|W21(k,t)|,|W22(k,t)|,・・・,|W2Kmax(Kmax,t)|を演算する。同様にして、演算手段15Cは、パラメータa、Kmax個の送信パワーσm1〜σmKmaxおよびKmax個の干渉パワーIjs(1)〜Ijs(Kmax)を式(1)に代入することによって、Kmax個の評価項目|Wm1(k,t)|,|Wm2(k,t)|,・・・,|WmKmax(Kmax,t)|を演算する。
【0130】
その後、演算手段15Cは、Kmax個の評価項目|W11(k,t)|,|W12(k,t)|,・・・,|W1Kmax(Kmax,t)|を外挿して外挿値L1を得る。また、演算手段15Cは、Kmax個の評価項目|W21(k,t)|,|W22(k,t)|,・・・,|W2Kmax(Kmax,t)|を外挿して外挿値L2を得る。同様にして、演算手段15Cは、Kmax個の評価項目|Wm1(k,t)|,|Wm2(k,t)|,・・・,|WmKmax(Kmax,t)|を外挿して外挿値Lmを得る。
【0131】
更に、演算手段15Cは、目標の信号対雑音干渉比SINRに干渉パワーIjs(k)を乗算して得られる送信パワーσjs(k)が用いられるときに外挿される、外挿最大値LMAXを推定する。そして、演算手段15Cは、外挿最大値LMAXを判定手段14Cへ出力する。
【0132】
演算手段15Cは、その他の機能については、演算手段15と同じ機能を果たす。
【0133】
図16は、外挿最大値LMAXを推定する方法を説明するための概念図である。図16において、縦軸は、外挿値を表し、横軸は、c×SINRを表す。cは、c,c,・・・,cである。なお、図16は、3個の外挿値L1〜L3が外挿される場合を示す。
【0134】
図16を参照して、送信元である無線装置1〜5の各々において、演算手段15Cは、上述した方法によって、評価項目|W11(k,t)|,|W12(k,t)|,・・・,|W1Kmax(Kmax,t)|,|W21(k,t)|,|W22(k,t)|,・・・,|W2Kmax(Kmax,t)|,|W31(k,t)|,|W32(k,t)|,・・・,|W3Kmax(Kmax,t)|を外挿して外挿値L1〜L3を得る。外挿値L1〜L3は、それぞれ、0.1×SINR、0.2×SINR、および0.3×SINRが用いられるときに外挿される。
【0135】
そして、演算手段15Cは、外挿値L1〜L3に基づいて、直線k6を演算する。その後、演算手段15Cは、直線k6に基づいて、1.0×SINRが用いられるときに外挿される外挿最大値LMAXを推定する。
【0136】
図17は、実施の形態4による無線通信方法を示すフローチャートである。図17を参照して、一連の動作が開始されると、送信元は、p=1を設定し(ステップS21)、k=1を設定する(ステップS22)。送信元は、周波数帯域BW0のシグナルチャネルにおいて送信パワーσ0p(k)でプローブ信号PRBj(k)を送信する(ステップS23)。
【0137】
送信先は、アンテナ11がシグナルチャネルで送信元からプローブ信号PRBj(k)を受信したときに得られる干渉パワーIjs(k)を計測する(ステップS24)。送信先は、その計測した干渉パワーIjs(k)を含むパケットPKT1=[Ijs(k)]を生成し、その生成したパケットPKT1=[Ijs(k)]を送信元へ送信する(ステップS25)。
【0138】
送信元は、送信先からパケットPKT1=[Ijs(k)]を受信する(ステップS26)。送信元は、パケットPKT1から干渉パワーIjs(k)を取り出す。送信元は、送信パワーσjsp(k)=α×SINR×Ijs(k)を演算する(ステップS27)。また、送信元は、評価項目|Wjp(k,t)|を演算する(ステップS28)。
【0139】
送信元は、kがKmaxに等しいか否かを判定する(ステップS29)。ステップS29において、kがKmaxに等しくないと判定されたとき、送信元は、k=k+1を設定する(ステップS30)。その後、一連の動作は、ステップS23へ移行し、ステップS29においてkがKmaxに等しいと判定されるまで、ステップS23〜S30が繰返し実行される。
【0140】
一方、ステップS29において、kがKmaxに等しいと判定されたとき、送信元は、pがmに等しいか否かを更に判定する(ステップS31)。ステップS31において、pがmに等しくないと判定されたとき、送信元は、p=p+1を設定する(ステップS32)。その後、一連の動作は、ステップS22へ移行し、ステップS31において、pがmに等しいと判定されるまで、ステップS22〜S32が繰返し実行される。
【0141】
一方、ステップS31において、pがmに等しいと判定されたとき、送信元は、外挿最大値LMAXを推定する(ステップS33)。送信元は、外挿最大値LMAXが1よりも小さいか否かを判定する(ステップS34)。
【0142】
ステップS34において、外挿最大値LMAXが1よりも小さいと判定されたとき、送信元は、通常のデータを含むパケットPKT2=[Data]を生成し、周波数帯域BW1のデータチャネルにおいて送信パワーσjd(k)でパケットPKT2=[Data]を送信先へ送信する(ステップS35)。送信先は、周波数帯域BW1のデータチャネルにおいてパケットPKT2=[Data]を受信する(ステップS36)。
【0143】
ステップS34において、外挿最大値LMAXが1以上であると判定されたとき、またはステップS36の後、一連の動作は、終了する。
【0144】
なお、送信元は、ステップS21〜S36を繰返し実行することによって通常のデータを含むパケットを送信先へ送信する。
【0145】
図18は、図17に示すステップS33の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0146】
図18を参照して、ステップS31において、pがmに等しいと判定されたとき、送信元は、[I(1)〜I(Kmax)],[I(1)〜I(Kmax)],・・・,[I(1)〜I(Kmax)]を用いて送信パワーσ11〜σ1Kmax,σ21〜σ2Kmax,・・・,σm1〜σmKmaxを演算する(ステップS331)。
【0147】
送信元は、パラメータa、送信パワーσ11〜σ1Kmax,σ21〜σ2Kmax,・・・,σm1〜σmKmax、および干渉パワーI(1)〜I(Kmax),I(1)〜I(Kmax),・・・,I(1)〜I(Kmax)を式(1)に代入して評価項目|W11(1,t)|〜|W1Kmax(Kmax,t)|,|W21(1,t)|〜|W2Kmax(Kmax,t)|,・・・,|Wm1(1,t)|〜|WmKmax(Kmax,t)|を演算する(ステップS332)。
【0148】
送信元は、Kmax個の評価項目|W11(1,t)|〜|W1Kmax(Kmax,t)|を外挿して外挿値L1を取得し、Kmax個の評価項目|W21(1,t)|〜|W2Kmax(Kmax,t)|を外挿して外挿値L2を取得し、同様にして、Kmax個の評価項目|Wm1(1,t)|〜|WmKmax(Kmax,t)|を外挿して外挿値Lmを取得する(ステップS333)。
【0149】
送信元は、外挿値L1〜Lmに基づいて、目標の信号対雑音干渉比SINRに干渉パワーIjs(k)を乗算することによって得られた送信パワーσjs(k)が使用されるときに外挿される外挿最大値LMAXを推定する(ステップS334)。
【0150】
ステップS334の後、一連の動作は、図17のステップS34へ移行する。
【0151】
送信元は、ステップS23〜S30を、Kmax回、繰返し実行することによってKmax個のプローブ信号PRBj(1)〜PRBj(Kmax)を送信先へ送信する。
【0152】
ステップS22〜S32が、m回、繰返し実行されるとき、送信元は、m個の送信パワーσ01(k)〜σ0m(k)でKmax個のプローブ信号PRBj(1)〜PRBj(Kmax)を送信する。
【0153】
例えば、mが3に等しいとき、送信パワーσ01(k),σ02(k),σ03(k)は、それぞれ、0.1×σjs(k),0.2×σjs(k),0.3×σjs(k)に設定される。送信パワーσjs(k)は、目標の信号対雑音干渉比SINRに干渉パワーIjs(k)を乗算することによって得られる送信パワーである。
【0154】
干渉パワーIjs(1)〜Ijs(Kmax)は、送信先が送信パワーσ01(k)で送信されたプローブ信号PRBj(1)〜PRBj(Kmax)を受信したときに計測される。従って、評価項目|W11(1,t)|〜|W1Kmax(Kmax,t)|は、0.1×|W(1,t)|〜0.1×|W(Kmax,t)|に等しい。
【0155】
干渉パワーIjs(1)〜Ijs(Kmax)は、送信先が送信パワーσ02(k)で送信されたプローブ信号PRBj(1)〜PRBj(Kmax)を受信したときに計測される。従って、評価項目|W21(1,t)|〜|W2Kmax(Kmax,t)|は、0.2×|W(1,t)|〜0.2×|W(Kmax,t)|に等しい。
【0156】
更に、干渉パワーIjs(1)〜Ijs(Kmax)は、送信先が送信パワーσ03(k)で送信されたプローブ信号PRBj(1)〜PRBj(Kmax)を受信したときに計測される。従って、評価項目|W31(1,t)|〜|W3Kmax(Kmax,t)|は、0.3×|W(1,t)|〜0.3×|W(Kmax,t)|に等しい。
【0157】
外挿値L1は、Kmax個の評価項目|W11(1,t)|〜|W1Kmax(Kmax,t)|を外挿することによって得られ、外挿値L2は、Kmax個の評価項目|W21(1,t)|〜|W2Kmax(Kmax,t)|を外挿することによって得られ、外挿値L3は、Kmax個の評価項目|W31(1,t)|〜|W3Kmax(Kmax,t)|を外挿することによって得られる。
【0158】
更に、外挿最大値Lmaxは、3個の外挿値L1〜L3を用いて推定される。
【0159】
その結果、外挿最大値LMAXは、干渉パワーI(1)〜I(Kmax)よりも低い干渉パワーIjs(1)〜Ijs(Kmax),Ijs(1)〜Ijs(Kmax),Ijs(1)〜Ijs(Kmax)を用いて推定される。
【0160】
従って、より少ないエネルギーを用いて外挿最大値LMAXを推定できる。その結果、無線通信が可能であるか否かを判定するためのエネルギーを低減できる。
【0161】
送信パワーσ01(k),σ02(k),σ03(k)は、それぞれ、0.1×σ(k),0.2×σ(k),0.3×σ(k)に限られない。実施の形態4においては、送信パワーσ01(k),σ02(k),σ03(k)の各々は、目標の信号対雑音干渉比SINRに干渉パワーIjs(k)を乗算し、その演算結果に、0よりも大きく、かつ、0.5よりも小さい予め決定された定数を乗算することによって得られたパワー範囲における任意のパワーに等しくてもよい。
【0162】
送信パワーσ01(k),σ02(k),σ03(k)は、任意の率で増加してもよい。送信パワーσ01(k)と送信パワーσ02(k)との差は、送信パワーσ02(k)と送信パワーσ03(k)との差と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0163】
実施の形態4におけるその他の説明は、実施の形態1,3と同じである。
【0164】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0165】
この発明は、他の無線装置から干渉を受けている場合に無線通信の可否を簡単に判定可能な無線装置に適用される。また、この発明は、他の無線装置から干渉を受けている場合に無線通信の可否を簡単に判定可能な無線装置を備えた無線通信ネットワークに適用される。
【符号の説明】
【0166】
1〜5,1A,1B,1C 無線装置、10 無線通信システム、11 アンテナ、12,12A 送受信手段、13,13A 通信手段、14,14A,14B,14C 判定手段、15,15A,15B,15C 演算手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の周波数帯域において第1の送信パワーでKmax(Kmaxは、3以上)個のプローブ信号を異なったタイミングで送信する第1の処理を行なう送信手段と、
送信先が前記Kmax個のプローブ信号を受信したときに得られるKmax個の干渉パワーを送信先から受信する第2の処理を行なう受信手段と、
前記受信された干渉パワーを前記第1の送信パワーで除算し、その除算結果に予め決定されたパラメータを乗算することによって評価項目を演算する処理を前記Kmax個の干渉パワーに対して実行し、Kmax個の評価項目を取得する演算手段と、
Kmax番目の評価項目が1よりも小さいか否かを判定する判定手段とを備え、
前記送信手段は、前記Kmax番目の評価項目が1よりも小さいと判定されたとき、前記第1の周波数帯域と異なる第2の周波数帯域において前記第1の送信パワーよりも大きい第2の送信パワーで通常のデータを含むパケットを送信し、
前記予め決定されたパラメータは、当該無線装置と前記送信先との間のリンクの評価関数を定義するパラメータである、無線装置。
【請求項2】
前記第1の送信パワーは、目標の信号対雑音干渉比に前記干渉パワーを乗算し、その演算結果に、0よりも大きく、かつ、1よりも小さい予め決定された定数を乗算することによって得られる値であり、
前記演算手段は、更に、前記Kmax個の評価項目を前記予め決定された定数で除算することによってKmax個の新しい評価項目を演算し、
前記判定手段は、Kmax番目の新しい評価項目が1よりも小さいか否かを判定し、
前記送信手段は、前記Kmax番目の新しい評価項目が1よりも小さいと判定されたとき、前記第2の周波数帯域において前記第2の送信パワーで通常のデータを含むパケットを送信する、請求項1に記載の無線装置。
【請求項3】
前記演算手段は、更に、前記Kmax個の評価項目を外挿して外挿値を取得する第3の処理を実行し、
前記判定手段は、前記外挿値が1以下であるか否かを判定し、
前記送信手段は、前記外挿値が1以下であると判定されたとき、前記第2の周波数帯域において前記第2の送信パワーで前記通常のデータを含むパケットを送信する、請求項1に記載の無線装置。
【請求項4】
前記送信手段は、前記目標の信号対雑音干渉比に前記干渉パワーを乗算し、その演算結果に、0よりも大きく、かつ、0.5よりも小さい予め決定された定数を乗算することによって得られるパワー範囲において、前記第1の送信パワーをm(mが2以上)個の第1の送信パワーに変えながら前記第1の処理を実行し、
前記受信手段は、前記m個の第1の送信パワーに対して前記第2の処理を実行し、各々がKmax個の干渉パワーを含むm個のグループを取得し、
前記演算手段は、前記m個のグループに対して前記第3の処理を実行してm個の外挿値を取得し、前記目標の信号対雑音干渉比に前記干渉パワーを乗算して得られる送信パワーが用いられるときに外挿される外挿最大値を推定し、
前記判定手段は、前記外挿最大値が1よりも小さいか否かを判定し、
前記送信手段は、前記外挿最大値が1よりも小さいと判定されたとき、前記第2の周波数帯域において前記第2の送信パワーで前記通常のデータを含むパケットを送信する、請求項3に記載の無線装置。
【請求項5】
Kmax(Kmaxは3以上)個のプローブ信号の受信時にKmax個の干渉パワーを計測する第1の無線装置と、
第1の周波数帯域において第1の送信パワーで前記Kmax個のプローブ信号を異なったタイミングで前記第1の無線装置へ送信する第1の処理を実行し、Kmax個の干渉パワーを前記第1の無線装置から受信する第2の処理を実行し、前記受信した干渉パワーを前記第1の送信パワーで除算し、その除算結果に予め決定されたパラメータを乗算することによって評価項目を演算する処理を前記Kmax個の干渉パワーに対して実行し、Kmax個の評価項目を取得し、Kmax番目の評価項目が1よりも小さいと判定されたとき、前記第1の周波数帯域と異なる第2の周波数帯域において前記第1の送信パワーよりも大きい第2の送信パワーで通常のデータを含むパケットを前記第1の無線装置へ送信し、
前記予め決定されたパラメータは、当該無線装置と送信先との間のリンクの評価関数を定義するパラメータである、無線通信システム。
【請求項6】
前記第1の送信パワーは、前記目標の信号対雑音干渉比に前記干渉パワーを乗算し、その演算結果に、0よりも大きく、かつ、1以下の予め決定された定数を乗算して得られた値であり、
前記第2の無線装置は、更に、前記Kmax個の評価項目を前記予め決定された定数で除算することによってKmax個の新しい評価項目を演算し、Kmax番目の新しい評価項目が1よりも小さいと判定されたとき、前記第2の周波数帯域において前記第2の送信パワーで前記通常のデータを含むパケットを送信する、請求項5に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記第2の無線装置は、更に、前記Kmax個の評価項目を外挿して外挿値を取得する第3の処理を実行し、前記外挿値が1よりも小さいと判定されたとき前記第2の周波数帯域において前記第2の送信パワーで前記通常のデータを含むパケットを送信する、請求項5に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記第2の無線装置は、前記目標の信号対雑音干渉比に前記干渉パワーを乗算し、その演算結果に、0よりも大きく、かつ、0.5よりも小さい予め決定された定数を乗算することによって得られるパワー範囲において、前記第1の送信パワーをm(mが2以上)個の第1の送信パワーに変えながら前記第1の処理を実行し、前記m個の第1の送信パワーに対して前記第2の処理を実行し、各々がKmax個の干渉パワーを含むm個のグループを取得し、前記m個のグループに対して前記第3の処理を実行してm個の外挿値を取得し、前記目標の信号対雑音干渉比に前記干渉パワーを乗算して得られる送信パワーが用いられるときに外挿される外挿最大値を推定し、更に、前記外挿最大値が1よりも小さいと判定されたとき、前記第2の周波数帯域において前記第2の送信パワーで前記通常のデータを含むパケットを送信する、請求項7に記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−39517(P2012−39517A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−179626(P2010−179626)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 1.発行者名 Institute of Electrical and Electronic Engineers 2.刊行物名、巻数、号数 2010 IEEE 71st Vehicular Technology Conference論文集 3.発行日 平成22年 5月16日
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】