説明

無線装置

【課題】
無線装置の状態や経年劣化、異常の有無を短時間に高精度で診断することができる無線装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
電波を送受信する少なくとも1つのアンテナ6と、送信信号を生成する送信部1と、受信信号を検波する受信部7と、送信信号と受信信号を分離する送受分離部5を備えた無線装置において、変調精度を算出する算出部13と、送信部1からの送信信号を受信部7にて検波し、算出部13で算出した変調精度により、無線装置の状態を診断する診断部14とを備えたことを特徴とする無線装置であり、新たなハードウェアを付加せず通常の無線装置の構成を用いて変調精度を算出することにより、無線装置の状態や性能劣化、異常の有無を診断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信を行う相手無線装置や試験装置を用いることなく、単独で無線装置の状態を診断する診断方法およびそれを利用した無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて、移動局装置の普及に伴い、基地局装置や移動局装置は高い信頼性が必要となっている。装置の故障による事故や長期間の運用停止を防止するため、高い耐久性と自己診断機能が必要となっている。自己診断により故障やその兆候を早期に発見が出来れば、機器の切り替えや交換、修繕により故障の影響を低減することができる。このような無線通信システムの例としては、ETCなどに用いられている双方向無線通信技術であるDSRC(Dedicated Short Range Communication)における路側機と車載器間の通信などが挙げられる。
【0003】
従来の自己診断機能を有する無線装置について、図を用いて説明する。
図10は従来の自己診断機能を有する無線装置の構成を示すブロック図である。図10に示す従来の自己診断機能を有する無線装置は、自己診断を行う場合に使用するテストデータを発生するテストデータ発生部101と、信号をデジタル変調する変調部102と、その変調信号を周波数変換し増幅する送信高周波部103と、送信電力の制御を行う送信出力電力制御部104と、出力電力制御量を記憶する出力制御量記憶部105と、送信時と受信時で経路を切り替えるスイッチ106と、信号を送受信するアンテナ107と、受信した信号を増幅し周波数変換する受信高周波部108と、デジタル復調する復調部109と復調した信号からビット誤り率を算出する誤りビット判定部110と、受信した信号の電力を算出する受信電力検出部111と、測定したビット誤り率と電力を表示する表示部112とを備えている。
【0004】
次に、従来の自己診断方法の動作について説明する。テストデータ発生部101は、擬似ランダム符号等の任意のテスト信号を発生し、変調部102へ出力する。変調部102は、テスト信号によるデジタル変調処理を行い、送信高周波部103へ出力する。送信高周波部103は、高周波へ周波数変換を行い、さらにその信号を増幅し送信出力制御部104へ出力する。送信出力制御部104は、可変アッテネータにより構成されており、自己診断時には出力制御量記憶部105に記憶されている減衰量に設定され、送信高周波部103からの信号を減衰しスイッチ106に出力する。スイッチ106は、装置が信号送信時及び自己診断時にはアンテナ107と送信出力制御部104を接続し、信号受信時にはアンテナ107と受信高周波部108を接続する。自己診断時には、このスイッチ106にて漏洩した送信出力制御部104から受信高周波部108への送信信号を使用する。受信高周波部108は、受信した送信信号を増幅し、さらに周波数変換を行い復調部109および受信電力検出部111へ出力する。復調部109では、デジタル復調処理を行い、受信データとなる。誤りビット判定部110では、受信データから誤り率が計算され、その結果を表示部112へ出力する。受信電力検出部111では、受信した信号の電力を算出し、その結果を表示部112へ出力する。表示部112では、誤り率と受信電力を表示する。
【0005】
ここで、装置の出荷前の初期調整時に自己診断を行い、誤り率と受信電力が任意の値となる時の送信出力制御部104の制御量を出力制御量記憶部105に記憶させる。装置の出荷後に自己診断を行った際に自己診断の結果である誤り率と受信電力が出荷前の任意の値にならなかった場合、装置に異常が発生していると判断することができる。
【0006】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2005−159847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の構成では、受信データの誤り率の算出に多くの時間が必要となること、10E−4以下等のように小さな誤り率(10E−5等)を算出する場合、測定精度が得られず再現性が乏しいという課題があった。また、受信した信号の電力で自己診断を行う場合、変調部等の故障により無変調状態となった場合、所望の電力を送信していれば、無変調状態であっても受信した信号の電力は得られているため、故障として検出できないという課題があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するもので、短時間に高精度で自己診断を行うことができる無線装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。
本発明の無線装置は、電波を送受信する少なくとも1つのアンテナと、送信信号を生成する送信部と、受信信号を受信する受信部と、送信信号と受信信号を分離する送受分離部を備えた無線装置であって、少なくとも前記送受分離部または前記アンテナの何れかを経由して前記送信部からの送信信号を受信信号として受信部に入力し、変調精度を算出する算出部と、前記算出部で算出された前記変調精度と所定の閾値とに基づいて無線装置の状態を診断する診断部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、この無線装置において、前記算出部で算出する変調精度は、前記受信信号の直交検波信号から求めてもよい。
【0011】
また、この無線装置において、前記算出部で算出する変調精度は、前記受信で検波された検波信号から求めたEVM値であってもよい。
【0012】
また、この無線装置は、前記送信部から前記受信部へ印加される電力を少なくとも2つの電力に変化させる電力可変部を備え、該電力可変部で変化させた電力と、前記算出部で算出した各々の電力での変調精度により、前記送信部、前記受信部および前記送受分離部における変調精度成分を演算する演算部を備えていてもよい。
【0013】
また、この無線装置は、前記送信信号の増幅をおこなう送信電力増幅部を前記送信部にさらに備え、該送信電力増幅部が前記電力可変部であってもよい。
【0014】
また、この無線装置は、前記演算部で演算した前記変調精度成分と、前記算出部で算出した変調精度により、前記受信部へ入力された電力を演算する受信電力演算部を備え、前記受信電力演算部で求めた電力値と所定の電力値とに基づいて、無線装置の状態を診断してもよい。
【0015】
本発明の無線装置は、電波を送信する少なくとも1つの送信用アンテナと、電波を受信する少なくとも1つの受信用アンテナと、送信信号を生成する送信部と、受信信号を検波する受信部とを備えた無線装置であって、前記送信用アンテナから前記受信用アンテナを経由して前記送信部からの送信信号を受信信号として受信部に入力し変調精度を算出する算出部と、前記算出部で算出された前記変調精度と所定の閾値とに基づいて無線装置の状態を診断する診断部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に記載の発明によれば、送信部からの送信信号の漏れ電力を受信部にて受信し、その受信信号から変調精度を算出して、その変調精度により無線装置の状態や性能劣化、異常の有無を診断するようにしたため、短時間かつ高精度で再現性の高い自己診断を行うことができる。
【0017】
また、送信部から受信部への前記漏れ電力を少なくとも2つの電力に変化させて、変調精度を求めるようにしたため、漏れ電力の大きさによらず、送信部と受信部および送受分離部のみに対する変調精度を求めることができる。
【0018】
また、従来の無線装置に含まれる送信電力増幅部を用いて、前記漏れ電力の可変を行うことにより、新たなハードウェアを付加せず従来無線装置の必要な構成要素を用いて、漏れ電力の大きさによらず、送信部と受信部および送受分離部のみに対する変調精度を求めることができる。
【0019】
以上のように本発明は、電波を送受信する少なくとも1つのアンテナと、送信信号を生成する送信部と、受信信号を検波する受信部と、送信信号と受信信号を分離する送受分離部を備えた無線装置において、変調精度を算出する算出部と、前記送信部からの送信信号を前記受信部にて検波し、前記算出部で得た変調精度により、無線装置の状態を診断する診断部とを備えたことを特徴とする無線装置であり、新たなハードウェアを付加せず通常の無線装置の構成を用いて変調精度を算出することにより、無線装置の状態や性能劣化、異常の有無を診断することができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について、図を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における無線装置の構成の一例を示すブロック図である。以下、本発明の実施の形態1における無線装置の構成について説明する。
【0021】
図1に示す無線装置は、送信信号を生成する送信部1と、受信信号を受信する受信部7と、送信部1にて生成される送信信号と受信部7で受信される受信信号の送受信を行うアンテナ6と、送信時と受信時に送信信号と受信信号の分離を行う送受分離部5と、受信部7の出力から変調精度の算出を行う算出部13と、算出部13で算出した変調精度により無線装置の診断を行う診断部14とを備えている。
【0022】
ここで、送信部1は、周波数変換の基となるキャリア周波数を生成する局部発振部3と、局部発振部3からのキャリア周波数を基に送信信号を符号化、帯域制限と周波数変換を行いデジタル変調して高周波変調信号を出力する変調部2と、変調部2からの高周波変調信号を増幅する送信電力増幅部4とからなる。また、受信部7は、アンテナ6から送受分離部5をへて受信信号を受信し増幅する受信電力増幅部8と、受信電力増幅部8からの増幅された信号を周波数変換する周波数変換部9と、周波数変換部9の周波数変換の基となるキャリア周波数を生成する局部発振部10と、周波数変換部9からの周波数変換された信号の不要波を除去するフィルタ11と、フィルタ11からの信号を同相成分Iと直交成分Qに直交検波する直交検波部12とからなる。
【0023】
また、ここでは図示しないが送信部1内の送信電力増幅部4の前段や、受信部7内の直交検波部12の前段に局部発信部と周波数変換部を新たに設け、周波数変換を行う構成にしてもよい。
【0024】
次に、本発明の実施の形態1における無線装置の動作について説明する。
本発明の無線装置の動作としては、通常動作と診断動作がある。診断動作は、無線装置の電源初期印加時や一定周期毎等に実施する。例えば、ただし、他の無線装置との通信が無い状態に限る。
【0025】
まず、通常動作について説明する。
送信部1は、変調部2と局部発振部3と送信電力増幅部4から構成される。変調部2では、制御部(図示せず)からの信号を符号化と帯域制限を行い、局部発振部3からのキャリア周波数ftの信号に基づいて、送信周波数ftの高周波変調信号にデジタル変調する。変調部2からの高周波変調信号は、送信電力増幅部4へ入力され、所望の送信電力が得られるよう電力が増幅される。送信電力増幅部4からの増幅された高周波変調信号は、送受分離部5へ入力され、アンテナ6へ伝達される。ここで、送受分離部5は、スイッチ、デュープレクサ、又はサーキュレータ等のいずれかで構成されており、送信部1からの信号をアンテナ6へ伝達し、アンテナ6からの信号を受信部7へ伝達する。送受分離部5からの高周波変調信号は、アンテナ6により、他の無線装置(図示せず)に放射される。
【0026】
また、アンテナ6は、他の無線装置(図示せず)からの信号を受信する。アンテナ6で受信した受信信号は、送受分離部5へ入力され、受信電力増幅部8へ伝達される。送受分離部5からの受信信号は、受信電力増幅部8へ入力され、低雑音で増幅される。受信電力増幅部8からの増幅された受信信号は、周波数変換部9へ入力され、周波数変換が行われる。受信信号は、受信周波数frと局部発振部10の周波数foとの和と差の周波数であるfr±foの周波数に変換される。周波数変換部9からの周波数変換された受信信号は、フィルタ11により差の周波数であるIF(IF=fr−fo)が選択される。フィルタ11からのIF信号は、直交検波部12により、直交検波され、同相成分Iと直交成分QのIQ信号に変換され、他の無線装置から送信された信号を復元する。
【0027】
次に、診断動作について説明する。
診断時には、送信部1から出力され送受分離部を通過した高周波変調信号を、受信部7にて電力増幅、周波数変換、フィルタリング、検波を行う。送信部1から受信部7への入力電力は、送受分離部5を通過した漏れ電力(減衰した電力信号)に加えて、アンテナ6からの反射電力も利用できる。そのため、無線装置として必要な構成要素で診断動作が実現できる。
【0028】
診断時の送信部1から出力される高周波変調信号は、通常動作時に送信されている高周波変調信号を用いても良いし、送信部内のメモリ(図示しない)に記憶された診断用の高周波変調信号を用いてもよい。
【0029】
ここで、通常動作時における送信周波数ftと受信周波数frが同一周波数(ft=fr)の場合、周波数変換部9で周波数変換されたIF信号の周波数は、IF=ft−fo=fr−foとなり、通常動作時と等しい。しかし、送信周波数ftと受信周波数frが異なる場合、IF=ft−fo≠fr−foとなるため、IFがフィルタ11の通過帯域から外れてしまう。よって、直交検波部12へ入力される電力は減衰し、検波できない。そのため、局部発振部3の周波数ftもしくは局部発振部10の周波数foを変更する。
【0030】
局部発振部3の周波数ftを変更する場合、周波数ftをfrに変更することにより、IF=ft−fo=fr−foとなり、IFは通常動作時と等しくなる。局部発振部10の周波数foを変更する場合、周波数foをft−fr+foに変更することにより、IF=ft−(ft−fr+fo)=fr−foとなり、IFは通常動作時と等しくなる。以上のように、局部発振部3もしくは局部発振部10の周波数の変更により、通常動作時と同じく検波が可能となる。
【0031】
算出部13では、直交検波部12から出力されたIQ信号を基に、変調精度を算出し、診断部14へ出力する。算出部13で算出する変調精度は、図2に示すように、IQ座標上の理想シンボル点51と実信号シンボル点53とのエラーベクトル量E(n)55と理想シンボルのベクトル量S(n)52の比で表され、EVM(Error Vector Magnitude)である。EVMは数(1)で表される。
【数1】

【0032】
数(1)において、S(n)は理想のシンボル点のベクトル量、Z(n)は実信号シンボル点のベクトル量、E(n)はエラーベクトル量である。なお、ここではEVMを変調精度としているが、EVMに基づいて変調誤差比を示すMER(Modulation Error Rate)を導出して、MERを変調精度としてもよい。
【0033】
エラーベクトル量E(n)55は、電子部品の特性などによる変調部2のIQ不均衡やDCオフセットと、局部発振部3および局部発振部10の位相雑音や周波数偏差と、送信電力増幅部4および受信電力増幅部8の非線形性と、受信部7に入力される信号対ノイズ比(以後SNRと記載)等の無線装置全体の性能により決定される。
【0034】
診断部14では、算出部13にて算出された変調精度を所定の閾値と比較する事により、無線装置の状態や性能劣化、異常の有無を診断する。診断部14で用いる閾値は、法規や標準規格書により定められている規格値や回線設計上得られた許容値、想定値などから予め定められ、メモリ(図示せず)に記憶されている。または、診断部14は、過去もしくは所定の時間間隔で算出部13にて算出された変調精度をメモリ(図示しない)に記憶しておき、その移動平均を算出し、その移動平均が上昇を続けていれば、無線装置に性能劣化が生じていると判断することも出来る。このように変調精度の推移をモニタすることにより、故障の兆候を早期に発見することができる。
【0035】
なお、診断部14で無線装置の異常や性能劣化と診断された場合に、ここでは図示しない表示部などを別途設けて異常の内容、例えばエラーメッセージや、算出した変調精度および所定の閾値を表示してもよい。また、表示ランプや警告音などで異常を知らせるようにしてもよい。また、異常と診断された場合に異常の内容などの情報を管理サーバーへ送信するようにしてもよいし、定期的に自己診断を行い、異常の有無に関わらず自己診断の結果を管理サーバーに送信してもよい。このことにより、無線装置を多数有する無線通信システムなど故障やその兆候を早期に発見することが可能となり、機器の切り替えや交換、修繕などの迅速な対応の管理が可能となり、システム全体として故障の影響を低減することができる。
【0036】
無線装置の故障例として、例えば、変調部2の故障により無変調出力状態(CW)となった場合、算出されたエラーベクトルE(n)55は大きな値を示し、算出部13で算出される変調精度は劣化する。その結果、閾値を超過し、無線装置の異常が検出される。この故障モードの場合、受信部7へ入力される電力レベルには異常は見られず、従来の自己診断方法である受信した信号の電力レベルを用いた自己診断方法では、異常が検出されない。また、従来の受信データの誤り率を用いた自己診断では、変調精度を用いて自己診断を行う本発明に比べて、データ処理に非常に時間を有するとともに、小さな誤り率の場合は再現性に乏しいため、異常を検出しない可能性がある。
【0037】
以上の構成により、変調精度を用いて自己診断を行うことにより、無線装置の状態や性能劣化、異常の有無を短時間かつ高精度に診断することができる。
【0038】
ここで、図3のように新たに送信部1から受信部7への経路を追加しても良い。その場合、例えば、送信部1と送受分離部5の間、送受分離部5と受信部7の間にそれぞれ1つの経路を切り替えるスイッチ20A,20Bを追加する。通常動作時には、スイッチ20Aで送信部1と送受分離部5、スイッチ20Bで受信部7と送受分離部5がそれぞれ接続されており、送信部1と受信部7は切断されている。診断動作時にはスイッチ20A、20Bにより送信部1と受信部7が接続され、送信部1と送受分離部5、受信部7と送受分離部5は切断される。そのため、受信部7への入力電力は、送信部1から2つのスイッチ20A、20Bを介して受信部7へ直接入力される。以降の処理は図1と同様のため説明を省略するが、図3の構成においても図1の構成と同様の診断を行うことができる。図3の構成によると、受信部7へ入力される信号が送受分離部5やアンテナ6を介さないために、送受分離部5からの漏れ電力やアンテナ6からの反射電力のバラつきの影響を受けずに、変調精度を用いた自己診断を行うことが可能である。また、この構成によると受信部7へ入力される信号が、図1の送受分離部5による受信部7への入力信号の減衰がなく受信信号強度が大きくなるために、スイッチ20Aからスイッチ20Bの間にアッテネータ等の減衰器を挿入してもよい。
【0039】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2について、図を用いて説明する。
図4は、本発明の実施の形態2における無線装置の構成の一例を示すブロック図である。
以下、本発明の実施の形態2における無線装置の構成について説明する。なお、実施の形態1と同様の構成については、説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0040】
図4に示す無線装置は、実施の形態1の構成要素に加え、送信部1から受信部7へ入力される信号の電力を少なくとも2つの電力に変化させる電力可変部16と、各々の電力において算出部13より算出した複数要因による無線装置全体としての変調精度を基に、送信部1、受信部7および送受分離部5における変調精度成分を演算する演算部15とを備えている。
【0041】
次に本発明の実施の形態2における無線装置の動作について説明する。
電力可変部16は、通常可変アッテネータで構成されており、演算部15からの制御信号により、減衰量を変化させる。通常動作時には、電力可変部16は、通常減衰なしに設定されている。
【0042】
診断動作について説明する。送信部1からの高周波変調信号は、送受分離部5の漏れ電力もしくはアンテナ6での反射電力により、電力可変部16へ入力される。電力可変部16では、送受分離部5からの高周波変調信号の電力を、演算部15からの制御に基づいて減衰し、受信部7へ出力する。
【0043】
まず、演算部15からの制御により、電力可変部16での電力の減衰量をA[dB]に設定する。受信部7に入力される電力は、電力可変部16が存在しない場合に比べ、A[dB]減衰され、受信部7へ入力される。受信部7では、電力増幅、周波数変換、フィルタリング、直交検波を行い、算出部13へ出力する。算出部13では、電力可変部16の減衰量がA[dB]の時の変調精度EVM(A)を算出し、診断部14と演算部15へ出力する。
【0044】
次に、演算部15からの制御により、電力可変部16での電力の減衰量をB[dB](B>A)に設定する。この時、受信部7に入力される電力は、電力可変部16の電力の減衰量がA[dB]の時に比べ、B−A[dB]低下する。算出部13では、電力可変部16の減衰量がB[dB]の時の変調精度EVM(B)を算出し、診断部14と演算部15へ出力する。
【0045】
ここで、変調精度は、前記の数(1)で表され、無線装置全体の性能と受信部7に入力される信号のSNRにより決定されている。複数要因による無線装置全体としての変調精度EVMは、各要因の二乗和の平方根であり、数(2)で表される。
【数2】

【0046】
数(2)において、EVMは、算出された無線装置全体の変調精度、EVMSNRは、SNRを要因とする変調精度成分、EVMTXは、送信部1を要因とする変調精度成分、EVMSEPは、送受分離部5を要因とする変調精度成分、EVMRXは、受信部7を要因とする変調精度成分である。
【0047】
電力可変部16により、受信部7へ入力する電力を変化させることは、受信機の熱雑音等によるノイズレベルがほぼ一定とすると、SNRを変化させることと等価である。そのため、各減衰量における電力の変化量と各々の変調精度の算出結果により、無線装置全体としての変調精度EVMからSNRを要因とする変調精度成分EVMSNRを除いた変調精度成分を知ることができる。つまり、SNRをパラメータとして、送信部1、受信部7および送受分離部5を要因とする変調精度成分のみ(EVMTX、EVMSEP、EVMRXの合成成分)を知ることができる。
【0048】
演算部15では、少なくとも2つの電力可変部16の設定における無線装置全体の変調精度を用いて、送信部1、受信部7および送受分離部5を要因とする変調精度成分を演算する。演算は、電力可変部16での電力の減衰量をA[dB]と、この時の算出部13での変調精度算出結果をEVM(A)と、電力可変部16での電力の減衰量をB[dB](B>A)と、この時の算出部13での変調精度算出結果をEVM(B)および数(2)に基づいて、送信部1、受信部7および送受分離部5のみを要因とする変調精度成分を演算し、診断部14へ出力する。診断部14では、演算部15にて演算された送信部1、受信部7および送受分離部5を要因とする変調精度成分と所定の閾値を比較することにより、無線装置の状態や性能劣化、異常の有無を診断する。
【0049】
変調精度は、弱電界下においては、SNRを要因とする変調精度成分が支配的である。また、送信部1から受信部7へ入力される送信信号は、送受分離部5の漏洩電力やアンテナ6の反射電力を利用できるが、その受信部7への入力電力は、無線装置ごとに個体ばらつきを持つ。更に、無線装置の設置状況によりアンテナ6の入出力特性を示す定在波比(VSWR:Voltage Standing Wave Ratio)が変化するため、その受信部7への入力電力が変化する可能性がある。よって、無線装置ごとのバラつきや設置条件による受信部への入力電力変動に影響を受けない、送信部1、送受分離部5、受信部7のみを要因とする変調精度成分を知ることは、無線装置の状態や性能劣化、異常の有無を高精度に診断することに有用である。
【0050】
以上の構成により、電力可変部16により受信部7へ入力される電力を少なくとも2つの電力に変化させ、演算部15にて、送信部1、受信部7および送受分離部5のみを要因とする変調精度成分を演算し、所定の閾値と比較することにより、無線装置の状態や性能劣化、異常の有無を高精度に診断することができる。
【0051】
なお、ここで電力可変部16において2つの電力の減衰量を用いて、無線装置の診断を行ったが、2つには限られず2つ以上であればよい。尚、電力可変部は減衰量を自在に変化させることのできる可変アッテネータのみならず、複数の固定アッテネータを切り替えるようなものであってもよい。
【0052】
なお、ここで電力可変部16は、変調部2から受信電力増幅部8の間に配置されておれば良い。図4は、送受分離部5と受信電力増幅部8の間に配置した場合であるが、変調部2から受信電力増幅部8のいずれの要素間に配置した場合も受信部7へ入力される信号の電力を変化させることが出来る。
【0053】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3について、図を用いて説明する。
図5は、本発明の実施の形態3における無線装置の構成の一例を示すブロック図である。
以下、本発明の実施の形態3における無線装置の構成について説明する。なお、実施の形態2と同様の構成については、説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0054】
図5に示す無線装置は、実施の形態2の構成を示す図4における電力可変部16が自己診断時に行う、受信部7への入力電力を可変する機能を送信電力増幅部4で行うものである。
【0055】
次に本発明の実施の形態3における無線装置の動作について説明する。
通常動作時において、送信電力増幅部4は、送信する高周波変調信号が所望の送信電力が得られるよう電力を増幅し、送受分離部5へ出力する。診断動作時は、演算部15からの制御信号により、送信電力増幅部4の利得を少なくとも2段階に変化させることによって、図4における電力可変部16の機能を図5の送信電力増幅部4に持たせる。送信電力増幅部4の利得を変化させることは、受信部7へ入力される電力を変化させることと等しい。その他の構成要素に関しては、実施の形態2と同様に動作し、送信部1、受信部7および送受分離部5のみを要因とする変調精度成分を演算し、所定の閾値と比較する。
【0056】
以上の構成により、送信電力増幅部4が図4に示す電力可変部16の機能を有することにより、別途装置を付加することなく無線装置として必要な構成要素で、実施の形態2と同様に無線装置ごとのバラつきや設置条件による受信部への入力される電力に影響を受けない、送信部1、受信部7および送受分離部5のみを要因とする変調精度成分を得ることができ、無線装置の状態や性能劣化、異常の有無を高精度に診断することができる。
【0057】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4について、図を用いて説明する。
図6は、本発明の実施の形態4における無線装置の構成の一例を示すブロック図である。
以下、本発明の実施の形態4における無線装置の構成について説明する。なお、実施の形態2と同様の構成については、説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0058】
図に示す無線装置は、図4に示した実施の形態2の構成要素に加え、算出部13の変調精度の算出結果と、演算部15の変調精度の演算結果を用いて、受信部7へ入力された電力を算出する受信電力演算部17を備えている。
【0059】
次に本発明の実施の形態4における無線装置の動作について説明する。
無線装置の診断を行う場合について説明する。実施の形態2と同様に電力可変部16により、少なくとも2つの電力値に対して、算出部13にて算出された2つの変調精度は、診断部14と演算部15と受信電力演算部17へ出力される。演算部15で演算された送信部1、受信部7および送受分離部5のみを要因とする2つの変調精度成分は、診断部14と受信電力演算部17へ出力される。受信電力演算部17では、算出部13で算出した無線装置全体の2つの変調精度と、演算部15で演算された2つの変調精度成分、そして受信部7に入力される2つの電力値の減衰量の差(実施の形態2では、例えばB−A[dB])に基づき、受信部7へ入力された2つの電力値を演算し、診断部14へ出力する。また、電力可変部16により受信部への入力電力値の可変を行ったが、同様の機能を実施の形態3における図5のように送信電力増幅部4で行うようにしてもよい。
【0060】
受信電力演算部17の動作について説明する。前記の数(2)の通り、無線装置全体の変調精度はSNRと送信部1と受信部7と送受分離部5を要因とする各々の変調精度成分により決定される。そのため、2つの電力値における無線装置全体の変調精度と、送信部1、受信部7および送受分離部5のみを要因とする変調精度成分、そして2つの電力値の減衰量の差に基づいて、受信部7に入力される電力が求まる。よって、受信電力演算部17では、算出部13と演算部15の出力結果を用いて、受信部7へ入力される電力を演算し診断部14へ出力する。次に診断部14では、演算された受信部7への入力電力値とあらかじめ定められた受信電力の閾値や範囲と比較する事により、無線装置の状態や性能劣化、異常の有無を診断する。なお、診断部14にて用いられる受信電力の閾値や範囲は、設計上もとまる値であっても良いし、装置設置時に最初に自己診断した際の受信電力演算値に基づいて決定してもよい。また、装置設置時から定期的に自己診断をおこない、演算で求めた受信部7への入力電力をモニタして閾値を超えた場合や、所定範囲を超えた場合は診断部にて診断異常と判断するようにしてもよい。
【0061】
無線装置の故障例として、例えば、アンテナ6の接続状態異常によりアンテナ端が開放となっている場合、送信信号がアンテナ端で全反射して、受信部7への入力電力が正常時に比べ大きくなり、あらかじめ記憶されている正常時の受信電力の閾値もしくは所定範囲よりも大きくなり、診断部14にて無線装置の異常が検出される。この故障の場合、従来の自己診断方法である受信した信号の電力レベルを用いた自己診断方法でも異常検出は可能であるが、図10に示すような受信電力検出部111のような別の構成要素が必要である。
【0062】
以上の構成により、受信電力演算部17により、算出部13と演算部15の出力結果を用いて、受信部7へ入力される電力を演算し診断部14にて受信部7への入力電圧を所定の閾値および範囲と比較することで、実施の形態2における効果に加えて、無線装置の状態や性能劣化、異常の有無をより高精度に診断することができる。
【0063】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5について、図を用いて説明する。
図7は、本発明の実施の形態5における無線装置の構成の一例を示すブロック図である。
以下、本発明の実施の形態5における無線装置の構成および動作について説明する。なお、実施の形態2と同様の構成および動作については、説明を省略し、異なる構成および動作についてのみ説明する。
【0064】
実施の形態2の説明では、図4に示すようにアンテナ6が送信と受信の両方を行う送受信アンテナとして説明をおこなったが、図7に示すように送信用アンテナ6A、受信用アンテナ6Bというように送信用と受信用のアンテナをそれぞれ備えていてもよい。この構成により、図5に示す送受信信号の分離を行う送受分離部5が不要となる。上記以外の構成は、図4と同様のため説明は省略する。
【0065】
次に本発明の実施形態5における無線装置の動作について説明する。
無線装置の自己診断を行う場合について説明する。送信用アンテナ6Aから送信される送信電力信号の一部を受信アンテナ6Bで受信して受信部7へ入力する。以降の処理は、実施の形態2と同様に、図7の電力可変部16の設定を少なくとも2段階に変化させることにより、少なくとも2つの送信電力に対して無線装置全体の変調精度(電力可変部の影響は含まず)の演算を行い、無線装置の状態や性能劣化、異常の有無を診断する。図7の構成においても図4の構成と同様の診断を行うことができる。尚、ここでは図示しないが、実施の形態1から4のいずれの無線装置の構成においても、アンテナ6の代わりに図7と同様に送信用アンテナ6Aと受信用アンテナ6Bを備えても、実施の形態3と同じように無線装置の状態や性能劣化、異常の有無を診断することができることはいうまでもない。
【0066】
以上の構成により、送受信アンテナ6(例えば、図4)の代わりに送信用アンテナ6Aと受信用アンテナ6Bを備え、電力可変部16の機能を有することにより、別途装置を付加することなく無線装置として必要な構成要素で、実施の形態3と同様に無線装置ごとのバラつきや設置条件による受信部への入力される電力に影響を受けない、送信部1、受信部7および送受分離部5のみを要因とする変調精度成分を得ることができ、無線装置の状態や性能劣化、異常の有無を高精度に診断することができる。
【0067】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6について、図を用いて説明する。
図8は、本発明の実施の形態6における無線装置の構成の一例を示すブロック図である。
以下、本発明の実施の形態6における無線装置の構成および動作について説明する。なお、実施の形態1と同様の構成および動作については、説明を省略し、異なる構成および動作についてのみ説明する。
【0068】
実施の形態1から5の説明では、送信部と受信部はそれぞれ1つという1系統の構成についてとして説明をおこなった。しかし、無線通信システムにおける基地局や移動局において、装置故障による事故や長期間の運用停止を防止するために図8に示すように送信部1A、送信部1B、受信部7A、受信部7Bというように送信部と受信部を2系統備えていてもよい。また、スイッチ22A、スイッチ22B、送受分離部5を図8に示すように接続して診断を行うことにより、異常個所をより特定することが可能となる。上記以外の構成は、図5と同様のため説明は省略する。
【0069】
次に本発明の実施形態6における無線装置の動作について説明する。
無線装置の自己診断を行う場合について説明する。送信部1Aから出力された高周波変調信号は、スイッチ22A、送受分離部5を経由してアンテナ6から送信されるが、その高周波変調信号の一部は送受分離部5からの漏れ電力やアンテナ6からの反射電力としてスイッチ22Bを経由して、受信部7Aに入力される。以降の処理は、実施の形態1と同様に、診断部14Aにおいて、算出部13Aにて算出された変調精度を所定の閾値と比較する事により、無線装置の状態や性能劣化、異常の有無を診断する。また、スイッチ22Bを切り替えることで、送信部1Aと受信部7Bの組み合わせについても、同様に診断する事が可能となる。同様にスイッチ22Aとスイッチ22Bを切り替えることにより、送信部1Bと受信部7A、送信部1Bと受信部7Bの組み合わせについて診断することが可能となる。このように送信部1Aと受信部7A、送信部1Aと受信部7B、送信部1Bと受信部7A、送信部1Bと受信部7Bの4通りの組み合わせで診断することにより、例えば受信部7Aに異常があるというように、異常個所の特定を行うことができる。なお、特定された異常個所については、スイッチ22A、スイッチ22Bの切り替えにより使用しないようにしてもよい。ここで、実施の形態2と同様に、図7の電力可変部16の設定を少なくとも2段階に変化させることにより、少なくとも2つの送信電力に対して無線装置全体の変調精度の演算を行い、送信部1、受信部7および送受分離部5のみを要因とする変調精度成分を求めて、無線装置の状態や性能劣化、異常の有無を診断する。尚、ここではスイッチに比べ比較的高価な送受分離部の個数を少なくしつつ、2系統を実現すべく図8の構成を示したが、図9に示すような2系統を構成しても同様の診断を行うことができる。また、図8および図9では、2系統の受信部それぞれに算出部や診断部を設けたが、2系統の受信部で1つの算出部と診断部を共用してもよい。
【0070】
以上の構成により、装置故障による事故や長期間の運用停止を防止するための送受信部を2系統有する構成で、変調精度を用いて自己診断を行うことにより、無線装置の状態や性能劣化、異常の有無を短時間かつ高精度に診断することができるとともに、異常個所の特定も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態1による無線装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】変調精度の説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1による無線装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態2による無線装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態3による無線装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態4による無線装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態5による無線装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態6による無線装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態6による無線装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図10】従来の自己診断機能を有する無線装置の構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0072】
1 送信部
2 変調部
3 局部発振部
4 送信電力増幅部
5 送受分離部
6 アンテナ
7 受信部
8 受信電力増幅部
9 周波数変換部
10 局部発振部
11 フィルタ
12 直交検波部
13 算出部
14 診断部
15 演算部
16 電力可変部
17 受信電力演算部
51 理想シンボル点
52 理想シンボル点のベクトル量 S(n)
53 実信号シンボル点
54 実信号シンボル点のベクトル量 Z(n)
55 エラーベクトル量 E(n)
101 テストデータ発生部
102 変調部
103 送信高周波部
104 送信出力制御部
105 出力制御量記憶部
106 スイッチ
107 アンテナ
108 受信高周波部
109 復調部
110 誤りビット判定部
111 受信電力検出部
112 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を送受信する少なくとも1つのアンテナと、
送信信号を生成する送信部と、
受信信号を受信する受信部と、
送信信号と受信信号を分離する送受分離部を備えた無線装置において、
少なくとも前記送受分離部または前記アンテナの何れかを経由して
前記送信部から送信信号を受信信号として受信部に入力し、変調精度を算出する算出部と、
前記算出部で算出された前記変調精度と所定の閾値とに基づいて無線装置の状態を診断する診断部
とを備えたことを特徴とする無線装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線装置において、前記算出部で算出する変調精度は、前記受信信号の直交検波信号から求めたことを特徴とする無線装置。
【請求項3】
請求項1に記載の無線装置において、前記算出部で算出する変調精度は、前記受信部で検波された検波信号から求めたEVM値であることを特徴とする無線装置。
【請求項4】
請求項1から3に記載の無線装置において、前記送信部から前記受信部へ印加される電力を少なくとも2つの電力に変化させる電力可変部を備え、該電力可変部で変化させた電力と、前記算出部で算出した各々の電力での変調精度により、前記送信部、前記受信部および前記送受分離部における変調精度成分を演算する演算部を備えたことを特徴とする無線装置。
【請求項5】
請求項4に記載の無線装置において、前記送信信号の増幅をおこなう送信電力増幅部を前記送信部にさらに備え、該送信電力増幅部が前記電力可変部であることを特徴とする無線装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の無線装置において、前記演算部で演算した前記変調精度成分と、前記算出部で算出した変調精度により、前記受信部へ入力された電力を演算する受信電力演算部を備え、前記受信電力演算部で求めた電力値と所定の電力値とに基づいて、無線装置の状態を診断することを特徴とする無線装置。
【請求項7】
電波を送信する少なくとも1つの送信用アンテナと、
電波を受信する少なくとも1つの受信用アンテナと、
送信信号を生成する送信部と、
受信信号を検波する受信部とを備えた無線装置において、
前記送信用アンテナから前記受信用アンテナを経由して
前記送信部からの送信信号を前記受信信号として受信部に入力し、変調精度を算出する算出部と、
前記算出部で算出された前記変調精度と所定の閾値とに基づいて無線装置の状態を診断する診断部
とを備えたことを特徴とする無線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−157866(P2010−157866A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334596(P2008−334596)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【Fターム(参考)】