説明

無線通信システム、無線端末、及び、プログラム

【課題】子機間の通話状況に応じて通信を制限できる無線通信システムを実現する。
【解決手段】親機100は、複数の周波数で変調された音声信号をそれぞれ受信する複数の親機側受信部、及び該複数の親機側受信部で受信した音声信号を単一の周波数で変調して送信する親機側送信部を備える。任意数の子機200は、親機100から送信された音声信号を受信する子機側受信部、複数の周波数から送信周波数を設定する周波数制御部、及び親機100に送信する音声信号を該周波数制御部で設定された周波数で変調して送信する子機側送信部を備える。親機100は、親機側受信部の使用状況から複数の周波数のうちの空き周波数に関する情報を検出し、その情報に対応するトーン信号を常時発生する。子機200は、上記トーン信号に基づいて通信の制限を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1台の親機と複数の子機からなり、親機を介して子機間の同時通話が可能なMCA(Multi Channel Access)無線システム等の無線通信システム、無線端末、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の無線通信システムで採用される親機は、複数の受信回路と一つの送信回路とを備え、複数の受信回路は、それぞれ異なる周波数の信号を受信する。これに対し、各子機は、一つの受信回路と、複数の周波数で送信することができる送信回路とをそれぞれ備えている。
【0003】
各子機の受信回路で復調できる周波数は、親機の送信回路の送信周波数である。子機の送信回路で送信できる周波数は、親機の各受信回路で受信できる周波数である。
複数の子機から親機にそれぞれ異なる周波数で音声信号を送信し、複数の子機からの音声信号を受信した親機は、複数の音声信号を混合して、単一の送信周波数で送信する。複数の子機からの音声信号を親機が常時中継送信し、親機が送信した音声信号を複数の子機が常時受信するので複数の子機間の同時通話が可能である。
【0004】
この種の無線通信システムで同時通話を支障なく行うためには、各子機の使用する送信周波数が重複しないようにすることが必要となる。この課題を解決するために、親機から子機に、親機の各受信部の使用状況を空きチャネル情報として送信する無線通信システムが提案されている(特許文献1)。
【0005】
一方、受信した信号内に所定の信号が含まれている場合に、子機が信号の送信を停止させるための警報制御又は送信停止制御を行う無線通信システムが提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開平9−84098号公報
【特許文献2】特開平11−88224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載される無線通信システムに特許文献2に記載されている技術を適用した場合、上記所定の信号を送信した子機は優先的に通信を行うことができる。
しかし、親機の各受信部の使用状況によって子機の通信の制限を行うことができないので、システムを運用する上で非常に非効率であった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、親機の状況に応じて子機の送信を制限する無線通信システム、無線端末、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る無線通信システムは、
互いに異なるnチャンネルの周波数で変調された被変調信号をそれぞれ受信して復調し、復調信号をそれぞれ生成するn個の親機側受信部、及び該n個の親機側受信部で生成した復調信号を混合する混合部、該混合部で混合された復調信号を単一の周波数で変調して送信する親機側送信部を備えた親機と、
前記親機から送信された被変調信号を受信して復調し、復調信号を生成する子機側受信部、該子機側受信部が生成した復調信号を出力する出力部、前記nチャンネルの周波数から送信周波数を設定する周波数制御部、及び該周波数制御部で設定された周波数で変調した被変調信号を前記親機に送信する子機側送信部を含む任意数の子機と、を備える無線通信システムであって、
前記親機は、
前記親機側受信部の使用状況から前記nチャンネルの周波数のうちの空き周波数を示す情報を検出する情報検出手段と、
前記情報検出手段が検出した前記nチャンネルの周波数のうちの空き周波数に関する情報に対応するトーン信号を常時発生するトーン信号発生手段と、を備え、
前記子機は、
前記トーン信号と被変調信号の送信可否とを対応付けたテーブルを記憶するテーブル記憶手段と、
前記トーン信号発生手段が発生したトーン信号を受信するトーン信号受信手段と、
前記トーン信号受信手段が受信したトーン信号と、前記テーブル記憶手段が記憶するテーブルとに基づいて前記子機側送信部に被変調信号を送信させるか否かの制御を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
例えば、前記制御手段は、
前記トーン信号受信手段が受信したトーン信号が、前記nチャンネルの周波数のうち全ての周波数が使用中であることを示す場合に前記子機側送信部による被変調信号の送信をさせないように制御してもよい。
【0010】
例えば、前記制御手段は、
前記トーン信号受信手段が受信したトーン信号が、前記nチャンネルの周波数のうち所定数の周波数が使用中であることを示す場合に前記子機側送信部による被変調信号の送信をさせないように制御してもよい。
【0011】
本発明の第2の観点に係る無線端末は、
互いに異なるnチャンネルの周波数で変調された被変調信号をそれぞれ受信して復調し、復調信号をそれぞれ生成するn個の親機側受信部、及び該n個の親機側受信部で生成した復調信号を混合する混合部、該混合部で混合した復調信号を単一の周波数で変調して被変調信号を送信する親機側送信部を備えた親機から送信された被変調信号を受信して復調し、復調信号を生成する被変調信号受信部、該被変調信号受信部が生成した復調信号を出力する出力部、前記nチャンネルの周波数から送信周波数を設定する周波数制御部、及び該周波数制御部で設定された周波数で変調した被変調信号を前記親機に送信する被変調信号送信部を含む無線端末であって、
前記親機より前記nチャンネルの周波数のうちの空き周波数を示す情報に対応するトーン信号を受信するトーン信号受信手段と、
前記トーン信号と被変調信号の送信可否とを対応付けたテーブルを記憶するテーブル記憶手段と、
前記トーン信号受信手段が受信したトーン信号と、前記テーブル記憶手段が記憶するテーブルとに基づいて前記被変調信号送信部に被変調信号を送信させるか否かの制御を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、
互いに異なるnチャンネルの周波数で変調された被変調信号をそれぞれ受信して復調し、復調信号を生成するn個の親機側受信部、及び該n個の親機側受信部で生成した復調信号を混合する混合部、該混合部で混合した復調信号を単一の周波数で変調して被変調信号を送信する親機側送信部を備えた親機から送信された被変調信号を受信して復調し、復調信号を生成する被変調信号受信部、該被変調信号受信部が生成した復調信号を出力する出力部、前記nチャンネルの周波数から送信周波数を設定する周波数制御部、及び該周波数制御部で設定された周波数で変調した被変調信号を前記親機に送信する被変調信号送信部を含むコンピュータを、
前記親機側受信部の前記nチャンネルの周波数のうちの空き周波数を示す情報に対応するトーン信号と、被変調信号の送信可否とを対応付けたテーブルを記憶するテーブル記憶手段、
前記被変調信号受信部が前記親機より受信した前記トーン信号と、前記テーブル記憶手段が記憶するテーブルとに基づいて前記被変調信号送信部に被変調信号を送信させるか否かの制御を行う制御手段、
として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、子機と親機とから構成される無線通信システムにおいて親機の状況に応じて子機の送信を制限できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る無線通信システム1000を説明する。無線通信システム1000は、親機を介する複数の子機の間の通話を可能にする。
【0015】
この無線通信システム1000は、図1のように、1台の親機100と複数の子機200とで構成されている。
【0016】
親機100は、図2のように、受信用アンテナ101と、受信用アンテナ101に接続された親機側受信部である例えば4個の第1の受信部111、第2の受信部112、第3の受信部113及び第4の受信部114と、音声混合部115と、制御部116と、トーン信号発生部117と、スケルチ回路118と、スピーカ119と、PTT(Push to Talk)スイッチ(PTT)120と、マイク121と、送信機側送信部である送信部122と、送信用アンテナ123と、メモリ124とを備えている。
【0017】
受信部111〜114は、受信用アンテナ101に接続され、アクティブな状態で、それぞれ異なる別の周波数F1,F2,F3,F4の変調信号を復調して音声信号を抽出する。これらの周波数F1,F2,F3,F4は、後述するように、子機200の送信周波数に対応し、各周波数F1,F2,F3,F4に付された「1」「2」「3」「4」の数字は、周波数を選択・指定する際の優先順位を示している。
【0018】
音声混合部115は、受信部111〜114に接続され、各受信部111〜114から与えられた音声信号を混合する。音声混合部115の出力側は、送信部122に接続されると共に、スケルチ回路118を介してスピーカ119に接続されている。スケルチ回路118のオープン、クローズは、制御部116によって制御される。スピーカ119は、音声混合部115から与えられた音声信号を音声として出力する。
【0019】
制御部116は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、親機100全体を制御する。
【0020】
制御部116は、PTTスイッチ120が押下されていることを検出すると、マイク121から入力された音声信号を送信部122に出力する。
制御部116は、複数の受信部が空き状態であると検出した場合、優先順位の高い受信部に与えられた周波数を選択する。
制御部116は、各受信部111〜114の使用状況及び親機100自身から子機200への送信状態から、親機100の状態が後述する6つの状態のいずれに属するかを識別し、各状態に対応するトーン信号を、トーン信号発生部117から常時発生させる。
【0021】
制御部116に、メモリ124が接続され、そのメモリ124には、図4に示すような、トーン信号の種類と各トーン信号によって指定される送信周波数との対応を示すテーブル300が記載される。
親機100は、子機200と音声通信をすることができる。
【0022】
送信部122は、音声信号及びトーン信号を単一の周波数F1で変調し、送信用アンテナ123から送信する。
【0023】
各子機200は、図3のように、アンテナ201と、該アンテナ201に接続された子機側受信部である受信部211と、トーン検出部212と、制御部213と、メモリ214と、子機側送信部である送信部215と、送信周波数設定部216と、マイク217と、スケルチ回路218と、スピーカ219と、PTTスイッチ(PTT)220とを備えている。
【0024】
受信部211は、親機100が周波数F1で送信した信号を受信して復調し、トーン検出部212に与える。
【0025】
トーン検出部212は、受信部211から与えられた信号からトーン信号をサーチし、トーン信号の種類を検出し、結果を制御部213に与える。制御部213に接続されたメモリ214には、図5に示すような、トーン信号の種類と各トーン信号によって指定される送信周波数及びスケルチの開閉とPTT操作が無効であるか有効であるかとの対応を示すテーブル400が記載されている。
【0026】
制御部213は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、子機200全体を制御する。
制御部213は、メモリ214のテーブル400に基づき、送信周波数を決定し、その決定した送信周波数を送信周波数設定部216から発生させる。
マイク217の出力側は、送信部215に接続され、音声信号を送信部215に出力する。
【0027】
制御部213は、PTTスイッチ220と接続されている。制御部213は、PTTスイッチ220の有効・無効の制御を行う。制御部213は、PTTスイッチ220が押下されているか否かを判断し、送信部215に伝える。送信部215は、PTTスイッチ220が押下されていて、且つ、PTTスイッチ220が有効であるときに、マイク217から与えられる音声信号を、送信周波数設定部216で発生している送信周波数で変調し、アンテナ201から送信する。
【0028】
受信部211の出力側は、スケルチ回路218を介してスピーカ219に接続されている。スケルチ回路218のオープン、クローズは、制御部213によって制御される。スピーカ219は、受信部211から与えられた音声信号を音声として出力する。
【0029】
以下に、親機100と子機200とが連携しながら子機200の送信を制御する方法について説明する。
【0030】
先ず、図6に示すフローチャートを参照しながら、親機100の処理を説明する。この処理は定期的に行われる。
【0031】
親機100の制御部116は、受信部111〜114のうちの親機100が現在指定している受信部が使用中でないか否かを確認する(ステップS1)。現在指定している受信部とは、現在親機100が送信しているトーン信号によって指定される受信部である。
【0032】
現在の指定受信部が非使用である場合(ステップS1:YES)、制御部116は親機の処理を終了する。
現在の指定受信部が使用中の場合(ステップS1:NO)、制御部116は受信部111が使用中でないか否かを判断する(ステップS2)。
【0033】
受信部111が使用中でない場合(ステップS2:YES)、制御部116は全受信部111〜114が使用中でないか否かを判断する(ステップS3)。全受信部111〜114が使用中でない場合(ステップS3:YES)、制御部116は、PTTスイッチ120がオフしているか否かを、判断する(ステップS4)。なお、親機100は、PTTスイッチ120がオンされている場合、マイク121で取得した音声信号を被変調信号として送信し、オフされている場合、その被変調信号の送信を行わない。
【0034】
PTTスイッチ120がオフしている場合(ステップS4:YES)、制御部116は、図4に示したイベントのうちの、PTTスイッチ120がオフで、外部からの音声信号の入力がなく、かつ全受信部111〜114が空いている状態(第1の状態)と判断し、トーン信号発生部117にトーン信号fcaを発生させる(ステップS5)。
【0035】
ステップS3の判断結果が受信部111〜114のうちの一つ以上が使用中の場合(ステップS3:NO)と、ステップS4でPTTスイッチ120がオンしている場合(ステップS4:NO)には、制御部116は、図4に示したイベントのうちの、PTTスイッチ120がオン又は外部からの音声信号の入力がありかつ全受信部111〜114が空いている状態、受信部112及び受信部114が使用中の状態、受信部113及び受信部114が使用中の状態、または、受信部112及び受信部113が使用中の状態のいずれかの状態(第2の状態)であると判断し、トーン信号発生部117にトーン信号fc1を発生させる(ステップS6)。
【0036】
ステップS2の判断結果が、受信部111が使用中の場合(ステップS2:NO)、制御部116は、受信部112が使用中でないか否かを判断する(ステップS7)。
【0037】
受信部112が使用中でない場合(ステップS7:YES)、制御部116は、図4に示したイベントのうちの、受信部111のみ使用中の状態、または受信部111と受信部113と受信部114とが使用中の状態のいずれかの状態(第3の状態)であると判断し、トーン信号発生部117にトーン信号fc2を発生させる(ステップS8)。
【0038】
ステップS7の判断結果が、受信部112が使用中の場合(ステップS7:NO)、制御部116は、受信部113が使用中でないか否かを判断する(ステップS9)。受信部113が使用中でない場合(ステップS9:YES)、制御部116は、図4に示したイベントのうちの、受信部111と受信部112とが使用中の状態、または受信部111と受信部112と受信部114とが使用中の状態のいずれかの状態(第4の状態)であると判断し、トーン信号発生部117にトーン信号fc3を発生させる(ステップS10)。
【0039】
ステップS9の判断結果が、受信部113が使用中の場合(ステップS9:NO)、制御部116は、受信部114が使用中でないか否かを判断する(ステップS11)。受信部114が使用中でない場合(ステップS11:YES)、制御部116は、図4に示したイベントのうちの、受信部111と受信部112と受信部113とが使用中の状態(第5の状態)であると判断し、トーン信号発生部117にトーン信号fc4を発生させる(ステップS12)。
【0040】
ステップS11の判断結果が、受信部114が使用中の場合(ステップS11:NO)、制御部116は、図6に示したイベントのうちの、受信部111と受信部112と受信部113と受信部114とが使用中の状態(第6の状態)と判断し、トーン信号発生部117にトーン信号fcbを発生させる(ステップS13)。
【0041】
以上の処理により、制御部116は、状態を6つに分類し、どの状態にあるかを判定し、対応するトーン信号を発生させている。
詳細には、PTTスイッチ120がオフで、かつマイク121からの音声入力がなく、すべての受信部111〜114が使用されていない状態を、第1の状態と判断し、トーン信号fcaを発生させている。
【0042】
受信部111のみが使用されていない状態、又は、受信部111を含む複数の受信部が使用されていない場合であってかつ受信部111が最も優先順位が高い状態を、第2の状態と判断し、トーン信号fc1を発生させている。
受信部112のみが使用されていない状態、又は、受信部112を含む複数の受信部が使用されていない場合であってかつ受信部112が最も優先順位が高い状態を、第3の状態と判断し、トーン信号fc2を発生させている。
受信部113のみが使用されていない状態、又は、受信部113を含む複数の受信部が使用されていない場合であってかつ受信部113が最も優先順位が高い状態を、第4の状態と判断し、トーン信号fc3を発生させている。
受信部114のみが使用されていない状態を、第5の状態と判断し、トーン信号fc4を発生させている。
さらに、全受信部111〜114が使用された状態を、第6の状態と判断し、トーン信号fcbを発生させている。
【0043】
送信部122は、音声信号が入力されている場合、音声信号とトーン信号とを混合して単一の周波数F1で変調して送信する。又、音声信号が入力されていないときには、トーン信号を単一の周波数F1で変調して送信する。よって、トーン信号は常時送出されている。
【0044】
このようにして、親機100は、四つの受信部の使用状況に応じたトーン信号を常時発生することができる。
【0045】
次に、子機200の処理について説明する。子機200は、トーン信号fcbを検出すると、PTTスイッチ220の押下を無効とし、被変調信号の送信を禁止する。以下、図7に示すフローチャートを参照しながら子機200の処理を説明する。この処理は定期的に行われる。
【0046】
子機200の制御部213は、現在設定されている送信周波数が通話中であるか否かを判断し(ステップS31)、通話中でない場合(ステップS31:NO)、現在設定されている送信周波数が、受信したトーン信号に対応しているか否かを判断する(ステップS32)。
【0047】
通話中の場合(ステップS31:YES)、及び送信周波数がトーン信号に対応している場合(ステップS32:YES)、制御部213は、処理を終了し、送信周波数の設定が変化しないようにする。
【0048】
ステップS32の判断結果が、現在設定されている送信周波数がトーン信号に対応していないとなった場合(ステップS32:NO)、制御部213は、トーン検出部212を用いてトーン信号を検出し(ステップS33)、検出したトーン信号がfcaであるか否かを判断する(ステップS34)。検出したトーン信号がfcaでない場合(ステップS34:NO)、制御部213は、その検出したトーン信号がfc1であるか否かを判断する(ステップS35)。検出したトーン信号がfc1の場合(ステップS35:YES)、制御部213は、スケルチ回路218をオープンにし(ステップS36)、PTTスイッチ220の操作を有効にし、メモリ214のテーブル400を参照して送信周波数設定部216からトーン信号に対応する送信周波数F1を発生させ、子機200の送信周波数をF1と設定する(ステップS37)。子機200は、PTTスイッチ220が押下されると、設定された送信周波数を親機100に送信し、送信してから所定期間(例えば1秒)以内に、親機100が送信するトーン信号に変化があることを確認し、送信周波数F1での接続が完了する。この確認処理は、親機100に対する通信が正常であることを確認するために行う。
【0049】
ステップS34の判断結果が、検出したトーン信号がfcaの場合(ステップS34:YES)、制御部213は、スケルチ回路218をクローズとし(ステップS38)、PTTスイッチ220の操作を有効にし、送信周波数設定部216からfcaのトーン信号に対応する送信周波数F1(図7参照)を指定して発生させ、子機200の送信周波数をF1と設定する(ステップS37)。PTTスイッチ220が押下されると、子機200は、設定された送信周波数を親機100に送信し、送信してから所定期間(例えば1秒)以内に、親機100が送信するトーン信号に変化があることを確認し、送信周波数F1での接続が完了する。
【0050】
ステップS35の判断結果が、検出したトーン信号がfc1でない場合(ステップS35:NO)、制御部213は、そのトーン信号がfc2であるか否かを判断する(ステップS39)。トーン信号がfc2の場合(ステップS39:YES)、制御部213は、スケルチ回路218をオープンにし(ステップS40)、PTTスイッチ220の操作を有効にし、送信周波数設定部216からfc2のトーン信号に対応する送信周波数F2を発生させ、子機200の送信周波数をF2と設定する(ステップS41)。PTTスイッチ220が押下されると、子機200は、設定された送信周波数を親機100に送信し、送信してから所定期間(例えば1秒)以内に、親機100が送信するトーン信号に変化があることを確認し、送信周波数F2での接続が完了する。
【0051】
ステップS39の判断結果が、検出したトーン信号がfc2でない場合(ステップS39:NO)、制御部213は、そのトーン信号がfc3であるか否かを判断する(ステップS42)。トーン信号がfc3の場合(ステップS42:YES)、制御部213は、スケルチ回路218をオープンにし(ステップS43)、PTTスイッチ220の操作を有効にし、送信周波数設定部216からfc3のトーン信号に対応する送信周波数F3を発生させ、子機200の送信周波数をF3と設定する(ステップS44)。PTTスイッチ220が押下されると、子機200は、設定された送信周波数を親機100に送信し、送信してから所定期間(例えば1秒)以内に、親機100が送信するトーン信号に変化があることを確認し、送信周波数F3での接続が完了する。
【0052】
ステップS42の判断結果が、検出したトーン信号がfc3でない場合(ステップS42:NO)、制御部213は、そのトーン信号がfc4であるか否かを判断する(ステップS45)。トーン信号がfc4の場合(ステップS45:YES)、制御部213は、スケルチ回路218をオープンにし(ステップS46)、PTTスイッチ220の操作を有効にし、送信周波数設定部216からfc4のトーン信号に対応する送信周波数F4を発生させ、子機200の送信周波数をF4と設定する(ステップS47)。PTTスイッチ220が押下されると、子機200は、設定された送信周波数を親機100に送信し、送信してから所定期間(例えば1秒)以内に、親機100が送信するトーン信号に変化があることを確認し、送信周波数F4での接続が完了する。
【0053】
ステップS45の判断結果が、検出したトーン信号がfc4でない場合(ステップS45:NO)、制御部213は、そのトーン信号がfcbであるか否かを判断する(ステップS48)。トーン信号がfcbの場合(ステップS48:YES)、制御部213は、スケルチ回路218をオープンにし(ステップS49)、PTTスイッチ220の操作を無効にし、送信周波数設定部216からの送信周波数を無効にする(ステップS50)。
【0054】
ステップS48の判断結果が、検出したトーン信号がfcbでない場合(ステップS48:NO)、制御部213は、スケルチ回路218をクローズにして(ステップS51)、処理を終了する。
【0055】
このようにして、子機200は、親機100より受信したトーン信号に基づいて、四つの親機側受信部の使用状況を判別し、判別結果に応じて通信の制限を行うことができる。
【0056】
以上のように、本実施形態では、受信部111〜114の使用状況から送信周波数F1〜F4の空き状態が検出され、対応する情報としてのトーン信号fc1〜fc4,fca,fcbが、子機200側に送信される。子機200は、トーン信号fc1〜fc4,fca,fcbの種類に応じて、送信周波数F1〜F4の種類を設定できる。よって、符号化回路及び復号化器を親機100や子機200に設けなくても、支障なく同時通話が可能になる。又、親機100の受信部111〜114の数と子機200の数が一致しなくてもよく、親機100の配下の子機200を増加させることができる。又、子機200は、トーン信号fc1〜fc4,fca,fcbの種類に応じて、通信の制限を行うことができる。
【0057】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、受信部111〜114の数は4に限定されず、さらに増加してもよい。
【0058】
上記実施形態では、親機100の全受信部が使用状態にあるときに、子機200は、被変調信号の送信を行わないようにしたが、親機100の使用状態にある受信部の数が所定数になったときに、子機200は、被変調信号の送信を行わないようにしてもよい。
【0059】
また、具体的な細部構造等についても適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信システムの構成図である。
【図2】図1中の親機を示す構成図である。
【図3】図1中の子機を示す構成図である。
【図4】親機がメモリに格納する受信部の使用状況に対応するトーン信号を示すテーブルである。
【図5】子機がメモリに格納するトーン信号と設定する送信周波数とスケルチの開閉とPTTスイッチの無効・有効との関係を示すテーブルである。
【図6】親機の処理を示すフローチャートである。
【図7】子機の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
100 親機
111〜114 受信部
115 音声混合部
116 制御部
117 トーン信号発生部
120 PTTスイッチ
121 マイク
122 送信部
200 子機
211 受信部
212 トーン検出部
213 制御部
214 メモリ
215 送信部
216 送信周波数設定部
217 マイク
220 PTTスイッチ
300 テーブル
400 テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なるnチャンネルの周波数で変調された被変調信号をそれぞれ受信して復調し、復調信号をそれぞれ生成するn個の親機側受信部、及び該n個の親機側受信部で生成した復調信号を混合する混合部、該混合部で混合された復調信号を単一の周波数で変調して送信する親機側送信部を備えた親機と、
前記親機から送信された被変調信号を受信して復調し、復調信号を生成する子機側受信部、該子機側受信部が生成した復調信号を出力する出力部、前記nチャンネルの周波数から送信周波数を設定する周波数制御部、及び該周波数制御部で設定された周波数で変調した被変調信号を前記親機に送信する子機側送信部を含む任意数の子機と、を備える無線通信システムであって、
前記親機は、
前記親機側受信部の使用状況から前記nチャンネルの周波数のうちの空き周波数を示す情報を検出する情報検出手段と、
前記情報検出手段が検出した前記nチャンネルの周波数のうちの空き周波数に関する情報に対応するトーン信号を常時発生するトーン信号発生手段と、を備え、
前記子機は、
前記トーン信号と被変調信号の送信可否とを対応付けたテーブルを記憶するテーブル記憶手段と、
前記トーン信号発生手段が発生したトーン信号を受信するトーン信号受信手段と、
前記トーン信号受信手段が受信したトーン信号と、前記テーブル記憶手段が記憶するテーブルとに基づいて前記子機側送信部に被変調信号を送信させるか否かの制御を行う制御手段と、を備える、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記トーン信号受信手段が受信したトーン信号が、前記nチャンネルの周波数のうち全ての周波数が使用中であることを示す場合に前記子機側送信部による被変調信号の送信をさせないように制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記トーン信号受信手段が受信したトーン信号が、前記nチャンネルの周波数のうち所定数の周波数が使用中であることを示す場合に前記子機側送信部による被変調信号の送信をさせないように制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
互いに異なるnチャンネルの周波数で変調された被変調信号をそれぞれ受信して復調し、復調信号をそれぞれ生成するn個の親機側受信部、及び該n個の親機側受信部で生成した復調信号を混合する混合部、該混合部で混合した復調信号を単一の周波数で変調して被変調信号を送信する親機側送信部を備えた親機から送信された被変調信号を受信して復調し、復調信号を生成する被変調信号受信部、該被変調信号受信部が生成した復調信号を出力する出力部、前記nチャンネルの周波数から送信周波数を設定する周波数制御部、及び該周波数制御部で設定された周波数で変調した被変調信号を前記親機に送信する被変調信号送信部を含む無線端末であって、
前記親機より前記nチャンネルの周波数のうちの空き周波数を示す情報に対応するトーン信号を受信するトーン信号受信手段と、
前記トーン信号と被変調信号の送信可否とを対応付けたテーブルを記憶するテーブル記憶手段と、
前記トーン信号受信手段が受信したトーン信号と、前記テーブル記憶手段が記憶するテーブルとに基づいて前記被変調信号送信部に被変調信号を送信させるか否かの制御を行う制御手段と、を備える、
ことを特徴とする無線端末。
【請求項5】
互いに異なるnチャンネルの周波数で変調された被変調信号をそれぞれ受信して復調し、復調信号を生成するn個の親機側受信部、及び該n個の親機側受信部で生成した復調信号を混合する混合部、該混合部で混合した復調信号を単一の周波数で変調して被変調信号を送信する親機側送信部を備えた親機から送信された被変調信号を受信して復調し、復調信号を生成する被変調信号受信部、該被変調信号受信部が生成した復調信号を出力する出力部、前記nチャンネルの周波数から送信周波数を設定する周波数制御部、及び該周波数制御部で設定された周波数で変調した被変調信号を前記親機に送信する被変調信号送信部を含むコンピュータを、
前記親機側受信部の前記nチャンネルの周波数のうちの空き周波数を示す情報に対応するトーン信号と、被変調信号の送信可否とを対応付けたテーブルを記憶するテーブル記憶手段、
前記被変調信号受信部が前記親機より受信した前記トーン信号と、前記テーブル記憶手段が記憶するテーブルとに基づいて前記被変調信号送信部に被変調信号を送信させるか否かの制御を行う制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−33363(P2009−33363A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−193775(P2007−193775)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(000100746)アイコム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】