説明

無線通信システム、無線通信端末及び無線通信方法

【課題】無線通信端末の消費電力を削減すること。
【解決手段】無線通信システムは、送信部1、受信部2、第1の管理部3及び第2の管理部4を備える。送信部1は、無線通信端末が在圏するセルの周辺のセルに関する情報を送信する。受信部2は、送信部1から送信されてきた周辺のセルに関する情報を受信する。第1の管理部3は、受信部2で受信した周辺のセルに関する情報に含まれているセル毎に、遷移先として選択されなかった回数を管理する。第2の管理部4は、各セルの遷移先として選択されなかった回数に基づいて、各セルの遷移先候補としてのランクを管理し、ランクに基づいて遷移先のセルを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線通信システム、無線通信端末及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信システムにおけるハンドオーバ技術に関し、無線通信端末から受信した最良品質セル報告に係るセルへのハンドオーバの可否を決定し、ハンドオーバを受け入れることができない周辺セルに関する情報を移動局へ送信する基地局がある。また、無線通信端末のセル探索技術に関し、隣接セルの信号強度を測定し、その信号強度が基準値よりも大きい隣接セルのみを探索する方法や、既知の移動経路を移動中に移動経路情報の現在位置に対応する待ち受け候補セルを対象としてセルを探索する方法がある。また、無線通信端末のセル選択技術に関し、一定時間内におけるセルリセレクション回数やセルリセレクション回数が一定値に達するまでの所要時間を閾値と比較して、移行先セルを選択する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−200634号公報
【特許文献2】特表2005−505983号公報
【特許文献3】国際公開第2008/001452号
【特許文献4】特開2007−228242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のハンドオーバ技術では、通信中のハンドオーバ先となるセルを基地局が選択するため、無線通信端末が、周辺のセルの中から遷移先の候補となるセルを選択することはできない。また、従来のセル探索技術やセル選択技術では、無線通信端末の移動方向に関係なく、遷移先の候補となる確率が低いセルに対しても電波強度や通信品質の測定を行うため、セルの探索に時間がかかるという問題点や無線通信端末の消費電力が多いという問題点がある。
【0005】
無線通信端末の消費電力を削減することができる無線通信システム、無線通信端末及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この無線通信システムは、送信部、受信部、第1の管理部及び第2の管理部を備える。送信部は、無線通信端末が在圏するセルの周辺のセルに関する情報を送信する。受信部は、送信部から送信されてきた周辺のセルに関する情報を受信する。第1の管理部は、受信部で受信した周辺のセルに関する情報に含まれているセル毎に、遷移先として選択されなかった回数を管理する。第2の管理部は、各セルの遷移先として選択されなかった回数に基づいて、各セルの遷移先候補としてのランクを管理し、ランクに基づいて遷移先のセルを選択する。
【発明の効果】
【0007】
この無線通信システム、無線通信端末及び無線通信方法によれば、無線通信端末の消費電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、実施例1にかかる無線通信システムを示すブロック図である。
【図2】図2は、実施例1にかかる無線通信方法を示すフローチャートである。
【図3】図3は、実施例2にかかる無線通信端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、実施例2にかかる無線通信端末の機能的構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、無線通信端末の移動経路の一例を示す模式図である。
【図6】図6は、実施例2にかかる測定非対象セルリストの一例を示す図表である。
【図7】図7は、実施例2にかかる測定非対象セルリストの一例を示す図表である。
【図8】図8は、実施例2にかかる測定非対象セルリストの一例を示す図表である。
【図9】図9は、実施例2にかかる無線通信端末の動作を示すフローチャートである。
【図10】図10は、実施例2にかかる無線通信システムにおけるセル遷移時の手順を示すシーケンスである。
【図11】図11は、実施例2にかかる無線通信システムにおけるセル遷移時の手順を示すシーケンスである。
【図12】図12は、実施例2にかかる無線通信システムにおけるセル遷移時の手順を示すシーケンスである。
【図13】図13は、実施例2にかかる無線通信方法におけるセル選択優先度判定処理を示すフローチャートである。
【図14】図14は、実施例2にかかる無線通信方法における測定非対象セルリスト更新処理を示すフローチャートである。
【図15】図15は、実施例2にかかる無線通信方法における測定非対象セルリスト更新処理を示すフローチャートである。
【図16】図16は、実施例2にかかる無線通信方法における測定非対象セル判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、この無線通信システム、無線通信端末及び無線通信方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。無線通信システム、無線通信端末及び無線通信方法は、無線通信端末において、在圏するセルの周辺のセル毎に遷移先として選択されなかった回数を管理し、その回数に基づいて遷移先候補のランクを管理し、そのランクに基づいて遷移先のセルを選択するものである。以下の各実施例の説明においては、同様の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0010】
(実施例1)
・無線通信システムの説明
図1は、実施例1にかかる無線通信システムを示すブロック図である。図1に示すように、無線通信システムは、送信部1、受信部2、第1の管理部3及び第2の管理部4を備える。送信部1は、送信側の無線通信装置に含まれる。受信部2、第1の管理部3及び第2の管理部4は、受信側の無線通信端末に含まれる。
【0011】
送信部1は、無線通信端末が在圏するセルの周辺のセルに関する情報を送信する。受信部2は、送信部1から送信されてきた周辺のセルに関する情報を受信する。第1の管理部3は、受信部2で受信した周辺のセルに関する情報に含まれているセル毎に、遷移先として選択されなかった回数を管理する。第2の管理部4は、各セルの遷移先として選択されなかった回数に基づいて、各セルの遷移先候補としてのランクを管理し、ランクに基づいて遷移先のセルを選択する。
【0012】
・無線通信方法の説明
図2は、実施例1にかかる無線通信方法を示すフローチャートである。無線通信端末は、待ち受け中、または音声もしくはデータの通信中にセルの選択(セルセレクション)またはセルの選択のし直し(セルリセレクション)の処理を行う。
【0013】
図2に示すように、無線通信端末は、セルの選択またはセルの選択のし直しの処理を開始すると、送信側の無線通信装置から送信されてきた情報を受信部2により受信し、自端末が在圏するセルの周辺のセルに関する情報を取得する(ステップS1)。周辺のセルに関する情報には、例えば周辺の基地局の識別子が含まれていてもよい。周辺のセルに関する情報の一例として、例えば3GPP(Third Generation Partnership Project)ではネイバーセルリスト(ネイバーリスト)が挙げられる。そして、無線通信端末は、第1の管理部3により、周辺のセルに関する情報に含まれているセル毎に、遷移先として選択されなかった回数を管理する(ステップS2)。
【0014】
また、無線通信端末は、第2の管理部4により、各セルの、遷移先として選択されなかった回数に基づいて、各セルの遷移先候補としてのランクを管理する(ステップS3)。そして、無線通信端末は、第2の管理部4により、各セルの遷移先候補としてのランクに基づいて遷移先のセルを選択し(ステップS4)、一連の処理を終了する。
【0015】
実施例1によれば、無線通信端末は、待ち受け中またはハンドオーバの際に、例えば過去に遷移先として選択されなかった回数の多いセルを遷移先の候補から除外したり、遷移先に選択する際の優先度を下げたりすることができる。従って、無線通信端末は、遷移先となる確率の低いセルに対する電波強度や通信品質の測定を省略することができるので、セルの探索に要する時間を短縮したり、消費電力を削減することができる。
【0016】
(実施例2)
実施例2は、実施例1にかかる無線通信システム、無線通信端末及び無線通信方法を、例えば携帯電話システムに適用したものである。携帯電話システムにおいて、受信側の無線通信端末の一例として、例えば携帯電話機が挙げられる。送信側の無線通信装置の一例として、例えば基地局が挙げられる。
【0017】
・無線通信端末のハードウェア構成の説明
図3は、実施例2にかかる無線通信端末のハードウェア構成を示すブロック図である。図3に示すように、無線通信端末11は、アンテナ12、受信部の一例として例えば無線送受信処理を行うRF(Radio Frequency、無線周波数)チップ13、ベースバンド処理を行うベースバンドチップ14、及びアプリケーションを実行するアプリケーションチップ15を備えている。ベースバンドチップ14には、例えば入力用のキーや出力用の表示パネルなどのペリフェラル(周辺装置)16、及びメモリ17が接続されている。
【0018】
・無線通信端末の機能的構成の説明
図4は、実施例2にかかる無線通信端末の機能的構成を示すブロック図である。図4に示すように、無線通信端末11は、第1の管理部の一例として例えばカウンタ管理部25を備えており、第2の管理部の一例として例えば測定制御部23及び測定非対象管理部24を備えている。また、無線通信端末11は、タイマ制御部21、記憶装置22、セル選択制御部26、セル受信強度測定部27、SIB(System Information Block、システム情報ブロック)受信制御部28及び無線通信インタフェース制御部29を備えている。
【0019】
測定制御部23は、基地局との無線通信状態、例えば電波強度や通信品質などを測定する際の制御を行う。測定制御部23は、無線通信状態の測定結果に基づいて、セルの選択またはセルの選択のし直しをする際の候補となるセルのランクを管理する。測定制御部23は、管理しているセルに対して、セルの選択またはセルの選択のし直しをする際の基準に基づいて、セルの選択またはセルの選択のし直しを実行するか否かを判断する。
【0020】
カウンタ管理部25は、測定非対象セルリストを作成し、管理し、更新し、破棄する。カウンタ管理部25は、遷移先のセルが確定した後、遷移前に自端末が在圏するセルに対する測定非対象セルリスト、及び遷移後に自端末が在圏するセルに対する測定非対象セルリストの更新及び管理を行う。
【0021】
測定非対象セルリストには、無線通信端末11が在圏するセルの周辺のセル毎に、過去に遷移先として選択されなかった回数が例えばカウンタによりカウントされている。無線通信端末11は、測定非対象セルリストによって、自端末が在圏するセルの周辺のセル毎に、過去に遷移先として選択されなかった回数を知ることができる。測定非対象セルリストについては、後述する。
【0022】
測定非対象管理部24は、在圏するセルにおいてセルの選択またはセルの選択のし直しをするイベントが発生すると、在圏するセルに対する測定非対象セルリストに基づいて、遷移先の候補であるセルに対して、優先度を下げる判断や、無線通信状態の測定対象から除外する判断を行う。
【0023】
セル選択制御部26は、遷移先のセルに対するキャンプオン試行手順の全般を制御する。キャンプオン試行手順には、例えば報知情報の取得や報知情報に基づいたセルサーチなどが含まれる。
【0024】
セル受信強度測定部27は、測定制御部23からの要求に基づいて、無線通信状態の測定の開始及び停止を無線通信インタフェース制御部29に要求する。セル受信強度測定部27は、例えば、3GPPにおけるL3フィルタリングやモビリティステート判定などと同様の機能を備えている。
【0025】
SIB受信制御部28は、セル選択制御部26からの要求に基づいて、報知情報の取得手順の全般を制御する。報知情報には、遷移先候補となるセルのランキングリストにおいて優先度を下げる際に用いられる閾値Nlow_pri、及び無線通信状態の測定を行わない対象(測定非対象)とみなす際に用いられる閾値Nnon_meaが含まれている。SIB受信制御部28は、報知情報から取得したNnon_mea及び閾値Nlow_priの各閾値をセル選択制御部26に展開する。
【0026】
記憶装置22は、各機能ブロック23〜29で扱うデータを管理する。記憶装置22には、各セルに対する測定非対象セルリストが記憶される。タイマ制御部21は、各機能ブロック23〜29で使用されるタイマ制御機能を提供する。無線通信インタフェース制御部29は、無線通信インタフェースを制御する。図4に示す各機能ブロック23〜29は、ベースバンドチップ14において、ハードウェアによって実現されていてもよいし、プロセッサがソフトウェアを実行することにより実現されてもよい。
【0027】
・測定非対象セルリストの一例
図5は、無線通信端末の移動経路の一例を示す模式図である。例えば図5に矢印で示すように、セルB2に在圏する無線通信端末11がセルB2からセルB3へ移動し、さらにセルB3からセルC3へ移動したとする。
【0028】
図6は、無線通信端末11がセルB2に在圏しているときの測定非対象セルリストの一例である。セルB2には、A1、A2、A3、B1、B3、C1、C2及びC3の各セルが隣接している。図6に示す例では、B2に在圏する無線通信端末11が過去にセルA1を選択しなかった回数は2回である。同様に、A2、A3、B1、B3、C1、C2及びC3の各セルの過去に選択されなかった回数は、それぞれ3回、1回、3回、1回、3回、2回及び2回である。
【0029】
セルB3が遷移先に確定すると、カウンタ管理部25により、セルB2に対する測定非対象セルリスト31において、セルB3の過去に選択されなかった回数は初期値、例えばゼロにクリアされる。また、カウンタ管理部25により、セルB2に対する測定非対象セルリスト31において、遷移先に選択されなかったA1、A2、A3、B1、C1、C2及びC3の各セルの過去に選択されなかった回数は、それぞれ例えば1だけカウントアップされる。
【0030】
図7は、無線通信端末11がセルB3に在圏しているときの測定非対象セルリストの一例である。セルB3には、A2、A3、A4、B2、B4、C2、C3及びC4の各セルが隣接しており、図7に示す例では、B3に在圏する無線通信端末11によって過去に選択されなかった回数は、それぞれ2回、2回、・・・である。セルC3が遷移先に確定しすると、カウンタ管理部25により、セルB3に対する測定非対象セルリスト32において、過去に選択されなかった回数は、セルC3については初期値にクリアされ、その他のセルについてはカウントアップされる。
【0031】
図8は、無線通信端末11がセルC3に在圏しているときの測定非対象セルリストの一例である。セルC3には、B2、B3、B4、C2、C4、D2、D3及びD4の各セルが隣接しており、図8に示す例では、C3に在圏する無線通信端末11によって過去に選択されなかった回数は、それぞれ4回、5回、9回、・・・である。
【0032】
ここで、無線通信端末11は、閾値Nlow_pri及び閾値Nnon_meaを保持している。閾値Nlow_priが例えば4である場合、例えばセルC3に対する測定非対象セルリスト33において、B2及びB3の各セルの過去に選択されなかった回数が閾値Nlow_pri以上である。従って、測定非対象管理部24により、B2及びB3の各セルについては、遷移先候補となるセルのランキングリストで優先度が下がる。
【0033】
また、閾値Nnon_meaが例えば9である場合、例えばセルC3に対する測定非対象セルリスト33において、B4、C2及びD4の各セルの過去に選択されなかった回数が閾値Nnon_mea以上である。従って、測定非対象管理部24により、B4、C2及びD4の各セルは、無線通信状態の測定対象から除外される。図8に示す例では、B4、C2及びD4の各セルについては、無線通信状態の測定が行われず、B2及びB3の各セルについては、遷移先として選択される優先度が下がるので、C4、D2及びD3の各セルが優先的に遷移先のセルとして選択されることになる。
【0034】
閾値Nlow_pri及び閾値Nnon_meaは、セル配置や隣接セル数に応じて、セル単位に特有である。閾値Nlow_pri及び閾値Nnon_meaは、基地局からシステム情報として各無線通信端末11へブロードキャストされる。各セルに対する測定非対象セルリストは、当該セルが無線通信端末11の在圏セルとなるたびに更新され、当該セルの隣接セルの過去に選択されなかった回数が蓄積されていく。なお、遷移先のセルには、無線通信端末11の待ち受け中に遷移する先のセルが含まれていてもよいし、無線通信端末11がハンドオーバによって遷移する先のセルが含まれていてもよい。
【0035】
無線通信端末11が在圏したセルに対する測定非対象セルリストが作成されていない場合、カウンタ管理部25により、新たに当該セルに対する測定非対象セルリストが作成される。新たに作成された測定非対象セルリストにおいては、当該セルに隣接する全てのセルの過去に選択されなかった回数は初期値とされる。
【0036】
無線通信端末11が圏外に遷移した場合、最後に在圏していたセルに対する測定非対象セルリストにおいて、カウンタ管理部25により、当該セルに隣接する全てのセルの過去に選択されなかった回数が初期値にクリアされてもよい。例えば図5に示す例で、セルC3に在圏する無線通信端末11が圏外に遷移した場合、図8に示す測定非対象セルリストは、B2、B3、B4、C2、C4、D2、D3及びD4の各セルの過去に選択されなかった回数が初期値にクリアされてもよい。
【0037】
各セルに対する測定非対象セルリストは、測定非対象セルリスト毎に、タイマ制御部21により、最後に更新されたタイムスタンプが管理されていてもよい。そして、カウンタ管理部25により、更新がある一定期間滞っている測定非対象セルリストは、破棄されてもよい。あるセルに対する測定非対象セルリストが破棄されるまでの間、無線通信端末11が当該セルに再度在圏すると、保持されている測定非対象セルリストが再利用される。
【0038】
・セルにキャンプオンしてから他のセルへ遷移するまでの無線通信端末の動作
図9は、実施例2にかかる無線通信端末の動作を示すフローチャートである。図9に示すように、無線通信端末11は、あるセルにキャンプオンした後、それまでに在圏していたセルに対する測定非対象セルリストにおいて、新たに在圏したセルの過去に選択されなかった回数(カウンタの値)を初期値、例えばゼロにクリアする(ステップS11)。
【0039】
そして、無線通信端末11は、新たに在圏したセルに対する測定非対象セルリストを参照する(ステップS12)。無線通信端末11は、参照した測定非対象セルリストにおいて閾値Nnon_meaを満たすセルがある場合には(ステップS13:Yes)、閾値Nnon_meaを満たすセルを無線通信状態の測定対象から除外する(ステップS14)。
【0040】
閾値Nnon_meaを満たすセルでは、過去に遷移先に選択されなかった回数が閾値Nnon_mea以上となっている。一方、測定非対象セルリストにおいて閾値Nnon_meaを満たすセルがない場合には(ステップS13:No)、ステップS14は省略される。そして、無線通信端末11は、測定対象の隣接セルに対して無線通信状態を測定する(ステップS15)。
【0041】
次いで、無線通信端末11は、自局セル(サービングセル)に対する測定非対象セルリストを参照する(ステップS16)。無線通信端末11は、参照した測定非対象セルリストにおいて閾値Nlow_priを満たすセルがある場合には(ステップS17:Yes)、遷移先候補となるセルのランキングリストにおいて、閾値Nlow_priを満たすセルの優先度を下げる(ステップS18)。
【0042】
閾値Nlow_priを満たすセルでは、過去に遷移先に選択されなかった回数が閾値Nlow_pri以上となっている。一方、測定非対象セルリストにおいて閾値Nlow_priを満たすセルがない場合には(ステップS17:No)、ステップS18は省略される。そして、無線通信端末11は、遷移先候補となるセルのランキングリストに基づいて、遷移先のセルを判定する(ステップS19)。また、無線通信端末11は、自局セルに対する測定非対象セルリストにおいて、遷移先と判定されたセル以外の隣接セルの過去に選択されなかった回数(カウンタの値)をカウントアップする(ステップS20)。そして、無線通信端末11は、ステップS19で遷移先と判定したセルに遷移する。
【0043】
・他のセルへ遷移する際のシーケンス
図10は、実施例2にかかる無線通信システムにおけるセル遷移時の手順を示すシーケンスである。図11は、図10の続きを示す図であり、図12は、図11の続きを示す図である。ここでは、無線通信端末11がセルB2にキャンプオンし、セルB3へ遷移する場合を例にして説明する。
【0044】
図10に示すように、無線通信端末11がセルB2にキャンプオンした後、無線通信インタフェース制御部29は、無線通信状態を測定し、セル受信強度測定部27へ例えば電波強度や通信品質などを通知する(ステップS31)。セル受信強度測定部27は、セル選択制御部26及び測定制御部23へ、自局セルB2の測定結果及び自局セルB2に隣接するセルの測定結果を通知する(ステップS32)。
【0045】
測定制御部23は、自局セルB2の測定結果及び自局セルB2に隣接するセルの測定結果に基づいて、測定結果ランキング処理を行う(ステップS33)。測定結果ランキング処理により、遷移先の候補となるセルが例えば電波強度や通信品質の良い順にランク付け(ランキング)され、管理される。測定結果ランキング処理の一例として、例えば3GPP(36.304(LTE:Long Term Evolution)、25.304(UMTS:Universal Mobile Telecommunications System)など)に準拠した制御内容の処理が挙げられる。
【0046】
次いで、測定制御部23は、例えば3GPPに準拠した判定内容により自局セルB2の電波強度の低下や通信品質の劣化、及び自局セルB2に隣接するセルの電波強度や通信品質の向上などを判断し、セルの選択のし直しを開始するか否か判定する。ここでは、セルの選択のし直しを開始すると判定したとして説明を続ける。つまり、セルリセレクションイベントが発生する。
【0047】
次いで、測定制御部23は、測定非対象管理部24へ自局セルB2についてのセル選択時の優先度の問合せ要求を発行し、自局セルB2に隣接するセルが優先度を下げる条件を満たすか否かの問い合わせを行う(ステップS35)。測定非対象管理部24は、セル選択時の優先度の問合せ要求を受信すると、記憶装置22から閾値リスト(閾値Nlow_pri、閾値Nnon_mea)及び測定非対象セルリストを読み出し(ステップS36、ステップS37)、セル選択優先度の判定処理を行う(ステップS34)。
【0048】
測定非対象管理部24は、セル選択優先度の判定処理の終了後、セル選択時の優先度の問合せ要求に対する応答を発行して測定制御部23に優先度の低い隣接セルを通知する(ステップS38)。セル選択優先度の判定処理については、後述する。
【0049】
測定制御部23は、セル選択時の優先度の問合せ要求に対する応答によって通知された低優先の隣接セルを、遷移先の候補となるセルのランキングにおいて優先度の低いセルとして扱う。例えば測定制御部23は、通知された低優先の隣接セルを、管理しているランキングのリストにおいて、最下位にシフトさせてもよい。
【0050】
そして、測定制御部23は、管理しているランキングのリストにおいて最優先(最上位)のセルを遷移先のセルとして決定し(ステップS39)、図11に示すように、セル選択制御部26へリセレクション発生通知を発行する(ステップS40)。図10に示す例では、遷移先のセルはB3のセルである。
【0051】
セル選択制御部26は、遷移先のセルをB3としたセルリセレクション発生通知を受信すると、SIB受信制御部28へセルB3の報知情報(System Information)の受信開始を指示する(ステップS41)。SIB受信制御部28は、セルB3の報知情報の受信開始指示を受信すると、無線通信インタフェース制御部29に対して報知情報の受信制御を行う(ステップS42)。
【0052】
無線通信インタフェース制御部29は、セルB3の基地局からブロードキャストされる報知情報を受信してSIB受信制御部28へ通知する(ステップS43)。セルB3の報知情報には、セルB3に対する閾値リスト(閾値Nlow_pri、閾値Nnon_mea)及びセルB3に隣接するセルのリストが含まれている。
【0053】
SIB受信制御部28は、セルB3の報知情報を受信すると、セル選択制御部26へ報知情報の受信開始指示に対する応答を返す(ステップS44)。セル選択制御部26は、報知情報の受信開始指示に対する応答を受信すると、遷移先のセル(ここでは、セルB3)に対してキャンプオンを試行する。
【0054】
キャンプオンの試行処理では、セル選択制御部26は、測定制御部23へ隣接セル情報を展開する通知を発行する(ステップS45)。隣接セル情報を展開する通知には、セルB3の報知情報から取得した閾値(閾値Nlow_pri、Nnon_mea)及びセルB3に隣接するセルのリストが含まれている。
【0055】
次いで、測定制御部23は、カウンタ管理部25へ隣接セル情報の展開要求を発行する(ステップS47)。隣接セル情報の展開要求には、新自局セルとしてセルB3、旧自局セルとしてセルB2、セルB3に隣接するセルのリスト、及び閾値(閾値Nlow_pri、Nnon_mea)が含まれている。
【0056】
カウンタ管理部25は、隣接セル情報の展開要求を受信すると、測定非対象セルリストの更新処理を行う(ステップS46)。測定非対象セルリストの更新処理では、記憶装置22に記憶されている閾値リスト、旧自局セルB2に対する測定非対象セルリスト及び新自局セルB3に対する測定非対象セルリストが更新される(ステップS48、ステップS49、ステップS50)。
【0057】
カウンタ管理部25は、測定非対象セルリストの更新処理の終了後、測定制御部23へ隣接セル情報の展開要求に対する応答を発行する(ステップS51)。測定非対象セルリストの更新処理については、後述する。
【0058】
測定制御部23が隣接セル情報の展開要求に対する応答を受け取り、無線通信端末11がセルB3にキャンプオンすると、測定制御部23は、測定非対象管理部24へセルB3に対する測定非対象セルリストの取得要求を発行する(ステップS53)。測定非対象管理部24は、B3に対する測定非対象セルリストの取得要求を受信すると、記憶装置22からB3に対する測定非対象セルリストを読み出し(ステップS54)、測定非対象セルの判定処理を行う(ステップS52)。
【0059】
測定非対象管理部24は、測定非対象セルの判定処理の終了後、測定制御部23へ測定非対象セルリストの取得要求に対する応答を発行する(ステップS55)。測定非対象セルリストの取得要求に対する応答には、測定非対象セルの情報が含まれている。測定非対象セルの情報には、例えば3GPPにおいて規定されている規制やCSG(Closed Subscriber Group)などの他の要因によって測定非対象となるセルの情報が含まれていてもよい。測定非対象セルの判定処理については、後述する。
【0060】
測定制御部23は、測定非対象セルリストの取得要求に対する応答を受信すると、測定非対象セルの情報に基づいて、無線通信状態の測定を行う対象となる隣接セルを確定し、測定対象セルのリストを編集する(ステップS56)。そして、測定制御部23は、セル受信強度測定部27へ無線通信状態の測定を指示する(ステップS57)。無線通信状態の測定指示には、測定対象セルのリストが含まれている。
【0061】
セル受信強度測定部27は、無線通信状態の測定指示を受信すると、無線通信インタフェース制御部29に対して各セルの無線通信状態の測定を要求し(ステップS58)、無線通信状態の測定要求に対する応答を受信する(ステップS59)。セル受信強度測定部27は、測定対象セルのリストに存在する全ての測定対象セルについて無線通信状態の測定が終了するまで(ステップS60:No)、ステップS58〜ステップS59を繰り返す。
【0062】
無線通信インタフェース制御部29は、全ての測定対象セルについて無線通信状態の測定を終了すると(ステップS60:Yes)、セル受信強度測定部27へ例えば電波強度や通信品質などを通知する(ステップS61)。セル受信強度測定部27は、セル選択制御部26及び測定制御部23へ、自局セルB3の測定結果及び自局セルB3に隣接するセルの測定結果を通知する(ステップS62)。これ以降は、自局セルをセルB3として、ステップS33以降の手順と同様である。
【0063】
・セル選択優先度の判定処理
図13は、実施例2にかかる無線通信方法におけるセル選択優先度判定処理を示すフローチャートである。図13に示すように、セル選択優先度の判定処理では、測定非対象管理部24は、セル選択時の優先度の問合せ要求を受信すると(ステップS71)、記憶装置22に記憶されている閾値リストを参照し(ステップS72)、閾値Nlow_priを読み出す。
【0064】
また、測定非対象管理部24は、セル選択時の優先度の問合せ要求で入力された自局セルをキーにして、記憶装置22に記憶されている自局セルに対する測定非対象セルリストを参照する(ステップS73)。ステップS72とステップS73とは、何れが先であってもよい。測定非対象セルリストに含まれている隣接セルの数をm(m:整数)とする。
【0065】
そして、インデックス番号i(i:整数)が例えばゼロに初期化される(ステップS74)。ステップS74は、ステップS73の前でもよいし、ステップS72の前でもよい。次いで、測定非対象管理部24は、測定非対象セルリストにある各隣接セルについて、過去に遷移先として選択されなかった回数(カウンタ値)と閾値Nlow_priとを比較する(ステップS75)。
【0066】
比較の結果、カウンタ値が閾値Nlow_pri以上である隣接セルについては(ステップS75:Yes)、測定非対象管理部24は、当該隣接セルを優先度の低い低優先セルとして検出する(ステップS76)。カウンタ値が閾値Nlow_priよりも小さい隣接セルについては(ステップS75:No)、ステップS76は省略される。
【0067】
そして、インデックス番号iがインクリメントされ(ステップS77)、測定非対象セルリストにある次の隣接セルが処理の対象となる。インデックス番号iが測定非対象セルリストに含まれている隣接セルの数mに等しくなるまで(ステップS78:No)、ステップS75〜ステップS78が繰り返される。
【0068】
インデックス番号iが測定非対象セルリストに含まれている隣接セルの数mに等しくなると(ステップS78:Yes)、測定非対象セルリストにある全ての隣接セルについて、過去に遷移先として選択されなかった回数(カウンタ値)を閾値Nlow_priと比較したことになる。従って、測定非対象管理部24は、セル選択時の優先度の問合せ要求に対する応答に、ステップS76で検出した全ての低優先セルを設定する。そして、測定非対象管理部24は、セル選択時の優先度の問合せ要求に対する応答を発行し(ステップS79)、一連の処理を終了する。
【0069】
・測定非対象セルリストの更新処理
図14は、実施例2にかかる無線通信方法における測定非対象セルリスト更新処理を示すフローチャートである。図15は、図14の続きを示す図である。測定非対象セルリストの更新処理では、まず、旧自局セルに対する測定非対象セルリスト内にある新自局セルの過去に遷移先として選択されなかった回数(カウンタ値)がクリアされる処理と、新自局セル以外のセルの過去に遷移先として選択されなかった回数(カウンタ値)がインクリメントされる処理とが実施されてもよい。
【0070】
すなわち、図14に示すように、カウンタ管理部25は、隣接セル情報の展開要求を受信すると(ステップS81)、記憶装置22から、隣接セル情報の展開要求で入力された新自局セルID(識別子)に対する閾値リストを読み出す。そして、カウンタ管理部25は、新自局セルIDに対する閾値リストを、隣接セル情報の展開要求で入力された閾値(閾値Nlow_pri、Nnon_mea)で更新する(ステップS82)。
【0071】
次いで、カウンタ管理部25は、記憶装置22に記憶されている、隣接セル情報の展開要求で入力された旧自局セルIDに対する測定非対象セルリストを参照する(ステップS83)。ステップS82とステップS83とは、何れが先であってもよい。旧自局セルIDに対する測定非対象セルリストに含まれている隣接セルの数をn(n:整数)とする。
【0072】
そして、インデックス番号iが例えばゼロに初期化される(ステップS84)。ステップS84は、ステップS83の前でもよいし、ステップS82の前でもよい。次いで、カウンタ管理部25は、旧自局セルIDに対する測定非対象セルリストにある各隣接セルのセルIDと、隣接セル情報の展開要求で入力された新自局セルのセルIDとを比較する(ステップS85)。
【0073】
比較の結果、旧自局セルIDに対する測定非対象セルリストにある隣接セルのうち、新自局セルに一致した隣接セルについては(ステップS85:Yes)、カウンタ管理部25は、当該測定非対象セルリストにおいて当該隣接セルの過去に遷移先として選択されなかった回数(カウンタ値)を例えばゼロにクリアする(ステップS86)。一方、旧自局セルIDに対する測定非対象セルリストにある隣接セルのうち、新自局セルに一致しない隣接セルについては(ステップS85:No)、カウンタ管理部25は、当該測定非対象セルリストにおいて当該隣接セルの過去に遷移先として選択されなかった回数(カウンタ値)をインクリメントする(ステップS87)。
【0074】
そして、インデックス番号iがインクリメントされ(ステップS88)、旧自局セルIDに対する測定非対象セルリストにある次の隣接セルが処理の対象となる。インデックス番号iが、旧自局セルIDに対する測定非対象セルリストに含まれている隣接セルの数nに等しくなるまで(ステップS89:No)、ステップS85〜ステップS89が繰り返される。
【0075】
インデックス番号iが、旧自局セルIDに対する測定非対象セルリストに含まれている隣接セルの数nに等しくなると(ステップS89:Yes)、旧自局セルIDに対する測定非対象セルリストにある全ての隣接セルを、隣接セル情報の展開要求で入力された新自局セルと比較したことになる。この後に続いて、報知情報で展開された未登録の隣接セルを新自局セルに対する測定非対象セルリストへ反映する処理が実施されてもよい。
【0076】
すなわち、図15に示すように、カウンタ管理部25は、記憶装置22に記憶されている、隣接セル情報の展開要求で入力された新自局セルIDに対する測定非対象セルリストを参照する(ステップS90)。新自局セルIDに対する測定非対象セルリストに含まれている隣接セルの数をp(p:整数)とする。
【0077】
そして、インデックス番号j(j:整数)が例えばゼロに初期化され、インデックス番号k(k:整数)が例えばゼロに初期化される(ステップS91)。次いで、カウンタ管理部25は、隣接セル情報の展開要求で入力された隣接セルリストにある各隣接セルのセルIDと、新自局セルに対する測定非対象セルリストのセルIDとを比較する(ステップS92)。
【0078】
比較の結果、隣接セル情報の展開要求で入力された隣接セルリストにある隣接セルが、新自局セルに対する測定非対象セルリストにある隣接セルに一致しない場合(ステップS92:No)、インデックス番号kがインクリメントされる(ステップS93)。これによって、隣接セル情報の展開要求で入力された隣接セルリストにある隣接セルの比較対象が、新自局セルに対する測定非対象セルリストにある次の隣接セルとなる。
【0079】
インデックス番号kが、新自局セルIDに対する測定非対象セルリストに含まれている隣接セルの数pに等しくなるまで(ステップS94:No)、ステップS92〜ステップS94が繰り返される。インデックス番号kが、新自局セルIDに対する測定非対象セルリストに含まれている隣接セルの数pに等しくなると(ステップS94:Yes)、新自局セルに対する測定非対象セルリストにある全ての隣接セルが比較対象とされたことになる。
【0080】
従って、カウンタ管理部25は、隣接セル情報の展開要求で入力された隣接セルリストの比較が終了した隣接セルのセルIDを、新自局セルに対する測定非対象セルリストに追加する。そして、カウンタ管理部25は、測定非対象セルリストに追加した隣接セルの過去に遷移先として選択されなかった回数(カウンタ値)を例えばゼロにクリアする(ステップS95)。一方、隣接セル情報の展開要求で入力された隣接セルリストにある隣接セルが、新自局セルに対する測定非対象セルリストにある隣接セルに一致する場合(ステップS92:Yes)、ステップS93〜ステップS95は省略される。
【0081】
次いで、インデックス番号kが例えばゼロに初期化される(ステップS96)。これによって、隣接セル情報の展開要求で入力された隣接セルリストにある隣接セルの比較対象が、新自局セルに対する測定非対象セルリストにある先頭の隣接セルになる。また、インデックス番号jがインクリメントされる(ステップS97)。これによって、隣接セル情報の展開要求で入力された隣接セルリストにある次の隣接セルが、新自局セルに対する測定非対象セルリストと比較されることになる。
【0082】
インデックス番号jが、隣接セル情報の展開要求で入力された隣接セルリストに含まれている隣接セルの数に等しくなるまで(ステップS98:No)、ステップS92〜ステップS98が繰り返される。インデックス番号jが、隣接セル情報の展開要求で入力された隣接セルリストに含まれている隣接セルの数に等しくなると(ステップS98:Yes)、隣接セル情報の展開要求で入力された隣接セルリストにある全ての隣接セルについて、新自局セルに対する測定非対象セルリストとの比較が終了したことになる。
【0083】
従って、カウンタ管理部25は、隣接セル情報の展開要求に対する応答を発行し(ステップS99)、一連の処理を終了する。
【0084】
・測定非対象セルの判定処理
図16は、実施例2にかかる無線通信方法における測定非対象セル判定処理を示すフローチャートである。図16に示すように、測定非対象セルの判定処理では、測定非対象管理部24は、測定非対象セルリストの取得要求を受信すると(ステップS101)、記憶装置22に記憶されている閾値リストを参照し(ステップS102)、閾値Nnon_meaを読み出す。
【0085】
また、測定非対象管理部24は、測定非対象セルリストの取得要求で入力された自局セルをキーにして、記憶装置22に記憶されている自局セルに対する測定非対象セルリストを参照する(ステップS103)。ステップS102とステップS103とは、何れが先であってもよい。測定非対象セルリストに含まれている隣接セルの数をm(m:整数)とする。
【0086】
そして、インデックス番号i(i:整数)が例えばゼロに初期化される(ステップS104)。ステップS104は、ステップS103の前でもよいし、ステップS102の前でもよい。次いで、測定非対象管理部24は、測定非対象セルリストにある各隣接セルについて、過去に遷移先として選択されなかった回数(カウンタ値)と閾値Nnon_meaとを比較する(ステップS105)。
【0087】
比較の結果、カウンタ値が閾値Nnon_mea以上である隣接セルについては(ステップS105:Yes)、測定非対象管理部24は、当該隣接セルを無線通信状態の測定非対象セルとして保持する(ステップS106)。カウンタ値が閾値Nnon_meaよりも小さい隣接セルについては(ステップS105:No)、ステップS106は省略される。
【0088】
そして、インデックス番号iがインクリメントされ(ステップS107)、測定非対象セルリストにある次の隣接セルが処理の対象となる。インデックス番号iが測定非対象セルリストに含まれている隣接セルの数mに等しくなるまで(ステップS108:No)、ステップS105〜ステップS108が繰り返される。
【0089】
インデックス番号iが測定非対象セルリストに含まれている隣接セルの数mに等しくなると(ステップS108:Yes)、測定非対象セルリストにある全ての隣接セルについて、過去に遷移先として選択されなかった回数(カウンタ値)を閾値Nnon_meaと比較したことになる。従って、測定非対象管理部24は、測定非対象セルリストの取得要求に対する応答に、ステップS106で保持した全ての測定非対象セルの情報を設定する。そして、測定非対象管理部24は、測定非対象セルリストの取得要求に対する応答を発行し(ステップS109)、一連の処理を終了する。
【0090】
実施例2によれば、実施例1と同様の効果が得られる。また、無線通信端末11のユーザ毎にセルの遷移先のリストが最適化されるので、無駄なセルの選択やセルの選択のし直しが行われるのを回避することができる。また、ユーザ毎に無線通信状態を測定する対象のセルの数が減るので、遷移先の候補となるセルのランクを管理する際のソート処理が軽減され、ソート処理時間が短縮されるので、遷移先セルの決定までに要する時間が短縮される。
【0091】
上述した実施例1、2に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0092】
(付記1)無線通信端末が在圏するセルの周辺のセルに関する情報を送信する送信部と、前記周辺のセルに関する情報を受信する受信部と、前記周辺のセルに関する情報に含まれているセル毎に、遷移先として選択されなかった回数を管理する第1の管理部と、各セルの前記回数に基づいて、各セルの遷移先候補としてのランクを管理する第2の管理部と、を備え、前記第2の管理部は、前記ランクに基づいて遷移先のセルを選択することを特徴とする無線通信システム。
【0093】
(付記2)前記送信部は、第1の閾値情報を送信し、前記受信部は、前記第1の閾値情報を受信し、前記第2の管理部は、前記回数が前記第1の閾値を超えるセルを遷移先候補から除外することを特徴とする付記1に記載の無線通信システム。
【0094】
(付記3)前記送信部は、第2の閾値情報を送信し、前記受信部は、前記第2の閾値情報を受信し、前記第2の管理部は、前記回数が前記第2の閾値を超えるセルの遷移先候補としての優先度を下げることを特徴とする付記1または2に記載の無線通信システム。
【0095】
(付記4)在圏するセルの周辺のセルに関する情報を受信する受信部と、前記周辺のセルに関する情報に含まれているセル毎に、遷移先として選択されなかった回数を管理する第1の管理部と、各セルの前記回数に基づいて、各セルの遷移先候補としてのランクを管理する第2の管理部と、を備え、前記第2の管理部は、前記ランクに基づいて遷移先のセルを選択することを特徴とする無線通信端末。
【0096】
(付記5)前記受信部は、第1の閾値情報を受信し、前記第2の管理部は、前記回数が前記第1の閾値を超えるセルを遷移先候補から除外することを特徴とする付記4に記載の無線通信端末。
【0097】
(付記6)前記受信部は、第2の閾値情報を受信し、前記第2の管理部は、前記回数が前記第2の閾値を超えるセルの遷移先候補としての優先度を下げることを特徴とする付記4または5に記載の無線通信端末。
【0098】
(付記7)前記第1の管理部は、遷移先として選択されなかったセルの前記回数を増やすことを特徴とする付記4〜6のいずれか一つに記載の無線通信端末。
【0099】
(付記8)前記第1の管理部は、遷移先として選択されたセルの前記回数を初期値に戻すことを特徴とする付記4〜7のいずれか一つに記載の無線通信端末。
【0100】
(付記9)無線通信端末が在圏するセルの周辺のセルに関する情報を受信し、前記周辺のセルに関する情報に含まれているセル毎に、遷移先として選択されなかった回数を管理し、各セルの前記回数に基づいて、各セルの遷移先候補としてのランクを管理し、前記ランクに基づいて遷移先のセルを選択することを特徴とする無線通信方法。
【0101】
(付記10)前記回数が第1の閾値を超えるセルを遷移先候補から除外することを特徴とする付記9に記載の無線通信方法。
【0102】
(付記11)前記回数が第2の閾値を超えるセルの遷移先候補としての優先度を下げることを特徴とする付記9または10に記載の無線通信方法。
【0103】
(付記12)遷移先として選択しなかったセルの前記回数を増やすことを特徴とする付記9〜11のいずれか一つに記載の無線通信方法。
【0104】
(付記13)遷移先として選択したセルの前記回数を初期値に戻すことを特徴とする付記9〜12のいずれか一つに記載の無線通信方法。
【符号の説明】
【0105】
1 送信部
2,13 受信部
3,25 第1の管理部
4,23,24 第2の管理部
11 無線通信端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信端末が在圏するセルの周辺のセルに関する情報を送信する送信部と、
前記周辺のセルに関する情報を受信する受信部と、
前記周辺のセルに関する情報に含まれているセル毎に、遷移先として選択されなかった回数を管理する第1の管理部と、
各セルの前記回数に基づいて、各セルの遷移先候補としてのランクを管理する第2の管理部と、
を備え、
前記第2の管理部は、前記ランクに基づいて遷移先のセルを選択することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
在圏するセルの周辺のセルに関する情報を受信する受信部と、
前記周辺のセルに関する情報に含まれているセル毎に、遷移先として選択されなかった回数を管理する第1の管理部と、
各セルの前記回数に基づいて、各セルの遷移先候補としてのランクを管理する第2の管理部と、
を備え、
前記第2の管理部は、前記ランクに基づいて遷移先のセルを選択することを特徴とする無線通信端末。
【請求項3】
前記受信部は、第1の閾値情報を受信し、
前記第2の管理部は、前記回数が前記第1の閾値を超えるセルを遷移先候補から除外することを特徴とする請求項2に記載の無線通信端末。
【請求項4】
前記受信部は、第2の閾値情報を受信し、
前記第2の管理部は、前記回数が前記第2の閾値を超えるセルの遷移先候補としての優先度を下げることを特徴とする請求項2または3に記載の無線通信端末。
【請求項5】
前記第1の管理部は、遷移先として選択されなかったセルの前記回数を増やすことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載の無線通信端末。
【請求項6】
前記第1の管理部は、遷移先として選択されたセルの前記回数を初期値に戻すことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の無線通信端末。
【請求項7】
無線通信端末が在圏するセルの周辺のセルに関する情報を受信し、
前記周辺のセルに関する情報に含まれているセル毎に、遷移先として選択されなかった回数を管理し、
各セルの前記回数に基づいて、各セルの遷移先候補としてのランクを管理し、前記ランクに基づいて遷移先のセルを選択することを特徴とする無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−21622(P2013−21622A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155246(P2011−155246)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】