説明

無線通信システム、移動局、及び無線通信方法

【課題】移動局のユーザのニーズに合った情報を提供することである。
【解決手段】NWサーバ10は、受信部11と抽出部14と通知部15とを有する。受信部11は、複数の移動局から基地局を介して送信される送信情報を、基地局IDと共に受信する。抽出部14は、送信情報と基地局IDとに基づき、複数の移動局において使用頻度の高いKWを基地局毎に抽出する。通知部15は、抽出部14により抽出されたKWを、対応する基地局IDと共に、MBMSサーバ20に通知する。MBMSサーバ20は、受信部と配信部とを有する。MBMSサーバ20の受信部は、通知部15により通知されたKWを、対応する基地局IDと共に、NWサーバ10から受信する。配信部は、KWに応じた配信情報を、上記基地局IDを有する基地局を介して、複数の移動局に配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、移動局、及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動局と基地局との間における無線通信において、MBMS(Multimedia Broadcast and Multicast Service)と呼ばれる技術が存在する。MBMSとは、動画や音楽のマルチメディアコンテンツを、携帯電話網を使って効率よく配信するための技術である。このMBMSの特徴の1つとして、マルチキャスト通信がある。マルチキャスト通信とは、基地局が、同一周波数帯を用いて複数の移動局に対して同一のデータを送信する技術であり、かかる技術は、主に動画や音楽の配信サービスへの利用が検討されている。マルチキャスト通信は、同一周波数帯を使用することで、複数の移動局に対し一括して情報を配信することができるため、一対一による通信(ユニキャスト通信)と比較して、リソースを有効活用することができるというメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−502135号公報
【特許文献2】特開平10−257100号公報
【特許文献3】特開2008−252347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マルチキャスト通信により配信される情報は、配信を行う側に依存するため、必ずしも、移動局のユーザのニーズに合った情報が配信されるとは限らない。すなわち、配信を行う事業者には、ユーザの置かれた環境や嗜好に合った情報の提供が求められるが、配信される情報が各移動局ユーザに適合した情報であるか否かについて、事業者側から常に正確に判断することは困難である。特に、移動局のユーザの様な、日時や場所によって、求められる情報が変化するユーザにとって、上述の問題点は顕著である。
【0005】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、移動局のユーザのニーズに合った情報を提供することのできる無線通信システム、移動局、及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本願の開示する無線通信システムは、一つの態様において、第1のサーバ装置と第2のサーバ装置と移動局とを有する。前記第1のサーバ装置は、受信部と抽出部と通知部とを有する。前記受信部は、複数の移動局から基地局を介して送信される送信情報を、前記基地局の識別情報と共に受信する。前記抽出部は、前記送信情報と前記識別情報とに基づき、前記複数の移動局において使用頻度の高いキーワードを前記基地局毎に抽出する。前記通信部は、前記抽出部により抽出された前記キーワードを、対応する前記基地局の識別情報と共に、前記第2のサーバ装置に通知する。前記第2のサーバ装置は、受信部と配信部とを有する。前記受信部は、前記通知部により通知されたキーワードを、対応する前記基地局の識別情報と共に、前記第1のサーバ装置から受信する。前記配信部は、前記キーワードに応じた配信情報を、前記識別情報を有する基地局を介して、前記複数の移動局に配信する。移動局は、前記第2のサーバ装置から配信された前記配信情報を、前記基地局を介して受信する受信部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示する無線通信システムの一つの態様によれば、移動局のユーザのニーズに合った情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、NWサーバの機能的構成を示す図である。
【図2】図2は、NWサーバの保持するKWリストの一例を示す図である。
【図3】図3は、NWサーバの保持するKWテーブルの一例を示す図である。
【図4】図4は、MBMSサーバ及び移動局の機能的構成を示す図である。
【図5A】図5Aは、MBMSサーバの保持する配信情報テーブルの一例を示す図である。
【図5B】図5Bは、MBMSサーバの保持する配信情報テーブルの更に別の例を示す図である。
【図6】図6は、MBMSサーバの配信する配信情報の一例を示す図である。
【図7】図7は、NWサーバのハードウェア構成を示す図である。
【図8】図8は、MBMSサーバのハードウェア構成を示す図である。
【図9】図9は、移動局のハードウェア構成を示す図である。
【図10】図10は、無線通信システムの動作を説明するための図である。
【図11A】図11Aは、無線通信システムにおいて検索が行われてから配信される情報が決定される迄の過程を説明するための図である。
【図11B】図11Bは、無線通信システムにおいて決定された情報が配信される迄の過程を説明するための図である。
【図12A】図12Aは、無線通信システムにおいて配信される情報が検索される過程を説明するための図である。
【図12B】図12Bは、無線通信システムにおいて検索された情報が配信される過程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する無線通信システム、移動局、及び無線通信方法の実施例を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示する無線通信システム、移動局、及び無線通信方法が限定されるものではない。
【0010】
まず、本願の開示する一実施例に係るNWサーバの構成を説明する。図1は、本実施例に係るNWサーバ10の機能的構成を示す図である。図1に示すように、NWサーバ10は、受信部11と、キーワード(以下、「KW」と記す。)リスト保持部12と、KWテーブル保持部13と、抽出部14と、通知部15と、検索部16と、検索DB(Data Base)17と、送信部18とを有する。これら各構成部分は、一方向又は双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。NWサーバ10は、受信部11と送信部18とにより、移動局30との間で各種情報の送受信が可能である。
【0011】
受信部11は、複数の移動局から基地局を介して送信される送信情報を、基地局IDと共に受信する。送信情報は、例えば、移動局が検索に用いたワード(以下、「検索ワード」と記す。)、Webサイト、メール、通話情報である。また、受信部11は、複数の移動局から基地局を介して送信される検索ワードを、移動局IDと共に受信する。
【0012】
KWリスト保持部12は、KWリスト12aを有する。図2は、NWサーバの保持するKWリストの一例を示す図である。このKWリスト12aは、NWサーバ10が、受信した送信情報の中からKWを抽出する際に参照するリストである。図2に示すように、KWリスト12aには、抽出部14による抽出候補となる複数のキーワードが、基地局ID毎に格納されている。例えば、基地局ID「B1」宛の配信情報を決定するためのKWとして、“ケーキ(130)”、“ギフト(240)”、“旅行(200)”等が格納されている。また、基地局ID「B2」宛の配信情報を決定するためのKWとしては、“カレー(150)”、“テレビ(67)”、“携帯電話(98)”が格納されている。NWサーバ10は、MBMSサーバ20にKWを通知する際、このKWリスト12aに予め格納されているデータを参照することで、送信情報に含まれる多数のワードの中から、ユーザ向け情報の配信に有益なKWを絞り込む。すなわち、抽出部14は、送信情報に含まれるワードと、KWリスト12aに掲載されたKWとを照合し、一致するワード(送信情報のワードの内、KWリスト12aに掲載されているワード)のみをKWとして抽出する。なお、図2では、KWリスト12aは、基地局ID毎に異なるKWを保持するものとしたが、同じKWが保持されるものとしてもよい。
【0013】
上述したように、NWサーバ10は、KWリスト12aを保持することで、送信情報の中から無条件で使用頻度の高いKWを抽出する場合と比較して、各基地局に属するユーザの環境や嗜好に適した配信情報の決定に有益なKWだけを抽出することができる。換言すれば、KWリスト12aが、KW抽出のフィルタリング機能を果たすことで、日常多用されるが配信情報の決定に不要な言葉(例えば、“お疲れ様”、“以上”)を、KWの候補の中から除去することができる。また、MBMSサーバ20は、KWに応じた数の配信情報を格納するが、KWリスト12aがKWのノイズを除去するので、配信情報の格納に必要なデータ容量が少なくて済むと共に、KWを基にした配信情報の決定も迅速となる。
【0014】
KWテーブル保持部13は、KWテーブル13aを有する。図3は、NWサーバの保持するKWテーブルの一例を示す図である。KWテーブル13aには、使用頻度の高いKWが基地局ID毎に格納される。KWは、使用頻度の高い順に随時更新可能に格納される。例えば、図3では、基地局IDが「B1」の基地局について、最も使用頻度の高いKWを表す「第1キーワード」として“ギフト”が、使用頻度が2番目に高いKWを表す「第2キーワード」として“旅行”が格納されている。同様に、基地局IDが「B2」の基地局については、最も使用頻度の高いKWを表す「第1キーワード」として“カレー”が、使用頻度が2番目に高いKWを表す「第2キーワード」として“携帯電話”が格納されている。これにより、NWサーバ10は、送信情報の受信時点において、基地局B1を経由した送信情報の中には、“ギフト”というKWが最も多く含まれ、“旅行”というKWが次に多く含まれているとの判定が可能となる。
【0015】
抽出部14は、受信部11の受信した送信情報と基地局IDとに基づき、複数の移動局において使用頻度の高いKWを基地局毎に抽出する。抽出部14は、まず、送信情報から複数のワードを抽出し、複数のワードの中から通知すべきKWを決定する。送信情報からワードを抽出する方法としては、検索ワードを直接用いる方法がある。その他の方法として、抽出部14は、移動局から送信を要求されたURL(Uniform Resource Locator)のWebサイトからワードを抽出するものとしてもよい。また、抽出部14は、移動局の送受信するメールからワードを抽出してもよい。更に、抽出部14は、移動局の通話情報からワードを抽出してもよい。抽出されたワードは、KWリスト12aによる絞込みが行われた後、使用頻度の高い順に、通知されるKWの候補としてKWテーブル13aに格納される。KWは、基地局ID毎に格納される。格納されるKW及びその順位は、使用頻度の増減に伴い、随時変更される。
【0016】
抽出部14は、KWリスト12a上に存在するKWの使用回数を基地局ID毎に所定時間カウントする。抽出部14は、所定時間における使用回数(使用頻度)が多いKWから順に、第1KW、第2KW、第3KWとして、KWテーブル13aに更新可能に格納する。抽出部14は、KWテーブル13aを参照して、抽出時点で第1KWに格納されているKWを、対応する基地局IDのKWとして抽出する。例えば、KWテーブル13aにおけるデータ格納状態が図3に示す状態にあるとき、抽出されるKWは、基地局B1については“ギフト”、基地局B2については“カレー”となる。
【0017】
なお、KWテーブル13aに保持されるKWの数は、1つの基地局IDにつき複数であってもよいのは勿論であるが、抽出部14の抽出するKWについても、1つに限らず複数であってもよい。例えば、抽出部14は、使用頻度の高い方から上位3個のKWを抽出し、配信部23は、これら3個のKWから配信情報を決定するようにしてもよい。この場合、MBMSサーバ20には、1つの基地局につき3個のKWが通知されることになるが、MBMSサーバ20は、これらのKWの組合せから配信情報を決定することで、よりユーザにマッチした配信情報の提供が可能となる。また、配信部23は、複数のKWから1つの配信情報を決定するのとは反対に、1つのKWを基に複数の配信情報を決定してもよい。更に、抽出部14は、使用頻度が上位3位までのKWを抽出し、配信部23は、これらのKWに対応する配信情報を、所定の時間間隔で順次配信するものとしてもよい。これにより、使用頻度が最も高いKW以外のKWに、ユーザにとって重要な配信情報が対応付けられている場合にも、MBMSサーバ20は、その配信情報を確実に配信することができる。
【0018】
通知部15は、抽出部14により抽出されたKWを、対応する基地局IDと共に、MBMSサーバ20に通知する。
【0019】
検索部16は、移動局から送信された検索ワードを基に、当該ワードを含むWebサイト等の情報を検索DB17から抽出し、その情報を検索結果として送信部18に出力する。送信部18は、検索部16から入力された検索結果を、検索を要求した移動局宛に送信する。
【0020】
次に、本願の開示する一実施例に係るNWサーバの構成を説明する。図4は、本実施例に係るMBMSサーバ20及び移動局30の機能的構成を示す図である。図4に示すように、MBMSサーバ20は、受信部21と、配信情報テーブル保持部22と、配信部23と、検索部24と、検索DB25とを有する。これら各構成部分は、一方向又は双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。
【0021】
受信部21は、NWサーバ10の通知部15の通知したKWを、対応する基地局IDと共に、NWサーバ10から受信する。
【0022】
配信情報テーブル保持部22は、配信情報テーブル22a、22bを有する。図5A及び図5Bは、MBMSサーバの保持する配信情報テーブル22a、22bにおけるデータ格納例を示す図である。配信情報テーブルには、複数の移動局に向けて配信される情報が、配信情報として、KWに対応付けて予め格納されている。配信情報は、KW毎に1対1に対応付けられてもよいし、1つのKWに対して複数の配信情報が格納されていてもよい。図5Aは、MBMSサーバの保持する配信情報テーブルの一例を示す図である。図5Aに示す配信情報テーブル22aには、1つのKW「ギフト」に対して、配信時に応じて異なる複数の配信情報が格納されている。すなわち、配信情報テーブル22aは、配信時が“夏ごろ”の場合には“お中元関連”の情報が配信され、配信時が“冬ごろ”の場合には“お歳暮関連”やクリスマスプレゼントの情報が配信されるようになっている。同じ「ギフト」というKWが通知された場合でも、季節によってユーザが所望する情報は異なるが、上述の配信情報テーブル22aにより、季節に応じた種類のギフト情報が移動局に配信されることになる。その結果、移動局のユーザのニーズに合った情報の提供が可能となる。
【0023】
図5Bは、MBMSサーバの保持する配信情報テーブルの更に別の例を示す図である。図5Bに示す配信情報テーブル22bには、1つのKW「カレー」に対して、配信場所に応じて異なる複数の配信情報が格納されている。すなわち、配信情報テーブル22bは、配信場所が“キャンプ場付近”の場合には“レシピ”の情報が配信され、配信場所が“市街地”や観光地の場合には“周辺の店”の情報が配信されるようになっている。すなわち、同じ「カレー」というKWが通知された場合でも、配信情報の配信される場所によって配信情報が異なる。例えば、“キャンプ場付近”の基地局に対応するKWとして「カレー」が抽出された場合には、当該基地局付近のユーザは、カレーの作り方を知りたいことが推測されるため、“レシピ”の情報が配信される。一方、“市街地”に設置されている基地局に対応するKWとして「カレー」が抽出された場合には、当該基地局付近のユーザは、近くにある良いカレーショップを探している可能性があるため、“周辺の店”の情報が配信される。これにより、移動局のユーザは、現在地に応じた所望の情報を得られることになり、MBMSサーバ20は、ユーザの需要に沿った適切な情報の提供が可能となる。
【0024】
配信部23は、KWに応じた配信情報を、当該KWに対応する基地局を介して、複数の移動局に配信する。配信部23は、通知されたKWを基に、当該KWに対応する基地局を宛先とする配信情報を決定する。通知されるKWは、NWサーバ10への送信情報の変更に伴い随時更新されるため、KWの更新を契機として、配信情報も更新される。配信部23は、配信情報が更新される度に、更新後の配信情報を、対応する基地局の移動局宛に配信する。配信方式は、マルチキャスト配信のみならず、ブロードキャスト配信でもよく、プッシュ型、プル型を問わない。
【0025】
図6は、配信部23の配信する配信情報23aの一例を示す図である。配信部23は、基地局ID及びKWがNWサーバ10から通知されると、当該KWに対応する配信情報を、対応する基地局宛に配信する。例えば、図6に示すように、基地局B1宛には、配信情報1として“お歳暮関連ギフト情報”が、配信情報2として“年末年始の海外旅行プラン”がそれぞれ配信される。また、基地局B2宛には、配信情報1として“カレーに関する周辺の店情報”が、配信情報2として“携帯電話の最新機種情報”がそれぞれ配信される。なお、図6では、基地局毎に異なる配信情報が配信される例を示したが、同じ配信情報が複数の基地局宛に配信されるものとしても勿論よい。また、反対に、同じ基地局に対して、異なる複数の配信情報が所定の時間間隔で配信されるものとしてもよい。
【0026】
更に、配信部23は、所定時間(例えば、10〜30分程度)が経過する毎に、NWサーバ10から通知されるKWを監視し、KWに変更があった場合に限り、配信情報を配信するものとしてもよい。これにより、KWに変更がない場合には、配信情報が配信されないこととなり、必要最小限の配信により、移動局のユーザへの情報提供が可能となる。その結果、情報配信に伴うリソースが節約される。
【0027】
図4に戻り、検索部24は、移動局30から送信された検索ワードを基に、当該ワードを含むWebサイト等の情報を検索DB25から抽出し、その情報を検索結果として配信部23に出力する。
【0028】
移動局30は、通信部31を有する。通信部31は、上述の送信情報を基地局B1経由でNWサーバ10に送信すると共に、MBMSサーバ20から配信された配信情報を、基地局B1を介して受信する。
【0029】
続いて、NWサーバ10、MBMSサーバ20、及び移動局30のハードウェア構成を説明する。図7は、NWサーバ10のハードウェア構成を示す図である。図7に示すように、NWサーバ10においては、物理的には、CPU(Central Processing Unit)10bと、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)10cと、HDD(Hard Disk Drive)10dと、NW(NetWork)ボード10eとが、スイッチ10aを介して各種信号やデータの入出力が可能なように接続されている。NWサーバ10の受信部11、通知部15、送信部18は、例えば、上記NWボード10eによって実現される。KWリスト保持部12、KWテーブル保持部13、検索DB17は、例えば、上記SDRAM10cと、上記HDD10dとによって実現される。抽出部14、検索部16は、例えば、上記CPU10bによって実現される。
【0030】
図8は、MBMSサーバのハードウェア構成を示す図である。図8に示すように、MBMSサーバ20は、物理的には、上述したNWサーバ10と同様の構成を有する。すなわち、MBMSサーバ20においては、CPU20bと、SDRAM20cと、HDD20dと、NWボード20eとが、スイッチ20aを介して各種信号やデータの入出力が可能なように接続されている。MBMSサーバ20の受信部21、配信部23は、例えば、上記NWボード20eによって実現される。配信情報テーブル22、検索DB25は、例えば、上記SDRAM20cと、上記HDD20dとによって実現される。検索部24は、例えば、上記CPU20bによって実現される。
【0031】
図9は、移動局のハードウェア構成を示す図である。図9に示すように、移動局30においては、物理的には、CPU30bと、SDRAM30cと、FPGA(Field Programmable Gate Array)30dと、DSP(Digital Signal Processor)30eと、RF(Radio Frequency)回路30fとが、スイッチ30aを介して各種信号やデータの入出力が可能なように接続されている。RF回路30fは、アンテナ30gを有する。移動局30の通信部31は、例えば、上記RF回路30fによって実現される。
【0032】
次に、本実施例における無線通信システム1の動作を説明する。
【0033】
図10は、無線通信システムの動作を説明するための図である。動作説明の前提として、移動局30、40は、基地局B1のエリア内に位置し、移動局70、80は、基地局B2のエリア内に位置するものとする。また、移動局40、70、80は、上述した移動局30と同様の構成を有するものとする。
【0034】
まず、S1では、移動局30が、メール送信やWeb検索に伴う送信情報を基地局B1に送信する。基地局B1は、送信情報に自基地局のIDを付加した後(S2)、当該送信情報を、ゲートウェイ経由でNWサーバ10宛にパケット送信する(S3)。NWサーバ10は、抽出部14により、S3で受信された基地局ID付の送信情報から、KWの抽出を行う(S4)。上述したS1〜S4の一連の処理は、同じ基地局B1と接続する他の移動局40についても、同様に実行される(S5〜S8)。
【0035】
また、S9では、移動局70が、メール送信やWeb検索に伴う送信情報を基地局B2に送信する。基地局B2は、送信情報に自基地局のIDを付加した後(S10)、当該送信情報を、ゲートウェイ経由でNWサーバ10宛にパケット送信する(S11)。NWサーバ10は、抽出部14により、S11で受信された基地局ID付の送信情報から、KWの抽出を行う(S12)。上述したS9〜S12の一連の処理は、同じ基地局B2と接続する他の移動局80についても、同様に実行される(S13〜S16)。
【0036】
S17では、NWサーバ10は、S4、S8、S12、S16で抽出されたKWの中から、使用頻度の最も高いKWを抽出する。KWの抽出は、基地局ID毎、すなわち、S4及びS8で抽出されたKW群と、S12及びS16で抽出されたKW群とについて、個別に行われる。S17で抽出されたKWは、基地局ID「B1」と対応付けられた状態で、MBMSサーバ20に通知される(S18)。基地局ID「B2」に対応するKWについても同様に、MBMSサーバ20に通知される(S19)。
【0037】
MBMSサーバ20は、S18、S19にて通知されたKWを基に、これに対応する配信情報を決定する。この配信情報は、基地局ID毎に決定され、新しいKWの通知に伴って変更される(S20)。MBMSサーバ20は、各基地局B1、B2宛の配信情報を決定すると、基地局ID「B1」に対応する配信情報を基地局B1宛に送信する(S21)。この配信情報は、基地局B1の移動局30、40にマルチキャスト配信される(S22、S23)。基地局B2に関しても同様に、MBMSサーバ20は、「B2」に対応する配信情報を基地局B2宛に送信する(S24)。基地局B2は、MBMSサーバ20から配信情報を受信すると、移動局70、80に向けて当該配信情報をマルチキャストする(S25、S26)。
【0038】
次に、移動局30〜100のユーザがワード検索を行った場合を例に採り、図11A及び図11Bを参照しながら、検索が行われてから情報が配信されるまでの過程について説明する。図11Aは、無線通信システム1において検索が行われてから配信される情報が決定される迄の過程を説明するための図である。図11Aでは、移動局30〜60が基地局B1に接続し、移動局70〜100が基地局B2に接続するものとする。
【0039】
基地局B1のセルC1に属する移動局30、40が所定ワードによる情報検索を行う。同様に、基地局B1のセルC2では、移動局70、80がワードによる情報検索を行う。検索に用いられたワード(検索ワード)は、各移動局が接続する基地局へそれぞれ送信される(T1〜T4)。
【0040】
送信された検索ワードは、ゲートウェイを通過し、NWサーバ10へ送信される(T5、T6)。その際、各基地局B1、B2に固有のインデックスとして、基地局IDが付与される。NWサーバ10は、受信された検索ワードに基づき情報の検索を行うが、その際、検索ワードを、付与された基地局ID毎に管理する。
【0041】
NWサーバ10は、T5、T6で受信された検索ワードの数を所定時間(例えば、10分間〜1時間程度)に渡りカウントする。所定時間経過後、NWサーバ10は、その時点でカウント数が最も多い検索ワードを、使用頻度の高いKW、即ち「多くの移動局に配信すべき優先度の高い情報のKW」とみなし、このKWをMBMSサーバ20に通知する(T7、T8)。
【0042】
図11Bは、無線通信システム1において決定された情報が配信される迄の過程を説明するための図である。MBMSサーバ20は、T7、T8でNWサーバ10から通知されたKWを基に、各基地局B1、B2の移動局宛に配信すべき情報を基地局ID毎に決定する(T9、T10)。なお、NWサーバ10は、検索を要求した移動局30、40、70、80宛に検索結果を送信する(T11、T12)。
【0043】
T9、T10で配信を決定された情報は、ゲートウェイを通過して各基地局B1、B2へ配信される(T13、T14)。各基地局B1、B2は、セルに属する各移動局30〜100へ情報の配信を行う(T15〜T22)。情報は、各基地局B1、B2において検索を行っていない移動局50、60、90、100に対しても配信される。したがって、各基地局B1、B2のセルに属する全ての移動局のユーザが、時間や場所に合った最新の情報を入手することができる。
【0044】
無線通信システム1は、MBMSサーバ20から配信される情報を用いて共有チャネル(SCH:Shared CHannel)におけるリソースの削減を行うことができる。図12Aは、無線通信システム1において配信される情報が検索される過程を説明するための図である。図12Aでは、基地局B1のセルC1に属する移動局30、40、50、60の内、移動局30、50からは同一の情報Aの検索が要求され、移動局40からは情報Bの検索が要求された場合を想定する(U1〜U3)。一方、基地局B2のセルC2に属する移動局70、80、90、100の内、移動局90からは情報Cの検索が要求され、移動局80、100からは同一の情報Dの検索が要求された場合を想定する(U4〜U6)。
【0045】
この場合、移動局30、40、50からの各検索要求は、ゲートウェイを経由してNWサーバ10に個別に送信される(U7)。同様に、移動局80、90、100からの各検索要求は、ゲートウェイを経由してNWサーバ10に個別に送信される(U8)。その後、同一の情報の検索が要求された移動局については、MBMSサーバ20宛にKWが通知される。すなわち、図12Aでは、移動局30と移動局50とが同一の情報Aの検索を要求しているため、これらの移動局宛には同一の情報が配信される。したがって、NWサーバ10は、移動局30、50についてのみ、MBMSサーバ20へのKWの通知を行う(U9)。同様に、移動局80と移動局100とが同一の情報Dの検索を要求しているため、これらの移動局宛には同一の情報が配信される。したがって、NWサーバ10は、移動局80、100についてのみ、MBMSサーバ20へのKWの通知を行う(U10)。このとき、NWサーバ10の送信部18は、NWサーバ10がMBMSサーバ20に通知を行ったKWに関する情報の送信を停止する。
【0046】
図12Bは、無線通信システム1において検索された情報が配信される過程を説明するための図である。MBMSサーバ20は、U9、U10で通知されたKWを基に、複数の移動局から検索要求のあった情報A、Dに関する配信情報を配信する。すなわち、情報Aは、複数の移動局30、50から検索要求を受けているため、情報Aに関する配信情報は、NWサーバ10からは配信されず、MBMSサーバ20から一括して配信される(U11)。同様に、情報Dは、複数の移動局80、100から検索要求を受けているため、情報Dに関する配信情報は、NWサーバ10ではなくMBMSサーバ20から纏めて配信される(U12)。なお、上述したように、NWサーバ10は、情報A、Dに関して送信を停止していることから、移動局30、50、80、100に対して同一の情報が重複して送信されることはない。
【0047】
U13では、NWサーバ10は、情報Bに関する検索結果を、情報Bの検索を要求した移動局40宛に個別に送信する。同様に、U14では、NWサーバ10は、情報Cに関する検索結果を、情報Cの検索を要求した移動局90宛に個別に送信する。
【0048】
U11でMBMSサーバ20から配信された情報(Aに関する情報)、及びU13でNWサーバ10から送信された情報(Bに関する情報)は、ゲートウェイを経由して基地局B1に送信される(U15)。同様に、U12でMBMSサーバ20から配信された情報(Dに関する情報)、及びU13でNWサーバ10から送信された情報(Cに関する情報)は、ゲートウェイを経由して基地局B2に送信される(U16)。
【0049】
その結果、移動局30、50は、MBMSサーバ20から配信された、Aに関する情報を受信し(U17、U19)、移動局40は、NWサーバ10から送信された、Bに関する情報を受信する(U18)。また、移動局60は、使用頻度の高いKWに対応する、Aに関する情報を受信する(U20)。同様に、移動局80、100は、MBMSサーバ20から配信された、Dに関する情報を受信し(U22、U24)、移動局90は、NWサーバ10から送信された、Cに関する情報を受信する(U23)。また、移動局100は、使用頻度の高いKWに対応する、Dに関する情報を受信する(U21)。これにより、セルC1、C2に所在する何れの移動局のユーザも、所望の情報を入手することができる。
【0050】
以上説明したように、無線通信システム1は、NWサーバ10とMBMSサーバ20と移動局30とを有する。NWサーバ10は、受信部11と抽出部14と通知部15とを有する。受信部11は、複数の移動局30、40、50、60から基地局B1を介して送信される送信情報を、基地局B1のIDと共に受信する。抽出部14は、送信情報と上記IDとに基づき、複数の移動局において使用頻度の高いKWを基地局毎に抽出する。通知部15は、抽出部14により抽出されたKWを、対応する基地局のIDと共に、MBMSサーバ20に通知する。MBMSサーバ20は、受信部21と配信部23とを有する。受信部21は、通知部15により通知されたKWを、対応する基地局のIDと共に、NWサーバ10から受信する。配信部23は、KWに応じた配信情報を、上記IDを有する基地局を介して、複数の移動局30、40、50、60に配信する。移動局30は通信部31を有する。通信部31は、MBMSサーバ20から配信された配信情報を、基地局B1を介して受信する。
【0051】
配信される情報が有益であるか否かの判断に際しては、その情報が地域特有の情報であるかが重要な要素となる。情報を配信する側が、ユーザにとって有益な情報を予想して、配信情報を決定することは可能ではあるが、移動局ユーザのように、現在地が時々刻々と変化する環境においては、情報を提供する側が、受け手の需要を正確に把握することは困難である。上述した無線通信システム1によれば、MBMSサーバ20は、NWサーバ10から通知されたKWに依存して、基地局毎に異なる配信情報を決定することにより、月日や日時、場所に合わせて自律的に配信情報を変更することができる。つまり、無線通信システム1は、基地局毎に異なり、かつ、動的に変化する配信情報をマルチキャスト配信する。したがって、移動局ユーザと関連性の高い情報の提供が可能となる。
【0052】
また、移動局が、複数の配信情報を受信し、その中からKWに合致する配信情報のみをユーザに報知する技術と比較して、移動局の処理負荷は低減される。更に、かかる技術では、移動局が受信した配信情報の中にユーザに合った情報が含まれない場合には、ユーザは、所望する情報の享受は行えないが、無線通信システム1では、配信側が自律的に配信情報を決定するため、このような懸念は解消される。また、無線通信システム1では、配信側が決定した配信情報のみが配信されるため、移動局側で配信情報の選択を行う場合と比較して、移動局当りのリソース使用量が節減される。その結果、限られたリソースを用いて、より多くのユーザに有益な情報を配信することができる。
【0053】
上記送信情報は、検索ワード、Webサイト、メール、通話情報の内、少なくとも1つに含まれる情報である。これらの送信情報の内容には、移動局のユーザの置かれた環境や嗜好、属性が反映されるため、NWサーバ10は、これらの送信情報の中から使用頻度の高いKWを抽出するものとすれば、移動局のユーザのニーズに合った配信情報の決定及び配信が可能となる。
【0054】
無線通信システム1において、MBMSサーバ20の配信部23は、配信時または配信場所によって異なる配信情報を配信する。同一のKWに対応する配信情報でも、その配信情報が配信される季節や時間帯、あるいは、配信される場所によって、ユーザの欲する配信情報が異なる場合がある。そこで、無線通信システム1では、MBMSサーバ20は、KWのみならず、配信情報の配信時や配信場所を勘案して、配信情報を決定するものとしてもよい。これにより、夏場にお歳暮関連の情報が配信される、あるいは、キャンプ場のある山林付近で店舗情報が配信されるといった、ユーザニーズと配信情報とのミスマッチが防止される。その結果、ユーザにとってより必要性の高い情報の提供が可能となる。また、配信部23は、配信情報の決定に際し、配信時、配信場所の情報を択一的に用いるのではなく、これらを組み合わせて配信情報を決定するものとしてもよい。これにより、日時と場所の双方を考慮に入れた、よりユーザの状況に合った情報の提供が可能となる。
【0055】
無線通信システム1において、NWサーバ10は、NWサーバ10が送信する情報とMBMSサーバ20が配信する配信情報とが同一である場合、その情報の送信を停止する。その情報は、MBMSサーバ20の配信部23により、複数の移動局30、40、50、60宛にマルチキャスト配信される。すなわち、NWサーバ10は、移動局30、40、50、60宛に情報を送信すると共に、複数の移動局30、50が同一の情報の送信を要求する場合、当該同一の情報の送信を停止する送信部18を更に有する。MBMSサーバ20の配信部23は、NWサーバ10に代わり、上記同一の情報を複数の移動局30、50宛に配信する。例えば、移動局30、50がNWサーバ10にKW検索を要求した場合、NWサーバ10から移動局30、50に送信される検索結果の情報と、MBMSサーバ20から移動局30、50に配信される配信情報とが、同じ情報となる場合がある。この場合には、NWサーバ10が、移動局30、50に対して個別に情報の送信を行うよりも、MBMSサーバ20が、移動局30、50に対して纏めてマルチキャスト配信を行う方が、共有チャネルリソースを節約する観点から効率的である。そこで、無線通信システム1では、NWサーバ10とMBMSサーバ20とが送信する情報が同じ場合には、NWサーバ10ではその情報の送信は行わず、MBMSサーバ20が一括してその情報を配信するものとしてもよい。すなわち、NWサーバ10は、MBMSサーバ20からの配信情報を用いることで、移動局30、50に対して、共有チャネルによるリソースを個別に割り当てなくとも、各移動局に対して、同一の情報を送信することができる。したがって、MBMSサーバ20を用いない場合と比較して、情報の送信に使用されるリソースが削減されるので、より多くのユーザに対する情報の配信が可能となる。
【0056】
無線通信システム1において、移動局30の通信部31は、送信情報を、基地局B1を介してNWサーバ10に送信すると共に、MBMSサーバ20から配信された配信情報を、基地局B1を介して受信する。すなわち、移動局30は、MBMSサーバ20がKWに基づいて決定した配信情報を受信して表示するため、配信情報の選択といった処理を自ら行わなくてよい。したがって、移動局30は、上記処理に伴う負荷を発生させることなく、ニーズに合った情報をユーザに提供することができる。
【0057】
以下、上述した無線通信システム1の適用例について、効果と併せて説明する。
【0058】
まず、無線通信システム1をテーマパークに適用した例を説明する。本適用例では、来場者が、アトラクションの待ち時間やテーマパーク内のイベント開始時間について、情報検索を行った場合を想定する。この場合、無線通信システム1は、来場者から得られる送信情報(検索KW数、閲覧ページ数など)に基づき、多数のアトラクションやイベントの中から、その日又はその時間帯において注目されるアトラクションやイベントに関する情報を優先して配信する。したがって、来場者は、状況に合った有益な情報を、リアルタイムかつ効率的に得ることができる。
【0059】
次に、無線通信システム1を観光地に適用した例を説明する。本適用例では、観光地を訪れた旅行者が、旅行先の周辺情報について検索を行った場合を想定する。この場合、無線通信システム1は、旅行者から得られる送信情報に基づき、多数の観光地や観光名所の中から、訪問者の多い人気スポットに関する情報を優先して配信する。人気の観光地や観光名所は以前から長期的に検索が行われていると考えられることから、旅行者は、周辺の地域名やKWを入力することなく、所望の情報を容易に入手することができる。また、このとき得られる情報は、情報を提供する側が意図した情報ではなく、体験者(他の旅行者)から得られた情報を基にしたものであることから、通常のWeb検索等で得られる情報よりも旅行者の需要に合った内容の情報である可能性が高い。
【0060】
次に、無線通信システム1を街頭イベントに適用した例を説明する。本適用例では、市街地において無告知ライブや臨時の街頭演説があり、通行人がその光景を遠巻きに見た場合を想定する。この場合、無線通信システム1は、視聴者から得られる送信情報に基づき、ライブのアーティストや演説者に関する情報を優先して配信する。すなわち、市街地でライブや演説があると、その周辺において、関連する人物や団体に関する情報の閲覧や授受が急激に増加する。その結果、通行人の移動局宛にも、上記情報がマルチキャスト配信されることになる。これにより、通行人は、ライブや演説を直接見ることができない場合であっても、イベントの状況(出演者、場所、内容、終了時間など)について簡易迅速に知ることができる。
【0061】
次に、無線通信システム1を海外イベントに適用した例を説明する。本適用例では、国外で開催されているオリンピック等、直接見ることのできない大型イベントを想定する。このようなイベントでは、人気の高い競技についてはWeb等から容易に情報が得られる一方、認知度の低い競技についての情報を得ることは困難である。しかしながら、認知度の低い競技であっても、地元出身の選手が出場する等の理由から、特定の地域では注目度が高くなる場合もある。このような場合にも無線通信システム1は好適である。無線通信システム1は、全国的な注目度が低く関連情報が容易に得られない場合であっても、特定の地域のみから得られる送信情報に基づき、その地域で需要が高いと推測される情報を優先して配信する。これにより、その地域の住民は、全国的な注目度に拘らず、自らのニーズに合った情報を容易に得ることができる。また、基地局のエリアに属する限り、その地域の全ての移動局に対して関連情報がマルチキャスト配信されるため、注目度が低いが故に知る機会のなかった競技や選手の認知度が向上するというメリットもある。
【0062】
なお、上述の実施例では、無線通信システム1は、KWの使用頻度のカウント及びこれに基づく配信情報の決定を、基地局単位で行うものとした。しかしながら、これに限らず、無線通信システム1は、上記カウント及び決定を、複数の基地局単位で行うものとしてもよい。すなわち、NWサーバ10の抽出部14は、受信部11が複数の基地局から収集した送信情報に含まれるKWを纏めてカウントする。通知部15は、カウントの結果、最も使用頻度の高いKWを、複数の基地局のIDと共にMBMSサーバ20に通知する。MBMSサーバ20の受信部21がKW及び複数の基地局IDを受信すると、配信部23は、NWサーバ10から通知されたKWに対応する配信情報を、複数の基地局の移動局宛に配信する。これにより、無線通信システム1は、複数の基地局に接続する移動局のKWを纏めて管理することができる。特に、基地局に接続する移動局が少ない時には、抽出されるKWの信頼性が懸念されるが、上述したように、無線通信システム1が、複数の基地局を対象としてKWの抽出を行うことで、母集団が増加し、KWの信頼性が向上する。その結果、KWを基に配信される情報のユーザ適合性も向上する。
【0063】
また、上述の実施例では、無線通信システム1は、使用頻度の高いKWに対応する配信情報を、そのKWを提供した基地局の移動局に対してのみ配信するものとした。しかしながら、これに限らず、無線通信システム1は、使用頻度が有意に高い等、所定の条件を満たす場合には、周辺の基地局の移動局に対しても配信情報を配信するものとしてもよい。すなわち、NWサーバ10の抽出部14は、KWリスト12a上に存在するKWの使用回数を基地局ID毎に所定時間カウントするが、最も使用頻度の高いKWの使用頻度が有意に高い場合(例えば、2位の2倍〜3倍以上)、その旨を通知部15に通知する。通知部15は、KW及び基地局IDと併せて、当該KWの使用頻度が有意に高い事を、MBMSサーバ20に通知する。MBMSサーバ20の受信部21が当該通知を受けると、配信部23は、使用頻度の特に高いKWに対応する配信情報を、通知された基地局IDの基地局のみならず、その周辺の基地局に対しても配信する。使用頻度が有意に高いKWの配信情報は、ユーザからの需要や重要性が高いことが推定されることから、他の基地局に接続する移動局に対しても配信されることが望ましい。そこで、無線通信システム1は、このような配信情報を周辺の基地局にも配信することで、より多くのユーザに対して、有用な情報を提供することができる。なお、無線通信システム1は、有用性の高いと思われる情報を、周辺基地局に配信するものとしたが、特定の基地局に繰り返し配信するものとしてもよい。また、MBMSサーバ20の配信部23は、KWの使用頻度に応じて、配信エリアだけでなく、配信回数や配信間隔を変更するものとしてもよい。
【0064】
なお、上述及び図示した各構成部は、機能上の概念的なものであり、物理的には、必ずしも上述及び図示のように構成されている必要はない。例えば、NWサーバ10において、KWリスト保持部12とKWテーブル保持部13とは、統合されてもよいし、MBMSサーバ20において、受信部21と配信部23とは、統合されてもよい。また、上記実施例では、NWサーバ10とMBMSサーバ20とは、別体の装置により構成されるものとしたが、これらのサーバの機能を一体化して1つの装置にもたせてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 無線通信システム
10 NWサーバ
10a、20a、30a スイッチ
10b、20b、30b CPU
10c、20c、30c SDRAM
10d、20d HDD
10e、20e NWボード
11 受信部
12 KWリスト保持部
12a KWリスト
13 KWテーブル保持部
13a KWテーブル
14 抽出部
15 通知部
16 検索部
17 検索DB
18 送信部
20 MBMSサーバ
21 受信部
22 配信情報テーブル保持部
22a 配信情報テーブル
23 配信部
23a 配信情報
24 検索部
25 検索DB
30、40、50、60、70、80、90、100 移動局
30d FPGA
30e DSP
30f RF回路
30g アンテナ
31 通信部
B1,B2 基地局
C1,C2 セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動局から基地局を介して送信される送信情報を、前記基地局の識別情報と共に受信する受信部と、
前記送信情報と前記識別情報とに基づき、前記複数の移動局において使用頻度の高いキーワードを前記基地局毎に抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された前記キーワードを、対応する前記基地局の識別情報と共に、第2のサーバ装置に通知する通知部と
を有する第1のサーバ装置と、
前記通知部により通知されたキーワードを、対応する前記基地局の識別情報と共に、前記第1のサーバ装置から受信する受信部と、
前記キーワードに応じた配信情報を、前記識別情報を有する基地局を介して、前記複数の移動局に配信する配信部と
を有する第2のサーバ装置と、
前記第2のサーバ装置から配信された前記配信情報を、前記基地局を介して受信する通信部を有する移動局と
を有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記送信情報は、検索ワード、Webサイト、メール、通話情報の内、少なくとも1つに含まれる情報であることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記第2のサーバ装置の配信部は、配信時または配信場所によって異なる配信情報を配信することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第1のサーバ装置は、
移動局宛に情報を送信すると共に、複数の移動局が同一の情報の送信を要求する場合、前記同一の情報の送信を停止する送信部を更に有し、
前記第2のサーバ装置の配信部は、前記同一の情報を前記複数の移動局宛に配信することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項5】
請求項1に記載の無線通信システムにおける前記送信情報を、基地局を介して、前記第1のサーバ装置に送信すると共に、前記第2のサーバ装置から配信された前記配信情報を、前記基地局を介して受信する通信部を有することを特徴とする移動局。
【請求項6】
第1のサーバ装置が、
複数の移動局から基地局を介して送信される送信情報を、前記基地局の識別情報と共に受信し、
前記送信情報と前記識別情報とに基づき、前記複数の移動局において使用頻度の高いキーワードを前記基地局毎に抽出し、
抽出された前記キーワードを、対応する前記基地局の識別情報と共に、第2のサーバ装置に通知し、
第2のサーバ装置が、
通知されたキーワードを、対応する前記基地局の識別情報と共に、前記第1のサーバ装置から受信し、
前記キーワードに応じた配信情報を、前記識別情報を有する基地局を介して、前記複数の移動局に配信し、
移動局が、
前記第2のサーバ装置から配信された前記配信情報を、前記基地局を介して受信する
ことを特徴とする無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【公開番号】特開2012−165176(P2012−165176A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23886(P2011−23886)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】