説明

無線通信システムにおける、セグメントに応答するスケジューリングのためのプレコーディング

【課題】サブ帯域と呼ばれるセグメントと、プレコーディングとを用いて、無線通信システムにおける性能を高めるための技術を提供する。
【解決手段】アクセス端末への送信のための帯域幅が、アクセス端末への送信のために利用可能な帯域幅より小さい好適な帯域幅に制限される。この制限された帯域幅内のサブキャリアに関連するプレコーディング情報は、異なるサブ帯域に関する順方向リンク・チャネル特性に関するフィードバックを提供し、帯域幅に関連付けられたチャネルでフィードバックされうる。

【発明の詳細な説明】
【優先権主張】
【0001】
本願は、2005年10月27日に出願され、本願の譲受人に譲渡され、本願において参照によって明確に組み込まれている"SEGMENT SENSITIVE SCHEDULING FOR PRECODING IN WIRELESS COMMUNICATION SYSTEM"と題された米国仮出願60/731,558号の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本記載は、一般に、無線通信システムに関し、更に詳しくは、無線通信システムにおけるプレコーディングに関する。
【背景技術】
【0003】
無線通信システムは、例えば音声、データ等のような様々なタイプの通信を提供するために広く展開している。これらのシステムは、利用可能なシステム・リソース(例えば、帯域幅および送信電力)を共有することによって、多くのアクセス端末との通信をサポートすることができる多元接続システムでありうる。そのような多元接続システムの例は、符号分割多元接続(CDMA)システム、時分割多元接続(TDMA)システム、周波数分割多元接続(FDMA)システム、および直交周波数分割多元接続(OFDMA)システムを含んでいる。一般に、無線通信システムは、幾つかの基地局を備え、各基地局は、順方向リンクを用いてモバイル局と通信し、各モバイル局(またはアクセス端末)は、逆方向リンクを用いて基地局と通信する。
【0004】
多くの通信システムにおける問題は、受信機が、アクセス・ポイントによってサービス提供されるエリアの特定の部分に位置することである。送信機が多数の送信アンテナを持っている場合、受信機において最大電力を提供するために、各アンテナから供給された信号は結合される必要はない。これらの場合、受信機において受信された信号の復号に関する問題が生じうる。これらの問題に対処する1つの方法は、プレコーディングを用いることによる。
【0005】
プレコーディングは、多数のアンテナとの無線リンクの信号対雑音比(SNR)を改善する空間的な処理技術である。一般に、プレコーディングは、多数アンテナ・システムにおける送信機において使用することができる。プレコーディングは、信号対雑音比を改善する際に多くの利点を与え、受信機による信号の復号を改善する。
【0006】
あるタイプのOFDMAシステムは、周波数分割多重化(FDD)OFDMAシステムである。これらFDD OFDMAシステムでは、アクセス・ポイントからアクセス端末への、および、アクセス端末からアクセス・ポイントへの送信は、異なる別個の周波数帯域を占有する。FDD OFDMAシステムでは、プレコーディングを実行するためのフィードバックは、一般に、実質的なフィードバック無しでは利用することができない、例えばアクセス・ポイントのような送信機においてチャネルを知っている必要がある。一般に、実際の重みまたはベクトルの形態をとるこのフィードバックは、制御チャネルまたはシグナリング・チャネルにおいて、相当な量のリソースを必要とする。これは、データ・レートを低減し、必要なオーバヘッドを増加させる。
【0007】
したがって、当該技術では、プレコーディングの性能を高めるシステムおよび/または方法に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0008】
以下は、1または複数の局面の基本的理解を提供するために、このような局面の簡略概要または要約を与える。この要約は、考慮される全ての局面の広範囲な概要であるようには意図されておらず、全ての局面の重要または決定的な構成要素を特定することも、任意または全ての局面の範囲を線引きすることも意図していない。その唯一の目的は、後に示されるより詳細な記載に対する前置きとして簡略な形式で1または複数の局面の幾つかの概念を表すことである。
【0009】
1つの局面では、無線通信装置は、サブキャリアのセグメントからなる2またはそれ以上のサブキャリアを介して受信された信号を復号するように構成されたプロセッサを備える。ここで、セグメントは、通信のために利用可能なサブキャリアのうちの複数のセグメントのうちの1つである。プロセッサは更に、少なくとも1つのセグメントのプレコーディング情報を提供するように構成されている。更に、この装置は、プレコーディング情報を送信するように構成された送信機を備える。
【0010】
別の局面では、方法は、サブキャリアのセグメントからなる2またはそれ以上のサブキャリアを介して信号を受信することを備える。ここで、セグメントは、サブキャリアのうちの1または複数のセグメントのうちの1つである。この方法は更に、少なくとも1つのセグメントのプレコーディング情報を生成することと、このプレコーディング情報を送信することを備える。
【0011】
更なる局面では、装置は、サブキャリアのセグメントからなる2またはそれ以上のサブキャリアを介して信号を受信する手段を備える。ここで、セグメントは、サブキャリアのうちの1または複数のセグメントのうちの1つである。この装置は更に、少なくとも1つのセグメントのプレコーディング情報を生成する手段と、このプレコーディング情報を送信する手段とを備える。
【0012】
局面では、コンピュータ・プログラム製品は、サブキャリアのセグメントからなる2またはそれ以上のサブキャリアを介して信号を受信する命令群を含むコンピュータ読取可能媒体を備える。ここで、セグメントは、サブキャリアのうちの1または複数のセグメントのうちの1つである。この媒体は更に、少なくとも1つのセグメントのプレコーディング情報を生成する命令群と、このプレコーディング情報を送信する命令群とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、局面に従った多元接続無線通信システムの局面を例示する。
【図2】図2は、スペクトル割当の局面を例示する。
【図3】図3は、別のスペクトル割当の局面を例示する。
【図4】図4は、サブキャリア・セグメントのプレコーディング情報のフィードバックを実行する方法を図示する。
【図5】図5は、サブキャリア・セグメントのプレコーディング情報をレポートする装置を図示する。
【図6】図6は、多元接続無線通信システムにおける送信機と受信機との局面を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本局面の機能、特性、および利点は、同一の参照符号が全体を通じて対応して識別する図面に関連付けられた下記詳細記述からより明らかになるであろう。
【0015】
全体を通じて同一の要素を示すために同一の参照番号が使用される図面を参照して様々な局面が説明される。以下の説明では、説明の目的のために、具体的な多くの詳細が1または複数の局面についての完全な理解を提供するために記述される。しかしながら、そのような局面は、これら具体的な詳細無しでも実現されることが明白であろう。他の事例では、1または複数の局面の記述を容易にするために、周知の構成およびデバイスがブロック図形式で示される。
【0016】
本願で用いられるように、用語「構成要素」、「システム」等は、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアの何れかであるコンピュータ関連エンティティに関連していることが意図されている。例えば、構成要素は、限定される訳ではないが、プロセッサ上で動作しているプロセス、オブジェクト、実行可能形式、実行スレッド、プログラム、および/またはコンピュータでありうる。1または複数のコンポーネントは、実行スレッドおよび/またはプロセス内に存在することが可能であり、構成要素は、2またはそれ以上のコンピュータ間に分散されるか、1つのコンピュータ内に局在化されうる。また、これらの構成要素は、格納されている様々なデータ構成を有する様々なコンピュータ読取可能媒体から実行することができる。これら構成要素は、例えば1または複数のデータ・パケット(例えば、ローカル・システム、分散システム内の他の構成要素とインタラクトする1つの構成要素からのデータ、および/または、信号を介して他のシステムとインタラクトするネットワークを介したデータ)を有する信号に従って、ローカルおよび/または遠隔のプロセスを介して通信する。
【0017】
更に、本明細書では、ユーザ・デバイスに関連付けられた様々な局面が記述される。ユーザ・デバイスはまた、システム、加入者ユニット、加入者局、モバイル局、モバイル・デバイス、遠隔局、アクセス・ポイント、基地局、端末、遠隔端末、アクセス端末、ユーザ端末、ユーザ・エージェント、あるいはユーザ機器と称することもできる。ユーザ・デバイスは、セルラ電話、コードレス電話、セッション加入プロトコル(SIP)電話、無線ローカル・ループ(WLL)局、PDA、無線接続機能を有するハンドヘルド・デバイス、あるいは無線モデムに接続されたその他の処理デバイスになりえる。
【0018】
更に、本明細書に記載の様々な局面または特徴が、標準的なプログラミング技術および/またはエンジニアリング技術を用いた方法、装置、製造物品として実現されうる。本明細書で使用される用語「製造物品」は、任意のコンピュータ読取可能媒体、キャリア、または媒体からアクセスすることが可能なコンピュータ・プログラムを含むことが意図されている。例えば、コンピュータ読取可能媒体は、限定される訳ではないが、磁気記憶デバイス(例えば、ハード・ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストライプ等)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、DVD等)、スマート・カード、およびフラッシュ・メモリ・デバイス(例えば、カード、スティック、キー・ドライブ等)を含むことができる。
【0019】
図1に示すように、1つの局面に従った多元接続無線通信システムが例示される。多元接続無線通信システム100は、例えばセル102、104、および106のような多数のセルを含んでいる。図1の局面では、セル102、104、および106は、多数のセクタを含むアクセス・ポイント150を含みうる。多数のセクタは、それぞれ、セル部分内のアクセス端末と通信するアンテナのグループによって形成されうる。セル102では、アンテナ・グループ112、114、および116が、それぞれ異なるセクタに対応する。セル104では、アンテナ・グループ118、120、および122が、それぞれ異なるセクタに対応する。セル106では、アンテナ・グループ124、126、および128が、それぞれ異なるセクタに対応する。
【0020】
セルはそれぞれ、各アクセス・ポイントの1または複数のセクタと通信する幾つかのアクセス端末を含む。例えば、アクセス端末130、132は基地局142と通信しており、アクセス端末134、136はアクセス・ポイント144と通信しており、アクセス端末138、140はアクセス・ポイント146と通信している。
【0021】
図1から、各アクセス端末130,132,134,136,138および140は、同じセル内の他のアクセス端末に対し、セルの異なる部分に位置していることが分かる。更に、各アクセス端末は、通信中の対応するアンテナ・グループから異なる距離にある。これらの要因はともに、セル内の環境条件およびその他の条件によって、アクセス端末と、通信中の対応するアンテナ・グループとの間に異なるチャネル条件を存在させる状況を与える。
【0022】
線形プレコーディングを備えた空間多重化は、複数入力複数出力(MIMO)システムまたはその他の複数送信アンテナ技術によって提供される空間スペクトル高効率を利用するために使用される技術である。これは、OFDMを使用することによって、周波数選択チャネルによって実現される。周波数分割多重化(FDD)システムでは、順方向リンクと逆方向リンクとは相反的ではない。従って、プレコーディング・マトリクスの形式をとる送信機において、チャネル状態情報(CSI)のフィードバックが必要である。プレコーディングを備えたMIMO−OFDMでは、広帯域チャネルが、OFDMサブキャリアに対応する複数の狭帯域チャネルに変換される。MIMO−OFDM送信機は、サブキャリアに関するプレコーディング・マトリックスの形式をとるフィードバックを必要とする。マトリクスまたはベクトルを識別するインデクスの選択が、送信機と受信機との両方に知られている定義されたコードブックからなされるプレコーディングの一般技術が使用されうる。幾つかの局面では、幾つかの判定基準を満足する利得、信号対雑音比(SNR)、チャネル条件等を与えるコードブック・エントリの選択が、マトリクスまたはベクトルを選択することによって決定される。幾つかの場合には、この判定基準は、デバイスまたはシステム設計によって決定されるような最良値でありうる。別の局面では、どのマトリクスまたはベクトルを選択するかを決定するために、しきい値が使用されうる。別の局面では、例えばサブ帯域のようなサブキャリア・セグメントに関する例えばSNRのようなチャネル判定基準の平均が、マトリクスまたはベクトルを選択するために決定される。更に、マトリクスまたはベクトルを選択するために、他のチャネル判定基準、あるいは多くのチャネル判定基準の組合せが利用されうる。
【0023】
本明細書で使用されるように、アクセス・ポイントは、端末との通信のために使用される固定局でありうる。更には、基地局、ノード、またはその他幾つかの専門用語で称され、それらの幾つかまたは全ての機能を含む。アクセス端末は、ユーザ機器(UE)、無線通信デバイス、端末、モバイル局、またはその他幾つかの専門用語で称され、それらの幾つかまたは全ての機能を含む。
【0024】
MIMO設計は、2つの運転モード、すなわち単一コード・ワード(SCW)と多数コード・ワード(MCW)とを有する。MCWモードでは、送信機が、各空間レイヤで送信されたデータ、すなわちストリームを、独立して、あるいは恐らくは異なるレートでエンコードすることができる。SCWモード設計では、送信機は、各空間レイヤで送信されたデータを、「同一のデータ・レート」でエンコードする。
【0025】
図2を用いて示すように、OFDMシステムでは、例えば5MHz帯域幅のような与えられた帯域幅について、アクセス端末が、サブキャリア・セグメント302のうちの2またはそれ以上のサブキャリアで送信されうる信号を復号するだろう。アクセス端末への、与えられた送信のために使用されるサブキャリアのグループは、一般に、セグメント302からなるサブキャリア308の全てよりも少ない。従って、与えられたセグメント302のうちのサブキャリア・セット308によって、ユーザは、端末のためのより良好なチャネル品質と、より少ないトラフィックと、これらの組み合わせと、その他幾つかの判定基準を有する5MHz帯域幅全体の一部でスケジュールされるようになる。
【0026】
周波数ホッピング通信では、周波数ダイバーシティを提供するために、端末は、セグメント302のうちのサブキャリア308を介してホップするようにスケジュールされうる。この周波数ホッピングは、フレーム毎に、スーパフレーム毎に、またはその他幾つかの基準に基づいて変わりうる。この周波数ホッピングは、シンボル・ホッピング、配信されたサブキャリア、ブロック・ホッピング、および隣接するサブキャリアのブロックの割り当てを含みうる。
【0027】
セグメント内で周波数ホッピングを行うことによって、アクセス端末は、利用可能な帯域幅よりも小さい範囲のための好適なプレコーディング・マトリクスまたはベクトルを計算できるようになる。これは、プレコーディング・ゲインを計算するために使用されるSNRあるいは他の特性を改善することができる。
【0028】
局面では、セグメントは、予め定めた帯域幅を含むことができるサブ帯域でありうる。局面では、サブ帯域は、1.25MHzの帯域幅を有しうる。したがって、5MHzの利用可能な帯域幅を用いて、キャリア当たり最大4つのサブ帯域が存在するだろう。しかしながら、利用可能な他のサイズの帯域幅およびセグメント(例えば、サブ帯域)が利用されうる。動作中のアクセス端末はフィードバック情報を提供する。または、セグメントが、例えば、より良い周波数コヒーレンスによって、SNRのような、プレコーディング・ゲインとなる品質基準を計算することができる。それは、より良い信号および高い潜在的スループットおよび信号品質を提供する。
【0029】
図2では、5MHz構成の、4つのサブ帯域302−302が存在する。しかしながら、サブ帯域の数は変わりうる。そして、同じサイズである必要はない。更に、サブ帯域は、同じ数のサブキャリアを持つ必要はなく、隣接したサブキャリアを備えている必要もない。
【0030】
更なる局面では、セグメントは、例えばトーンのブロックのように、ユーザに対する割り当てのサイズであるので、ユーザは、スケジュールされたサブキャリアのみのためのプレコーディング情報をレポートすることができる。更なる局面では、セグメントは、アクセス・ポイントにおいて生成され、端末に提供された割り当てまたは他の命令に基づいて、時間にわたって変化することができる。
【0031】
図3に示すように、チャネル品質表示(CQI)チャネル406としばしば呼ばれるフィードバック・チャネルは、その他のCQIタイプ・フィードバックとともに、例えばインデクス、ベクトル、またはマトリクスのようなプレコーディングのフィードバックを提供するために使用されうる。例えば、帯域幅404のように、より広い周波数帯幅を使用するアクセス端末は、各セグメントに関して、少なくとも1つのCQI送信チャネルを有しうる。1つの局面では、1または複数のプレコーディング・インデクス、ベクトル、またはマトリクスが、その構成に依存して、ユーザがスケジュールされていない場合でさえも、単一のユーザに関する多くのセグメントに関してレポートされる。すなわち、各セグメントが、それ自身のフィードバック・チャネルを持っているのであれば、ユーザは、自身のまたは別のセグメント・フィード・バック・チャネルに関するセグメントの各々に関して、例えば、インデクス、ベクトル、またはマトリクスをプレコードすることのようなフィードバックを提供することができる。
【0032】
CQI、インデクス、ベクトル、またはマトリクスは、同じ時間−周波数リソースにわたって多数のユーザを多重化し、データ送信のために利用可能な帯域幅を増加するために、CDMチャネルで送信されうる。その結果、送信されうるフィードバック送信の数は、利用可能なコードの数によって制限されうる。したがって、システムが部分的にロードされた場合、CQIとして使用されることが可能なコードが存在し、システムが完全にロードされた場合、CQIとして使用されることが可能なコードは存在しない。したがって、部分的にロードされたシステムにおいて利用可能なコードを用いることによって、逆方向リンク帯域幅が分割される多数のキャリアまたはその他のセグメントに関し、多数のCQIチャネルにおいてフィードバックをレポートできることによって、プレコーディング・ゲインを達成することができる。別の局面では、逆方向サブ帯域フィードバック・チャネル(R−SFCH)と呼ばれる制御チャネルが導入される。このチャネルは、好適なサブ帯域を示すために、アクセス端末によって使用される。
【0033】
図4に示すように、サブ帯域のプレコーディング情報のフィードバックを実行する方法が例示される。502において、アクセス端末は、セグメントにおいて送信を受信する。これは、チャネル・ツリー、またはセグメントに唯一一致するチャネル・ツリーの一部のみをスケジュールすることによって与えられる。あるいは、このセグメントは、サブキャリアのうちの好適なセットによって、あるいはその他幾つかの方法によって定義されうる。504において、プレコーディング・マトリクスあるいはベクトルが、決定または計算される。この決定は、ルックアップ・テーブルまたはその他幾つかの演算から選択されたCQIプレコーディング・マトリクス計算に基づきうる。更に、これは、1または複数のセグメントについて計算されるか、または、端末がスケジュールされたセグメントのみについて計算される。これは端末によって決定される。または、割当またはオーバヘッド情報の一部が、アクセス・ポイントによって端末へ提供される。
【0034】
506において、選択されたプレコーディング・マトリクスまたはベクトルが、1または複数のフィードバック・チャネルを経由してアクセス・ポイントへフィードバックされる。上述したように、使用されるフィードバック・チャネルは、プレコーディング情報が関連するサブ帯域であるか、またはその他幾つかのチャネルに関連する。
【0035】
図5に示すように、サブ帯域のプレコーディング情報をレポートする装置が例示される。セグメント内の送信をアクセス端末において受信する手段702が提供される。これは、チャネル・ツリーの一部のみ、またはセグメントに唯一一致するチャネル・ツリーをスケジュールすることによって提供されうる。手段702は、プレコーディング・マトリクスまたはベクトルを決定または計算する手段704と通信している。この決定は、ルックアップ・テーブルまたはその他幾つかの演算から選択されたCQIプレコーディング・マトリクス計算に基づきうる。更に、これは1または複数のセグメント、または、端末がスケジュールされるセグメントのみに関して計算される。これは端末によって決定される。または、割当またはオーバヘッド情報の一部が、アクセス・ポイントによって端末へ提供される。
【0036】
手段702と手段704との両方と通信している手段606は、選択されたプレコーディング・マトリクスまたはベクトルをフィードバックとして、1または複数のフィードバック・チャネルを経由してアクセス・ポイントへ送信する。上述したように、使用されているフィードバック・チャネルは、プレコーディング情報が関連するセグメントまたはその他幾つかのチャネルに関連している。
【0037】
図6に示すように、多元接続無線通信システム200における送信機および受信機の局面が例示されている。送信機システム210において、多くのデータ・ストリームのトラフィック・データが、データ・ソース212から送信(TX)データ・プロセッサ214へ提供される。局面では、各データ・ストリームは、それぞれの送信アンテナを介して送信される。TXデータ・プロセッサ214は、コード化されたデータを提供するために、データ・ストリームのために選択された特定のコーディング・スキームに基づいて、各データ・ストリームのトラフィック・データをフォーマットし、コード化し、インタリーブする。幾つかの局面では、TXデータ・プロセッサ214は、特定のユーザ・チャネル応答情報に基づいて、シンボルの送信元のアンテナと、シンボルの送信先のユーザと、に基づいて、プレコーディング重みをデータ・ストリームのシンボルへ適用する。幾つかの局面では、プレコーディング重みは、トランシーバ254において生成されたコードブックへのインデクスに基づいて生成され、フィードバックとして、コードブックとそのインデクスを知っているトランシーバ222へ提供されうる。更に、スケジュールされた送信からなる場合においては、TXデータ・プロセッサ214は、ユーザから送信されたランク情報に基づいてパケット・フォーマットを選択することができる。
【0038】
各データ・ストリームに関しコード化されたデータは、OFDM技術を用いてパイロット・データとともに多重化されうる。パイロット・データは、一般に、周知の方式で処理された既知のデータ・パターンであり、チャネル応答を推定するために受信機システムにおいて使用される。各データ・ストリームに関して多重化されたパイロットおよびコード化されたデータは、その後、変調シンボルを提供するために、データ・ストリームについて選択された特定の変調スキーム(例えば、BPSK、QPSK、M−PSK、またはM−QAM)に基づいて変調(すなわち、シンボル・マップ)される。各データ・ストリームのデータ・レート、コーディング、および変調は、プロセッサ230によって実行される命令によって決定されうる。上述したように、幾つかの局面では、1または複数のストリームのパケット・フォーマットは、ユーザから送信されたランク情報に従って変わりうる。
【0039】
そして、全てのデータ・ストリーの変調シンボルが、TX MIMOプロセッサ220へ提供される。TX MIMOプロセッサ220は、更に(例えば、OFDMのための)変調シンボルを処理しうる。その後、TX MIMOプロセッサ220は、N個の変調シンボル・ストリームを、N個のトランシーバ(TMTR/RCVR)222a〜222tへ提供する。ある局面では、TX MIMOプロセッサ220は、シンボルの送信元のアンテナと、シンボルの送信先のユーザとに基づいて、プレコーディング重みをデータ・ストリームのシンボルへ適用する。
【0040】
各トランシーバ222は、1または複数のアナログ信号を提供するために、各シンボル・ストリームを受信して処理する。そして、更に、MIMOチャネルを介した送信に適した変調信号を提供するために、アナログ信号を調整(例えば、増幅、フィルタ、およびアップコンバート)する。その後、トランシーバ222a〜222tからのN個の変調信号が、N個のアンテナ224a〜224tそれぞれから送信される。
【0041】
受信機システム250では、変調され送信された信号が、N個のアンテナ252a〜252rによって受信され、各アンテナ252から受信された信号が、それぞれのトランシーバ(RCVR/TMTR)254へ提供される。各受信機254は、受信したそれぞれの信号を調整(例えば、フィルタ、増幅、およびダウンコンバート)し、調整された信号をデジタル化してサンプルを提供し、更に、このサンプルを処理して、対応する「受信」シンボル・ストリームが提供される。
【0042】
RXデータ・プロセッサ260はその後、NT個の「検出された」シンボル・ストリームを提供するために、特定の受信機処理技術に基づいて、N個の受信機254からN個の受信シンボル・ストリームを受信して処理する。RXデータ・プロセッサ260による処理について以下に詳細に述べる。検出された各シンボル・ストリームは、対応するデータ・ストリームに関して送信された変調シンボルの推定値であるシンボルを含む。そして、RXデータ・プロセッサ260は、データ・ストリームに関するデータを復元するために、検出された各シンボル・ストリームを復調、逆インタリーブ、および復号する。RXデータ・プロセッサ260によるこの処理は、送信機システム210のTXデータ・プロセッサ214およびTX MIMOプロセッサ220によって行なわれる処理と相補的である。
【0043】
RXプロセッサ260によって生成されたチャネル応答推定は、受信機における空間および空間/時間処理の実行、電力レベルの調節、変調レートまたはスキームの変更、またはその他の動作のために用いられうる。RXプロセッサ260は更に、検出されたシンボル・ストリームの信号対雑音及び干渉比(SNR)、および恐らくはその他のチャネル特性を推定し、これら値をプロセッサ270へ提供する。RXデータ・プロセッサ260あるいはプロセッサ270は更に、このシステムに関する「動作中の」(operating)SNRの推定値を導くことができる。そして、プロセッサ270は、推定されたチャネル状態情報(CSI)を提供する。これは、通信リンクおよび/または受信データ・ストリームに関する様々なタイプの情報を備えうる。例えば、CSIは、動作中のSNRのみを備えうる。その後、CSIは、多くのデータ・ストリームに関するトラフィック・データをデータ・ソース276から受け取るTXデータ・プロセッサ278によって処理され、変調器280によって変調され、トランシーバ254a〜254rによって調節され、送信機システム210へ送り戻される。
【0044】
更に、プロセッサ270は、受信機によって受信された信号に基づいて、トランシーバ254に関する、例えばSNRのような幾つかの所望のチャネル条件を提供するマトリクスまたはベクトルに対応するインデクスまたはエントリを選択することができる。プロセッサ270は、トランシーバ222において知られているコードブックに従ってインデクスまたはエントリを量子化することができる。幾つかの局面では、図2に関して記述されているように、5ビット・コードが利用され、広範囲のフィードバックが可能となる。コードブック・サイズおよびエントリは、デバイス毎、セクタ毎、セル毎、またはシステム毎に変わりうる。そして、通信チャネル条件、システム更新値等に基づいて時間とともに更新されうる。
【0045】
送信機システム210では、受信機システム250からの変調信号は、アンテナ224によって受信され、トランシーバ222によって調整され、復調器240によって復調され、RXデータ・プロセッサ242によって処理されて、受信機システムによってレポートされたCSIが復元される。その後、レポートされたCSIは、プロセッサ230へ提供され、(1)データ・スキームのために使用されるデータ・レートおよびコーディングおよび変調スキームを決定し、(2)TXデータ・プロセッサ214とTX MIMOプロセッサ220のための様々な制御を生成するために使用される。
【0046】
更に、プロセッサ270は、アクセス端末に関し、図1〜図5に関して説明した機能のうちの全てまたは幾つかを実行することができる。
【0047】
本明細書に記載の技術は、様々な手段によって実現される。例えば、これらの技術は、ハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせによって実現されうる。ハードウェアによる実現の場合、これら技術に関する処理ユニット(例えば、プロセッサ230、270、TXプロセッサ214、278、およびRXプロセッサ242、260)が、1または複数の特定用途向けIC(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラム可能論理回路(PLD)、フィールド・プログラム可能ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロ・コントローラ、マイクロプロセッサ、本明細書に記載の機能を実行するために設計されたその他の電子ユニと、またはそれらの組み合わせ内に実装されうる。
【0048】
ソフトウェアによる実現の場合、本明細書に記載の技術は、本明細書に記載の機能を実行するために、1または複数のプロセッサによって実現される命令群を含むモジュール(例えば、手順、関数等)を用いて実装されうる。この命令群は、例えば図6に示すメモリ272のような、1または複数のプロセッサ(例えば、コントローラ270)によって読み出され実行されるリムーバブル・メディア上のメモリ等に格納されうる。メモリ・ユニットは、プロセッサ内部かプロセッサ外部に実装され、プロセッサ外部に実装される場合、当該技術分野で知られている様々な手段によってプロセッサと通信可能に接続される。メモリもまた、プロセッサ内部かプロセッサ外部に実装される。外部サーバ等に配置された外部メモリには、例えば、CD−ROMまたはその他のメディアのようなコンピュータ・プログラム製品が格納される。
【0049】
図6はMIMOシステムについて説明しているが、同じシステムは、例えば基地局における複数の送信アンテナが、1または複数のシンボル・ストリームを、例えばモバイル局のような1つのアンテナ・デバイスへ送信する複数入力単数出力システムにも適用可能である。また、図6に関して説明したものと同じ方式で、単一出力単一入力アンテナ・システムにおいても適用可能である。
【0050】
本明細書におけるチャネルの概念は、アクセス・ポイントまたはアクセス端末によって送信される情報タイプまたは送信タイプに当てはまることが注目されるべきである。それは、サブキャリアの固定ブロックまたは予め定めたブロックも、期間も、そのような送信に専用のその他のリソースをも必要としないし、利用もしない。
【0051】
開示された局面の説明は、当業者をして、本発明の製造または利用を可能たらしめるために提供される。これら局面に対する様々な変更は、当業者に容易に明白になるであろう。また、本明細書で定義された一般的な原理は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく他の局面に適用可能である。したがって、本発明は、本明細書に示した局面に限定されるようには意図されず、本明細書に記載の原理および斬新な特徴と一致した最も広い範囲が与えられるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信のために利用可能なサブキャリアのうちの複数のセグメントのうちの1つであるセグメントからなる2またはそれ以上のサブキャリアを介して受信された信号を復号し、少なくとも1つのセグメントのプレコーディング情報を提供するように構成されたプロセッサと、
前記プレコーディング情報を送信するように構成された送信機と
を備える無線通信装置。
【請求項2】
前記送信機は、前記少なくとも1つのセグメントに関連付けられたフィードバック・チャネルで前記プレコーディング情報を送信するように構成された請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記プレコーディング情報をプレコーディング・インデクスとして提供するように構成された請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、信号対雑音比を決定し、前記信号対雑音比の関数としてプレコーディング・インデクスを選択し、提供するように構成された請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記1または複数のサブキャリアを含むセグメントに加えて、サブキャリアのうちの少なくとも1つの他のセグメントのプレコーディング情報を提供するように構成された請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記セグメントはサブ帯域を備える請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項7】
サブキャリアのうち1または複数のセグメントのうちの1つであるセグメントからなる2またはそれ以上のサブキャリアを介して信号を受信することと、
前記受信した信号に基づいて、少なくとも1つのセグメントのプレコーディング情報を生成することと、
前記プレコーディング情報を送信することと
を備える無線通信装置。
【請求項8】
前記送信することは、前記少なくとも1つのセグメントに関連付けられたフィードバック・チャネルで前記プレコーディング情報を送信することを備える請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記生成することは、前記プレコーディング情報をプレコーディング・インデクスとして生成することを備える請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記生成することは、信号対雑音比を決定することと、前記信号対雑音比の関数としてプレコーディング・インデクスを選択することとを備える請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記生成することは、前記1または複数のサブキャリアを含むセグメントに加えて、サブキャリアのうちの少なくとも1つの他のセグメントのプレコーディング情報を生成することを備える請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記セグメントはサブ帯域を備える請求項7に記載の方法。
【請求項13】
サブキャリアのうちの1または複数のセグメントのうちの1つであるセグメントからなる2またはそれ以上のサブキャリアを介して信号を受信する手段と、
前記受信した信号に基づいて、少なくとも1つのセグメントのプレコーディング情報を生成する手段と、
前記プレコーディング情報を送信する手段と
を備える無線通信デバイス。
【請求項14】
前記送信することは、前記少なくとも1つのセグメントに関連付けられたフィードバック・チャネルで前記プレコーディング情報を送信することを備える請求項13に記載の無線通信装置。
【請求項15】
前記生成することは、前記プレコーディング情報をプレコーディング・インデクスとして生成することを備える請求項13に記載の無線通信装置。
【請求項16】
前記生成することは、信号対雑音比を決定することと、前記信号対雑音比の関数としてプレコーディング・インデクスを選択することとを備える請求項15に記載の無線通信装置。
【請求項17】
前記生成することは、前記1または複数のサブキャリアを含むセグメントに加えて、サブキャリアのうちの少なくとも1つの他のセグメントのプレコーディング情報を生成することを備える請求項13に記載の無線通信装置。
【請求項18】
サブキャリアのうちの1または複数のセグメントのうちの1つであるセグメントからなる2またはそれ以上のサブキャリアを介して信号を受信する命令群と、
前記受信した信号に基づいて、少なくとも1つのセグメントのプレコーディング情報を生成する命令群と、
前記プレコーディング情報を送信する命令群と
を備えるコンピュータ読取可能媒体を備えるコンピュータ・プログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−205669(P2011−205669A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−107105(P2011−107105)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【分割の表示】特願2008−538009(P2008−538009)の分割
【原出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】