説明

無線通信システム及び使用無線周波数判定方法

【課題】無線通信の通信品質が劣化したときに、システム全体で使用周波数帯域を通信品質の良好な周波数帯域に変更する。
【解決手段】各機器が運用チャネルを用いている時間帯において、プリンタ20は、コントローラ10から送信される定期パケットの受信状態を記憶し、受信成功率を算出する。各機器は、スキャン開始時刻になると、使用する無線チャネルをスキャンチャネルへ切り替え、スキャン終了時刻になると使用する無線チャネルを運用チャネルへ戻す。プリンタ20は、スキャン中、スキャンチャネルによってコントローラ10から送信される定期パケットの受信状態を記憶し、受信成功率を算出する。コントローラ10は、プリンタ20から運用チャネル及びスキャンチャネルの受信成功率を収集し、スキャンチャネルの受信成功率の方が高い場合は、スキャンチャネルを新たな運用チャネルに決定し、プリンタ20及びハンディーターミナル30へ通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム及び使用無線周波数判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ファミリーレストランや居酒屋などの外食産業では、無線通信システムを適用した注文管理システムを導入している。注文管理システムでは、接客担当の店員がハンディーターミナルにお客様の注文内容を入力すると、ハンディーターミナルは、入力された注文内容を示す注文データを無線によってコントローラへ送信する。コントローラは、受信した注文データから調理伝票などの伝票データを生成して無線によりプリンタへ送信する。プリンタは、コントローラから受信した伝票データを印字し、厨房のスタッフは、印字された調理伝票によって注文内容を確認して注文された料理の調理を行う。
【0003】
ところで、特許文献1には、制御チャネルとデータチャネルとを用いて通信を行う無線通信システムにおいて、妨害波が存在しないチャネルへ制御チャネルを変更することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−021794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
注文管理システムには、ハンディーターミナルからコントローラへの注文データの送信や、コントローラからプリンタへの伝票データの送信に無線を使用する。注文管理システムにおける無線の通信方式として、例えば、IEEE 802.11a/b/g規格の無線LAN(Local Area Network)を用いたオープンアーキテクチャが使用される。
しかしながら、IEEE 802.11a/b/g規格の通信方式は、通信速度、ソフトウェア開発効率、他のシステムとの接続性などのメリットがある一方、多くのパーソナルコンピュータや携帯機器なども無線LANを使用しているために干渉を受け易い。加えて、IEEE 802.11b/gは、2.4GHz(ギガヘルツ)帯の周波数を使用するため、電子レンジが動作時に発する電波の影響を受け易い。
【0006】
また、店舗に注文管理システムを導入するときには事前に通信品質を検証し、検証した結果が良好な無線周波数を運用で用いる。しかし、検証時には無線干渉や妨害波がなくても、周辺に不定期に電波を出力する機器が存在する場合がある。そのため、検証後に実際に運用を開始した後、その機器が電波を出力した場合、その出力がある間は、干渉が発生して注文データや伝票データの通信ができなくなってしまい、円滑な注文処理に支障をきたしてしまう。
【0007】
特許文献1では、基地局装置と端末間において、次に使用する制御チャネルを決定するものであるが、注文管理システムが現在使用している周波数の通信品質が低下した場合に、システム全体で使用する周波数帯を変更するものではなかった。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、無線通信の通信品質が劣化したときに、システム全体で使用周波数帯域を通信品質の良好な周波数帯域に変更することができる無線通信システム及び使用無線周波数判定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、通信制御装置と通信装置とが無線により通信する無線通信システムであって、前記通信制御装置は、運用チャネルによりデータを送受信する第1の無線送受信部と、前記第1の無線送受信部に通信品質の測定に用いる品質測定用信号を前記運用チャネルにより送信させ、スキャンを実行する所定の時間帯において、前記第1の無線送受信部が使用する前記運用チャネルを通信品質測定対象の無線チャネルであるスキャンチャネルに変更するとともに品質測定用信号を前記スキャンチャネルにより送信させる品質測定用信号送信処理部と、前記通信装置から前記運用チャネル及び前記スキャンチャネルそれぞれによる前記品質測定用信号の受信状況を受信する受信状況収集部と、前記受信状況収集部が受信した前記運用チャネル及び前記スキャンチャネルそれぞれの受信状況に基づいて前記運用チャネルを前記スキャンチャネルへ変更するか否かを判断し、前記スキャンチャネルへ変更すると判断した場合、前記スキャンチャネルを新たな運用チャネルとして前記通信装置へ通知するとともに、前記第1の無線送受信部が使用する運用チャネルを前記新たな運用チャネルに変更する通信チャネル決定部と、を備え、前記通信装置は、前記運用チャネルによりデータを送受信する第2の無線送受信部と、前記運用チャネルによる前記品質測定用信号の受信状況と前記スキャンチャネルによる前記品質測定用信号の受信状況を記憶する記憶部と、前記第2の無線送受信部が前記運用チャネルにより受信した前記品質測定用信号の受信状況を前記記憶部に書き込み、スキャンを実行する前記所定の時間帯において、前記第2の無線送受信部が使用する前記運用チャネルを前記スキャンチャネルに変更するとともに前記スキャンチャネルにより受信した前記品質測定用信号の受信状況を前記記憶部に書き込む品質測定用信号受信処理部と、前記記憶部から読み出した前記運用チャネルによる前記品質測定用信号の受信状況と前記スキャンチャネルによる前記品質測定用信号の受信状況とを前記通信制御装置に通知する受信状況通知部と、前記通信制御装置から前記新たな運用チャネルの通知を受信し、前記第2の無線送受信部が使用する運用チャネルを前記新たな運用チャネルに変更する運用チャネル通知受信部と、を備える、ことを特徴とする無線通信システムである。
【0010】
また、本発明の一態様は、上述する無線通信システムであって、前記第2の無線送受信部は、前記通信装置の起動時に接続要求を送信し、前記通信装置は、前記第2の無線送受信部が送信した前記接続要求に対応して前記通信制御装置からの接続応答を受信しなかった場合、前記第2の無線送受信部が使用する前記運用チャネルを前記スキャンチャネルに変更するとともに接続要求を前記スキャンチャネルにより送信させる接続要求部をさらに備え、前記通信制御装置は、スキャンを実行していない時間帯に前記第1の無線送受信部が前記運用チャネルにより前記接続要求を受信した場合、あるいは、スキャンを実行している時間帯に前記第1の送受信部が前記スキャンチャネルにより前記接続要求を受信した場合、前記第1の無線送受信部から前記接続要求の送信元の前記通信装置へ受信応答を返送させる要求受信部をさらに備える、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様は、上述する無線通信システムであって、前記要求受信部は、前記接続要求の送信元の前記通信装置に、スキャンを実行する時間帯を通知し、前記品質測定用信号受信処理部は、前記要求受信部から通知された前記時間帯において、前記第2の無線送受信部が使用する前記運用チャネルを前記スキャンチャネルに変更するとともに前記スキャンチャネルにより受信した前記品質測定用信号の受信状況を前記記憶部に書き込む、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様は、上述する無線通信システムであって、前記要求受信部は、前記接続要求の送信元の前記通信装置に、前記運用チャネル、前記スキャンチャネル、及び前記時間帯に使用すべき前記スキャンチャネルを示す情報を通知する、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様は、上述する無線通信システムであって、前記通信装置及び前記通信制御装置は、時計を備え、前記要求受信部は、前記接続要求の送信元の前記通信装置に、前記通信装置が備える前記時計から取得した時刻を通知し、前記通信装置は、前記通信制御装置から受信した時刻を前記通信装置が備える前記時計に設定する情報受信部を備え、前記品質測定用信号受信処理部は、前記通信装置が備える前記時計から取得した時刻によりスキャンを実行する時間帯であるかを判断する、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様は、上述する無線通信システムであって、複数の前記通信装置のうち一部の前記通信装置が、前記品質測定用信号受信処理部及び前記受信状況通知部を備える、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様は、上述する無線通信システムであって、前記一部の前記通信装置とは異なる前記通信装置は、時間を計測するタイマと、前記第2の無線送受信部を動作させない省電力状態に移行する前に、スキャンを実行する時間帯の開始までの時間を前記タイマに設定し、前記タイマの計測が満了した場合に、省電力状態を終了して前記第2の無線送受信部を動作させ、前記第2の無線送受信部から接続要求を送信させる間欠通信処理部とをさらに備える、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の一態様は、上述する無線通信システムであって、前記通信装置は、注文管理システムにおいて注文データの入力を受ける注文入力装置、及び、前記注文管理システムにおいて伝票データを印字するプリンタであり、前記通信制御装置は、前記注文管理システムにおいて、前記注文入力装置に入力された前記注文データに基づいて前記伝票データを生成し、生成した前記伝票データを前記プリンタに印字させるコントローラ装置である、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の一態様は、通信制御装置と通信装置とが無線により通信する無線通信システムにおける使用無線周波数判定方法であって、前記通信制御装置は、運用チャネルによりデータを送受信する第1の無線送受信部を備え、前記通信装置は、運用チャネルによりデータを送受信する第2の無線送受信部を備えており、前記通信制御装置において、品質測定用信号送信処理部が、前記第1の無線送受信部に通信品質の測定に用いる品質測定用信号を前記運用チャネルにより送信させ、スキャンを実行する所定の時間帯において、前記第1の無線送受信部が使用する前記運用チャネルを通信品質測定対象の無線チャネルであるスキャンチャネルに変更するとともに品質測定用信号を前記スキャンチャネルにより送信させる品質測定用信号送信過程と、前記通信装置において、品質測定用信号受信処理部が、前記第2の無線送受信部が前記運用チャネルにより受信した前記品質測定用信号の受信状況を記憶部に書き込み、スキャンを実行する前記所定の時間帯において、前記第2の無線送受信部が使用する前記運用チャネルを前記スキャンチャネルに変更するとともに前記スキャンチャネルにより受信した前記品質測定用信号の受信状況を前記記憶部に書き込む品質測定用信号受信処理過程と、受信状況通知部が、前記記憶部から読み出した前記運用チャネルによる前記品質測定用信号の受信状況と前記スキャンチャネルによる前記品質測定用信号の受信状況とを前記通信制御装置に通知する受信状況通知過程と、前記通信制御装置において、受信状況収集部が、前記通信装置から前記運用チャネル及び前記スキャンチャネルそれぞれによる前記品質測定用信号の受信状況を受信する受信状況収集過程と、通信チャネル決定部が、前記受信状況収集過程において受信した前記運用チャネル及び前記スキャンチャネルそれぞれの受信状況に基づいて前記運用チャネルを前記スキャンチャネルへ変更するか否かを判断し、前記スキャンチャネルへ変更すると判断した場合、前記スキャンチャネルを新たな運用チャネルとして前記通信装置へ通知するとともに、前記第1の無線送受信部が使用する運用チャネルを前記新たな運用チャネルに変更する通信チャネル決定過程と、前記通信装置において、運用チャネル通知受信部が、前記通信制御装置から前記新たな運用チャネルの通知を受信し、前記第2の無線送受信部が使用する運用チャネルを前記新たな運用チャネルに変更する運用チャネル変更過程と、を有することを特徴とする使用無線周波数判定方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、無線通信システムにおいて無線通信の通信品質が劣化した場合に、当該無線通信システム全体で使用周波数帯域を通信品質の良い周波数帯域へ切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態による注文管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態によるコントローラの内部構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態によるプリンタの内部構成を示すブロック図である。
【図4】同実施形態によるハンディーターミナルの内部構成を示すブロック図である。
【図5】同実施形態によるシステムIDのデータ構成を示す図である。
【図6】同実施形態によるスキャンテーブルのデータ構成例を示す図である。
【図7】同実施形態による現在状態テーブルのデータ構成例を示す図である。
【図8】同実施形態によるチャネルスキャン設定データのデータ構成例を示す図である。
【図9】同実施形態による通信パケットのヘッダ設定例を示す図である。
【図10】同実施形態による注文管理システムの通信チャネルの推移の例を示す図である。
【図11】同実施形態による現在状態テーブルの遷移の例を示す図である。
【図12】同実施形態によるプリンタ及びハンディーターミナルの電源起動時の注文管理システムのシーケンス図である。
【図13】同実施形態によるスキャン中の定期パケットの送受信の流れを示すシーケンス図である。
【図14】同実施形態による注文発生時の注文管理システムのシーケンス図である。
【図15】同実施形態によるコントローラの処理フローを示す図である。
【図16】同実施形態によるプリンタの処理フローを示す図である。
【図17】同実施形態によるプリンタにおける定期パケット受信処理の処理フローを示す図である。
【図18】同実施形態によるプリンタにおけるスキャンチャネルのスキャン処理の処理フローを示す図である。
【図19】同実施形態によるプリンタにおけるチャネル制御通信処理の処理フローを示す図である。
【図20】同実施形態によるハンディーターミナルの処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態では、無線通信システムを、外食産業等に用いられる注文管理システムに適用した場合を例に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態による注文管理システム(無線通信システム)の全体構成を示す図である。同図に示す注文管理システムは、無線通信システムの通信制御装置としてのコントローラ10と、無線通信システムの通信装置としてのプリンタ20及びハンディーターミナル30とを備えて構成される。注文管理システムは、プリンタ20及びハンディーターミナル30をそれぞれ1台以上備え得るが、同図においては、プリンタ20を2台、ハンディーターミナル30を2台備える場合を示している。2台のプリンタ20をそれぞれ、プリンタ20a、プリンタ20bと記載し、2台のハンディーターミナル30をそれぞれ、ハンディーターミナル30a、ハンディーターミナル30bと記載する。また、コントローラ10、プリンタ20及びハンディーターミナル30を総称して「機器」とも記載する。コントローラ10及びプリンタ20には、AC(Alternating Current)電源により電力が供給される。一方、可搬の通信端末であるハンディーターミナル30には、電池等により電力が供給される。
【0022】
注文管理システムの各機器は、無線により通信する。同図においては、コントローラ10は、プリンタ20a及びハンディーターミナル30aと無線により通信し、プリンタ20aは、コントローラ10、プリンタ20b及びハンディーターミナル30bと無線により通信する。また、同図においては、ハンディーターミナル30aは、コントローラ10とのみ無線により通信し、プリンタ20b及びハンディーターミナル30bは、プリンタ20aとのみ無線により通信する。同図ではこのように各機器が通信を行うが、各機器がいずれの機器と直接無線により通信するかについては、各機器の起動時に他の機器との間で無線信号が送受信可能な受信レベルであるかに基づいて決定する。
【0023】
注文管理システムの運用開始時、機器間の通信には、例えば、運用前の実測において通信品質が良好であった無線チャネルを使用する。無線チャネルとは、データの送受信に使用する無線周波数の帯域である。以下、注文管理システムが、通常の運用状態で使用する無線チャネルを「運用チャネル」と記載する。コントローラ10は、運用チャネルによる運用中に品質測定用信号である定期パケットを送信し、通信品質を測定する。
また、注文管理システムは、運用チャネル以外の無線チャネルの通信品質を測定するため、予め決められた時間帯に、通信チャネル(使用している無線チャネル)を運用チャネル以外の予め決められた無線チャネルへ変更する。コントローラ10は、変更された無線チャネルによっても品質測定用信号である定期パケットを送信する。以下、運用チャネル以外の無線チャネルの通信品質の測定を「スキャン」と記載し、スキャン対象の無線チャネルを「スキャンチャネル」と記載する。
プリンタ20における定期パケットの受信状況から運用チャネル、スキャンチャネルそれぞれの通信品質が得られ、コントローラ10は、運用チャネルの通信品質よりもスキャンチャネルの通信品質がよい場合、そのスキャンチャネルを新たな運用チャネルに変更する。コントローラ10は、新たな運用チャネルをプリンタ20及びハンディーターミナル30に通知する。これにより、注文管理システムの全ての機器は、運用チャネルの品質が劣化した場合でも、通信品質のよい他の無線チャネルへ運用チャネルを切り替えることができる。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態によるコントローラ10の内部構成を示すブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみ抽出して示してある。
同図に示すように、コントローラ10は、無線送受信部11、処理部12、記憶部13及び時計14を備えて構成される。
記憶部13は、システムID、スキャンテーブル、チャネルスキャン設定データ、現在状態テーブル、現在状態番号データ、スキャン番号データ、品質測定結果データ、注文管理データなどの各種データを記憶する。
システムIDは、注文管理システムを特定する識別情報であり、注文管理システム毎にユニークな番号である無線識別IDが含まれる。スキャンテーブルは、スキャンチャネルとそのスキャン順序を示すデータである。チャネルスキャン設定データは、スキャン開始時刻とスキャンの実行時間であるスキャン時間とを示すデータである。現在状態テーブルは、無線チャネルの番号と、当該番号に割り当てられた無線チャネルを示すデータである。本実施形態では、番号「0」に現在の運用チャネルを割り当て、番号「1」〜「n」に、現在のスキャンチャネルを割り当てる。現在状態番号データは、現在の通信チャネルを現在状態テーブルに設定されている番号により示すデータである。スキャン番号データは、スキャンを実行する時間帯において使用すべきスキャンチャネルを現在状態テーブルに設定されている番号により示すデータである。品質測定結果データは、他の機器から収集した運用チャネル及びスキャンチャネルの受信品質を示し、具体的には、運用チャネル及びスキャンチャネルそれぞれの定期パケットの受信成功率を示す受信成功率データである。注文管理データは、ハンディーターミナル30から受信した注文データを示す。注文データは、お客様が利用しているテーブルのテーブル番号、注文品とその注文数量などの情報が含まれる。
時計14は、現在の時刻を示す情報を出力する。
【0025】
無線送受信部11は、無線により他の機器とデータの送受信を行う。無線送受信部11は、送信するデータに記憶部13に記憶されているシステムID内の無線識別IDを付加する。また、無線送受信部11は、受信したデータに記憶部13に記憶されているシステムID内の無線識別IDと同一の無線識別IDが付加されていれば、受信したデータを処理部12に出力し、同一の無線識別IDが付加されていなければ、受信したデータを破棄する。
【0026】
処理部12は、定期パケット送信処理部121、受信成功率収集部122、通信チャネル決定部123、要求受信部124、注文データ処理部125、伝票データ処理部126及び会計データ処理部127を備える。
【0027】
定期パケット送信処理部121は、チャネルスキャン設定データが示すスキャン開始時刻となったときに、スキャンテーブルが示すスキャンチャネルへの変更を無線送受信部11に指示し、スキャン開始時刻からスキャン時間経過後に、運用チャネルへの変更を無線送受信部11に指示する。また、定期パケット送信処理部121は、所定の時間に定期パケットを送信するよう無線送受信部11に指示する。
受信成功率収集部122は、無線送受信部11を介して他の機器から品質測定結果データを受信し、記憶部13に書き込む。
通信チャネル決定部123は、記憶部13に記憶されている品質測定結果データが示す運用チャネルの通信品質とスキャンチャネルの通信品質とに基づいて、運用チャネルを変更すべきか否かを判断する。通信チャネル決定部123は、運用チャネルを変更すると判断した場合、新たな運用チャネルへの変更指示を他の機器に送信するよう無線送受信部11に指示する。
要求受信部124は、他の機器からの要求に対応して各種情報を通知する。
【0028】
注文データ処理部125は、無線送受信部11を介してハンディーターミナル30から注文データを受信し、記憶部13に記憶されている注文管理データに登録する。
伝票データ処理部126は、注文データ処理部125が受信した注文データから各プリンタ20宛ての伝票データを生成し、宛先となるプリンタ20へ送信するよう無線送受信部11に指示する。伝票データは、注文データで示されるテーブル番号、当該注文データに含まれる注文品の一部または全部とその注文品の注文数量などの情報を含む。
会計データ処理部127は、注文データ処理部125が受信した注文データから会計データを生成し、図示しないPOS(Point Of Sale)システムへ送信する。会計データは、会計データを特定する情報と、注文品及びの注文数量などの情報を含む。
【0029】
図3は、プリンタ20の内部構成を示すブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみ抽出して示してある。
同図に示すように、プリンタ20は、無線送受信部21、処理部22、記憶部23、時計24及び印字部25を備えて構成される。
記憶部23は、システムID、通信品質測定用信号受信状況データ、スキャンテーブル、チャネルスキャン設定データ、現在状態テーブル、現在状態番号データ、スキャン番号データなどの各種データを記憶する。通信品質測定用信号受信状況データは、運用チャネル及びスキャンチャネルの通信品質測定用得信号の受信状況を示し、具体的には、運用チャネル及びスキャンチャネルそれぞれについての定期パケットの受信成功回数、受信失敗回数、受信成功率である。定期パケットは、予め決められたフォーマットのデータであり、予め決められた時間間隔で送信される。従って、定期パケットの受信成功とは、前回受信した時刻から決められた時間以内に、予め決められたフォーマットのデータとして認識される定期パケットを受信できることを言う。
【0030】
無線送受信部21は、無線により他の機器とデータの送受信を行う。無線送受信部21は、送信するデータに記憶部23に記憶されているシステムID内の無線識別IDを付加する。また、無線送受信部21は、受信したデータに記憶部23に記憶されているシステムID内の無線識別IDと同一の無線識別IDが付加されていれば、受信したデータを処理部22に出力し、同一の無線識別IDが付加されていなければ、受信したデータを破棄する。
時計24は、現在の時刻を示す情報を出力する。印字部25は、紙への印字を行う。
【0031】
処理部22は、接続要求部221、情報受信部222、運用チャネル通知受信部223、定期パケット受信処理部224、成功率計算部225、成功率通知部226、伝票データ受信処理部227及び印字制御部228を備える。
接続要求部221は、電源起動時にコントローラ10宛に接続要求を送信するよう無線送受信部21に指示する。
情報受信部222は、接続要求に対応してコントローラ10から送信された各種情報を記憶部23に書き込む。
運用チャネル通知受信部223は、コントローラ10から通知された現在状態テーブル、現在状態番号データ、スキャン番号データなどを記憶部23に書き込むとともに、無線送受信部21の通信チャネルを現在状態テーブルの番号「0」に割り当てられた運用チャネルに変更する。
定期パケット受信処理部224は、無線送受信部21が定期パケットを受信したか否かを判断し、運用チャネル及びスキャンチャネルそれぞれの定期パケットの受信成功回数、受信失敗回数を記憶部23に書き込む。
成功率計算部225は、記憶部23に記憶されている定期パケットの受信成功回数、受信失敗回数を用いて、運用チャネル及びスキャンチャネルそれぞれの受信成功率を算出し、記憶部23に書き込む。
成功率通知部226は、記憶部23から読み出した運用チャネル及びスキャンチャネルの受信成功率を示す受信成功率データをコントローラ10宛に送信するよう無線送受信部21に指示する。
伝票データ受信処理部227は、無線送受信部21を介して伝票データを受信する。
印字制御部228は、伝票データ受信処理部227が受信した伝票データを印字部25に印字させる。
【0032】
図4は、ハンディーターミナル30の内部構成を示すブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみ抽出して示してある。
同図に示すように、ハンディーターミナル30は、無線送受信部31、処理部32、記憶部33、タイマ34、タッチパネル35、キー36及び時計37を備えて構成される。
記憶部33は、システムID、スキャンテーブル、チャネルスキャン設定データ、現在状態テーブル、現在状態番号データ、スキャン番号データなどの各種データを記憶する。タッチパネル35は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)タッチパネルであり、情報を表示するとともに、ユーザ操作による入力を受ける。
無線送受信部31は、無線により他の機器とデータの送受信を行う。無線送受信部31は、送信するデータに記憶部33に記憶されているシステムID内の無線識別IDを付加する。また、無線送受信部31は、受信したデータに記憶部33に記憶されているシステムID内の無線識別IDと同一の無線識別IDが付加されていれば、受信したデータを処理部32に出力し、同一の無線識別IDが付加されていなければ、受信したデータを破棄する。
キー36は、ユーザが情報を入力するためのキーである。タイマ34は、時間を計測する。時計37は、現在の時刻を示す情報を出力する。
【0033】
処理部32は、間欠通信処理部321、情報受信部322、表示処理部323、注文入力処理部324及び注文データ送信処理部325を備える。
間欠通信処理部321は、タイマ34により起動し、他の機器との通信を確立する。
情報受信部322は、コントローラ10宛てに情報問合せを送信するよう無線送受信部31に指示し、情報問合せに対応して通知された情報を無線送受信部31を介して受信し、記憶部33に書き込んだり、タッチパネル35に表示させるよう表示処理部323に指示したりする。
表示処理部323は、各種情報をタッチパネル35に表示させる。
注文入力処理部324は、タッチパネル35やキー36により入力された注文内容の情報から注文データを生成する。
注文データ送信処理部325は、注文入力処理部324が生成した注文データをコントローラ10宛に送信するよう無線送受信部31に指示する。
【0034】
次に、図5、図6、図7、図8、図9を用いて、注文管理システムに用いられる各種データについて説明する。
【0035】
図5は、システムIDのデータ構成例を示す図である。一つの注文管理システムを構成するコントローラ10、プリンタ20、ハンディーターミナル30には全てが同じ値のシステムIDが設定される。つまり、システムIDによって、各機器がいずれの注文管理システムに属するかが決定される。同図に示すように、システムIDは、2桁の運用チャネル識別、1桁のスキャンテーブル番号、ユニーク番号を示す7桁の無線識別IDとからなる。なお、1桁は8ビットである。
本実施形態において、システムIDは、本注文管理システムを店舗等に設置する際に、当該システムを構成する各機器に設定するものとする。
【0036】
運用チャネル識別は、運用チャネルとして初期設定された通信チャネルを示す。運用チャネル識別「01」〜「14」は、IEEE802.11bの通信チャネルを示し、運用チャネル識別「36」、「40」、「44」、「48」は、IEEE802.11aの通信チャネルを示し、それ以外の値はデフォルトチャネルであるIEEE802.11aの36チャネルを示す。スキャンテーブル番号は、スキャンチャネルとそのスキャンの順番を示すレコードを特定する。ユニーク番号は、注文管理システム毎にユニークな番号である。
【0037】
図6は、スキャンテーブルのデータ構成例を示す図である。同図に示すスキャンテーブルは、スキャンチャネルとそのスキャン順をスキャンテーブル番号毎に示す。例えば、システムIDの3桁目のスキャンテーブル番号が「1」であれば、IEEE802.11aの無線チャネル「40」→「44」→「48」の順にスキャンを行うことが記述されている。以下、テーブル番号「x」に対応したスキャンテーブルのレコードを、スキャンテーブル[x]と記載する。
【0038】
本実施形態において、スキャンテーブルは、同じ注文管理システムを構成する各機器に共通する情報である。スキャンテーブルの初期値は、例えば、各機器の図示しないROM(Read Only Memory)などに記憶され、ROMから各機器の記憶部(コントローラ10の記憶部13、プリンタ20の記憶部23、ハンディーターミナル30の記憶部33)にコピーされ、記憶される。
【0039】
図7は、現在状態テーブルのデータ構成例を示す図である。同図に示すように、現在状態テーブルは、無線チャネルの番号と、当該番号に割り当てられた現在の運用チャネル、スキャンチャネルを示している。本実施形態では、番号(No.)「0」に運用チャネルを割り当て、番号「1」〜「n」にスキャンチャネルを割り当てている。
【0040】
現在状態テーブルは、コントローラ10の起動時にシステムIDに基づいて生成される。コントローラ10は、番号「0」に、システムIDの運用チャネル識別に基づいて決定される運用チャネルを割り当て、番号「1」〜「n」に、システムIDのスキャンテーブル番号に基づいてスキャンテーブルから読み出したスキャンチャネルをスキャン順に割り当て、現在状態テーブルを生成する。あるいは、起動時、既に記憶部13に現在状態テーブルが記憶されている場合、コントローラ10は、システムIDに基づく現在状態テーブルの生成は行わず、その記憶されている現在状態テーブルの番号「0」に割り当てられた無線チャネルを読み込み、この無線チャネルを運用チャネルとして使用し、通信を開始する。
【0041】
同図は、図5に示すシステムIDに基づいて生成された現在状態テーブルである。番号(No.)「0」には、システムIDの運用チャネル識別「12」により示される運用チャネル「IEEE802.11bの12チャネル」が割り当てられている。また、番号「1」〜「4」には、システムIDのスキャンテーブル番号「3」に対応してスキャンテーブル(図6)に登録されている「IEEE802.11aの36チャネル」、「IEEE802.11aの44チャネル」、「IEEE802.11bの1チャネル」、「IEEE802.11bの6チャネル」がスキャン順に割り当てられている。番号「5」以降には、スキャンチャネルがないということを示す情報として、例えば「−1」などの数値を設定する。
【0042】
ところで、現在状態番号データは、現在の通信チャネルが現在状態テーブルにより示される何番目の無線チャネルであるかを示す。例えば、図7の現在状態テーブルを使用している場合、現在状態番号データが番号「0」を示していれば、現在、運用チャネル「IEEE802.11bの12チャネル」を通信チャネルとして通信中であることが分かる。また、現在状態番号データが番号「3」を示していれば、現在、スキャンチャネル「IEEE802.11bの1チャネル」を通信チャネルとして通信中であることが分かる。このように、現在状態テーブルと現在状態番号データとを確認することにより、現在の通信チャネルと、その通信チャネルが運用チャネルとして使用中であるのか(現在、通常の通信中であるのか)、または、スキャンチャネルとして使用中であるのか(現在、スキャン中であるのか)を確認することができる。
【0043】
また、スキャン番号データは、スキャン対象のスキャンチャネルが、現在状態テーブルにより示される何番目の無線チャネルであるかを示す。コントローラ10は、例えば、スキャン開始時にスキャン番号データを記憶部13に書き込む。従って、次回のスキャンでは、記憶部13に記憶されているスキャン番号データが示す番号の次の番号を使用すればよい。例えば、スキャン番号データが番号「2」を示していれば、次回のスキャンの際には番号「3」のスキャンチャネルを使用し、スキャン番号データを番号「3」に更新する。スキャン番号データが番号「4」を示している場合、番号「5」が割り当てられているスキャンチャネルが現在状態番号データに登録されていないため、次回のスキャンの際は番号「1」のスキャンチャネルを使用し、記憶部13に記憶されているスキャン番号データを番号「1」に更新する。
なお、プリンタ20及びハンディーターミナル30も同様に、起動時にシステムIDに基づいて現在状態テーブルを生成し、通信チャネルの変更に伴って現在状態番号データ及びスキャン番号データを更新する。
【0044】
図8は、チャネルスキャン設定データのデータ構成例を示す図である。同図に示すように、チャネルスキャン設定データは、スキャンモードの番号と、スキャン開始時刻及びスキャン時間を示す詳細情報との対応付けを示すデータである。スキャンモード「0」の詳細情報は、スキャン開始時刻が毎時25分、55分であり、5分間のスキャンを行うことを示す。また、スキャンモード「1」の詳細情報は、個別に指定したスキャン開始時刻及びスキャン時間を示す。同図に示す例では、0時から7時までは20分おき、7時から11時までは30分おき、11時から14時までは1時間おき、…であり、スキャン時間は3分間であることが示されている。以下、スキャンモード「x」に対応したチャネルスキャン設定データの詳細情報をチャネルスキャン設定[x]と記載する。
【0045】
図9は、機器間で送受信される通信パケットのヘッダ設定例を示す図である。通信パケットに付加されるヘッダ情報は、送信元、送信先及び中継先の情報を含む。コントローラ10の無線送受信部11、プリンタ20の無線送受信部21、ハンディーターミナル30の無線送受信部31(以下、総称して「無線送受信部」と記載する。)は、自機器が送信元である通信パケットに付加するヘッダの送信元には自機器の識別情報を設定し、送信先には宛先の機器の識別情報を設定する。無線送受信部は、自機器以外の識別情報、あるいは、全ての機器を示す情報がヘッダの宛先に設定されている通信パケットを受信した場合、受信した通信パケットのヘッダの中継先に自機器の識別情報を設定した後、無線により送信することにより、通信パケットの中継を行う。
【0046】
図9(a)は、コントローラ10から全ての機器に一斉に送信される定期パケットのヘッダ設定例である。同図に示すように、送信元には、コントローラ10の識別情報「CNT」が、送信先には、全ての機器を示す情報「***」が設定されている。この定期パケットには、コントローラ10の時計14から出力される現在時刻が含まれる。
【0047】
図9(b)は、コントローラ10から送信された定期パケットを中継したプリンタ20aが送信する定期パケットのヘッダ設定例である。同図に示すように、送信元には、コントローラ10の識別情報「CNT」が設定され、送信先には、全ての機器を示す情報「***」が設定され、中継先には、プリンタ20aの識別情報「PRa」が設定されている。プリンタ20aが送信する定期パケットには、コントローラ10から受信した定期パケットに設定されていた現在時刻が含まれる。つまり、中継された定期パケットには、コントローラ10の時計14から出力された現在時刻が設定される。
【0048】
図9(c)は、プリンタ20aが中継した接続要求のヘッダ設定例である。同図に示すように、送信元には、接続要求を送信したハンディーターミナル30bの識別情報「HTb」が設定され、送信先には、コントローラ10の識別情報「CNT」が設定され、中継先には、プリンタ20aの識別情報「PRa」が設定されている。
【0049】
次に、注文管理システムにおける運用とスキャンの概略を説明する。
図10は、注文管理システムの通信チャネルの推移の例を示す図である。同図では、システムIDが「3611234567」、スキャンモードが「0」である注文管理システムの場合の例を説明する。
このシステムIDによれば、運用チャネル識別は「36」であり、運用チャネルの初期値は、「IEEE802.11bの36ch(チャネル)」である(図5参照)。また、スキャンテーブル番号は「1」であり、スキャンテーブル[1]には、IEEE802.11aの40ch→44ch→48chの順にスキャンを行うことが記述されている(図6参照)。よって、コントローラ10は起動時に、番号「0」に、「IEEE802.11bの36ch」を割り当て、番号「1」、「2」、「3」にそれぞれ、「IEEE802.11aの40ch」、「IEEE802.11aの44ch」、「IEEE802.11aの48ch」を割り当てた現在状態テーブルを生成する。図11(a)は、生成された現在状態テーブルを示す図である。コントローラ10は、以後、現在状態テーブルの無線チャネルを読み出して通信を行う。
【0050】
また、注文管理システムのスキャンモードは「0」であり、チャネルスキャン設定[0]には、毎時25分、55分に5分間のスキャンを行うことが記述されている(図8参照)。なお、通信品質の測定のための定期パケットは、無線チャネルに関わらず、所定のタイミングでコントローラ10から一斉送信される。
【0051】
まず、8時00分に、注文管理システムの機器の電源が投入されると、各機器は、システムID及びスキャンテーブルに基づき現在状態テーブルを生成し、現在状態テーブルの番号「0」、すなわち、システムIDの運用チャネル識別で示される「IEEE802.11bの36ch」を使用して無線通信する。また、この際、各機器は、番号「0」を示す現在状態番号データを記憶する。
【0052】
注文管理システムの各機器は、チャネルスキャン設定[0]で示される(8時)「25分」になると、スキャン番号データを参照する。しかしここでは、スキャン番号データにはまだ何も設定されていないため、現在状態テーブルから番号「1」に割り当てられているスキャンチャネル(スキャンテーブル[1]に記述されている最初のスキャンチャネル)「IEEE802.11aの40ch」を読み出す。注文管理システムは、通信チャネルを読み出したスキャンチャネルに変更し、注文データや伝票データなどの各種データを送受信しながらスキャンを行う。また、この際、注文管理システムの各機器は、現在状態番号データを番号「1」に書き換えるとともに、番号「1」を設定したスキャン番号データを記憶する。
【0053】
スキャン開始から、チャネルスキャン設定[0]で示されるスキャン時間「5分間」が経過した8時30分になると、注文管理システムの各機器は、現在状態テーブルから番号「0」に割り当てられている運用チャネル「IEEE802.11bの36ch」を読み出し、通信チャネルをこの読み出した運用チャネルに戻す。また、この際、注文管理システムの各機器は、現在状態番号データを番号「0」に書き換える。
【0054】
注文管理システムの各機器は、チャネルスキャン設定[0]で示される(8時)「55分」になると、現在状態テーブルから、スキャン番号データが示す番号「1」の次の番号「2」に割り当てられているスキャンチャネル(スキャンテーブル[1]に記述されている2番目のスキャンチャネル)「IEEE802.11aの44ch」を読み出す。注文管理システムは、通信チャネルをこの読み出したスキャンチャネルに変更し、注文データや伝票データなどの各種データを送受信しながらスキャンを行う。また、この際、注文管理システムの各機器は、現在状態番号データ及びスキャン番号データを番号「2」に書き換える。
【0055】
スキャン開始からスキャン時間「5分間」が経過した9時00分になると、注文管理システムの各機器は、現在状態テーブルから番号「0」に割り当てられている運用チャネル「IEEE802.11bの36ch」を読み出し、使用する通信チャネルをこの読み出した運用チャネルに戻す。また、この際、注文管理システムの各機器は、現在状態番号データを番号「0」に書き換える。
【0056】
同様にして、注文管理システムの各機器は、チャネルスキャン設定[0]で示される(9時)「25分」になると、現在状態テーブルから、スキャン番号データが示す番号「2」の次の番号「3」に割り当てられているスキャンチャネル(スキャンテーブル[1]に記述されている3番目のスキャンチャネル)「IEEE802.11aの48ch」を読み出す。注文管理システムは、通信チャネルをこの読み出したスキャンチャネルに変更し、注文データや伝票データなどの各種データを送受信しながらスキャンを行う。また、この際、注文管理システムの各機器は、現在状態番号データ及びスキャン番号データを番号「3」に書き換える。
スキャン開始からスキャン時間「5分間」が経過した9時30分になると、コントローラ10は、スキャンを終了する。
【0057】
コントローラ10は、スキャン番号データが、スキャンチャネルの割り当てがある最後の番号「3」であり、現在状態テーブルに設定されているスキャンチャネル(スキャンテーブル[1]に記述されているスキャンチャネル)の全てのスキャンを終えたため、運用チャネルの通信品質と、各スキャンチャネルの通信品質とを他の機器から取得して比較する。コントローラ10は、運用チャネルよりも通信品質のよいスキャンチャネルがあれば、運用チャネルとその通信品質のよいスキャンチャネルを入れ替える。
【0058】
例えば、運用チャネルよりも品質のよいスキャンチャネルが存在し、そのスキャンチャネルが番号「1」に割り当てられている「IEEE802.11aの40ch」である場合、コントローラ10は、そのスキャンチャネルを新たな運用チャネルとし、番号「0」に割り当てる。また、コントローラ10は、新たに運用チャネルとしたスキャンチャネル「IEEE802.11aの40ch」に代えて、これまでの運用チャネル「IEEE802.11bの36ch」をスキャンチャネルとし、番号「1」に割り当てる。つまり、コントローラ10は、現在状態テーブルの番号「0」に割り当てられている運用チャネルを新たな運用チャネル「IEEE802.11aの40ch」に書き換え、番号「1」に割り当てられているスキャンチャネルを変更前の運用チャネル「IEEE802.11bの36ch」に書き換える。図11(b)は、運用チャネル変更後の現在状態テーブルを示す図である。
【0059】
このように、コントローラ10は、スキャン終了後、運用チャネルよりも通信品質の良いスキャンチャネルがあった場合、システムIDやスキャンテーブルの変更は行わない代わりに、現在状態テーブルを変更する。すなわち、現在状態テーブルの番号「0」に運用チャネルよりも品質の良いスキャンチャネルを新たな運用チャネルとして割り当て、新たな運用チャネルが割り当てられていた番号に、それまで運用チャネルであった無線チャネルを割り当てることにより、現在状態テーブルにスキャン結果を反映させる。そして、これ以後、注文管理システムは、更新された現在状態テーブルに基づいて通信チャネルを決定し、通信を行う。従って、注文管理システムは、以後、現在状態テーブルの番号「0」に割り当てられた「IEEE802.11aの40ch」を運用チャネルとして使用し、無線通信する。この際、現在状態番号データを番号「0」に書き換える。
なお、コントローラ10が、各スキャンチャネルの通信品質を各機器から取得する方法、及びコントローラ10が変更した運用チャネルを各機器に通知する方法については、後述する。
【0060】
注文管理システムは、チャネルスキャン設定[0]で示される(9時)「55分」になると、スキャン番号データを参照し、次の番号に割り当てられたスキャンチャネルがないため、最初のスキャンチャネルの番号に戻り、現在状態テーブルの番号「1」に割り当てられているスキャンチャネルに通信チャネルを変更する。上記により、番号「1」に割り当てられているスキャンチャネルは「IEEE802.11bの36ch」に変更されているため、注文管理システムは、通信チャネルを「IEEE802.11bの36ch」に変更し、注文データや伝票データなどの各種データを送受信しながらスキャンを行う。また、この際、現在状態番号データを番号「1」に書き換え、スキャン番号データを番号「1」に書き換える。
注文管理システムは、スキャン時間「5分間」が経過した10時00分になると、使用する通信チャネルを現在状態テーブルの番号「0」に割り当てられている運用チャネル「IEEE802.11aの40ch」に戻す。また、この際、現在状態番号データを番号「0」に書き換える。以降は、上記と同様の処理を行う。
【0061】
続いて、注文管理システムの処理シーケンスについて説明する。
図12は、プリンタ20a及びハンディーターミナル30aの電源起動時の注文管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【0062】
プリンタ20aの電源が起動されると、プリンタ20aの無線送受信部21は、接続要求を無線により送信する(ステップS105)。
コントローラ10の無線送受信部11が、プリンタ20aから接続要求を受信すると、要求受信部124は、記憶部13から読み出したチャネルスキャン設定データ及びスキャンモードと、時計14から読み出した現在時刻とを設定した接続応答を生成し、無線送受信部11は、接続応答を無線によりプリンタ20aに送信する(ステップS110)。
プリンタ20aの無線送受信部21が接続応答を受信すると、情報受信部222は、接続応答に設定されている現在時刻を時計24にセットし、時刻合わせを行う。さらに、情報受信部222は、接続応答に設定されているチャネルスキャン設定データ及びスキャンモードを記憶部23に書き込む。
【0063】
一方、ハンディーターミナル30aの電源が起動されると、ハンディーターミナル30aの無線送受信部31は、接続要求を無線により送信する(ステップS115)。
コントローラ10は、ステップS110においてプリンタ20a宛に送信した接続応答と同様の接続応答をハンディーターミナル30aに返送する(ステップS120)。
ハンディーターミナル30aの無線送受信部31が接続応答を受信すると、情報受信部322は、接続応答に設定されている現在時刻を時計37にセットし、時刻合わせを行う。さらに、情報受信部322は、接続応答に設定されているチャネルスキャン設定データ及びスキャンモードを記憶部33に書き込む。
【0064】
プリンタ20b及びハンディーターミナル30bの動作も、上述したプリンタ20a及びハンディーターミナル30aと同様である。しかし、プリンタ20b及びハンディーターミナル30bが送信した接続要求は、通信距離が遠い、通信環境が悪いなどの何らかの原因のためにコントローラ10にとっては受信レベルが低く、直接受信されないが、プリンタ20aにおいては受信可能である。各機器には、他の機器から受信した接続要求をコントローラ10へ中継する機能があるため、プリンタ20aは、プリンタ20b及びハンディーターミナル30bからの接続要求をコントローラ10に中継する。この際、プリンタ20aは、接続要求のヘッダの中継先に自機器を識別する情報を付加して中継する。よって、プリンタ20b及びハンディーターミナル30bからの接続要求及びプリンタ20b及びハンディーターミナル30bへの接続応答は、プリンタ20aを中継して送受信されるものとする。
【0065】
コントローラ10は、接続要求の送信元の機器宛に接続応答を送信するが、接続要求に中継先の機器が設定されていた場合、その接続応答にもその機器を中継先に設定して送信する。よって、プリンタ20a及びハンディーターミナル30aは、接続応答を受信した際、受信した接続応答のヘッダに中継先が設定されていないため、コントローラ10と直接接続していると判断する。一方、プリンタ20b、ハンディーターミナル30bは、受信した接続応答に、プリンタ20aの識別情報が中継先として設定されたヘッダが付加されているため、プリンタ20aと接続していると判断する。
【0066】
プリンタ20は、起動後、システムID内の運用チャネル識別で指定された運用チャネルにより接続要求を送信するが、接続応答を受信できない場合、システムID内のスキャンテーブル番号に対応したスキャンチャネルに変更し、接続要求を送信する。
また、ハンディーターミナル30は、常に電源がオンの状態ではなく、使用されていないときには省電力のため、サスペンド状態(省電力状態)となり、電源がオフになる。ハンディーターミナル30は、スキャン中にサスペンド状態からレジュームした場合、システムID内のスキャンテーブル番号に対応したスキャンチャネルを利用して接続要求を送信する。接続要求を送信しても接続応答を受信できない場合、ハンディーターミナル30は、運用チャネルや他のスキャンチャネルに変更し、接続要求を送信する。
【0067】
なお、コントローラ10の要求受信部124は、チャネルスキャン設定データ及びスキャンモードを記憶部13から読み出して接続応答に設定する代わりに、スキャンモードに対応したチャネルスキャン設定データの詳細情報のみを接続応答に設定してもよい。プリンタ20の情報受信部222は、接続応答に設定されているチャネルスキャン設定データの詳細情報を記憶部23に書き込み、ハンディーターミナル30の情報受信部322は、接続応答に設定されているチャネルスキャン設定データの詳細情報を記憶部33に書き込む。あるいは、予め記憶部23、記憶部33にチャネルスキャン設定データが記憶されている場合、コントローラ10の要求受信部124は、スキャンモードのみを接続応答に設定してもよい。
【0068】
図13は、定期パケットの送受信の流れを示すシーケンス図である。
コントローラ10は、運用チャネルによる運用中、及び、スキャンチャネルによるスキャン中に、通信品質の測定のため、例えば、毎分15秒と45秒など定期的に定期パケットを送信する(ステップS205)。この定期パケットのヘッダは、図9(a)のように設定される。プリンタ20a及びハンディーターミナル30aは、コントローラ10が送信した定期パケットを強い受信レベルで受信する。一方、プリンタ20b及びハンディーターミナル30bでは、コントローラ10から送信される無線信号の受信レベルが低く、定期パケットを受信できない。
【0069】
ハンディーターミナル30aは、受信した定期パケットを破棄し、プリンタ20aは、受信した定期パケットを中継する(ステップS210)。プリンタ20aが中継のため送信した定期パケットのヘッダは、図9(b)のように設定される。プリンタ20b及びハンディーターミナル30bは、プリンタ20aが中継した定期パケットを強い受信レベルで受信する。一方、ハンディーターミナル30aは、プリンタ20aから送信される無線信号の受信レベルが低く、定期パケットを受信できない。
【0070】
プリンタ20bは、受信した定期パケットを中継するが(ステップS215)、ハンディーターミナル30bは、プリンタ20bから送信される無線信号の受信レベルが低く、定期パケットを受信できない。
【0071】
プリンタ20a及びプリンタ20bは、運用チャネル及びスキャンチャネルのそれぞれについて、定期パケットの受信成功回数及び受信失敗回数をカウントし、これらに基づいて算出した受信成功率を保持しておく。プリンタ20a及びプリンタ20bは、コントローラ10からの要求によって受信成功率を通知する。
【0072】
図14は、注文発生時の注文管理システムのシーケンス図である。
接客担当のスタッフがハンディーターミナル30aのタッチパネル35やキー36により注文品とその注文数量等の注文内容を入力する。ハンディーターミナル30aの注文入力処理部324は、入力された注文内容を含んだ注文データを生成し、無線送受信部31は、コントローラ10宛てに注文データを無線により送信する(ステップS305、S310)。送信した注文データを「オーダー1」と記載する。
【0073】
コントローラ10の無線送受信部11は、受信したオーダー1を処理部12に出力し、処理部12の注文データ処理部125は、オーダー1を記憶部13に記憶されている注文管理データに追加登録する。伝票データ処理部126は、オーダー1からプリンタ20a宛の伝票データである伝票1Aと、プリンタ20b宛の伝票データである伝票1Bを生成すると、無線送受信部11は、プリンタ20a宛に伝票1Aを無線により送信し(ステップS315)、プリンタ20b宛てに伝票1Bを無線により送信する(ステップS320)。
【0074】
プリンタ20aの無線送受信部21は、宛先がプリンタ20aの伝票1Aを受信し、処理部22に出力する。処理部22の伝票データ受信処理部227は、受信した伝票1Aの印字を印字制御部228に指示する。印字制御部228は、伝票1Aを印字部25に印字させる(ステップS325)。また、プリンタ20aの無線送受信部21は、宛先がプリンタ20bの伝票1Bを中継する(ステップS330、S335)。
【0075】
プリンタ20bの無線送受信部21は、宛先がプリンタ20bの伝票1Bを受信し、処理部22に出力する。処理部22の伝票データ受信処理部227は、受信した伝票1Bの印字を印字制御部228に指示する。印字制御部228は、伝票1Bを印字部25に印字させる(ステップS340)。
【0076】
続いて、他の接客担当のスタッフがハンディーターミナル30bのタッチパネル35やキー36により注文品とその注文数量等の注文内容を入力する。ハンディーターミナル30bの注文入力処理部324は、入力された注文内容を含んだ注文データを生成し、無線送受信部31は、コントローラ10宛に注文データを無線により送信する(ステップS345、S350)。送信した注文データを「オーダー2」と記載する。
【0077】
プリンタ20bの無線送受信部21は、宛先がコントローラ10のオーダー2を中継する(ステップS355、S360)。以降の処理は、オーダー1と同様である。すなわち、コントローラ10の注文データ処理部125は、オーダー2を注文管理データに追加登録すると、オーダー2から伝票2Aと伝票2Bを生成する。無線送受信部11は、プリンタ20a宛てに伝票2Aを送信し(ステップS365)、プリンタ20b宛に伝票2Bを送信する(ステップS370)。プリンタ20aの無線送受信部21は伝票2Aを受信し、印字制御部228は、伝票2Aを印字部25に印字させる(ステップS375)。また、プリンタ20aの無線送受信部21は、伝票2Bを中継する(ステップS380、S385)。プリンタ20bの無線送受信部21は伝票2Bを受信し、印字制御部228は、伝票2Bを印字部25に印字させる(ステップS390)。
【0078】
なお、注文管理システムの各機器は、運用チャネルによる運用時間の間は、運用チャネルを使用して図14に示すデータの送受信を行い、スキャン中は、スキャン対象のスキャンチャネルを使用して図14に示すデータの送受信を行う。
【0079】
続いて、各装置の詳細な処理フローを説明する。
図15は、コントローラ10の処理フローを示す図である。コントローラ10の電源が起動されると、通信チャネル決定部123は、記憶部13に現在状態テーブルが記憶されているか否かを判断する。
【0080】
現在状態テーブルが記憶されていると判断した場合、通信チャネル決定部123は、現在状態テーブルの番号「0」に割り当てられている運用チャネルにより通信を開始するよう無線送受信部11に指示し、番号「0」を設定した現在状態番号データを記憶部13に書き込む。
現在状態テーブルが記憶されていないと判断した場合、通信チャネル決定部123は、記憶部13に記憶されているシステムIDの運用チャネル識別に基づいて運用チャネルを決定し、決定した運用チャネルを番号「0」に割り当てた現在状態テーブルを記憶部13に書き込む。さらに、通信チャネル決定部123は、システムIDのスキャンテーブル番号に基づき、スキャンテーブルからスキャンチャネルとそのスキャン順を読み出し、読み出したスキャンチャネルをスキャン順に番号「1」以降に割り当て、現在状態テーブルに設定する。その後、通信チャネル決定部123は、現在状態テーブルの番号「0」に割り当てられている運用チャネルにより通信を開始するよう無線送受信部11に指示し、番号「0」を設定した現在状態番号データを記憶部13に書き込む(ステップS402)。
【0081】
無線送受信部11が接続要求を受信すると(ステップS405:YES)、要求受信部124は、記憶部13からチャネルスキャン設定データ、スキャンモード、現在状態テーブル、現在状態番号データ及びスキャン番号データと、時計14から出力された現在時刻とを設定した接続応答を生成して無線送受信部11に出力する。無線送受信部11は、接続応答を接続要求の送信元を宛先として送信する(ステップS420)。
【0082】
ステップS405において、無線送受信部11が接続要求を受信しない場合(ステップS405:NO)、あるいは、ステップS420の処理の後、定期パケット送信処理部121は、記憶部13を参照してチャネルスキャン設定データからスキャンモードに対応した詳細情報を読み出すと、時計14から出力される現在時刻が、読み出した詳細情報により示されるスキャン時間帯に入っているか否かを判断する(ステップS425)。スキャン時間帯とは、スキャン開始時刻からスキャン時刻が経過した時刻までの時間帯であり、例えば、毎時25分〜30分までの時間帯などである。
定期パケット送信処理部121は、現在時刻がスキャン時間帯に入っていないと判断した場合(ステップS425:NO)、通信チャネルを変更せず、無線送受信部11に定期パケットを送信するよう指示する。無線送受信部11は、予め決められた定期パケット送信時刻に定期パケットを無線により送信する(ステップS435)。
【0083】
一方、定期パケット送信処理部121は、現在時刻がスキャン時間帯に入っていると判断した場合(ステップS425:YES)、現在使用している通信チャネルをスキャンチャネルへ変更する。定期パケット送信処理部121は、記憶部13を参照して、スキャン番号データが示す番号の次の番号に割り当てられたスキャンチャネルを現在状態テーブルから読み出し、さらに、現在スキャン番号データに設定されている番号の次の番号により、現在状態番号データ及びスキャン番号データを書き換える。または、スキャン番号データが記憶されていない場合、あるいは、スキャン番号データが示す前回のスキャンで使用したスキャンチャネルの番号が最後のスキャン順のスキャンチャネルの番号である場合は、現在状態テーブルの番号「1」に割り当てられているスキャンチャネルを今回のスキャン対象のスキャンチャネルとして決定し、現在状態番号データ及びスキャン番号データを番号「1」に書き換える。
定期パケット送信処理部121は、決定したスキャン対象のスキャンチャネルへの変更を無線送受信部11に指示する。無線送受信部11は、現在使用している通信チャネルを定期パケット送信処理部121から指示された新たな通信チャネルに変更する(ステップS430)。
無線送受信部11は、所定時間間隔で定期パケットを無線により送信する(ステップS435)。
【0084】
定期パケット送信処理部121は、時計14から出力される現在時刻が、ステップS435における定期パケットの送信開始から、ステップS425で読み出した詳細情報により示されるスキャン時間が経過した時刻であるかを判断する(ステップS440)。定期パケット送信処理部121は、まだスキャン時間が経過していないと判断した場合(ステップS440:NO)、ステップS435からの処理を繰り返す。
【0085】
スキャン時間が経過したと判断した場合(ステップS440:YES)、定期パケット送信処理部121は、最後に受信成功率送信要求を送信した後、スキャンチャネルを一巡してスキャンを行ったかを判断する(ステップS445)。まだ、スキャンチャネルを一巡していないと判断した場合(ステップS445:NO)、定期パケット送信処理部121は、運用チャネルへの変更を無線送受信部11に指示する。無線送受信部11は、通信チャネルをスキャンチャネルから運用チャネルに変更し、記憶部13に記憶されている現在状態番号データを番号「0」に書き換える(ステップS450)。コントローラ10は、ステップS405からの処理を実行する。
【0086】
一方、定期パケット送信処理部121がスキャンチャネルを一巡したと判断した場合(ステップS445:YES)、受信成功率収集部122は、受信成功率送信要求をプリンタ20宛てに送信するよう無線送受信部11に指示する。無線送受信部11は、受信成功率送信要求を無線により送信する(ステップS455)。
受信成功率収集部122は、無線送受信部11がプリンタ20から受信成功率データを受信すると、受信した受信成功率データを記憶部13に書き込む。受信成功率送信要求の送信先である全てのプリンタ20から受信成功率データを受信していない場合(ステップS460:NO)、受信成功率収集部122は、再びステップS455の処理を行う。
【0087】
受信成功率送信要求送信先の全てのプリンタ20から受信成功率データを受信した場合(ステップS460:YES)、通信チャネル決定部123は、記憶部13に記憶されている受信成功率データが示す各チャネルの受信成功率を読み出し、運用チャネルの受信成功率が、スキャンチャネルの受信成功率よりも低いかを判断する(ステップS465)。運用チャネルの受信成功率は、各プリンタ20から受信した受信成功率データが示す運用チャネルの受信成功率の平均値としてもよく、最も高い受信成功率あるいは最も低い受信成功率としてもよい。同様に、スキャンチャネルの受信成功率は、各プリンタ20から受信した受信成功率データが示す当該スキャンチャネルの受信成功率の平均値でもよく、最も高い受信成功率あるいは最も低い受信成功率でもよい。通信チャネル決定部123は、運用チャネルの受信成功率が、全てのスキャンチャネルの受信成功率以上であると判断した場合(ステップS465:NO)、運用チャネルの変更の必要はないと判断し、ステップS450からの処理を実行する。
【0088】
一方、通信チャネル決定部123は、運用チャネルの受信成功率が、いずれかのスキャンチャネルの受信成功率より低いと判断した場合(ステップS465:YES)、記憶部13に記憶されている現在状態テーブルの番号「0」に、受信成功率の一番高かったスキャンチャネルを割り当て、そのスキャンチャネルの番号に、それまで運用チャネルであった無線チャネルを割り当てて更新する。そして、通信チャネル決定部123は、新たに現在状態テーブルの番号「0」に割り当てられた運用チャネルに通信チャネルを変更するよう無線送受信部11に指示する(ステップS470)。その後、記憶部13に記憶されている現在状態番号データを番号「0」に書き換える(ステップS475)。
【0089】
通信チャネル決定部123は、ステップS475において更新されて記憶された現在状態テーブルを全ての機器に送信するよう無線送受信部11に指示し、無線送受信部11は、運用チャネル変更指示を無線により送信する。コントローラ10は、更新された現在状態テーブルの番号「0」に割り当てられた新たな運用チャネルを使用し、ステップS405からの処理を実行する。
【0090】
上記のように、コントローラ10は、ステップS430、S450、S470、475において現在状態テーブル、現在状態番号データ、スキャン番号データなどを記憶するため、何らかの事情により再起動した際に、現在状態テーブル、現在状態番号データ及びスキャン番号データを読み出せば、直近のスキャン結果を反映して決定された運用チャネルを使用し、通信を開始することができる。
【0091】
図16は、プリンタ20の処理フローを示す図である。
プリンタ20の電源が起動されると、接続要求部221は、記憶部23に現在状態テーブルが記憶されているか否かを判断する。
現在状態テーブルが記憶されていると判断した場合、接続要求部221は、現在状態テーブルの番号「0」に割り当てられている運用チャネルにより通信を開始するよう無線送受信部21に指示し、番号「0」を設定した現在状態番号データを記憶部23に書き込む。
現在状態テーブルが記憶されていないと判断した場合、接続要求部221は、記憶部23に記憶されているシステムIDの運用チャネル識別に基づいて運用チャネルを決定し、決定した運用チャネルを番号「0」に割り当てた現在状態テーブルを記憶部23に書き込む。さらに、接続要求部221は、システムIDのスキャンテーブル番号に基づき、スキャンテーブルからスキャンチャネルとそのスキャン順を読み出し、読み出したスキャンチャネルをスキャン順に番号「1」以降に割り当て、現在状態テーブルに設定する。その後、接続要求部221は、現在状態テーブルの番号「0」に割り当てられている運用チャネルにより通信を開始するよう無線送受信部21に指示し、番号「0」を設定した現在状態番号データを記憶部23に書き込む(ステップS502)。
接続要求部221は、接続要求送信指示を無線送受信部21に出力し、無線送受信部21は、現在の通信チャネルにより接続要求を送信する(ステップS505)。
【0092】
無線送受信部21は、ステップS505において送信した接続要求に対応して接続応答を受信したか否かを判断する(ステップS510)。接続応答を受信していないと判断した場合(ステップS510:NO)、接続要求部221は、現在の通信チャネルに変更してから一定時間(例えば、数十秒程度)が経過したか否かを判断する(ステップS515)。まだ一定時間が経過していないと判断した場合(ステップS515:NO)、ステップS505からの処理を行う。
【0093】
ステップS510において、一定時間が経過したと判断した場合(ステップS515:YES)、接続要求部221は、記憶部23の現在状態テーブルを参照してスキャンチャネルを読み出す。つまり、接続要求部221は、現在の通信チャネルが現在状態テーブルの番号「0」に割り当てられている運用チャネルである場合、番号「1」に割り当てられているスキャンチャネルを新たな通信チャネルとして決定し、現在の通信チャネルが番号「0」の運用チャネルではない場合(すなわち、番号「1」以降に割り当てられたスキャンチャネルである場合)、現在の通信チャネルの次の番号のスキャンチャネルを新たな通信チャネルとして決定する。新たな通信チャネルを決定後、記憶部23に記憶されている現在状態番号データにその通信チャネルの番号を書き込む。
接続要求部221は、決定した新たな通信チャネルへの変更を無線送受信部21に指示する。無線送受信部21は、現在使用している通信チャネルを新たな通信チャネルに変更する(ステップS520)。通信チャネルの変更後、プリンタ20は、ステップS505からの処理を行う。
【0094】
ステップS510において、無線送受信部21が接続応答を受信すると(ステップS510:YES)、情報受信部222は、接続応答に設定されている現在状態テーブル、現在状態番号データ及びスキャン番号データを記憶部23に書き込む。情報受信部222は、書き込んだ現在状態テーブル及び現在状態番号データに基づいて現在の通信チャネルを決定する。具体的には、情報受信部222は、現在状態番号データが示す番号に割り当てられた無線チャネルを現在状態テーブルから読み出し、読み出した無線チャネルを通信チャネルとして決定する。情報受信部222は、決定した通信チャネルにより通信するよう無線送受信部21に指示する(ステップS522)。
また、情報受信部222は、接続応答に設定されているチャネルスキャン設定データ及びスキャンモードを記憶部23に書き込むとともに、接続応答に設定されている現在時刻を時計24に設定する(ステップS525)。
【0095】
定期パケット受信処理部224は、時計24から出力される現在時刻が、スキャン時間帯(スキャン開始時刻からスキャン時間が経過した時刻までの時間帯)に入っているか否かを判断する(ステップS530)。
現在時刻がスキャン時間帯に入っていないと判断した場合(ステップS530:NO)、定期パケット受信処理部224は、ステップS540の処理を行う。スキャン時間帯に入っていると判断した場合(ステップS530:YES)、記憶部23に記憶されている現在状態テーブル及びスキャン番号データを参照し、通信チャネルをスキャンチャネルへ変更する。定期パケット受信処理部224は、図15のステップS430におけるコントローラ10の定期パケット送信処理部121と同様に、今回のスキャン対象のスキャンチャネルを決定し、決定したスキャン対象のスキャンチャネルへの変更を無線送受信部21に指示する。またその際、記憶部23に記憶されている現在状態番号データ及びスキャン番号データを、決定したスキャンチャネルの番号に書き換える。
無線送受信部21は、通信チャネルを定期パケット受信処理部224から指示された新たな通信チャネルに変更し(ステップS535)、定期パケット受信処理部224は、ステップS540の処理を行う。
【0096】
定期パケット受信処理部224は、予め決められた定期パケットの送信タイミングに定期パケットを無線送受信部21が受信したかを判断する(ステップS540)。無線送受信部21が定期パケットを受信した場合(ステップS540:YES)、定期パケット受信処理部224は、現在の通信チャネルと対応付けて記憶部23に記憶されている受信成功回数を、1を加算した値に更新する(ステップS545)。一方、無線送受信部21が定期パケットを受信しなかった場合(ステップS540:NO)、定期パケット受信処理部224は、現在の通信チャネルと対応付けて記憶部23に記憶されている受信失敗回数を、1を加算した値に更新する(ステップS550)。
【0097】
ステップS545またはステップS550の処理の後、定期パケット受信処理部224は、時計24から出力される現在時刻が、スキャン開始時刻から、ステップS530で読み出した詳細情報により示されるスキャン時間が経過した時刻であるかを判断する(ステップS555)。定期パケット受信処理部224は、まだスキャン時間が経過していないと判断した場合(ステップS555:NO)、ステップS540のからの処理を繰り返す。
【0098】
スキャン時間が経過したと判断した場合(ステップS555:YES)、成功率計算部225は、記憶部23に通信チャネルと対応付けて記憶されている受信成功回数及び受信失敗回数から受信成功率を算出し、記憶部23に書き込む。
【0099】
なお、プリンタ20の電源が起動された時刻がスキャン時間帯であった場合、受信成功回数や受信失敗回数が非常に少ない場合がある。このような場合を考慮し、回数に閾値を設けておき、回数が閾値以下であった場合には、データとしての信憑性が低いと判断して受信成功率のデータを破棄するようにしてもよい。または、プリンタ20においては破棄せずに記憶しておき、コントローラ10からの要求でコントローラ10にデータ送信した後、コントローラ10が、当該データの信憑性は低いと判断して破棄するようにしてもよい。
【0100】
定期パケット受信処理部224は、運用チャネルへの変更を無線送受信部21に指示するとともに、記憶部23に記憶されている現在状態番号データを番号「0」に書き換える。無線送受信部21は、通信チャネルをスキャンチャネルから運用チャネルに変更する(ステップS560)。プリンタ20は、ステップS530からの処理を繰り返す。
【0101】
図17は、プリンタ20における定期パケット受信処理の詳細な処理フローを示す図である。具体的には、図17は、図16におけるステップS530からS555までの、運用チャネルまたはスキャンチャネルでの処理の詳細を示す。また、後述するが、特にスキャンチャネルでの処理については、図18を用いて詳細に示す。
【0102】
プリンタ20の定期パケット受信処理部224は、予め決められた定期パケット送信時刻にコントローラ10から送信された定期パケットを無線送受信部21において受信したかを判断する(ステップS605)。例えば、予め決められた定期パケット送信時刻から無線信号の送受信にかかる遅延や時計のずれになどよって想定される時間だけずれた時刻に定期パケットを受信した場合、定期パケット受信処理部224は、定期パケットを正しく受信したと判断する。定期パケット受信処理部224は、無線送受信部21が定期パケット送信時刻に送信された定期パケットを受信したと判断した場合(ステップS605:YES)、現在の無線チャネルと対応付けて記憶部23に記憶されている受信成功回数に1を加算して更新する(ステップS610)。まだ受信成功回数が記憶されていない場合は、現在の通信チャネルと、受信成功回数「1」とを対応付けて記憶部23に書き込む。
【0103】
定期パケット受信処理部224は、予め決められた定期パケット送信時刻と、無線送受信部21における定期パケット受信時刻との時間差が所定時間以上である場合(ステップS615:YES)、その時間差によって時計24の時刻を修正する(ステップS620)。なお、コントローラ10が定期パケットに時計14から取得した現在時刻を設定して送信する場合、定期パケット受信処理部224は、定期パケットから取得した現在時刻によって時計24の時刻を修正する。
【0104】
ステップS605において、無線送受信部21が定期パケット送信時刻に送信された定期パケットを受信しなかったと判断した場合(ステップS605:NO)、定期パケット受信処理部224は、現在の無線チャネルと対応付けて記憶部23に記憶されている受信失敗回数に1を加算して更新する(ステップS625)。まだ受信失敗回数が記憶されていない場合は、現在の通信チャネルと、受信失敗回数「1」とを対応付けて記憶部23に書き込む。
【0105】
ステップS615においてNOと判断した後、ステップS620の処理の後、あるいは、ステップS625の処理の後、定期パケット受信処理部224は、時計24から出力される時刻により、予め決められた定期パケット集計時刻となったかを判断する(ステップS630)。なお、この定期パケット集計時刻は、適宜、設定することが可能である。例えば、スキャンチャネルでのスキャン時間(3分や5分など)を考慮し、定期パケットの最初の受信時刻から数分後というスキャン時間と同等程度の時間を設定してもよく、また、スキャンチャネルでのスキャン開始時刻間の間隔を考慮し、定期パケットの最初の受信時刻から数十分という設定をしてもよい。
【0106】
定期パケット受信処理部224が、定期パケット集計時刻に達していると判断した場合(ステップS630:YES)、成功率計算部225は、記憶部23に現在の通信チャネルと対応付けて記憶されている受信成功回数及び受信失敗回数を読み出し、(受信成功回数)/{(受信成功回数)+(受信失敗回数)}により受信成功率を算出する。成功率計算部225は、通信チャネルに対応付けて算出した受信成功率を記憶部23に書き込んだ後(ステップS635)、記憶部23に現在の通信チャネルと対応付けて記憶されている受信成功回数及び受信失敗回数を0に書き換える(ステップS640)。
【0107】
ステップS630において成功率計算部225がまだ定期パケット集計時刻に達していないと判断した場合(ステップS630:NO)、あるいは、ステップS640の処理の後、定期パケット受信処理部224は、現在時刻がスキャン時間帯に入っているか否かを判断する(ステップS645)。定期パケット受信処理部224は、記憶部23を参照し、チャネルスキャン設定データからスキャンモードに対応した詳細情報を読み出す。定期パケット受信処理部224は、時計24から出力される現在時刻が、読み出した詳細情報の示す時刻からスキャン時間が経過した時刻までの時間帯に入っていない場合、つまり、スキャン時間帯に入っていないと判断し(ステップS645:NO)、ステップS605からの処理を繰り返す。
【0108】
時計24から出力される現在時刻が、読み出した詳細情報の示すスキャン時間帯に入っている場合(ステップS645:YES)、定期パケット受信処理部224は、スキャンチャネルのスキャンを開始する(ステップS650)。定期パケット受信処理部224は、スキャン時間が経過するまでスキャンを継続し(ステップS655:NO)、スキャン時間が経過してスキャンが終了すると(ステップS655:YES)、ステップS605からの処理を繰り返す。
【0109】
図18は、プリンタ20におけるスキャンチャネルのスキャン処理の詳細な処理フローを示す図であり、図17のステップS650〜S655の処理に対応する。
図17のステップS650においてスキャンが開始されると、プリンタ20の定期パケット受信処理部224は、記憶部23を参照してスキャン番号データを読み出し、読み出したスキャン番号の次の番号によりスキャン番号データを書き換え、書き換えたスキャン番号データが示す番号に割り当てられたスキャンチャネルを記憶部23に記憶されている現在状態テーブルから読み出す。また、定期パケット受信処理部224は、記憶部23に記憶されている現在状態番号データをスキャン番号データと同じ新たなスキャンチャネルの番号に書き換える。定期パケット受信処理部224は、決定したスキャン対象のスキャンチャネルへの変更を無線送受信部21に指示し、無線送受信部21は、通信チャネルを定期パケット受信処理部224から指示された新たな通信チャネルに変更する(ステップS705)。
【0110】
定期パケット受信処理部224は、図17のステップS605と同様に、予め決められた定期パケット送信時刻にコントローラ10から送信された定期パケットを無線送受信部21において受信したかを判断する(ステップS710)。定期パケット受信処理部224は、無線送受信部21が定期パケット送信時刻に送信された定期パケットを受信したと判断した場合(ステップS710:YES)、現在のスキャンチャネルと対応付けて記憶部23に記憶されている受信成功回数に1を加算して更新する(ステップS715)。まだ現在のスキャンチャネルと対応付けて受信成功回数が記憶されていない場合は、現在のスキャンチャネルと、受信成功回数「1」とを対応付けて記憶部23に書き込む。
一方、無線送受信部21が定期パケット送信時刻に送信された定期パケットを受信しなかったと判断した場合(ステップS710:NO)、現在のスキャンチャネルと対応付けて記憶されている受信失敗回数に1を加算して更新する(ステップS720)。まだ受信失敗回数が記憶されていない場合は、現在のスキャンチャネルと、受信失敗回数「1」とを対応付けて記憶部23に書き込む。
【0111】
ステップS715またはステップS720の処理の後、定期パケット受信処理部224は、時計24から出力される現在時刻が、スキャン開始時刻から、図17のステップS650で読み出した詳細情報により示されるスキャン時間が経過した時刻であるかを判断する(ステップS725)。定期パケット受信処理部224は、まだスキャン時間が経過していないと判断した場合(ステップS725:NO)、ステップS710のからの処理を繰り返す。定期パケット受信処理部224が、スキャン時間が経過したと判断した場合(ステップS725:YES)、成功率計算部225は、記憶部23に現在のスキャンチャネルと対応付けて記憶されている受信成功回数及び受信失敗回数を読み出し、(受信成功回数)/{(受信成功回数)+(受信失敗回数)}により受信成功率を算出する。成功率計算部225は、スキャンチャネルに対応付けて算出した受信成功率を記憶部23に書き込む(ステップS730)。定期パケット受信処理部224は、無線送受信部21に運用チャネルへの変更を指示し、無線送受信部21は、通信チャネルをスキャンチャネルから運用チャネルへ変更する。定期パケット受信処理部224は、通信チャネルを現在状態テーブルの番号「0」に割り当てられた運用チャネルに変更し、記憶部23に記憶されている現在状態番号データを番号「0」に書き換える(ステップS735)。図17のステップS655においては、この運用チャネルへの変更をスキャンチャネルのスキャン終了と判断する。
【0112】
図19は、プリンタ20におけるチャネル制御通信処理の処理フローを示す図である。
プリンタ20の成功率通知部226は、コントローラ10からの指示待ち状態である(ステップS805)。成功率通知部226は、無線送受信部21がコントローラ10からの受信成功率送信要求を受信した場合(ステップS810:YES)、記憶部23から読み出した運用チャネルの受信成功率及び各スキャンチャネルの受信成功率を設定した受信成功率データを無線送受信部21に出力し、コントローラ10への送信を指示する。無線送受信部21は、コントローラ10を宛先として、受信成功率データを無線により送信する(ステップS815)。成功率通知部226は、記憶部23に記憶されている運用チャネルの受信成功率及び各スキャンチャネルの受信成功率を削除する(ステップS820)。
【0113】
ステップS810において成功率通知部226が、受信成功率送信要求を受信していないと判断した場合(ステップS810:NO)、あるいは、ステップS820の処理を行った後、運用チャネル通知受信部223は、無線送受信部21がコントローラ10からの運用チャネル変更指示を受信したかを判断する(ステップS825)。運用チャネル変更指示を受信していない場合(ステップS825:NO)、プリンタ20はステップS805からの処理を繰り返す。
【0114】
ステップS825において、無線送受信部21が運用チャネル変更指示を受信した場合(ステップS825:YES)、運用チャネル通知受信部223は、記憶部23に現在記憶されている現在状態テーブルを、コントローラ10から受信した運用チャネル変更指示に設定されていると現在状態テーブルに書き換える。この現在状態テーブルには、受信成功率が一番高かったスキャンチャネルが新たな運用チャネルとして番号「0」に割り当てられ、新たな運用チャネルに変更された当該スキャンチャネルが割り当てられていた番号にそれまでの運用チャネルが割り当てられて、更新されたものである。さらに、運用チャネル通知受信部223は、運用チャネルを、新たな現在状態テーブルの番号「0」に割り当てられた運用チャネルへ変更するよう無線送受信部21に指示する。無線送受信部21が、通信チャネルを運用チャネル通知受信部223から指示された新たな運用チャネルに変更した後(ステップS830)、プリンタ20は、ステップS805からの処理を繰り返す。
【0115】
なお、スキャン830において運用チャネルをスキャンチャネルへ変更した場合、運用チャネル通知受信部223は、通信チャネルを新たな運用チャネルへ変更し(ステップS830)、記憶部23に記憶されている現在状態番号データを番号「0」に書き換える(ステップS835)。このようにすることで、プリンタ20は、何らかの理由で再起動した場合でも、記憶部23に記憶している現在状態テーブルと現在状態番号データとを読み出せば、変更後の無線チャネルを運用チャネルに用い、通信することができる。
【0116】
図20は、ハンディーターミナル30の処理フローを示す図である。ハンディーターミナル30は、所定時間タッチパネル35やキー36からの入力がないときには、タイマ34にレジューム時刻までの時間をセットし、電源がオフされたサスペンド状態となる。サスペンド状態では、無線送受信部31及び処理部32へは電力が供給されず、動作しない。なお、レジューム時刻は、スキャンモードやチャネルスキャン設定データにおけるスキャン時刻及びスキャン間隔を考慮して決定することができ、例えば、スキャン間隔にほぼと等しい時間間隔でレジューム時刻を設定してもよい。
ハンディーターミナル30がサスペンド状態であるときに(ステップS905)、レジューム時間が満了した場合やタッチパネル35やキー36から何らかの入力があった場合、タイマ34はレジューム時間満了の通知を処理部32に出力する。処理部32は、レジューム時間満了の通知を受信すると、ハンディーターミナル30の電源を起動し、レジューム処理を開始する。
【0117】
レジューム処理を開始すると、間欠通信処理部321は、記憶部33に現在状態テーブルが記憶されているか否かを判断する。
現在状態テーブルが記憶されていると判断した場合、間欠通信処理部321は、現在状態テーブルの番号「0」に割り当てられている運用チャネルにより通信を開始するよう無線送受信部31に指示し、番号「0」を設定した現在状態番号データを記憶部33に書き込む。
現在状態テーブルが記憶されていないと判断した場合、間欠通信処理部321は、記憶部33に記憶されているシステムIDの運用チャネル識別に基づいて運用チャネルを決定し、決定した運用チャネルを番号「0」に割り当てた現在状態テーブルを記憶部33に書き込む。さらに、間欠通信処理部321は、システムIDのスキャンテーブル番号に基づき、スキャンテーブルからスキャンチャネルとそのスキャン順を読み出し、読み出したスキャンチャネルをスキャン順に番号「1」以降に割り当て、現在状態テーブルに設定する。その後、間欠通信処理部321は、現在状態テーブルの番号「0」に割り当てられている運用チャネルにより通信を開始するよう無線送受信部31に指示し、番号「0」を設定した現在状態番号データを記憶部33に書き込む(ステップS907)。
間欠通信処理部321は、上述のような方法で通信チャネルを決定した後、接続要求送信指示を無線送受信部31に出力し、無線送受信部31は、現在使用している通信チャネルにより接続要求を送信する(ステップS910)。
【0118】
間欠通信処理部321、無線送受信部31は、図16のステップS510〜ステップS520の接続要求部221、無線送受信部21と同様の処理を行う(ステップS915〜ステップS925)。ただし、ステップS510〜ステップS520においては記憶部23に記憶されている情報を使用しているが、ステップS915〜ステップS925においては記憶部33に記憶されている情報を使用する。
【0119】
ステップS915において、無線送受信部31が接続応答を受信すると(ステップS915:YES)、情報受信部322は、接続応答に設定されている現在状態テーブル、現在状態番号データ及びスキャン番号データを記憶部33に書き込む。情報受信部322は、記憶部33に書き込んだ現在状態テーブル及び現在状態番号データに基づいて現在の通信チャネルを決定する。具体的には、情報受信部322は、現在状態番号データが示す番号に割り当てられた無線チャネルを現在状態テーブルから読み出し、読み出した無線チャネルを通信チャネルとして決定する。情報受信部322は、決定した通信チャネルにより通信するよう無線送受信部31に指示する(ステップS927)。
【0120】
また、情報受信部322は、接続応答に設定されているチャネルスキャン設定データ及びスキャンモードを記憶部33に書き込むとともに、接続応答に設定されている現在時刻を時計37に設定する(ステップS930)。
また、サスペンド中に運用チャネルが変更されている場合や、各種情報の変更がある場合があるため、情報受信部322は、情報問合せを送信するよう無線送受信部31に指示する。そして、無線送受信部31は、コントローラ10宛に無線により情報問合せを送信する(ステップS935)。
【0121】
コントローラ10の要求受信部124は、無線送受信部11を介して情報問合せを受信すると、ハンディーターミナル30に変更を通知していない現在状態テーブルや、ハンディーターミナル30に送信していないメッセージ、品切れ情報、変更後のメニューが記憶部13に記憶されていれば、これらうちいずれかを読み出す。メッセージ、品切れ情報、変更後のメニューは、例えば、ハンディーターミナル30がサスペンド中にコントローラ10の記憶部13に店長や厨房のスタッフ等によって書き込まれたものである。要求受信部124は、読み出した情報を設定した情報通知を無線送受信部11に指示し、無線送受信部11は、情報通知をハンディーターミナル30宛に無線により送信する。ハンディーターミナル30の無線送受信部31は、情報通知を受信する。
【0122】
情報通知に現在状態テーブルが設定されている場合(ステップS940:YES)、ステップS830における運用チャネル通知受信部223と同様の処理により、情報受信部322は、記憶部33に現在記憶されている現在状態テーブルを、受信した新しい現在状態テーブルに書き換え、新たな現在状態テーブルの番号「0」に割り当てられた運用チャネルへの変更を無線送受信部31に指示する。無線送受信部31は、通信チャネルを情報受信部322から指示された新たな運用チャネルに変更する(ステップS945)。情報受信部322は、ステップS935からの処理を繰り返す。
【0123】
情報受信部322は、運用チャネルを新たな通信チャネルへ変更し(ステップS945)、記憶部33に記憶されている現在状態番号データを番号「0」に書き換える(ステップS947)。このようにすることで、ハンディーターミナル30は、レジュームからの復帰後や何らかの理由で再起動などをした場合でも、記憶部33に保存してある現在状態テーブルと現在状態番号データとを読み出せば、運用チャネルは変更後の無線チャネルで通信を行うことができる。
【0124】
情報通知に現在状態テーブルが設定されておらず(ステップS940:NO)、メッセージが設定されている場合(ステップS950:YES)、情報受信部322は、情報通知から取得したメッセージを表示処理部323に出力し、表示処理部323は、メッセージをタッチパネル35に表示させる(ステップS955)。情報受信部322は、ステップS935からの処理を繰り返す。
【0125】
情報通知に現在状態テーブルもメッセージも設定されておらず(ステップS950:NO)、品切れ情報が設定されている場合(ステップS960:YES)、情報受信部322は、情報通知から取得した品切れ情報を記憶部33に書き込む(ステップS965)。これにより、ハンディーターミナル30は、タッチパネル35またはキー36により入力された注文品が、記憶部33に記憶されている品切れ情報に含まれている場合、品切れであることをタッチパネル35に表示させる。情報受信部322は、品切れ情報の更新後、ステップS935からの処理を繰り返す。
【0126】
情報通知に現在状態テーブル、メッセージ、品切れ情報とも設定されておらず(ステップS960:NO)、変更後のメニューが設定されている場合(ステップS970:YES)、情報受信部322は、情報通知から取得した変更後のメニューにより、記憶部33に現在記憶されているメニューを更新する(ステップS975)。これにより、表示処理部323は、記憶部33から読み出した変更後のメニューをタッチパネル35に表示させたり、タッチパネル35やキー36により入力された注文品が記憶部33に記憶されている変更後のメニューに含まれているか否かの照合を行ったりする。情報受信部322は、変更後のメニューによるメニュー更新後、ステップS935からの処理を繰り返す。
【0127】
情報通知に現在状態テーブル、メッセージ、品切れ情報、変更後のメニューのいずれも設定されていない場合(ステップS965:NO)、情報受信部322は、記憶部33から読み出した現在状態テーブルの番号「0」に割り当てられた運用チャネルへの変更を無線送受信部31に指示し、記憶部33に記憶している現在状態番号データを番号「0」に書き換える(ステップS980)。間欠通信処理部321は、記憶部33に記憶されているチャネルスキャン設定データからスキャンモードに対応した詳細情報を読み出す。間欠通信処理部321は、時計37が出力する現在時刻から、読み出した詳細情報が示す次のスキャン開始時刻までの時間を算出すると、この算出した時間、すなわち、次のレジューム時刻までの時間をタイマ34に設定し(ステップS985)、サスペンド状態に移行する。これにより、ハンディーターミナル30は、ステップS905の状態となる。
なお、ハンディーターミナル30は、サスペンド状態においてキー36による入力があった場合、電源を起動してタイマ34を停止し、ステップS907からの処理を行う。
【0128】
本実施形態によれば、注文管理システムの各機器は、予め決められた時間に、運用チャネルをスキャンチャネルへ変更する。コントローラ10は、運用チャネルによる運用中及びスキャンチャネルによるスキャン中に品質測定用信号を送信し、プリンタ20は、品質測定用信号の受信状況から通信品質を得る。コントローラ10は、各プリンタ20から収集した運用チャネル及びスキャンチャネルの通信品質に基づいて運用チャネルを変更するか否かを判断し、変更する場合には、新たな運用チャネルをプリンタ20及びハンディーターミナル30に通知する。これによって、注文管理システムにおける機器間の通信品質が劣化した場合、当該注文管理システムの全ての機器が通信品質の良い無線チャネルへ切り替えることができる。
また、店舗の運用形態に合わせて、スキャンを行う時刻や間隔を自由に設定することも可能である。
【0129】
また、ハンディーターミナル30は、省電力化が必要であり、使用されていないときにはサスペンド状態となっている。そのため、ハンディーターミナル30は、レジュームしたときでもスキャンを行わず、コントローラ10から運用チャネルの変更、品切れ情報、更新されたメニュー、メッセージ等を受信する。ハンディーターミナル30のレジューム間隔を短くすれば、厨房や店長室からハンディーターミナル30を所持する店員に、遅滞なくメッセージを送ることができる。
【0130】
上記実施形態によれば、注文管理システムにおいて常に通信品質のよい無線チャネルを使用することができる。従って、ハンディーターミナル30からコントローラ10への注文データの転送が失敗したり、コントローラ10からプリンタ20への伝票データの送信が失敗したり、あるいは、他のプリンタ20に伝票データが迂回されて、伝票が印字されたりすることを防止することが可能となる。よって、注文品が調理されなかったり、調理が遅れたりすることがなく、サービス品質の向上へ貢献することができる。
【0131】
なお、コントローラ10の通信チャネル決定部123は、記憶部13に記憶されている運用チャネルの通信品質が所定の閾値よりも悪く、かつ、スキャンチャネルの通信品質が所定の閾値よりもよい場合、そのスキャンチャネルを新たな運用チャネルとして決定してもよい。また、運用チャネルの通信品質よりもスキャンチャネルの通信品質が所定の条件よりもよい場合、そのスキャンチャネルを新たな運用チャネルとして決定してもよい。
【0132】
また、ハンディーターミナル30が、プリンタ20と同様にコントローラ10から送信される定期パケットの受信成功回数及び受信失敗回数をカウントし、受信成功率をコントローラ10に通信するようにしてもよい。
【0133】
また、プリンタ20は、運用チャネルとスキャンチャネルの受信成功率をコントローラ10に通知する代わりに、運用チャネルによる定期パケット受信の受信成功回数及び受信失敗回数と、各スキャンチャネルによる定期パケット受信の受信成功回数及び受信失敗回数をコントローラ10に通知してもよい。この場合、コントローラは、各プリンタ20から受信した運用チャネルによる定期パケット受信の受信成功回数及び受信失敗回数から運用チャネルの受信成功率を、各プリンタ20から受信した各スキャンチャネルによる定期パケット受信の受信成功回数及び受信失敗回数から、各チャネルの受信成功率を算出してもよい。
【0134】
なお、コントローラ10の処理部12、プリンタ20の処理部22、及び、ハンディーターミナル30の処理部32は、メモリ及びCPU(中央処理装置)等により構成され、上述したコントローラ10の処理部12、プリンタ20の処理部22、及び、ハンディーターミナル30の処理部32の処理過程を実現するためのプログラム(図示せず)を、これを記録している不揮発性のメモリ、磁気ディスク等から、上記メモリにロードして実行することによりその機能が実現される。
【符号の説明】
【0135】
10…コントローラ(通信制御装置、コントローラ装置)
11…無線送受信部(第1の無線送受信部)
12…処理部
121…定期パケット送信処理部(品質測定用信号送信処理部)
122…受信成功率収集部(受信状況収集部)
123…通信チャネル決定部
124…要求受信部
125…注文データ処理部
126…伝票データ処理部
127…会計データ処理部
13…記憶部
14…時計
20、20a、20b…プリンタ(通信装置)
21…無線送受信部(第2の無線送受信部)
22…処理部
221…接続要求部
222…情報受信部
223…運用チャネル通知受信部
224…定期パケット受信処理部(品質測定用信号受信処理部)
225…成功率計算部
226…成功率通知部(受信状況通知部)
227…伝票データ受信処理部
228…印字制御部
23…記憶部
24…時計
25…印字部
30、30a、30b…ハンディーターミナル(通信装置、注文入力装置)
31…無線送受信部(第2の無線送受信部)
32…処理部
321…間欠通信処理部(接続要求部)
322…情報受信部(運用チャネル通知受信部)
323…表示処理部
324…注文入力処理部
325…注文データ送信処理部
33…記憶部
34…タイマ
35…タッチパネル
36…キー
37…時計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信制御装置と通信装置とが無線により通信する無線通信システムであって、
前記通信制御装置は、
運用チャネルによりデータを送受信する第1の無線送受信部と、
前記第1の無線送受信部に通信品質の測定に用いる品質測定用信号を前記運用チャネルにより送信させ、スキャンを実行する所定の時間帯において、前記第1の無線送受信部が使用する前記運用チャネルを通信品質測定対象の無線チャネルであるスキャンチャネルに変更するとともに品質測定用信号を前記スキャンチャネルにより送信させる品質測定用信号送信処理部と、
前記通信装置から前記運用チャネル及び前記スキャンチャネルそれぞれによる前記品質測定用信号の受信状況を受信する受信状況収集部と、
前記受信状況収集部が受信した前記運用チャネル及び前記スキャンチャネルそれぞれの受信状況に基づいて前記運用チャネルを前記スキャンチャネルへ変更するか否かを判断し、前記スキャンチャネルへ変更すると判断した場合、前記スキャンチャネルを新たな運用チャネルとして前記通信装置へ通知するとともに、前記第1の無線送受信部が使用する運用チャネルを前記新たな運用チャネルに変更する通信チャネル決定部と、
を備え、
前記通信装置は、
前記運用チャネルによりデータを送受信する第2の無線送受信部と、
前記運用チャネルによる前記品質測定用信号の受信状況と前記スキャンチャネルによる前記品質測定用信号の受信状況を記憶する記憶部と、
前記第2の無線送受信部が前記運用チャネルにより受信した前記品質測定用信号の受信状況を前記記憶部に書き込み、スキャンを実行する前記所定の時間帯において、前記第2の無線送受信部が使用する前記運用チャネルを前記スキャンチャネルに変更するとともに前記スキャンチャネルにより受信した前記品質測定用信号の受信状況を前記記憶部に書き込む品質測定用信号受信処理部と、
前記記憶部から読み出した前記運用チャネルによる前記品質測定用信号の受信状況と前記スキャンチャネルによる前記品質測定用信号の受信状況とを前記通信制御装置に通知する受信状況通知部と、
前記通信制御装置から前記新たな運用チャネルの通知を受信し、前記第2の無線送受信部が使用する運用チャネルを前記新たな運用チャネルに変更する運用チャネル通知受信部と、
を備える、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記第2の無線送受信部は、前記通信装置の起動時に接続要求を送信し、
前記通信装置は、
前記第2の無線送受信部が送信した前記接続要求に対応して前記通信制御装置からの接続応答を受信しなかった場合、前記第2の無線送受信部が使用する前記運用チャネルを前記スキャンチャネルに変更するとともに接続要求を前記スキャンチャネルにより送信させる接続要求部をさらに備え、
前記通信制御装置は、
スキャンを実行していない時間帯に前記第1の無線送受信部が前記運用チャネルにより前記接続要求を受信した場合、あるいは、スキャンを実行している時間帯に前記第1の送受信部が前記スキャンチャネルにより前記接続要求を受信した場合、前記第1の無線送受信部から前記接続要求の送信元の前記通信装置へ受信応答を返送させる要求受信部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記要求受信部は、前記接続要求の送信元の前記通信装置に、スキャンを実行する時間帯を通知し、
前記品質測定用信号受信処理部は、前記要求受信部から通知された前記時間帯において、前記第2の無線送受信部が使用する前記運用チャネルを前記スキャンチャネルに変更するとともに前記スキャンチャネルにより受信した前記品質測定用信号の受信状況を前記記憶部に書き込む、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記要求受信部は、前記接続要求の送信元の前記通信装置に、前記運用チャネル、前記スキャンチャネル、及び前記時間帯に使用すべき前記スキャンチャネルを示す情報を通知する、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記通信装置及び前記通信制御装置は、時計を備え、
前記要求受信部は、前記接続要求の送信元の前記通信装置に、前記通信装置が備える前記時計から取得した時刻を通知し、
前記通信装置は、前記通信制御装置から受信した時刻を前記通信装置が備える前記時計に設定する情報受信部を備え、
前記品質測定用信号受信処理部は、前記通信装置が備える前記時計から取得した時刻によりスキャンを実行する時間帯であるかを判断する、
ことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項6】
複数の前記通信装置のうち一部の前記通信装置が、
前記品質測定用信号受信処理部及び前記受信状況通知部を備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記一部の前記通信装置とは異なる前記通信装置は、
時間を計測するタイマと、
前記第2の無線送受信部を動作させない省電力状態に移行する前に、スキャンを実行する時間帯の開始までの時間を前記タイマに設定し、前記タイマの計測が満了した場合に、省電力状態を終了して前記第2の無線送受信部を動作させ、前記第2の無線送受信部から接続要求を送信させる間欠通信処理部とをさらに備える、
ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記通信装置は、注文管理システムにおいて注文データの入力を受ける注文入力装置、及び、前記注文管理システムにおいて伝票データを印字するプリンタであり、
前記通信制御装置は、前記注文管理システムにおいて、前記注文入力装置に入力された前記注文データに基づいて前記伝票データを生成し、生成した前記伝票データを前記プリンタに印字させるコントローラ装置である、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項9】
通信制御装置と通信装置とが無線により通信する無線通信システムにおける使用無線周波数判定方法であって、
前記通信制御装置は、
運用チャネルによりデータを送受信する第1の無線送受信部を備え、
前記通信装置は、
運用チャネルによりデータを送受信する第2の無線送受信部を備えており、
前記通信制御装置において、
品質測定用信号送信処理部が、前記第1の無線送受信部に通信品質の測定に用いる品質測定用信号を前記運用チャネルにより送信させ、スキャンを実行する所定の時間帯において、前記第1の無線送受信部が使用する前記運用チャネルを通信品質測定対象の無線チャネルであるスキャンチャネルに変更するとともに品質測定用信号を前記スキャンチャネルにより送信させる品質測定用信号送信過程と、
前記通信装置において、
品質測定用信号受信処理部が、前記第2の無線送受信部が前記運用チャネルにより受信した前記品質測定用信号の受信状況を記憶部に書き込み、スキャンを実行する前記所定の時間帯において、前記第2の無線送受信部が使用する前記運用チャネルを前記スキャンチャネルに変更するとともに前記スキャンチャネルにより受信した前記品質測定用信号の受信状況を前記記憶部に書き込む品質測定用信号受信処理過程と、
受信状況通知部が、前記記憶部から読み出した前記運用チャネルによる前記品質測定用信号の受信状況と前記スキャンチャネルによる前記品質測定用信号の受信状況とを前記通信制御装置に通知する受信状況通知過程と、
前記通信制御装置において、
受信状況収集部が、前記通信装置から前記運用チャネル及び前記スキャンチャネルそれぞれによる前記品質測定用信号の受信状況を受信する受信状況収集過程と、
通信チャネル決定部が、前記受信状況収集過程において受信した前記運用チャネル及び前記スキャンチャネルそれぞれの受信状況に基づいて前記運用チャネルを前記スキャンチャネルへ変更するか否かを判断し、前記スキャンチャネルへ変更すると判断した場合、前記スキャンチャネルを新たな運用チャネルとして前記通信装置へ通知するとともに、前記第1の無線送受信部が使用する運用チャネルを前記新たな運用チャネルに変更する通信チャネル決定過程と、
前記通信装置において、
運用チャネル通知受信部が、前記通信制御装置から前記新たな運用チャネルの通知を受信し、前記第2の無線送受信部が使用する運用チャネルを前記新たな運用チャネルに変更する運用チャネル変更過程と、
を有することを特徴とする使用無線周波数判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−227656(P2012−227656A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92207(P2011−92207)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(304048735)エスアイアイ・データサービス株式会社 (126)
【Fターム(参考)】