説明

無線通信システム

【課題】 WCDMA技術を用いたユニバーサル移動電話システムあるいは第3世代のゼネラルパートナーシッププログラム無線通信システムを提供すること。
【解決手段】 異なるソースからの来入信号中の符号を符号適合フィルタを用いてクロス相関することにより特定する。マルチプレクサが来入信号中の符号のチップレートのP倍のレートでもってP個のソースのそれぞれからの信号をサンプリングする。このマルチプレクサは、受信した信号を時間多重化して、それをP個の素子を有するN段から成る1本の遅延線に供給する。各段はP個のソースから1個のサンプリング値を記憶する。各段の選択された素子は、符号適合フィルターのドット積加算チェーンの対応する入力に出力を与え、それにより各来入信号に対しクロス相関を確立させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、第3世代のゼネラルパートナーシッププログラム(the third generation general partnership program ;3GPP)標準を用いて動作する通信システム或いはブロードバンド符号分割多重アクセスシステム(widebando code division multiple access system ;WCDMA)を採用した通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】図1に於いて移動電話システムは一連のセル内に基地局2が配置され、この基地局2はそのセル内にある複数の携帯電話4と通信する。各基地局はセル内にある各移動局(例:携帯電話4)と信号を送受信するアンテナ列6−16を有している。
【0003】各セルは更に3つのセクションA,B,Cに分割され、各セクションは基地局2を中心に120°の扇型をしており、そのセクター内で動作する一対の離間して配置されたアンテナ6,8,10,12,14,16を具備している。通常あるセクターC内にある各携帯電話4は、信号をそのセクター内のアンテナ6と8に、更に最も近い隣接するセクターA内の2つのアンテナ10,12の両方に信号を送っている。4個の伝送は、それぞれ異なるパスを有し、そのため伝搬(信号到達)時間も異なる。
【0004】WCDMAシステムに於いては、基地局2は、携帯電話4は独自のキャリヤ符号上で信号を送信させている。そして基地局2は携帯電話4に独自のキャリ符号を予め記憶しており、その記憶している符号と受信したキャリヤ符号の相関をとることにより、4個の異なるアンテナ6,8,10,12が受信した同一携帯電話(以下移動局とも称する)4からの4個の信号のそれぞれが受ける遅延量を決定している。これにより4個の信号を組み合わせてより強い信号を生成する。
【0005】相互(Cross)相関は、符号マッチドフィルター(code matched filter)により行われる。符号マッチドフィルターは、大量のハードウエア資源を必要とし、そのため通常のアプローチは、同一の符号マッチドフィルターのハードウエアを使用することである。その結果、4個全ての別々のアンテナソースに対しサーチを実行することなる。図2は、符号マッチドフィルターの一例を示す。
【0006】図2に於いて関連する4本のアンテナ6−12からの4個の入力信号S#1,S#2,S#3,S#4がマルチプレクサ18の4個の別々の入力のそれぞれの1つに与えられる。マルチプレクサ18は、4個の出力を有し、それらの出力は4本の第1遅延線20,第2遅延線22,第3遅延線24,第4遅延線26のそれぞれの入力に接続されている。各遅延線はN段から構成され、各段はタップドシフトレジスタ(tapped shift register)の形態をとる。マルチプレクサ18が受信する各信号S#1−S#4は、互いに重なり合った一連の符号から構成される合成信号である。各符号は異なる移動局により生成され、その結果、基地局は、その移動局により送信されたデータを抽出するために、その符号と相関をとることにより符号を最初にサーチをしなければならない。符号は、持続時間が等しい所謂一連のチップから構成される。
【0007】次に動作について説明する。マルチプレクサ18は、信号S#1をサンプリングして、この第1サンプルを遅延線20の第1段20Aに入れる。マルチプレクサ18は、信号S#2をサンプリングして、第1サンプルを第2遅延線22の第1段22Aに入れる。その後マルチプレクサ18は信号S#3の第1サンプルをサンプリングしてそれを第3遅延線24の第1段24Aに入れる。更にマルチプレクサ18は信号S#4の第1サンプルをサンプリングして、それを第4遅延線26の第1段26Aに入れる。このサイクルは、4個の信号S#1からS#4の第2サンプルと後続のサンプルに対し繰り返して、これは各ラインの各段が充填されるまで行われる。4個の第1段20A−26Aは、マルチプレクサ28Aに出力して各連続する4つの段は、それぞれマルチプレクサ28A−28Nに出力される。ここでNは段の関連する段の数である。マルチプレクサ28A−28Nは、第1信号S#1の全てのサンプルを同時にサンプルし、その後第2信号S#2の全てのサンプルを同時にサンプルし、更に第3信号S#3の全てのサンプルを同時にサンプルし、そして第4信号S#4の全てのサンプルを同時にサンプルするよう動作する。このサイクルはサンプリングレートで繰り返される。
【0008】マルチプレクサ28A−28Nの出力は同時に符号適合フィルタ(CMF)ドット積加算器チェーン30に与えられ、この符号適合フィルタ(CMF)ドット積加算器チェーン30が、復号化するのに必要な信号の符号と相関動作を行う。サンプルは各ラインに沿ってシフトされ、新たなサンプルは4個の第1段20A−26Aに入り、そして4個の最後の段20N−26Nのサンプルが廃棄される。相関動作はサンプリングレートに等しいインターバルで繰り返され、4個の信号S#1からS#4のそれぞれの中の符号のタイミングが確立される時点に相関が達したときまで行われ、その後ジマルチプレクサ32内の分離処理に続く適宜の処理が行われて選択された携帯電話4へ入る4個の信号S#1からS#4からのデータを選択し、加算的に組み合わせる。
【0009】以上からの説明から明らかなように、このシステムを実行するには、それぞれがN個の段とN個のマルチプレクサからなる4本の遅延線を必要とし、そして各マルチプレクサは異なる遅延線の異なる段に接続される。これはかなりの量のハードウエアを必要とする。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本方法の目的は無線通信システムを改良することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の無線通信システムは、請求項1に記載した特徴を有する。即ち、基地局と複数の移動局が互いにワイドバンド符号分割多重アクセス技術を用いて通信できる無線通信システムに於いて、前記基地局は、既知のサンプリングレートで動作し、(A) 各移動局から時間的に離間した信号を受信するよう構成された複数(P)本のアンテナと、(B) 前記複数のアンテナの出力を前記サンプリングレートのP倍のレートでもって多重化する多重化システム(40)と、(C)前記多重化システムの出力に接続されたP×N個の直列接続された素子を有するタップ付きの遅延線(42)と、(D) 前記遅延線のN個の出力に接続され、前記タップ付き遅延線からの出力と局部的に生成された符号信号等をクロス相関するよう動作するN個の入力相関手段(44)と を有し、前記各P番目の素子はタップ付きの出力を有し、前記各P本のアンテナの出力から得られた複数のサンプルは、P個の第1サンプルと、その後P個の第2サンプルと続き、以後順番に後続のサンプルが続く連続するサンプルであることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の符号適合フィルターを図3R>3に示す。
【0013】同図に示すように4個の入力信号S#1からS#4が、マルチプレクサ40の4個の入力の内のそれぞれに与えられ、このマルチプレクサ40はマルチプレクサ18の速度(即ち、チップレートの4倍の速度)で動作する。4個の入力は多重化されて1本の出力となり、この出力がN個の段42Aから42Nを有する1本の遅延線42の入力に与えられる。
【0014】各段42Aは、4個の素子レジスタを有し、各段の最後の素子が出力を符号適合フィルタ(CMF)ドット積加算器チェーン44の入力に与えている。
【0015】各遅延線42が充填されると各レジスタ内の最後の素子は、連続的に4個の信号S#1からS#4のそれぞれのチップの全てを含む。
【0016】従って、従来のシステムの符号適合フィルタ(CMF)ドット積加算器チェーン30の周波数の4倍の周波数で、符号適合フィルタ(CMF)ドット積加算器チェーン44を動作させることにより符号適合フィルタ(CMF)ドット積加算器チェーン44は、マルチプレクサ40により時間多重化された入力信号と同一の順番で時間多重化される。
【0017】符号適合フィルタ(CMF)ドット積加算器チェーン44は、各入力に到達した信号を目的とする移動局を特定する符号により決定された係数と乗算器(図示せず)を有する。加算手段(図示せず)は各入力に対しその結果得られた積を加算し、しきい値デバイス(図示せず)がこの積の和を監視して、積の和が所定のしきい値を越えたときに達成された相関を表す信号を生成する。
【0018】この構成に於いては遅延線を多重化する回路はもはや必要はない。これによりハードウエア資源を節約して遅延を処理チェーンに導入するようなデジタル論理層を取り外すことが出来る。
【0019】サーチングプロセスに加えてこの構成は、WCDMA受信器内の他の受信装置にもメリットがある。特に、3GPP標準は時分割の方法で多重化された信号を採用するランダムアクセスチャネルを有している。同じようなアプローチを用いて3GPP標準のランダムアクセスチャネル受信器/検出器の設計を実現できるハードウエアを大幅に削減することが出来る。
【0020】特許請求の範囲の発明の要件の後ろに括弧で記載した番号は本発明の一実施例の態様関係を示すもので本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】セル内にある移動局を表す図。
【図2】従来技術に関わる符号適合フィルターを表すブロック図。
【図3】本発明に関わる符号適合フィルターを表すブロック図。
【符号の説明】
2 基地局
4 携帯電話
6,8,10 アンテナ
12,14,16 アンテナ
18 マルチプレクサ
20 遅延線
20A 第1段
22 第2遅延線
22A 第1段
24 第3遅延線
24A 第1段
26 第4遅延線
26A 第1段
28 マルチプレクサ
28A・・・・28N マルチプレクサ
30、44 符号適合フィルタ(CMF)ドット積加算器チェーン
32 ジマルチプレクサ
40 マルチプレクサ
42 遅延線
42A・・・・42N 段
S#1 入力信号
S#2 入力信号
S#3 入力信号
S#4 入力信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】基地局と複数の移動局が互いにワイドバンド符号分割多重アクセス技術を用いて通信できる無線通信システムに於いて、前記基地局は、既知のサンプリングレートで動作し、(A) 各移動局から時間的に離間した信号を受信するよう構成された複数(正整数であるP)本のアンテナと、(B) 前記複数のアンテナの出力を前記サンプリングレートのP倍のレートでもって多重化する多重化システム(40)と、前記各P本のアンテナの出力から得られた複数のサンプルは、P個の第1サンプルと、その後P個の第2サンプルと続き、以後順番に後続のサンプルが続く連続するサンプルであり、(C) 前記多重化システムの出力に接続されたP×N個の直列接続された素子を有するタップ付きの遅延線(42)と、前記各P番目の素子はタップ付きの出力を有し、(D) 前記遅延線のN個の出力に接続され、前記タップ付き遅延線からの出力と局部的に生成された符号信号等をクロス相関するよう動作するN個の入力相関手段(44)とを有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】前記(D)入力相関手段は、(D1) 各入力に到達した信号と前記局部的に生成された符号により決定された計数とを乗算する乗算手段と、(D2) 前記各入力に対し得られた積を加算する加算手段と、(D3) 前記加算された和が所定のしきい値を越えた時を監視して相関を表すしきい値手段とを有することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】前記Pは、4であり、4本のアンテナの内2本のアンテナは基地局により割り当てられた120°のセグメント内で動作し、残りの2本のアンテナは基地局に割り当てられた隣接する120°のセグメント内で動作することを特徴とする請求項1または2記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2002−26776(P2002−26776A)
【公開日】平成14年1月25日(2002.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−155235(P2001−155235)
【出願日】平成13年5月24日(2001.5.24)
【出願人】(596077259)ルーセント テクノロジーズ インコーポレイテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】Lucent Technologies Inc.
【住所又は居所原語表記】600 Mountain Avenue,Murray Hill, New Jersey 07974−0636U.S.A.
【Fターム(参考)】