説明

無線通信システム

【課題】親局装置1と子局装置3とが無線により通信する無線通信システムで、子局装置の利用者の使い勝手を向上させる。
【解決手段】親局装置は、放送情報(防災情報、行政情報)及びそれに対応した識別情報(案件情報、案件番号)を無線送信する。子局装置は、受信した放送情報及び識別情報を記憶し、記憶された放送情報を出力し、この場合に、受信した放送情報が既に記憶されたものであるか否かを判定し、既に記憶されたものではないと判定された放送情報については記憶することを行うように制御する一方、既に記憶されたものであると判定された放送情報については記憶することを行わないように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親局装置から子局装置へ放送情報を無線により送信する無線通信システムに関し、特に、子局装置の利用者の使い勝手を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、同報無線システムとして構成される市町村防災無線システムなどが検討等されている。
図1には、防災無線システムの概略的な構成例を示してある。
本例の防災無線システムは、親局操作卓を有する親局設備1と、子局設備である屋外拡声装置2及び戸別受信装置3を備えている。なお、屋外拡声装置2や戸別受信装置3は、各々、複数備えられる。
【0003】
従来、同報無線では、親局設備1から無線により送信された音声情報(放送情報の一例)を屋外拡声装置2や戸別受信装置3により受信して出力することで利用者(人)によりリアルタイムで聞くことや、或いは、戸別受信装置3においては、録音機能付きの戸別受信装置を用いて受信した音声情報の音声を録音して、その音声を利用者により後で聞くこと、などが行われる。
【0004】
ここで、録音機能付きの戸別受信装置3では、録音時間や録音件数に上限があり、そして、録音時間や録音件数がその上限を超えた場合には、既に録音されている古い録音メッセージ(音声)から上書きする仕組みとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−244484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来における録音機能付きの戸別受信装置3では、その設置場所に利用者がいる場合にはその音声情報を聞くことが可能である一方、そうでない場合には、利用者は録音済みのメッセージ(音声)を再生することでその情報を得ることができるが、防災情報や行政情報などのように繰り返して放送される情報について、メッセージの上書きにより聞き逃してしまう可能性があるといった問題があった。
【0007】
また、従来における戸別受信装置3(録音機能が付いていないものも含む)では、受信した音声情報の音声をリアルタイムで再生するときに、同じ内容の音声情報が繰り返して親局設備1から送信される場合には、同じ内容の音声が繰り返して再生されてしまい、これが無駄になってしまうこともあった。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、親局装置(例えば、親局設備1)から子局装置(例えば、戸別受信装置3)へ放送情報を無線により送信する場合に、子局装置の利用者の使い勝手を向上させることができる無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明では、親局装置と子局装置とが無線により通信する無線通信システムにおいて、次のような構成とした。
すなわち、前記親局装置では、放送手段が、放送情報及びそれに対応した識別情報を無線により送信する。
前記子局装置では、受信手段が、前記親局装置から無線により送信された放送情報及び識別情報を受信する。放送情報記憶手段が、前記受信手段により受信された放送情報を記憶する。識別情報記憶手段が、前記受信手段により受信された識別情報を記憶する。出力手段が、前記放送情報記憶手段により記憶された放送情報を出力する。判定手段が、前記識別情報記憶手段の記憶内容及び前記受信手段により受信された放送情報に対応した識別情報に基づいて、当該放送情報が既に前記放送情報記憶手段により記憶されたものであるか否かを判定する。制御手段が、前記受信手段により受信された放送情報であって前記判定手段により既に前記放送情報記憶手段により記憶されたものではないと判定された放送情報については前記放送情報記憶手段により記憶することを行うように制御する一方、前記受信手段により受信された放送情報であって前記判定手段により既に前記放送情報記憶手段により記憶されたものであると判定された放送情報については前記放送情報記憶手段により記憶することを行わないように制御する。
【0010】
従って、親局装置から子局装置へ放送情報を無線により送信する場合に、子局装置では既に記憶されたものであると判定された放送情報については再び記憶しないようにするため、子局装置のメモリを有効に利用することができ、これにより、例えば、重要な録音メッセージが上書きにより消去されてしまうことを防止して、録音メッセージの聞き逃しを防止することができる。このように、利用者の使い勝手を向上させることができる。
【0011】
ここで、親局装置、子局装置、無線通信システムとしては、種々なものが用いられてもよい。
また、放送情報に対応した識別情報は、例えば、当該放送情報に付加されて親局装置から送信される。
また、放送情報に対応した識別情報としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、防災情報であるか或いは行政情報であるかを区別するように放送情報自体の種類を識別する情報(例えば、固有情報(案件情報))や、ある種類の放送情報(例えば、防災情報又は行政情報)において放送内容を識別する番号等の情報(例えば、案件番号)のうちの1つ以上を用いることができる。
【0012】
また、放送情報記憶手段や識別情報記憶手段は、例えば、メモリを用いて構成することができ、また、これらは共通のメモリを用いて構成されてもよく、或いは、別のメモリを用いて構成されてもよい。
また、放送情報記憶手段により記憶される放送情報と識別情報記憶手段により記憶される識別情報とは、例えば、互いに対応付けられてもよく、また、互いに対応する情報(放送情報及び識別情報)の記憶処理や消去処理が連動して同時に行われてもよい。
【0013】
また、放送情報やその出力方法としては、種々な態様が用いられてもよく、一例として、音声の放送情報を用いて、その音声をスピーカから出力する出力方法を用いることができ、他の例として、文字や画像の放送情報を用いて、その文字や画像を画面に表示出力する出力方法を用いることができる。
【0014】
また、識別情報記憶手段の記憶内容及び受信手段により受信された放送情報に対応した識別情報に基づいて、当該放送情報が既に放送情報記憶手段により記憶されたものであるか否かを判定する方法としては、例えば、受信手段により受信された放送情報に対応した識別情報と一致する識別情報(同じ識別情報)が識別情報記憶手段により記憶されている場合には当該放送情報が既に放送情報記憶手段により記憶されたものであると判定する一方、そうでない場合には当該放送情報が既に放送情報記憶手段により記憶されたものではないと判定する方法を用いることができる。
【0015】
一構成例として、本発明に係る無線通信システムでは、次のような構成とした。
すなわち、前記子局装置は、前記識別情報記憶手段により記憶された識別情報を無効にする(例えば、消去する)無効化手段を備えた。
従って、例えば、記憶された識別情報を所定の期間が経過したときなどのタイミングで無効にすることにより、メモリを有効に利用することや、同じ識別情報を使い回すようなことが可能である。
【0016】
ここで、記憶された識別情報を無効にするタイミングとしては、種々なタイミングが用いられてもよく、例えば、子局装置の利用者或いは親局装置などにより設定された所定期間が経過したときのタイミングや、利用者により子局装置に対して所定の操作が行われたタイミングや、親局装置などから子局装置に対して所定の制御が行われたタイミングや、子局装置に予め設定された条件が満たされたタイミング、などを用いることができる。
また、記憶された識別情報を無効にする処理は、例えば、識別情報記憶手段により記憶された全ての識別情報について一括して行われてもよく、或いは、個別の識別情報毎又は幾つかの所定の関連のある識別情報毎について行われてもよい。
【0017】
(他の構成例の説明)
上記目的を達成するため、本発明では、親局装置と子局装置とが無線により通信する無線通信システムにおいて、次のような構成とした。
すなわち、前記親局装置では、放送手段が、放送情報及びそれに対応した識別情報を無線により送信する。
前記子局装置では、受信手段が、前記親局装置から無線により送信された放送情報及び識別情報を受信する。識別情報記憶手段が、前記受信手段により受信された識別情報を記憶する。出力手段が、前記受信手段により受信された放送情報を出力する。判定手段が、前記識別情報記憶手段の記憶内容及び前記受信手段により受信された放送情報に対応した識別情報に基づいて、当該放送情報が既に前記出力手段により出力されたものであるか否かを判定する。制御手段が、前記受信手段により受信された放送情報であって前記判定手段により既に前記出力手段により出力されたものではないと判定された放送情報については前記出力手段により出力することを行うように制御する一方、前記受信手段により受信された放送情報であって前記判定手段により既に前記出力手段により出力されたものであると判定された放送情報については前記出力手段により出力することを行わないように制御する。
【0018】
従って、親局装置から子局装置へ放送情報を無線により送信する場合に、子局装置では、例えば受信した放送情報をリアルタイムに出力するときに、既に出力されたものであると判定された放送情報については再び出力しないようにするため、同じ内容の無駄な出力を防止することができる。このように、利用者の使い勝手を向上させることができる。
【0019】
ここで、親局装置、子局装置、無線通信システムとしては、種々なものが用いられてもよい。
また、放送情報に対応した識別情報は、例えば、当該放送情報に付加されて親局装置から送信される。
また、放送情報に対応した識別情報としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、防災情報であるか或いは行政情報であるかを区別するように放送情報自体の種類を識別する情報(例えば、固有情報(案件情報))や、ある種類の放送情報(例えば、防災情報又は行政情報)において放送内容を識別する番号等の情報(例えば、案件番号)のうちの1つ以上を用いることができる。
【0020】
また、識別情報記憶手段は、例えば、メモリを用いて構成することができる。
また、子局装置では、受信手段により受信された放送情報を記憶する放送情報記憶手段が備えられてもよい。この場合、放送情報記憶手段は、例えば、メモリを用いて構成することができ、また、放送情報記憶手段や識別情報記憶手段は、共通のメモリを用いて構成されてもよく、或いは、別のメモリを用いて構成されてもよい。また、放送情報記憶手段により記憶される放送情報と識別情報記憶手段により記憶される識別情報とは、例えば、互いに対応付けられてもよく、また、互いに対応する情報(放送情報及び識別情報)の記憶処理や消去処理が連動して同時に行われてもよい。
【0021】
また、放送情報やその出力方法としては、種々な態様が用いられてもよく、一例として、音声の放送情報を用いて、その音声をスピーカから出力する出力方法を用いることができ、他の例として、文字や画像の放送情報を用いて、その文字や画像を画面に表示出力する出力方法を用いることができる。
【0022】
また、識別情報記憶手段の記憶内容及び受信手段により受信された放送情報に対応した識別情報に基づいて、当該放送情報が既に出力手段により出力されたものであるか否かを判定する方法としては、例えば、受信手段により受信された放送情報に対応した識別情報と一致する識別情報(同じ識別情報)が識別情報記憶手段により記憶されている場合には当該放送情報が既に出力手段により出力されたものであると判定する一方、そうでない場合には当該放送情報が既に出力手段により出力されたものではないと判定する方法を用いることができる。
【0023】
一構成例として、本発明に係る無線通信システムでは、次のような構成とした。
すなわち、前記子局装置では、有効期間設定手段が、有効期間(有効時間)を設定する。そして、前記子局装置の前記制御手段は、前記有効期間設定手段により設定された有効期間において、前記した制御を実行する。
従って、例えば、放送情報が親局装置から送信される期間(時刻等の時間)が定まっているような場合に、それに対応することができる。
【0024】
ここで、有効期間を設定する方法としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、子局装置の利用者により設定する方法や、親局装置などにより子局装置に対して有効期間に関する情報を通知して設定する方法、などを用いることができる。
また、有効期間としては、例えば、識別情報記憶手段により記憶される全ての識別情報について一括して設定されてもよく、或いは、個別の識別情報毎又は幾つかの所定の関連のある識別情報毎について設定されてもよい。
【0025】
一構成例として、本発明に係る無線通信システムでは、次のような構成とした。
すなわち、所定の種類の放送情報については、前記子局装置において、繰り返しても出力されるようにした。
従って、例えば、行政情報については有効期間を設定して繰り返しの出力を防止する一方、緊急性が高い防災情報については繰り返して送信されてくる場合には繰り返して出力するようなことができる。
【0026】
一構成例として、本発明に係る無線通信システムでは、次のような構成とした。
すなわち、前記子局装置は、前記識別情報記憶手段により記憶された識別情報を無効にする(例えば、消去する)無効化手段を備えた。
従って、例えば、記憶された識別情報を所定の期間が経過したときなどのタイミングで無効にすることにより、メモリを有効に利用することや、同じ識別情報を使い回すようなことが可能である。
【0027】
ここで、記憶された識別情報を無効にするタイミングとしては、種々なタイミングが用いられてもよく、例えば、子局装置の利用者或いは親局装置などにより設定された所定期間が経過したときのタイミングや、利用者により子局装置に対して所定の操作が行われたタイミングや、親局装置などから子局装置に対して所定の制御が行われたタイミングや、子局装置に予め設定された条件が満たされたタイミング、などを用いることができる。
また、記憶された識別情報を無効にする処理は、例えば、識別情報記憶手段により記憶された全ての識別情報について一括して行われてもよく、或いは、個別の識別情報毎又は幾つかの所定の関連のある識別情報毎について行われてもよい。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明に係る無線通信システムによると、親局装置から子局装置へ放送情報を無線により送信する場合に、子局装置の利用者の使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】防災無線システムの構成例を示す図である。
【図2】録音機能付きの戸別受信装置の構成例を示す図である。
【図3】親局設備からの放送時における戸別受信装置による録音処理の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
本例では、図1に示される防災無線システムを例として説明する。
本例では、戸別受信装置3として、録音機能付きの戸別受信装置を用いている。
本例の防災無線システムでは、親局設備1から防災情報(防災に関する情報)や行政情報(行政に関する情報)を放送情報として無線により送信する。ここで、本例では、放送情報として音声の情報を用いている。
【0031】
そして、親局設備1からの放送情報を受信した屋外拡声装置2は、受信した放送情報の音声を拡声して出力し、これにより、周辺の利用者(本例では、市町村の人々)はその音声を聞くことができる。
また、親局設備1からの放送情報を受信した戸別受信装置3は、受信した放送情報の音声をリアルタイムで出力することや、受信した放送情報の音声をメモリに記憶(録音)して保存することを行う。これにより、利用者(本例では、戸別の人)は、その音声をリアルタイムで聞くことや、録音された音声の情報(録音メッセージ)を後で聞くことができる。
ここで、屋外拡声装置2は屋外に設置等されており、また、戸別受信装置3は戸別に設置等されている。
【0032】
図2には、録音機能付きの戸別受信装置3の構成例を示してある。
本例の戸別受信装置3は、アンテナ11、受信部12、操作部13、表示部14、例えばメモリを有するIC録音部15、音声処理増幅部16、スピーカ17、電池を有する電源部18、制御部19を備えている。
操作部13は、利用者により操作されて、その操作の内容を制御部19へ出力する。
表示部14は、例えば表示画面を有しており、制御部19により制御されて、表示対象の情報を画面に表示する。
制御部19は、戸別受信装置3における各種の処理や制御を行う。
【0033】
本例の戸別受信装置3では、電源部18の電池から供給される電力で動作し、アンテナ11により受信された親局設備1のアンテナからの無線信号(放送情報)を受信部12により受信処理して制御部19を介して音声処理増幅部16に入力し、その放送情報の音声を音声処理増幅部16により増幅などしてスピーカ17から出力する。
また、制御部19は、受信された放送情報の音声をIC録音部15のメモリに記憶させる処理や、IC録音部15のメモリに記憶された音声(録音メッセージ)を音声処理増幅部16へ出力させてスピーカ17から出力させる処理を行う。
【0034】
ここで、受信された放送情報の音声をIC録音部15のメモリに記憶させる処理(録音の処理)としては、例えば、放送情報が受信されるたびに常時行われる構成が用いられてもよく、或いは、利用者による操作部13の操作に応じてオン/オフの設定が可能であり、オンに設定されているときには行われ、オフに設定されているときには行われない構成が用いられてもよい。
【0035】
また、IC録音部15のメモリに記憶された音声(録音メッセージ)を出力させて再生させる処理(録音メッセージの再生の処理)としては、例えば、利用者による操作部13の操作(指示)に応じて行われる。
また、IC録音部15のメモリに複数の録音メッセージが記憶される場合には、これら複数の録音メッセージの各々を識別することが可能な情報が設定され、利用者は希望の録音メッセージを選択して再生させることができる。ここで、このような識別情報としては、例えば、送信側(本例では、親局設備1)で設定された情報が用いられてもよく、或いは、受信側(本例では、戸別受信装置3)で設定された情報が用いられてもよい。
【0036】
本例の防災無線システムにおいて行われる動作の一例を示す。
本例では、親局設備1からの送信情報(放送情報)として、防災情報と行政情報を区別する案件情報を付加して、子局装置(本例では、屋外拡声装置2や戸別受信装置3)に対して情報配信を行う。
また、防災情報や行政情報は、予め決められた日時や回数で放送されることが多く、本例では、送信元である親局設備1において、防災情報や行政情報に案件番号を付加して子局装置へ配信する。
つまり、本例では、放送情報に案件情報と案件番号が付加され、案件情報により防災情報と行政情報の区別が為され、更に、防災情報又は行政情報において、案件番号により1つの放送内容が特定される。
【0037】
一例として、本例の戸別受信装置3では、既にIC録音部15のメモリに記憶されたものと同じ放送情報(同じとみなされる放送情報)については、再び記憶しないようにする処理が制御部19により行われる。
具体例として、制御部19は、受信された放送情報に付加された案件情報及び案件番号を検出し、既にIC録音部15のメモリに記憶された放送情報の案件情報及び案件番号と一致する放送情報がその後に受信された場合には再び記憶することをしないように制御する機能を有している。
【0038】
他の一例として、本例の戸別受信装置3では、受信された放送情報の音声をリアルタイムで出力(再生)する場合に、有効時間内において、既に再生された放送情報の案件情報及び案件番号と一致する放送情報がその後に受信された場合には再び再生することをしないようにする処理が制御部19により行われる。
具体例として、制御部19は、例えば利用者による操作部13の操作などに応じて設定された有効時間をメモリ(例えば、制御部19のメモリ)に記憶し、その有効時間内において、受信された放送情報に付加された案件情報及び案件番号を検出し、既に再生された放送情報の案件情報及び案件番号と一致する放送情報がその後に受信された場合には再び再生することをしないように制御する機能を有している。
【0039】
図3には、親局設備1からの放送時における戸別受信装置3による録音処理の流れの一例を示してある。
本例の説明では、案件情報として「防災情報」及び「行政情報」を使用し、案件番号として「001」、「002」、「003」、・・・を使用する。
【0040】
(以下、図3の放送例1)
親局設備1において、ある時刻から行政情報001、行政情報002をある時間で放送を繰り返す設定である場合を説明する。また、本例では、親局設備1は、行政情報001、行政情報002を3回繰り返して送信した後に、防災情報001を送信する。
また、戸別受信装置3は、受信された放送情報の音声を録音する状態にあるとする。
この場合、戸別受信装置3では、最初に受信される行政情報001、行政情報002を録音し、次に受信される同じ内容の行政情報001、行政情報002については付加された案件情報、案件番号によりゲート(制限)をかけて録音しないようにし、次に受信される行政情報001、行政情報002についても同様に同じ内容であるため録音せず、その次に受信される防災情報001については最初であるため録音する。
(以上、図3の放送例1)
【0041】
(以下、図3の放送例2)
親局設備1において、ある時刻から行政情報003、行政情報004をある時間で放送を繰り返す設定である場合を説明する。また、本例では、親局設備1は、行政情報003、行政情報004を2回繰り返して送信した後に、防災情報002を送信する。
また、戸別受信装置3は、受信された放送情報の音声をリアルタイムで再生する状態にあるとする。
この場合、戸別受信装置3では、有効時間内において、最初に受信される行政情報003、行政情報004を再生し、次に受信される同じ内容の行政情報003、行政情報004については付加された案件情報、案件番号によりゲート(制限)をかけて再生しないようにし、その次に受信される防災情報002については最初であるため再生する。
【0042】
このように、本例の戸別受信装置3では、上記した録音機能とは別に、リアルタイムで音声を聞く場合において、放送情報(本例では、行政情報)の放送有効時刻を設定することが可能であり、その有効時間と案件情報(本例では、行政情報が設定されている)、案件番号でゲートをかけることにより、一度聞いた案件情報(本例では、行政情報が設定されている)、案件番号の音声は再び鳴らさないようにする設定が可能である。
なお、本例では、地震等に関する情報である防災情報については、この限りではなく、重複しても繰り返して、音声を再生して流すように構成されている。
(以上、図3の放送例2)
【0043】
以上のように、本例では、市町村防災無線の親局設備1と複数の子局設備(本例では、屋外拡声装置2や戸別受信装置3)が無線回線で接続されるシステムにおいて、親局設備1から子局設備へ繰り返し放送する内容(放送情報)に固有情報(本例では、案件情報)及び案件番号を付加して通知することにより、子局設備である戸別受信装置3がその固有情報及び案件番号を取得してその固有情報及び案件番号に基づいて録音する情報を制限することを可能とし、また、子局設備である戸別受信装置3において、放送する有効時間を設定することを可能とし、その有効時間と固有情報及び案件番号に基づいて受信情報を排他制御して音声を再生することを可能とした。
【0044】
このように、本例では、親局設備1が放送情報に対応した固有情報及び案件番号を付して当該放送情報を送信し、戸別受信装置3が、受信した放送情報の音声をIC録音部15のメモリに記憶させる際に、受信した放送情報に付された固有情報及び案件番号と一致する固有情報及び案件番号が付された他の放送情報がメモリに保存済みであれば、その新たに受信した放送情報の保存を抑止することにより、同じ内容の放送情報を二度録音せずに済み、例えば、利用者の不在時などに同じ内容の放送情報が繰り返し放送されてメモリの容量を超えてしまい必要な情報が上書きされて聞き逃してしまうようなことを解消することができる。これにより、利用者の使い勝手を向上させることができる。
【0045】
また、本例では、親局設備1が放送情報に対応した固有情報及び案件番号を付して当該放送情報を送信し、戸別受信装置3が、受信した放送情報の音声をリアルタイムで再生する際に、設定された有効時間内において、受信した放送情報に付された固有情報及び案件番号と一致する固有情報及び案件番号が付された他の放送情報が再生済みであれば、その新たに受信した放送情報の再生を抑止することにより、同じ内容の放送情報(本例では、行政情報)を二度再生せずに済み、例えば、利用者の在宅時における繰り返し放送について、同じ内容については二度目からミュートすることが可能となる。これにより、利用者の使い勝手を向上させることができる。また、本例では、防災情報については、回数に関わらず、リアルタイムに再生するように設定されており、これにより、緊急性が高い防災情報に対する注意を喚起することができる。
【0046】
(以下、図3の放送例1に対応した構成例)
なお、本例の防災無線システム(無線通信システムの一例)における親局設備1(親局装置の一例)では、放送情報(本例では、防災情報や行政情報)及びそれに対応した識別情報(本例では、案件情報及び案件番号)を無線により送信する放送手段の機能を有している。
また、本例の戸別受信装置3(子局装置の一例)では、親局設備1から無線により送信された放送情報及び識別情報を受信する受信手段の機能(アンテナ11や受信部12の機能)、受信された放送情報を記憶する放送情報記憶手段の機能(IC録音部15のメモリの機能)、受信された識別情報を記憶する識別情報記憶手段の機能(例えば、IC録音部15或いは制御部19などのメモリの機能)、記憶された放送情報を出力する出力手段の機能(音声処理増幅部16やスピーカ17の機能)、受信された放送情報が既に記憶されたものであるか否かを判定する判定手段の機能(制御部19の機能)、受信された放送情報について既に記憶されたものは記憶しないように制御する制御手段の機能(制御部19の機能)を備えている。
(以上、図3の放送例1に対応した構成例)
【0047】
(以下、図3の放送例2に対応した構成例)
また、本例の防災無線システム(無線通信システムの一例)における親局設備1(親局装置の一例)では、放送情報(本例では、防災情報や行政情報)及びそれに対応した識別情報(本例では、案件情報及び案件番号)を無線により送信する放送手段の機能を有している。
また、本例の戸別受信装置3(子局装置の一例)では、親局設備1から無線により送信された放送情報及び識別情報を受信する受信手段の機能(アンテナ11や受信部12の機能)、受信された識別情報を記憶する識別情報記憶手段の機能(例えば、IC録音部15或いは制御部19などのメモリの機能)、受信された放送情報を出力する出力手段の機能(音声処理増幅部16やスピーカ17の機能)、受信された放送情報が既に出力されたものであるか否かを判定する判定手段の機能(制御部19の機能)、受信された放送情報について既に出力されたものは出力しないように制御する制御手段の機能(制御部19の機能)を備えている。また、このような制御は、例えば、所定の有効期間内に行われる。
(以上、図3の放送例2に対応した構成例)
【0048】
ここで、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々なシステムや装置として提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【符号の説明】
【0049】
1・・親局設備、 2・・屋外拡声装置、 3・・戸別受信装置、 11・・アンテナ、 12・・受信部、 13・・操作部、 14・・表示部、 15・・IC録音部、 16・・音声処理増幅部、 17・・スピーカ、 18・・電源部、 19・・制御部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親局装置と子局装置とが無線により通信する無線通信システムにおいて、
前記親局装置は、放送情報及びそれに対応した識別情報を無線により送信する放送手段を備え、
前記子局装置は、前記親局装置から無線により送信された放送情報及び識別情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された放送情報を記憶する放送情報記憶手段と、
前記受信手段により受信された識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、
前記放送情報記憶手段により記憶された放送情報を出力する出力手段と、
前記識別情報記憶手段の記憶内容及び前記受信手段により受信された放送情報に対応した識別情報に基づいて、当該放送情報が既に前記放送情報記憶手段により記憶されたものであるか否かを判定する判定手段と、
前記受信手段により受信された放送情報であって前記判定手段により既に前記放送情報記憶手段により記憶されたものではないと判定された放送情報については前記放送情報記憶手段により記憶することを行うように制御する一方、前記受信手段により受信された放送情報であって前記判定手段により既に前記放送情報記憶手段により記憶されたものであると判定された放送情報については前記放送情報記憶手段により記憶することを行わないように制御する制御手段と、を備えた、
ことを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−217211(P2011−217211A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84741(P2010−84741)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】