説明

無線通信端末、無線通信システム及び無線通信方法

【課題】無線通信端末において、ユーザに緊急情報が配信されていることを迅速に知らせること。
【解決手段】無線通信端末2は、受信部3、解析部4、受信処理部5及び通知部6を備える。受信部3は、第1のメッセージ及び第2のメッセージを受信する。解析部4は、第1のメッセージにスケジューリングされているメッセージを解析し、第1のメッセージに第2のメッセージがスケジューリングされているか否かを解析する。受信処理部5は、第1のメッセージの受信処理を行い、第1のメッセージに第2のメッセージがスケジューリングされている場合に、通知部6に第1のメッセージを受信したことを通知する。通知部6は、ユーザに第1のメッセージを受信したことを通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線通信端末、無線通信システム及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定トリガを検出した場合に、次の変更期間が開始するのを待つことなく、現在の変更期間において、スケジューリング情報通知用システム情報を受信する移動局がある。この移動局は、スケジューリング情報通知用システム情報によって通知されたスケジューリング情報に基づいて、緊急情報通知用システム情報を受信し、緊急情報通知用システム情報によって通知された緊急情報に対応する処理を行う。
【0003】
また、緊急情報の発生を検知した場合に、複数の移動局に対して、所定トリガを通知するとともに、次の変更期間が開始するのを待つことなく、現在の変更期間において、スケジューリング情報通知用システム情報を送信する基地局がある。この基地局は、スケジューリング情報によって指定された下りリソースを用いて、緊急情報通知用システム情報を送信する。
【0004】
また、移動局に、同報通信を開始するための制御チャネルを用いて簡易情報を送信し、同報通信用のトラフィックチャネルを用いて詳細情報を送信する基地局がある。移動局は、この基地局から受信した簡易情報を表示した後、詳細情報を表示する。
【0005】
また、複数の移動局に対して同報情報を通知するように指示された場合、ページングメッセージの送信タイミングに関係なく、同報メッセージの繰り返し送信を開始する基地局がある。この基地局に対して、移動局は、ページングメッセージによって指定されているパラメータを用いて同報メッセージ受信用パラメータを受信し、同報メッセージ受信用パラメータを用いて受信可能な同報メッセージを受信し、同報情報に対応する処理を行う。
【0006】
一方、次世代移動通信システムであるLTE(Long Term Evolution)において、地震や津波などの緊急を要する情報配信(ETWS:Earthquake Tsunami Warning System)に関する要求条件を満たす標準技術仕様が3GPP(Third Generation Partnership Project)のリリース8にて規定されている。この標準技術仕様では、ETWSの通知は、基地局が移動局に対して、ETWSインディケーション(ETWS indication)を設定したページングメッセージ(ページングメッセージ)を送信することにより開始される。
【0007】
そして、基地局は移動局に対して、例えば「地震発生」などの最も緊急を要する最低限の情報(Primary Notification)を同報配信した後、例えば「震源地」や「震度」などの補足的な情報(Secondary Notification)を同報配信する。移動局は、デフォルトページングサイクルに1度の頻度でページングメッセージの受信を試み、受信したページングメッセージにETWSインディケーションが設定されている場合に、緊急情報の含まれる報知情報の受信を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−267884号公報
【特許文献2】国際公開第2007/148703号パンフレット
【特許文献3】特開2009−253774号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】3GPP TS 22.168 V8.1.0 (2008−06) Earthquake and Tsunami Warning System (ETWS) requirements; Stage 1 (Release 8)
【非特許文献2】3GPP TR 23.828 V8.0.0 (2008−09) Earthquake and Tsunami Warning System (ETWS) Requirements and Solutions; Solution Placeholder (Release 8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述したETWSの標準技術仕様では、移動局は、最低限の情報(Primary Notification)を受信した時点で、ユーザに緊急情報の配信を通知するために、鳴動やメッセージを表示するなどの所定の処理を行う。つまり、ユーザは、緊急情報が配信されていることを、移動局が最低限の情報(Primary Notification)を受信するまでは知ることができないという問題点がある。
【0011】
ユーザに緊急情報が配信されていることを迅速に知らせることができる無線通信端末、無線通信システム及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
無線通信端末は、受信部、解析部、受信処理部及び通知部を備える。受信部は、第1のメッセージ及び第2のメッセージを受信する。解析部は、第1のメッセージにスケジューリングされているメッセージを解析し、第1のメッセージに第2のメッセージがスケジューリングされているか否かを解析する。受信処理部は、第1のメッセージの受信処理を行い、第1のメッセージに第2のメッセージがスケジューリングされている場合に、通知部に第1のメッセージを受信したことを通知する。通知部は、ユーザに第1のメッセージを受信したことを通知する。
【発明の効果】
【0013】
この無線通信端末、無線通信システム及び無線通信方法によれば、ユーザに緊急情報が配信されていることを迅速に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施例1にかかる無線通信システム及び無線通信端末を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施例1にかかる無線通信方法を示すフローチャートである。
【図3】図3は、実施例2にかかる無線通信端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、実施例2にかかる無線通信端末の機能的構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、実施例2における受信メッセージの一例を示す図である。
【図6】図6は、実施例2にかかる無線通信方法を示すシーケンス図である。
【図7】図7は、実施例2における簡易情報の表示画面例を示す図である。
【図8】図8は、実施例2における詳細情報の表示画面例を示す図である。
【図9】図9は、実施例2にかかる無線通信方法の別の例を示すシーケンス図である。
【図10】図10は、実施例2にかかる無線通信端末のベースバンド部での処理を示すフローチャートである。
【図11】図11は、実施例2にかかる無線通信端末のアプリケーション部での処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この無線通信端末、無線通信システム及び無線通信方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。無線通信端末、無線通信システム及び無線通信方法は、無線通信端末において、受信した第1のメッセージに第2のメッセージがスケジューリングされている場合、第2のメッセージを受信する前に、ユーザに第1のメッセージを受信したことを通知するものである。以下の各実施例の説明においては、同様の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0016】
(実施例1)
・無線通信システム及び無線通信端末の説明
図1は、実施例1にかかる無線通信システム及び無線通信端末を示すブロック図である。図1に示すように、無線通信システムは、基地局1及び無線通信端末2を備えている。基地局1は、第1のメッセージ及び第2のメッセージを送信する。第1のメッセージには、第2のメッセージがスケジューリングされていてもよい。
【0017】
無線通信端末2は、受信部3、解析部4、受信処理部5及び通知部6を備える。受信部3は、第1のメッセージ及び第2のメッセージを受信する。解析部4は、第1のメッセージにスケジューリングされているメッセージを解析し、第1のメッセージに第2のメッセージがスケジューリングされているか否かを解析する。受信処理部5は、第1のメッセージの受信処理を行い、第1のメッセージに第2のメッセージがスケジューリングされている場合に、通知部6に第1のメッセージを受信したことを通知する。通知部6は、ユーザに第1のメッセージを受信したことを通知する。
【0018】
・無線通信方法の説明
図2は、実施例1にかかる無線通信方法を示すフローチャートである。図2に示すように、無線通信端末2は、基地局1から送信された第1のメッセージを受信すると(ステップS1)、受信した第1のメッセージに第2のメッセージがスケジューリングされているか否かを解析する(ステップS2)。解析した結果、第1のメッセージに第2のメッセージがスケジューリングされている場合(ステップS2:Yes)、無線通信端末2はユーザインタフェースを用いてユーザに第1のメッセージを受信したことを通知する(ステップS3)。一方、第1のメッセージに第2のメッセージがスケジューリングされていない場合(ステップS2:No)、無線通信端末2はステップS3を省略する。
【0019】
次いで、無線通信端末2は、基地局1から送信された、第1のメッセージでスケジューリングされていた第2のメッセージを受信すると(ステップS4:Yes)、ユーザインタフェースを用いてユーザに第2のメッセージを受信したことを通知する(ステップS5)。そして、一連の処理が終了する。一方、無線通信端末2は、第2のメッセージを受信しない場合(ステップS4:No)、無線通信端末2はステップS5を省略する。そして、一連の処理が終了する。
【0020】
実施例1によれば、無線通信端末2が、第1のメッセージにスケジューリングされている第2のメッセージを受信する前に、ユーザに第1のメッセージを受信したことを通知するので、ユーザに第2のメッセージが送信されることを迅速に知らせることができる。第2のメッセージが例えば地震や津波などの緊急情報である場合、ユーザに緊急情報が配信されていることを迅速に知らせることができる。
【0021】
(実施例2)
実施例2は、実施例1にかかる無線通信端末および無線通信方法を、例えばLTEのETWSに適用したものである。なお、実施例1にかかる無線通信端末および無線通信方法は、LTEのETWSに限らず、無線通信端末が、第2のメッセージがスケジューリングされている第1のメッセージを受信したときに、第2のメッセージの受信前であっても、第1のメッセージを受信したことをユーザに通知する無線通信端末、無線通信システム及び無線通信方法に適用することができる。
【0022】
・無線通信端末のハードウェア構成の説明
図3は、実施例2にかかる無線通信端末のハードウェア構成を示すブロック図である。無線通信端末は、例えば携帯電話機である。図3に示すように、無線通信端末2は、例えばベースバンドプロセッサ11を備えている。ベースバンドプロセッサ11には、例えば無線回路部(RF:Radio Frequency)12及びメモリ13が接続されている。
【0023】
無線回路部12は、アンテナを介して送受信する信号に対して変調処理または復調処理を行う。ベースバンドプロセッサ11は、ベースバンド信号に対して符号化処理または復号処理を行う。ベースバンドプロセッサ11は、メッセージの受信処理及び通信プロトコルの制御を行う。
【0024】
メモリ13には、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリやSRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性メモリが含まれていてもよい。不揮発性メモリには、例えばベースバンドプロセッサ11により実行されるプロトコルプログラムやデータなどが格納されていてもよい。揮発性メモリは、例えばベースバンドプロセッサ11の作業領域として用いられてもよい。
【0025】
また、無線通信端末2は、例えばアプリケーションプロセッサ14を備えている。アプリケーションプロセッサ14は、ベースバンドプロセッサ11に接続されている。アプリケーションプロセッサ14は、種々のアプリケーションプログラムを実行する。アプリケーションプロセッサ14が実行するアプリケーションプログラムの一例として、例えば後述する緊急情報を受信した場合の無線通信方法を実現するプログラムが挙げられる。
【0026】
アプリケーションプロセッサ14には、例えばスピーカ15、ディスプレイ16、振動用モータ17、ランプ18及びメモリ19が接続されている。スピーカ15は、緊急情報の受信時やメールの受信時や着信(着呼)時に音を発する。ディスプレイ16は、アプリケーションプログラムの実行時に種々のメッセージや図柄を表示する。例えば、ディスプレイ16は、緊急情報の受信時に専用のアイコンや専用のメッセージを表示してもよい。振動用モータ17は、緊急情報の受信時やメールの受信時や着信(着呼)時に無線通信端末2を振動させる。ランプ18は、緊急情報の受信時やメールの受信時や着信(着呼)時に点灯または点滅する。
【0027】
メモリ19には、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリ及びSRAMなどの揮発性メモリが含まれていてもよい。不揮発性メモリには、例えばアプリケーションプロセッサ14により実行されるアプリケーションプログラムやデータなどが格納されている。揮発性メモリは、例えばアプリケーションプロセッサの作業領域として用いられる。
【0028】
・無線通信端末の機能的構成の説明
図4は、実施例2にかかる無線通信端末の機能的構成を示すブロック図である。図5は、実施例2における受信メッセージの一例を示す図である。図4に示すように、無線通信端末2は、例えばベースバンド部21を備えている。ベースバンド部21は、ベースバンド信号の処理を実行する。ベースバンド部21では、受信部の一例として例えばSIB(System Information Block)メッセージ受信処理部22が実現される。また、ベースバンド部21では、プロトコル制御部23が実現される。ベースバンド部21は、例えばベースバンドプロセッサ11により実現される。
【0029】
SIBメッセージ受信処理部22は、基地局1から報知される第1のメッセージ及び第2のメッセージを受信する。ETWSでは、第1のメッセージの一例として、例えばSIB1(System Information Block Type1)メッセージが挙げられる。SIB1メッセージには、他のメッセージのスケジューリング情報が含まれている。SIB1メッセージには、例えば第2のメッセージのスケジューリング情報が含まれていることがある。
【0030】
ETWSでは、第2のメッセージの一例として、例えばSIB10(System Information Block Type10)及びSIB11(System Information Block Type11)の各メッセージが挙げられる。SIB10/SIB11メッセージにより、例えば緊急情報(ETWS情報)が報知される。
【0031】
SIB10メッセージにより、例えば緊急情報のプライマリノーティフィケーション(Primary Notification)情報が報知される。SIB11メッセージにより、例えば緊急情報のセカンダリノーティフィケーション(Secondary Notification)情報が報知される。3GPPの仕様によれば、SIB10/SIB11メッセージは、例えば320ms、640ms、1.28s、2.56sまたは5.12sの周期で繰り返し報知される。
【0032】
SIB1の一例を図5に示す。図示例では、SIB1_31に、SIB10_32及びSIB11_33のスケジューリング情報が定義されている。SIBメッセージ受信処理部22は、その他のタイプのSIBも受信する。SIBメッセージ受信処理部22は、受信したメッセージの受信処理を行い、プロトコル制御部23において実現されるSIB解析処理部24に、メッセージを受信したことを通知する。
【0033】
プロトコル制御部23は、ネットワークとの無線リンクの制御や無線資源の制御や呼制御などを行う。プロトコル制御部23では、解析部の一例として例えばSIB解析処理部24が実現される。SIB解析処理部24は、SIBメッセージを解析する。
【0034】
例えば、SIB解析処理部24は、SIB1メッセージによりスケジューリングされたSIBメッセージの受信を開始することをSIBメッセージ受信処理部22へ通知する。それによって、SIBメッセージ受信処理部22は、SIB1でスケジューリングされているSIBメッセージの取得を開始する。
【0035】
SIB解析処理部24は、SIB1メッセージに含まれているスケジューリング情報に基づいて、SIB10/SIB11メッセージがスケジューリングされていることを確認する。SIB10/SIB11メッセージがスケジューリングされている場合、SIB解析処理部24は、例えばアプリケーション部25において実現される緊急情報受信処理部26へ、SIB10/SIB11メッセージがスケジューリングされていることを通知する。
【0036】
また、SIB解析処理部24は、受信したSIBメッセージがSIB10/SIB11メッセージである場合、SIB10/SIB11メッセージを受信したこと確認し、そのことを緊急情報受信処理部26へ通知する。
【0037】
また、無線通信端末2は、例えばアプリケーション部25を備えている。アプリケーション部25は、種々のアプリケーションプログラムを実行する。アプリケーション部25では、受信処理部の一例として例えば緊急情報受信処理部26が実現される。また、アプリケーション部25では、通知部の一例としてユーザ通知部27が実現される。アプリケーション部25は、例えばアプリケーションプロセッサ14により実現される。
【0038】
緊急情報受信処理部26は、SIB10/SIB11メッセージがスケジューリングされたSIB1メッセージを受信したことを認識し、そのことをユーザ通知部27へ通知する。また、緊急情報受信処理部26は、SIB10/SIB11メッセージに含まれる緊急情報を抽出し、抽出した緊急情報をユーザ通知部27へ通知する。
【0039】
ユーザ通知部27は、緊急情報受信処理部26からSIB1メッセージの受信の通知を受け取ると、ネットワーク側で緊急情報の配信が開始されたことをユーザに通知する。また、ユーザ通知部27は、緊急情報受信処理部26からSIB10/SIB11メッセージに含まれる緊急情報の通知を受け取ると、緊急情報をユーザに通知する。
【0040】
ユーザ通知部27によるユーザへの通知方法として、ユーザ通知部27は、例えばディスプレイ16に専用のアイコンを表示してもよいし、ランプ18を点灯させたり点滅させたりしてもよい。また、ユーザ通知部27は、スピーカ15から警告音を発したり、振動用モータ17を駆動して無線通信端末2を振動させてもよい。また、ユーザ通知部27は、ディスプレイ16に専用のメッセージを表示させてもよい。あるいは、これらの通知方法のうち、二つ以上を組み合わせてもよい。
【0041】
・無線通信方法の説明(全体のシーケンス)
図6は、実施例2にかかる無線通信方法を示すシーケンス図である。図7は、実施例2における簡易情報の表示画面例を示す図である。図8は、実施例2における詳細情報の表示画面例を示す図である。
【0042】
図6に示すように、緊急情報の配信が開始されると、まず、CBE/CBCから基地局1に対して緊急情報の配信要求が送られる(ステップS11)。ここで、CBCは、Cell Broadcast Centerの略であり、例えば情報配信サーバのことである。CBEは、Cell Broadcast Entityの略であり、CBCに接続される例えば気象庁などの情報配信元のことである。
【0043】
基地局1は、緊急情報の配信要求を受け取ると、緊急情報を通知する対象のエリアに在圏する無線通信端末2に対して、ETWSインディケーション(ETWS indication)を含むページングメッセージを送信する。そして、無線通信端末2は、このページングメッセージを受信する(ステップS12)。このページングメッセージの送信によって、基地局1は無線通信端末2に、報知情報による緊急情報の配信が開始されたことを通知し、報知情報の再取得を要求する。
【0044】
無線通信端末2は、待ち受け状態または通信中の状態において、デフォルトページングサイクル(Default Paging Cycle)に1度の頻度でページングメッセージの受信を試みている。デフォルトページングサイクルは、報知情報により指定される。例えば3GPPの仕様では、デフォルトページングサイクルは、320ms、640ms、1.28sまたは2.56sである。
【0045】
また、基地局1は、ページングメッセージの送信後、SIB1メッセージを周期的に報知している。無線通信端末2は、ページングメッセージを受信すると、ベースバンド部21によりSIB1メッセージを受信する(ステップS13)。このSIB1メッセージには、報知情報の緊急情報(SIB10/SIB11メッセージ)やその他のSIBメッセージを受信するためのスケジューリング情報が含まれている。無線通信端末2は、SIB1メッセージにスケジューリング情報が含まれているSIBメッセージの受信処理を継続する(ステップS14)。
【0046】
無線通信端末2は、スケジューリング情報にSIB10/SIB11メッセージがスケジューリングされていることを確認すると、アプリケーション部25に対して、基地局1が緊急情報の配信を開始したことを通知する。そして、アプリケーション部25は、緊急情報の配信が開始されたことを知らせる通知を受け取る(ステップS15)。
【0047】
アプリケーション部25は、緊急情報の配信開始通知を受け取ると、ユーザに緊急情報の簡易情報を通知する(ステップS16)。図7に、緊急情報の簡易情報の表示画面例を示す。特に限定しないが、例えば図7に示す例では、ディスプレイ16に専用のメッセージとして「緊急情報の配信が開始されたこと」と「引き続き緊急情報を受信する可能性があること」が表示されている。この時点では、緊急情報の種別や規模などの詳細については不明である。また、上述したように、ディスプレイ16に専用のアイコンを表示したり、スピーカ15から警告音を出したり、振動用モータ17により無線通信端末2を振動させたり、ランプ18を点灯させたりしてもよい。
【0048】
また、基地局1は、SIB1メッセージの送信後、SIB10メッセージを報知している。無線通信端末2のベースバンド部21は、SIB10メッセージを受信すると(ステップS17)、SIB10メッセージに含まれている緊急情報のプライマリノーティフィケーション情報をアプリケーション部25へ通知する。アプリケーション部25は、プライマリノーティフィケーション情報を受け取り、緊急情報の詳細情報の一部として、例えば地震や津波などの緊急情報の種別を取得する(ステップS18)。
【0049】
基地局1は、SIB10メッセージの送信後、SIB11メッセージを報知している。無線通信端末2のベースバンド部21は、SIB11メッセージを受信すると(ステップS19)、SIB11メッセージに含まれている緊急情報のセカンダリノーティフィケーション情報をアプリケーション部25へ通知する。アプリケーション部25は、セカンダリノーティフィケーション情報を受け取り、緊急情報の詳細情報の一部として、例えば地震であれば震源地や震度などの情報、津波であれば津波の到達時刻や波の高さなどの情報を取得する(ステップS20)。
【0050】
アプリケーション部25は、プライマリノーティフィケーション情報及びセカンダリノーティフィケーション情報を受け取ると、ユーザに緊急情報の詳細情報を通知する(ステップS21)。図8に、緊急情報の詳細情報の表示画面例を示す。特に限定しないが、例えば図8に示す例では、ディスプレイ16に専用のメッセージとして緊急情報の種別が「地震であること」と「震度」が表示されている。また、上述したように、ディスプレイ16に専用のアイコンを表示したり、スピーカ15から警告音を出したり、振動用モータ17により無線通信端末2を振動させたり、ランプ18を点灯させたりしてもよい。緊急情報の詳細情報を通知する際には、ステップS16の緊急情報の簡易情報を通知する処理を停止させてもよい。
【0051】
なお、ステップS13以降は、ETWSインディケーションを含むページングメッセージを受信しないまま、SIB10/SIB11メッセージのスケジューリング情報を含むSIB1メッセージを受信した場合も同様である。このような場合の例として、例えば、無線通信端末2が初回の位置登録を実施する際に自局情報を受信したとき、自局情報の有効期限が切れたため自局情報を再び受信したとき、またはハンドオーバによって移動した先のセルで自局情報を受信したとき、などが挙げられる。図9に、ETWSインディケーションを含むページングメッセージを受信しないまま、SIB10/SIB11メッセージのスケジューリング情報を含むSIB1メッセージを受信した場合のシーケンスの一例を示す。
【0052】
図9は、実施例2にかかる無線通信方法の別の例を示すシーケンス図である。図9に示すように、無線通信端末2は、緊急情報を通知する対象のエリアに在圏しているが、圏外の状態(オフライン状態)または電源オフの状態にあるとする(ステップS31)。この状態のときに、CBE/CBCから基地局1に対して緊急情報の配信要求が送られる(ステップS32)。
【0053】
基地局1は、緊急情報の配信要求を受け取り、緊急情報を通知する対象のエリアに在圏する無線通信端末2に対して、ETWSインディケーションを含むページングメッセージを送信する。このとき、無線通信端末2は、圏外(オフライン)または電源オフの状態にあるので、このページングメッセージを受信することができない(ステップS33)。
【0054】
ページングメッセージに続いて、基地局1は、例えばSIB10/SIB11メッセージを受信するためのスケジューリング情報を含むSIB1メッセージを周期的に報知する。しかし、無線通信端末2は、圏外(オフライン)または電源オフの状態にあるので、SIB1メッセージを受信することができない(ステップS34)。
【0055】
ここで、SIB1メッセージが周期的に報知されている状態のときに、無線通信端末2がオフライン状態を解除して圏内に復帰するか、または電源オンになったとする(ステップS35)。この場合、無線通信端末2は、所定の位置登録の処理手順によりページングメッセージを受信しないまま、先に例えばSIB10/SIB11メッセージを受信するためのスケジューリング情報を含むSIB1メッセージを受信する(ステップS36)。
【0056】
それによって、無線通信端末2は、上述した図6の例と同様に、ユーザに緊急情報の簡易情報を通知する(ステップS37)。そして、無線通信端末2は、上述した図6の例と同様に、SIB10/SIB11メッセージを受信する(ステップS38)。それによって、無線通信端末2は、上述した図6の例と同様に、ユーザに緊急情報の詳細情報を通知する(ステップS39)。なお、SIB1メッセージを受信した後の処理については、上述した図6の例と同様であるので、詳細を省略した。なお、無線通信端末2が、ハンドオーバにより、緊急情報の配信が開始されているエリアに在圏するようになった場合も同様である。
【0057】
・ベースバンド部での処理
図10は、実施例2にかかる無線通信端末のベースバンド部での処理を示すフローチャートである。ここでは、SIB1メッセージを受信するところから説明する。図10に示すように、ベースバンド部21での処理が開始されると、まず、ベースバンド部21は、SIB1メッセージを受信する(ステップS41)。ETWSインディケーションを含むページングメッセージを受信する場合には、ステップS41に先立ち、ベースバンド部21は、ページングメッセージを受信する。
【0058】
次いで、ベースバンド部21は、SIB1メッセージからSIBメッセージのマッピング情報(sib−MappingInfo、図5参照)を取り出す(ステップS42)。そして、ベースバンド部21は、取り出したSIBメッセージのマッピング情報に設定されているSIBタイプ(sibType、図5参照)をチェックする(ステップS43)。
【0059】
SIBタイプのチェック結果がsibType10である場合(ステップS43:sibType10またはsibType11)、ベースバンド部21は、アプリケーション部25にETWSの緊急情報がスケジューリングされていることを通知する。SIBタイプのチェック結果がsibType11である場合も同様である(ステップS44)。一方、SIBタイプのチェック結果がsibType10またはsibType11でない場合(ステップS43:sibType10/sibType11以外)、ステップS44の処理は省略される。
【0060】
そして、ベースバンド部21は、取得したSIBタイプの一覧を示すSIBリストに、ステップS43で取得したSIBタイプ(sibType)を追加する(ステップS45)。ベースバンド部21は、ステップS42〜ステップS45の処理を、SIB1メッセージに設定されたスケジューリング情報(schedulingInfoList、図5参照)の数分、繰り返す。
【0061】
ステップS42〜ステップS45の繰り返し処理が終了したら、ベースバンド部21は、SIBリストに基づいて、スケジューリングされたSIBxメッセージの受信を開始する(ステップS46)。ここで、xは2以上の整数である。そして、ベースバンド部21は、SIBxメッセージを受信する(ステップS47)。次いで、ベースバンド部21は、受信したSIBxメッセージのSIBタイプ(sibType)をチェックする(ステップS48)。
【0062】
SIBタイプのチェック結果がsibType10またはsibType11である場合(ステップS48:sibType10またはsibType11)、ベースバンド部21は、アプリケーション部25にETWSの緊急情報を受信したことを通知する(ステップS49)。一方、SIBタイプのチェック結果がsibType10またはsibType11でない場合(ステップS48:sibType10/sibType11以外)、ベースバンド部21は、受信したSIBxメッセージに従った処理を実施する(ステップS50)。ベースバンド部21は、ステップS47〜ステップS50の処理を、スケジューリングされた全てのSIBxメッセージを受信するまで繰り返す。
【0063】
ステップS47〜ステップS50の繰り返し処理が終了したら、ベースバンド部21での一連の処理が終了する。ここで、ステップS44またはステップS49での通知によって行われるアプリケーション部25での処理(後述する)は、この一連のベースバンド部21での処理とは別タスクであってもよい。その場合には、ベースバンド部21での処理とアプリケーション部25での処理とが並列に行われてもよい。
【0064】
・アプリケーション部での処理
図11は、実施例2にかかる無線通信端末のアプリケーション部での処理を示すフローチャートである。図11に示すように、アプリケーション部25は、ベースバンド部21からの通知を受け取ると(図10参照、ステップS44またはステップS49)、アプリケーション部25の起動要因をチェックする(ステップS61)。
【0065】
起動要因のチェック結果が、ETWSの緊急情報がスケジューリングされていることである場合(ステップS61:ETWSスケジューリング)、アプリケーション部25は、ユーザにネットワーク側で緊急情報の配信が開始されたという簡易情報を通知する(ステップS62)。一方、起動要因のチェック結果が、ETWSの緊急情報を受信したことである場合(ステップS61:ETWS受信)、アプリケーション部25は、ユーザにネットワークから受信した緊急情報の内容を詳細情報として通知する(ステップS63)。ユーザへの通知が終了すると、アプリケーション部25での一連の処理が終了する。
【0066】
ユーザへの通知方法については、例えば上述したように、専用のメッセージや専用のアイコンの表示、ランプの点灯や点滅、警告音の発生、無線通信端末2の振動、あるいはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0067】
実施例2によれば、無線通信端末2が、SIB1メッセージにスケジューリングされているSIB10/SIB11メッセージを受信する前に、ユーザに緊急情報の配信が開始されたことを通知するので、ユーザに例えばETWSの緊急情報が配信されることを迅速に知らせることができる。また、ページングメッセージを受信していない状態でも、ユーザに緊急情報の配信が開始されたことや、緊急情報の詳細な内容を通知することができる。
【0068】
上述した実施例1、2に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0069】
(付記1)第1のメッセージ及び第2のメッセージを受信する受信部と、前記第1のメッセージにスケジューリングされているメッセージを解析する解析部と、前記第1のメッセージの受信処理を行う受信処理部と、ユーザに前記第1のメッセージを受信したことを通知する通知部と、を備え、前記解析部は、前記受信部が受信した前記第1のメッセージに第2のメッセージがスケジューリングされているか否かを解析し、前記受信処理部は、前記第1のメッセージに前記第2のメッセージがスケジューリングされている場合に、前記通知部に前記第1のメッセージを受信したことを通知し、前記通知部は、前記受信処理部からの通知に基づいてユーザに前記第1のメッセージを受信したことを通知することを特徴とする無線通信端末。
【0070】
(付記2)前記通知部は、前記受信処理部からの通知に基づいてユーザにこれから前記第2のメッセージを受信することを通知することを特徴とする付記1に記載の無線通信端末。
【0071】
(付記3)前記受信処理部は、前記受信部が受信した前記第2のメッセージの受信処理を行い、前記第2のメッセージに含まれる緊急情報を抽出して、前記通知部に前記緊急情報を通知し、前記通知部は、前記受信処理部からの通知に基づいてユーザに前記緊急情報を通知することを特徴とする付記1または2に記載の無線通信端末。
【0072】
(付記4)第1のメッセージ及び第2のメッセージを送信する基地局と、前記第1のメッセージ及び前記第2のメッセージを受信してユーザに通知する無線通信端末と、を備え、前記無線通信端末は、前記第1のメッセージ及び前記第2のメッセージを受信する受信部と、前記第1のメッセージにスケジューリングされているメッセージを解析する解析部と、前記第1のメッセージの受信処理を行う受信処理部と、ユーザに前記第1のメッセージを受信したことを通知する通知部と、を備え、前記解析部は、前記受信部が受信した前記第1のメッセージに前記第2のメッセージがスケジューリングされているか否かを解析し、前記受信処理部は、前記第1のメッセージに前記第2のメッセージがスケジューリングされている場合に、前記通知部に前記第1のメッセージを受信したことを通知し、前記通知部は、前記受信処理部からの通知に基づいてユーザに前記第1のメッセージを受信したことを通知することを特徴とする無線通信システム。
【0073】
(付記5)前記通知部は、前記受信処理部からの通知に基づいてユーザにこれから前記第2のメッセージを受信することを通知することを特徴とする付記4に記載の無線通信システム。
【0074】
(付記6)前記受信処理部は、前記受信部が受信した前記第2のメッセージの受信処理を行い、前記第2のメッセージに含まれる緊急情報を抽出して、前記通知部に前記緊急情報を通知し、前記通知部は、前記受信処理部からの通知に基づいてユーザに前記緊急情報を通知することを特徴とする付記4または5に記載の無線通信システム。
【0075】
(付記7)無線通信端末により第1のメッセージを受信し、受信した前記第1のメッセージに第2のメッセージがスケジューリングされているか否かを解析し、解析した結果、前記第1のメッセージに前記第2のメッセージがスケジューリングされている場合に、無線通信端末のユーザインタフェースを用いてユーザに前記第1のメッセージを受信したことを通知し、前記無線通信端末により前記第1のメッセージでスケジューリングされていた前記第2のメッセージを受信し、前記無線通信端末のユーザインタフェースを用いてユーザに前記第2のメッセージを受信したことを通知することを特徴とする無線通信方法。
【0076】
(付記8)ユーザに前記第1のメッセージを受信したことを通知する際に、ユーザにこれから前記第2のメッセージを受信することを通知することを特徴とする付記7に記載の無線通信方法。
【0077】
(付記9)ユーザに前記第2のメッセージを受信したことを通知する際に、前記第2のメッセージに含まれる緊急情報を抽出して、ユーザに前記緊急情報を通知することを特徴とする付記7または8に記載の無線通信方法。
【符号の説明】
【0078】
1 基地局
2 無線通信端末
3,22 受信部
4,24 解析部
5,26 受信処理部
6,27 通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のメッセージ及び第2のメッセージを受信する受信部と、
前記第1のメッセージにスケジューリングされているメッセージを解析する解析部と、
前記第1のメッセージの受信処理を行う受信処理部と、
ユーザに前記第1のメッセージを受信したことを通知する通知部と、
を備え、
前記解析部は、前記受信部が受信した前記第1のメッセージに第2のメッセージがスケジューリングされているか否かを解析し、
前記受信処理部は、前記第1のメッセージに前記第2のメッセージがスケジューリングされている場合に、前記通知部に前記第1のメッセージを受信したことを通知し、
前記通知部は、前記受信処理部からの通知に基づいてユーザに前記第1のメッセージを受信したことを通知することを特徴とする無線通信端末。
【請求項2】
前記通知部は、前記受信処理部からの通知に基づいてユーザにこれから前記第2のメッセージを受信することを通知することを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。
【請求項3】
前記受信処理部は、前記受信部が受信した前記第2のメッセージの受信処理を行い、前記第2のメッセージに含まれる緊急情報を抽出して、前記通知部に前記緊急情報を通知し、
前記通知部は、前記受信処理部からの通知に基づいてユーザに前記緊急情報を通知することを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信端末。
【請求項4】
第1のメッセージ及び第2のメッセージを送信する基地局と、
前記第1のメッセージ及び前記第2のメッセージを受信してユーザに通知する無線通信端末と、
を備え、
前記無線通信端末は、
前記第1のメッセージ及び前記第2のメッセージを受信する受信部と、
前記第1のメッセージにスケジューリングされているメッセージを解析する解析部と、
前記第1のメッセージの受信処理を行う受信処理部と、
ユーザに前記第1のメッセージを受信したことを通知する通知部と、
を備え、
前記解析部は、前記受信部が受信した前記第1のメッセージに前記第2のメッセージがスケジューリングされているか否かを解析し、
前記受信処理部は、前記第1のメッセージに前記第2のメッセージがスケジューリングされている場合に、前記通知部に前記第1のメッセージを受信したことを通知し、
前記通知部は、前記受信処理部からの通知に基づいてユーザに前記第1のメッセージを受信したことを通知することを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
無線通信端末により第1のメッセージを受信し、
受信した前記第1のメッセージに第2のメッセージがスケジューリングされているか否かを解析し、
解析した結果、前記第1のメッセージに前記第2のメッセージがスケジューリングされている場合に、無線通信端末のユーザインタフェースを用いてユーザに前記第1のメッセージを受信したことを通知し、
前記無線通信端末により前記第1のメッセージでスケジューリングされていた前記第2のメッセージを受信し、
前記無線通信端末のユーザインタフェースを用いてユーザに前記第2のメッセージを受信したことを通知することを特徴とする無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−244306(P2012−244306A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110752(P2011−110752)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】