説明

無線通信端末装置

【課題】音声信号をアナログで処理する無線通信モジュールと音声信号をデジタで処理する無線通信モジュールとを共用の携帯ジャケットに差し換えて使用可能にする。
【解決手段】音声信号をデジタル信号で処理する方式のW−SIM1の容器と音声信号をアナログ信号で処理する方式のC−SIM2の容器とが共用の携帯ジャケット7のスロット9に挿入可能に構成され、W−SIM1が携帯ジャケット7に挿入されると、経路スイッチ20がW−SIM1に切り換えられて、ジャケット制御部16が増幅部21やUSIM22から切り離されかつコーデック部17に接続され、デジタル方式による音声通信が可能になり、C−SIM2が携帯ジャケット7に挿入されると、経路スイッチ20がC−SIM2に切り換えられて、ジャケット制御部16が増幅部21やUSIM22に接続されかつコーデック部17から切り離され、アナログ方式による音声通信が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声信号をアナログ信号で処理する方式の無線通信モジュールと音声信号をデジタル信号で処理する方式の無線通信モジュールとを共用の携帯端末に差し換えて使用することができる無線通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図8乃至図10は、特許文献1で開示された無線通信端末装置を示す。なお、音声信号をデジタル信号で処理する方式の無線通信モジュールをW−SIMと称し、音声信号をアナログ信号で処理する方式の無線通信モジュールをC−SIMと称する。また、無線通信モジュールを挿入することにより無線通信できる無線通信端末装置を携帯ジャケットまたは単にジャケットと称する。図8において、無線通信モジュールとしてのW−SIM1がスロット9から携帯ジャケット58に挿入されることによって、W−SIM1のインターフェース(以下、モジュールインターフェースと称する)3と携帯ジャケット58のインターフェース(以下、ジャケットインターフェースと称する)10とが接続された後、ユーザーが携帯ジャケット58のキーボード14を操作して無線による音声通信やデータ通信を行えるようになっている。W−SIM1は、音声信号をデジタル信号で処理する通信方式を採用する、デジタルタイプである。
【0003】
図9において、W−SIM1は、PCカードやSIMカードなどのカードタイプの容器に、モジュールインターフェース3、モジュール制御部4、アンテナ25、アンテナスイッチ26、送信部27、受信部28、変調部29、復調部30、TDMA符号化部31、TDMA復号化部32、ADPCMトランスコーダ33を備える。
【0004】
モジュール制御部4は、モジュール制御部4に内蔵されたコンピュータのCPU34が、フラッシュメモリ35に格納されたプログラムにしたがいRAM36を使用しながらネットワークを利用する通信ルールであるプロトコルに則って動作することによって、送受信処理、アンテナ切換処理、ルーティング処理などを実行し、その実行結果としてアンテナスイッチ26、TDMA符号化部31、TDMA復号化部32を制御する。フラッシュメモリ35は、フラッシュROMを構成する。フラッシュメモリ35には、W−SIM1製造番号などの固有情報や電話帳などが記録されている。
【0005】
一方、携帯ジャケット58は、PHSや携帯電話などの容器に、ジャケットインターフェース10、電源13、キーボード14、ディスプレイ15、コーデック部17、マイク18、スピーカ19、電源スイッチ23、ジャケット制御部59を備える。
【0006】
ジャケット制御部59は、ジャケット制御部59に内蔵されたコンピュータのCPU37がROM38に格納されたプログラムにしたがいRAM39を使用しながらネットワークを利用する通信ルールであるプロトコルに則って動作することによって、電源投入処理や初期化処理などを実行する。
【0007】
携帯ジャケット58は、W−SIM1が挿入されているかどうかをINS検出信号により検出し、GPIO41によりW−SIM1のスイッチSW1をオンに制御することにより、W−SIM1への電源の供給を開始する。
【0008】
そして、W−SIM1の携帯ジャケット58への挿入に伴い、INS(図10参照)なる検出信号がジャケットインターフェース10からジャケット制御部59に入力される。その後、モジュール制御部4とジャケット制御部59とがTXD、RXD、RTS、CTS、DCD、RIなる各信号のやり取りでデータ交換、ユーザー認証、ディスプレイ表示などの処理を行い、データ交換やユーザー認証が正規に終了すると、音声信号をデジタル信号で処理する通信方式で音声通話可能になる。
【0009】
以下、音声信号をデジタル信号で処理する方式を説明する。図10において、モジュールインターフェース3は、No.1乃至No.18で表示された18本の端子で構成される。ジャケットインターフェース10は、18本の信号線として表示された端子で構成される。W−SIM1が携帯ジャケット58に挿入されることによって、モジュールインターフェース3を構成する18本の端子とジャケットインターフェース10を構成する18本の端子とが1本ずつ個別に接続される。
【0010】
モジュールインターフェース3のNo.1乃至No.7で表示された7本の端子に個別に対応するジャケットインターフェース10における7本の端子は、UART40の7つのポートに1本ずつ個別に接続される。モジュールインターフェース3のNo.8乃至No.11で表示された4本の端子に個別に対応するジャケットインターフェース10における4本の端子は、GPIO41の4つのポートに1本ずつ個別に接続される。
【0011】
モジュールインターフェース3のNo.12で表示された1本の端子に対応するジャケットインターフェース10における1本の端子は、インターフェースに使用されるデータ転送方式がUART40なのかUSBなのかを示すインターフェース通知用信号(IF_SEL)として用いられる。
【0012】
モジュールインターフェース3のNo.13乃至No.16で表示された4本の端子に個別に対応するジャケットインターフェース10における4本の端子は、コーデック部17の4つのポートに1本ずつ個別に接続される。モジュールインターフェース3のNo.17で表示された1本の端子に対応するジャケットインターフェース10における1本の端子は、携帯ジャケット58の電源13に接続される。モジュールインターフェース3のNo.18で表示された1本の端子に対応するジャケットインターフェース10における1本の端子は、携帯ジャケット58のアースに接続される。
【0013】
ところで、無線通信モジュールは、上述したデジタル信号で処理する方式の他にアナログ信号で処理する方式がある。このアナログ信号で処理する方式の無線通信モジュールの容器としては、図8の携帯ジャケット58のスロット9に挿入可能なW−SIM1の容器と同じ大きさで同じ形に構成することが考えられている。
【0014】
図6および図7に上記アナログ信号で処理する方式の無線通信モジュールとしてのC−SIM2と携帯ジャケット55とからなる無線通信端末装置を示す。図6において、C−SIM2は、カードタイプの容器に、モジュールインターフェース5、モジュール制御部6、アンテナ45、アンテナスイッチ46、送信部47、受信部48、変調部49、復調部50を備える。
【0015】
モジュール制御部6は、モジュール制御部6に内蔵されたコンピュータのCPU51、フラッシュメモリ52に格納されたプログラムにしたがいRAM53を使用しながらネットワークを利用する通信ルールであるプロトコルに則って動作することによって、送受信処理、アンテナ切換処理、ルーティング処理などを実行し、その実行結果としてのコマンドをアンテナスイッチ46に出力する。フラッシュメモリ52は、フラッシュROMを構成する。
【0016】
携帯ジャケット55は、容器に、ジャケットインターフェース10、電源13、キーボード14、ディスプレイ15、マイク18、スピーカ19、増幅部21、USIM22、電源スイッチ23、ジャケット制御部56を備える。
【0017】
ジャケット制御部56は、ジャケット制御部56に内蔵されたコンピュータのCPU37がROM38に格納されたプログラムにしたがいRAM39を使用しながらネットワークを利用する通信ルールであるプロトコルに則って動作することによって、電源投入処理、初期化処理などを実行する。
【0018】
そして、携帯ジャケット55は、C−SIM2が挿入されているかどうかをINS検出信号により検出し、GPIO41によりC−SIM2のスイッチSW1をオンに制御することにより、C−SIM2への電源の供給を開始する。
【0019】
上記C−SIM2の携帯ジャケット55への挿入に伴い、INS(図7参照)なる検出信号がジャケットインターフェース10からジャケット制御部56に入力される。引き続き、モジュール制御部6とジャケット制御部56とがTXD、RXD、RTS、CTS、DCDなどの各信号のやり取りでデータ交換、ユーザー認証、ディスプレイ表示などの処理を行い、データ交換やユーザー認証が正規に終了すると、音声信号をアナログ信号で処理する方式で音声通話可能になる。
【0020】
以下、音声信号をアナログ信号で処理する方式を説明する。図7において、モジュールインターフェース5が、No.1乃至No.18で表示された18本の端子で構成される。ジャケットインターフェース10は、18本の信号線として表示された端子で構成される。C−SIM2が携帯ジャケット55に挿入されることによって、モジュールインターフェース5を構成する18本の端子とジャケットインターフェース10を構成する18本の端子とが1本ずつ個別に接続される。
【0021】
モジュールインターフェース5のNo.1乃至No.6で表示された6本の端子に個別に対応するジャケットインターフェース10における6本の端子は、携帯ジャケット55におけるUART40の6つのポートに1本ずつ個別に接続されている。モジュールインターフェース5のNo.7、No.8で表示された2本の端子に個別に対応するジャケットインターフェース10における2本の端子は、携帯ジャケット55におけるGPIO41の2つのポートに1本ずつ個別に接続される。
【0022】
モジュールインターフェース5のNo.9、No.10で表示された2本の端子に個別に対応するジャケットインターフェース10における2本の端子は、携帯ジャケット55におけるスピーカ19に対する増幅器43の2つのポートに個別に接続される。モジュールインターフェース5のNo.11、No.12で表示された2本の端子に個別に対応するジャケットインターフェース10における2本の端子は、携帯ジャケット55におけるにマイク18に対する増幅器42の2つのポートに個別に接続される。
【0023】
モジュールインターフェース5のNo.13乃至No.16で表示された4本の端子に個別に対応するジャケットインターフェース10における4本の端子は、携帯ジャケット55のUSIM22の4つのポートに個別に接続される。モジュールインターフェース5のNo.17で表示された1本の端子に対応するジャケットインターフェース10における1本の端子は、携帯ジャケット55の電源13に接続される。モジュールインターフェース5のNo.18で表示された1本の端子に対応するジャケットインターフェース10における1本の端子は、携帯ジャケット55のアースに接続される。
【0024】
上述のように無線通信モジュールには、音声信号をデジタル信号で処理する方式の他にアナログ信号で処理する方式があるので、無線通信モジュールをともに、同じ大きさで同じ形の容器を採用しても、携帯ジャケットを共用することができないという欠点ある。
【特許文献1】特許第4118294号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
発明が解決しようとする問題点は、アナログ信号で処理する方式の無線通信モジュールとして、デジタル信号で処理する方式の無線通信モジュールにおける容器と同じ大きさで同じ形の容器を採用しても、携帯ジャケットを共用することができないという点である。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明に係る無線通信端末装置は、音声信号をアナログ信号で処理する方式の無線通信モジュールと音声信号をデジタル信号で処理する方式の無線通信モジュールとを共用の携帯ジャケットに差し換えて使用する無線通信端末装置であって、音声信号をデジタル信号で処理する方式の無線通信モジュールの容器と音声信号をアナログ信号で処理する方式の無線通信モジュールの容器とが共用の携帯ジャケットのスロットに挿入可能に構成され、携帯ジャケットには音声信号をデジタル信号で処理する方式の無線通信モジュールまたは音声信号をアナログ信号で処理する方式の無線通信モジュールの信号処理に必要なコーデック部と増幅部およびUSIMが設けられ、さらに、携帯ジャケットにはコーデック部と増幅部およびUSIMとの接続を無線通信モジュールのスロットへの挿入から経路スイッチの切換までの経路切換処理を行うプログラムの設けられたジャケット制御部が設けられたことを最も主要な特徴とする。本発明に係る無線通信端末装置の場合、音声信号をデジタル信号で処理する方式の無線通信モジュールまたは音声信号をアナログ信号で処理する方式の無線通信モジュールの携帯ジャケットのスロットへの挿入に伴う携帯ジャケットから無線通信モジュールへの最初の問い合わせに対して応答する信号が上記挿入された無線通信モジュールの種類を表示する形態に構成されてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る無線通信端末装置によれば、音声信号をアナログ信号で処理する方式の無線通信モジュールと音声信号をデジタル信号で処理する方式の無線通信モジュールとを共用の携帯ジャケットに差し換えて使用することができるという利点がある。本発明に係る無線通信端末装置において、音声信号をデジタル信号で処理する方式の無線通信モジュールまたは音声通信をアナログ信号で処理する方式の無線通信モジュールの携帯ジャケットのスロットへの挿入に伴う携帯ジャケットから無線通信モジュールへの最初の問い合わせに対して応答する信号が上記挿入された無線通信モジュールの種類を表示する形態に構成されれば、挿入の直後に無線通信モジュールの種類が判別し、無線通信端末装置として短時間に使用可能になるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は、W−SIM1とC−SIM2とで携帯ジャケット7を共用する無線通信端末装置の構成を示す。図2は、W−SIM1と携帯ジャケット7とからなる無線通信端末装置のブロック構成を示す。図3は、W−SIM1と携帯ジャケット7とからなる無線通信端末装置の回路構成を示す。図4は、C−SIM2と携帯ジャケット7とからなる無線通信端末装置のブロック構成を示す。図5は、C−SIM2と携帯ジャケット7とからなる無線通信端末装置の回路構成を示す。
【0029】
図1を参照し、W−SIM1とC−SIM2とで携帯ジャケット7を共用する無線通信端末装置について説明する。音声信号をデジタル信号で処理する方式の無線通信モジュールなるW−SIM1と、音声信号をアナログ信号で処理する方式の無線通信モジュールなるC−SIM2とは、同じ大きさで同じ形のカードタイプの容器を有する。W−SIM1の容器には、モジュールインターフェース3やモジュール制御部4などが設けられる。モジュールインターフェース3は、18本の端子から構成される。C−SIM2の容器には、モジュールインターフェース5やモジュール制御部6などが設けられる。モジュールインターフェース5は、18本の端子から構成される。
【0030】
携帯ジャケット7は、容器に、スロットカバー8、スロット9、ジャケットインターフェース10、取音孔11、放音孔12、電源13、キーボード14、ディスプレイ15、ジャケット制御部16、コーデック部17、マイク18、スピーカ19、経路スイッチ20、増幅部21、USIM22を備える。取音孔11は、携帯ジャケット7の外部からの音声をマイク18に拾わせる孔である。放音孔12は、スピーカ19からの音声を携帯ジャケット7の外部に出す孔である。
【0031】
そして、キーボード14の電源スイッチ23がユーザーによりオン操作された状態でW−SIM1またはC−SIM2がスロット9から携帯ジャケット7に挿入されてスロットカバー8が閉じられて、モジュールインターフェース3またはモジュールインターフェース5とジャケットインターフェース10とが互いに接続されるか、または、W−SIM1またはC−SIM2がスロット9から携帯ジャケット7に挿入されスロットカバー8が閉じられてモジュールインターフェース3またはモジュールインターフェース5とジャケットインターフェース10とが互いに接続された状態で電源スイッチ23がユーザーによりオン操作される。
【0032】
それに伴い、電力が電源13からジャケット制御部16とモジュール制御部4またはモジュール制御部6との双方に供給され、モジュール制御部4またはモジュール制御部6とジャケット制御部16との双方が電気的に起動し、ジャケット制御部16が経路切換処理を行う。
【0033】
経路切換処理について説明すると、先ず、ステップ101において、無線通信モジュールが携帯ジャケット7に挿入されたか否かを判定する。そして、W−SIM1またはC−SIM2が携帯ジャケット7に挿入され、INS信号がジャケット制御部16に入力された場合、ステップ101がYESとなり、ステップ102に進む。
【0034】
ステップ102では、携帯ジャケット7に挿入された無線通信モジュールがW−SIM1であるかC−SIM2であるかを判定する。携帯ジャケット7に挿入された無線通信モジュールがW−SIM1である場合、W−SIM1を表示するフォーマットのRXD信号がジャケット制御部16に入力され、ステップ102がYESとなり、ステップ103に進む。携帯ジャケット7に挿入された無線通信モジュールがC−SIM2である場合、C−SIM2を表示するフォーマットのRXD信号がジャケット制御部16に入力され、ステップ102がNOとなり、ステップ104に進む。
【0035】
ステップ103では、経路スイッチ20をW−SIM1に切り換える。その結果、ジャケット制御部16が増幅部21およびUSIM22をジャケット制御部16から切り離しかつコーデック部17をジャケット制御部16に接続するように経路スイッチ20を制御し、音声信号をデジタル信号で処理する方式による音声通信が可能になる。
【0036】
ステップ104では、経路スイッチ20をC−SIM2に切り換える。その結果、ジャケット制御部16が増幅部21およびUSIM22をジャケット制御部16に接続しかつコーデック部17をジャケット制御部16から切り離すように経路スイッチ20を制御し、音声信号をアナログ信号で処理する方式による音声通信が可能になる。
【0037】
W−SIM1とC−SIM2とが携帯ジャケット7のスロット9に挿入可能なように互いに同じ大きさで同じ形のカードタイプの容器に構成され、携帯ジャケット7には、コーデック部17、経路スイッチ20、増幅部21、USIM22、W−SIM1またはC−SIM2なる無線通信モジュールの挿入から経路スイッチ20の切換までの経路切換処理を行うプログラムがジャケット制御部16に設けられているので、W−SIM1とC−SIM2との双方とで携帯ジャケット7を共用することができる。つまり、音声信号をデジタル信号で処理する方式または音声信号をアナログ信号で処理する方式の2種類の無線通信モジュール(W−SIM1とC−SIM2とに相当)に対し、共用として1種類の携帯ジャケット7を市場に供給すればよいという利点がある。
【0038】
図2を参照し、W−SIM1と携帯ジャケット7とからなる無線通信端末装置について説明する。W−SIM1が、PCカードやSIMカードなどのカードタイプの容器に、モジュールインターフェース3、モジュール制御部4、アンテナ25、アンテナスイッチ26、送信部27、受信部28、変調部29、復調部30、TDMA符号化部31、TDMA復号化部32、ADPCMトランスコーダ33を備える構成は、図9と同じである。
【0039】
モジュール制御部4は、モジュール制御部4に内蔵されたコンピュータのCPU34が、フラッシュメモリ35に格納されたプログラムにしたがいRAM36を使用しながらネットワークを利用する通信ルールであるプロトコルに則って動作することによって、送受信処理、アンテナ切換処理、ルーティング処理などを実行し、その実行結果としてアンテナスイッチ26、TDMA符号化部31、TDMA復号化部32を制御する。フラッシュメモリ35は、フラッシュROMを構成する。フラッシュメモリ35には、W−SIM製造番号などの固有情報や電話帳などが記録されている。
【0040】
携帯ジャケット7は、PHSや携帯電話などの携帯端末タイプの容器に、ジャケットインターフェース10、電源13、キーボード14、ディスプレイ15、ジャケット制御部16、コーデック部17、マイク18、スピーカ19、経路スイッチ20、増幅部21、USIM22、電源スイッチ23を備える。
【0041】
ジャケット制御部16では、ジャケット制御部16に内蔵されたコンピュータのCPU37がROM38に格納されたプログラムにしたがいRAM39を使用しながらネットワークを利用する通信ルールであるプロトコルに則って動作することによって、電源投入処理、経路スイッチ切換処理などを実行し、その実行結果として経路スイッチ20を制御する。
【0042】
つまり、携帯ジャケット7が、コーデック部17、経路スイッチ20、増幅部21、USIM22を備える。そして、経路スイッチ20が、コーデック部17をジャケット制御部16から切り離して増幅部21とUSIM22とをジャケット制御部16に接続するか、または、コーデック部17をジャケット制御部16に接続して増幅部21とUSIM22とをジャケット制御部16から切り離す特徴を有する。
【0043】
USIM22やROM38は、フラッシュメモリにより構成される。USIM22には、携帯ジャケット製造番号やC−SIM製造番号などの固有情報や電話帳などが記録されている。ジャケット制御部16には、UART40やGPIO41も設けられる。
【0044】
図3を参照し、W−SIM1と携帯ジャケット7とからなる無線通信端末装置の回路構成について説明する。図3では、経路スイッチ20がW−SIM1に切り換えられた後の
状態を示す。具体的には、先ず、W−SIM1が携帯ジャケット7に挿入され、モジュールインターフェース3がジャケットインターフェース10に接続され、モジュール制御部4とジャケット制御部16とが電気的に起動する。
【0045】
次に、INS信号がモジュールインターフェース3のNo.8で表示された端子からGPIO41を経由してCPU37に入力される。そして、TXD信号がCPU37からUART40およびモジュールインターフェース3のNo.1で表示された端子を経由してW−SIM1に入力される。この入力された信号の応答としてW−SIM1を表示するフォーマットのRXD信号がモジュールインターフェース3のNo.2で表示された端子からUART40を経由してCPU37に入力される。
【0046】
引き続き、CPU37がRXD信号の形態から携帯ジャケット7に挿入された無線通信モジュールがW−SIM1であると判定する。その後、CPU37がスイッチ切換信号としてのW−SIM信号をGPIO41から経路スイッチ20に出力する。その結果、経路スイッチ20が動作して図3に示す状態となる。W−SIM1の携帯ジャケット7への挿入(INS信号)に伴う携帯ジャケット7からW−SIM1への最初の問い合わせ(TXD信号)に対して応答する信号(RXD信号)が上記挿入されたW−SIM1の種類を表示する形態に構成されているので、W−SIM1の携帯ジャケット7への挿入の直後にW−SIM1の種類が判別し、無線通信端末装置として短時間に使用可能になるという利点がある。
【0047】
上記経路スイッチ20の図3に示す状態となった動作の結果、モジュールインターフェース3のNo.7で表示された端子がGPIO41からのPOWER ON信号の出力用の端子から切り離されかつUART40へのRI信号の入力用の端子に接続される。モジュールインターフェース3のNo.9で表示された端子がUSIM22へのSIMRST信号の入力用の端子から切り離されかつGPIO41への第1DISP信号の入力用の端子に接続される。
【0048】
モジュールインターフェース3のNo.10で表示された端子がUSIM22からのSIMDATA信号の出力用の端子から切り離されかつGPIO41の第2DISP信号の入力用の端子に接続される。モジュールインターフェース3のNo.11で表示された端子がUSIM22のSIMCLK信号の入力用の端子から切り離されかつGPIO41への第3DISP信号の入力用の端子に接続される。
【0049】
モジュールインターフェース3のNo.12で表示された端子が増幅器42のMIC−信号用の端子から切り離されかつIF−SEL信号用の端子に接続される。モジュールインターフェース3のNo.13で表示された端子が増幅器43のREC+信号用の端子から切り離されかつコーデック部17へのPCMCLK信号の入力用の端子に接続される。モジュールインターフェース3のNo.14で表示された端子が増幅器43のREC−信号用の端子から切り離されかつコーデック部17へのPCMSYNC信号の入力用の端子に接続される。
【0050】
モジュールインターフェース3のNo.15で表示された端子が増幅器42のMIC+信号用の端子から切り離されかつコーデック部17のPCMOUT信号の入力用の端子に接続される。モジュールインターフェース3のNo.16で表示された端子がUSIM22へのSIM Vcc供給用の端子から切り離されかつコーデック部17からのPCMIN信号の出力用の端子に接続される。
【0051】
以上の結果、W−SIM1が携帯ジャケット7に挿入され、モジュール制御部4とジャケット制御部16とが電気的に起動し、経路スイッチ20がW−SIM1に切り換えられることによって、W−SIM1が増幅器42、増幅器43、USIM22のそれぞれから切り離されかつUART40、GPIO41、コーデック部17に接続され、デジタル方式による音声通信が可能なW−SIM1と携帯ジャケット7とからなる無線通信端末装置が構成される。増幅器42および増幅器43は、図1および図2の増幅部21を構成する。
【0052】
図4を参照し、C−SIM2と携帯ジャケット7とからなる無線通信端末装置について説明する。C−SIM2が、W−SIM1の容器と同じ大きさで同じ形の容器に、モジュールインターフェース5、モジュール制御部6、アンテナ45、アンテナスイッチ46、送信部47、受信部48、変調部49、復調部50を備える構成は、図6と同じである。
【0053】
モジュール制御部6では、モジュール制御部6に内蔵されたコンピュータのCPU51が、フラッシュメモリ52に格納されたプログラムにしたがいRAM53を使用しながらネットワークを利用する通信ルールであるプロトコルに則って動作することによって、送受信処理、アンテナ切換処理、ルーティング処理などを実行し、その実行結果としてアンテナスイッチ46を制御する。フラッシュメモリ52は、フラッシュROMを構成する。
【0054】
携帯ジャケット7が、PHSや携帯電話などの携帯端末タイプの容器に、ジャケットインターフェース10、電源13、キーボード14、ディスプレイ15、ジャケット制御部16、コーデック部17、マイク18、スピーカ19、経路スイッチ20、増幅部21、USIM22、電源スイッチ23を備える構成は、図2と同じである。
【0055】
図5を参照し、C−SIM2と携帯ジャケット7とからなる無線通信端末装置の回路構成について説明する。図5では、経路スイッチ20がC−SIM2に切り換えられた後の状態を示す。具体的には、先ず、C−SIM2が携帯ジャケット7に挿入され、モジュールインターフェース5がジャケットインターフェース10に接続され、モジュール制御部6とジャケット制御部16とが電気的に起動する。
【0056】
次に、INS信号がモジュールインターフェース5のNo.8で表示された端子からGPIO41を経由してCPU37に入力される。そして、TXD信号がCPU37からUART40およびモジュールインターフェース5のNo.1で表示された端子を経由してC−SIM2に入力される。この入力された信号の応答としてC−SIM2を表示するフォーマットのRXD信号がモジュールインターフェース5のNo.2で表示された端子からUART40を経由してCPU37に入力される。
【0057】
引き続き、CPU37がRXD信号のフォーマットから携帯ジャケット7に挿入された無線通信モジュールがC−SIM2であると判定する。その後、CPU37がスイッチ切換信号としてのC−SIM信号をGPIO41より経路スイッチ20に出力する。その結果、経路スイッチ20が動作して図5に示す状態となる。C−SIM2の携帯ジャケット7への挿入(INS信号)に伴う携帯ジャケット7からC−SIM2への最初の問い合わせ(TXD信号)に対して応答する信号(RXD信号)が上記挿入されたC−SIM2の種類を表示する形態に構成されているので、C−SIM2の携帯ジャケット7への挿入の直後にC−SIM2の種類が判別し、無線通信端末装置として短時間に使用可能になるという利点がある。
【0058】
上記経路スイッチ20の図5に示す状態となった動作の結果、モジュールインターフェース5のNo.7で表示された端子がUART40へのRI信号の入力用の端子から切り離されかつGPIO41からのPOWER ON信号の出力用の端子に接続される。モジュールインターフェース5のNo.9で表示された端子がGPIO41への第1DISP信号の入力用の端子から切り離されかつUSIM22へのSIMRST信号の入力用の端子に接続される。
【0059】
モジュールインターフェース5のNo.10で表示された端子がGPIO41の第2DISP信号の入力用の端子から切り離されかつUSIM22からのSIMDATA信号の入出力用の端子に接続される。モジュールインターフェース5のNo.11表示された端子がGPIO41への第3DISP信号の入力用の端子から切り離されかつUSIM22のSIMCLK信号の入力用の端子に接続される。
【0060】
モジュールインターフェース5のNo.12で表示された端子がIF−SEL信号用の端子から切り離されかつ増幅器42のMIC−信号用の端子に接続される。モジュールインターフェース5のNo.13で表示された端子がコーデック部へのPCMCLK信号の入力用の端子から切り離されかつ増幅器43のREC+信号用の端子に接続される。モジュールインターフェース5のNo.14で表示された端子がコーデック部へのPCMSYNC信号の入力用の端子切り離されかつ増幅器43のREC−信号用の端子からに接続される。
【0061】
モジュールインターフェース5のNo.15で表示された端子がコーデック部のPCMOUT信号の入力用の端子から切り離されかつ増幅器42のMIC+信号用の端子に接続される。モジュールインターフェース5のNo.16で表示された端子がコーデック部からのPCMIN信号の出力用の端子から切り離されかつUSIM22へのSIM Vcc供給用の端子に接続される。
【0062】
以上の結果、C−SIM2が携帯ジャケット7に挿入され、モジュール制御部6とジャケット制御部16とが電気的に起動し、経路スイッチ20がC−SIM2に切り換えられることによって、C−SIM2がコーデック部から切り離されかつ増幅器42;43、USIM22、UART40、GPIO41のそれぞれに接続され、アナログ方式による音声通信が可能なC−SIM2と携帯ジャケット7とからなる無線通信端末装置が構成される。
【産業上の利用可能性】
【0063】
図1において、アナログタイプの無線通信モジュールとして、C−SIM2に代えて、GSM−SIM、WCDMA−SIMなどを用いてもよい。その場合、GSM−SIM、WCDMA−SIMなどにおける容器は、W−SIM1の容器と同じ大きさで同じ形に構成されることは必要である。つまり、GSM−SIM、WCDMA−SIMなどが、携帯ジャケット7のW−SIM1の受け入れ用のスロット9に挿入可能であることは必要である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】W−SIMとC−SIMとで携帯ジャケットを共用する無線通信端末装置の模式図(最良の形態)。
【図2】W−SIMと携帯ジャケットとからなる無線通信端末装置のブロック構成図(最良の形態)。
【図3】W−SIMと携帯ジャケットとからなる無線通信端末装置の回路構成図(最良の形態)。
【図4】C−SIMと携帯ジャケットとからなる無線通信端末装置のブロック構成図(最良の形態)。
【図5】C−SIMと携帯ジャケットとからなる無線通信端末装置の回路構成図(最良の形態)。
【図6】C−SIMと携帯ジャケットとからなる無線通信端末装置のブロック構成図(対比例)。
【図7】C−SIMと携帯ジャケットとからなる無線通信端末装置の回路構成図(対比例)。
【図8】W−SIMと携帯ジャケットとからなる無線通信端末装置の斜視図(従来)。
【図9】W−SIMと携帯ジャケットとからなる無線通信端末装置のブロック構成図(従来)。
【図10】W−SIMと携帯ジャケットとからなる無線通信端末装置の回路構成図(従来)。
【符号の説明】
【0065】
1はW−SIM(音声信号をデジタル信号で処理する方式の無線通信モジュール)、2はC−SIM(音声信号をアナログ信号で処理する方式の無線通信モジュール)、3はモジュールインターフェース、4はモジュール制御部、5はモジュールインターフェース、6はモジュール制御部、7は携帯ジャケット、8はスロットカバー、9はスロット、10はジャケットインターフェース、11は取音孔、12は放音孔、13は電源、14はキーボード、15はディスプレイ、16はジャケット制御部、17はコーデック部、18はマイク、19はスピーカ、20は経路スイッチ、21は増幅部、22はUSIM(Universal Subscriber Identity Module Card)、23は電源スイッチ、24は欠番、25はアンテナ、26はアンテナスイッチ、27は送信部、28は受信部、29は変調部、30は復調部、31はTDMA符号化部、32はTDMA復号化部、33はADPCMトランスコーダ、34はCPU、35はフラッシュメモリ、36はRAM、37はCPU、38はROM、39はRAM、40はUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)、41はGPIO(General Purpose I/O)、42は増幅器、43は増幅器、44は欠番、45はアンテナ、46はアンテナスイッチ、47は送信部、48は受信部、49は変調部、50は復調部、51はCPU、52はフラッシュメモリ、53はRAM、54は欠番、55は携帯ジャケット、56はジャケット制御部、57は欠番、58は携帯ジャケット、59はジャケット制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声信号をアナログ信号で処理する方式の無線通信モジュールと音声信号をデジタル信号で処理する方式の無線通信モジュールとを共用の携帯ジャケットに差し換えて使用する無線通信端末装置であって、音声信号をデジタル信号で処理する方式の無線通信モジュールの容器と音声信号をアナログ信号で処理する方式の無線通信モジュールの容器とが共用の携帯ジャケットのスロットに挿入可能に構成され、携帯ジャケットには音声信号をデジタル信号で処理する方式の無線通信モジュールまたは音声信号をアナログ信号で処理する方式の無線通信モジュールの信号処理に必要なコーデック部と増幅部およびUSIMが設けられ、さらに、携帯ジャケットにはコーデック部と増幅部およびUSIMとの接続を無線通信モジュールのスロットへの挿入から経路スイッチの切換までの経路切換処理を行うプログラムの設けられたジャケット制御部が設けられたことを特徴とする無線通信端末装置。
【請求項2】
音声信号をデジタル信号で処理する方式の無線通信モジュールまたは音声信号をアナログ信号で処理する方式の無線通信モジュールの携帯ジャケットのスロットへの挿入に伴う携帯ジャケットから無線通信モジュールへの最初の問い合わせに対して応答する信号が上記挿入された無線通信モジュールの種類を表示する形態に構成されたことを特徴とする請求項1記載の無線通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−109846(P2010−109846A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281500(P2008−281500)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(304058826)株式会社ウィルコム (56)
【Fターム(参考)】