説明

無線通信端末装置

【課題】複数の異なる形状での通話が可能である場合にも、確実にエコーをキャンセルし、良好な通話品質を実現すること。
【解決手段】表示部筐体ケース100は、操作部筐体ケース200に対してスライド可能に取り付けられている。基板301の下面には、マイク302が実装されている。また、基板301の上面には、受話音声を出力するレシーバが実装されている。つまり、マイク302およびレシーバは、同一の基板301の異なる面に実装される。ユーザの発話音声などの筐体外部の音声は、集音孔160から表示部筐体ケース100および操作部筐体ケース200の間の隙間に進入する。そして、2つの筐体ケースの間の隙間に進入した音声は、貫通孔305を介してマイク302に入力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば携帯電話機などの通話機能を有する無線通信端末装置の中には、非通話時と通話時とで形状を変更可能なものがある。すなわち、所謂折り畳み型携帯電話機やスライド型携帯電話機などは、非通話時には折り畳まれた状態や収縮した状態で携帯されることにより、良好な携帯性を確保するともに、通話時には広げられた状態や伸長した状態で使用されることにより、通話や操作の利便性を確保している。
【0003】
このような無線通信端末装置の筐体は、通常2つの筐体ケースに分割されており、一方の筐体ケースに対して他方の筐体ケースが可動連結されている。すなわち、例えばスライド型携帯電話機では、キーなどの操作部を備える操作部筐体ケースに対してディスプレイなどの表示部を備える表示部筐体ケースが摺動可能に取り付けられている。したがって、ユーザは、非通話時には操作部筐体ケースと表示部筐体ケースとが完全に重なる収縮状態にして無線通信端末装置を携帯し、通話時には表示部筐体ケースを摺動させることにより伸長状態にして操作部筐体ケースのキーなどを操作することができる。
【0004】
しかし、非通話時の収縮状態である場合に完全に通話が不可能であると、例えば着信時には無線通信端末装置の形状を伸長状態に変更してから通話を開始しなければならず、迅速な通話開始に支障が生じることがある。そこで、近年では、収縮状態でも通話可能な無線通信端末装置が多く製品化されている。このような無線通信端末装置では、表示部のほかにも主要な操作キーなどを表示部筐体ケースに設けることにより、収縮状態でも通話に必要な最低限の操作を可能にしている。また、最近では、液晶パネルとタッチパネルを組み合わせて表示部筐体ケースに実装することにより、表示部筐体ケースの表示部(すなわち液晶パネル)が視認可能でさえあれば、収縮状態でもより多くの動作が可能となっている。
【0005】
このような無線通信端末装置を用いて収縮状態のまま通話する場合には、表示部筐体ケースに設けられたレシーバから出力される受話音声が、表示部筐体ケースと操作部筐体ケースの間の隙間を経由して操作部筐体ケースに設けられたマイクへ入力されやすく、エコーが生じやすい。このため、表示部筐体ケースと操作部筐体ケースの間の隙間に突起を設け、レシーバから出力される受話音声を遮断することなどが検討されている。
【0006】
【特許文献1】特開2006−135889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通話機能を有する無線通信端末装置において、レシーバから出力された受話音声がマイクへ入力されて多少のエコーが発生することは、不可避の現象であり、特にマイクの性能が向上して感度が良くなれば、エコーが発生しやすくなる。したがって、通常は、電気的にエコーをキャンセルする処理が実行されており、大部分のエコーは消去されて通話品質が良好に保たれる。
【0008】
しかしながら、上述したような収縮状態でも伸長状態でも通話可能な無線通信端末装置においては、収縮状態でのエコー特性と伸長状態でのエコー特性とが異なっており、確実なエコーキャンセルが困難であるという問題がある。具体的には、収縮状態での通話時と伸長状態での通話時とでは、レシーバとマイクの距離が異なるためエコー特性が変化し、例えば収縮状態では十分にエコーをキャンセルできても伸長状態では十分にエコーをキャンセルできないことなどが考えられる。
【0009】
すなわち、収縮状態では、表示部筐体ケースに設けられたレシーバと操作部筐体ケースに設けられたマイクとの間の距離が比較的小さいが、表示部筐体ケースを摺動させるにつれ、レシーバとマイクの間の距離は大きくなる。そして、レシーバとマイクの距離が変化すれば、マイクへ到達する受話音声の音量が変化し、エコー特性が変化することになる。したがって、画一的なエコーキャンセルでは、収縮状態および伸長状態におけるエコーを確実にキャンセルすることができない。
【0010】
このような問題は、スライド型携帯電話機のみではなく、例えばヒンジによって表示部筐体ケースと操作部筐体ケースとが回転可能に連結されている回転型携帯電話機などでも同様に発生する。つまり、形状の変更が可能な無線通信端末装置において、通話可能な形状が複数ある場合には、それぞれの形状でエコー特性が変化することがあり、いずれかの形状では十分にエコーキャンセルができない虞がある。
【0011】
本開示の装置はかかる点に鑑みてなされたものであり、複数の異なる形状での通話が可能である場合にも、エコーをキャンセルし、良好な通話品質を実現することができる無線通信端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、無線通信端末装置は、表示部を備える第1の筐体と、前記第1の筐体に可動連結され、ユーザの操作を受け付ける操作部を備える第2の筐体とを有し、前記第1の筐体は、通話時に受信される受話音声を出力するレシーバと、装置外部に向かって開口し、前記レシーバによって出力される受話音声を含む自装置の周囲の音声を集音する集音部と、前記集音部によって集音された音声を取得するマイクとを有する構成を採る。
【0013】
これにより、第2の筐体に対して第1の筐体が動いてもレシーバとマイク間の距離が変化することがなく、レシーバから出力される受話音声がマイクへ入力されることによって発生するエコーの特性が変化しない。結果として、特性が変化しないエコーに対する対策を講じれば、複数の異なる形状での通話が可能である場合にも、エコーをキャンセルし、良好な通話品質を実現することができる。
【発明の効果】
【0014】
本明細書に開示された無線通信端末装置によれば、複数の異なる形状での通話が可能である場合にも、エコーをキャンセルし、良好な通話品質を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本開示の装置の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、本実施の形態をスライド型携帯電話機に適用する場合について説明するが、その他例えば回転型携帯電話機など、複数の通話可能形状を有する無線通信端末装置に広く適用することができる。
【0016】
(実施の形態1)
図1および図2は、本実施の形態1に係る無線通信端末装置の外観を示す斜視図である。これらの図に示す無線通信端末装置の筐体は、大きく表示部筐体ケース100と操作部筐体ケース200とに分割されている。そして、表示部筐体ケース100は、操作部筐体ケース200に対して長手方向にスライド可能に取り付けられている。すなわち、図1に示す収縮状態から表示部筐体ケース100を長手方向にスライドさせると、図2に示す伸長状態となる。そして、この無線通信端末装置は、収縮状態および伸長状態のどちらの形状でも通話することが可能である。
【0017】
図1および図2に示すように、表示部筐体ケース100には、液晶パネル110、照度センサ120、着信LED(Light Emitting Diode)130、発音孔140、カメラ150、および集音孔160が設けられている。なお、照度センサ120、着信LED130、およびカメラ150は、同一の基板に実装されて表示部筐体ケース100に格納されている。また、図2に示すように、操作部筐体ケース200には、複数の操作キー210が整列して設けられている。
【0018】
液晶パネル110は、無線通信端末装置による処理の結果出力される画像を表示する。また、液晶パネル110の裏面には図示しないタッチパネルが貼付されており、ユーザが液晶パネル110の表面に接触すると、タッチパネルがユーザの接触位置を検知し、検知された接触位置に応じた操作を受け付ける。具体的には、例えば無線通信端末装置に着信があると、液晶パネル110には着信中である旨が表示され、ユーザが液晶パネル110に表示された通話開始ボタンに接触すると、通話開始ボタンに対する接触がタッチパネルによって検知され、通話開始の処理が実行される。
【0019】
照度センサ120は、周囲の照度を測定する。測定された照度は、液晶パネル110の表示画面の明るさを適切に制御する際に用いられる。着信LED130は、無線通信端末装置が着信した際、例えば点滅を繰り返す。なお、無線通信端末装置は、着信LED130の点滅を繰り返すほかにも、図示しないスピーカから着信音を出力したり、図示しないモータの回転によって筐体を振動させたりすることにより、ユーザに対して着信したことを通知する。
【0020】
発音孔140は、基板に設置されたレシーバ近傍において表示部筐体ケース100に穿設された貫通孔であり、レシーバから出力される受話音声を表示部筐体ケース100の外部へ発音する。なお、レシーバは、上述した照度センサ120、着信LED130、およびカメラ150と同一の基板に実装されている。カメラ150は、ユーザの操作に応じて撮像処理を実行する。撮像処理により得られた画像は、例えば液晶パネル110に表示されたり、図示しない記録媒体に記憶されたりする。
【0021】
集音孔160は、基板に設置されたマイク近傍において表示部筐体ケース100に穿設された貫通孔であり、表示部筐体ケース100の外部の音声を集音してマイクへ入力する。集音孔160は、表示部筐体ケース100と操作部筐体ケース200との境界付近に設けられており、集音孔160によって集音される音声は、2つの筐体ケースの間の隙間に進入する音声とともにマイクに到達する。なお、マイクは、上述した照度センサ120、着信LED130、およびカメラ150と同一の基板に実装されている。
【0022】
すなわち、マイクは、レシーバと同一の基板に実装されており、マイクおよびレシーバが基板とともに表示部筐体ケース100の内部に格納されている。したがって、操作部筐体ケース200に対して表示部筐体ケース100をスライドさせても、レシーバとマイクの間の距離は変化せず、エコー特性が変化しない。この結果、収縮状態でのエコーを十分にキャンセルすることができるエコーキャンセラであれば、伸長状態でのエコーも十分にキャンセルすることができる。したがって、通話時の無線通信端末装置の形状に関わらず、エコーを十分に消去して通話品質を良好にすることができる。
【0023】
操作キー210は、表示部筐体ケース100が長手方向にスライドして伸長状態となった際に押下可能となり、例えば電話番号の指定などのユーザによる操作を受け付ける。操作キー210において操作が受け付けられると、操作に応じた種々の処理が実行され、必要な画像が液晶パネル110に表示される。
【0024】
次いで、本実施の形態に係る無線通信端末装置のマイク周辺の構成について、図3を参照しながら説明する。図3は、本実施の形態に係る無線通信端末装置が収縮状態である場合のマイク周辺の断面を示す模式図である。なお、以下の説明においては、収縮状態において操作部筐体ケース200から表示部筐体ケース100へ向かう方向を上方向とし、表示部筐体ケース100から操作部筐体ケース200へ向かう方向を下方向とする。
【0025】
図3に示すように、樹脂製の基板301の下面には、マイク302が実装されている。この基板301の上面には、図1に示した照度センサ120、着信LED130、およびカメラ150に加え、受話音声を出力するレシーバが実装されている。すなわち、マイク302は、表示部筐体ケース100および操作部筐体ケース200の間の隙間に進入する音声を効率的に集音するために、基板301の操作部筐体ケース200に対向する面に実装される。一方、レシーバは、ユーザの耳との距離を小さくして受話音声が明瞭に聞こえるように、基板301の液晶パネル110に対向する面に実装される。つまり、マイク302およびレシーバは、同一の基板301の異なる面に実装される。
【0026】
また、表示部筐体ケース100には、ブラケット部304が係止されており、マイク302およびブラケット部304によって、緩衝部材となるマイクパッキン303が圧縮挟持されている。そして、マイクパッキン303およびブラケット部304には、マイク302と表示部筐体ケース100および操作部筐体ケース200の間の隙間とを導通させる貫通孔305が穿設されている。マイクパッキン303は、例えばウレタンゴムやシリコンゴムなどの弾性を有する柔らかい材料から構成されており、マイク302およびブラケット部304によって圧縮挟持されることにより、貫通孔305の周囲を密閉している。
【0027】
一方、集音孔160は、表示部筐体ケース100および操作部筐体ケース200の境界付近に穿設されている。したがって、ユーザの発話音声などの筐体外部の音声は、集音孔160から表示部筐体ケース100および操作部筐体ケース200の間の隙間に進入する。そして、2つの筐体ケースの間の隙間に進入した音声は、貫通孔305を介してマイク302に入力される。ここで、マイクパッキン303がマイク302およびブラケット部304によって圧縮挟持されているため、貫通孔305の周囲が密閉され、貫通孔305の周囲に音声が拡散することがない。結果として、集音孔160によって集音された音声を無駄なくマイク302に到達させることができる。
【0028】
また、上述したように、基板301にはレシーバも実装されており、レシーバから出力される受話音声がマイク302へ到達するが、収縮状態でも伸長状態でもレシーバとマイク302の位置関係が変化しない。このため、無線通信端末装置の形状によってエコー特性が変化することがなく、受話音声がマイク302へ入力されることによって発生するエコーを確実にキャンセルすることができる。
【0029】
以上のように、本実施の形態によれば、操作部筐体ケースと表示部筐体ケースに分割され、操作部筐体ケースに対して表示部筐体ケースがスライド可能である無線通信端末装置において、マイクとレシーバを表示部筐体ケース内の基板に実装する。このため、操作部狂態ケースに対して表示部筐体ケースをスライドさせても、マイクとレシーバの位置関係が変化せず、エコー特性が変化しない。結果として、複数の異なる形状での通話が可能である場合にも、確実にエコーをキャンセルし、良好な通話品質を実現することができる。
【0030】
(実施の形態2)
上記実施の形態1においては、マイク302とレシーバがそれぞれ基板301の異なる面に実装されているため、マイク302が実装される付近においては、基板301の上方に空間が形成されることになる。このため、マイク302が実装される付近においては、基板301が上方に反った形状に変形しやすく、マイク302がマイクパッキン303を十分に圧縮できないため、マイクパッキン303に設けられた貫通孔付近の密閉性が確保されないことがある。そこで、本発明の実施の形態2においては、マイクを基板のレシーバと同一の面に実装するとともに、集音のためのダクト部材を新たに挿入し、基板とダクト部材によってマイクパッキンをより強力に圧縮する構成について説明する。
【0031】
本実施の形態に係る無線通信端末装置の外観は、実施の形態1に係る無線通信端末装置の外観(図1および図2)と同様であるため、その説明を省略する。本実施の形態においては、マイク周辺の構造が実施の形態1とは異なっている。
【0032】
図4は、本実施の形態に係る無線通信端末装置が収縮状態である場合のマイク周辺の断面を示す模式図である。同図において、図3と同じ部分には同じ符号を付している。
【0033】
本実施の形態においては、基板301の上面にマイク302が実装されているとともに、マイク302の上方にはリブ403が突設されており、リブ403によってマイク302の上下方向の位置が固定されている。一方、マイク302の下方には基板301に貫通孔301aが穿設されている。そして、集音孔160が設けられたブラケット部402にダクト部材401が固定されており、ダクト部材401の上面と基板301の下面によって、マイクパッキン303が圧縮挟持されている。
【0034】
このように、リブ403によって固定されたマイク302が基板301の上面に実装されているため、基板301の上方には空間が形成されず、基板301が上方に反った形状に変形することがない。したがって、基板301は、下面に接するマイクパッキン303を強力に圧縮することができる。さらに、本実施の形態においては、マイクパッキン303とブラケット部402の間にダクト部材401が挿入されている。このため、マイクパッキン303の上下に余裕がなく、より強力にマイクパッキン303を圧縮挟持することができる。
【0035】
また、ダクト部材401の上面には、マイクパッキン303の貫通孔および基板301の貫通孔301aと接続する貫通孔が穿設されており、ダクト部材401がブラケット部402に固定されることにより、集音孔160によって集音された音声をダクト部材401の貫通孔へと案内する管状のダクトが形成される。ダクト部材401の貫通孔へ案内された音声は、マイクパッキンの貫通孔および基板301の貫通孔301aを介してマイク302に入力される。このため、集音孔160によって集音された音声が、ダクト外に拡散することがなく、音響特性を改善することができる。なお、ダクト部材401の形状については、後に詳述する。
【0036】
図5は、本実施の形態に係るマイク周辺の構成を示す組立図である。同図に示すように、マイク302は、基板301のレシーバと同一の面に実装され、この基板301が表示部筐体ケース100に格納されている。そして、表示部筐体ケース100は、操作部筐体ケース200に対して長手方向にスライド可能に取り付けられている。
【0037】
また、ダクト部材401は、下側に設けられた溝部が集音孔160に接続するようにブラケット部402に固定される。これにより、ダクト部材401の溝部とブラケット部402の上面とによってダクトが形成される。そして、ダクト部材401の上面に穿設された貫通孔は、マイクパッキン303の貫通孔および基板301の貫通孔301aに連結する。さらに、基板301の貫通孔301aを基板301の上面から塞ぐ位置にマイク302が実装される。これにより、集音孔160、ダクト部材401によって形成されるダクト、ダクト部材401の貫通孔、マイクパッキン303の貫通孔、および基板301の貫通孔301aからなる音道が形成され、集音孔160によって集音された音声が確実にマイク302へ到達する。
【0038】
このとき、マイク302が上方からリブ403によって押圧されており、これに伴って、マイクパッキン303が基板301の下面およびダクト部材401の上面によって強力に圧縮挟持されているため、各部品の貫通孔付近の密閉性が確保されており、音道からの音声の漏出がない。したがって、集音孔160によって集音された音声が確実にマイク302へ入力されることになる。また、本実施の形態においても実施の形態1と同様に、マイク302がレシーバと同一の基板301に実装されているため、無線通信端末装置が収縮状態であっても伸長状態であってもエコー特性が変化しない。結果として、無線通信端末装置における通話品質を改善することができる。
【0039】
次いで、本実施の形態に係るダクト部材401の形状について、図6および図7を参照して説明する。図6は、ダクト部材401の上側形状を示す斜視図であり、図7は、ダクト部材401の下側形状を示す斜視図である。
【0040】
ダクト部材401には、貫通孔401aが穿設されているとともに、上側には、基板301の下面との間でマイクパッキン303を圧縮挟持するための圧縮部401bが周囲から隆起している。図6において、貫通孔401aは、圧縮部401bに穿設されている。また、ダクト部材401の下側には、集音孔160に接続する溝部401cが形成されており、貫通孔401aは、溝部401cの一端に穿設されている。溝部401cの周囲には、ブラケット部402の上面にダクト部材401を固着するための固着部401dが形成されている。
【0041】
固着部401dがブラケット部402の上面に固着されることにより、溝部401cとブラケット部402の上面とによって管状のダクトが形成される。このダクトの一端は集音孔160に接続され、他端は貫通孔401aを介してマイクパッキン303の貫通孔に接続される。このため、ダクト部材401によって形成されるダクトは、集音孔160によって集音された音声をマイクパッキン303の貫通孔へ案内することができる。なお、固着部401dは、例えば両面テープなどによってブラケット部402の上面に接着される。このため、ダクトの密閉性が確保され、ダクトから周囲へ音が漏出することがない。
【0042】
また、圧縮部401bは、周囲よりも上方に隆起しているため、基板301の下面との間で強力にマイクパッキン303を圧縮挟持することができる。さらに、圧縮部401bの隆起により、ダクト部材401は、圧縮部401bにおいて周囲よりも厚くなっている。そして、圧縮部401bの裏側に溝部401cが形成されているため、圧縮部401b以外の薄い部分に形成するよりも、溝部401cを深くすることができる。結果として、ダクトの断面積が大きくなり、音声の伝達効率を向上することができる。
【0043】
以上のように、本実施の形態によれば、マイクを基板のレシーバと同一の面に実装し、基板のマイク実装部分には貫通孔を穿設し、リブによってマイクおよび基板を押圧するとともに、基板のマイクおよびレシーバが実装されていない面とダクト部材とによってマイクパッキンを圧縮挟持する。このため、マイクパッキンに対する圧縮によって基板に力が加わっても基板が変形することなく、基板とダクト部材によってより強力にマイクパッキンを圧縮挟持することができる。結果として、マイクへ入力される音声が通過する音道の密閉性を高めることができ、音響特性を向上することができる。
【0044】
なお、上記実施の形態2においては、ブラケット部402とは別体としてダクト部材401を設ける構成について説明したが、ブラケット部402とダクト部材401を一体化した形状のブラケット部材によって表示部筐体ケース100の集音孔近傍が形成されるようにしても良い。すなわち、表示部筐体ケース100に開口する集音孔とマイクとの間に緩衝部材が配置される場合に、表示部筐体ケース100の一部が周辺よりも隆起しており、隆起部分の内側が集音孔からの音声を案内するダクトとして機能するとともに、隆起部分の外側が緩衝部材を圧縮する圧縮部として機能すれば良い。
【0045】
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0046】
(付記1)表示部を備える第1の筐体と、
前記第1の筐体に可動連結され、ユーザの操作を受け付ける操作部を備える第2の筐体とを有し、
前記第1の筐体は、
通話時に受信される受話音声を出力するレシーバと、
装置外部に向かって開口し、前記レシーバによって出力される受話音声を含む自装置の周囲の音声を集音する集音部と、
前記集音部によって集音された音声を取得するマイクと
を有することを特徴とする無線通信端末装置。
【0047】
(付記2)前記第1の筐体は、
一方の面に前記レシーバが実装され、他方の面に前記マイクが実装される基板をさらに有することを特徴とする付記1記載の無線通信端末装置。
【0048】
(付記3)前記集音部は、
前記第1の筐体の一部に前記開口を形成し、前記開口から進入する音声を前記マイクへ向けて案内する貫通孔が形成されたブラケット部と、
前記ブラケット部および前記マイクによって挟持され、前記ブラケット部に形成された貫通孔に接続するとともに前記マイクに接する位置に貫通孔が形成された緩衝部と
を有することを特徴とする付記2記載の無線通信端末装置。
【0049】
(付記4)前記第1の筐体は、
前記レシーバおよび前記マイクが同一の面に実装される基板をさらに有することを特徴とする付記1記載の無線通信端末装置。
【0050】
(付記5)前記マイクは、
前記基板に形成された貫通孔を塞ぐ位置に実装されることを特徴とする付記4記載の無線通信端末装置。
【0051】
(付記6)前記集音部は、
前記第1の筐体の一部に前記開口を形成し、前記開口から進入する音声を前記マイクへ向けて案内する貫通孔が形成されたブラケット部と、
前記ブラケット部および前記基板によって挟持され、前記ブラケット部に形成された貫通孔および前記基板に形成された貫通孔に接続する貫通孔が形成された緩衝部と
を有することを特徴とする付記5記載の無線通信端末装置。
【0052】
(付記7)前記ブラケット部は、
前記開口から進入する音声を前記マイクへ向けて案内する貫通孔が形成されるとともに、当該貫通孔の周囲の面によって前記緩衝部を圧縮するダクト部材を有することを特徴とする付記6記載の無線通信端末装置。
【0053】
(付記8)前記ダクト部材は、
前記第1の筐体の内面に固着される固着部と、
周囲から隆起して厚くなり、前記固着部が前記第1の筐体の内面に固着された場合に前記緩衝部に当接する圧縮面によって前記緩衝部を圧縮する圧縮部と、
前記圧縮部の圧縮面とは反対の面に設けられ、一端に前記緩衝部の貫通孔に接続する貫通孔が形成される溝部と
を有することを特徴とする付記7記載の無線通信端末装置。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施の形態1に係る無線通信端末装置の外観を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る無線通信端末装置の他の外観を示す図である。
【図3】実施の形態1に係るマイク周辺の断面を示す模式図である。
【図4】実施の形態2に係るマイク周辺の断面を示す模式図である。
【図5】実施の形態2に係るマイク周辺の構成を示す組立図である。
【図6】実施の形態2に係るダクト部材の上側形状を示す斜視図である。
【図7】実施の形態2に係るダクト部材の下側形状を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
100 表示部筐体ケース
110 液晶パネル
120 照度センサ
130 着信LED
140 発音孔
150 カメラ
160 集音孔
200 操作部筐体ケース
210 操作キー
301 基板
301a 貫通孔
302 マイク
303 マイクパッキン
304、402 ブラケット部
305 貫通孔
401 ダクト部材
401a 貫通孔
401b 圧縮部
401c 溝部
401d 固着部
403 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を備える第1の筐体と、
前記第1の筐体に可動連結され、ユーザの操作を受け付ける操作部を備える第2の筐体とを有し、
前記第1の筐体は、
通話時に受信される受話音声を出力するレシーバと、
装置外部に向かって開口し、前記レシーバによって出力される受話音声を含む自装置の周囲の音声を集音する集音部と、
前記集音部によって集音された音声を取得するマイクと
を有することを特徴とする無線通信端末装置。
【請求項2】
前記第1の筐体は、
前記レシーバおよび前記マイクが同一の面に実装される基板をさらに有することを特徴とする請求項1記載の無線通信端末装置。
【請求項3】
前記マイクは、
前記基板に形成された貫通孔を塞ぐ位置に実装されることを特徴とする請求項2記載の無線通信端末装置。
【請求項4】
前記集音部は、
前記第1の筐体の一部に前記開口を形成し、前記開口から進入する音声を前記マイクへ向けて案内する貫通孔が形成されたブラケット部と、
前記ブラケット部および前記基板によって挟持され、前記ブラケット部に形成された貫通孔および前記基板に形成された貫通孔に接続する貫通孔が形成された緩衝部と
を有することを特徴とする請求項3記載の無線通信端末装置。
【請求項5】
前記ブラケット部は、
前記開口から進入する音声を前記マイクへ向けて案内する貫通孔が形成されるとともに、当該貫通孔の周囲の面によって前記緩衝部を圧縮するダクト部材を有することを特徴とする請求項4記載の無線通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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