無線通信装置、設備情報管理システム、無線通信方法
【課題】通信を行うことができる電源を確保しつつ、この電源を効率よく使用して通信を行うことができる無線通信装置、設備情報管理システムを提供することにある。
【解決手段】監視対象となる設備に沿って移動する移動体に取り付けられる通信装置と、当該通信装置に無線によって情報を送信する記録媒体とを有する設備情報管理システムにおける記録媒体であって、前記設備に設けられるセンサの検出結果である設備情報を記憶する記憶部と、前記通信装置の深紫外線発光装置から起動指示として深紫外線の信号を受信する受信部と、前記受信部にて受信した前記深紫外線の信号に基づいて、前記記憶部に記憶された設備情報を当該通信装置に送信する送信部と、を有する。
【解決手段】監視対象となる設備に沿って移動する移動体に取り付けられる通信装置と、当該通信装置に無線によって情報を送信する記録媒体とを有する設備情報管理システムにおける記録媒体であって、前記設備に設けられるセンサの検出結果である設備情報を記憶する記憶部と、前記通信装置の深紫外線発光装置から起動指示として深紫外線の信号を受信する受信部と、前記受信部にて受信した前記深紫外線の信号に基づいて、前記記憶部に記憶された設備情報を当該通信装置に送信する送信部と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線路や道路など広範囲にわたって敷設される設備に設けられたセンサからの情報を管理する無線通信装置、設備情報管理システム、無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
線路や道路の設備に各種センサを取り付け、これらセンサの検出結果の情報を収集することによって、設備を監視するシステムが提供されている。この情報の収集は、例えば、電車や自動車などの車両である移動体に、情報を受信する通信装置を設け、この移動体が線路あるいは道路に沿って移動しながら、当該通信装置によって受信することによって行われる。
このような情報の収集を行う方法として、例えば、センサの検出結果をRFID(Radio Frequency IDentification)タグに記憶しておき、移動体に設けられたRFIDタグリーダにより、このRFIDタグに記憶された情報を読み出すことによって収集する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−131173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す情報収集方法においては、RFIDタグを駆動させる電源を確保する必要がある。すなわち、電池を有しているアクティブ型のRFIDタグでは、この電池から電力を受けて通信を行うことによって通信距離を長くできるメリットがあるが、電池を設ける必要がある。そして、この電池のメンテナンスをRFIDタグのそれぞれについて行おうとすると、手間がかかる。また、太陽電池によって当該電池を充電することも考えられるが、天候によって充電量が左右されてしまうので、効率的に電池を使用する必要がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、通信を行うことができる電源を確保しつつ、この電源を効率よく使用して通信を行うことができる無線通信装置、設備情報管理システム、無線通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、監視対象となる設備に沿って移動する移動体に取り付けられる通信端末と、当該通信端末に無線によって情報を送信する無線通信装置とを有する設備情報管理システムにおける無線通信装置であって、前記設備に設けられるセンサの検出結果である設備情報を記憶する記憶部と、前記通信装置の深紫外線発光装置から起動指示として深紫外線の信号を受信する深紫外線信号受信部と、前記受信部にて受信した前記深紫外線の信号に基づいて、前記記憶部に記憶された設備情報を当該通信端末に送信する送信部と、を有する。
【0007】
また、本発明は、上述の無線通信装置において、前記制御部は、前記深紫外線信号受信部によって所定の時間以上継続して前記深紫外線の信号を受信した場合に、前記送信部によって設備情報を前記通信端末に送信させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、監視対象となる設備に沿って移動する移動体に取り付けられる通信端末と、当該通信端末に無線によって情報を送信する無線通信装置とを有する設備情報管理システムであって、前記通信端末は、前記無線通信装置から送信される設備情報を受信する受信部と、起動指示として深紫外線の信号を送信する深紫外線発光装置と、を有し、前記無線通信装置は、前記設備に設けられるセンサの検出結果である設備情報を記憶する記憶部と、前記通信装置の前記深紫外線発光装置から前記深紫外線の信号を受信する深紫外線信号受信部と、前記深紫外線信号受信部にて受信した前記深紫外線の信号に基づいて、前記記憶部に記憶された設備情報を当該通信端末に送信する送信部と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、監視対象となる設備に沿って移動する移動体に取り付けられる通信端末と、当該通信端末に無線によって情報を送信する無線通信装置とを有する設備情報管理システムにおける無線通信装置の無線通信方法であって、前記無線通信装置は、前記通信装置の深紫外線発光装置から起動指示として深紫外線の信号を受信し、受信した前記深紫外線の信号に基づいて、前記設備に設けられるセンサの検出結果である設備情報を記憶する記憶部から設備情報を読み出し、読み出した設備情報を当該通信端末に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、この発明によれば、移動体から起動指示の信号を受信した場合に、記憶された情報を電源からの電力を受けて送信するようにした。これにより、電源を確保しつつ、必要なときに電源を効率よく使用し、通信を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の一実施形態による設備情報管理システムの構成を示す概略構成図である。
【図2】図1の設備情報管理システムの概念図である。
【図3】監視対象の設備について説明する概念図である。
【図4】リーダ2及び無線タグ6の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図5】紫外線受光装置61及び駆動回路62の構成の具体例を示す図である。
【図6】駆動回路62の出力電圧Voutの時間変化を表す図である。
【図7】太陽電池を適用した場合の電源部63の構成を示す概略ブロック図である。
【図8】無線タグ6の第一の動作例を表すフローチャートである。
【図9】無線タグ6の第二の動作例を表すフローチャートである。
【図10】電源部63の変形例の構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態による設備情報管理システムについて図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態による設備情報管理システムの構成を示す概略構成図である。
電車1は、トロリー線から電力を受け、線路に沿って移動しながら、リーダ2によって無線タグ6から送信されるデータを収集する。この収集したデータを用いて、監視対象の設備の状況を監視し、必要に応じて設備のメンテナンス等を行うことができる。
リーダ2は、電車1に設けられ、通信可能な領域内に存在する無線タグ6と通信を行い、無線タグ6から受信した情報を自身に格納したり、あるいは、無線タグ6から受信した情報を、自身に接続されるサーバに送信して蓄積する。
き電線圧縮接続部3は、電線同士を圧縮スリーブによって接続するものであり、き電線圧縮接続部3の温度(測定時点における温度、最高温度)を検出するセンサが取り付けられ、このセンサの検出結果が無線タグ6に出力される。
【0013】
自動張力調整装置5は、架線柱間に敷設された架線に張力を与えて、架線が所定の範囲内の張力になるように調整する。この自動張力調整装置5には張力(測定時点における張力、最大値、最小値)を検出するセンサが取り付けられ、このセンサの検出結果が無線タグ6に出力される。自動張力調整装置5としては、例えば、バネによって架線に張力を与えるバネ式自動張力調整装置や、滑車から垂下された錘によって架線に張力を与える滑車式自動張力調整装置などが適用される。
無線タグ6は、監視対象に取り付けられるセンサの検出結果を無線によってリーダ2に送信する。無線タグ6は、例えばき電線圧縮接続部3や自動張力調整装置5に取り付けられる。無線タグ6には、アクティブ型のタイプが適用可能である(詳細は後述する)。なお、無線タグ6が上述の無線通信装置に相当する。
このように、センサの検出結果をリーダ2によって、無線タグ6から収集し、検出結果を参照することによって、設備内の各部の状況を把握し、管理することが可能となる。
【0014】
図2は、図1の設備情報管理システムの概念図である。電車1に取り付けられたリーダ2は、電車1が線路8に沿って移動することにより、線路8付近に設置された無線タグ6のうち、自身の通信可能な領域内に入った無線タグ6と通信を行って、センサの検出結果を順次収集する。
【0015】
図3は、監視対象の設備について説明する概念図である。図3において、本線上設備10は、線路8に沿って各種機器が設けられる。停車場設備11は、電車の停車場となる設備であり、各種機器が設けられる。構内設備12は、例えば、駅の構内に設けられる各種機器が設けられる。ここでは、これら各設備内に設けられた各種機器のそれぞれを監視対象とし、各機器の状態を監視するセンサが取り付けられ、このセンサの検出結果が、無線タグ6によってリーダ2に送信される。
【0016】
次に、無線タグ6について図面を用いてさらに説明する。
アクティブ型として構成された無線タグ6は、電源を備えており能動的に電波を出すため、一般にパッシブ型よりも交信距離が長い。よって、電車や自動車などの高速移動体に設けられた通信装置(リーダ2)と通信を行う場合にも、より高い確率で正常な通信を実現することが可能となる。しかし、アクティブ型の場合には電池が必要であるため、電池交換等のメンテナンスの問題が生じる。そこで、この実施形態においては、以下のような構成を有する。
【0017】
図4は、この実施形態におけるリーダ2及び無線タグ6の構成を示す概略ブロック図である。まず、リーダ2について説明する。リーダ2は、紫外線発光装置21、RFIDリーダ22を備える。紫外線発光装置21は、所定範囲の波長の紫外線を起動命令として発光する。紫外線発光装置21は、例えば重水素ランプや深紫外線発光管を用いて構成され、深紫外線を発光する。深紫外線とは、波長が約200〜350ナノメートルの紫外線であり、太陽光などの自然環境に存在する光には殆ど含まれていない光である。より望ましい構成としては、紫外線発光装置21が発光する深紫外線は、波長が200〜280ナノメートル付近の紫外線からなるUV−C(Ultra Violet・C波)である。以下の説明では、紫外線発光装置21が深紫外線を発光する場合の構成について説明する。紫外線発光装置21は、常に発光していても良いし、無線タグ6への接近に応じて発光しても良い。
RFIDリーダ22は、アンテナ221を備え、アンテナ221を介して無線タグ6と無線通信する。RFIDリーダ22は、センサの検出結果(データ)や無線タグ6の識別情報(ID)を無線タグ6から受信する。また、RFIDリーダ22は、センサの検出結果や識別情報の受信が完了すると、受信確認を無線タグ6へ送信する。
【0018】
次に、無線タグ6について説明する。無線タグ6は、紫外線受光装置61、駆動回路62、電源部63、RFID64を備える。紫外線受光装置61は、移動体である電車1に設けられた、リーダ2の紫外線発光装置21送信される深紫外線を起動命令として受光する。より望ましくは、紫外線受光装置61は、200〜280ナノメートル付近の紫外線からなるUV−Cを起動命令として受光する。
駆動回路62は、紫外線受光装置61による深紫外線の受光に応じて、RFIDに対して動作命令を出力する。
電源部63は、無線タグ6に備えられる各装置のうち電力を必要とするものに電力を供給する。
【0019】
RFID64は、駆動回路62から出力される動作命令に応じて、センサから出力された検出結果を外部(リーダ2)に無線信号によって送信する。以下、RFID64の構成の具体例について説明する。RFID64は、センサから出力される検出結果を取得して一時記憶する記憶部を有し、リーダ2への送信が完了するまで検出結果を記憶部に記憶する。RFID64は、リーダ2と通信の接続を行うために、内部の電子回路を動作させて待機しており、駆動回路62から出力される動作命令に応じて、待機状態から動作状態に移行する。動作状態に移行したRFID64は、記憶部に記憶された検出結果をアンテナ641から送信する。RFID64は、リーダ2への送信が完了すると、アンテナ641からの電波の放射を停止する。リーダ2への送信の完了は、例えばリーダ2から受信確認を受信することによって判定される。
【0020】
次に、紫外線受光装置61及び駆動回路62の構成の具体例について説明する。図5は、紫外線受光装置61及び駆動回路62の構成の具体例を示す図である。以下、図5に示される構成の具体例について説明する。紫外線受光装置61は、紫外線検出器611を用いて構成される。駆動回路62は、発振回路621、昇圧回路622、第一抵抗623、第二抵抗624、コンデンサ625、出力端子626を備える。紫外線検出器611のアノード端子Aは第一抵抗623に接続され、カソード端子Kは第二抵抗624、コンデンサ625、出力端子626に接続される。紫外線検出器611のアノード端子Aとカソード端子Kには、発振回路621、昇圧回路622、第一抵抗623、第二抵抗624を介して電源部63から供給される電力に基づく電圧が印加される。紫外線検出器611が深紫外線を受光していない場合に出力端子626から出力される電圧(以下、「出力電圧」という。)Voutと、紫外線検出器611が深紫外線を受光している場合の出力電圧Voutとは異なる値となる。出力電圧Voutの値の変動が、動作命令としてRFID64に出力される。RFID64は、出力電圧Voutの値の変動に基づいて検出結果の送信を行うか否か判定する。
【0021】
図6は、駆動回路62の出力電圧Voutの時間変化を表す図である。図6Aは、深紫外線を受光していない場合の出力電圧Voutの時間変化を表す。図6Bは、深紫外線を受光している場合の出力電圧Voutの時間変化を表す。図6Cは、図6Bの場合よりも強い深紫外線を受光している場合の出力電圧Voutの時間変化を表す。図6Dは、図6Cの場合よりも強い深紫外線を受光している場合の出力電圧Voutの時間変化を表す。図6A〜図6Dから明らかなように、受光される深紫外線の強さが強いほど、単位時間tu当たりの出力電圧Voutの変化回数が多くなる。
【0022】
RFID64は、紫外線受光装置61によって少しでも深紫外線が受光された場合に、検出結果の送信を行っても良い。この場合、RFID64は、単位時間tu当たりの出力電圧Voutの変化が1度でも発生した場合に、検出結果の送信を行うように構成されても良い。
RFID64は、紫外線受光装置61によって所定時間継続して深紫外線が受光された場合に、検出結果の送信を行っても良い。この場合、RFID64は、出力電圧Voutの変化回数が1以上である単位時間tuが所定回数継続した場合に、検出結果の送信を行うように構成されても良い。
【0023】
RFID64は、紫外線受光装置61によって所定強度以上の深紫外線が受光された場合に、検出結果の送信を行っても良い。この場合、RFID64は、単位時間tu当たりの出力電圧Voutの変化回数が所定回数以上である場合に、検出結果の送信を行うように構成されても良い。
RFID64は、紫外線受光装置61によって所定強度以上の深紫外線が所定時間以上継続して受光された場合に、検出結果の送信を行っても良い。この場合、RFID64は、出力電圧Voutの変化回数が所定回数以上である単位時間tuが所定回数継続した場合に、検出結果の送信を行うように構成されても良い。
RFID64におけるこれらの判断は、RFID64に搭載されているマイクロコンピュータ等の情報処理ハードウェアが行う。
【0024】
次に、電源部63について説明する。
図7は、太陽電池を適用した場合の電源部63の構成を示す概略ブロック図である。
この図において、太陽電池63aは、太陽光を受けて電力を発生する。充電回路63bは、太陽電池63aが発生した電力をコンデンサ63cに充電する。コンデンサ63cは、充電回路63bからの電力を受けて充電し、昇降圧DC−DCコンバータ63dに電力を供給する。昇降圧DC−DCコンバータ63dは、コンデンサ63cからの電力を受けて、所定の電圧に昇圧または降圧し、負荷である駆動回路62及びRFID64に電力を供給する。
このように、電源部63は、太陽電池63aによって電力を発生して蓄電し、必要に応じて負荷に電力を供給する。
【0025】
図8は、無線タグ6の第一の動作例を表すフローチャートである。図9は、無線タグ6の第二の動作例を表すフローチャートである。第一の動作例では、無線タグ6は少しでも深紫外線を受光した場合にはセンサの検出結果を送信する。第二の動作例では、無線タグ6は所定の時間継続して深紫外線が受光された場合にセンサの検出結果を送信する。次に、図4の構成における無線タグ6の動作について図8及び図9のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0026】
まず、図8を用いて第一の動作例について説明する。電車1が無線タグ6に接近すると、電車1に取り付けられたリーダ2の紫外線発光装置21から発光された深紫外線を、無線タグ6の紫外線受光装置61が受光する(ステップS101)。この受光に応じて、駆動回路62から出力される出力電圧Voutが変化する(ステップS102)。出力電圧Voutの変化が動作命令としてRFID64に入力される。RFID64は、出力電圧Voutが変化するまで、センサの測定結果を送信せずに待機している(ステップS201−NO)。出力電圧Voutが変化すると(ステップS201−YES)、RFID64はセンサの検出結果をリーダ2に送信する(ステップS202)。その後、RFID64は、リーダ2から受信確認を受信するまで送信処理を継続する(ステップS203−NO)。リーダ2から受信確認を受信すると(ステップS203−YES)、RFID64は送信処理を停止し、待機状態となる(ステップS204)。
【0027】
次に、図9を用いて第二の動作例について説明する。なお、図9のフローチャートにおいて、紫外線受光装置61及び駆動回路62の動作は図8のフローチャートと同じであるため説明を省略する。RFID64は、まず変数nを初期化する(ステップS301)。図9では、RFID64は変数nに“0”を代入することによって初期化を行う。次に、RFID64は、単位時間tu内に出力電圧Voutの変化があったか否か判定する(ステップS302)。変化がない場合には(ステップS302−NO)、RFID64はステップS301の処理に戻って変数nを初期化する。
【0028】
一方、単位時間tu内に出力電圧Voutの変化があった場合(ステップS302−YES)、RFID64は変数nをインクリメントする(ステップS303)。例えば、RFID64は、変数nに対して“1”を加算することによってインクリメントする。次に、RFID64は、変数nの値が、予め設定されている定数Nよりも大きいか否か判定する(ステップS304)。変数nが定数N以下である場合(ステップS304−NO)、RFID64はステップS302の処理に戻って、次の単位時間tuに関して出力電圧Voutの変化があったか否か判定する。一方、変数nが定数Nより大きい場合(ステップS304−YES)、RFID64はセンサの検出結果をリーダ2に送信する(ステップS305)。その後、RFID64は、リーダ2から受信確認を受信するまで送信処理を継続する(ステップS306−NO)。リーダ2から受信確認を受信すると(ステップS306−YES)、RFID64は送信処理を停止し、待機状態となる(ステップS307)。
【0029】
以上のように、本実施形態の設備情報管理システムでは、無線タグ6は、リーダ2の紫外線発光装置21から起動命令を受けるまでは送信処理を実行せず、起動命令を受けた場合に送信処理を実行する。そのため、無線タグ6における消費電力を低減させることが可能となる。また、消費電力の低減により、無線タグ6に搭載する電源部63を小型化することが可能となる。さらに、消費電力の低減により、電源部63の寿命を長期化させることが可能となり、電源部63の交換や修理などのメンテナンスの手間を削減することが可能となる。また、無線タグ6の電源部63は蓄電を行うことができるため、電力の消費に伴う電池の交換が不要となり、メンテナンスの手間をさらに削減することが可能となる。
【0030】
また、起動命令の送信を深紫外線の発光によって行う場合には以下のような効果もある。深紫外線は自然界にはほとんど存在しない波長の光であるため、リーダ2以外の発光源から深紫外線が発せられることはほとんどない。そのため、無線タグ6において、リーダ2が接近していないにも拘わらず誤ってセンサの検出結果を送信してしまうことを防止できる。したがって、誤送信による電力の浪費を防止することが可能となる。赤外線よりも深紫外線の方が一般的に発光源の数は限られているため、上述したような誤送信防止の効果は、赤外線の発光により起動命令を送信する場合に比べて、深紫外線の発光により起動命令を送信する場合の方がより高い。
【0031】
<変形例>
図10は、電源部63の変形例の構成を示す概略ブロック図である。変形例における電源部63は、コンデンサ63cに代えて電気二重層キャパシタ63eを備える。電気二重層キャパシタ63eは、充電回路63bを介して受けた電力を蓄電し、昇降圧DC−DCコンバータ63dに出力する。電気二重層キャパシタ63eは、一般的に製品寿命が長い。そのため、このような構成により、電源部63の交換や修理などのメンテナンスの手間をさらに削減することが可能となる。
【0032】
なお、以上説明した実施形態において、移動体が電車、設備が線路である場合について説明したが、移動体が自動車、設備が道路であり、この道路に無線タグおよび各種センサを取り付けるようにしてもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1…電車、 2…リーダ、 3…き電線圧縮接続部、 6…無線タグ、 21…紫外線発光装置、 22…RFIDリーダ、 61…紫外線受光装置、 62…駆動回路、 63…電源部、 64…RFID
【技術分野】
【0001】
本発明は、線路や道路など広範囲にわたって敷設される設備に設けられたセンサからの情報を管理する無線通信装置、設備情報管理システム、無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
線路や道路の設備に各種センサを取り付け、これらセンサの検出結果の情報を収集することによって、設備を監視するシステムが提供されている。この情報の収集は、例えば、電車や自動車などの車両である移動体に、情報を受信する通信装置を設け、この移動体が線路あるいは道路に沿って移動しながら、当該通信装置によって受信することによって行われる。
このような情報の収集を行う方法として、例えば、センサの検出結果をRFID(Radio Frequency IDentification)タグに記憶しておき、移動体に設けられたRFIDタグリーダにより、このRFIDタグに記憶された情報を読み出すことによって収集する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−131173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す情報収集方法においては、RFIDタグを駆動させる電源を確保する必要がある。すなわち、電池を有しているアクティブ型のRFIDタグでは、この電池から電力を受けて通信を行うことによって通信距離を長くできるメリットがあるが、電池を設ける必要がある。そして、この電池のメンテナンスをRFIDタグのそれぞれについて行おうとすると、手間がかかる。また、太陽電池によって当該電池を充電することも考えられるが、天候によって充電量が左右されてしまうので、効率的に電池を使用する必要がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、通信を行うことができる電源を確保しつつ、この電源を効率よく使用して通信を行うことができる無線通信装置、設備情報管理システム、無線通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、監視対象となる設備に沿って移動する移動体に取り付けられる通信端末と、当該通信端末に無線によって情報を送信する無線通信装置とを有する設備情報管理システムにおける無線通信装置であって、前記設備に設けられるセンサの検出結果である設備情報を記憶する記憶部と、前記通信装置の深紫外線発光装置から起動指示として深紫外線の信号を受信する深紫外線信号受信部と、前記受信部にて受信した前記深紫外線の信号に基づいて、前記記憶部に記憶された設備情報を当該通信端末に送信する送信部と、を有する。
【0007】
また、本発明は、上述の無線通信装置において、前記制御部は、前記深紫外線信号受信部によって所定の時間以上継続して前記深紫外線の信号を受信した場合に、前記送信部によって設備情報を前記通信端末に送信させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、監視対象となる設備に沿って移動する移動体に取り付けられる通信端末と、当該通信端末に無線によって情報を送信する無線通信装置とを有する設備情報管理システムであって、前記通信端末は、前記無線通信装置から送信される設備情報を受信する受信部と、起動指示として深紫外線の信号を送信する深紫外線発光装置と、を有し、前記無線通信装置は、前記設備に設けられるセンサの検出結果である設備情報を記憶する記憶部と、前記通信装置の前記深紫外線発光装置から前記深紫外線の信号を受信する深紫外線信号受信部と、前記深紫外線信号受信部にて受信した前記深紫外線の信号に基づいて、前記記憶部に記憶された設備情報を当該通信端末に送信する送信部と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、監視対象となる設備に沿って移動する移動体に取り付けられる通信端末と、当該通信端末に無線によって情報を送信する無線通信装置とを有する設備情報管理システムにおける無線通信装置の無線通信方法であって、前記無線通信装置は、前記通信装置の深紫外線発光装置から起動指示として深紫外線の信号を受信し、受信した前記深紫外線の信号に基づいて、前記設備に設けられるセンサの検出結果である設備情報を記憶する記憶部から設備情報を読み出し、読み出した設備情報を当該通信端末に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、この発明によれば、移動体から起動指示の信号を受信した場合に、記憶された情報を電源からの電力を受けて送信するようにした。これにより、電源を確保しつつ、必要なときに電源を効率よく使用し、通信を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の一実施形態による設備情報管理システムの構成を示す概略構成図である。
【図2】図1の設備情報管理システムの概念図である。
【図3】監視対象の設備について説明する概念図である。
【図4】リーダ2及び無線タグ6の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図5】紫外線受光装置61及び駆動回路62の構成の具体例を示す図である。
【図6】駆動回路62の出力電圧Voutの時間変化を表す図である。
【図7】太陽電池を適用した場合の電源部63の構成を示す概略ブロック図である。
【図8】無線タグ6の第一の動作例を表すフローチャートである。
【図9】無線タグ6の第二の動作例を表すフローチャートである。
【図10】電源部63の変形例の構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態による設備情報管理システムについて図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態による設備情報管理システムの構成を示す概略構成図である。
電車1は、トロリー線から電力を受け、線路に沿って移動しながら、リーダ2によって無線タグ6から送信されるデータを収集する。この収集したデータを用いて、監視対象の設備の状況を監視し、必要に応じて設備のメンテナンス等を行うことができる。
リーダ2は、電車1に設けられ、通信可能な領域内に存在する無線タグ6と通信を行い、無線タグ6から受信した情報を自身に格納したり、あるいは、無線タグ6から受信した情報を、自身に接続されるサーバに送信して蓄積する。
き電線圧縮接続部3は、電線同士を圧縮スリーブによって接続するものであり、き電線圧縮接続部3の温度(測定時点における温度、最高温度)を検出するセンサが取り付けられ、このセンサの検出結果が無線タグ6に出力される。
【0013】
自動張力調整装置5は、架線柱間に敷設された架線に張力を与えて、架線が所定の範囲内の張力になるように調整する。この自動張力調整装置5には張力(測定時点における張力、最大値、最小値)を検出するセンサが取り付けられ、このセンサの検出結果が無線タグ6に出力される。自動張力調整装置5としては、例えば、バネによって架線に張力を与えるバネ式自動張力調整装置や、滑車から垂下された錘によって架線に張力を与える滑車式自動張力調整装置などが適用される。
無線タグ6は、監視対象に取り付けられるセンサの検出結果を無線によってリーダ2に送信する。無線タグ6は、例えばき電線圧縮接続部3や自動張力調整装置5に取り付けられる。無線タグ6には、アクティブ型のタイプが適用可能である(詳細は後述する)。なお、無線タグ6が上述の無線通信装置に相当する。
このように、センサの検出結果をリーダ2によって、無線タグ6から収集し、検出結果を参照することによって、設備内の各部の状況を把握し、管理することが可能となる。
【0014】
図2は、図1の設備情報管理システムの概念図である。電車1に取り付けられたリーダ2は、電車1が線路8に沿って移動することにより、線路8付近に設置された無線タグ6のうち、自身の通信可能な領域内に入った無線タグ6と通信を行って、センサの検出結果を順次収集する。
【0015】
図3は、監視対象の設備について説明する概念図である。図3において、本線上設備10は、線路8に沿って各種機器が設けられる。停車場設備11は、電車の停車場となる設備であり、各種機器が設けられる。構内設備12は、例えば、駅の構内に設けられる各種機器が設けられる。ここでは、これら各設備内に設けられた各種機器のそれぞれを監視対象とし、各機器の状態を監視するセンサが取り付けられ、このセンサの検出結果が、無線タグ6によってリーダ2に送信される。
【0016】
次に、無線タグ6について図面を用いてさらに説明する。
アクティブ型として構成された無線タグ6は、電源を備えており能動的に電波を出すため、一般にパッシブ型よりも交信距離が長い。よって、電車や自動車などの高速移動体に設けられた通信装置(リーダ2)と通信を行う場合にも、より高い確率で正常な通信を実現することが可能となる。しかし、アクティブ型の場合には電池が必要であるため、電池交換等のメンテナンスの問題が生じる。そこで、この実施形態においては、以下のような構成を有する。
【0017】
図4は、この実施形態におけるリーダ2及び無線タグ6の構成を示す概略ブロック図である。まず、リーダ2について説明する。リーダ2は、紫外線発光装置21、RFIDリーダ22を備える。紫外線発光装置21は、所定範囲の波長の紫外線を起動命令として発光する。紫外線発光装置21は、例えば重水素ランプや深紫外線発光管を用いて構成され、深紫外線を発光する。深紫外線とは、波長が約200〜350ナノメートルの紫外線であり、太陽光などの自然環境に存在する光には殆ど含まれていない光である。より望ましい構成としては、紫外線発光装置21が発光する深紫外線は、波長が200〜280ナノメートル付近の紫外線からなるUV−C(Ultra Violet・C波)である。以下の説明では、紫外線発光装置21が深紫外線を発光する場合の構成について説明する。紫外線発光装置21は、常に発光していても良いし、無線タグ6への接近に応じて発光しても良い。
RFIDリーダ22は、アンテナ221を備え、アンテナ221を介して無線タグ6と無線通信する。RFIDリーダ22は、センサの検出結果(データ)や無線タグ6の識別情報(ID)を無線タグ6から受信する。また、RFIDリーダ22は、センサの検出結果や識別情報の受信が完了すると、受信確認を無線タグ6へ送信する。
【0018】
次に、無線タグ6について説明する。無線タグ6は、紫外線受光装置61、駆動回路62、電源部63、RFID64を備える。紫外線受光装置61は、移動体である電車1に設けられた、リーダ2の紫外線発光装置21送信される深紫外線を起動命令として受光する。より望ましくは、紫外線受光装置61は、200〜280ナノメートル付近の紫外線からなるUV−Cを起動命令として受光する。
駆動回路62は、紫外線受光装置61による深紫外線の受光に応じて、RFIDに対して動作命令を出力する。
電源部63は、無線タグ6に備えられる各装置のうち電力を必要とするものに電力を供給する。
【0019】
RFID64は、駆動回路62から出力される動作命令に応じて、センサから出力された検出結果を外部(リーダ2)に無線信号によって送信する。以下、RFID64の構成の具体例について説明する。RFID64は、センサから出力される検出結果を取得して一時記憶する記憶部を有し、リーダ2への送信が完了するまで検出結果を記憶部に記憶する。RFID64は、リーダ2と通信の接続を行うために、内部の電子回路を動作させて待機しており、駆動回路62から出力される動作命令に応じて、待機状態から動作状態に移行する。動作状態に移行したRFID64は、記憶部に記憶された検出結果をアンテナ641から送信する。RFID64は、リーダ2への送信が完了すると、アンテナ641からの電波の放射を停止する。リーダ2への送信の完了は、例えばリーダ2から受信確認を受信することによって判定される。
【0020】
次に、紫外線受光装置61及び駆動回路62の構成の具体例について説明する。図5は、紫外線受光装置61及び駆動回路62の構成の具体例を示す図である。以下、図5に示される構成の具体例について説明する。紫外線受光装置61は、紫外線検出器611を用いて構成される。駆動回路62は、発振回路621、昇圧回路622、第一抵抗623、第二抵抗624、コンデンサ625、出力端子626を備える。紫外線検出器611のアノード端子Aは第一抵抗623に接続され、カソード端子Kは第二抵抗624、コンデンサ625、出力端子626に接続される。紫外線検出器611のアノード端子Aとカソード端子Kには、発振回路621、昇圧回路622、第一抵抗623、第二抵抗624を介して電源部63から供給される電力に基づく電圧が印加される。紫外線検出器611が深紫外線を受光していない場合に出力端子626から出力される電圧(以下、「出力電圧」という。)Voutと、紫外線検出器611が深紫外線を受光している場合の出力電圧Voutとは異なる値となる。出力電圧Voutの値の変動が、動作命令としてRFID64に出力される。RFID64は、出力電圧Voutの値の変動に基づいて検出結果の送信を行うか否か判定する。
【0021】
図6は、駆動回路62の出力電圧Voutの時間変化を表す図である。図6Aは、深紫外線を受光していない場合の出力電圧Voutの時間変化を表す。図6Bは、深紫外線を受光している場合の出力電圧Voutの時間変化を表す。図6Cは、図6Bの場合よりも強い深紫外線を受光している場合の出力電圧Voutの時間変化を表す。図6Dは、図6Cの場合よりも強い深紫外線を受光している場合の出力電圧Voutの時間変化を表す。図6A〜図6Dから明らかなように、受光される深紫外線の強さが強いほど、単位時間tu当たりの出力電圧Voutの変化回数が多くなる。
【0022】
RFID64は、紫外線受光装置61によって少しでも深紫外線が受光された場合に、検出結果の送信を行っても良い。この場合、RFID64は、単位時間tu当たりの出力電圧Voutの変化が1度でも発生した場合に、検出結果の送信を行うように構成されても良い。
RFID64は、紫外線受光装置61によって所定時間継続して深紫外線が受光された場合に、検出結果の送信を行っても良い。この場合、RFID64は、出力電圧Voutの変化回数が1以上である単位時間tuが所定回数継続した場合に、検出結果の送信を行うように構成されても良い。
【0023】
RFID64は、紫外線受光装置61によって所定強度以上の深紫外線が受光された場合に、検出結果の送信を行っても良い。この場合、RFID64は、単位時間tu当たりの出力電圧Voutの変化回数が所定回数以上である場合に、検出結果の送信を行うように構成されても良い。
RFID64は、紫外線受光装置61によって所定強度以上の深紫外線が所定時間以上継続して受光された場合に、検出結果の送信を行っても良い。この場合、RFID64は、出力電圧Voutの変化回数が所定回数以上である単位時間tuが所定回数継続した場合に、検出結果の送信を行うように構成されても良い。
RFID64におけるこれらの判断は、RFID64に搭載されているマイクロコンピュータ等の情報処理ハードウェアが行う。
【0024】
次に、電源部63について説明する。
図7は、太陽電池を適用した場合の電源部63の構成を示す概略ブロック図である。
この図において、太陽電池63aは、太陽光を受けて電力を発生する。充電回路63bは、太陽電池63aが発生した電力をコンデンサ63cに充電する。コンデンサ63cは、充電回路63bからの電力を受けて充電し、昇降圧DC−DCコンバータ63dに電力を供給する。昇降圧DC−DCコンバータ63dは、コンデンサ63cからの電力を受けて、所定の電圧に昇圧または降圧し、負荷である駆動回路62及びRFID64に電力を供給する。
このように、電源部63は、太陽電池63aによって電力を発生して蓄電し、必要に応じて負荷に電力を供給する。
【0025】
図8は、無線タグ6の第一の動作例を表すフローチャートである。図9は、無線タグ6の第二の動作例を表すフローチャートである。第一の動作例では、無線タグ6は少しでも深紫外線を受光した場合にはセンサの検出結果を送信する。第二の動作例では、無線タグ6は所定の時間継続して深紫外線が受光された場合にセンサの検出結果を送信する。次に、図4の構成における無線タグ6の動作について図8及び図9のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0026】
まず、図8を用いて第一の動作例について説明する。電車1が無線タグ6に接近すると、電車1に取り付けられたリーダ2の紫外線発光装置21から発光された深紫外線を、無線タグ6の紫外線受光装置61が受光する(ステップS101)。この受光に応じて、駆動回路62から出力される出力電圧Voutが変化する(ステップS102)。出力電圧Voutの変化が動作命令としてRFID64に入力される。RFID64は、出力電圧Voutが変化するまで、センサの測定結果を送信せずに待機している(ステップS201−NO)。出力電圧Voutが変化すると(ステップS201−YES)、RFID64はセンサの検出結果をリーダ2に送信する(ステップS202)。その後、RFID64は、リーダ2から受信確認を受信するまで送信処理を継続する(ステップS203−NO)。リーダ2から受信確認を受信すると(ステップS203−YES)、RFID64は送信処理を停止し、待機状態となる(ステップS204)。
【0027】
次に、図9を用いて第二の動作例について説明する。なお、図9のフローチャートにおいて、紫外線受光装置61及び駆動回路62の動作は図8のフローチャートと同じであるため説明を省略する。RFID64は、まず変数nを初期化する(ステップS301)。図9では、RFID64は変数nに“0”を代入することによって初期化を行う。次に、RFID64は、単位時間tu内に出力電圧Voutの変化があったか否か判定する(ステップS302)。変化がない場合には(ステップS302−NO)、RFID64はステップS301の処理に戻って変数nを初期化する。
【0028】
一方、単位時間tu内に出力電圧Voutの変化があった場合(ステップS302−YES)、RFID64は変数nをインクリメントする(ステップS303)。例えば、RFID64は、変数nに対して“1”を加算することによってインクリメントする。次に、RFID64は、変数nの値が、予め設定されている定数Nよりも大きいか否か判定する(ステップS304)。変数nが定数N以下である場合(ステップS304−NO)、RFID64はステップS302の処理に戻って、次の単位時間tuに関して出力電圧Voutの変化があったか否か判定する。一方、変数nが定数Nより大きい場合(ステップS304−YES)、RFID64はセンサの検出結果をリーダ2に送信する(ステップS305)。その後、RFID64は、リーダ2から受信確認を受信するまで送信処理を継続する(ステップS306−NO)。リーダ2から受信確認を受信すると(ステップS306−YES)、RFID64は送信処理を停止し、待機状態となる(ステップS307)。
【0029】
以上のように、本実施形態の設備情報管理システムでは、無線タグ6は、リーダ2の紫外線発光装置21から起動命令を受けるまでは送信処理を実行せず、起動命令を受けた場合に送信処理を実行する。そのため、無線タグ6における消費電力を低減させることが可能となる。また、消費電力の低減により、無線タグ6に搭載する電源部63を小型化することが可能となる。さらに、消費電力の低減により、電源部63の寿命を長期化させることが可能となり、電源部63の交換や修理などのメンテナンスの手間を削減することが可能となる。また、無線タグ6の電源部63は蓄電を行うことができるため、電力の消費に伴う電池の交換が不要となり、メンテナンスの手間をさらに削減することが可能となる。
【0030】
また、起動命令の送信を深紫外線の発光によって行う場合には以下のような効果もある。深紫外線は自然界にはほとんど存在しない波長の光であるため、リーダ2以外の発光源から深紫外線が発せられることはほとんどない。そのため、無線タグ6において、リーダ2が接近していないにも拘わらず誤ってセンサの検出結果を送信してしまうことを防止できる。したがって、誤送信による電力の浪費を防止することが可能となる。赤外線よりも深紫外線の方が一般的に発光源の数は限られているため、上述したような誤送信防止の効果は、赤外線の発光により起動命令を送信する場合に比べて、深紫外線の発光により起動命令を送信する場合の方がより高い。
【0031】
<変形例>
図10は、電源部63の変形例の構成を示す概略ブロック図である。変形例における電源部63は、コンデンサ63cに代えて電気二重層キャパシタ63eを備える。電気二重層キャパシタ63eは、充電回路63bを介して受けた電力を蓄電し、昇降圧DC−DCコンバータ63dに出力する。電気二重層キャパシタ63eは、一般的に製品寿命が長い。そのため、このような構成により、電源部63の交換や修理などのメンテナンスの手間をさらに削減することが可能となる。
【0032】
なお、以上説明した実施形態において、移動体が電車、設備が線路である場合について説明したが、移動体が自動車、設備が道路であり、この道路に無線タグおよび各種センサを取り付けるようにしてもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1…電車、 2…リーダ、 3…き電線圧縮接続部、 6…無線タグ、 21…紫外線発光装置、 22…RFIDリーダ、 61…紫外線受光装置、 62…駆動回路、 63…電源部、 64…RFID
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象となる設備に沿って移動する移動体に取り付けられる通信端末と、当該通信端末に無線によって情報を送信する無線通信装置とを有する設備情報管理システムにおける無線通信装置であって、
前記設備に設けられるセンサの検出結果である設備情報を記憶する記憶部と、
前記通信装置の深紫外線発光装置から起動指示として深紫外線の信号を受信する深紫外線信号受信部と、
前記深紫外線信号受信部にて受信した前記深紫外線の信号に基づいて、前記記憶部に記憶された設備情報を当該通信端末に送信する送信部と、
を有する無線通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記深紫外線信号受信部によって所定の時間以上継続して前記深紫外線の信号を受信した場合に、前記送信部によって設備情報を前記通信端末に送信させることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
監視対象となる設備に沿って移動する移動体に取り付けられる通信端末と、当該通信端末に無線によって情報を送信する無線通信装置とを有する設備情報管理システムであって、
前記通信端末は、
前記無線通信装置から送信される設備情報を受信する受信部と、
起動指示として深紫外線の信号を送信する深紫外線発光装置と、を有し、
前記無線通信装置は、
前記設備に設けられるセンサの検出結果である設備情報を記憶する記憶部と、
前記通信装置の前記深紫外線発光装置から前記深紫外線の信号を受信する深紫外線信号受信部と、
前記深紫外線信号受信部にて受信した前記深紫外線の信号に基づいて、前記記憶部に記憶された設備情報を当該通信端末に送信する送信部と、
を有することを特徴とする設備情報管理システム。
【請求項4】
監視対象となる設備に沿って移動する移動体に取り付けられる通信端末と、当該通信端末に無線によって情報を送信する無線通信装置とを有する設備情報管理システムにおける無線通信装置の無線通信方法であって、
前記無線通信装置は、
前記通信装置の深紫外線発光装置から起動指示として深紫外線の信号を受信し、
受信した前記深紫外線の信号に基づいて、前記設備に設けられるセンサの検出結果である設備情報を記憶する記憶部から設備情報を読み出し、
読み出した設備情報を当該通信端末に送信する
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項1】
監視対象となる設備に沿って移動する移動体に取り付けられる通信端末と、当該通信端末に無線によって情報を送信する無線通信装置とを有する設備情報管理システムにおける無線通信装置であって、
前記設備に設けられるセンサの検出結果である設備情報を記憶する記憶部と、
前記通信装置の深紫外線発光装置から起動指示として深紫外線の信号を受信する深紫外線信号受信部と、
前記深紫外線信号受信部にて受信した前記深紫外線の信号に基づいて、前記記憶部に記憶された設備情報を当該通信端末に送信する送信部と、
を有する無線通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記深紫外線信号受信部によって所定の時間以上継続して前記深紫外線の信号を受信した場合に、前記送信部によって設備情報を前記通信端末に送信させることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
監視対象となる設備に沿って移動する移動体に取り付けられる通信端末と、当該通信端末に無線によって情報を送信する無線通信装置とを有する設備情報管理システムであって、
前記通信端末は、
前記無線通信装置から送信される設備情報を受信する受信部と、
起動指示として深紫外線の信号を送信する深紫外線発光装置と、を有し、
前記無線通信装置は、
前記設備に設けられるセンサの検出結果である設備情報を記憶する記憶部と、
前記通信装置の前記深紫外線発光装置から前記深紫外線の信号を受信する深紫外線信号受信部と、
前記深紫外線信号受信部にて受信した前記深紫外線の信号に基づいて、前記記憶部に記憶された設備情報を当該通信端末に送信する送信部と、
を有することを特徴とする設備情報管理システム。
【請求項4】
監視対象となる設備に沿って移動する移動体に取り付けられる通信端末と、当該通信端末に無線によって情報を送信する無線通信装置とを有する設備情報管理システムにおける無線通信装置の無線通信方法であって、
前記無線通信装置は、
前記通信装置の深紫外線発光装置から起動指示として深紫外線の信号を受信し、
受信した前記深紫外線の信号に基づいて、前記設備に設けられるセンサの検出結果である設備情報を記憶する記憶部から設備情報を読み出し、
読み出した設備情報を当該通信端末に送信する
ことを特徴とする無線通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−174176(P2012−174176A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38248(P2011−38248)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【Fターム(参考)】
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