説明

無線通信装置並びに電子機器

【課題】電波信号の送受信を行なうとともに、空間電波を効果的に活用することができる、優れた無線通信装置並びに電子機器を提供する。
【解決手段】第1のアンテナ素子101と第2のアンテナ素子102は、それぞれSPDTスイッチ103、104を介して無線ブロック105又はハーベスティング・ブロック106に択一的に接続される。無線ブロック105における通信速度に応じて、第1のアンテナ素子101及び第2のアンテナ素子102の各々に接続される無線ブロック105とハーベスティング・ブロック106の切り換えを行なうことにより、通信相手機器や周囲環境の電波を好適に回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、電波信号の送受信を行なう無線通信装置並びに電子機器に係り、特に、電波信号の送受信を行なうとともに、空間電波を効果的に活用する無線通信装置並びに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、数百MHzから数GHzの比較的高い周波数帯域を無線伝送に使用する無線伝送システムが各種普及している。例えば、2GHz帯や5GHz帯などを使用する無線LAN(Local Area Network)システムや、LTE(Long Term Evolution)や3G通信システム向けに、700MHz帯から2GHz帯を使用する無線通信装置や、無線通信機能を搭載した電子機器が開発され、実用化されている。
【0003】
また、複数のアンテナ素子を配置して、多重波によるフェージングを抑制するなどのダイバーシティ効果が得られることが広く知られている。例えば、電磁信号の送受信回路に給電ラインのネットワークにより接続されている第1及び第2の放射素子を少なくとも基板上に有する、放射ダイバーシティを伴う送信/受信アンテナにについて提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。
【0004】
他方、各社でエネルギー・ハーベスティングの応用に注力し始めている。例えば、消費電力が小さいセンサーやコントローラーを、商用電源やバッテリーではなく、環境エネルギーを利用して駆動することができる。無線通信の分野においても、環境発電の一環として、空間電波の活用が今後の課題とされている。
【0005】
環境発電におけるエネルギー源として、例えば太陽光、振動、熱、環境電磁波を挙げることができる。環境発電を利用した無線通信装置や無線通信システムについていくつかの提案がなされている(例えば、特許文献2〜4を参照のこと)。また、アンテナが空間でエネルギーを受け取って、その一部を獲得するエネルギー・ハーベスティング回路について提案がなされている(例えば、特許文献5を参照のこと)。
【0006】
しかしながら、電子機器から放射される電力は、利用されることなく無駄に捨て去られているのが実情である。また、通信相手機器や周囲環境の電波をアンテナで受信し、整流して回収するのが一般的である。アンテナを無線通信とハーベスティングで共用する場合、アンテナをハーベスティングに利用できるかどうかは、通信状況や通信機器の利用形態などによって変化するが、アンテナの利用を動的に制御する技術はあまり見受けられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2009−514292号公報
【特許文献2】特開2005−182643号公報
【特許文献3】特開2004−355164号公報
【特許文献4】特開2002−118480号公報
【特許文献5】特表2005−536150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書で開示する技術の目的は、電波信号の送受信を行なうとともに、空間電波を効果的に活用することができる、優れた無線通信装置並びに電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の技術は、
少なくとも1本の電力回収兼用アンテナと、
前記電力回収兼用アンテナで送受信する無線信号を処理する無線ブロックと、
前記電力回収兼用アンテナの受信信号から電力を回収する電力回収ブロックと、
前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック又は前記電力回収ブロックに接続切換する接続切換部と、
を具備し、
前記無線ブロックが所望する通信速度に達するように、前記接続切換部が前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック並びに前記電力回収ブロックに接続するデューティー比を設定する、
無線通信装置である。
【0010】
本願の請求項2に記載の技術によれば、請求項1に記載の無線通信装置は、前記デューティー比の設定限界においても前記無線ブロックが前記所望する通信速度に達しないときには、前記接続切換部が前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロックへの接続に固定するように構成されている。
【0011】
本願の請求項3に記載の技術によれば、請求項1に記載の無線通信装置は、前記電力回収兼用アンテナを複数本備えている。
【0012】
本願の請求項4に記載の技術によれば、請求項3に記載の無線通信装置は、前記デューティー比の設定限界においても前記無線ブロックが前記所望する通信速度に達しないときには、前記複数の電力回収兼用アンテナのうち前記接続切換部が前記無線ブロックへの接続に固定する本数を順次増やしていくように構成されている。
【0013】
本願の請求項5に記載の技術によれば、請求項4に記載の無線通信装置は、前記デューティー比の設定限界においても前記無線ブロックが前記所望する通信速度に達しないときには、前記複数の電力回収兼用アンテナのうち前記接続切換部が前記無線ブロックへの接続に固定するアンテナを変更するように構成されている。
【0014】
本願の請求項6に記載の技術によれば、請求項5に記載の無線通信装置の無線ブロックは、前記接続切換部が複数本の前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロックに接続しているときにはMIMOで通信処理を行ない、1本の前記電力回収兼用アンテナのみを前記無線ブロックに接続しているときはSISOで通信処理を行ない、前記電力回収編用アンテナがまったく前記無線ブロックに接続されないときには通信処理を停止するように構成されている。
【0015】
本願の請求項7に記載の技術によれば、請求項1に記載の無線通信装置はも前記接続切換部を介さず前記無線ブロックに直接接続される少なくとも1本の通信専用アンテナをさらに備えている。
【0016】
本願の請求項8に記載の技術によれば、請求項7に記載の無線通信装置は、前記デューティー比の設定限界においても前記無線ブロックが前記所望する通信速度に達しないときには、前記接続切換部が前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロックへの接続に固定するように構成されている。
【0017】
本願の請求項9に記載の技術によれば、請求項7に記載の無線通信装置の無線ブロックは、前記接続切換部が少なくとも1本の前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロックに接続しているときには前記通信専用アンテナとともに用いてMIMOで通信処理を行ない、1本の前記通信専用アンテナのみが前記無線ブロックに接続されているときはSISOで通信処理を行なうように構成されている。
【0018】
また、本願の請求項10に記載の技術は、
それぞれ電力回収兼用アンテナを有して前記電力回収兼用アンテナで送受信する無線信号を処理する複数の無線ブロックと、
前記の各無線ブロックが有する前記電力回収兼用アンテナの受信信号から電力を回収する電力回収ブロックと、
前記複数の無線ブロックのうちいずれの前記電力回収兼用アンテナ用いて前記前記電力回収ブロックで電力の回収を行なうかを選択する選択部と、
を具備する無線通信装置である。
【0019】
本願の請求項11に記載の技術によれば、請求項10に記載の無線通信装置は、前記複数の無線ブロックが互いに異なる無線周波数を利用するように構成されている。
【0020】
本願の請求項12に記載の技術によれば、請求項10に記載の無線通信装置の選択部は、前記複数の無線ブロックのそれぞれの受信信号強度に基づいて、前記複数の無線ブロックのうちいずれの前記電力回収兼用アンテナ用いて前記前記電力回収ブロックで電力の回収を行なうかを選択するように構成されている。
【0021】
本願の請求項13に記載の技術によれば、請求項10に記載の無線通信装置において、前記複数の無線ブロックはそれぞれ、自分が有する前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック又は前記選択部を介して前記電力回収ブロックに接続切換する接続切換部を備えている。
【0022】
本願の請求項14に記載の技術によれば、請求項13に記載の無線通信装置は、前記選択部によって選択された前記無線ブロックでは、所望する通信速度に達するように、前記接続切換部が前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック並びに前記電力回収ブロックに接続するデューティー比を設定するように構成されている。
【0023】
本願の請求項15に記載の技術によれば、請求項14に記載の無線通信装置は、前記選択部によって選択された前記無線ブロックでは、前記デューティー比の設定限界においても前記所望する通信速度に達しないときには、前記接続切換部が前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロックへの接続に固定するように構成されている。
【0024】
本願の請求項16に記載の技術によれば、請求項10に記載の無線通信装置において、前記複数の無線ブロックのうち少なくとも一部は、前記接続切換部を介さず自分に直接接続される少なくとも1本の通信専用アンテナをさらに備えている。
【0025】
また、本願の請求項17に記載の技術は、
それぞれ無線信号を処理する複数の無線ブロックと、
前記複数の無線ブロックの各々に設けられた電力回収兼用アンテナと、
前記の各無線ブロックが有する前記電力回収兼用アンテナの受信信号から電力を回収する電力回収ブロックと、
前記複数の無線ブロックの各々に設けられた、前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック又は前記電力回収ブロックに接続切換する接続切換部と、
を具備する無線通信装置である。
【0026】
本願の請求項18に記載の技術によれば、請求項17に記載の無線通信装置において、前記複数の無線ブロックはそれぞれ、自分が有する前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック又は前記選択部を介して前記電力回収ブロックに接続切換する接続切換部を備えている。
【0027】
本願の請求項19に記載の技術によれば、請求項17に記載の無線通信装置において、前記複数の無線ブロックはそれぞれ、自分が有する前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック又は前記選択部を介して前記電力回収ブロックに接続切換する接続切換部を備え前記複数の無線ブロックの各々に設けられた前記接続切換部はそれぞれ、前記無線ブロックで所望する通信速度に達するように前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック並びに前記電力回収ブロックに接続するデューティー比を設定するように構成されている。
【0028】
本願の請求項20に記載の技術によれば、請求項19に記載の無線通信装置において、前記複数の無線ブロックの各々に設けられた前記接続切換部はそれぞれ、前記デューティー比の設定限界においても前記所望する通信速度に達しないときには、前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロックへの接続に固定するように構成されている。
【0029】
本願の請求項21に記載の技術によれば、請求項17に記載の無線通信装置が備える前記複数の無線ブロックのうち少なくとも一部は、前記接続切換部を介さず自分に直接接続される少なくとも1本の通信専用アンテナをさらに備えている。
【0030】
また、本願の請求項22に記載の技術は、
少なくとも1本の電力回収兼用アンテナと、
前記電力回収兼用アンテナで送受信する無線信号を処理する無線ブロックと、
前記電力回収兼用アンテナの受信信号から電力を回収する電力回収ブロックと、
前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック又は前記電力回収ブロックに接続切換する接続切換部と、
を具備し、
前記無線ブロックが所望する通信速度に達するように、前記接続切換部が前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック並びに前記電力回収ブロックに接続するデューティー比を設定する、
電子機器である。
【0031】
また、本願の請求項23に記載の技術は、
それぞれ電力回収兼用アンテナを有して前記電力回収兼用アンテナで送受信する無線信号を処理する複数の無線ブロックと、
前記の各無線ブロックが有する前記電力回収兼用アンテナの受信信号から電力を回収する電力回収ブロックと、
前記複数の無線ブロックのうちいずれの前記電力回収兼用アンテナ用いて前記前記電力回収ブロックで電力の回収を行なうかを選択する選択部と、
を具備する電子機器である。
【0032】
また、本願の請求項24に記載の技術は、
それぞれ無線信号を処理する複数の無線ブロックと、
前記複数の無線ブロックの各々に設けられた電力回収兼用アンテナと、
前記の各無線ブロックが有する前記電力回収兼用アンテナの受信信号から電力を回収する電力回収ブロックと、
前記複数の無線ブロックの各々に設けられた、前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック又は前記電力回収ブロックに接続切換する接続切換部と、
を具備する電子機器である。
【発明の効果】
【0033】
本明細書で開示する技術によれば、電波信号の送受信を行なうとともに、空間電波を効果的に活用することができる、優れた無線通信装置並びに電子機器を提供することができる。
【0034】
また、本明細書で開示する技術によれば、通信速度に応じてアンテナに接続される通信回路とハーベスティング回路の切り換えを行なうことで、通信相手機器や周囲環境の電波を好適に回収して利用することができる、優れた無線通信装置並びに電子機器を提供することができる。
【0035】
また、本明細書で開示する技術によれば、無線LAN、WiMAX、WWAN、Bluetooth通信、RFID、WirelessHDなど複数の無線システムのうち強度が最大のものを判別し選択して、電波を回収して利用することができる、優れた無線通信装置並びに電子機器を提供することができる。
【0036】
本明細書で開示する技術は、電子ブックやノートブックPC(Personal Computer)、タブレット、コミュニケーターなどの情報端末に適用することができ、情報端末の利用形態などに応じて通信とハーベスティングの動作を切り換えて、空間の電波エネルギー資源を効果的に活用することができる。また、情報端末がアクセスポイントや基地局に近い状況の場合には、特に大きな電力回収の効果が期待できる。
【0037】
本明細書で開示する技術のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、本明細書で開示する技術の第1の実施形態に係る無線通信装置100の構成を模式的に示した図である。
【図2】図2は、無線通信装置100の第1のハーベスティング・モードにおける動作手順を示したフローチャートである。
【図3】図3は、無線通信装置100の第2のハーベスティング・モードにおける動作手順を示したフローチャートである。
【図4】図4は、本明細書で開示する技術の第2の実施形態に係る無線通信装置400の構成を模式的に示した図である。
【図5】図5は、無線通信装置400の第3のハーベスティング・モードにおける動作手順を示したフローチャートである。
【図6】図6は、本明細書で開示する技術の第3の実施形態に係る無線通信装置600の構成を模式的に示した図である。
【図7】図7は、無線通信装置600のハーベスティング・モードにおける動作手順を示したフローチャートである。
【図8】図8は、本明細書で開示する技術の第4の実施形態に係る無線通信装置800の構成を模式的に示した図である。
【図9】図9は、無線通信装置800がハーベスティングを行なう際の動作手順を示したフローチャートである。
【図10】図10は、インピーダンス整合部の構成例を示した図である。
【図11】図11は、本明細書で開示する技術の第5の実施形態に係る無線通信装置1100の構成を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照しながら本明細書で開示する技術の実施形態について詳細に説明する。
【0040】
図1には、本明細書で開示する技術の第1の実施形態に係る無線通信装置100の構成を模式的に示している。
【0041】
図示の無線通信装置100は、第1のアンテナ素子101と第2のアンテナ素子102からなるダイバーシティー・アンテナを備えている。図示の構成例では、第1のアンテナ素子101と第2のアンテナ素子102は、ともに無線通信とハーベスティング兼用のアンテナであり、それぞれSPDT(Single Pole Double Throw:単極双投)スイッチ103、104を介して無線ブロック105又はハーベスティング・ブロック106に択一的に接続される。具体的には、各SPDTスイッチ103、104の「1」側の端子に無線ブロック105が接続され、「2」側の端子にハーベスティング・ブロック106が接続されている。また、各SPDTスイッチ103、104の「2」側の端子とハーベスティング・ブロック106間の各伝送信号線路上には、インピーダンス整合部MN(Matching Network)1、MN2がそれぞれ挿入されている。
【0042】
無線ブロック105は、無線LAN、WiMAX、WWAN、Bluetooth通信、RFID、WirelessHDなどの無線システムにおける無線動作を行なう回路モジュールからなる。また、ハーベスティング・ブロック106は、入力信号を整流する整流部(レクティファイヤー、ブースター)106Aと、整流部106Aからの出力をDC電源として回収する電力回収部106Bを備えている。
【0043】
SPDTスイッチ103の「1」側の端子をイネーブルにすると、無線ブロック105からの送信電力が第1のアンテナ素子101に直接給電されて、無線信号が空中に放出される。また、第1のアンテナ素子101の受信信号は、無線ブロック105に供給され、無線ブロック105内では受信処理が行なわれる。一方、SPDTスイッチ103の「2」側の端子をイネーブルにすると、第1のアンテナ素子101の受信信号は、MN1でインピーダンスの整合がとられた後、ハーベスティング・ブロック106に入力され、整流して電力として回収される。
【0044】
また、SPDTスイッチ104の「1」側の端子をイネーブルにすると、無線ブロック105からの送信電力が第2のアンテナ素子102に直接給電されて、無線信号が空中に放出される。また、第2のアンテナ素子102の受信信号は、無線ブロック105に供給され、無線ブロック105内では受信処理が行なわれる。双方のSPDTスイッチ103、104の「1」側の端子がイネーブルにされているとき、第1のアンテナ素子101と第2のアンテナ素子102はダイバーシティー・アンテナとして作用して、無線ブロック105における無線動作の利用に供される。一方、SPDTスイッチ104の「2」側の端子をイネーブルにすると、第2のアンテナ素子102の受信信号は、MN2でインピーダンスの整合がとられた後、ハーベスティング・ブロック106に入力され、整流して電力として回収される。
【0045】
無線通信装置100は、無線ブロック105における通信速度に応じて、第1のアンテナ素子101及び第2のアンテナ素子102の各々に接続される無線ブロック105とハーベスティング・ブロック106の切り換えを行なうことにより、通信相手機器や周囲環境の電波を好適に回収して利用することができる。
【0046】
無線通信装置100におけるハーベスティング方法として、第1のアンテナ素子101及び第2のアンテナ素子102の2本同時に無線動作とハーベスティングの切り換えを行なう「第1のハーベスティング・モード」と、第1のアンテナ素子101又は第2のアンテナ素子102のうちいずれか1本のみ無線動作とハーベスティングの切り換えを行なう「第2のハーベスティング・モード」を挙げることができる。
【0047】
図2には、無線通信装置100の第1のハーベスティング・モードにおける動作手順をフローチャートの形式で示している。
【0048】
まず、各SPDTスイッチ103、104の「1」側の端子をイネーブルにするデューティー比を設定する(ステップS201)。
【0049】
そして、設定されたデューティー比に従って各SPDTスイッチ103、104のスイッチングを同時に行ない、第1のアンテナ素子101及び第2のアンテナ素子102の2本を同時に用いた通信動作及びハーベスティングを交互に行なう(ステップS202)。
【0050】
各SPDTスイッチ103、104の「1」側の端子をイネーブルにすると、無線ブロック105は、第1のアンテナ素子101及び第2のアンテナ素子102の2本を同時に利用して通信動作を行なう。また、各SPDTスイッチ103、104の「2」側の端子をイネーブルにすると、ハーベスティング・ブロック106は、ハーベスティング、すなわち第1のアンテナ素子101及び第2のアンテナ素子102の2本からの受信信号から電力を回収する。
【0051】
なお、通信時は、常にMIMO(Multiple Input Multiple Output)で通信動作が行なわれる。一方のアンテナ素子がハーベスティング側に切り換わったときには通信は切断となる。
【0052】
次いで、無線ブロック105の通信動作時に、一定時間ウィンドウでの平均の通信速度を計測する。そして、第1のアンテナ素子101及び第2のアンテナ素子102の2本を同時に通信動作及びハーベスティングを交互に行なっても、十分な通信速度が得られているかどうかをチェックする(ステップS203)。ここで、十分な通信速度が得られている場合には(ステップS203のYes)、ステップS202に戻り、設定されたデューティー比のままで、第1のアンテナ素子101及び第2のアンテナ素子102の2本を同時に用いた通信動作及びハーベスティングを交互に行なう。
【0053】
他方、第1のアンテナ素子101及び第2のアンテナ素子102の2本を同時に通信動作及びハーベスティングを交互に行なうと十分な通信速度が得られない場合には(ステップS203のNo)、次いで、現在設定しているデューティー比が設定限界か否かをチェックする(ステップS204)。デューティー比の設定限界まで達していなければ(ステップS204のNo)、ステップS201に戻り、通信動作のデューティー比を1段階高く設定し直した後、引き続き、第1のアンテナ素子101及び第2のアンテナ素子102の2本を同時に用いた通信動作及びハーベスティングを交互に行なう(ステップS202)。
【0054】
また、デューティー比の設定限界に達しても通信速度が十分でないときには(ステップS204のYes)、第2のハーベスティング・モードに遷移して、第1のアンテナ素子101又は第2のアンテナ素子102のいずれか一方のアンテナで常に通信動作を行なうことで、通信速度の向上を図る(ステップS205)。あるいは、ハーベスティングを停止し、第1のアンテナ素子101及び第2のアンテナ素子102の2本を同時に通信に用いて、通信速度の向上を図る。ハーベスティングを停止するときには、以降は各SPDTスイッチ103、104をともに「1」側の端子に固定する。
【0055】
図3には、無線通信装置100の第2のハーベスティング・モードにおける動作手順をフローチャートの形式で示している。
【0056】
まず、第1のアンテナ素子101又は第2のアンテナ素子102のうちいずれについて無線動作とハーベスティングの切り換えを行なうのか、選択を行なう(ステップS301)。例えば、第1のアンテナ素子101又は第2のアンテナ素子102のうち通信を重視しない方を選択する。以下では、便宜上、第1のアンテナ素子101を選択したものとして説明する。
【0057】
次いで、SPDTスイッチ103の「1」側の端子をイネーブルにするデューティー比を設定する(ステップS302)。そして、設定されたデューティー比に従ってSPDTスイッチ103のスイッチングを行ない、第1のアンテナ素子101について通信動作及びハーベスティングを交互に行なう(ステップS303)。
【0058】
SPDTスイッチ103の「1」側の端子をイネーブルにすると、無線ブロック105は、第1のアンテナ素子101及び第2のアンテナ素子102の2本を同時に利用して通信動作を行なう。また、SPDTスイッチ103の「2」側の端子をイネーブルにすると、ハーベスティング・ブロック106は、ハーベスティング、すなわち第1のアンテナ素子101の受信信号から電力を回収する。
【0059】
なお、第2のハーベスティング・モードでの通信時はMIMOで、ハーベスティング側に切り替わったときにはSISO(Single Input Single Output)で、それぞれ通信動作が行なわれ、通信自体は持続される。
【0060】
次いで、無線ブロック105の通信動作時に、一定時間ウィンドウでの平均の通信速度を計測する。そして、第1のアンテナ素子101について通信動作及びハーベスティングを交互に行なっても、十分な通信速度が得られているかどうかをチェックする(ステップS304)。ここで、十分な通信速度が得られている場合には(ステップS304のYes)、ステップS303に戻り、設定されたデューティー比のままで、第1のアンテナ素子101について通信動作及びハーベスティングを交互に行なう。
【0061】
他方、第1のアンテナ素子101について通信動作及びハーベスティングを交互に行なうと十分な通信速度が得られない場合には(ステップS304のNo)、次いで、現在設定しているデューティー比が設定限界か否かをチェックする(ステップS305)。デューティー比の設定限界まで達していなければ(ステップS305のNo)、ステップS302に戻り、通信動作のデューティー比を1段階高く設定し直した後、引き続き、第1のアンテナ素子101について通信動作及びハーベスティングを交互に行なう(ステップS303)。
【0062】
また、デューティー比の設定限界に達しても通信速度が十分でないときには(ステップS3054のYes)、通信を重視する第2のアンテナ素子102を選択し直してハーベスティングを行なうことができないかどうかをチェックする(ステップS306)。
【0063】
第2のアンテナ素子102についてハーベスティングを行なうことができるときには(ステップS306のNo)、ステップS301に戻り、今度は第2のアンテナ素子102を選択して、無線動作とハーベスティングの切り換えを行なう(ステップS302〜S305)。
【0064】
第2のアンテナ素子102に選択し直す、すなわちハーベスティングを行なうアンテナを逆にしても、通信速度が十分でないときには(ステップS306のYes)、ハーベスティングを停止し、第1のアンテナ素子101及び第2のアンテナ素子102の2本を同時に通信に用いて、通信速度の向上を図る。ハーベスティングを停止するときには、以降は各SPDTスイッチ103、104をともに「1」側の端子に固定する。
【0065】
また、図4には、本明細書で開示する技術の第2の実施形態に係る無線通信装置400の構成を模式的に示している。
【0066】
図示の無線通信装置400は、第1のアンテナ素子401と第2のアンテナ素子402からなるダイバーシティー・アンテナを備えている。第1のアンテナ素子401は、無線ブロック405にのみ接続され、通信専用に用いられる。一方、第2のアンテナ素子402は、無線通信とハーベスティング兼用であり、SPDTスイッチ404を介して無線ブロック405又はハーベスティング・ブロック406に択一的に接続される。具体的には、SPDTスイッチ404の「1」側の端子に無線ブロック405が接続され、「2」側の端子にハーベスティング・ブロック406が接続されている。また、SPDTスイッチ404の「2」側の端子とハーベスティング・ブロック406間の各伝送信号線路上には、インピーダンス整合部MN2が挿入されている。
【0067】
無線ブロック405は、無線LAN、WiMAX、WWAN、Bluetooth通信、RFID、WirelessHDなどの無線システムにおける無線動作を行なう回路モジュールからなる。また、ハーベスティング・ブロック406は、入力信号を整流する整流部406Aと、整流部406Aからの出力をDC電源として回収する電力回収部406Bを備えている。
【0068】
SPDTスイッチ404の「1」側の端子をイネーブルにすると、無線ブロック405からの送信電力が第2のアンテナ素子402に直接給電されて、無線信号が空中に放出される。また、第2のアンテナ素子402の受信信号は、無線ブロック405に供給され、無線ブロック405内では受信処理が行なわれる。このとき、第1のアンテナ素子401と第2のアンテナ素子402はダイバーシティー・アンテナとして作用して、無線ブロック105における無線動作の利用に供される。一方、SPDTスイッチ404の「2」側の端子をイネーブルにすると、第2のアンテナ素子402の受信信号は、MN2でインピーダンスの整合がとられた後、ハーベスティング・ブロック406に入力され、整流して電力として回収される。
【0069】
無線通信装置400は、無線ブロック405における通信速度に応じて、第2のアンテナ素子402に接続される無線ブロック405とハーベスティング・ブロック406の切り換えを行なうことにより、通信相手機器や周囲環境の電波を好適に回収して利用することができる。
【0070】
無線通信装置400におけるハーベスティング方法として、第2のアンテナ素子402のみ無線動作とハーベスティングの切り換えを行なう「第3のハーベスティング・モード」を挙げることができる。
【0071】
図5には、無線通信装置400の第3のハーベスティング・モードにおける動作手順をフローチャートの形式で示している。
【0072】
まず、SPDTスイッチ404の「1」側の端子をイネーブルにするデューティー比を設定する(ステップS501)。
【0073】
そして、設定されたデューティー比に従ってSPDTスイッチ404のスイッチングを行ない、第2のアンテナ素子402について通信動作及びハーベスティングを交互に行なう(ステップS502)。
【0074】
SPDTスイッチ404の「1」側の端子をイネーブルにすると、無線ブロック405は、第1のアンテナ素子401及び第2のアンテナ素子402の2本を同時に利用して通信動作を行なう。また、SPDTスイッチ404の「2」側の端子をイネーブルにすると、ハーベスティング・ブロック406は、ハーベスティング、すなわち第2のアンテナ素子402の受信信号から電力を回収する。
【0075】
なお、第2のアンテナ素子402の通信時はMIMOで、ハーベスティング側に切り替わったときにはSISOで、それぞれ通信動作が行なわれ、通信自体は持続される。
【0076】
次いで、無線ブロック405の通信動作時に、一定時間ウィンドウでの平均の通信速度を計測する。そして、第2のアンテナ素子402について通信動作及びハーベスティングを交互に行なっても、十分な通信速度が得られているかどうかをチェックする(ステップS503)。ここで、十分な通信速度が得られている場合には(ステップS503のYes)、ステップS502に戻り、設定されたデューティー比のままで、第2のアンテナ素子402について通信動作及びハーベスティングを交互に行なう。
【0077】
他方、第2のアンテナ素子402について通信動作及びハーベスティングを交互に行なうと十分な通信速度が得られない場合には(ステップS503のNo)、次いで、現在設定しているデューティー比が設定限界か否かをチェックする(ステップS504)。デューティー比の設定限界まで達していなければ(ステップS504のNo)、ステップS501に戻り、通信動作のデューティー比を1段階高く設定し直した後、引き続き、第2のアンテナ素子402について通信動作及びハーベスティングを交互に行なう(ステップS502)。
【0078】
また、デューティー比の設定限界に達しても通信速度が十分でないときには(ステップS504のYes)、ハーベスティングを停止し、第1のアンテナ素子401及び第2のアンテナ素子402の2本を同時に通信に用いて、通信速度の向上を図る。ハーベスティングを停止するときには、以降はSPDTスイッチ404を「1」側の端子に固定する。
【0079】
また、図6には、本明細書で開示する技術の第3の実施形態に係る無線通信装置600の構成を模式的に示している。
【0080】
図示の無線通信装置600は、1本のアンテナ素子601のみを備えている。アンテナ素子601は、無線通信とハーベスティング兼用であり、SPDTスイッチ603を介して無線ブロック605又はハーベスティング・ブロック606に択一的に接続される。具体的には、SPDTスイッチ603の「1」側の端子に無線ブロック605が接続され、「2」側の端子にハーベスティング・ブロック606が接続されている。また、SPDTスイッチ603の「2」側の端子とハーベスティング・ブロック606間の各伝送信号線路上には、インピーダンス整合部MN1が挿入されている。
【0081】
無線ブロック605は、無線LAN、WiMAX、WWAN、Bluetooth通信、RFID、WirelessHDなどの無線システムにおける無線動作を行なう回路モジュールからなる。また、ハーベスティング・ブロック606は、入力信号を整流する整流部606Aと、整流部606Aからの出力をDC電源として回収する電力回収部606Bを備えている。
【0082】
SPDTスイッチ603の「1」側の端子をイネーブルにすると、無線ブロック605からの送信電力がアンテナ素子601に直接給電されて、無線信号が空中に放出される。また、アンテナ素子601の受信信号は、無線ブロック605に供給され、無線ブロック605内では受信処理が行なわれる。一方、SPDTスイッチ603の「2」側の端子をイネーブルにすると、アンテナ素子601の受信信号は、MN1でインピーダンスの整合がとられた後、ハーベスティング・ブロック606に入力され、整流して電力として回収される。
【0083】
無線通信装置600は、無線ブロック605における通信速度に応じて、アンテナ素子601に接続される無線ブロック605とハーベスティング・ブロック606の切り換えを行なうことにより、通信相手機器や周囲環境の電波を好適に回収して利用することができる。
【0084】
無線通信装置600におけるハーベスティング方法として、アンテナ素子601の無線動作とハーベスティングの切り換えを行なうことであり、上記の第1のハーベスティング・モードに類似する。
【0085】
図7には、無線通信装置600のハーベスティング・モードにおける動作手順をフローチャートの形式で示している。
【0086】
まず、SPDTスイッチ603の「1」側の端子をイネーブルにするデューティー比を設定する(ステップS701)。
【0087】
そして、設定されたデューティー比に従ってSPDTスイッチ603のスイッチングを行ない、アンテナ素子601について通信動作及びハーベスティングを交互に行なう(ステップS702)。
【0088】
SPDTスイッチ603の「1」側の端子をイネーブルにすると、無線ブロック605は、アンテナ素子601を利用して通信動作を行なう。また、SPDTスイッチ603の「2」側の端子をイネーブルにすると、ハーベスティング・ブロック606は、ハーベスティング、アンテナ素子601の受信信号から電力を回収する。
【0089】
なお、通信時は、常にSISOで通信動作が行なわれる。アンテナ素子601がハーベスティング側に切り換わったときには通信は切断となる。
【0090】
次いで、無線ブロック605の通信動作時に、一定時間ウィンドウでの平均の通信速度を計測する。そして、アンテナ素子601について通信動作及びハーベスティングを交互に行なっても、十分な通信速度が得られているかどうかをチェックする(ステップS703)。ここで、十分な通信速度が得られている場合には(ステップS703のYes)、ステップS702に戻り、設定されたデューティー比のままで、アンテナ素子601について通信動作及びハーベスティングを交互に行なう。
【0091】
他方、アンテナ素子601について通信動作及びハーベスティングを交互に行なうと十分な通信速度が得られない場合には(ステップS703のNo)、次いで、現在設定しているデューティー比が設定限界か否かをチェックする(ステップS704)。デューティー比の設定限界まで達していなければ(ステップS704のNo)、ステップS701に戻り、通信動作のデューティー比を1段階高く設定し直した後、引き続き、アンテナ素子601について通信動作及びハーベスティングを交互に行なう(ステップS702)。
【0092】
また、デューティー比の設定限界に達しても通信速度が十分でないときには(ステップS704のYes)、ハーベスティングを停止して、通信速度の向上を図る。ハーベスティングを停止するときには、以降はSPDTスイッチ603を「1」側の端子に固定する。
【0093】
また、図8には、本明細書で開示する技術の第4の実施形態に係る無線通信装置800の構成を模式的に示している。
【0094】
図示の無線通信装置800は、互いに異なる無線周波数を利用する複数の無線ブロック801〜807を備えている。ノートブックPC(Personal Computer)を始め、1台の電子機器が複数の無線ブロックを搭載することは一般的となりつつある。各無線ブロック801〜807は、図4に示した実施形態と同様に、それぞれ2本のアンテナ素子を有し、そのうち1本を通信専用とし、他の1本を通信動作及びハーベスティングを交互に行なえるように構成されている。
【0095】
第1の無線ブロック801は、2.4GHz帯を使用する無線LANシステムにおける無線動作を行なう回路モジュールである。第1の無線ブロック801は、2本のアンテナ素子811、812を有している。一方のアンテナ素子811は、第1の無線ブロック801に直接接続され、通信専用に用いられる。他方のアンテナ素子812は、無線通信とハーベスティング兼用であり、SPDTスイッチ813を介して第1の無線ブロック801又はSP7T(Single Pole 7 Throw:単極7投)スイッチ808に択一的に接続される。具体的には、SPDTスイッチ813の「1」側の端子に第1の無線ブロック801が接続され、「2」側の端子にSP7Tスイッチ808の「1」側の端子に接続されている。また、SPDTスイッチ813の「2」側の端子とSP7Tスイッチ808間の各伝送信号線路上には、インピーダンス整合部MN1が挿入されている。
【0096】
第2の無線ブロック802は、5GHz帯を使用する無線LANシステムにおける無線動作を行なう回路モジュールである。第2の無線ブロック802は、2本のアンテナ素子821、822を有している。一方のアンテナ素子821は、第2の無線ブロック802に直接接続され、通信専用に用いられる。他方のアンテナ素子822は、無線通信とハーベスティング兼用であり、SPDTスイッチ823を介して第2の無線ブロック802又はSP7Tスイッチ808に択一的に接続される。具体的には、SPDTスイッチ823の「1」側の端子に第2の無線ブロック802が接続され、「2」側の端子にSP7Tスイッチ808の「2」側の端子に接続されている。また、SPDTスイッチ823の「2」側の端子とSP7Tスイッチ808間の各伝送信号線路上には、インピーダンス整合部MN2が挿入されている。
【0097】
第3の無線ブロック803は、2.7GHz帯を使用するWiMAXシステムにおける無線動作を行なう回路モジュールである。第3の無線ブロック803は、2本のアンテナ素子831、832を有している。一方のアンテナ素子831は、第3の無線ブロック803に直接接続され、通信専用に用いられる。他方のアンテナ素子832は、無線通信とハーベスティング兼用であり、SPDTスイッチ833を介して第3の無線ブロック803又はSP7Tスイッチ808に択一的に接続される。具体的には、SPDTスイッチ833の「1」側の端子に第3の無線ブロック803が接続され、「2」側の端子にSP7Tスイッチ808の「3」側の端子に接続されている。また、SPDTスイッチ833の「2」側の端子とSP7Tスイッチ808間の各伝送信号線路上には、インピーダンス整合部MN3が挿入されている。
【0098】
第4の無線ブロック804は、700、800、900,1700、1800、2100MHz帯を使用するLTE(Long Term Evolution)、3Gシステムにおける無線動作を行なう回路モジュールである。第4の無線ブロック804は、2本のアンテナ素子841、842を有している。一方のアンテナ素子841は、第4の無線ブロック804に直接接続され、通信専用に用いられる。他方のアンテナ素子842は、無線通信とハーベスティング兼用であり、SPDTスイッチ843を介して第4の無線ブロック804又はSP7Tスイッチ808に択一的に接続される。具体的には、SPDTスイッチ843の「1」側の端子に第4の無線ブロック804が接続され、「2」側の端子にSP7Tスイッチ808の「4」側の端子に接続されている。また、SPDTスイッチ843の「2」側の端子とSP7Tスイッチ808間の各伝送信号線路上には、インピーダンス整合部MN4が挿入されている。
【0099】
第5の無線ブロック805は、950MHz帯を使用するRFIDシステムにおける無線動作を行なう回路モジュールである。第5の無線ブロック805は、2本のアンテナ素子851、852を有している。一方のアンテナ素子851は、第5の無線ブロック805に直接接続され、通信専用に用いられる。他方のアンテナ素子852は、無線通信とハーベスティング兼用であり、SPDTスイッチ853を介して第5の無線ブロック805又はSP7Tスイッチ808に択一的に接続される。具体的には、SPDTスイッチ853の「1」側の端子に第5の無線ブロック805が接続され、「2」側の端子にSP7Tスイッチ808の「5」側の端子に接続されている。また、SPDTスイッチ853の「2」側の端子とSP7Tスイッチ808間の各伝送信号線路上には、インピーダンス整合部MN5が挿入されている。
【0100】
第6の無線ブロック806は、60GHz帯を使用するWirelessHDシステムにおける無線動作を行なう回路モジュールである。第6の無線ブロック806は、2本のアンテナ素子861、862を有している。一方のアンテナ素子861は、第6の無線ブロック806に直接接続され、通信専用に用いられる。他方のアンテナ素子862は、無線通信とハーベスティング兼用であり、SPDTスイッチ863を介して第6の無線ブロック806又はSP7Tスイッチ808に択一的に接続される。具体的には、SPDTスイッチ863の「1」側の端子に第6の無線ブロック806が接続され、「2」側の端子にSP7Tスイッチ808の「6」側の端子に接続されている。また、SPDTスイッチ863の「2」側の端子とSP7Tスイッチ808間の各伝送信号線路上には、インピーダンス整合部MN6が挿入されている。
【0101】
第7の無線ブロック807は、2.4GHz帯を使用するBletooth通信システム(若しくはその他の無線通信システム)における無線動作を行なう回路モジュールである。第7の無線ブロック807は、2本のアンテナ素子871、872を有している。一方のアンテナ素子871は、第7の無線ブロック807に直接接続され、通信専用に用いられる。他方のアンテナ素子872は、無線通信とハーベスティング兼用であり、SPDTスイッチ873を介して第7の無線ブロック807又はSP7Tスイッチ808に択一的に接続される。具体的には、SPDTスイッチ873の「1」側の端子に第7の無線ブロック807が接続され、「2」側の端子にSP7Tスイッチ808の「7」側の端子に接続されている。また、SPDTスイッチ873の「2」側の端子とSP7Tスイッチ808間の各伝送信号線路上には、インピーダンス整合部MN7が挿入されている。
【0102】
SP7Tスイッチ808の単極には、ハーベスティング・ブロック809が接続されている。ハーベスティング・ブロック809は、入力信号を整流する整流部809Aと、整流部809Aからの出力をDC電源として回収する電力回収部809Bを備えている。
【0103】
SPDTスイッチ813の「2」側の端子とSP7Tスイッチ808の「1」側の端子を連動してイネーブルにすると、第1の無線ブロック801は、一方のアンテナ素子811のみを用いてSISOで無線通信動作を行なう。また、他方のアンテナ素子812の受信信号は、MN1でインピーダンスの整合がとられた後、ハーベスティング・ブロック809に入力され、整流して電力として回収される。他方、SPDTスイッチ813の「1」側の端子をイネーブルにすると、第1の無線ブロック801は、2本のアンテナ素子811、812を同時に用いてMIMOで無線通信動作を行なう。いずれにせよ、第1の無線ブロック801の通信動作自体は持続される。
【0104】
SPDTスイッチ823の「2」側の端子とSP7Tスイッチ808の「2」側の端子を連動してイネーブルにすると、第2の無線ブロック802は、一方のアンテナ素子821のみを用いてSISOで無線通信動作を行なう。また、他方のアンテナ素子822の受信信号は、MN2でインピーダンスの整合がとられた後、ハーベスティング・ブロック809に入力され、整流して電力として回収される。他方、SPDTスイッチ823の「1」側の端子をイネーブルにすると、第2の無線ブロック802は、2本のアンテナ素子821、822を同時に用いてMIMOで無線通信動作を行なう。いずれにせよ、第2の無線ブロック802の通信動作自体は持続される。
【0105】
SPDTスイッチ833の「2」側の端子とSP7Tスイッチ808の「3」側の端子を連動してイネーブルにすると、第3の無線ブロック803は、一方のアンテナ素子831のみを用いてSISOで無線通信動作を行なう。また、他方のアンテナ素子832の受信信号は、MN32でインピーダンスの整合がとられた後、ハーベスティング・ブロック809に入力され、整流して電力として回収される。他方、SPDTスイッチ833の「1」側の端子をイネーブルにすると、第3の無線ブロック803は、2本のアンテナ素子831、832を同時に用いてMIMOで無線通信動作を行なう。いずれにせよ、第3の無線ブロック803の通信動作自体は持続される。
【0106】
SPDTスイッチ843の「2」側の端子とSP7Tスイッチ808の「4」側の端子を連動してイネーブルにすると、第4の無線ブロック804は、一方のアンテナ素子841のみを用いてSISOで無線通信動作を行なう。また、他方のアンテナ素子842の受信信号は、MN4でインピーダンスの整合がとられた後、ハーベスティング・ブロック809に入力され、整流して電力として回収される。他方、SPDTスイッチ843の「1」側の端子をイネーブルにすると、第4の無線ブロック804は、2本のアンテナ素子841、842を同時に用いてMIMOで無線通信動作を行なう。いずれにせよ、第4の無線ブロック804の通信動作自体は持続される。
【0107】
SPDTスイッチ853の「2」側の端子とSP7Tスイッチ808の「5」側の端子を連動してイネーブルにすると、第5の無線ブロック805は、一方のアンテナ素子851のみを用いてSISOで無線通信動作を行なう。また、他方のアンテナ素子852の受信信号は、MN5でインピーダンスの整合がとられた後、ハーベスティング・ブロック809に入力され、整流して電力として回収される。他方、SPDTスイッチ853の「1」側の端子をイネーブルにすると、第5の無線ブロック805は、2本のアンテナ素子851、852を同時に用いてMIMOで無線通信動作を行なう。いずれにせよ、第5の無線ブロック805の通信動作自体は持続される。
【0108】
SPDTスイッチ863の「2」側の端子とSP7Tスイッチ808の「6」側の端子を連動してイネーブルにすると、第6の無線ブロック806は、一方のアンテナ素子861のみを用いてSISOで無線通信動作を行なう。また、他方のアンテナ素子862の受信信号は、MN6でインピーダンスの整合がとられた後、ハーベスティング・ブロック809に入力され、整流して電力として回収される。他方、SPDTスイッチ863の「1」側の端子をイネーブルにすると、第6の無線ブロック806は、2本のアンテナ素子861、862を同時に用いてMIMOで無線通信動作を行なう。いずれにせよ、第6の無線ブロック806の通信動作自体は持続される。
【0109】
SPDTスイッチ873の「2」側の端子とSP7Tスイッチ808の「7」側の端子を連動してイネーブルにすると、第7の無線ブロック807は、一方のアンテナ素子871のみを用いてSISOで無線通信動作を行なう。また、他方のアンテナ素子872の受信信号は、MN7でインピーダンスの整合がとられた後、ハーベスティング・ブロック809に入力され、整流して電力として回収される。他方、SPDTスイッチ873の「1」側の端子をイネーブルにすると、第7の無線ブロック807は、2本のアンテナ素子871、872を同時に用いてMIMOで無線通信動作を行なう。いずれにせよ、第7の無線ブロック807の通信動作自体は持続される。
【0110】
なお、上記では、各SPDTスイッチ813、823、…、873の「2」側の端子と、SP7Tスイッチ808の対応する端子が連動してイネーブルすると述べたが、対応する端子同士が同時にイネーブルされているとは限らない。いずれの無線ブロックでハーベスティングを行なうべきかを、上記のように各無線ブロック801〜807のRSSIを評価基準に用いて選択し、選択した無線ブロックに対応するSP7Tスイッチ808の端子をイネーブルにしておく。また、各無線ブロック801〜807はいずれも、図4に示した無線通信装置400と同様のアンテナ構成を備えており、例えば図5に示した第3のハーベスティング・モードの動作手順に従って動作して、十分な通信速度を得ることができるデューティー比でSPDTスイッチの切り替えを行なって、ハーベスティングを行なうようにすればよい。
【0111】
したがって、無線通信装置800は、複数の無線ブロック801〜807のうち受信信号強度(Received Signal Strength Indication)が最大のものを判別、選択して、電波を好適に回収して利用することができる。
【0112】
図9には、無線通信装置800がハーベスティングを行なう際の動作手順をフローチャートの形式で示している。
【0113】
例えば定期的に(ステップS904のYes)、各無線ブロック801〜807のRSSIを計測する(ステップS901)。そして、RSSIが最大となる無線ブロックを選択して(ステップS902)、ハーベスティングを行なう(ステップS903)。ハーベスティングは、選択された無線ブロックにおけるSPDTスイッチの「2」側の端子とSP7Tスイッチ808の対応する端子を連動してイネーブルにすることによって、行なわれる。
【0114】
ステップS902で選択された無線ブロックは、例えば図5に示した第3のハーベスティング・モードの動作手順に従ってSPDTスイッチの切り換えを行なって、ステップS903のハーベスティングを行なう。あるいは、選択された無線ブロックは、選択されている期間中はSPDTスイッチの「2」側の端子をイネーブルに固定して、常時ハーベスティングを行なうようにしてもよい。
【0115】
図10には、アンテナ812、822、…、872側(SPDT)とハーベスティング・ブロック808との間に配設されるインピーダンス整合部MN1〜MN7の構成例を示している。図示のように、インピーダンス整合部は、LCの直列共振と並列共振の組み合わせ、乃至、どちらか一方、あるいは、L、C単体など、特性に応じて形成される。
【0116】
図8に示した無線通信装置800は、互いに異なる無線周波数を利用する無線ブロック801〜807同士で、単一のハーベスティング・ブロック800を共用するように構成されている。したがって、使用周波数の相違を吸収するよう、各インピーダンス整合部MN1〜MN7の定数を決定する必要がある。
【0117】
図11には、本明細書で開示する技術の第5の実施形態に係る無線通信装置1100の構成を模式的に示している。
【0118】
図示の無線通信装置1100は、図8に示した無線通信装置800と同様に、互いに異なる無線周波数を利用する複数の無線ブロック1101〜1107を備えている。また、各無線ブロック1101〜1107は、図4に示した実施形態と同様に、それぞれ2本のアンテナ素子を有し、そのうち1本を通信専用とし、他の1本を通信動作及びハーベスティングを交互に行なえるように構成されている。
【0119】
第1の無線ブロック1101は、2.4GHz帯を使用する無線LANシステムにおける無線動作を行なう回路モジュールである。一方のアンテナ素子1111は、第1の無線ブロック1101に直接接続され、通信専用に用いられる。他方のアンテナ素子1112は、SPDTスイッチ1113を介して、第1の無線ブロック801又は自分用のハーベスティング・ブロック1114に択一的に接続される。具体的には、SPDTスイッチ1113の「1」側の端子に第1の無線ブロック1101が接続され、「2」側の端子にハーベスティング・ブロック1114が接続されている。また、SPDTスイッチ1113の「2」側の端子とハーベスティング・ブロック1114間の各伝送信号線路上には、インピーダンス整合部MN1が挿入されている。
【0120】
第2の無線ブロック1102は、5GHz帯を使用する無線LANシステムにおける無線動作を行なう回路モジュールである。一方のアンテナ素子1121は、第2の無線ブロック1102に直接接続され、通信専用に用いられる。他方のアンテナ素子1122は、SPDTスイッチ1123を介して、第2の無線ブロック1102又は自分用のハーベスティング・ブロック1124に択一的に接続される。具体的には、SPDTスイッチ1123の「1」側の端子に第2の無線ブロック1102が接続され、「2」側の端子にハーベスティング・ブロック1124が接続されている。また、SPDTスイッチ1123の「2」側の端子とハーベスティング・ブロック1124間の各伝送信号線路上には、インピーダンス整合部MN2が挿入されている。
【0121】
第3の無線ブロック1103は、2.7GHz帯を使用するWiMAXシステムにおける無線動作を行なう回路モジュールである。一方のアンテナ素子1131は、第3の無線ブロック1103に直接接続され、通信専用に用いられる。他方のアンテナ素子1132は、SPDTスイッチ1133を介して、第3の無線ブロック803又は自分用のハーベスティング・ブロック1134に択一的に接続される。具体的には、SPDTスイッチ1133の「1」側の端子に第3の無線ブロック1103が接続され、「2」側の端子にハーベスティング・ブロック1134が接続されている。また、SPDTスイッチ1133の「2」側の端子とハーベスティング・ブロック1134間の各伝送信号線路上には、インピーダンス整合部MN3が挿入されている。
【0122】
第4の無線ブロック1104は、700、800、900,1700、1800、2100MHz帯を使用するLTE(Long Term Evolution)、3Gシステムにおける無線動作を行なう回路モジュールである。一方のアンテナ素子1141は、第4の無線ブロック1104に直接接続され、通信専用に用いられる。他方のアンテナ素子1142は、SPDTスイッチ843を介して、第4の無線ブロック1104又は自分用のハーベスティング・ブロック1144に択一的に接続される。具体的には、SPDTスイッチ1143の「1」側の端子に第4の無線ブロック1104が接続され、「2」側の端子にハーベスティング・ブロック1144が接続されている。また、SPDTスイッチ1143の「2」側の端子とハーベスティング・ブロック1144間の各伝送信号線路上には、インピーダンス整合部MN4が挿入されている。
【0123】
第5の無線ブロック1105は、950MHz帯を使用するRFIDシステムにおける無線動作を行なう回路モジュールである。一方のアンテナ素子1151は、第5の無線ブロック805に直接接続され、通信専用に用いられる。他方のアンテナ素子1152は、SPDTスイッチ1153を介して、第5の無線ブロック1105又は自分用のハーベスティング・ブロック1154に択一的に接続される。具体的には、SPDTスイッチ1153の「1」側の端子に第5の無線ブロック1105が接続され、「2」側の端子にハーベスティング・ブロック1154が接続されている。また、SPDTスイッチ1153の「2」側の端子とハーベスティング・ブロック1154間の各伝送信号線路上には、インピーダンス整合部MN5が挿入されている。
【0124】
第6の無線ブロック1106は、60GHz帯を使用するWirelessHDシステムにおける無線動作を行なう回路モジュールである。一方のアンテナ素子1161は、第6の無線ブロック1106に直接接続され、通信専用に用いられる。他方のアンテナ素子1162は、SPDTスイッチ1163を介して、第6の無線ブロック1106又は自分用のハーベスティング・ブロック1164に択一的に接続される。具体的には、SPDTスイッチ1163の「1」側の端子に第6の無線ブロック1106が接続され、「2」側の端子にハーベスティング・ブロック1164が接続されている。また、SPDTスイッチ1163の「2」側の端子とハーベスティング・ブロック1164間の各伝送信号線路上には、インピーダンス整合部MN6が挿入されている。
【0125】
第7の無線ブロック1107は、2.4GHz帯を使用するBletooth通信システム(若しくはその他の無線通信システム)における無線動作を行なう回路モジュールである。一方のアンテナ素子1171は、第7の無線ブロック1107に直接接続され、通信専用に用いられる。他方のアンテナ素子1172は、SPDTスイッチ1173を介して第7の無線ブロック1107又は自分用のハーベスティング・ブロック1174に択一的に接続される。具体的には、SPDTスイッチ1173の「1」側の端子に第7の無線ブロック1107が接続され、「2」側の端子にS自分用のハーベスティング・ブロック1174が接続されている。また、SPDTスイッチ1173の「2」側の端子と自分用のハーベスティング・ブロック1174間の各伝送信号線路上には、インピーダンス整合部MN7が挿入されている。
【0126】
図8に示した無線通信装置800は、いずれか1つの無線ブロックをSP7Tスイッチ808で選択して、択一的にハーベスティングを行なうように構成されている。これに対し、図11に示した無線通信装置1100では、ハーベスティングを行なう無線ブロックの個数は特に限定されない。すなわち、各無線ブロック1101〜1107は、図5に示したような第3のハーベスティング・モードの動作手順に従って動作して、十分な通信速度を得ることができるデューティー比でSPDTスイッチの切り替えを行なって、それぞれハーベスティングを行なうことができる。
【0127】
なお、本明細書の開示の技術は、以下のような構成をとることも可能である。
(1)少なくとも1本の電力回収兼用アンテナと、前記電力回収兼用アンテナで送受信する無線信号を処理する無線ブロックと、前記電力回収兼用アンテナの受信信号から電力を回収する電力回収ブロックと、前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック又は前記電力回収ブロックに接続切換する接続切換部とを具備し、前記無線ブロックが所望する通信速度に達するように、前記接続切換部が前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック並びに前記電力回収ブロックに接続するデューティー比を設定する、無線通信装置。
(2)前記デューティー比の設定限界においても前記無線ブロックが前記所望する通信速度に達しないときには、前記接続切換部が前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロックへの接続に固定する、上記(1)に記載の無線通信装置。
(3)前記電力回収兼用アンテナを複数本備える、上記(1)に記載の無線通信装置。
(4)前記デューティー比の設定限界においても前記無線ブロックが前記所望する通信速度に達しないときには、前記複数の電力回収兼用アンテナのうち前記接続切換部が前記無線ブロックへの接続に固定する本数を順次増やしていく、上記(3)に記載の無線通信装置。
(5)前記デューティー比の設定限界においても前記無線ブロックが前記所望する通信速度に達しないときには、前記複数の電力回収兼用アンテナのうち前記接続切換部が前記無線ブロックへの接続に固定するアンテナを変更する、上記(4)に記載の無線通信装置。
(6)前記無線ブロックは、前記接続切換部が複数本の前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロックに接続しているときにはMIMOで通信処理を行ない、1本の前記電力回収兼用アンテナのみを前記無線ブロックに接続しているときはSISOで通信処理を行ない、前記電力回収編用アンテナがまったく前記無線ブロックに接続されないときには通信処理を停止する、上記(3)に記載の無線通信装置。
(7)前記接続切換部を介さず前記無線ブロックに直接接続される少なくとも1本の通信専用アンテナをさらに備える、上記(1)に記載の無線通信装置。
(8)前記デューティー比の設定限界においても前記無線ブロックが前記所望する通信速度に達しないときには、前記接続切換部が前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロックへの接続に固定する、上記(7)に記載の無線通信装置。
(9)前記無線ブロックは、前記接続切換部が少なくとも1本の前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロックに接続しているときには前記通信専用アンテナとともに用いてMIMOで通信処理を行ない、1本の前記通信専用アンテナのみが前記無線ブロックに接続されているときはSISOで通信処理を行なう、上記(7)に記載の無線通信装置。
(10)それぞれ電力回収兼用アンテナを有して前記電力回収兼用アンテナで送受信する無線信号を処理する複数の無線ブロックと、前記の各無線ブロックが有する前記電力回収兼用アンテナの受信信号から電力を回収する電力回収ブロックと、前記複数の無線ブロックのうちいずれの前記電力回収兼用アンテナ用いて前記前記電力回収ブロックで電力の回収を行なうかを選択する選択部と、を具備する無線通信装置。
(11)前記複数の無線ブロックは互いに異なる無線周波数を利用する、上記(10)に記載の無線通信装置。
(12)前記選択部は、前記複数の無線ブロックのそれぞれの受信信号強度に基づいて、前記複数の無線ブロックのうちいずれの前記電力回収兼用アンテナ用いて前記前記電力回収ブロックで電力の回収を行なうかを選択する、上記(10)に記載の無線通信装置。
(13)前記複数の無線ブロックはそれぞれ、自分が有する前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック又は前記選択部を介して前記電力回収ブロックに接続切換する接続切換部を備える、上記(10)に記載の無線通信装置。
(14)前記選択部によって選択された前記無線ブロックでは、所望する通信速度に達するように、前記接続切換部が前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック並びに前記電力回収ブロックに接続するデューティー比を設定する、上記(13)に記載の無線通信装置。
(15)前記選択部によって選択された前記無線ブロックでは、前記デューティー比の設定限界においても前記所望する通信速度に達しないときには、前記接続切換部が前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロックへの接続に固定する、上記(14)に記載の無線通信装置。
(16)前記複数の無線ブロックのうち少なくとも一部は、前記接続切換部を介さず自分に直接接続される少なくとも1本の通信専用アンテナをさらに備える、上記(10)に記載の無線通信装置。
(17)それぞれ無線信号を処理する複数の無線ブロックと、前記複数の無線ブロックの各々に設けられた電力回収兼用アンテナと、前記の各無線ブロックが有する前記電力回収兼用アンテナの受信信号から電力を回収する電力回収ブロックと、前記複数の無線ブロックの各々に設けられた、前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック又は前記電力回収ブロックに接続切換する接続切換部と、を具備する無線通信装置。
(18)前記複数の無線ブロックはそれぞれ、自分が有する前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック又は前記選択部を介して前記電力回収ブロックに接続切換する接続切換部を備える、上記(17)に記載の無線通信装置。
(19)前記複数の無線ブロックの各々に設けられた前記接続切換部はそれぞれ、前記無線ブロックで所望する通信速度に達するように前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック並びに前記電力回収ブロックに接続するデューティー比を設定する、上記(17)に記載の無線通信装置。
(20)前記複数の無線ブロックの各々に設けられた前記接続切換部はそれぞれ、前記デューティー比の設定限界においても前記所望する通信速度に達しないときには、前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロックへの接続に固定する、上記(19)に記載の無線通信装置。
(21)前記複数の無線ブロックのうち少なくとも一部は、前記接続切換部を介さず自分に直接接続される少なくとも1本の通信専用アンテナをさらに備える、上記(17)に記載の無線通信装置。
(22)少なくとも1本の電力回収兼用アンテナと、前記電力回収兼用アンテナで送受信する無線信号を処理する無線ブロックと、前記電力回収兼用アンテナの受信信号から電力を回収する電力回収ブロックと、前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック又は前記電力回収ブロックに接続切換する接続切換部と、を具備し、前記無線ブロックが所望する通信速度に達するように、前記接続切換部が前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック並びに前記電力回収ブロックに接続するデューティー比を設定する、電子機器。
(23)それぞれ電力回収兼用アンテナを有して前記電力回収兼用アンテナで送受信する無線信号を処理する複数の無線ブロックと、前記の各無線ブロックが有する前記電力回収兼用アンテナの受信信号から電力を回収する電力回収ブロックと、前記複数の無線ブロックのうちいずれの前記電力回収兼用アンテナ用いて前記前記電力回収ブロックで電力の回収を行なうかを選択する選択部と、を具備する電子機器。
(24)それぞれ無線信号を処理する複数の無線ブロックと、前記複数の無線ブロックの各々に設けられた電力回収兼用アンテナと、前記の各無線ブロックが有する前記電力回収兼用アンテナの受信信号から電力を回収する電力回収ブロックと、前記複数の無線ブロックの各々に設けられた、前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック又は前記電力回収ブロックに接続切換する接続切換部と、を具備する電子機器。
【産業上の利用可能性】
【0128】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本明細書で開示する技術について詳細に説明してきた。しかしながら、本明細書で開示する技術の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0129】
本明細書で開示する技術は、電子ブックやノートブックPC、タブレット、コミュニケーターなどの情報端末に適用することができ、情報端末の利用形態などに応じて通信とハーベスティングの動作を切り換えて、空間の電波エネルギー資源を効果的に活用することができる。また、情報端末がアクセスポイントや基地局に近い状況の場合には、特に大きな電力回収の効果が期待できる。
【0130】
要するに、例示という形態で本技術を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本技術の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【符号の説明】
【0131】
100…無線通信装置
101…第1のアンテナ素子
102…第2のアンテナ素子
103、104…SPDT
105…無線ブロック
106…ハーベスティング・ブロック
106A…整流部
106B…電力回収部
400…無線通信装置
401…第1のアンテナ素子
402…第2のアンテナ素子
404…SPDT
405…無線ブロック
406…ハーベスティング・ブロック
406A…整流部
406B…電力回収部
600…無線通信装置
601…アンテナ素子
603…SPDT
605…無線ブロック
606…ハーベスティング・ブロック
800…無線通信装置
801…第1の無線ブロック
811、812…アンテナ素子、813…SPDTスイッチ
802…第2の無線ブロック
821、822…アンテナ素子、823…SPDTスイッチ
803…第3の無線ブロック
831、832…アンテナ素子、833…SPDTスイッチ
804…第4の無線ブロック
841、842…アンテナ素子、843…SPDTスイッチ
805…第5の無線ブロック
851、852…アンテナ素子、853…SPDTスイッチ
806…第6の無線ブロック
861、862…アンテナ素子、863…SPDTスイッチ
807…第7の無線ブロック
871、872…アンテナ素子、873…SPDTスイッチ
808…SP7Tスイッチ
809…ハーベスティング・ブロック
1100…無線通信装置
1101…第1の無線ブロック、1111、1112…アンテナ素子
1113…SPDTスイッチ、1114…ハーベスティング・ブロック
1102…第2の無線ブロック、1121、1122…アンテナ素子
1123…SPDTスイッチ、1124…ハーベスティング・ブロック
1101…第1の無線ブロック、1111、1112…アンテナ素子
1113…SPDTスイッチ、1114…ハーベスティング・ブロック
1101…第1の無線ブロック、1111、1112…アンテナ素子
1113…SPDTスイッチ、1114…ハーベスティング・ブロック
1101…第1の無線ブロック、1111、1112…アンテナ素子
1113…SPDTスイッチ、1114…ハーベスティング・ブロック
1101…第1の無線ブロック、1111、1112…アンテナ素子
1113…SPDTスイッチ、1114…ハーベスティング・ブロック
1101…第1の無線ブロック、1111、1112…アンテナ素子
1113…SPDTスイッチ、1114…ハーベスティング・ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1本の電力回収兼用アンテナと、
前記電力回収兼用アンテナで送受信する無線信号を処理する無線ブロックと、
前記電力回収兼用アンテナの受信信号から電力を回収する電力回収ブロックと、
前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック又は前記電力回収ブロックに接続切換する接続切換部と、
を具備し、
前記無線ブロックが所望する通信速度に達するように、前記接続切換部が前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック並びに前記電力回収ブロックに接続するデューティー比を設定する、
無線通信装置。
【請求項2】
前記デューティー比の設定限界においても前記無線ブロックが前記所望する通信速度に達しないときには、前記接続切換部が前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロックへの接続に固定する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記電力回収兼用アンテナを複数本備える、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記デューティー比の設定限界においても前記無線ブロックが前記所望する通信速度に達しないときには、前記複数の電力回収兼用アンテナのうち前記接続切換部が前記無線ブロックへの接続に固定する本数を順次増やしていく、
請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記デューティー比の設定限界においても前記無線ブロックが前記所望する通信速度に達しないときには、前記複数の電力回収兼用アンテナのうち前記接続切換部が前記無線ブロックへの接続に固定するアンテナを変更する、
請求項4に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記無線ブロックは、前記接続切換部が複数本の前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロックに接続しているときにはMIMOで通信処理を行ない、1本の前記電力回収兼用アンテナのみを前記無線ブロックに接続しているときはSISOで通信処理を行ない、前記電力回収編用アンテナがまったく前記無線ブロックに接続されないときには通信処理を停止する、
請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記接続切換部を介さず前記無線ブロックに直接接続される少なくとも1本の通信専用アンテナをさらに備える、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記デューティー比の設定限界においても前記無線ブロックが前記所望する通信速度に達しないときには、前記接続切換部が前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロックへの接続に固定する、
請求項7に記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記無線ブロックは、前記接続切換部が少なくとも1本の前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロックに接続しているときには前記通信専用アンテナとともに用いてMIMOで通信処理を行ない、1本の前記通信専用アンテナのみが前記無線ブロックに接続されているときはSISOで通信処理を行なう、
請求項7に記載の無線通信装置。
【請求項10】
それぞれ電力回収兼用アンテナを有して前記電力回収兼用アンテナで送受信する無線信号を処理する複数の無線ブロックと、
前記の各無線ブロックが有する前記電力回収兼用アンテナの受信信号から電力を回収する電力回収ブロックと、
前記複数の無線ブロックのうちいずれの前記電力回収兼用アンテナを用いて前記前記電力回収ブロックで電力の回収を行なうかを選択する選択部と、
を具備する無線通信装置。
【請求項11】
前記複数の無線ブロックは互いに異なる無線周波数を利用する、
請求項10に記載の無線通信装置。
【請求項12】
前記選択部は、前記複数の無線ブロックのそれぞれの受信信号強度に基づいて、前記複数の無線ブロックのうちいずれの前記電力回収兼用アンテナを用いて前記前記電力回収ブロックで電力の回収を行なうかを選択する、
請求項10に記載の無線通信装置。
【請求項13】
前記複数の無線ブロックはそれぞれ、自分が有する前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック又は前記選択部を介して前記電力回収ブロックに接続切換する接続切換部を備える、
請求項10に記載の無線通信装置。
【請求項14】
前記選択部によって選択された前記無線ブロックでは、所望する通信速度に達するように、前記接続切換部が前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック並びに前記電力回収ブロックに接続するデューティー比を設定する、
請求項13に記載の無線通信装置。
【請求項15】
前記選択部によって選択された前記無線ブロックでは、前記デューティー比の設定限界においても前記所望する通信速度に達しないときには、前記接続切換部が前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロックへの接続に固定する、
請求項14に記載の無線通信装置。
【請求項16】
前記複数の無線ブロックのうち少なくとも一部は、前記接続切換部を介さず自分に直接接続される少なくとも1本の通信専用アンテナをさらに備える、
請求項10に記載の無線通信装置。
【請求項17】
それぞれ無線信号を処理する複数の無線ブロックと、
前記複数の無線ブロックの各々に設けられた電力回収兼用アンテナと、
前記の各無線ブロックが有する前記電力回収兼用アンテナの受信信号から電力を回収する電力回収ブロックと、
前記複数の無線ブロックの各々に設けられた、前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック又は前記電力回収ブロックに接続切換する接続切換部と、
を具備する無線通信装置。
【請求項18】
前記複数の無線ブロックはそれぞれ、自分が有する前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック又は前記選択部を介して前記電力回収ブロックに接続切換する接続切換部を備える、
請求項17に記載の無線通信装置。
【請求項19】
前記複数の無線ブロックの各々に設けられた前記接続切換部はそれぞれ、前記無線ブロックで所望する通信速度に達するように前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック並びに前記電力回収ブロックに接続するデューティー比を設定する、
請求項17に記載の無線通信装置。
【請求項20】
前記複数の無線ブロックの各々に設けられた前記接続切換部はそれぞれ、前記デューティー比の設定限界においても前記所望する通信速度に達しないときには、前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロックへの接続に固定する、
請求項19に記載の無線通信装置。
【請求項21】
前記複数の無線ブロックのうち少なくとも一部は、前記接続切換部を介さず自分に直接接続される少なくとも1本の通信専用アンテナをさらに備える、
請求項17に記載の無線通信装置。
【請求項22】
少なくとも1本の電力回収兼用アンテナと、
前記電力回収兼用アンテナで送受信する無線信号を処理する無線ブロックと、
前記電力回収兼用アンテナの受信信号から電力を回収する電力回収ブロックと、
前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック又は前記電力回収ブロックに接続切換する接続切換部と、
を具備し、
前記無線ブロックが所望する通信速度に達するように、前記接続切換部が前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック並びに前記電力回収ブロックに接続するデューティー比を設定する、
電子機器。
【請求項23】
それぞれ電力回収兼用アンテナを有して前記電力回収兼用アンテナで送受信する無線信号を処理する複数の無線ブロックと、
前記の各無線ブロックが有する前記電力回収兼用アンテナの受信信号から電力を回収する電力回収ブロックと、
前記複数の無線ブロックのうちいずれの前記電力回収兼用アンテナを用いて前記前記電力回収ブロックで電力の回収を行なうかを選択する選択部と、
を具備する電子機器。
【請求項24】
それぞれ無線信号を処理する複数の無線ブロックと、
前記複数の無線ブロックの各々に設けられた電力回収兼用アンテナと、
前記の各無線ブロックが有する前記電力回収兼用アンテナの受信信号から電力を回収する電力回収ブロックと、
前記複数の無線ブロックの各々に設けられた、前記電力回収兼用アンテナを前記無線ブロック又は前記電力回収ブロックに接続切換する接続切換部と、
を具備する電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−38481(P2013−38481A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170740(P2011−170740)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】