説明

無線通信装置及びプログラム

【課題】 無線通信装置において、計画的に省電力モードを動作させる。
【解決手段】 本発明は、無線通信装置に関する。そして、本発明の無線通信装置は、自身が動作状態から休止状態に遷移する際には、当該無線通信装置上の自身以外の処理手段の動作を休止状態に制御し、自身が休止状態から動作状態に遷移する際には、当該無線通信装置上の自身以外の処理手段について動作状態に制御する第1の処理手段と、第1の処理手段とは異なる処理を行う、1又は複数の第2の処理手段と、当該無線通信装置が通常モードの場合に、当該無線通信装置の全ての処理手段が休止状態になると、当該無線通信装置を通常モードよりも省電力で動作する省電力モードに遷移させ、当該無線通信装置が省電力モードの場合に、当該無線通信装置のいずれかの処理手段が動作状態になると、当該無線通信装置を通常モードに遷移させる動作モード制御手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置及びプログラムに関し、例えば、センサネットワークノードに適用し得る。
【背景技術】
【0002】
従来、センサネットワークノードを制御する技術としては、非特許文献1に示されるT−Kernelがある。T−Kernelとは、T−Engineフォーラムにより推進されている組み込みOS(オペレーティングシステム)であり、T−Engineというプラットフォーム上で動作するもので、センサネットワークノードにも用いることができる。
【0003】
電池駆動のセンサネットワークノードは長寿命化のためにスリープ制御を行う。センサネットワークノードにおけるスリープ制御とは、ノードが送受信処理をおこなう必要がない期間はノードの無線通信部およびマイコンを通常時よりも省電力で動作するモード(以下、「省電力モード」という)にするというものである。なお、以下では、ノード(無線通信装置)が、省電力モードでないとき(通常時)のモードを「通常モード」という。
【0004】
センサネットワークノードに搭載されたマイコンは、省電力モードになると消費電力が少なくなる代わりに、処理速度が低下し、演算ができなくなる場合もある。そして、そのマイコンはソフトウェアの制御により省電力モードから通常モードヘ復帰する。
【0005】
非特許文献1に記載のT−Kernel等、既存のマルチスレッドをサポートした組込みOSは、スリープ制御をOSの機能として提供している。そして、OSは、すべてのスレッドが待ち状態(休止状態)になるとスリープ制御を行う。このことにより、プログラマはスリープ制御を気にすることなくプログラミングを行える利便性がある。
【0006】
次に、従来の非特許文献等に記載された、既存の組み込みOSを利用したセンサネットワークノードにおけるスリープ制御の具体例について説明する。
【0007】
ここでは、例として、所定の処理を行う複数の一般処理部と、一般処理部の動作に応じて、当該ノードの動作モード(通常モード又は省電力モード)を制御する動作モード制御部を備えた既存のセンサネットワークノードについて説明する。この場合、動作モード制御部は、当該ノードにおけるOSの一部の機能に該当する。また、一般処理部は、上述のOS上で動作するスレッドが該当する。
【0008】
そして、動作モード制御部は、全ての一般処理部が休止状態になると、当該ノードの動作を通常モードから省電力モードヘ遷移させる。又、動作モード制御部は、いずれかの一般処理部が休止状態から動作状態へ変化すると、当該ノードの状態を省電力モードから通常モードへと遷移させる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】T−Engineフォーラム編、「T−kernel 仕様書」、[Online]、INTERNET、[2010年2月1日検索],<URL:http://www.t-engine.org/japanese/text/TEF020-S001-01.00.00_ja.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
センサネットワークをシステムとしてみた場合、システムのメンテナンス頻度を見積もることは重要である。システムメンテナンスの目的の一つに、寿命が近くなったノードの電池交換がある。よって、センサネットワークでは、メンテナンス頻度の見積もりの精度を上げるためには、計画的に省電力モードを利用し、ノードの寿命を正確に見積もることが望ましい。
【0011】
また、センサネットワークノードが通信を行う際には、送信先のスリ−プ制御のスケジューリングをあらかじめ知っておいて、送信先ノードが通常モードのときにデータ送信する必要がある。そのため、センサネットワークノードのスリープ制御のスケジュールをあらかじめ決めておくことが望ましい。
【0012】
一方、センサネットワークノードに採用されているマイコンの演算性能は、通常低いものであり、例えば公開鍵暗号を利用した認証処理には数十秒必要な場合がある。また、センサネットワークノードは数百ミリ秒単位でのスリープ制御を行っている場合も珍しくない。よって数十秒かかる演算処理を連続しておこなうとスリープ制御のスケジュールが大幅に変動してしまう場合がある。
【0013】
しかしながら、非特許文献の記載技術等、既存の組み込みOSを利用したセンサネットワークノードにおいては、上述の通り、スリープ制御のスケジュールはOS側で決定するため、OS上で動作するスレッド(一般処理部)の側で制御することはできなかった。
【0014】
そのため、計画的に省電力モードを動作させることができる無線通信装置及びプログラムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の本発明の無線通信装置は、(1)自身が動作状態から休止状態に遷移する際には、当該無線通信装置上の自身以外の処理手段の動作を休止状態に制御し、自身が休止状態から動作状態に遷移する際には、当該無線通信装置上の自身以外の処理手段について動作状態に制御する第1の処理手段と、(2)上記第1の処理手段とは異なる処理を行う、1又は複数の第2の処理手段と、(3)当該無線通信装置が通常モードの場合に、当該無線通信装置の全ての処理手段が休止状態になると、当該無線通信装置を通常モードよりも省電力で動作する省電力モードに遷移させ、当該無線通信装置が省電力モードの場合に、当該無線通信装置のいずれかの処理手段が動作状態になると、当該無線通信装置を通常モードに遷移させる動作モード制御手段とを有することを特徴とする。
【0016】
第2の本発明の無線通信プログラムは、無線通信装置に搭載されたコンピュータを、(1)自身が動作状態から休止状態に遷移する際には、当該無線通信装置上の自身以外の処理手段の動作を休止状態に制御し、自身が休止状態から動作状態に遷移する際には、当該無線通信装置上の自身以外の処理手段について動作状態に制御する第1の処理手段と、(2)上記第1の処理手段とは異なる処理を行う、1又は複数の第2の処理手段と、(3)当該無線通信装置が通常モードの場合に、当該無線通信装置の全ての処理手段が休止状態になると、当該無線通信装置を通常モードよりも省電力で動作する省電力モードに遷移させ、当該無線通信装置が省電力モードの場合に、当該無線通信装置のいずれかの処理手段が動作状態になると、当該無線通信装置を通常モードに遷移させる動作モード制御手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、無線通信装置において、計画的に省電力モードを動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態に係る無線通信装置の機能的構成ついて示したブロック図である。
【図2】実施形態に係る無線通信装置において、スリープ制御処理部が休止状態に遷移する際の動作について示したシーケンス図である。
【図3】実施形態に係る無線通信装置において、スリープ制御処理部が動作状態に遷移する際の動作について示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(A)主たる実施形態
以下、本発明による無線通信装置及びプログラムの一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0020】
(A−1)実施形態の構成
図1は、この実施形態の無線通信装置10の機能的構成について示したブロック図である。
【0021】
無線通信装置10は、一般処理部11、スリープ制御処理部12、動作モード制御部13を有している。なお、図1においては図示を省略しているが、無線通信装置10は、ネットワークインタフェース等、無線通信装置としてとして必要な他の構成も備えているものとする。
【0022】
無線通信装置10は、例えば、情報処理を行うプロセッサと無線通信手段を備える既存の無線通信装置のハードウェア(例えば、上述のT−Engineのハードウェア)上に、実施形態の無線通信プログラム等をインストールすることにより構築しても良いが、その場合でも、機能的には図1のように示すことができる。
【0023】
一般処理部11、スリープ制御処理部12は、無線通信装置10上で作成されるスレッドであるものとする。また、スリープ制御処理部12は、スケジューリング部121及び一般処理部制御部122を有している。
【0024】
スリープ制御処理部12は、当該無線通信装置10が、省電力モードでない期間(通常モード動作時)動作する処理に関するスレッド(以下、「スリープ制御処理スレッド」という)を実行するものである。また、スリープ制御処理部12は、一般処理部11について、動作状態又は休止状態に遷移させる制御を行う。
【0025】
一般処理部11は、無線通信装置10において、スリープ制御処理部12が行う処理以外の処理(例えば、公開鍵暗号等の暗号処理)に関するスレッド(以下、「一般処理スレッド」という)を実行するものである。
【0026】
この実施形態では、一般処理部11及びスリープ制御処理部12は、無線通信装置10のOS上で、ソフトウェア的(論理的)に生成されるスレッドであるものとして説明するが、ハードウェア的(例えば、専用チップ等)にそれぞれの処理部(スレッド)に相当するものを構成するようにしても良い。また、図1においては、説明を簡易にするため、一般処理部11(一般処理スレッド)の数は一つであるものとして図示しているが、一般処理部11(一般処理スレッド)が生成される数は限定されないものである。
【0027】
また、この実施形態においては、例として、無線通信装置10は、既存の無線通信装置のハードウェア(例えば、上述のT−Engineのハードウェア)に、既存の組み込みOS(例えば、非特許文献1に記載のT−Kernel)が搭載されたプラットフォーム上に、さらに、実施形態の無線通信プログラム(少なくとも一般処理部11、スリープ制御処理部12を含む)がインストールされた、センサネットワークノードであるものとして説明する。なお、動作モード制御部13は、無線通信装置10に搭載されたOSにより提供される機能であるものとして説明する。
【0028】
さらに、無線通信装置10では、それぞれの処理部(スレッド)に対して処理を実行する優先度が割り当てられており、スリープ制御処理部12は、一般処理部11に比べて優先度が、より高く設定されているものとする。すなわち、制御処理部12の処理は、一般処理部11よりも優先的に実行されるものとする。
【0029】
一般処理部制御部122は、スリープ制御処理部12が動作状態から休止状態に遷移する際には、一般処理部11も休止状態に遷移させる処理を行う。そして、一般処理部制御部122は、スリープ制御処理部12が休止状態から動作状態に遷移した場合、一般処理部11を動作状態に遷移させる処理を行う。
【0030】
スケジューリング部121は、スリープ制御処理部12を動作状態又は休止状態に遷移させるタイミングを制御するものであり、状態を遷移させるタイミングになると、一般処理部制御部122及び動作モード制御部13へその旨の命令を通知する。スケジューリング部121には、動作状態又は休止状態になるスケジュールが、予め設定されている。スケジューリング部121に設定されるスケジュールの内容は限定されないものであるが、例えば、定期的又は不定期の間隔で所定期間休止状態になるように設定しても良い。
【0031】
一般処理部11は、スリープ制御処理部12(一般処理部制御部122)から、動作状態の遷移に関する命令が通知されると、その命令の内容に応じて、自身の状態を動作状態又は休止状態に遷移させる。また、一般処理部11は、自身の状態を遷移させる際に、自身の動作状態に関する情報等を、動作モード制御部13へ通知する。
【0032】
動作モード制御部13は、一般処理部11及びスリープ制御処理部12が、いずれも休止状態になると、当該無線通信装置10の動作を通常モードから省電力モードヘ遷移させる。又、動作モード制御部13は、一般処理部11又はスリープ制御処理部12が、休止状態から実行状態へ変化すると、当該無線通信装置10の状態を省電力モードから通常モードへと遷移させる。
【0033】
(A−2)実施形態の動作
次に、以上のような構成を有するこの実施形態の無線通信装置10の動作について説明する。
【0034】
(A−2−1)スリープ制御処理部が休止状態へ遷移する際の動作
図2は、スリープ制御処理部12が動作状態から休止状態に遷移する際の動作について示したシーケンス図である。
【0035】
まず、スリープ制御処理部12が、スケジューリング部121が生成したタイミングにより、動作状態から休止状態への遷移を決定したものとする(S101)。
【0036】
次に、スリープ制御処理部12により、一般処理部11へ休止状態への遷移の命令が通知される(S102)。
【0037】
休止状態への遷移の命令が通知されると、一般処理部11は、休止状態に遷移する旨を、スリープ制御処理部12に通知し(S103)、自身を休止状態に遷移させ(S104)、さらに、自身の動作状態に関する情報等を動作モード制御部13に通知する(S105)。
【0038】
スリープ制御処理部12では、一般処理部11が休止状態となったことを把握すると、自身を休止状態に遷移させ(S106)、動作モード制御部13へ、自身が休止状態に遷移する旨が通知される(S107)。
【0039】
そして、動作モード制御部13では、全ての処理部(スレッド)から、休止状態に遷移する旨の通知を受けたことを確認し、当該無線通信装置10の動作モードを省電力モードへ遷移させる(S108)。
【0040】
なお、図2においては、スリープ制御処理部12において、一般処理部11が休止状態に遷移したことを把握する処理として、一般処理部11からの通知を直接受けているが、スリープ制御処理部12において一般処理部11の状況を把握する処理はこれに限定されないものである。例えば、スリープ制御処理部12が、一般処理部11から直接通知を受けずに、一般処理部11から動作モード制御部13への通知(ステップS105)の内容を監視して、一般処理部11の状況を把握するようにしても良い。
【0041】
(A−2−2)スリープ制御処理部が動作状態へ遷移する際の動作
図3は、スリープ制御処理部12が休止状態から動作状態に遷移する際の動作について示したシーケンス図である。
【0042】
まず、スリープ制御処理部12は、スケジューリング部121が決定したスケジュールにより、休止状態から動作状態に遷移すると(S201)、スケジューリング部121により動作モード制御部13へ、自身が動作状態に遷移した旨が通知される(S202)。
【0043】
一方、動作モード制御部13では、スリープ制御処理部12が動作状態に遷移した旨が通知されると、いずれかの処理部(スレッド)が動作状態になったと確認し、当該無線通信装置10の動作モードを通常モードへ遷移させる(S203)。
【0044】
また、スリープ制御処理部12が動作状態に遷移すると、スリープ制御処理部12では、一般処理部制御部122により、一般処理部11が動作状態に遷移するように制御(休止状態が解除)される(S204)。
【0045】
次に、一般処理部11では、休止状態から動作状態への遷移が開始され(S205)、その旨が動作モード制御部13へ通知される(S206)。
【0046】
(A−3)実施形態の効果
この実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0047】
(A−3−1)スリープ制御処理部12のスケジューリング内容に応じて、計画的に無線通信装置10を省電力モードで動作させることができる。その結果、ユーザが設定した計画通りのスケジュールで、無線通信装置10を省電力モードで動作させ、無線通信装置10が電池により動作している場合には、その電池寿命を予め見積もることができ、電池交換等のメンテナンスを容易にすることができる。
【0048】
一方、一般処理部11では、処理量の多い処理であっても、動作状態の間(スリープ制御処理部12が動作状態の間)に、少しずつでも処理を継続することができる。
【0049】
(A−3−2)上記の実施形態では、スリープ制御処理部を備えることにより、当該無線通信装置上の全ての処理部(スレッド)について、休止状態となるタイミングを計画的に設定し、動作モード制御部において全ての処理部(スレッド)から休止状態となった旨が通知されたことを契機に、当該無線通信装置が省電力モードに遷移する。これにより、上記の実施形態の無線通信装置では、計画的に省電力モードを利用しつつ、省電力モードから通常モードに復帰した場合でも一般処理部の動作を正常に保つことができる。
【0050】
例えば、処理量の多い処理を行う一般処理部について、スリープ制御(動作モードの切替え処理)よりも優先順位を下げることにより、計画的に省電力モードを利用するようにしても良いが、実際にそのような制御を行うことは難しい。なぜならスリープ制御は、一般処理部のプログラミングを行うプログラマが、自由に制御できる部分ではないからである。一般処理部は、自身の処理を休止状態にしたり休止状態から復帰したりする際にはその旨を動作モード制御部へ伝えるが、当該無線通信装置の動作モード(通常モード又は省電力モード)を遷移させる制御を行うことはできない。なぜなら、例えば、いずれかの一般処理部の状態が変化しても、他の一般処理部の状態は休止状態にならないため、一般処理部が自身の処理状態だけで当該無線通信装置の動作モード遷移させる決定ができないからである。
【0051】
また、例えば、一般処理部から強制的に当該無線通信装置を省電力モードに遷移させることができる割り込み信号等、例外的な手段を備えるOSを用いることも考えられる。しかし、複数の一般処理部を備える場合、他の一般処理部が休止状態へ遷移するための準備(次回起動するためのタイマ設定や、動作モード制御部への通知等)を行わずに、当該無線通信装置が省電力モードに遷移してしまうおそれがあり、その場合、次回通常モードに復帰した場合に、一般処理部が正常に動作しない可能性がある。
【0052】
一方、上記の実施形態における無線通信装置では、上述の通り、スリープ制御処理部で、一般処理部の休止状態への遷移を促し、間接的に動作モード制御部による動作モードの変更を制御することにより、通常モードに復帰した場合でも一般処理部の動作を正常に保つことを容易にする。また、一般処理部とは別に、スリープ制御処理部を設けることにより、一般処理部の処理をプログラミングする際にも、当該無線通信装置における省電力モードの存在を意識する必要がない利便性を保つことができる。
【0053】
(B)他の実施形態
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0054】
(B−1)上記の実施形態において、スリープ制御処理部が、他の無線通信装置から送信されたデータの受信待ちや受信処理等、他の処理を追加するようにしても良い。
【0055】
(B−2)上記の実施形態において、当該無線通信装置が一般処理部を複数備える場合、各一般処理部に優先度を割当て、当該無線通信装置が省電力モードから通常モードへ復帰した場合に、優先度が高い一般処理部の処理を優先して実行するようにしても良い。
【0056】
また、上記の実施形態においては、スリープ制御処理部は、自身が休止状態に遷移する際には、全ての一般処理部も休止状態に遷移させていたが、スリープ制御処理部よりも優先度の高い一般処理部についてはそのような制御を行わないようにしても良い。その場合、動作モード制御部は、スリープ制御処理部よりも優先度が高い一般処理部以外の処理部が休止状態になった段階で、当該無線通信装置を、省電力モードに遷移させるようにしても良い。
【0057】
(B−3)上記の実施形態においては、無線通信装置における省電力モードは、一つのモードであるものとして示しているが、省電力の度合いを段階的に設定するようにしても良い。例えば、上述のように動作モード制御部よりも優先度の高い一般処理部については休止状態にしない場合には、ある程度の処理能力を残す必要があるので、動作を継続する一般処理部の状況に応じて、省電力の度合いを少なくするようにしても良い。
【0058】
(B−4)上記の実施形態においては、本発明の無線通信装置をセンサネットワークノードに適用した例について説明したが、携帯電話端末、無線通信に対応したセットトップボックス、情報家電に搭載される無線通信装置等、他の無線通信装置に適用するようにしても良い。
【0059】
上記の実施形態では、本発明を、スリープ制御のスケジュールを厳格に行う方が望ましいセンサネットワークノードに適用する例について説明したが、スリープ制御のスケジュールを厳格におこなう必要がないものに適用した場合でも、ノードの長寿命化という効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0060】
10…無線通信装置、11…一般処理部、12…スリープ制御処理部、121…スケジューリング部、122…一般処理部制御部、13…動作モード制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身が動作状態から休止状態に遷移する際には、当該無線通信装置上の自身以外の処理手段の動作を休止状態に制御し、自身が休止状態から動作状態に遷移する際には、当該無線通信装置上の自身以外の処理手段について動作状態に制御する第1の処理手段と、
上記第1の処理手段とは異なる処理を行う、1又は複数の第2の処理手段と、
当該無線通信装置が通常モードの場合に、当該無線通信装置の全ての処理手段が休止状態になると、当該無線通信装置を通常モードよりも省電力で動作する省電力モードに遷移させ、当該無線通信装置が省電力モードの場合に、当該無線通信装置のいずれかの処理手段が動作状態になると、当該無線通信装置を通常モードに遷移させる動作モード制御手段と
を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
それぞれの処理手段に対して処理を行う優先度が割り当てられており、
上記第1の処理手段よりも高い優先度が割り当てられた上記第2の処理手段は、上記第1の処理手段が休止状態になった場合でも、休止状態とならず、
上記動作モード制御手段は、当該無線通信装置が通常モードの場合に、上記第1の処理手段よりも優先度が高い処理手段以外の全ての処理手段が休止状態となると、当該無線通信装置を省電力モードに遷移させ、当該無線通信装置が省電力モードの場合に、上記第1の処理手段よりも優先度が高い処理手段以外の処理手段のうち、いずれかの処理手段が動作状態になると、当該無線通信装置を通常モードに遷移させる
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
上記第1の処理手段が行う処理に、他の無線通信装置から与えられた信号の受信に係る処理が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
1部又は全部の上記第2の処理手段が行う処理に、当該無線通信装置の通信に用いる暗号に係る処理が含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項5】
無線通信装置に搭載されたコンピュータを、
自身が動作状態から休止状態に遷移する際には、当該無線通信装置上の自身以外の処理手段の動作を休止状態に制御し、自身が休止状態から動作状態に遷移する際には、当該無線通信装置上の自身以外の処理手段について動作状態に制御する第1の処理手段と、
上記第1の処理手段とは異なる処理を行う、1又は複数の第2の処理手段と、
当該無線通信装置が通常モードの場合に、当該無線通信装置の全ての処理手段が休止状態になると、当該無線通信装置を通常モードよりも省電力で動作する省電力モードに遷移させ、当該無線通信装置が省電力モードの場合に、当該無線通信装置のいずれかの処理手段が動作状態になると、当該無線通信装置を通常モードに遷移させる動作モード制御手段と
して機能させることを特徴とする無線通信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−171810(P2011−171810A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31205(P2010−31205)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】