説明

無線通信装置及び再送制御方法

【課題】RLC方式の再送制御において、無駄な再送を抑制し、無線リソースを効率的な使用及びシステムスループットの改善を図る無線通信装置及び再送制御方法を提供する。
【解決手段】RLC送信管理部123は、通信相手の受信側RLCから受信したSTATUS−PDUの受信時刻と、直前に再送したデータの送信時刻とに基づいて求められる時間間隔がRTTより大きいか判定する。この時間間隔がRTTより小さい場合、RLC送信管理部123は、直前に再送したデータが通信相手の受信側RLCに到着する前に、通信相手の受信側RLCがSTATUS−PDUを送信していると判断し、そのNACKを無視する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再送制御を行う無線通信装置及び再送制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、3GPP(3rd Generation Partnership Project)のTSG RAN(Technical Specification Group Radio Access Network)において、次世代移動通信システムであるLTE(Long Term Evolution)の検討が進められている。3GPP LTEでは、携帯端末装置(以下、UE:User Equipmentという)は、複数の基地局装置(以下、e NodeB:Evolved Node Bという)から構成されるE−UTRAN(Enhanced Universal Terrestrial Radio Access Network)に接続して、ユーザデータの送受信を行う。
【0003】
図1は、LTE通信方式で使用されるネットワークアーキテクチャ(Network Architecture)を示す図である。
【0004】
図1に示すように、UEは、複数の基地局(e NodeB)から構成されるE−UTRANに接続し、E−UTRANとの間でユーザデータの送受信を行う。
【0005】
ここで、UEとe NodeBとの間のユーザデータは、3GPP LTEで使用される通信プロトコルのレイヤ1(物理レイヤ)及びレイヤ2(データリンクレイヤ)で制御される。また、レイヤ2は、無線リソースの割当制御等を行うMAC(Medium Access Control)サブレイヤと、無線リンクの制御を行うRLC(Radio Link Control)サブレイヤと、データの暗号化・復号化、ハンドオーバ時のパケット順序制御等を行うPDCP(Packet Data Convergence Protocol)サブレイヤとに分けられる。
【0006】
図2は、ユーザデータ制御系プロトコルスタックの配置を示す図である。
【0007】
図2に示すように、UEとe NodeB間のユーザデータは、LTE通信プロトコルレイヤ1、レイヤ2(MAC/RLC/PDCP)により制御される。UE、e NodeBそれぞれのRLC/PDCPサブレイヤには、通信開始時に無線ベアラ(Radio Bearer)が設定される。無線ベアラは、複数起動可能である。無線ベアラ1本につきUE、e NodeBそれぞれに対応するRLC/PDCPエンティティ(Entity)が生成され、無線ベアラを通る送受信データに対する制御情報が保持される。
【0008】
無線ベアラは、大きく3つに分類される。すなわち、レイヤ3(RRC/NAS)の通信制御メッセージを送受信するシグナリングレディオベアラ(SRB:Signaling Radio Bearer)、ユーザデータのうちRLCサブレイヤにて送達確認が取れるまで再送するデータレディオベアラ(DRB−AM:Data Radio Bearer - Acknowledged Mode)、ユーザデータのうちRLCサブレイヤにて送達確認を行わないデータレディオベアラ(DRB−UM:Data Radio Bearer - Unacknowledged Mode)である。DRB−AMとDRB−UMを合わせてDRBと呼ぶ。
【0009】
再送制御方法として、3GPPのE−UTRANで規定されている無線リンク制御が非特許文献1及び非特許文献2等に開示されている。以下、非特許文献1に開示されているE−UTRANでのRLC方式の再送制御方法について図3を用いて説明する。
【0010】
図3において、ステップ(以下、「ST」と省略する)11では、送信側RLCから受信側RLCへSN(Sequence Number)順にデータを送信する。ここでは、送信側RLCは、SN=1〜3を送信するものとし、受信側RLCは、SN=1,3のデータを正常に受信でき、SN=2のデータを正常に受信できなかったものとする。
【0011】
ST12では、受信側RLCは、SN=2のデータを正常に受信できなかったこと(未受信)を示す情報(NACK)をSTATUS−PDU(Protocol Data Unit)に含めて送信側RLCへ送信し、ST13では、送信側RLCは、未受信(NACK)として通知されたSN=2のデータを再送する。
【0012】
受信側RLCは、未受信として通知したデータ(SN=2)の再送をSTATUS−PDU送信周期タイマ(Timer_Status_Periodic)(以下、単に「タイマ」という)が満了するまで待つ。このタイマ満了まで再送がない場合、ST14において、受信側RLCは、再度、SN=2のNACKを送信側RLCへ送信する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】3GPP TS25.322 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Radio Link Control (RLC) protocol specification
【非特許文献2】3GPP TS36.322 Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) Radio Link Control (RLC) protocol specification(Release 8)
【非特許文献3】3GPP TS36.300 Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN);Overall description; Stage 2(Release 8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述したRLC方式の再送制御方法では、図3に示すように、ST13における再送データの受信側RLCへの到着が遅い場合、ST15において再度NACKを送信する場合がある。この場合、送信側RLCは、ST13の再送データが受信側RLCで正常に受信できているにもかかわらず、受信側RLCに届かなかったものと判断して、未受信(NACK)として通知されたSN=2のデータを再度再送してしまうことになる。この結果、再度再送したSN=2のデータは、既に前回の再送において受信側RLCに正常に受信されているため、無駄なデータとして破棄される。
【0015】
このように、再送データの到着前に再送要求を行ってしまう場合、無線リソースの浪費及びシステムスループットの低下を招いてしまう。
【0016】
本発明の目的は、RLC方式の再送制御において、無駄な再送を抑制し、無線リソースを効率的な使用及びシステムスループットの改善を図る無線通信装置及び再送制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の無線通信装置は、通信相手から送信されたNACKを受信する受信手段と、受信した前記NACKの受信時刻と、前記NACKの受信直前に再送したデータの送信時刻とに基づいて求められる時間間隔がRTT(Round Trip Time)より小さい場合、前記NACKを破棄する送信管理手段と、を具備する構成を採る。
【0018】
本発明の再送制御方法は、通信相手から送信されたNACKを受信し、受信した前記NACKの受信時刻と、前記NACKの受信直前に再送したデータの送信時刻とに基づいて求められる時間間隔がRTT(Round Trip Time)より小さい場合、前記NACKを破棄するようにした。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、RLC方式の再送制御において、無駄な再送を抑制し、無線リソースの効率的な使用及びシステムスループットの改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】LTE通信方式で使用されるネットワークアーキテクチャを示す図
【図2】ユーザデータ制御系プロトコルスタックの配置を示す図
【図3】非特許文献1に開示されているE−UTRANでのRLC方式の再送制御方法の説明に供するシーケンス図
【図4】本発明の実施の形態1に係る無線通信装置の構成を示すブロック図
【図5】図4に示した無線通信装置と、通信相手との再送制御手順を示すシーケンス図
【図6】送信側RLCと通信相手の受信側RLCとにおける処理遅延の説明に供する図
【図7】本発明の実施の形態2に係る無線通信装置の構成を示すブロック図
【図8】図7に示した無線通信装置と、通信相手との再送制御手順を示すシーケンス図
【図9】受信側RLCと通信相手の送信側RLCとにおける処理遅延の説明に供する図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、実施の形態において、同一機能を有する構成には、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0022】
(実施の形態1)
図4は、本発明の実施の形態1に係る無線通信装置100の構成を示すブロック図である。以下、図4を用いて無線通信装置の構成について説明する。なお、図4は、特に、RLCサブレイヤの構成を中心に示している。
【0023】
RLCサブレイヤ120は、上位レイヤ110から送出されたPDCP PDUを送信バッファ121に格納する。送信バッファ121に格納されたPDCP PDUは、後述するRLC送信管理部123によって管理される。
【0024】
RLC PDU生成部122は、RLC送信管理部123からの指示に従い、送信バッファ121からデータを取り出し、各データを識別するための情報、データサイズ、及び順序制御のための情報等を含んだRLCサブレイヤのヘッダ情報を、取り出したデータに付与して、RLC PDUを生成する。生成されたRLC PDUは、下位レイヤ130(MAC/PHY)を介して通信相手へ送信される。
【0025】
また、下位レイヤ130(MAC/PHY)は、通信相手から送信されたデータを受信し、RLC PDUを受信した場合には、RLC PDUをRLCサブレイヤ120のRLC PDU解析部125に送出する。
【0026】
RLC PDU解析部125は、下位レイヤ130から送出されたデータがSTATUS−PDU(CONTROL PDU)かPDCP DATA PDU(ユーザデータ)かを判定する。受信したデータがPDCP DATA PDUであると判定された場合、RLC PDU解析部125は、PDCP DATA PDUをRLC受信バッファ部126に格納する。一方、受信したデータがSTATUS−PDUであると判定された場合、RLC PDU解析部125は、STATUS−PDUをRLC送信管理部123に送出する。
【0027】
RLC送信管理部123は、RLC PDU生成部122に対して、順序制御のためのSN(シーケンス番号)の設定、送信バッファ121内の送信すべきデータの設定、及び、通信相手の受信側RLCに対してSTATUS−PDUの送信を要求するPollビットの設定を指示する。
【0028】
また、RLC送信管理部123は、送信したRLC PDUの送信時刻情報を保持し、通信相手の受信側RLCサブレイヤからSTATUS−PDUを受信した時に、RTT(Round Trip Time)を測定する。なお、この測定は、通信の最初に行い、以降、その測定値をRTT固定値として使用してもよいし、通信中、都度測定を行い、ダイナミックに値を更新してもよい。
【0029】
さらに、RLC送信管理部123は、再送したデータの送信時刻情報を保持しておき、その後、通信相手から受信したSTATUS−PDUに再送したデータと同一のデータのNACKが含まれていた場合、当該STATUS−PDUの受信時刻と、この直前に再送したデータの送信時刻とから、その時間間隔がRTTより大きいか判定する。
【0030】
その時間間隔がRTTより小さい場合、RLC送信管理部123は、STATUS−PDUの受信直前に再送したデータが通信相手の受信側RLCに到着する前に、受信側RLCがSTATUS−PDUを送信していると判断し、そのNACKは破棄する。一方、その時間間隔がRTTより大きい場合は、RLC送信管理部123は、STATUS−PDUの受信直前に再送したデータが通信相手の受信側RLCに届かなかったと判断して、NACK通知があったデータを再度再送する。
【0031】
次に、図4に示した無線通信装置100と、通信相手との再送制御手順について図5を用いて説明する。図5では、図4に示した無線通信装置100を送信側RLCとし、通信相手を受信側RLCと表記している。
【0032】
図5において、ST201では、送信側RLCから受信側RLCへSN順にデータを送信する。ここでは、送信側RLCは、SN=1〜3を送信するものとし、受信側RLCは、SN=1,3のデータを正常に受信でき、SN=2のデータを正常に受信できなかったものとする。
【0033】
ST202では、受信側RLCは、SN=2のデータを正常に受信できなかったこと(未受信)を示す情報、すなわち、再送要求(NACK)をSTATUS−PDUに含めて送信側RLCへ送信する。このとき、送信側RLCは、Pollビット送信からSTATUS−PDU受信までのRTTを測定する。
【0034】
ST203では、送信側RLCは、未受信(NACK)として通知されたSN=2のデータを再送する。このとき、送信側RLCは、再送したデータの送信時刻情報を保持しておく。
【0035】
ST204では、通信相手の受信側RLCから受信したSTATUS−PDUにST203において再送したデータと同一のデータのNACK通知があった場合、当該STATUS−PDUの受信時刻と、この直前に再送したデータの送信時刻とから、その時間間隔がRTTより大きいか判定する。
【0036】
その時間間隔がRTTより小さい場合は、STATUS−PDUの受信直前に再送したデータが通信相手の受信側RLCに到着する前に、受信側RLCがSTATUS−PDUを送信していると判断し、そのNACKは破棄する。これにより、通信相手の受信側RLCに再送データが届く前に受信側RLCがタイマ満了に伴うNACK通知を行っていた場合でも、無駄な再送を抑制することができる。一方、その時間間隔がRTTより大きい場合は、STATUS−PDUの受信直前に再送したデータが通信相手の受信側RLCに届かなかったと判断して、NACK通知があったデータを再度再送する。
【0037】
このように、実施の形態1によれば、通信相手の受信側RLCから受信したSTATUS−PDU(NACK)の受信時刻と、このNACKの受信直前に再送したデータの送信時刻とに基づいて求められる時間間隔がRTTより小さい場合、NACKの受信直前に再送したデータが通信相手の受信側RLCに到着する前に、通信相手の受信側RLCがSTATUS−PDU(NACK)を送信していると判断し、そのNACKは破棄される。これにより、通信相手の受信側RLCに再送データが届く前に受信側RLCがタイマ満了に伴うNACK通知を行っていた場合でも、そのNACKを破棄することになるので、無駄な再送を抑制することができる。この結果、無線リソースの効率的な使用及びシステムスループットの改善を図ることができる。
【0038】
なお、本実施の形態では、送信側RLCがPollビットを送信してからSTATUS−PDUを受信するまでの時間を測定してRTTを求めているが、本発明はこれに限るものではない。例えば、次のようにRTTを定義してもよい。送信側RLCは、通信開始(コネクションセットアップ)時に通信相手のRLCと処理遅延に関する情報交換を行い、RTTを定義する。具体的な処理遅延としては、まず、MAC/PHYレイヤでの送受信遅延(Tx-delay、Rx-delay)と、通信相手の受信側RLCのPollビットを受信してからSTATUS−PDU送信までの遅延(STATUS-Tx-delay)を定義する。送信側RLCと通信相手の受信側RLCとが、これらの処理遅延に関する情報をコネクションセットアップ時に交換する。
【0039】
Pollビット送信からSTATUS−PDU受信までに相当するRTTは、図6からも分かるように、以下の式(1)により決定することができる。
RTT=
送信側RLCのTx-delay+受信側RLCのRx-delay+受信側RLCのSTATUS-Tx-delay
+受信側RLCのTx-delay+送信側RLCのRx-delay …(1)
【0040】
式(1)では、無線回線における遅延を含めていないが、無線回線遅延も推測可能なシステムであれば、無線回線の遅延を加えることで、より精度を高めることができる。
【0041】
(実施の形態2)
実施の形態1では、送信側RLCにおいて再送データであるSTATUS−PDUの送信可否を判断する場合について説明したが、本発明の実施の形態2では、受信側RLCにおいて正常受信を示すACK又は再送要求を示すNACKを含むSTATUS−PDUの送信タイミングを調整する場合について説明する。
【0042】
図7は、本発明の実施の形態2に係る無線通信装置300の構成を示すブロック図である。ただし、図7が図4と異なる点は、RLC受信管理部301を追加し、RLC送信管理部123をRLC送信管理部302に変更した点である。
【0043】
RLC受信管理部301は、RLC受信バッファ126に格納されたデータのSN、Pollビットの設定、受信時刻情報を管理する。RLC受信管理部301は、受信したデータのSNにロスがあり、送信側RLCに再送要求(NACK)を送信すべきと判断した場合、STATUS−PDU送信要求をRLC送信管理部302に通知する。
【0044】
RLC送信管理部302は、RLC受信管理部301から通知されたSTATUS−PDU送信要求に従って、STATUS−PDUの送信をRLC PDU生成部122に指示する。また、RLC送信管理部302は、STATUS−PDUの送信時刻情報をRLC受信管理部301に対して通知する。
【0045】
次に、図7に示した無線通信装置300と、通信相手との再送制御手順について図8を用いて説明する。図8では、図7に示した無線通信装置300を受信側RLCとし、通信相手を送信側RLCと表記している。
【0046】
図8において、ST401では、送信側RLCから受信側RLCへSN順にデータを送信する。ここでは、送信側RLCは、SN=1〜3を送信するものとし、受信側RLCは、SN=1,3のデータを正常に受信でき、SN=2のデータを正常に受信できなかったものとする。
【0047】
ST402では、受信側RLCは、SN=2のデータを正常に受信できなかったこと(未受信)を示す情報、すなわち、再送要求(NACK)をSTATUS−PDUに含めて送信側RLCへ送信する。
【0048】
ST403では、送信側RLCは、未受信(NACK)として通知されたSN=2のデータを再送し、受信側RLCが再送されたデータを受信する。このとき、受信側RLCは、ST402におけるSTATUS−PDUの送信から再送データの受信までのRTTを測定する。また、受信側RLCは、測定したRTTより大きい値にタイマを設定する。なお、ここでは、受信側RLCがSN=2の再送データを正常に受信できたものとする。
【0049】
ST404では、受信側RLCがタイマの満了を確認して、STATUS−PDUを送信側RLCに送信する。ここでは、ST403において、再送データが正常に受信されているため、受信側RLCは、STATUS−PDUにACKを含めている。
【0050】
このように、実施の形態2によれば、受信側RLCがタイマをRTTより大きい値に設定し、タイマの満了を待ってからSTATUS−PDUを送信することにより、通信相手の送信側RLCからの再送データが届く前に受信側RLCがNACK通知を行うことがなくなり、無駄な再送を抑制することができる。この結果、無線リソースの効率的な使用及びシステムスループットの改善を図ることができる。
【0051】
なお、本実施の形態では、受信側RLCがSTATUS−PDUを送信してから再送データを受信するまでの時間を測定してRTTを求めているが、本発明はこれに限るものではない。例えば、次のようにRTTを定義してもよい。送信側RLCは、通信開始(コネクションセットアップ)時に通信相手のRLCと処理遅延に関する情報交換を行い、RTTを定義する。具体的な処理遅延としては、まず、MAC/PHYレイヤでの送受信遅延(Tx-delay、Rx-delay)と、通信相手の送信側RLCのNACK通知を受信してから当該NACK通知に基づいてデータを再送するまでの遅延(STATUS-Tx-delay)を定義する。送信側RLCと通信相手の受信側RLCとが、これらの処理遅延に関する情報をコネクションセットアップ時に交換する。
【0052】
受信側RLCがSTATUS−PDUを送信してから再送データを受信するまでに相当するRTTは、図9からも分かるように、以下の式(2)により決定することができる。
RTT=
受信側RLCのTx-delay+送信側RLCのRx-delay
+送信側RLCのRetransmit-Tx-delay+送信側RLCのTx-delay
+受信側RLCのRx-delay …(2)
【0053】
式(2)では、無線回線における遅延を含めていないが、無線回線遅延も推測可能なシステムであれば、無線回線の遅延を加えることで、より精度を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明にかかる無線通信装置及び再送制御方法は、移動通信システムにおける無線通信端末装置及び無線通信基地局装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0055】
100、300 無線通信装置
110 上位レイヤ
120 RLCサブレイヤ
121 送信バッファ
122 RLC PDU生成部
123、302 RLC送信管理部
125 RLC PDU解析部
126 RLC受信バッファ
130 下位レイヤ
301 RLC受信管理部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信相手から送信されたNACKを受信する受信手段と、
受信した前記NACKの受信時刻と、前記NACKの受信直前に再送したデータの送信時刻とに基づいて求められる時間間隔がRTT(Round Trip Time)より小さい場合、前記NACKを破棄する送信管理手段と、
を具備する無線通信装置。
【請求項2】
前記送信管理手段は、Pollビットを送信してからSTATUS−PDUを受信するまでの時間をRTTとして測定する請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記送信管理手段は、自装置及び前記通信相手のそれぞれにおける受信遅延及び送信遅延に基づいて、RTTを測定する請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
通信相手から送信されたNACKを受信し、
受信した前記NACKの受信時刻と、前記NACKの受信直前に再送したデータの送信時刻とに基づいて求められる時間間隔がRTT(Round Trip Time)より小さい場合、前記NACKを破棄する、
再送制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−34048(P2013−34048A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168060(P2011−168060)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】