無線通信装置
【課題】定期送信を行う通信装置とランダム送信を行う通信装置との2種類の通信装置が混在する無線通信システムにおいて、第1通信装置が、周囲の第1通信装置の定期送信期間情報を送信することなく、第2通信装置が、複数の第1通信装置からの定期送信期間情報を取得することを可能にする
【解決手段】第2通信装置は、複数の第1通信装置から受信した定期送信期間情報を保持用定期送信情報IA1〜IA6として記憶し、保持用定期送信情報IA1〜IA6の中から、所定の選択条件に基づいて選択した保持用定期送信情報(図では、定期送信期間情報を転送した回数(転送回数)が最小となる保持用定期送信情報)を転送用定期送信情報IBとして、他の第2通信装置に転送する。さらに第2通信装置は、保持用定期送信情報IA1〜IA6に基づいて、自身がランダム送信を禁止する期間を示す送信禁止期間設定情報ICを作成する。
【解決手段】第2通信装置は、複数の第1通信装置から受信した定期送信期間情報を保持用定期送信情報IA1〜IA6として記憶し、保持用定期送信情報IA1〜IA6の中から、所定の選択条件に基づいて選択した保持用定期送信情報(図では、定期送信期間情報を転送した回数(転送回数)が最小となる保持用定期送信情報)を転送用定期送信情報IBとして、他の第2通信装置に転送する。さらに第2通信装置は、保持用定期送信情報IA1〜IA6に基づいて、自身がランダム送信を禁止する期間を示す送信禁止期間設定情報ICを作成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一定周期毎に繰り返される定期送信期間内に送信されるデータを受信する無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の通信装置が同一の通信チャンネルを利用して相互に無線通信を行う場合には、各通信装置が、送信要求の発生時に、キャリアセンスによって通信チャンネルの空き状態を検出するアクセス制御を行い、このアクセス制御によって通信チャンネルの空き状態を検出するとデータ送信を開始するというCSMA方式の無線通信が知られている。
【0003】
また、こうしたCSMA方式の無線通信では、複数の通信装置がランダムにデータ送信を行う。このため、例えば、自動車の安全運転支援システムでの無線通信に適用すると、重要性の高い情報を路上機から車載機へ送信しようとしても、路上機が通信チャンネルで送信権を取得するのに時間がかかり、重要情報を周囲の車両に送信できないことがある。
【0004】
そこで、路上機が、一定周期毎に繰り返される定期送信期間内に送信データを無線送信する際に、定期送信期間を示す定期送信期間情報を、この送信データに付加して送信し、車載機が、送信データに付加された定期送信期間情報を受信すると、定期送信期間情報により示される定期送信期間に基づいて送信禁止期間を設定し、車載機側で、送信禁止期間内におけるデータ送信を禁止するという方法が提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0005】
これにより、路上機から車載機へデータ送信する機会を定期的に確保することができるとともに、路上機から無線送信されたデータと車載機から無線送信されたデータとの衝突の発生を抑制することができる。
【0006】
そして非特許文献1では、路上機が、自身の定期送信期間情報に、他の路上機の定期送信期間情報を付加して無線送信する方法が提案されている。
例えば図9に示すように、或る路上機100Aの周辺に、複数の路上機100B,100C,100D,100E,100Fが設置されており、これらのうち路上機100B,100C,100D,100Eが路上機100Aに隣接している。なお、図9に点線で示す円形の範囲RA,RB,RC,RD,RE,RFはそれぞれ、路上機100A,100B,100C,100D,100E,100Fからの送信電波が届くエリアを示す。すなわち、路上機100A,100B,100C,100D,100E,100Fはそれぞれ、他の路上機からの電波が届かない位置に設置されている。
【0007】
そして、路上機100A,100B,100C,100D,100E,100Fにはそれぞれ、自身の定期送信期間情報に加えて、隣接する路上機の定期送信期間情報が予め設定されており、自身の定期送信期間情報に加えて、隣接する路上機の定期送信期間情報を付加して無線送信する(図中の送信データDA,DB,DC,DD,DE,DFを参照)。
【0008】
例えば、路上機100Aには、路上機100B,100C,100D,100Eの定期送信期間情報が予め設定されており、路上機100Aは、路上機100A自身の定期送信期間情報に、路上機100B,100C,100D,100Eの定期送信期間情報を付加して無線送信する(図中の送信データDAを参照)。
【0009】
また、例えば路上機100Cは、路上機100A,100Fに隣接しているため、路上機100Cには、路上機100A,100Fの定期送信期間情報が予め設定されており、路上機100C自身の定期送信期間情報に、路上機100A,100Fの定期送信期間情報を付加して無線送信する(図中の送信データDCを参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】J. Kosai, S. Kato, T. Saito, K. Matsugatani, H. Nanba, "Prioritized CSMA Protocol for Roadside-to-Vehicle and Vehicle-to-Vehicle Communication Systems," SAE World Congress 2009, 2009-01-0165, 2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上述のように、自身の定期送信期間情報に、他の路上機の定期送信期間情報を付加して無線送信すると、以下の3つの問題が発生する。
まず第1の問題は、車載機側での周波数利用効率の低下である。例えば、図9において、路上機100Aと100Bとの間に位置する車載機は、路上機100Aの定期送信期間と路上機100Bの定期送信期間にデータ送信を禁止すれば、路上機から無線送信されたデータと車載機から無線送信されたデータとの衝突の発生を回避することができる。しかし路上機100Aは、路上機100Bだけでなく、路上機100C,100D,100Eの定期送信期間情報も送信する。このため、路上機100Aと100Bとの間に位置する車載機は、本来不必要である、路上機100C,100D,100Eの定期送信期間においてもデータ送信を禁止してしまうことになる。
【0012】
また第2の問題は、路上機の運用が複雑になることである。例えば新たな路上機が設置された場合や、既存の路上機の設定が変更された場合に、これに対応して定期送信期間情報を再設定する作業を、周囲の路上機に対して行う必要がある。
【0013】
また第3の問題は、動的な状況への対応が困難であることである。すなわち、移動通信端末(例えば、緊急車両に搭載された車載機)が、路上機のように優先的な通信を必要とする可能性が考えられる。この場合には、移動通信端末の移動に応じて路上機の定期送信期間情報を動的に再設定する必要がある。しかし、移動通信端末の周囲に位置することになる路上機は移動通信端末の移動に応じて逐次変化するため、移動通信端末の移動に追随して、移動通信端末の周囲に位置することになる路上機に対して定期送信期間情報を再設定する作業を行うのは困難である。
【0014】
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、定期送信期間内に無線通信する第1通信装置と、定期送信期間外に無線通信する第2通信装置との2種類の通信装置が混在する無線通信システムにおいて、第1通信装置が、周囲の第1通信装置の定期送信期間情報を送信することなく、第2通信装置が、複数の第1通信装置からの定期送信期間情報を取得することを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の無線通信装置は、一定周期毎に繰り返される予め設定された定期送信期間内に、予め設定された通信チャンネルを利用してデータを無線送信する第1通信装置と、通信チャンネルを利用してデータを無線受信するとともに、データ送信が必要になったときに通信チャンネルが空いているか否かを判定して、通信チャンネルが空いている場合にデータを無線送信する第2通信装置との2種類の通信装置が混在した無線通信システムにおいて、第2通信装置として使用される無線通信装置である。
【0016】
そして第1通信装置は、定期送信期間を示すデータである定期送信期間情報を無線送信するように構成される。
また、第2通信装置として使用される無線通信装置は、第1通信装置から受信した定期送信期間情報を複数記憶可能な期間情報記憶手段を備え、期間情報転送手段が、期間情報記憶手段に記憶されている定期送信期間情報の中から、予め設定された選択条件に基づいて、定期送信期間情報を選択し、この選択した定期送信期間情報を、無線送信することにより他の第2通信装置へ転送する。
【0017】
すなわち本発明の無線通信装置は、定期送信期間情報を複数記憶し、記憶した複数の定期送信期間情報の中から選択した定期送信期間情報を他の第2通信装置へ転送する。このため、第1通信装置が他の第1通信装置の定期送信期間情報を送信せず、自身の定期送信期間情報のみを送信する場合に、第2通信装置として使用される無線通信装置は、複数の第1通信装置からそれぞれ1つの定期送信期間情報を受信することにより、それぞれ異なる第1通信装置からの複数の定期送信期間情報を取得し、さらに、異なる第1通信装置からの複数の定期送信期間情報を、他の第2通信装置へ転送することができる。
【0018】
したがって、他の第2通信装置は、それぞれ異なる第1通信装置からの複数の定期送信期間情報を、第2通信装置からのデータ受信により一括して受信することができる。このため、第1通信装置が、他の第1通信装置の定期送信期間情報を送信することを不要にすることができる。
【0019】
このため、第2通信装置は、自身と無線通信可能なエリア外に設置された第1通信装置からの定期送信期間情報を第1通信装置から直接受信することがなくなり、本来不必要である、自身と干渉しないエリアに設置された第1通信装置の定期送信期間においてもデータ送信を禁止してしまうことを抑制することができる。
【0020】
また、上述のように、第1通信装置が他の第1通信装置の定期送信期間情報を送信することを不要にすることができることから、第1通信装置に、他の第1通信装置の定期送信期間情報を設定する必要がなくなる。このため、例えば新たな第1通信装置が設置された場合や、既存の第1通信装置の設定が変更された場合に、これに対応して定期送信期間情報を再設定する作業を、周囲の第1通信装置に対して行う必要がなく、第1通信装置の運用を簡略化することができる。
【0021】
また、優先的な通信を必要とする移動通信端末が移動している状況下でも、第2通信装置側で、移動通信端末の定期送信期間情報と、第1通信装置の定期送信期間情報とを統合して他の第2通信装置へ転送することができる。すなわち、移動通信端末が移動に応じて定期送信期間情報を再設定する作業を、周囲の第1通信装置に対して行う必要がなく、動的な状況への対応を容易にすることができる。
【0022】
さらに、第2通信装置として使用される本発明の無線通信装置は、禁止期間設定手段が、期間情報記憶手段に記憶されている定期送信期間情報を用いて、予め設定された期間設定条件に基づいて送信禁止期間を設定し、送信禁止期間内におけるデータ送信を禁止する。
【0023】
これにより、第2通信装置として使用される無線通信装置は、複数の第1通信装置のそれぞれに対応して、各第1通信装置が定期送信期間内にデータを無線送信しているときにデータ送信を行わないようにすることができ、第1通信装置からのデータと第2通信装置からのデータとの衝突の発生を抑制することができる。
【0024】
また、請求項1に記載の無線通信システムにおいて、第1通信装置が、定期送信期間情報を転送した回数である転送回数を示す転送回数情報を、定期送信期間情報に付加して無線送信するように構成され、第2通信装置の期間情報転送手段が、複数の定期送信期間情報を一括して転送するとともに、この一括して送信される複数の定期送信期間情報に対応した転送回数情報を1つのみ付加するように構成されている場合には、請求項2に記載のように、選択条件は、付加されている転送回数情報が示す転送回数が最小の定期送信期間情報を選択することであるようにするとよい。
【0025】
なお、転送回数が大きいと、その転送回数情報が付加された定期送信期間情報は、遠くの第1通信装置から送信されたものであり、逆に転送回数が小さいと、近くの第1通信装置から送信されたものであると考えられる。
【0026】
このため、請求項2に記載の無線通信装置によれば、遠くの第1通信装置からの定期送信期間情報よりも、近くの第1通信装置からの定期送信期間情報を優先して送信することができる。
【0027】
また、請求項2に記載の無線通信装置において、転送回数が最小の定期送信期間情報を全て送信するようにしてもよいが、転送回数が最小の定期送信期間情報の全てを送信することができない場合には、請求項3に記載のように、選択条件は、転送回数が最小の定期送信期間情報の中から、ランダムに決定された定期送信期間情報を選択することであるようにするとよい。これにより、転送回数が最小の定期送信期間情報の中で、転送する定期送信期間情報を容易に決定することができる。
【0028】
また、請求項1に記載の無線通信システムにおいて、第1通信装置が、定期送信期間情報を転送した回数である転送回数を示す転送回数情報を、定期送信期間情報に付加して無線送信するように構成され、第2通信装置の期間情報転送手段は、複数の定期送信期間情報を一括して転送するとともに、この一括して送信される複数の定期送信期間情報のそれぞれに対応した転送回数情報を付加するように構成されている場合には、請求項4に記載のように、選択条件は、期間情報記憶手段に記憶されている全ての定期送信期間情報を選択することであるようにしてもよい。
【0029】
このように構成された無線通信装置によれば、転送すべき定期送信期間情報を選択するための処理負荷を低減することができる。
また、請求項1に記載の無線通信システムにおいて、第1通信装置が、定期送信期間情報を転送した回数である転送回数を示す転送回数情報を、定期送信期間情報に付加して無線送信するように構成され、第2通信装置の期間情報転送手段が、複数の定期送信期間情報を一括して転送するとともに、この一括して送信される複数の定期送信期間情報のそれぞれに対応した転送回数情報を付加するように構成されている場合には、請求項5に記載のように、選択条件は、付加されている転送回数情報が示す転送回数が小さいものから順に、予め設定された選択個数の定期送信期間情報を選択することであるようにしてもよい。
【0030】
このように構成された無線通信装置によれば、遠くの第1通信装置からの定期送信期間情報よりも、近くの第1通信装置からの定期送信期間情報を優先して送信することができる。
【0031】
また、請求項1に記載の無線通信システムにおいて、第1通信装置が、定期送信期間情報を転送した回数である転送回数を示す転送回数情報を、定期送信期間情報に付加して無線送信するように構成され、第2通信装置の期間情報転送手段が、複数の定期送信期間情報を一括して転送するとともに、この一括して送信される複数の定期送信期間情報のそれぞれに対応した転送回数情報を付加するように構成されている場合には、請求項6に記載のように、選択条件は、予め設定された選択個数の定期送信期間情報をランダムに選択することであるようにしてもよい。
【0032】
このように構成された無線通信装置によれば、転送する定期送信期間情報を容易に決定することができる。また、定期送信期間情報を複数回送信する場合や、複数台の第2通信装置が存在する場合に、ランダムに選択することで、転送する定期送信期間情報が固定されないため、予め設定された選択個数以上の定期送信期間情報を通信エリア内の他の第2通信装置へ届けることができる。例えば、一度に転送できる定期送信期間情報の数が3個で、期間情報記憶手段に記憶されている定期送信期間情報の数が5個である場合に、一度に送信できる数が3個であっても、ランダムに複数回送信することにより、期間情報記憶手段に記憶されている全ての定期送信期間情報が周囲の第2通信装置へ届くことになる。また、自身の周囲に、同じ定期送信期間情報を記憶している第2通信装置が存在する場合に、これら第2通信装置のそれぞれが、異なる定期送信期間情報を選択することになるため、結果的に全ての定期送信期間情報が周囲へ転送されることになる。
【0033】
また、請求項1〜請求項6の何れかに記載の無線通信装置において、請求項7に記載のように、送信期間連結手段が、期間情報転送手段により選択された複数の定期送信期間情報の中で、定期送信期間が第1所定間隔以下で隣接している定期送信期間情報がある場合に、隣接している定期送信期間の間を定期送信期間として、隣接している定期送信期間を連結することにより、1つの連続した定期送信期間を示す定期送信期間情報とするようにしてもよい。
【0034】
このように構成された無線通信装置によれば、隣接している2つの定期送信期間を連結して1つの連続した定期送信期間とすることができるので、転送する定期送信期間情報の数、すなわち無線送信するデータ量を低減させることができる。
【0035】
また、請求項1〜請求項7の何れかに記載の無線通信装置において、請求項8に記載のように、期間設定条件は、期間情報記憶手段に記憶されている定期送信期間情報が示す定期送信期間の全てを、送信禁止期間とすることであるようにするとよい。
【0036】
このように構成された無線通信装置によれば、当該無線通信装置が認識した全ての第1通信装置の定期送信期間内においてデータの無線送信を禁止するため、第1通信装置から送信されるデータと当該無線通信装置から送信されるデータとの衝突の発生を最小限に抑制することができる。
【0037】
また、請求項8に記載の無線通信装置において、請求項9に記載のように、定期送信期間情報が示す定期送信期間内を1、定期送信期間外を0として、期間情報記憶手段に記憶されている全ての定期送信期間情報について、同一時刻での論理和を算出し、この算出結果が1となる期間を、送信禁止期間とするようにするとよい。
【0038】
このように構成された無線通信装置によれば、論理和という簡便な演算方法で、送信禁止期間を設定することができる。
また、請求項1〜請求項9の何れかに記載の無線通信装置において、請求項10に記載のように、禁止期間連結手段が、禁止期間設定手段により設定された複数の送信禁止期間の中で、予め設定された期間連結条件に基づいて、隣接している送信禁止期間の間を送信禁止期間に設定して、隣接している送信禁止期間を連結することにより、1つの連続した送信禁止期間とするようにするとよい。
【0039】
このように構成された無線通信装置によれば、隣接している2つの送信禁止期間を連結して1つの連続した送信禁止期間とすることができるので、送信禁止期間の数、すなわち送信禁止期間を設定するためのデータ量を低減させることができる。
【0040】
また請求項10に記載の無線通信装置において、請求項11に記載のように、期間連結条件は、禁止期間設定手段により設定された複数の送信禁止期間の中で、隣接している送信禁止期間の間の間隔が小さいものから順に、予め設定された設定個数を送信禁止期間に設定することであるようにしてもよい。
【0041】
このように構成された無線通信装置によれば、無線送信ができる期間の減少を必要最小限に抑制して、送信禁止期間の数を低減させることができる。
また請求項10に記載の無線通信装置において、請求項12に記載のように、期間連結条件は、隣接している送信禁止期間の間が予め設定された第2所定間隔以下であることであるようにしてもよい。
【0042】
このように構成された無線通信装置によれば、隣接している送信禁止期間の間が第2所定間隔より大きいものは送信禁止期間に設定されないため、隣接している送信禁止期間の間が大きいものが送信禁止期間に設定されることを抑制し、無線送信ができる期間の減少を抑制することができる。
【0043】
ところで、禁止期間設定手段により設定された複数の送信禁止期間が全て同一である複数の第2通信装置が存在している場合に、請求項11または請求項12の期間連結条件で送信禁止期間を連結すると、全て同じように送信禁止期間が連結される。このため、連結された送信禁止期間において、第2通信装置の全てが無線通信を行っていないという状況の発生が考えられる。
【0044】
そこで、請求項10に記載の無線通信装置において、請求項13に記載のように、期間連結条件は、隣接している送信禁止期間の間をランダムに送信禁止期間に設定することであるようにしてもよい。
【0045】
このように構成された無線通信装置によれば、禁止期間設定手段により設定された複数の送信禁止期間が全て同一である複数の第2通信装置が存在している場合であっても、これら複数の第2通信装置ごとに、連結される送信禁止期間が異なるようにすることができる。このため、連結された送信禁止期間において第2通信装置の全てが無線通信を行っていないという状況の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】無線通信システムの構成及び動作の概要を示す説明図である。
【図2】通信装置2の構成を示すブロック図である。
【図3】通信装置2を定期送信用として使用する際に動作する機能ブロックを示す説明図である。
【図4】通信装置2をランダム送信用として使用する際に動作する機能ブロックを示す説明図である。
【図5】定期送信情報更新処理を示すフローチャートである。
【図6】転送用定期送信情報の選択と送信禁止期間設定情報の作成を説明する図である。
【図7】転送用定期送信情報の転送の具体例を示す図である。
【図8】他の実施形態の定期送信情報更新処理を示すフローチャートである。
【図9】路上機が、自身の定期送信期間情報に、他の路上機の定期送信期間情報を付加して無線送信する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
図1は、無線通信システムの構成及び動作の概要を示す説明図である。
本実施形態の無線通信システムは、図1(a)に示すように、路上機として自動車の走行路付近に分散して設置される複数の通信装置2Aと、自動車に搭載され、路上機や他の車両との間で無線通信を行う通信装置2B,2C,…とから構成されている。
【0048】
通信装置2Aは、交通情報等の各種情報を周囲の自動車に定期的に送信する定期送信機能を有し、通信装置2B,2C,…は、自動車に搭載された制御装置からの送信要求を受けて、自車両の状態等を路上機や他の車両に送信するランダム送信機能を有する。
【0049】
そして、これら各通信装置2A,2B,2C,…間の通信には、全て共通の通信チャンネルが使用され、通信装置2B,2C,…がランダム送信する際には、CSMA方式のアクセス制御によって通信チャンネルが空いているか否かを判断し、通信チャンネルが空いているときにデータ送信を開始する。
【0050】
また通信装置2Aは、定期送信を行うが、この定期送信の周期は、予め決められており、通信装置2Aには、定期送信一周期内のどの期間を定期送信に利用するかが割り当てられている。
【0051】
そして通信装置2Aは、その割り当てられた定期送信期間を、定期送信によって他の通信装置2B,2C,…に通知し、他の通信装置2B,2C,…は、その通知された定期送信期間中は、ランダム送信を禁止する。
【0052】
つまり本実施形態では、定期送信機能を有する通信装置2Aが、図1(b)に示すように、定期送信期間の開始タイミングと定期送信期間の長さ(期間長)を表す定期送信期間情報に、通信装置2Aの識別情報である装置IDと後述の転送回数と、送信時刻を付加した定期送信情報を、単独或いは他の送信データに付加して、周囲に定期送信する。
【0053】
そして、ランダム送信機能を有する他の通信装置2B,2C,…は、通信装置2Aが送信した定期送信情報を受けると、その定期送信情報に基づき、図1(c)に示すように、通信装置2Aの定期送信期間内にランダム送信を開始してしまうことのないよう自らのランダム送信禁止期間を設定し、そのランダム送信禁止期間以外の期間(ランダム送信期間)内に、ランダム送信を行う。
【0054】
また図1(a)に示すように、通信装置2Bが、通信装置2Aからの送信電波が届くエリア(図に斜線で示す領域)内に位置し、通信装置2Cがそのエリア外に位置する場合、通信装置2Cには通信装置2Aから送信された定期送信情報が届かず、通信装置2Cが通信装置2Aの定期送信期間内にランダム送信を開始し、通信装置2B側では、通信装置2A,2Cからの送信電波が同時に届き、それぞれの送信データを受信できなくなることが考えられる。
【0055】
そこで本実施形態では、通信装置2B,2C,…が定期送信情報を受信したときには、その定期送信情報を再送信することにより、通信装置2Aから離れた他の通信装置に定期送信情報を通知するようにされている。
【0056】
そして、各通信装置2B,2C,…が他の通信装置に定期送信情報を再送信する際には、定期送信情報の中の転送回数を更新(+1)することで、定期送信情報を受信した通信装置側で、その定期送信情報が、通信装置2Aが最初に送信してから何度目の転送で届いたのかを識別できるようにされている。
【0057】
また通信装置2B,2C,…側で、定期送信情報に基づきランダム送信禁止期間を設定するには、通信装置2A側で認識されている定期送信の周期と、通信装置2B,2C,…側で認識されている定期送信の周期とを一致させる必要がある。
【0058】
そこで本実施形態では、通信装置2Aが定期送信情報を送信するときや、通信装置2B,2C,…が定期送信情報を転送するときには、その送信時刻を自らの時計から読み出して定期送信情報の中の送信時刻を書き換える。そして、定期送信情報を受信した通信装置2B,2C,…側では、定期送信情報の中の送信時刻と、自らの時計から読み出した受信時刻とを比較することで、時計の時刻を、定期送信情報を送信してきた通信装置2A,2B,…側の時刻と同期させる。
【0059】
つまり、例えば、図1(a)において、通信装置2Aから送信された定期送信情報は通信装置2Bに届き、通信装置2Bは、その定期送信情報を通信装置2Cに転送することになるが、通信装置2B,2Cが定期送信情報を受信した際に、自らの時計の時刻を、定期送信情報を送信してきた通信装置2A,2Bの時計と同期させることで、定期送信情報を受信した各通信装置2B,2C,…の時計が、全て、通信装置2Aの時計と同一時刻となるように時刻同期させるのである。
【0060】
この結果、各通信装置2A,2B,2C,…は、自らの時計を用いて、定期送信の一周期を同タイミングで検知できるようになる。
(通信装置の構成)
図2は、上述した本実施形態の無線通信システムを構築するのに用いられる通信装置2の構成を示すブロック図である。
【0061】
通信装置2は、定期送信機能とランダム送信機能との両方の機能を有し、路上機としての通信装置2Aにも、車載機としての通信装置2B,2C,…にも使用できるものである。
【0062】
通信装置2は、図2に示すように、外部の制御装置から入力される送信データにヘッダ等の付加情報を付加して出力するデータ送信部12と、データ送信部12から出力された送信データを所定の通信チャンネルでの送信信号(高周波信号)に変換して通信アンテナ(図示せず)に出力する変調処理部14と、通信アンテナにて受信された受信信号を取り込み、他の通信装置からの送信データを復元する復調処理部16と、復調処理部16にて復元された受信データからヘッダ等の付加情報を抽出し、受信データが当該通信装置2に向けて送信されたものであれば受信データを外部の制御装置に出力するデータ受信部18とを備える。
【0063】
また通信装置2は、通信装置2が定期送信を行う際に設定される定期送信情報、若しくは、通信装置2がランダム送信を行う際に他の通信装置から取得した定期送信情報を記憶するための定期送信期間テーブル(具体的にはメモリ)20、当該通信装置2が定期送信を行う際に実際にデータ送信を行う定期送信期間を、定期送信期間テーブル20内の定期送信情報(通信装置自身の定期送信期間情報)に基づき決定し、データ送信部12に出力する定期送信期間決定部30と、当該通信装置2がランダム送信を行う際にランダム送信を禁止する期間(ランダム送信禁止期間)を、定期送信期間テーブル20内の定期送信情報(他の通信装置から取得した定期送信期間情報)に基づき決定し、データ送信部12に出力するランダム送信禁止期間決定部40とが設けられている。
【0064】
そしてデータ送信部12は、定期送信期間決定部30から定期送信期間情報が入力されると、その情報に対応した定期送信期間だけ、送信データの定期送信が可能となり、ランダム送信禁止期間決定部40からランダム送信禁止期間情報が入力されると、その情報に対応したランダム送信禁止期間だけ、送信データのランダム送信を禁止する。
【0065】
また通信装置2は、内部クロックをカウントすることにより時刻を計時する時計4を備える。そしてデータ送信部12は、この時計4による計時時刻に基づき、定期送信の周期、及び、その周期内の定期送信期間あるいはランダム送信禁止期間を検知し、定期送信あるいはランダム送信を制御する。
【0066】
また時計4にはタイマリセット部6が接続されている。このタイマリセット部6は、時計4による計時時刻(詳しくはカウント値)が、定期送信一周期分のカウント値の所定の整数値倍になった時点で、時計4をリセットして、そのカウント値を初期化する。
【0067】
なお、このタイマリセット部6は、基準となる絶対時刻を表す外部信号を入力できるようにされており、タイマリセット部6は、外部信号が入力されているときには、この外部信号から得られる基準時刻で時計4をリセットすることにより、同じ外部信号が入力される他の通信装置との間で、時計4を時刻同期させる。
(ソフトウェア処理により実現される機能ブロック)
次に、通信装置2には、データ受信部18にて受信された定期送信情報に基づき、定期送信期間テーブル20内の定期送信情報を更新する定期送信期間更新部50と、データ受信部18が受信した定期送信情報の送信時刻やその受信データの受信時刻を取り込み、時刻差(受信時刻−送信時刻)を算出する時刻差分計算部52と、時刻差分計算部52で算出された時刻差と、時計4の他の通信装置との同期精度を表す同期精度情報とに基づき、時刻差が同期精度に対応した許容範囲内にあるか否かを判定して、許容範囲内になければ、時計4に時刻補正情報を出力することで、時刻を補正させる時刻補正判断部54が設けられている。
【0068】
この定期送信期間更新部50、時刻差分計算部52、および時刻補正判断部54は、マイクロコンピュータによるソフトウェア処理により実現される機能ブロックであり、定期送信期間更新部50は、マイクロコンピュータのソフトウェア処理によって、通信装置2Aによる定期送信情報の送信処理や、通信装置2B,2C,…による定期送信情報の再送信処理も実現する。
【0069】
なお、図2において、定期送信期間更新部50、時刻差分計算部52および時刻補正判断部54以外の機能ブロック、つまり、時計4、タイマリセット部6、データ送信部12、変調処理部14、復調処理部16、定期送信期間テーブル20、定期送信期間決定部30、およびランダム送信禁止期間決定部40は、全てデジタル回路からなるハードウェア構成にて実現される。
【0070】
図3は、本実施形態の通信装置2において、通信装置2が定期送信を行う路上機として使用される場合に動作する、定期送信用の機能ブロックを示す図である。
通信装置2が、定期送信を行う通信装置2Aとして使用されるときには、図3に示すように、時計4、タイマリセット部6、データ送信部12、変調処理部14、定期送信期間テーブル20、定期送信期間決定部30、および定期送信期間更新部50が動作し、データ送信部12からの送信データの出力期間が、定期送信期間決定部30にて決定される定期送信期間に制限される。
【0071】
また、この場合に、定期送信期間テーブル20には、通信装置2自身が定期送信を行う際の定期送信期間を表す定期送信情報が記憶されており、定期送信期間更新部50は、マイクロコンピュータによるソフトウェア処理によって、定期送信期間テーブル20からこの定期送信情報を読み込み、データ送信部12に出力することで、この定期送信情報を定期送信させる。なお、データ送信部12は、定期送信情報を送信する際、その送信時刻を時計4から読み出し、定期送信情報の中の送信時刻を書き換える。
【0072】
図4は、通信装置2がランダム送信を行う車載機として使用される場合に動作する、ランダム送信用の機能ブロックを示す図である。
通信装置2が、ランダム送信を行う通信装置2B,2C,…として使用されるときには、図4に示すように、定期送信期間決定部30を除く全機能ブロックが動作し、ランダム送信禁止期間決定部40にて決定されるランダム送信禁止期間の間、データ送信部12からの送信データの出力が禁止される。
【0073】
そして、この場合に、定期送信期間更新部50は、マイクロコンピュータによるソフトウェア処理によって、データ受信部18にて受信された定期送信情報に基づき、定期送信期間テーブル20内の定期送信情報を更新するとともに、その更新後の定期送信情報をデータ送信部12に出力することで、この定期送信情報を他の通信装置に転送させる。
【0074】
また、時刻差分計算部52及び時刻補正判断部54は、マイクロコンピュータによるソフトウェア処理によって、データ受信部18が受信した定期送信情報の送信時刻と受信時刻との時刻差に基づき、時計4の時刻を補正する。
【0075】
次に、通信装置2がランダム送信を行う通信装置2B、2C、…として使用される際に、定期送信期間更新部50の機能を実現するためにマイクロコンピュータにて実行されるソフトウェア処理について説明する。
(定期送信情報更新処理)
まず図5は、マイクロコンピュータにおいて、データ受信部18にて受信データから抽出された定期送信情報に基づき定期送信期間テーブル20を更新する定期送信情報更新処理を示すフローチャートである。この定期送信情報更新処理は、通信装置2の電源が起動しているときに繰り返し実行される処理である。
【0076】
定期送信情報更新処理が実行されると、通信装置2のマイクロコンピュータは、まずS10にて、データ受信部18が定期送信情報を含むデータを受信したか否かを判断する。ここで、定期送信情報を含むデータを受信していない場合には(S10:NO)、S10の処理を繰り返すことにより、他の通信装置から定期送信情報を含むデータを受信するまで待機する。一方、定期送信情報を含むデータを受信した場合には(S10:YES)、S20にて、定期送信情報の転送回数C1を読み込む。
【0077】
その後S30にて、S20で読み込んだ定期送信情報の転送回数C1が、予め設定された更新判定値C1max(本実施形態では3)より小さいか否かを判断する。ここで、転送回数C1が更新判定値C1max以上である場合には(S30:NO)、定期送信情報更新処理を一旦終了する。一方、転送回数C1が更新判定値C1maxより小さい場合には(S30:YES)、S40にて、定期送信情報の転送回数C1を更新(+1)し、S50にて、転送回数C1を更新した後の定期送信情報を、定期送信期間テーブル20に記憶させる。以下、転送回数C1を更新した後に定期送信期間テーブル20に記憶される定期送信情報を保持用定期送信情報という。
【0078】
次にS60にて、定期送信期間テーブル20に記憶されている保持用定期送信情報の中から、他の通信装置へ転送するための定期送信情報(以下、転送用定期送信情報という)を選択する処理を行う。
【0079】
具体的には、定期送信期間テーブル20に記憶されている保持用定期送信情報の中から、定期送信情報の転送回数C1が最小である保持用定期送信情報を、転送用定期送信情報として選択する。但し、定期送信情報の転送回数C1が予め設定された選択判定値(本実施形態では3)以上である保持用定期送信情報は、転送用定期送信情報として選択しない。
【0080】
例えば図6に示すように、6つの保持用定期送信情報IA1〜IA6が定期送信期間テーブル20に記憶され、保持用定期送信情報IA1,IA2,IA3,IA4,IA5,IA6の転送回数C1がそれぞれ1回,2回,3回,2回,1回,1回である場合には、最小の転送回数C1は1回である。このため、転送回数C1が1回である保持用定期送信情報、すなわち保持用定期送信情報IA1,IA5,IA6が転送用定期送信情報IBとして選択される。
【0081】
そしてS70にて、S60で選択された転送用定期送信情報と、S60で選択された転送用定期送信情報の転送回数C1を示す情報をデータ送信部12へ出力する。これにより、データ送信部12は、入力した転送用定期送信情報に転送回数C1を示す情報を付加して、ランダム送信期間内に送信する。例えば、図6に示す保持用定期送信情報IA1,IA5,IA6が転送用定期送信情報IBとして選択された場合には、保持用定期送信情報IA1,IA5,IA6に、転送回数C1が「1回」であることを示す情報を1つのみ付加して、保持用定期送信情報IA1,IA5,IA6と、1つの転送回数C1を示す情報とを一括して送信する。
【0082】
その後S80にて、ランダム送信禁止期間を示す送信禁止期間設定情報を、定期送信期間テーブル20に記憶されている保持用定期送信情報を用いて作成する。
具体的には、定期送信期間テーブル20に記憶されている保持用定期送信情報が示す定期送信期間の全てをランダム送信禁止期間とする送信禁止期間設定情報を作成する。
【0083】
このために、保持用定期送信情報が示す定期送信期間内を1、定期送信期間外を0として、定期送信期間テーブル20に記憶されている保持用定期送信情報について、同一時刻での論理和を算出し、この算出結果が1となる期間を、ランダム送信禁止期間とする。
【0084】
例えば図6に示すように、定期送信の1周期内(時刻t0〜時刻t13)において、保持用定期送信情報IA1,IA2,IA3,IA4,IA5,IA6はそれぞれ、「時刻t9〜時刻t10」、「時刻t6〜時刻t8」、「時刻t11〜時刻t12」、「時刻t3〜時刻t4」、「時刻t5〜時刻t7」、「時刻t1〜時刻t2」を定期送信期間としている(但し、t0<t1<t2<t3<t4<t5<t6<t7<t8<t9<t10<t11<t12<t13)。
【0085】
すなわち、保持用定期送信情報IA1,IA2,IA3,IA4,IA5,IA6においてそれぞれ、「時刻t9〜時刻t10」、「時刻t6〜時刻t8」、「時刻t11〜時刻t12」、「時刻t3〜時刻t4」、「時刻t5〜時刻t7」、「時刻t1〜時刻t2」の期間内を1とするとともに、この期間外を0とする。
【0086】
このため、例えば、時刻t3と時刻t4との間の時刻t21では、保持用定期送信情報IA1,IA2,IA3,IA4,IA5,IA6はそれぞれ、0,0,0,1,0,0であるので、これらの論理和を算出すると、算出結果が1となる。したがって、時刻t21は、ランダム送信禁止期間となる。
【0087】
また、時刻t4と時刻t5との間の時刻t22では、保持用定期送信情報IA1,IA2,IA3,IA4,IA5,IA6はそれぞれ、0,0,0,0,0,0であるので、これらの論理和を算出すると、算出結果が0となる。したがって、時刻t22は、ランダム送信禁止期間とならない。
【0088】
また、時刻t6と時刻t7との間の時刻t23では、保持用定期送信情報IA1,IA2,IA3,IA4,IA5,IA6はそれぞれ、0,1,0,0,1,0であるので、これらの論理和を算出すると、算出結果が1となる。したがって、時刻t23は、ランダム送信禁止期間となる。
【0089】
したがって、図6に示す送信禁止期間設定情報ICは、「時刻t1〜時刻t2」、「時刻t3〜時刻t4」、「時刻t5〜時刻t8」、「時刻t9〜時刻t10」、および「時刻t11〜時刻t12」が、ランダム送信禁止期間であることを示す情報となる。
【0090】
その後S90にて、S80で作成された送信禁止期間設定情報に含まれるランダム送信禁止期間の数C2(以下、禁止期間数C2という)が、予め設定された連結判定値C2max(本実施形態では5)以上であるか否かを判断する。なお、図6に示す送信禁止期間設定情報ICの禁止期間数C2は5である。
【0091】
ここで、禁止期間数C2が連結判定値C2max未満である場合には(S90:NO)、S110に移行する。一方、禁止期間数C2が連結判定値C2max以上である場合には(S90:YES)、S100にて、禁止期間数C2が連結判定値C2max未満となるように、隣接するランダム送信禁止期間を連結する処理を行い、さらに、この処理によって設定されたランダム送信禁止期間を示す送信禁止期間設定情報を作成し、S110に移行する。
【0092】
具体的には、隣接するランダム送信禁止期間の間の間隔が小さいものから順に、禁止期間数C2が連結判定値C2max未満となるように、隣接するランダム送信禁止期間の間を新たなランダム送信禁止期間とする。
【0093】
例えば、図6に示す送信禁止期間設定情報ICでは、隣接するランダム送信禁止期間の間は、「時刻t2〜時刻t3」、「時刻t4〜時刻t5」、「時刻t8〜時刻t9」、「時刻t10〜時刻t11」である。そして、隣接するランダム送信禁止期間の間の間隔が小さい順に並べると、「時刻t10〜時刻t11」、「時刻t2〜時刻t3」、「時刻t4〜時刻t5」、「時刻t8〜時刻t9」となる。
【0094】
このため、まず、「時刻t10〜時刻t11」をランダム送信禁止期間とすることで、「時刻t9〜時刻t10」のランダム送信禁止期間と「時刻t11〜時刻t12」のランダム送信禁止期間とを連結する。これにより、禁止期間数C2が4となり、連結判定値C2max(本実施形態では5)未満となるため、ランダム送信禁止期間を連結する処理を終了する。なお、連結判定値C2maxが3である場合には、さらに、「時刻t2〜時刻t3」をランダム送信禁止期間とすることで、「時刻t1〜時刻t2」のランダム送信禁止期間と「時刻t3〜時刻t4」のランダム送信禁止期間とを連結する。
【0095】
そしてS110に移行すると、S80またはS100で作成された送信禁止期間設定情報を定期送信期間テーブル20に記憶させ、定期送信情報更新処理を一旦終了する。これにより、ランダム送信禁止期間決定部40は、定期送信期間テーブル20に記憶された送信禁止期間設定情報に基づいてランダム送信禁止期間を決定し、データ送信部12に出力する。
【0096】
このように構成された無線通信システムにおける転送用定期送信情報の転送の具体例を図7に示す。
図7に示すように、3つの路上機RSU−A,RSU−B,RSU−Cが配置されており、車載機OBU1,OBU3,OBU5がそれぞれ路上機RSU−A,RSU−B,RSU−Cの通信エリア内、車載機OBU2,OBU4,OBU6,OBU7が路上機RSU−A,RSU−B,RSU−Cの通信エリア外を移動している。
【0097】
さらに、車載機OBU1は車載機OBU2,OBU5と通信可能な位置、車載機OBU2は車載機OBU1,OBU3,OBU6と通信可能な地点、車載機OBU3は車載機OBU2,OBU4と通信可能な地点、車載機OBU4は車載機OBU3,OBU7と通信可能な地点、車載機OBU5は車載機OBU1,OBU6と通信可能な地点、車載機OBU6は車載機OBU2,OBU5,OBU7と通信可能な地点、車載機OBU7は車載機OBU4,OBU6と通信可能な地点を移動している。
【0098】
車載機OBU1は、路上機RSU−Aから定期送信情報を受信し、車載機OBU3と車載機OBU2を介して路上機RSU−Bから定期送信情報を受信し、車載機OBU5を介して路上機RSU−Cから定期送信情報を受信する。このため、路上機RSU−Aからの保持用定期送信情報の転送回数C1は1回、路上機RSU−Bからの保持用定期送信情報の転送回数C1は3回、路上機RSU−Cからの保持用定期送信情報の転送回数C1は2回となる。したがって、路上機RSU−Aからの保持用定期送信情報の転送回数C1が最小であるので、路上機RSU−Aからの保持用定期送信情報が転送用定期送信情報として選択される。
【0099】
車載機OBU2は、車載機OBU1を介して路上機RSU−Aから定期送信情報を受信し、車載機OBU3を介して路上機RSU−Bから定期送信情報を受信し、車載機OBU5と車載機OBU6を介して路上機RSU−Cから定期送信情報を受信する。このため、路上機RSU−Aからの保持用定期送信情報の転送回数C1は2回、路上機RSU−Bからの保持用定期送信情報の転送回数C1は2回、路上機RSU−Cからの保持用定期送信情報の転送回数C1は3回となる。したがって、路上機RSU−A,RSU−Bからの保持用定期送信情報の転送回数C1が最小であるので、路上機RSU−A,RSU−Bからの保持用定期送信情報が転送用定期送信情報として選択される。
【0100】
車載機OBU3は、車載機OBU1と車載機OBU2を介して路上機RSU−Aから定期送信情報を受信し、路上機RSU−Bから定期送信情報を受信し、路上機RSU−Cから定期送信情報を受信しない。なお、路上機RSU−Cからの定期送信情報が受信されないのは、路上機RSU−Cからの定期送信情報を車載機OBU3が受信するためには、3つの車載機を介する必要があり、転送回数C1が3回以上になるためである。このため、路上機RSU−Aからの保持用定期送信情報の転送回数C1は3回、路上機RSU−Bからの保持用定期送信情報の転送回数C1は1回となる。したがって、路上機RSU−Bからの保持用定期送信情報の転送回数C1が最小であるので、路上機RSU−Bからの保持用定期送信情報が転送用定期送信情報として選択される。
【0101】
車載機OBU4は、上述の理由により路上機RSU−A,RSU−Cから定期送信情報を受信せず、車載機OBU3を介して路上機RSU−Bから定期送信情報を受信する。このため、路上機RSU−Bからの保持用定期送信情報の転送回数C1は2回となる。したがって、路上機RSU−Bからの保持用定期送信情報の転送回数C1が最小であるので、路上機RSU−Bからの保持用定期送信情報が転送用定期送信情報として選択される。
【0102】
車載機OBU5は、車載機OBU1を介して路上機RSU−Aから定期送信情報を受信し、上述の理由により路上機RSU−Bから定期送信情報を受信せず、RSU−Cから定期送信情報を受信する。このため、路上機RSU−Aからの保持用定期送信情報の転送回数C1は2回、路上機RSU−Cからの保持用定期送信情報の転送回数C1は1回となる。したがって、路上機RSU−Cからの保持用定期送信情報の転送回数C1が最小であるので、路上機RSU−Cからの保持用定期送信情報が転送用定期送信情報として選択される。
【0103】
車載機OBU6は、車載機OBU1と車載機OBU2を介して路上機RSU−Aから定期送信情報を受信し、車載機OBU3と車載機OBU2を介して路上機RSU−Bから定期送信情報を受信し、車載機OBU5を介して路上機RSU−Cから定期送信情報を受信する。このため、路上機RSU−Aからの保持用定期送信情報の転送回数C1は3回、路上機RSU−Bからの保持用定期送信情報の転送回数C1は3回、路上機RSU−Cからの保持用定期送信情報の転送回数C1は2回となる。したがって、路上機RSU−Cからの保持用定期送信情報の転送回数C1が最小であるので、路上機RSU−Cからの保持用定期送信情報が転送用定期送信情報として選択される。
【0104】
車載機OBU7は、上述の理由により路上機RSU−Aから定期送信情報を受信せず、車載機OBU3と車載機OBU4を介して路上機RSU−Bから定期送信情報を受信し、車載機OBU5と車載機OBU6を介して路上機RSU−Cから定期送信情報を受信する。このため、路上機RSU−Bからの保持用定期送信情報の転送回数C1は3回、路上機RSU−Cからの保持用定期送信情報の転送回数C1は3回となる。したがって、路上機RSU−B,RSU−Cからの保持用定期送信情報の転送回数C1が最小となる。しかし、転送回数C1が3回であるので、転送用定期送信情報として選択されない。
【0105】
このように構成された無線通信システムは、一定周期毎に繰り返される予め設定された定期送信期間内に、予め設定された通信チャンネルを利用してデータを無線送信する通信装置2Aと、通信チャンネルを利用してデータを無線受信するとともに、データ送信が必要になったときに通信チャンネルが空いているか否かを判定して、通信チャンネルが空いている場合にデータを無線送信する通信装置2B,2C,…との2種類の通信装置が混在したものである。
【0106】
また通信装置2Aは、定期送信期間を示すデータである定期送信期間情報を無線送信するように構成される。
また、通信装置2B,2C,…は、通信装置2Aから受信した定期送信期間情報を複数記憶可能な定期送信期間テーブル20を備え、定期送信期間テーブル20に記憶されている定期送信期間情報(保持用定期送信情報)の中から、転送回数C1が最小となるものを転送用定期送信情報として選択し(S60)、この転送用定期送信情報を、無線送信することにより他の通信装置2B,2C,…へ転送する。
【0107】
すなわち通信装置2B,2C,…は、定期送信期間情報を複数記憶し、記憶した複数の定期送信期間情報の中から選択した定期送信期間情報を他の第2通信装置へ転送する。このため、通信装置2Aが他の通信装置2Aの定期送信期間情報を送信せず、自身の定期送信期間情報のみを送信する場合に、通信装置2B,2C,…は、複数の通信装置2Aからそれぞれ1つの定期送信期間情報を受信することにより、それぞれ異なる通信装置2Aからの複数の定期送信期間情報を取得し、さらに、異なる通信装置2Aからの複数の定期送信期間情報を、他の通信装置2B,2C,…へ転送することができる。
【0108】
したがって、他の通信装置2B,2C,…は、それぞれ異なる通信装置2Aからの複数の定期送信期間情報を、通信装置2B,2C,…からのデータ受信により一括して受信することができる。このため、通信装置2Aが、他の通信装置2Aの定期送信期間情報を送信することを不要にすることができる。
【0109】
このため、通信装置2B,2C,…は、自身と無線通信可能なエリア外に設置された通信装置2Aからの定期送信期間情報を通信装置2Aから直接受信することがなくなり、本来不必要である、通信装置2Aの定期送信期間においてもデータ送信を禁止してしまうことを抑制することができる。
【0110】
また、上述のように、通信装置2Aが他の通信装置2Aの定期送信期間情報を送信することを不要にすることができることから、通信装置2Aに、他の通信装置2Aの定期送信期間情報を設定する必要がなくなる。このため、例えば新たな通信装置2Aが設置された場合や、既存の通信装置2Aの設定が変更された場合に、これに対応して定期送信期間情報を再設定する作業を、周囲の通信装置2Aに対して行う必要がなく、通信装置2Aの運用を簡略化することができる。
【0111】
また、優先的な通信を必要とする移動通信端末が移動している状況下でも、通信装置2B,2C,…側で、移動通信端末の定期送信期間情報と、通信装置2Aの定期送信期間情報とを統合して他の通信装置2B,2C,…へ転送することができる。すなわち、移動通信端末が移動に応じて定期送信期間情報を再設定する作業を、周囲の通信装置2Aに対して行う必要がなく、動的な状況への対応を容易にすることができる。
【0112】
さらに、通信装置2B,2C,…は、定期送信期間テーブル20に記憶されている定期送信期間情報(保持用定期送信情報)を用いて、定期送信期間テーブル20に記憶されている定期送信期間情報が示す定期送信期間の全てを、ランダム送信禁止期間に設定し(S80)、ランダム送信禁止期間内におけるデータ送信を禁止する。
【0113】
これにより、通信装置2B,2C,…は、複数の通信装置2Aのそれぞれに対応して、各通信装置2Aが定期送信期間内にデータを無線送信しているときにデータ送信を行わないようにすることができ、通信装置2Aからのデータと通信装置2B,2C,…からのデータとの衝突の発生を抑制することができる。
【0114】
また、通信装置2B,2C,…が、複数の定期送信期間情報を一括して転送するとともに、この一括して送信される複数の定期送信期間情報に対応した転送回数C1を示す情報(以下、「転送回数C1を示す情報」を転送回数情報という)を1つのみ付加するように構成されており、付加されている転送回数情報が示す転送回数C1が最小の定期送信期間情報が転送用定期送信情報として選択される。
【0115】
なお、転送回数C1が大きいと、その転送回数情報が付加された定期送信期間情報は、遠くの通信装置2Aから送信されたものであり、逆に転送回数C1が小さいと、近くの通信装置2Aから送信されたものであると考えられる。
【0116】
このため、遠くの通信装置2Aからの定期送信期間情報よりも、近くの通信装置2Aからの定期送信期間情報を優先して送信することができる。
また、定期送信期間テーブル20に記憶されている定期送信期間情報(保持用定期送信情報)が示す定期送信期間の全てを、ランダム送信禁止期間に設定する。
【0117】
このため、通信装置2B,2C,…が認識した全ての通信装置2Aの定期送信期間内においてデータの無線送信を禁止するため、通信装置2Aから送信されるデータと通信装置2B,2C,…から送信されるデータとの衝突の発生を最小限に抑制することができる。
【0118】
また、保持用定期送信情報が示す定期送信期間内を1、定期送信期間外を0として、定期送信期間テーブル20に記憶されている全ての定期送信期間情報(保持用定期送信情報)について、同一時刻での論理和を算出し、この算出結果が1となる期間を、ランダム送信禁止期間とする。このため、論理和という簡便な演算方法で、ランダム送信禁止期間を設定することができる。
【0119】
また、送信禁止期間設定情報により示される複数のランダム送信禁止期間の中で、隣接するランダム送信禁止期間の間の間隔が小さいものから順に、禁止期間数C2が連結判定値C2max未満となるように、隣接するランダム送信禁止期間の間を新たなランダム送信禁止期間に設定して、隣接している送信禁止期間を連結することにより、1つの連続した送信禁止期間とする(S100)。
【0120】
このため、隣接している2つのランダム送信禁止期間を連結して1つの連続したランダム送信禁止期間とすることができるので、ランダム送信禁止期間の数、すなわちランダム送信禁止期間を設定する送信禁止期間設定情報のデータ量を低減させることができる。さらに、無線送信ができる期間の減少を必要最小限に抑制して、ランダム送信禁止期間の数を低減させることができる。
【0121】
以上説明した実施形態において、通信装置2Aは本発明における第1通信装置、通信装置2B,2C,…は本発明における無線通信装置および第2通信装置、定期送信期間テーブル20は本発明における期間情報記憶手段、S60の処理は本発明における期間情報転送手段、S80の処理は本発明における禁止期間設定手段、S100の処理は本発明における禁止期間連結手段、ランダム送信禁止期間は本発明における送信禁止期間、S100において禁止期間数C2が連結判定値C2max未満となるように連結される個数は本発明における設定個数である。
【0122】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採ることができる。
例えば上記実施形態では、転送回数C1が最小の保持用定期送信情報の全てが転送用定期送信情報として選択されるものを示した。しかし、転送回数C1が最小の保持用定期送信情報の全てを転送用定期送信情報として転送することができない場合には、転送回数C1が最小の保持用定期送信情報の中から、ランダムに決定された保持用定期送信情報を転送用定期送信情報として選択するようにするとよい。これにより、転送回数C1が最小の保持用定期送信情報の中で、転送用定期送信情報を容易に決定することができる。さらに、定期送信情報を複数回送信する場合や、複数台の通信装置2B,2C,…が存在する場合に、ランダムに選択することで、転送する保持用定期送信情報が固定されないため、予め設定された選択個数以上の定期送信情報を通信エリア内の他の通信装置2B,2C,…へ通知することができる。例えば、一度に転送できる定期送信情報の数が3個で、定期送信期間テーブル20に記憶されている定期送信情報の数が5個である場合に、一度に送信できる数が3個であっても、ランダムに複数回送信することにより、定期送信期間テーブル20に記憶されている全ての定期送信情報が周囲の通信装置へ届くことになる。また、自身の周囲に、同じ定期送信情報を記憶している通信装置2B,2C,…が存在する場合に、これら通信装置2B,2C,…のそれぞれが、異なる定期送信情報を選択することになるため、結果的に全ての定期送信情報が周囲へ転送されることになる。
【0123】
また上記実施形態では、複数の保持用定期送信情報と1つの転送回数C1を示す情報(転送回数情報)とを一括して送信するものを示した。しかし、転送用定期送信情報として送信される複数の保持用定期送信情報のそれぞれに転送回数情報を付加するように構成されている場合には、定期送信期間テーブル20に記憶されている全ての保持用定期送信情報を転送用定期送信情報として選択するようにしてもよい。これにより、転送すべき保持用定期送信情報を選択するための処理負荷を低減することができる。さらに、全ての定期送信情報が他の通信装置2B,2C,…へ届くため、この定期送信情報を受信した通信装置2B,2C,…は、より確実に通信装置2Aとの干渉発生を抑制することができる。
【0124】
また、転送用定期送信情報として送信される複数の保持用定期送信情報のそれぞれに転送回数情報を付加するように構成されている場合には、付加されている転送回数情報が示す転送回数C1が小さいものから順に、予め設定された選択個数の保持用定期送信情報を転送用定期送信情報として選択するようにしてもよい。これにより、遠くの通信装置2Aからの定期送信期間情報よりも、近くの通信装置2Aからの定期送信期間情報を優先して送信することができる。
【0125】
また、転送用定期送信情報として送信される複数の保持用定期送信情報のそれぞれに転送回数情報を付加するように構成されている場合には、予め設定された選択個数の保持用定期送信情報を、ランダムに転送用定期送信情報として選択するようにしてもよい。これにより、転送すべき保持用定期送信情報を容易に決定することができる。さらに、定期送信情報を複数回送信する場合や、複数台の通信装置2B,2C,…が存在する場合に、ランダムに選択することで、転送する保持用定期送信情報が固定されないため、予め設定された選択個数以上の定期送信情報を通信エリア内の他の通信装置2B,2C,…へ通知することができる。
【0126】
また上記実施形態では、S60で選択された保持用定期送信情報を全て転送用定期送信情報として転送するものを示した。しかし、図8に示すように、S62とS64の処理を追加するようにしてもよい。図8は、他の実施形態の定期送信情報更新処理を示すフローチャートである。
【0127】
すなわち、S60の処理が終了した後に、S62にて、定期送信期間が予め設定された第1所定間隔(例えば、10ms)以下で隣接している保持用定期送信情報があるか否かを判断する。ここで、定期送信期間が第1所定間隔以下で隣接している保持用定期送信情報がない場合には(S62:NO)、S70に移行する。一方、第1所定間隔以下で隣接している保持用定期送信情報がある場合には(S62:YES)、S64にて、第1所定間隔以下で隣接している定期送信期間の間を定期送信期間として、隣接している定期送信期間を連結することにより、1つの連続した定期送信期間を示す保持用定期送信情報とし、S70に移行する。
【0128】
これにより、隣接している2つの定期送信期間を連結して1つの連続した定期送信期間とすることができるので、転送する保持用定期送信情報の数、すなわち転送用定期送信情報のデータ量を低減させることができる。なお、S62,S64の処理は本発明における送信期間連結手段である。
【0129】
また上記実施形態では、隣接するランダム送信禁止期間の間の間隔が小さいものから順に、禁止期間数C2が連結判定値C2max未満となるように、隣接するランダム送信禁止期間の間を新たなランダム送信禁止期間に設定するものを示した。しかし、隣接しているランダム送信禁止期間の間が予め設定された第2所定間隔(例えば、10ms)以下である場合に、第2所定間隔以下で隣接しているランダム送信禁止期間の間を新たなランダム送信禁止期間に設定するようにしてもよい。これにより、隣接しているランダム送信禁止期間の間が第2所定間隔より大きいものはランダム送信禁止期間に設定されないため、隣接しているランダム送信禁止期間の間が大きいものがランダム送信禁止期間に設定されることを抑制し、通信装置2B,2C,…が無線送信できる期間の減少を抑制することができる。
【0130】
ところで、送信禁止期間設定情報により示されるランダム送信禁止期間が全て同一である複数の通信装置2B,2C,…が存在している場合に、ランダム送信禁止期間の間が第2所定間隔以下のものを連結すると、全て同じようにランダム送信禁止期間が連結される。このため、連結されたランダム送信禁止期間において、通信装置2B,2C,…の全てが無線通信を行っていないという状況の発生が考えられる。
【0131】
そこで、隣接しているランダム送信禁止期間の間をランダムにランダム送信禁止期間に設定することであるようにしてもよい。これにより、送信禁止期間設定情報により示されるランダム送信禁止期間が全て同一である複数の通信装置2B,2C,…が存在している場合であっても、これら複数の通信装置2B,2C,…ごとに、連結されるランダム送信禁止期間が異なるようにすることができる。このため、連結されたランダム送信禁止期間において通信装置2B,2C,…の全てが無線通信を行っていないという状況の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0132】
2(2A,2B,2C,…)…通信装置、4…時計、6…タイマリセット部、12…データ送信部、14…変調処理部、16…復調処理部、18…データ受信部、20…定期送信期間テーブル、30…定期送信期間決定部、40…ランダム送信禁止期間決定部、50…定期送信期間更新部、52…時刻差分計算部、54…時刻補正判断部
【技術分野】
【0001】
本発明は、一定周期毎に繰り返される定期送信期間内に送信されるデータを受信する無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の通信装置が同一の通信チャンネルを利用して相互に無線通信を行う場合には、各通信装置が、送信要求の発生時に、キャリアセンスによって通信チャンネルの空き状態を検出するアクセス制御を行い、このアクセス制御によって通信チャンネルの空き状態を検出するとデータ送信を開始するというCSMA方式の無線通信が知られている。
【0003】
また、こうしたCSMA方式の無線通信では、複数の通信装置がランダムにデータ送信を行う。このため、例えば、自動車の安全運転支援システムでの無線通信に適用すると、重要性の高い情報を路上機から車載機へ送信しようとしても、路上機が通信チャンネルで送信権を取得するのに時間がかかり、重要情報を周囲の車両に送信できないことがある。
【0004】
そこで、路上機が、一定周期毎に繰り返される定期送信期間内に送信データを無線送信する際に、定期送信期間を示す定期送信期間情報を、この送信データに付加して送信し、車載機が、送信データに付加された定期送信期間情報を受信すると、定期送信期間情報により示される定期送信期間に基づいて送信禁止期間を設定し、車載機側で、送信禁止期間内におけるデータ送信を禁止するという方法が提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0005】
これにより、路上機から車載機へデータ送信する機会を定期的に確保することができるとともに、路上機から無線送信されたデータと車載機から無線送信されたデータとの衝突の発生を抑制することができる。
【0006】
そして非特許文献1では、路上機が、自身の定期送信期間情報に、他の路上機の定期送信期間情報を付加して無線送信する方法が提案されている。
例えば図9に示すように、或る路上機100Aの周辺に、複数の路上機100B,100C,100D,100E,100Fが設置されており、これらのうち路上機100B,100C,100D,100Eが路上機100Aに隣接している。なお、図9に点線で示す円形の範囲RA,RB,RC,RD,RE,RFはそれぞれ、路上機100A,100B,100C,100D,100E,100Fからの送信電波が届くエリアを示す。すなわち、路上機100A,100B,100C,100D,100E,100Fはそれぞれ、他の路上機からの電波が届かない位置に設置されている。
【0007】
そして、路上機100A,100B,100C,100D,100E,100Fにはそれぞれ、自身の定期送信期間情報に加えて、隣接する路上機の定期送信期間情報が予め設定されており、自身の定期送信期間情報に加えて、隣接する路上機の定期送信期間情報を付加して無線送信する(図中の送信データDA,DB,DC,DD,DE,DFを参照)。
【0008】
例えば、路上機100Aには、路上機100B,100C,100D,100Eの定期送信期間情報が予め設定されており、路上機100Aは、路上機100A自身の定期送信期間情報に、路上機100B,100C,100D,100Eの定期送信期間情報を付加して無線送信する(図中の送信データDAを参照)。
【0009】
また、例えば路上機100Cは、路上機100A,100Fに隣接しているため、路上機100Cには、路上機100A,100Fの定期送信期間情報が予め設定されており、路上機100C自身の定期送信期間情報に、路上機100A,100Fの定期送信期間情報を付加して無線送信する(図中の送信データDCを参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】J. Kosai, S. Kato, T. Saito, K. Matsugatani, H. Nanba, "Prioritized CSMA Protocol for Roadside-to-Vehicle and Vehicle-to-Vehicle Communication Systems," SAE World Congress 2009, 2009-01-0165, 2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上述のように、自身の定期送信期間情報に、他の路上機の定期送信期間情報を付加して無線送信すると、以下の3つの問題が発生する。
まず第1の問題は、車載機側での周波数利用効率の低下である。例えば、図9において、路上機100Aと100Bとの間に位置する車載機は、路上機100Aの定期送信期間と路上機100Bの定期送信期間にデータ送信を禁止すれば、路上機から無線送信されたデータと車載機から無線送信されたデータとの衝突の発生を回避することができる。しかし路上機100Aは、路上機100Bだけでなく、路上機100C,100D,100Eの定期送信期間情報も送信する。このため、路上機100Aと100Bとの間に位置する車載機は、本来不必要である、路上機100C,100D,100Eの定期送信期間においてもデータ送信を禁止してしまうことになる。
【0012】
また第2の問題は、路上機の運用が複雑になることである。例えば新たな路上機が設置された場合や、既存の路上機の設定が変更された場合に、これに対応して定期送信期間情報を再設定する作業を、周囲の路上機に対して行う必要がある。
【0013】
また第3の問題は、動的な状況への対応が困難であることである。すなわち、移動通信端末(例えば、緊急車両に搭載された車載機)が、路上機のように優先的な通信を必要とする可能性が考えられる。この場合には、移動通信端末の移動に応じて路上機の定期送信期間情報を動的に再設定する必要がある。しかし、移動通信端末の周囲に位置することになる路上機は移動通信端末の移動に応じて逐次変化するため、移動通信端末の移動に追随して、移動通信端末の周囲に位置することになる路上機に対して定期送信期間情報を再設定する作業を行うのは困難である。
【0014】
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、定期送信期間内に無線通信する第1通信装置と、定期送信期間外に無線通信する第2通信装置との2種類の通信装置が混在する無線通信システムにおいて、第1通信装置が、周囲の第1通信装置の定期送信期間情報を送信することなく、第2通信装置が、複数の第1通信装置からの定期送信期間情報を取得することを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の無線通信装置は、一定周期毎に繰り返される予め設定された定期送信期間内に、予め設定された通信チャンネルを利用してデータを無線送信する第1通信装置と、通信チャンネルを利用してデータを無線受信するとともに、データ送信が必要になったときに通信チャンネルが空いているか否かを判定して、通信チャンネルが空いている場合にデータを無線送信する第2通信装置との2種類の通信装置が混在した無線通信システムにおいて、第2通信装置として使用される無線通信装置である。
【0016】
そして第1通信装置は、定期送信期間を示すデータである定期送信期間情報を無線送信するように構成される。
また、第2通信装置として使用される無線通信装置は、第1通信装置から受信した定期送信期間情報を複数記憶可能な期間情報記憶手段を備え、期間情報転送手段が、期間情報記憶手段に記憶されている定期送信期間情報の中から、予め設定された選択条件に基づいて、定期送信期間情報を選択し、この選択した定期送信期間情報を、無線送信することにより他の第2通信装置へ転送する。
【0017】
すなわち本発明の無線通信装置は、定期送信期間情報を複数記憶し、記憶した複数の定期送信期間情報の中から選択した定期送信期間情報を他の第2通信装置へ転送する。このため、第1通信装置が他の第1通信装置の定期送信期間情報を送信せず、自身の定期送信期間情報のみを送信する場合に、第2通信装置として使用される無線通信装置は、複数の第1通信装置からそれぞれ1つの定期送信期間情報を受信することにより、それぞれ異なる第1通信装置からの複数の定期送信期間情報を取得し、さらに、異なる第1通信装置からの複数の定期送信期間情報を、他の第2通信装置へ転送することができる。
【0018】
したがって、他の第2通信装置は、それぞれ異なる第1通信装置からの複数の定期送信期間情報を、第2通信装置からのデータ受信により一括して受信することができる。このため、第1通信装置が、他の第1通信装置の定期送信期間情報を送信することを不要にすることができる。
【0019】
このため、第2通信装置は、自身と無線通信可能なエリア外に設置された第1通信装置からの定期送信期間情報を第1通信装置から直接受信することがなくなり、本来不必要である、自身と干渉しないエリアに設置された第1通信装置の定期送信期間においてもデータ送信を禁止してしまうことを抑制することができる。
【0020】
また、上述のように、第1通信装置が他の第1通信装置の定期送信期間情報を送信することを不要にすることができることから、第1通信装置に、他の第1通信装置の定期送信期間情報を設定する必要がなくなる。このため、例えば新たな第1通信装置が設置された場合や、既存の第1通信装置の設定が変更された場合に、これに対応して定期送信期間情報を再設定する作業を、周囲の第1通信装置に対して行う必要がなく、第1通信装置の運用を簡略化することができる。
【0021】
また、優先的な通信を必要とする移動通信端末が移動している状況下でも、第2通信装置側で、移動通信端末の定期送信期間情報と、第1通信装置の定期送信期間情報とを統合して他の第2通信装置へ転送することができる。すなわち、移動通信端末が移動に応じて定期送信期間情報を再設定する作業を、周囲の第1通信装置に対して行う必要がなく、動的な状況への対応を容易にすることができる。
【0022】
さらに、第2通信装置として使用される本発明の無線通信装置は、禁止期間設定手段が、期間情報記憶手段に記憶されている定期送信期間情報を用いて、予め設定された期間設定条件に基づいて送信禁止期間を設定し、送信禁止期間内におけるデータ送信を禁止する。
【0023】
これにより、第2通信装置として使用される無線通信装置は、複数の第1通信装置のそれぞれに対応して、各第1通信装置が定期送信期間内にデータを無線送信しているときにデータ送信を行わないようにすることができ、第1通信装置からのデータと第2通信装置からのデータとの衝突の発生を抑制することができる。
【0024】
また、請求項1に記載の無線通信システムにおいて、第1通信装置が、定期送信期間情報を転送した回数である転送回数を示す転送回数情報を、定期送信期間情報に付加して無線送信するように構成され、第2通信装置の期間情報転送手段が、複数の定期送信期間情報を一括して転送するとともに、この一括して送信される複数の定期送信期間情報に対応した転送回数情報を1つのみ付加するように構成されている場合には、請求項2に記載のように、選択条件は、付加されている転送回数情報が示す転送回数が最小の定期送信期間情報を選択することであるようにするとよい。
【0025】
なお、転送回数が大きいと、その転送回数情報が付加された定期送信期間情報は、遠くの第1通信装置から送信されたものであり、逆に転送回数が小さいと、近くの第1通信装置から送信されたものであると考えられる。
【0026】
このため、請求項2に記載の無線通信装置によれば、遠くの第1通信装置からの定期送信期間情報よりも、近くの第1通信装置からの定期送信期間情報を優先して送信することができる。
【0027】
また、請求項2に記載の無線通信装置において、転送回数が最小の定期送信期間情報を全て送信するようにしてもよいが、転送回数が最小の定期送信期間情報の全てを送信することができない場合には、請求項3に記載のように、選択条件は、転送回数が最小の定期送信期間情報の中から、ランダムに決定された定期送信期間情報を選択することであるようにするとよい。これにより、転送回数が最小の定期送信期間情報の中で、転送する定期送信期間情報を容易に決定することができる。
【0028】
また、請求項1に記載の無線通信システムにおいて、第1通信装置が、定期送信期間情報を転送した回数である転送回数を示す転送回数情報を、定期送信期間情報に付加して無線送信するように構成され、第2通信装置の期間情報転送手段は、複数の定期送信期間情報を一括して転送するとともに、この一括して送信される複数の定期送信期間情報のそれぞれに対応した転送回数情報を付加するように構成されている場合には、請求項4に記載のように、選択条件は、期間情報記憶手段に記憶されている全ての定期送信期間情報を選択することであるようにしてもよい。
【0029】
このように構成された無線通信装置によれば、転送すべき定期送信期間情報を選択するための処理負荷を低減することができる。
また、請求項1に記載の無線通信システムにおいて、第1通信装置が、定期送信期間情報を転送した回数である転送回数を示す転送回数情報を、定期送信期間情報に付加して無線送信するように構成され、第2通信装置の期間情報転送手段が、複数の定期送信期間情報を一括して転送するとともに、この一括して送信される複数の定期送信期間情報のそれぞれに対応した転送回数情報を付加するように構成されている場合には、請求項5に記載のように、選択条件は、付加されている転送回数情報が示す転送回数が小さいものから順に、予め設定された選択個数の定期送信期間情報を選択することであるようにしてもよい。
【0030】
このように構成された無線通信装置によれば、遠くの第1通信装置からの定期送信期間情報よりも、近くの第1通信装置からの定期送信期間情報を優先して送信することができる。
【0031】
また、請求項1に記載の無線通信システムにおいて、第1通信装置が、定期送信期間情報を転送した回数である転送回数を示す転送回数情報を、定期送信期間情報に付加して無線送信するように構成され、第2通信装置の期間情報転送手段が、複数の定期送信期間情報を一括して転送するとともに、この一括して送信される複数の定期送信期間情報のそれぞれに対応した転送回数情報を付加するように構成されている場合には、請求項6に記載のように、選択条件は、予め設定された選択個数の定期送信期間情報をランダムに選択することであるようにしてもよい。
【0032】
このように構成された無線通信装置によれば、転送する定期送信期間情報を容易に決定することができる。また、定期送信期間情報を複数回送信する場合や、複数台の第2通信装置が存在する場合に、ランダムに選択することで、転送する定期送信期間情報が固定されないため、予め設定された選択個数以上の定期送信期間情報を通信エリア内の他の第2通信装置へ届けることができる。例えば、一度に転送できる定期送信期間情報の数が3個で、期間情報記憶手段に記憶されている定期送信期間情報の数が5個である場合に、一度に送信できる数が3個であっても、ランダムに複数回送信することにより、期間情報記憶手段に記憶されている全ての定期送信期間情報が周囲の第2通信装置へ届くことになる。また、自身の周囲に、同じ定期送信期間情報を記憶している第2通信装置が存在する場合に、これら第2通信装置のそれぞれが、異なる定期送信期間情報を選択することになるため、結果的に全ての定期送信期間情報が周囲へ転送されることになる。
【0033】
また、請求項1〜請求項6の何れかに記載の無線通信装置において、請求項7に記載のように、送信期間連結手段が、期間情報転送手段により選択された複数の定期送信期間情報の中で、定期送信期間が第1所定間隔以下で隣接している定期送信期間情報がある場合に、隣接している定期送信期間の間を定期送信期間として、隣接している定期送信期間を連結することにより、1つの連続した定期送信期間を示す定期送信期間情報とするようにしてもよい。
【0034】
このように構成された無線通信装置によれば、隣接している2つの定期送信期間を連結して1つの連続した定期送信期間とすることができるので、転送する定期送信期間情報の数、すなわち無線送信するデータ量を低減させることができる。
【0035】
また、請求項1〜請求項7の何れかに記載の無線通信装置において、請求項8に記載のように、期間設定条件は、期間情報記憶手段に記憶されている定期送信期間情報が示す定期送信期間の全てを、送信禁止期間とすることであるようにするとよい。
【0036】
このように構成された無線通信装置によれば、当該無線通信装置が認識した全ての第1通信装置の定期送信期間内においてデータの無線送信を禁止するため、第1通信装置から送信されるデータと当該無線通信装置から送信されるデータとの衝突の発生を最小限に抑制することができる。
【0037】
また、請求項8に記載の無線通信装置において、請求項9に記載のように、定期送信期間情報が示す定期送信期間内を1、定期送信期間外を0として、期間情報記憶手段に記憶されている全ての定期送信期間情報について、同一時刻での論理和を算出し、この算出結果が1となる期間を、送信禁止期間とするようにするとよい。
【0038】
このように構成された無線通信装置によれば、論理和という簡便な演算方法で、送信禁止期間を設定することができる。
また、請求項1〜請求項9の何れかに記載の無線通信装置において、請求項10に記載のように、禁止期間連結手段が、禁止期間設定手段により設定された複数の送信禁止期間の中で、予め設定された期間連結条件に基づいて、隣接している送信禁止期間の間を送信禁止期間に設定して、隣接している送信禁止期間を連結することにより、1つの連続した送信禁止期間とするようにするとよい。
【0039】
このように構成された無線通信装置によれば、隣接している2つの送信禁止期間を連結して1つの連続した送信禁止期間とすることができるので、送信禁止期間の数、すなわち送信禁止期間を設定するためのデータ量を低減させることができる。
【0040】
また請求項10に記載の無線通信装置において、請求項11に記載のように、期間連結条件は、禁止期間設定手段により設定された複数の送信禁止期間の中で、隣接している送信禁止期間の間の間隔が小さいものから順に、予め設定された設定個数を送信禁止期間に設定することであるようにしてもよい。
【0041】
このように構成された無線通信装置によれば、無線送信ができる期間の減少を必要最小限に抑制して、送信禁止期間の数を低減させることができる。
また請求項10に記載の無線通信装置において、請求項12に記載のように、期間連結条件は、隣接している送信禁止期間の間が予め設定された第2所定間隔以下であることであるようにしてもよい。
【0042】
このように構成された無線通信装置によれば、隣接している送信禁止期間の間が第2所定間隔より大きいものは送信禁止期間に設定されないため、隣接している送信禁止期間の間が大きいものが送信禁止期間に設定されることを抑制し、無線送信ができる期間の減少を抑制することができる。
【0043】
ところで、禁止期間設定手段により設定された複数の送信禁止期間が全て同一である複数の第2通信装置が存在している場合に、請求項11または請求項12の期間連結条件で送信禁止期間を連結すると、全て同じように送信禁止期間が連結される。このため、連結された送信禁止期間において、第2通信装置の全てが無線通信を行っていないという状況の発生が考えられる。
【0044】
そこで、請求項10に記載の無線通信装置において、請求項13に記載のように、期間連結条件は、隣接している送信禁止期間の間をランダムに送信禁止期間に設定することであるようにしてもよい。
【0045】
このように構成された無線通信装置によれば、禁止期間設定手段により設定された複数の送信禁止期間が全て同一である複数の第2通信装置が存在している場合であっても、これら複数の第2通信装置ごとに、連結される送信禁止期間が異なるようにすることができる。このため、連結された送信禁止期間において第2通信装置の全てが無線通信を行っていないという状況の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】無線通信システムの構成及び動作の概要を示す説明図である。
【図2】通信装置2の構成を示すブロック図である。
【図3】通信装置2を定期送信用として使用する際に動作する機能ブロックを示す説明図である。
【図4】通信装置2をランダム送信用として使用する際に動作する機能ブロックを示す説明図である。
【図5】定期送信情報更新処理を示すフローチャートである。
【図6】転送用定期送信情報の選択と送信禁止期間設定情報の作成を説明する図である。
【図7】転送用定期送信情報の転送の具体例を示す図である。
【図8】他の実施形態の定期送信情報更新処理を示すフローチャートである。
【図9】路上機が、自身の定期送信期間情報に、他の路上機の定期送信期間情報を付加して無線送信する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
図1は、無線通信システムの構成及び動作の概要を示す説明図である。
本実施形態の無線通信システムは、図1(a)に示すように、路上機として自動車の走行路付近に分散して設置される複数の通信装置2Aと、自動車に搭載され、路上機や他の車両との間で無線通信を行う通信装置2B,2C,…とから構成されている。
【0048】
通信装置2Aは、交通情報等の各種情報を周囲の自動車に定期的に送信する定期送信機能を有し、通信装置2B,2C,…は、自動車に搭載された制御装置からの送信要求を受けて、自車両の状態等を路上機や他の車両に送信するランダム送信機能を有する。
【0049】
そして、これら各通信装置2A,2B,2C,…間の通信には、全て共通の通信チャンネルが使用され、通信装置2B,2C,…がランダム送信する際には、CSMA方式のアクセス制御によって通信チャンネルが空いているか否かを判断し、通信チャンネルが空いているときにデータ送信を開始する。
【0050】
また通信装置2Aは、定期送信を行うが、この定期送信の周期は、予め決められており、通信装置2Aには、定期送信一周期内のどの期間を定期送信に利用するかが割り当てられている。
【0051】
そして通信装置2Aは、その割り当てられた定期送信期間を、定期送信によって他の通信装置2B,2C,…に通知し、他の通信装置2B,2C,…は、その通知された定期送信期間中は、ランダム送信を禁止する。
【0052】
つまり本実施形態では、定期送信機能を有する通信装置2Aが、図1(b)に示すように、定期送信期間の開始タイミングと定期送信期間の長さ(期間長)を表す定期送信期間情報に、通信装置2Aの識別情報である装置IDと後述の転送回数と、送信時刻を付加した定期送信情報を、単独或いは他の送信データに付加して、周囲に定期送信する。
【0053】
そして、ランダム送信機能を有する他の通信装置2B,2C,…は、通信装置2Aが送信した定期送信情報を受けると、その定期送信情報に基づき、図1(c)に示すように、通信装置2Aの定期送信期間内にランダム送信を開始してしまうことのないよう自らのランダム送信禁止期間を設定し、そのランダム送信禁止期間以外の期間(ランダム送信期間)内に、ランダム送信を行う。
【0054】
また図1(a)に示すように、通信装置2Bが、通信装置2Aからの送信電波が届くエリア(図に斜線で示す領域)内に位置し、通信装置2Cがそのエリア外に位置する場合、通信装置2Cには通信装置2Aから送信された定期送信情報が届かず、通信装置2Cが通信装置2Aの定期送信期間内にランダム送信を開始し、通信装置2B側では、通信装置2A,2Cからの送信電波が同時に届き、それぞれの送信データを受信できなくなることが考えられる。
【0055】
そこで本実施形態では、通信装置2B,2C,…が定期送信情報を受信したときには、その定期送信情報を再送信することにより、通信装置2Aから離れた他の通信装置に定期送信情報を通知するようにされている。
【0056】
そして、各通信装置2B,2C,…が他の通信装置に定期送信情報を再送信する際には、定期送信情報の中の転送回数を更新(+1)することで、定期送信情報を受信した通信装置側で、その定期送信情報が、通信装置2Aが最初に送信してから何度目の転送で届いたのかを識別できるようにされている。
【0057】
また通信装置2B,2C,…側で、定期送信情報に基づきランダム送信禁止期間を設定するには、通信装置2A側で認識されている定期送信の周期と、通信装置2B,2C,…側で認識されている定期送信の周期とを一致させる必要がある。
【0058】
そこで本実施形態では、通信装置2Aが定期送信情報を送信するときや、通信装置2B,2C,…が定期送信情報を転送するときには、その送信時刻を自らの時計から読み出して定期送信情報の中の送信時刻を書き換える。そして、定期送信情報を受信した通信装置2B,2C,…側では、定期送信情報の中の送信時刻と、自らの時計から読み出した受信時刻とを比較することで、時計の時刻を、定期送信情報を送信してきた通信装置2A,2B,…側の時刻と同期させる。
【0059】
つまり、例えば、図1(a)において、通信装置2Aから送信された定期送信情報は通信装置2Bに届き、通信装置2Bは、その定期送信情報を通信装置2Cに転送することになるが、通信装置2B,2Cが定期送信情報を受信した際に、自らの時計の時刻を、定期送信情報を送信してきた通信装置2A,2Bの時計と同期させることで、定期送信情報を受信した各通信装置2B,2C,…の時計が、全て、通信装置2Aの時計と同一時刻となるように時刻同期させるのである。
【0060】
この結果、各通信装置2A,2B,2C,…は、自らの時計を用いて、定期送信の一周期を同タイミングで検知できるようになる。
(通信装置の構成)
図2は、上述した本実施形態の無線通信システムを構築するのに用いられる通信装置2の構成を示すブロック図である。
【0061】
通信装置2は、定期送信機能とランダム送信機能との両方の機能を有し、路上機としての通信装置2Aにも、車載機としての通信装置2B,2C,…にも使用できるものである。
【0062】
通信装置2は、図2に示すように、外部の制御装置から入力される送信データにヘッダ等の付加情報を付加して出力するデータ送信部12と、データ送信部12から出力された送信データを所定の通信チャンネルでの送信信号(高周波信号)に変換して通信アンテナ(図示せず)に出力する変調処理部14と、通信アンテナにて受信された受信信号を取り込み、他の通信装置からの送信データを復元する復調処理部16と、復調処理部16にて復元された受信データからヘッダ等の付加情報を抽出し、受信データが当該通信装置2に向けて送信されたものであれば受信データを外部の制御装置に出力するデータ受信部18とを備える。
【0063】
また通信装置2は、通信装置2が定期送信を行う際に設定される定期送信情報、若しくは、通信装置2がランダム送信を行う際に他の通信装置から取得した定期送信情報を記憶するための定期送信期間テーブル(具体的にはメモリ)20、当該通信装置2が定期送信を行う際に実際にデータ送信を行う定期送信期間を、定期送信期間テーブル20内の定期送信情報(通信装置自身の定期送信期間情報)に基づき決定し、データ送信部12に出力する定期送信期間決定部30と、当該通信装置2がランダム送信を行う際にランダム送信を禁止する期間(ランダム送信禁止期間)を、定期送信期間テーブル20内の定期送信情報(他の通信装置から取得した定期送信期間情報)に基づき決定し、データ送信部12に出力するランダム送信禁止期間決定部40とが設けられている。
【0064】
そしてデータ送信部12は、定期送信期間決定部30から定期送信期間情報が入力されると、その情報に対応した定期送信期間だけ、送信データの定期送信が可能となり、ランダム送信禁止期間決定部40からランダム送信禁止期間情報が入力されると、その情報に対応したランダム送信禁止期間だけ、送信データのランダム送信を禁止する。
【0065】
また通信装置2は、内部クロックをカウントすることにより時刻を計時する時計4を備える。そしてデータ送信部12は、この時計4による計時時刻に基づき、定期送信の周期、及び、その周期内の定期送信期間あるいはランダム送信禁止期間を検知し、定期送信あるいはランダム送信を制御する。
【0066】
また時計4にはタイマリセット部6が接続されている。このタイマリセット部6は、時計4による計時時刻(詳しくはカウント値)が、定期送信一周期分のカウント値の所定の整数値倍になった時点で、時計4をリセットして、そのカウント値を初期化する。
【0067】
なお、このタイマリセット部6は、基準となる絶対時刻を表す外部信号を入力できるようにされており、タイマリセット部6は、外部信号が入力されているときには、この外部信号から得られる基準時刻で時計4をリセットすることにより、同じ外部信号が入力される他の通信装置との間で、時計4を時刻同期させる。
(ソフトウェア処理により実現される機能ブロック)
次に、通信装置2には、データ受信部18にて受信された定期送信情報に基づき、定期送信期間テーブル20内の定期送信情報を更新する定期送信期間更新部50と、データ受信部18が受信した定期送信情報の送信時刻やその受信データの受信時刻を取り込み、時刻差(受信時刻−送信時刻)を算出する時刻差分計算部52と、時刻差分計算部52で算出された時刻差と、時計4の他の通信装置との同期精度を表す同期精度情報とに基づき、時刻差が同期精度に対応した許容範囲内にあるか否かを判定して、許容範囲内になければ、時計4に時刻補正情報を出力することで、時刻を補正させる時刻補正判断部54が設けられている。
【0068】
この定期送信期間更新部50、時刻差分計算部52、および時刻補正判断部54は、マイクロコンピュータによるソフトウェア処理により実現される機能ブロックであり、定期送信期間更新部50は、マイクロコンピュータのソフトウェア処理によって、通信装置2Aによる定期送信情報の送信処理や、通信装置2B,2C,…による定期送信情報の再送信処理も実現する。
【0069】
なお、図2において、定期送信期間更新部50、時刻差分計算部52および時刻補正判断部54以外の機能ブロック、つまり、時計4、タイマリセット部6、データ送信部12、変調処理部14、復調処理部16、定期送信期間テーブル20、定期送信期間決定部30、およびランダム送信禁止期間決定部40は、全てデジタル回路からなるハードウェア構成にて実現される。
【0070】
図3は、本実施形態の通信装置2において、通信装置2が定期送信を行う路上機として使用される場合に動作する、定期送信用の機能ブロックを示す図である。
通信装置2が、定期送信を行う通信装置2Aとして使用されるときには、図3に示すように、時計4、タイマリセット部6、データ送信部12、変調処理部14、定期送信期間テーブル20、定期送信期間決定部30、および定期送信期間更新部50が動作し、データ送信部12からの送信データの出力期間が、定期送信期間決定部30にて決定される定期送信期間に制限される。
【0071】
また、この場合に、定期送信期間テーブル20には、通信装置2自身が定期送信を行う際の定期送信期間を表す定期送信情報が記憶されており、定期送信期間更新部50は、マイクロコンピュータによるソフトウェア処理によって、定期送信期間テーブル20からこの定期送信情報を読み込み、データ送信部12に出力することで、この定期送信情報を定期送信させる。なお、データ送信部12は、定期送信情報を送信する際、その送信時刻を時計4から読み出し、定期送信情報の中の送信時刻を書き換える。
【0072】
図4は、通信装置2がランダム送信を行う車載機として使用される場合に動作する、ランダム送信用の機能ブロックを示す図である。
通信装置2が、ランダム送信を行う通信装置2B,2C,…として使用されるときには、図4に示すように、定期送信期間決定部30を除く全機能ブロックが動作し、ランダム送信禁止期間決定部40にて決定されるランダム送信禁止期間の間、データ送信部12からの送信データの出力が禁止される。
【0073】
そして、この場合に、定期送信期間更新部50は、マイクロコンピュータによるソフトウェア処理によって、データ受信部18にて受信された定期送信情報に基づき、定期送信期間テーブル20内の定期送信情報を更新するとともに、その更新後の定期送信情報をデータ送信部12に出力することで、この定期送信情報を他の通信装置に転送させる。
【0074】
また、時刻差分計算部52及び時刻補正判断部54は、マイクロコンピュータによるソフトウェア処理によって、データ受信部18が受信した定期送信情報の送信時刻と受信時刻との時刻差に基づき、時計4の時刻を補正する。
【0075】
次に、通信装置2がランダム送信を行う通信装置2B、2C、…として使用される際に、定期送信期間更新部50の機能を実現するためにマイクロコンピュータにて実行されるソフトウェア処理について説明する。
(定期送信情報更新処理)
まず図5は、マイクロコンピュータにおいて、データ受信部18にて受信データから抽出された定期送信情報に基づき定期送信期間テーブル20を更新する定期送信情報更新処理を示すフローチャートである。この定期送信情報更新処理は、通信装置2の電源が起動しているときに繰り返し実行される処理である。
【0076】
定期送信情報更新処理が実行されると、通信装置2のマイクロコンピュータは、まずS10にて、データ受信部18が定期送信情報を含むデータを受信したか否かを判断する。ここで、定期送信情報を含むデータを受信していない場合には(S10:NO)、S10の処理を繰り返すことにより、他の通信装置から定期送信情報を含むデータを受信するまで待機する。一方、定期送信情報を含むデータを受信した場合には(S10:YES)、S20にて、定期送信情報の転送回数C1を読み込む。
【0077】
その後S30にて、S20で読み込んだ定期送信情報の転送回数C1が、予め設定された更新判定値C1max(本実施形態では3)より小さいか否かを判断する。ここで、転送回数C1が更新判定値C1max以上である場合には(S30:NO)、定期送信情報更新処理を一旦終了する。一方、転送回数C1が更新判定値C1maxより小さい場合には(S30:YES)、S40にて、定期送信情報の転送回数C1を更新(+1)し、S50にて、転送回数C1を更新した後の定期送信情報を、定期送信期間テーブル20に記憶させる。以下、転送回数C1を更新した後に定期送信期間テーブル20に記憶される定期送信情報を保持用定期送信情報という。
【0078】
次にS60にて、定期送信期間テーブル20に記憶されている保持用定期送信情報の中から、他の通信装置へ転送するための定期送信情報(以下、転送用定期送信情報という)を選択する処理を行う。
【0079】
具体的には、定期送信期間テーブル20に記憶されている保持用定期送信情報の中から、定期送信情報の転送回数C1が最小である保持用定期送信情報を、転送用定期送信情報として選択する。但し、定期送信情報の転送回数C1が予め設定された選択判定値(本実施形態では3)以上である保持用定期送信情報は、転送用定期送信情報として選択しない。
【0080】
例えば図6に示すように、6つの保持用定期送信情報IA1〜IA6が定期送信期間テーブル20に記憶され、保持用定期送信情報IA1,IA2,IA3,IA4,IA5,IA6の転送回数C1がそれぞれ1回,2回,3回,2回,1回,1回である場合には、最小の転送回数C1は1回である。このため、転送回数C1が1回である保持用定期送信情報、すなわち保持用定期送信情報IA1,IA5,IA6が転送用定期送信情報IBとして選択される。
【0081】
そしてS70にて、S60で選択された転送用定期送信情報と、S60で選択された転送用定期送信情報の転送回数C1を示す情報をデータ送信部12へ出力する。これにより、データ送信部12は、入力した転送用定期送信情報に転送回数C1を示す情報を付加して、ランダム送信期間内に送信する。例えば、図6に示す保持用定期送信情報IA1,IA5,IA6が転送用定期送信情報IBとして選択された場合には、保持用定期送信情報IA1,IA5,IA6に、転送回数C1が「1回」であることを示す情報を1つのみ付加して、保持用定期送信情報IA1,IA5,IA6と、1つの転送回数C1を示す情報とを一括して送信する。
【0082】
その後S80にて、ランダム送信禁止期間を示す送信禁止期間設定情報を、定期送信期間テーブル20に記憶されている保持用定期送信情報を用いて作成する。
具体的には、定期送信期間テーブル20に記憶されている保持用定期送信情報が示す定期送信期間の全てをランダム送信禁止期間とする送信禁止期間設定情報を作成する。
【0083】
このために、保持用定期送信情報が示す定期送信期間内を1、定期送信期間外を0として、定期送信期間テーブル20に記憶されている保持用定期送信情報について、同一時刻での論理和を算出し、この算出結果が1となる期間を、ランダム送信禁止期間とする。
【0084】
例えば図6に示すように、定期送信の1周期内(時刻t0〜時刻t13)において、保持用定期送信情報IA1,IA2,IA3,IA4,IA5,IA6はそれぞれ、「時刻t9〜時刻t10」、「時刻t6〜時刻t8」、「時刻t11〜時刻t12」、「時刻t3〜時刻t4」、「時刻t5〜時刻t7」、「時刻t1〜時刻t2」を定期送信期間としている(但し、t0<t1<t2<t3<t4<t5<t6<t7<t8<t9<t10<t11<t12<t13)。
【0085】
すなわち、保持用定期送信情報IA1,IA2,IA3,IA4,IA5,IA6においてそれぞれ、「時刻t9〜時刻t10」、「時刻t6〜時刻t8」、「時刻t11〜時刻t12」、「時刻t3〜時刻t4」、「時刻t5〜時刻t7」、「時刻t1〜時刻t2」の期間内を1とするとともに、この期間外を0とする。
【0086】
このため、例えば、時刻t3と時刻t4との間の時刻t21では、保持用定期送信情報IA1,IA2,IA3,IA4,IA5,IA6はそれぞれ、0,0,0,1,0,0であるので、これらの論理和を算出すると、算出結果が1となる。したがって、時刻t21は、ランダム送信禁止期間となる。
【0087】
また、時刻t4と時刻t5との間の時刻t22では、保持用定期送信情報IA1,IA2,IA3,IA4,IA5,IA6はそれぞれ、0,0,0,0,0,0であるので、これらの論理和を算出すると、算出結果が0となる。したがって、時刻t22は、ランダム送信禁止期間とならない。
【0088】
また、時刻t6と時刻t7との間の時刻t23では、保持用定期送信情報IA1,IA2,IA3,IA4,IA5,IA6はそれぞれ、0,1,0,0,1,0であるので、これらの論理和を算出すると、算出結果が1となる。したがって、時刻t23は、ランダム送信禁止期間となる。
【0089】
したがって、図6に示す送信禁止期間設定情報ICは、「時刻t1〜時刻t2」、「時刻t3〜時刻t4」、「時刻t5〜時刻t8」、「時刻t9〜時刻t10」、および「時刻t11〜時刻t12」が、ランダム送信禁止期間であることを示す情報となる。
【0090】
その後S90にて、S80で作成された送信禁止期間設定情報に含まれるランダム送信禁止期間の数C2(以下、禁止期間数C2という)が、予め設定された連結判定値C2max(本実施形態では5)以上であるか否かを判断する。なお、図6に示す送信禁止期間設定情報ICの禁止期間数C2は5である。
【0091】
ここで、禁止期間数C2が連結判定値C2max未満である場合には(S90:NO)、S110に移行する。一方、禁止期間数C2が連結判定値C2max以上である場合には(S90:YES)、S100にて、禁止期間数C2が連結判定値C2max未満となるように、隣接するランダム送信禁止期間を連結する処理を行い、さらに、この処理によって設定されたランダム送信禁止期間を示す送信禁止期間設定情報を作成し、S110に移行する。
【0092】
具体的には、隣接するランダム送信禁止期間の間の間隔が小さいものから順に、禁止期間数C2が連結判定値C2max未満となるように、隣接するランダム送信禁止期間の間を新たなランダム送信禁止期間とする。
【0093】
例えば、図6に示す送信禁止期間設定情報ICでは、隣接するランダム送信禁止期間の間は、「時刻t2〜時刻t3」、「時刻t4〜時刻t5」、「時刻t8〜時刻t9」、「時刻t10〜時刻t11」である。そして、隣接するランダム送信禁止期間の間の間隔が小さい順に並べると、「時刻t10〜時刻t11」、「時刻t2〜時刻t3」、「時刻t4〜時刻t5」、「時刻t8〜時刻t9」となる。
【0094】
このため、まず、「時刻t10〜時刻t11」をランダム送信禁止期間とすることで、「時刻t9〜時刻t10」のランダム送信禁止期間と「時刻t11〜時刻t12」のランダム送信禁止期間とを連結する。これにより、禁止期間数C2が4となり、連結判定値C2max(本実施形態では5)未満となるため、ランダム送信禁止期間を連結する処理を終了する。なお、連結判定値C2maxが3である場合には、さらに、「時刻t2〜時刻t3」をランダム送信禁止期間とすることで、「時刻t1〜時刻t2」のランダム送信禁止期間と「時刻t3〜時刻t4」のランダム送信禁止期間とを連結する。
【0095】
そしてS110に移行すると、S80またはS100で作成された送信禁止期間設定情報を定期送信期間テーブル20に記憶させ、定期送信情報更新処理を一旦終了する。これにより、ランダム送信禁止期間決定部40は、定期送信期間テーブル20に記憶された送信禁止期間設定情報に基づいてランダム送信禁止期間を決定し、データ送信部12に出力する。
【0096】
このように構成された無線通信システムにおける転送用定期送信情報の転送の具体例を図7に示す。
図7に示すように、3つの路上機RSU−A,RSU−B,RSU−Cが配置されており、車載機OBU1,OBU3,OBU5がそれぞれ路上機RSU−A,RSU−B,RSU−Cの通信エリア内、車載機OBU2,OBU4,OBU6,OBU7が路上機RSU−A,RSU−B,RSU−Cの通信エリア外を移動している。
【0097】
さらに、車載機OBU1は車載機OBU2,OBU5と通信可能な位置、車載機OBU2は車載機OBU1,OBU3,OBU6と通信可能な地点、車載機OBU3は車載機OBU2,OBU4と通信可能な地点、車載機OBU4は車載機OBU3,OBU7と通信可能な地点、車載機OBU5は車載機OBU1,OBU6と通信可能な地点、車載機OBU6は車載機OBU2,OBU5,OBU7と通信可能な地点、車載機OBU7は車載機OBU4,OBU6と通信可能な地点を移動している。
【0098】
車載機OBU1は、路上機RSU−Aから定期送信情報を受信し、車載機OBU3と車載機OBU2を介して路上機RSU−Bから定期送信情報を受信し、車載機OBU5を介して路上機RSU−Cから定期送信情報を受信する。このため、路上機RSU−Aからの保持用定期送信情報の転送回数C1は1回、路上機RSU−Bからの保持用定期送信情報の転送回数C1は3回、路上機RSU−Cからの保持用定期送信情報の転送回数C1は2回となる。したがって、路上機RSU−Aからの保持用定期送信情報の転送回数C1が最小であるので、路上機RSU−Aからの保持用定期送信情報が転送用定期送信情報として選択される。
【0099】
車載機OBU2は、車載機OBU1を介して路上機RSU−Aから定期送信情報を受信し、車載機OBU3を介して路上機RSU−Bから定期送信情報を受信し、車載機OBU5と車載機OBU6を介して路上機RSU−Cから定期送信情報を受信する。このため、路上機RSU−Aからの保持用定期送信情報の転送回数C1は2回、路上機RSU−Bからの保持用定期送信情報の転送回数C1は2回、路上機RSU−Cからの保持用定期送信情報の転送回数C1は3回となる。したがって、路上機RSU−A,RSU−Bからの保持用定期送信情報の転送回数C1が最小であるので、路上機RSU−A,RSU−Bからの保持用定期送信情報が転送用定期送信情報として選択される。
【0100】
車載機OBU3は、車載機OBU1と車載機OBU2を介して路上機RSU−Aから定期送信情報を受信し、路上機RSU−Bから定期送信情報を受信し、路上機RSU−Cから定期送信情報を受信しない。なお、路上機RSU−Cからの定期送信情報が受信されないのは、路上機RSU−Cからの定期送信情報を車載機OBU3が受信するためには、3つの車載機を介する必要があり、転送回数C1が3回以上になるためである。このため、路上機RSU−Aからの保持用定期送信情報の転送回数C1は3回、路上機RSU−Bからの保持用定期送信情報の転送回数C1は1回となる。したがって、路上機RSU−Bからの保持用定期送信情報の転送回数C1が最小であるので、路上機RSU−Bからの保持用定期送信情報が転送用定期送信情報として選択される。
【0101】
車載機OBU4は、上述の理由により路上機RSU−A,RSU−Cから定期送信情報を受信せず、車載機OBU3を介して路上機RSU−Bから定期送信情報を受信する。このため、路上機RSU−Bからの保持用定期送信情報の転送回数C1は2回となる。したがって、路上機RSU−Bからの保持用定期送信情報の転送回数C1が最小であるので、路上機RSU−Bからの保持用定期送信情報が転送用定期送信情報として選択される。
【0102】
車載機OBU5は、車載機OBU1を介して路上機RSU−Aから定期送信情報を受信し、上述の理由により路上機RSU−Bから定期送信情報を受信せず、RSU−Cから定期送信情報を受信する。このため、路上機RSU−Aからの保持用定期送信情報の転送回数C1は2回、路上機RSU−Cからの保持用定期送信情報の転送回数C1は1回となる。したがって、路上機RSU−Cからの保持用定期送信情報の転送回数C1が最小であるので、路上機RSU−Cからの保持用定期送信情報が転送用定期送信情報として選択される。
【0103】
車載機OBU6は、車載機OBU1と車載機OBU2を介して路上機RSU−Aから定期送信情報を受信し、車載機OBU3と車載機OBU2を介して路上機RSU−Bから定期送信情報を受信し、車載機OBU5を介して路上機RSU−Cから定期送信情報を受信する。このため、路上機RSU−Aからの保持用定期送信情報の転送回数C1は3回、路上機RSU−Bからの保持用定期送信情報の転送回数C1は3回、路上機RSU−Cからの保持用定期送信情報の転送回数C1は2回となる。したがって、路上機RSU−Cからの保持用定期送信情報の転送回数C1が最小であるので、路上機RSU−Cからの保持用定期送信情報が転送用定期送信情報として選択される。
【0104】
車載機OBU7は、上述の理由により路上機RSU−Aから定期送信情報を受信せず、車載機OBU3と車載機OBU4を介して路上機RSU−Bから定期送信情報を受信し、車載機OBU5と車載機OBU6を介して路上機RSU−Cから定期送信情報を受信する。このため、路上機RSU−Bからの保持用定期送信情報の転送回数C1は3回、路上機RSU−Cからの保持用定期送信情報の転送回数C1は3回となる。したがって、路上機RSU−B,RSU−Cからの保持用定期送信情報の転送回数C1が最小となる。しかし、転送回数C1が3回であるので、転送用定期送信情報として選択されない。
【0105】
このように構成された無線通信システムは、一定周期毎に繰り返される予め設定された定期送信期間内に、予め設定された通信チャンネルを利用してデータを無線送信する通信装置2Aと、通信チャンネルを利用してデータを無線受信するとともに、データ送信が必要になったときに通信チャンネルが空いているか否かを判定して、通信チャンネルが空いている場合にデータを無線送信する通信装置2B,2C,…との2種類の通信装置が混在したものである。
【0106】
また通信装置2Aは、定期送信期間を示すデータである定期送信期間情報を無線送信するように構成される。
また、通信装置2B,2C,…は、通信装置2Aから受信した定期送信期間情報を複数記憶可能な定期送信期間テーブル20を備え、定期送信期間テーブル20に記憶されている定期送信期間情報(保持用定期送信情報)の中から、転送回数C1が最小となるものを転送用定期送信情報として選択し(S60)、この転送用定期送信情報を、無線送信することにより他の通信装置2B,2C,…へ転送する。
【0107】
すなわち通信装置2B,2C,…は、定期送信期間情報を複数記憶し、記憶した複数の定期送信期間情報の中から選択した定期送信期間情報を他の第2通信装置へ転送する。このため、通信装置2Aが他の通信装置2Aの定期送信期間情報を送信せず、自身の定期送信期間情報のみを送信する場合に、通信装置2B,2C,…は、複数の通信装置2Aからそれぞれ1つの定期送信期間情報を受信することにより、それぞれ異なる通信装置2Aからの複数の定期送信期間情報を取得し、さらに、異なる通信装置2Aからの複数の定期送信期間情報を、他の通信装置2B,2C,…へ転送することができる。
【0108】
したがって、他の通信装置2B,2C,…は、それぞれ異なる通信装置2Aからの複数の定期送信期間情報を、通信装置2B,2C,…からのデータ受信により一括して受信することができる。このため、通信装置2Aが、他の通信装置2Aの定期送信期間情報を送信することを不要にすることができる。
【0109】
このため、通信装置2B,2C,…は、自身と無線通信可能なエリア外に設置された通信装置2Aからの定期送信期間情報を通信装置2Aから直接受信することがなくなり、本来不必要である、通信装置2Aの定期送信期間においてもデータ送信を禁止してしまうことを抑制することができる。
【0110】
また、上述のように、通信装置2Aが他の通信装置2Aの定期送信期間情報を送信することを不要にすることができることから、通信装置2Aに、他の通信装置2Aの定期送信期間情報を設定する必要がなくなる。このため、例えば新たな通信装置2Aが設置された場合や、既存の通信装置2Aの設定が変更された場合に、これに対応して定期送信期間情報を再設定する作業を、周囲の通信装置2Aに対して行う必要がなく、通信装置2Aの運用を簡略化することができる。
【0111】
また、優先的な通信を必要とする移動通信端末が移動している状況下でも、通信装置2B,2C,…側で、移動通信端末の定期送信期間情報と、通信装置2Aの定期送信期間情報とを統合して他の通信装置2B,2C,…へ転送することができる。すなわち、移動通信端末が移動に応じて定期送信期間情報を再設定する作業を、周囲の通信装置2Aに対して行う必要がなく、動的な状況への対応を容易にすることができる。
【0112】
さらに、通信装置2B,2C,…は、定期送信期間テーブル20に記憶されている定期送信期間情報(保持用定期送信情報)を用いて、定期送信期間テーブル20に記憶されている定期送信期間情報が示す定期送信期間の全てを、ランダム送信禁止期間に設定し(S80)、ランダム送信禁止期間内におけるデータ送信を禁止する。
【0113】
これにより、通信装置2B,2C,…は、複数の通信装置2Aのそれぞれに対応して、各通信装置2Aが定期送信期間内にデータを無線送信しているときにデータ送信を行わないようにすることができ、通信装置2Aからのデータと通信装置2B,2C,…からのデータとの衝突の発生を抑制することができる。
【0114】
また、通信装置2B,2C,…が、複数の定期送信期間情報を一括して転送するとともに、この一括して送信される複数の定期送信期間情報に対応した転送回数C1を示す情報(以下、「転送回数C1を示す情報」を転送回数情報という)を1つのみ付加するように構成されており、付加されている転送回数情報が示す転送回数C1が最小の定期送信期間情報が転送用定期送信情報として選択される。
【0115】
なお、転送回数C1が大きいと、その転送回数情報が付加された定期送信期間情報は、遠くの通信装置2Aから送信されたものであり、逆に転送回数C1が小さいと、近くの通信装置2Aから送信されたものであると考えられる。
【0116】
このため、遠くの通信装置2Aからの定期送信期間情報よりも、近くの通信装置2Aからの定期送信期間情報を優先して送信することができる。
また、定期送信期間テーブル20に記憶されている定期送信期間情報(保持用定期送信情報)が示す定期送信期間の全てを、ランダム送信禁止期間に設定する。
【0117】
このため、通信装置2B,2C,…が認識した全ての通信装置2Aの定期送信期間内においてデータの無線送信を禁止するため、通信装置2Aから送信されるデータと通信装置2B,2C,…から送信されるデータとの衝突の発生を最小限に抑制することができる。
【0118】
また、保持用定期送信情報が示す定期送信期間内を1、定期送信期間外を0として、定期送信期間テーブル20に記憶されている全ての定期送信期間情報(保持用定期送信情報)について、同一時刻での論理和を算出し、この算出結果が1となる期間を、ランダム送信禁止期間とする。このため、論理和という簡便な演算方法で、ランダム送信禁止期間を設定することができる。
【0119】
また、送信禁止期間設定情報により示される複数のランダム送信禁止期間の中で、隣接するランダム送信禁止期間の間の間隔が小さいものから順に、禁止期間数C2が連結判定値C2max未満となるように、隣接するランダム送信禁止期間の間を新たなランダム送信禁止期間に設定して、隣接している送信禁止期間を連結することにより、1つの連続した送信禁止期間とする(S100)。
【0120】
このため、隣接している2つのランダム送信禁止期間を連結して1つの連続したランダム送信禁止期間とすることができるので、ランダム送信禁止期間の数、すなわちランダム送信禁止期間を設定する送信禁止期間設定情報のデータ量を低減させることができる。さらに、無線送信ができる期間の減少を必要最小限に抑制して、ランダム送信禁止期間の数を低減させることができる。
【0121】
以上説明した実施形態において、通信装置2Aは本発明における第1通信装置、通信装置2B,2C,…は本発明における無線通信装置および第2通信装置、定期送信期間テーブル20は本発明における期間情報記憶手段、S60の処理は本発明における期間情報転送手段、S80の処理は本発明における禁止期間設定手段、S100の処理は本発明における禁止期間連結手段、ランダム送信禁止期間は本発明における送信禁止期間、S100において禁止期間数C2が連結判定値C2max未満となるように連結される個数は本発明における設定個数である。
【0122】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採ることができる。
例えば上記実施形態では、転送回数C1が最小の保持用定期送信情報の全てが転送用定期送信情報として選択されるものを示した。しかし、転送回数C1が最小の保持用定期送信情報の全てを転送用定期送信情報として転送することができない場合には、転送回数C1が最小の保持用定期送信情報の中から、ランダムに決定された保持用定期送信情報を転送用定期送信情報として選択するようにするとよい。これにより、転送回数C1が最小の保持用定期送信情報の中で、転送用定期送信情報を容易に決定することができる。さらに、定期送信情報を複数回送信する場合や、複数台の通信装置2B,2C,…が存在する場合に、ランダムに選択することで、転送する保持用定期送信情報が固定されないため、予め設定された選択個数以上の定期送信情報を通信エリア内の他の通信装置2B,2C,…へ通知することができる。例えば、一度に転送できる定期送信情報の数が3個で、定期送信期間テーブル20に記憶されている定期送信情報の数が5個である場合に、一度に送信できる数が3個であっても、ランダムに複数回送信することにより、定期送信期間テーブル20に記憶されている全ての定期送信情報が周囲の通信装置へ届くことになる。また、自身の周囲に、同じ定期送信情報を記憶している通信装置2B,2C,…が存在する場合に、これら通信装置2B,2C,…のそれぞれが、異なる定期送信情報を選択することになるため、結果的に全ての定期送信情報が周囲へ転送されることになる。
【0123】
また上記実施形態では、複数の保持用定期送信情報と1つの転送回数C1を示す情報(転送回数情報)とを一括して送信するものを示した。しかし、転送用定期送信情報として送信される複数の保持用定期送信情報のそれぞれに転送回数情報を付加するように構成されている場合には、定期送信期間テーブル20に記憶されている全ての保持用定期送信情報を転送用定期送信情報として選択するようにしてもよい。これにより、転送すべき保持用定期送信情報を選択するための処理負荷を低減することができる。さらに、全ての定期送信情報が他の通信装置2B,2C,…へ届くため、この定期送信情報を受信した通信装置2B,2C,…は、より確実に通信装置2Aとの干渉発生を抑制することができる。
【0124】
また、転送用定期送信情報として送信される複数の保持用定期送信情報のそれぞれに転送回数情報を付加するように構成されている場合には、付加されている転送回数情報が示す転送回数C1が小さいものから順に、予め設定された選択個数の保持用定期送信情報を転送用定期送信情報として選択するようにしてもよい。これにより、遠くの通信装置2Aからの定期送信期間情報よりも、近くの通信装置2Aからの定期送信期間情報を優先して送信することができる。
【0125】
また、転送用定期送信情報として送信される複数の保持用定期送信情報のそれぞれに転送回数情報を付加するように構成されている場合には、予め設定された選択個数の保持用定期送信情報を、ランダムに転送用定期送信情報として選択するようにしてもよい。これにより、転送すべき保持用定期送信情報を容易に決定することができる。さらに、定期送信情報を複数回送信する場合や、複数台の通信装置2B,2C,…が存在する場合に、ランダムに選択することで、転送する保持用定期送信情報が固定されないため、予め設定された選択個数以上の定期送信情報を通信エリア内の他の通信装置2B,2C,…へ通知することができる。
【0126】
また上記実施形態では、S60で選択された保持用定期送信情報を全て転送用定期送信情報として転送するものを示した。しかし、図8に示すように、S62とS64の処理を追加するようにしてもよい。図8は、他の実施形態の定期送信情報更新処理を示すフローチャートである。
【0127】
すなわち、S60の処理が終了した後に、S62にて、定期送信期間が予め設定された第1所定間隔(例えば、10ms)以下で隣接している保持用定期送信情報があるか否かを判断する。ここで、定期送信期間が第1所定間隔以下で隣接している保持用定期送信情報がない場合には(S62:NO)、S70に移行する。一方、第1所定間隔以下で隣接している保持用定期送信情報がある場合には(S62:YES)、S64にて、第1所定間隔以下で隣接している定期送信期間の間を定期送信期間として、隣接している定期送信期間を連結することにより、1つの連続した定期送信期間を示す保持用定期送信情報とし、S70に移行する。
【0128】
これにより、隣接している2つの定期送信期間を連結して1つの連続した定期送信期間とすることができるので、転送する保持用定期送信情報の数、すなわち転送用定期送信情報のデータ量を低減させることができる。なお、S62,S64の処理は本発明における送信期間連結手段である。
【0129】
また上記実施形態では、隣接するランダム送信禁止期間の間の間隔が小さいものから順に、禁止期間数C2が連結判定値C2max未満となるように、隣接するランダム送信禁止期間の間を新たなランダム送信禁止期間に設定するものを示した。しかし、隣接しているランダム送信禁止期間の間が予め設定された第2所定間隔(例えば、10ms)以下である場合に、第2所定間隔以下で隣接しているランダム送信禁止期間の間を新たなランダム送信禁止期間に設定するようにしてもよい。これにより、隣接しているランダム送信禁止期間の間が第2所定間隔より大きいものはランダム送信禁止期間に設定されないため、隣接しているランダム送信禁止期間の間が大きいものがランダム送信禁止期間に設定されることを抑制し、通信装置2B,2C,…が無線送信できる期間の減少を抑制することができる。
【0130】
ところで、送信禁止期間設定情報により示されるランダム送信禁止期間が全て同一である複数の通信装置2B,2C,…が存在している場合に、ランダム送信禁止期間の間が第2所定間隔以下のものを連結すると、全て同じようにランダム送信禁止期間が連結される。このため、連結されたランダム送信禁止期間において、通信装置2B,2C,…の全てが無線通信を行っていないという状況の発生が考えられる。
【0131】
そこで、隣接しているランダム送信禁止期間の間をランダムにランダム送信禁止期間に設定することであるようにしてもよい。これにより、送信禁止期間設定情報により示されるランダム送信禁止期間が全て同一である複数の通信装置2B,2C,…が存在している場合であっても、これら複数の通信装置2B,2C,…ごとに、連結されるランダム送信禁止期間が異なるようにすることができる。このため、連結されたランダム送信禁止期間において通信装置2B,2C,…の全てが無線通信を行っていないという状況の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0132】
2(2A,2B,2C,…)…通信装置、4…時計、6…タイマリセット部、12…データ送信部、14…変調処理部、16…復調処理部、18…データ受信部、20…定期送信期間テーブル、30…定期送信期間決定部、40…ランダム送信禁止期間決定部、50…定期送信期間更新部、52…時刻差分計算部、54…時刻補正判断部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定周期毎に繰り返される予め設定された定期送信期間内に、予め設定された通信チャンネルを利用してデータを無線送信する第1通信装置と、
前記通信チャンネルを利用してデータを無線受信するとともに、データ送信が必要になったときに前記通信チャンネルが空いているか否かを判定して、前記通信チャンネルが空いている場合にデータを無線送信する第2通信装置と
の2種類の通信装置が混在し、
前記第1通信装置が、前記定期送信期間を示すデータである定期送信期間情報を無線送信するように構成された
無線通信システムにおいて、前記第2通信装置として使用される無線通信装置であって、
前記第1通信装置から受信した前記定期送信期間情報を複数記憶可能な期間情報記憶手段と、
前記期間情報記憶手段に記憶されている前記定期送信期間情報の中から、予め設定された選択条件に基づいて、前記定期送信期間情報を選択し、この選択した前記定期送信期間情報を、無線送信することにより他の前記第2通信装置へ転送する期間情報転送手段と、
前記期間情報記憶手段に記憶されている前記定期送信期間情報を用いて、予め設定された期間設定条件に基づいて送信禁止期間を設定し、前記送信禁止期間内におけるデータ送信を禁止する禁止期間設定手段と
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記第1通信装置は、前記定期送信期間情報を転送した回数である転送回数を示す転送回数情報を、前記定期送信期間情報に付加して無線送信するように構成され、
前記第2通信装置の前記期間情報転送手段は、複数の前記定期送信期間情報を一括して転送するとともに、この一括して送信される複数の前記定期送信期間情報に対応した前記転送回数情報を1つのみ付加するように構成され、
前記選択条件は、
付加されている前記転送回数情報が示す前記転送回数が最小の前記定期送信期間情報を選択することである
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記選択条件は、
前記転送回数が最小の前記定期送信期間情報の中から、ランダムに決定された前記定期送信期間情報を選択することである
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記第1通信装置は、前記定期送信期間情報を転送した回数である転送回数を示す転送回数情報を、前記定期送信期間情報に付加して無線送信するように構成され、
前記第2通信装置の前記期間情報転送手段は、複数の前記定期送信期間情報を一括して転送するとともに、この一括して送信される複数の前記定期送信期間情報のそれぞれに対応した前記転送回数情報を付加するように構成され、
前記選択条件は、
前記期間情報記憶手段に記憶されている全ての前記定期送信期間情報を選択することである
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記第1通信装置は、前記定期送信期間情報を転送した回数である転送回数を示す転送回数情報を、前記定期送信期間情報に付加して無線送信するように構成され、
前記第2通信装置の前記期間情報転送手段は、複数の前記定期送信期間情報を一括して転送するとともに、この一括して送信される複数の前記定期送信期間情報のそれぞれに対応した前記転送回数情報を付加するように構成され、
前記選択条件は、
付加されている前記転送回数情報が示す前記転送回数が小さいものから順に、予め設定された選択個数の前記定期送信期間情報を選択することである
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記第1通信装置は、前記定期送信期間情報を転送した回数である転送回数を示す転送回数情報を、前記定期送信期間情報に付加して無線送信するように構成され、
前記第2通信装置の前記期間情報転送手段は、複数の前記定期送信期間情報を一括して転送するとともに、この一括して送信される複数の前記定期送信期間情報のそれぞれに対応した前記転送回数情報を付加するように構成され、
前記選択条件は、
予め設定された選択個数の前記定期送信期間情報をランダムに選択することである
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記期間情報転送手段により選択された複数の前記定期送信期間情報の中で、前記定期送信期間が第1所定間隔以下で隣接している前記定期送信期間情報がある場合に、隣接している前記定期送信期間の間を前記定期送信期間として、隣接している前記定期送信期間を連結することにより、1つの連続した前記定期送信期間を示す前記定期送信期間情報とする送信期間連結手段を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記期間設定条件は、
前記期間情報記憶手段に記憶されている前記定期送信期間情報が示す前記定期送信期間の全てを、前記送信禁止期間とすることである
ことを特徴とする請求項1〜請求項7の何れかに記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記定期送信期間情報が示す前記定期送信期間内を1、前記定期送信期間外を0として、前記期間情報記憶手段に記憶されている全ての前記定期送信期間情報について、同一時刻での論理和を算出し、この算出結果が1となる期間を、前記送信禁止期間とする
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記禁止期間設定手段により設定された複数の前記送信禁止期間の中で、予め設定された期間連結条件に基づいて、隣接している前記送信禁止期間の間を前記送信禁止期間に設定して、隣接している前記送信禁止期間を連結することにより、1つの連続した前記送信禁止期間とする禁止期間連結手段を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項9の何れかに記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記期間連結条件は、
前記禁止期間設定手段により設定された複数の前記送信禁止期間の中で、隣接している前記送信禁止期間の間の間隔が小さいものから順に、予め設定された設定個数を前記送信禁止期間に設定することである
ことを特徴とする請求項10に記載の無線通信装置。
【請求項12】
前記期間連結条件は、
隣接している前記送信禁止期間の間が予め設定された第2所定間隔以下であることである
ことを特徴とする請求項10に記載の無線通信装置。
【請求項13】
前記期間連結条件は、
隣接している前記送信禁止期間の間をランダムに前記送信禁止期間に設定することである
ことを特徴とする請求項10に記載の無線通信装置。
【請求項1】
一定周期毎に繰り返される予め設定された定期送信期間内に、予め設定された通信チャンネルを利用してデータを無線送信する第1通信装置と、
前記通信チャンネルを利用してデータを無線受信するとともに、データ送信が必要になったときに前記通信チャンネルが空いているか否かを判定して、前記通信チャンネルが空いている場合にデータを無線送信する第2通信装置と
の2種類の通信装置が混在し、
前記第1通信装置が、前記定期送信期間を示すデータである定期送信期間情報を無線送信するように構成された
無線通信システムにおいて、前記第2通信装置として使用される無線通信装置であって、
前記第1通信装置から受信した前記定期送信期間情報を複数記憶可能な期間情報記憶手段と、
前記期間情報記憶手段に記憶されている前記定期送信期間情報の中から、予め設定された選択条件に基づいて、前記定期送信期間情報を選択し、この選択した前記定期送信期間情報を、無線送信することにより他の前記第2通信装置へ転送する期間情報転送手段と、
前記期間情報記憶手段に記憶されている前記定期送信期間情報を用いて、予め設定された期間設定条件に基づいて送信禁止期間を設定し、前記送信禁止期間内におけるデータ送信を禁止する禁止期間設定手段と
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記第1通信装置は、前記定期送信期間情報を転送した回数である転送回数を示す転送回数情報を、前記定期送信期間情報に付加して無線送信するように構成され、
前記第2通信装置の前記期間情報転送手段は、複数の前記定期送信期間情報を一括して転送するとともに、この一括して送信される複数の前記定期送信期間情報に対応した前記転送回数情報を1つのみ付加するように構成され、
前記選択条件は、
付加されている前記転送回数情報が示す前記転送回数が最小の前記定期送信期間情報を選択することである
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記選択条件は、
前記転送回数が最小の前記定期送信期間情報の中から、ランダムに決定された前記定期送信期間情報を選択することである
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記第1通信装置は、前記定期送信期間情報を転送した回数である転送回数を示す転送回数情報を、前記定期送信期間情報に付加して無線送信するように構成され、
前記第2通信装置の前記期間情報転送手段は、複数の前記定期送信期間情報を一括して転送するとともに、この一括して送信される複数の前記定期送信期間情報のそれぞれに対応した前記転送回数情報を付加するように構成され、
前記選択条件は、
前記期間情報記憶手段に記憶されている全ての前記定期送信期間情報を選択することである
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記第1通信装置は、前記定期送信期間情報を転送した回数である転送回数を示す転送回数情報を、前記定期送信期間情報に付加して無線送信するように構成され、
前記第2通信装置の前記期間情報転送手段は、複数の前記定期送信期間情報を一括して転送するとともに、この一括して送信される複数の前記定期送信期間情報のそれぞれに対応した前記転送回数情報を付加するように構成され、
前記選択条件は、
付加されている前記転送回数情報が示す前記転送回数が小さいものから順に、予め設定された選択個数の前記定期送信期間情報を選択することである
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記第1通信装置は、前記定期送信期間情報を転送した回数である転送回数を示す転送回数情報を、前記定期送信期間情報に付加して無線送信するように構成され、
前記第2通信装置の前記期間情報転送手段は、複数の前記定期送信期間情報を一括して転送するとともに、この一括して送信される複数の前記定期送信期間情報のそれぞれに対応した前記転送回数情報を付加するように構成され、
前記選択条件は、
予め設定された選択個数の前記定期送信期間情報をランダムに選択することである
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記期間情報転送手段により選択された複数の前記定期送信期間情報の中で、前記定期送信期間が第1所定間隔以下で隣接している前記定期送信期間情報がある場合に、隣接している前記定期送信期間の間を前記定期送信期間として、隣接している前記定期送信期間を連結することにより、1つの連続した前記定期送信期間を示す前記定期送信期間情報とする送信期間連結手段を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記期間設定条件は、
前記期間情報記憶手段に記憶されている前記定期送信期間情報が示す前記定期送信期間の全てを、前記送信禁止期間とすることである
ことを特徴とする請求項1〜請求項7の何れかに記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記定期送信期間情報が示す前記定期送信期間内を1、前記定期送信期間外を0として、前記期間情報記憶手段に記憶されている全ての前記定期送信期間情報について、同一時刻での論理和を算出し、この算出結果が1となる期間を、前記送信禁止期間とする
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記禁止期間設定手段により設定された複数の前記送信禁止期間の中で、予め設定された期間連結条件に基づいて、隣接している前記送信禁止期間の間を前記送信禁止期間に設定して、隣接している前記送信禁止期間を連結することにより、1つの連続した前記送信禁止期間とする禁止期間連結手段を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項9の何れかに記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記期間連結条件は、
前記禁止期間設定手段により設定された複数の前記送信禁止期間の中で、隣接している前記送信禁止期間の間の間隔が小さいものから順に、予め設定された設定個数を前記送信禁止期間に設定することである
ことを特徴とする請求項10に記載の無線通信装置。
【請求項12】
前記期間連結条件は、
隣接している前記送信禁止期間の間が予め設定された第2所定間隔以下であることである
ことを特徴とする請求項10に記載の無線通信装置。
【請求項13】
前記期間連結条件は、
隣接している前記送信禁止期間の間をランダムに前記送信禁止期間に設定することである
ことを特徴とする請求項10に記載の無線通信装置。
【図1】
【図2】
【図5】
【図6】
【図8】
【図3】
【図4】
【図7】
【図9】
【図2】
【図5】
【図6】
【図8】
【図3】
【図4】
【図7】
【図9】
【公開番号】特開2011−55113(P2011−55113A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200428(P2009−200428)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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