説明

無菌粘土の精製方法および無菌粘土の滅菌精製システム

【課題】 粘土素材を精製すると共に、殺菌や残留農薬の分解除去を行って、人体に悪影響を及ぼす要素を十分に取り除いた無菌粘土を精製するための無菌粘土の精製方法および無菌粘土の滅菌精製システムを提供する。
【解決手段】 水にオゾンを溶解させたオゾン水3と粘土素材1とを容器2内に収容して混合攪拌することにより、粘土素材1に含まれる粘土分をオゾン水3内に溶解させ、粘土分を溶解させたコロイド状溶液1cから不純物を取り除いて精製した後にこのコロイド状溶液1cを乾燥させて無菌粘土1dとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無菌粘土の精製方法および無菌粘土の滅菌精製システムに関するものであり、例えば沖縄本土南部の島尻泥岩などの粘土素材を滅菌しながら精製することにより、医療などに用いることができる無菌粘土を精製するための無菌粘土の精製方法および無菌粘土の滅菌精製システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より沖縄本土南部の島尻泥岩などの粘土素材は、方言でクチャと呼ばれる粘土鉱物であり、これは偏西風に乗って沖縄の海へと飛来し、海に降り注いで海底に堆積した黄砂が、火山活動で隆起して形成された海成堆積物である。また、クチャの粒子サイズは5μm程度に均一であってシルト岩を構成する(以下、このような粘土素材をクチャという)。したがって、クチャは長い年月をかけて海底に堆積したものであり、海洋生物を育てる培地ともなっているので、主要成分の珪酸やアルミニウムの他にも、カルシウム、マグネシウム、カリウム、チタンおよび鉄などの多くのミネラルを、イオンの形で有する。
【0003】
また、クチャには強い吸着力があり、あらゆる物質に吸着してこれを包み込む特性があるので、クチャを皮膚に塗布し美容パックとして用いることにより、全ての汚れの原因物質に吸着させて、これを洗い流すことができる。そして、クチャには皮膚の酸化した老廃物や臭気のある分泌物などと好んで結合して取り除く弱塩基物質が含まれるので、肌の汚れや匂いを取り除き、ミネラルを補給することができる肌の美容パックとして好んで用いられている。他にも、シャンプーやボディーソープ、歯磨きペーストなどに用いたり、湿布材などの医療目的でも用いられることがある。
【0004】
そして、特許文献1には、このようなクチャを用いて生体深部治療剤を製造する方法が説明されている。
【特許文献1】特開2005−41824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記クチャのような粘土素材を人体に直接触れる美容パックやボディーソープや医療に用いる場合にはクチャから精製された粘土に雑菌などが混入されないようにすることが重要である。しかしながら、前記クチャの有用な特性を全く損なうことなくこれを殺菌することは極めて困難である。
【0006】
特許文献1には高温加熱処理によって滅菌をすることが示されているが、このような滅菌処理には多くの熱量が必要であるから、製造コストを引き上げるものとなるだけでなく、加熱によってクチャの化学的特性が変化することも懸念される。別の殺菌方法としては、塩素などを用いた化学物質を用いた殺菌が考えられるが、このような化学物質を用いた殺菌を行う場合にも、クチャの良好な特性が失われる可能性があるだけでなく、クチャの殺菌に用いた化学物質の廃棄に問題が生じるので、好ましくなかった。さらに、紫外線を用いた殺菌も考えられるが、紫外線はクチャの表面における殺菌を行えても、内部の殺菌まで行うことがでなかった。
【0007】
また、近年は至る所で農薬などの薬剤が使用されるようになっているので、クチャにも微量の残留農薬が含まれることがあり、これを適正に除去することが望ましいが、粘土状のクチャに含まれる残留農薬を、クチャの特性を変えることなく除去するのは極めて困難であり、事実上不可能であった。
【0008】
本発明は上述の事柄を考慮に入れて成されたものであって、その目的は、粘土素材を精製すると共に、殺菌や残留農薬の分解除去を行って、人体に悪影響を及ぼす要素を十分に取り除いた無菌粘土を精製するための無菌粘土の精製方法および無菌粘土の滅菌精製システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の無菌粘土の精製方法は、水にオゾンを溶解させたオゾン水と粘土素材とを容器内に収容して混合攪拌することにより、粘土素材に含まれる粘土分をオゾン水内に溶解させ、粘土分を溶解させたコロイド状溶液から不純物を取り除いて精製した後にこのコロイド状溶液を乾燥させて無菌粘土とすることを特徴としている。
【0010】
前記コロイド状溶液の精製工程に、前記容器内のコロイド状溶液を攪拌しながらオゾン水を加えて精製する第1の工程と、精製したコロイド状溶液を所定時間静止して粘土分を沈殿させた後に上澄み液を排出する第2の工程とが含まれてもよい(請求項2)。
【0011】
前記コロイド状溶液の精製工程に、前記容器内から取出したコロイド状溶液を濾過する工程が含まれてもよい(請求項3)。
【0012】
精製させたコロイド状溶液を、滅菌乾燥室内において太陽光線に当てることにより、無菌状態を保ちながら乾燥させて、ペースト状の無菌粘土を生成してもよい(請求項4)。また、この場合、前記乾燥室内にオゾンを供給してもよい(請求項5)。
【0013】
請求項6に記載の無菌粘土の滅菌精製システムは、浄水にオゾンを溶解させたオゾン水を生成するオゾン水生成装置と、このオゾン水と粘土素材とを混合して収容する容器と、この容器内の粘土素材をオゾン水内に混合攪拌させることにより粘土素材に含まれる粘土分のコロイド状溶液を生成する攪拌機とを備え、攪拌後に静止することにより底部に堆積したコロイド状溶液の水分を除去することにより滅菌処理された無菌粘土を生成可能であることを特徴としている。
【0014】
前記粘土素材がオゾン水に溶解しやすいように粉砕する粉砕機を備えてもよい(請求項7)。
【0015】
前記コロイド状溶液を濾過する濾過器を備えてもよい(請求項8)。
【0016】
太陽光線を透過する窓部を備え、前記精製させたコロイド状溶液に太陽光線を照射することによりコロイド状溶液の水分を除去可能に構成された乾燥室を備えてもよい(請求項9)。
【0017】
前記乾燥室がオゾン生成装置と、このオゾン生成装置によって生成されたオゾンを乾燥室内に供給するブロア装置とを備えてもよい(請求項10)。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の無菌粘土の精製方法によれば、オゾン水と粘土素材を混合攪拌するときに、オゾン水に含まれるオゾンによって粘土素材を殺菌することができ、化学物質を使う場合のように粘土素材の中にあるミネラルなどを壊すことがない。また、殺菌によってオゾンが酸素になるので、殺菌後の水には人体に有害な物質が何も含まれない。加えて、オゾン水は水に比べて溶解力が強く、粘土素材を迅速に溶解させてコロイド状溶液として、これを精製することができる。
【0019】
すなわち、無菌粘土の精製にかかる時間を短縮することができるだけでなく、精製と同時に殺菌を行うことができる、そして、コロイド状溶液となった粘土素材はオゾン水に十分に接するので、オゾン水による殺菌をより効果的に行うことができる。さらに、オゾン水には臭気や残留農薬も同時に分解除去する力があるので、精製された無菌粘土は残留農薬や匂いさえも取り除かれていて、極めて有用である。
【0020】
前記コロイド状溶液の精製工程に、前記容器内のコロイド状溶液を攪拌しながらオゾン水を加えて精製する第1の工程と、精製したコロイド状溶液を所定時間静止して粘土分を沈殿させた後に上澄み液を排出する第2の工程とが含まれる場合(請求項2)には、オゾン水を入れ替えると同時に除去した不純物を取り除いて、コロイド状溶液の精製を行うことができる。
【0021】
前記コロイド状溶液の精製工程に、前記容器内から取出したコロイド状溶液を濾過する工程が含まれる場合(請求項3)には、オゾン水によって溶解できなかった粘土素材の塊や大径の不純物を濾過によって取り除いて、コロイド状溶液を効率的に除菌することができる。
【0022】
精製させたコロイド状溶液を、滅菌乾燥室内において太陽光線に当てることにより、無菌状態を保ちながら乾燥させて、ペースト状の無菌粘土を生成する場合(請求項4)には、コロイド状溶液を乾燥させる工程においても、化学物質などを用いることなく無菌粘土を生成することができる。すなわち、コロイド状溶液の乾燥の際にその表面に雑菌などが付着してこれを汚染することが考えられるが、これらを太陽光線に含まれる紫外線を用いて有効に殺菌することができる。
【0023】
前記乾燥室内にオゾンを供給する場合(請求項5)には、乾燥室内で雑菌が繁殖することを防止し、前記乾燥の工程においてコロイド状溶液に付着する菌の数を減少させることができる。なお、乾燥室内にオゾンを供給する時間は乾燥室内に作業者が入ることのない時間帯であり、太陽光線が当たらない夜間などの時間帯であることが望ましい。
【0024】
請求項6に記載の無菌粘土の滅菌精製システムによれば、容器内に生成させたオゾン水と粘土素材を投入して混合攪拌させることにより、粘土素材をコロイド状溶液にして精製しながら同時にオゾン水に含まれるオゾンによって粘土素材を殺菌できる。このとき、粘土素材の中にあるミネラルなどを壊すことがなく、殺菌後のオゾン水も普通の水になるので、殺菌後の水は特に処理することなく排水でき、精製された無菌粘土には人体に有害な物質が何も含まれない。また、オゾン水を用いることにより溶解力が強く、粘土素材を迅速に溶解させて精製することができる。さらに、オゾン水は臭気や残留農薬も同時に分解除去する力があるので、精製される無菌粘土は極めて有用である。
【0025】
前記粘土素材がオゾン水に溶解しやすいように粉砕する粉砕機を備える場合(請求項7)には、粘土素材を適宜の大きさに粉砕して容器内に投入することができるので、この粘土素材が容易に溶解してコロイド状溶液になる。なお、粘土素材を粉砕する大きさは例えば直径1cm前後の粒程度の大きさであることが妥当である。
【0026】
前記コロイド状溶液を濾過する濾過器を備える場合(請求項8)には、オゾン水によって溶解できなかった粘土素材の塊や大径の不純物を濾過によって取り除いて、コロイド状溶液を効率的に除菌することができる。
【0027】
太陽光線を透過する窓部を備え、前記精製させたコロイド状溶液に太陽光線を照射することによりコロイド状溶液の水分を除去可能に構成された乾燥室を備える場合(請求項9)には、コロイド状溶液を太陽光線によって乾燥させることができ無菌状態をたもったままで無菌粘土を生成することができる。なお、窓部は太陽光線に含まれる紫外線を透過できるものであればよいが、できるだけ多くの太陽光線をコロイド状溶液に照射できるようにするために、乾燥室はビニールハウスのようにできるだけ広いの窓部を形成するものであることが望ましい。
【0028】
前記乾燥室がオゾン生成装置と、このオゾン生成装置によって生成されたオゾンを乾燥室内に供給するブロア装置とを備える場合(請求項10)には、乾燥室内をオゾンによって殺菌することができるので、雑菌の繁殖を確実に止めて、コロイド状溶液の汚染を防止することができる。なお、オゾンによる乾燥室内の殺菌は作業者が乾燥室内に入ることがなく太陽光線が照射されない夜間に行われることが望ましい。つまり、乾燥室には退室時に退室確認と同時に乾燥室内をオゾンで満たして殺菌を行う操作を行うための制御装置を設けることが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、本発明の第1実施例に係る無菌粘土の精製方法を説明する図であり、図2〜4は図1の無菌粘土の精製方法で無菌粘土を精製するための具体的な例を説明する図である。図2〜4において、1は原材料となる粘土素材1であり、この粘土素材1は最初塊1aであるが、これを崩すことにより破片1bとなり、水に溶解させてコロイド状溶液1cとなり、ペースト状に乾燥させて無菌粘土1dとなる。なお、粘土素材1は好適には沖縄本土南部の島尻泥岩などのクチャと呼ばれる粘土鉱物であり、シルト岩から掘削したものであるが、その他の粘土素材であってもよいことはいうまでもない。
【0030】
2は粘土素材1を収容させる容器、3は粘土素材1と共に容器2内に満たされるオゾン水、4はコロイド状溶液1cとなった粘土素材1を裏ごしする布、5は裏ごしした粘土素材1を収容する容器、6は乾燥室、7は乾燥室6の滅菌装置、8は粘土素材1を載せることにより粘土素材1から水分を取り出してペースト状になるまで乾燥させるための布、9は精製された無菌粘土を収容する袋である。
【0031】
図1のS1は図2(A)に示すように粘土素材1を粉砕するステップである。粘土素材1を予め粉砕することにより、次のステップS2以降で行われる粘土素材1に含まれる粘土分の溶解を早めることができる。本実施例では、粘土素材1を例えばへらや刃物を用いた手作業によって直径1cm程度の破片1bとする。この大きさは手作業による粘土素材1の粉砕にかかる時間がこの粉砕によって短縮できる粘土素材1の溶解にかかる時間の短縮よりも短くできる程度とすることが望ましい。なお、図2(D)は2回目以降のステップS1の動作を説明する図である。
【0032】
S2は前記粉砕した粘土素材1の破片1bを容器2内に収容し、体積比で5倍程度の量のオゾン水3を容器2内に攪拌しながら加水するステップである。このとき、オゾン水3は粘土素材1の破片1bの表面からその粘土分を溶解させながらこれを殺菌する。オゾン水3は一般的な水に比べて溶解力が強いので、前記破片1bはより早い時期にオゾン水3によって溶解する。また、攪拌によっても粘土素材1の溶解速度は早まる。
【0033】
S3は図2(B)に示すように、定められた沈殿時間の間、静止して沈殿させると共に、図2(C)に示すように、沈殿によって粘土素材1から分けられた上澄み液3’を流して捨てるステップである。前記沈殿時間は例えば最初は2時間であり、2回目は3時間、3回目は4時間といったように、以後繰り返される度に1時間ずつ増加する。そしで、上澄み液を廃棄するときに、オゾンによって除去した粘土素材1内の不純物や残留農薬などを廃棄することができる。また、オゾン水3は不純物と反応してこれを無毒化した後は酸素に戻るので上澄み液3’はなんら特別な処理を施すことなく廃棄することができる。
【0034】
S4は前記ステップS2,S3の処理を5回繰り返したかどうかを判断するステップであり、繰り返し回数が5回に満たない場合はステップS2にジャンプし、5回繰り返した場合は次のステップS4の処理を行う。本実施例では前記ステップS2,S3を5回繰り返すので、粘土素材1の破片1bは完全に溶解してコロイド状溶液1cとなり、粘土素材1の全ての部分がオゾン水3に接触する。つまり、これを確実に殺菌処理することができる。しかしながら、本発明はこの回数に限定されるものではないことはいうまでもない。
【0035】
S5は図3(A)に示すように、容器2内の粘土素材に5倍程度の量のオゾン水3を攪拌しながら加水するステップである。
【0036】
S6は6時間が経過した後に、図3(B)に示すように上澄み液3’を廃棄し、残った粘土素材1のコロイド状溶液1cを、図3(C)に示すように攪拌機10などを用いて攪拌するステップである。つまり、攪拌機10を用いて十分に攪拌することにより、僅かに残っている粘土素材1の破片1bがあったとしても、これを強制的にオゾン水3内に溶解させて滅菌することができる。
【0037】
S7は図4(A)に示すように前記攪拌後の粘土素材1のコロイド状溶液1cを布越しするステップである。このとき用いる布4はオゾン水3に溶解してコロイド状になった粘土素材1を容易に通すことができる程度の目合いを有するものであり、かつ、コロイド状溶液1cに混在する不純物11を選別して取り除くことができるものである。
【0038】
なお、図4(A)に示す、12は前記布4を載せることができ、布4を透過したコロイド状溶液1cを収容するための容器5をセットできるように構成された台である。この布越しを行うことにより、オゾン水3によって殺菌できない不純物11の塊を確実に除去することができるので、容器5に収容される粘土素材1のコロイド状溶液1cは無菌状態である。
【0039】
S8は粘土素材1のコロイド状溶液1cを乾燥させてペースト状の無菌粘土1dを得るステップである。この作業は、図4(B)に示す乾燥室6内において行われ、この乾燥室6内には棚網に敷いた布8が用意されている。この布8はコロイド状溶液1cを載せた状態で水分だけを透過する程度の目合いを有するものであり、この布8の上に載せられたコロイド状溶液1cから水分が抜けて、乾燥を促進させることができるように構成されている。
【0040】
なお、前記乾燥室6には太陽光線Lを透過する窓部6aを有するものであり、とりわけ本実施例の場合、乾燥室6は太陽光線L(紫外線)を透過可能に構成されたビニールによって隙間なく形成されたビニールハウスである。したがって、本実施例の場合は乾燥室6を構成する全ての壁面および天面が窓部6bである。したがって、この乾燥室6内で自然乾燥させる場合に雑菌がコロイド状溶液1cまたはペースト状の無菌粘土1dに付着することも考えられるが、このような雑菌を太陽光線L、とりわけ紫外線によって死滅させることができる。
【0041】
さらに、本実施例の乾燥室6には滅菌装置7が形成されており、この滅菌装置7はオゾン生成装置7aとブロア装置7bとからなる。この滅菌装置7は太陽光線Lが乾燥室6内に入らない夜間の時間帯に、オゾン生成装置7aによって生成したオゾンをブロア装置7bによって乾燥室6内に送り込むように構成されている。この滅菌装置7は乾燥室6に粘土素材1のコロイド状溶液1cが持ち込まれる前に約1時間ほどオゾンを送り込むように制御されており、これによって、乾燥室6内は常に殺菌された状態を保つことができる。
【0042】
S9は滅菌状態でペースト状に乾燥させた無菌粘土1dを袋9内に収容するステップである。そして、この無菌粘土1dは美容パック、湿布材、歯磨きペーストなど人体に直接触れる部分であっても安心して用いることができる。
【0043】
図5は前記無菌粘土1dの滅菌精製システム20の構成を示す図である。図5において、図1〜4と同じ符号を付した部材は同一または同等の部材であるから、その詳細な説明を省略する。
【0044】
図5において、21は粘土素材1がオゾン水3の溶解しやすいように粉砕する粉砕機、22は浄水にオゾンを溶解させた前記オゾン水3を生成するオゾン水生成装置、23…はオゾン水3と粘土素材1とを収容する容器(本実施例の場合はタンクである)、24はタンク23…内でオゾン水3によって溶解させたコロイド状溶液1cを濾過する濾過器、25は濾過器24内のフィルタである。
【0045】
前記粉砕機21は粘土素材1を例えば直径1cm以下の大きさの破片1bに粉砕するものであり、これによってオゾン水3による溶解速度を早めることができる。なお、粉砕機21による粉砕にかかる時間が妥当な範囲で、粘土素材1の破片1bの粒径をオゾン水3に混合する前の状態でできるだけ小さくすることが好ましい。
【0046】
オゾン生成装置22は浄水にできるだけ高濃度オゾンを溶解させるものであることが望ましい。すなわち、オゾン水3に含まれるオゾンの濃度が高ければ高いほど粘土素材1の溶解および殺菌を速やかに行うことができ、無菌粘土を効率的に製造することができる。
【0047】
前記タンク23には混合攪拌して得られた粘土素材1のコロイド状溶液1cを底部から採取するための採取部23aと、上澄み液3’を排出する排出口23bとが設けられており、各タンク23…によって攪拌と沈殿の工程を順次繰り返して行うことができるように構成してある。したがって、前記粉砕機21、オゾン水生成装置22、各タンク23…は粘土素材1のオゾン水殺菌および濃縮沈殿システムとして機能する。
【0048】
次いで、濾過機24ではコロイド状溶液1cを透過可能である程度に小さな目合いを有するフィルタ25を備えるので、前記タンク23…による混合攪拌を行っても分解できなったような異物11を容易に取り除くことができる。
【0049】
本実施例のように構成することにより、粘土素材1から完全に殺菌された無菌粘土1dの元となるコロイド状溶液1cをほゞ自動的に生成することができる。したがって、このコロイド溶液1cを前記乾燥室6内で乾燥させることにより、無菌粘土1dを生成することができる。したがって、乾燥室6と滅菌装置7はオゾン殺菌および自然太陽熱乾燥システムとして機能する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の無菌粘土の精製方法を説明する図である。
【図2】前記無菌粘土の精製方法を行う具体的な方法を説明する図である。
【図3】前記無菌粘土の精製方法を行う具体的な方法を説明する別の図である。
【図4】前記無菌粘土の精製方法を行う具体的な方法を説明する別の図である。
【図5】本発明の無菌粘土の滅菌精製システムを説明する図である。
【符号の説明】
【0051】
1 粘土素材
1c コロイド状溶液
1d 無菌粘土
2,23 容器
3 オゾン水
6 乾燥室
7a オゾン生成装置
7b ブロア装置
11 不純物
20 無菌粘土の滅菌精製システム
21 粉砕機
22 オゾン水生成装置
24 濾過器
S2 第1の工程
S3 第2の工程
S7 濾過する工程
S8 ペースト状の無菌粘土を生成する工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水にオゾンを溶解させたオゾン水と粘土素材とを容器内に収容して混合攪拌することにより、粘土素材に含まれる粘土分をオゾン水内に溶解させ、粘土分を溶解させたコロイド状溶液から不純物を取り除いて精製した後にこのコロイド状溶液を乾燥させて無菌粘土とすることを特徴とする無菌粘土の精製方法。
【請求項2】
前記コロイド状溶液の精製工程に、前記容器内のコロイド状溶液を攪拌しながらオゾン水を加えて精製する第1の工程と、精製したコロイド状溶液を所定時間静止して粘土分を沈殿させた後に上澄み液を排出する第2の工程とが含まれる請求項1に記載の無菌粘土の精製方法。
【請求項3】
前記コロイド状溶液の精製工程に、前記容器内から取出したコロイド状溶液を濾過する工程が含まれる請求項1または2に記載の無菌粘土の精製方法。
【請求項4】
精製させたコロイド状溶液を、滅菌乾燥室内において太陽光線に当てることにより、無菌状態を保ちながら乾燥させて、ペースト状の無菌粘土を生成する請求項1〜3の何れかに記載の無菌粘土の精製方法。
【請求項5】
前記乾燥室内にオゾンを供給する請求項4に記載の無菌粘土の精製方法。
【請求項6】
浄水にオゾンを溶解させたオゾン水を生成するオゾン水生成装置と、このオゾン水と粘土素材とを混合して収容する容器と、この容器内の粘土素材をオゾン水内に混合攪拌させることにより粘土素材に含まれる粘土分のコロイド状溶液を生成する攪拌機とを備え、攪拌後に静止することにより底部に堆積したコロイド状溶液の水分を除去することにより滅菌処理された無菌粘土を生成可能であることを特徴とする無菌粘土の滅菌精製システム。
【請求項7】
前記粘土素材がオゾン水に溶解しやすいように粉砕する粉砕機を備える請求項6に記載の無菌粘土の滅菌精製システム。
【請求項8】
前記コロイド状溶液を濾過する濾過器を備える請求項6または7に記載の無菌粘土の滅菌精製システム。
【請求項9】
太陽光線を透過する窓部を備え、前記精製させたコロイド状溶液に太陽光線を照射することによりコロイド状溶液の水分を除去可能に構成された乾燥室を備える請求項6〜8の何れかに記載の無菌粘土の滅菌精製システム。
【請求項10】
前記乾燥室がオゾン生成装置と、このオゾン生成装置によって生成されたオゾンを乾燥室内に供給するブロア装置とを備える請求項6〜9の何れかに記載の無菌粘土の滅菌精製システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−347830(P2006−347830A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177367(P2005−177367)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(305021421)
【Fターム(参考)】