説明

焼結体形成用の粘土状組成物、焼結体形成用の粘土状組成物用粉末、焼結体形成用の粘土状組成物の製造方法、銅焼結体及び銅焼結体の製造方法

【課題】大気雰囲気での仮焼工程を行うことなく、非酸化雰囲気で本焼成を行うことが可能な焼結体形成用の粘土状組成物(銅粘土)、焼結体形成用の粘土状組成物用粉末、焼結体形成用の粘土状組成物の製造方法、銅焼結体及び銅焼結体の製造方法を提供する。
【解決手段】銅を含む銅含有金属粉末と銅を含む銅含有酸化物粉末とを含有する粉末成分と、バインダーと、水とを含み、前記粉末成分に含有される酸素量が、4質量%以上8質量%以下の範囲内とされていることを特徴とする。さらに、Feの含有量を1000ppm以下とすることで、銅焼結体の焼結性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼結体形成用の粘土状組成物、焼結体形成用の粘土状組成物用粉末、焼結体形成用の粘土状組成物の製造方法、及び、焼結体形成用の粘土状組成物から得られる銅焼結体、この銅焼結体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、指輪等に代表される銅製の宝飾品や美術工芸品等は、一般に、銅含有材料を鋳造又は鍛造することによって製造されている。近年では、銅粉末を含んだ銅粘土(焼結体形成用の粘土状組成物)が市販されており、この銅粘土を任意の形状に成形した後に焼成することにより、任意の形状を有する銅製の宝飾品や美術工芸品を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
【0003】
前述の銅粘土は、通常の粘土細工と同様に自由に造形を行うことができ、造形して得られた造形体を乾燥させた後、加熱炉を用いて焼成することにより、極めて簡単に銅製の宝飾品や美術工芸品等を製造することが可能となる。
このような銅粘土は、一般に、純銅の粉末に、さらに、バインダーや水、必要に応じて油脂や界面活性剤等を加えて混練することによって得られるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−071802号公報
【特許文献2】特開2002−212603号公報
【特許文献3】特開2003−049208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述の銅粘土においては、非酸化雰囲気で焼成を実施する場合には、バインダーを燃焼させて除去するために、大気雰囲気で仮焼を実施する必要があった。
また、硼砂等のフラックスを銅粘土に加えて、大気雰囲気で焼成を実施する場合には、高温の焼結体を放置すると焼結体の表面に生成された酸化膜が飛散するおそれがあることから、高温の焼結体を急冷する必要があった。
このように、従来の銅粘土においては、焼成を簡単に行うことができなかった。
【0006】
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、大気雰囲気での仮焼工程を行うことなく、非酸化雰囲気で本焼成を行うことが可能な焼結性にすぐれた焼結体形成用の粘土状組成物(銅粘土)、焼結体形成用の粘土状組成物用粉末、焼結体形成用の粘土状組成物の製造方法、銅焼結体及び銅焼結体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等が前記問題を解決するために鋭意検討したところ、銅粘土(焼結体形成用の粘土状組成物)を構成する銅粘土用粉末(焼結体形成用の粘土状組成物用粉末)に関し、銅を含む銅含有金属粉末と、銅を含む銅含有酸化物粉末と、を含有する混合粉末として構成することにより、銅粘土(焼結体形成用の粘土状組成物)を非酸化雰囲気で焼成してもバインダーを燃焼させて除去することができ、大気雰囲気での仮焼を省略できることを見出した。
さらに、粘土用粉末を構成する各粉末を粉砕する工程およびその各粉末を混練する工程で使用される混練装置のステンレス容器からFeが粉末中に混入する。FeはCuに拡散しにくいため、銅粘土の焼結性を低下させる原因になっていることを見出した。一方、銅粘土を構成する銅粉末の原料に関しては、精錬工程でごくわずかにFeが混入する程度で、ほとんどFeは混入していない。したがって、粉砕工程及び混練工程で粉末中に混入するFeをいかに低減するかが焼結性向上の鍵となっていることを見出した。
本発明は、前記知見に基づいてなされたものであり、以下に示す構成を有するものであ
る。
【0008】
本発明の焼結体形成用の粘土状組成物は、銅を含む銅含有金属粉末と、銅を含む銅含有酸化物粉末とを含有する粉末成分と、バインダーと、水とを含み、前記粉末成分に含有される酸素量が、4質量%以上8質量%以下の範囲内とされていることを特徴としている。
この構成の焼結体形成用の粘土状組成物においては、銅を含む銅含有金属粉末と、銅を含む銅含有酸化物粉末とを含有する粉末成分において、酸素の含有量が4質量%以上とされているので、この酸素を利用してバインダーを燃焼させることが可能となり、大気雰囲気での仮焼を行う必要がなくなる。すなわち、非酸化雰囲気における本焼成工程において、バインダーを燃焼、除去することが可能となるのである。
また、酸素の含有量が8質量%以下とされているので、銅焼結体の内部に銅酸化物が残存することが抑制される。
さらに、非酸化雰囲気で本焼成を実施することができるので、製出される銅焼結体の表面における酸化膜の発生を抑制することが可能となり、酸化膜の飛散等のトラブル等を未然に防止することができる。
【0009】
ここで、前記粉末成分中のFeの含有量が1000ppm以下であることが好ましく、200ppm以下であることがさらに好ましい。
粘土用粉末を構成する各粉末を粉砕する工程およびその各粉末を混練する工程で使用される混練装置のステンレス容器からFeが粉末中に混入するおそれがある。
FeはCuに拡散しにくいため、銅粘土の焼結性を低下させるおそれがある。そこで、粘土状組成物の粉末成分中のFeの含有量は、1000ppm以下とすることがこのましく、200ppm以下とすることがより好ましい。
一方、銅粘土を構成する銅粉末の原料に関しては、精錬工程でごくわずかにFeが混入する程度で、ほとんどFeは混入していない。したがって、粉砕工程及び混練工程で粉末中に混入するFeをいかに低減するかが焼結性向上の鍵となっていると考えられる。例えば、混練装置のステンレスの混練容器の内壁に、耐摩耗性および潤滑性にすぐれるCrNのコーティングを施すことで、Feの混入を抑えることができる。
【0010】
また、前記銅含有酸化物粉末がCuO粉末とされており、前記粉末成分におけるCuO粉末の含有量が20質量%以上40質量%以下の範囲内とされていることが好ましい。
あるいは、前記銅含有酸化物粉末がCuO粉末とされており、前記粉末成分におけるCuO粉末の含有量が36質量%以上71質量%以下の範囲内とされていることが好ましい。
これらの場合、前記粉末成分における酸素の含有量を4質量%以上8質量%以下とすることができ、前述のように、非酸化雰囲気における焼成工程において、バインダーを燃焼、除去することが可能となる。また、銅焼結体の内部に銅酸化物が残存することが抑制され、高品質な銅焼結体を製出することができる。
【0011】
また、前記粉末成分(A)とバインダーおよび水(B)と、の混合割合(質量比)B/Aが、2/10≦B/A≦3/10の範囲内とされていることが好ましい。
この場合、前記粉末成分(A)とバインダーおよび水(B)と、の混合割合(質量比)B/Aが、2/10≦B/A≦3/10の範囲内とされているので、成形性が確保されるとともに、必要以上のバインダーを有しておらず、粉末成分に含有された酸素によってバインダーを確実に除去することができる。
【0012】
さらに、前記銅含有酸化物粉末の粒径が1μm以上25μm以下とされていることが好ましい。
また、前記銅含有金属粉末の平均粒径が1μm以上25μm以下とされていることが好ましい。
これらの場合、前記銅含有金属粉末および前記銅含有酸化物粉末の粒径が25μm以下とされているので、粉末の焼結性が確保され、機械的特性に優れた銅焼結体を製出することができる。また、前記銅含有金属粉末および前記銅含有酸化物粉末の粒径が1μm以上とされているので、前記銅含有金属粉末および前記銅含有酸化物粉末の製造コストを低く抑えることができる。
【0013】
さらに、本発明の焼結体形成用の粘土状組成物は、必要に応じてさらに油脂および界面活性剤のうち少なくとも一方が添加されていても良い。
また、本発明の焼結体形成用の粘土状組成物は、前記バインダーを、セルロース系バインダー、ポリビニール系バインダー、アクリル系バインダー、ワックス系バインダー、樹脂系バインダー、澱粉、ゼラチン、小麦粉の内の、少なくとも1種又は2種以上の組み合わせで構成しても良い。また、上記の中でも、セルロース系バインダー、特に水溶性セルロースから構成することが最も好ましい。
前記界面活性剤の種類は特に限定されるものではなく、通常の界面活性剤(例えばポリエチレングリコール等)を使用することができる。
前記油脂としては、例えば、有機酸(オレイン酸、ステアリン酸、フタル酸、パルミチン酸、セパシン酸、アセチルクエン酸、ヒドロキシ安息香酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、カプロン酸、エナント酸、酪酸、カプリン酸)、有機酸エステル(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ヘキシル基、ジメチル基、ジエチル基、イソプロピル基、イソブチル基を有する有機酸エステル)、高級アルコール(オクタノール、ノナノール、デカノール)、多価アルコール(グリセリン、アラビット、ソルビタン)、エーテル(ジオクチルエーテル、ジデシルエーテル)等を挙げることができる。
【0014】
本発明の焼結体形成用の粘土状組成物用粉末は、銅を含む銅含有金属粉末と、銅を含む銅含有酸化物粉末と、を含有し、酸素含有量が、4質量%以上8質量%以下の範囲内とされていることを特徴とする。
本発明の焼結体形成用の粘土状組成物用粉末は、前記銅含有酸化物粉末がCuO粉末とされ、このCuO粉末の含有量が20質量%以上40質量%以下の範囲内とされていることが好ましい。
あるいは、前記銅含有酸化物粉末がCuO粉末とされ、このCuO粉末の含有量が36質量%以上71質量%以下の範囲内とされていることが好ましい。
さらに、前記銅含有酸化物粉末の平均粒径が1μm以上25μm以下とされていることが好ましい。
また、前記銅含有金属粉末の平均粒径が1μm以上25μm以下とされていることが好ましい。
前記構成の焼結体形成用の粘土状組成物用粉末によれば、前述の焼結体形成用の粘土状組成物を構成することが可能となる。
【0015】
本発明の焼結体形成用の粘土状組成物の製造方法は、銅を含む銅含有金属粉末と、銅を含む銅含有酸化物粉末と、バインダーと、水と、を混合することを特徴としている。
この構成の焼結体形成用の粘土状組成物の製造方法によれば、銅を含む銅含有酸化物粉末を有し、この銅含有酸化物粉末の酸素を利用してバインダーを燃焼させることが可能な焼結体形成用の粘土状組成物を製造することができる。
そして、本発明の粘土状組成物の粉末成分中のFeの含有量が1000ppm以下であることが好ましい。FeはCuに拡散しにくいため、粘土状組成物中に多量に存在すると焼結性が悪くなる。そこで、粘土状組成物の粉末成分中のFeの含有量は、1000ppm以下とする。
【0016】
本発明の銅焼結体は、前述の焼結体形成用の粘土状組成物を焼成することで得られることを特徴とする。
この構成の銅焼結体によれば、前述した構成の焼結体形成用の粘土状組成物を焼成したものであることから、内部に銅酸化物やバインダー等が残留しておらず、品質に優れたものとなる。
【0017】
本発明の銅焼結体の製造方法は、前述の焼結体形成用の粘土状組成物を任意の形状に成形することで成形体とし、この成形体を乾燥させた後に、還元雰囲気又は非酸化雰囲気において焼成を行うことにより、銅焼結体とすることを特徴としている。
前記構成の銅焼結体の製造方法によれば、銅を含む銅含有金属粉末と銅を含む銅含有酸化物粉末とを含有する粉末成分と、バインダーと、水とを含み、前記粉末成分に含有される酸素量が、4質量%以上8質量%以下の範囲内とされた焼結体形成用の粘土状組成物を用いているので、還元雰囲気又は非酸化雰囲気において焼成を行う際に、前記粉末成分に含有される酸素を利用してバインダーを燃焼させて除去することができる。
また、還元雰囲気又は非酸化雰囲気において焼成を行っているので、製出される銅焼結体の表面に酸化膜が発生することが抑制される。
【0018】
前記成形体を乾燥させた後に、還元雰囲気又は非酸化雰囲気において、800℃以上1
000℃以下の範囲の焼成温度で、30分以上180分以下の時間で焼成を行うことにより、銅焼結体とすることが好ましい。
この構成の銅焼結体の製造方法によれば、焼結体形成用の粘土状組成物の成形体の焼成条件を、前述のように限定していることから、バインダーを除去して焼成を確実に行うことができる。
【0019】
また、本発明の銅焼結体の製造方法は、前記成形体を活性炭中に埋め込んだ状態で焼成を行うことを特徴としている。
この構成の銅焼結体の製造方法によれば、活性炭による還元により、成形体の焼成を促進することができる。また、簡易な設備で、焼結を確実に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、大気雰囲気での仮焼工程を行うことなく、非酸化雰囲気で本焼成を行うことが可能な焼結体形成用の粘土状組成物(銅粘土)、焼結体形成用の粘土状組成物用粉末、焼結体形成用の粘土状組成物の製造方法、銅焼結体及び銅焼結体の製造方法を提供することができる。さらに粘土状組成物の粉末成分中のFeの含有量を1000ppm以下、さらに好ましくは200ppm以下に抑えたことによって、焼結性が向上するため、機械的強度の高い銅焼結体を製出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る焼結体形成用の粘土状組成物の製造方法を示す概略説明図である。
【図2】本発明に係る焼結体形成用の粘土状組成物を用いた銅焼結体の製造方法を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る焼結体形成用の粘土状組成物、焼結体形成用の粘土状組成物用粉末、焼結体形成用の粘土状組成物の製造方法、銅焼結体及び銅焼結体の製造方法の一実施形態について、図面を適宜参照しながら説明する。
なお、本実施形態では、焼結体形成用の粘土状組成物を銅粘土と、焼結体形成用の粘土状組成物用粉末を銅粘土用粉末と称して説明する。
【0023】
[銅粘土用粉末]
本実施形態である銅粘土用粉末は、銅を含む銅含有金属粉末と、銅を含む銅含有酸化物粉末と、を含有するものである。また、銅粘土用粉末における酸素含有量が4質量%以上8質量%以下の範囲内とされている。
本発明に係る銅粘土用粉末においては、銅含有金属粉末としては、還元Cu粉末等を適用することが可能である。さらに、銅含有酸化物粉末としてCuO粉末やCuO粉末を適用することが可能である。これらの粉末を、混練装置に入れて混合と粉砕を行うことによって、各粉末を均一に混ぜるとともに、各粉末の粒子を所定の粒径に調整する。この過程で、混練装置のステンレス製の混練容器の内壁からFeが粉末内に混入するおそれがある。そこで本発明においては、混練装置のステンレス製の混練容器の内壁にCrNのコーティングを施すことが好ましい。CrNのコーティングは耐摩耗性にすぐれる上に潤滑性にもすぐれているため、Feの混入を抑えることができる。
【0024】
銅含有酸化物粉末としてCuO粉末を使用した場合には、銅粘土用粉末におけるCuO粉末の含有量が20質量%以上40質量%以下の範囲内とされていることが好ましい。
また、銅含有酸化物粉末としてCuO粉末を使用した場合には、銅粘土用粉末におけるCuO粉末の含有量が36質量%以上71質量%以下の範囲内とされていることが好ましい。
【0025】
ここで、本実施形態では、銅含有酸化物粉末としてCuO粉末を用いている。
本実施形態においては、Cu粉末およびCuO粉末の粒径については、特に限定されるものではないが、バインダー、水等を加えて混練することで銅粘土とした場合の、成形性等の諸特性を考慮し、以下に示す範囲の粒径とすることが好適である。
【0026】
Cu粉末の平均粒径は、25μm以下であることが好ましい。Cu粉末の平均粒径が25μmを超えると、粉末の焼結性が低下することから、長時間にわたる焼成時間を要してしまうとともに、銅焼結体の加工性に悪影響を及ぼす可能性があり、好ましくない。
なお、Cu粉末の平均粒径の下限については特に定めないが、Cu粉末の平均粒径を1μm以下とすることは工業生産的にコスト高となるおそれがあり、また、装置の限界等も考慮し、これを下限とすることが好ましい。
また、前述の作用効果を奏するためには、Cu粉末の平均粒径を3μm以上10μm以下の範囲であることが好ましい。
【0027】
CuO粉末の平均粒径は、25μm以下であることが好ましい。CuO粉末の平均粒径が25μmを超えると、前記Cu粉末の場合と同様、粉末の焼結性が低下することから、長時間にわたる焼成時間を要してしまうとともに、銅焼結体の加工性に悪影響を及ぼす可能性があり、好ましくない。
なお、前記Cu粉末と同様、平均粒径の下限は特に定めないが、装置の限界や工業生産的なコストの観点から、CuO粉末の平均粒径は1μmを下限とすることが好ましい。
なお、前述の作用効果を奏するためには、CuO粉末の平均粒径を3μm以上10μm以下とすることが好ましい。
【0028】
さらに、本実施形態においては、銅粘土用粉末を構成するCu粉末およびCuO粉末の平均粒径を、前記の如く所定粒径以下に制限することにより、銅粘土の成形体を焼成する際の焼結性が高められるので、後述の焼成における処理温度を低温にすることが可能となる。
なお、Cu粉末およびCuO粉末の平均粒径を測定する方法としては、例えば、公知のマイクロトラック法を用いることができる。ここで、本実施形態では、d50(メジアン径)を平均粒径とした。
【0029】
[銅粘土]
次に、本発明の銅粘土について説明する。
本発明に係る銅粘土は、Cu粉末とCuO粉末とバインダーと水とを有し、必要に応じて界面活性剤や油脂が添加されている。
ここで、Cu粉末およびCuO粉末(A)とバインダーおよび水(B)との混合割合(質量比)B/Aは、2/10≦B/A≦3/10の範囲内とされている。本実施形態では、混合割合(質量比)B/Aを2.5/10とした。
【0030】
本発明に係る銅粘土に用いられるバインダーとしては、特に限定されないが、例えば、セルロース系バインダー、ポリビニール系バインダー、アクリル系バインダー、ワックス系バインダー、樹脂系バインダー、澱粉、ゼラチン、小麦粉の内の、少なくとも1種又は2種以上の組み合わせで構成して用いることが好ましい。また、上記の中でも、セルロース系バインダー、特に水溶性セルロースを用いることが最も好ましい。
前記界面活性剤は特に限定されるものではなく、通常の界面活性剤(例えばポリエチレングリコール等)を使用することができる。
【0031】
また、油脂の種類としても、特に限定されないが、例えば、有機酸(オレイン酸、ステアリン酸、フタル酸、パルミチン酸、セパシン酸、アセチルクエン酸、ヒドロキシ安息香酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、カプロン酸、エナント酸、酪酸、カプリン酸)、有機酸エステル(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ヘキシル基、ジメチル基、ジエチル基、イソプロピル基、イソブチル基を有する有機酸エステル)、高級アルコール(オクタノール、ノナノール、デカノール)、多価アルコール(グリセリン、アラビット、ソルビタン)、エーテル(ジオクチルエーテル、ジデシルエーテル)等を挙げることができる。
【0032】
以下に、前述した本発明に係る銅粘土を製造する方法の一例について、図1に示す模式図を参照しながら説明する。
本発明に係る銅粘土5の製造方法は、前記の銅粘土用粉末1を70質量%以上80質量%以下の範囲で含有し、さらに、有機バインダーと水とを含むバインダー剤を20質量%以上30質量%以下の範囲で含有するものである。ここで、バインダー剤には、有機バインダーおよび水の他に、必要に応じて界面活性剤や油脂が添加されていてもよい。
【0033】
図1に示すように、本実施形態で説明する銅粘土5の製造方法では、まず、Cu粉末1A、CuO粉末1Bの各々を、規定分量で混練装置50の中に導入する。この際、例えば、Cu粉末1A(平均粒径10μm:マイクロトラック法;福田金属箔粉工業製アトマイズ銅粉)を78質量%、CuO粉末1B(平均粒径5μm:マイクロトラック法;キシダ化学株式会社製試薬・純度97%以上)を22質量%として導入する。
そして、混練装置50内で、前記各材料粉末を混練することにより、銅粘土用粉末1が得られる。このとき、混練装置50のステンレス製の混練容器の内壁からFeが粉末内に混入するおそれがある。そこで本実施形態においては、混練装置50のステンレス製の混練容器は、内壁にCrNのコーティングを施したものを用いた。CrNのコーティングは耐摩耗性にすぐれる上に潤滑性にもすぐれているため、Feの混入を抑えることができる。
【0034】
次いで、図1に示すように、混練装置50内の銅粘土用粉末1に対して、バインダー剤2を添加する。
ここで、バインダー剤2は、有機バインダーを11質量%以上17質量%以下、油脂を5質量%以下、界面活性剤を2質量%以下、残部を水とした配合で混合したものとされている。
【0035】
そして、混練装置50内において、銅粘土用粉末1とバインダー剤2と混合して混練することにより、銅粘土5が得られる。ここで、例えば、バインダー剤2の添加量を、{銅粘土用粉末1の総重量:バインダー剤2=10:2.5}程度とすることができる。本実施形態においては、前述のように混練装置50のステンレス製の混練容器の内壁にCrNのコーティングを施してあるので、Feの混入を抑えることができる。
【0036】
[銅焼結体]
本発明に係る銅焼結体は、前記構成の銅粘土5を任意の形状に造形、成形した後、後述の条件で焼成することによって得られるものである。
【0037】
以下に、前述したような本発明に係る銅焼結体を製造する方法の一例について、図2(a)〜(d)の模式図を参照しながら説明する。
本発明に係る銅焼結体10の製造方法は、前記構成の銅粘土5を任意の形状に成形することで成形体51とし、次いで、この成形体51を、例えば、室温〜150℃の温度で、30分〜24時間で乾燥処理し、次いで、成形体51を、還元雰囲気又は非酸化雰囲気において、800〜1000℃の温度で、30〜180分の時間で焼成を行うことによって銅焼結体10とする方法である。ここで、前記焼成を行う方法としては、例えば、成形体51を活性炭中に埋め込んだ状態とした後、800〜1000℃の温度、30〜180分の時間で焼成を行う方法を採用することができる。
【0038】
まず、図2(a)に示すように、銅粘土5を、例えば、スタンパやプレス成形、押出成形等による機械加工、あるいは、作業者の手加工等により、任意の形状に造形、成形して成形体51とする。
次いで、図2(b)に示すように、電気炉80に成形体51を投入して乾燥処理を行うことにより、水分等を除去する。
この際の乾燥温度としては、効果的に乾燥処理を行う観点から、例えば、室温あるいは80℃程度の温度から150℃までの範囲の温度とすることが好ましい。また、同様の観点から、乾燥処理を行う時間は、例えば、30〜720分、より好ましくは30〜90分の範囲の時間とし、一例として、乾燥温度:100℃程度で、乾燥時間:60分程度とした条件で乾燥処理を行うことができる。
【0039】
次いで、図2(c)に示すように、成形体51に対して焼成を施すことにより、銅焼結体10とする。このとき、銅粘土用粉末に含まれるCuOの酸素を利用することで、銅粘土に含まれるバインダーが燃焼することになり、このバインダーを除去することが可能となる。ここで、「CuOの酸素を利用する」とは、CuOが焼成中に熱分解することにより酸素を放出し、この酸素が有機バインダーの燃焼に寄与することを示す。
また、本実施形態においては、図示例のような装置を用いることにより、成形体51に対して焼成を施すことで銅焼結体10を製造する方法を採用することができる。
【0040】
この際、まず、成形体51を、陶器製の焼成容器60中に充填された活性炭61中に埋め込む。この際、成形体51を完全に埋め込むことと、活性炭が燃焼した場合に成形体51が外部に露出するのを防止するため、焼成容器60中の活性炭61の表面から成形体51までの距離を10mm以上確保することが好ましい。
そして、内部において成形体51が活性炭61中に埋め込まれた状態の焼成容器60を電気炉80に投入し、前述したように、800〜1000℃の範囲の温度で、30〜180分の時間で加熱することで、焼成を行う。
【0041】
そして、例えば、図2(d)に示すように、焼成によって得られた銅焼結体10に対し、表面研磨や装飾処理等、後加工を施して製品とすることができる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態である銅粘土5によれば、Cu粉末と、CuO粉末とを含有する粉末成分において、酸素の含有量が4質量%以上8質量%以下とされているので、粉末成分に含有された酸素を利用してバインダーを燃焼させることができる。よって、本実施形態のように、活性炭を用いて還元雰囲気で焼成を実施しても、バインダーを燃焼、除去することが可能となるので、大気雰囲気での仮焼工程を省略することが可能となる。また、必要以上に酸素を含んでいないので、銅焼結体の内部に銅酸化物が残存することが抑制される。
さらに、前述のように、還元雰囲気で焼成を実施することが可能であることから、銅焼結体の表面に酸化膜が発生することを抑制できる。よって、酸化膜に起因するトラブルを未然に防止することができる。
【0043】
また、本実施形態では、前記粉末成分におけるCuO粉末の含有量が20質量%以上40質量%以下の範囲内とされているので、粉末成分における酸素の含有量を4質量%以上8質量%以下とすることができ、還元雰囲気で焼成を実施しても、確実にバインダーを燃焼、除去することが可能となる。
【0044】
また、本実施形態では、Cu粉末およびCuO粉末(A)とバインダーおよび水(B)と、の混合割合(質量比)B/Aが、2/10≦B/A≦3/10の範囲内とされており、具体的には、B/A=2.5/10とされているので、銅粘土の成形性が確保されるとともに、必要以上のバインダーを有しておらず、銅粘土用粉末に含有された酸素によってバインダーを確実に除去することができる。
【0045】
さらに、本実施形態では、CuO粉末の粒径が1μm以上25μm以下とされ、Cu粉末の平均粒径が1μm以上25μm以下とされているので、これらの粉末の焼結性を確保でき、銅焼結体の機械的強度及び伸び等を向上させることが可能となる。
【0046】
また、本実施形態では、成形体を活性炭中に埋め込んだ状態で焼成を行う構成とされているので、活性炭による還元により、成形体の焼成を促進することができる。また、簡易な設備で、焼結を確実に行うことが可能となる。
さらに、本実施形態では、還元雰囲気において、800℃以上1000℃以下の範囲の焼成温度で、30分以上180分以下の時間で焼成を行うこととしているので、焼成を確実に行うことができる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、Cu粉末とCuO粉末とを含む銅粘土用粉末として説明したが、これに限定されることはない。銅含有酸化物粉末として、CuO粉末を用いてもよい。あるいは、CuO粉末およびCuO粉末の両方を含むものであってもよい。
【0048】
また、図2(a)〜(d)に示す例においては、図示並びに説明の都合上、銅粘土5を成形して得られる成形体51及び銅焼結体10を略ブロック状に形成しているが、美術性を兼ね備えた種々の形状とすることができることは言うまでも無い。
また、本実施形態においては、乾燥処理や焼成の各工程において、電気炉を用いる例を説明しているが、これに限定されるものではなく、例えば、ガス加熱装置等、安定した加熱条件管理が可能なものであれば、何ら制限無く採用することができる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例を示して、本発明の焼結体形成用の粘土状組成物、焼結体形成用の粘土状組成物用粉末、焼結体形成用の粘土状組成物の製造方法、銅焼結体及び銅焼結体の製造方法について更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものでは無い。
【0050】
まず、以下の手順で焼結体形成用の粘土状組成物用粉末(以下、銅粘土用粉末と称す)を作製した。銅粘土用粉末の作製にあたっては、Cu粉末(平均粒径10μm:マイクロトラック法;福田金属箔粉工業製アトマイズ銅粉)と、CuO粉末(平均粒径5μm:マイクロトラック法;キシダ化学株式会社製試薬・純度97%以上)と、CuO粉末(平均粒径5μm:マイクロトラック法;キシダ化学株式会社製試薬・純度97%以上)とを用いて、図1に示すような混練装置によって混合することによって、表1に示す組成の銅粘土用粉末を得た。この時、前記混練装置のステンレス製の混練容器は、内壁にCrNのコーティングを施したものを用いた。
ここで、得られた銅粘土用粉末中の酸素濃度を、高周波炉加熱−赤外線吸収法で測定した。測定結果を表1に示す。
【0051】
次に、前記手順で得られた銅粘土用粉末を混練装置内に残した状態で、さらに、バインダー、水、界面活性剤および油脂を混合してバインダー剤とした後に添加して混練することによって焼結体形成用の粘土状組成物(以下、銅粘土と称す)を作製した。
ここで、バインダー剤は、有機バインダーとしてメチルセルロースを15質量%、油脂として有機酸の一種であるオリーブ油を3質量%、界面活性剤としてポリエチレングリコールを1質量%、残部が水となる配合とした。
また、銅粘土用粉末(A)とバインダーおよび水(B)と、の混合割合(質量比)B/Aを、B/A=2.5/10とした。
【0052】
得られた銅粘土を成形することにより、長さ約30mm、幅約3mm、厚さ約3mmの寸法を有する角柱状成形体(焼成前)を作製した。なお、1種類の銅粘土から2つの成形体を製出した。
次いで、図2(b)に示すように、前述の成形体を電気炉(Orton:evenheat kiln inc.)に投入し、乾燥温度を100℃とし、乾燥時間を60分とした条件で乾燥処理を行うことにより、成形体に含まれる水分等を除去した。
なお、一の成形体については、大気雰囲気で500℃×30分の仮焼を実施した。また、他の成形体については、前述の仮焼を省略した。
【0053】
次いで、前述の成形体に対して焼成を施すことにより、銅焼結体を作製した。
具体的には、図2(c)に示すように、内部に活性炭が充填された陶器製の焼成容器を
用意し、各成形体を活性炭中に埋め込んだ。この際、活性炭の表面から各成形体までの距離を約10mmとした。
そして、各成形体が活性炭中に埋め込まれた状態の焼成容器を電気炉に投入し、970℃×1時間の条件で本焼成を実施した。これにより、角柱状の銅焼結体を作製した。
【0054】
作製した銅焼結体について、断面観察を行い、銅酸化物やバインダー残留物の残存状況を確認し、以下のように判別した。評価結果を表1に示す。
○:断面が銅色を呈してして酸化物、バインダー残留物が認められないもの
△:断面の1/10から1/2の範囲が銅酸化物によって黒色を呈しているもの
×:断面の1/2を超える範囲が銅酸化物によって黒色を呈しているもの
▲ :断面がバインダー残留物(カーボン)によって黒色を呈しているもの
【0055】
【表1】

【0056】
全ての銅粘土において、仮焼を実施したものについては、断面が銅酸化物で黒色を呈していた。これは、大気雰囲気での仮焼によって金属Cuが酸化し、その後の還元雰囲気での本焼成においても、内部の銅酸化物を還元できなかったためと推測される。
また、CuO粉末を100%とした銅粘土、CuO粉末を100%とした銅粘土、について仮焼を省略したものでは、やはり、断面が銅酸化物で黒色を呈していた。
一方、Cu粉末100%とした銅粘土、CuO粉末を10%混合した銅粘土、CuO粉末を10%混合した銅粘土、について仮焼を省略したものでは、断面にバインダー残留
物が観察された。バインダーの除去が不十分であったと推測される。
【0057】
これに対して、CuO粉末を22%混合した銅粘土、CuO粉末を40%混合した銅粘土、CuO粉末を60%混合した銅粘土について仮焼を省略したものでは、断面が銅色を呈しており、銅酸化物、バインダー残留物が認められなかった。また、CuO粉末を40%混合した銅粘土について仮焼を省略したものでは、一部に銅酸化物が残留していたが、バインダーは認められなかった。
【0058】
以上、本実施例の結果、CuO粉末の含有量を20質量%以上40質量%以下、あるいは、CuO粉末の含有量を36質量%以上71質量%以下、とした銅粘土によれば、仮焼を省略してもバインダーを十分に除去することができ、かつ、銅酸化物の残留を防止できることが確認された。
【0059】
次に、Feの含有量による影響を以下のようにして評価した。
金粘土用粉末に微量のFe粉を添加した以外は、試料3と同様にして銅粘土用粉末および銅粘土を作製し、試料10,11とした。
試料3および試料10,11の銅粘土について、銅粘土を90℃以上の熱湯で洗浄することによって有機バインダー、界面活性剤および油脂を除去した後、定量分析に必要な所定量(約10g)の試料を採取した。次に、ICP分析によって、この分析用試料(銅粘土用粉末)中に含まれるFeの定量分析を行った。
次に、銅粘土を成形することにより、直径約1.2mmで長さ約50mmの寸法(焼成前)を有するワイヤー状成形体を作製した。このワイヤー状成形体について、上述と同様にして、仮焼および本焼成を実施した。こうして得られたワイヤー状焼結体の引張強度を測定した。引張強度については、島津製作所製オートグラフAG−Xを用い、引張速度5mm/minで応力曲線を測定し、試験片が破断した瞬間の応力を測定することで求めた。
これらの評価の結果を表2に示す。
【0060】
【表2】

【0061】
試料3、10のものは、銅粘土用粉末(および銅粘土の粉末成分中)のFeの含有量が1000ppm以下と少ないため試料11のものと比べて焼結性がよく銅焼結体の機械的強度にすぐれていることがわかる。さらに、試料3、10、11の測定結果の比較から、Feの含有量が200ppm以下とすることによって、引張強度が著しく向上することがわかる。したがって、Feの含有量は200ppm以下とすることがさらに好ましい。
【符号の説明】
【0062】
1 銅粘土用粉末(焼結体形成用の粘土状組成物用粉末)
1A Cu粉末
1B CuO粉末
5 銅粘土(焼結体形成用の粘土状組成物)
51 成形体
10 銅焼結体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅を含む銅含有金属粉末と銅を含む銅含有酸化物粉末とを含有する粉末成分と、バインダーと、水とを含み、
前記粉末成分に含有される酸素量が、4質量%以上8質量%以下の範囲内とされていることを特徴とする焼結体形成用の粘土状組成物。
【請求項2】
前記粉末成分中のFeの含有量が1000ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の焼結体形成用の粘土状組成物。
【請求項3】
前記銅含有酸化物粉末がCuO粉末とされており、前記粉末成分におけるCuO粉末の含有量が20質量%以上40質量%以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の焼結体形成用の粘土状組成物。
【請求項4】
前記銅含有酸化物粉末がCuO粉末とされており、前記粉末成分におけるCuO粉末の含有量が36質量%以上71質量%以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の焼結体形成用の粘土状組成物。
【請求項5】
前記粉末成分(A)とバインダーおよび水(B)と、の混合割合(質量比)B/Aが、2/10≦B/A≦3/10の範囲内とされていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の焼結体形成用の粘土状組成物。
【請求項6】
前記銅含有酸化物粉末の平均粒径が1μm以上25μm以下とされていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の焼結体形成用の粘土状組成物。
【請求項7】
前記銅含有金属粉末の平均粒径が1μm以上25μm以下とされていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の焼結体形成用の粘土状組成物。
【請求項8】
さらに、油脂および界面活性剤のうち少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の焼結体形成用の粘土状組成物。
【請求項9】
前記バインダーが、セルロース系バインダー、ポリビニール系バインダー、アクリル系バインダー、ワックス系バインダー、樹脂系バインダー、澱粉、ゼラチン、小麦粉の内の、少なくとも1種又は2種以上の組み合わせで構成されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の焼結体形成用の粘土状組成物。
【請求項10】
銅を含む銅含有金属粉末と、銅を含む銅含有酸化物粉末と、を含有し、酸素含有量が、4質量%以上8質量%以下の範囲内とされていることを特徴とする焼結体形成用の粘土状組成物用粉末。
【請求項11】
前記粘土状組成物用粉末中のFeの含有量が1000ppm以下であることを特徴とする請求項10に記載の焼結体形成用の粘土状組成物用粉末。
【請求項12】
前記銅含有酸化物粉末がCuO粉末とされ、このCuO粉末の含有量が20質量%以上40質量%以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の焼結体形成用の粘土状組成物用粉末。
【請求項13】
前記銅含有酸化物粉末がCuO粉末とされ、このCuO粉末の含有量が36質量%以上71質量%以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の焼結体形成用の粘土状組成物用粉末。
【請求項14】
前記銅含有酸化物粉末の平均粒径が1μm以上25μm以下とされていることを特徴とする請求項10から請求項13のいずれかに記載の焼結体形成用の粘土状組成物用粉末。
【請求項15】
前記銅含有金属粉末の平均粒径が1μm以上25μm以下とされていることを特徴とす
る請求項10から請求項14のいずれか一項に記載の焼結体形成用の粘土状組成物用粉末。
【請求項16】
銅を含む銅含有金属粉末と、銅を含む銅含有酸化物粉末と、バインダーと、水と、を混合することを特徴とする焼結体形成用の粘土状組成物の製造方法。
【請求項17】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の焼結体形成用の粘土状組成物を焼成することで得られることを特徴とする銅焼結体。
【請求項18】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の焼結体形成用の粘土状組成物を任意の形状に成形することで成形体とし、
この成形体を乾燥させた後に、還元雰囲気又は非酸化雰囲気において焼成を行うことにより、銅焼結体とすることを特徴とする銅焼結体の製造方法。
【請求項19】
前記成形体を乾燥させた後に、還元雰囲気又は非酸化雰囲気において、800℃以上1000℃以下の範囲の焼成温度で、30分以上180分以下の時間で焼成を行うことにより、銅焼結体とすることを特徴とする請求項18に記載の銅焼結体の製造方法。
【請求項20】
前記成形体を活性炭中に埋め込んだ状態で焼成を行うことを特徴とする請求項18又は請求項19に記載の銅焼結体の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−122132(P2012−122132A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226902(P2011−226902)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】