説明

照射による生体流体中の病原体の有効な不活化のための方法

流体サンプル中の病原体を不活化するために光化学的に有用な線量を決定するための有効な方法が、本明細書中に記載される。特に、本発明は、生体サンプル中での病原体を不活化するのに十分な、光化学的に有効な用量を決定し、一方で生物学的に活性な目的の物質を影響されないままにするための方法を網羅する。本方法は、上記生体流体を、一以上の光源からの単色光または多色光の有効線量で照射する工程を包含する。生物学的サンプル中の病原体を不活化するために有効な回分照射反応器も、また記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、回分照射による病原体の光化学的不活化のための方法および装置に関する。上記回分照射は、本発明の前は、あまりに複雑でかつ実行不可能であると考えられていた。特に、本発明は、当業者が病原体の光化学的不活化のための有効線量を有利に決定するのを可能にする。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
血液、血球、血漿、血清、血漿画分、他の生体流体、およびタンパク質溶液を照射により処理することは、病原性ウイルス(特に、小さく被膜のない一本鎖DNAウイルス)を不活化するための広範に研究されたアプローチである。現在研究中の照射処理の例としては、短波紫外線光、長波紫外線光、光増感化合物を伴う可視光、スペクトルの広い強度の閃光挙げられる。
【0003】
1930年代では、感染性生物を不活化するために、中圧水銀蒸気ランプからのUV照射に、少量の自己全血が曝された。その照射された血液の再注入により、明白な免疫賦活効果が観察された。
【0004】
1946年〜1955年の間、プールした血漿をUV−C光で処理し、感染性因子を不活化することが、米国で研究されていた。有望な最初の結果が、治療上利用できるヒト血清のために最小限必要なものとしての253.7nmでのUV−C処理につながった(Murrayら、1955)。電子スペクトル測光を導入して、血漿、および血漿含有ウイルス培養溶液または血清含有ウイルス培養溶液は、253.7nmの光に光学的に不透明であり、透過の深さは1mm未満であった(SuhrmannおよびKollath、1928)。従って、種々の薄型フィルム照射器が、大量の血漿の滅菌またはワクチンの弱毒化のために構築された。例としては、Habel−Sockrider照射器(HabelおよびSockrider 1947)、水冷式ランプを有するMilzer−Oppenheimer−Levinson遠心フィルム産生デバイス(Milzerら、1945;Benesi 1956;Taylorら、1957a;Taylorら、1957b;McLean and Taylor 1958;Oppenheimerら、1959)、およびまだ市販されている唯一の設計であるDill照射器(Murrayら、1955)(Dill Instruments Co.)が挙げられる。
【0005】
前述の進歩にも関わらず、血清肝炎は存続した(Neefe 1949;Barnettら、1950;Jamesら、1950)。徹底的な研究は、B型肝炎ウイルスを不活化するのに必要とされるUV線量が、血漿タンパク質の生物学的活性を激しく減少させることを決定し、そしてこの方法は、1950年代の後期に放棄された(Murrayら、1955;Kallenbachら、1989)。1958年に、β−プロピオラクトンとUV−C照射との改良型併用投与が導入された。このプロセスは、血清肝炎ウイルスを不活化し得るが、プロトロンビン複合体、免疫グロブリン、およびアルブミンの少なくとも生物学的活性をインタクトなままにしておき得た(SmolensおよびStokes 1954;Hartmanら、1955;Princeら、1983)。1968年から先、このプロセスは、結合型アルブミン−免疫グロブリンの血清濃縮物を製造する際に市販の血漿分別器により適用され、そして1976年から先、プロトロンビン複合体濃縮物の製造において、Dill thin−film UV照射器を用いて適用された(Stephanら、1981、Stephan、1982a、1982b)。チンパンジーにおける感染性の研究、および後の細胞培養物における感染性の研究は、A型肝炎、B型肝炎、およびC型肝炎の有効な不活化を示した(Heinrichら、1982、1987、Froensnerら、1983、Princeら、1983、1984、Stephan 1989)が、一方HIVは、UV−Cに対してより耐性であることをが証明された(Dichtelmullerら、1987、1993)。プロトロンビン複合体濃縮物において、β−プロピオラクトン/UV−C処理が、上記AIDSウイルスHIVを不活化するのに明らかに不十分であること(Kleimら、1990、Kupferら、1995)、ならびに他の物理的不活化法および物理化学的不活化法(例えば、熱処理または界面活性剤処理)の有効性は、1990年のβ−プロピオラクトン−UV−C法の放棄をもたらした(Pustoslemsekら、1993)。
【0006】
1980年代には、Dichtelmuellerら(1987)およびKallenbachら(1989)は、UV−C単独では、血液血漿中のHIVを不活化するには、過度に高い線量を必要とし、そしてUV−Bが、病原体不活化のために無効であることを確証した(Prodouzら、1987)。
【0007】
他方では、物理的不活化法および物理化学的不活化法に対して不十分にしか感受性でない、小さく被膜のない一本鎖DNAウイルスが、UV−C光により有効に不活化される。例として、パルボウイルス科(例えば、キルハムラットウイルス(Kilham Rat Virus)(Proctorら、1972)、マウス微小ウイルス(MMV)(Harrisら、1974、Rommelaereら、1981)、およびブタパルボウイルス(PPV)(Brown 1981)がある。例えば、米国特許第6,190,608号は、12mJ/cmのUV−C 253.7nmのフルエンス(標本距離にて入射する、単位面積当たりで除された照射エネルギーであって、erg/mm、mJ/cm、またはJ/mとして表される)が、1mL当たり2mgの免疫グロブリンを含有する溶液中のMMVを不活化したことを記載している。
【0008】
さらに、9〜25mJ/cmのフルエンスは、フィブリノーゲンの濃縮溶液中のパルボウイルスを不活化するのに十分である(WO 96/02571)か、または精製された凝固因子の希釈溶液中のパルボウイルスを不活化するのに十分である(日本国特許公開番号 196531/1995)。より高い100mJ/cmというUV線量が、血漿(Chinら、1995)、フィブリノーゲン(Marxら、1996)、アルブミン、免疫グロブリン(Hartら、1993;Chinら、1997)および動物の血清(Kurthら、1999)について必要な最低量として報告されているが、50mJ/cm程度の低いフルエンスが、パルボウイルスを有効に不活化する(Chinら、1997)。
【0009】
生物学的サンプル(例えば、血漿および赤血球)を処理するための他の例としては、光増感剤および光による一重項酸素の生成、または強度の広範なスペクトルの光がXe管からきらめく閃光光分解の効果による一重項酸素の産生が挙げられる。電子的光測定における技術的進歩およびデジタル式線量計の有用性は、光源からの照射量の決定を促進した。その結果、フルエンスのデータは、慣用的に決定され、そして開示される。
【0010】
血漿タンパク質は、UV照射または光増感照射に対して高い感受性を示している。UV−C−照射された血漿および血漿タンパク質の変質は、凝固時間の延長(Cutlerら、1950;Cutlerら、1955)、電気泳動度の変化(HellbrueggeおよびMarx 1952;Larin 1958)、凝集(EngelhardおよびEikenberg 1955)、超遠心分離における沈降特性の変化(Claesson 1956)、ならびに抗体力価の減少(Battistoら、1953;Kleczowski 1954)をもたらした。例えば、UV−C処理されたフィブリノーゲンは、血栓の弾力性の減少を示し(Di Benedettoら、1963a、1963b、1963c)、そして>100mJ/cmでは、血栓形成の遅延を示す(Marxら、1996)。第VIII因子の活性は、UV−C処理された血漿において減少する(Kallenbachら、1989;Clinら、1995);フィブリノーゲン血栓形成時間は、著しく増加し、そしてフォン・ビルブラント因子および第VIII因子は、メチレンブルー/光で処理された新鮮凍結血漿においてわずかに減少する(Aznarら、1999)。
【0011】
タンパク質に対する電離放射線およびUV−C照射の有害な効果を最小限にするために、ラジカル酸素化学種のクエンチャー(特に、フラボノイドルチン(Erdmann 1956、WO94/28210)、アスコルビン酸(Erdmann 1956)、およびクレアチニン(JP11286453−A))が、UV−C吸収添加物として使用されている。しかし、これらの添加物が、使用される波長の吸光度をさらに追加する場合、あまりに少量のUV−Cエネルギーしか実際に病原体に到達しないかもしれない。しかし、過度のエネルギーの適用は、容易にタンパク質を損傷し、そしてそれゆえ病原体の十分な不活化に必要とされるUVまたは可視光の線量を超えないこと、およびこの線量をできるだけ正確に計算または決定することが必要である。
【0012】
タンパク質を一重項酸素から保護する別の可能性としては、溶液中に溶解した酸素を照射前に除去すること、および酸素を不活性気体雰囲気により(例えば、照射中に窒素を大量に一時に流すことにより)置換されることであり(HenzlerおよびKaiser 1998)、上記一重項酸素は、溶液中に存在する光エネルギー的に励起された物質(例えば、トリプトファン誘導体)によって空気中の溶存酸素から生成される。
【0013】
上記に関連して、電子式線量計および分光線量計が、光源からの放射エネルギー(J/m、mJ/cm)、およびラジアンス(W/m、mW/cm)、すなわち、入射光エネルギ−もしくは照射エネルギーと呼ばれる仕事率、および放射照度を測定するために使用される。このような線量計センサーは、通常、光起電性物質または光電性物質(例えば、紫外線を可視光線に変換するためのルミネンスドーピング(luminescence−doped)発光体層で必要に応じてコーティングされた半導体の光電池またはフォトダイオード(Latarjetら、1953))でできている。線量計センサーの主要な適用の一つに、光源のモニタリングがある。線量計センサーは、水の消毒および光線療法において広汎な用途が見つかっている。このようなセンサーの空間的応答は、例えば、UV−A療法室およびUV−B療法室(PyeおよびMartin 2000、MartinおよびPye、2000)において、正確な照射力決定にとって重大である。正確な光照射量を適用するために、これらのデバイスは、放射測定により検査され、そして較正される(Taylorら、2002)が、ランプの老化(aging)による強度の減少の問題は、達成されるべき放射測定標的合計線量の使用により、最近ようやく解決された(AllenおよびDiffey、2002)。ランプの強度における変動について、タンパク質照射実験の埋め合わせをするための同様のアプローチは、結合型カウンターを有する放射測定ランプモニターの使用であった(RidealおよびRoberts 1951)。
【0014】
光路の端部に搭載される電子式センサー(Taylorら、1941)は、吸収性生物学的流体の照射において限定的に有用であるに過ぎない。そして、光化学的光不活化反応器または病原体光不活化反応器におけるフルエンス(線量)またはフルエンス速度(線量率)分布を決定または計算するための線量計センサーの測定またはシグナルの使用は、光学の法則により限定される。バルブのような点源は、全方向において逆自乗法則に従うが、蛍光管のような管状源は、逆自乗法則に従わない。理論上は、特定の特性(表面の反射特性および散乱特性;物質の屈折特性;通過した媒体および照射した媒体の吸収特性)が知られている場合のみ、照射された標的における光エネルギーの分布を計算することが可能である。しかし、モデルは、非常に簡素な系(例えば、管状セルまたは楕円形光反応器)についてのみ確立されている(Alfanoら、1986a、1986b)。
【0015】
化学放射線量測定は、光化学反応物質混合物に対する光の効果を測定する(Kuhnら、1989;Favaro 1998)。一般に、既知の量子収量および温度依存性を有する確立した光化学アクチノメーターは、再現性および安定性において電子式デバイスを凌ぎ得る。光化学反応生成物は、例えば、分光測定法または化学的センサー(Gauglitz 1983)により、最も簡便には、オンラインで測定されるべきである。従って、上記光化学的アプローチは、光源フルエンス率または照射エネルギーの両方を決定するために、一般的に承認されている。
【0016】
好ましいアプローチは、測定された波長における放射線量測定溶液の全不透明度を用い、その結果、光化学反応は、表面ぎりぎりにおいてのみ生じる(Kuhnら、1989;Favaro、1998)。従って、十分に高い反応物質の濃度が、好まれる。
【0017】
UV−C測定に関して、古典的なアクチノメーターは、シュウ酸ウラニル(Bowen 1949、Kuhnら、1989)およびシュウ酸鉄(II)アクチノメーターであるが、最初の物の用途は、ウランの放射性毒性により限定され、そして後者の用途は、UV−B、UV−A、および可視光の感受性により限定される(KirkおよびNamasivayam、1983)。トリフェニルメタン染料の硫酸水素付加物またはシアン化水素付加物はまた、UV−C感受性アクチノメーターと同程度に周知である。例えば、エタノール中に溶解した無色のマラカイトグリーンロイコシアニド(malachite green leucocyanide)は、長波長UV感受性も可視光感受性も示さないが、その緑色の光産物は、さらにUV−C範囲においても吸収する(CalvertおよびRechen 1952、Fisherら、1967)。メタノール中のアゾベンゼン(アクチノクローム 2R 245/440)は、放射線量測定溶液の再利用(GauglitzおよびHubig 1981、1984、1985)ならびにヘテロコエルジアントロン(heterocoerdianthrone)エンドペルオキシド(アクチノクローム 1R 248/334)の再利用(BrauerおよびSchmidt 1983)を可能にする。有機溶媒に溶解したこれらの複合体有機化合物の優雅さにも関わらず、放射線量測定物質および放射線量測定溶液が無毒性でかつ無害であるべきであるということが想定されている。
【0018】
種々の紫外線ランプが20世紀の初期に利用可能になった直後に、酸性ヨウ素溶液が、化学的アクチノメーターとして使用された(BeringおよびMeyer 1912)。0.05という低い量子収量が、一酸化二窒素(NO)の電子捕捉剤としての使用をもたらした(DaintonおよびSills 1960、Rahn 1993)。不透明なUV−C放射線量測定の、より最近のアプローチが、ヨウ化物のヨウ素酸塩安定化光分解である(Rahn 1997、Rahnら、1999、2003)。253.7nmでのヨウ化物光分解から形成される三ヨウ化物(triodide)は、352nmまたはそれ以上の長い波長(375nm、400nm)にて分光光度法で決定される。この系は、300nmを超える波長に対して非感受性であるという利点を持つ。
【0019】
UVセンサーを、フロースルーまたはアクチノメーター溶液を含有するフロースルーまたは静的プローブで置換するためのアクチノメーター溶液の使用が提案されていて、そのフロースルーまたは静的プローブは、照射反応器に挿入される。濃縮されたアクチノメーター溶液(例えば、前述のヨウ化物/ヨウ素酸塩アクチノメーター(米国特許第6,596,542号)またはウリジン溶液(Schulzら、2001))が、UV光をランプから受け取るUV透過性管を通して汲み上げられるか、または規定の時間曝露されるべきUVランプに面する透過窓を有するセル中に含まれ、そして光生成物が分光光度計で測定される。しかし、これらのセンサーは、センサーに入射する放射線の一部分のみを測定するだけであって、照射反応器内に含まれる間に照射される流体に対して有効な平均フルエンス(光線量)を測定するわけではない。
【0020】
かなり限定された数の場合において、化学放射線量測定はまた、光化学反応器および閃光光分解セルにおける完全に吸収された光子の数または有効な光線量分布を決定するのにえり抜きの方法である。1950年代のタンパク質光化学の開拓期において、攪拌式回分セルが、ウイルス不活化の実験よりもタンパク質の変性に関して、より頻繁に使用され(RidealおよびRoberts 1951、Claesson 1956、KleczkowskiおよびGold 1962)、そしてシュウ酸ウラニル放射線量測定が、全入射量子を決定する標準的な方法として使用された。HeidtおよびBoyles(1951)は、12mL回分光反応器に関して低圧水銀蒸気ランプのUV−C強度に対する温度および電流の効果を、シュウ酸ウラニルアクチノメータを用いて試験した。EngelhardおよびEikenberg(1955)は、タンパク質変性実験のために50mL回分再循環セルを構築し、そしてクロロ酢酸アクチノメータにより、吸収されたUV光子を測定した。Taylorら(1957)およびOppenheimerら(1959)は、使用前のランプ試験についての電子タンタル光電池を用いるオフライン式放射測定、および直接較正に基づくのではなく量子収量に基いてシュウ酸ウラニルを用いる吸光度適合性放射線量測定の両方により、Centrifilmer照射器の検証を記述した。Salmonella種のUV−C不活化についての、Centrifilmer照射器における卵白液の実験処理に関して述べられているように、明らかにこの確証アプローチからは、有効線量に適した決定的な結果は、何も得られなかったが(Ijichiら、1964)、少なくとも表面照射エネルギーが、ラジオクロミックペーパー(radiochromic paper)の線量測定の使用により、決定され得た(LaunerおよびHammerle 1964)。Alfanoら(1986a、1986b)は、光化学反応器のモデリングについて、化学放射線量測定により計算結果を確認しようとした。YokotaおよびSuzuki(1995)は、複数のランプで環境設定された浸清ウェル光反応器を、標準的なシュウ酸鉄(II)放射線量測定により試験した。最近、Vinczeら(1999)が、このような実験的立証手順は、まだ一般的な基準ではないと述べた。von Sonntag(1999)は、レーザー閃光光分解実験を記述した。ここで、限定的な入射光の透過の深さは、反応産物の空間的にむらのある分布をもたらす。にもかかわらず、モデリング計算は、単一の長方形の光分解セルに適用された。そして、吸光度適合性放射線量測定手順を回避する。
【0021】
UV−C光による飲料水の消毒(Gelzhauser 1985)は、完全な殺菌を保証するために、フロースルー照射器の放射線量測定による検証を必要とする。一般的に、飲料水は、微量の不純物(例えば、Fe(III)またはフミン酸)が存在しない限り、非常に低いUV−C吸収を有する。従って、過酸化水素の分解に基づく化学的アクチノメータ(Kryschiら、1998)またはtert−ブタノールで増感されたペルオキソ二硫酸カリウムに基づく化学的アクチノメータ(Markら、1990)が開発された。別のUV−C感受性アクチノメータは、アルカリ溶液中の安息香酸塩が蛍光ジヒドロキシ安息香酸塩へとUV誘導性ヒドロキシル化されるのに基づいている(MorosonおよびGregoriades 1964)。
【0022】
水溶性トリフェニルメタン染料(4,4’,4’’−トリス−ジ−β−ヒドロキシエチルアミノトリフェニルアセトニトリル)の添加性アクチノメーター物質としての用途は、果汁発酵飲料、果汁、および植物の液汁の病原体のフロースルー照射による「コールド消毒」として記載されている(KoutchmaおよびAdhikari 2002、Adhikariら、2002)。この工程のための装置(例えば、Macedon,NYのFPE Inc.により製造されている「Cidersure」もしくは「Sap Steady」の薄型フィルム照射器、またはSalcor Inc.,Fallbrook,CA.により製造されている「Light Processed System」(コイル状管照射器)が、市販されている。圧搾された果実から得られる発光飲料または果実は、浮遊粒子由来の高い濁度、ならびに溶解フェノール化合物由来およびアスコルビン酸由来の高いUV−C吸収を示し、そしてタンパク質溶液と同様の粘度もまた示す。透明なリンゴ果汁は、253.7nmにて、9/cmの吸光度係数を有する。非吸収性懸濁液中の微生物の完全UV不活化動力学決定(BoltonおよびLinden 2003)に関して使用されるように、そのアクチノメーター物質が、吸光度の大きな果汁に添加され、そしてコリメートビーム装置中で照射される。600nmでのアクチノメーター光産物の吸光度は増加するが、実際には、添加されたアクチノメーター物質は、全吸光度に対するその吸光度画分に対応する光子部分を受け取るだけである。有効染料は、その後、添加されたアクチノメーター染料の崩壊(destruction)から計算される。ペトリ皿中のリンゴ果汁において、わずか3log10コロニー形成単位(cfu)/mLのE.coli K12を不活化する190mJ/cmの「吸収線量」から推定され得るように、アクチノメーター物質のサンプル自体への添加は、有効線量に関して明らかに誤った結果を生み出す。非吸収懸濁液において、5log10cfu/mLのE.coliが約0mJ/cmにて不活化される(WrightおよびSakamoto 1999)。しかし、上記溶液において有効な線量は、微生物に対して有効な線量と同一でなければならない。従って、すでに吸収している媒体に対するアクチノメーター物質の添加として提案されるものは、正確で有効な線量測定を達成することが出来ない。
【0023】
タンパク質溶液の殺ウイルス的フロースルーUV−C処理における正確な量のUV光の適用を保証する、直接的な放射線量測定方法は、UV−C誘導性UV−B吸収増加に基づいている(WO 03/007998)。この吸収増加は、バクテリオファージPhi−X174の不活化と相互関連していると言われ、上記Phi−X−174は、生物学的線量指標として用いられる。バクテリオファージPhi−X174の線量依存的力価減少を用いる較正プロットが達成される場合、対応するバクテリオファージ力価減少に対する、およびさらに減少等価線量に対する吸光度増加の逆較正は、得られたデータに基づいてなされ得る。しかし、水のUV−C消毒において決定される標準パラメータである減少等価線量(RED)は、流体中において平均有効線量と同一ではない。減少等価線量(RED)は、実際に、混合の効率に依存する線量分布を表す。バクテリオファージの常用対数的力価の減少のため、過小照射された容量画分が、平均的な有効線量の放射線量測定の大きさよりも平均的な残余のバクテリオファージの力価に貢献する。上記平均的な有効線量は通常、変換された光子により、理想的には直線的な濃度依存的変化を示す。
【0024】
光不活化可能な微生物を用いた生物学的照射線量測定は、血漿の照射における適用線量を決定する最初の方法であった(OliphantおよびHollaender 1946)が、Aerobacter aerogenes(Klebsiella pneumoniaeを表す旧式名称)を用いた放射線量測定に関する詳細は、与えられなかった。血清肝炎ウイルスの不活化のためのUV−Cの使用の間、この細菌の株は、薄型フィルム照射器を確証するために使われた(McCallら、1957)。更に、ミクロウイルス科の一本鎖DNAバクテリオファージ(例えば、S13(LatarjetおよびWahl 1945)ならびにPhi−X(phi chi)174(SetlowおよびBoyce 1960))は、UV照射線量の増加とともに力価の直線的減少を示す。バクテリオファージ(例えば、Phi−X174(Battigelliら、1993)もしくは一本鎖RNAバクテリオファージMS2(Havelaarら、1991))の不活化、またはBacillus subtilis胞子の不活化に基づく生体照射線量測定は、フロースルーの紫外線の水の消毒器を試験することのために開発された(Sommerら、2001)。水の吸光係数は、溶解したチオ硫酸ナトリウムで調整され得、その結果、上記係数は、UVの透過を減少させる(Cabajら、1996)。それにもかかわらず、この光路の端部で電子線量計および線量分布を狭めるための効果的なフロースルー混合(CabajおよびSommer 2000)は、この方法にまだ必要とされており、そして胞子の培養のためのインキュベーション時間は、迅速な検証を考慮しない。
【0025】
β−プロピオラクトンおよび血漿タンパク質の紫外線「コールド消毒」と併せた紫外線照射のためのフロースルー照射器の検証はまた、バクテリオファージを用いた(DichtelmullerおよびStephan 1988)。しかし、これらのプロセスは、より低くかつおそらく不充分である線量を用いて速流画分により限定される(QuallsおよびJohnson 1983)。
【0026】
光吸収に関して、非常に薄い唯一の液体層は、自己吸収についてフルエンス率の相関関係を必要としない。さもなければ、距離に伴うフルエンスの減少は、計算されねばならない(Morowitz 1950)。UV−C−不活化キネティクスに対するウイルス懸濁液の光吸収の効果が、側面照射される直径1.5cmの石英セル中で先駆的実験において調査された(Taylorら、1941)。細胞は、ゆっくり攪拌され、そして1mLあたり10μgのウイルスの濃度では直線的な不活化キネティクスの偏差が、すでに20μg/mLおよび200μg/mLの濃度で観測された。ウイルス懸濁液が攪拌される場合、上記光が最初の強度では貫通できない、よどんだより深い層中のウイルスの遮蔽が避けられ、その結果上記ウイルスの不活化キネティクスが直線状のままであるということが、上端が照射されるペトリ皿を用いると示された(Budowskyら、1981)。
【0027】
全血液照射器の最新の設計のパラメーターは、Ternovoyら(1988)により検証された。水溶性ジアゾニウム塩を用いた放射線量測定が選択され、薄型フィルムセルまたはキャピラリーデバイスの効率が比較された。記述された装置は、3mmの内径を超えなかった。そして、上記装置は、最大限の内表面をUV光に曝露するように構築されている。高いタンパク質濃度および細胞構成成分の両方が、入射光を表面にて吸収し、そしてセルまたは円筒中の層流プロファイルが、線量分布をよりむらのある状態にし、そして遅く流れる外層を速く流れる内側の容量と比較してより高いUV照射量に曝露する。従って、このようなデバイスは、生物学的物質の病原体不活化に照らすと不適切である。
【0028】
ほとんどの血液血漿照射デバイスは、サンプルの処理量を限定する薄型フィルム原理に基づく。しかし、過去に見られたUV−C貫通深度を超える液体層の厚さを有する高処理照射器が開発されている。例えば、Dill Instruments Co.により製造される薄型フィルム照射器は、生体流体の照射のために広く使用されている機器である。特に、米国特許第5,567,616号は、外側が照射され、かつUV透過性の傾いた回転円筒であり、生体流体が重力により内壁に沿って下方に流れるのを可能にする回転円筒を記載する。その上端にて円筒の外部表面上および内腔中に取り付けられる2個の光センサーは、流体フィルムにより透過される光強度およびそのフィルムの厚さを測定する。上記Dill照射器は、β−プロピオラクトン/UVプロセス、およびシスチンで安定化されたフィブリノーゲン製剤(McCallら、1957)またはルチンで安定化されたフィブリノーゲン製剤(Marxら、1997)の照射のために使用されている。
【0029】
米国特許第5,133,932号は、軸の周りを水平に回転する邪魔板付容器中で、病原体の不活化のためのUV−C照射法を開示し、上記邪魔板付容器中では、生体流体が下部の容器に含まれ、そして薄型フィルムを内壁上に形成するように回転と同時に分散され、そして次は上記容器で再混合される。OliphantおよびHollaender(1946)により、薄型フィルム混合回分照射器の原理がすでに適用されている。開示された発明において、UV−Cランプが上記容器の頚状部に挿入され、そして回転軸に平行に取り付けられる。上記容器のごくわずかの体積画分だけが流体で満たされ得、本方法の能力および拡張性を減少させる。
【0030】
米国特許第6,190,608号は、血液産物をUV−C照射で処理し、エリスロウイルスB19を不活化するフロースルー法を記載する。なぜなら、上記のように、パルボウイルス群は、低線量のUV照射に感受性であるからである。直線状フロースルーの石英管またはUV−C透過性プラスチック管において、障害物または窒素の泡により、乱流が発生し得る。上記UVの強度は、ランプと上記石英管との間のフィルターにより調節され、そしてUV照射が電子線量計により測定される。UV線量は、フロー速度を適切な照射時間に設定することにより、調節される。
【0031】
米国特許第6,540,967号は、傾いた、UV半透過性で内部照射され、重力により下方に流れる液体を外側表面に有する回転シリンダーを開示する。上記液体層のフィルムの厚さは、干渉計により制御される。この装置は、生体流体中のウイルスおよびマイコプラズマの不活化のために提案される。
【0032】
米国特許第6,586,172号は、UV−C透過性フロースルーセルを開示し、ここで、静的軸ミキサーが、十分な混合を提供し、サンプルの均等な照射を保証する。352nmにて形成されるトリヨウ素の分光光度法によってUVランプからの装置照射をモニタリングするための日光非感受性の水溶性ヨウ素溶液を用いる検証方法もまた開示される(Hackradt 1920、1922、Rahn 1993)。対応するWO 00/20045に記載される実施例において、1%のNaI溶液は、UV−C吸光係数に関わらず、全ての産物(例えば、4.5%アルブミン溶液、血漿、または高濃度の免疫グロブリン溶液)に対して使用される。上記タンパク質溶液の吸光度も粘度も適合されず、従って、上記タンパク質溶液において有効な適用UV線量または等価な線量の決定をする際に線量測定ランプモニタリングができないことが、線量/不活化式における経験的定数を使用することにより、明らかである。これに関連して、静的混合装置を用いた、病原体の有効な不活化を保証するため、モデル計算パラメータ(例えば、線量率、デバイス長、および滞留時間)が実験的に最適化されなければならない。
【0033】
一般に、ヨウ素溶液の使用についての公知の不利な点は、光化学反応の量子収量が低いこと、および非直線的な線量反応(Rahn 1997)である。オンラインのプロセスについて、ランプの老化および短時間のラジアンス変化を表示するものとして、線量計は、時間分解のUV強度測定を可能にする。
【0034】
WO 01/74407は、UV−C照射による病原体、特に、血液または血液血漿の単一のドネーション(donation)における病原体の不活化のための携帯可能なフロースルーデバイスを開示する。このデバイスは、20mMのTris緩衝液アクチノメーター中の1%のNaIを用いて検証され得るが、このアクチノメーターのこの高い吸光度は、体積あたりの適用されたエネルギー(J/m)として表記される「絶対線量」を決定するのに使用される。しかし、これは、ある領域に入射してごく部分的に吸収されるエネルギーとしてのフルエンスという光化学の概念(Bolton 1999)に適合しない。歴史的に、ウイルスの不活化に関する全てのこのような実験が、フルエンスをerg/mm、mJ/cm、またはJ/mで表記するため、ある領域に対して薄型フィルムにおいて広がる緩衝液懸濁液において実行され、その結果、種々の方法論の比較がフルエンスデータを必要とする。
【0035】
米国特許出願第2003/0049809 A1は、流体中の微生物のフロースルーUV−C不活化のための方法を開示する。ここで、第2の流れが上記UV−Cランプの周囲に巻きつけられたらせんコイル状管中で重ねられる。種々のタンパク質濃度のα1−プロテイナーゼインヒビター溶液におけるパルボウイルスの不活化の例が記載され、そしてヨウ化物/ヨウ素酸塩アクチノメーター溶液の使用による反応器の評価が記載される(Rahn 1993、1997)。高いタンパク質濃度で減少する規定のUVフルエンスでの上記力価の減少、および放射線量測定試験結果のために与えられる用語「光収率」は、タンパク質溶液において有効で正確な線量が、高濃度のアクチノメーター溶液の使用により決定され得ないことを示す。
【0036】
米国特許第6,329,136号は、248nmにて20nsのレーザーパルスを用いて、生体流体中の病原体を不活化するための方法を開示する。上記実験の構成は、KrFエキシマーレーザー、および攪拌されたサンプル溶液を含む円筒状の1cm石英セルを標的化したレーザービームからなる。適用されるエネルギーは、電子センサーにより測定され、そしてフルエンス(mJ/cm)として表記される。緩衝液およびタンパク質含有溶液中のウイルスの不活化に必要なフルエンスは、著しく異なる。「[ブルータングウイルス]BTVをウシ胎児の血清から排除するのに必要とされるパルスされたUV(248nm)の線量は、[リン酸緩衝化生理食塩水]PBSと比較して、15倍も大きい。この違いは。恐らく、宿主の培地の光学的特性(すなわち、光学的透過性)に起因するものである。PBSでは、上記緩衝化生理食塩水培地は、光学的に透明な水溶液であり、一方、ウシ胎児の血清は、透明性があまりなく、248nmのUV光エネルギーを実際に吸収するUV吸収性化合物(例えば、タンパク質)を含有する複雑な色の溶液である」と説明に述べられているように、マトリックスタンパク質の高いUV−C吸収は、入射UVレーザー光により有効に照射されたサンプルの容積を減少させることが明らかである。
【0037】
米国特許第6,576,201号は、静的で透過性の外壁および回転式内部円筒を有する円筒状UV−C透過性フロースルーセルを開示する。中間の液体層においては、上記セルを通してポンプで送られた液体は、逆流Taylorボルテックスにより混合される。連続波またはパルスレーザーUVの、照射のための供給源が開示される。
【0038】
同様のTaylorボルテックスを生じるデバイスが、異質および同質の光化学プロセスのための光化学反応器としてもまた研究されてきた(Sczechowskiら、1995、ForneyおよびPierson 2003)。上記反応器の放射線量測定試験のため、シュウ酸鉄(II)(KirkおよびMamasivayam 1983)またはヨウ化物/ヨウ素酸塩アクチノメーター(Rahn 1997)が使用された。上記ヨウ化物/ヨウ素酸塩アクチノメーターはまた、排出口でのトリヨード濃度対注入口のヨウ素濃度の関係を試験するために、100倍にまで希釈され、ヨウ素濃度を減少させた。(ForneyおよびPierson 2003)。上記排出口トリヨード濃度対流速依存254nmでの光子線量の関係は、上記アクチノメーター溶液の固定吸光度、ランプの幾何形状に基づく理論上の計算、流速、量子収量、および光子エネルギーを用いて決定された。しかし、上記ヨウ素溶液において有効な線量を決定するための吸光度適合性の較正は、提案されも実行されもしなかった(ForneyおよびPierson 2003)。
【0039】
WO 97/33629は、200nmと250nmとの間のUV照射に対する曝露による、生体流体の滅菌および精製のためのプロセスを開示する。
【0040】
1960年、薄型フィルムUV−C照射ワクチン技術の一流の専門家のうちの一人が、以下のように述べた:「ウイルスの不活化自体に関与するエネルギーの絶対量を計算するために、ウイルスおよび培養培地により吸収された紫外線エネルギーの相対量を定量する相当な方法がなくてはならない。これは、まだ実現していない;さらに、絶対的な曝露は、多くの可変性の因子:流動体の粘度、温度、表面張力、および摩擦抵抗に依存する。」(Taylor 1960)。本発明の前に、科学的文献または特許文献は、流体サンプル中の病原体に対する光化学的に有効な線量の決定をまだ開示していない。従って、生体流体中の病原体の不活化のための方法が望ましい。流体サンプル中の病原体を不活化するのに十分な、電磁放射(例えば、光)の光化学的に有効な線量を決定し、同時に生物学的に活性な目的の物質を無影響のままにしておく方法もまた、特に望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0041】
(発明の要旨)
本発明は、生体流体中の病原体の不活化のための方法を提供する。本発明はまた、流体中の病原体を不活化する単色光または多色光の光化学的に有効な線量を決定する方法を提供する。
【0042】
従って、本発明は、生体流体中の微生物を不活化するための方法を提供し、その方法は、上記生体流体を、一以上の光源からの単色光または多色光の有効線量で照射する工程を包含する。ここで、上記有効線量は、有効線量を決定するために、使用される光不活化波長での生体流体に対して吸光度適合性または吸光度適合性かつ粘度適合性の線量測定溶液に対する単色光または多色光の効果を測定することにより決定される。
【0043】
特に、一実施形態では、本発明は、生体流体中の微生物の光不活化のための方法を提供し、上記方法は、一以上の光源からの単色光または多色光の有効線量でその生体流体を照射する工程を包含し、ここで、上記有効線量は、吸光度適応性または吸光度適応性かつ粘度適合性の化学線量測定用液に対する単色光または多色光の効果を測定すること;生体流体に添加された光不活化可能な微生物の化学放射線量測定に基づく生体線量測定の不活化を測定すること;および光源の強度の変化を点検し、そして補正するために、放射線量測定により光源の強度をモニタリングし、そして記録することを任意の順で行うことにより決定される。
【0044】
別の実施形態では、本発明は、生体流体中の微生物を光不活化するための混合の程度を決定するための方法を提供し、上記方法は、以下の工程:規定の混合条件にて生体流体中における単色光または多色光の有効線量を決定するために、上記流体の吸光度または吸光度および粘度を適合する化学的線量測定溶液を照射する工程;同一の規定の混合条件で生体流体中に添加された光不活化が可能な微生物の化学的線量測定データに基いて、生体線量測定の不活化速度を測定する工程;光源における強度の変化を必要に応じて点検および補正するために、光源の強度を、線量測定実験および生体線量測定実験における放射測定によりモニタリングし、記録する工程;微生物の最大不活化速度が、生体流体中の目的の物質の実現可能な最小不活化または生体流体中の目的の物質に対する実現可能な損傷で達成される混合条件を放射測定により補正された線量測定または生体線量測定の結果から得る工程を包含する。
【0045】
別の実施形態では、本発明は、一以上の光源からの単色光または多色光の、生体流体中に存在する微生物を不活化するのに有効な線量を決定する方法を提供し、上記方法は、生体流体の吸光度または吸光度および粘度が使用される光不活化波長に適合する線量測定溶液に対する、単色光または多色光の効果を測定する工程を包含する。
【0046】
本発明はまた、上記生体流体の照射前、照射中および照射後に、生存可能な微生物を滴定することにより、線量を決定するための方法を提供する。そのサンプルは、照射前または照射中に生存可能な微生物を混入され得る。
【0047】
一以上の光源の強度は、照射線量を決定するために、照射中にモニタリングされ得る。上記光は、UVの範囲内にあり得る。
【0048】
特に、本発明は、一以上の光源からの単色光または多色光が生体流体に存在する病原体を不活化するのに有効な線量およびこのような線量を適用するのに必要な時間、および上記流体中において有効な光線量と同等の目標ランプ線量を決定するための方法を提供し、ここで、有効線量は、生体流体中において有効な単色光または多色光の線量を決定するために、生体流体の吸光度、または吸光度および粘度に適合する化学的線量測定溶液を照射する工程;ならびに必要な場合に、光源の強度の変化を点検して補正するため、および照射時間にわたってランプの強度シグナルを合計し、標的ランプ線量を達成するために、線量測定実験における放射測定により光源の強度をモニタリングおよび記録する工程により、決定される。上記光は、UVの範囲内にあり得る。
【0049】
上記線量測定溶液は、ヨウ化アルカリ金属、ヨウ化アルカリ土類金属、およびヨウ化アンモニウム、リン酸ウリジン水溶液、安息香酸のアルカリ金属塩、安息香酸のアルカリ土類金属塩、および安息香酸のアンモニウム塩、ならびにペルオキソ二硫酸アルカリ金属、ペルオキソ二硫酸アルカリ土類金属、およびペルオキソ二硫酸アンモニウムからなる群より選択される薬剤を含有し得る。
【0050】
本発明の好ましい実施形態では、上記線量測定溶液は、希釈された吸光度適合性ヨウ化カリウム−ヨウ素酸カリウムアクチノメータまたは希釈された吸光度および粘度適合性ヨウ化カリウム−ヨウ素酸カリウム−ポリビニルピロリドンアクチノメータを含有し得る。上記線量溶液は、希釈された吸光度適合性安息香酸ナトリウムアクチノメータを含有し得る。上記線量測定溶液はまた、吸光度適合型の希釈されたペルオキソ二硫酸カリウム/tert−ブタノールアクチノメータを含有し得る。
【0051】
生体線量測定は、直鎖状または環状の一本鎖の核酸ウイルス(例えば、一本鎖非脂質性エンベローブ型ウイルス)について実行され、上記一本鎖皮脂質性エンベローブ型ウイルスは、DNAウイルスのパルボウイスル科(例えば、マウス微小ウイルス(MMV)、イヌパルボウイルス(CPV)、ウシパルボウイルス(BPV)、ブタパルボウイルス(PPV)、ネコパルボウイルス(FPV))、DNAウイルスのサーコウイルス科およびサルシノウイルス科(例えば、輸血伝播性ウイルス(Transfusion Transmitted Virus)(TTV))、RNAウイルスのピコルナウイルス科(例えば、A型肝炎ウイルス(HAV)、脳心筋炎ウイルス(EMV))、RNAウイルスのエンテロウイルス科(例えば、ポリオウイルス)、DNAバクテリオアファージのミクロウイルス科(例えば、S13、α3、およびPhi−X 174)ならびにRNAバクテリオファージのレヴィウイルス科(例えば、MS2)を含む。
【0052】
生体流体は、例えば、攪拌回分光不活化反応器中に含まれ得る。上記生体流体は、上記流体の生物学的活性の損傷および損失を減少させる少なくとも一種の添加物を含有し得る。
【0053】
上記方法は、少なくとも一つの他の滅菌法または微生物の不活化法と併せて実行され得る。上記方法はまた、溶媒・界面活性剤処理と同時に実行され得る。
【0054】
別の実施形態では、本発明は、光不活化光波長を透過させる壁を有する直立の照射容器、容器内に設置されたある容積の物質を混合することが可能な容器内のスターラーであって、容積の画分を照射帯に移動させること、および照射帯から移動させることで混合することが可能なスターラー、光不活化波長の光の一定のラジアンスを照射容器に放出するように温度自動調節された一以上の光源、および光不活化波長感受性のセンサーを備える電子モニタリングデバイスを含む回分照射反応器を提供する。
【0055】
好ましくは、本発明の回分反応器の光源は、照射容器の透過可能な壁に光を反射するための反射鏡を取り付けられ得る。上記光源は、個々にスイッチ切り換えが可能であり得る。好ましくは、センサーにより放出される線量計シグナルは、機械式カウンター、電子式カウンターまたはコンピューターソフトウェア制御型カウンターにより、目標値にまで合計される。一以上の光源は、
一以上の光源が、光不活化波長からのエネルギーが目標値に達した場合に自動的に消され得る。上記光源は、外部に置かれ得る。上記光源は、冷却液により温度自動調節され得る。上記反応器は、多重インペラースターラー(stacked impeller stirrer)、好ましくは壁の近くのワイパーブレードを有する多重インペラースターラーが取り付けられ得る。
【0056】
別の実施形態では、本発明は、較正のためのデバイスであって、以下:
光源、光がコリメータ孔に照射するのを可能にする光出射孔、シャッター、および温度自動調節され、キュベット中に含まれ得るサンプル上に光が照射するのを可能にする光入射孔を有するハウジング中に搭載されたスロットを含むデバイスを提供する。好ましくは、上記デバイスは、スライドに取り付けられる少なくとも一つの線量計センサーをさらに含み、ここで、光源からの光がシャッターを通ってサンプルへ、および孔を通って線量計センサーへの両方に同時に放射される。
【0057】
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から明らかである。しかし、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示す一方、例示の目的のみで記載されるということが、理解されるべきである。なぜなら、本発明の精神および範囲の内での種々の変更および修正は本詳細な説明から当業者にとって明らかであるからである。
【0058】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
微生物とは、任意の単細胞真核生物(例えば、酵母、原虫)および任意の原核細胞生物(例えば、細菌)、またはヒト、動物、菌類、植物もしくは原核単細胞生物体を宿主として感染するウイルスをいう。
【0059】
光、単色光または多色光とは、電磁スペクトルにおけるエネルギー、好ましくはUVおよび可視光の範囲内の波長および周波数をいう。
【0060】
生体流体とは、血液または血液産物由来の任意の流体をいう。さらに、生体流体とは、他の生物学的に生成された流体(例えば、ミルク、ホエイおよびミルクタンパク質画分を含む流体)、ならびに髄液、リンパ液、唾液、精液、尿、卵子、原核細胞培養物上清、真核細胞培養物上清、原核細胞溶解物、真核細胞溶解物、天然植物の樹液またはトランスジェニック植物の樹液、および天然植物の果汁、またはトランスジェニック植物の果汁の全流体および画分をいう。生体流体としては、好ましくは、血液、血漿、血漿画分、ならびに血液、血漿および血清由来の流体が挙げられる。生体流体およびその誘導体は、治療的、美容的または栄養的に貴重で有用であり得る。
【0061】
生体流体は、天然の物質または人工的に添加された物質を含有し得、それらの物質は、病原体に対する核酸の光損傷に影響を及ぼさないが、反応性の酸素ラジカルのクエンチャー(例えば、ルチン(Erdmann 1956,WO94/28210)のようなフラボノイド、アスコルビン酸(Erdmann 1956)のようなビタミン、およびクレアチニン(JP 11286453−A)として作用することにより、光照射、最も著しくは、UV光の照射の際に目的の成分を保存する有利な保護効果を及ぼし得る。しかし、これらの添加物が、使用される波長において吸光度をさらに追加する場合、適用された線量において追加の吸光度が埋め合わせられない場合、あまりに少ない病原体殺傷性(pathogenicidal)光エネルギーしか実際に病原体に到達しないかもしれない。過剰量の適用エネルギーは、容易にタンパク質を損傷し、そしてそれゆえ病原体の十分な不活化に必要とされるUVまたは可視光の線量を超えないこと、およびこの線量を可能な限り正確に計算または決定することが必要である。
【0062】
一実施形態では、有効線量は、線量測定溶液に対する単色光または多色光の効果により、化学線量測定を用いて測定される。線量測定溶液は、測定されるべき波長にて実質的な光化学反応を起こし、それゆえ測定され得る光産物を生成する試薬から調製される溶液である。上記光産物は、上記溶液のナピエリアン吸光係数と比較して薄い層において十分な感度で測定され得る。その結果、層のある領域上に照射している光エネルギーが、実質的に吸収されずに層を通過するので、入射放射線のうちごくわずかの部分しかこの層に吸収されず、フルエンスの決定を可能にする。
【0063】
たくさんの化学的アクチノメータは、当業者に公知であり、そして本発明を実施するのに十分である。例えば、UV−C照射に適した線量測定溶液は、ヨウ素のアルカリ金属塩、ヨウ素のアルカリ土類金属塩、およびヨウ素のアンモニウム塩、ならびに水溶性リン酸ウリジンからなる群より選択され得る。
【0064】
病原体の不活化のために光照射される生体流体の吸光度、または吸光度および粘度の両方に適合させるために、病原体の不活化のための方法が、照射波長における既定の吸光度での線量測定溶液の使用、またはこのような既定の吸光度および既定の粘度での線量測定溶液の使用を可能にすることは、本発明の一局面である。
【0065】
高濃度の(すなわち、高吸収性の)生体流体に特に適した多くのUV−C感受性の化学的線量測定が、本発明で使用され得る。例えば、希釈されたヨウ化カリウム/ヨウ素酸カリウムアクチノメータ(例えば、≧6.96mMのKIおよび1.16mMのKIOを含有するものが挙げられるが、これに限定されない)は、このような生体流体(例えば、a253.7≧2/cmのものが挙げられるが、これに限定されない)の吸光度に対応する、トリヨード化合物の高い吸光度、高い量子収量、ならびに高い比吸光係数を所有する。この線量測定溶液は、生体流体の吸光係数に適合するように、好ましくは、吸光係数a253.7≧2/cm(これに限定されない)に適合するように、対応する濃度のヨウ化カリウムおよびヨウ素酸カリウムで調製され得る。そして、それは、薄層キュベット、好ましくは、吸光係数a253.7≧2/cmを有する薄層キュベット(これに限定されない)において使用可能であり、そして、好ましくは、薄層キュベット、好ましくは、光路長が0.1mm〜1mmのキュベット(これに限定されない)において使用可能である。トリヨウ化物に対する安定化効果が知られているポリビニルピロリドン(PVP)の添加により、ヨウ化物/ヨウ素酸塩溶液の感受性は増強され、そしてタンパク質溶液の粘度が非常な精度で適合される。
【0066】
希薄な(すなわち、低吸収性の)生体流体に特に適した、別の好ましいUV−C−感受性の化学的線量測定は、安息香酸ナトリウムアクチノメータであり、その安息香酸ナトリウムアクチノメータは、薄層蛍光セルにおいて、光産物の蛍光定量的決定を可能にし、そして薄層蛍光キュベット、好ましくは、≧1×10mmの経路長を有するキュベット(これに限定されない)について、例えば、0.1/cm〜2/cmの吸光係数a253.7に適合するように(これに限定されない)、希釈され得る。
【0067】
非常に希薄な(すなわち、ほとんど非吸収性の)生体流体に特に適したさらに別の好ましいUV−C感受性化学的線量測定は、ペルオキソ二硫酸カリウム/tert−ブタノールアクチノメータであり、上記ペルオキソ二硫酸カリウム/tert−ブタノールアクチノメータは、好ましくはa253.7≦0.5/cmの吸光係数(これに限定されない)に適合するようにもまた希釈され得る。上記線量測定溶液は、好ましくは、0.5cm〜1cmの経路長を有するキュベット(これに限定されない)において使用され得る。光産物、水素イオンは、適切なpH電極、好ましくは小型化pH電極を浸すことにより、pHメーターを用いて測定され得る。
【0068】
生物学的サンプル溶液の10進法の吸光係数は、分光計において、吸光度を分光計の測定範囲内に維持するために十分薄いキュベット中で測定され得る。吸光係数は、結果を経路長(代表的には、センチメートル単位)で除算することにより計算され、そしてナピエリアン吸光係数は、10進法の吸光係数に10の自然対数を掛け算することにより計算される。
【0069】
粘度は、キャピラリー粘度計におけるフロータイムを測定し、そしてその結果をキャピラリー粘度計定数で掛け算することにより決定され得る。
【0070】
吸光度適合性の希釈されたアクチノメータ溶液と共に使用される薄層キュベットの光路長が、短く維持され得、その結果、入射光のごくわずかな部分だけがキュベット内に吸収される。
【0071】
このような薄層における部分的吸収性の希釈されたアクチノメータ溶液を用いて較正することにより、フルエンスが、可能な限りの非常な精密さで適用され得る。吸光度は、例えば、0.02cmのキュベットにおいて253.7nmにてa253.7=15/cmの10進法の吸光係数を有する溶液について27.3%であり得るか、または0.1cmのキュベットにおいてa253.7=2/cmを有する溶液について、19.9%であり得、そしてこれは、経路長を通して有効な線量が、最初の場合には入射照射エネルギーの72.7%、後者に関しては入射照射エネルギーの80.1%であることを意味する(Morowitz 1950)。それで、Morowitz補正因子は、最初に述べられた例については、72.7%であり、そしてもう一方の例については、80.1%である。従って、自己吸収誤差は、容易に計算され得、そして補正され得る。正確な較正のために、50%未満のMorowitz補正因子を使用しないことが一般に望ましく、そして、これは、キュベット経路長は、光強度が初期値の25%にまで減少する場合、その距離を超えるべきではないということを意味する。
【0072】
線量較正プロットを確立するために、公知の照射量を有する光源が、例えば、高濃度でかつ完全吸収のアクチノメータ溶液を用いて、電子式放射測定、スペクトル放射測定、または化学光量測定により測定され得る。光源から入射する照射量の決定後、希釈された吸光度適合性線量測定溶液または吸光度適合性かつ粘度適合性の線量測定溶液を含有するキュベットは、規定の表面線量を適用するために、規定の幾何形状および照射量で規定の時間照射され、そして得られたアクチノメータシグナルが測定され、そして光線量に対してプロットされる。
【0073】
この較正は、例えば、ランプ、光路内で規定の照射時間キュベットを曝露するそのシャッター、および光路の末端にランプに平行して載置されるキュベットを用いることにより、実行され得る。このようなシャッターは、例えば、フィルム面(film−plane)シャッターとして写真用カメラにおいて使用され、そして上記シャッターのメカニズムは、機械的な時計仕掛け(mechanical clockwork)または好ましくは電子式オシレーターにより正確に制御される。オシレーター駆動式シャッターおよび固定されたキュベットの位置は、キュベットの再現性ある正確な曝露を保証する。これをもたらすために、市販の35mmまたは中判のフィルム一眼レンズのレフレックスカメラ体または距離計カメラ体が、カメラのレンズマウント(lensmount)へのランプ取り付け具の連結、およびカメラ後部にミリングされた孔へのキュベットの連結により改変され得る。好ましくは、カメラ後部における孔自体が、キュベットの全表面が照射されるような大きさを有し、その一方で上記孔の端が部分的なコリメータとして作動する。ランプの強度の安定性およびアクチノメータの量子収量を改善するために、ランプおよびキュベットの挿入物は、このようなデバイス(送風機、循環液、またはペルチェ素子)により温度調節され得る。
【0074】
較正のためのこのようなデバイスはまた、線量計センサーのための台(mount)をランプ固定物に取り付けることにより、線量計センサーの検査および再較正をするために使用され得、その結果、ランプから放出される光は、アクチノメータキュベットおよび線量計センサーにより同時に測定され得る。
【0075】
有効な光線量の測定のために、生成物の体積に等しい体積の線量測定溶液が照射デバイスにおいて照射され、そして少量のサンプル体積が規定の時間に汲み出されて、薄型層キュベット中に満たされ、そして光生成反応生成物が測定される。使用され照射された線量測定溶液から得られるシグナルが、記録され、そして対応する較正プロットと比較される。その線量は、その後、照射時間単位により除算された線量増加として計算される。固定された幾何形状を有する反応器について、照射時間は、吸光度の一次関数である。
【0076】
吸収および粘度適合性化学的線量測定によるUV−C照射デバイスの較正は、非常に簡素なUV−C薄型フィルム照射器によって、混合回分リザーバ(mixed batch reservoir)(例えば、UV−C吸収タンパク質溶液で満たされ、そして低圧のHg蒸気ランプで側面から照射される攪拌式直立石英ビンまたは石英の試験管)を用いて実験的になされ得る。
【0077】
アクチノメータ溶液を用いた線量測定の化学的方法は、薄型層のキュベットに満たされたサンプル体積に適用される平均的な光線量(フルエンス)を測定し得る。これに関連して、光化学反応剤は通常は過剰に存在し、そして光化学反応産物の任意の局所的剰余が、容易に混合および希釈され、そして反応産物の濃度は、適用された光子の数と理想的な線形比で増加する。
【0078】
別の実施形態では、生物学的に有効な光線量(フルエンス)は、生体線量測定により決定される。その生体線量測定とは、微生物の光不活化による決定のことをいう。生体線量測定は、流入照射デバイスを用いて行われ得、そして、滞留時間分布(QuallsおよびJohnson 1983)ならびに光線量分布(CabajおよびSommer 2000)の測定のための適切な方法として従来的に使用されている。
【0079】
一般的に、同数の光子は、体積または力価あたりの同比率の生存可能な微生物を不活化し、そして力価の対数値における任意の減少は、直線的である。さらに、光強度の局所的過剰は、生存可能な微生物の数のゼロ未満までには減少させ得ないが、局所的に不十分な光線量は、サンプル中に存在する生存可能な微生物の残存数をそのままにする。回分または流入型の光照射器において照射される光学的に不透明な液体では、微生物は、非常に短い時間だけ、最も外側の浅い照射体積層を通過し、そしてより長い割合の処理時間、遮蔽されたままである。
【0080】
好ましい実施形態では、混合の有効性を決定するために、生体線量測定は、化学的線量測定と組み合わせて使用され得る。これに関連して、より高度の混合を用いる、より効率的な方法は、滞留時間の分布を狭め、そして不活化の速度を増加する。このような高度の混合は、スターラー軸に沿って載置された一個よりの羽根車を有するスターラーを用いて達成され得る。そしてより好ましくは、高度の粘性を有する液体について、スターラー軸に沿ってスターラー全体に沿って伸長するさらなる外側のワイパーブレードを有するスターラーを用いて達成され得、このワイパーブレードは、外縁と内側の容器壁との間の隙間を照射帯の近傍に更なる乱流を発生させるほど十分に狭くする。
【0081】
別の実施形態では、本発明は、一個以上の光源をモニタリングする工程を提供する。光源の放射測定のモニタリングは、フロースルーデバイスに関する慣例的実務である。ランプ出力は、引き続きモニタリングされ得、そしてそのシグナルは、表示されるか、または記録され得る。
【0082】
別の好ましい実施形態では、処理されるべき全容積が、照射反応器に閉じ込められ、そして放射測定のシグナルが、最終的放射測定標的ランプ線量に至るまでプロセスの間蓄積(sum up)され得、そして最終的放射測定標的ランプ線量は、吸光度係数に依存し得、照射時間と共に増加し得る。
【0083】
一般的な低圧水銀蒸気ランプは、一般的に、耐用期間の間に、最初のUV−C(253.7nm)の強度のうち、少なくとも15%〜50%を超える強度が消失する。好ましくは、公知のランプ出力での線量率が決定され、そしてランプ出力が測定される。このようにして線量率は、ランプ出力に対して基準化され得る。ランプ出力は、照射時間により増幅され得、そして標的ランプ線量を生じさせる。
【0084】
化学的線量測定、生体線量分布、および放射測定を組み合わせての使用により、以下のパラメータが決定され、回分照射プロセスを最適化する:
一定のランプラジアンスで、化学的線量測定は、流体、線量率(フルエンスの増加/時間間隔)および流体吸光度に依存する照射時間において有効な平均的線量(フルエンス)についての基本的情報を送達する。生体線量測定は、微生物不活化速度による混合の有効性(化学的に決定された線量単位あたりの力価の減少)を決定し、そして有効線量は、微生物を所望の程度に不活化し得たという決定を認める。放射測定は、ランプのラジアンスにおける可変性を矯正し、そして全放射測定標的ランプ線量を、照射時間にわたって蓄積(sum up)された照射量として送達する。これは、化学的線量測定により同時に決定される。従って、最適化されたプロセスは、目的の物質の最小限の光変性および病原体の最大限の不活化を保証するように設計され、そして評価され得る。
【0085】
以下の変数は、以下の直線的な関係において使用される;
吸光度係数:「a」(1/cm)=規定の波長の光路長に沿っての光強度の減少の尺度;
照射時間:「t」(s);
ランプ出力:「P」(mW/cm)=ランプにより放出される放射エネルギー;
有効光線量:「H」(mJ/cm)=照射時間にわたって照射された流体中である容量の断面において有効なフルエンス;
ランプ線量:「Q」(mJ/cm)=照射時間にわたってランプにより放出される放射エネルギー;
放射測定標的ランプ線量:「Q’」(mJ/cm)=照射時間にわたってランプにより放射され、線量計センサーに入射する照射エネルギー
これらの光化学的変数は、以下の直線的関係により関連付けられる。
【0086】
【化1】

およびkは、kについては実施例2に、そしてkについては実施例6にそれぞれ例示されているような、経験的な反応器−幾何形状および混合の有効性に特異的な、実験に由来し得る定数である。回分光反応器の慣用的操作に関し、有効な標的光線量を決定するためには、吸光度係数と照射時間とのこの関係または放射測定のランプ線量を知ることだけが必要である。
【0087】
好ましい実施形態では、化学的線量測定溶液(例えば、ホウ酸塩緩衝液中のヨウ化物/ヨウ素酸塩)は、所望の標的タンパク質溶液と、i)希釈により、254nm、特に253.7nmでの同じ吸光度に、およびii)例えば、ポリビニルピロリドンの添加により同じ粘度に、調整される。このようにして、化学的線量測定溶液は、トリヨージドを産生するのに効率的に使用される照射光の百分率を決定する。その照射光は、367nmでポリビニルピロリドンを用いて測定され得る。光の百分率は、非常に単純な照射デバイス(例えば、1cmキュベット)に関しては、理論上、吸収に関するLambert−Beerの法則(Morowitz 1950):
I(d)=I×exp(−α×d)=I×exp(−a×ln10×d)
によって決定される強度(I)の積分により計算され得る。
【0088】
ここで、Iは強度であり、距離d(cm単位)に依存し;そして
aは、10進法の吸光係数(単位:1/cm)であり、ここで、a=−log10T=−log10透過である。従って、1.0の吸光度は、10部分すなわち10%の光が透過し、90%が吸収されるということを意味する。αが、ネイピア(Napierian)吸光度係数である場合、α=a×ln10=a×2.303である。
【0089】
Lambert−Beerの法則の積分により、少なくともα253.7=10/cmのネイピア係数を有する液体(1cmキュベット)、入射光強度の約1/α部分は、標的微生物を不活化するのに有効である。
【0090】
ウイルスを殺すのに有効な20mJ/cmのUV−C線量および1mW/cmの入射UV−C強度に対し、関係1(mJ/cm)/sが存在する。従って、α=10/cmの場合、1s×20×10=200sであり、α=25/cmの場合、1s×20×25=500sであり、α=40/cmの場合、1s×20×40=800sである。
【0091】
線量測定較正プロットを確立するために、化学的線量測定溶液は、規定の深さの薄型フィルムに広がり、そしてごくわずかな画分の入射光を吸収する。上記フィルムは、光線量に曝露され、そして化学種を変換して光吸収もしくは蛍光発光を生じること、またはpHの増加により、実質的かつ定量可能な変化を経る。アクチノメータシグナルが測定され、そして光線量に対してプロットされる。
【0092】
対応する溶液が、その後、混合バッチ容量で照射され得、そしてある容量が汲み出されて発光反応産物が測定される。照射された線量測定溶液から得られるシグナルが記録され、そして対応する較正プロットと比較される。これは、線量測定較正プロットにおいて、シグナルの増加に対応する有効な線量を、もたらす。線量率は、その後、照射時間単位で除算された線量増加として計算される。有効な線量とは、事実上全ての標的微生物を上記の生体流体において不活化する線量である。
【0093】
線量測定溶液は、規定の波長にて標的タンパク質溶液と同一の吸光度を有するので、線量測定溶液は、その標的タンパク質溶液を刺激する。光により形成される化学種(例えば、トリヨウ化物)の変換の測定は、有効なUV線量と関連付けられ得る。化学的線量測定は、種々の吸光度を有するタンパク質溶液が同一の有効UV線量を受け取ることを確実にする。
【0094】
タンパク質溶液または他の生体流体は、非病原性または病原性の真菌、単細胞原生生物、細菌、好ましくは、ウイルスまたはバクテリオファージ、を混入され得、これらの病原体またはこれらに類似する病原体が殺傷されるかまたは活性が減少させられることを確実にする。目的の成分(例えば、タンパク質および他の重要な生物学的分子)が保存されることを保証するため、タンパク質、または、例えばビタミンの生物学的活性が測定され得る。
【0095】
線量測定試薬は、かなり過剰に存在する小溶解分子であり、照射帯に容易に拡散する。従って、線量測定試薬は、入射光光子により光化学反応産物に変換される。一定の強度で作動するランプを用いれば、同数の光子が、反応器容量を照射し、そして所定の時間間隔で同等の有効線量(mJ/cm)を適用し、化学線量率((mJ/cm)/分)を生じる。ランプの強度が、全照射ランプ線量を制御することにより、考慮に入れられ得る。バクテリオファージまたはウイルスを含有するタンパク質溶液に関しては、所定の吸光度および粘度について、線量率は同一である。
【0096】
微生物(例えば、バクテリオファージ、ウイルス、および細菌)は、理想的には生存率における指数関数的な減衰(decay)を示す。これは、所定の線量が、生存可能な微生物の同一の画分を不活化するということを意味する。例えば、1mJ/cmが最初の力価を1/10に減少する場合、2mJ/cmは、最初の力価を1/100に、3mJ/cmは、最初の力価を1/1000に、といった具合に減少する。全ての微生物が、一度だけ照射帯に移動させることにより、全ての微生物が等しく曝露される場合、全ての微生物を、不活化の一撃(hit)を受ける。しかし、最小の微生物(例えば、一本鎖DNAバクテリオファージ)でさえ、タンパク質と比較すると大粒子(約25nm)であり、対流およびタンパク質溶液の流れにより移動する。反応器においては、規定の時間間隔の間に数回、照射帯に移動される微生物もあれば、一度だけおよび全く移動されない微生物もある。従って、不活化速度は、化学的に決定される線量率に基づき、混合と共に増加する。微生物の不活化が早く進めば進むほど、必要な照射時間は短くなり、そして必要とされる有効線量は少量にならなければならない。従って、タンパク質または他の生物学的活性は、高い混合効率にて保持される。
【0097】
生体線量測定不活化は、UV照射の前および後に微生物力価により測定される。例えば、これは、生存可能な細菌の残存するコロニーの数またはまだ生存しているバクテリオファージの数に対応する溶解した細菌のプラークの数を数えることにより、実行され得る。コロニー形成単位またはプラーク形成単位(それぞれ、cfuおよびpfu)としての生存可能な微生物の力価は、ペトリ皿上で滴定され、希釈されたサンプル容量1mLあたりlog10((cfuまたはpfu)×10希釈係数)として計算される。
【0098】
生体線量は、ファージの不活化速度(log[不活化されたファージの数]/有効UV線量)が同様である場合、種々のタンパク質溶液が、同一の有効線量で、同一の混合効率で照射されることを示す。生体線量測定は、種々のサンプルが微生物またはその宿主にとっての毒性物質または抑制物質を含有しない場合、その種々のサンプルの検証に適している。従って、生体線量測定は、事実上全ての生体流体に関して使用され得る。
【0099】
好ましくは、強度測定は、連続的に行われ、そして任意のUV源が、化学的線量測定により予め定められた照射量に達した後に止められ得る。放射測定のランプ線量は、タンパク質溶液の吸光度と直線的な比率で増加する。より弱い強度で作動しているランプは、放射測定標的ランプ線量に到達するのにより多くの照射時間がかかる。
【0100】
所定のUV線量のうち、いずれもがmJ/cmで測定され得る。照射線量は、時間と共に全ランプ出力である。しかし、化学的線量測定およびバクテリオファージの不活化により測定された場合、この照射線量の一部分だけが有効になる。例えば、30Lの回分反応器は、有効線量よりも約1000倍高い照射ランプ線量を必要とし得る。上に示されるように、化学的線量測定による有効な線量の決定はまた、照射時間を生み出す。わずかにランプ出力が変化する場合、照射時間は、照射線量により置換され得る。これは、モデル線量測定溶液の照射工程の間のランプ強度の記録によって決定される。殺ウイルス的に有効な標的線量が決定される一方で、強度カウントが照射時間にわたって蓄積され、有効線量に対応する放射測定の標的ランプ線量を得る。照射ランプ線量によるプロセスの制御は、ランプ出力の変化を埋め合わせ得、そして本方法の精度を増加し得る。
【0101】
光処理に加えて、保護的添加物がまた、生物学的活性の損傷および損失を減少させるために使用され得る。種々の保護的添加物(例えば、損傷に対して細胞を保護するためのビタミンE、血漿成分の機能的活性の損失に対して保護するためのアスコルビン酸塩、ならびにフリーラジカルおよび酸素の活性形態のクエンチャー(例えば、ヒスチジン、ルチン、ケルセチンおよび他のフラボノイド)、ならびに血液成分の機能的活性の損失を減らすための他の安定剤(糖類(例えば、マンニトール)およびアミノ酸))は、当該分野において公知である。溶液中に溶解した酸素の除去(例えば、照射前の排気、および照射時間中の不活性な気体(例えば、窒素)による空気の置換)は、目的の物質に対して有益な効果を発揮するということもまた、現状の技術から知られている。なぜなら、一重項酸素の産生は、溶解酸素を必要とするからである。
【0102】
一実施形態では、不活化および線量決定のための本方法は、流体の滅菌およびウイルスの不活化のための種々の他の公知の方法と併せて使用される。種々の方法が、当該分野で周知である。そして種々の方法としては、一般にアルブミンに対して使用されているような、所定の期間、安定剤ありまたはなしでの高温での流体をインキュベーションを含む、従来の湿性温熱処理または殺菌が挙げられる。あるいは、第VIII因子のような成分に対して用いられているような、凍結乾燥流体成分の高温、所定の期間でのインキュベーションを含む乾燥熱処理。別の方法としては、限外濾過および溶媒・界面活性剤処理(ここで、流体は溶媒・界面活性剤系(例えば、1%トリ(n−ブチル)ホスフェート(TNBP)および1%のTriton X−100またはTween 80)と十分混合され、そして所定の期間それらと一緒にインキュベートされ、その後、溶媒・界面活性剤系は、都合良くは疎水性クロマトグラフィーにより、除去される)が挙げられる。溶媒・界面活性剤処理の詳細は、WO 94/28120;および米国特許第4,946,648号;同第4,481,189号;同第4,540,573号に記載されている。
【0103】
別の実施形態では、本発明のUV照射は、溶媒・界面活性剤処理と併せて使用される。溶媒・界面活性剤処理の一つの特徴は、溶媒・界面活性剤処理が、溶媒・界面活性剤処理された流体の吸光度の顕著な増加を起こし得ることであり、そしてこれに関連して、比較的大きな吸光度を有する流体における有効なウイルス不活化を達成するための本発明の方法の能力は、特別な利点である。
【0104】
別の実施形態では、本発明に従う微生物のUV不活化のための方法は、少なくとも一つの他の微生物不活化手順と一緒に実行される。これに関連して、種々の型のウイルスは、種々の処理に対して様々な感受性を有し得、そして様々な処理を組み合わせて用いて存在する様々なウイルス全ての不活化を保証することが、しばしば必要である。本発明の照射処理の特別な利点は、他の容易に利用可能な処理に対して耐性のある特定の型のウイルスが、照射処理に感受性であることである。
【0105】
別の実施形態では、化学的線量測定および生体線量測定に基づく検証方法は、化学的線量測定により決定されるような規定の線量における添加された微生物の最大対数値を達成することにより、UV照射反応器における混合パラメータを最適化するのに使用され得る。
【0106】
別の実施形態では、本発明は、回分照射器を提供し、この回分照射器は、光不活化光波長を透過させる壁を有する直立する照射容器、この容器内に設置されたある容積の物質を混合し得る容器内のスターラーであって、上記容積の画分を照射帯に移動させること、および照射帯から移動させることによって混合し得るスターラー、光不活化波長の一定の放射を照射容器に放射するために、温度自動調節された一以上の光源、および光不活化波長感受性センサーを備える電子モニタリングデバイスを備える。好ましくは、上記光源は、上記照射容器の透過可能な壁に光を反射するための反射器を備える。そして上記光源は、個々に切り替えが可能である。センサーにより放出されるモニタリング線量計シグナルは、機械式カウンター、電子式カウンターまたはコンピューターソフトウェア制御型カウンターにより、目標値にまで合計される。一以上の光源は、光不活化波長からのエネルギーが目標値に達した場合に自動的に消され得る。光源は、外部に取り付けられ、そして冷却液により温度自動調節され得る。スターラーは、壁の近くのワイパーブレードを有する多重インペラースターラーであり得る。
【0107】
酵素的変性は、温度依存的であって低温で抑制され、そして光化学反応(例えば、核酸不活化およびタンパク質光変性)は、0℃と約50℃との間では温度非依存的である(EngelhardおよびEikenberg 1955)ので、外部に別個のランプを有する回分反応器の配置は、予め冷却された流体を、最大のUV−C−放射に最適な温度で操作されるランプから関連する温度の上昇を伴わずに短期間照射するのを可能にする。
【0108】
本発明の好ましい反応器が、図7〜図9に示され、これらは、適用される光不活化光波長を十分に透過する材料からなる直立した円筒状管(A)を備える。管(A)は、光不活化波長の光を放出する光源(B)で囲まれている。この光源は、好ましくは管状の光源であり、より好ましくは水銀蒸気またはキセノンガスで満たされた気体放出管であり、これは最初の放出物をより長い波長の光に変換するために蛍光内部被覆で裏打ちされ得る。
【0109】
管(A)は、下部にて外向きカーブの底(C)で密閉され、死空間(dead volume)を有さない収容流体(contained fluid)のスムーズな流れを保証し、そして上端にて上蓋(D)で密閉される。上記底(C)と上記上蓋(D)との間の距離棒(distance rod)(E)は、管の密閉を支持する。流体は、上蓋に取り付けられるスターラー(F)で攪拌され、このスターラーが、多重インペラーブレード(stacked impeller blade)(G)、および必要な場合にはさらに縦方向のスクレーパーブレード(scraper blade)(H)と共に十分な混合をもたらす。上記スターラーは、攪拌モーター(I)で回転される。
【0110】
各ランプは、強度モニター、記録計、および非常に好ましくは、光線量カウンターに接続されたランプ自身のランプセンサー(J)によりモニタリングされる。上記ランプの光出力は、光の焦点を上記円筒に当てる十分な反射率を有する物質からなる反射器(K)により強化され得る。好ましくは、ランプの光出力は、作動温度により、好ましくは、上記ランプと光透過性のエンベロープ管(L)との間の空間に含まれる光透過性の温度自動調節液の流れにより制御される。ランプ台(M)は、注入口(N)/排出口(N)間を流れる温度調節液の流路をランプ出力コネクターから密閉する。
【0111】
この製品は、挿入可能な柔軟な管または硬直した管状ランスを用いて、上蓋の注入口(O)を経て反応器に注入され、そして照射後、処理される流体の未処理の流体との相互汚染を避けるためにバルブ(Q)に備え付けられた排出口(P)を経て、排出される。
【0112】
更なるサンプリングポート(R)は、処理中のサンプルのゴム隔壁を通っての汲み出しを、好ましくは注射器の皮下針を用いて、可能にする。温度センサー(S)は、上記流体の温度をモニタリングする。連結器(T)は、上記攪拌モーター(I)を回転制御器に接続し、有効な混合を確実にする。挿入可能なスプレーボールヘッド(spray ballhead)(U)は、反応器の代わりに洗浄を可能にする。
【0113】
別の実施形態では、本発明は、較正のためのデバイスを提供し、上記デバイスは、以下:光源、上記光がコリメータ孔に照射するのを可能にする光出射孔、シャッター、および温度自動調整されたハウジング中に取り付けられたキュベットスロットであって、線量測定用液を含むキュベットまたは光学セルへと光が照射するのを可能にする光入射孔を有するキュベットスロット、を備える。好ましくは、温度自動調節された台は、線量計センサーの取り付けのために提供され得る。ここで、光は、上記光源から、上記シャッターを通って上記キュベット上へと、光を通って上記センサーの入射窓へとの両方に同時に照射し、同時に曝露された上記キュベットまたは光学セルに含まれる最新技術に従う放射線量測定溶液の比較により、上記光源を較正プロセスを通してモニタリングするためか、またはこのようなセンサーの特性を点検する。キュベットまたは光学セルの正確でかつ再現性ある曝露時間を達成するために非常に好ましくは、シャッターが精密なタイマーにより駆動される。好ましい較正デバイスが、図10に示される。ハウジング(U)中に取り付けられた好ましい管状ランプ(T)は、較正プロセスを通して一定の光照射を達成するために、好ましくは温度自動調節されるか、または電流安定化(current−stabilized)され、非常に好ましくは、温度自動調節されてかつ電流安定化される。図10に示されるように、温度安定化は、好ましくは、上記ランプを通過して流れる光透過性液により達成される。上記ランプから出ている矢印により指し示される上記光は、孔(V)を通って、時間制御式開口シャッター(W)を過ぎて、距離アダプターと共に挿入されたキュベット上へと照射し、上記キュベットが上記容器における最大空間よりも薄い場合、上記キュベット容器(X)、好ましくは温度調節される上記キュベット容器(X)へと照射する。上記放射線量測定溶液またはモデル線量溶液を含むキュベットは、上記シャッターの開口している間、正確にかつ精密に曝露される。上記孔(V)以外の場所に位置する光であって、しかし好ましくは光が空間的に同様の方法で上記ランプから両孔(VおよびY)へと照射するように位置する、選択的な孔(Y)は、電子センサー(Z)(例えば、好ましくは、反応器放射測定(reactor radiometry)について使用されるセンサーの一つが挙げられるが、これに限定されない)を適応させ得、そして、上記キュベットの容器(X)における放射線量測定により、そして上記センサー(Z)を用いた放射測定により、好ましくは同時に測定される強度の比率に基づいて、上記センサーを再較正する正確な方法を提供する。上記センサー(Z)は、較正曝露の間のランプ強度のモニタリングおよび記録についてもまた使用され得、そして上記ランプ強度がこの較正曝露の間に変化する場合、続く強度補正について使用され得る。
【実施例】
【0114】
以下の実施例は、本発明の実施形態を例示するが、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0115】
(実施例1:高い希釈率のヨウ化物/ヨウ素酸塩アクチノメータ溶液の吸収係数、ヨウ化物/ヨウ素酸塩アクチノメータ溶液の線量測定反応、ならびにポリビニルピロリドンによるUV−C発生トリヨードの安定化)
0.01Mのホウ酸塩緩衝液中の0.24MのKIおよび0.04Mを含有する溶液(pH=9.25)を、0.01Mのホウ酸塩緩衝液を用いて0.2倍、0.4倍、0.6倍、および0.8倍に希釈し、そして吸光度を0.1mmのキュベット中で測定した。図1は、吸光係数が、直線的比率(a253.7=69/cm×希釈係数)で濃度に依存することを示す。
【0116】
0.01Mのホウ酸塩緩衝液1L中に10gのポリビニルピロリドンK90(PVP K90;平均分子量360000kDa)を含有する溶液を、0.2倍、0.4倍、0.6倍、0.8倍に希釈し、そしてその希釈物および緩衝液の粘度を、22.8℃に温度自動調節されたSchott 0.40mm Ubbelohdeキャピラリー粘度計で測定した。図2より、粘度は、非直線的比率で濃度と共に増加することが理解され得る。
【0117】
ホウ酸塩緩衝液中に0.24MのKIおよび0.04Mを含有する原液の希釈液(pH=9.25)を、253.7nmにおける規定の吸光度6.1/cm(0.0212MのKI+0.0035MのKIO+1Lあたり0.95gのPVP K90;DEAEセファデックス陰イオン交換ゲル(Brummelhuis 1980)からのプロトロンビン複合体溶出物について)および16/cm(0.06MのKI+0.01MのKIO+1Lあたり6.25gのPVP K90;2.5%(w/v)のフィブリノーゲン溶液について)に調製し、0.2mmのキュベットに満たした。上記線量測定溶液で満たされたキュベットを、規定の時間そのキュベット位置で(Rahnアクチノメータで測定された)既知の放射度で、CAMAG TLCランプの下に置くことにより薄層較正を行った。吸光度を、367nmにて測定した。図3から、吸光度が、適用された表面線量と共に増加すること、および感受性が、KI/KIOの濃度と共に増加するということが理解される。
【0118】
pH=9.25の0.01Mのホウ酸塩緩衝液中に0.06MのKIおよび0.01MのKIOを含有し、吸光係数a253.7=16/cmを有する線量測定溶液、ならびに同一のKI濃度およびKIO濃度、および1L中に6.25gのポリビニルピロリドン(PVP)K90を有する溶液を調製した。線量測定用液で満たした0.2mmキュベットを、規定の時間、CAMAG TLCランプの下に上記のように置くことにより、薄層較正を行った。吸光度を、352nm(KI+KIOのみ)または367nm(KI+KIO+PVP)にて測定した。図4から、PVPは、本方法の感受性を改善することが理解され得る。
【0119】
(実施例2 一定の幾何形状を有する回分光反応器における、アクチノメータ用線量測定溶液を用いた照射時間の決定)
2.1/cmの10進吸光係数a253.7を有する線量測定溶液(FVIII濃縮物に関しては、0.0072MのKI+0.0012MのKIO+1Lあたり0.5gのPVP K90)、6.1/cmの10進吸光係数a253.7を有する線量測定溶液(実施例1を参照のこと)、10/cmの10進吸光係数a253.7を有する線量測定溶液(2%(w/v)の免疫グロブリンG溶液について、0.0346MのKI+0.0058Mの KIO+1Lあたり1.21gのPVP K90)、および16/cmの10進吸光係数a253.7を有する線量測定溶液(実施例1を参照のこと)を調製し、そして実施例1に記載されるように、較正プロットを記録した。直径4cmの石英の試験管を、100mLの線量測定溶液で満たし、磁力式のスターラー棒を用いて磁力式攪拌機上で攪拌し、そして研磨したステンレス鋼反射器を備えた2個の低圧水銀蒸気ランプの間で照射した。分光光度法の測定のために、規定の間隔でサンプルを取り出し、そして0.2mmのキュベットに満たし、そしてその線量を較正プロットから読み取った。次いで、線量率を、(mJ/cm)/分として計算し、そして逆線量率(すなわち、単位線量あたりの特定の照射時間、分/(mJ/cm)として)を計算した。吸光係数と(特定の)照射時間との間の関係のための定数kは、以下:
t=k×a
で計算され得る。
【0120】
【表1】

吸光係数に依存する特定の照射時間の直線回帰の計算により、R=0.989の線形相関が得られる。この結果は、薄膜較正による吸光度が適合しかつ粘度が適合したモデル溶液に基づく線量測定が、攪拌型回分光反応器の検証に適していることを示す。
【0121】
(実施例3 薄層照射および回分照射におけるMMVおよびPhi−X174の不活化)
細胞培養物上清からのMMV原液(約10組織−培養物感染性線量(TCID50)/mL)およびEscherichia coliの増殖由来のバクテリオファージPhi−X174溶解物(約1×10プラーク形成単位(PFU)/mL)を、20mMのリン酸で緩衝化された0.15MのNaCl(リン酸緩衝化生理食塩水、PBS)で希釈し、そしてCAMAG TLCランプの下で水平に振盪される32mmのポリスチレン性ペトリ皿中で、2.5mLを種々のUV−C線量で照射した。サンプル表面距離での放射度を、日光非感受性のUV−Cセンサーを有するGroebel博士のRM21線量計を用いて決定し、そして溶液の自己吸収を分光光度計で測定し、有効なフルエンス(UV線量)について補正した(Morowitz 1950)。MMVおよびPhi−X174の力価を、宿主細胞培養物および宿主細菌それぞれについて滴定により決定した。
【0122】
【表2】

4cmのスターラー棒を有する100mLの石英ビンに、80mLのMMVまたはPhi−X174を混入したタンパク質溶液(α253.7=6.9/cmのプロトロンビン複合体DEAEセファデックス溶出物)を満たし、磁力式攪拌機上に設置し、約250rpmで攪拌し、そしてCAMAG TLCランプを用いて側面から照射した。上記較正を、実施例2で用いられるようなモデル溶液(α253.7=6.9/cm)を用いて行った。ウイルス滴定またはバクテリオファージ滴定のためのサンプルを、線量率の測定後に計算された時間間隔で汲み出し、そして生存する感染性のウイルスまたはバクテリオファージの力価を決定するために滴定した。
【0123】
【表3】

Phi−X174およびMMVの不活化速度から、253.7nmでのUV−C光に対するそれらの感受性が、同様であるということが推定され得る。従って、回分攪拌速度Phi−X174を、生体線量測定物質として使用した。回分攪拌デバイスにおけるUV−C吸収液についての不活化速度は、照射帯への微生物の輸送を確実にする有効な混合法のためにほとんど同一である。
【0124】
(実施例4 攪拌型回分反応器の最適化のための線量測定および生体線量測定の使用)
多重インペラースターラー(インペラー3個、攪拌速度調節可能)を備える円筒状石英容器(内径7cm、壁の厚さ3mm、高さ13cm)を、側面から2個の低圧水銀ランプで照射した、このランプ各々は、2個の同心石英管の円筒に取り付けられ、そして背後部にステンレス鋼の反射器を備える。サーモスタットからの冷却水を、ランプ円筒を通してポンプで送り、ランプの温度そしてUV−C出力を一定にした。
【0125】
攪拌速度を、一分あたり60回転(rpm)(遅い攪拌)、150rpm(中程度に速い攪拌)、および240回転(速い攪拌)に調節した。バクテリオファージが混入されたプロトロンビン複合体溶出物(a253.7=8.0/cm、η=1.15cp、0.1Mのホウ酸塩緩衝液1L中に27.83mMのKI、4.64mMのKIO、1.3gのPVP K90(pH=9.25))のための、吸光度を適合しかつ粘度を適合したモデル溶液450mLの照射のためのUV線量率を、実施例2のように決定した。文献中に示される(0.01M)よりも高いホウ酸塩濃度(≧0.1M)が、線量測定溶液の、より高い感受性およびより優れた安定性をもたらすことが発見された。バクテリオファージ混入プロトロンビン複合体溶出物を照射し、そしてバクテリオファージの不活化を、実施例3に記載されるように決定した。更なるパラメータとして、凝固因子X(FX)の活性を、0mJ/cm、10mJ/cm、15mJ/cm、20mJ/cm、25mJ/cm、50mJ/cm、75mJ/cm、および100mJ/cmの線量について、アミド分解アッセイ(amidolytic assay)を用いて測定した。
【0126】
【表4】

この実験から、ウイルス不活化回分反応器の最適化が、モデル溶液の線量測定および生体線量測定により行われ得るということが理解され得る。なぜなら、両検証方法は、混合の有効性についての情報を与えるからである。タンパク質溶液にとって(泡の生成を避けるため)可能な限りの最速の攪拌速度において、最速の病原体不活化が達成されることもまた明白である。このような最適化の利点は、最も有効な混合を用いて、標的線量(例えば、20mJ/cm)におけるウイルス不活化のための安全域が最高になるということ、または標的線量が、タンパク質の更なる生物学的活性を保存するために減少され得るということである。
【0127】
(実施例5:化学的線量測定、生体線量測定、および放射測定を用いるプロトロンビン複合体溶出物の回分照射のためのモニタリングをする有効性およびプロセス)
円筒型石英管(内径25cm、壁の厚さ5mm、長さ75cm)、平らな上蓋および試料採取ポートを備える湾曲した底、ならびに3個の3葉インペラーおよびワイパーブレードを各々の外部ブレード端にて有する多重インペラースターラーを有するウイルス不活化光反応器を、水により温度自動調節されるUV−C−ランプ(Philips TUV 55W HO)10個で取り囲み、各々をDR.Groebel UVC−SE線量計センサーでモニタリングした。この反応器の最大容量は、30Lである。各々のランプについてランプ出力を、線量計センサーを用いてチャート式記録計に記録し、そして最初の工程に基準化された相対的ランプ出力を100%として設定した。
【0128】
29.5Lのプロトロンビン複合体溶出物に、E.coli由来のPhi X−174溶菌液(約4×10pfu/mL)0.5Lを混入した。生じた溶液は、a253.7=6.0/cmの吸光度係数を有していた。実施例2に記載されるようなモデル溶液であって、20.87mMのKI、3.48mMのKIO、および1Lあたり1.304gのPVP K90をpH9.25の0.1Mのホウ酸塩溶液中に含有し、吸光度適合性かつ粘度適合性であるモデル溶液を用いて、1.3435(mJ/cm)/分の線量率および最初のバクテリオファージ照射工程の98.5%に相当するランプ線量率で、反応器線量率をウイルス不活化実験の前に決定した。14分間の照射時間を、20mJ/cmの標的線量について決定し、そして一定の線量率を想定した。誤差の原因としてのランプ出力の効果を示すため、3回目の工程について、ランプの温度を28℃から24.5℃に下げ、ランプ出力を最大量の約90%にまで減少させた。Phi−X 174の不活化の速度(想定上の一定の線量率に基づく)を、実施例3に記載のように決定し、そして(log(pfu/mL))/(mJ/cm)として表記した。
【0129】
【表5】

実施例5から、ランプ出力が、回分照射プロセスのパラメータであること、および線量測定の線量率および生体線量測定不活化速度の両方をランプ出力に基準化しなければならないことが、理解され得る。
【0130】
(実施例6 線量測定および放射測定により決定される放射測定標的線量に基づくタンパク質溶液の回分照射のためのプロセス設計)
実施例4に記載される光反応器を、6.0/cm、7.0/cm、8.0/cm、9.0/cm、および10.0/cmの吸光度係数を有するモデル溶液の照射に関する線量率および照射時間について確証した。450mLのサンプル体積を200rpmで攪拌した。点灯されたランプおよび線量率を、3分、6分、9分、12分、15分、18分、21分、および24分に汲み出したモデル溶液サンプルの測定により決定した。ランプの強度を、コンピューターに接続された二検出式(dual−head)線量計によりモニタリングし、そして記録した。
【0131】
図5は、ランプの強度が、点灯3分後に最大に達するということ、および最初の3分間に適用される線量は、続く3分の時間間隔に適用される一定の線量増加よりも低いということを示す。図6は、ゼロ以下のy軸定数として表記される誤差を伴った、対応する線量増加を示す。従って、線量率の式のy軸定数を、標的線量(20mJ/cm)に加え、訂正されて増加した標的線量、増加した標的線量を線量率で除算することにより計算される照射時間、および一秒間隔で測定されて照射時間にわたって合計されるランプ強度(mW/cm)を得、吸光度係数に依存する標的の線量測定ランプ線量(mJ/cm)を得る。定数kは、以下:
Q=k×a
で計算され得る。
【0132】
【表6】

実施例6の表から、放射測定の標的ランプ線量が、直線的割合で吸光度係数と共に増加する(R=0.996)ことを理解され得る。
【0133】
(実施例7 光変性からの保護剤として試験されるアスコルビン酸塩のUV−C吸収効果に対する線量測定の補正)
FEIBA DEAE sephadex G50溶出物(1mLあたり18.2mgのタンパク質)に、アスコルビン酸ナトリウムを、1mmol/Lの濃度に至るまで添加した。アスコルビン酸塩を加えたFEIBA溶出物の吸光度定数a253.7は、純粋な溶出物の7.3/cmに対して、16/cmであった。
【0134】
化学的線量測定のため、0.0254MのKI、0.0042MのKIO、およびpH=9.25(a253.7=7.3/cm)の0.1Mのホウ酸塩緩衝液1Lあたり1.61gのPVP K90を含有するモデル溶液ならびに0.06MのKI、0.01MのKIO、およびpH9.25(a253.7=16/cm)の0.1Mのホウ酸塩緩衝液1Lあたり1.61gのPVP K90を含有するモデル溶液を調製し、較正プロットを0.2mmの薄層キュベットに関して記録し、そして110mLを実施例2において記載される回分光反応器において、1個のランプ(1.41(mJ/cm)/分の線量率でa253.7=7.3/cm)および2個のランプ(1.33(mJ/cm)/分の線量率でa253.7=16/cm)で照射した。
【0135】
純粋なFEIBA溶出物およびアスコルビン酸塩添加FEIBA溶液の両方の110mLを、それぞれの線量率で照射し、そしてサンプルを5mJ/cm;10mJ/cm;15mJ/cm;20mJ/cm;25mJ/cm;30mJ/cm;および35mJ/cmで汲み出した。因子X(FX)活性を実施例4のように決定した。
【0136】
【表7】

実施例7の表から、純粋なFEIBA溶出物とアスコルビン酸塩添加FEIBA溶出物との間には、FX不活化速度(U FX/(mJ/cm))に関連する相違はないことが理解され得る。従って、アスコルビン酸は、それ自体高度にUV−Cを吸収するが、FXタンパク質に対して光防護的作用を及ぼさない。示されるように、添加物によるこのようなUV−C吸光度の増加は、記載の吸光度適合性化学的線量測定により、容易に補正され得る。
【0137】
(実施例8:高度吸収溶液に対するスターラーの型の最適化)
吸収性が高く、粘性の高いフィブリノーゲン溶液(約13/cm〜14/cmのa253.7、約2cpのη)を、凍結乾燥フィブリノーゲン濃縮物(Fibrinogen TIM3、Baxter BioScience)の溶解により得た。対応するモデル溶液の両方とも、バクテリオファージPhi−X174溶解物(60mLのフィブリノーゲン溶液に対して1mLの溶解物)の混入の後、このようなフィブリノーゲン溶液450mLを、多重インペラースターラー(全体が浸漬された3個の3葉インペラーであって、外側の端と石英のガラスシリンダーとの間に約6mmの隙間を有する)またはワイパースターラー(底部および中央部での2個の2葉インペラー、ならびに外側端部での2個の軸方向に平行なワイパーブレードであって、ワイパーと石英ガラスシリンダーとの間に〜4mmの隙間を有する)のいずれかを用いて、120rpmで実施例4に記載される反応器中で照射した。2個のランプを用いた。バクテリオファージの力価を、実施例3に記載のように決定した。
【0138】
【表8】

実施例8の表から、ワイパースターラーは、120rpmという適切な攪拌速度で、よりよい混合をもたらすことは明白である。化学的線量測定および生体線量測定との組み合わせは、線量分布を決定するのに使用され得る。
【0139】
(実施例9:ランプ強度安定化および量子収量安定化較正デバイスを用いる線量測定溶液の較正ならびに曝露時間制御較正デバイス)
薄層キュベットにおける線量測定用液の、再現性があってかつ正確な曝露のために、水で温度自動調節されるジャケットを有するキュベットスロットを、一眼レフカメラの後部に蝶番で取り付け、そしてキュベットをカメラのシャッターを通して曝露するために、孔をこれの後部につけた。カメラのレンズのバイオネット(bayonet)を、水で温度自動調節される石英ガラスジャケット中の低圧水銀蒸気ランプを備えるランプハウジングの輪縁に取り付けた。
【0140】
ランプの温度自動調節の温度を、外部循環水サーモスタットで制御し、ランプをUV−C出力の最大値に操作した。キュベットスロットの温度を、Rahn(1997)により示されたように、ヨウ化物/ヨウ素酸塩アクチノメータの規定の量子収量の範囲内で設定し、そして外部循環水クリオスタット(cryostate)を用いて制御した。カメラのシャッターを、1秒曝露時間に設定し、シャッターの精度を、コンピューター音源カードのマイクプラグに接続された光ダイオードを用いて決定した。シャッターが、1.000±0.002秒の一定の曝露時間を維持することを見出した。
【0141】
キュベットの入射窓での有効な照射量の決定のため、全ての入射光子を完全に吸収する0.6Mのヨウ化物/0.1Mのヨウ素酸塩アクチノメータ溶液(Rahn 1997)を、0.2mmのキュベットに満たし、温度調節されたキュベットのスロットにおいて1秒間、2秒間および3秒間に曝露時間を増やし、一定の量子収量を保証した。曝露の前、分光光度計吸光度を352nmにてゼロに設定し、そして各々の曝露工程の後、吸光度の増加を分光光度計で352nmにて測定した。吸光度の増加からトリヨードの濃度を、温度依存的量子収量から入射光子の数を、そして光子エネルギーおよびキュベットの断面積から照射量Eを計算した。E(mW/cm単位)を、曝露時間t(秒単位)での吸光度増加Dabs、キュベットの表面積A(cm単位)およびキュベットの体積V(L単位)、経路長dでの吸光係数ε(0.01cmに対して264.5)、253.7nmでのエネルギーW/アインシュタイン=471528J、ならびに21℃での量子収量Φ=0.7545(Rahn 1997)から、式E=(Δabs×V×W×1000)/(ε×A×Φ×t)に従って計算され得る。従って、1秒間の照射時間の後、0.0392の吸光度増加は、0.9262mW/cmの照射量に相当し、累積2秒後の照射時間の後、0.0781の累積吸光度増加は、0.9227mW/cmに相当し、そして累積3秒後の照射時間の後、0.1170の累積吸光度増加は、0.9215mW/cmに相当した。平均照射量は、0.9235mW/cmであり、標準偏差は0.0020mW/cmであり、これは、電子的に制御されたシャッターによる較正について、非常に正確な曝露を示した。
【0142】
253.7=6.5/cmのUV−C吸光度および1.16cpの粘度に相当する線量測定溶液を0.2mmのキュベットに満たし、そして3秒間区切りで75秒まで曝露した。各曝露画分の後、367nmでの吸光度の増加を、非照射の溶液を用いてブランクとして読みとった。得られた較正プロットは、367nmでの吸光度が曝露フルエンスHに依存する二次式と相互関連した。
【0143】
吸光度(367nm、0.2mm)=A×H+B×H+C
【0144】
【表9】

実施例9に見られるように、単一性(unity)に近い相関係数Rは、電子的に制御されたシャッターにより、記録された較正プロットの正確さを示す。二次式は、例えば、実施例2に記載されるような線量率測定において決定される吸光度値に関して、この式の妥当な溶液を容易に計算し得るという、更なる利点を有する。較正プロットをまた、分断し得、そして可能な限り単一性に近い相関係数Rを得るために、このような二次式を各々の断片に対して、計算し得た。
【0145】
(実施例10 ランプ機能停止の安全で強固なプロセスを保証するための化学放射線量測定および放射測定の組み合わせ使用による30L反応器の吸光度依存的放射測定標的ランプ合計線量の決定)
実施例5に記載され、そして9個の個々に切り換え可能なランプを備えた30L反応器を、10個の異なるモデル線量測定溶液および4個のランプ(a253.7=3/cm〜12/cmを1/cm区切りで、η=1.15cp)で確証し、線量率((mJ/cm)/分単位)、ランプ線量率((mJ/cm)/分単位)、および20mJ/cmの有効線量に必要な照射時間を決定した。上記ランプ強度を、電子線量計でモニタリングし、そしてチャート記録計で記録し、そして合計計数器を設置して照射時間中の全ての線量計からのシグナルを合計した。上記ランプ線量率を、照射時間と共に線量計合計シグナルの増加として決定した。そして上記ランプ線量率は、化学的線量率よりも高い振幅の次数である。なぜなら、線量計センサーは、いずれの吸光媒体によっても事実上未減弱のUV光を受け取るからである。上記溶液において有効な所定の標的線量(例えば、20mJ/cm)に対する照射時間を、上記ランプ線量率により増幅し、上記ランプ合計線量を照射パラメーターとして計算する。
【0146】
【表10】

上記表から、上記ランプ合計線量は、吸光度と直線的関係で相関し、単一性に近い相関係数R=0.9972を有する式Hランプ=5058.9×a253.7−1413により表記されることが理解され得る。従って、それ自体は任意の強度変化に無関係である吸光度依存的ランプ合計線量は、適切な標的線量が適用されることを保証する、強固な照射プロセスに関して理想的なパラメーターである。照射プロセスは、検証範囲内でのあらゆる吸光度に内挿されるこの規定の吸光度依存性ランプ合計線量を達成すると同時にランプが消えて、照射が終結するような方法で、放射測定ランプ合計線量により制御される。
【0147】
(実施例11 ランプ合計線量制御照射プロセスの間のランプ機能停止のシミュレーションおよび溶液における正確に適用された有効な標的線量の実証)
モデル溶液(a253.7=8/cm、η=1.15cp)を、実施例10に記載の通り、30L反応器中で照射した。10分後に4個のランプのうち、1個を切り、そして別のランプをつけるか、または、3個のランプのみを用いて照射を終結まで続けないことにより、いずれかを置換する2個の実験を行った。線量率を、化学放射線量測定により決定し、そして実施例11に記載される検証における式から計算されるようなランプの合計線量Hランプ=39058mJ/cmを達成すると同時に、ランプを消し、そしてサンプルを汲み出して上記溶液における有効な線量を決定した。
【0148】
ランプを別のランプと10分後に置換する第一の実験では、16分43秒後に上記ランプの合計線量に到達し、そして19.7mJ/cmの線量をモデル溶液において測定した。ランプの置換を伴わない第2の実験では、ランプ合計線量に、19分55秒後に到達し、そして19.9mJ/cmの線量を上記モデル溶液において測定した。
【0149】
照射時間後に測定される、規定のランプ合計線量を達成することが必要である有効線量から、ランプ合計線量制御プロセスは、照射プロセスの間のランプの機能停止に対して非感受性でかつ丈夫でさえあることが理解され得る。なぜなら、上記ランプ合計線量は、正確な有効線量の適用を保証するからである。
【0150】
【化2】

【0151】
【化3】

【0152】
【化4】

【0153】
【化5】

【0154】
【化6】

【0155】
【化7】

【0156】
【化8】

【0157】
【化9】

【0158】
【化10】

【0159】
【化11】

【0160】
【化12】

【0161】
【化13】

【0162】
【化14】

更なる利点、特徴、および改変が、容易に当業者に見い出される。従って、より広い局面での本発明は、本明細書中に示され、記載される特定の詳細、および代表的なデバイスに限定されない。従って、種々の改変が、添付された特許請求の範囲およびそれらの等価物に定義されるような全体的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなくなされ得る。
【0163】
全ての刊行物、ならびに米国および外国の全ての特許および特許出願を含む、本明細書中に引用される全ての参考文献は、具体的にかつその全体が本明細書中に参考として援用される。明細書および実施例は、例示のためだけであると考えられ、本発明の真の範囲および精神が以下の特許請求の範囲により示されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0164】
添付図面は、本明細書に援用され、そして本明細書の一部を構成し、本発明の一実施形態を例示し、そして、上記の一般的記載および本実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。従って、本発明、その目的および利点のより完全な理解のために、添付図面と組み合わせて、上記説明が参照される。
【図1】図1は、吸光係数と濃度との間の直線的関係を示す。
【図2】図2は、粘度の増加とポリビニルピロリドンの濃度との間の非直線的関係を示す。
【図3】図3は、適用された表面線量に伴う吸光度の増加、およびKI/KIOの濃度に伴う感度の増加を示す。
【図4】図4は、PVPに伴う感度の改善を示す。
【図5】図5は、ランプの強度の変化を示す。
【図6】図6は、y軸定数として表記される誤差を伴う線量増加を示す。
【図7】図7は、本発明の例示的反応器の長軸手方向の断面を示す。
【図8】図8は、本発明の例示的反応器の横方向の断面を示す。
【図9】図9は、本発明の例示的反応器の側面図を示す。
【図10】図10は、本発明の例示的な較正デバイスを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体流体中の微生物の不活化のための方法であって、該方法は、一以上の光源からの有効線量の単色光または多色光で該生体流体を照射する工程を包含し、ここで、該有効線量が、該単色光または多色光の線量測定溶液に対する効果を測定することにより決定される、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記有効線量が、使用される光不活化波長での前記生体流体の吸光度に適合するか、または該生体流体の吸光度および粘度に適合する線量測定溶液に対する前記単色光または多色光の効果を測定することにより決定され、該決定が、i)入射光線の一部分のみを吸収するように十分に薄い光路長の層の中の該線量測定溶液を、所定の規定された放射照度で、規定の時間照射して、測定可能な物理的大きさまたは化学的大きさの変化を生じる規定のフルエンス(照射線量)を適用する工程、およびii)光照射反応器における該線量測定溶液の光照射の間または光照射の後に測定される該大きさの変化に相当する該線量を読み取る工程、による照射線量較正に基づき、ここで、工程i)が工程ii)の前に実行されるか、またはその逆である、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、ここで、前記光路長に沿って、入射放射照度の100%以下が吸収される、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、ここで、前記光路長に沿って、入射放射照度の50%以下が吸収される、方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の方法であって、照射前もしくは照射中、または照射前および照射中に、生存可能な微生物を混入された前記生体流体の照射前および照射後、または照射前、照射中および照射後の生存可能な微生物数を滴定することにより、線量分布を決定する工程をさらに包含する、方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の方法であって、照射線量を決定するために前記照射の間に前記一以上の光源の強度をモニタリングする工程をさらに包含する、方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、前記光が、UVの範囲内にある、方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、前記線量測定溶液が、ヨウ化アルカリ金属、ヨウ化アルカリ土類金属、およびヨウ化アンモニウム、リン酸ウリジン水溶液、安息香酸のアルカリ金属塩、安息香酸のアルカリ土類金属塩、および安息香酸のアンモニウム塩、ならびにアルカリ金属ペルオキソ二硫酸、アルカリ土類金属ペルオキソ二硫酸、およびアンモニウムペルオキソ二硫酸、tert−ブタノール、ならびにポリビニルピロリドンからなる群より選択される薬剤または薬剤の組み合わせを含有する、方法。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、前記線量測定溶液が、希釈されたヨウ化カリウム−ヨウ素酸カリウムアクチノメーターを含有する、方法。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、前記線量測定溶液が、希釈されたヨウ化カリウム−ヨウ素酸カリウム/ポリビニルピロリドンアクチノメーターを含有する、方法。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、前記線量測定溶液が、希釈された安息香酸ナトリウムアクチノメーターを含有する、方法。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、前記線量測定溶液が、希釈されたペルオキソ二硫酸カリウム/tert−ブタノールアクチノメーターを含有する、方法。
【請求項13】
請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、前記生体線量測定が、パルボバクテリア科のウイルス、イヌパルボウイルス(CPV)、ウシパルボウイルス(BPV)、ブタパルボウイルス(PPV)、ネコパルボウイルス(FPV)、サーコウイルス科のウイルス、サルシノウイルス科のウイルス、ピコルナウイルス科のウイルス、脳心筋炎ウイルス(EMV)、エンテロウイルス科のRNAウイルス、ミクロウイルス科のDNAバクテリオファージ、およびレヴィウイルス科のRNAバクテリオファージからなる群より選択される、直鎖状または環状の一本鎖核酸ウイルスにおいて実行される、方法。
【請求項14】
請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、前記生体流体が、攪拌型回分光不活化反応器に含まれる、方法。
【請求項15】
請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、前記生体流体が、該流体の生物学的活性の損傷および損失を減らすために少なくとも一種の添加剤を含有する、方法。
【請求項16】
請求項1〜請求項15のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、該方法が、少なくとも一つの他の滅菌法または微生物不活化法と併せて実行される、方法。
【請求項17】
請求項1〜請求項16のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、該方法が、溶媒・界面活性剤処理と同時に実行される、方法。
【請求項18】
生体流体中に存在する微生物を不活化するための、一以上の光源からの単色光または多色光の有効線量を決定する方法であって、該方法が、該単色光または多色光の線量測定溶液に対する効果を測定する工程を包含する、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、該方法が、使用される光不活化波長での前記生体流体の吸光度に適合するか、または該生体流体の吸光度および粘度に適合する線量測定溶液に対する前記単色光または多色光の効果を測定する工程を包含し、該工程が、i)入射光線の一部分のみを吸収するように十分に薄い光路長の層の中の該線量測定溶液を、所定の規定された放射照度で、規定の時間照射して、測定可能な物理的大きさまたは化学的大きさの変化を生じる規定のフルエンス(照射線量)を適用する工程、およびii)光照射反応器における該線量測定溶液の光照射の間または光照射の後に測定される該大きさの変化に相当する該線量を読み取る工程、による照射線量較正に基づき、ここで、工程i)が工程ii)の前に実行されるか、またはその逆である、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、ここで、前記光路長に沿って、入射放射照度の100%以下が吸収される、方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法であって、ここで、前記光路長に沿って、入射放射照度の50%以下が吸収される、方法。
【請求項22】
請求項18〜請求項21のいずれか一項に記載の方法であって、照射前もしくは照射中、または照射前および照射中に、生存可能な微生物を混入された前記生体流体の照射前および照射後、または照射前、照射中および照射後の該生存可能な微生物数を滴定することにより、線量分布を決定する工程をさらに包含する、方法。
【請求項23】
請求項18〜請求項22のいずれか一項に記載の方法であって、照射線量を決定するために前記照射の間に前記一以上の光源の強度をモニタリングする工程をさらに包含する、方法。
【請求項24】
請求項18〜請求項23のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、前記光が、UVの範囲内にある、方法。
【請求項25】
請求項18〜請求項24のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、前記線量測定溶液が、ヨウ化アルカリ金属、ヨウ化アルカリ土類金属、およびヨウ化アンモニウム、リン酸ウリジン水溶液、安息香酸のアルカリ金属塩、安息香酸のアルカリ土類金属塩、および安息香酸のアンモニウム塩、ならびにアルカリ金属ペルオキソ二硫酸、アルカリ土類金属ペルオキソ二硫酸、およびアンモニウムペルオキソ二硫酸、tert−ブタノール、ならびにポリビニルピロリドンからなる群より選択される薬剤または薬剤の組み合わせを含有する、方法。
【請求項26】
請求項18〜請求項25のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、前記線量測定溶液が、希釈されたヨウ化カリウム−ヨウ素酸カリウムアクチノメーターを含有する、方法。
【請求項27】
請求項18〜請求項26のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、前記線量測定溶液が、希釈されたヨウ化カリウム−ヨウ素酸カリウム/ポリビニルピロリドンアクチノメーターを含有する、方法。
【請求項28】
請求項18〜請求項27のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、前記線量測定溶液が、希釈された安息香酸ナトリウムアクチノメーターを含有する、方法。
【請求項29】
請求項18〜請求項28のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、前記線量測定溶液が、希釈されたペルオキソ二硫酸カリウム/tert−ブタノールアクチノメーターを含有する、方法。
【請求項30】
請求項18〜請求項29のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、前記生体線量測定が、パルボバクテリア科のウイルス、イヌパルボウイルス(CPV)、ウシパルボウイルス(BPV)、ブタパルボウイルス(PPV)、ネコパルボウイルス(FPV)、サーコウイルス科のウイルス、サルシノウイルス科のウイルス、ピコルナウイルス科のウイルス、脳心筋炎ウイルス(EMV)、エンテロウイルス科のRNAウイルス、ミクロウイルス科のDNAバクテリオファージ、およびレヴィウイルス科のRNAバクテリオファージからなる群より選択される、直鎖状または環状の一本鎖核酸ウイルスの群において実行される、方法。
【請求項31】
請求項18〜請求項30のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、該方法が、少なくとも一つの他の滅菌法または微生物不活化法と併せて実行される、方法。
【請求項32】
請求項18〜請求項31のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、該方法が、溶媒・界面活性剤処理と同時に実行される、方法。
【請求項33】
回分照射反応器であって、以下:
光不活化光波長を透過させる壁を有する直立した照射容器、
該容器内に設置されたある容積の物質を混合し得る該容器内のスターラーであって、該容積の画分を照射帯に移動させることおよび照射帯から移動させることによって混合し得る、スターラー、
該光不活化波長の光を該照射容器に放射する一以上の光源、および
該光不活化波長感受性のセンサーを備える電子モニタリングデバイス、
を備える、回分照射反応器。
【請求項34】
請求項33に記載の回分照射反応器であって、ここで、前記光源が、光を前記照射容器の透過可能な壁に反射するための反射器を備え付けられている、回分照射反応器。
【請求項35】
請求項33または請求項34に記載の回分照射反応器であって、ここで、前記光源が、個々に切り換えが可能である、回分照射反応器。
【請求項36】
請求項33〜請求項35のいずれか一項に記載の回分照射反応器であって、ここで、前記センサーにより放出されるモニタリング線量計シグナルが、機械式カウンター、電子式カウンターまたはコンピューターソフトウェア制御型カウンターにより、目標値にまで合計される、回分照射反応器。
【請求項37】
請求項36に記載の回分照射反応器であって、ここで、前記一以上の光源が、前記光不活化波長からのエネルギーが前記目標値に達した場合に自動的に消される、回分照射反応器。
【請求項38】
請求項33〜請求項37のいずれか一項に記載の回分照射反応器であって、ここで、前記光源が、外部に取り付けられる、回分照射反応器。
【請求項39】
請求項38に記載の回分照射反応器であって、ここで、前記光源が、一定の光照射力を保証するために、冷却液により温度自動調整される、回分照射反応器。
【請求項40】
請求項33〜請求項39のいずれか一項に記載の回分照射反応器であって、ここで、前記スターラーが、多重インペラースターラーである、回分照射反応器。
【請求項41】
請求項40に記載の回分照射反応器であって、ここで、前記スターラーが、壁の近くのワイパーブレードを有する多重インペラースターラーである、回分照射反応器。
【請求項42】
発光反応生成物を測定するためのデバイスであって、以下:
光源、
前記光がコリメータ孔に照射するのを可能にする光出射孔、
シャッター、および
温度自動調整されたハウジング中に取り付けられたスロットであって、光がサンプル上に照射するのを可能にする光入射孔を有する、スロット、
を備える、デバイス。
【請求項43】
請求項42に記載のデバイスであって、該デバイスが、少なくとも1つの線量計センサーをさらに含み、ここで、光が、前記光源から前記シャッターを通って前記サンプル上へと、前記孔を通って該線量計センサーへとの両方に、同時に照射する、デバイス。
【請求項44】
請求項1に記載の方法において定義されるような較正のためのデバイスであって、以下:
一定の光出力を保証するために、一定の作動条件で作動する、光源、
前記光が、開口シャッターを通ってコリメータ孔に照射するのを可能にする光入射孔、
該光入射孔と該コリメータ孔との間に取り付けられるシャッター、および
温度自動調節されるハウジング中の該コリメータ孔の後側に取り付けられたキュベットまたは光学セルのためのスロットであって、ここで、該コリメータ孔が、該光入射孔として働いて、該光が、該光源から請求項1において定義されたような前記線量測定溶液を含有するキュベット上に照射され、規定のフルエンスを該線量測定溶液に適用するのを可能にする、スロット、
を備える、デバイス。
【請求項45】
請求項44に記載のデバイスであって、ここで、孔を有するマウントが、線量計センサーの取り付けのために提供され、ここで、光が前記光源から前記シャッターを通って前記キュベット上へと、該マウントの孔を通って該センサーの入口窓上へとの両方に同時に照射する、デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−519003(P2006−519003A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501974(P2006−501974)
【出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001994
【国際公開番号】WO2004/075931
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(504375581)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (26)
【Fターム(参考)】