説明

照明ユニット付きキッキングプレート

【課題】ドア開口部のサイドステップ部に設けられる照明ユニット付きキッキングプレートにおいて、照明ユニットとカバープレートとの間のシール性を高め、ゴミ、ホコリ等の付着を防止し、清潔感を保ち、かつ外観見栄えを良好に維持する。
【解決手段】照明ユニット付きキッキングプレート10は、合成樹脂成形体からなるキッキングプレート本体20と、このキッキングプレート本体20に内蔵される照明ユニット30と、開口41を通して照明ユニット30を外部に露出させるように、キッキングプレート本体20に取着されるカバープレート40から構成される。そして、カバープレート40における開口縁部41aに沿って、照明ユニット30の照光レンズ34面とカバープレート40との間を密接シールすることでゴミ、ホコリ等の侵入を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア開口部下縁のサイドステップ部に設けられる照明ユニット付きキッキングプレートに係り、特に、照明ユニット周縁部のシール性を高め、ゴミ、ホコリ等が付着するのを防止でき、清潔でかつ良好な見栄えを長期に亘り維持することができる照明ユニット付きキッキングプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
図4に示すように、車両1のドア2を開放した際、ドア開口部3の下縁に位置するサイドステップ部4にキッキングプレート5が装着されている。このキッキングプレート5は、図5に示すように、長尺状の樹脂成形体からなり、開口部3の下縁からフロント縁部の一部に至るように、フロント側がやや上方に湾曲した形状に設定されているキッキングプレート本体6をベースとしており、外観上のアクセント効果を付与するために金属外観を呈するステンレスプレート等のカバープレート7がキッキングプレート本体6の表面の一部に装着されている。更に、最近では、夜間時、乗降の際に乗員の足がつまずくことがないように、足元を照光するための照明ユニット8がキッキングプレート本体6に嵌め込まれているものが多い(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
そして、通常、図6に示すように、キッキングプレート本体6に対してカバープレート7は厚みが0.5mm程度の両面接着テープ9を介して貼付され、照明ユニット8の装着部位では、カバープレート7に開口7aが開設され、この開口7aを通して、照明ユニット8が室内側に臨んでいる。
【0004】
【特許文献1】実開平6−18078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の照明ユニット付きキッキングプレート5は、合成樹脂成形体からなるキッキングプレート本体6の表面の一部に金属外観を呈するステンレスプレート等のカバープレート7が製品表面がほぼ面一となるように、両面接着テープ9を介して接着固定されており、特に、照明ユニット8を外部に露出させるように、カバープレート7には開口7aが開設されている。
【0006】
しかしながら、上述した照明ユニット付きキッキングプレート5の組付構造としては、キッキングプレート本体6に照明ユニット8を組み込んだ後、照明ユニット8に対応するようにカバープレート7の開口7aを位置させて、カバープレート7を両面接着テープ9を介してキッキングプレート本体6に接着固定するという構成を採用しているため、照明ユニット8とカバープレート7との間に両面接着テープ9の厚みに相当する隙間(図中符号aで示す)が生じ、この隙間aにゴミ、ホコリが付着し易く、頻繁に清掃作業を行なわなければならず、両面接着テープ9にゴミ、ホコリ等が付着した場合、清掃作業が面倒であるとともに、照明ユニット8周縁部の見栄えを低下させるという問題点が指摘されている。
【0007】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ドア開口部のサイドステップ部に取り付けられる照明ユニット付きキッキングプレートであって、カバープレートの開口縁部に沿って、照明ユニットとカバープレートとの間のシール性を向上させることで、ゴミ、ホコリ等が隙間に入り込むことがなく、清掃作業も簡単に行なえ、しかも、照明ユニットの外観見栄えを良好に維持できる照明ユニット付きキッキングプレートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、ドア開口部の下縁に位置するサイドステップ部の上面に取着されるキッキングプレート本体と、このキッキングプレート本体に内装される照明ユニットと、キッキングプレート本体の表面の一部に装着されるとともに、上記照明ユニットの照光レンズを外部に臨ませる開口を設けたカバープレートとからなる照明ユニット付きキッキングプレートにおいて、前記カバープレートの開口縁部に沿って、照明ユニットにおける照光レンズの表面とカバープレートの裏面とが密接シールされていることを特徴とする。
【0009】
ここで、キッキングプレート本体は、略コ字状をなす長尺状の樹脂成形体からなり、キッキングプレート本体の長手方向に沿って本体の両側には、それぞれアウター側フランジ(車外側に対向する)及びインナー側フランジ(車内側に対向する)が下方向に向けて形成され、アウター側フランジはインナー側フランジに比べ比較的長寸に設定されている。
【0010】
そして、このキッキングプレート本体の表面に装着されるカバープレートは、キッキングプレート本体の水平面部からアウター側フランジにかけて位置するように、これも平面状プレートの一方縁に沿って下向きフランジが形成されている。また、キッキングプレート本体が樹脂成形体であることから、カバープレートは、ステンレス、アルミ等の金属プレートを素材とするのが外観上のアクセント効果を強調でき好ましい。更に、カバープレートをキッキングプレート本体に装着した際、製品表面が面一となるように、カバープレート並びに両者間を接着固定する両面接着テープのトータル厚みに等しい寸法深さのプレート収容凹部がカバープレートの外形寸法に等しく、キッキングプレート本体に設けられているのが良い。
【0011】
そして、カバープレートは、フランジ先端に設けた複数の係止爪をキッキングプレート本体の係止孔内に係止することで取り付けられるとともに、両者間に介在される両面接着テープの接着力により強固に接着固定される。
【0012】
一方、キッキングプレートにおけるカバープレートを収容するプレート収容凹部内に更に一段落としたユニット収容凹部が形成され、このユニット収容凹部内に照明ユニットが嵌め込まれ、照明ユニットのハウジング下面に設けたクリップ片、爪片等の固定手段をユニット収容凹部の底面に設けた取付孔内に嵌着することで、キッキングプレートに対して照明ユニットが取り付けられる。
【0013】
そして、キッキングプレート本体に照明ユニットを嵌め込んだ後、その上面側からカバープレートをキッキングプレート本体に取着し、カバープレートに設けた開口を通して照明ユニットの照光レンズ表面が車室内に臨むように構成されているとともに、カバープレートの開口縁部に沿って照明ユニットの照光レンズ表面側とカバープレートとの間が密接シールするように構成されている。
【0014】
そのためには、照明ユニットの照光レンズがカバープレートの下面と当接するように、両面接着テープの厚みに相当してテープ貼着部位に囲まれる部位が両面接着テープの厚み寸法分表面側に段部として突出させるようにしても良く、また、枠状の凸部を形成するようにしても良い。更に、カバープレートの開口縁部に縁取りシールを嵌着させる構造や、カバープレートの開口縁部に照光レンズの表面と当接する折曲フランジを下向きに形成するようにしても良い。
【0015】
従って、本発明に係る照明ユニット付きキッキングプレートは、キッキングプレート本体のユニット収容凹部内に照明ユニットを嵌め込み固定した後、その上面側からカバープレートをキッキングプレート本体に対して取り付ければ、カバープレートの開口を通して照明ユニットの照光レンズが外部に臨み、特に、カバープレートの開口縁部に沿ってカバープレートの裏面と照明ユニットの照光レンズ面とが密接シールしているため、従来生じていた両者間の隙間を解消することができ、ゴミ、ホコリ等が照明ユニットの周縁部に付着することがない。
【発明の効果】
【0016】
以上説明した通り、本発明に係る照明ユニット付きキッキングプレートは、ドア開口部下縁のサイドステップ部に装着されるキッキングプレート本体と、キッキングプレート本体の表面の一部に取着され、外観上のアクセント効果を付与するカバープレートと、キッキングプレート本体に収容固定され、カバープレートに設けた開口を通して外部に臨む照明ユニットとから構成され、特に、カバープレートの開口周縁部に沿っては、照明ユニットの照光レンズ表面とカバープレートの裏面とが密接シールするように構成されているため、カバープレートと照明ユニットの間の見切り部に従来生じていた隙間を解消することができ、照明ユニットの周縁部にゴミ、ホコリ等が付着することがないことから、清掃作業を頻繁に行なう必要がなく、清潔で美麗な状態を長期に亘り維持できるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る照明ユニット付きキッキングプレートの一実施例の構成について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例】
【0018】
図1乃至図3は本発明に係る照明ユニット付きキッキングプレートの一実施例を示すもので、図1は照明ユニット付きキッキングプレートの外観図、図2は同照明ユニット付きキッキングプレートの構成を示す分解斜視図、図3は同照明ユニット付きキッキングプレートにおける照明ユニット装着部分の構成を示す断面図である。
【0019】
まず、図1に示す照明ユニット付きキッキングプレート10の取付部位は、従来例の図4に示すように、ドア開口部3の下縁に位置するサイドステップ部4の表面側に取り付けられる。すなわち、この照明ユニット付きキッキングプレート10は、キッキングプレート本体20と、このキッキングプレート本体20内に内蔵され、夜間等、乗員が乗降する際、足元を照らす照明ユニット30と、キッキングプレート本体20に取着され、キッキングプレート本体20の表面外観とは異なる表面外観を呈し、外観上のアクセント効果を付与するカバープレート40とから大略構成されている。
【0020】
次いで、図2を基に上記各素材の詳細について説明する。まず、キッキングプレート本体20は、合成樹脂の射出成形体から構成され、断面略コ字状をなす長尺成形体であり、水平面部20aの両側、すなわち、車外に対向する側に下向きのアウター側フランジ20bが形成され、同様に、車内に対向する側に下側に向けてインナー側フランジ20cが形成されている。尚、アウター側フランジ20bのほうがインナー側フランジ20cに比べ、その寸法がやや長めに設定されている。
【0021】
このキッキングプレート本体20の素材としては、ポリプロピレン(PP)樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂等、汎用の熱可塑性樹脂の使用が可能であるが、本実施例ではPP樹脂を使用している。
【0022】
そして、このキッキングプレート本体20の水平面部20aからアウター側フランジ20bの一部にかけてカバープレート40の外形に合致するプレート収容凹部21が形成されており、このプレート収容凹部21の手前側縁部に沿って複数の係止孔22が設けられている。更に、このプレート収容凹部21の一部に照明ユニット30を収容するためのユニット収容凹部23が一段深く凹設されており、このユニット収容凹部23の底面部の前後2箇所に取付孔24が開設されている。
【0023】
次に、照明ユニット30の構成について図3を参考にして説明すると、照明ユニット30は、ユニットハウジング31内にEL(エレクトロルミネッサンス)ランプや発光ダイオード等の発光部32が内蔵され、発光部32からの照射光、あるいは反射板33から反射される反射光は、表面の照光レンズ34を通して外部に照光される。
【0024】
この照明ユニット30は、キッキングプレート本体20のユニット収容凹部23内に嵌め込まれ、ユニットハウジング31の下面に突設したクリップ片、あるいは爪片(図示せず)を取付孔24内に嵌着することで簡単に固着される。
【0025】
また、この照光レンズ34は、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂材より構成され、特に、本実施例においては、照光レンズ34の表面の周縁部(両面接着テープ50が貼付され、かつカバープレート40により被覆される部位)に0.5mmの肉抜きが施されていることにより、照光レンズ34の表面は、周縁に比べ室内に臨む面は0.5mm程度の段部34aを介して一段高く設定されている。このことは、照光レンズ34とカバープレート40とのシール性を高めるために重要である。
【0026】
次いで、カバープレート40は、キッキングプレート本体20が合成樹脂材からなる樹脂外観をもつことから、両者の外観上のアクセント効果を強調するために、ステンレスプレートやアルミプレート等の金属外観を有する金属プレートが好ましく、この実施例では強度や耐久性を考慮して0.6mm厚みのステンレスプレートが使用されている。
【0027】
更に、このカバープレート40は、照明ユニット30を外部に臨ませるために、照明ユニット30における照光レンズ34の外形より一回り小さめの開口41が開設されている。また、キッキングプレート本体20の水平面部20aからアウター側フランジ20bの一部にかけて凹設されているプレート収容凹部21内にカバープレート40が嵌装されるように、カバープレート40には、フランジ42が形成され、このフランジ42の下端縁に沿って上記キッキングプレート本体20の係止孔22に対応する位置に係止爪43が複数箇所に突設形成されている。
【0028】
そして、キッキングプレート本体20、照明ユニット30、カバープレート40を組み付けるには、キッキングプレート本体20のユニット収容凹部23内に照明ユニット30を収容し、ユニットハウジング31の固定具をユニット収容凹部23の底面に設けた取付孔24内に嵌着して、照明ユニット30をキッキングプレート本体20に固着する。次いで、キッキングプレート本体20のプレート収容凹部21内に収まるようにカバープレート40を装着し、その際、カバープレート40のフランジ42の下縁に沿って設けた係止爪43をキッキングプレート本体20の係止孔22内に係着するとともに、両面接着テープ50を介して両者を接着固定する。その結果、キッキングプレート本体20のプレート収容凹部21内にカバープレート40を係止爪43の係着作用と両面接着テープ50の接着作用により強固に固着する。
【0029】
この時、図3に示すように、照明ユニット30における照光レンズ34の表面は、両面接着テープ50が貼付される面に囲まれる部分は、両面接着テープ50の厚み0.5mmに相当する段部34aを介して上方に突出しており、かつこの段部34aからカバープレート40の開口縁部41aが内側寄りに1mm以上ラップしている(図中ラップ寸法を符号dで示す)。
【0030】
従って、カバープレート40の開口縁部41aに沿っては、照明ユニット30の照光レンズ34表面部と、カバープレート40の裏面との間には、1mm以上のラップ寸法dで両者が密接シールしているため、この部分からゴミ、ホコリ等が内部に入り込むことがない。
【0031】
以上のように、照明ユニット付きキッキングプレート10は、乗員が乗降する際、ゴミ、ホコリ等が付着し易いという性質を有してはいるが、照明ユニット30とカバープレート40との間に隙間が発生しないため、ゴミ、ホコリ等が付着する恐れがなく、面倒な清掃作業の頻度も少なくて済み、長期に亘り美麗な製品外観を維持でき、車室内の清潔感向上にも役立つ。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この実施例では、カバープレート40の開口縁部41aに沿って、照明ユニット30の照光レンズ34の表面とカバープレート40との間のシール性を高めるために、照光レンズ34の表面周縁に比べ段部34aを介して一段高いレンズ面に設定したが、カバープレート40の開口縁部41aに沿う凸条を照光レンズ表面にフレーム状に設けてこの部位でシール性を保つようにしても良い。また、カバープレート40の開口縁部41aに下向きフランジを形成するか、縁取りシール部材を嵌め込んでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る照明ユニット付きキッキングプレートの一実施例の構成を示す外観図である。
【図2】図1に示す照明ユニット付きキッキングプレートの構成を示す分解斜視図である。
【図3】図1中III −III 線断面図であり、照明ユニット付きキッキングプレートの構成を示す断面図である。
【図4】キッキングプレートの設置箇所を示すドアを開放した車両を車外側から見た説明図である。
【図5】従来の照明ユニット付きキッキングプレートの外観図である。
【図6】図5中VI−VI線断面図である。
【符号の説明】
【0034】
10 照明ユニット付きキッキングプレート
20 キッキングプレート本体
20a 水平面部
20b アウター側フランジ
20c インナー側フランジ
21 プレート収容凹部
22 係止孔
23 ユニット収容凹部
24 取付孔
30 照明ユニット
31 ユニットハウジング
32 発光部
33 反射板
34 照光レンズ
34a 段部
40 カバープレート
41 開口
41a 開口縁部
42 フランジ
43 係止爪
50 両面接着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア開口部(3)の下縁に位置するサイドステップ部(4)の上面に取着されるキッキングプレート本体(20)と、このキッキングプレート本体(20)に内装される照明ユニット(30)と、キッキングプレート本体(20)の表面の一部に装着されるとともに、上記照明ユニット(30)の照光レンズ(34)を外部に臨ませる開口(41)を設けたカバープレート(40)とからなる照明ユニット付きキッキングプレート(10)において、
前記カバープレート(40)の開口縁部(41a)に沿って、照明ユニット(30)における照光レンズ(34)の表面とカバープレート(40)の裏面とが密接シールされていることを特徴とする照明ユニット付きキッキングプレート。
【請求項2】
前記カバープレート(40)は、キッキングプレート本体(20)の表面に対して両面接着テープ(50)を介して接着固定されているとともに、上記照明ユニット(30)における照光レンズ(34)の表面には、上記両面接着テープ(50)の厚みに相当する段部(34a)が形成され、この照光レンズ(34)の段部(34a)面とカバープレート(40)を開口縁部(41a)に沿って一部ラップさせることにより、カバープレート(40)と照光レンズ(34)とを密接シールしたことを特徴とする請求項1に記載の照明ユニット付きキッキングプレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−7845(P2006−7845A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184569(P2004−184569)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000124454)河西工業株式会社 (593)
【Fターム(参考)】