説明

照明光学装置、露光装置及びデバイスの製造方法

【課題】所定の透過率分布を有する補正フィルタを回転させることなく、被照射物体の被照射面上での光の照度分布を補正できる照明光学装置、露光装置及びデバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】照明光学装置において像面と共役な位置Piの近傍には、所定の透過率分布を有する補正フィルタ24が配設され、補正フィルタ24の露光光源側には、変更用光学系25が設けられている。変更用光学系25は、露光光ELの光路において露光光源側から順に配置された第1変更用正レンズ31、変更用負レンズ32及び第2変更用正レンズ33を備え、変更用負レンズ32及び第2変更用正レンズ33は、露光光ELの光路に沿った方向に個別に移動可能である。そして、変更用負レンズ32及び第2変更用正レンズ33が個別に移動することにより、補正フィルタ24での露光光ELの照度領域の大きさが変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被照射物体を照射するための照明光学装置、該照明光学装置を備える露光装置、及び該露光装置を用いたデバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の露光装置は、所定のパターンが形成されてなるレチクルなどのマスクを照射するための照明光学装置と、該照明光学装置がマスクを照射することにより形成されたパターン像を感光性材料の塗布されたウエハ、ガラスプレートなどの基板に投影するための投影光学装置とを備えている。このような露光装置を構成する照明光学装置としては、露光光源から出力された露光光を例えば円環状に変形させて面光源を形成し、該面光源からの露光光をマスクの被照射面に導く機能を有するものがある。
【0003】
この照明光学装置には、露光光源から出力された露光光を所望する形状に変形させるためのマスクブラインドと、該マスクブラインドの開口部分に向けて露光光を重畳的に集光させるためのフライアイレンズ及びコンデンサレンズなどを有する照度分布均一化光学系とが設けられている。この照度分布均一化光学系は、マスクブラインドと光学的にフーリエ変換の関係にある位置に面光源を形成する。すなわち、マスクブラインドは、像面と共役な位置に配置されると共に、照度分布均一化光学系が形成する面光源は、瞳面又は該瞳面と共役な位置に配置されることになる。そして、照明光学装置によって変形された露光光は、照射領域内の照度分布が均一になるようにマスクの被照射面を照射する。
【0004】
ところで、露光装置を長期間使用した場合、照明光学装置を構成する光学素子の特性の経時変化に伴い、マスクの被照射面上で露光光に照射される照射領域内の照度分布が不均一になってしまうおそれがある。そこで、照度分布を補正する方法として、以下に示す2通りの方法が従来から提案されている。すなわち、第1の方法は、像面と共役な位置又はその近傍に所定の透過率分布を有する補正フィルタを配置し、該補正フィルタを回転させることにより、マスクの被照射面上で露光光に照射される照射領域内の照度分布を補正する方法である。このように補正フィルタを回転させた場合には、該補正フィルタのうち露光光が透過する部分が変更され、像面での照度分布が均一化される結果、マスクの被照射面上での照度分布の均一化が図られていた(例えば特許文献1参照)。
【0005】
また、第2の方法は、第1の方法で使用した補正フィルタを瞳面に共役な位置又はその近傍に配置し、補正フィルタを回転させる方法である。このような位置で補正フィルタを回転させた場合には、照射領域内の照度分布が均一化された露光光がマスクブラインドに入射することになる。そのため、マスクブラインドを通過した露光光の照射領域内の照度分布が均一化される結果、マスクの被照射面上での照度分布が均一化されるようになっていた(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】国際公開第2003/23832号パンフレット
【特許文献2】特開2006−140393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したような各方法では、種々の透過率分布を有する補正フィルタを使用することにより、マスクの被照射面上で露光光に照射される照射領域内の照度分布を様々な態様に補正することができる。こうした補正フィルタにおいて、露光光の光軸と交差する方向における一方から他方に向けて次第に照度を増加又は減少させる一次関数的な補正をするための補正フィルタは、比較的容易に製造できる。ところが、露光光の中心から該露光光の光軸と交差する方向に離間するに連れて照度を増加又は減少させる2次関数的な補正に代表される高次関数的な補正をするための補正フィルタは、理論上は製造可能であるものの、その製造が非常に難しい。そのため、補正フィルタを回転させることなく、マスクの被照射面上で露光光に照射される照射領域内の照度分布を補正することが強く望まれていた。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、所定の透過率分布を有する補正フィルタを回転させることなく、被照射物体の被照射面上での光の照度分布を補正できる照明光学装置、露光装置及びデバイスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は、実施形態に示す図1〜図14に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の照明光学装置は、光源(12)から出力された光(EL)を被照射物体(R)へ導く照明光学装置(13)において、前記光源(12)から出力される光(EL)の光路中に配置され、所定の透過率分布を有する補正フィルタ(24,24A,24B)と、該補正フィルタ(24,24A,24B)の前記光源(12)側に配置され、前記補正フィルタ(24,24A,24B)において前記光(EL)に照射され得る照射領域の大きさ及び位置のうち少なくとも一方を変更するための変更部(25)とを備えたことを要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、補正フィルタを透過した光の照度分布は、補正フィルタのうち光が透過した領域の透過率に応じて変化する。そのため、変更部の駆動によって補正フィルタにおける光の照射領域の大きさや位置のうち少なくとも一方を変更することにより、被照射物体上での光の照度分布が良好に補正される。したがって、所定の透過率分布を有する補正フィルタを回転させることなく、被照射物体の被照射面上での光の照度分布を補正できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被照射物体の被照射面上での光の照度分布を補正できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下に、本発明を具体化した第1の実施形態について図1〜図4に基づき説明する。
図1に示すように、本実施形態の露光装置11は、ステップ・アンド・リピート方式のステッパであって、例えばArFエキシマレーザ光源からなる露光光源12と、照明光学装置13とを備えている。また、露光装置11は、所定のパターンが形成されてなるレチクルRを所定の走査方向(露光光ELの光軸と略直交する方向であって、例えばZ方向)に移動可能な状態で保持するレチクルステージ14と、投影光学装置15と、表面にレジストなどの感光性材料が塗布されたウエハWを所定の走査方向に移動可能な状態で保持するウエハステージ16とを備えている。また、露光装置11には、装置全体の駆動を制御するための制御装置17が設けられている。
【0012】
レチクルステージ14は、後述する投影光学装置15の物体面側において、そのレチクルRの載置面が投影光学装置15の光軸方向と略直交するように配置されている。投影光学装置15は、内部が窒素などの不活性ガスで充填された鏡筒18を備え、この鏡筒18内には、図示しない複数のレンズが露光光ELの光路に沿って設けられている。そして、露光装置11による露光時には、制御装置17がレチクルステージ14及びウエハステージ16の駆動を制御することにより、レチクルR及びウエハWが上記走査方向に同期して移動する。この状態でレチクルRが露光光ELによって照射されることにより、ウエハWには、レチクルR上のパターン像が投影光学装置15を通過して所定の縮小倍率に縮小された状態で投影転写されるようになっている。
【0013】
次に、本実施形態の照明光学装置13について図1に基づき以下説明する。
照明光学装置13は、露光光源12から出力された露光光ELが入射するリレー光学系19を備えている。このリレー光学系19は、露光光ELの光路において露光光源12側から順に配置された負レンズ20及び正レンズ21を備えている。そして、リレー光学系19に入射した露光光ELは、その断面形状が大きくされた状態で露光光源12の反対側(即ち、レチクルR側)に出射される。
【0014】
リレー光学系19におけるレチクルR側の光路には、複数(図1では5つのみ図示)のレンズエレメント22を二次元的に配列してなるフライアイレンズ23が設けられている。このフライアイレンズ23は、リレー光学系19及びフライアイレンズ23によって形成された面光源がレチクルRの被照射面(即ち、像面)と光学的にフーリエ変換の関係にある瞳面と共役な位置に位置するように配置されている。そして、面光源からは、断面形状が略円形状をなす露光光ELがレチクルR側に出射される。
【0015】
フライアイレンズ23におけるレチクルR側の光路には、所定の透過率分布を有する平面視略正方形状の補正フィルタ24が変位不能な状態で設けられている。この補正フィルタ24は、図2に示すように、そのX方向における中心の透過率が最も低く、X方向における中心から離間するに連れて透過率が次第に高くなるように生成されている。すなわち、図2に示す補正フィルタ24の場合は、同図において上下方向に延びる線の密度の濃い領域の方が薄い領域よりも透過率が低くなるように図示されている。
【0016】
図1に示すように、フライアイレンズ23と補正フィルタ24との間には、補正フィルタ24において露光光ELに照射され得る照射領域の大きさを変更するための変更用光学系25が設けられている。また、補正フィルタ24のレチクルR側には、補正フィルタ24を透過した露光光ELによるレチクルRに対する照射態様を調整するための調整用光学系26が設けられている。さらに、調整用光学系26におけるレチクルR側の光路であって且つレチクルRの被照射面と共役な位置Piには、マスクブラインド27が配設されている。すなわち、補正フィルタ24は、像面と共役な位置Piの近傍に配置されている。そして、マスクブラインド27の開口部28を通過した露光光ELは、コンデンサ光学系29を介してレチクルRを照射するようになっている。
【0017】
次に、変更用光学系25について図1及び図3に基づき以下説明する。
図3(a)(b)に示すように、変更用光学系25は、露光光ELの光路において露光光源12側から順に配置された第1変更用正レンズ31、変更用負レンズ32及び第2変更用正レンズ33を備えている。これら変更用負レンズ32及び第2変更用正レンズ33は、露光光ELの光路に沿った方向(図3(a)(b)では左右方向)に個別に移動可能とされている。また、変更用光学系25には、図1に示すように、変更用負レンズ32及び第2変更用正レンズ33を個別に移動させるために駆動する変位機構34が設けられ、該変位機構34は、その駆動が制御装置17によって制御されている。すなわち、制御装置17は、変位機構34の駆動を制御して変更用負レンズ32及び第2変更用正レンズ33を個別に移動させることにより、補正フィルタ24に入射する露光光ELの断面形状を相似的に縮小したり拡大したりする。
【0018】
次に、調整用光学系26について図1及び図3に基づき以下説明する。
調整用光学系26は、図3(a)(b)に示すように、露光光ELの光路において露光光源12側から順に配置された第1調整用正レンズ35、調整用負レンズ36、第2調整用正レンズ37及び第3調整用正レンズ38を備えている。第1調整用正レンズ35及び調整用負レンズ36は、露光光ELの光路に沿った方向に個別に移動可能とされている。また、調整用光学系26には、図1に示すように、第1調整用正レンズ35及び調整用負レンズ36を個別に移動させるために駆動する変位機構39が設けられ、該変位機構39は、その駆動が制御装置17によって制御されている。すなわち、制御装置17は、変位機構39の駆動を制御して第1調整用正レンズ35及び調整用負レンズ36を個別に移動させることにより、調整用光学系26から出射される露光光ELの断面形状を相似的に縮小したり拡大したりする。
【0019】
次に、レチクルRの被照射面上における露光光ELの照射領域内の照度分布を補正する際の作用について、該照度領域内のX方向における両端部の光強度を他の部分に比して相対的に弱くする際の作用を中心に図4(a)(b)(c)に基づき以下説明する。なお、以下の記載では、明細書の説明理解の便宜上、補正フィルタ24には均一な照度分布を有する露光光ELが入射されるものとする。
【0020】
さて、照度分布を補正する際、変更用光学系25の変更用負レンズ32は、補正フィルタ24に接近する方向に第1の移動距離Maだけ移動すると共に、第2変更用正レンズ33は、補正フィルタ24から離間する方向に第1の移動距離Maよりも短い第2の移動距離Mbだけ移動する。すると、第2変更用正レンズ33から出射された露光光ELの断面形状は、照度分布の補正前に比して縮小される。
【0021】
そのため、図4(a)に示すように、補正開始前での補正フィルタ24における露光光ELの照射領域TB(図4(a)にて一点鎖線で示す領域)は、補正フィルタ24全体に形成されていたのに対し、補正後の照射領域TA(図4(a)にて二点鎖線で示す領域)は、透過率の低い中心部分にのみ形成される。そして、補正フィルタ24を透過した露光光ELは、その断面形状が補正前に比して相似的に縮小された状態で調整用光学系26内に入射する。この際、図4(b)に示すように、補正フィルタ24を透過した直後において、補正前の露光光ELの照度分布DBと補正後の露光光ELの照度分布DAとでは、露光光ELの光路のX方向における中心の光の強度が補正前後で略同一になる。一方、補正前後での光の強度の強度差は、X方向における中心からX方向に離間するに連れて次第に大きくなる。
【0022】
また、調整用光学系26は、露光光ELの断面形状を相似的に拡大させるべく駆動する。すなわち、第1調整用正レンズ35は、補正フィルタ24から離間する方向に第3の移動距離Mcだけ移動すると共に、調整用負レンズ36は、補正フィルタ24に接近する方向に第3の移動距離Mcよりも長い第4の移動距離Mdだけ移動する。すると、調整用光学系26から出射された露光光ELは、その断面形状が補正前と略同一形状となってマスクブラインド27に入射する。
【0023】
その後、マスクブラインド27の開口部28を通過した露光光ELは、コンデンサ光学系29を介してレチクルRの被照射面を照射する。この際、レチクルRの被照射面上での露光光ELによる照射領域は、その大きさが補正前と補正後とで略同一となる。また、図4(c)に示すように、レチクルRの被照射面上における露光光ELの照射領域において、補正前の露光光ELの照度分布DBと補正後の露光光ELの照度分布DAとでは、X方向における中心からX方向に離間するに連れて補正前後での光の強度の強度差が徐々に大きくなる。すなわち、本実施形態では、変更用光学系25及び調整用光学系26を駆動させることにより、レチクルRの被照射面上での露光光ELによる照射領域内の照度分布が二次関数的に補正される。
【0024】
そのため、照明光学装置13を構成する光学素子の特性が経年変化などに起因して光の強度がX方向における中心からX方向に離間するに連れて次第に弱くなるような照度分布を有する露光光ELがレチクルRを照射するようになった場合は、上述したように変更用光学系25及び調整用光学系26を駆動させることにより、レチクルRの被照射面上での照度領域内の照度分布を均一化できる。
【0025】
したがって、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)補正フィルタ24を透過した露光光ELの照度分布は、補正フィルタ24のうち露光光ELが透過した領域の透過率分布に応じて変化する。すなわち、変更用光学系25を駆動させて補正フィルタ24のうち露光光ELの照射領域の大きさを変更することにより、レチクルRの被照射面上での露光光ELの照度分布が良好に補正される。したがって、所定の透過率分布を有する補正フィルタ24を変位させることなく、レチクルRの被照射面上での露光光ELの照度分布を補正できる。
【0026】
(2)本実施形態では、変更用光学系25を構成する変更用負レンズ32及び第2変更用正レンズ33を露光光ELの光路に沿った方向に個別に移動させることにより、補正フィルタ24での露光光ELの照度領域の大きさが変更される。その結果、補正フィルタ24の透過率分布に基づき、レチクルRの被照射面上での露光光ELによる照射領域を二次関数的に補正できる。
【0027】
(3)また、変更用光学系25の駆動に基づき補正フィルタ24に入射する露光光ELの断面形状が相似的に縮小されても調整用光学系26を駆動させることにより、レチクルRの被照射面上の露光光ELによる照射領域の大きさを照射分布の補正前の照射領域の大きさと略同一にできる。したがって、補正フィルタ24における露光光ELの照射領域の大きさに関係なく、レチクルRの照射領域の大きさを一定の大きさに保つことができる。
【0028】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図5〜図7に従って説明する。なお、第2の実施形態は、変更用光学系25及び調整用光学系26の構成と、搭載される補正フィルタの透過率分布が第1の実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0029】
図5(a)(b)に示すように、照明光学装置13において像面と共役な位置Pi近傍には、上述した補正フィルタ24とは透過率分布が異なる補正フィルタ24Aが設けられている。この補正フィルタ24Aの露光光源12側には、補正フィルタ24Aにおいて露光光ELに照射され得る照射領域の位置を変更するための変更用光学系25が配置されている。
【0030】
この変更用光学系25は、露光光ELの光路において露光光源12側から順に配置された第1変更用正レンズ31及び一対の円錐アキシコン対45を備えている。この円錐アキシコン対45は、露光光源12側に配置される第1プリズム部材46と、補正フィルタ24A側に配置される第2プリズム部材47とから構成されており、該第2プリズム部材47は、変位機構34の駆動に基づき露光光ELの光路に沿った方向に移動可能とされている。すなわち、両プリズム部材46,47間の距離(以下、「プリズム間距離」という。)hpは、第2プリズム部材47を第1プリズム部材46に対して相対的に移動させることにより変更可能である。
【0031】
第1プリズム部材46において、露光光源12側には露光光ELの光軸と直交する平面が形成されると共に、レチクルR側には凹状の屈折面46aが形成されている。この屈折面46aは、露光光ELの光軸を中心とする円錐体の側面に対応した形状とされている。また、第2プリズム部材47において、レチクルR側には露光光ELの光軸と直交する平面が形成されると共に、第1プリズム部材46側には該第1プリズム部材46の屈折面46aの形状に対応する凸状の屈折面47aが形成されている。この屈折面47aは、露光光ELの光軸を中心とする円錐体の側面に対応した形状とされている。そのため、第2プリズム部材47を第1プリズム部材46から離間する方向に移動させた場合、変更用光学系25からは、プリズム間距離hpが長いほど大きな径を有する円環状の露光光ELが補正フィルタ24A側に出射される。
【0032】
この補正フィルタ24Aには、図6に示すように、その中心部分に形成された円形状の第1領域T1、該第1領域T1を囲むように円環状に形成された第2領域T2、該第2領域T2を囲むように円環状に形成された第3領域T3、及び該第3領域T3を囲むように円環状に形成された第4領域T4が設けられている。これら各領域T1〜T4は、互いに透過率が異なるように形成されている。なお、本実施形態では、補正フィルタ24Aは、その中心部分から径方向に離間した位置の領域ほど透過率が高くなるように生成されている。
【0033】
そして、プリズム間距離hpが「0(零)」となるような位置に配置された第2プリズム部材47から出射された断面略円形状の露光光ELは、図7(a)に示すように、補正フィルタ24Aの第1領域T1を透過する。また、プリズム間距離hpが「0(零)」よりも長い第1の距離となるような位置に配置された第2プリズム部材47から出射された断面円環状の露光光ELは、補正フィルタ24Aの第2領域T2を透過する。また、プリズム間距離hpが第1の距離よりも長い第2の距離となるような位置に配置された第2プリズム部材47から出射された断面円環状の露光光ELは、図7(b)に示すように、補正フィルタ24Aの第3領域T3を透過する。そして、プリズム間距離が第2の距離よりも長い第3の距離となるような位置に配置された第2プリズム部材47から出射された断面円環状の露光光ELは、補正フィルタ24Aの第4領域T4を透過する。このように補正フィルタ24Aを透過した露光光ELは、補正フィルタ24AのレチクルR側に配置された調整用光学系26に入射する。
【0034】
この調整用光学系26は、図5(a)(b)に示すように、露光光ELの光路において補正フィルタ24A側から順に配置された第1調整用正レンズ35、調整用負レンズ36及び第2調整用正レンズ37を備えている。これら調整用負レンズ36及び第2調整用正レンズ37は、変位機構39の駆動に基づき露光光ELの光路に沿った方向に個別に移動可能とされている。そして、補正フィルタ24Aを透過した露光光ELは、上記プリズム間距離hpの長さに応じて調整用負レンズ36及び第2調整用正レンズ37が個別に移動することにより、像面と共役な位置Piに配置されたマスクブラインド27の開口部28に向けて重畳的に集光される。
【0035】
したがって、本実施形態では、上記第1の実施形態における(3)の効果に加えて以下に示す効果を得ることができる。
(4)変更用光学系25の駆動に基づき補正フィルタ24Aのうち露光光ELが透過する領域T1〜T4を変更することにより、レチクルRの被照射面上での露光光ELの照度分布が良好に変更される。したがって、所定の透過率分布を有する補正フィルタ24Aを変位させることなく、レチクルRの被照射面上での露光光ELの照度分布を補正できる。
【0036】
(5)本実施形態の補正フィルタ24Aは、領域T1〜T4毎に透過率が互いに異なるように生成されている。そのため、プリズム間距離hpの長さを調整して補正フィルタ24Aのうち露光光ELが透過する領域T1〜T4を変更することにより、レチクルRの被照射面上での露光光ELの照度分布を良好に補正することができる。
【0037】
(6)レチクルRを照射する露光光ELの強度が全体的に下がってしまった場合は、今まで使用していた領域(例えば第1領域T1)を他の領域(例えば第2領域T2)に変更するように変更用光学系25を駆動させることにより、レチクルRの被照射面上での露光光ELの照度領域内の照度分布を確実に補正できる。
【0038】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図8〜図10に従って説明する。なお、第3の実施形態は、変更用光学系25及び調整用光学系26の構成と、搭載される補正フィルタの透過率分布が第2の実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第2の実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第2の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0039】
図8(a)(b)に示すように、本実施形態の変更用光学系25は、露光光ELの光路と直交する方向(本実施形態ではX方向)に移動可能な変更用正レンズ50と、該変更用正レンズ50を移動させるための変位機構34とを備えている。そして、変更用正レンズ50の中心と露光光ELの光軸とのX方向における距離(以下、「離間距離」という。)hcが変更された場合、変更用正レンズ50から射出された露光光ELは、その出射向きが離間距離hcの長さに対応して変更され、上述した各補正フィルタ24,24Aとは透過率分布が異なる補正フィルタ24Bに入射する。
【0040】
この補正フィルタ24Bは、図9に示すように、その中心が最も透過率が低く、中心から径方向に離間するに連れて次第に透過率が高くなるように生成されている。そして、図8(a)に示すように、離間距離hcが「0(零)」となる位置に配置された変更用正レンズ50から出射された露光光ELは、補正フィルタ24Bの中心部分(図9において一点鎖線で囲まれた領域)を透過した後、調整用光学系26に入射する。すなわち、補正フィルタ24Aにおける露光光ELの照射領域TBは、補正フィルタ24Aの中心部分に形成される。一方、図8(b)に示すように、離間距離hcが「0(零)」よりも長い位置に配置された変更用正レンズ50から出射された露光光ELは、補正フィルタ24Bの中心から離間距離hcに対応した距離だけX方向に離間した領域(図9において二点鎖線で囲まれた領域)を透過した後、調整用光学系26に入射する。すなわち、補正フィルタ24Aにおける露光光ELの照射領域TAは、補正フィルタ24Aの中心部分からX方向に離間した位置に形成される。
【0041】
調整用光学系26は、露光光ELの光路において補正フィルタ24B側から順に配置された第1調整用正レンズ35、第2調整用正レンズ37及び調整用反射ミラー51を備え、該調整用反射ミラー51は、変位機構39の駆動に基づき、露光光ELに対する傾斜角θ1を変更すべく回動可能とされている。すなわち、調整用反射ミラー51は、上記離間距離hcの値が大きいほど露光光ELの光路に対する傾斜角θ1が大きくなるように回動するようになっている。その結果、変更用正レンズ50のX方向への移動に基づき露光光ELによる補正フィルタ24Bの照度領域が変更されたとしても、調整用反射ミラー51の回動に基づき露光光ELの光路に対する傾斜角θ1が調整されることにより、調整用光学系26から出射された露光光ELは、マスクブラインド27の開口部28に集光される。そのため、レチクルRの被照射面上には、変更用正レンズ50のX方向における位置に関係なく、一定の大きさを有する露光光ELの照射領域が形成される。
【0042】
また、補正前(即ち、離間距離hc=「0(零)」)におけるレチクルRの被照射面上で露光光ELに照射される照射領域内の照度分布DBは、図10に示すように、光の強度がX方向における中心からX方向に離間するに連れて次第に強くなる分布である。一方、補正後(即ち、離間距離hc≠「0(零)」)におけるレチクルRの被照射面上で露光光ELに照射される照射領域内の照度分布DAは、図10に示すように、光の強度が反X方向側の端部からX方向に離間するに連れて次第に強くなる分布である。
【0043】
したがって、本実施形態では、上記各実施形態における(3)(4)の効果に加えて以下に示す効果を得ることができる。
(7)本実施形態の補正フィルタ24Bは、その中心から離間するほど透過率が高くなるように生成されている。そのため、変更用正レンズ50をX方向に移動させて補正フィルタ24Bのうち露光光ELが透過する領域を変更することにより、レチクルRの被照射面上での露光光ELの照度分布を良好に補正することができる。
【0044】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を図11に従って説明する。なお、第4の実施形態は、補正フィルタ24Bを照射する領域を変更する方法が第3の実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第3の実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第3の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0045】
図11に示すように、本実施形態の変更用光学系25は、露光光ELの光路に対する傾斜角θ2が変化するように回動可能な変更用正レンズ50と、該変更用正レンズ50を回動させるための変位機構34とを備えている。そして、露光光ELの光路に対する傾斜角θ2を変更すべく変更用正レンズ50が回動した場合、該変更用正レンズ50から出射された露光光ELは、その出射向きが傾斜角θ2の大きさに対応して変更される。すなわち、補正フィルタ24Bのうち露光光ELが照射される部分は、傾斜角θ2が大きいほど中心からX方向に離間した位置になる。したがって、本実施形態では、露光光ELの光路に対する傾斜角θ2を変更すべく変更用正レンズ50を回動させることにより、上記第3の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
なお、上記各実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・各実施形態において、補正フィルタ24,24A,24Bを、像面と共役な位置Piに配置してもよい。この場合、補正フィルタ24,24A,24Bをマスクブラインド27に接触させた状態で配置することになる。この際、調整用光学系26を照明光学装置13に設けないことが望ましい。
【0047】
・第1の実施形態において、補正フィルタ24を、図12に示すように、瞳面と共役な位置近傍(即ち、フライアイレンズ23よりも露光光源12側の位置)にも配置してよい。この場合、変更用光学系25を、露光光源12と補正フィルタ24との間にも配置すると共に、調整用光学系26を、補正フィルタ24とフライアイレンズ23との間にも配置することが望ましい。
【0048】
同様に、第2〜第4の各実施形態においても、補正フィルタ24A,24Bを瞳面と共役な位置近傍にも配置してもよい。
また、上述したように補正フィルタ24,24A,24Bを瞳面と共役な位置近傍に配置した場合には、像面と共役な位置Pi近傍に補正フィルタ24,24A,24B、変更用光学系25及び調整用光学系26を配置しなくてもよい。このように構成しても、フライアイレンズ23には、照度分布が補正された露光光ELが入射されることになるため、レチクルRの被照射面には、照度分布が均一に補正された露光光ELの照射領域が形成されることになる。したがって、所定の透過率分布を有する補正フィルタ24,24A,24Bを変位させることなく、レチクルRの被照射面上での露光光ELの照度分布を補正できる。
【0049】
・各実施形態において、補正フィルタ24,24A,24Bを、瞳面と共役な位置に配置してもよい。この場合、補正フィルタ24,24A,24Bを、フライアイレンズ23に接触させた状態で配置することになる。
【0050】
・第3の実施形態において、変更用正レンズ50を、X方向に移動させるだけではなく、露光光ELの光路に対する傾斜角θ2を変更すべく回動させてもよい。このように構成すると、補正フィルタ24Bのうち露光光ELが透過する領域をより細かく変更できるため、レチクルRの被照射面上での露光光ELの照度領域内の照度分布を、より精密に補正できる。
【0051】
・第1の実施形態において、変更用光学系25は、第2変更用正レンズ33の補正フィルタ24側に正レンズを配置し、該正レンズをX方向に移動させる構成であってもよい。また、正レンズを、露光光ELの光路に対する傾斜角を変更すべく回動させてもよい。さらに、正レンズを、X方向に移動させると共に、露光光ELの光路に対する傾斜角を変更すべく回動させてもよい。上記のように構成すると、変更用光学系25を駆動させることにより、露光光ELの断面形状の大きさを変更できると共に、補正フィルタ24に入射する領域をも変更することができる。そのため、レチクルRの被照射面上での露光光ELの照度領域内の照度分布を、より精密に補正できる。
【0052】
・第1の実施形態において、第2変更用正レンズ33を、露光光ELの光路に沿った方向に移動させるだけではなく、X方向にも移動させるようにしてもよい。また、第2変更用正レンズ33を、露光光ELの光路に対する傾斜角を変更すべく回動させてもよい。
【0053】
・第2の実施形態において、第1プリズム部材46と第2プリズム部材47との間のプリズム間距離hpを変更させるためには、第2プリズム部材47を移動させるのではなく、第1プリズム部材46を移動させるようにしてもよい。また、両プリズム部材46,47をそれぞれ移動させるようにしてもよい。
【0054】
・第2の実施形態において、円錐アキシコン対45の代わりに、輪環照明用の回折光学素子を設けてもよい。この場合、回折光学素子を露光光ELの光路に沿って移動させることにより、補正フィルタ24Aのうち露光光ELが入射する領域T1〜T4を変更することが望ましい。また、円錐アキシコン対45の代わりに、複数極照明用(例えば4極照明用)の光学素子(回折光学素子や角錐台アキシコン対など)を設けてもよい。
【0055】
・第2の実施形態において、補正フィルタ24Aの各領域T1〜T4は、それぞれの内部で所定の透過率分布を個別に有してもよい。この際、各領域T1〜T4の透過率分布は、互いに異なっていることが望ましい。
【0056】
・各実施形態において、変更用光学系25には、回動可能な反射光学素子を備えた構成であってもよい。この場合、反射光学素子を回動させることにより、補正フィルタ24,24A,24Bのうち露光光ELが入射する領域を変更させることができる。
【0057】
・各実施形態において、変更用光学系25は、レチクルRの被照射面上での露光光ELの照度領域内の照度分布をZ方向に沿って補正するようにしてもよい。例えば、第3の実施形態において、変更用正レンズ50をY方向に移動させることにより、レチクルRの被照射面上での露光光ELの照度領域内の照度分布をZ方向に沿って補正することができる。
【0058】
・各実施形態において、変更用光学系25及び調整用光学系26は、任意の枚数(1枚や5枚)の光学素子(正レンズや負レンズなど)からそれぞれ構成されるものであってもよい。
【0059】
・各実施形態において、露光装置11は、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクルまたはマスクを製造するために、マザーレチクルからガラス基板やシリコンウエハなどへ回路パターンを転写する露光装置であってもよい。また、露光装置11は、液晶表示素子(LCD)などを含むディスプレイの製造に用いられてデバイスパターンをガラスプレート上へ転写する露光装置、薄膜磁気ヘッド等の製造に用いられて、デバイスパターンをセラミックウエハ等へ転写する露光装置、及びCCD等の撮像素子の製造に用いられる露光装置などであってもよい。
【0060】
・また、上記各実施形態の照明光学装置13を、レチクルRとウエハWとが相対移動した状態でレチクルRのパターンをウエハWへ転写し、ウエハWを順次ステップ移動させるスキャニング・ステッパに搭載してもよい。
【0061】
・各実施形態において、露光光源12は、例えばg線(436nm)、i線(365nm)、KrFエキシマレーザ(248nm)、Fレーザ(157nm)、Krレーザ(146nm)、Arレーザ(126nm)等を出射可能な光源であってもよい。また、露光光源12は、DFB半導体レーザまたはファイバレーザから発振される赤外域、または可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(またはエルビウムとイッテルビウムの双方)がドープされたファイバアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を出射可能な光源であってもよい。
【0062】
次に、本発明の実施形態の露光装置11によるデバイスの製造方法をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法の実施形態について説明する。図13は、マイクロデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートを示す図である。
【0063】
まず、ステップS101(設計ステップ)において、マイクロデバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS102(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスク(レチクルRなど)を製作する。一方、ステップS103(基板製造ステップ)において、シリコン、ガラス、セラミックス等の材料を用いて基板(シリコン材料を用いた場合にはウエハWとなる。)を製造する。
【0064】
次に、ステップS104(基板処理ステップ)において、ステップS101〜ステップS104で用意したマスクと基板を使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によって基板上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS105(デバイス組立ステップ)において、ステップS104で処理された基板を用いてデバイス組立を行う。このステップS105には、ダイシング工程、ボンティング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。最後に、ステップS106(検査ステップ)において、ステップS105で作製されたマイクロデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にマイクロデバイスが完成し、これが出荷される。
【0065】
図14は、半導体デバイスの場合におけるステップS104の詳細工程の一例を示す図である。
ステップS111(酸化ステップ)おいては、基板の表面を酸化させる。ステップS112(CVDステップ)においては、基板表面に絶縁膜を形成する。ステップS113(電極形成ステップ)においては、基板上に電極を蒸着によって形成する。ステップS114(イオン打込みステップ)においては、基板にイオンを打ち込む。以上のステップS111〜ステップS114のそれぞれは、基板処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0066】
基板プロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップS115(レジスト形成ステップ)において、基板に感光性材料を塗布する。引き続き、ステップS116(露光ステップ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置11)によってマスクの回路パターンを基板に転写する。次に、ステップS117(現像ステップ)において、ステップS116にて露光された基板を現像して、基板の表面に回路パターンからなるマスク層を形成する。さらに続いて、ステップS118(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップS119(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となった感光性材料を取り除く。すなわち、ステップS118及びステップS119において、マスク層を介して基板の表面を加工する。これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、基板上に多重に回路パターンが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1の実施形態における露光装置を示す概略構成図。
【図2】第1の実施形態における補正フィルタの概略平面図。
【図3】(a)は第1の実施形態における照明光学装置の一部を示す概略構成図、(b)はレチクル上の照度分布を補正した際の照明光学装置の一部を示す概略構成図。
【図4】(a)は補正フィルタにおける露光光の照度領域の大きさを補正前後で比較した概略平面図、(b)は補正フィルタを通過した直後の露光光の照度分布を補正前後で比較したグラフ、(c)はレチクル上での露光光の照度分布を補正前後で比較したグラフ。
【図5】(a)は第2の実施形態における照明光学装置の一部を示す概略構成図、(b)はレチクル上の照度分布を補正した際の照明光学装置の一部を示す概略構成図。
【図6】第2の実施形態における補正フィルタの概略平面図。
【図7】(a)は補正フィルタにおいて補正前の露光光が入射した状態を示す概略平面図、(b)は補正後の露光光が入射した状態を示す概略平面図。
【図8】(a)は第3の実施形態における照明光学装置の一部を示す概略構成図、(b)はレチクル上の照度分布を補正した際の照明光学装置の一部を示す概略構成図。
【図9】第3の実施形態における補正フィルタの概略平面図。
【図10】第3の実施形態においてレチクル上での露光光の照度分布を補正前後で比較したグラフ。
【図11】第4の実施形態における照明光学装置の一部を示す概略構成図。
【図12】別例の照明光学装置の一部を示す概略構成図。
【図13】デバイスの製造例のフローチャート。
【図14】半導体デバイスの場合の基板処理に関する詳細なフローチャート。
【符号の説明】
【0068】
11…露光装置、12…露光光源、13…照明光学装置、14…保持機構としてのレチクルステージ、15…投影光学装置、24,24A,24B…補正フィルタ、25…変更部としての変更用光学系、26…調整部としての調整用光学系、32…変更用光学素子としての変更用負レンズ、33…変更用光学素子としての変更用正レンズ、34…変位機構、46…変更用光学素子としての第1プリズム部材、47…変更用光学素子としての第2プリズム部材、50…変更用光学素子としての変更用正レンズ、EL…露光光、Pi…像面と共役な位置、R…被照射物体としてのレチクル、TA,TB…照射領域、θ2…傾斜角。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出力された光を被照射物体へ導く照明光学装置において、
前記光源から出力される光の光路中に配置され、所定の透過率分布を有する補正フィルタと、
該補正フィルタの前記光源側に配置され、前記補正フィルタにおいて前記光に照射され得る照射領域の大きさ及び位置のうち少なくとも一方を変更するための変更部と
を備えた照明光学装置。
【請求項2】
前記変更部は、前記光路内で変位可能な状態で配置された変更用光学素子を有している請求項1に記載の照明光学装置。
【請求項3】
前記変更部は、前記変更用光学素子を前記光路内で変位させるための変位機構を有している請求項2に記載の照明光学装置。
【請求項4】
前記補正フィルタの前記被照射物体側に配置され、前記補正フィルタを透過した光の前記被照射物体に対する照射態様を調整するための調整部をさらに備えた請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の照明光学装置。
【請求項5】
前記変更用光学素子は、前記光路に沿った方向に移動可能である請求項2又は請求項3に記載の照明光学装置。
【請求項6】
前記変更用光学素子は、前記光路と交差する方向に移動可能である請求項2、請求項3及び請求項5のうち何れか一項に記載の照明光学装置。
【請求項7】
前記変更用光学素子は、前記光路に対する傾斜角が変化するように回動可能である請求項2、請求項3、請求項5及び請求項6のうち何れか一項に記載の照明光学装置。
【請求項8】
前記補正フィルタは、像面と共役な位置又は該位置の近傍に配置されている請求項1〜請求項7のうち何れか一項に記載の照明光学装置。
【請求項9】
前記補正フィルタは、像面と光学的にフーリエ変換の関係にある位置に形成される瞳面と共役な位置又は該位置近傍に配置されている請求項1〜請求項8のうち何れか一項に記載の照明光学装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のうち何れか一項に記載の照明光学装置と、
所定のパターンが形成されてなる被照射物体を保持する保持機構と、
前記光源から出力された光が前記照明光学装置を介して前記被照射物体を照射することにより形成されたパターン像を感光性材料が塗布された基板上に投影するための投影光学装置と
を備えた露光装置。
【請求項11】
請求項10に記載の露光装置を用いて、前記所定のパターンに基づくパターン像を前記基板の表面に露光する露光ステップと、
該露光ステップ後において、前記基板を現像して前記パターン像に対応する形状のマスク層を前記基板の表面に形成する現像ステップと、
該現像ステップ後において、前記マスク層を介して前記基板の表面を加工する加工ステップと
を含むデバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−99848(P2009−99848A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271329(P2007−271329)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】