説明

照明機能を有する表示装置および照明機能を有する表示装置の製造方法

【課題】パネルの塗装が容易で、かつ、照明用光源の光が表示部以外の部分に漏洩するのが抑止される表示装置を提供する。
【解決手段】パネル2と、遮光部材30とを設け、遮光部材30に、照明用光源50cから表示部12に至る光路を囲む遮光部材本体32と、遮光部材本体32の前端面33c、33dに表示パネル部10側に向かって突出する突出部39c、39dを設け、遮光部材本体32の軸方向寸法を、表示パネル部10から回路基板40までの離間距離よりも小さくするとともに、突出部39c、39dを、遮光部材本体32の後端面32eが回路基板40の前側面40aに接触した状態でこの遮光部材本体32の前端面33c、33dと表示パネル部10の後側面10aとの間に形成される隙間の寸法よりも大きな突出寸法を有し、これらの寸法同士の差に相当する分だけ圧縮変形した状態で表示パネル部10の後側面10aに密着することが可能な形状とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明機能を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等には、インストゥルメントパネル等のパネルに設けられた表示部を照明することのできる表示装置が設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、回路基板に実装された複数の照明用光源によりパネルに設けられた互いに隣接する複数の表示部がそれぞれ照明される表示装置が開示されている。この装置では、各表示部間にパネルの後側面から後方に向かって突出する遮光部材がそれぞれ設けられている。そして、これら遮光部材により、前記照明用光源が対応する表示部以外の表示部を誤って照明するのが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−309954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パネルと遮光部材とが一体に形成された表示装置では、透光性を有する部材でパネルと遮光部材全体を成形した後、表示部以外の遮光部材を含む遮光部分を遮光性を有する塗料で塗装する必要があるが、遮光部材が一体となっていることでパネルが複雑な形状を有しているため塗装に手間がかかる。これに対して、パネルと遮光部材とを別体で形成して、遮光部材をパネルと回路基板との間に介在させることが考えられる。しかしながら、この場合には、前記回路基板の取り付け誤差等により前記パネルと回路基板との間の距離にばらつきがあっても必ず遮光部材がこれらパネルと回路基板との間に配置されることが可能になるよう、前記パネルと回路基板との間の距離よりも遮光部材の長さを若干短くしておく必要がある。このことは、パネルと遮光部材との間に隙間が生じることを意味し、しかも、この隙間は回路基板の取り付け誤差によっては非常に大きくなる。このような隙間は、この隙間から照明用光源の光が表示部以外の部分に漏洩するおそれを生じさせる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、パネルの塗装を容易にしつつ、照明用光源の光が表示部以外の部分に漏洩するのを抑止することのできる表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、照明機能を有する表示装置であって、照明用光源が実装された回路基板と、透光性を有して前記照明用光源により後方から照明されることが可能な表示部を含む表示パネル部と、この表示パネル部から後方へ離間した位置に前記回路基板を保持する基板保持部とを有するパネルと、前記回路基板の前側面と前記表示パネル部の後側面との間に介在する遮光部材とを備え、前記遮光部材は、前記表示パネル部側から前記回路基板側に向かって延びて前記照明用光源から前記表示部に至る光路を囲む筒状を有するとともに軸方向両側に前端面および後端面を有する遮光部材本体と、この遮光部材本体の前端面の少なくとも一部の領域に当該前端面に沿って延びるように形成され、当該前端面の幅よりも小さい幅を有するとともに当該前端面から前記表示パネル部側に向かって突出する突出部とを有し、前記遮光部材本体は、その前端面から後端面までの距離に相当する軸方向寸法が、前記表示パネル部の後側面から前記基板保持部により保持された状態の前記回路基板の前側面までの離間距離よりも小さい形状を有し、前記突出部は、前記遮光部材本体の後端面が前記回路基板の前側面に接触した状態でこの遮光部材本体の前端面と前記表示パネル部の後側面との間に形成される隙間の寸法よりも大きな突出寸法を有し、これらの寸法同士の差に相当する分だけ圧縮変形した状態で前記表示パネル部の後側面に密着することが可能な形状を有することを特徴とする照明機能を有する表示装置を提供する。
【0008】
この表示装置では、パネルと遮光部材とを別体にしてパネルの塗装を容易にしつつ、パネルと遮光部材との間に隙間を生じさせることなく前記回路基板の取り付け誤差等に伴う前記パネルと回路基板との間の距離のばらつきに対応することができる。すなわち、この表示装置では、前記パネルと回路基板との間の距離にばらつきがあっても、前記突出部が圧縮変形することでこのばらつきを吸収しながら前記表示パネル部の後側面と確実に密着することができるため、回路基板の取り付け誤差等によらず前記表示パネル部と前記遮光部材本体との隙間が密閉される。このことは、この隙間からの光の漏洩を抑制し、表示パネル部の適切な照明を実現する。
【0009】
また、本発明において、前記パネルは、前記表示パネル部の表示部と隣接する位置にて当該表示パネル部に取付けられる操作部材を有し、前記遮光部材本体は、前記表示パネル部側から前記回路基板側に向かって延びて前記照明用光源から前記表示部への光路を囲むように並ぶ複数の側壁を有し、前記突出部は、前記側壁のうち少なくとも前記操作部材と前記表示部との境界部分に配置される側壁の前端面に沿って延びる形状を有するのが好ましい。
【0010】
このようにすれば、簡単な構造で照明用光源の光が操作部材側に漏洩するのを有効に抑制することができる。
【0011】
さらに、前記突出部は、前記側壁のうち前記操作部材に最も近い位置に配置される側壁の前端面のみに形成されていてもよい。
【0012】
このようにすれば、圧縮変形させなければならない突出部の形成領域を最小限に抑えて、突出部に働く圧縮応力を集中させることで突出部の変形を容易にすることができる。
【0013】
また、本発明において、前記突出部は、前記遮光部材本体側から前記表示パネル部側に向かうに従って幅が小さくなる形状を有するのが好ましい。
【0014】
このようにすれば、前記突出部をより容易に圧縮変形させることができる。
【0015】
また、本発明は、照明機能を有する表示装置を製造するための方法であって、透光性を有して照明用光源により後方から照明されることが可能な表示部を含む表示パネル部と、この表示パネル部から後方へ離間した位置に回路基板を保持する基板保持部とを有するパネルを製造する工程と、前記パネルとは別の遮光性を有する部材により、前記表示パネル部側から前記回路基板側に向かって延びて前記照明用光源から前記表示部に至る光路を囲む筒状を有するとともに軸方向両側に前端面および後端面を有する遮光部材本体と、この遮光部材本体の前端面の少なくとも一部の領域に当該前端面に沿って延びるように形成され、当該前端面の幅よりも小さい幅を有するとともに当該前端面から前記表示パネル部側に向かって突出する突出部とを有する遮光部材を製造する工程と、前記照明用光源を前記回路基板に実装する工程と、前記遮光部材を前記回路基板の前側面と前記表示パネル部の後側面との間に介在させた状態で前記基板保持部に前記回路基板を保持させる工程とを含み、前記遮光部材を製造する工程では、前記遮光部材の前記前端面から後端面までの距離に相当する軸方向寸法を前記表示パネル部の後側面から前記基板保持部により保持された状態の前記回路基板の前側面までの離間距離よりも小さくするとともに、前記突出部の突出寸法を前記遮光部材本体の後端面が前記回路基板の前側面に接触した状態でこの遮光部材本体の前端面と前記表示パネル部の後側面との間に形成される隙間の寸法よりも大きくする工程を含み、前記基板保持部に前記回路基板を保持させる工程では、前記回路基板により前記遮光部材本体の後端面を前記表示パネル部側に押圧させることで、この遮光部材本体の前端面と前記表示パネル部の後側面との間で前記突出部を圧縮変形させてこの突出部を前記表示パネル部の後側面に密着させることを特徴とする照明機能を有する表示装置の製造方法を提供する。
【0016】
この方法によれば、パネルと遮光部材とが別体に形成されておりパネルの塗装が容易になるとともに、前記基板保持部に前記回路基板を保持させる工程において回路基板により遮光部材を押圧させることで表示パネル部と回路基板との距離に応じて前記突出部が圧縮変形して表示パネル部に密着しており、簡単な手順で突出部すなわち遮光部材と表示パネル部との隙間を密閉してこの隙間から照明用光源の光が前記表示部以外の部分に漏洩するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、回路基板の取り付け誤差等によらず照明用光源の表示部以外の部分への漏えいをより確実に抑制することのできる表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る表示装置の概略斜視図である。
【図2】図1に示す表示装置のA−A線断面図である。
【図3】図1に示す表示装置の概略分解図である。
【図4】図1に示す表示装置の概略分解図である。
【図5】図1に示す表示装置の遮光部材の概略断面図である。
【図6】図1に示す表示装置において回路基板が取り付けられる前の状態の部分断面図である。
【図7】図6の部分拡大図である。
【図8】図1に示す表示装置において回路基板が取り付けられた状態における断面図である。
【図9】図7の部分拡大図である。
【図10】図1に示す表示装置の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
ここでは、本発明に係る表示装置が車両に取付けられる場合について説明する。
【0021】
図1は前記表示装置1の概略斜視図であり、図2は図1のA−A線断面図であり、図3および図4はこの表示装置1の概略分解図である。
【0022】
前記表示装置1は、パネル2と、回路基板40と、遮光部材30と、第1ノブ(操作部材)20および第2ノブ(操作部材)120と、を有している。
【0023】
前記回路基板40には、LED(照明用光源)50a、50b、50cと、スイッチ素子60、160が実装されている。この回路基板40の上下端には、表裏に貫通する被係止用孔41、141が形成されている。
【0024】
前記第1操作ノブ20および第2操作ノブ120は、前後方向にスライドして前記スイッチ素子60、160をそれぞれ押圧操作するものである。これら第1操作ノブ20および第2操作ノブ120は、後側に開口する略直方体の箱状を有している。これら第1操作ノブ20および第2操作ノブ120はそれぞれ前記LED50a、50cにより照明される。
【0025】
前記パネル2は、車両のインストゥルメントパネルの一部を構成するものである。このパネル2は、上下左右方向に延びる板状の表示パネル部10と、この表示パネル部10の上下端部からそれぞれ後方に向かって突出する上側突出壁4と下側突出壁104とを有している。
【0026】
前記パネル2は、透光性を有する母材と、その表面上に設けられる遮光性を有する遮光層とを有し、前記表示パネル部10の一部のみ遮光層の形成がされておらず、この部分が、透光性を有し前記LED50cにより照明される表示部12を構成している。この表示部12は、所定の文字あるいは図形で構成されており、前記LED50cからの光を受けてこの文字あるいは図形を照明表示する。
【0027】
前記表示部12をより適切に照明するために、パネル2に前記LED50cの表示部12への光路の周囲を囲む遮光性を有する遮光部を設けることが考えられるが、本表示装置1では、透光性を有する部材で形成されたパネル2とは別に遮光性を有する部材で遮光部すなわち遮光部材30が形成されている。
【0028】
前記表示パネル部10には、前記表示部12を囲む位置に、後方に突出する遮光部材ガイド壁16が設けられている。この遮光部材ガイド壁16は、その内側に遮光部材30が挿入される部分である。この遮光部材ガイド壁16には、その表裏に貫通する仮係止孔16aが形成されている。この仮係止孔16aは、前記遮光部材30の後述する仮係止突起34が挿入される部分で、この挿入により遮光部材30はこの遮光部材ガイド壁16の内側に仮係止される。
【0029】
前記表示パネル部10には、前記表示部12と隣接する位置に表裏に貫通する第1ノブ用孔14および第2ノブ用孔114が形成されている。前記第1ノブ用孔14は、表示部12の上側に形成されている。前記第1操作ノブ20は、この第1ノブ用孔14に取付けられて前記表示部12と隣接する位置に配置される。前記第2ノブ用孔114は、表示部12の下側に形成されている。前記第2操作ノブ120は、この第2ノブ用孔114に取付けられて前記表示部12と隣接する位置に配置される。
【0030】
前記表示パネル部10には、前記第1ノブ用孔14および前記第2ノブ用孔114をそれぞれ囲む位置に後方に突出する第1ノブ保持壁17および第2ノブ保持壁117が設けられている。これら第1ノブ保持壁17および第2ノブ保持壁117は、それぞれ前記第1操作ノブ20および第2操作ノブ120が後方から内側に挿入可能な形状を有しており、この挿入状態で第1操作ノブ20および第2操作ノブを表示パネル部10と接離する方向にスライド可能に保持する。
【0031】
前記上側突出壁4および下側突出壁104には、その後端に前記回路基板40を保持するための上側保持部4a、下側保持部104aがそれぞれ設けられている。これら上側保持部4aおよび下側保持部104aには、その後端面に開口して基板係止用ねじ4c、104cが締結される基板係止用ねじ孔4b、104bがそれぞれ形成されている。これら基板係止用ねじ孔4b、104bは、それぞれ回路基板40の前記被係止用孔41、141と対応する位置に設けられている。前記回路基板40は、前記基板係止用ねじ4c、104cが前記被係止用孔41、141に挿通された状態で前記基板係止用ねじ孔4b、104bに締結されることで、前記上側保持部4aおよび下側保持部104aの後端面に沿って保持される。前述のように、上側突出壁4および下側突出壁104は、前記表示パネル部10の後側面10aから後方に突出しており、前記回路基板40は、この表示パネル部10の後側面10aから後方に離間した位置に保持される。本実施形態では、前記上側保持部4aおよび下側保持部104aと、前記基板係止用ねじ4c、104cによって、回路基板40をパネル10に保持する基板保持部が構成されている。
【0032】
前記遮光部材30は、前記表示パネル部10と前記回路基板40との間に介在して、回路基板40に実装された前記LED50cから前記表示部12への光路の周囲を囲むものである。この遮光部材30は、図5に示すように、遮光部材本体32と、本発明に係る「突出部」に相当する糸リブ39とを有している。
【0033】
前記遮光部材本体32は、表示パネル部10側から回路基板40側に向かって延びる略角筒状を有している。具体的には、この遮光部材本体32は、4枚の側壁すなわち前記光路の右側に位置して上下方向に延びる右壁32aと、前記光路の左側に位置して上下方向に延びる左壁32bと、この右壁32aの上端と左壁32bの上端との間で左右方向に延びる上壁32cと、前記右壁32aの下端と左壁32bの下端との間で左右方向に延びる下壁32dとを有している。この遮光部材本体32は、各壁32a、32b、32c、32dが回路基板40上の前記LED50cの光路を囲むように並ぶことで、このLED50cの光が遮光部材30の外部に漏洩するのを抑制する。前記遮光部材30が前記遮光部材ガイド壁16の内側に挿入された状態で、前記上壁32cは前記第1操作ノブ20と表示部12との境界部分に配置され、前記下壁32dは前記第2操作ノブ120と表示部12との境界部分に配置される。この遮光部材本体32は、例えば、ポリカーボネイトからなる。
【0034】
前記遮光部材本体32の軸方向寸法すなわち前端面から後端面までの距離は、回路基板40が前記パネル2に保持された状態におけるこの回路基板40の前側面40aから表示パネル部の後側面10aまでの離間距離よりも小さく設定されている。具体的には、前記遮光部材本体32の各部位の軸方向寸法は、遮光部材30が表示パネル部10と回路基板40との間に取り付けられた状態で対応する回路基板40の各部位と表示パネル部の各部位の離間距離よりもそれぞれ小さく設定されている。例えば、図8において、遮光部材本体32の下壁32dの軸方向寸法L1は、回路基板40と表示パネル部10の対応する部位間の離間距離W1よりも小さく、遮光部材本体32の上壁32cの軸方向寸法L2は回路基板40と表示パネル部10の対応する部位間の離間距離W2よりも小さい。
【0035】
前記回路基板40の前側面40aから表示パネル部10の後側面10aまでの離間距離は、回路基板40をパネル2に取り付ける際の取り付け誤差等に伴ってばらつく。そのため、例えば、前記遮光部材本体32の軸方向寸法を前記離間距離と同じ寸法に設定しておくと、この離間距離が短くなる方向にばらついた場合には前記遮光部材本体32を回路基板40と表示パネル部10との間に配置できなくなる。これに対して、本表示装置1では、前記遮光部材本体32の軸方向寸法が前記離間距離よりも小さいことで、遮光部材本体32は確実に回路基板40と表示パネル部10との間に配置される。
【0036】
前記糸リブ39は、前記遮光部材本体32の前端面から前方に突出する微小突起である。本表示装置1では、前記遮光部材本体32の4つの側壁のうち上壁32cの前端面33cと下壁32dの前端面33dとにそれぞれ糸リブ39c、39dが設けられている。これら糸リブ39c、39dは、圧縮変形しやすいように前記上壁32cと下壁32dの各前端面33c、33dに沿って左右に延びている。これら糸リブ39c、39dは、上壁32cの幅よりも小さい幅を有しており、前記上壁32cと下壁32dの各前端面33c、33dの外側端に沿って設けられている。また、これら糸リブ39c、39dは、前方に向かうほどその幅が小さくなる形状を有している。
【0037】
前記糸リブ39c、39dの前方への突出寸法は、それぞれ、前記遮光部材本体32の後端面32eが前記回路基板40の前側面40aに接触した状態で前記上壁32cの前端面33cと表示パネル部10の後側面10aとの間および下壁32dの前端面33dと表示パネル部10の後側面10aとの間にそれぞれ形成される隙間の寸法よりも大きな値、すなわち、回路基板40が前記パネル2に保持された状態におけるこの回路基板40の前側面40aから表示パネル部10の後側面10aまでの離間距離と遮光部材本体32の軸方向寸法との差よりも大きな値に設定されている。例えば、図7における下壁32dに設けられた糸リブ33dの突出寸法tは、W1―L1より大きな値に設定されている。
【0038】
前記糸リブ39c、39dは、弾性変形可能な部材からなる。この実施形態では、両糸リブ39c、39dが遮光部材本体32と一体にABS樹脂により形成されている。これら糸リブ39c、39dは、遮光部材30が前記遮光部材ガイド壁16内に挿入された状態で回路基板40が前記上側保持部4aおよび下側保持部4bに取り付けられた際に、遮光部材本体32の前端面33c、33dと表示パネル部10の後側面10aとの間で、前記のような遮光部材本体32の前端面33c、33dと表示パネル部10の後側面10aとの間に形成される隙間よりも大きな突出寸法からこの隙間の寸法まで圧縮変形する。そして、これら糸リブ39c、39dは、表示パネル部10の後側面10aに密着し、図9に示すように、表示パネル部10の後側面10aと遮光部材本体32の前端面33c、33dとの隙間をそれぞれ密閉する。
【0039】
前述のように、遮光部材本体32の軸方向寸法は回路基板40の前側面40aから表示パネル部10の後側面10aまでの離間距離よりも小さいため、もし前記糸リブ39c、39dがなければ、従来装置と同様に遮光部材本体32と表示パネル部10との間に隙間が生じ、この隙間からLED50cの光が外部に漏洩するおそれがある。しかも、この隙間の寸法は前記離間距離のばらつき等に伴ってばらつき、さらに大きくなるおそれがある。これに対して、本表示装置1では、前記遮光部材本体32の前端面からさらに前方に突出する糸リブ39が前記隙間の寸法に応じた度合いで圧縮変形して表示パネル部10の後側面10aに密着することで、前記LED50cからの光の漏えいを抑制する。特に、前記糸リブ39c、39dは、表示部12と第1操作ノブ20との境界部分に配置された上壁32cおよび表示部12と第2操作ノブ120との境界部分に配置された下壁32dとの境界部分にそれぞれ設けられていることから、前記LED50cの光が前記第1操作ノブ20、120側に漏れるのを効果的に抑制する。
【0040】
なお、本発明では、遮光部材本体32の具体的な形状を問わないが、第1操作ノブ20および第2操作ノブ120のパネル2からの離脱を阻止するという機能を有するように、前記遮光部材本体32に、被仮係止突起34と、ノブ離脱阻止部36a、36bとが設けられている。
【0041】
前記被仮係止突起34は、前記遮光部材ガイド壁16に形成された仮係止孔16aに挿入される部分である。この被仮係止突起34は、図10に示すように、前記遮光部材本体32の下壁32dから下側に突出する形状を有している。この被仮係止突起34は、遮光部材本体32が前記遮光部材ガイド壁16の内側に挿入された状態で前記仮係止孔16aに挿入される。この挿入により、遮光部材30は、遮光部材ガイド壁16の内側に仮係止され、後方に脱落するのが回避される。
【0042】
前記離脱阻止部36aおよび第2離脱阻止部36bは、それぞれ前記第1ノブ保持壁17に挿入された状態の第1操作ノブ20および前記第2ノブ保持壁117に挿入された状態の第2操作ノブ120が、前記表示パネル部10の後方へ離脱するのを阻止するためのものである。
【0043】
前記第1離脱阻止部36aは、前記遮光部材本体32の上壁32cの後側端部から上方すなわち前記第1ノブ保持壁17に保持された前記第1操作ノブ20側に突出して、前記表示パネル部10と略平行に延びる形状を有している。この第1離脱阻止部36aは、図2に示すように、前記第1操作ノブ20が前記第1ノブ保持壁17内に挿入されこの第1ノブ保持壁17に保持された状態で、この第1操作ノブ20に後方から当接可能な位置に設けられている。そして、この第1離脱阻止部36aは、前記当接によって前記第1操作ノブ20が後方すなわち前記表示パネル部10から離間する方向に移動するのを規制する。具体的には、前記第1離脱阻止部36aは前記第1操作ノブ20の後側端部に当接する。
【0044】
同様に、前記第2離脱阻止部36bは、前記遮光部材本体32の下壁32dの後側端部から下方に突出して前記表示パネル部10と略平行に延びる形状を有している。この第2離脱阻止部36bは、第2操作ノブ120の後側端部に当接して前記第2操作ノブ120が後方すなわち前記表示パネル部10から離間する方向に移動するのを規制する。
【0045】
なお、前記第1離脱阻止部36aおよび第2離脱阻止部36bは、前記第1操作ノブ20と第2操作ノブ120が前記表示パネル部10に近接する方向にスライドした状態ではこれら第1操作ノブ20および第2操作ノブ120の各後端部と離間する位置に設けられており、この第1操作ノブ20および第2操作ノブ120の表示パネル部10と接離する方向のストロークを許容しつつ前記表示パネル部10からの離脱を阻止する。
【0046】
このように、本表示装置1では、前記LED50cの光路を囲み前記表示部12を適切に照明するために設けられる遮光部材30を利用して、前記第1操作ノブ20および第2操作ノブ120の表示パネル部10からの離脱が阻止されている。
【0047】
次に、前記のように構成された各部品を組み付けて前記表示装置1を製造するための具体的な方法について説明する。
【0048】
まず、前記上側突出壁4と下側突出壁104と表示パネル部10とを有するパネル2を製造する。この工程では、透光性を有する部材で表示パネル部10を成形した後、遮光性を有する塗料で前記表示部12以外の部分を塗装することで、前記表示部12が形成された表示パネル部10を製造する。
【0049】
また、前記遮光部材30を製造する。この工程では、遮光性を有する部材で前記遮光部材本体32と糸リブ39c、39dとを一体に成形する。ここで、パネルと遮光部材とが分割されておらずこれらが一体となった従来のパネルを製造する場合には、透光性を有する部材でパネル全体を成形した後、前記遮光部材を含む前記表示部以外の部分を遮光性を有する塗料で塗装する必要があるが、遮光部材が一体となっていることでパネルが複雑な形状を有しており塗装に手間がかかる。これに対して、本表示装置1では、前記表示パネル部10と遮光部材30とが分割されており表示パネル部10の形状が簡素化されているので、前記塗装が容易となり作業効率が向上する。
【0050】
次に、前記第1操作ノブ20および第2操作ノブ120を後方から前記第1ノブ保持壁17および第2ノブ保持壁117内にそれぞれ挿入する。そして、前記第1操作ノブ20および第2操作ノブ120をこれら前記第1ノブ保持壁17および第2ノブ保持壁117によって前記表示パネル部10の後側に保持する。
【0051】
次に、前記遮光部材30を後方から前記遮光部材ガイド壁16内に挿入する。そして、前記遮光部材30の被仮係止突起34を前記遮光部材ガイド壁16の仮係止孔16aに挿入して、遮光部材30を表示パネル部10の後側に仮係止する。このとき、前記第1離脱阻止部36aは、前記第1操作ノブ20の後側端部と対向する位置に配置される。また、前記第2離脱阻止部36aは、前記第2操作ノブ120の後側端部と対向する位置に配置される。
【0052】
この状態において、前記第1操作ノブ20、第2操作ノブ120にこの第1操作ノブ20、第2操作ノブ120を後方すなわち表示パネル部10から離脱する方向に移動させる力が働いたとしても、この第1操作ノブ20、第2操作ノブ120の後側端部がそれぞれ前記第1離脱阻止部36aと前記第2離脱阻止部136a当接することで、この第1操作ノブ20、第2操作ノブ120の表示パネル部10からの離脱が阻止される。
【0053】
このようにして、本方法では、前記遮光部材30の被仮係止突起34と前記遮光部材ガイド壁16の仮係止孔16aとの係合により、前記遮光部材30に加えて前記第1操作ノブ20および第2操作ノブ120が表示パネル部10の後側に拘束される。
【0054】
次に、前記LED50c等を実装しておいた回路基板40を前記上側保持部4aおよび下側保持部104aに取り付ける。この工程では、まず、前記LED50cが前記表示部12とそれぞれ対向し前記遮光部材本体32の各壁32a、32b、32c、32dで囲まれた領域に収容されるとともに、前記スイッチ素子60、160が前記第1操作ノブ20および第2操作ノブ120とそれぞれ対向するように、回路基板40を上側保持部4aと下側保持部104aの後端面に沿って配置する。そして、基板係止用ねじ4c、104cを、回路基板40の前記被係止用孔41、141に挿通させた後、前記上側保持部4aおよび下側保持部104aの係止用ネジ孔に締結する。このとき、回路基板40は前記遮光部材本体32の後端面32eを前方に押圧し、押圧された遮光部材本体32の前端面33c、33dによって糸リブ39c、39dが表示パネル部10の後側面10aに押し付けられる。これにより、糸リブ39c、39dは表示パネル部10と遮光部材本体32との離間距離に応じて圧縮変形して表示パネル部10の後側面10aに密着する。
【0055】
このようにして、本表示装置1では、前記パネル2と回路基板40との間の距離にばらつきがあっても、糸リブ39c、39dの圧縮変形によりこのばらつきが吸収され表示パネル部10と遮光部材本体32との隙間が密閉される。
【0056】
ここで、糸リブ39c、39dは、遮光部材本体32のうち上壁32cと下壁32dとにのみ設けられているので、遮光部材本体32の前端面全てすなわち右壁32aと左壁32bとにも糸リブが設けられている場合に比べて、糸リブ39c、39dに圧縮応力が集中する分、これら糸リブ39c、39dの圧縮変形が容易になる。また、糸リブ39c、39dは、その幅が前方に向かうほどすなわち先端に向かうほど小さくなっており、このことも糸リブ39c、39dの変形を促進する。
【0057】
以上のように組みつけられた表示装置1では、前記LED50cが前記遮光部材本体32の各壁32a、32b、32c、32dで囲まれた領域に収容されるとともに、糸リブ39c、39dによって遮光部材本体32と表示パネル部10aとの隙間が密閉されることで、このLED50cの光が前記表示部12以外の部分、特に第1操作ノブ20および第2操作ノブ120側に漏えいするのが抑制されて、表示パネル部10が適切に照明される。
【0058】
ここで、糸リブ39c、39dの具体的形状は前記に限らない。例えば、突出方向についてその幅が一定であってもよい。
【0059】
また、糸リブ39c、39dは、遮光部材本体32の前端面全体に設けられていてもよい。
【0060】
また、遮光部材本体32および糸リブ39c、39dの材料は前記に限らない。
【0061】
また、回路基板40をパネル2に保持するための具体的構造は前記に限らない。例えば、回路基板40に係止突起が設けられている一方パネル2に係止用孔が形成されており、この係止突起が係止用孔に係止されるような構造であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 表示装置
2 パネル
10 表示パネル部
12 表示部
20 第1操作ノブ(操作部材)
30 遮光部材
32 遮光部材本体
39c 糸リブ(突出部)
39d 糸リブ(突出部)
40 回路基板
50c LED(照明用光源)
60 スイッチ素子
120 第2操作ノブ(操作部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明機能を有する表示装置であって、
照明用光源が実装された回路基板と、
透光性を有して前記照明用光源により後方から照明されることが可能な表示部を含む表示パネル部と、この表示パネル部から後方へ離間した位置に前記回路基板を保持する基板保持部とを有するパネルと、
前記回路基板の前側面と前記表示パネル部の後側面との間に介在する遮光部材とを備え、
前記遮光部材は、前記表示パネル部側から前記回路基板側に向かって延びて前記照明用光源から前記表示部に至る光路を囲む筒状を有するとともに軸方向両側に前端面および後端面を有する遮光部材本体と、この遮光部材本体の前端面の少なくとも一部の領域に当該前端面に沿って延びるように形成され、当該前端面の幅よりも小さい幅を有するとともに当該前端面から前記表示パネル部側に向かって突出する突出部とを有し、
前記遮光部材本体は、その前端面から後端面までの距離に相当する軸方向寸法が、前記表示パネル部の後側面から前記基板保持部により保持された状態の前記回路基板の前側面までの離間距離よりも小さい形状を有し、
前記突出部は、前記遮光部材本体の後端面が前記回路基板の前側面に接触した状態でこの遮光部材本体の前端面と前記表示パネル部の後側面との間に形成される隙間の寸法よりも大きな突出寸法を有し、これらの寸法同士の差に相当する分だけ圧縮変形した状態で前記表示パネル部の後側面に密着することが可能な形状を有することを特徴とする照明機能を有する表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明機能を有する表示装置において、
前記パネルは、前記表示パネル部の表示部と隣接する位置にて当該表示パネル部に取付けられる操作部材を有し、
前記遮光部材本体は、前記表示パネル部側から前記回路基板側に向かって延びて前記照明用光源から前記表示部への光路を囲むように並ぶ複数の側壁を有し、
前記突出部は、前記側壁のうち少なくとも前記操作部材と前記表示部との境界部分に配置される側壁の前端面に沿って延びる形状を有することを特徴とする照明機能を有する表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の照明機能を有する表示装置において、
前記突出部は、前記側壁のうち前記操作部材に最も近い位置に配置される側壁の前端面のみに形成されることを特徴とする照明機能を有する表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明機能を有する表示装置であって、
前記突出部は、前記遮光部材本体側から前記表示パネル部側に向かうに従って幅が小さくなる形状を有することを特徴とする照明機能を有する表示装置。
【請求項5】
照明機能を有する表示装置を製造するための方法であって、
透光性を有して照明用光源により後方から照明されることが可能な表示部を含む表示パネル部と、この表示パネル部から後方へ離間した位置に回路基板を保持する基板保持部とを有するパネルを製造する工程と、
前記パネルとは別の遮光性を有する部材により、前記表示パネル部側から前記回路基板側に向かって延びて前記照明用光源から前記表示部に至る光路を囲む筒状を有するとともに軸方向両側に前端面および後端面を有する遮光部材本体と、この遮光部材本体の前端面の少なくとも一部の領域に当該前端面に沿って延びるように形成され、当該前端面の幅よりも小さい幅を有するとともに当該前端面から前記表示パネル部側に向かって突出する突出部とを有する遮光部材を製造する工程と、
前記照明用光源を前記回路基板に実装する工程と、
前記遮光部材を前記回路基板の前側面と前記表示パネル部の後側面との間に介在させた状態で前記基板保持部に前記回路基板を保持させる工程とを含み、
前記遮光部材を製造する工程では、前記遮光部材の前記前端面から後端面までの距離に相当する軸方向寸法を前記表示パネル部の後側面から前記基板保持部により保持された状態の前記回路基板の前側面までの離間距離よりも小さくするとともに、前記突出部の突出寸法を前記遮光部材本体の後端面が前記回路基板の前側面に接触した状態でこの遮光部材本体の前端面と前記表示パネル部の後側面との間に形成される隙間の寸法よりも大きくする工程を含み、
前記基板保持部に前記回路基板を保持させる工程では、前記回路基板により前記遮光部材本体の後端面を前記表示パネル部側に押圧させることで、この遮光部材本体の前端面と前記表示パネル部の後側面との間で前記突出部を圧縮変形させてこの突出部を前記表示パネル部の後側面に密着させることを特徴とする照明機能を有する表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−224005(P2010−224005A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68314(P2009−68314)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】