説明

照明点灯装置および照明器具

【課題】周囲にいる人に不安感を与えたり、安全性が低下することなく、照明器具の寿命末期を報知できる照明点灯装置および照明器具を提供する。
【解決手段】照明点灯装置1は、放電灯Laに点灯電力を供給して放電灯Laを点灯させる点灯回路部2と、点灯回路部2の累積動作時間を計時するタイマ31と、光源以外の構成部品の寿命末期を複数段階で判定するために複数の判定時間が設定され、累積動作時間が各判定時間に達する毎に、対応する寿命末期段階の寿命判定信号を発生する寿命判定部32と、寿命判定部32から寿命判定信号が入力されると、点灯回路部2の出力を変化させることによって、対応する寿命末期段階を報知する報知動作を行う報知部4と、寿命判定部32に設定された各寿命末期段階の判定時間を、時間軸上でそれぞれ個別に変化させることによって、複数の照明点灯装置間で各判定時間に分布を持たせる判定時間調整部33とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明点灯装置および照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、照明器具として、放電灯、白熱灯或いはLEDからなる光源を照明点灯装置で点灯させるものが提供されていた。このような照明器具では、長期間の使用によって光源の寿命が近付くと、光源が点灯しなくなる、点灯しにくくなる、或いは従来の明るさが確保できなくなるといった現象が発生するので、これらの現象から使用者は光源の寿命末期を容易に知ることができ、光源を交換することになる。
【0003】
一方、光源を点灯させる照明点灯装置や器具本体にも耐用年数(いわゆる寿命)が存在し、長期間の使用によって、照明点灯装置や器具本体を構成する金属部品の疲労や酸化、樹脂部品の劣化や変色や破損、点灯回路を構成する回路部品の劣化や絶縁抵抗の低下などの現象が発生する。このように、光源を点灯させる照明点灯装置や器具本体の側にも寿命は存在するが、照明点灯装置や器具本体の寿命が近付いていても、光源が正常に点灯している場合、ユーザは照明点灯装置や器具本体の寿命に気付かずに、そのまま使用し続けることが多い。照明点灯装置や器具本体が寿命を越えて使用され続けると、照明器具としての適正な性能が得られないばかりか、劣化した部位によっては器具本体の破損や落下などが起こる可能性があった。
【0004】
照明器具のように光源と照明点灯装置の両方で照明機能を実現する電気機器とは異なり、単体で所定の機能を実現する電子機器、例えばテレビ受像機では、種々の部品の劣化によってテレビ視聴に関する性能(例えば画像の鮮明度、色再現性、音品質など)が悪化すると、テレビ受像機自体が劣化したと判断できるが、照明点灯装置が光源を点灯させることで照明機能を実現する照明器具の場合、照明点灯装置の寿命末期を、光源の寿命末期と区別して判別することは難しかった。このため、ユーザにとって照明点灯装置の劣化度合いが理解しにくく、耐用年数が例えば10年の照明点灯装置が10年以上、場合によっては数十年にわたって使用され続ける場合があった。
【0005】
そこで、照明点灯装置が光源を点灯させる累積点灯時間をカウンタで積算し、累積点灯時間が所定時間を越えたことで照明点灯装置や器具本体の寿命末期を検出する手段を備えた照明器具が従来提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
【0006】
上記特許文献1,2に開示された照明器具では、カウンタで積算された累積点灯時間が所定時間に達すると照明点灯装置や器具本体の寿命末期を報知しており、寿命末期時に電子部品や構造部材の劣化によって電子部品が異常発熱したり、構造部材が破損するといった現象が発生する前に、光源を消灯させる保護動作を行うことが可能になるので、安全性を向上させることができる。
【0007】
しかしながら、このような照明器具が例えばトンネル内に複数台設置された場合を考えると、各々の照明器具が備えるカウンタは、所定の発振周波数のクロック信号をカウントしているので、カウント値のばらつきは少なく、したがって、同時期に設置された複数の照明器具では、同時期に累積点灯時間が所定時間に達するものと予想される。そのため、複数の照明器具で一斉に保護動作(光源の消灯動作)が行われることになり、設置場所付近の明るさが予告無く失われることで、周囲にいる人やユーザに不安感を与えたり、照明が失われることで安全性が低下するという問題があった。
【0008】
そこで、特許文献3に開示されているような、カウンタに乱数を用いる方法を適用し、器具寿命を判定するタイミングを複数の照明器具の間で故意にばらつかせることによって、複数の照明器具で一斉に保護動作(光源の消灯動作)が行われるのを防止することが考えられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−333687号公報
【特許文献2】特開2006−236664号公報
【特許文献3】特開平11−191168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述した特許文献1,2の照明器具は、寿命に達した時点で保護動作を行っているが、寿命よりも短い時点で報知動作を行う機能は備えていなかった。また特許文献1,2の照明器具において、特許文献3に開示されたカウンタに乱数を用いる方法を採用して、報知動作を行うタイミングを変化させた場合には、複数の照明器具が一斉に消灯するのを防止することは可能であるが、累積点灯時間が寿命時間に達すると、複数の照明器具が前触れもなく順番に消灯されてしまうため、周辺にいる人やユーザに対して不安感や不快感を与えてしまうという問題はあった。
【0011】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、周囲にいる人に不安感を与えたり、安全性を低下させたりすることなく、照明器具の寿命末期を報知できる照明点灯装置および照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、光源に点灯電力を供給して当該光源を点灯させる点灯回路部と、点灯回路部の累積動作時間を計時する計時部と、光源以外の構成部品の寿命末期を複数段階で判定するために複数の判定時間が設定され、累積動作時間が各判定時間に達する毎に、対応する寿命末期段階の寿命判定信号を発生する寿命判定部と、寿命判定部から寿命判定信号が入力されると、対応する寿命末期段階を報知する報知動作を行う報知部と、寿命判定部に設定された各寿命末期段階の判定時間を、時間軸上でそれぞれ個別に変化させることによって、複数の照明点灯装置間で各判定時間に分布を持たせる判定時間調整部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、判定時間調整部は、複数段階の判定時間のうち、最初の判定時間の分布と、最後の判定時間の分布が時間軸上で重ならないように、両判定時間を変化させたことを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、判定時間調整部は、各判定時間の時間的な分布幅が、相対的に早い判定時間の時間的な分布幅以上となるように、各判定時間を変化させたことを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1つの発明において、点灯回路部によって点灯される光源が、無電極放電灯、発光ダイオード又は有機EL発光素子の何れかであることを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明は照明器具であって、請求項1乃至4の何れか1項に記載の照明点灯装置と、当該照明点灯装置で点灯される光源とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、寿命に達する前に複数の寿命末期段階で報知動作が行われるので、安全面を考慮して末期の報知動作で光源を消灯させる場合でも、前触れ無く光源が消灯されることはないから、照明機能が突然失われることで周囲にいる人やユーザに不安感を与えたり、安全性が低下したりするのを防止できる。またユーザが現在の寿命末期段階を認識することで、寿命に達するよりも前に照明点灯装置を交換するなどの対応をとることが可能になる。さらに、判定時間調整部は、各寿命末期段階の判定時間を時間軸上でそれぞれ個別に変化させているので、複数の照明点灯装置が設置されている場合でも、複数の照明点灯装置が一斉に報知動作を行うことはなく、例えばランプ光束を低下させることで報知動作を行う場合でも、複数の照明点灯装置がランプ光束を一斉に低下させることがないから、周囲にいる人やユーザに不安感を与えたり、安全性が低下したりすることがなく、またランプ光束の低下が電源異常によるものと誤認されるのを防止できる。
【0018】
請求項2の発明によれば、同時期に設置された複数の照明点灯装置の間では、最初の判定時間に達するタイミングと、最後の判定時間に達するタイミングが時間軸上で重ならないから、何れかの照明点灯装置で最後の寿命末期段階を報知する報知動作が行われるよりも前に、全ての照明点灯装置で最初の寿命末期段階を報知する報知動作が行われることになり、寿命が近付いて交換の必要がある照明点灯装置の数を事前に把握することができるので、寿命に備えて代替品を準備するなどの対応をとることができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、各判定時間の時間的な分布幅は、相対的に早い判定時間の時間的な分布幅以上に設定されており、各判定時間の時間的な分布幅が同じ場合には、報知部の報知動作を受けて、次の段階の判定時間の分布幅を予測できるから、照明点灯装置の寿命末期状態に対して事前の対応がとりやすくなる。また、各判定時間の時間的な分布幅が、相対的に早い判定時間の時間的な分布幅よりも大きい場合には、照明機能の低減幅が大きい後段階の報知動作(つまり寿命に近い段階での報知動作)ほど、複数の照明点灯装置の間で報知動作を開始するタイミングがばらつくので、照明空間全体の明るさがその分だけゆっくりと低下させられるから、安全性を確保しつつ、複数の照明点灯装置に順次報知動作を行わせることができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、発光ダイオード又は有機EL発光素子といった固体光源や無電極放電灯のような光源は電極をもたないため、長時間使用した場合でも不点状態とならず、累積動作時間が照明点灯装置の寿命を越えても、そのまま使用され続ける可能性がある。また光源が長寿命であるために、長期間メンテナンスが行われず、照明点灯装置の回路部品や機構部品の劣化にユーザが近付くのが遅れる可能性もある。また光源のメンテナンス時期に照明点灯装置の点検も行う場合、長期間の使用によって性能が低下した照明点灯装置が少数であれば、次回のメンテナンス時期まで待って照明点灯装置を交換してもよいが、長寿命の光源の場合はメンテナンス間隔が長くなるので、次回のメンテナンス時期までに複数の照明点灯装置で一斉に報知動作が行われると、急遽予定を変更して照明点灯装置の交換を行わねばならないという不便が生じることになり、本発明では、光源として無電極放電灯、発光ダイオード又は有機EL発光素子といった長寿命の光源を用いる場合に特に効果を発する。
【0021】
請求項5の発明によれば、上述した照明点灯装置を用いることによって、より安全な照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態1の回路図である。
【図2】(a)は複数の照明点灯装置の動作状態を説明する説明図、(b)は複数の照明点灯装置で各寿命末期段階の報知動作を開始するタイミングを示した図、(b)は照明エリア全体での照明レベルの変化を示す説明図である。
【図3】実施形態2の回路図である。
【図4】同上の各寿命末期段階を判定する判定時間の分布を示す図である。
【図5】実施形態3の回路図である。
【図6】同上の各寿命末期段階を判定する判定時間の分布を示す図である。
【図7】実施形態4を示し、各寿命末期段階を判定する判定時間の分布を示す図である。
【図8】実施形態5を示し、各寿命末期段階を判定する判定時間の分布を示す図である。
【図9】実施形態6を示し、各寿命末期段階を判定する判定時間の分布を示す図である。
【図10】実施形態7を示し、各寿命末期段階を判定する判定時間の分布を示す図である。
【図11】実施形態8の照明器具を示し、カプラに無電極放電灯を装着した状態の断面図である。
【図12】同上のカプラ及び照明点灯装置を示す外観斜視図である。
【図13】同上の具体例を示す一部破断せる断面図である。
【図14】同上の他の具体例を示す外観図である。
【図15】同上のまた別の具体例を示し、(a)は正面図、(b)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
(実施形態1)
本発明の実施形態1を図1及び図2に基づいて説明する。図1は本実施形態の照明点灯装置1の回路図であり、この照明点灯装置1は、放電灯Laに点灯電力を供給する点灯回路部2と、寿命判定ブロック3と、報知部4とを主要な構成として備えている。この照明点灯装置1と、照明点灯装置1によって点灯される放電灯Laとを、器具本体(図示せず)に保持させることで照明器具が構成される。尚、本照明器具の構成及び動作は、寿命判定ブロック3及び報知部4を除いて、特開2006−236635号公報に開示された照明器具と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0025】
点灯回路部2は、商用交流電源ACを全波整流するダイオードブリッジからなる整流器DB1と、整流器DB1の出力を平滑して所定の電圧値の直流電圧に変換するチョッパ回路21と、チョッパ回路21の出力をスイッチングして交流電圧に変換するハーフブリッジ構成のインバータ回路22と、コンデンサC2及びインダクタL2の直列回路からなり、インバータ回路22の出力端間に放電灯Laを介して接続されるLC共振回路23と、放電灯Laの両端間に接続される予熱用のコンデンサC3と、チョッパ回路21及びインバータ回路22が備えるスイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路24とを備える。
【0026】
ここで、チョッパ回路21は、整流器DB1の出力端間に接続されるインダクタL1及びスイッチング素子Q3の直列回路と、スイッチング素子Q3の両端間に接続されるダイオードD1及び平滑コンデンサC1の直列回路とで構成される昇圧型のチョッパ回路からなり、スイッチング素子Q3が制御回路24からの制御信号に応じてオン/オフすることで、平滑コンデンサC1の両端間に所定の電圧値の直流電圧が発生する。
【0027】
インバータ回路22は、平滑コンデンサC1の両端間に接続されるスイッチング素子Q1,Q2の直列回路からなり、ローサイドのスイッチング素子Q2の両端間に共振回路23と放電灯Laとが接続されている。スイッチング素子Q1,Q2は、制御回路24からの制御信号によって高周波で交互にオン/オフされ、チョッパ回路21の直流出力を高周波に変換して放電灯Laに供給し、放電灯Laを高周波点灯させる。尚、スイッチング素子Q1〜Q3はMOSFETで構成されているが、バイポーラトランジスタなどのスイッチング素子で構成されてもよい。
【0028】
寿命判定ブロック3は、整流器DB1の交流入力端子間に接続されて、商用交流電源ACの電源電圧を分圧する抵抗R1,R2の直列回路、抵抗R2の両端電圧を全波整流するダイオードブリッジからなる整流器DB2及び整流器DB2によって整流された電圧を平滑する平滑コンデンサC4からなる制御電源用降圧回路30と、タイマ31(計時部)と、寿命判定部32と、判定時間調整部33と、平滑コンデンサC4の出力を安定化してタイマ31、寿命判定部32、判定時間調整部33及び報知部4に電源を供給する三端子レギュレータIC34とを備える。尚、タイマ31、寿命判定部32、判定時間調整部33及び報知部4は、1つのマイクロコンピュータの演算機能によって構成されている。
【0029】
タイマ31は、平滑コンデンサC4の両端電圧が所定の基準電圧以上となる期間を計時することによって、点灯回路部2の累積動作時間を計時する。タイマ31は、累積動作時間を記憶する不揮発性メモリ(EEPROMなど)を備えている。そして、照明点灯装置1への電源供給を入切する電源スイッチ(図示せず)がオンになり、点灯回路部2に電源が供給されると、タイマ31は、不揮発性メモリから前回までの累積動作時間を読み出して、前回までの累積動作時間から計時動作を再開する。タイマ31は、電源が投入されている間中(平滑コンデンサC4の両端電圧が基準電圧以上となる間)、累積動作時間の計時を継続し、電源スイッチがオフされて電源供給が遮断されると、計時後の累積動作時間を不揮発性メモリに格納させて計時動作を終了する。
【0030】
寿命判定部32には、光源以外の構成部品(すなわち照明点灯装置1及び器具本体を構成する電子部品や機構部品)について、寿命末期を複数段階で判定するために、各寿命末期段階にそれぞれ対応した複数の判定時間が設定されており、タイマ31によって計時された累積動作時間が各判定時間に達する毎に、対応する寿命末期時期の寿命判定信号を発生して、当該寿命判定信号を報知部4に出力する。
【0031】
図2(a)〜(c)は寿命末期時の報知作を説明する説明図であり、本実施形態では、光源以外の構成部品について、初期の寿命末期段階に対応した判定時間T1と、末期の寿命末期段階に対応した判定時間T2(T1<T2)が、寿命判定部32に設定されている。尚、図2(b)は各照明点灯装置1a〜1eが報知動作を開始するタイミングを示し、初期段階の寿命末期状態に対応する判定時間T1の時間的な分布幅はdT1、末期段階の寿命末期状態に対応する判定時間T2の時間的な分布幅はdT2となっている。
【0032】
図2(a)は各照明点灯装置1a〜1eの動作状態を示しており、タイマ31によって計時された累積動作時間が判定時間T1に達するまでの間(期間α)は、制御回路24が放電灯Laを100%点灯させ、累積動作時間が判定時間T1に達すると、寿命判定部32が初期の寿命末期時期を示す寿命判定信号を報知部4に出力し、この寿命判定信号を受けて報知部4の発振周波数制御部43が点灯回路部2の発振周波数を変化させ、放電灯Laのランプ光束を約67%まで低下させることによって寿命が近付いていることを報知する(図2(a)の期間β)。
【0033】
判定時間調整部33は、寿命判定部32に設定されている判定時間T1,T2の設定値(中央値)を、時間軸上でそれぞれ個別に変化させることによって、複数の照明点灯装置1の間で個々の判定時間T1,T2に分布を持たせている。ここで、各々の判定時間T1,T2を時間軸上で変化させる変化幅は、照明器具の代替品を人が用意できる程度の時間幅に設定されている。
【0034】
報知部4は、間欠発振制御部4aと調光部4bと発振周波数制御部4cとを備え、タイマ31からの寿命判定信号に応じた制御信号を点灯回路部2の制御回路24に出力することで、制御回路24が放電灯Laに供給する電力を変化させ、点灯回路部2及び器具本体の寿命時期を報知する報知動作が行われる。ここで、判定時間T1に達した時点での報知動作は、寿命時期の前段階で寿命が近付いていることを報知することを目的としており、できるだけ照明機能が失われないように、調光部4bが制御回路24に調光信号を出力して、放電灯Laのランプ光束を100%から約67%に低下させている。
【0035】
尚、本実施形態ではランプ光束を低下させることによって末期段階以前の寿命末期状態を報知しているが、ランプ光束を低下させる以外に、電源のオン時又はオフ時に放電灯Laを一定時間点滅させたり、周期的または非周期的に放電灯Laをちらつかせたり、弱くちらつかせたり、軽く光出力を変化させたり、これらの動作を複合して行わせることが考えられる。また末期段階以前の寿命末期状態を報知中に、放電灯Laをちらつかせたり、光出力を絶えず変化させる場合、このような動作を周期的に行うと、複数の照明点灯装置1a〜1eで報知動作が開始された場合には、電源投入後に同じタイミングでちらついたり、光出力が変化させられるといった現象が起こり、このような現象が続くとユーザの不安感をあおったり、場合によっては電源異常が疑われる可能性もあるが、複数の照明点灯装置1a〜1eの間で放電灯Laをちらつかせるタイミングや、光出力の変化のさせ方に乱数を用いれば、放電灯Laが同じタイミングでちらついたり、光出力が変化させられるといった現象を改善させることができる。
【0036】
一方、累積動作時間が判定時間T2に達した後(図2(a)の期間γ)の報知動作は、寿命に達した照明点灯装置1や器具本体が不安全状態(安全が確保されない状態)で動作し続けるのを防止するために保護動作を行うことを目的としており、発振周波数制御部4cが発振動作を停止させることによって、放電灯Laを消灯させている。このように、末期段階の寿命末期状態を報知する報知動作として、放電灯Laを消灯させたり、点灯回路部2を停止させるといった保護動作を行えば、点灯回路部2や器具本体のそれ以上の劣化を抑制して安全性を向上させることができる。尚、放電灯Laを消灯させる代わりに、光出力を著しく低下させた状態で点灯させるか、或いは、光出力を著しく低下させた状態で周期的に点灯させるなどして、照明点灯装置1の消費電力を0又は0に近付けることでも、点灯回路部2や器具本体の劣化を極力抑えられるから、照明点灯装置1や器具本体が不安全状態となるのを防止することができる。
【0037】
また本実施形態では、報知部4が、初期段階の寿命末期状態に応じた報知動作で放電灯Laのランプ光束を低下させた後、末期段階の寿命末期状態に応じた報知動作で放電灯Laを消灯させているが、初期段階の寿命末期状態では放電灯Laのランプ光束を低下させるとともに、末期段階の寿命末期状態ではランプ光束を大きく低下させてもよいし、初期段階の寿命末期状態では放電灯Laをたまにちらつかせるとともに、末期段階の寿命末期状態では放電灯Laを消灯又は頻繁にちらつかせてもよい。また報知部4が、初期段階の寿命末期状態では放電灯Laを弱くちらつかせるとともに、末期段階の寿命末期状態では放電灯Laを消灯又は強くちらつかせてもよいし、初期段階の寿命末期状態では軽く光出力変化を続けるとともに、末期段階の寿命末期状態では放電灯Laを消灯又は強く光出力変化を続けても良く、上述の報知動作を複合して行うようにしてもよい。
【0038】
尚、本実施形態の照明点灯装置1が1台だけ設置された場合でも、末期段階の寿命末期状態を報知する報知動作が行われる前に、1乃至複数の段階で寿命末期状態の報知動作が行われることになり、照明点灯装置1や器具本体の寿命が近付いていることを報知できるので、寿命に達するよりも前の時点で照明点灯装置1や器具本体を交換するなどの対応をとることができ、安全性を向上させることができる。
【0039】
また、末期段階以前の報知動作では光出力を段階的に低下させ、末期段階の報知動作では消灯させているので、累積動作時間が寿命時期に近付くにつれ、全ての照明点灯装置1の光出力を徐々に低下させるものと違って、報知動作が開始された照明器具と、報知動作を行っていない他の照明器具との間でランプ光束の違いを目立たせることができ、寿命報知動作を行っているか否かを容易に判別できる。尚、本実施形態で用いられる光源は、段調光が可能な光源であればよい。
【0040】
ここにおいて、本実施形態では、判定時間調整部33が、各段階の判定時間T1,T2を時間軸上でそれぞれ個別に変化させており、初期段階の寿命末期状態を判定する判定時間T1の場合は乱数を用いて変化させている。乱数を用いて判定時間T1を変化させる方法としては、特開平11−191168号公報に開示されるような方法で変化させてもよいが、タイマ31がクロック信号をカウントして計時する際に、判定時間調整部33が、タイマ31による毎回のカウントもしくは数回に1回のカウント時にカウント量をランダムに変化させて、判定時間T1に達するまでの実時間をばらつかせてもよいし、照明点灯装置1に初めて電源を投入(初期使用時)してから、所定時間が経過するまでの間に、判定時間調整部33が乱数を発生させ、この乱数に基づいて判定時間T1を変化させてもよい。
【0041】
一方、判定時間調整部33が、末期段階の寿命末期状態を判定する判定時間T2を変化させる方法としては、判定時間T1と同様、乱数を用いて変化させてもよいが、複数台の照明点灯装置1a〜1eで、判定時間T1の短い順番と、判定時間T2の短い順番が同じ順番になるように、判定時間T2を変化させている。したがって、複数台の照明点灯装置1a〜1eが同時期に設置されて、同じ期間だけ使用される場合には、照明点灯装置1a〜1eは、初期段階の寿命末期状態を報知する動作を行った順番で、末期段階の寿命末期状態を報知する動作を行うことになり、初期段階の報知動作が開始された順番をもとに、照明点灯装置1a〜1eを消灯させる保護動作がどの順番で行われるかを予想することができる。
【0042】
また判定時間調整部33では、初期段階の寿命末期状態に対応する判定時間T1の分布幅dT1よりも、末期段階の寿命末期状態に対応する判定時間T2の分布幅dT2を大きくしてあり(図2(b)参照)、寿命時報知動作では照明機能が失われるため、安全面で問題があるが、複数の照明点灯装置1a〜1eが前段階報知動作に移行するよりも、長い時間をかけて順番に消灯させているので、全ての照明点灯装置1a〜1eが保護動作によって消灯するまでの時間を延ばすことができるから、安全性が向上し、その間に照明点灯装置1a〜1eの交換などの対応を取ることができる。
【0043】
このように報知部4では、寿命に達する前に複数の寿命末期段階で報知動作が行っているので、安全面を考慮して末期の報知動作で光源を消灯させる場合でも、前触れ無く光源が消灯されることはないから、照明機能が突然失われることで周囲にいる人やユーザに不安感を与えたり、安全性が低下したりするのを防止できる。またユーザが現在の寿命末期段階を認識することで、寿命に達するよりも前に照明点灯装置1を交換するなどの対応をとることが可能になる。さらに、判定時間調整部33は、各寿命末期段階の判定時間T1,T2を時間軸上でそれぞれ個別に変化させているので、複数の照明点灯装置1が設置されている場合でも、複数の照明点灯装置1が一斉に報知動作を行うことはなく、例えばランプ光束を低下させることで報知動作を行う場合でも、複数の照明点灯装置がランプ光束を一斉に低下させることがないから、周囲にいる人やユーザに不安感を与えたり、安全性が低下したりすることがなく、またランプ光束の低下が電源異常によるものと誤認されるのを防止できる。
【0044】
また、図2(c)は照明点灯装置1a〜1eが設置された照明エリア全体での照明レベルを示しており、全ての照明点灯装置1a〜1eが100%点灯した状態を100%、全ての照明点灯装置1a〜1eが消灯した状態を0%として、保護動作が行われる前後での照明レベルの変化を示している。ここで、各々の照明点灯装置1a〜1eにおいて、判定時間調整部33が判定時間T1,T2を個別に変化させることによって、判定時間T1,T2の時間的な分布幅dT1,dT2が調整されることになり、末期段階の報知動作が順番に開始される期間Bにおいて照明機能が低下する割合を、初期段階の報知動作が順番に行われる期間Aにおいて照明機能が低下する割合と同程度に制限されるので、期間Bに明るさが急激に失われるのを防いで、安全性を向上させることができる。
【0045】
(実施形態2)
本発明の実施形態2を図3及び図4に基づいて説明する。図3は本実施形態の照明点灯装置1の回路図であり、この照明点灯装置1は、透明な球状のガラスバルブ又は内壁面に蛍光体が塗布された球状のガラスバルブ内に不活性ガス、金属蒸気などの放電ガス(例えば、水銀蒸気および希ガス)が封入された無電極放電灯Laを点灯するために用いられる。この照明点灯装置1aは、商用交流電源ACを全波整流するダイオードブリッジからなる整流器DB1と、整流器DB1の出力を平滑して所定の電圧値の直流電圧に変換するチョッパ回路21と、チョッパ回路21の直流出力を高周波出力に変換して無電極放電灯Laに近接配置された誘導コイル25に供給するインバータ回路22と、無電極放電灯Laの始動時にインバータ回路22の出力電圧を徐々に上昇させて無電極放電灯Laを始動させる始動回路26と、インバータ回路22の出力電圧を検出する電圧検出回路27と、制御回路28と、実施形態1で説明した寿命判定ブロック3及び報知部4を備えている。尚、本回路の構成及び動作は、寿命判定ブロック3及び報知部4を除いて、特開2005−158464号に開示された無電極放電灯点灯装置と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0046】
チョッパ回路21は、整流器DB1の出力端間に接続されるインダクタL1及びスイッチング素子Q3の直列回路と、スイッチング素子Q3の両端間に接続されるダイオードD1及び平滑コンデンサC1の直列回路とで構成される昇圧型のチョッパ回路からなり、駆動回路24aがスイッチング素子Q3のオン/オフを制御することで、平滑コンデンサC1の両端間に所定の電圧値の直流電圧が発生する。
【0047】
インバータ回路22は、平滑コンデンサC1の両端間に直列接続された、電界効果トランジスタからなる一対のスイッチング素子Q1,Q2を具備し、ローサイドのスイッチング素子Q2の両端間にインダクタLs、コンデンサCp,Csからなる共振回路が接続された所謂ハーフブリッジ型のインバータ回路で構成される。スイッチング素子Q1,Q2は、駆動回路24bから出力される矩形波パルス信号VDH,VDLによって交互にスイッチングすることで共振回路を介して誘導コイル25に高周波出力を供給し、放電灯Laを点灯させる。
【0048】
電圧検出回路27は整流用のダイオード、分圧用の抵抗、平滑用のコンデンサ等からなり、出力電圧Vxに応じた直流電圧である検出電圧Vxsを始動回路26に出力する。
【0049】
制御回路28は、オペアンプOP2に入力抵抗等を接続してなり、基準電圧Vrefと電流検出回路(スイッチング素子Q1,Q2に直列接続された抵抗R6からなる)の検出電圧VRdの差分を増幅する誤差増幅器(差動増幅器)と、抵抗を介してオペアンプOP2の出力端子にカソードが接続されたダイオードD12とを具備する。オペアンプOP2は、基準電圧Vrefが非反転端子に入力されるとともに、反転端子と出力端子の間に抵抗R5とコンデンサC12の並列回路からなる遅延回路が接続されている。
【0050】
一方、始動回路26は、チョッパ回路21の出力電圧Vdcを降圧・安定化して得られる動作電圧Vdにより感温抵抗R3を介して充電されるコンデンサC11と、オペアンプOP1に入力抵抗および帰還抵抗を接続してなり、コンデンサC11の両端電圧Vc1と電圧検出回路27の検出電圧Vxsの差分を増幅する誤差増幅器と、コンデンサC11と並列に接続された分圧抵抗R4と、コンデンサC11と並列に接続された放電用のスイッチSWとを具備し、抵抗R3とコンデンサC11からなる充電回路の時定数(=抵抗R3の抵抗値とコンデンサC11の容量値の積)に応じて出力電圧が徐々に上昇するものである。また始動回路26の誤差増幅器を構成するオペアンプOP1の出力端子にも抵抗を介してダイオードD11のカソードが接続されており、2つのダイオードD1,D2のアノードが駆動回路24bの入力端子に並列接続されている。
【0051】
ここで、駆動回路24bの入力端子には定電圧(入力端子電圧)が印加されており、始動回路26の誤差増幅器の出力電圧(オペアンプOP1の出力端子電圧)が駆動回路24bの入力端子電圧よりも小さいときにダイオードD11が導通してその電位差に応じた第1の制御電流Iswが流れるとともに、制御回路28の誤差増幅器の出力電圧(オペアンプOP2の出力端子電圧)が駆動回路24bの入力端子電圧よりも小さいときにダイオードD12が導通してその電位差に応じた第2の制御電流Ifbが流れる。故に、駆動回路24bの入力端子から流れ出る制御電流Ioの大きさは第1および第2の制御電流Isw,Ifbの和となる。
【0052】
一方、駆動回路24bは発振器を具備しており、入力端子から始動回路26並びに制御回路28の出力端子へ流れる制御電流Ioに応じて発振器の発振周波数を変化させ、制御電流Ioに比例して駆動信号VDH,VDLの周波数(動作周波数)を増減している。ここでは、始動回路26並びに制御回路28の誤差増幅器の出力電圧が大きくなるほど、駆動信号VDH,VDLの動作周波数が低下するように制御される。
【0053】
次に、本点灯装置の動作について説明する。商用交流電源ACからチョッパ回路21への電源供給が開始され、寿命判定ブロック3及び報知部4が動作を開始すると、報知部4がスイッチSWをオンからオフに切り替える。この時、チョッパ回路21からの電圧供給に応じて動作電圧Vdが生成され、動作電圧VdによってコンデンサC11が充電されて、始動回路26の出力電圧Vfが徐々に上昇する。出力電圧Vfの上昇に伴って駆動回路24bから出力される駆動信号VDH,VDLの周波数(インバータ回路22の動作周波数)が初期値(始動開始周波数)から徐々に減少する。ここで、始動開始周波数は、無負荷時の共振周波数よりも十分に高い周波数に設定されており、動作周波数が始動開始周波数のときのインバータ回路22の出力電圧Vxは低い電圧に抑えられている。そして、駆動回路24bでは、始動回路26の出力電圧Vfの上昇に伴って動作周波数を徐々に低下させており、動作周波数が所定の始動周波数に達するとインバータ回路22の出力電圧Vxが始動電圧に達し、無電極放電灯Laが点灯する。この時、インバータ回路22の出力特性が、無電極放電灯Laが消灯している状態(無負荷時)の特性曲線から、無電極放電灯Laが点灯した状態(点灯時)の特性曲線に切り替わることによって、インバータ回路22の出力電圧が下降し、さらに無電極放電灯Laが点灯した後も始動回路26は動作周波数を始動終了周波数まで減少させて、無電極放電灯Laを安定点灯させる。
【0054】
次に、寿命末期の報知動作について説明する。寿命判定ブロック3は、照明点灯装置1及び器具本体の寿命を考慮し、各々が不安全モードとなる前に寿命の報知動作を行うように設定されている。
【0055】
制御電源用降圧回路30では、チョッパ回路21の出力電圧を所定の電圧値に降圧し、駆動回路24a,24bに動作電圧を供給しており、駆動回路24a,24bが電圧供給を受けて動作を開始すると、無電極放電灯Laが点灯されて、照明点灯装置1や器具本体の劣化が進行する。ここで、タイマ31は、制御電源用降圧回路30の出力電圧が所定の基準電圧以上となる期間を計時する。タイマ31は、累積動作時間を記憶するEEPROMのような不揮発性メモリ(図示せず)を備えており、電源投入後に制御電源用降圧回路30の出力電圧が所定の基準電圧以上になると、不揮発性メモリから前回までの累積動作時間を読み出して、前回までの累積動作時間から計時動作を再開する。タイマ31は、制御電源用降圧回路30の出力電圧が基準電圧以上となる間中、累積動作時間の計時を継続し、電源スイッチがオフされて電源供給が遮断されると、計時後の累積動作時間を不揮発性メモリに格納させて計時動作を終了する。尚、電源投入後の始動時には、無電極放電灯Laが点灯するまでの間に、駆動回路24a,24bが先ず動作を開始しており、このように電力消費が小さい期間さえもタイマ31で計時することができるので、より安全面に配慮して寿命判定が行える。
【0056】
寿命判定部32には、光源以外の照明器具の構成部品(照明点灯装置1及び器具本体)について、複数段階の寿命末期時期にそれぞれ対応した複数の判定時間が設定されており、タイマ31によって計時された累積動作時間が各々の判定時間に達する毎に、対応する寿命末期段階の寿命判定信号を発生して、当該寿命判定信号を報知部4に出力する。
【0057】
報知部4は、各段階の寿命末期時期に対応した寿命判定信号を受け取ると、始動回路26のスイッチSWをオン/オフさせることで、インバータ回路22の出力電圧を変化させ、無電極放電灯Laを点滅させたり、間欠調光させたりして、各段階の寿命末期時期に応じた報知動作を行わせる。ここで、スイッチSWをオン/オフさせる周期を長くすると、無電極放電灯Laは点滅して見え、スイッチSWをオン/オフさせる周期を短くすると、無電極放電灯Laが間欠調光状態となり、ランプ光束が低下して見える。尚、無電極放電灯Laを用いることでランプの点滅が可能になる。
【0058】
而して、報知部4では、寿命判定部32から判定時間に応じて寿命判定信号が入力される毎に、対応する寿命末期段階に応じた報知動作を行っており、例えば初期段階の寿命末期状態を報知する報知動作と、末期段階の寿命末期状態を報知する報知動作との2段階の報知動作を行う場合には、報知動作として初期段階の報知動作でランプ光束を低下させた後、末期段階の報知動作で無電極放電灯Laを消灯させるか、若しくは、ランプ光束をさらに低下させている。
【0059】
尚、報知部4による初期段階の寿命末期状態を報知する報知動作、末期段階の寿命末期状態を報知する報知動作は上記の形態に限定されるものではなく、報知部4が、報知動作として初期段階の報知動作で無電極放電灯Laをたまにちらつかせるとともに、末期段階の報知動作で無電極放電灯Laを消灯、若しくは、頻繁にちらつかせてもよい。また報知部4が、初期段階の報知動作で無電極放電灯Laを弱めにちらつかせるとともに、末期段階の報知動作で無電極放電灯Laを消灯、若しくは、強くちらつかせてもよい。また更に、報知部4が、初期段階の報知動作では無電極放電灯Laの光出力を小さく変化させる動作を続けるとともに、末期段階の報知動作で無電極放電灯Laを消灯、若しくは、無電極放電灯Laの光出力を大きく変化させる動作を続けてもよく、上述した報知動作を複合して行うようにしてもよい。
【0060】
そして、本実施形態においても判定時間調整部33が、実施形態1と同様、寿命判定部32に設定された複数段階(本実施形態では2段階)の判定時間を、時間軸上でそれぞれ個別に変化させることによって、複数の照明点灯装置間で個々の判定時間に分布を持たせており、図4は、横軸に累積動作時間を、縦軸に各寿命末期段階の報知動作を開始した照明点灯装置1の度数をとり、判定時間の分布を示している。ここで、図4中のアは初期段階の報知動作を開始した照明点灯装置1の数、イは末期段階の報知動作を開始した照明点灯装置1の数を示している。また図4中の期間Aは通常の点灯期間で報知動作が行われていない期間、期間Bは複数の照明点灯装置1が初期段階の報知動作を順次開始する期間、期間Cは全ての照明点灯装置1で初期段階の報知動作が行われている期間、期間Dは複数の照明点灯装置1が末期段階の報知動作を順次開始する期間、期間Eは全ての照明点灯装置1で末期段階の報知動作が行われる期間を示している。
【0061】
図示するように、各段階の報知動作における判定時間の分布は、徐々に増加する前半部と、徐々に減少する後半部とが連続的である。そして、各判定時間を、時間軸上でそれぞれ個別に変化させることによって、複数の照明点灯装置1の間で個々の判定時間に分布を持たせているので、複数の照明点灯装置1が一斉に報知動作を行うことによって、照明機能が前触れ無く突然に失われるのを防止することができ、周囲にいる人やユーザが不便さや危険を感じる前に、照明点灯装置1の代替え品を準備するなどの対応をとることができる。
【0062】
ところで、本実施形態では光源として、電極を持たない無電極放電灯Laを用いているが、光源として、発光ダイオード又は有機EL発光素子といった固体光源を用いてもよい。ここで、無電極放電灯Laや発光ダイオード、有機EL発光素子などの固体光源は、フィラメント電極を有する蛍光灯に比べて長寿命であり、長時間使用した場合でも不点状態とならず、累積動作時間が照明点灯装置1や器具本体の寿命を越えても使用され続ける可能性がある。また光源が長寿命であるために、長期間メンテナンスが行われず、照明点灯装置の回路部品や機構部品の劣化にユーザが近付くのが遅れる可能性もある。また光源のメンテナンス時期に照明点灯装置1の点検も行う場合、長期間の使用によって性能が低下した照明点灯装置1が少数であれば、次回のメンテナンス時期まで待って照明点灯装置1を交換してもよいが、長寿命の光源の場合はメンテナンス間隔が長くなるので、次回のメンテナンス時期までに複数の照明点灯装置1で一斉に報知動作が行われると、急遽予定を変更して照明点灯装置1の交換を行わねばならないという不便が生じることになり、本発明では、光源として無電極放電灯、発光ダイオード又は有機EL発光素子といった長寿命の光源を用いる場合に特に効果を発する。尚、光源として発光ダイオードや有機EL発光素子を用いる場合は、点灯回路部2として、発光ダイオード2や有機EL発光素子を点灯させるのに必要な従来周知の回路を用いればよい。
【0063】
(実施形態3)
本発明の実施形態3を図5及び図6に基づいて説明する。実施形態2で説明した照明点灯装置1では、チョッパ回路21の出力電圧を降圧する制御電源用降圧回路30の出力が所定の基準電圧以上になる時間をタイマ31が計時することによって累積動作時間を計時しているのに対して、本実施形態では図5に示すように、インバータ回路22の出力電圧に応じた検出電圧Vxsを発生する電圧検出回路27の出力が基準電圧以上になる時間をタイマ31がカウントしている。尚、タイマ31による累積動作時間の計時動作以外は、実施形態2の照明点灯装置1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0064】
ここで、寿命判定ブロック3のタイマ31は、電圧検出回路27の出力電圧Vxsが所定の基準電圧以上となる期間を計時する。タイマ31は、累積動作時間を記憶するEEPROMのような不揮発性メモリ(図示せず)を備えており、電源投入後に電圧Vxsが所定の基準電圧以上になると、不揮発性メモリから前回までの累積動作時間を読み出して、前回までの累積動作時間から計時動作を再開する。タイマ31は、電圧Vxsが基準電圧以上となる間中、累積動作時間の計時を継続し、電源スイッチがオフされて電源供給が遮断されると、計時後の累積動作時間を不揮発性メモリに格納させて計時動作を終了する。
【0065】
寿命判定部32には、光源以外の照明器具の構成部品(照明点灯装置1及び器具本体)について、複数段階の寿命末期時期にそれぞれ対応した複数の判定時間が設定されており、タイマ31によって計時された累積動作時間が各々の判定時間に達する毎に、対応する寿命末期段階を示す寿命判定信号を発生して、当該寿命判定信号を報知部4に出力する。
【0066】
報知部4は、寿命判定信号を受け取ると、対応する寿命末期段階に応じた報知動作を行わせており、例えば駆動回路24a,24bの動作を停止させることによって、無電極放電灯Laを消灯させるとともに照明点灯装置1を停止させるといった報知動作や、駆動回路24aを制御してチョッパ回路21の出力電圧Vdcを停止させる報知動作や、駆動回路24bを制御して点灯周波数を変化させることで、ランプ出力を変化させるといった報知動作を行っており、これらの動作によって照明点灯装置1及び器具本体の寿命末期段階を報知する。
【0067】
報知部4では、初期段階の寿命末期状態を報知する報知動作と、末期段階の寿命末期状態を報知する報知動作とを行っているが、例えば初期段階の報知動作ではランプ光束を低下させるとともに、末期段階の報知動作では無電極放電灯Laを消灯させるか、若しくは、ランプ光束をさらに低下させている。ここにおいて、報知部4による初期段階の報知動作、末期段階の報知動作は上記の形態に限定されるものではなく、報知部4が、初期段階の報知動作では無電極放電灯Laをたまにちらつかせるとともに、末期段階の報知動作では無電極放電灯Laを消灯、若しくは、頻繁にちらつかせてもよい。また報知部4が、初期段階の報知動作では無電極放電灯Laを弱めにちらつかせるとともに、末期段階の報知動作では無電極放電灯Laを消灯、若しくは、強くちらつかせてもよい。また更に、報知部4が、初期段階の報知動作では無電極放電灯Laの光出力を小さく変化させる動作を続けるとともに、末期段階の報知動作では無電極放電灯Laを消灯、若しくは、無電極放電灯Laの光出力を大きく変化させる動作を続けてもよく、上述した報知動作を複合して行うようにしてもよい。
【0068】
ところで、本実施形態においても寿命判定ブロック3の判定時間調整部33が、実施形態1と同様、寿命判定部32に設定された複数段階(本実施形態では2段階)の判定時間を、時間軸上でそれぞれ個別に変化させることによって、複数の照明点灯装置間で各段階の判定時間に分布を持たせており、図6は、横軸に累積動作時間を、縦軸に各寿命末期段階の報知動作を開始した照明点灯装置1の度数をとり、各段階の判定時間の分布を示している。ここで、図6中のアは初期段階の報知動作を開始した照明点灯装置1の数、イは末期段階の報知動作を開始した照明点灯装置1の数を示している。また図6中の期間Aは通常の点灯期間で報知動作が行われていない期間、期間Bは複数の照明点灯装置1が初期段階の報知動作を順次開始する期間、期間Cは全ての照明点灯装置1で初期段階の報知動作が行われている期間、期間Dは複数の照明点灯装置1が末期段階の報知動作を順次開始する期間、期間Eは全ての照明点灯装置1で末期段階の報知動作が行われる期間を示している。
【0069】
図示するように、各々の報知動作における判定時間の分布は、徐々に増加する前半部と、徐々に減少する後半部とが連続的である。そして、各判定時間を、時間軸上でそれぞれ個別に変化させることによって、複数の照明点灯装置1の間で個々の判定時間に分布を持たせているので、複数の照明点灯装置1が一斉に報知動作を行うことによって、照明機能が前触れ無く突然に失われるのを防止することができ、周囲にいる人やユーザが不便さや危険を感じる前に、照明点灯装置1の代替え品を準備するなどの対応をとることができる。
【0070】
しかも本実施形態では、判定時間調整部33によって、初期段階の寿命末期状態に対応する判定時間の分布幅(期間B)と、末期段階の寿命時期状態に対応する判定時間の分布幅(期間D)とが同じ時間幅に調整されているので、周囲にいる人やユーザは、初期段階の報知動作を開始した照明点灯装置1の分布傾向から、末期段階の報知動作を開始する照明点灯装置1の分布を事前に予測しておくことができ、また実感として捉えることができる。
【0071】
また本実施形態では、電圧検出回路27の出力電圧が所定の基準電圧以上となる期間をタイマ31で計時しており、光源である無電極放電灯Laが点灯している期間のみ、すなわち照明点灯装置1の電力消費が大きく、劣化が進行しやすい期間のみを計時し、累積動作時間の計時結果に基づいて寿命判定を行うことができる。したがって、保護動作時など無電極放電灯Laを消灯させたり、消費電力が低い期間を計時しないですむから、早い段階で寿命判定時間に達して、報知動作が行われるのを防止できる。尚、タイマ31が、商用交流電源ACからの電圧入力や、チョッパ回路21の出力電圧Vdcや、インバータ回路22の出力電圧が所定の基準電圧以上となる期間をカウントするようにしてもよい。また上述の実施形態1において、タイマ31が光源の点灯期間を累積動作時間として計時するようにしてもよく、照明点灯装置1の電力消費が大きく、劣化が進行しやすい期間のみを累積動作時間として計時することができる。
【0072】
(実施形態4)
本発明の実施形態4を図7に基づいて説明する。尚、照明点灯装置1の回路構成は実施形態1又は2と同様であるので、図示および説明は省略する。
【0073】
本実施形態の照明点灯装置1は、実施形態1又は2で説明した照明点灯装置1と、初期段階の寿命末期状態を判定する判定時間の分布幅(図7の期間B)、及び、末期段階の寿命末期状態を判定する判定時間の分布幅(図7の期間D)が異なっている。図7は、横軸に累積動作時間を、縦軸に各寿命末期段階の報知動作を開始した照明点灯装置1の度数をとり、各段階の判定時間の分布を示している。ここで、図7中のアは初期段階の報知動作を開始した照明点灯装置1の数、イは末期段階の報知動作を開始した照明点灯装置1の数を示している。また図7中の期間Aは通常の点灯期間で報知動作が行われていない期間、期間Bは複数の照明点灯装置1が初期段階の報知動作を順次開始する期間、期間Cは全ての照明点灯装置1で初期段階の報知動作が行われている期間、期間Dは複数の照明点灯装置1が末期段階の報知動作を順次開始する期間、期間Eは全ての照明点灯装置1で末期段階の報知動作が行われる期間を示している。
【0074】
個々の照明点灯装置1の判定時間調整部33では、実施形態1と同様の方法で、個々の判定時間を個別に変化させることによって、各判定時間T1,T2に分布をもたせているのであるが、初期段階の寿命末期状態を判定する判定時間T1の変化幅に比べて、末期段階の寿命末期状態を判定する判定時間T2の変化幅を小さい値に設定している。ここで、累積動作時間が所定の寿命時間Txに達するまでの間に、全ての照明点灯装置1に末期段階の報知動作(光源を消灯させる動作)を開始させたい場合、通常点灯期間Aをできるだけ長くとろうとすれば、期間B,C,Dを短くすればよいが、期間B,C,Dを全て短くすると初期段階の報知動作が開始されてから寿命時間Txに達するまでの時間が短くなる。そのため、ユーザが、初期段階の報知動作によって寿命が近付いていることに気付いてから、代替え品を用意するなどの準備を行える期間が短くなるが、本実施形態では末期段階の報知動作の前に、初期段階の報知動作を行うようにし、複数の照明点灯装置1が末期段階の報知動作を順次開始する期間Dに比べて、初期段階の報知動作を順次開始する期間Bの時間幅を長くとっているので、期間Bにおいて初期段階の報知動作が開始されてから寿命に達するまでの間に、代替え品を用意するなどの準備を行うことができる。このように、期間Bを十分確保することで、寿命に達するまでの準備が確実に行えるのであれば、期間Bに比べて期間Dを短くすることで、通常の点灯期間Aをより長くすることができ、100%の光出力で点灯される期間を延ばすことができる。
【0075】
(実施形態5)
本発明の実施形態5を図8に基づいて説明する。尚、照明点灯装置1の回路構成は実施形態1又は2と同様であるので、図示および説明は省略する。
【0076】
上述の各実施形態では、個々の照明点灯装置1の判定時間調整部33が、初期段階及び末期段階の寿命末期状態をそれぞれ判定する判定時間T1,T2を個別に変化させることによって、各判定時間T1,T2に分布をもたせるにあたり、判定時間T1の分布と、判定時間T2の分布が時間軸上で重ならないように、判定時間T1,T2の変化幅を制限しているのに対して、本実施形態では、図8に示すように、判定時間T1の分布と、判定時間T2の分布が時間軸上で一部重なるように、各判定時間T1,T2の変化幅を設定している。尚、図8は、横軸に累積動作時間を、縦軸に各寿命末期段階の報知動作を開始した照明点灯装置1の度数をとり、各段階の判定時間の分布を示している。ここで、図8中のアは初期段階の報知動作を開始した照明点灯装置1の数、イは末期段階の報知動作を開始した照明点灯装置1の数を示している。また図8中の期間Aは通常の点灯期間で報知動作が行われていない期間、期間Bは複数の照明点灯装置1が初期段階の報知動作を順次開始する期間、期間Dは複数の照明点灯装置1が末期段階の報知動作を順次開始する期間、期間Eは全ての照明点灯装置1で末期段階の報知動作が行われる期間を示している。
【0077】
個々の照明点灯装置1の判定時間調整部33では、実施形態1と同様、乱数を用いた方法で判定時間T1を変化させているが、末期段階に対応した判定時間T2は乱数を用いずに別の方法を用いて決定している。すなわち乱数を用いて判定時間T2が変更された場合、複数の照明点灯装置1で、初期段階の報知動作を開始する順番と、末期段階の報知動作を開始する順番とが異なってしまう可能性があるので、本実施形態の判定時間調整部33では、初期段階の報知動作を開始した時刻から一定時間dTの経過後に末期段階の報知動作を開始するように、判定時間T2を判定時間T1に合わせて変化させている。さらに判定時間調整部33では、上記一定時間dTを期間Bの変化幅よりも短い時間に設定することで、判定時間T1の分布(図8のア)と、判定時間T2の分布(図8のイ)を時間軸上で一部重ねており、前段階報知動作を開始した順番で寿命報知動作が開始されるので、寿命報知動作を開始する順番を事前に把握しておくことができる。また、判定時間T1の分布(図8のア)と、判定時間T2の分布(図8のイ)を時間軸上で一部重ねているので、判定時間T1の分布(図8のア)と判定時間T2の分布(図8のイ)が時間軸上で重ならないように判定時間T1,T2に変化を与えた場合に比べて、全ての照明点灯装置1で照明機能が100%確保される通常点灯期間Aをより長くとることができる。
【0078】
(実施形態6)
本発明の実施形態6を図9に基づいて説明する。尚、照明点灯装置1の回路構成は実施形態1又は2と同様であるので、図示および説明は省略する。
【0079】
上述の各実施形態では、寿命末期段階として初期段階と末期段階の2つの段階を設定し、初期段階の寿命末期状態を報知する初期段階報知動作と、末期段階の寿命末期状態を報知する末期段階報知動作の2段階の報知動作を行っているのに対して、本実施形態では、n段階(nは3以上の整数)の寿命末期段階に対応してn個の判定時間T,T…Tn−1,Tを設定し、タイマ31により計時された累積動作時間が各々の判定時間に達する毎に寿命判定信号を報知部4へ出力し、対応する寿命末期段階の報知動作を報知部4に行わせるようになっている。
【0080】
図9は、横軸に累積動作時間を、縦軸に各寿命末期段階の報知動作を開始した照明点灯装置1の度数をとり、各段階の判定時間の分布を示している。ここで、図9中のア,イ,ウ,エは、それぞれ、1段階目、2段階目、(n−1)段階目、n段階目の報知動作を開始した照明点灯装置1の数を示している。
【0081】
図9の分布では、各々の判定時間T…Tの分布が互いに重ならないように調整されているが、判定時間調整部33は、判定時間の分布が一部重なるように、各々の判定時間を変化させてもよい。また、最初の寿命末期段階を判定する判定時間Tの分布と、最後の寿命末期段階を判定する判定時間Tの分布が、時間軸上で重なっていなければ、同時期に設置された複数台の照明点灯装置1では、最初の判定時間Tに達するタイミングと、最後の寿命判定時間Tに達するタイミングが時間軸上で重ならないので、何れかの照明点灯装置1で最後の寿命末期段階を報知する報知動作が行われるよりも前に、全ての照明点灯装置1で最初の寿命末期段階を報知する報知動作が行われる。したがって、寿命が近付いており、交換の必要がある照明点灯装置の数を事前に把握することができ、寿命に備えて代替品を準備するなどの対応をとることができる。
【0082】
ここで、報知部4では、寿命判定部32から寿命判定信号が入力されると、対応する寿命末期段階の報知動作を開始するのであるが、後段階の報知動作になるほど、放電灯Laの光出力を低下させたり、光出力のちらつき頻度を大きくすることで、後段階の報知動作ほど報知動作を行っていない照明点灯装置1との違いを目立たせることができ、寿命が近付いていることを認識しやすくできる。
【0083】
なお、報知部4では、1段階目の報知動作から(n−1)段階目の報知動作にかけて光出力を徐々に低下させるとともに、末期のn段階目の報知動作で放電灯Laを消灯又は光出力を大きく低下させているが、各段階での報知動作は上記の動作に限定されるものではなく、例えば1段階目の報知動作から(n−1)段階目の報知動作にかけて放電灯Laをちらつかせる頻度を徐々に高くし、末期のn段階目の報知動作で放電灯Laを消灯させるか、又は、頻繁にちらつかせてもよい。また報知部4では、1段階目の報知動作から(n−1)段階目の報知動作にかけて光出力のちらつき度合いを徐々に大きくするとともに、末期のn段階目の報知動作で放電灯Laを消灯させるか、又は、ちらつき度合いをさらに大きくしてもよい。また報知部4では、1段階目の報知動作から(n−1)段階目の報知動作にかけて光出力の出力変化を徐々に大きくするとともに、末期のn段階目の報知動作で放電灯Laを消灯させるか、又は、光出力の出力変化をさらに大きくしてもよく、また報知部4が上述の報知動作を複合的に行うようにしてもよい。また各々の寿命末期段階での報知動作は、光出力の低下やちらつき等、種類が異なる報知動作を行ってもよいし、光出力の低下とちらつきとを組み合わせるなどし、複数種類の報知動作を複合させて行うようにしてもよく、周囲にいる人やユーザに対して寿命が近付いていることを、より確実に知らしめることができる。
【0084】
ここで、報知部4が、最後の寿命末期段階に対応する報知動作として、放電灯Laを消灯させたり、点灯回路部2を停止させる動作を行えば、それ以後は点灯回路部2が動作しないから、照明点灯装置1や器具本体の劣化を抑制でき、安全性を向上させることができる。尚、最後の寿命末期段階に対応する報知動作として、放電灯Laの消灯状態や点灯回路部2の停止状態に近い状態で照明点灯装置1を動作させてもよく、点灯回路部2などの劣化はかなり抑制されるので、安全が確保できない状態(不安全状態)で動作が継続されるのを防止することができる。
【0085】
(実施形態7)
本発明の実施形態7を図10に基づいて説明する。尚、照明点灯装置1の回路構成は実施形態1又は2と同様であるので、図示および説明は省略する。
【0086】
図10は、横軸に累積動作時間を、縦軸に各寿命末期段階の報知動作を開始した照明点灯装置1の度数をとり、各段階の判定時間の分布を示している。ここで、図10中のアは初期段階の報知動作を開始した照明点灯装置1の数、イは末期段階の報知動作を開始した照明点灯装置1の数を示している。また図10中の期間Aは通常の点灯期間で報知動作が行われていない期間、期間Bは複数の照明点灯装置1が初期段階の報知動作を順次開始する期間を示している。
【0087】
本実施形態の照明点灯装置1は、初期段階の報知動作を開始する照明点灯装置1の順番と、末期段階の報知動作を開始する照明点灯装置1の順番とが逆順になるように、判定時間調整部33が各判定時間を変化させた点で実施形態1又は2と異なっており、この相違点を除いては実施形態1又は2と同様であるので、共通する部分の構成及び動作については説明を省略する。
【0088】
判定時間調整部33は、乱数を用いて初期段階の判定時間T1を変化させており、例えば所定の変化幅(±Δt)内で乱数xを発生させるとともに、初期段階の判定時間の基準値t1に乱数xを加算することで、判定時間T1(=t1+Δt)を決定する。一方、末期段階の判定時間T2は、初期段階の判定時間T1を変化させるために使用した乱数xを用い、判定時間調整部33が、末期段階の判定時間の基準値t2から上記乱数xを減算することで、判定時間T2(=t2−Δt)を決定する。
【0089】
このようにして判定時間調整部33が時間T1,T2を変化させることによって、初期段階の報知動作を開始する照明点灯装置1の順番と、末期段階の報知動作を開始する照明点灯装置1の順番とを逆転させることができる。初期段階の報知動作を早めに開始した照明点灯装置1ほど、報知動作によって出力を低下させる期間が長くなるので、その分だけ寿命が延びると考えられる。したがって、初期段階の報知動作を開始する照明点灯装置1の順番と、末期段階の報知動作を開始する照明点灯装置1の順番とを逆転させることによって、全体的に判定時間T1,T2の分布をより長い側にずらすことができ、その分だけ照明機能が全く損なわれていない通常点灯期間Aを延ばすことができる。
【0090】
ところで上述の各実施形態では、報知部4が、各段階の寿命末期状態を報知する報知動作において、点灯回路部2の動作を通常時と異ならせることによって報知動作を行っているが、報知のための部品を追加する必要はあるものの、器具本体に取付可能であれば、器具本体の外部に取り付けたLEDなどの表示灯を報知部4が点灯させたり、器具本体に取り付けたブザーやスピーカを報知部4が鳴動させて音や音声で報知したり、外部の監視装置に対して報知信号を送信し、監視装置側で報知動作を行わせることによって、周囲にいる人やユーザに寿命が近付いていることを報知してもよい。このように、器具本体に取り付けたLEDなどの表示灯、ブザー又はスピーカ、或いは外部の監視装置を利用して報知動作を行うようにすれば、照明機能を失わせることなく寿命が近付いていることを報知でき、ユーザに対して照明点灯装置1の取り替えを促すことができる。そして、照明点灯装置1の寿命が近いことを報知して、照明点灯装置1の取り替えを促すことによって、照明点灯装置1や器具本体を構成する部品の劣化などに起因する動作不良や、不具合などのトラブルを未然に防いで、照明点灯装置1を安全に使用することができる。
【0091】
(実施形態8)
本実施形態では、実施形態2〜7で説明した照明点灯装置1を用いる照明器具について図面を参照して説明する。
【0092】
本実施形態の照明器具は、無電極放電灯からなる放電灯Laと、誘導コイル25を保持して放電灯Laが装着されるカプラ42を具備した照明点灯装置1とを備えている。
【0093】
図11は無電極放電灯からなる放電灯Laの断面図であり、放電灯Laは、内部に放電ガスが封入された電球形状のバルブ40を備えており、バルブ40の底部に開口した空洞部41内に、カプラ42に保持された誘導コイル25が挿入されるものである。
【0094】
図12はカプラ42を具備した照明点灯装置1を示し、照明点灯装置1は金属ケース43内に上述した回路部を収納して構成され、照明点灯装置1の点灯回路部2と誘導コイル25との間が、金属ケース43から導出された管灯線44を介して電気的に接続されている。そして、カプラ42が放電灯Laを構成するバルブ40の空洞部41に挿入され、管灯線44を介して点灯回路部2から誘導コイル25に高周波電力が供給されることで、バルブ40内に高周波電磁界が発生し、内部の放電ガスが放電するものである。
【0095】
ここで、図13〜図15は照明器具の具体例を示し、図13に示すような街路灯50や、図14に示すような防犯灯51や、図15(a)(b)に示すようなトンネル用照明器具52に適用することができる。
【0096】
尚、実施形態1で説明した照明点灯装置1と光源とで構成される照明器具を、街路灯50や防犯灯51やトンネル用照明器具52に適用してもよいことは言うまでもなく、発光ダイオードや有機EL素子からなる光源と当該光源を点灯させる照明点灯装置1とで構成される器具本体も適宜の用途に用いればよい。
【符号の説明】
【0097】
1 照明点灯装置
2 点灯回路部
3 寿命判定ブロック
4 報知部
31 タイマ(計時部)
32 寿命判定部
33 判定時間調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源に点灯電力を供給して当該光源を点灯させる点灯回路部と、
点灯回路部の累積動作時間を計時する計時部と、
光源以外の構成部品の寿命末期を複数段階で判定するために複数の判定時間が設定され、累積動作時間が各判定時間に達する毎に、対応する寿命末期段階の寿命判定信号を発生する寿命判定部と、
寿命判定部から寿命判定信号が入力されると、対応する寿命末期段階を報知する報知動作を行う報知部と、
寿命判定部に設定された各寿命末期段階の判定時間を、時間軸上でそれぞれ個別に変化させることによって、複数の照明点灯装置間で各判定時間に分布を持たせる判定時間調整部とを備えたことを特徴とする照明点灯装置。
【請求項2】
前記判定時間調整部は、複数段階の前記判定時間のうち、最初の判定時間の分布と、最後の判定時間の分布が時間軸上で重ならないように、両判定時間を変化させたことを特徴とする請求項1記載の照明点灯装置。
【請求項3】
前記判定時間調整部は、各判定時間の時間的な分布幅が、相対的に早い判定時間の時間的な分布幅以上となるように、各判定時間を変化させたことを特徴とする請求項1又は2の何れか1項に記載の照明点灯装置。
【請求項4】
前記光源として、無電極放電灯、発光ダイオード又は有機EL発光素子の何れかが用いられることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の照明点灯装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の照明点灯装置と、当該照明点灯装置で点灯される光源とを備えたことを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−70967(P2011−70967A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221603(P2009−221603)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】