説明

照明装置および液晶表示装置

【課題】本発明は、熱陰極蛍光ランプや駆動回路のバラツキに影響されず、熱陰極蛍光ランプの長寿命化を図ることが可能な照明装置、およびそれを備える液晶表示装置を提供する。
【解決手段】照明装置1は、フィラメント電極32の予熱中に、光センサ3により、フィラメント電極32の近傍におけるエンドグローによる発光を監視する。フィラメント電極32の近傍における発光を検知したとき、検出部4から、制御回路7に第1駆動回路制御信号が出力される。制御回路7は、第1駆動回路制御信号が入力されると、フィラメント電極32の予熱時間に関係なく、駆動回路5の駆動モードを切り換え、熱陰極蛍光ランプ2に対して始動電圧を印加し、熱陰極蛍光ランプ2を点灯させる。これにより、フィラメント電極32の予熱中のエンドグローによって、熱陰極蛍光ランプ2の寿命が短縮されることを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱陰極蛍光ランプの電極特性や駆動回路の回路特性のバラツキに影響されず、熱陰極蛍光ランプの長寿命化を図ることが可能な照明装置、およびそれを備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バックライトは、液晶TV、液晶ディスプレイ、液晶モニタ等の液晶表示パネル(以下、LCDパネルと称する。)に映像を表示するための光源として用いられており、LCDパネル全面に光を供給する役割を持っている。このようなバックライトに用いられる発光素子は、熱陰極蛍光ランプ(Hot Cathode Fluorescent Lamp:HCFL素子)や冷陰極蛍光ランプ(Cold Cathode Fluorescent Lamp:CCFL素子)等の蛍光ランプや、LED素子等がある。
【0003】
熱陰極蛍光ランプは、発光効率の点において他の発光素子と比較して優れており、比較的低い電圧で高輝度な光が得られるために広く利用されている。従来の熱陰極蛍光ランプは、内壁面に蛍光体が塗布された円筒状のガラス管の両端内部にフィラメント電極が設けられており、該フィラメント電極にはBaO・CaO・SrO等の電子放射性物質が保持されている。
【0004】
熱陰極蛍光ランプは、以下の原理により発光する。まず、熱陰極蛍光ランプの点灯開始前にフィラメント電極に電流を流して予熱する。これにより、エミッタから熱電子がガラス管内に放出される。エミッタから放出される熱電子は、フィラメント電極の温度の上昇に伴って増加する。フィラメント電極の予熱は、フィラメント電極間にアーク放電を発生させるのに充分な熱電子が放出されるまで行われる。そして、予熱後、ガラス管の両端内部に設けられたフィラメント電極間に高電圧を印加する。これにより、熱電子が陽極に引かれてアーク放電が発生し、内部に封入された水銀に衝突した際に紫外線が放射される。紫外線はガラス管の内壁面に塗布された蛍光体を励起し、蛍光体固有の可視光線を発光する。
【0005】
このように、熱陰極蛍光ランプにおいて、フィラメント電極の予熱は必要不可欠であるが、フィラメント電極を予熱しすぎると、エンドグローが発生し、ランプの寿命が短くなるという問題がある。そこで、エンドグローが起こらないように、熱陰極蛍光ランプの点灯開始前のフィラメント電極の予熱を制御することが提案されている。そのような技術としては、例えば、特許文献1に開示される技術を挙げることができる。ここで、特許文献1のけい光ランプ装置について、図16〜図18を参照して具体的に説明する。特許文献1のけい光ランプ装置は、図16に示す点灯回路を備えている。具体的には、該点灯回路は、商用電源200、ノイズフィルタ210、全波整流器からなる整流回路220、平滑コンデンサからなる平滑回路230、予熱電流や予熱時間を制御する予熱制御回路240、スイッチング回路250、直流カットコンデンサ260、チョークバラスト(L)270、共振用コンデンサ280、けい光ランプ300、およびフィラメント電極320を備える。該点灯回路は、点灯中に、チョークバラスト(L)270と共振用コンデンサ280とによる高周波発振により高周波電力を発し、この高周波電力がけい光ランプ300に供給される。
【0006】
ランプの始動時には、けい光ランプ300の両端に封装したフィラメント電極320に、予熱制御回路240で制御された所定の予熱電流I(mA)が、この予熱制御回路240に設定した予熱時間(t秒)の間、流される。このとき、2つのフィラメント電極320間の電圧はランプの放電開始電圧Vsより低いので、放電空間内が絶縁状態に保たれ、全部の電流が、チョークバラスト(L)270から一方のフィラメント電極320、共振用コンデンサ280および他方のフィラメント電極320の閉鎖回路を流れる。
【0007】
このような予熱電流I(mA)の供給により、フィラメント電極320は高温になり、これら電極に塗布したエミッタが高温に加熱されて電子を放出する。上記予熱時間(t秒)内にフィラメント電極320の温度が、ア−ク放電を発生させるために必要な転移温度に達して、充分な熱電子が放出されると、この予熱時間(t秒)経過後、スイッチング回路250が作用して始動電圧を発生し、この始動電圧をフィラメント電極320間に印加する(放電開始電圧Vs)。これにより、フィラメント電極320間にアーク放電が発生する。
【0008】
ここで、予熱電流I(mA)は、フィラメント電極320の温度がア−ク放電が発生するために必要なア−ク転移温度に達するまで流す最小電流をIf1(mA)、上記ア−ク転移温度に達した後にエンドグローを発生する最小電流をIf2(mA)としたとき、
f1≦I≦If2・・・(1)
を満足するように制御されている。
【0009】
さらに、エンドグローの発生を防止するために、予熱制御回路240により予熱時間tをタイマーにより制御し、フィラメント電極320がア−ク転移温度に以上に達し、かつエンドグローを発生するよりも前に、放電開始電圧Vsを印加してアーク放電を発生させている。
【0010】
より具体的には、特許文献1では、アーク転移温度が800℃のフィラメント電極320が用いられている。該フィラメント電極320は、予熱電流Iが400mAの場合は、予熱時間tをいくら長くしても電極温度Tはア−ク転移温度に達しないが、予熱電流Iが600mAの場合、予熱時間tが約2.0秒、予熱電流Iが700mAの場合、予熱時間tが約1.0秒で、ア−ク転移温度に達することが示されている(図17(b)を参照)。
【0011】
また、予熱電流Iが400mA、600mA、および700mAのいずれであっても、エンドグローは発生しないことが示されている(図17(a)を参照)。
【特許文献1】特開平7−85981号公報(平成7(1995)年3月31日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に開示されるけい光ランプ装置は、その回路構成を簡略して説明すると、図18に示すように、タイマ回路290からの信号に基づいて、予熱制御回路240は、スイッチング回路250を介して、光ランプ300への印加電流を制御する。このような構成により、熱陰極蛍光ランプにおけるエンドグローをある程度軽減することが可能である。しかし、特許文献1のけい光ランプ装置は、装着するけい光ランプ300のフィラメント電極320の電極特性が常に一定である場合にしか効果を発揮できない。
【0013】
また、複数のけい光ランプ300を備えるけい光ランプ装置とする場合、全てのけい光ランプ300のフィラメント電極320の電極特性が均一であり、かつ、駆動回路の回路特性が全て均一である必要がある。しかしながら、実用される熱陰極蛍光ランプでは、上記フィラメント電極の電極特性や、駆動回路の回路特性にはバラツキがある。そのため、特許文献1のように、フィラメント電極の予熱電流および予熱時間を一律に設定して管理するだけでは、実用上、フィラメント電極の予熱レベルにバラツキが生じ、エンドグローが発生する可能性がある。
【0014】
フィラメント電極の電極特性のバラツキについてより具体的に説明すると、特許文献1に記載されるように、けい光ランプ300のフィラメント電極320を構成するワイヤの径やコイルピッチなどは、その数値にバラツキがある。これにより、電極特性にバラツキが生じる。さらに、フィラメント電極320には、エミッタが塗布されているが、該エミッタの塗布量や、フィラメントへのエミッタの塗布具合もまた、フィラメント電極320の電極特性のバラツキの原因となる。具体的には、フィラメント電極320が予熱され、エミッタが加熱されることにより、エミッタ自体のインピーダンスが変化する。そのため、同じ予熱電流を印加しても、フィラメント電極320の温度にはバラツキが生じることになる。このように、フィラメント電極320の温度にバラツキがあると、アーク放電時に、フィラメント電極320の放電能力にバラツキが生じる。したがって、フィラメント電極320の予熱電流は、図19に示すように、フィラメントごとに大きく異なることになる。
【0015】
さらに、駆動回路の回路特性のバラツキについてより具体的に説明すると、チョークバラスト270のL値や、共振用コンデンサ280のコンデンサ容量のバラツキ、あるいは予熱時間を決めるCR時定数のバラツキ等により、図19に示すように、設計値に対し、印加電流が概ね±5%程度ばらつく。
【0016】
したがって、図19に示すランプ201やランプ202のように、予熱電流の最適範囲が広く、駆動回路の印加電流のバラツキを包含する場合には、従来技術でも、ある程度、エンドグローを防止することができる。しかし、ランプ203のように、予熱電流の最適範囲が駆動回路の印加電流のバラツキの範囲から外れている場合や、ランプ204やランプ205のように、予熱電流の最適範囲が狭い場合には、駆動回路の印加電流のバラツキによっては、予熱電流の最適範囲を外れ、エンドグローが発生する可能性がある。
【0017】
したがって、引用文献1のように、フィラメント電極の予熱電流および予熱時間を一律に設定して管理するのみでは、上記のフィラメント電極や駆動回路の特性のバラツキには対応できず、熱陰極蛍光ランプの長寿命化を十分に図ることができない。さらに、エンドグローの発生に関して、熱陰極蛍光ランプ間でバラツキがあるため、結果として、熱陰極蛍光ランプごとの寿命のバラツキも大きくなるという問題が生じる。そのため、フィラメント電極や駆動回路の特性のバラツキにも対応でき、熱陰極蛍光ランプのより一層の長寿命化が可能な技術の開発が求められている。
【0018】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、熱陰極蛍光ランプの電極特性や駆動回路の回路特性のバラツキに影響されず、熱陰極蛍光ランプの長寿命化を図ることが可能な照明装置、およびそれを備える液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明にかかる照明装置は、上記課題を解決するために、熱電子を放出するフィラメント電極を有する光源と、上記フィラメント電極を予熱する第1駆動モード、および上記光源をアーク放電させる電圧を印加する第2駆動モードの少なくとも2つの駆動モードで、上記光源を駆動させることが可能な駆動手段と、上記第1駆動モードと第2駆動モードとの切り換えを制御する制御手段と、上記フィラメント電極が所定の温度以上に予熱されたときに、上記フィラメント電極の近傍から放射される光を検知する第1センサと、該第1センサが検知した光の強度を検出し、該光の強度が所定値以上であるとき、第1信号を上記制御手段に出力する第1検出手段と、を備え、上記制御手段は、上記第1信号に基づいて、上記駆動手段の駆動モードを、上記第1駆動モードから第2駆動モードに切り換えることを特徴としている。
【0020】
上記構成によれば、上記駆動手段は、第1駆動モードで駆動することにより、上記光源のフィラメント電極を予熱する。このとき、上記フィラメント電極が所定の温度以上に予熱されると、上記フィラメント電極の近傍から光が放射される。この現象は、エンドグローと称される。エンドグローとは、フィラメント電極が予熱中に何らかの原因により過剰に予熱され(加熱過剰、予熱過剰)、フィラメント電極に塗布されたエミッタから電子が飛び出し、該電子により、周辺の希ガスや水銀が励起され、フィラメント電極近傍で発光する現象である。
【0021】
第1センサは、上記フィラメント電極が所定の温度以上に予熱されたとき、換言すれば、エンドグローが発生したときに、上記フィラメント電極の近傍において発せられる光を検知する。上記第1センサが上記フィラメント電極の近傍における発光を検知すると、上記第1検出手段は、該第1センサが検知した光の強度を検出する。そして、該光の強度が所定値以上であるとき、第1信号を上記制御手段に出力する。上記制御手段は、上記第1検出手段から伝送された第1信号に基づいて、上記駆動手段の駆動モードを、第1駆動モードから第2駆動モードに切り換える。これにより、上記駆動手段は、上記光源に対して、上記光源をアーク放電させる電圧を印加する。その結果、上記光源は、アーク放電し、点灯することができる。つまり、上記構成によれば、フィラメント電極の予熱中に、フィラメント電極が過剰に予熱されることにより、エンドグローを発生したとしても、直ちに、上記駆動手段の駆動モードを第1駆動モードから第2駆動モードに切り換え、上記光源を点灯させることができる。それゆえ、光源の電極特性や駆動手段の回路特性等のバラツキに影響されることなく、過剰なエミッタ飛散を防止し、光源の長寿命化を図ることができる。さらに、エンドグローによる過剰なエミッタ飛散を最小限に抑制するため、光源ごとの寿命のバラツキを低減することができる。
【0022】
上記光源は、円筒状のガラス管の両端内部に上記フィラメント電極を有し、該ガラス管の内壁面は、上記フィラメント電極の近傍を除き、蛍光体が塗布されていることが好ましい。
【0023】
上記構成によれば、上記光源のガラス管の内壁面は、上記フィラメント電極の近傍において、蛍光体が塗布されていない。エンドグロー発生時のフィラメント電極の近傍における発光は、蛍光体が塗布されたガラス管によって吸収されやすい。しかし、上記構成によれば、エンドグロー発生時のフィラメント電極の近傍における発光は、上記ガラス管の蛍光体が塗布されていない領域を、ガラス管に吸収されることなく透過することができる。それゆえ、上記光センサは、エンドグロー発生時のフィラメント電極の近傍における発光をより正確に検知することができる。つまり、上記構成によれば、エンドグローの検知感度がより向上するため、過剰なエミッタ飛散をより効果的に防止し、光源のより一層の長寿命化を図ることができる。さらに、光源ごとの寿命のバラツキについても、より一層低減することができる。
【0024】
また、上記第1センサは、波長400nm〜445nmの光を検知することが好ましい。
【0025】
エンドグロー発生時のフィラメント電極の近傍における発光は、主に、光源内に封入された水銀の励起によるものである。水銀の発光スペクトルは、波長405nmおよび436nmに発光ピークを有する。したがって、上記構成によれば、エンドグロー発生時に、上記光源内に封入された水銀が励起されることによる発光を確実に検知することができる。それゆえ、エンドグローの検知感度がより向上するため、過剰なエミッタ飛散をより効果的に防止し、光源のより一層の長寿命化を図ることができる。さらに、光源ごとの寿命のバラツキについても、より一層低減することができる。
【0026】
さらに、上記第1センサは、波長400nm〜410nmの光、および波長430nm〜445nmの光のうち、少なくとも一方の光を検知することが好ましい。
【0027】
上記の通り、エンドグロー発生時に、上記光源内に封入された水銀が励起されることによる発光のスペクトルは、波長405nmおよび436nmに発光ピークを有する。したがって、上記構成によれば、波長405nmの発光および波長436nmの発光のうち、少なくとも一方の光を確実に検知することができる。それゆえ、エンドグローの検知感度がより向上するとともに、検知精度を向上させることができる。それゆえ、過剰なエミッタ飛散をより確実に防止し、光源のより一層の長寿命化を図ることができる。さらに、光源ごとの寿命のバラツキを、より一層低減することができる。
【0028】
上記第1検出手段は、上記駆動手段の駆動モードが上記第1駆動モードであるときのみ、上記第1信号を出力することが好ましい。
【0029】
エンドグロー発生時には、上記の通り、波長405nmおよび436nmに発光ピークを有する、青味を帯びた発光が生じる。一方、上記光源が正常に点灯する際、換言すれば、上記光源がアーク放電する際にも、陰極部周辺で青っぽい発光が生じる。上記構成によれば、上記駆動手段の駆動モードが上記第1駆動モードであるときにのみ、上記第1検出手段は上記第1信号を出力する。換言すれば、上記駆動手段の駆動モードが上記第2駆動モードであるときには、上記第1検出手段は上記第1信号を出力しない。上記光源がアーク放電する際に陰極部周辺で発光するが、これは、上記駆動手段の駆動モードが第2駆動モードのときである。したがって、上記構成によれば、上記光源がアーク放電する際に陰極部周辺で生じる発光を、上記光センサが検知しても、上記第1検出手段は、上記第1信号を出力することはない。それゆえ、上記光源がアーク放電する際に陰極部周辺で生じる発光によって、照明装置が誤作動することを防ぐことができる。
【0030】
本発明にかかる照明装置は、上記課題を解決するために、上記駆動手段が第1駆動モードで駆動しているとき、上記フィラメント電極の予熱時間を計測し、所定の予熱時間が経過したことを表す第2信号を、上記制御手段に出力する時間計測手段をさらに備え、上記制御手段は、上記第1信号および第2信号のうち、先に入力された信号に基づいて、上記駆動手段の駆動モードを、上記第1駆動モードから第2駆動モードに切り換えることが好ましい。
【0031】
上記構成によれば、上記駆動手段が第1駆動モードで駆動することにより、上記光源のフィラメント電極が予熱されているとき、上記時間計測手段は、上記フィラメント電極の予熱時間を計測する。そして、該時間計測手段は、所定の予熱時間が経過すると、そのことを表す上記第2信号を、上記制御手段に対して出力する。上記制御手段は、上記第1信号および第2信号のうち、先に入力された信号に基づいて、上記駆動手段の駆動モードを、上記第1駆動モードから第2駆動モードに切り換える。これにより、上記駆動手段は、上記光源に対して、上記光源をアーク放電させる電圧を印加する。その結果、上記光源は、アーク放電し、点灯することができる。
【0032】
つまり、上記構成によれば、フィラメント電極を所定の時間だけ予熱した後、上記光源を点灯させることができるとともに、フィラメント電極が所定の時間内に過剰に予熱され、エンドグローが発生したとしても、直ちに、上記光源を点灯させるモードに切り換えることができる。それゆえ、光源の電極特性や駆動手段の回路特性等のバラツキに影響されることなく、過剰なエミッタ飛散を防止し、光源のより一層の長寿命化を図ることができる。さらに、エンドグローによる過剰なエミッタ飛散を最小限に抑制するため、光源ごとの寿命のバラツキをより一層低減することができる。
【0033】
本発明にかかる照明装置は、上記課題を解決するために、上記フィラメント電極の近傍から放射される熱を検知する第2センサと、該第2センサが検知した熱に基づき、上記フィラメント電極の近傍の温度を検出し、該温度が所定値以上であるとき、第3信号を上記制御手段に出力する第2検出手段と、をさらに備え、上記制御手段は、上記第1信号および第2信号とは独立して、上記第3信号に基づき、上記駆動手段を制御することが好ましい。
【0034】
上記熱電子の放出源であるエミッタが枯渇すると、上記光源は、フィラメント電極から、熱電子を放出することができなくなる。このような状態となっても、なおも上記駆動回路が駆動し、放電を維持でき得る電圧が上記光源に印加され続けると、フィラメント電極の周りの管壁温度が上昇し、最終的には200℃以上の高温となることがある。上記構成によれば、上記第2センサが上記フィラメント電極の近傍から放射される熱を検知する。上記第2センサが、上記フィラメント電極の近傍から放射される熱を検知すると、上記第2検出手段は、該第2センサが検知した熱に基づいて、上記フィラメント電極の近傍の温度を検出する。そして、該温度が所定値以上であるとき、第3信号を上記制御手段に出力する。上記制御手段は、上記第1信号および第2信号とは独立して、上記第3信号に基づいて、上記駆動手段を制御する。つまり、上記構成によれば、上記光源に過電圧および過電流が印加され、発生した熱(特に、フィラメント電極における異常発熱)を検知することにより、上記光源の異常を検出し、上記駆動手段を介して、上記光源の駆動を制御することができる。それゆえ、エンドグローを防止して光源の長寿命化を図ると共に、上記光源の異常発熱による発火や、上記光源の異常発熱による周辺部材の損傷を防ぐことができる。
【0035】
上記制御手段は、上記第3信号に基づいて、上記駆動手段を停止させることが好ましい。
【0036】
上記構成によれば、上記フィラメント電極の近傍の温度が所定値以上に達すると、上記制御手段は、上記第3信号に基づいて、上記駆動手段を停止させる。これにより、上記光源の異常発熱を停止させることができる。それゆえ、上記光源の異常発熱による発火や、上記光源の異常発熱による周辺部材の損傷をより確実に防ぐことができる。
【0037】
また、上記第2センサは、赤外線領域の光を検知することが好ましい。
【0038】
上記構成によれば、上記第2センサは、上記フィラメント電極の近傍から放射される熱を、赤外線として検知することができる。したがって、上記第2センサの配置位置の精密度を緩和することができる。それゆえ、本発明にかかる照明装置の製造歩留まりを向上させることができる。
【0039】
さらに、上記構成によれば、上記第2センサは赤外線を検知するため、上記フィラメント電極の近傍から放射される熱を迅速に検知することができる。それゆえ、上記光源の異常をより迅速に検出し、上記光源の異常発熱による発火や、上記光源の異常発熱による周辺部材の損傷をより確実に防ぐことができる。
【0040】
さらに、上記第2センサは、波長700nm〜1000nmの光を検知することが好ましい。
【0041】
波長700nm〜1000nmの光(赤外線)を検知するセンサは、テレビなど家電機器のリモコンで使用されているように、汎用性があり、比較的安価である。それゆえ、上記構成によれば、本発明にかかる照明装置の製造コストを低減することができる。
【0042】
本発明にかかる照明装置において、上記光源は、コネクタ手段を介して、基板上に固定されており、上記第1センサは、該基板上に配置されていることが好ましい。
【0043】
上記構成によれば、上記光源はコネクタ手段を介して、基板上に固定されるため、上記光源が円筒状のガラス管によって構成されていても、確実に固定することができる。また、上記構成によれば、上記第1センサは、上記光源が固定される基板上に配置される。つまり、上記基板は、上記光源の固定と、上記第1センサの固定との2つの役割を果たす。それゆえ、本発明の照明装置を構成する部材を減らすことができる。
【0044】
さらに、第2センサを備える構成では、上記光源は、コネクタ手段を介して、基板上に固定されており、上記第1センサおよび第2センサは、該基板上に配置されていることが好ましい。
【0045】
上記構成によれば、上記光源はコネクタ手段を介して、基板上に固定されるため、上記光源が円筒状のガラス管によって構成されていても、確実に固定することができる。また、上記構成によれば、上記第1センサおよび第2センサは、いずれも、上記光源が固定される基板上に配置される。つまり、上記基板は、上記光源の固定と、上記第1センサの固定と、上記第2センサの固定との3つの役割を果たす。それゆえ、本発明の照明装置を構成する部材をより一層減らすことができる。
【0046】
本発明にかかる液晶表示装置は、上記課題を解決するために、上記本発明にかかる照明装置のいずれかを備える背面光源と、液晶を用いた画像表示手段と、を備えることを特徴としている。
【0047】
上記構成によれば、液晶表示装置に設けられた上記背面光源の光源の長寿命化を図ることができる。
【0048】
上記背面光源は、上記照明装置と、上記照明装置が発する複数の線状光源を均一な面光源に変換する面光源手段とを備えることが好ましい。
【0049】
上記構成によれば、上記面光源手段は、上記照明装置が発する複数の線状光源を均一な面光源に変換することができるため、液晶表示装置としての性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0050】
本発明にかかる照明装置は、以上のように、光源のフィラメント電極の予熱時に、フィラメント電極におけるエンドグローによる発光を監視する。そのため、上記フィラメント電極の予熱中のエンドグロー発生後、直ちに、フィラメント電極の予熱を終了し、上記光源に高電圧を印加し、該光源を点灯させることができる。それゆえ、光源の電極特性や駆動回路の回路特性等のバラツキに影響されることなく、エンドグローによる過剰なエミッタ飛散を防止し、光源の長寿命化を図ることができるという効果を奏する。さらに、エンドグローによる過剰なエミッタ飛散を最小限に抑制するため、上記光源ごとの寿命のバラツキを低減することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図9に基づいて説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0052】
本実施形態にかかる照明装置1は、図1に示すように、熱陰極蛍光ランプ2(光源)と、光センサ3(第1センサ)と、検出部4(第1検出手段)と、駆動回路5(駆動手段)と、制御回路7(制御手段)とを備える。検出部4は、センサ回路8と、判定回路9とを備える。また、駆動回路5は、スイッチング回路21と、直列LC共振回路22とを備える。また、照明装置1は、図1に示すように、タイマ回路24(時間計測手段)をさらに備えていてもよい。
【0053】
本実施形態の照明装置1は、液晶TV、液晶ディスプレイ、液晶モニタ等の液晶表示パネルに映像を表示するためのバックライトとして好適に用いられる。
【0054】
熱陰極蛍光ランプ2は、ガラス管6と、2つのフィラメント電極32とを備える。ガラス管6は、円筒状であり、内壁面にはRGBの3波長蛍光体が塗布されている。ガラス管6の両端部の内側には、電子放射性物質が塗布されたコイル状のフィラメント電極32が設けられている。そのため、フィラメント電極32は、加熱することにより、熱電子を放出することができる。
【0055】
また、ガラス管6の両端の開口部は、例えば、図9に示す口金41等により塞がれ、ガラス管6内には水銀や、アルゴン等の希ガスが封入されている。なお、上記電子放射性物質としては、Ba、Ca、Sr等のアルカリ土類金属の酸化物や、アルカリ土類金属のタングステン酸塩等が好適に用いられる。
【0056】
熱陰極蛍光ランプ2は、図5に示すように、ガラス管6の両端のフィラメント電極32近傍において、蛍光体が塗布されていない透明部16を有することが好ましい。これにより、熱陰極蛍光ランプ2の両端のそれぞれに設けられたフィラメント電極32の少なくとも一部を見透かすことができる。したがって、透明部16の近傍に光センサ3を配置することにより、光センサ3は、フィラメント電極32からの光を、蛍光体を介することなく、検知することができる。図9では、透明部16はガラス管6の内壁面の全周に設けられているが、本発明はこれに限定されず、光センサ3に近接する部分のみに設けられていてもよい。すなわち、熱陰極蛍光ランプ2のガラス管6の内壁面全体に蛍光体が塗布されていると、フィラメント電極32から放出された光は、蛍光体に吸収されてしまうため、透明部16はフィラメント電極32から放出された光が蛍光体を介さずに光センサ3に到達できるように設ければよい。
【0057】
なお、フィラメント電極32近傍は、熱陰極蛍光ランプ2の有効発光領域ではないために、透明部16を設けても、熱陰極蛍光ランプ2の発光輝度にはほとんど影響を与えない。
【0058】
フィラメント電極32を構成するワイヤの径や長さ、コイルピッチ、巻数等は特に限定されるものではなく、任意に設定することができる。
【0059】
また、熱陰極蛍光ランプ2は、透明部16に、膜状の紫外線吸収フィルタ(図示せず)を貼り付ける構成とすることもできる。熱陰極蛍光ランプ2が発光するためには、フィラメント電極32によって放電を起こし、その放電によって放射された紫外線がガラス管6の内壁面に塗布された蛍光体を励起することにより、蛍光体固有の可視光線を発光する。しかしながら、例えば、本実施形態の照明装置1の周囲に樹脂等によって形成された周辺部材が設けられている場合、該周辺部材に紫外線が照射されると、該周辺部材が劣化する。そこで、透明部16に紫外線吸収フィルタを貼り付けることにより、熱陰極蛍光ランプ2から放射される紫外線を紫外線吸収フィルタによって吸収することが可能となり、本実施形態の照明装置1の周辺に樹脂等から形成された周辺部材が設けられた場合であっても、該周辺部材の劣化を防止することができる。
【0060】
なお、紫外線吸収フィルタは、特に限定されるものではなく、フィラメント電極32が放出する紫外線が、熱陰極蛍光ランプ2の外部に放射されることを抑制する構成であればよい。
【0061】
駆動回路5は、熱陰極蛍光ランプ2を駆動するためのものであり、制御回路7によって制御される。駆動回路5は、フィラメント電極32を予熱する第1駆動モード、および熱陰極蛍光ランプ2をアーク放電させる電圧を印加する第2駆動モードの少なくとも2つの駆動モードで、熱陰極蛍光ランプ2を駆動させることができる。
【0062】
駆動回路5としては、ハーフブリッジのスイッチング回路を用いた直列LC発振回路のようなインバータ回路が好適に用いられる。ここで、駆動回路5についてより具体的に説明すると、駆動回路5は、2つのFETから構成されたスイッチング回路21と、直列LC共振回路22とを備える。駆動回路5には、直流電圧を印加するが、図示しないAC100V等の商用電源を、ノイズフィルタや整流回路、平滑コンデンサを経て形成した直流電圧を印加してもよいし、直接、直流電圧を印加してもよい。
【0063】
駆動回路5に、上記直流電圧が印加されると、トランジスタで構成されたハーフブリッジのスイッチング回路21で高周波を制御し、直列LC共振回路22に高周波電圧が印加される。直列LC共振回路22は、熱陰極蛍光ランプ2が点灯する前後で、図2(a)および(b)に示すように、等価回路が変化する。すなわち、熱陰極蛍光ランプ2が点灯する前、およびフィラメント電極32を予熱する時および熱陰極蛍光ランプ2をアーク放電させる時は、図2(a)に示すように、単純な直列共振回路である。そのため、周波数−電圧特性は、各LCの定数から図2(c)に示すような共振特性を有する。したがって、周波数を変化させることにより、熱陰極蛍光ランプ2の両端への印加電圧(図2(c)中、電圧V)を変化させることができる。
【0064】
図2(c)を用いてより具体的に説明すると、例えば、フィラメント電極32の予熱時、換言すると、第1駆動モード時の周波数をfとすると、熱陰極蛍光ランプ2の両端にはVの電圧が印加される。この電圧によりフィラメント電極32に電流が流れる。このとき、熱陰極蛍光ランプ2がグロー放電しないような電圧で、かつ、フィラメント電極32の予熱を効果的に行うことができるフィラメント電流が流れるように、LC定数を設定する。
【0065】
そして、熱陰極蛍光ランプ2の点灯始動時、換言すれば、熱陰極蛍光ランプ2をアーク放電させる第2駆動モード時に、周波数をfに変化させる。これにより、熱陰極蛍光ランプ2の両端にはVの電圧が印加されるので、図2(c)に示すように、高電圧が印加されることになる。そのため、熱陰極蛍光ランプ2にアーク放電を発生させ、熱陰極蛍光ランプ2を点灯させることができる。
【0066】
一方、熱陰極蛍光ランプ2が点灯すると、熱陰極蛍光ランプ2は抵抗負荷となるため、図2(b)に示すような等価回路となる。そのため、共振回路から逸脱し、図2(c)に示すように、ゲインの低い特性になる。このように、駆動回路5を用いて熱陰極蛍光ランプ2に印加される電圧および周波数により、点灯時の熱陰極蛍光ランプ2の両端に印加される電流値が決定される。
【0067】
なお、本実施形態では、駆動回路5として、このようなインバータ回路を備えているが、本発明はこれに限定されるものではなく、従来公知のあらゆる駆動回路を用いることができる。
【0068】
タイマ回路24は、駆動回路5が第1駆動モードで駆動しているとき、フィラメント電極32の予熱時間を計測し、所定の予熱時間が経過したことを表す第2駆動回路制御信号を、制御回路7に出力する。上記所定の予熱時間は、特に限定されるものではなく、熱陰極蛍光ランプ2のフィラメント電極32の特性に応じて設定すればよい。また、タイマ回路24の具体的な構成は限定されず、フィラメント電極32に予熱電流を流している時間を計測し、所定の予熱時間が経過したときに、そのことを表す第2駆動回路制御信号を出力できるものであればよい。なお、タイマ回路24は、上記の通り、任意の構成である。
【0069】
光センサ3は、フィラメント電極32、もしくはその近傍から放射される光を検知するものである。すなわち、フィラメント電極32の近傍における光を検知するものである。より具体的には、フィラメント電極32が所定の温度以上に予熱され、エンドグローが発生した時に、フィラメント電極32、もしくはその近傍から放射される光を検知するものである。なお、光センサ3は、それぞれのフィラメント電極32に対して設けられる。
【0070】
エンドグローとは、フィラメント電極の予熱過剰(フィラメント電極の加熱過剰)により、エミッタから電子が飛び出し、該電子により、周辺の希ガスや水銀が励起され、フィラメント電極の近傍で発光する現象である。該発光は、主に、熱陰極蛍光ランプ2内に封入された水銀の励起によるものである。そして、該発光は、図3に示すように、405nmおよび436nmに発光波長のピークを有する。つまり、該発光は、可視光領域の低波長側から、人の目の視感度の高い緑黄色側に発光波長のピークを有する。したがって、光センサ3は、可視光領域の光を検知できるものであればよいが、波長400nm〜445nmの光を検知できるものであることが好ましい。
【0071】
具体的には、光センサ3としては、可視光領域に受光感度がある光センサであれば、いかなる材質や構造の光センサであっても用いることができる。例えば、PN型フォトダイオード、PIN型フォトダイオード、アバランシェ型フォトダイオード、ショットキー型フォトダイオード、あるいはフォトトランジスタ等を用いることができる。PN型フォトダイオードは、その材質によって受光感度が変化する。例えば、図4に示すように、光センサ3の材質として、GaP、GaAsP、およびSiを用いる場合では、各波長の光に対する受光感度が異なる。Siを材質としたSiフォトダイオードでは、一般的には受光感度の波長範囲は広く、900nm付近の光に対して最大受光感度を示し、可視光領域での最大感度波長は、可視光領域の長波長側にある。また、可視光領域の感度波長は、約420nm〜約780nmである。しかし、通常、フィラメント電極32を予熱している時には、発光現象は生じない。そのため、検出部4にオペアンプなどの増幅器(信号増幅回路)を設け、光の信号を増幅させることによって、エンドグロー発生時の発光が微弱であっても、その発光を検知することができる。
【0072】
また、一般的に、白色発光の蛍光体が塗布された熱陰極蛍光ランプは、発光は、視感度の高い555nm近傍に発光波長のピークを有する。そのため、光センサ3は、波長400nm〜440nmの光を特異的に検知できるものであることがより好ましい。これにより、光センサ3が、熱陰極蛍光ランプ2の点灯時の光を検知し、誤作動することを防止することができる。具体的には、図4に示すように、GaPを材質としたGaPフォトダイオードは、最大感度波長は、約410nm付近である。したがって、GaPフォトダイオードによれば、波長400nm〜445nmの光を特異的に検知することができる。なお、最大感度波長が400nm前後である光センサであれば、GaPフォトダイオードに限定されず、いかなる構造やいかなる材質の光センサであっても同様の効果が得られるため、用いることができる。
【0073】
また、光センサ3には、その前段において、400nm〜445nmの波長の光を通過させるように、複数の光学フィルタ(図示せず)を設け、該光学フィルタにフィラメント電極32から放射された光を通過させてもよい。これにより、フィラメント電極32から放射された光のうち、400nm〜445nmの波長の光のみが通過し、光センサ3に到達する。その結果、光センサ3は、400nm〜445nmの波長の光のみを検知することが可能となる。それゆえ、光センサ3が、熱陰極蛍光ランプ2の点灯時の光を検知し、誤作動することを防止することができる。
【0074】
また、光センサ3は、(a)400nm〜410nmの波長の光、(b)430nm〜445nmの波長の光、または(c)400nm〜410nmの波長の光および430nm〜445nmの波長の光を特異的に検知できるものであってもよい。また、これは、光センサ3の前段において、(a)400nm〜410nmの波長の光、(b)430nm〜445nmの波長の光、または(c)400nm〜410nmの波長の光および430nm〜445nmの波長の光を通過させる光学フィルタを設けることによって実現してもよい。これにより、光センサ3は、(a)400nm〜410nmの波長の光、(b)430nm〜445nmの波長の光、または(c)400nm〜410nmの波長の光および430nm〜445nmの波長の光を高感度に検知できるものとなる。それゆえ、フィラメント電極32からエンドグロー時に放射される発光スペクトルと、熱陰極蛍光ランプ2の点灯時に放射される蛍光体からの発光スペクトルとを区別することができるため、光センサ3の誤動作をより効果的に防止できる。加えて、光センサ3のセンシングの感度をより向上させることができる。なお、上記光学フィルタは特に限定されるものではなく、光センサ3の上記波長範囲の受光感度を向上させるように、光を分光する分光特性を有したものであればよい。
【0075】
また、光センサ3の前段に上記光学フィルタを設ける実施形態では、該光学フィルムにより分光され、特定の波長の光のみが光センサ3に到達する。そのため、光センサ3の感度波長域は、特に限定されない。つまり、光センサ3の材質は、限定されず、例えば、GaPや、GaAsP、Ge、InGaAs/InPを用いることができる。さらに、光センサ3の構造も限定されず、例えば、PIN型フォトダイオード、アバランシェ型フォトダイオード、ショットキー型フォトダイオード、あるいはフォトトランジスタ等を用いることができる。
【0076】
光センサ3は、フィラメント電極32から離れるにつれて、検出される可視光領域の波長の光の放射強度が低下するため、熱陰極蛍光ランプ2の両端にあるフィラメント電極32の近傍、より詳しくは、熱陰極蛍光ランプ2に設けられた透明部16の近傍に配置される。さらに、感度向上および誤動作防止の観点から、ガラス管6の管壁により近い位置に配置されることが好ましい。具体的には、光センサ3の受光部が、フィラメント電極32の中心を通り、ガラス管6の管壁に対する任意の垂線を0度とした場合、該中心から±20°の範囲内であって、かつ、ガラス管6の外壁面からの距離が0mm〜5mm以内に設けられることが好ましい。
【0077】
さらに、光センサ3は、フィラメント電極32との相対的な位置関係が変動しないように、固定されていることが好ましい。このような構成によれば、センサ出力の変動を防止することができるので、フィラメント電極32、またはその近傍における発光を精度よく検知することができる。具体的には、例えば、光センサ3は、熱陰極蛍光ランプ2のガラス管6の外壁面に搭載したり、熱陰極蛍光ランプ2の外部の空間において、光センサ保持台によって保持したりして配置することが好ましい。
【0078】
光センサ3の配置位置は、上記のものに限定されるものではなく、フィラメント電極32近傍でなくとも、フィラメント電極32またはその近傍から放射された光を検知できる位置であれば、いかなる位置に配置してもよい。例えば、ガラス管6の中央部であってもフィラメント電極32またはその近傍から放射された光を検知することは可能である。
【0079】
検出部4は、光センサ3の検知した光の強度に基づいて、該光の強度を検出し、該光の強度が所定値以上であるとき、第1駆動回路制御信号(第1信号)を制御回路7に出力する。より具体的には、検出部4は、センサ回路8と判定回路9とからなる。センサ回路8は、光センサ3が検知した光を電気信号に変換し、該電気信号は、続いて、判定回路9に伝送される。上記電気信号の大小は、光センサ3が検知した光の強度の大小に対応する。したがって、判定回路9は、センサ回路8から伝送される電気信号の強度に基づいて、フィラメント電極32の近傍における光の強度を検出することができる。
【0080】
そして、判定回路9は、その検出した光の強度が、所定値以上であれば、第1駆動回路制御信号を出力し、所定値よりも小さければ、第1駆動回路制御信号を出力しない。上記所定値の具体的数値は特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、エンドグロー発生時の発光の最低強度よりも低い値であって、エンドグロー非発生時の発光の最高強度を表す電気信号強度よりも高い値に設定すればよい。
【0081】
判定回路9は、エンドグロー発生時および非発生時におけるフィラメント電極32の近傍からの発光強度の差から、フィラメント電極32の近傍における光の強度を検出する構成とすることもできる。
【0082】
センサ回路8は、図5に示すように、オペアンプ等の増幅器を備え、上記電気信号を増幅してもよい。これにより、フィラメント電極32から放射される光が微弱であっても、該光を検出することができる。
【0083】
判定回路9としては、より具体的には、5V程度のパルスを生成する回路や、0VのLowレベル出力から5VのHighレベル出力にスイッチングする回路等が好適に用いられる。例えば、図6に示すように、フィラメント電極32の予熱時、すなわち、駆動回路5が第1駆動モードで駆動しているとき、エンドグローが発生(換言すれば、フィラメント電極32から発光)すると、Lowレベル出力からHighレベル出力にスイッチングされる。これにより、第1駆動回路制御信号が、制御回路7に対して出力される。つまり、この場合、Highレベル出力が、第1駆動回路制御信号となる。
【0084】
判定回路9は、センサ回路8から入力された電気信号が所定値以上であれば常に、制御回路7に第1駆動回路制御信号を出力してもよいが、上記駆動回路5の駆動モードが第1駆動モードであるときのみ、第1駆動回路制御信号を出力する構成とすることが好ましい。これにより、熱陰極蛍光ランプ2の正常点灯時のグロー放電の発光波長によって、光センサ3が誤動作をすることを防ぐことができる。この点について、より詳しく説明すると、エンドグローは青味を帯びたフィラメント電極32からの発光現象であるが、熱陰極蛍光ランプ2の正常点灯時にも、陰極部周辺で青っぽい光を発する。より詳しくは、一般に、放電灯の陰極周辺では、アストン暗部、陰極グロー、陰極暗部、負グロー、ファラディ暗部、および陽光柱と呼ばれる状態があり、一方、陽極周辺では陽極グロー、陽極暗部と呼ばれる状態がある。この両者が結合したものが放電灯の放電状態である。このうち、陰極グローや負グロー部では、陰極に近づいてきた正イオンと、陰極からの電子とが結合し、基底状態に戻るとき、青味を帯びた光(窒素と酸素)を発する。この光によって、光センサ3が誤動作をする可能性がある。しかし、上記駆動回路5の駆動モードが第1駆動モードであるときのみ、第1駆動回路制御信号を出力する構成によれば、熱陰極蛍光ランプ2がアーク放電するときには、検出部4から制御回路7に第1駆動回路制御信号が出力されないため、熱陰極蛍光ランプ2の正常点灯時のグロー放電の発光波長によって、光センサ3が誤動作をすることを防ぐことができる。換言すれば、熱陰極蛍光ランプ2の正常点灯時のグロー放電による発光により、照明装置1が誤作動することを防ぐことができる。
【0085】
具体的な回路構成としては、例えば、図7に示すように、センサ出力と予熱時に発生させたHigh信号の論理積をとって、駆動回路5に返し、両方がHighの時のみ、駆動回路5に始動パルスを印加するようにすればよい。
【0086】
制御回路7は、検出部4から伝送された第1駆動回路制御信号(第1信号)に基づいて、駆動回路5の動作を制御するためのものである。具体的には、検出部4から伝送された第1駆動回路制御信号(第1信号)が制御回路7に入力されると、駆動回路5のスイッチング回路21を介して、直列LC共振回路22の発振周波数を変化させる。これにより、駆動回路5の駆動モードを第1駆動モードから第2駆動モードに切り換える。
【0087】
また、照明装置1がタイマ回路24を備える構成では、制御回路7は、検出部4から伝送された第1駆動回路制御信号(第1信号)またはタイマ回路24から伝送された第2駆動回路制御信号(第2信号)のうち、先に入力された信号に基づいて、駆動回路5の動作を制御する。具体的には、検出部4から伝送された第1駆動回路制御信号(第1信号)またはタイマ回路24から伝送された第2駆動回路制御信号(第2信号)のうち、いずれか一方が先に制御回路7に入力されると、駆動回路5のスイッチング回路21を介して、直列LC共振回路22の発振周波数を変化させる。これにより、駆動回路5の駆動モードを第1駆動モードから第2駆動モードに切り換える。
【0088】
このように、駆動回路5の駆動モードを第1駆動モードから第2駆動モードに切り換えられることによって、フィラメント電極32が予熱されている状態から、熱陰極蛍光ランプ2の両端に高電圧が印加する状態に切り換わり、熱陰極蛍光ランプ2でアーク放電が発生し、熱陰極蛍光ランプ2が点灯する。
【0089】
制御回路7が、直列LC共振回路22の発振周波数を変化させる手段は特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、検出部4から第1駆動回路制御信号または第2駆動回路制御信号が入力されたときに、スイッチング回路21のON、OFFを切り換えて、直列LC共振回路22へ供給される電圧を制御することにより、直列LC共振回路22の発振周波数を変化させればよい。
【0090】
制御回路7による駆動回路5の制御について、図8を用いて、より詳しく説明する。なお、ここでは、タイマ回路24を備える構成を例に説明する。図8に示すように、照明装置1の電源がONになると、フィラメント電極32に対して、フィラメント電極32を予熱するための予熱電圧が印加される。この間、タイマ回路24により、フィラメント電極32の予熱時間を計測すると共に、光センサ3により、フィラメント電極32から発光が生じていないか否かを監視する。所定の予熱時間内に、フィラメント電極32が発光しなければ、タイマ回路24から第2駆動回路制御信号が制御回路7に出力される。制御回路7は、第2駆動回路制御信号の入力を合図として、駆動回路5の直列LC共振回路22の発振周波数を変化させる。これにより、駆動回路5は、熱陰極蛍光ランプ2に対して始動電圧を印加し、アーク放電を発生させる。よって、熱陰極蛍光ランプ2が点灯する。
【0091】
一方、フィラメント電極32の予熱中に、光センサ3がフィラメント電極32からの発光を検知すると、検出部4から、制御回路7に第1駆動回路制御信号が出力される。制御回路7は、第1駆動回路制御信号が入力されると、第2駆動回路制御信号の入力の有無に関わらず、駆動回路5の直列LC共振回路22の発振周波数を変化させる。これにより、駆動回路5は、熱陰極蛍光ランプ2に対して始動電圧が印加され、アーク放電が発生する。よって、熱陰極蛍光ランプ2は点灯する。
【0092】
本実施形態にかかる照明装置1は、上記構成を備えるため、熱陰極蛍光ランプ2の電極特性や、駆動回路5の回路特性にバラツキがあったとしても、全ての熱陰極蛍光ランプ2を、エンドグローを発生させることなく、フィラメント電極32の予熱を行い、予熱完了後、直ちに高電圧を印加し、熱陰極蛍光ランプ2を点灯させることができる。それゆえ、過剰なエミッタ飛散を防止することができ、熱陰極蛍光ランプ2の長寿命化を図ることができる。さらに、熱陰極蛍光ランプ2のランプ間の寿命のバラツキを低減することができる。
【0093】
以上、本実施形態にかかる照明装置1について、その回路構成、換言すれば、制御方法を中心に詳細に説明した。照明装置1は、上述したような回路構成を備えていればよく、その具体的な構造は特に限定されるものではない。ここで、照明装置1の構造の好ましい一実施形態について、図9(a)および(b)を参照しながら具体的には説明する。
【0094】
照明装置1は、図9(a)および(b)に示すように、基板40上に、熱陰極蛍光ランプ2が固定された構造を有する。より詳しくは、熱陰極蛍光ランプ2は、図9(a)に示すように、その両端が口金41で覆われ、フィラメント電極32を駆動回路5に接続するための端子42が外部に突出している。端子42は、例えば、駆動回路5と結線するためのソケット等のコネクタによって構成することができる。
【0095】
一方、基板40上には、ランプコネクタ43(コネクタ手段)、光センサ3およびセンサ回路8が配置される。ランプコネクタ43と端子42とを接続することにより、基板40上に、熱陰極蛍光ランプ2は固定され、かつ、フィラメント電極32と駆動回路5とが接続される。さらに、光センサ3の基板40上での配置位置は、図9(b)に示すように、熱陰極蛍光ランプ2が基板40上に固定されているとき、熱陰極蛍光ランプ2の透明部16の近傍に光センサ3が位置するように配置される。換言すれば、熱陰極蛍光ランプ2を基板40に固定した際に、熱陰極蛍光ランプ2のフィラメント電極32が見透かせる位置に光センサ3が固定される。
【0096】
図9(a)および(b)では、駆動回路5は図示していないが、駆動回路5もまた、同一の基板40上に配置されてもよい。また、駆動回路5は、別の基板上に配置して、コネクタで結線する構成としてもよい。
【0097】
上記構造を備える構成によれば、熱陰極蛍光ランプ2の端子42の配線や光センサ3の機構面での位置合わせなどの問題を容易に解決することができる。
【0098】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態について図10〜図12に基づいて説明すると以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施の形態1で用いた部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
【0099】
本実施形態にかかる照明装置11は、実施の形態1で説明した照明装置1に対して、さらに、図10に示すように、赤外線領域に感度を有する赤外線センサ13(第2センサ)および検出部14(第2検出手段)を設けた構成を有する。また、制御回路7の代わりに、制御回路17(制御手段)が備えられている。
【0100】
赤外線センサ13は、熱陰極蛍光ランプ2に異常発熱が生じた場合に、フィラメント電極32の近傍から放射される熱を検知するものである。熱陰極蛍光ランプは、電子放出源であるエミッタが枯渇すると、熱電子を放出することができない。これが、熱陰極蛍光ランプの寿命である。このような状態になると、インバータ回路の駆動を停止させる必要がある。そのため、一般的な照明装置では、エミッタの枯渇を検出するための回路を備えている。なお、本発明にかかる照明装置においては、このような回路を図示していないが、もちろん、このような回路を備えていてもよいことは言うまでもない。
【0101】
しかしながら、上記回路によって、必ずしもエミッタの枯渇を検出できない場合がある。その場合、エミッタが枯渇しているにもかかわらず、なおもアーク放電を維持でき得る電圧が、熱陰極蛍光ランプの両端に印加され続けることになる。これにより、フィラメントそのものの材質、例えば、タングステンから、2次電子が放出され、イオン衝撃によるスパッタリング等によりフィラメントが切断される。フィラメントが切断されてもなお、例えば、切断されたフィラメント端とフィラメント線を保持する金属ガイド線、あるいはガラス管壁やステムに付着したエミッタやタングステンの飛散物による導電層などとの間で、放電が維持される場合、電極周りの管壁温度は200℃以上にもなり、場合によって、ガラスさえも溶解させることが可能な温度にまで到達することがある。赤外線センサ13は、このような熱陰極蛍光ランプ2に異常発熱を検知するものである。
【0102】
ここで、熱陰極蛍光ランプ2が正常時および異常時において、フィラメント電極32が生じる熱について図11(a)および(b)、並びに図12を参照して説明する。図11(a)は、熱陰極蛍光ランプ2の正常時における、ガラス管6のフィラメント電極32近傍における管壁温度を示す図であり、図11(b)は、熱陰極蛍光ランプ2の異常時における、ガラス管6のフィラメント電極32近傍における管壁温度を示す図である。
【0103】
熱陰極蛍光ランプ2の正常時における、ガラス管6のフィラメント電極32近傍の管壁温度は、例えば、熱陰極蛍光ランプ2の構成を周囲温度25℃、管径15.5mm、管長820mmとし、ランプ電流135mA、フィラメント電流250mAで熱陰極蛍光ランプ2を駆動した場合は、図11(a)に示すように、70℃前後となる。また、熱陰極蛍光ランプ2の異常時においては、図11(b)に示すように、ガラス管6のフィラメント電極32近傍の管壁温度は150℃以上の高温となる。
【0104】
次に、熱陰極蛍光ランプ2のフィラメント電極32近傍における管壁温度と、赤外線の放射強度との関係について図12を参照して説明する。図12は、熱陰極蛍光ランプ2の管壁温度が0℃、25℃、50℃、75℃、100℃、150℃、200℃の場合において、200℃における赤外線の放射強度を100%としたときの各温度における赤外線の相対放射強度を示すグラフである。
【0105】
なお、図12に示す管壁温度と放射される赤外線の分光分布は、プランクの放射則に基づき下記式によって算出される。ただし、ガラスの赤外線吸収は無視する。
【0106】
【数1】

【0107】
(式中、Eは放射エネルギー密度(W/m)、λは波長(m)、Tは絶対温度(K)、C1はプランクの放射第一定数=3.7415×10−15(W/m)、C2はプランクの放射第二定数=1.43879×10−2(m/K)を表す。)
図12に示すように、各温度における放射強度のピークは、波長が約4μm〜約10μmの範囲内に含まれる。つまり、各温度において放射される赤外線の強度は、波長が約4μm〜約10μmの範囲で高い。
【0108】
したがって、赤外線センサ13は、長波長領域の非可視光、換言すれば、赤外線を検知するものであればよいが、波長が約0.7μm〜約10μmの赤外線を検知できるものを用いることが好ましい。より具体的には、検出波長が約4μm〜約10μmのセンサを用いる実施形態を挙げることができる。赤外線センサ13の検出波長が約4μm〜約10μmであると、放出される赤外線量が多くなるために、雑音等による誤動作を無視することができる。また、熱陰極蛍光ランプ2の正常時と異常時との赤外線量の対比量も2倍近くあるため、熱陰極蛍光ランプ2に異常が生じているか否かを精度良く検出できる。より具体的には、例えば、発熱温度が150℃以上となったことを検知するために、5μm前後の波長を高感度に検知可能な赤外線センサを用いることが好ましい。これにより、熱陰極蛍光ランプ2の異常を感度よく検出することができる。
【0109】
また、別の好ましい実施形態として、波長700nm〜1000nm、より好ましくは、波長800nm程度の赤外線を検知可能な赤外線センサを用いることが好ましい。一般的に、高感度波長が数μmの赤外線センサは高価である。一方、上記高感度波長の赤外線センサは、例えば、テレビなど家電機器のリモコンで使用されるものである。そのため、上記高感度波長の赤外線センサは、汎用性があり、安価である。それゆえ、本実施形態にかかる照明装置11の製造コストを低減することができる。ただし、近赤外線領域に高感度波長をもつ赤外線センサを用いる場合、フィラメント電極32から放出される近赤外線量は少ないため、雑音等による誤作動が起こりやすい。そのため、赤外線センサ13によって検出された近赤外線を、オペアンプ等の増幅器を用いて増幅することが好ましい。
【0110】
赤外線センサの材質としては、例えば、PtSi、InSbなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。例えば、5μm前後の波長を検知する場合、5μm前後に感度があれば、センサ出力が微弱であっても、オペアンプ等で増幅することで検出できるため、5μm前後に感度を有するものであれば、いかなる材質の赤外線センサでも用いることができる。また、赤外線センサの構造もまた、特に限定されるものではないが、例えば、フォトダイオードまたはフォトトランジスタを用いることができる。
【0111】
また、波長700nm〜1000nmの近赤外線領域に高感度波長を有する赤外線センサの場合、例えば、Siを材質としたPN型のフォトダイオードに、IRフィルターを組み合わせたものを用いることができる。上記IRフィルターは可視光をカットして、概ね700nm以上の近赤外線を透過させるフィルタであればよい。例えば、メタクリル製樹脂で構成されるフィルタを挙げることができる。なお、波長700nm〜1000nmの近赤外線を検知できるセンサであれば、上記の材質や構造に限定されない。
【0112】
赤外線センサ13の配置位置は、特に限定されないが、フィラメント電極32から離れるにつれて、検出される赤外線の放射強度が低下するために、フィラメント電極32に近いことが好ましい。また、フィラメント電極32から放出された赤外線は、熱陰極蛍光ランプ2のガラス管6の内壁面に塗布された蛍光体に吸収されやすいため、赤外線センサ13は、ガラス管6に設けられた透明部16の近傍に配置されることがより好ましい。具体的には、赤外線センサ13の受光部が、フィラメント電極32の中心を通り、ガラス管6の管壁に対する任意の垂線を0°とした場合、該中心から±20°の範囲内であって、かつ、ガラス管6の外壁面からの距離が0mm〜5mm以内に設けられることが好ましい。例えば、赤外線センサ13は、熱陰極蛍光ランプ2のガラス管6の外壁面に搭載したり、熱陰極蛍光ランプ2の外部の空間において、光センサ保持台によって保持したりして配置することができる。赤外線センサ13の配置位置は、これに限定されるものではなく、フィラメント電極32近傍でなくとも、フィラメント電極32が放射した赤外線を検知できる位置であれば、いかなる位置に配置してもよい。
【0113】
また、光センサ3と赤外線センサ13とは、互いに光の検知を妨げることがないように、配置される。図10では、赤外線センサ13は、光センサ3の近傍に配置されているが、両者の配置関係はこれに限定されるものではない。例えば、光センサ3および赤外線センサ13の一方を、フィラメント電極32の近傍に配置し、もう一方をガラス管6の中央部に配置する構成とすることもできる。
【0114】
検出部14は、赤外線センサ13の検知した赤外線の強度に基づいて、フィラメント電極32の近傍の温度を検出し、その温度が所定値以上であるとき、第3駆動回路制御信号(第3信号)を、制御回路17に出力する。より具体的には、検出部14は、センサ回路18と判定回路19とからなる。センサ回路18は、赤外線センサ13が検知した赤外線を電気信号に変換し、該電気信号は、続いて、判定回路19に伝送される。
【0115】
ここで、図11(a)および(b)に示すように、熱陰極蛍光ランプ2の正常時および異常時において、フィラメント電極32の近傍の官壁温度は異なる。また、図12に示すように、フィラメント電極32の近傍から放射される赤外線の強度は、フィラメント電極32が生じる熱量によって異なる。より詳しくは、熱陰極蛍光ランプ2の管壁温度が上昇するに伴い、フィラメント電極32の近傍から放射される赤外線の放射強度が高くなる。つまり、上記電気信号の大小は、赤外線センサ13が検知した赤外線の強度の大小に対応するものであり、さらに、フィラメント電極32の近傍の温度の高低に対応するものである。したがって、判定回路19は、センサ回路18から伝送される電気信号の強度に基づいて、フィラメント電極32の近傍の温度を検出することができる。
【0116】
そして、判定回路19は、その検出した温度が、所定値以上であれば、第3駆動回路制御信号を出力し、所定値よりも小さければ、第3駆動回路制御信号を出力しない。上記所定値の具体的数値は特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、150℃を異常温度として検出したい場合、熱陰極蛍光ランプ2の正常点灯時のフィラメント電極2の近傍の温度よりも高い温度であって、150℃よりも低い温度を、上記所定値として設定すればよい。
【0117】
また、判定回路19は、熱陰極蛍光ランプ2の正常時および異常時におけるフィラメント電極32が生じる温度差を利用して、熱陰極蛍光ランプ2の正常時および異常時の赤外線の放射強度の差を測定することにより、上記フィラメント電極の近傍の温度を検出する構成とすることもできる。
【0118】
センサ回路18は、図10に示すように、オペアンプ等の増幅器(信号増幅回路)を備え、上記電気信号を増幅してもよい。これにより、フィラメント電極32から放射される赤外線が微弱であっても、該赤外線を検出することができる。
【0119】
判定回路19としては、より具体的には、5V程度のパルスを生成する回路や、0VのLowレベル出力から5VのHighレベル出力にスイッチングする回路等が好適に用いられる。
【0120】
制御回路17は、検出部4から伝送された第1駆動回路制御信号(第1信号)、またはタイマ回路24から伝送された第2駆動回路制御信号(第2信号)に基づいて、駆動回路5の動作を制御することに加えて、検出部14から伝送された第3駆動回路制御信号(第3信号)に基づいて、駆動回路5の動作を制御する。上記第1駆動回路制御信号および第2駆動回路制御信号(第2信号)に基づく駆動回路5の動作の制御は、実施の形態1と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0121】
制御回路17は、さらに、フィラメント電極32が発熱したことを赤外線センサ13が検知した場合に、駆動回路5に熱陰極蛍光ランプ2の駆動を停止させる。なお、熱陰極蛍光ランプ2の駆動を停止する実施形態に限定されず、赤外線センサ13が検知したフィラメント電極32における発熱温度に応じて、熱陰極蛍光ランプ2を一時停止または出力低下させる実施形態とすることもできる。
【0122】
制御回路17が、第3駆動回路制御信号に基づいて、駆動回路5を制御する手段は特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、制御回路17に第3駆動回路制御信号が入力されたとき、スイッチング回路21のON、OFFを切り換えて、直列LC共振回路22へ供給される電圧を制御することにより、熱陰極蛍光ランプ2の駆動を制御することができる。また、制御回路17への電源供給を調節することにより、熱陰極蛍光ランプ2の駆動を制御することもできる。
【0123】
また、制御回路17の具体的な回路構成は特に限定されるものではないが、例えば、5V程度のパルスを生成する回路や、0VのLowレベル出力から5VのHighレベル出力にスイッチングする回路等が好適に用いられる。
【0124】
このように、本実施形態にかかる照明装置11は、光センサ3に加えて、赤外線センサ13を備えているため、エンドグローを防止してランプの長寿命化と実現すると共に、寿命末期の発熱現象を防止することができる。
【0125】
なお、本実施形態にかかる照明装置11は、熱陰極蛍光ランプ2に過電圧および過電流が印加され、発生した熱を検知するために、赤外線センサ13を備えているが、赤外線センサ13に代えて、熱電対などの温度センサをガラス管6の壁に接着させる構成とすることができる。ただし、熱電対などの温度センサは、ガラス管6との接触性の問題や、反応速度が遅いという問題を生じることがある。また、必ずしも発熱部位にフィットする位置に、温度センサを配置できない場合もある。そのため、熱陰極蛍光ランプ2に過電圧および過電流が印加され、発生した熱を検知するために、上述したように、赤外線センサ13を用いることがより好ましい。さらに、温度センサと赤外線センサ13とを備える構成とすることも可能である。
【0126】
本実施形態にかかる照明装置11は、制御回路17が第3駆動回路制御信号として駆動回路5に対して熱陰極蛍光ランプ2の駆動を停止する信号を送信する場合、熱陰極蛍光ランプ2に異常が生じたこと、または熱陰極蛍光ランプ2の駆動を停止することを外部に報知するためのアラーム信号を生成する信号生成部(図示せず)をさらに備えていてもよい。
【0127】
アラーム信号は、本実施形態の照明装置11が外部装置に設けられている場合、例えば、照明装置11が液晶表示装置に設けられている場合には、照明装置11が異常であることを該液晶表示装置に表示させることにより、該液晶表示装置の利用者等に照明装置11に異常が発生していることを知らせることが可能となる。その結果、熱陰極蛍光ランプ2に異常が生じた場合には、即座に対処することが可能となり、照明装置11の周辺に設けられた周辺部材等に対して、フィラメント電極32が発する熱の影響を与えることを抑制することができる。
【0128】
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施形態について図13および図14に基づいて説明すると以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施の形態1および2で用いた部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
【0129】
本実施形態にかかる液晶表示装置101は、図13に示すように、複数の本実施形態の照明装置1から構成された面光源装置102(背面光源)と、光学シート103(面光源手段)と、液晶表示パネル104(画像表示手段)とから構成されている。なお、図13においては、簡略化のために、面光源装置102は照明装置1を4本備えた構成が記載されているが、照明装置1の数はこれに限られない。
【0130】
液晶表示装置101では、面光源装置102には、照明装置1が平行に複数本設けられており、面光源装置102の上面に光学シート103および液晶表示パネル104がこの順番に積層されている。すなわち、面光源装置102は、液晶表示装置101におけるバックライトとして機能している。なお、光学シート103は、照明装置1が発する複数の線状光源を均一な面光源に変換するものである。
【0131】
面光源装置102に設けられた複数の照明装置1は、それぞれに光センサ3が照明装置1の熱陰極蛍光ランプ2のフィラメント電極32近傍に設けられており、各光センサ3は1つの制御回路7に接続されている。制御回路7は、1つの駆動回路5に接続されており、駆動回路5は面光源装置102に設けられた全ての照明装置1の熱陰極蛍光ランプ2の駆動を制御している。
【0132】
なお、液晶表示パネル104としては、例えば、TFTを用いたアクティブマトリクス型のカラー液晶パネルが好適に用いられる。また、本実施形態にかかる液晶表示装置101の面光源装置102は、図13および図14に示すように、直下型タイプのバックライト装置であるが、本発明はこれに限定されず、面光源装置102は、導光板および光学シートを用いたエッジ型バックライト装置であってもよい。すなわち、照明装置1は、導光板および光学シートを用いたエッジ型バックライト装置に適用することもできる。
【0133】
また、液晶表示装置101における照明装置1の熱陰極蛍光ランプ2は、図14に示すように、ランプ保持台105に保持されており、光センサ3はランプ保持台105に搭載された構成であってもよい。ランプ保持台105としては、例えば、熱陰極蛍光ランプ2のフィラメント電極32部分を挿入するソケットを有する樹脂筐体や、ソケットを搭載するプリント基板等が好適に用いられる。なお、熱陰極蛍光ランプ2と駆動回路5とは、ランプ保持台105を介して接続されている。
【0134】
熱陰極蛍光ランプ2は円筒状のガラス管6によって構成されているために、一般に、保持台等を用いて保持されている。また、光センサ3は、熱陰極蛍光ランプ2のガラス管6の外壁面または熱陰極蛍光ランプ2の外部の空間に設けられており、熱陰極蛍光ランプ2の外部の空間に設けられる場合には、光センサ保持台等を用いて保持されている。
【0135】
そこで、ランプ保持台105に熱陰極蛍光ランプ2を保持するとともに、光センサ3を搭載することにより、熱陰極蛍光ランプ2を保持する保持台と、光センサ保持台とを共通化することができ、本実施形態の照明装置1を構成する部材を減らすことが可能となる。また、光センサ3をフィラメント電極32近傍に設置することが可能となるために、熱陰極蛍光ランプ2に生じた異常を高感度に検出することができる。
【0136】
なお、本実施の形態3では、面光源装置102が照明装置1を備える構成について説明した。しかし、面光源装置102が照明装置11を備える構成、および面光源102が証明装置1と照明装置11とを組み合わせて備える構成も本発明に含まれることはいうまでもない。
【0137】
以上、本発明にかかる照明装置および液晶表示装置の実施形態について詳細に説明したが、本発明にかかる照明装置は、以下のように、換言することもできる。すなわち、本発明にかかる照明装置は、熱電子放出を行うフィラメント電極を有する蛍光管と、該フィラメント電極をタイマで決定される時間だけ予熱後、蛍光管に始動電圧を印加し、アーク放電に移行させる駆動回路で構成される照明装置において、該蛍光管の蛍光体は、少なくともフィラメント電極の一部が見透せるように塗布されており、この透明な部分から射出する光の強弱を検知する光センサと、該光センサの出力が所定のレベルに達すれば、該タイマーで設定された時間とは関係なく、直ちに蛍光管の始動モードへ移行する照明装置ということもできる。
【0138】
また、該光センサは、可視光領域において短波長側に高感度を有することが好ましいということもできる。中でも、該光センサの高感度波長は、400nm〜410nmか、あるいは430nm〜445nmか、あるいはその両方であることが好ましいということもできる。さらに、該光センサの出力は、予熱期間まで有効であることが好ましいということもできる。
【0139】
また、本発明にかかる照明装置の該光センサは、可視光領域において短波長側に高感度を有する第1のセンサと、赤外線領域に感度を有する第2のセンサを有することが好ましいということもできる。その場合、第1のセンサの高感度波長は、400nm〜410nmか、あるいは430nm〜445nmか、あるいはその両方であり、第2のセンサの高感度波長は、700nm〜1000nmにあることが好ましい。
【0140】
また、本発明にかかる表示装置において、該センサと蛍光管のコネクタ部が同一基板上にあることが好ましいということもできる。
【0141】
一方、本発明にかかる液晶表示装置についても、以下のように、換言することもできる。すなわち、本発明にかかる液晶表示装置は、本発明にかかる照明装置と、その複数の線状光源を均一な面光源に変換するための面光源手段を組み合わせて、液晶を用いた画像表示手段の背面光源とした液晶表示装置ということもできる。
【0142】
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0143】
本発明について、実施例および比較例、並びに図15に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。
【0144】
〔実施例1〕
市販品の熱陰極蛍光灯(管径:15.5mm、管長:820mm)を用いて、エンドグローの発生タイミングとランプ管端部の黒化レベルとの相関性について調べた。
【0145】
実験は、上記熱陰極蛍光灯のフィラメントに、1.5秒間、280mAの電流を印加し、その後100μ秒間、ランプ両端に800Vの電圧を印加し、該熱陰極蛍光灯を点灯させた。点灯後は、ランプ電流は300mA、フィラメント電流は180mAとした。
【0146】
上記条件で、8本の熱陰極蛍光灯について、10秒間点灯、10秒間消灯を繰り返す点滅実験を行い、目視で認識できるエンドグロー(青っぽい光の発光現象)の発生タイミングと、ランプ管端部の黒化レベルとを観察した。その結果、電源ONにして予熱を開始した後、早くエンドグローになるランプは黒化が早く、エンドグローになるのが遅いランプは黒化が遅いことが確認された。また、エンドグローが認識できないランプは黒化していないことが確認できた。
【0147】
さらに、点灯実験を繰り返したところ、黒化レベルが高いランプは、約50万回でフィラメント断線による不点灯に至った。一方、黒化レベルが低いランプは、その後も、点灯動作を継続し、さらに、黒化も進行しなかった。
【0148】
以上の結果から、エンドグローを防止することにより、黒化の進行を防ぎ、熱陰極蛍光灯の長寿命化を実現できることが明らかとなった。
【0149】
次に、エンドグローの発生を防止するため、エンドグロー発生時に熱陰極蛍光灯から発せされる光について調べた。
【0150】
具体的には、上記点滅実験に使用した熱陰極蛍光灯のエンドグロー発生時の発光スペクトルと、通常点灯時の蛍光体の発光スペクトルとを測定した。その結果、図15(a)に示すように、エンドグロー発生時の発光スペクトルは、400nm〜410nmおよび430nm〜445nmに発光ピークがあった。この発光ピーク時の発光強度は、通常点灯時の蛍光体の該波長域での発光強度よりも高かった(図15(a)および(b)を参照)。
【0151】
この結果から、高感度波長範囲を400nm〜410nmに有する光センサ、高感度波長範囲を430nm〜445nmに有する光センサ、または、高感度波長範囲を400nm〜410nmと430nm〜445nmとに有する光センサを、上記実施形態で説明した光センサ3として用いれば、通常点灯時の蛍光体からの発光スペクトルと区別すると共に、検知感度と誤動作防止力とをより向上させることができることが明らかとなった。
【0152】
〔比較例〕
市販品の熱陰極蛍光灯(管径:15.5mm、管長:820mm)を用いて、ランプ管端部の黒化レベルについて、熱陰極蛍光灯ごとのバラツキを調べた。
【0153】
実験は、上記熱陰極蛍光灯のフィラメントに、1.5秒間、280mAの電流を印加し、その後100μ秒間、ランプ両端に800Vの電圧を印加し、該熱陰極蛍光灯を点灯させた。点灯後は、ランプ電流は300mA、フィラメント電流は180mAとした。
【0154】
上記条件で、8本の熱陰極蛍光灯について、10秒間点灯、10秒間消灯を繰り返す点滅実験を行い、ランプ管端部の黒化レベルについて、熱陰極蛍光灯ごとのバラツキが生じるか否かを調べた。その結果、一部の熱陰極蛍光灯については、ON/OFFサイクルが2万回を越えたあたりから、フィラメント電極周辺の管壁が黒化しはじめ、さらに回数が進むと黒化し始めた。このような熱陰極蛍光灯は、さらにON/OFFサイクルの回数が進むと、より黒化が進んだ。一方、ON/OFFサイクルが2万回を越えても黒化しない熱陰極蛍光灯は、ほとんど黒化しなかった。つまり、同じ仕様の熱陰極蛍光灯を、同一の駆動回路(インバータ回路)で駆動しても、黒化レベルに差が生じることが確認された。
【0155】
この結果から、従来技術のように、予熱電流と予熱時間とを単に制御するのみでは、熱陰極蛍光灯の長寿命化を十分に図ることができないことが分かった。
【0156】
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0157】
以上のように、本発明では、熱陰極蛍光灯を点灯させるためのフィラメント電極の予熱時に、エンドグローが発生しているか否かをフィラメント電極からの発光を検知することにより監視し、エンドグローの発生時には、直ちにフィラメント電極の予熱を止め、熱陰極蛍光灯を点灯させるための高電圧を印加する。そのため、フィラメント電極の電極特性や駆動回路の回路特性のバラツキがあっても、熱陰極蛍光ランプの寿命をより延ばすことができる。したがって、本発明は、熱陰極蛍光灯を用いる各種照明装置や、液晶表示装置のような、該照明装置を備えるデバイスに広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる照明装置の回路構成の要部を示すブロック図である。
【図2】図2(a)および(b)は、それぞれ、本発明の一実施形態にかかる照明装置の点灯前および点灯時の等価回路を示す図であり、図2(c)は、各等価回路の回路特性を示す図である。
【図3】図3は、水銀の発光スペクトルを示す図である。
【図4】図4は、GaP、GaAsP、およびSiを用いたPN型フォトダイオードのそれぞれの受光感度を示す図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態にかかる照明装置のセンサ回路を要部を示す回路図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態にかかる照明装置の動作の概要を示す図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態にかかる照明装置の制御回路の概要を示す回路図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態にかかる照明装置の動作のフローチャートを示す図である。
【図9】図9(a)は、本発明の一実施形態にかかる照明装置の上面図であり、図9(b)は、側面図である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態にかかる照明装置において、光センサと赤外線センサとを備える場合の2つのセンサ回路の要部を示す回路図である。
【図11】図11は、熱陰極蛍光ランプの構成を周囲温度25℃、管径15.5mm、管長820mmとし、ランプ電流135mA、フィラメント電流250mAで熱陰極蛍光ランプを駆動した場合において、熱陰極蛍光ランプの正常時(a)および異常時(b)の管壁温度を示す図である。
【図12】図12は、熱陰極蛍光ランプの管壁温度が0℃、25℃、50℃、75℃、100℃、150℃、200℃の場合において、200℃における赤外線の放射強度を100%としたときの各温度における赤外線の相対放射強度をグラフに表した図である。
【図13】図13は、本発明の一実施形態にかかる液晶表示装置の概略構成を示す断面図である。
【図14】図14は、図13の液晶表示装置と直交する方向の断面図である。
【図15】図15は、本発明の実施例において、熱陰極蛍光ランプの発光体のスペクトル(a)とエンドグロー発生時の発光スペクトル(b)とを測定した結果を示す図である。
【図16】図16は、従来技術のけい光ランプ装置の回路構成を示すブロック図である。
【図17】図17は、アーク転移温度が800℃の熱陰極蛍光ランプについて、エンドグローを発生させる予熱電流(a)と、アーク転移温度まで加熱するための予熱電流(b)とを示す図である。
【図18】図18は、図16のけい光ランプ装置の回路構成を、より簡略したブロック図である。
【図19】図19は、熱陰極蛍光ランプを用いた照明装置において、駆動回路の回路特性のバラツキと、熱陰極蛍光ランプのフィラメントの電極特性のバラツキとを示す図である。
【符号の説明】
【0159】
1 照明装置(背面光源)
2 熱陰極蛍光ランプ(光源)
3 光センサ(第1センサ)
4 検出部(第1検出手段)
5 駆動回路(駆動手段)
6 ガラス管
7 制御回路(制御手段)
8 センサ回路
9 判定回路
11 照明装置
13 赤外線センサ(第2センサ)
14 検出部(第2検出手段)
15 紫外線吸収フィルタ
16 透明部
17 制御回路(制御手段)
18 センサ回路
19 判定回路
21 スイッチング回路
22 直列LC共振回路
24 タイマ回路(時間計測手段)
32 フィラメント電極
40 基板
42 端子
43 ランプコネクタ(コネクタ手段)
101 液晶表示装置
102 面光源装置(背面光源)
103 光学シート(面光源手段)
104 液晶表示パネル(画像表示手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱電子を放出するフィラメント電極を有する光源と、
上記フィラメント電極を予熱する第1駆動モード、および上記光源をアーク放電させる電圧を印加する第2駆動モードの少なくとも2つの駆動モードで、上記光源を駆動させることが可能な駆動手段と、
上記第1駆動モードと第2駆動モードとの切り換えを制御する制御手段と、
上記フィラメント電極が所定の温度以上に予熱されたときに、上記フィラメント電極の近傍から放射される光を検知する第1センサと、
該第1センサが検知した光の強度を検出し、該光の強度が所定値以上であるとき、第1信号を上記制御手段に出力する第1検出手段と、を備え、
上記制御手段は、上記第1信号に基づいて、上記駆動手段の駆動モードを、上記第1駆動モードから第2駆動モードに切り換えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
上記光源は、円筒状のガラス管の両端内部に上記フィラメント電極を有し、該ガラス管の内壁面は、上記フィラメント電極の近傍を除き、蛍光体が塗布されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
上記第1センサは、波長400nm〜445nmの光を検知することを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
上記第1センサは、波長400nm〜410nmの光、および波長430nm〜445nmの光のうち、少なくとも一方の光を検知することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
上記第1検出手段は、上記駆動手段の駆動モードが上記第1駆動モードであるときのみ、上記第1信号を出力することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
上記駆動手段が第1駆動モードで駆動しているとき、上記フィラメント電極の予熱時間を計測し、所定の予熱時間が経過したことを表す第2信号を、上記制御手段に出力する時間計測手段をさらに備え、
上記制御手段は、上記第1信号および第2信号のうち、先に入力された信号に基づいて、上記駆動手段の駆動モードを、上記第1駆動モードから第2駆動モードに切り換えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
上記フィラメント電極の近傍から放射される熱を検知する第2センサと、
該第2センサが検知した熱に基づき、上記フィラメント電極の近傍の温度を検出し、該温度が所定値以上であるとき、第3信号を上記制御手段に出力する第2検出手段と、をさらに備え、
上記制御手段は、上記第1信号および第2信号とは独立して、上記第3信号に基づき、上記駆動手段を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
上記制御手段は、上記第3信号に基づいて、上記駆動手段を停止させることを特徴とする請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
上記第2センサは、赤外線領域の光を検知することを特徴とする請求項7または8に記載の照明装置。
【請求項10】
上記第2センサは、波長700nm〜1000nmの光を検知することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項11】
上記光源は、コネクタ手段を介して、基板上に固定されており、
上記第1センサは、該基板上に配置されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項12】
上記光源は、コネクタ手段を介して、基板上に固定されており、
上記第1センサおよび第2センサは、該基板上に配置されていることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の照明装置を備える背面光源と、
液晶を用いた画像表示手段と、を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項14】
上記背面光源は、上記照明装置と、上記照明装置が発する複数の線状光源を均一な面光源に変換する面光源手段とを備えることを特徴とする請求項13に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−293924(P2008−293924A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141009(P2007−141009)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】