説明

照明装置および眼画像入力装置

【課題】周囲環境や被写体までの距離に関わらず被写体における照度を一定に維持し、なおかつ照明に必要な消費電力を増やすこともなく、一定の明るさで鮮明な画像を入力することが可能な照明装置および眼画像入力装置を提供する。
【解決手段】被写体の眼を含む領域に照明光を照射する照明部と、照明部から被写体までの距離を測定する測定部と、測定部によって測定した照明部から被写体までの距離に応じて照明部が照射する光の照射角を変更する調光部とを備える。この調光部は、例えば凹レンズ302と凸レンズ303とを有し、凹レンズ302と凸レンズ303との間隔を調整することで、照明部が照射する光の照射角を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体判別・認証のための眼画像入力装置およびその眼画像入力装置で使用することのある照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、入退室管理装置や個人情報等の重要な情報が記憶された情報装置等、高いセキュリティ性が求められる装置におけるアクセス時の本人認証の方法として、人体の指紋、虹彩、眼底血管、顔の特徴、腕や手等の血管パターン等、被写体固有のいわゆるバイオメトリクス情報を用いた様々な認証方法が実用化されてきている。
【0003】
その中の一つとして、眼の虹彩部分の皺の模様の違いを利用した認証方法(以下、この認証方法を「虹彩認証方法」と記す)が提案され、実用化されている。
【0004】
この虹彩認証方法では、近赤外線照明等で被写体の眼およびその周辺を照明し、カメラを用いて被写体の眼を含む領域の画像(以下、「眼画像」と記す)を撮影する。そして、得られた眼画像から虹彩領域を抽出して虹彩部分の皺の模様の違いが数値情報として表わされるようにコード化した認証情報を作成し、この認証情報をあらかじめ登録された認証情報(以下、「登録認証情報」と記す)と比較照合する。比較照合の結果、互いに一致すると判定された場合には、被写体があらかじめ登録された者であるとして認証する(例えば、特許文献1を参照)。また、虹彩画像は近赤外線付近の波長域で最も鮮明な画像が得られるため、このとき用いられる眼画像を撮像する装置には、可視光カットフィルタをレンズに取り付けたものが多い。
【0005】
この虹彩認証方法は、本人拒否率の低さや他人受入率の低さ等の信頼性が高く、高いセキュリティ性が求められる場所における認証方法として広く実用化され、優れた効果を発揮している。
【0006】
一方で、前述のような虹彩認証方法によって個人認証を行う認証装置においては、認証装置が認証可能な眼画像、すなわち被写体の虹彩が適切な位置に適切な大きさで鮮明に写った眼画像が認証装置内に取り込まれなければならない。
【0007】
そのためには、被写体の虹彩を中心とする眼の周辺領域に、適切な光量の照明を照射することが要請される。例えば、被写体の虹彩を中心とする眼の周辺領域に照射される光量が少なければ充分なコントラストで鮮明な画像情報を取得することができないし、逆に照射される光量が多すぎるといわゆるハレーションを起し、CCD(Charge Coupled Device)面で乱反射した光が結像をにじませるような現象を生じ、やはり鮮明な画像情報を取得することができない。
【0008】
そこで、被写体の虹彩を中心とする眼の周辺領域に適切な光量の照明を照射するため、例えば光源から被写体までの距離に応じて光源の出力を制御する手法が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【特許文献1】特許第3307936号公報
【特許文献2】特開2001−358987号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来技術によれば、対象物までの距離を測定することが可能な測距部を用いてカメラから被写体までの距離を測定し、照明光の照明強度を変更可能な照明部において、その測定された距離にもとづき照明強度を変化させることで、被写体の眼を含む領域における照度を一定に維持することができる。しかしながら、上述した従来技術においては、被写体までの距離が離れるほど照明強度を上げなければならず、照明部における消費電力が大きくなるという課題があった。
【0010】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、照明強度を変えることなく被写体の眼を含む領域における照度を一定に維持することができる照明装置および眼画像入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の照明装置は、被写体の眼を含む領域に照明光を照射する照明部と、照明部から被写体までの距離を測定する測定部と、照明部にその距離に応じて照明部が照射する光の照射角を変更し被写体の眼を含む領域の照度を一定とする調光部を備えたことを特徴とする。
【0012】
この構成により、測定部によって測定した照明部から被写体までの距離に応じて、被写体の眼を含む領域に照射される照射光量を調整し、消費電力を増やすことなく、被写体の眼を含む領域における照度を一定に維持することが可能となる。
【0013】
また、調光部はレンズ部を備えた構成としてもよい。この構成によれば、汎用的かつ入手しやすい一般的な部品であるレンズによって、被写体の眼を含む領域における照度を一定に維持することが可能となる。
【0014】
また、レンズ部は複数のレンズを備えており、測定部によって測定した照明部から被写体までの距離に応じて複数のレンズの全部または一部を移動させるレンズ制御部をさらに備え、複数のレンズの全部または一部を移動可能とした構成としてもよい。この構成によれば、汎用的かつ入手しやすい一般的な部品である複数のレンズによってレンズ部を構成すると共に、照明部から被写体までの距離に応じて複数のレンズの全部または一部を移動させるといった単純な構成で、被写体の眼を含む領域における照度を一定に維持することが可能となる。
【0015】
また、調光部は凹面鏡を備えた構成としてもよい。この構成によれば、汎用的かつ入手しやすい一般的な部品である凹面鏡によって、被写体の眼を含む領域における照度を一定に維持することが可能となる。
【0016】
また、照明部と凹面鏡のいずれか一方もしくは両方を移動可能として照明部と凹面鏡との間隔を変更するようにした構成としてもよい。この構成によれば、汎用的かつ入手しやすい一般的な部品である凹面鏡によって調光部を構成すると共に照明部から被写体までの距離に応じて照明部と凹面鏡との間隔を変更するといった単純な構成で、被写体の眼を含む領域における照度を一定に維持することが可能となる。
【0017】
また、本発明の眼画像入力装置は、上述した本発明の照明装置を備えたこと特徴とする。
【0018】
この構成によれば、被写体の眼を含む領域における照度を常に一定に維持することが可能となり、被写体までの距離に関わらず一定の明るさで鮮明な眼画像を入力することが可能となる。
【0019】
また、本発明の照明方法は、複数のレンズを有する調光部と照明光を照射する照明部とを備えた照明装置による照明方法であって、照明部から被写体までの距離を測定するステップと、測定された距離にもとづき被写体の眼を含む領域の照度を実質的に一定とするためのレンズの移動量を算出するステップと、算出された移動量にもとづきレンズを移動させるステップと、被写体の眼を含む領域に照明光を照射するステップとを備えたことを特徴とする。
【0020】
この方法によれば、複数のレンズを有する調光部と照明光を照射する照明部とを備えた照明装置において、照明部から被写体までの距離に応じて被写体の眼を含む領域に照射する照射光量を調整し、消費電力を増やすことなく、被写体の眼を含む領域における照度を一定に維持することが可能となる。
【0021】
また、本発明の照明方法は、凹面鏡を有する調光部と照明光を照射する照明部とを備えた照明装置による照明方法であって、照明部から被写体までの距離を測定するステップと、測定された距離にもとづき被写体の眼を含む領域の照度を実質的に一定とするための照明部と凹面鏡との間隔を算出するステップと、照明部と凹面鏡との間隔を算出された間隔にするステップと、被写体の眼を含む領域に照明光を照射するステップとを備えたことを特徴とする。
【0022】
この方法によれば、凹面鏡を有する調光部と照明光を照射する照明部とを備えた照明装置において、照明部から被写体までの距離に応じて被写体の眼を含む領域に照射する照射光量を調整し、消費電力を増やすことなく、被写体の眼を含む領域における照度を一定に維持することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、周囲環境や被写体までの距離に関わらず被写体における照度を一定に維持し、なおかつ照明に必要な消費電力を増やすこともなく、一定の明るさで鮮明な眼画像を入力することが可能な照明装置および眼画像入力装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0025】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1である虹彩認証装置100について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1である虹彩認証装置100の使用状況の概観を示す図である。
【0026】
図1に示す虹彩認証装置100は、カメラ201、照明部210、測距部202を備えている。虹彩認証装置100はこれら以外の部分を備えているが、ここでの説明に直接関係しないものは図示を省略しており、その幾つかについては、図2で示す。
【0027】
カメラ201は、被写体134の眼を含む領域の画像、すなわち眼画像を撮影し、虹彩認証装置100で認証する眼画像データを入力するものである。カメラ201はカメラレンズ部126を有しており、このカメラレンズ部126を介して被写体134の眼画像データを入力する。また、カメラレンズ部126はそのフォーカスを調整するための機構等を備える。この機構にはオートフォーカス等の公知のものを適用することができる。
【0028】
また、カメラ201またはカメラレンズ部126においては、被写体によって反射されてくる反射光のうち特定の波長の光、例えば近赤外光を透過し、それ以外の波長の光をカットするような特性のフィルタを有する構成とする方が望ましい。
【0029】
測距部202は、虹彩認証装置100から被写体134までの距離を測定するものである。正確には、虹彩認証装置100のカメラレンズ部126から、被写体134の眼位置132までの距離を測定する。この測定された距離は、後述する照明部210による被写体134の照明や、カメラレンズ部126におけるフォーカスの調整のため等に使用される。
【0030】
測距部202は、図1に示すように、例えば測距用光線122を被写体134に向けて照射し、測距用光線122が被写体134に反射されてきたものを受信し、光が被写体134との間を往復する時間や照射光と反射光との位相差を検出することによって、被写体134までの距離を計測することができる。あるいは測距用光線122は必ずしも光線に限るものではなく、指向性を有する音波あるいは超音波等の可視光以外の電磁波であっても構わない。また、測距部202は、いわゆる三角測量の原理によって被写体134までの距離を計測するのでも構わないし、あるいは超音波を使用した測距方法等のその他の方法で被写体134までの距離を計測するのでも構わない。
【0031】
照明部210は、カメラ201が充分な明るさで被写体134の眼画像を取得することができるように、被写体134の眼位置132に対して照明用光束124を照射するものである。照明部210はまた、レンズ部233を備え、このレンズ部233によって照明用光束124の広がり角度を調整する。この照明用光束124の広がり角度の調整は、測距部202が計測した被写体134までの距離情報にもとづき、照明部210のレンズ部233を使って行う。そしてこの照明用光束124の広がり角度の調整によって、被写体134の眼位置132における照度を常に一定に維持することが可能となる。これらについては、図2以降を使ってより詳細に説明する。
【0032】
図2は、本発明の実施の形態1である虹彩認証装置100の概略構成図である。
【0033】
図2に示す通り、虹彩認証装置100は、被写体134の眼画像を撮影する撮影部204と、被写体134の眼位置132に照明用光束124を照射する照明部210と、撮影部204で撮影した被写体134の眼画像を認証する認証部250とを有している。虹彩認証装置100はその他の部分をも備えているが、本発明と直接関係しないので記載を省略している。
【0034】
撮影部204は、カメラ201と、測距部202と、自動焦点制御部であるAF制御部203とを有している。
【0035】
カメラ201は、被写体134の眼を含む領域の画像を撮影し、虹彩認証装置100で認証する眼画像データを取得し、その眼画像データを認証部250へ送り出す。カメラ201はカメラレンズ部126を有しており、このカメラレンズ部126を介して被写体134の眼画像データを入力する。また、カメラレンズ部126はフォーカスを調整する機能を有し、このフォーカス調整は測距部202が測定した虹彩認証装置100のカメラレンズ部126から、被写体134の眼位置132までの距離にもとづいて、AF制御部203が行う。
【0036】
照明部210は、光源部234と、レンズ部233と、レンズ制御部232と、照明制御部211とを有している。
【0037】
光源部234は、照射用光束124のもとになる指向性を有する光を発する光源で、点光源に近い方が好ましいが、必ずしも点光源に限るものではなく、幾らかの発光面積や発光体積を有する光源であっても構わない。この光源には、例えば近赤外を発する発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等を挙げることができる。
【0038】
レンズ部233は、凹レンズまたは凸レンズまたはこれらの組み合わせで構成され、これらのレンズの全部または一部は光軸方向に移動可能に構成される。
【0039】
撮影部204の測距部202で測定された虹彩認証装置100のカメラレンズ部126から被写体134の眼位置132までの距離データが照明部210の照明制御部211に入力され、照明制御部211ではこのデータにもとづいて、光源部234で発光された光束をどのような広がりを有する照明用光束124として照射すればよいかを計算で求め、そのような広がりを有する照明用光束124を照射するには、レンズ部233のレンズをどのような位置に配置すればよいかを計算で求め、そのレンズ位置情報をレンズ制御部232へ送り出す。レンズ制御部232はこのレンズ位置情報を照明制御部211から受け取り、そのレンズ位置情報にもとづいてレンズ部233のレンズが指定された位置に配置されるように制御を行う。
【0040】
これによって、光源部234から発光された光は、適切な広がりを有する照明用光束124として被写体134の眼位置132に照射される。なお、この照明用光束124の適切な広がり角度と、そのときのレンズ位置については、本発明の本質と最も関連が深いので、より詳細に後述する。
【0041】
認証部250は、撮影部204で撮影された眼画像データを入力し、その眼画像データが正当な被写体134のものであるか否かの認証を行う。
【0042】
認証部250は、前処理部251、虹彩位置検出部252、虹彩画像取得部253、虹彩情報登録部254、虹彩情報データベース255、虹彩認証処理部256、認証結果出力部257を有している。認証部250はこれら以外の部分を有しているが、本発明の本質と直接関係しないので説明を省略している。
【0043】
前処理部251は、カメラ201から入力された電気信号から画像信号成分を取り出してコントラストやフォーカス等に関する画質調整を行い、ゲイン調整等の必要な処理を行った上で、虹彩位置検出部252に出力する。
【0044】
虹彩位置検出部252は、前処理部251から受け取った眼画像データの中から瞳孔の位置を検出し、検出した瞳孔の位置にもとづいて虹彩の位置を検出する。画像データの中から瞳孔の位置を検出する方法および虹彩の位置を検出する方法としては、テンプレートマッチングを用いる方法、あるいは周回積分を用いる方法(特表平8−504979公報)等の、一般に知られた技術を使用することができる。また、虹彩位置検出部252は、検出した瞳孔の位置が眼画像全体の中心にあり、かつ一定時間(例えば、0.5秒程度)、安定的に検出できた場合にのみ、適切に虹彩の位置が検出できたと判断することもできる。
【0045】
虹彩画像取得部253は、虹彩位置検出部252から虹彩の位置が検出できたことを示す情報とその位置を表わす情報とを受け取り、その位置情報にもとづいて虹彩画像データを取得する。この虹彩画像データの取得は、例えば、前処理部251が前処理を行った画像データから、虹彩位置データが示す情報にもとづいて特定の範囲を切り出すことで実行することができる。
【0046】
虹彩画像取得部253で取得された虹彩画像データは、虹彩情報登録部254へ送られ、虹彩情報登録部254によって、虹彩認証処理部256へ送り出すと同時に、虹彩情報データベース255への登録が行われる。これは、この虹彩認証装置100が認証を行った虹彩画像データをその他の各種データと共にデータベース化して保存しておき、虹彩認証処理部256における虹彩認証処理で利用するため、特に、過去に認証を行った多くの虹彩画像データに関する情報を蓄積し、後日の認証に活用することによって、虹彩認証精度を向上させるのに利用するためである。
【0047】
虹彩認証処理部256は、虹彩情報登録部254から虹彩画像データを受け取り、この虹彩画像データの認証を行う。虹彩画像データの認証は、受け取った虹彩画像データから虹彩領域の画像だけを切り出し、虹彩部分の皺の模様にもとづいた認証情報を作成し、あらかじめ虹彩情報データベース255に登録されている登録認証情報と作成した認証情報とを比較照合し、互いに一致するか否かを判定することによって被写体134が登録者であるか否かの判断を行う。なお、この一致するか否かの判断は、一定限度のスレッシュホールドが設定されて行われ、判断結果は以後の判定の精度を向上させるのに活用するために虹彩情報データベース255に登録される。
【0048】
虹彩情報データベース255は、磁気的原理あるいは光学的原理あるいはその他の物理化学的原理またはこれらを組み合わせて情報を記録する記録装置、例えばHDD(Hard Disk Drive)やDVD(Digital Versatile Disk)、あるいはまた、例えばRAM(Random Access Memory)に代表される各種半導体メモリを利用した記録装置等、一般に知られている各種の記録装置に虹彩画像データを認証データやその他の関連データと共に記憶する。
【0049】
認証結果出力部257は、虹彩認証処理部256で行った虹彩認証の結果、すなわち被写体134が正当な登録者であるか否かの判断結果を出力する。出力の形態は、何らかの可視的な表示装置に表示するほか、他の機器や装置、システム等に電子的な信号または情報として送り出す、あるいはこれらを組み合わせて行うこともある。
【0050】
なお、認証部250および認証部250を構成する前処理部251、虹彩位置検出部252、虹彩画像取得部253、虹彩情報登録部254、虹彩情報データベース255、虹彩認証処理部256、認証結果出力部257およびその他の部分の機能に関しては、例えば、上記特許文献1に記載されたようなこれまでに知られている方法を用いて実現することもできる。
【0051】
次に、撮影部204の測距部202が測定した虹彩認証装置100のカメラレンズ部126から被写体134の眼位置132までの距離データにもとづいて、照明制御部211が光源部234で発光された光束をどのような広がりを有する照明用光束124として照射すればよいかを求め、そのような広がりを有する照明用光束124を照射するためのレンズ部233のレンズ配置を決定し、そのレンズ位置情報にもとづいてレンズ部233のレンズが指定された位置に配置されるように制御を行う実施の形態について、図3〜図6を使って詳細に説明する。
【0052】
図3は、照明部210の光源部234を構成する光源301と、レンズ部233を構成する凹レンズ302と凸レンズ303と、被写体134の眼位置305(図1の被写体134の眼位置132に対応する)との位置関係の一例を示す概略図である。また、図4は、図3の光源301とレンズ部233を構成する凹レンズ302と凸レンズ303との位置関係をより詳細に拡大して示した図である。また、図3、図4に示すように、光源301から照射され凹レンズ302と凸レンズ303とを通過した光は、光の進路304を通って被写体134の眼に照射される。
【0053】
図5は、照明部210の光源部234を構成する光源301と、レンズ部233を構成する凹レンズ302と凸レンズ303と、被写体134の眼位置505(図1の被写体134の眼位置132に対応する)との位置関係の他の例を示す概略図であり、図6は、図5の光源301とレンズ部233を構成する凹レンズ302と凸レンズ303との位置関係をより詳細に拡大して示した図である。また、図5、図6に示すように、光源301から照射され凹レンズ302と凸レンズ303とを通過した光は、光の進路504を通って被写体134の眼に照射される。
【0054】
図3と図5とが異なるのは、被写体134の眼位置305と被写体134の眼位置505が、虹彩認証装置100からより近くにあるか遠くにあるかについて異なっていることである。
【0055】
被写体134の眼位置305と被写体134の眼位置505が、虹彩認証装置100からより近くにあるか遠くにあるかについて異なっているとき、常に同じ照明用光束124を被写体134の眼位置132に向けて照射すれば、被写体134の眼を含む領域が実際に受ける照明用光の量は、虹彩認証装置100から被写体134までの距離によって異なってしまい、カメラ201が撮影する眼画像は明るすぎる画像データになったり、暗すぎる画像データになってしまい、鮮明な認証用の眼画像データを取得することが困難である。
【0056】
そこで本発明の実施の形態では、図3に一例を示すように、被写体134の眼位置305がより近くにある、すなわち凸レンズ303と被写体134の眼位置305との距離L381がより小さいときには、照明用光束124の照射角度R388をより大きなものとする。これによって、被写体134の眼位置305がより近くにあることで生じる過剰露光を相殺し、最も鮮明な認証用の眼画像データを取得できるように調整することができる。
【0057】
逆に、図5に一例を示すように、被写体134の眼位置505がより遠くにある、すなわち凸レンズ303と被写体134の眼位置505との距離L581がより大きいときには、照明用光束124の照射角度R588をより小さなものとする。これによって、被写体134の眼位置505がより遠くにあることで生じる露光不足を相殺し、最も鮮明な認証用の眼画像データを取得できるように調整することができる。
【0058】
図4は、被写体134の眼位置305がより近くにある、すなわち凸レンズ303と被写体134の眼位置305との距離L381がより小さいときに、照明用光束124の照射角度R388をより大きなものとするための、光源301と凹レンズ302と凸レンズ303との具体的な配置、すなわち位置関係を示している。
【0059】
周知の通り、光が空気中から空気以外の物質、例えば石英ガラスに入射すると、その石英ガラスの屈折率に応じて入射角から屈折をする。この屈折率は、空気中での光の進行速度と石英ガラス中における光の進行速度との差によって決定される。光が石英ガラスから空気中へと出るときには、入射時と逆の屈折率で屈折するので、石英ガラスの両面が平行な平面ならば、光がこの石英ガラスを透過しても光線の進行方向は平行移動するだけで、照射角度は変わらない。
【0060】
しかしながら、その石英ガラスの表面が湾曲していれば、光が石英ガラスに入射するときと出るときとで屈折角が変わり、光線はこの石英ガラスを通過することで進行方向を変更し、照射角度も変化する。これがレンズの原理である。
【0061】
さらにこれもよく知られている通り、中央部の厚さが周辺部の厚さよりも厚いレンズは凸レンズと呼ばれ、この凸レンズを光線が通過するとレンズの中心に向かう方向に屈折する。逆に、中央部の厚さが周辺部の厚さよりも薄いレンズは凹レンズと呼ばれ、この凹レンズを光線が通過するとレンズの中心から離れる方向に屈折する。この屈折角は、レンズを構成する物質、例えば石英ガラスの屈折率、レンズの両面の曲率、光線がレンズに対して入射するときの角度によって決定される。
【0062】
従って、これらの凸レンズと凹レンズとを組み合わせて使用することで、光源(点光源が望ましいが、必ずしも点光源に限るものではない)から照射された光束(例えば図1に示す照明用光束124)を任意の角度(例えば図3、図4に示すR388や、図5、図6に示すR588)になるよう、制御することができる。なお、以下の説明では簡単のために、光源を点光源と仮定している。
【0063】
例えば、図3に示すように、被写体134の眼位置305が比較的近くにあった(L381が比較的小さい)と仮定すると、照射光量が比較的多くなる傾向があるので、照射角度(R388)を比較的大きくしなければ、照射光量を一定に維持し、一定の明るさの鮮明な画像を取得することができない。そこで、凹レンズ302と凸レンズ303との間隔(L383)を狭めることにより、それに応じて照射角(R388)を大きくすることが可能になる。この状態をより明確になるように拡大したものを図4に示す。具体的には、例えば、凹レンズ302と凸レンズ303の屈折率をどちらも1.5と仮定し、レンズの表面の曲率を、凹レンズ302と凸レンズ303ともに、レンズの両面共に同じで1/100と仮定し、点光源からの照射角度(半値幅)を±10degと仮定し、光源301から凹レンズ302までの距離(L385)を15mm、凹レンズ302から凸レンズ303までの距離(L383)を2.5mmと仮定すると、これら凹レンズ302と凸レンズ303とを通過した後の照射角度はシミュレーションの結果によると18deg(±9deg)となる。但し、凹レンズ302と凸レンズ303共にレンズの直径は30mm、中心部の厚さは5mmと仮定して、シミュレーションしている。
【0064】
一方、例えば、図5に示すように、被写体134の眼位置505が比較的遠くにあった(L581が比較的大きい)と仮定すると、一定光源では単位面積当たりの照射光量、すなわち照度が眼位置505に応じて少なくなる傾向にある。これを解決するためには、照射角度(R588)を照明部210と眼位置505との間隔に応じて小さくすることにより、眼位置505における照度を一定に維持すればよく、これによって、一定の明るさの画像を取得することができる。具体的には、凹レンズ302と凸レンズ303との間隔(L583)を比較的大きくすることによって、照射角(R588)を比較的小さくすることが可能になる。この状態をより明確になるよう拡大したものを図6に示す。具体的には、図3、図4と同様に、例えば、凹レンズ302と凸レンズ303の屈折率をどちらも1.5と仮定し、レンズの表面の曲率を、凹レンズ302と凸レンズ303ともに、レンズの両面共に同じで1/100と仮定し、点光源からの照射角度(半値幅)を±10degと仮定し、光源301から凹レンズ302までの距離(L385)を15mmと仮定する。
【0065】
そして、図3、図4とは異なり、凹レンズ302から凸レンズ303までの距離(L583)を37.0mmと仮定すると、これら凹レンズ302と凸レンズ303とを通過した後の照射角度はシミュレーションの結果によると10deg(±5deg)となる。但し、凹レンズ302と凸レンズ303共にレンズの直径は30mm、中心部の厚さは5mmと仮定して、シミュレーションしていることは、図3、図4と同じである。
【0066】
このように、他の条件は同一にしながら、凹レンズ302と凸レンズ303の間隔を2.5mmに設定すると光の照射角度は18degになり、凹レンズ302と凸レンズ303の間隔を37.0mmに設定すると光の照射角度は10degになる。例えば、凹レンズ302と凸レンズ303の間隔を2.5mm〜37.0mmの間の任意の長さに設定すると、光の照射角度を18deg〜10degの範囲内でそれに応じた角度に設定することができる。
【0067】
この概略を図7に示す。図7は、被写体134の眼までの距離と照射光の角度と凹レンズと凸レンズの間隔との関係の概略を示す図である。図7は一つの例として、図3〜図6に対応する場合を示している。
【0068】
例えば、被写体134の眼までの距離(L381)が比較的短い距離であるXmm(X<X)であったと仮定する。この被写体134の眼までの距離(L381)は、図1ではカメラ201から被写体134の眼位置132までの距離に相当し、測距部202によって計測される。
【0069】
この被写体134の眼までの距離として比較的小さな値(L381=Xmm)が求められると、図7に示すグラフの第1象限に示された「被写体の眼までの距離と照射光の角度との関係を表わすグラフ」を使い、被写体134の眼までの距離(L381=Xmm)に対応する照射光の角度(R388)として約18degを読み取ることができる。この「被写体134の眼までの距離と照射光の角度との関係を表わすグラフ」は、理論的な計算あるいはコンピュータシミュレーションによって求めることができる。
【0070】
次に、照射光の角度(R388=18deg)が求められると、図7に示すグラフの第2象限に示された「照射光の角度と凹レンズ〜凸レンズの間隔との関係を表わすグラフ」を使い、照射光の角度(R388=18deg)に対応する凹レンズ302と凸レンズ303との間隔(L383)として2.5mmを読み取ることができる。この「照射光の角度と凹レンズ〜凸レンズの間隔との関係を表わすグラフ」も、理論的な計算あるいはコンピュータシミュレーションによって求めることができる。
【0071】
同様にして、例えば、被写体134の眼までの距離(L581)が比較的長い距離であるXmm(X>X)であったと仮定する。この被写体134の眼までの距離(L581)も、図1ではカメラ201から被写体134の眼位置132までの距離に相当し、測距部202によって計測される。
【0072】
この被写体134の眼までの距離として比較的大きな値(L581=Xmm)が求められると、図7に示すグラフの第1象限に示された「被写体の眼までの距離と照射光の角度との関係を表わすグラフ」を使い、被写体134の眼までの距離(L581=Xmm)に対応する照射光の角度(R588)として10degを読み取ることができる。この「被写体の眼までの距離と照射光の角度との関係を表わすグラフ」は、理論的な計算あるいはコンピュータシミュレーションによって求めることができる。
【0073】
次に、照射光の角度(R588=10deg)が求められると、図7に示すグラフの第2象限に示された「照射光の角度と凹レンズ〜凸レンズの間隔との関係を表わすグラフ」を使い、照射光の角度(R588=10deg)に対応する凹レンズ302と凸レンズ303との間隔(L583)として37.0mmを読み取ることができる。この「照射光の角度と凹レンズ〜凸レンズの間隔との関係を表わすグラフ」も、理論的な計算あるいはコンピュータシミュレーションによって求めることができる。
【0074】
上記では、測距部202によって計測されるカメラ201から被写体134の眼位置132までの距離として、「L381=Xmm」と「L581=Xmm」の場合だけを説明したが、それ以外のケースでも同様であるから詳細な説明は省略する。このようにして、測距部202によって計測されるカメラ201から被写体134の眼位置132までの距離が任意の長さであったとしても、常に被写体134の眼位置132における照明用光束124の照度を一定に維持し、常に鮮明な眼画像を虹彩認証のために取得することができる。
【0075】
なお、認証部250を構成する前処理部251、虹彩位置検出部252、虹彩画像取得部253、虹彩情報登録部254、虹彩認証処理部256、認証結果出力部257の機能は、それぞれがハードウェアで実現されていてもよいし、それぞれの機能がソフトウェアで実現可能に記述され、演算装置等で実行される構成であってもよい。それぞれの機能がソフトウェアによって実現されている場合には、上記の各機能ブロックを実現するプログラムを演算装置にロードしたコンピュータを用いて認証部250を構成することが可能となる。
【0076】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2である虹彩認証装置800について、図8を用いて詳細に説明する。本発明の実施の形態2である虹彩認証装置800は、多くの点において実施の形態1である虹彩認証装置100と同様であるので、異なる部分を中心に説明する。
【0077】
図8は、本発明の実施の形態2である虹彩認証装置800の概略構成図である。
【0078】
図8に示す通り、虹彩認証装置800は、被写体134の眼画像を撮影する撮影部804と、照明部810と、認証部850とを有している。
【0079】
撮影部804は、カメラ801と、測距部802と、AF制御部803とを有している。カメラ801と、測距部802と、AF制御部803とについては、本発明の実施の形態1と実質的に同じ機能を有する。
【0080】
認証部850は、撮影部804で撮影された眼画像データを入力し、その眼画像データが正当な被写体134のものであるか否かの認証を行う。認証部850は、前処理部851、虹彩位置検出部852、虹彩画像取得部853、虹彩情報登録部854、虹彩情報データベース855、虹彩認証処理部856、認証結果出力部857を有している。また、認証部850についても、本発明の実施の形態1と実質的に同じ機能を備える。
【0081】
照明部810は、光源部834と、ミラー部833と、光源制御部832と、照明制御部811とを有している。
【0082】
光源部834は、照射用光束124のもとになる指向性を有する光を発する光源で、点光源に近い方が好ましいが、完全な点光源は不可能であり、必ずしも点光源に限るものではなく、幾らかの発光面積や発光体積を有する光源であっても構わない。これらについては本発明の実施の形態1と同様である。
【0083】
但し、本発明の実施の形態1では、光源部234は固定されており変化することがなかったが、本発明の実施の形態2では光源部834は光源制御部832による制御によってその位置が変化する。これについては後でより詳細に説明をする。
【0084】
ミラー部833は、本発明の実施の形態1におけるレンズ部233に代わるもので、本発明の実施の形態2の虹彩認証装置800が実施の形態1の虹彩認証装置100と最も大きく異なるところは、このレンズ部233に代えてミラー部833を有することである。
【0085】
このミラー部833は、例えばその反射面の断面が放物線で示される凹面鏡であり、例えばその放物線にはY=0.0011×X×Xの式で示される形状をしているものを使用することができる。しかしながら、この放物線は必ずしも上記式で表わされる形状に限るものではなく、またこの凹面鏡は必ずしもその断面が放物線に限るものではない。例えばその断面が円弧状あるいはそれ以外の何らかの形状の凹面鏡を使用しても構わない。そしてこのミラー部833を構成する凹面鏡は固定されており移動することはない。
【0086】
本発明の実施の形態2である虹彩認証装置800では、撮影部804の測距部802で測定された虹彩認証装置800のカメラレンズ部126から被写体134の眼位置132までの距離データが照明部810の照明制御部811に入力され、照明制御部811ではこのデータにもとづいて、光源部834で発光された光束をどのような広がりを有する照明用光束124として照射すればよいかを計算で求め、そのような広がりを有する照明用光束124を照射するには、光源部834の光源を、ミラー部833の凹面鏡に対してどのような位置に配置すればよいかを計算で求め、その光源位置情報を光源制御部832へ送り出す。光源制御部832はこの光源位置情報を照明制御部811から受け取り、その光源位置情報にもとづいて光源部834の光源が指定された位置に配置されるように制御を行う。
【0087】
これによって、光源部834から発光された光は、適切な広がりを有する照明用光束124として被写体134の眼位置132に照射される。なお、この照明用光束124の適切な広がり角度と、そのときの光源位置については、本発明の本質と最も関連が深いので、より詳細に説明をする。
【0088】
図9は、照明部810の光源部834を構成する光源341と、ミラー部833を構成する凹面鏡342と、被写体134の眼位置345(図1の被写体134の眼位置132に対応する)との位置関係の一例を示す概略図である。図9に示すように、光源341から照射され凹面鏡342で反射された光は、光の進路344を通って被写体134の眼に照射される。
【0089】
また、図10は、照明部810の光源部834を構成する光源341と、ミラー部833を構成する凹面鏡342と、被写体134の眼位置555(図1の被写体134の眼位置132に対応する)との位置関係の他の例を示す概略図である。図10に示すように、光源341から照射され凹面鏡342で反射された光は、光の進路554を通って被写体134の眼に照射される。
【0090】
ここで、図9と図10とが異なるのは、被写体134の眼位置345および被写体134の眼位置555が、虹彩認証装置800からより近くにあるか遠くにあるかについて異なっていることである。
【0091】
被写体134の眼位置345および被写体134の眼位置555が、虹彩認証装置800からより近くにあるか遠くにあるかについて異なっているとき、常に同じ照明用光束124を被写体134の眼位置132に向けて照射すれば、被写体134の眼が実際に受ける照明用光の量は、虹彩認証装置800から被写体134までの距離によって異なってしまい、カメラ801が撮影する虹彩画像は明るすぎる画像データになったり、暗すぎる画像データになってしまい、鮮明な認証用の眼画像データを取得することが困難である。これについては、本発明の実施の形態1と同様である。
【0092】
そこで、本発明の実施の形態2でも実施の形態1と同様、図9に一例を示すように、被写体134の眼位置345がより近くにある、すなわち凹面鏡342と被写体134の眼位置345との距離L391がより小さいときには、照明用光束124の照射角度R398をより大きなものとする。これによって、被写体134の眼位置345がより近くにあることで過剰露光となることを解消し、最も鮮明な認証用の眼画像データを取得できるように調整することができる。そのためには、光源341を凹面鏡342により近づけ、光源341と凹面鏡342との距離L393をより小さくする。例えば、光源341と凹面鏡342の断面を構成する放物線の頂点との距離L393を20mmとすることができる。
【0093】
逆に、図10に一例を示すように、被写体134の眼位置555がより遠くにある、すなわち凹面鏡342と被写体134の眼位置555との距離L591がより大きいときには、照明用光束124の照射角度R598をより小さなものとする。これによって、被写体134の眼位置555がより遠くにあることで露光不足となることを解消し、最も鮮明な認証用の眼画像データを取得できるように調整することができる。そのためには、光源341を凹面鏡342からより遠ざけ、光源341と凹面鏡342との距離L593をより大きくする。例えば、光源341と凹面鏡342の断面を構成する放物線の頂点との距離L593を25mmとすることができる。
【0094】
上記例を示した、被写体134の眼位置までの距離を計測し、その値から露光度を求め、最も鮮明な認証用の眼画像データを取得できるように調整するために光源位置を設定する手法も、本発明の実施の形態1と実質的に同一であるから、詳細な説明は省略する。
【0095】
このようにして、測距部802によって計測されるカメラ801から被写体134の眼位置132までの距離が任意の長さであったとしても、常に被写体134の眼位置132における照明用光束124の照度を一定に維持し、常に鮮明な眼画像を虹彩認証のために取得することが可能になる。
【0096】
なお、本発明の実施の形態2においては、ミラー部833の凹面鏡を固定し、光源部834の光源を移動可能とする構成を説明した。しかしながら、必ずしもこの構成に限るものではなく、光源部834の光源を固定し、ミラー部833の凹面鏡を移動可能とすることによって光源と凹面鏡との間の距離を調整し、これによって光源から発光された光が適切な広がりを有する照明用光束124として被写体134の眼位置132に照射されるように調整しても構わない。
【0097】
あるいはまた、他の実施の形態では、光源部834の光源とミラー部833の凹面鏡とを共に固定し、凹面鏡の反射面の形状を変更することで光源から発光された光が適切な広がりを有する照明用光束124として被写体134の眼位置132に照射されるように調整しても構わない。
【0098】
さらにまた他の実施の形態では、上記実施の形態1や実施の形態2あるいは上記他の実施の形態に示す構成を組み合わせることによって、光源から発光された光が適切な広がりを有する照明用光束124として被写体134の眼位置132に照射されるように調整しても構わない。
【0099】
また、認証部850を構成する前処理部851、虹彩位置検出部852、虹彩画像取得部853、虹彩情報登録部854、虹彩認証処理部856、認証結果出力部857の機能は、それぞれがハードウェアで実現されていてもよいし、それぞれの機能がソフトウェアで実現可能に記述され、演算装置等で実行される構成であってもよい。それぞれの機能がソフトウェアによって実現されている場合には、上記の各機能ブロックを実現するプログラムを演算装置にロードしたコンピュータを用いて認証部850を構成することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明に係る照明装置および眼画像入力装置によれば、周囲環境や被写体までの距離に関わらず被写体の眼を含む領域における照度を一定に維持し、なおかつ照明に必要な消費電力を増やすこともなく、一定の明るさで鮮明な眼画像を入力することが可能な照明装置および眼画像入力装置を提供することができ、産業上の利用可能性は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施の形態1である虹彩認証装置の使用状況の概観を示す図
【図2】同虹彩認証装置の概略構成図
【図3】光源と凹レンズと凸レンズと被写体の眼位置との位置関係の一例を示す概略図
【図4】光源と凹レンズと凸レンズとの位置関係をより詳細に拡大して示した図
【図5】光源と凹レンズと凸レンズと被写体の眼位置との位置関係の他の例を示す概略図
【図6】光源と凹レンズと凸レンズとの位置関係をより詳細に拡大して示した図
【図7】被写体の眼までの距離と照射光の角度と凹レンズと凸レンズの間隔との関係の概略を示す図
【図8】本発明の実施の形態2である虹彩認証装置の概略構成図
【図9】光源と凹面鏡と被写体の眼位置との位置関係の一例を示す概略図
【図10】光源と凹面鏡と被写体の眼位置との位置関係の他の例を示す概略図
【符号の説明】
【0102】
100,800 虹彩認証装置
122 測距用光線
124 照明用光束
126 カメラレンズ部
132,305,345,505,555 (被写体の)眼位置
134 被写体
201,801 カメラ
202,802 測距部
203,803 AF制御部
204,804 撮影部
210,810 照明部
211,811 照明制御部
232 レンズ制御部
233 レンズ部
234,834 光源部
250,850 認証部
251,851 前処理部
252,852 虹彩位置検出部
253,853 虹彩画像取得部
254,854 虹彩情報登録部
255,855 虹彩情報データベース
256,856 虹彩認証処理部
257,857 認証結果出力部
301,341 光源
302 凹レンズ
303 凸レンズ
304,344,504,554 光の進路
342 凹面鏡
832 光源制御部
833 ミラー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の眼を含む領域に照明光を照射する照明部と、
前記照明部から前記被写体までの距離を測定する測定部と、
前記照明部に前記距離に応じて前記照明部が照射する光の照射角を変更し前記被写体の眼を含む領域の照度を一定とする調光部を備えたこと
を特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記調光部はレンズ部を備えたこと
を特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記レンズ部は複数のレンズを備えており、
前記測定部によって測定した前記照明部から前記被写体までの距離に応じて前記複数のレンズの全部または一部を移動させるレンズ制御部をさらに備え、
前記複数のレンズの全部または一部を移動可能としたこと
を特徴とする請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
前記調光部は凹面鏡を備えていること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記照明部と前記凹面鏡のいずれか一方もしくは両方を移動可能として前記照明部と前記凹面鏡との間隔を変更するようにしたこと
を特徴とする請求項4記載の照明装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の照明装置を備えたこと
を特徴とする眼画像入力装置。
【請求項7】
複数のレンズを有する調光部と照明光を照射する照明部とを備えた照明装置による照明方法であって、
前記照明部から被写体までの距離を測定するステップと、
測定された距離にもとづき前記被写体の眼を含む領域の照度を実質的に一定とするためのレンズの移動量を算出するステップと、
算出された移動量にもとづきレンズを移動させるステップと、
前記被写体の眼を含む領域に照明光を照射するステップとを備えたこと
を特徴とする照明方法。
【請求項8】
凹面鏡を有する調光部と照明光を照射する照明部とを備えた照明装置による照明方法であって、
前記照明部から被写体までの距離を測定するステップと、
測定された距離にもとづき前記被写体の眼を含む領域の照度を実質的に一定とするための前記照明部と前記凹面鏡との間隔を算出するステップと、
前記照明部と前記凹面鏡との間隔を算出された間隔にするステップと、
前記被写体の眼を含む領域に照明光を照射するステップとを備えたこと
を特徴とする照明方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−37617(P2007−37617A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222382(P2005−222382)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】