説明

照明装置

【課題】暗端現象を抑えるために定期的に極性を切り換える際に蛍光管の端部に視認されるチラツキが利用者に不快な印象を与えるため、チラツキ現象が利用者に認識できないようにした照明装置を提供すること。
【解決手段】直流点灯回路Bで蛍光灯12を点灯させる、以下の要件を備えることを特徴とする照明装置A。
(イ)上記直流点灯回路Bが上記蛍光灯12に印加する電源の極性を転換させる極性転換部11と、該極性転換部11を周期的に作動させる制御部14とを備えること
(ロ)上記照明装置Aは上記蛍光灯12の電極部近傍を遮蔽する遮蔽部材20を着脱可能に設けたこと
(ハ)該遮蔽部材20は上記蛍光灯12の電極部から発生する熱を放出させる放熱部21を備えたこと

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、詳しくは直流点灯回路で蛍光灯を点灯する照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、蛍光灯は電源に交流電源を用いて点灯するのが普通であるが、照度にちらつきが伴うため、蛍光灯を直流で点灯する直流点灯回路が本発明者から提案されている(例えば、特許文献1)。この直流点灯回路は切替スイッチを切り換えることにより極性を切り換えて蛍光灯の電極近傍に発生する暗端現象の発生を抑えることができるようになっている。
【0003】
しかし、手動で切替スイッチを切り換えることなく極性を切り換えることができる直流点灯回路を備えた面光源装置が本出願人から提案されていた(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特許第3029632号公報
【特許文献2】特許第2748248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする問題点は、上述の面光源装置は、電源スイッチを投入する度に反転するステッピングリレーを利用し、電源スイッチの投入時に極性が変るようにしていたが、極性切替が周期的に行なわれないため暗端現象の発生を完全に抑制することはできなかった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決し、暗端現象を抑えるために周期的に極性を転換すると、転換時に発生する蛍光管の端部に視認されるチラツキが利用者に不快な印象を与えるため、チラツキ現象が利用者に認識できないようにした照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明に係る照明装置は、直流点灯回路で蛍光灯を点灯させる、以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ)上記直流点灯回路が上記蛍光灯の陰極と陽極とに印加する電源の極性を転換させる極性転換部と、該極性転換部を周期的に作動させ極性を周期的に転換させる制御部とを備えること
(ロ)上記照明装置は上記蛍光灯の電極部近傍を遮蔽する遮蔽部材を着脱可能に設けたこと
(ハ)上記遮蔽部材には上記蛍光灯の電極部から発生する熱を放出させる放熱部を設けたこと
また、前記照明装置は、人体を感知するセンサを備え、前記制御部は該センサの検出結果に基づいて照度を制御するようにしても構わない。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、制御部が周期的に極性転換部を作動させ、蛍光灯の陰極と陽極とに印加する電源の極性を切り換えて放電の方向を転換するので、直流放電による暗端現象を抑えることができるとともに、周期的な転極による瞬時的な消灯から蛍光灯の電極部近傍に発生する明暗の変化を遮蔽部材で遮って視認できないようにすることにより快適な照明環境を提供することができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、使用者が照明装置の側から離れる際に、自動的に照度を下げるので一々スイッチで操作する必要がないし、省エネルギーの照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1(a)(b)は、本発明に係る照明装置Aの一例の正面図及び側面図を示し、この照明装置Aは装置本体1の上部に前後に回動可能な支柱2が取り付けられ、この支柱2の上端には上下に回動可能なアーム3の後端が取り付けられ、アーム3の先端には照明部4が取り付けられ、全体としてデスクスタンドとして構成されているものである。
【0010】
この照明装置は図2のブロック図に示すように、交流直流変換回路10で蛍光灯を直流点灯するために交流を整流平滑して脈流の少ない直流に変換し、使用される蛍光灯の特性に適合した転極時間(タイミング)を選定し、転極タイミング設定回路13で設定する。そして、転極動作の順序やタイミングの組み合わせを転極制御回路14で作り出し、極性転換部(極性転換用スイッチ回路)11で転極の切替動作を実行させることにより、放電空間の水銀蒸気が陰極側に移動し、陽極近傍の水銀蒸気が減少し、陽極側で発光輝度が次第に減少する暗端現象を解消するようになっている。
【0011】
さらに、装置本体1の前面に配置された調光器15を操作して、ランプ電流制御回路16の入力信号の電圧をリニアに変化させ、交流直流変換回路10の出力電流の大きさをリニアに変化させることにより蛍光灯12に印加する電流の大きさを自由に設定することができるので照度を自由に変えることができるようになっている。
【0012】
また、装置本体1の前面には人体を感知するセンサ(赤外線センサ)17が配置され、使用者が照明装置の側で作業をしているときには、ランプ電流制御回路16は調光器15で設定した照度になるように交流直流変換回路10の出力電流の大きさを設定しているが、使用者が照明装置の側から離れてセンサ17が人体を検出できないときは、ランプ電流制御回路16は交流直流変換回路10の出力電流を小さくして照度を落とすようになっている。
【0013】
なお、上記照明装置は暗端現象を回避するために転極制御回路14が周期的に極性を切り替えているが、その度に一瞬消灯するためにプラグ18に近い蛍光管12の端部12aが一瞬暗くなってチラツキが発生するが、このチラツキ現象が視覚的に気にならないように蛍光管12の端部12aを遮蔽部材20で覆い、明暗の変化(チラツキ)が視覚に入らないようにした。
【0014】
この遮蔽部材20は照明装置の電源回路19及び蛍光灯12の端部12aを覆う大きさの板状部材で構成され、図3(a)(b)に示すように、中央には放熱部である通気口21が形成され、裏面には嵌合凹部22、嵌合軸23、24が形成されている。上記通気口21は放熱を行なう為に外部の空気を流入させるためのもので、この通気口21により流入する空気が遮蔽部材20で覆われた内部の温度上昇を抑えるようになっている。この通気口21は蛍光管12の端部12aが視認できないように、蛍光灯12のプラグ18の部分に対応して形成されていればよい。また、嵌合凹部22には放熱部である金属の放熱板25が嵌め合わされるようになっており、この放熱板25にも上記通気口21に対応した位置に通気口26が形成されている。
【0015】
この遮蔽部材20は、図4(a)に示すように、嵌合軸23を照明部4の嵌合穴25、嵌合軸24を照明部4の嵌合穴26に嵌め合わせ、嵌合軸24を通してネジ止めすれば、図4(b)に示すように、照明部4に遮蔽部材20を固定できるようになっている。
【0016】
上記構成の照明装置Aによれば、一旦電源を入れると極性転換を周期的に繰り返すので、極性を転換させずに直流点灯を行なった場合に発生する暗端現象を抑えることができるが、極性転換により周期的に消灯が発生することになり、その消灯によるチラツキ現象を遮蔽部材20で蛍光管12の端部12aを遮蔽して視認できないようにしたので、使用者はチラツキのない快適な照明環境の下で作業や学習を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)(b)は本発明に係る照明装置の一例を説明する正面図及び側面図
【図2】上記照明装置の電気的構成を説明するブロック図
【図3】(a)(b)は遮蔽部材の構造を説明する平面側斜視図
【図4】(a)(b)は照明部に遮蔽部材を取り付ける状態を示す底面側斜視図
【符号の説明】
【0018】
4 照明部
11 極性転換部
12 蛍光灯
14 制御部
17 センサ
20 遮蔽部材
21 放熱部
A 照明装置
B 直流点灯回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流点灯回路で蛍光灯を点灯させる、以下の要件を備えることを特徴とする照明装置。
(イ)上記直流点灯回路が上記蛍光灯の陰極と陽極とに印加する電源の極性を転換させる極性転換部と、該極性転換部を周期的に作動させ極性を周期的に転換させる制御部とを備えること
(ロ)上記照明装置は上記蛍光灯の電極部近傍を遮蔽する遮蔽部材を着脱可能に設けたこと
(ハ)上記遮蔽部材には上記蛍光灯の電極部から発生する熱を放出させる放熱部を設けたこと
【請求項2】
前記照明装置は、人体を感知するセンサを備え、前記制御部は該センサの検出結果に基づいて照度を制御する、請求項1記載の照明装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−324019(P2007−324019A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154293(P2006−154293)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(594051046)株式会社栗原工業 (13)
【Fターム(参考)】