説明

照明装置

【課題】組立作業性を向上できる照明装置を提供する。
【解決手段】カバー21と放熱体22との間に、レンズ26、レンズホルダ27、LED24を実装した基板25を収容する。放熱体22には、基板25を取り付ける前面部35および外側面部36が設け、外側面部36には外側面部36から前面部35に亘って連通する配線溝44を設ける。組立時において、基板25に接続する電線を放熱体22の外側から配線溝44に配置するだけでよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源として半導体発光素子を用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、展示物の照明に用いられるスポットライトなどの照明装置では、光源としてLEDを用いているものがある。
【0003】
このような照明装置では、複数のLEDを実装した基板、各LEDからの光を投光する複数のレンズ、これら基板およびレンズを収容する本体を備え、この本体がアームによって天井側から支持され、光を出射する本体の前面の向きをアームに対して回転方向および上下方向に調整可能としている。
【0004】
本体は、基板が前面部に取り付けられる放熱体、および全体を覆うカバーなどを備え、外部からの電源供給用の電線が本体内に引き込まれて基板に電気的に接続されている。この電線は、カバーおよび放熱体の後面中央の電線挿通孔からこれらの前面側に挿通されるとともに、基板の中心に設けられた電線挿通孔から基板の前面側に挿通され、基板の前面側に電気的に接続されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−294526号公報(第3頁、図1−3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の照明器具では、組立時において、電線をカバーおよび放熱体の電線挿通孔や基板の電線挿通孔にそれぞれ通して基板に接続する必要があり、電線をこれら電線挿通孔に通すのに手間がかかり、組立作業性が悪かった。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、組立作業性を向上できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の照明装置は、半導体発光素子が実装された基板と;基板が取り付けられる前面部およびこの前面部に隣り合う外側面部が設けられているとともに、外側面部には外側面部から前面部に亘って連通する配線溝が設けられている放熱体を有し、外部からの電線が放熱体の配線溝を通じて基板に接続される本体と;を具備しているものである。
【0009】
半導体発光素子には、例えば、LEDチップ素子やEL素子などが含まれ、数は1つでも複数でも構わない。
【0010】
基板は、例えば、アルミニウムなどの金属製や、熱伝導性を有するセラミックス製などで、前面には、絶縁層や、半導体発光素子を実装する配線パターンが形成されており、電線を接続するためのコネクタを設けてもよい。
【0011】
放熱体は、例えば、アルミニウムなどの金属製で、基板が面接触して熱伝導性が高くなるように前面部が平面状に設けられていることが好ましく、後部側には放熱構造を備えていてもよい。放熱体の配線溝は、電線を配置できれば例えば直線状や屈曲状など、どのような形状でもよく、本体の外側面部に設けられれば、本体の上部でも上部以外に設けてもよい。
【0012】
電線は、例えば、被覆電線が用いられ、基板と半導体発光素子を点灯させる点灯装置などの電源側とを接続する。
【0013】
なお、半導体発光素子からの光を投光するレンズを備えていてもよい。
【0014】
請求項2記載の照明装置は、請求項1記載の照明装置において、放熱体の配線溝は、放熱体の前面部に開口する前面開口、および放熱体の後方へ向けて開口する後面開口を有し、これら前面開口と後面開口とが互いに前後方向に対向しない位置に設けられているものである。
【0015】
配線溝の前面開口および後面開口は、例えば基板など別部品で一部が閉塞されている場合には、その閉塞部分を除いて開口する部分のみが含まれる。前面開口と後面開口とが互いに前後方向に対向しない位置に設けるには、例えば、配線溝を略L字形や略S字形などに形成してもよい。
【0016】
請求項3記載の照明装置は、請求項1または2記載の照明装置において、半導体発光素子の光の出射する本体の前面の向きを上下方向に変更可能に支持する支持体を具備し、放熱体の上部に配線溝が設けられ、放熱体の後部に複数の放熱フィンが設けられているものである。
【0017】
支持体は、本体の上下方向の向きの変更に限らず、水平方向の向きの変更も可能としてもよい。
【0018】
放熱フィンは、上下方向に沿って形成することが好ましく、本体の上下方向の向きが変更されても、放熱フィン間に上下方向に沿って流れる対流が生じ、高い放熱効果を維持できる。
【0019】
請求項4記載の照明装置は、請求項3記載の照明装置において、基板に複数の半導体発光素子が実装されているとともに、基板の下部側には上部側に比べて半導体発光素子が密に実装されているものである。
【0020】
基板の下部側には上部側に比べて半導体発光素子が密に実装されているということは、実装される半導体発光素子のピッチが狭く、半導体発光素子の数が多くなり、光束の値が大きくなることを意味している。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の照明装置によれば、放熱体の外側面部に、この外側面部から前面部に亘って連通する配線溝を設けているため、組立時において、基板に接続する電線を放熱体の外側から配線溝に配置するだけでよく、組立作業性を向上できる。
【0022】
請求項2記載の照明装置によれば、請求項1記載の照明装置の効果に加えて、配線溝の前面開口と後面開口とを互いに前後方向に対向しない位置に設けているため、配線溝からの光漏れを低減できる。
【0023】
請求項3記載の照明装置によれば、請求項1または2記載の照明装置の効果に加えて、放熱体の上部に配線溝を設けているため、支持体に対して本体の角度を可変調整しても、配線溝から引き出されている電線が放熱体の後部に設けられている放熱フィンと干渉するのを防止できる。
【0024】
請求項4記載の照明装置によれば、請求項3記載の照明装置の効果に加えて、基板の下部側には上部側に比べて半導体発光素子を密に実装し、本体の下部側から出射される光束の値を上部側に比べて大きくしているため、本体の前面を斜め下方に向けて照明する場合に、照明対象物の上下位置での照度を均一にできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態を示す照明装置の分解斜視図である。
【図2】同上照明装置の一部を正面から見た斜視図である。
【図3】同上照明装置の背面から見た斜視図である。
【図4】同上照明装置の本体の正面図である。
【図5】同上照明装置の設置状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0027】
図5に示すように、照明装置11は、灯体(照明装置本体)12、この灯体12を支持する支持体13、この支持体13が取り付けられるとともに図示しない点灯回路を収容した電源ユニット14、およびこの電源ユニット14の点灯回路と灯体12側とを電気的に接続する電線15を備えている。
【0028】
図1に示すように、灯体12は、前面側のカバー21とこのカバー21の後部に取り付けられる放熱体22とを有する本体23、複数の半導体発光素子としてLED24が実装された基板25、各LED24が発光する光を灯体12の前方へ投光する複数のレンズ26、これらレンズ26をカバー21との間に保持するレンズホルダ27を備えている。
【0029】
カバー21は、例えば、合成樹脂製や金属製で、円板状の前面板30、およびこの前面板30の周辺部から後方に突出する円筒状のカバー部31を有しており、カバー部31の両側部が支持体13に対して水平方向の軸で上下方向の角度調整可能に支持されている。前面板30には、各レンズ26が後側から嵌合配置される複数のレンズ嵌合孔32が形成されている。
【0030】
また、放熱体22は、例えば、アルミニウムなどの金属製で、基板25が面接触状態に取り付けられる平面状の前面部35、この前面部35に隣り合う周面である外側面部36、および後部側に突出する放熱部37を備えている。
【0031】
前面部35には、基板25が嵌り込んで位置決めする凹部35aが形成されている。
【0032】
前面部35の中央付近には、基板25およびレンズホルダ27を放熱体22に共締めして固定するねじ38が螺着されるねじ取付孔39が形成され、レンズホルダ27の位置決め用の一部が入り込むのを許容する複数の逃げ孔40が形成され、アース取付孔41aを有するアース取付ボス41が突設されている。前面部35からのアース取付ボス41の突出寸法は、基板25の厚み寸法より大きい関係を有している。
【0033】
前面部35の周辺部には、カバー21に固定する複数のねじ42(図3参照)が挿通される溝や孔で構成される複数の取付部43が形成されている。
【0034】
放熱体22の上部で、外側面部36には、この外側面部36から前面部35に亘って連通する配線溝44が形成されている。この配線溝44は、本体23の外部から内部に引き込んで基板25に電気的に接続する電線15が配置されるものであり、図1ないし図3に示すように、放熱体22の前面部35に開口する前面開口45、および放熱体22の後方に開口する後面開口46を有し、配線溝44の外側面全域すなわち上面全域が開口されている。配線溝44の溝幅は前部側が後部側に比べて広く、配線溝44の形状が平面視で略L字形に形成されている。
【0035】
放熱体22の後面で配線溝44の下側には、配線溝44に配置される電線15を保持する電線ホルダ47がねじ48で取り付けられている。
【0036】
放熱部37には、水平方向に所定の間隔をあけて配置される複数の放熱フィン49が上下方向に沿って形成されている。これら放熱フィン49間は、後方および上下方向にそれぞれ開口し、空気の流通が可能となっている。
【0037】
また、図1および図2に示すように、LED24には、LEDチップが搭載された接続端子付きのSMD(Surface Mount Device)パッケージが用いられている。このSMDパッケージは、パッケージ内に例えば青色光を発するLEDチップが配置され、このLEDチップをLEDチップからの青色光の一部により励起されて黄色光を放射する黄色の蛍光体が混入された例えばシリコーン樹脂などの封止樹脂で封止されている。したがって、封止樹脂の表面が発光面となり、この発光面から白色系の光が放射される。SMDパッケージの側面には、基板25にはんだ付け接続される端子が配置されている。
【0038】
また、基板25は、例えば、アルミニウムなどの金属製や、熱伝導性を有するセラミックス製などで形成され、前面には、絶縁層の上に例えば銅の配線パターンが形成されており、この配線パターン上にLED24や電線15を接続するコネクタ52が接続配置されている。
【0039】
基板25に実装される複数のLED24は、図4に示すように、基板25の中心に1つ、周辺部に複数であって7つがそれぞれ配置されているが、基板25の中心より下部側(下側半分の領域)には上部側(上側半分の領域)に比べてLED24が密に実装されている。すなわち、基板25の周辺部に実装される複数のLED24の周方向のピッチは、基板25の中心より下部側では狭く、上部側では広い関係を有し、また、LED24の数は、基板25の中心より下部側では4つ、上部側では3つで、下部側の方が多い関係を有し、したがって、カバー21の前面から出射される光束の値は、下部側が上部側に比べて大きくなっている。
【0040】
基板25には、この基板25およびレンズホルダ27を放熱体22の前面部35に共締めして固定するねじ38が挿通されるねじ挿通孔53が形成され、放熱体22のアース取付ボス41が挿通されるボス挿通孔54が形成され、レンズホルダ27の位置決め用の複数の位置決め孔55が形成されている。
【0041】
基板25の周辺部には、カバー21と放熱体22とを固定するねじ42が挿通される複数のねじ挿通溝56が形成されている。基板25の上部には放熱体22の配線溝44に対向して連通する電線挿通溝57が形成され、この電線挿通溝57の側部には放熱体22の配線溝44に対向して閉塞する覆い部(遮光部)58が形成されている。電線挿通溝57は配線溝44の後面開口46と互いに対向しない位置に配置され、覆い部58は配線溝44の後面開口46に互いに対向する位置に配置されている。したがって、配線溝44の前面開口45は、基板25の電線挿通溝57に相当する部分が、電線15が通る実質的な前面開口45として構成され、配線溝44の前面開口45と後面開口46とが直接対向しないように構成されている。
【0042】
また、レンズ26は、例えば、透明な合成樹脂やガラスで形成され、後面にLED24が発光する光がレンズ26内に入射する入射面として形成され、前面にレンズ26内を通過する光が前方へ出射する出射面として形成されている。レンズ26の周辺部にはカバー21のレンズ嵌合孔32とレンズホルダ27との間で挟み込まれて保持されるフランジ60が形成されている。
【0043】
また、レンズホルダ27は、基板25の前面に取り付けられる基部63、およびこの基部63に一体に設けられた複数の円筒状のホルダ部64を有している。
【0044】
基部63には、中心のホルダ部64の周囲で周辺部のホルダ部64との間に、レンズホルダ27および基板25を放熱体22に共締めして固定するねじ38が挿通されるねじ挿通孔65を有するねじ取付ボス66、基板25のコネクタ52に対向して開口するコネクタ接続用開口69、基板25のボス挿通孔54に挿通される放熱体22のアース取付ボス41に対向して開口するアース取付用開口70が形成されている。さらに、レンズホルダ27の上部には、基板25の電線挿通溝57とコネクタ52との間でかつレンズホルダ27の隣り合うホルダ部64間に、電線挿通溝57からコネクタ52へレンズホルダ27の前面側を通じて配線される電線15が嵌り込んで保持する電線保持溝71が形成されている。
【0045】
基板25に対向する基部63の後面には、基板25の各位置決め孔55に嵌合して位置決めするための図示しない複数の位置決め突起が突設されている。
【0046】
なお、レンズホルダ27の各ホルダ部64、カバー21の各レンズ嵌合孔32および各レンズ26は、これらの中心(光軸)が上述した基板25の各LED24の中心位置に対応する位置に配置されている。
【0047】
次に、支持体13は、円筒軸74、この円筒軸74の下端に水平方向に回転可能に取り付けられたアーム75を有し、このアーム75の両端に、灯体12を水平方向の軸で上下方向の角度調整可能に支持している。
【0048】
円筒軸74内には電源ユニット14に接続された電線15が挿通され、円筒軸74の下端から引き出された電線15が灯体12側に接続されている。
【0049】
次に、電源ユニット14は、例えば、LED24に対して電線15を通じて定電流を供給する点灯回路を内蔵している。電線ユニット14は、天井面に直接取り付けられて電源線にて点灯回路に給電されたり、あるいは天井に予め取り付けられた配線レールにより取り付けられるとともに点灯回路に給電されるように構成されている。
【0050】
次に、電線15は、例えば、一対の給電用電線78およびアース線79を1本にまとめた電線であり、一対の給電用電線78の先端には基板25のコネクタ52に接続されるコネクタ80が取り付けられ、アース線79の先端にはアース端子81が取り付けられている。アース端子81は、ねじ82で基板25の前面側に突出するアース取付ボス41に接続固定される。電線15には、先端から所定の長さ位置に電線ホルダ47が取り付けられている。
【0051】
次に、照明装置11の灯体12の組立について説明する。
【0052】
放熱体22の前面部35を上方へ向けた状態で、この放熱体22の前面部35上にLED24などを実装した基板25を位置決め配置する。このとき、放熱体22の前面部35から突出するアース取付ボス41を基板25のボス挿通孔54に通し、放熱体22の前面部35の凹部35aに基板25を嵌め込んで位置決めする。
【0053】
放熱体22の前面部35上に配置した基板25上に、レンズホルダ27を配置する。このとき、レンズホルダ27から突出する複数の位置決め突起を基板25の各位置決め孔55に挿入し、レンズホルダ27を基板25および放熱体22に対して位置決めする。
【0054】
ねじ38をレンズホルダ27のねじ取付ボス66に挿入するとともにこのねじ取付ボス66のねじ挿通孔65および基板25のねじ挿通孔53を通じて放熱体22のねじ取付孔39に螺合し、レンズホルダ27および基板25を放熱体22に共締め固定する。これにより、基板25の後面が放熱体22の前面部35に面接触状態に密着し、基板25から放熱体22への熱伝導性が良好になる。
【0055】
この状態で、基板25の電線挿通溝57および覆い部58が放熱体22の配線溝44の前面に対向する位置に配置され、基板25の電線挿通溝57に相当する部分である実質的な前面開口45と後面開口46とが直接対向しないように配線溝44が形成される。また、レンズホルダ27のコネクタ接続用開口69が基板25のコネクタ52に対向し、アース取付用開口70が基板25の前面に突出するアース取付ボス41に対向して配置される。
【0056】
電線15のコネクタ80をレンズホルダ27のコネクタ接続用開口69から基板25のコネクタ52に接続し、アース線79のアース端子81をレンズホルダ27のアース取付用開口70からアース取付ボス41にねじ82で接続固定する。電線15の先端側をレンズホルダ27の前方から電線保持溝71に差し込んで位置決め保持し、さらに、電線15を放熱体22の外側方から配線溝44内に沿って屈曲させながら差し込んで配置し、電線ホルダ47をねじ48で放熱体22の後面に固定する。
【0057】
一方、カバー21の後面を上方へ向けた状態で、カバー21の各レンズ嵌合孔32に各レンズ26を配置する。
【0058】
レンズ26を配置したカバー21上に、基板25、レンズホルダ27および電線15を取り付けた放熱体22を上方から被せ、レンズホルダ27の各ホルダ部64に各レンズ26を嵌合し、カバー21と放熱体22とを組み合わせる。各ねじ42を放熱体22の取付部43を通じてカバー21に締め付け固定する。
【0059】
これにより、カバー21とレンズホルダ27との間に各レンズ26が挟み込まれて保持され、電線15がカバー21と放熱体22との上部間から外部に引き出され、灯体12の組立が完了する。
【0060】
このように、灯体12の組立時において、放熱体22の外側面部36に、この外側面部36から前面部35に亘って連通する配線溝44を設けているため、基板25に接続する電線15を放熱体22の外側から配線溝44に配置するだけで済み、従来のように電線を電線挿通孔に通す手間のかかる作業が必要なくなり、組立作業性を向上できる。
【0061】
そして、この灯体12を用いた照明装置11では、電源ユニット14が天井側に取り付けられ、この電源ユニット14に対して円筒軸74およびアーム75により灯体12が支持されている。
【0062】
電源ユニット14の点灯回路に電源供給することにより、この点灯回路から電線15を通じてLED24に電力供給する。これにより、各LED24が発光し、各LED24の光が各レンズ26を通じて灯体12の前方から投光される。
【0063】
この灯体12の点灯時において、放熱体22に配線溝44が設けられていることから、この配線溝44からの光漏れが考えられるが、配線溝44の前面開口45と後面開口46とを互いに前後方向に対向しない位置に設けているため、配線溝44からの光漏れを低減できる。
【0064】
特に、配線溝44の前面開口45と後面開口46とを互いに前後方向に対向しないようにするのに、放熱体22のみで形成しようとした場合には、放熱体22の配線溝44を製造する金型が複雑化し、放熱体22のコストが高くなるが、放熱体22には配線溝44を略L字形に設けて、この配線溝44の前面を基板25の覆い部58で覆う構造とすることにより、放熱体22の配線溝44を製造する金型が複雑化することなく、低コストで放熱体22を形成できる。
【0065】
また、LED24が発光時に発生する熱は、主に、基板25から放熱体22に効率よく熱伝導され、この放熱体22の複数の放熱フィン49から空気中に放熱される。
【0066】
また、支持体13によって、灯体12の前面の向き、つまり光照射方向を水平方向および上下方向に可変して調整することができる。
【0067】
この場合、放熱体22の上部に配線溝44を設けているため、支持体13に対して灯体12の上下方向の角度を可変調整しても、配線溝44から引き出されている電線15が放熱体22の後部に設けられている放熱フィン49と干渉するのを防止できる。
【0068】
さらに、放熱体22の放熱フィン49は上下方向に沿って設けられているため、支持体13に対して灯体12の上下方向の角度を可変調整しても、放熱フィン49間に上下方向に沿って流れる対流が生じ、高い放熱効果を維持できる。
【0069】
また、天井側の高い位置に配置されている照明装置11の灯体12の前面を斜め下方に向けて壁面などの照明対象物を照明するのに使用する場合、この灯体12の前面と照明対象物との距離がその照明対象物の上部側が短く、下部側が上部側よりも長くなり、そのため、照明対象物の下部側が暗くなりやすい。本実施の形態の照明装置11では、基板25の下部側には上部側に比べてLED24を密に実装し、灯体12の前面の下部側から照明対象物の下部側へ出射される光束の値を上部側から照明対象物の上部側へ出射される光束の値に比べて大きくなるため、灯体12との距離の長い照明対象物の下部側も明るくでき、照明対象物の上下位置での照度を均一にできる。
【符号の説明】
【0070】
11 照明装置
13 支持体
15 電線
22 放熱体
23 本体
24 半導体発光素子としてLED
25 基板
35 前面部
36 外側面部
44 配線溝
45 前面開口
46 後面開口
49 放熱フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光素子が実装された基板と;
基板が取り付けられる前面部およびこの前面部に隣り合う外側面部が設けられているとともに、外側面部には外側面部から前面部に亘って連通する配線溝が設けられている放熱体を有し、外部からの電線が放熱体の配線溝を通じて基板に接続される本体と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
放熱体の配線溝は、放熱体の前面部に開口する前面開口、および放熱体の後方へ向けて開口する後面開口を有し、これら前面開口と後面開口とが互いに前後方向に対向しない位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
半導体発光素子の光の出射する本体の前面の向きを上下方向に変更可能に支持する支持体を具備し、
放熱体の上部に配線溝が設けられ、放熱体の後部に複数の放熱フィンが設けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載の照明装置。
【請求項4】
基板に複数の半導体発光素子が実装されているとともに、基板の下部側には上部側に比べて半導体発光素子が密に実装されている
ことを特徴とする請求項3記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−154832(P2011−154832A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14706(P2010−14706)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】