説明

照明装置

【課題】基板を小形化できる照明装置を提供する。
【解決手段】LED24が実装された基板25、基板25を取り付ける放熱体22、およびLED24からの光を制光するレンズ26を保持するレンズホルダ27を備える。ねじ38を、レンズホルダ27の前面側からレンズホルダ27および基板25を通じて放熱体22にねじ込む。ねじ38の頭部は、レンズホルダ27の前面側に当接し、基板25との間にレンズホルダ27が介在する。ねじ38と基板25の通電部分との絶縁距離は、ねじ38の軸部を基準として確保すればよく、基板25を小形化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源として半導体発光素子を用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、展示物の照明に用いられるスポットライトなどの照明装置では、光源としてLEDを用いているものがある。
【0003】
このような照明装置では、複数のLEDを実装した基板、各LEDからの光を投光する複数のレンズ、これら基板およびレンズを収容する本体を有する灯体を備えている。
【0004】
基板は、熱伝導性のよい金属製とし、その前面に絶縁層が形成されているとともに、この絶縁層上に所定のパターンの配線層が形成され、この配線層上に複数のLEDが実装されている。基板の後面が本体が有する放熱体に取り付けられ、点灯時にLEDが発生する熱を基板から放熱体に熱伝導し、放熱体から放熱できるようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、基板から放熱体への熱伝導性を良好にするために、基板を放熱体にねじで締め付け固定し、基板を放熱体に密着させている。ねじは、このねじの軸部が基板の前面側から基板を貫通して放熱体にねじ込まれ、ねじの頭部が基板の前面に接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−294526号公報(第3頁、図1−3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
基板の前面には配線層や複数のLEDなどの通電部分が配置されているが、これら通電部分とねじとの間には所定の絶縁距離以上の間隔をあけなければならない。
【0008】
従来の照明装置では、ねじの頭部が基板に直接接合しているため、このねじの頭部の最外径部を基準として通電部分との絶縁距離を確保する必要がある。そのため、例えば、基板に実装される複数のLEDの間にねじを配置する場合には、ねじの頭部の最外径部から各LEDが所定の絶縁距離以上の間隔をあくように離して配置する必要があり、そのために基板が大形化し、照明装置が大形化する問題がある。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、小形化できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の照明装置は、前面に配線層が形成されているとともにこの配線層上に半導体発光素子が実装された基板と;基板の後面が取り付けられる放熱体と;半導体発光素子からの光を制光するレンズと;レンズを保持するホルダ部が設けられているとともに、基板を介在して放熱体に取り付けられる取付基部が設けられた絶縁性を有するレンズホルダと;レンズホルダの取付基部の前面側から取付基部を介在して放熱体に取り付けられる金属部品と;を具備しているものである。
【0011】
半導体発光素子には、例えば、LEDチップ素子やEL素子などが含まれ、数は1つでも複数でも構わない。
【0012】
基板は、例えば、アルミニウムなどの金属製や、熱伝導性を有するセラミックス製などで、前面には、絶縁層上に所定のパターンの配線層が形成され、この配線層上に半導体発光素子が実装されている。配線層は、例えば、銅などの材料で、基板の広い範囲に形成され、放熱性および基板本体への熱伝導性の向上が図られる。
【0013】
放熱体は、例えば、アルミニウムなどの金属製で、基板が面接触して熱伝導性が高くなるように前面部が平面状に設けられていることが好ましく、後部側には放熱構造を備えていてもよい。
【0014】
レンズは、例えば、合成樹脂製やガラス製で、半導体発光素子が複数の場合には複数のレンズが用いられる。
【0015】
レンズホルダの取付基部は、この取付基部の一部が基板に当接して残りが基板から離れるような形状でもよいし、取付基部の後面の略全体が基板に当接するように板状に設けていてもよい。
【0016】
金属部品は、例えば、基板およびレンズホルダを放熱体に取り付けるためのねじや、放熱体にアース線を接続するアース端子などが含まれる。ねじの場合には、このねじがレンズホルダの取付基部の前面側から取付基部を介在して放熱体にねじ込まれて取り付けられる。アース端子の場合には、レンズホルダの取付基部の前面側から取付基部を介在して放熱体にねじなどで接続される。
【0017】
請求項2記載の照明装置は、請求項1記載の照明装置において、レンズホルダの取付基部には、金属部品の周囲を囲む囲み部、および金属部品と基板との間に介在される介在部を有する金属部品取付部が設けられているものである。
【0018】
囲み部は、例えば、取付基部の前面に開口する凹状に設けられ、この凹状の囲み部の底部に介在部が設けられる。
【0019】
請求項3記載の照明装置は、請求項1または2記載の照明装置において、金属部品は、軸部および頭部を有するねじであり、ねじの軸部がレンズホルダの取付基部を貫通して放熱体に取り付けられ、ねじの頭部がレンズホルダの取付基部の前面側に当接配置されているものである。
【0020】
これにより、ねじの軸部を基準として基板の通電部分の絶縁距離を確保すればよくなり、ねじの頭部を基準として絶縁距離を確保する場合に比べて、基板の小形化が可能となる。また、ねじにより、基板およびレンズホルダが放熱体に共締め固定される。
【0021】
請求項4記載の照明装置は、請求項1または2記載の照明装置において、放熱体は、金属製で、前面には基板およびレンズホルダの取付基部を貫通して取付基部の前面から突出するアース取付部が設けられ、金属部品は、レンズホルダの取付基部の前面から突出するアース取付部に取り付けられるアース端子であるものである。
【0022】
これにより、アース取付部を基準として基板の通電部分の絶縁距離を確保すればよくなり、アース端子を基準として絶縁距離を確保する場合に比べて、基板の小形化が可能となる。また、アース端子は、例えば、基板の前面の配線層に電気的に接続される電力供給用の電線とともに配線されるアース線の先端に取り付けられ、ねじでアース取付部に取り付けられる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の照明装置によれば、金属部品が、レンズホルダの取付基部の前面側から取付基部を介在して放熱体に取り付けられるため、金属部品と基板の通電部分との絶縁性を確保しながら基板を小形化でき、照明装置の小形化も可能となる。
【0024】
請求項2記載の照明装置によれば、請求項1記載の照明装置の効果に加えて、レンズホルダの取付基部に設けた金属部品取付部の囲み部が金属部品の周囲を囲み、金属部品取付部の介在部が金属部品と基板との間に介在するため、金属部品の絶縁性を確実に確保できる。
【0025】
請求項3記載の照明装置によれば、請求項1または2記載の照明装置の効果に加えて、金属部品が基板を放熱体に密着させて取り付けるねじであり、このねじの軸部がレンズホルダの取付基部を貫通して放熱体に取り付けられ、ねじの頭部がレンズホルダの取付基部の前面側に当接配置されるため、ねじと基板の通電部分との絶縁距離はねじの軸部を基準として確保すればよく、ねじの頭部を基準とする場合に比べて、基板を小形化できる。
【0026】
請求項4記載の照明装置によれば、請求項1または2記載の照明装置の効果に加えて、金属部品が金属製の放熱体に接続されるアース端子であり、このアース端子が基板を貫通するとともにレンズホルダの取付基部の前面から突出する放熱体のアース取付部に取り付けられ、アース端子と基板との間にレンズホルダの取付基部が介在するため、アース端子部分と基板の通電部分との絶縁距離はアース取付部を基準として確保すればよく、アース端子を基準として確保する場合に比べて、基板を小形化できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す照明装置の分解斜視図である。
【図2】同上照明装置の一部の断面図である。
【図3】同上照明装置の一部を正面から見た斜視図である。
【図4】同上照明装置の背面から見た斜視図である。
【図5】同上照明装置の設置状態の斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示す照明装置の一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0029】
図1ないし図5に第1の実施の形態を示す。
【0030】
図5に示すように、照明装置11は、灯体(照明装置本体)12、この灯体12を支持する支持体13、この支持体13が取り付けられるとともに図示しない点灯回路を収容した電源ユニット14、およびこの電源ユニット14の点灯回路と灯体12側とを電気的に接続する電線15を備えている。
【0031】
図1に示すように、灯体12は、前面側のカバー21とこのカバー21の後部に取り付けられる放熱体22とを有する本体23、複数の半導体発光素子としてのLED24が実装された基板25、各LED24が発光する光を灯体12の前方へ投光する複数のレンズ26、これらレンズ26をカバー21との間に保持するレンズホルダ27を備えている。
【0032】
カバー21は、例えば、合成樹脂製や金属製で、円板状の前面板30、およびこの前面板30の周辺部から後方に突出する円筒状のカバー部31を有しており、カバー部31の両側部が支持体13に対して水平方向の軸で上下方向の角度調整可能に支持されている。前面板30には、各レンズ26が後側から嵌合配置される複数のレンズ嵌合孔32が形成されている。
【0033】
また、放熱体22は、例えば、アルミニウムなどの金属製で、基板25が面接触状態に取り付けられる平面状の前面部35、この前面部35に隣り合う周面である外側面部36、および後部側に突出する放熱部37を備えている。
【0034】
前面部35には、基板25が嵌り込んで位置決めする凹部35aが形成されている。
【0035】
前面部35の中央付近には、基板25およびレンズホルダ27を放熱体22に共締めして固定する金属部品としてのねじ38が螺着されるねじ取付孔39が形成され、レンズホルダ27の位置決め用の一部が入り込むのを許容する複数の逃げ孔40が形成され、アース取付孔41aを有するアース取付部としてのアース取付ボス41が突設されている。前面部35からのアース取付ボス41の突出寸法は、基板25の厚み寸法より大きい関係を有している。
【0036】
前面部35の周辺部には、カバー21に固定する複数のねじ42(図3参照)が挿通される溝や孔で構成される複数の取付部43が形成されている。
【0037】
放熱体22の上部で、外側面部36には、この外側面部36から前面部35に亘って連通する配線溝44が形成されている。この配線溝44は、本体23の外部から内部に引き込んで基板25に電気的に接続する電線15が配置されるものであり、図1、図3および図4に示すように、放熱体22の前面部35に開口する前面開口45、および放熱体22の後方に開口する後面開口46を有し、配線溝44の外側面全域すなわち上面全域が開口されている。配線溝44の溝幅は前部側が後部側に比べて広く、配線溝44の形状が平面視で略L字形に形成されている。
【0038】
放熱体22の後面で配線溝44の下側には、配線溝44に配置される電線15を保持する電線ホルダ47がねじ48で取り付けられている。
【0039】
放熱部37には、水平方向に所定の間隔をあけて配置される複数の放熱フィン49が上下方向に沿って形成されている。これら放熱フィン49間は、後方および上下方向にそれぞれ開口し、空気の流通が可能となっている。
【0040】
また、図1および図3に示すように、LED24には、LEDチップが搭載された接続端子付きのSMD(Surface Mount Device)パッケージが用いられている。このSMDパッケージは、パッケージ内に例えば青色光を発するLEDチップが配置され、このLEDチップをLEDチップからの青色光の一部により励起されて黄色光を放射する黄色の蛍光体が混入された例えばシリコーン樹脂などの封止樹脂で封止されている。したがって、封止樹脂の表面が発光面となり、この発光面から白色系の光が放射される。SMDパッケージの側面には、基板25にはんだ付け接続される端子が配置されている。
【0041】
また、基板25は、例えば、アルミニウムなどの金属や、熱伝導性を有するセラミックスなどで基板本体が形成され、この基板本体の前面に、図示していないが、例えば樹脂などの絶縁層が形成されているとともに、この絶縁層上に例えば銅などで所定のパターンとされる配線層が形成されている。この配線層上にLED24や電線15を接続するコネクタ52が接続配置されている。配線層は、LED24やコネクタ52の電気的接続以外に、LED24の熱を基板本体に熱伝導する機能も有し、基板本体への熱伝導性を向上させるために基板本体の前面の大部分となる広い面積の範囲に形成されている。
【0042】
基板25には、この基板25およびレンズホルダ27を放熱体22の前面部35に共締めして固定するねじ38が挿通されるねじ挿通孔53が形成され、放熱体22のアース取付ボス41が挿通されるボス挿通孔54が形成され、レンズホルダ27の位置決め用の複数の位置決め孔55が形成されている。
【0043】
基板25の周辺部には、カバー21と放熱体22とを固定するねじ42が挿通される複数のねじ挿通溝56が形成されている。基板25の上部には放熱体22の配線溝44に対向して連通する電線挿通溝57が形成され、この電線挿通溝57の側部には放熱体22の配線溝44に対向して閉塞する覆い部(遮光部)58が形成されている。電線挿通溝57は配線溝44の後面開口46と互いに対向しない位置に配置され、覆い部58は配線溝44の後面開口46に互いに対向する位置に配置されている。したがって、配線溝44の前面開口45は、基板25の電線挿通溝57に相当する部分が、電線15が通る実質的な前面開口45として構成され、配線溝44の前面開口45と後面開口46とが直接対向しないように構成されている。
【0044】
また、レンズ26は、例えば、透明な合成樹脂やガラスで形成され、後面にLED24が発光する光がレンズ26内に入射する入射面として形成され、前面にレンズ26内を通過する光が前方へ出射する出射面として形成されている。レンズ26の周辺部にはカバー21のレンズ嵌合孔32とレンズホルダ27との間で挟み込まれて保持されるフランジ60が形成されている。
【0045】
また、レンズホルダ27は、基板25の前面に取り付けられる取付基部63、およびこの取付基部63に一体に設けられた複数の円筒状のホルダ部64を有している。
【0046】
取付基部63には、中心のホルダ部64の周囲で周辺部のホルダ部64との間に、レンズホルダ27および基板25を放熱体22に共締めして固定するねじ38が挿通されるねじ挿通孔65を有する金属部品取付部としてのねじ取付部66、基板25のコネクタ52に対向して開口するコネクタ接続用開口67、および基板25のボス挿通孔54に挿通される放熱体22のアース取付ボス41に対向して開口するアース取付用開口68が形成されている。
【0047】
ねじ取付部66には、図2に示すように、ねじ38の頭部38bの周囲を囲む円筒状の囲み部69、およびこの囲み部69の底部でねじ38の頭部38bと基板25との間に介在される介在部70を有し、介在部70の中心にねじ38の軸部(ねじ軸部)38aが挿通するねじ挿通孔65が形成されている。介在部70は、ねじ38の締め付けによって基板25の前面に密着し、基板25とともに放熱体22に共締め固定される。
【0048】
さらに、レンズホルダ27の上部には、基板25の電線挿通溝57とコネクタ52との間でかつレンズホルダ27の隣り合うホルダ部64間に、電線挿通溝57からコネクタ52へレンズホルダ27の前面側を通じて配線される電線15が嵌り込んで保持する電線保持溝71が形成されている。
【0049】
基板25に対向する取付基部63の後面には、基板25の各位置決め孔55に嵌合して位置決めするための図示しない複数の位置決め突起が突設されている。
【0050】
なお、レンズホルダ27の各ホルダ部64、カバー21の各レンズ嵌合孔32および各レンズ26は、これらの中心(光軸)が上述した基板25の各LED24の中心位置に対応する位置に配置されている。
【0051】
次に、図5に示すように、支持体13は、円筒軸74、およびこの円筒軸74の下端に水平方向に回転可能に取り付けられたアーム75を有し、このアーム75の両端に、灯体12を水平方向の軸で上下方向の角度調整可能に支持している。
【0052】
円筒軸74内には電源ユニット14に接続された電線15が挿通され、円筒軸74の下端から引き出された電線15が灯体12側に接続されている。
【0053】
次に、電源ユニット14は、例えば、LED24に対して電線15を通じて定電流を供給する点灯回路を内蔵している。電源ユニット14は、天井面に直接取り付けられて電源線にて点灯回路に給電されたり、あるいは天井に予め取り付けられた配線レールにより取り付けられるとともに点灯回路に給電されるように構成されている。
【0054】
次に、電線15は、例えば、一対の給電用電線78およびアース線79を1本にまとめた電線であり、一対の給電用電線78の先端には基板25のコネクタ52に接続されるコネクタ80が取り付けられ、アース線79の先端には金属製のアース端子81が取り付けられている。アース端子81は、ねじ82で基板25の前面側に突出するアース取付ボス41に接続固定される。電線15には、先端から所定の長さ位置に電線ホルダ47が取り付けられている。
【0055】
次に、照明装置11の灯体12の組立について説明する。
【0056】
放熱体22の前面部35を上方へ向けた状態で、この放熱体22の前面部35上にLED24などを実装した基板25を位置決め配置する。このとき、放熱体22の前面部35から突出するアース取付ボス41を基板25のボス挿通孔54に通し、放熱体22の前面部35の凹部35aに基板25を嵌め込んで位置決めする。
【0057】
放熱体22の前面部35上に配置した基板25上に、レンズホルダ27を配置する。このとき、レンズホルダ27から突出する複数の位置決め突起を基板25の各位置決め孔55に挿入し、レンズホルダ27を基板25および放熱体22に対して位置決めする。
【0058】
ねじ38をレンズホルダ27のねじ取付部66に挿入するとともにこのねじ取付部66のねじ挿通孔65および基板25のねじ挿通孔53を通じて放熱体22のねじ取付孔39にねじ込み、レンズホルダ27および基板25を放熱体22に共締め固定する。これにより、基板25の後面が放熱体22の前面部35に面接触状態に密着し、基板25から放熱体22への熱伝導性が良好になる。
【0059】
この状態で、基板25の電線挿通溝57および覆い部58が放熱体22の配線溝44の前面に対向する位置に配置され、基板25の電線挿通溝57に相当する部分である実質的な前面開口45と後面開口46とが直接対向しないように配線溝44が形成される。また、レンズホルダ27のコネクタ接続用開口67が基板25のコネクタ52に対向し、アース取付用開口68が基板25の前面に突出するアース取付ボス41に対向して配置される。
【0060】
電線15のコネクタ80をレンズホルダ27のコネクタ接続用開口67から基板25のコネクタ52に接続し、アース線79のアース端子81をレンズホルダ27のアース取付用開口68からアース取付ボス41にねじ82で接続固定する。電線15の先端側をレンズホルダ27の前方から電線保持溝71に差し込んで位置決め保持し、さらに、電線15を放熱体22の外側方から配線溝44内に沿って屈曲させながら差し込んで配置し、電線ホルダ47をねじ48で放熱体22の後面に固定する。
【0061】
一方、カバー21の後面を上方へ向けた状態で、カバー21の各レンズ嵌合孔32に各レンズ26を配置する。
【0062】
レンズ26を配置したカバー21上に、基板25、レンズホルダ27および電線15を取り付けた放熱体22を上方から被せ、レンズホルダ27の各ホルダ部64に各レンズ26を嵌合し、カバー21と放熱体22とを組み合わせる。各ねじ42を放熱体22の取付部43を通じてカバー21に締め付け固定する。
【0063】
これにより、カバー21とレンズホルダ27との間に各レンズ26が挟み込まれて保持され、電線15がカバー21と放熱体22との上部間から外部に引き出され、灯体12の組立が完了する。
【0064】
そして、この灯体12を用いた照明装置11では、電源ユニット14が天井側に取り付けられ、この電源ユニット14に対して円筒軸74およびアーム75により灯体12が支持されている。
【0065】
電源ユニット14の点灯回路に電源供給することにより、この点灯回路から電線15を通じてLED24に電力供給する。これにより、各LED24が発光し、各LED24の光が各レンズ26を通じて灯体12の前方から投光される。
【0066】
LED24が発光時に発生する熱は、主に、基板25から放熱体22に効率よく熱伝導され、この放熱体22の複数の放熱フィン49から空気中に放熱される。
【0067】
また、図2に示すように、レンズホルダ27および基板25を放熱体22に共締めするねじ38は、軸部38aがレンズホルダ27のねじ取付部66のねじ挿通孔65および基板25のねじ挿通孔53を貫通して放熱体22の前面部35に取り付けられ、頭部38bがレンズホルダ27のねじ取付部66の介在部70の前面側に当接された状態で囲み部69内に配置されている。
【0068】
そのため、基板25の前面に平行な方向において、ねじ38から所定の絶縁距離Lだけ離れた位置に基板25の前面に形成される配線層などの通電部分の位置を設定する場合には、ねじ38の軸部38aを基準として絶縁距離Lだけ離れた位置P1に設定すればよい。
【0069】
仮に、従来のようにねじ38の頭部38aが基板25に当接する場合には、ねじ38の頭部38bを基準として絶縁距離Lだけ離れた位置P2に設定する必要がある。
【0070】
したがって、本実施の形態では、基板25の前面に平行な方向において、ねじ38と基板25の通電部分との距離を、従来のねじ38と基板25の通電部分との距離に比べて、近付けることができる。
【0071】
このように、ねじ38が、レンズホルダ27の取付基部63の前面側から取付基部63を介在して放熱体22の前面部35に取り付けられるため、ねじ38と基板25の通電部分との絶縁性を確保しながら基板25を小形化でき、照明装置11の小形化も可能となる。
【0072】
特に、レンズホルダ27の取付基部63に設けたねじ取付部66の囲み部69がねじ38の周囲を囲み、ねじ取付部66の介在部70がねじ38と基板25との間に介在するため、ねじ38の絶縁性を確実に確保できる。
【0073】
次に、図6に第2の実施の形態を示す。
【0074】
金属部品としてのアース端子81を対象としたものである。アース端子81は、一端にねじ82が挿通するねじ挿通孔81aが形成され、他端が側方に突出されるとともにアース線79がかしめて結合されるアース線結合部81bが形成されている。
【0075】
レンズホルダ27のアース端子取付用開口68の位置に、金属部品取付部としてのアース端子収納部91が設けられる。このアース端子収納部91は、アース端子81の周囲を囲む囲み部92、およびこの囲み部92の底部でアース端子81と基板25との間に介在される介在部93を有し、介在部93に放熱体22のアース取付ボス41が挿通されて介在部93の前面側に突出するボス挿通孔94が形成されている。
【0076】
囲み部92は、アース端子81の形状に対応して、長孔形や長方形の凹部に形成され、内壁面との当接でアース端子81をねじ82を中心とした回転方向の位置を位置決め規制することができる。
【0077】
放熱体22の前面部35からのアース取付ボス41の突出寸法は、基板25および介在部93を合わせた厚み寸法より大きく形成されている。
【0078】
そして、アース端子81は、レンズホルダ27の前面側からアース端子収納部91内に挿入され、ねじ挿通孔81aを挿通するねじ82がアース取付ボス41のアース取付孔41aにねじ込まれ、アース取付ボス41に接続固定されている。
【0079】
アース取付ボス41に接続固定されたアース端子81は、アース端子収納部91の囲み部92で囲まれ、基板25との間に介在部93が介在する。
【0080】
そのため、基板25の前面に平行な方向において、アース端子81の部分から所定の絶縁距離Lだけ離れた位置に基板25の前面に形成される配線層などの通電部分の位置を設定する場合には、アース取付ボス41を基準として絶縁距離Lだけ離れた位置P3に設定すればよい。
【0081】
仮に、従来のようにアース端子81が基板25の前面に直接対向する場合には、アース取付ボス41よりも大きく側方に突出するアース端子81のアース線結合部81bの端部を基準として絶縁距離Lだけ離れた位置P4に設定する必要がある。
【0082】
したがって、本実施の形態では、基板25の前面に平行な方向において、アース端子81の部分と基板25の通電部分との距離を、従来のアース端子81の部分と基板25の通電部分との距離に比べて、近付けることができる。
【0083】
このように、アース端子81が、レンズホルダ27の取付基部63の前面側から取付基部63を介在して放熱体22の前面部35に取り付けられるため、アース端子81と基板25の通電部分との絶縁性を確保しながら基板25を小形化でき、照明装置11の小形化も可能となる。
【0084】
特に、レンズホルダ27の取付基部63に設けたアース端子収納部91の囲み部92がアース端子81の周囲を囲み、アース端子収納部91の介在部93がアース端子81と基板25との間に介在するため、アース端子81の絶縁性を確実に確保できる。
【0085】
なお、アース取付ボス41に接続固定されたアース端子81は、介在部93とは当接せず、放熱体22に接続されるアース機能のみ有し、基板25やレンズホルダ27の取付機能は有していない。これは、アース機能は、他の機能と兼ねてはいけないという基準に基づくものである。
【符号の説明】
【0086】
11 照明装置
22 放熱体
24 半導体発光素子としてのLED
25 基板
26 レンズ
27 レンズホルダ
38 金属部品としてのねじ
38a 軸部
38b 頭部
41 アース取付部としてのアース取付ボス
63 取付基部
64 ホルダ部
66 金属部品取付部としてのねじ取付部
69 囲み部
70 介在部
81 金属部品としてのアース端子
91 金属部品取付部としてのアース端子収納部
92 囲み部
93 介在部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に配線層が形成されているとともにこの配線層上に半導体発光素子が実装された基板と;
基板の後面が取り付けられる放熱体と;
半導体発光素子からの光を制光するレンズと;
レンズを保持するホルダ部が設けられているとともに、基板を介在して放熱体に取り付けられる取付基部が設けられた絶縁性を有するレンズホルダと;
レンズホルダの取付基部の前面側から取付基部を介在して放熱体に取り付けられる金属部品と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
レンズホルダの取付基部には、金属部品の周囲を囲む囲み部、および金属部品と基板との間に介在される介在部を有する金属部品取付部が設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
金属部品は、軸部および頭部を有するねじであり、ねじの軸部がレンズホルダの取付基部を貫通して放熱体に取り付けられ、ねじの頭部がレンズホルダの取付基部の前面側に当接配置されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の照明装置。
【請求項4】
放熱体は、金属製で、前面には基板およびレンズホルダの取付基部を貫通して取付基部の前面から突出するアース取付部が設けられ、
金属部品は、レンズホルダの取付基部の前面から突出するアース取付部に取り付けられるアース端子である
ことを特徴とする請求項1または2記載の照明装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−159447(P2011−159447A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18693(P2010−18693)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】