説明

熱エネルギーを治療流体に供給する手段を有する創傷を洗浄する装置

創傷を同時に吸引し、灌注する手段、および創傷内の流体に熱エネルギーを供給する手段がある手当用品を通過する流路(6、7、9、10)に流体を通すために、順応性を有する創傷手当用品(2)に接続された容器からの灌注流体、および手当用品からの創傷滲出物が、器具(18)(1つのポンプまたは2つのポンプでよい)によって移動する、創傷(5)を洗浄する装置(1)。前者は、制御され、創傷治癒にとって有害な物質を除去する公称流量で、流体の望ましい平衡を提供し、創傷治癒の促進に有益な物質を創傷床上に分配する。後者は、創傷手当用品の下で創傷床の温度を、創傷治癒を促進するレベルに維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創傷を吸引、灌注、熱エネルギー供給および/または洗浄する装置および医療用創傷手当用品、および創傷を吸引、灌注、熱エネルギー供給および/または洗浄するためにこのような装置を使用する創傷治療方法に関する。
【0002】
これは特に、多種多様な、しかし特に慢性的創傷に容易に適用して、創傷治癒にとって有害な物質を創傷から洗浄しながら、何らかの治療的側面で、特に創傷治癒にとって有利である物質を分配することができるような装置、創傷手当用品および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
吸引および/または灌注装置が知られており、これは創傷治療中に創傷滲出物を除去するために使用される傾向がある。このような創傷治療の知られている形態では、創傷の吸引および灌注を順番に実行する。
【0004】
治療サイクルの各部分は、創傷治癒の促進に有利である。
【0005】
吸引は、創傷に負圧を加え、これ自体が、創傷滲出物での創傷治癒にとって有害な物質を除去し、細菌性負荷を減少させ、創傷付近の浮腫と戦い、創傷床肉芽組織の形成を助長することによって、創傷治癒の促進に有利である。
【0006】
灌注は、創傷滲出物(通常は流体が比較的少なく、相対的に高い粘度で、粒子で充填されていることがある)を希釈し、移動させることによって創傷治癒にとって有害な物質を創傷から洗浄する。
【0007】
また、創傷には創傷治癒の促進に関わる有益な物質(サイトカイン、酵素、成長因子、細胞基質成分、生物学的情報伝達分子、および滲出物の他の生理活性成分など)が比較的少量存在し、これは創傷に良好には分布していない。つまり、必ずしも潜在的に最も有益になり得る創傷床の部分にはない。これらは、創傷の灌注によって分布し、したがって創傷治癒の促進を補助することができる。
【0008】
灌注剤は追加的に、創傷治癒に対して潜在的または実際に有益な物質を含んでよく、例えば増殖を補助する創傷細胞への栄養分、酸素などの気体である。これらは創傷の灌注によって分布し、したがって創傷治癒の促進を補助することができる。
【0009】
吸引および灌注治療を創傷に順番に適用する場合、それぞれ創傷治癒の促進に有利な2つの治療は、断続的にしか適用することができない。
【0010】
したがって、創傷は、灌注中に吸引を見合わせる間、創傷治癒に対する吸引治療の上述した既知の有利な効果の少なくとも一部を失う。
【0011】
また、任意の吸引液の流れについて、創傷治癒に対して潜在的または実際に有害な物質が創傷滲出物から除去される間、灌注および/または吸引治療全体の任意の適用期間中に除去すると、連続的に吸引を適用した場合より通常は効果が低下するか、遅くなる、あるいはその両方になる。
【0012】
それよりさらに望ましくないのは、吸引を創傷に適用していない間に、創傷滲出物および創傷治癒にとって有害な物質(細菌および壊死組織片、および鉄IIおよび鉄III、および慢性的創傷の場合はセリンプロテアーゼのようなプロテアーゼなど)が創傷床に貯留し、特に滲出性の高い創傷の場合は、創傷治癒を阻害する。これは特に、慢性的創傷に当てはまる。
【0013】
灌注剤と創傷滲出物の相対的な量に応じて、滲出物と灌注剤の混合流体は、比較的粘度が高い場合、かつ/または粒子で充填される場合がある。存在して、貯留していると、粘度およびシステムの閉塞のせいで、従来の順序通りの吸引−灌注−休止サイクルで吸引の適用によりシフトすることは、創傷を連続的に同時に吸引するより困難になることがある。
【0014】
また、創傷は、吸引中に灌注を見合わせる間、創傷治癒に対する灌注治療の上述した有益な効果を少なくとも部分的に失う。
【0015】
創傷治癒の促進におけるこれらの利点は、上述したような創傷治癒の促進に有益な物質を移動させることを含む。
【0016】
また、任意の吸引液の流れについて、全体的な灌注および/または吸引治療の任意の適用期間中に、創傷を洗浄し、このような有益な物質を創傷の灌注によって分布させることは、このような治療が従来の順序通りの吸引−灌注−休止サイクルであると、連続的に吸引を適用した場合より通常は効果が低下するか、遅くなる、あるいはその両方になる。
【0017】
吸引および/または灌注治療システムのこのような既知の形態も往々にして、身体自身の組織の治癒プロセスの最適性能を失わせ、治癒を遅らせ、かつ/または新しい組織の成長が弱く、創傷床に良好に付着し、そこから成長する強力な3次元構造がないような創傷環境を生成する。これは、特に慢性的創傷の場合に、大きな欠点である。
【0018】
関連する器具は、携帯用にならない傾向がある。
【0019】
したがって、創傷床との接触により創傷滲出物および創傷治癒にとって有害な物質を除去することができ、それと同時にそれを洗浄し、創傷治癒の促進に有益な物質を全体に分布させる、創傷の吸引および灌注治療のシステムを提供することが望ましい。
【特許文献1】国際公開第03/004647号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
既知の吸引および/または灌注治療システムの上述した欠点の少なくともいくつかを防止することが、本発明の目的である。
【0021】
a)既知の透析システムの上述した欠点の少なくともいくつかを防止し、
b)携帯用であること
が、本発明のさらなる目的である。
【0022】
また、身体自身の代謝活動は、関連する身体部分で自然に生じる温度で、またはほぼその温度で最高であると一般的に考えられる。
【0023】
創傷治癒の促進に有利な組織治癒プロセスに関わる代謝分子の例は、酵素、成長因子および抗炎症剤、および創傷からの滲出物の他の生体活性成分を含む。
【0024】
これらは、それが生じる関連の身体部分に見られ、身体表面に見られる通常の温度と身体芯部の温度との間で変動する温度で最もよく作用すると考えられる。
【0025】
身体芯部は、体表より高温であるが、33℃以上の体表温度はなお、36℃から38℃という芯部身体温度(「適温」)に比較的近い。創傷、および特に慢性的創傷は、例えば24℃から26℃のようなこれより低い、つまり最適温度よりはるかに低い温度を有することがある。したがって、創傷自体の温度が創傷治癒にとって有害である。
【0026】
その結果、創傷治癒が遅れ、細胞増殖がなくなり、かつ/または創傷床に良好に付着し、そこから成長する強力な3次元構造がない成長になることがある。
【0027】
したがって、従来の創傷吸引および/または灌注治療システムは往々にして、裏打ち層の下に、
a)このような治療を施した場合に、潜在的に最も有益になり得る部位、つまり創傷床へと有益な物質が失われるばかりでなく、
b)例えば組織の成長に対する酵素の活動のような創傷治癒プロセスが、最適でない温度によって阻害される、
創傷環境を生成する。
【0028】
加熱される手当用品が知られているが、このような形態の創傷手当用品は、裏打ち層の下の創傷環境を同時に灌注しない。
【0029】
その結果、創傷滲出物にある創傷治癒にとって有害な物質が創傷環境に保持され、創傷温度を調整して創傷治癒を刺激するにもかかわらず、創傷治癒を妨げる。
【0030】
したがって、特に慢性的創傷で、
a)創傷床と接触して、創傷治癒の促進に有益な物質を分布させる間に、創傷滲出物から創傷治癒にとって有害な物質を除去するばかりでなく、
b)手当用品の下に、創傷治癒の促進に有利な代謝分子の活動を刺激する温度、例えば36℃から38℃に近い温度(「適温」)の創傷環境を生成することによって、創傷治癒を促進する、
1つの手当用品で複数の治療の手段を提供する点に利点がある。
【0031】
a)既知の創傷手当用品の上述した欠点の少なくともいくつかを防止し、
b)創傷を洗浄するだけでなく、創傷に熱エネルギーを供給する、
治療のシステム、
特に、
i)創傷床と接触して、創傷治療の促進に有益な物質を分布させる間に、創傷滲出物から創傷治癒にとって有害な物質を除去することができ、
ii)創傷を適温に、またはほぼ適温に維持する、
システムを提供することが、本発明の目的である。
【0032】
a)既知の創傷手当用品の上述した欠点の少なくともいくつかを防止し、
b)創傷を都合よく洗浄するだけでなく、創傷を適温に、またはほぼ適温に維持する、
治療のシステムを提供することが、本発明の目的である。
【0033】
既知の加熱した創傷手当用品の欠点は、必要不可欠である加熱器、特に電気加熱器が創傷および/または周囲の表面を焼くのを回避することが容易ではないことである。これは特に、手当用品が創傷に接触している場合がそうである。
【0034】
それを実行しようと創傷に適用するためのいくつかの器具が提案されている。1つの形態では、剛性フランジまたはリップが手当用品の周囲に延在して、使用時に創傷の表面を加熱器から隔置する。このような創傷手当用品は煩わしい。病院での使用には許容可能かもしれないが、剛性フランジは患者の快適性にほとんど寄与せず、創傷の炎症および/または創傷滲出物の漏れの危険性を高める。適用される身体部分の形状に一致するこのような創傷手当用品を提供することに、さらなる利点があることになる。
【0035】
a)既知の創傷手当用品の上述した欠点の少なくともいくつかを防止し、
b)i)創傷床と接触して、創傷治癒の促進に有益な物質を保持しながら、創傷滲出物から創傷治癒にとって有害な物質を除去することができ、
ii)創傷に、および/または創傷を通して熱エネルギーを供給し、
iii)順応性を有する創傷手当用品を備える、
治療システムを提供することが本発明の目的である。
【0036】
創傷の下および周囲にある組織への道管供給、および組織内の吸引は、往々にして損なわれる。
【0037】
創傷の下および周囲にある組織への道管供給も促進し、創傷治癒を促進する治療のシステムを提供することが、本発明のさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0038】
したがって、本発明の第1の態様によると、創傷を吸引、灌注、熱エネルギー供給および/または洗浄する装置であって、
a)創傷上に比較的流体密なシールまたはクロージャーを形成することができる裏打ち層を有し、順応性を有する創傷手当用品と、
創傷に面する面を通る、かつ/またはその下を通る流体供給管に接続するための少なくとも1本の引き入れパイプと、
創傷に面する面を通る、かつ/またはその下を通る流体排出管に接続する少なくとも1本の引き出しパイプと、を備え、
引き入れパイプおよび引き出しパイプが創傷に面する面を通る、かつ/または面の下を通るポイントが、創傷上に比較的流体密なシールまたはクロージャーを形成する、流体流路と、
b)流体供給管によって引き入れパイプへと、任意の供給流れ調整手段を介して接続される流体容器と、
c)流体引き出し管に接続された任意の吸引液流れ調整手段と、
d)流体を創傷手当用品を通じて移動する少なくとも1つの器具と、
を備え、
e)流体が流体引き出し管を通して(任意に、または必要に応じて吸引液流れ調整手段を介して)器具によって吸引される間に、流体容器から流体供給管を介して(任意に供給流れ調整手段を介して)流路を充填するために流体を供給できるように、創傷の同時の吸引および灌注を供給する手段と、
f)創傷内で流体に熱エネルギーを供給する手段と
を備えることを特徴とする装置が提供される。
【0039】
装置の動作に関連して、パイプが例えば流体供給管または流体引き出し管などの管(の対合端)に接続している、または接続するため、と記載されている場合、パイプと管とは流路内で1つの完全体を形成してよい。
【0040】
このような装置はいずれも、最小限の監督下で創傷灌注剤および/または創傷滲出物を洗浄することができる自動化されたプログラム可能システムであることが好ましい。
【0041】
この態様の本発明は、いくつかの利点を提供する。
【0042】
このような創傷手当用品の利点は、加熱作用が常に熱伝達媒体(灌注剤)を通して創傷へと進まなければならないので、特に電気加熱による創傷および/または周囲の表面の過熱を回避することが容易なことである。これは、創傷床と加熱器との直接的接触をなくし、高度に制御可能な方法で灌注剤を熱伝達媒体として使用することができる。
【0043】
装置は、慢性的創傷の創傷治癒プロセスにとって、したがって足の糖尿病潰瘍、特に褥瘡性圧迫潰瘍などの創傷の灌注、熱エネルギー供給、および洗浄にとって最も好ましい。
【0044】
しかし、熱エネルギーは、火傷を含む急性および/または外科的創傷のような他の創傷タイプの治癒プロセスを補助する装置を使用して適用することも適切であり得る。
【0045】
好ましい態様においては、本発明を使用して、創傷を都合よく洗浄するが、これを適温に、またはほぼ適温に維持する治療システムを提供する。
【0046】
したがって、創傷を灌注、熱エネルギー供給、および洗浄する本発明の装置の好ましいタイプには、創傷を適温に、またはほぼ適温に維持する手段を設ける。
【0047】
上述したように、創傷を灌注、熱エネルギー供給、および洗浄する本発明の装置は、創傷に接触した流体の活性成分、特に創傷床と接触して、創傷治癒の促進に有利な溶質または分散相の種に直接的な影響を及ぼす。また、細胞ミトコンドリアは増殖を、したがって創傷治癒を特に慢性的創傷で補助し、近赤外線によって刺激される。
【0048】
このような放射線を創傷に適用すると、創傷の下にある組織の細胞増殖、および新しい組織の破壊強さが増大する。
【0049】
創傷の下にあり、創傷治癒の促進に有利な組織の細胞の他の生理活性成分も、創傷への放射線によって刺激されることがある。
【0050】
特に慢性的創傷で、本発明により創傷を吸引、灌注、熱エネルギー供給および/または洗浄する装置を提供する際の別の利点は、1つの手当用品で連続的に複数の治療を提供する手段を提供することである。
【0051】
したがって、同時に吸引し、加熱しながら創傷に灌注剤を適用すると、創傷を治癒する治療の両態様の連続的で有利な効果に曝露する創傷環境が生じる。
【0052】
これは、既知の吸引および/または灌注装置で灌注剤の流れおよび吸引および/または加熱を順番にかつ断続的に適用することとは対照的である。後者の結果、身体自身の組織治癒プロセスの性能が最適ではなくなり、治癒の遅れおよび/または組織成長の弱体化をもたらし、このような組織には創傷床に良好に付着し、そこから成長する強力な3次元構造がない。これは、特に慢性的創傷の場合、重大な欠点である。
【0053】
したがって、創傷を吸引、灌注、熱エネルギー供給および/または洗浄する本発明のこの第1態様の装置を使用すると、連続的かつ好ましくは一定の吸引によって創傷治癒に関する吸引の有利な効果を保持し、強化する。これは、創傷滲出物で創傷治癒にとって有害な物質を除去すること、細菌負荷を除去すること、創傷付近の浮腫と戦うこと、および創傷床肉芽組織の形成を助長することを含む。
【0054】
慢性的創傷を吸引、灌注、熱エネルギー供給および/または洗浄する本発明のこの第1態様の装置の好ましい実施形態は、従来の負圧治療(多くのこのような創傷の脆弱な組織にとっては攻撃的すぎる)より穏やかな負圧を加えることになる。これは、患者の快適性の向上、および創傷炎症の危険性の低下につながる。
【0055】
所定の期間に全体的な灌注および/または吸引治療を適用して創傷滲出物を除去することは、通常、従来の順番の、かつ断続的な吸引および/または灌注治療より効果的および/または迅速である。
【0056】
創傷に吸引および灌注を同時に適用するので、創傷滲出物および創傷治癒にとって有害な物質(細菌および壊死組織片、鉄IIおよび鉄IIIおよび慢性的創傷の場合はプロテアーゼなど)は創傷床に貯留せず、創傷治癒を妨げないことは、さらに望ましい。
【0057】
これは、例えば慢性的創傷のような高度に滲出性の創傷で特に重要である。
【0058】
その結果生じた滲出物と灌注剤の混合流体は通常、粘度が比較的低くなる。
【0059】
創傷を同時に吸引し、灌注すると、一定の比較的高速で連続的除去を提供するので、流体は残りの部分から周期的に加速する必要がなく、従来の順番の吸引−灌注−休止サイクルでの既知の形態の吸引および/または灌注治療システムより容易にシフトされる。
【0060】
したがって、これは付着性の細菌および壊死組織片の除去に対して、さらに大きい正味効果を与える。
【0061】
これは、拡大した区域にわたって創傷床に流体を直接送出する開口部で創傷床の大部分を覆って、これと接触する(以降でさらに詳細に説明するような)引き入れマニホルドを有する創傷の吸引、灌注、熱エネルギー供給および/または洗浄を行う本発明のこの第1態様の装置の実施形態に、特に当てはまる。
【0062】
吸引および/または灌注治療システムのこの形態も往々にして、何らかの治療態様、特に創傷治癒に有利で、創傷内に存在するが、例えば高度に滲出性の創傷などで創傷に良好に分布しないことがある物質(これはサイトカイン、酵素、成長因子、細胞基質成分、生物学的情報伝達分子、および滲出物の他の生理活性成分を含む)、および/または増殖を補助する創傷細胞への栄養分、酸素などの気体のように、創傷治癒に対して潜在的または実際に有利な灌注剤中の物質をよりよく分布させるための創傷環境を生成する。
【0063】
これは、引き入れマニホルドを有する創傷の吸引、灌注、熱エネルギー供給および/または洗浄を行う本発明のこの第1態様の装置のこれらの実施形態に、特に当てはまる。
【0064】
これは、拡大した区域にわたって創傷床に流体を直接送出する開口部で、創傷床の大部分を覆って、これと接触する。
【0065】
創傷から吸引した流体と灌注剤容器から創傷に供給される灌注剤との流体のバランスは、創傷床上で創傷治癒の促進に有益な物質に所定の定常濃度平衡を提供する。創傷流体の吸引と灌注を制御された流量で同時に実行すると、この平衡に到達し、それを維持するのに役立つ。
【0066】
創傷内の流体に熱エネルギーを供給する手段の実施例は、適宜、伝導熱エネルギー、適切な波長の電磁放射線、または(それほど多くはないが)伝導熱エネルギーを含む。
【0067】
この装置では、熱は通常、手当用品内の灌注剤および/または創傷滲出物によって創傷床に伝導される。
【0068】
しかし、熱エネルギーは適宜、任意の適切な手段で任意の適切なポイントにて、手当用品内の灌注剤および/または創傷滲出物に供給され、流体に適用されることができ、これは往々にして使用される特定の成分および/または物質に左右される。
【0069】
このような手段の実施例は、
a)灌注剤および/または創傷滲出物と、装置流路の加熱器および/または伝導加熱された構成要素との直接的な伝導接触、
b)例えば、灌注剤流体および/または創傷滲出物の放射加熱器からの赤外線および/または近赤外線などの、適切な波長での直接的な電磁照射、
および/または、
c)例えば赤外線および/または近赤外線などの適切な波長で電磁照射を吸収し、灌注剤および/または創傷滲出物と直接的に伝導接触する、装置流路の構成要素の放射加熱器からの電磁照射、
を含む。
【0070】
したがって、創傷を灌注、熱エネルギー供給および洗浄する本発明の装置の1つの実施形態は、創傷内の流体に熱エネルギーを提供し、伝導する手段を備えることを特徴とする。
【0071】
創傷を灌注、熱エネルギー供給および洗浄する本発明の装置の別の実施形態は、創傷内の流体に適切な波長の電磁放射線を供給する手段を備えることを特徴とする。
【0072】
創傷を灌注、熱エネルギー供給および洗浄する本発明の装置の別の実施形態は、創傷内の流体に適切な波長の電磁放射線を供給する手段を備えることを特徴とする。
【0073】
灌注剤流体および/または創傷滲出物および/または装置流路の加熱された構成要素の加熱器は、任意の好都合または適切な位置にあるか、装置流路の構成要素であってよい。
【0074】
実施例は、
a)手当用品の上、中または内側で身体の遠位側に装着され、
b)1以上の流体引き入れパイプ内に、パイプの上に、パイプに、またはパイプ付近に装着され、
c)装置の流路を形成する管の1以上のコネクタ内に、コネクタの上に、コネクタに、またはコネクタ付近に装着され、
かつ/または、
d)容器内に、容器上に、容器に、または容器付近に装着された、
創傷手当用品の裏打ち層の創傷に面する面を通る、および/またはその下を通る任意の引き出しパイプの上流に配置された、装置流路の加熱器および/または伝導加熱された構成要素を含む。
【0075】
上述したように、創傷手当用品の内部の灌注剤および/または創傷滲出物流体は、関連する身体部品に自然に生じる温度および/または適温に、またはほぼその温度に維持すると有利である。
【0076】
創傷の望ましい、または最適な温度は実質的に、
a)装置流路の加熱器および/または伝導加熱された構成要素を手当用品に対して装着する、装置流路に沿った、または装置流路の構成要素に沿った位置、
b)灌注剤流体および/または創傷滲出物の流量、
c)装置への熱エネルギー供給ポイントを上昇させる目的温度、
d)内部で流体が移動し、創傷へと熱が伝導されるシステムの断熱、
および/または、
e)加熱器の性質、
を決定する。
【0077】
灌注剤および/または創傷滲出物と加熱器および/または装置流路の伝導加熱された構成要素との直接的な伝導接触の実施例では、加熱器は、内部で流体が移動し、創傷へと熱が伝導されるシステムの適切なポイントで灌注剤および/または創傷滲出物と導電接触して装着された熱交換器でよいか、それと接続してよい。
【0078】
熱交換器は、アレイ状の拡張した熱伝導表面を備えてよく、これは例えば表面積が比較的大きいより回旋状の形体である羽根、じゃま板、または伝導性材料からなる同様の構造体であり、温度低下が加えられると熱エネルギーを伝達する灌注剤および/または創傷滲出物と伝導接触した状態で装着され、創傷灌注剤および/または創傷滲出物が通過できるように、創傷灌注剤と創傷滲出物との間に空間を有している。
【0079】
あるいは、適宜、伝導性中空構造の同様のアレイの形態で提供してもよく、例えばパイプ、管、または装置流路内にある他の同様の構造体であり、これを通って熱交換器の流体が移動し、創傷に伝導するために熱源から熱を伝達する。
【0080】
アレイ状の伝導性中空構造は、基本的に小さいアパーチャーまたは孔で構成することができ、これは例えばステンレス鋼のような加熱した金属焼結体を通るこのような内腔、流路、導管および/または通路を形成することができる。
【0081】
熱交換器は、灌注剤および/または装置流路内の創傷滲出物と伝導接触した状態で装着され、この熱交換器を通して流体が移動し、よって熱が創傷に伝導される。
【0082】
このような熱交換器は、創傷の空間および裏打ち層の外側、または創傷の空間内で裏打ち層の下にあってよい。創傷の空間および裏打ち層の外側にある場合には、創傷手当用品の裏打ち層に可能な限り近いことが好ましい。
【0083】
伝導加熱器の実施例は、
a)灌注剤および/または創傷滲出物と伝導接触した状態で(しかし流体、および内部で流体が移動し熱が創傷に伝導されるシステムから電気的に絶縁されて)装着された電気加熱器、
を含む。
【0084】
加熱器は特に、
i)電気抵抗性を有するが導電性のアレイ状の線、繊維、フィラメント、ストランド、または自身上で電圧が低下すると熱エネルギーを生成する他の同様の構造
を備える。
【0085】
アレイは、その間に空間がある平行なアレイでよく、創傷灌注剤および/または創傷滲出物が、空間を通って移動することができる。
【0086】
代替的に、適宜、これは織物層またはシートのような不織布または織物の形態で提供することができる。これは適宜、基本的に例えばダクト、外装、またはケース類、または他の同様の構造のように、装置流路内の例えばパイプ、管などの他の構造の形態に一致するような、より回旋状の形態の材料の平坦なシートまたは膜として使用することができる。
【0087】
自身にかかる圧力差に応じて、シートまたは膜を剛化、補強または他の方法で強化するために、その上またはその中に他の材料を必要とすることがある。
【0088】
加熱器の材料は、正または(好ましさは低下するが)負の熱抵抗率を有してよい。
【0089】
温度調整のために負の抵抗率の制御フィードバック回路が必要である。
【0090】
本発明のこの態様で使用するために適切であると本明細書に例示により記載された材料は、この機能を実行することができる。
【0091】
存在する他の構成要素および/または材料に応じて、適切な材料の実施例は、炭素繊維および織物、例えば織物層またはシートを含み、これは適宜、基本的にポリアクリロニトリルおよびその共重合体などの炭化アクリレートで作成することができる。
【0092】
ii)電気抵抗性を有するが伝導性のアレイ状のトラック、トレース、アウトライン、または他の同様の構造、例えば充填した流路、導管などで接続された部位を表面上に有する電気絶縁性の平坦なシートまたは膜基質、および例えば自身上で電圧が低下すると熱エネルギーを生成するエッチングした箔。
【0093】
アレイは、その間に空間があり、各端で相互に接続されるか、螺旋状または曲折、曲がりくねる、巻線状、ジグザグ、蛇行性または犂耕体(つまり鋤で耕した畝状)のパターンのうちの1以上のこのような完全体を備えるか、基本的にそれで構成される平行なアレイでよい。
【0094】
電気抵抗性を有するが伝導性のトラック、トレース、アウトライン、または他の同様の構造に適切な材料の実施例は、サーミオン(Thermion(商標))のような炭素および/または金属、カンタール(Kanthal(商標))、アルクロタール(Alkrothal(商標))、ニクロタール(Nikrothal(商標))、およびニフェタール(Nifethal(商標))のようなニッケル塗布した不織炭素繊維および抵抗性加熱合金を含む。
【0095】
電気絶縁性の平坦なシートまたは膜基質にとって適切な材料は、PTFE、ポリアミド、および芳香族ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリケトン、ポリエーテルケトン、およびポリエーテルエーテルケトン、およびそのスルホン化誘導体、およびその混合物のような材料、およびエポキシ樹脂を含む。
【0096】
電気抵抗性を有するが伝導性のアレイ状のトラック、トレース、アウトライン、または他の同様の構造は、例えば電子ビーム照射および/または流体化学物質などによるエッチングまたは彫刻によって生成することができる。
【0097】
あるいは、適宜、都合のよいタイプの印刷、刻印、型押し、または蒸着によって提供することができる。
【0098】
iii)電気抵抗性を有するが伝導性で、相互に接続され、自身上で電圧が低下するとペルチエ効果によって潜在的に熱エネルギーを生成することができるアレイ状の熱電対。
【0099】
アレイは、その間に空間がある平行なアレイでよく、創傷灌注剤および/または創傷滲出物が、空間を通って移動することができる。
【0100】
代替的に、本発明のこの態様で使用するのに適切であるとして、ii)で例示により説明したタイプの基質の表面に永久的に、または着脱式に取り付けることができる。
【0101】
存在する他の構成要素および/または材料に応じて、適切な材料の実施例は、伝導性が異なるセレンおよびアンチモンをドープしたテルル化ビスマスのペレットを備える熱電流モジュールを含み、熱電対が直列で接続され、セラミック基質間に挟まれる。
【0102】
ペルチエ効果では、熱電対に対する電圧が低下すると、一方の部品が潜在的に加熱され、したがって熱伝達媒体(灌注剤)を通して創傷に熱エネルギーを供給することができる。
【0103】
他方の部品は冷却され、したがって周囲から創傷への装置流路内の流体灌注剤および滲出物への熱ポンプとして作用することができる。
【0104】
しかし、このように高度に制御可能な方法での熱エネルギー伝達は、ペルチエ効果によって熱エネルギーを獲得することができる側が、灌注剤および/または創傷滲出物と伝導接触しているように、熱電対アレイを配向する必要がある。
【0105】
a)、i)およびii)の実施例は、その上で身体から遠位側に装着された電気加熱器を有するAllevyn(商標、スミス アンド ネフュー(Smith & Nephew))およびTielle(商標、ジョンソン アンド ジョンソn(Johnson & Johnson))などの発泡体容器手当用品を含む。
【0106】
b)灌注剤および/または創傷滲出物と伝導接触した状態で(しかし流体、および内部で流体が移動し熱が創傷に伝導されるシステムから電気的に絶縁されて)装着された誘電性加熱器要素。
【0107】
加熱器は特に、灌注剤および/または創傷滲出物と伝導接触する磁性ステンレス鋼のような強磁性体材料、および使用中の手当用品に隣接する(しかし必ずしも取り付けられない)が、創傷から離れている場合もある誘電源を備える。
【0108】
後者の実施例は、強磁性体コイル、スパイラル、ヘリックスまたはスパイラルヘリックス、またはループまたはさらに回旋状の形態、例えば曲折、曲がりくねる、巻線状、ジグザグ、蛇行性または犂耕体(つまり鋤で耕した畝状)のパターン、特に1つの面にあり、誘電性で往々にして高度に伝導性の材料で、交流電位源に接続されるものを含む。
【0109】
これは潜在的に、コイル、スパイラルまたはスパイラルヘリックス、またはループまたはさらに回旋状の形態に加えられる電位が変動すると、芯部で熱エネルギーを生成することができる。
【0110】
これは往々にして、器具を使用している位置での主電源電圧および周波数であるが、いずれの範囲も使用することができる。
【0111】
c)自身内にある熱源から、再循環する流体から熱エネルギーを伝達する先である灌注剤および/または創傷滲出物と伝導接触した状態で装着された加熱器で、燃料電池である。
【0112】
ここでは、大気の酸素および/または他の分子が、往々にして触媒床にある燃料分子の1以上の種を酸化する。
【0113】
強力な酸化発熱体を有する燃料材料の実施例は気体を含み、ここでエアロゾルシステムの気体相は空気および燃料ガス、例えば水素またはアルカン、例えばメタン、エタンおよびブタンである。
【0114】
触媒は往々にして固体粒子、例えば銅と希土類酸化物の複合物、例えば任意に都合よく取り扱うために結晶質材料に含まれるサマリアをドープした酸化セリウム、またはカーボン紙または布に被覆したプラチナ粉末である。
【0115】
d)自身内にある熱源から、再循環する流体から熱エネルギーを伝達する先である灌注剤および/または創傷滲出物と伝導接触した状態で装着された加熱器で、高度な発熱相変化を経験する材料である。
【0116】
d)の実施例は、
i)金属イオン塩などの化学物質の過飽和溶液のように高度の発熱結晶化または固化相変化を経験する材料を含む加熱器を含む。
【0117】
チオ硫酸ナトリウムは、酢酸ナトリウム溶液のように強力な結晶化発熱体の源である。
【0118】
流体または固体材料は往々にして、1以上の順応性を有する中空体で構成される。
【0119】
これらは、都合よく取り扱うために、例えばポリマーフィルム、シートまたは膜、例えば裏打ち層の袋、チャンバー、パウチまたは他の構造、例えばポリマーフィルムによって形成することができる。
【0120】
熱源が、チオ硫酸ナトリウムに基づくような結晶化システムの形態である場合、袋、チャンバー、パウチまたは他の構造には往々にして、結晶化を誘発するのに適切な機械的衝撃の源を設ける。
【0121】
実施例は、例えばアルミニウムまたはステンレス鋼などのうちの1つのように、非常にかつ弾力的に可撓性または剛性の金属ボタンを含む。
【0122】
このような加熱器は、電気加熱器ほど好ましくない。電気加熱は高度に制御可能な方法で一定の加熱強度を与えることができるからである。対照的に、強力な結晶化または固化発熱体は、それほど制御可能でも一定でもない。
【0123】
ii)発熱性凝縮相変化、つまりフレオン炭化水素シリーズなどの気体または揮発性生成物から液体への変化を経験する材料を含む加熱器。
好ましい材料は、特に適温で、またはほぼ適温で凝縮する材料を含む。このような灌注流体および/または創傷滲出物の加熱器は、例えば装置流路の構成要素の環境から装置流路の構成要素へと熱エネルギーを吸収するヒートポンプとして動作することができる。
【0124】
例えば、
a)灌注流体および/または創傷滲出物の放射加熱器からの赤外線および/または近赤外線のように適切な波長の直接的な電磁照射、
および/または
b)例えば赤外線および/または近赤外線のように適切な波長の電磁照射を吸収し、灌注剤および/または創傷滲出物と直接的に伝導接触する装置流路の構成要素の放射加熱器からの電磁照射、
である。
【0125】
加熱器は通常、創傷床にて34℃から55℃、好ましくは35℃から42℃、および最適には36℃から38℃を与えるような温度で作業する。
【0126】
適切な波長で灌注流体および/または創傷滲出物を直接的または間接的に電磁照射する源の実施例は、放射加熱器からの赤外線および/または近赤外線を含む。
【0127】
装置内で、加熱器のタイプおよび材料はほぼ、特定の機能および流体に適用すべき波長および強度によって遠赤外線、中赤外線または近赤外線スペクトルの中で決定され、本発明の装置内の位置によっても決定される。
【0128】
流体に適用すべき適切な波長の実施例は、遠赤外線の場合は4から1000マイクロメートル、中赤外線の場合は1.4から4マイクロメートル、および近赤外線の場合は0.75から1.5マイクロメートルを含む。
【0129】
適切な強度レベルの実施例は、医療用途に従来使用され、当業者に知られているレベルを含む。
【0130】
これらの範囲の上端領域は、潜在的に病院での使用により適切であり、関連する波長での比較的高い強度の赤外線または近赤外線照射は、専門家の監督の下で安全に使用することができる。
【0131】
このような器具は、パルス状、連続的、可変および/または自動化および/またはプログラム可能な動作が可能である器具でもよいことが適切である。
【0132】
実施例は、
i)例えば赤外線または近赤外線照射などの流体に適用すべき関連の波長における放射線源である白熱フィラメント電球、灯または他の同様の構造である放射加熱器、
を含む。i)の実施例は、赤外線透過性の手当用品裏打ち層に装着された小型の赤外線灯である加熱器を含む。さらに、
ii)例えば赤外線または近赤外線照射などの流体に適用すべき関連の波長における放射線源である高熱エネルギー、高輝度LED(発光ダイオード)または他の同様の構造である放射加熱器、
および
iii)例えば赤外線または近赤外線照射などの流体に適用すべき関連する波長における高熱エネルギー、高輝度放射線源である放射加熱器、
を含む。
【0133】
加熱器のタイプおよび材料はほぼ、特定の機能および流体に適用すべき波長および強度によってスペクトル内で決定され、本発明の装置内の位置によっても決定される。
【0134】
d)創傷における温度が38℃から40℃、および最適には36℃から38℃を超えない限り、任意の無線周波数および/またはマイクロ波周波数信号発生器を使用してよい。
【0135】
適切な波長で灌注流体および/または創傷滲出物を直接的または間接的に電磁照射する源の実施例は、3から300MHz、例えば10から100MHz、例えば20から50MHzの範囲の無線周波数電磁放射線も含む。
【0136】
好ましい周波数の実施例は、例えば1から300GHz、例えば1から100GHz、例えば1から50GHzなどの範囲のマイクロ波マグネトロンを使用するマイクロ波周波数を含む。
【0137】
特にマイクロ波周波数の範囲のこれらの周波数で、熱エネルギーは単に流体によって吸収され、創傷に伝導されることによって流体に伝達されるだけではないことが理解される。熱エネルギーは、このような材料の最適周波数の放射線によって、創傷内の流体の分子に誘導される。灌注流体および/または創傷滲出物の上記の放射加熱器のすべてで、放射加熱器からの電磁照射は、流路内の流体へと直接、通常は流体に適用すべき関連波長に対して透過性である「ウィンドウ」を通して進むことができる。
【0138】
適切な材料にはガラス、炭素繊維(その間に空間がある平行なアレイの状態でよい)および炭素織物、例えば織物層またはシートがある。
【0139】
これは適宜、基本的にポリアクリロニトリルおよびその共重合体などの炭化アクリレート、およびよく知られている様々な重合体で作成することができる。
【0140】
透過性構造は代替的または追加的に、例えば以下のような従来のタイプの光ファイバーまたは導波管の形態であることが効果的である。
a)流体に適用すべき関連する波長に対して透過性である炭素または上述の材料などの管、パイプ、ダクト、繊維、フィラメント、ストランドまたは他の同様の構造、
b)被覆、層、シート、皮による被覆、封入または包絡、または関連する波長に対して不透明および反射性である外面上の材料を有する同心管、パイプ、ダクト、外装、またはケース類、または他の同様の構造。
【0141】
これらは、熱を適用することが望ましい装置流路内へと、装置流路に沿って任意の関連する位置を通ることができる。
【0142】
1つの実施形態では、これは手当用品の裏打ち層の下、および/またはそれを通して進む。
【0143】
透過性構造は、
a)創傷に面する面を通る、および/またはその下を通り、創傷内の流体に適用すべき関連する波長、および好ましくは創傷治癒にとって最適である波長に対して透明または半透明である少なくとも1本の引き入れパイプおよび/または流体供給管および/または少なくとも1本の引き出しパイプおよび/または流体排出管、
b)被覆、層、シート、皮による被覆、封入または包絡、または関連する波長に対して不透明および反射性である外面上の材料を有する同心管、パイプ、ダクト、外装、またはケース類、または他の同様の構造、
によって形成された光ファイバーの形態であることが効果的である。
【0144】
このような創傷手当用品の利点は、これらの光ファイバーが、創傷を検査し、その状態を評価するために創傷床への手当用品の診断「鍵穴」としても働けることである。これは、特に慢性的創傷の場合に重大な利点である。
【0145】
上述したように、放射エネルギーは、例えば赤外線および/または近赤外線のような適切な波長で電磁照射を吸収し、灌注剤および/または創傷滲出物と直接的に伝導接触する装置流路の構成要素によって吸収することができる。
【0146】
したがって放射加熱器は、例えば赤外線および/または近赤外線のような適切な波長で電磁照射を吸収する装置流路の構成要素に放射線で接続することができ、例えば自身を通して灌注流体に熱を伝導する空気ギャップ、適切な吸着剤を含む構成要素および透過性構造、例えば水性流体、例えばヒドロゲルによって、灌注剤および/または創傷滲出物と直接的に伝導接触する。
【0147】
創傷手当用品の裏打ち層の創傷に面する面の下の創傷の温度は通常、所望のレベルに保持され、これは往々にして創傷治癒プロセスの最適性能にとって望ましいレベルであり、例えば関連する身体部分に見られる温度で、往々にして創傷床で34℃から55℃、好ましくは35℃から42℃、および最適には36℃から38℃などの温度範囲内である。創傷手当用品の裏打ち層の創傷に面する面の下の創傷の温度は通常、所望の治療期間全体で一定のレベルに保持されるが、所望の体系で周期的に変動させてもよい。
【0148】
しかし、関連する身体部分で自然に生じる、またはそれに近い上述の温度は、創傷治癒プロセスの最適性能のためのシステムを提供しないことがある。創傷手当用品の内部は、適温よりも、このような材料の適切な最適分解温度のような創傷内の流体のこのような分子を分解する温度に維持する方がさらに有利であることが望ましいことがある。
【0149】
これは、創傷治癒にとって有害な物質の濃度が比較的高い慢性的創傷に特に当てはまる。
【0150】
創傷治癒にとって有害な創傷プロセスに関わる他の分子は、気体または揮発性副生成物、例えば二酸化炭素を含む。
【0151】
灌注剤は、このような分子を分解および/または脱ガスする傾向がある温度まで暖めることができる。水性媒体中の二酸化炭素のような各有害ガスの分解または脱ガス温度は、知られているか、容易に計算することができる。
【0152】
したがって、創傷を灌注、熱エネルギー供給および洗浄する本発明の別のタイプのこの装置には、創傷治癒にとって有害な分子にとって有害な温度、またはほぼその温度に創傷を維持する手段を設ける。
【0153】
上述したように、創傷細胞の他の生理活性成分が、創傷治癒の促進に有利であり、裏打ち層の下で創傷への放射線によって刺激することができる。
【0154】
これらが、創傷からの滲出物の酵素、成長因子および抗炎症剤、細胞ミトコンドリアおよび他の生理活性成分である場合、細胞成分のような物質に好都合な創傷内の流体に適用する適切な波長および輝度の実施例は、当業者には知られている。
【0155】
本発明の創傷を灌注および/または吸引する装置は、周期的および/または逆流で使用することができる。
【0156】
創傷を吸引、灌注および/または洗浄する本装置は、最小限の監督下で創傷を洗浄することができる従来通りの自動化したプログラム可能システムであることが好ましい。
【0157】
創傷を同時に吸引し灌注する手段は往々にして、創傷手当用品の下流で、かつそこから離れて流体に適用される流体を創傷を通じて移動する(第1)器具を、創傷手当用品の上流で、かつそれに向かって流体供給管内の灌注剤に適用される流体を創傷を通じて移動する第2器具と、流体排出管に接続された吸引液流れ調整手段と、流体供給管に接続された供給流れ調整手段との少なくとも1つと組み合わせて備える。
【0158】
(第1)器具は、創傷床に負圧(つまり大気圧未満の圧力または真空)を加える。これは、創傷手当用品の下流、かつそこから離れた流体排出管内の吸引液に加えることができる。
【0159】
代替的または追加的に、適宜、創傷手当用品の下流で流体排出管内にある吸引液は、収集容器内に吸引することができ、第1器具は収集容器からの空気などの流体に作用することができる。
【0160】
(第1)器具は、固定速度のポンプのような処理能力一定の器具でよく、これは通常、流体排出管に接続された別個の吸引液流れ調整手段および/または流体供給管に接続された供給流れ調整手段を必要とし、これはいずれの場合でも例えばロータリー弁のような調整器である。
【0161】
あるいは、適宜、創傷を通じて流体を移動する(第1)器具は、変速ポンプのような処理能力が変動可能な器具でよく、創傷手当用品の下流にあり、したがって創傷を通じて流体を移動する(第1)器具と吸引液流れ調整手段および/または供給流れ調整手段との組合せを1つの完全体内で効果的に形成する。
【0162】
創傷を通じて流体を移動する(第1)器具は往々にして、以下のタイプのいずれかのポンプ、または真空供給パイプであり、創傷手当用品の下流で、創傷手当用品から離れて流体に適用される。
【0163】
いずれのポンプの場合も、(上述したような)流体排出管に接続された別個の吸引液流れ調整手段および/または流体供給管に接続された供給流れ調整手段がある固定速度ポンプでよく、これはいずれの場合でも例えばロータリー弁のような調整器である。あるいは、適宜、ポンプは処理能力可変のまたは変速ポンプでよい。
【0164】
(第1)器具として、以下のタイプのポンプを使用してよい。
ピストンポンプなどの往復ポンプ(特に正および/負圧を創傷床に加えるために、ピストンが逆止め弁を通して流体を給送する)、および膜板ポンプ(1つまたは2つの可撓性膜板の拍動が逆止め弁とともに液体を変位させる)、および以下のような回転ポンプ、すなわち、順送り空洞ポンプ(特に粘度が高く粒子が一杯の滲出物用の協働するねじ回転子および固定子を有する)、および真空ポンプ(圧力調整器がある)。
【0165】
(第1)器具は膜板ポンプ、例えば好ましくは小型の携帯用膜板ポンプでよい。これは、特にポンプの内面および可動部品と(慢性的)創傷滲出物との接触を軽減するか、無くす、または洗浄を容易にするために好ましいタイプのポンプである。
【0166】
ポンプが膜板ポンプであり、小型の携帯用膜板ポンプであることが好ましい場合は、液体を変位させる1枚または2枚の可撓性膜板がそれぞれ、例えば拍動を生成する手段に接続されたポリマーフィルム、シートまたは膜でよい。これは、都合のよい任意の形態、特に圧電変換器、ソレノイドまたは強磁性体の芯および電流の流れる方向が変化するコイル、ロータリーカムおよび従動子などで提供することができる。
【0167】
創傷手当用品の上流で、創傷手当用品に向かう流体供給管内の流体に第2器具を適用する場合、これは通常、創傷床に正圧(つまり大気圧より高い圧力)を加える。
【0168】
(第1)器具と同様に、これは固定速度のポンプのような処理能力一定の器具でよく、これは通常、流体供給管に接続された別個の供給流れ調整手段を必要とし、この供給流れ調整手段は例えばロータリー弁のような調整器である。
【0169】
代替的に、適宜、創傷を通じて灌注流体を移動する第2器具は、変速ポンプのような処理能力が変動可能な器具でよく、創傷手当用品の下流にあり、したがって創傷を通じて流体を移動する第2器具と供給流れ調整手段との組合せを1つの完全体内で効果的に形成する。
【0170】
創傷を通じて流体を移動する第2器具は往々にして、創傷手当用品の上流で、創傷手当用品に向かう流体供給管内の灌注剤に適用される以下のタイプのいずれかのポンプである。これは、(上述したような)別個の供給流れ調整手段を有し、流体供給管に接続された固定速度ポンプ、例えばロータリー弁のような調整装置でよい。あるいは、適宜、ポンプは処理能力可変なポンプまたは変速ポンプでよい。
【0171】
第2器具として以下のタイプのポンプを使用してよい。
往復ポンプとして、シャトルポンプ(流体を毎分2から50mlの流量で移動させる往復シャトル機構を有する)、および回転ポンプでは、遠心ポンプとして、可撓性インペラーポンプ(弾性インペラーが、インペラー羽根と成形されたハウジングとの間に流体を閉じ込め、これはポンプハウジングを通して流体を一掃する)、蠕動ポンプ(回転体アーム上に周囲ローラーがある状態で、可撓性流体吸引管に作用し、回転子の方向に管内の流体の流動流れを促す)、回転翼ポンプ(回転翼付きディスクを駆動シャフトに取り付けた状態で、回転しながら拍動せずに流体を移動させる。ポンプを損傷せずに、引き出しを制限することができる)。
【0172】
第2器具は蠕動ポンプでよく、例えば小型の携帯用蠕動ポンプであることが好ましい。これは、特にポンプの内面および可動部品と灌注剤との接触を軽減するか、無くし、洗浄を容易にするために好ましいタイプのポンプである。
【0173】
ポンプが蠕動ポンプである場合、これは例えば流量が0.2〜180ml/hrで重量が0.5k未満であるインステック モデル P720(Instech Model P720)の小型蠕動ポンプでよい。これは、家庭および野戦病院で使用するのに潜在的に有用である。
【0174】
任意のこれらのタイプのこのような各ポンプは、パルス状、連続的、可変および/または自動化および/またはプログラム可能な流体動作が可能であるポンプでもよいことが適切である。これより一般的でなく、好ましくもないが、任意のこれらのタイプのこのような各ポンプは可逆性である。
【0175】
上述したように、供給流れ調整手段は、ロータリー弁のような調整装置でよい。これは、流体供給管の2つの部品間に接続され、したがって所望の供給流れ調整が達成される。
【0176】
2本以上の引き入れパイプがある場合、これらパイプは1つの調整器で、またはそれぞれが第1調整器、第2調整器などで、1本の流体供給管に、または例えば創傷に流体を入れる弁または他の制御器具などを有する第1、第2などの流体供給管に接続することができる。
【0177】
上述したように、吸引液流れ調整手段は、同様に同時の吸引流れ調整が可能である形態で提供することができる。これは弁または他の制御器具、例えばロータリー弁のような調整装置でよい。
【0178】
複数の排出管に、同様に1つ以上の調整器を設けることができ、これらはすべて装置から流体を、例えば収集袋のような吸引液収集容器へと吸引するためのものである。
【0179】
創傷手当用品の上流で、創傷手当用品に向かう流体供給管内で灌注剤に適用される流体を創傷を通じて移動する第2器具がない場合は、創傷に負圧を加えることのみが可能である。
【0180】
これは、創傷手当用品の下流で、創傷手当用品から離れる流体排出管内で吸引液に加えられる流体を創傷を通じて移動する器具によって実行される。
【0181】
作業は、以降で説明するように、創傷にて例えば最大50%大気圧の負圧、通常は最大20%大気圧の低い負圧、さらに一般的には最大10%大気圧で実行することができる。
【0182】
適切で好ましい(第1)器具の実施例は、第1器具に関して前述したようなタイプのポンプを含む。これは膜板ポンプでよく、例えば小型の携帯用膜板ポンプであることが好ましい。これは、特にポンプの内面および可動部品と(慢性的)創傷滲出物との接触を軽減するか、無くし、洗浄を容易にするために好ましいタイプのポンプである。
【0183】
代替的に、創傷に正味で正圧を加えることが望ましい場合、創傷を同時に吸引し、灌注する手段は、創傷手当用品の下流で、創傷手当用品から離れる流体排出管内で吸引液に適用される流体を創傷を通じて移動する第1器具ばかりでなく、創傷手当用品の上流で、創傷手当用品に向かう流体供給管内で灌注剤に適用される流体を創傷を通じて移動する第2器具も備えなければならない。
【0184】
作業は、以降で説明するように、創傷にて例えば最大50%大気圧の正圧、通常は最大20%大気圧の低い正圧、さらに一般的には最大10%大気圧で実行することができる。
【0185】
適切で好ましい第1器具の実施例は、第1器具に関して前述したようなタイプのポンプを含む。これは膜板ポンプでよく、例えば小型の携帯用膜板ポンプであることが好ましい。
【0186】
これは、特にポンプの内面および可動部品と(慢性的)創傷滲出物との接触を軽減するか、無くし、洗浄を容易にするために好ましいタイプのポンプである。
【0187】
適切で好ましい第2器具の実施例は、第2器具に関して前述したようなタイプのポンプを含む。これは蠕動ポンプ、例えば小型蠕動ポンプでよい。
【0188】
これは、ポンプの内面および可動部品と創傷手当用品の上流で、創傷手当用品に向かう流体供給管内の灌注剤との接触をなくし洗浄を容易にするために好ましいタイプのポンプである。
【0189】
言うまでもなく、創傷手当用品の下流で、創傷手当用品から離れる流体排出管内で吸引液に適用される流体を創傷を通じて移動する第1器具と、創傷手当用品の上流で、創傷手当用品に向かう流体供給管内の灌注剤に適用される流体を創傷を通じて移動する第2器具とのこのような組合せによって、任意に、流体供給管に接続された供給流れ調整手段、流体排出管に接続された吸引液流れ調整手段とともに創傷に負圧を加えることが、同様に可能である。
【0190】
実際に、この点に関して以下で述べるように、慢性的創傷を吸引、灌注および/または洗浄するために負圧を加える本発明のこの第1態様の装置の好ましい実施形態は、例えば膜板ポンプ、好ましくは小型の携帯用膜板ポンプのような第1器具と、例えば蠕動ポンプ、好ましくは小型蠕動ポンプのような第2器具とのこのようなタイプの組合せを、創傷を通じて流体を移動する器具に関して前述したように含む。
【0191】
上述したように、第1器具または第2器具は、固定速度ポンプのような処理能力一定の器具でよく、これは通常、流体排出管に接続された別個の吸引液流れ調整手段および/または流体供給管に接続された供給流れ調整手段を必要とし、この供給流れ調整手段はいずれの場合でも例えばロータリー弁のような調整器、または変速ポンプのような処理能力が可変の器具であり、創傷手当用品の下流で、したがって創傷を通じて流体を移動する(第1)器具と吸引液流れ調整手段および/または供給流れ調整手段との組合せを1つの完全体で効果的に形成する。
【0192】
上述した正および負の%圧力の範囲の上端領域は、潜在的に病院での使用がより適切であり、ここでは専門家の監督下でのみ安全に使用することができる。
【0193】
下端領域は潜在的に、家庭での使用により適切であり、比較的高い正および負の%圧力は、専門家の監督の下ではないと、または野戦病院での使用では使用することができない。
【0194】
各ケースで、創傷にかかる圧力は、所望の治療期間全体で一定に保持されるが、所望の正または負圧体系で周期的に変動させてもよい。
【0195】
上述したように、創傷に負圧を加えることが望ましい場合は、創傷を同時に吸引し、灌注する手段が、創傷手当用品の下流で、創傷手当用品から離れる流体排出管内で吸引液に適用される流体を創傷を通じて移動する(第1)器具ばかりでなく、創傷手当用品の上流で、創傷手当用品に向かう流体供給管内で灌注剤に適用される流体を創傷を通じて移動する第2器具も備えることが好ましい。
【0196】
したがって、本発明の創傷を灌注、洗浄および/または吸引する装置の1つの実施形態は、創傷を同時に吸引し、灌注する手段が、創傷手当用品の下流で、創傷手当用品から離れる流体に適用される流体を創傷を通じて移動する(第1)器具と、創傷手当用品の上流で、創傷手当用品に向かう流体供給管内で灌注剤に適用される流体を創傷を通じて移動する第2器具とを、流体供給管に接続された供給流れ調整手段と、流体排出管に接続された吸引液流れ調整手段との少なくとも一方と組み合わせて備えることを特徴とする。
【0197】
上述したように、第1器具と第2器具とのどちらかは、固定速度ポンプのような処理能力が固定された器具でよく、これは通常、流体排出管に接続された別個の吸引液流れ調整手段および/または流体供給管に接続された供給流れ調整手段を必要とし、この供給流れ調整手段はいずれの場合でも例えばロータリー弁のような調整器であるか、または変速ポンプのような処理能力が変動可能な器具でよく、創傷手当用品の下流にあり、したがって創傷を通じて流体を移動する(第1)器具と吸引液流れ調整手段および/または供給流れ調整手段との組合せを1つの完全体内で効果的に形成する。
【0198】
a)創傷手当用品の下流で、創傷手当用品から離れる流体排出管内で吸引液に適用される流体を創傷を通じて移動する器具と、
b)創傷手当用品の上流で、創傷手当用品に向かう流体供給管内で流体に適用される流体を創傷を通じて移動する器具と
のこの組合せを使用して、全体的に正または負、あるいはゼロの圧力さえも創傷に加えることができる。
【0199】
創傷床へ、創傷床上の、および創傷床からの流路内にある少なくとも1つの物体は、流体に有意の圧縮または減圧を許容するために圧力に抗する十分な弾性を有していなければならない。
【0200】
したがって、適切な物体の実施例は、灌注流体で充填された袋、チャンバーおよびパウチなどの引き入れまたは排出および/または管および構造などのフィルム、シートまたは膜、および例えば弾力的に弾性を有する熱可塑性材料で作成された創傷手当用品の裏打ち層などであるか、それによって形成される物体を含む。
【0201】
したがって、創傷から吸引された流体と流体容器から創傷に供給される灌注剤との流体バランスは、創傷を同時に吸引し、灌注する手段によってほぼ決定され、これは、
a)創傷手当用品の下流で、創傷手当用品から離れる流体に適用される、吸引液流れ調整手段および/または流体を創傷を通じて移動する器具、および
b)創傷手当用品の上流で、創傷手当用品に向かう流体供給管内の流体に適用される、供給流れ調整手段および/または流体を創傷を通じて移動する器具、
を備えるシステムである。
【0202】
上述したように、第1器具または第2器具は、固定速度ポンプのような処理能力一定の器具でよく、これは通常、流体排出管に接続された別個の吸引液流れ調整手段および/または流体供給管に接続された供給流れ調整手段を必要とし、この供給流れ調整手段はいずれの場合でも例えばロータリー弁のような調整器、または変速ポンプのような処理能力が可変の器具であり、創傷手当用品の下流で、したがって創傷を通じて流体を移動する(第1)器具と吸引液流れ調整手段および/または供給流れ調整手段との組合せを1つの完全体で効果的に形成する。
【0203】
全体的に正または負、または中性の圧力さえも創傷に加えるために、この同じ手段を使用することができる。
【0204】
供給管を通る適切な流量は、灌注剤、滲出物および滲出物と灌注剤の混合流体の粘度およびコンシステンシー、および創傷が治癒する際の変化、創傷床にかかる負圧のレベル、
創傷手当用品の上流で、創傷手当用品に入る流体供給管内の灌注剤が正圧を受けるか否か、およびこのような圧力のレベル、創傷手当用品および創傷床の上流にある流体供給管、例えば多孔質要素の前後、例えば創傷床に流体を直接送出する引き入れマニホルドの下面上の膜創傷接触層、供給流れ調整手段、および/または創傷手当用品の上流で、創傷手当用品に向かう流体供給管内で流体に適用される、流体を創傷を通じて移動する第2器具の灌注剤間の圧力低下レベル、創傷の深さおよび/または容量、および創傷を通る灌注剤および/または創傷滲出物の任意の望ましい流体流量体積に必要な電力消費量、のようないくつかの要素によって決定される。
【0205】
手当用品は、拡大した区域にわたって創傷床に流体を直接送出する開口部で創傷床の大部分を覆って、これと接触する(以降でさらに詳細に説明するような)引き入れマニホルドを、フィルムシートまたは膜によって形成された1以上の膨張性中空物体の形態で備えてよい。
【0206】
両方の器具が一緒に動作する場合に、灌注器具からの大気圧より高い(通常は小さい)正圧は、マニホルドを膨張させるのに十分でなければならない。
【0207】
灌注剤および/または創傷滲出物の所望の流体流量体積は、創傷治癒プロセスの最適性能のためのものであることが好ましい。
【0208】
流量は通常、供給管を通して1〜1500ml/hr、5〜1000ml/hrなど、例えば15〜300ml/hr、35〜200ml/hrなどの範囲でよい。創傷を通る流量は、所望の治療期間全体で一定に保持されるが、所望の流量体系で周期的に変動させてもよい。
【0209】
実際には、全体的な灌注剤および/または創傷滲出物の排出流量は、創傷が高度に滲出性の状態であるかに応じて、1〜2000、例えば35〜300ml/24hr/cmの程度であり、ここでcmは創傷の面積を指す。
【0210】
実際には、滲出物の流量は最大75マイクロリットル/cm/hr(ここでcmは創傷の面積を指す)の程度にすぎず、流体は存在するプロテアーゼのレベルに応じて非常に可動性であっても、そうでなくてもよい。創傷が治癒するにつれて滲出物の例ベルが低下して、コンシステンシーが変化し、例えば12.5〜25マイクロリットル/cm/hrと等しい同じ創傷のレベルになる。
【0211】
創傷から吸引した流体は通常、創傷滲出物より流体容器からの灌注剤の方を多く含む。
【0212】
a)吸引液流れ調整手段および/または下流の器具、および
b)供給流れ調整手段および/または流体を移動させる上流の器具、
によって所望の流体バランスを維持するために必要な調節は、上述したように、第1器具および第2器具のいずれかが、固定速度ポンプのような処理能力一定の器具でよく、これは通常、流体排出管に接続された別個の吸引液流れ調整手段および/または流体供給管に接続された供給流れ調整手段を必要とし、この供給流れ調整手段はいずれの場合でも例えばロータリー弁のような調整器、または変速ポンプのような処理能力が可変の器具であり、創傷手当用品の下流で、したがって創傷を通じて流体を移動する(第1)器具と吸引液流れ調整手段および/または供給流れ調整手段との組合せを1つの完全体で効果的に形成してよいこと、に留意すると、当業者には明白である。
【0213】
創傷手当用品の下流で、創傷手当用品から離れる流体排出管内の吸引液に適用される、流体を創傷を通じて移動する適切な第1器具および/または創傷手当用品の上流で、創傷手当用品に向かう流体供給管内の灌注剤に適用される、流体を創傷を通じて移動する適切な第2器具のタイプおよび/または容量は、創傷治癒プロセスの最適性能のために、携帯性、電力消費量および汚染からの隔離などの要素によって、
a)創傷からの灌注剤および/または創傷滲出物の適切または望ましい流体流量体積、および
b)創傷床に正または負圧を加えることが適切または望ましいか否か、および創傷床へのこのような圧力のレベル、
によってほぼ決定される。
【0214】
上述したように、創傷を同時に吸引し、灌注するために、創傷を吸引、灌注および/または洗浄する本発明のこの第1態様の装置で、創傷に負圧を加えることが望ましい場合、創傷を同時に吸引し、灌注する手段は、創傷手当用品の下流で、創傷手当用品から離れる流体排出管内の吸引液に適用される、流体を創傷を通じて移動する1つの器具、または 流体供給管に接続された供給流れ調整手段と、流体排出管に接続された吸引液流れ調整手段との少なくとも一方と組み合わせて備えてよい。
【0215】
上述したように、器具は、固定速度ポンプのような処理能力一定の器具でよく、これは通常、流体排出管に接続された別個の吸引液流れ調整手段、例えばロータリー弁のような調整器を必要とし、または変速ポンプのような処理能力が可変の器具であり、創傷手当用品の下流で、したがって創傷を通じて流体を移動する器具と吸引液流れ調整手段との組合せを1つの完全体で効果的に形成することができる。
【0216】
創傷を同時に吸引し、灌注するこのタイプの典型的装置を、1つのポンプで創傷にて最大20%大気圧、さらに一般的には最大10%大気圧の低い負圧で動作することについて、次に説明する。
【0217】
創傷を吸引、灌注および/または洗浄する本発明のこの第1態様の装置を始動する前に、創傷手当用品の裏打ち層を創傷上に適用し、創傷が比較的流体密なシールまたはクロージャーを形成する身体部分の形状に一致させる。
【0218】
ロータリー弁などの調整器のような流体供給管に接続された供給流れ調整手段は、通常閉鎖され、流体排出管に接続された吸引液流れ調整手段(がある場合、これ)は開放されている。
【0219】
吸引ポンプを始動し、手当用品の内部および創傷に真空を加えるために、最大50%大気圧、さらに一般的には最大20%大気圧、例えば最大10%大気圧の負圧を加えるように運転する。
【0220】
本発明の装置の創傷内の流体に熱エネルギーを供給する手段は、適切な時に起動される。これは、ポンプが運転される時、および供給流れ調整手段が開放されているときであることが多い。
【0221】
(本装置の創傷内の流体に熱エネルギーを供給するこれらの手段は、創傷手当用品の裏打ち層の創傷に面する面を通る、および/またはその下を通る任意の引き出しパイプの上流に、装置流路の加熱器および/または伝導加熱された構成要素を含み、これは伝導熱エネルギー、適切な波長の電磁放射線、または(それほど多くないが)対流熱エネルギーを供給することができる。)
【0222】
次に、灌注ポンプ流量および任意の流体供給調整手段を調節したり、吸引ポンプおよび/または灌注ポンプが変速ポンプである場合、一方または両方を調節して、制御された公称流量にて所望の流体バランスを維持し、創傷手当用品の内部で所望の負圧を維持したりする。
【0223】
次に、装置を所望の治療期間に亘って所望の圧力体系で運転する。
【0224】
この期間の後、灌注ポンプを停止し、吸引ポンプがすぐ後に続く。
【0225】
本発明の装置の創傷内の流体に熱エネルギーを供給する手段は、適切な時に起動される。これは、ポンプが運転されるとき、および供給流れ調整手段が開放されているときであることが多い。
【0226】
(本発明の装置の創傷内の流体に熱エネルギーを供給するこれらの手段は、創傷手当用品の裏打ち層の創傷に面する面を通る、および/またはその下を通る任意の引き出しパイプの上流に、装置流路の加熱器および/または伝導加熱された構成要素を含み、これは伝導熱エネルギー、適切な波長の電磁放射線、または(それほど多くないが)対流熱エネルギーを供給することができる。)
【0227】
創傷を同時に吸引し、灌注する典型的装置を、2つのポンプで創傷にて最大20%大気圧、さらに一般的には最大10%大気圧の低い負圧で動作することについて、次に説明する。
【0228】
動作モードが創傷にて例えば最大15%大気圧、さらに一般的には最大10%大気圧の正味正圧である場合に必要な変更は、当業者には明白であろう。
【0229】
創傷にて最大20%大気圧、さらに一般的には最大10%大気圧の低い負圧で創傷を同時に吸引し、灌注するこのような典型的装置は、創傷を同時に吸引し、灌注する手段を備え、これは、
a)創傷手当用品の下流で、創傷手当用品から離れる流体排出管内の吸引液に適用され、流体排出管に接続された任意の吸引流れ調整手段を有する、流体を創傷を通じて移動する第1器具と、
b)創傷手当用品の上流で、創傷手当用品に向かう流体供給管内の灌注剤に適用され、流体供給管に接続された任意の供給流れ調整手段を有する、流体を創傷を通じて移動する第2器具と、
の組合せである。
【0230】
上述したように、いずれかの器具は、固定速度ポンプのような処理能力一定の器具でよく、これは通常、流体排出管に接続された別個の吸引液流れ調整手段、例えばロータリー弁のような調整器、または流体供給管に接続される灌注剤流れ調整手段、例えばロータリー弁のような調整装置を必要とし、または変速ポンプのような処理能力が可変の器具でよく、したがって創傷を通じて流体を移動する器具と流れ調整手段との組合せを1つの完全体で効果的に形成することができる。
【0231】
創傷を吸引、灌注および/または洗浄する本発明のこの第1態様の装置を始動する前に、創傷手当用品の裏打ち層を創傷上に適用し、創傷が比較的流体密なシールまたはクロージャーを形成する身体部分の形状に一致させる。
【0232】
ロータリー弁のような調整器のような流体供給管に接続された任意の供給流れ調整手段は、通常閉鎖され、流体排出管に接続された吸引液流れ調整手段は開放されている。
【0233】
吸引ポンプを始動し、手当用品の内部および創傷に最大50%大気圧、さらに一般的には最大20%大気圧、例えば最大10%大気圧の負圧を加えるように運転する。
【0234】
次に、両方のポンプが一緒に運転されるように、灌注ポンプを始動し、任意の供給流れ調整手段を開放する。
【0235】
次に、灌注ポンプ流量および任意の流体供給調整手段を調節したり、吸引ポンプおよび/または灌注ポンプが変速ポンプである場合、一方または両方を調節して、制御された公称流量にて所望の流体バランスを維持し、創傷手当用品の内部で所望の負圧を維持したりする。
【0236】
次に、装置を所望の治療期間に亘って所望の圧力体系で運転する。
【0237】
この期間の後、灌注ポンプを停止し、吸引ポンプがすぐ後に続く。
【0238】
本装置の創傷内の流体に熱エネルギーを供給する手段は、適切な時に起動される。これは、ポンプが運転されているとき、および供給流れ調整手段が開放されている場合であることが多い。
【0239】
(本装置の創傷内の流体に熱エネルギーを供給するこれらの手段は、創傷手当用品の裏打ち層の創傷に面する面を通る、および/またはその下を通る任意の引き出しパイプの上流に、装置流路の加熱器および/または伝導加熱された構成要素を含み、これは伝導熱エネルギー、適切な波長の電磁放射線、または(それほど多くないが)対流熱エネルギーを供給することができる。)
【0240】
創傷を吸引、灌注、熱エネルギー供給および/または洗浄する本発明のこの第1態様の装置のすべての実施形態で、特定の利点は、創傷手当用品が、これが適用される身体部分の形状に一致する傾向があることである。
【0241】
創傷手当用品は、創傷上で比較的流体密なシールまたはクロージャーを形成することができる、創傷に面する面がある裏打ち層と、創傷に面する面を通る、かつ/またはその下を通る流体供給管または管に接続するための少なくとも1本の引き入れパイプと、創傷に面する面を通る、かつ/またはその下を通る流体排出管に接続する少なくとも1本の引き出しパイプと、を備え、引き入れパイプおよび引き出しパイプが創傷に面する面を通る、かつ/または面の下を通るポイントが、比較的流体密なシールまたはクロージャーを形成する。
【0242】
本明細書では、「比較的流体密なシールまたはクロージャー」という用語は、流体および微生物不透過性であり、最大50%大気圧、さらに一般的には最大20%大気圧の正または負圧を創傷に加えることを可能にするものを示すために使用される。本明細書では、「流体」という用語は、濃い滲出物のようなゲル、水のような液体、および空気、窒素などのような気体を含むものとして使用される。
【0243】
適用される裏打ち層の形状は、創傷の全体にわたって創傷を吸引、灌注、熱エネルギー供給および/または洗浄するのに適切な任意の形状でよい。
【0244】
このようなものの実施例は、ほぼ平坦なフィルム、シートまたは膜、または袋、チャンバー、パウチまたは流体を含むことができるポリマーフィルムなどの裏打ち層の他の構造を含む。
【0245】
裏打ち層はフィルム、シートまたは膜でよく、最大100ミクロンの(全体的に均一な)厚さであることが多く、好ましくは最大50ミクロン、さらに好ましくは最大25ミクロンで、10ミクロンの最小厚さでよい。
【0246】
その最大断面寸法は最大500mm(例えば大きい胴体の創傷)、最大100mm(例えば腋窩および鼠径部の創傷)、および四肢の創傷(例えば脚部静脈性潰瘍および足部糖尿病性潰瘍などの慢性創傷)の場合は最大200mmでよい。
【0247】
手当用品は弾性変形可能であることが望ましい。というのは、その結果、患者の快適性が増大し、創傷が炎症を起こす危険が軽減するからである。
【0248】
その適切な材料は、水性流体を吸収しない合成ポリマー材料を含む。例えば、ポリエチレンのようなポリオレフィン、例えば高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、その共重合体、例えばビニルアセテートおよびポリビニルアルコールを有し、その混合物、ポリシロキサン;ポリカーボネートのようなポリエステル、ポリアミド、例えば6−6および6−10、および疎水性ポリウレタンである。
【0249】
これは親水性でよく、したがって親水性ポリウレタンも含む。
【0250】
これは、熱可塑性エラストマーおよびエラストマー配合物、例えばエチルビニルアセテートのような共重合体も含み、任意選択で、または必要に応じて耐衝撃性ポリスチレンを配合する。
【0251】
これはさらに、エラストマーポリウレタン、特に溶液流延によって形成されたポリウレタンを含む。
【0252】
本創傷手当用品にとって好ましい材料は、熱可塑性エラストマーおよび硬化性システムを含む。
【0253】
裏打ち層は、創傷上および/または引き入れおよび引き出しパイプの周囲に比較的流体密なシールまたはクロージャーを形成することができる。
【0254】
しかし、特に創傷手当用品の周囲で、比較的流体密なシールの外側では、高い透湿性を有する材料が創傷の周囲にある皮膚の浸軟を防止することが好ましい。これは、例えば水、血液または創傷滲出物などの液体と接触した場合に、より高い透湿性を有する転換可能な材料でもよい。これは、例えばスミス アンド ネフュー社(Smith & Nephew’s)の Allevyn(商標)、IV3000(商標)およびOpSite(商標)の手当用品で使用される材料でよい。
【0255】
裏打ち層の創傷に面する面の周囲は、創傷の周囲の皮膚に取り付けるために例えば接着性フィルムなどを担持してよい。
【0256】
これは、創傷手当用品の創傷に面する面の周囲で流体の漏れないシールの所定の位置に創傷手当用品を保持するのに十分であれば、例えば感圧性接着剤でよい。
【0257】
代替的または追加的に、適宜、光で転換可能な接着剤を使用して、手当用品を所定の位置に固定し、漏れを防止することができる。(光で転換可能な接着剤は、光硬化によってその接着性が低下する接着剤である。その使用は、手当用品の除去時に外傷を軽減する上で有利であり得る。)
【0258】
したがって、裏打ち層は、裏打ち層の近位面の周囲に延在し、透明または半透明材料のフランジまたはリップを有してよい(上記に挙げた材料は適切な材料に入ることが理解される)。
【0259】
これは、近位面には手当用品を所定の位置に固定し、漏れを防止する光で転換可能な接着剤のフィルム、および遠位面には不透明材料の層を担持する。
【0260】
手当用品を除去し、手当用品の除去時に過度な外傷を引き起こさないために、適切な波長の放射線をフランジまたはリップに適用する前に、近位創傷の周囲に延在するフランジまたはリップの遠位面上の不透明材料の層が除去される。
【0261】
創傷手当用品の周囲が、これを創傷の周囲の皮膚に取り付ける接着性フィルムを担持する比較的流体密なシールの外側では、高い透湿性を有するか、転換可能な材料である場合であって、接着性フィルムが連続的である場合、創傷手当用品の周囲は、高い吸湿性、または転換可能な透湿性をさらに有し、例えばスミス アンド ネフュー社(Smith & Nephew’s)の Allevyn(商標)、IV3000(商標)およびOpSite(商標)の手当用品で使用されるような接着剤でなければならない。
【0262】
創傷手当用品を創傷手当用品の創傷に面する面の周囲で流体密なシールの所定の位置に保持するために真空を適用する場合、創傷手当用品には、創傷の周囲で手当用品を密封するシリコーンフランジまたはリップを設けることができる。これによって、接着剤の必要性、およびそれに関連する患者の皮膚への外傷がなくなる。
【0263】
手当用品へ、および手当用品を通る灌注剤および/または創傷滲出物の内部および流れが有意の正圧を受けると、これは周辺ポイントに作用し、創傷の周囲の皮膚から手当用品を持ち上げ、除去する傾向がある。
【0264】
したがって、装置をこのように使用する場合は、創傷にかかるこのような正圧に抗して、このようなシールまたはクロージャーを形成して、創傷上に維持し、このために周辺ポイントに作用する手段を提供することが必要なことがある。
【0265】
このような手段の実施例は、手当用品を所定の位置に固定して漏れを防止するために、上記のような光で転換可能な接着剤を含む。
【0266】
光で転換可能な接着剤の接着性は光硬化によって低下し、それによって手当用品除去時の外傷を減少させるので、より強力な接着剤のフィルムを上述のようにフランジなどに使用することができる。
【0267】
患者の皮膚の外傷が許容可能なさらに極端な状態で使用するために適切な流体接着剤の実施例は、基本的にシアノアクリレートおよび同様の組織の接着剤で構成され、創傷の縁部および/または創傷手当用品の裏打ち層の近位面、の周囲で、例えばフランジまたはリップ上に適用される接着剤を含む。
【0268】
このような手段のさらに適切な実施例は、接着性(例えば感圧接着性)および非接着性、および弾性および非弾性のストラップ、帯、ループ、条片、タイ、包帯、例えば圧迫包帯、シート、カバー、スリーブ、ジャケット、被覆、ラップ、ストッキングおよび長靴下、例えばこの方法で治療を施す場合に、適切な圧力を加える四肢の創傷上の圧縮性嵌合である弾性の管状長靴下または弾性の管状ストッキング、およびこの方法で治療を施す場合に、適切な圧力を加える四肢の創傷上の圧縮性嵌合である膨張性のカフ、スリーブ、ジャケット、ズボン、被覆、ラップ、ストッキングおよび長靴下を含む。
【0269】
このような手段はそれぞれ、創傷手当用品上に広げられ、創傷手当用品の裏打ち層の周囲を越えて延在し、適宜、創傷の周囲の皮膚および/または創傷自体に接着するか、他の方法で固定され、適宜、創傷の周囲の流体密なシールの所定の位置で創傷手当用品を保持するのに十分な程度まで(例えば弾性包帯、ストッキングで)圧迫を加える。
【0270】
このような手段はそれぞれ、手当用品の他の構成要素、特に裏打ち層と一体でよい。
【0271】
あるいは、例えば接着性フィルムなどで手当用品、特に裏打ち層に永久的に取り付けるか、取り外し可能な状態で取り付けることができ、あるいはこれらの構成要素は、ベルクロ(商標)、相互との押しスナップまたは捻りロック嵌めでよい。
【0272】
手段および手当用品は別個の構造で、相互に永久的に取り付けなくてもよい。
【0273】
創傷へより高い正圧を加えるさらに適切なレイアウトでは、剛性フランジまたはリップが前記で形成したように、創傷手当用品の裏打ち層の近位面の周囲に延在する。
【0274】
フランジまたはリップは、近位面上で凹状であり、周囲の流路または導管を形成する。
【0275】
これは、フランジまたはリップを通過して流路または導管と連絡する吸引出口を有し、ポンプまたはパイプ状の吸引供給部のように真空を加える器具に接続することができる。
【0276】
裏打ち層は、近位面の周囲に延在するフランジまたはリップと一体であるか、例えばヒートシールなどでこれに取り付けることができる。
【0277】
装置の使用時に創傷手当用品の創傷に面する面の周囲下で灌注剤および/または滲出物の通過を防止するために必要である創傷上の比較的流体密なシールまたはクロージャーを形成するには、創傷の周囲の皮膚に手当用品を据え付ける。
【0278】
次に、器具がフランジまたはリップの内部に真空を加え、したがって創傷への正圧に抗して創傷の周囲のポイントに作用するシールまたはクロージャーを形成し、維持する。
【0279】
以上の取り付け手段、および創傷の周囲のポイントで創傷にかかる正または負圧に抗して創傷上にシールまたはクロージャーを形成し、保持する手段がある状態で、創傷手当用品の密封周囲は楕円形、特に円形のように全体的に丸い形状であることが好ましい。
【0280】
創傷に面する面を通過および/またはその下を通るポイントで、創傷上および引き入れパイプおよび引き出しパイプの周囲に比較的流体密なシールまたはクロージャーを形成するために、裏打ち層はこれらの他の構成要素と一体でよい。
【0281】
あるいは、この構成要素は、単に相互に押し嵌め、スナップ嵌め、または捻りロック嵌めするか、相互に接着またはヒートシールすることができる。
【0282】
引き入れパイプまたは引き出しパイプは、漏斗、穴、開口部、オリフィス、ルアー、スロットまたはポートのような口の形態でよく、それぞれメス部材として(任意に、または必要に応じて、流体管および/または流体供給管の対合端へのそれぞれのオス部材として(任意に、または必要に応じて供給流れ調整手段を介して)接続するために、管、パイプまたはホース、またはノズル、孔、開口部、オリフィス、ルアー、スロットまたはポートを形成する手段を介して)流体再循環管および/または流体供給管の、または流体排出管
の対合端と接続する。
【0283】
構成要素が一体である場合、これは一般的に同じ材料で作成される(上記で挙げた材料が適切な材料に入ることが理解される)。
【0284】
あるいは、押し嵌め、スナップ嵌め、または捻りロック嵌めされる場合、これは同じ材料または異なる材料でよい。いずれの場合も、上記で挙げた材料が、すべての構成要素に適切な材料に入る。
【0285】
パイプまたは各パイプは通常、裏打ち層の下ではなく、それを通過する。このような場合、裏打ち層は往々にして剛性および/または弾力的に非可撓性または剛性の区域で、各パイプと対合管または各対合管との間の有意の遊び、またはあらゆる方向の圧力による変形に抗することができる。
【0286】
これは往々にして、流体管および/または流体供給管または流体排出管の対合端に接続するために、関連する各管、パイプまたはホース、またはノズル、穴、開口部、オリフィス、ルアー、スロットまたはポートの周囲で遠位方向に(創傷から外側に)突出するボスによって剛化、補強または他の方法で強化することができる。
【0287】
代替的または追加的に、適宜、裏打ち層は裏打ち層の近位面の周囲に延在して、裏打ち層を剛化、補強または他の方法で強化する剛性フランジまたはリップを有してよい。
【0288】
創傷手当用品は、使用中に創傷の裏打ち層の下にいかなる完全体も備えてはならない。
【0289】
しかし、これは創傷治癒にとって有害な物質の濃度が比較的高く、特に慢性的創傷の吸引および灌注で使用するために適切であるための実際的量で創傷に灌注するのに十分な機能的表面積へ灌注剤を分布するシステムを提供しないことがある。
【0290】
創傷灌注剤がさらに均一に分布されるか、手当用品の下かつ創傷床の上でさらに回旋状の路を進むことができるシステムを提供すると有利である。
【0291】
したがって、手当用品の一形態には、引き入れマニホルドから創傷床へと放射して、アパーチャーで終了し、アパーチャーを介して吸引流体を創傷床へと直接送出する「自由」形のパイプ、管または小管を設ける。同様に、引き出しマニホルドがあり、そこから小管が放射して創傷床へと通り、開口部で終了して、創傷床から流体を直接収集する。
【0292】
パイプなどは、使用時に創傷を通って引き入れまたは引き出しマニホルドから規則的または不規則的に放射してよいが、規則的であることが好ましい。深めの創傷の比較的適切なレイアウトは、パイプなどが創傷床へと半球状かつ同心円状に放射するレイアウトである。
【0293】
浅めの創傷に対しては、パイプなどのこのようなレイアウトの適切な形態の実施例は、パイプなどが平坦な半長円体かつ同心円状に創傷床へと放射する形態である。
【0294】
パイプなどのレイアウトの他の適切な形態は、創傷床上を通るために裏打ち層の創傷に面する面を通る、および/またはその下を通るポイントで、引き入れパイプおよび/または引き出しパイプから延在するパイプ、管または小管を有する形態である。これは、パイプなどに沿って孔、アパーチャー、穴、開口部、オリフィス、スリットまたはスロットがある盲内腔を有してよい。
【0295】
よって、これらのパイプなどは、それぞれ吸引流体を創傷床へと直接送出する、または創傷から流体を直接収集する引き出しパイプを効果的に形成する。
【0296】
創傷床の大部分の上かつ裏打ち層の下で、管、パイプ、小管などの内の穴、開口部、オリフィス、スリットまたはスロットを介して形成する。
【0297】
管、パイプまたは小管は、創傷内および創傷手当用品の内部で良好な順応性を有する弾力的に可撓性、例えばエラストマーの好ましくは軟質の構造であることが望ましい。
【0298】
この方法で治療を施す場合、管、パイプ、小管などのレイアウトは、創傷の深さおよび/容量によって決定することができる。
【0299】
したがって、浅めの創傷の場合、管、パイプ、小管などのこのようなレイアウトの適切な形態の実施例は、基本的にスパイラル状の1以上の管などで構成される形態を含む。
【0300】
この方法で治療を施す場合、深めの創傷にさらに適切なレイアウトは、ヘリックスまたはスパイラルヘリックス状の1本または複数の管などを備えるレイアウトでよい。
【0301】
浅めの創傷に適切な他のレイアウトは、手当用品の使用時に創傷内の流体を吸引する盲内腔、孔あき引き入れパイプまたは引き出しパイプマニホルドを有するレイアウトを含む。
【0302】
これらの一方または両方は、このような形態でよく、他方は、例えば1以上の直線の盲内腔、孔あき放射状管、パイプまたはノズルでよい。
【0303】
吸引流体を創傷床に直接送出する、または流体を創傷から直接収集する引き入れパイプまたは(それほど一般的でないが)引き出しパイプそれぞれの好ましい形態は、袋、チャンバー、パウチまたは他の構造のようにフィルム、シートまたは膜によって形成された1以上の順応性を有する中空物体を備えるものである。
【0304】
中空物体は、1以上の中空物体を形成するフィルム、シートまたは膜内の孔、アパーチャー、穴、開口部、オリフィス、スリットまたはスロットを通る灌注剤または(それほど一般的でないが)創傷からの吸引液で充填される。
【0305】
これらは断面寸法が小さく、したがって例えばポリマーフィルム、シートまたは薄膜などの透過体内に微小孔、微小アパーチャーまたは孔を効果的に形成することができる。
【0306】
このタイプの灌注用マニホルドは、(さらに一般的に)特に慢性的創傷の吸引および灌注で使用するために適切であるための実際的量で創傷に灌注剤の流れを分布する際に最高の均一性を提供し、したがって成長因子、細胞基質成分、および創傷からの滲出物の他の生理活性成分のような創傷治癒の促進に有益な物質が、手当用品の下かつ創傷床の上でさらに一様に分布するシステムを提供する。
【0307】
このタイプの灌注用マニホルドは、(さらに一般的に)裏打ち層の下の創傷充填材に関して以下で述べる。というのは、これは、創傷の形状に良好な順応性を有する弾力的に可撓性、例えばエラストマーで軟質の構造であり、自身の弾性によって裏打ち層に押しつけられ、穏やかな圧力を創傷床に加え、したがって創傷充填材として作用できるからである。フィルム、シートまたは膜は往々にして、従来の創傷手当用品の裏打ち層で使用するフィルムまたはシートのそれと同様の(通常は均一の)厚さを有する。
【0308】
別の適切なレイアウトは、引き入れおよび/または引き出し管、パイプまたは小管を介して、引き入れパイプおよび/または引き出しパイプマニホルドがそれぞれ、創傷床に吸引流体を直接送出するか、創傷から流体を直接収集し、引き入れマニホルドおよび/または引き出しマニホルドが、重ねて相互に永久的に取り付けられた層の状態でスロットにより形成され、引き入れおよび/または引き出し管、パイプまたは小管が、重ねて相互に永久的に取り付けられた層を通してアパーチャーによって形成されるレイアウトである。
【0309】
これも本書で言及するように、適用される裏打ち層は、本発明の治療システムにとって適切であり、最大50%大気圧、さらに一般的には最大25%大気圧の正または負圧を創傷に加えることができる任意の裏打ち層でよい。
【0310】
したがって、これは往々にして微生物不透過性フィルム、シートまたは膜であり、これは自身にかかる圧力差に応じてほぼ平坦であり、往々にして従来の創傷手当用品で使用されるこのようなフィルムまたはシートと同様の(通常は均一の)厚さ、つまり最大100ミクロン、好ましくは最大50ミクロン、さらに好ましくは最大25ミクロン、および最小で10ミクロン厚さである。
【0311】
裏打ち層は往々にして、相互に一体ではない他の構成要素間の有意の遊びに抗するために剛性および/または弾力的に剛直または剛性の区域を有し、例えば突出するボスなどによって剛化、補強または他の方法で強化することができる。
【0312】
このような手当用品の形態は、創傷床にそれほど順応するものではなく、裏打ち層および裏打ち層の下の創傷床によって形成されたチャンバー、窪みまたは空洞を効果的に形成することができる。
【0313】
創傷手当用品の内部は、高度に滲出する状態の創傷でも創傷床に一致することが望ましいことがある。したがって、手当用品の1つの形態には、裏打ち層の下に創傷充填材を設ける。
【0314】
これは、弾力的に可撓性、例えば弾性および好ましくは軟質の構造で、創傷の形状に対して良好な順応性を有することが好ましい。
【0315】
これは、それ自身の弾性によって、裏打ち層に押し当てられ、創傷床に穏やかな圧力を加える。
【0316】
創傷充填材は、手当用品の他の構成要素、特に裏打ち層と一体であってよい。あるいは、例えば接着性フィルムで、またはヒートシールによって、近位面から延在するフランジまたはリップに永久的に取り付けることができ、したがって創傷上で必要とされる比較的流体密なシールまたはクロージャーを妨害しない。
【0317】
それほど一般的ではないが、創傷充填材は、例えば接着フィルムなどで裏打ち層に着脱式に取り付けられるか、これらの構成要素を相互に押し嵌め、スナップ嵌め、または捻りロック嵌めすることができる。
【0318】
創傷充填材および裏打ち層は、相互に永久的に取り付けられない別個の構造でよい。
【0319】
創傷充填材は、固体の完全体、好ましくは弾力的に可撓性で、例えば弾性で好ましくは軟質の構造で、創傷の形状に対する良好な順応性を有するものであるか、それを備えることができる。
【0320】
このような創傷充填材の適切な形態の実施例は、例えば弾性熱可塑性樹脂のような適切な材料で形成された発泡体である。本創傷手当用品の好ましい材料は、小さいアパーチャーまたは孔がある網状の濾過ポリウレタン発泡体を含む。
【0321】
代替的または追加的に、これは強制的に創傷の形状にさせる流体または固体で充填されたフィルム、シートまたは膜、例えば袋、チャンバー、パウチ、また他の構造によって形成された1以上の順応性の中空物体の形態であるか、それを備えてもよい。
【0322】
フィルム、シートまたは膜は、往々にして従来の創傷手当用品裏打ち層で使用されるフィルムまたはシートと同様の(通常は均一の)厚さを有する。
【0323】
つまり、最大100ミクロン、好ましくは最大50ミクロン、さらに好ましくは最大25ミクロン、および最小で10ミクロンの厚さであり、往々にして弾力的に可撓性で、例えばエラストマーであり、軟質であることが好ましい。
【0324】
このような充填材は、往々にして手当用品の他の構成要素、特に裏打ち層と一体であるか、例えば接着性フィルムで、またはヒートシールによって、例えばフランジなどに永久的に取り付けられる。
【0325】
フィルム、シートまたは膜によって形成された1以上の中空物体に含まれる適切な流体の実施例は、空気、窒素およびアルゴンのような気体、より一般的には大気圧よりわずかに正圧の空気、および水、塩水のような液体を含む。
【0326】
実施例はシリコーンゲルなどのゲルを含み、例えばCaviCare(商標)ゲル、または好ましくはセルロースゲル、例えば親水性架橋セルロースゲル、例えばIntrasite(商標)架橋材料も含む。また、実施例はエアロゾル発泡体を含み、ここでエアロゾルシステムの気体相は空気、または窒素またはアルゴンのような不活性ガスで、さらに一般的には大気圧よりわずかに正圧の空気であり、さらにプラスチックの小片のような固体微粒子も含む。
【0327】
言うまでもなく、裏打ち層が十分に順応性を有するおよび/または例えば上方向に皿状のシートである場合、裏打ち層は創傷充填材の下にあってよく、その逆ではない。
【0328】
このタイプのレイアウトでは、創傷充填材が創傷手当用品を創傷床に押しやるために、一般的に創傷の周囲の皮膚にしっかり接着するか、他の方法で着脱式に取り付けなければならない。これは、創傷充填材および裏打ち層が相互に永久的に取り付けられない別個の構造であるこれらの実施形態に特に当てはまる。
【0329】
深めの創傷のこのようなレイアウトでは、治療がこのように施される場合、このような取り付けの手段は、シールまたはクロージャーを形成し、創傷上に維持することもできる。
【0330】
充填材が裏打ち層の上にあり、流体引き入れパイプおよび引き出しパイプが裏打ち層の創傷に面する面を通過している場合、これらパイプは裏打ち層上で創傷充填材を通るか、その周囲を通ってよい。
【0331】
手当用品の1つの形態には、袋、チャンバー、パウチまたは他の構造など、フィルム、シートまたは膜によって形成された弾力的に可撓性で、例えばエラストマーの好ましくは軟質で中空の物体であるか、それを備える。
【0332】
これはアパーチャー、穴、開口部、オリフィス、スリットまたはスロット、または管、パイプ、小管またはノズルを有する。これは少なくとも1つのアパーチャー、穴、開口部、オリフィス、スリットまたはスロットを通して少なくとも1本の引き入れまたは引き出しパイプと連絡する。
【0333】
したがって、中空物体に含まれる流体は、装置内の吸引流体でよい。
【0334】
したがって、中空物体または各中空物体は、フィルム、シートまたは膜内の穴、開口部、オリフィス、スリットまたはスロット、または管、パイプまたはホースを介してそれぞれ吸引流体を創傷床に直接送出するか、流体を創傷から直接収集する引き入れパイプまたは引き出しパイプを効果的に形成する。
【0335】
この方法で治療を施す場合、充填材のタイプは、創傷の深さおよび/または容量によっても大きく決定されることがある。
【0336】
したがって、浅めの創傷の場合、創傷手当用品の構成要素として適切な創傷充填材の実施例は、吸引流体を創傷床に直接送出するか、流体を創傷から直接収集する引き入れパイプおよび/または引き出しパイプマニホルドを形成する1以上の順応性の中空物体で基本的に構成されたものを含む。
【0337】
この方法で治療を施す場合に、深めの創傷により適切な創傷充填材は、固体完全体を少なくとも部分的に囲む例えばポリマーフィルム、シートまたは膜などによって形成された1以上の順応性を有する中空物体を備えるものでよい。これは便利な取扱いのためによりよい剛性をもつシステムを与えることがある。
【0338】
裏打ち層の下の創傷充填材は、引き入れまたは引き出しパイプマニホルドを効果的に形成することができる。形成しない場合には、創傷床の吸引および/または灌注を実行するために、1以上の内腔、流路、導管、通路、パイプ、管、小管および/または空間などが、流体引き入れパイプおよび引き出しパイプが裏打ち層の創傷に面する面を通る、および/またはその下を通るポイントから、裏打ち層の下の創傷充填材を通るか、その周囲を通ることが適切である。
【0339】
それほど一般的でないが、創傷充填材は、裏打ち層の下で創傷充填材を通るこのような内腔、流路、導管、通路および/または空間を形成することができる孔がある連続気泡発泡体である。
【0340】
充填材が、例えばポリマーフィルム、シートまたは膜などによって形成された1以上の順応性を有する中空物体であるか、それを備える場合、これには創傷手当用品の下で流体を創傷床に入れる手段を設けることができる。
【0341】
これは、流体引き入れパイプおよび引き出しパイプが裏打ち層の創傷に面する面を通る、および/またはその下を通るポイントから、裏打ち層の下で創傷充填材を通る、またはその周囲を通るパイプ、管、小管またはノズルの形態でよい。
【0342】
手当用品の使用時に創傷内の流体を吸引し、前述された盲内腔、孔つき引き入れパイプまたは引き出しパイプマニホルドを備える浅めの創傷に適切なレイアウトはすべて、裏打ち層の下にて創傷充填材の下で使用することができる。
【0343】
要するに、適切なレイアウトは、1つまたは両方のマニホルドが環状またはトロイダル形(規則的、例えば楕円形または円形または不規則的)で、任意に環または円環面から分岐する盲内腔、孔つき放射状管、パイプまたはノズルを有する、および/または曲折、曲がりくねる、巻線状、ジグザグ、蛇行性または犂耕体(つまり鋤で耕した畝状)のパターン、または重ねて相互に取り付けられた層の中のスロットおよび層を通るアパーチャーによって形成されるものを含む。
【0344】
引き入れおよび/または引き出し管、流体管および流体供給管などは、従来通りのタイプ、例えば楕円形または円形の断面でよく、全長にわたって均一な円筒形内腔、流路、導管または通路を有することが適切で、内腔の最大断面寸法は、胴体の大きい創傷の場合は最大10mm、四肢の創傷の場合は最大2mmでよい。
【0345】
特に洗浄流体から選択的に透過性の完全体、例えば吸引および灌注ユニットなどの2相システムのポリマーフィルム、シートまたは膜などを通る創傷滲出物および/または流体を連続的に追加することによって、灌注剤および/または創傷からの創傷滲出物の体積が増加している場合、管の壁は、自身にかかる正または負圧に抗するのに十分な厚さであることが適切である。しかし、このような管の主な目的は、圧力容器として作用することではなく、流体灌注剤および滲出物を装置流路の長さを通して搬送することである。管の壁は、少なくとも25ミクロンの厚さであることが適切である。
【0346】
パイプなどに沿った、または中空物体内の内腔または任意の孔、アパーチャー、穴、開口部、オリフィス、スリットまたはスロットは、小さい断面寸法でよい。
【0347】
したがって、これはタンパク質および栄養分は通過できるようにしながら、細胞の壊死組織片および微生物を含む粒子の肉眼的および/または顕微鏡的フィルターを効果的に形成することができる。
【0348】
このような管、パイプまたはホースなどは、充填材を通り、および/または充填材の周囲にあり、充填材が固体完全体および/または1以上の弾力的で可撓性または順応性を有する中空物体であるか、否かにかかわらず、引き入れパイプおよび引き出しパイプに関して以前にさらに詳細に説明されている。
【0349】
創傷を吸引、灌注、熱エネルギー供給および/または洗浄する装置は、創傷手当用品を使用時に創傷の上に位置されたら、全長にわたって微生物不透過性でなければならない。
【0350】
本発明の創傷手当用品、および創傷を吸引、灌注、熱エネルギー供給および/または洗浄する装置の内部は、滅菌されることが望ましい。
【0351】
流体は、流体容器および/または流体が移動するシステムの残りの部分で、紫外線、ガンマ線または電子線の照射によって滅菌することができる。これは特に、内面および流体といかなる滅菌剤との接触も減少させるか、無くすことができる。
【0352】
流体を滅菌する他の方法の実施例は、例えば選択的に微生物不透過性になるように、例えば0.22ミクロンから0.45ミクロンの最大断面寸法などの微小アパーチャーまたは微小孔を通る限外濾過、およびクロルヘキシジンおよびポビドンヨードのような化学溶液、例えば硝酸銀のように銀塩などの金属イオン源、および過酸化水素などの流体消毒薬
の使用なども含むが、後者は内面および流体と滅菌剤との接触を含む。
【0353】
創傷手当用品、流体が移動するシステムの残りの部分および/または創傷床は、高度に滲出性の状態の創傷であっても、流体容器内で流体を滅菌した後は滅菌状態を維持するか、少なくとも自然に発生する微生物の成長を抑制することが望ましいことがある。
【0354】
したがって、潜在的に、または実際にこの態様で有益な物質を、最初に灌注剤に添加し、所望に応じて継続的に添加することによって量を増加させることができる。
【0355】
このような物質の実施例は、抗菌剤(その一部は上記で列挙)および抗真菌剤を含む。
【0356】
特に適切であるのは、例えばトリクロサン、ヨウ素、メトロニダゾール、セトリミド、酢酸クロルヘキシジン、ウンデシレン酸ナトリウム、クロルヘキシジンおよびヨウ素である。
【0357】
pHを調節するために、リン酸二水素カリウム/リン酸水素二ナトリウムなどの緩衝薬を添加してよい。同様に、創傷の疼痛または炎症または手当用品に伴う疼痛を緩和するために、リドカイン/塩酸リドカイン、キシロカイン(アドレナリン、リドカイン)および/または抗炎症薬のような局所鎮痛薬/麻酔薬も添加してよい。
【0358】
流路に灌注剤からの物質が付着するのを抑制するために、流体と直接接触する経路の任意のポイントで、または任意の完全体上で、例えば創傷を同時に吸引し、灌注する手段または任意の望ましい管またはパイプ上で、忌避物質のコーティングを使用することができる。
【0359】
吸引流体が上を通過する表面のためのコーティング材料の実施例は、ヘパリンなどの抗凝固剤、およびPTFEなどの表面張力が高い材料、およびポリアミドを含み、これは成長因子、酵素、および他のタンパク質および誘導体にとって有用である。
【0360】
創傷を吸引、灌注、熱エネルギー供給および/または洗浄する本発明の装置には、流体容器への流体供給管の形態で、創傷手当用品の下で創傷に直接的または間接的に流体を入れる手段を設ける。
【0361】
流体容器は、例えば管、袋(一般的に血液または血漿のような血液生成物、または栄養分などの輸液供給部に使用する袋など)、チャンバー、パウチまたは灌注流体を含むことができるポリマーフィルムなどの他の構造など、任意の従来通りのタイプでよい。
【0362】
容器はフィルム、シートまたは膜で作成することができ、往々にして従来通りの創傷手当品の裏打ち層に使用されるフィルムまたはシートの厚さと同様の(一般的には均一な)厚さ、つまり最大100ミクロン、好ましくは最大50ミクロン、さらに好ましくは最大25ミクロンで、10ミクロンの最小厚さであり、往々にして弾力的な可撓性、例えば弾性を有し、好ましくは軟質で中空の物体である。
【0363】
装置のすべての実施形態において、創傷を吸引、灌注、熱エネルギー供給および/または洗浄する本発明の装置、および流体容器全体で、管のタイプおよび材料はほぼその機能によって決定される。
【0364】
特に慢性的時間枠で使用するのに適切であるために、材料は適宜、流体容器からの灌注剤および/または装置の流路にある創傷滲出物のどの活性成分に対しても無害で生体適合性があり、不活性でなければならない。灌注流体と接触する場合は、有意の量の抽出物が、装置の使用時に自由に拡散して出ることが可能であってはならない。
【0365】
これは、紫外線、ガンマ線または電子ビーム照射および/または化学物質の溶液のような消毒剤によって滅菌可能であり、いったん使用すると流体および微生物不透過性で、可撓性でなければならない。
【0366】
流体容器に適切な材料の実施例は、ポリオレフィン、ポリエチレンなどの合成ポリマー材料、例えば高密度ポリエチレンおよびポリプロピレンを含む。
【0367】
本目的に適切な材料は、例えば酢酸ビニルを有するその共重合体、およびその混合物も含む。本目的に適切なさらなる材料はさらに、医療用ポリ(塩化ビニル)を含む。
【0368】
このようなポリマー材料にもかかわらず、流体容器は往々にして、創傷手当品に向かう流体供給管のように相互に一体ではない構成要素と自身との間に有意の遊びがある場合に、それに抗する剛性区域を有し、例えば突出するボスなどによって剛化、補強、または他の方法で強化することができる。
【0369】
除去される創傷治癒にとって有害な物質は、例えば過酸化物および超酸化物などの遊離基のような酸化剤、鉄IIおよび鉄III、創傷床上の酸化応力に関与するすべて、例えばエラスターゼおよびトロンビンなどのセリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、例えばコラゲナーゼなどの基質金属プロテアーゼ、およびカルボキシル(酸)プロテアーゼのようなプロテアーゼ、リポ多糖体のような内毒素、例えばオキソアルキル誘導体などのホモセリンラクトン誘導体のような自己誘導体情報伝達分子、トロンボスポンジン−1(TSP−1)、正ミノーゲン活性化因子抑制因子、またはアンギオスタチン(正ミノーゲンの破片)のような血管形成抑制因子、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)およびインターロイキン1ベータ(IL−1β)のような炎症誘発性サイトカイン、例えば過酸化物および超酸化物などの遊離基のような酸化体、および例えば鉄IIおよび鉄IIIなどの金属イオンを含み、これらはすべて、創傷床への酸化ストレスに関与する。
【0370】
創傷の流体を吸引すると、創傷滲出物および/または灌注剤から創傷治癒にとって有害な物質を除去しながら、創傷に接触した状態で創傷治癒の促進に有益な物質を分布させるのに役立つと考えられる。
【0371】
灌注剤および/または創傷滲出物の間で、創傷治癒の促進に有益な物質の定常濃度平衡を設定することができる。創傷の流体を吸引すると、この平衡をより迅速に達成するのに役立つ。
【0372】
創傷治癒に有利で分配される物質は、サイトカイン、酵素、成長因子、細胞基質成分、生物学的情報伝達分子、および滲出物の他の生理活性成分、および/または創傷治癒に関して潜在的または実際に有利である灌注剤中の物質、例えば増殖を補助する創傷細胞への栄養分、酸素などの気体を含む。
【0373】
灌注剤および/または創傷滲出物がそれぞれ、創傷手当用品との間で通る導管は、
i)好ましくは手当用品をモジュール式に切断して、取り外し、
ii)導管の端部上に近接の流体密なシールまたはクロージャー、およびこのように露出した本発明の装置の残りの部分に協働管を設け、
灌注剤および/または滲出物および洗浄済み流体、および洗浄用流体が継続的に通過するのを防止する。
【0374】
吸引流れ調整手段および/または管の引き出しを収集してモニターし、創傷および/またはその滲出物の状態を診断するために使用することができる。
【0375】
任意の廃棄物容器は、排出された灌注流体を含むことができる任意の従来通りのタイプでよく、例えば管、袋(通常、ストーマ袋として使用される袋など)、チャンバー、パウチ、または他の構造で、例えばポリマーフィルム製でよい。装置のすべての実施形態で、廃棄物容器のタイプおよび材料は、その機能によってほぼ確定される。
【0376】
使用に適切であるために、材料は一度使用したら流体不透過性になり、可撓性であればよい。
【0377】
流体容器の適切な材料の実施例は、ポリオレフィン、ポリ(塩化ビニリデン)のような合成ポリマー材料を含む。
【0378】
本目的に適切な材料は、ポリエチレン、例えば高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、その共重合体、例えば酢酸ビニルを含み、さらにそれらの混合物を含む。
【0379】
本発明の第2の態様では、順応性を有する創傷手当用品が提供され、これは、創傷上に比較的流体密なシールまたはクロージャーを形成することができる創傷に面した面がある裏打ち層を備え、創傷に面する面を通る、および/またはその下を通る流体供給管に接続する少なくとも1本の引き入れパイプ、および創傷に面する面を通る、および/またはその下を通る流体排出管に接続する少なくとも1本の引き出しパイプを有し、引き入れパイプおよび引き出しパイプが創傷に面する面を通る、および/またはその下を通るポイントが、創傷上に比較的流体密なシールまたはクロージャーを形成し、手当用品が、創傷内の流体に熱エネルギーを供給する手段を有することを特徴とする。
【0380】
手当用品は、細菌を通さないパウチで使用するように提供することが有利である。このような創傷手当用品の適切な形態の実施例については、上記で例示により説明している。
【0381】
特許文献1に示され、記載された手当用品を、例えば伝導加熱器などの創傷内の流体に熱エネルギーを供給する手段が、創傷手当用品の上流で流路内、例えば灌注流体容器からの流体供給管内の灌注液に、通常は可能な限り創傷手当用品の裏打ち層の近くで作用する状態で、本発明の装置で使用することができる。
【0382】
本発明の第3の態様では、本発明の創傷を吸引、灌注、熱エネルギー供給および/または洗浄する装置を使用して、創傷治癒を促進する創傷治療方法が提供される。
【0383】
次に、本発明を、添付図面に関して例示によってのみ説明する。ここでは、灌注流体容器からの流体供給管内で創傷手当用品の上流にある流路内の灌注液に、可能な限り創傷手当用品の裏打ち層の近くで作用する伝導熱エネルギー供給手段は、明快さを期してすべての略図から省略されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0384】
図1を参照すると、創傷を吸引、灌注、熱エネルギー供給および/または洗浄する装置(1)は、順応性のある創傷手当用品(2)を備え、これは、創傷(5)上で比較的流体密なシールまたはクロージャー(4)を形成することができる裏打ち層(3)と、(8)で裏打ち層(3)の創傷に面する面を通る流体供給管(7)に接続する1本の引き入れパイプ(6)と、(11)で創傷に面する面を通る流体排出管(10)に接続する1本の引き出しパイプ(9)と、を有し、引き入れパイプおよび引き出しパイプが創傷に面する面を通る、および/またはその下を通るポイント(8)、(11)が、創傷上で比較的流体密なシールまたはクロージャーを形成し、さらに、引き入れパイプは、供給流れ調整手段(ここでは弁(14))を介して、流体供給管(7)によって流体容器(12)に接続され、引き出しパイプ(9)は、吸引液流れ調整手段(ここでは弁(16))および流体排出管(10)を介して廃棄物、例えば収集袋(図示せず)に接続され、さらに、流体を創傷(5)を通じて移動する器具(ここでは膜板ポンプ(18))を備え、これは例えば小型の携帯用膜板ポンプであることが好ましく、流体吸引管(13)に作用して、創傷に低い負圧を加え、流体供給管(7)内の弁(14)、流体排出管(10)内の弁(16)、および膜板ポンプ(18)は、創傷(5)を同時に吸引し、灌注する手段を提供し、したがって流体は、流路を充填するために流体容器から流体供給管を介して(供給流れ調整手段を介して)供給され、器具によって流路に通すことができる。
【0385】
装置の動作については、前述した通りである。
【0386】
図2を参照すると、装置(21)は変形の2ポンプ式システムであり、基本的に図1と同一であって同じ番号を付けられた構成要素を有するが、ただし、流体容器(12)からの流体供給管(7)に供給流れ調整手段がなく、創傷に低い負圧を加えるために、創傷手当用品の下流で、創傷手当用品から離れる流体吸引管(13)に作用する流体を創傷(5)を通じて移動するための第1器具(ここでは膜板ポンプ(18A)、例えば好ましくは小型の携帯用膜板ポンプ)と、真空管(13)および真空容器(吸引材収集ジャー)(19)に接続された負圧調整手段(ここでは弁(16))と、創傷手当用品の上流で、創傷手当用品に向かう流体供給管(7)内の灌注剤に適用される、流体を創傷(5)を通じて移動するための第2器具(ここでは蠕動ポンプ(18B)、例えば好ましくは小型の携帯用膜板ポンプ)と、を有し、第1器具(18A)および第2器具(18B)、および真空管(10)内の弁(16)、および膜板ポンプ(18A)が、創傷(5)を同時に吸引し、灌注する手段を提供し、したがって流体は、流路を充填するために流体容器から流体供給管を介して(供給流れ調整手段を介して)供給され、器具によって流路に通すことができる。
【0387】
装置の動作については、前述した通りである。
【0388】
図3から図5を参照すると、各手当用品(41)は、25ミクロンという均一の厚さで、創傷上に比較的流体密なシールまたはクロージャーを形成することができる創傷に面する面(43)を有する微生物不透過性フィルムの裏打ち層(42)によって形成された順応性を有する物体の形態である。
【0389】
裏打ち層(72)は、創傷に使用すると、創傷の周囲の皮膚上に延在する。重なり部(44)上の裏打ち層(43)の近位面で接着フィルム(45)を担持し、創傷手当用品の創傷に面する面(43)の周囲で流体密なシールの所定の位置に創傷手当用品を保持するのに十分なように、この接着フィルム(45)を皮膚に貼り付ける。
【0390】
創傷に面する面(43)を通る、および/またはその下を通る流体供給管(図示せず)に接続する1本の引き入れパイプ(76)、および創傷に面する面(43)を通る、および/またはその下を通る流体排出管(図示せず)に接続する1本の引き出しパイプ(77)がある。
【0391】
図3を参照すると、手当用品の1つの形態は、円形の裏打ち層(72)の下にあって、ボス(81)に永久的に取り付けられた円形シート(70)を備え、これは例えば裏打ち層(72)にヒートシールされる。
【0392】
例えば弾性熱可塑性樹脂、好ましくは小さいアパーチャーまたは孔がある網状濾過ポリウレタン発泡体などの適切な材料で形成した発泡体(74)の環状層が、シート(70)を裏打ち層から隔置し、ボス(81)を囲む。
【0393】
開口部(76)があり下方向に皿状の膜(75)が、ヒートシールによってシート(70)に永久的に取り付けられ、シート(70)とともにチャンバー(77)を形成する。
【0394】
引き入れパイプ(76)および引き出しパイプ(77)がボス(81)の中心に装着され、裏打ち層(72)を通過する。
【0395】
引き入れパイプ(76)は、ポリウレタンの管状芯(図示せず)で作成され、加えられた電圧が低下すると熱エネルギーを生成する前述したような抵抗性合金の1つなどの抵抗性伝導材料の環によって囲まれる。これは、概略的に図示されたセル(78)に接続され、これが電圧低下を与える。
【0396】
引き入れパイプ(76)はチャンバー(77)の内部と連通し、したがってこれは、手当用品の使用時に加熱した流体を創傷へと直接分配する引き入れマニホルドを形成する。
【0397】
引き出しパイプ(77)は、裏打ち層(3)の真下で放射状に延在し、発泡体(74)の層の内面と連通して、引き出しマニホルドを形成する。
【0398】
この手当用品の形態は、浅い創傷の場合により適切なレイアウトである。
【0399】
手当用品の別の形態が、図4に図示されている。引き入れパイプ(76)および引き出しパイプ(77)はボス(81)の中心に装着され、裏打ち層(3)を通過する。環状溝(89)がある扁平半球状体充填材(88)を、パイプ(76)および(77)に永久的に取り付けることができる。
【0400】
これは適切な材料、例えば弾性の熱可塑性発泡体、好ましくは小さいアパーチャーまたは孔がある網状濾過ポリウレタン発泡体で形成される。
【0401】
環状電熱パッド(90)が、裏打ち層(3)の頂部でボス(81)の周囲に装着され、これは灌注剤を通して創傷(5)に熱を伝導することができる。
【0402】
これは、炭素繊維の織物層またはシートのような不織布または織物、またはポリアクリロニトリルおよびその共重合体などの炭化アクリレートで基本的に作成された織物層またはシートのような織物の形態でよく、これは電圧降下がそれに印加された場合、熱エネルギーを生成する。
【0403】
代替的に、自身上に電気抵抗性であるが伝導性のプリント回路を有する電気絶縁性の平板または膜基質でよい。これは、概略的に図示されたセル(78)に接続され、これが電圧低下を与える。
【0404】
引き入れパイプ(76)は、充填材(88)の最低ポイントで創傷空間と連通する。引き出しパイプ(77)は溝(89)と連通し、手当用品の使用時に創傷の周囲から流体を効果的に収集する。
【0405】
この手当用品の形態は、深めの創傷の場合により適切なレイアウトである。
【0406】
図5では、引き入れパイプ(76)および引き出しパイプ(77)がボス(81)の中心に装着され、裏打ち層(72)を通過する。扁平半球状体の順応性を有する中空物体(78)が膜(79)によって形成され、これは流体(ここでは空気または窒素)で充填され、これによって創傷空間に押しつけられ、パイプ(76)および(77)に永久的に取り付けられる。
【0407】
これは、例えば弾性熱可塑性樹脂、好ましくは小さいアパーチャーまたは孔がある網状濾過ポリウレタン発泡体などの適切な材料で形成される。
【0408】
膨張引き入れパイプ(350)が中空物体(78)の内部と連通して、物体(78)を膨張可能にする。引き入れパイプ(76)は中空物体(78)を通って延在する。引き出しパイプ(77)は、裏打ち層の真下で発泡体ディスク(87)の一連の放射状アパーチャーによって形成された引き出しマニホルドと連通し、これは手当用品の使用時に創傷の周囲から流体を収集する。
【0409】
電気加熱器(90)が、裏打ち層(3)の頂部でボス(81)の下に装着され、これは放射熱に対して透過性を有し、よって灌注剤を通して創傷(5)に熱伝達することができる。
【0410】
これは、電圧降下が印加された場合、熱エネルギーを生成する近赤外線放射加熱器の形態でよい。これは概略的に図示されたセル(78)に接続され、電圧降下を印加する。
【0411】
図6Aを参照すると、装置(21)は変形の2ポンプ式システムであり、基本的に図2と同一であるとともに同じ番号を付けられた構成要素を有する。
【0412】
したがって、流体容器(12)からの流体供給管(7)内にある供給流れ調整手段(ここでは弁(14))と、吸引液収集容器(19)の下流で、吸引液収集容器(19)から離れる流体吸引管(13)には作用せず、空気吸引管(113)には作用し、よって吸引液収集容器(19)を通して創傷に低い負圧を加える、流体を創傷(5)を通じて移動するための第1器具(ここでは固定速度膜板ポンプ(18A)、例えば好ましくは小型の携帯用膜板ポンプ)と、創傷手当用品の上流で、創傷手当用品に向かう流体供給管(7)内で灌注剤に適用される、流体を創傷(5)を通じて移動するための第2器具(ここでは固定速度蠕動ポンプ(18B)、例えば好ましくは小型の携帯用蠕動ポンプ)と、を有し、
第1器具(18A)および第2器具(18B)、および流体供給管(7)内の弁(14)が、創傷(5)を同時に吸引し、灌注する手段を提供し、したがって流体は、流路を充填するために流体容器から流体供給管を介して(供給流れ調整手段を介して)供給され、器具によって流路を通ることができる。
【0413】
流体排出管(10)に接続された弁などの吸引液流れ調整手段はない。
【0414】
第1器具(18A)および第2器具(18B)は固定速度であるので、流体供給管(7)内の弁(14)は、灌注剤の流量および創傷に加えられる低い負圧を変動させる唯一の手段を提供する。
【0415】
以下の特別の形体が存在する。
【0416】
第2器具、つまり固定速度蠕動ポンプ(18B)には、逆流防止弁(115)を有する迂回ループの形態で過剰圧力を回避する手段を設ける。ループはポンプ(18B)下流の流体供給管(7)から、流体供給管(7)のポンプ(18B)上流のポイントへと通る。
【0417】
流体排出管(10)に接続された圧力モニター(116)は、ブリード調整器とのフィードバック接続を有し、これはここではブリード管(118)上の電動ロータリー弁(117)であり、吸引液収集容器(19)の頂部へと通り、その中心に貫入する。これは、創傷にかかる低い負圧を安定したレベルで保持する手段を提供する。
【0418】
吸引液収集容器(19)の下流のフィルター(119)は、液体および微生物を含む気体(往々にして空気)で運ばれる粒子が、吸引液収集容器(19)内へ進む灌注剤および/または滲出物から、第1器具(18A)内へと通過するのを防止するが、キャリヤーガスがその下流の空気吸引管(113)を通過して第1器具(18A)に進めるようにする。装置の動作は前述した通りである。
【0419】
図6Bを参照すると、これは図6AのポイントAの下流で図6Aと基本的に同一であるとともに同じ番号が付けられた構成要素の代替レイアウトを示す。ブリード管(118)は、吸引液収集容器(19)に入るのではなく、フィルター(119)の下流の空気吸引管(113)へと進む。これは、創傷にかかる低い負圧を安定したレベルで保持する手段を提供する。装置の動作は前述した通りである。
【0420】
図6Cを参照すると、これは図6AのポイントBの上流で図6Aと基本的に同一であるとともに同じ番号が付けられた構成要素の代替レイアウトを示す。第2器具(18B)は変速ポンプであり、流体供給管(7)内の弁(14)が削除されている。第2器具(18B)は、灌注剤の流量および創傷に加えられる低い負圧を変動させる唯一の手段である。装置の動作は前述した通りである。
【0421】
図6Dを参照すると、これは図6AのポイントBの下流で図6Aと基本的に同一であるとともに同じ番号が付けられた構成要素の代替レイアウトを示す。
【0422】
圧力モニター(116)がモニター排出管(120)に接続され、モニター排出管(120)へと進むブリード管(118)上にブリード調整器、つまり電動ロータリー弁(117)へのフィードバック接続を有する。これは、創傷に加えられる低い負圧を安定したレベルで保持する手段を提供する。装置の動作は前述した通りである。
【0423】
図7Aを参照すると、これは図6AのポイントBの下流で図6Aと基本的に同一であるとともに同じ番号が付けられた構成要素の別の代替レイアウトを示す。
【0424】
圧力モニター(116)がモニター排出管(120)に接続され、フィルター(119)の下流で空気吸引管(113)内の吸引流れ調整手段(ここでは電動弁(16))とのフィードバック接続を有する。
【0425】
これは、吸引液の流れを調整し、創傷に加えられる低い負圧を安定したレベルに保持する手段を提供する。装置の動作は前述した通りである。
【0426】
図7Bを参照すると、これは図6AのポイントBの下流で図7Aと基本的に同一であるとともに同じ番号が付けられた構成要素の別の代替レイアウトを示す。圧力モニター(116)がモニター排出管(120)に接続され、吸引液収集容器(19)の上流で流体排出管(10)内の吸引液流れ調整手段(ここでは電動弁(16))とのフィードバック接続を有する。
【0427】
これは、吸引液の流れを調整し、創傷に加えられる低い負圧を安定したレベルで保持する手段を提供する。装置の動作は前述した通りである。
【0428】
図7Cを参照すると、これは図6AのポイントBの下流で図7Aと基本的に同一であるとともに同じ番号が付けられた構成要素の別の代替レイアウトを示す。圧力モニター(116)がモニター排出管(120)に接続され、フィルター(119)の下流で変速第1器具(18A)、ここでは変速ポンプとのフィードバック接続を有し、流体排出管(10)内の弁(16)が削除されている。
【0429】
これは、吸引液の流れを調整し、創傷に加えられる低い負圧を安定したレベルに保持する手段を提供する。装置の動作は前述した通りである。
【0430】
図8Aを参照すると、これは図7AのポイントBの下流で図7Cと基本的に同一であるとともに同じ番号が付けられた構成要素、および創傷に負または正圧がかかった状態で吸引液収集容器への吸引液の流れを扱う代替手段の別の代替レイアウトを示す。
【0431】
圧力モニター(116)がモニター排出管(120)に接続され、吸引液収集容器(19)の上流で変速第1器具(18A)(ここでは変速ポンプ)とのフィードバック接続を有し、フィルター(119)および空気吸引管(113)が削除されている。これは、吸引液の流れを調整し、創傷に加えられる低い負圧を安定したレベルに保持する手段を提供する。装置の動作は前述した通りである。
【0432】
図8Bを参照すると、これは図6AのポイントBの下流で図7Cと基本的に同一であるとともに同じ番号が付けられた構成要素、および創傷に負または正圧がかかった状態で吸引液収集容器への吸引液の流れを扱う代替手段の別の代替レイアウトを示す。吸引液収集容器(19)およびフィルター(119)の下流で、変速第1器具(18A)(ここでは変速ポンプ)とのフィードバック接続と同様に、圧力モニター(116)が削除されている。第3器具(18C)(ここでは固定速度ポンプ)は、流体を吸引液収集容器(19)から排出物袋(19A)内に移動させる手段を提供する。装置の動作は前述した通りである。
【0433】
図9を参照すると、これは図6AのポイントAの上流で図6Aと基本的に同一であるとともに同じ番号が付けられた構成要素の代替レイアウトを示す。
【0434】
これは、基本的に図6Aの装置から、灌注流体を創傷手当用品に入れる第2器具が削除された1ポンプ式システムである。装置の動作は前述した通りである。
【0435】
次に、本発明の装置の使用法について、以下の実施例によって例示の方法で説明する。
【0436】
(実施例)
(実施例1): 創傷タンパク質の除去および2ポンプ式装置での創傷治癒
この実施例では、空隙の創傷モデル内に置かれたゼラチンシートが、2ポンプ式装置によって除去すべき創傷のタンパク質および誘導体を表す。
【0437】
手当用品は基本的に図3のものと同一である。つまり、抵抗性伝導材料の環で囲まれた引き入れパイプを有する手当用品の形態であり、電流制御装置およびスイッチを有する回路を介してセルに接続され、セルによって電圧低下が与えられると熱エネルギーを生成する。
【0438】
引き入れパイプは、引き入れマニホルドの内部と連通し、これは手当用品の使用時に加熱された流体を創傷へと直接分配する。
【0439】
2ポンプ式システムは基本的に図2と同様に以下の通りに設定される。
灌注剤配量ビン:1000mlのSchott Duranで以下に接続される
灌注剤送出用蠕動ポンプ(Masterflex)、および関連する電源および供給管
吸引用膜板真空ポンプ(Schwarz)、および関連する電源および排出管で、以下に接続される
真空容器(吸引液収集ジャー):Nalgeneの150mlポリスチレン
各ポンプは以下の要素で構成された手当用品に接続される。
1.下面に開孔率が低い「漏出性」膜の創傷接触層、頂部に不透過性フィルム、および2つの層の間に発泡体スペーサーを有し、灌注剤溶液が自由に流れることができるローブ状袋を備えた創傷接触要素
2.厚さ30mm、直径60mmの網状連続気泡発泡体(黒い網状発泡体、フォーム テクニクス(Foam Techniques))を備えた空間充填要素
3.アクリルからなる感圧性接着剤を有する閉塞性接着剤被覆ポリウレタン裏打ち層頂部フィルム(スミス アンド ネフュー メディカル(Smith & Nephew Medical)社製)
4.閉塞性頂部フィルムの下を通り、気体または液体の漏れを防止するために密封された2本の管
a.一方の管は、創傷接触要素の頂部フィルムの中心に貫入して、このフィルムおよび多孔性要素によって形成されたチャンバー内に灌注剤を送出する
b.ほぼ等しい長さの他方の管は、創傷接触要素の頂部フィルムのすぐ上に位置決めされた開口部で、吸引液を除去する
創傷モデルの空洞内の圧力センサー。
創傷モデルの空洞内の温度センサー。
【0440】
ゼラチンシートの準備:
ゼラチンを計量してガラスジャーに入れ、脱イオン水とともに必要な重量を構成して、ゼラチンの20%水溶液を準備する。ジャーを、設定温度85℃の炉(ヘレウス(Heraeus)社製)に入れる。
【0441】
60分後にジャーを炉から取り出して振り、混合を促進する。ペトリ皿を10gの量のゼラチン溶液で部分的に満たし、冷蔵庫(レック(LEC)社製、設定温度4℃)に入れ、少なくとも1時間凝固させる。ゼラチンスラブの最終的厚さは約5mmである。ゼラチンスラブを含むペトリ皿は、使用する少なくとも2時間前に冷蔵庫から取り出す。
【0442】
試験機器および材料の準備:
灌注剤溶液(脱イオン水)およびパースペックスの創傷モデルを、設定温度37℃の炉(Gallenkamp社製)内で使用前に少なくとも4時間、事前調整する。
【0443】
試験ごとに、新しく準備したゼラチンスラブをペトリ皿から取り出し計量する。次に、パースペックスの創傷モデルを炉から取り出し、ゼラチンスラブを空洞の底部に配置する。以下のように手当用品を創傷モデルへ適用する:
− 創傷接触要素を慎重にゼラチンスラブに載せる。
− 灌注剤および吸引液の管が空洞の頂部へと中心を通る状態で、発泡体充填材をその頂部に配置する(これを容易にするために、発泡体充填材の中心にスリットを入れる)。 − アクリル感圧性接着剤を使用し、管に予め通した側部入口ポートを、創傷モデルブロックの上面に接着剤で結合する。
− 接着剤を被覆した頂部フィルムを全要素上に適用し、押下して、全側部、特に管の入口/出口ポイントの周囲にシールを与える。
【0444】
創傷モデルへの手当用品の適用は、実行した全試験について同じである。使用した管はすべて、実験ごとに同じである(例えば材料、直径、長さ)。
【0445】
同時の灌注および吸引:
実験に使用するシステムの略図を以下に示す。実験用に、装置の大部分(ポンプ、電源、およびポンプとの接続管は含まない)を、同じ棚の上の炉(Gallenkamp社製、設定温度37℃)に入れる。
【0446】
灌注ポンプを始動する前に、システムに真空を引き込んで、手当用品および管接続部にほぼ空気漏れがないことをチェックする。
【0447】
手当用品を入れるためにシステムを開放する前に、ポンプシステムを制御して、真空容器に約−75mmHgの圧力を与える。
【0448】
システムの完全性が確認されたら、灌注ポンプを始動する(公称流量:50ml/hr)、つまり両方のポンプを一緒に運転する。
【0449】
次に、本装置内で創傷内の流体に熱エネルギーを供給する手段を起動する、つまりスイッチを閉じ、したがって抵抗性伝導材料の環にかかる電圧が低下して、これが熱エネルギーを生成し、引き入れパイプを通ってマニホルドチャンバーに入る灌注液へと伝導される。電流制御装置を調節して、創傷手当用品の裏打ち層の創傷に面する面の下にある創傷床の温度を、実験を通して36から38℃の一定レベルに維持する。
【0450】
灌注剤の管内で前進する水の前面が、手当用品の頂部に到達したことが観察されたら、実験のタイミングを開始する。
【0451】
60分後に、本装置内で創傷内の流体に熱エネルギーを供給する手段を停止する、つまりスイッチを開き、したがって抵抗性伝導材料の環にかかる電圧がもう低下しない。
【0452】
灌注剤ポンプを停止し、その直後に真空(吸引)ポンプを停止する。真空ジャー内に収集された吸引液をガラスジャーに移す。真空ジャーを約100mlの脱イオン水ですすぎ、これを同じガラスジャーに加える。吸引溶液を炉(Heraeus社製、設定温度130℃)に入れ、一定の重量まで乾燥する。
【0453】
順番での灌注および吸引:
実験の設定は、同時の灌注/吸引の実験の通りである。実験を開始する前に、システムに真空を引き、手当用品および管の接続部にほぼ空気漏れがないことをチェックする。
【0454】
手当用品を入れるためにシステムを開放する前に、ポンプシステムを制御して、真空容器に約−75mmHgの圧力を与える。
【0455】
システムの完全性が確認されたら、灌注ポンプを始動し(公称流量:186ml/hr)、次に、本装置内で創傷内の流体に熱エネルギーを供給する手段を起動する、つまりスイッチを閉じ、したがって抵抗性伝導材料の環にかかる電圧が低下する。電流制御装置を調節して、創傷手当用品の裏打ち層の創傷に面する面の下にある創傷床の温度を、実験を通して36から38℃の一定レベルに維持する。
【0456】
灌注剤の管内で前進する水の前面が、手当用品の頂部に到達したことが観察されるまで、ポンプを運転する。
【0457】
この時点で、真空ラインを(管のクランプを使用して)密封し、真空ポンプを停止しながら、ポンプを一時的に停止する。
【0458】
実験のタイミングは、灌注ポンプが再始動するポイントからである。50mlの灌注剤が創傷モデルに入るまで、ポンプを運転する(186ml/hrの流量で16分余り)。この時点で、本装置内で創傷内の流体に熱エネルギーを供給する手段を停止する、つまりスイッチを開き、したがって抵抗性伝導材料の環にかかる電圧がもう低下しない。灌注剤ポンプを停止する。
【0459】
順番での充填および洗浄のうち充填段階の間に、モデル創傷空洞内に捕捉された空気によって、手当用品の頂部フィルムが故障に近づくポイントまで相当に膨張することを観察する。
【0460】
さらに約44分後(実験の開始から60分後)、真空ポンプを始動して、吸引液ライン上の管クランプを外す。創傷モデルを5分間吸引する。
【0461】
この期間の終了時近くに、手当用品の頂部フィルムに小さい漏れを導入し、創傷モデルから引き出される流体の量を最大にする(創傷モデル空洞と真空ジャーとの間の圧力差がゼロまで減少すると、吸引液の流れも遅くなる傾向があることが観察される。小さい漏れを導入すると、圧力差および空洞からの吸引液の流れを再確立する)。
【0462】
結論:
創傷内の流体に熱エネルギーを供給する手段とともに本装置を使用すると、プログラム可能な流体の移動で創傷モデルを同時に灌注し、吸引しながら、創傷手当用品の裏打ち層の創傷に面する面の下で、創傷床の温度を36〜38℃の一定レベルに到達させ、維持することができる。
【0463】
また、同時に灌注し、吸引すると、創傷に入る液体の量および実験の継続時間が両方の事例で同じであっても、順番に空洞を充填し、空にする場合より、創傷モデル空洞の基部に配置した代用の創傷タンパク質シートを多く除去する。同時に灌注し、吸引すると、モデル創傷から除去される流体も多くなる。
【0464】
(実施例2):創傷床繊維芽細胞への同時の暖めた流体の流れ(灌注)と(減圧した)吸引との組合せと、創傷床繊維芽細胞を暖めた流体の流れと吸引との繰り返しの充填/空サイクルへの曝露との比較
本発明の装置は、基本的に図10の通りに構築され、これはある性質の灌注剤または流体を創傷床へと連続的に送出し、その結果の創傷滲出物/流体の混合物をそれと同時に創傷から連続的に吸引する。創傷が、流体を送出した後、減圧した状態で吸引の期間を有するサイクルの繰り返し反復を経験する代替システムが知られている。
【0465】
装置は、代用の創傷室(Minucellsの潅流室)を備え、この中で13mmの直径で培養した正常な人間の2倍体線維芽細胞(Thermanoxポリマー)が、2部品の支持体(Minnucells Minusheets)内に保持されたスリップを覆う。生き残り、増殖しなければならない治癒創傷に存在する組織は、室内の細胞で表された。灌注流体/創傷滲出物の混合物をシミュレートする栄養媒体(10%のFCSおよび1%のBuffer Allを含むDMEM)を容器からチャンバーの下部アスペクトに給送し、ここで線維芽細胞に浸し、チャンバーの上部アスペクトから取り出して、第2容器へと戻した。創傷チャンバーは、回路と直列の真空ポンプによって大気圧より低く維持された。
【0466】
回路のポンプは、シリコーンまたは(同等の)弾性管に作用する蠕動ポンプであった。
【0467】
回路を、10%大気圧以下の真空、950mbarおよび1044mbarの最大値まで変更した大気圧に曝露し、管の内径は1.0mmであった。50mlから220mlの室および容器を含む回路の総容積を使用した。使用した流量は、0.1ml/分と2.0ml分の間の数値で使用した。
【0468】
第1回路は、
a)創傷チャンバーの上流に熱交換器をさらに備え、したがって細胞を浸す栄養媒体の温度は、35℃と37℃の間になる。
【0469】
シミュレートした状態が、治癒する創傷にとって珍しくない実験を実施し、それによって創傷をシミュレートするチャンバーを常温環境(血流が少ない創傷で往々にして経験する低い温度をシミュレートする)に入れ、追加のチャンバーは、細胞が35℃と37℃の間に到達するように加熱した。
【0470】
治癒する創傷にとって珍しくない状態をシミュレートした実験を実行し、流体を創傷床に送出して、真空を与え、流体と滲出物の混合物を廃棄物容器へと除去した。回路内に抽気流体制御弁を追加的に位置決めし、したがって開くとある時間だけ抽気が生じ、閉じると流体が流れ、シミュレートした灌注流体/創傷滲出物の混合物をチャンバーから排出し、線維芽細胞は、大気圧に対して負圧に維持した。これは、空/充填システムを表す。6サイクルの空/充填を実行し、各充填または空にする段階は1時間続いた。
【0471】
装置も基本的に図10と同様に構築したが、
a)1時間空にする/1時間充填する6×サイクルで、合計25時間にわたって空/充填システムとして動作させ、
b)細胞を浸す栄養剤の流れが35℃と37℃の間に到達せず、18℃と20℃の間に維持されるように、熱交換器を削除した。
【0472】
結果および結論:
0.2ml/分の流量で給送された栄養媒体(154ml)の総量を含み、真空を950mbarに設定して、大気圧を1044mbarの最大値に変更した上記のような創傷チャンバーを備える回路で、以下の結果を獲得した。創傷チャンバーおよび媒体は、25時間にわたり37℃に保持した。1セットの創傷チャンバーでは連続流を維持した。第2セットのチャンバーでは、各充填または空にする段階が1時間続く状態で、6サイクルの空/充填を実行した。
【0473】
a)1時間空にする/1時間充填する6×サイクルで、合計25時間にわたって空/充填システムとして動作させ、
b)熱交換器ユニットを削除した
対照標準では、線維芽細胞の生き残りおよび成長が抑制される。
【0474】
しかし、第1回路内の栄養媒体の流れが、
a)minucellチャンバーへと連続的に送出され、その結果の栄養媒体が、それと同時に950mbarに設定された真空でminucellチャンバーから連続的に吸引され、大気圧が1044mbarの最大値まで変更され、
b)細胞を浸す栄養媒体の温度が35℃と37℃の間に到達するように、熱交換器を通過すると、
線維芽細胞が生き残り、対照標準の空/充填回路よりも25時間の期間中に多く増殖する。
【0475】
【表1】

【0476】
熱(37℃)を0.2ml/分の連続的流体流れと組み合わせ、10%大気圧以下の真空、950mbarおよび1044mbarの最大値まで変更した大気圧で廃棄物流体を除去すると、真空で充填し、空にして充填するパターンより、創傷治癒に必要な細胞反応を強化する。
【図面の簡単な説明】
【0477】
【図1】創傷手当用品の下流で、そこから離れる流体排出管内の吸引液に適用される流体を創傷を通じて移動する1つの器具を、流体供給管に接続された供給流れ調整手段、および流体排出管に接続された吸引流れ調整手段と組み合わせて有する本発明の第1の態様により、創傷を吸引、灌注、熱エネルギー供給および/または洗浄する装置の略図である。
【図2】創傷手当用品の下流で、そこから離れる流体排出管内の吸引液に適用される流体を創傷を通じて移動する1つの器具、および創傷手当用品の上流で、それに向かう流体供給管内の灌注剤に適用される流体を創傷を通じて移動する第2器具を有する本発明の第1の態様により創傷を吸引、灌注、熱エネルギー供給および/または洗浄する別の装置の略図である。
【図3】創傷を吸引および/または灌注する本発明の第2態様の順応性の創傷手当用品の断面側面図である。
【図4】創傷を吸引および/または灌注する本発明の第2態様の順応性の創傷手当用品の断面側面図である。
【図5】創傷を吸引および/または灌注する本発明の第2態様の順応性の創傷手当用品の断面側面図である。
【図6A】ポンプ迂回ループ、吸引液収集容器の下流のフィルター、および 創傷に加えられる正または負圧を調整するために流体排出管または創傷の空間に接続されたロータリー弁のようなブリード調整器を除き、基本的に図2と同一で、同じ番号が付けられた構成要素がある2ポンプ式システムの変形である。
【図6B】ポンプ迂回ループ、吸引液収集容器の下流のフィルター、および 創傷に加えられる正または負圧を調整するために流体排出管または創傷の空間に接続されたロータリー弁のようなブリード調整器を除き、基本的に図2と同一で、同じ番号が付けられた構成要素がある2ポンプ式システムの変形である。
【図6C】ポンプ迂回ループ、吸引液収集容器の下流のフィルター、および 創傷に加えられる正または負圧を調整するために流体排出管または創傷の空間に接続されたロータリー弁のようなブリード調整器を除き、基本的に図2と同一で、同じ番号が付けられた構成要素がある2ポンプ式システムの変形である。
【図6D】ポンプ迂回ループ、吸引液収集容器の下流のフィルター、および 創傷に加えられる正または負圧を調整するために流体排出管または創傷の空間に接続されたロータリー弁のようなブリード調整器を除き、基本的に図2と同一で、同じ番号が付けられた構成要素がある2ポンプ式システムの変形である。
【図7A】創傷に加えられる正または負圧の調整を変更する様々な手段を有する2ポンプ式システムの変形である。
【図7B】創傷に加えられる正または負圧の調整を変更する様々な手段を有する2ポンプ式システムの変形である。
【図7C】創傷に加えられる正または負圧の調整を変更する様々な手段を有する2ポンプ式システムの変形である。
【図8A】創傷を同時に吸引し、灌注する、創傷への負または正圧で吸引液収集容器への吸引液流れを扱う代替手段を有する2ポンプ式システムの変形である。
【図8B】創傷を同時に吸引し、灌注する、創傷への負または正圧で吸引液収集容器への吸引液流れを扱う代替手段を有する2ポンプ式システムの変形である。
【図9】基本的に図6Aの装置から、灌注流体を創傷手当用品に入れる第2器具が削除された1ポンプ式システムである。
【符号の説明】
【0478】
1 装置
2 手当用品
3 裏打ち層
4 シール
5 創傷
6 引き入れパイプ
7 流体供給管
8 ポイント
9 引き出しパイプ
10 流体排出管
11 ポイント
12 流体容器
13 流体吸引管
14 弁
16 弁
18 膜板ポンプ
18A 膜板ポンプ
18B 蠕動ポンプ
19 吸引液収集容器
21 装置
41 手当用品
42 裏打ち層
43 創傷に面する面
44 重なり
45 接着フィルム
70 円形シート
72 裏打ち層
74 発泡体
75 膜
76 引き入れパイプ
77 引き出しパイプ
78 電池
79 膜
81 ボス
88 充填材
89 溝
90 パッド
113 空気吸引管
115 逆流防止弁
116 圧力モニター
117 ロータリー弁
118 ブリード管
119 フィルター
120 モニター排出管
350 引き入れパイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷を吸引、灌注および/または洗浄する装置であって、
a)創傷上に比較的流体密なシールまたはクロージャーを形成することができる裏打ち層を有し、順応性を有する創傷手当用品と、
前記創傷に面する面を通る、かつ/またはその下を通る流体供給管に接続するための少なくとも1本の引き入れパイプと、
前記創傷に面する面を通る、かつ/またはその下を通る流体排出管に接続する少なくとも1本の引き出しパイプと、を備え、
前記引き入れパイプおよび前記引き出しパイプが前記創傷に面する面を通る、かつ/または面の下を通るポイントが、前記創傷上に比較的流体密なシールまたはクロージャーを形成する、流体流路と、
b)流体供給管によって引き入れパイプへと、任意の供給流れ調整手段を介して接続される流体容器と、
c)流体引き出し管に接続された任意の吸引液流れ調整手段と、
d)流体を前記創傷手当用品を通じて移動する少なくとも1つの器具と、
を備える装置において、
e)前記創傷内の前記流体に熱エネルギーを供給する手段と、
f)前記創傷を同時に吸引し、灌注する手段と
を備え、
流体が前記流体排出管を通して(任意に、または必要に応じて吸引液流れ調整手段を介して)器具によって吸引される間に、前記流体容器から前記流体供給管を介して(任意に供給流れ調整手段を介して)前記流路を充填するために、流体を供給することができることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記創傷内の前記流体に熱エネルギーを供給する手段を備え、該手段が前記灌注剤および/または創傷滲出物と直接的に伝導接触する前記装置流路の加熱器および/または伝導加熱された構成要素であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記創傷内の前記流体に熱エネルギーを供給する手段を備え、該手段が灌注剤流体および/または創傷滲出物の放射加熱器であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記創傷内の前記流体に熱エネルギーを供給する手段を備え、該手段が灌注剤および/または創傷滲出物と直接的に伝導接触する前記装置流路の伝導加熱された構成要素であり、放射加熱器からの照射によって加熱されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記創傷を同時に吸引し、灌注する前記手段が、往々にして、
前記創傷手当用品の下流で、前記創傷手当用品から離れる流体に適用される、流体を前記創傷を通じて移動する第1器具を備え、
該第1器具が、前記創傷手当用品の上流で、前記創傷手当用品に向かう前記流体供給管内の前記灌注剤に適用される、流体を前記創傷を通じて移動する第2器具と、
流体排出管に接続された吸引液流れ調整手段と、
流体供給管に接続された供給流れ調整手段と
の少なくとも1つと組み合わされることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記創傷手当用品の下流の前記流体排出管内の前記吸引液が、収集容器内に吸引され、前記第1器具が前記収集容器からの流体に作用することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1器具および/または第2器具は、処理能力一定の器具であり、前記創傷を同時に吸引し、灌注する前記手段は、
流体供給管に接続された供給流れ調整手段と、
流体排出管に接続された吸引液流れ調整手段と、
の少なくとも一方をさらに備えることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記第1器具および/または第2器具は処理能力の変動する器具であり、前記創傷を同時に吸引し、灌注する前記手段は、流体排出管に接続された他の吸引液流れ調整手段および/または流体供給管に接続された他の供給流れ調整手段を備えないことを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記創傷を同時に吸引し、灌注する前記手段が、
前記創傷手当用品の下流で、前記創傷手当用品から離れる流体に適用される、前記創傷を通じて流体を移動する第1器具と、
前記創傷手当用品の上流で、前記創傷手当用品に向かう前記流体供給管内の前記灌注剤に適用される、前記創傷を通じて流体を移動する第2器具と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第1器具および/または第2器具が、処理能力一定の器具であり、前記創傷を同時に吸引し、灌注する前記手段が、
流体供給管に接続された供給流れ調整手段と、
流体排出管に接続された吸引液流れ調整手段と
の少なくとも一方をさらに備えることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1器具および/または第2器具は、処理能力の変動する器具であり、前記創傷を同時に吸引し、灌注する前記手段は、流体排出管に接続された他の吸引液流れ調整手段および/または流体供給管に接続された他の供給流れ調整手段を備えないことを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
創傷上に、比較的流体密なシールまたはクロージャーを形成することができる創傷に面する面を有する裏打ち層を備え、
前記創傷に面する面を通る、および/またはその下を通る流体供給管に接続する少なくとも1本の引き入れパイプと、
前記創傷に面する面を通る、および/またはその下を通る流体排出管に接続する少なくとも1本の引き出しパイプと、を有し、
前記引き入れパイプおよび前記引き出しパイプが、前記創傷に面する面を通る、および/またはその下を通るポイントが、前記創傷上に比較的流体密なシールまたはクロージャーを形成し、さらに、
前記創傷内の前記流体に熱エネルギーを供給する手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置に使用する順応性を有する創傷手当用品。
【請求項13】
請求項1に記載の装置を使用して創傷治癒を促進する創傷治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−534403(P2007−534403A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510102(P2007−510102)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【国際出願番号】PCT/GB2005/001595
【国際公開番号】WO2005/105179
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(391018787)スミス アンド ネフュー ピーエルシー (79)
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】