説明

熱プレス成形装置および粘性体カートリッジ

【課題】基材が受ける接触面圧の分布を均一にすることができる熱プレス成形装置および粘性体カートリッジを提供すること。
【解決手段】基材mのプレスに伴い、枠体34が底板33側にスライド移動する。そして、この枠体34の移動に伴い、粘性体が転写手段35によって圧縮され、粘性体の内部に均等圧力が発生するので、粘性体によって転写手段35の各部を基材mに均等の力で押し付けることができる。従って、基材mに必要以上の温度や面圧を付加することなく、基材mが転写手段35から受ける接触面圧の分布を均一にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱プレス成形装置および粘性体カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ用の導光板等の基材に、数μm〜数十μmの高さの微細な形状パターン(凹凸パターン)を熱転写する熱プレス成形装置(以下、成形装置と記載)が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の成形装置は、上側金型部および下側金型部を有する金型装置を備えている。各金型部は、温調プレートと、各温調プレートの対向面側に設けられ、表面に微細な形状パターンを有する転写手段とを備えている。下側金型部の転写手段上には基材が設置されている。このような特許文献1の成形装置は、温調プレートによって転写手段を基材の軟化温度以上まで加熱した後に、転写手段を基材にプレスすることで、転写手段の形状パターンを基材に熱転写する。そして、温調プレートにより、転写手段を介して基材を軟化温度以下にまで冷却することで、形状パターンを基材に固定する。
【0003】
【特許文献1】特開2004−74769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような成形装置では、基材の平面度に0.1mm程度のばらつきがあるうえ、金型装置の寸法や転写手段の平面度にも0.01〜0.05mm程度のばらつきがある。また、温調プレートには、加熱冷却される際の熱歪みにより、反りが発生してしまう。
【0005】
そのため、このような成形装置では、プレス成形時に基材が転写手段から受ける接触面圧の分布にむらが生じ、接触面圧の低い部分に形状パターンが熱転写されないことがあるという問題がある。また、基材が1mm以下と非常に薄い場合には、接触面圧の分布にむらが生じると、基材の厚み方向の圧縮変形量および面方向の延び変形量に部分的に差が生じ、基材に反りやうねりが生じることがあるという問題もある。
【0006】
これらの問題に対し、例えば、熱転写に必要な加圧力以上の加圧力を基材に付加する、転写手段に対する加熱温度を上げて熱転写に必要な面圧を下げる、転写手段の基材へのプレス時間を長くし、基材の軟化層を大きくすることにより熱転写に必要な面圧を下げる等の対策が考えられる。
しかしながら、これらの対策は、設備コスト、ランニングコスト、生産時間の面で望ましくないばかりでなく、必要以上の温度や面圧を基材に付加するため、プレス時に基材側面の膨らみが大きくなり、当該膨らんだ側面の後加工が必要になる。また、基材が薄い場合、反りやうねりを増加させることになる。
【0007】
本発明の目的は、基材が受ける接触面圧の分布を均一にすることができる熱プレス成形装置および粘性体カートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る熱プレス成形装置は、ボルスタ、および前記ボルスタの上方に設けられ、前記ボルスタに対して近接離間するスライドを有するプレス装置と、前記ボルスタに設けられて基材が載置される下側金型部、および前記スライドに設けられた上側金型部を有する金型装置とを備え、前記下側金型部および前記上側金型部の少なくとも一方は、前記ボルスタまたは前記スライドに対して固定された底板と、枠状に形成され、開口部内に前記底板が設置されるとともに、上下方向にスライド移動可能に設けられた枠体と、前記枠体に対して固定されて前記開口部を閉塞するとともに、表面に所定の形状パターンを有し、前記基材に前記形状パターンを熱転写する転写手段と、前記底板、前記枠体、および前記転写手段に囲まれた収容空間内に設けられた粘性体とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に係る熱プレス成形装置は、請求項1に記載の熱プレス成形装置において、前記収容空間内に収容された粘性体カートリッジを備え、前記粘性体カートリッジは、2枚の薄板と、前記薄板間に設けられた弾性枠材と、前記薄板および前記弾性枠材に囲まれた空間内に設けられた前記粘性体とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3に係る熱プレス成形装置は、請求項1または請求項2に記載の熱プレス成形装置において、前記収容空間内に設けられた前記粘性体の外縁は、前記基材の外縁より小さいことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4に係る熱プレス成形装置は、請求項1または請求項2に記載の熱プレス成形装置において、前記収容空間内に設けられた前記粘性体の外縁は、前記基材の外縁より大きく、前記基材の外側には、前記基材の厚みと等しい厚みを有するスペーサが配置され、前記スペーサの内縁は、前記基材の外縁と僅かな隙間を介して配置され、前記スペーサの外縁は、前記粘性体の外縁の外側に配置されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項5に係る熱プレス成形装置は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の熱プレス成形装置において、前記転写手段は、前記枠体に対して固定されて前記開口部を閉塞するとともに、表面に前記形状パターンを有するスタンパから構成されていることを特徴とする熱プレス成形装置。
【0013】
本発明の請求項6に係る熱プレス成形装置は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の熱プレス成形装置において、前記転写手段は、前記枠体に対して固定されて前記開口部を閉塞する天板と、前記天板上に設けられ、表面に前記形状パターンを有するスタンパとから構成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項7に係る熱プレス成形装置は、 ボルスタ、および前記ボルスタの上方に設けられ、前記ボルスタに対して近接離間するスライドを有するプレス装置と、前記ボルスタに設けられて基材が載置される下側金型部、および前記スライドに設けられた上側金型部を有する金型装置とを備え、前記下側金型部および前記上側金型部の少なくとも一方は、前記ボルスタまたは前記スライドに対して固定された底板と、枠状に形成され、開口部内に前記底板が設置されるとともに、上下方向にスライド移動可能に設けられた枠体と、前記枠体に対して固定されて前記開口部を閉塞するとともに、表面に所定の形状パターンを有し、前記基材に前記形状パターンを熱転写するスタンパと、前記底板、前記枠体、および前記スタンパに囲まれた収容空間内に設けられた弾性体とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項8に係る粘性体カートリッジは、基材に所定の形状パターンを熱転写する熱プレス成形装置の転写手段の背面側に設けられ、2枚の薄板と、前記薄板間に設けられた弾性枠材と、前記薄板および前記弾性枠材に囲まれた空間内に設けられた粘性体とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項9に係る粘性体カートリッジは、請求項8に記載の粘性体カートリッジにおいて、前記弾性枠材は、前記粘性体を密封し、前記粘性体より厚みのある第1弾性枠材と、前記第1弾性枠材の外側に設けられ、前記第1弾性枠材より大きい硬度を有し、かつ前記粘性体と同じ厚さの第2弾性枠材とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項10に係る粘性体カートリッジは、請求項8または請求項9に記載の粘性体カートリッジにおいて、前記粘性体は、ゲル状またはグリース状のシリコーンから形成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項11に係る粘性体カートリッジは、請求項8または請求項9に記載の粘性体カートリッジにおいて、前記粘性体は、融点が前記基材の軟化温度より低温の低融点金属から形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、基材のプレスに伴い、枠体が底板側にスライド移動する。そして、この枠体の移動に伴い、粘性体が転写手段によって圧縮され、粘性体の内部に均等圧力が発生するので、粘性体によって転写手段の各部を基材に均等の力で押し付けることができる。従って、基材に必要以上の温度や面圧を付加することなく、基材が転写手段から受ける接触面圧の分布を均一にすることができる。
【0020】
ここで、枠体内に形成される収容空間内に直接粘性体を設けた場合、粘性体を交換する際に、枠体の内壁や転写手段の裏面等に付着する粘性体を拭き取る作業が必要であるため、交換に手間がかかるという問題がある。
しかしながら、請求項2の発明によれば、粘性体が粘性体カートリッジ内に収容されているので、粘性体カートリッジを交換することで粘性体を交換することができ、粘性体の交換を容易にすることができる。
【0021】
ここで、粘性体の外縁が平面視で基材の外縁より大きい場合、転写手段において、粘性体の基材の外縁から飛び出た部分に対応する部分をスペーサによって押さえなければ、当該部分が粘性体によって押し上げられてしまい塑性変形してしまうおそれがある。そのため、スペーサが必要となるので、部品点数が増加してしまうという問題がある。
しかしながら、請求項3の発明によれば、粘性体の外縁が基材の外縁より小さいので、粘性体が基材の外縁から飛び出ることがない。そのため、スペーサを不要にすることができ、部品点数を低減することができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、粘性体の外縁が平面視で基材の外縁より大きいので、粘性体は、転写手段の各部を基材の全面に均等の力で押し付けることができる。そのため、基材の全面に転写手段の形状パターンを良好に転写することができる。
また、粘性体の外縁が基材の外縁より大きいが、転写手段の基材の外縁から飛び出た部分をスペーサによって押さえることができるので、当該部分が転写手段によって押し上げられて塑性変形してしまうことを防止することができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、転写手段がスタンパから構成されているので、転写手段がスタンパと天板とから構成される場合に比べ、部品点数を低減することができる。
【0024】
請求項6の発明によれば、スタンパと粘性体との間に天板が配置されているので、スタンパの基材やスペーサに押さえられていない部分にかかる粘性体からの圧力を天板によって抑えることができる。そのため、当該部分が塑性変形してしまうことを確実に防止することができる。
【0025】
請求項7の発明によれば、基材のプレスに伴い、枠体が底板側にスライド移動する。そして、この枠体の移動に伴い、弾性体が転写手段によって圧縮され、弾性体の内部に均等圧力が発生するので、弾性体によってスタンパの各部を基材に均等の力で押し付けることができる。従って、基材に必要以上の温度や面圧を付加することなく、基材がスタンパから受ける接触面圧の分布を均一にすることができる。
また、弾性体は、例えばゴム部材や樹脂部材から形成され、固体であるので、交換を容易にすることができる。
加えて、スタンパの背面側に天板が設けられていないので、部品点数を低減することができる。
【0026】
請求項8の発明によれば、粘性体カートリッジは、転写手段の背面側に設けられ、内部に粘性体を収容する。従って、熱プレス成形装置が基材をプレスする際には、この粘性体が圧縮され、粘性体の内部に均等圧力が発生することとなる。そのため、粘性体カートリッジは、この粘性体によって、転写手段の各部を基材に均等の力で押し付けることができ、基材に必要以上の温度や面圧を付加することなく、基材が転写手段から受ける接触面圧の分布を均一にすることができる。
また、粘性体カートリッジは、内部に粘性体を収容するので、当該粘性体カートリッジを交換するだけで、容易に粘性体を交換することができる。
【0027】
請求項9の発明によれば、粘性体を密封する第1弾性枠材の外側に、第1弾性枠材より薄く、粘性体と同じ厚さの第2弾性枠材が設けられているので、粘性体カートリッジが圧縮された際に、第1弾性枠材が潰れて第2弾性枠材が2枚の薄板と密着することにより、粘性体を十分に密封することができる。
また、第2弾性枠材は、第1弾性枠材より大きな硬度を有し、粘性体と同じ厚さを有しているため、第2弾性枠材はほとんど潰れないことがない。従って、粘性体カートリッジが圧縮された際に、第2弾性枠材によって、第1弾性枠材が外側へ拡がることを規制することができる。よって、第1弾性枠材が潰れて薄板の外側に拡がってしまい、当該薄板の外側に拡がった部分が、当該粘性体カートリッジの背面に設けられる底板と、枠体の開口部内壁との間に挟みこまれ、破損してしまうことを防止することができる。
【0028】
請求項10の発明によれば、粘性体が、ゲル状またはグリース状のシリコーンから形成されているので、粘性体カートリッジが圧縮された際に、粘性体の内部に確実に均等圧力を発生させることができる。
【0029】
請求項11の発明によれば、粘性体は、融点が基材の軟化温度より低温の低融点金属から形成されているので、転写する際に底板などによって暖められた際に柔らかくなる。そのため、転写する際において粘性体カートリッジが圧縮された際には、粘性体の内部に確実に均等圧力を発生させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
〔第1実施形態〕
〔1.熱プレス成形装置の全体構成〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る熱プレス成形装置1を示す断面図である。なお、図1は、後述する図6のI−I線断面図となっている。
熱プレス成形装置1は、図1に示すように、プレス装置2と、金型装置3とを備えている。
【0031】
〔2.プレス装置の構成〕
プレス装置2は、床に対して固定されたボルスタ21と、このボルスタ21の上方に配置されたスライド22と、サーボモータを有し、スライド22をボルスタ21に対して近接離間させる駆動手段23と、CPU(Central Processing Unit)を有し、プレス装置2全体を制御する制御手段24とを備えている。
【0032】
〔3−1.金型装置の全体構成〕
金型装置3は、ボルスタ21に設けられ、基材mが載置される下側金型部3Aと、スライド22に設けられた上側金型部3Bとを備えている。基材mとしては、液晶ディスプレイに用いられる導光板の基材であるアクリル板を使用する。各金型部3A,3Bの基本構成は略等しいので、以下、下側金型部3Aを例に各金型部3A,3Bの構成について説明する。
【0033】
〔3−2.金型部の全体構成〕
図2は、下側金型部3Aの一部を拡大して示す断面図である。
各金型部3A,3B(下側金型部3A)は、図2に示すように、ベースプレート31と、冷却プレート32と、温調プレート33と、枠体34と、スタンパ35と、スペーサ36と、粘性体カートリッジ4とを備えている。
【0034】
〔3−3.ベースプレートの構成〕
ベースプレート31は、矩形板状に形成され、ボルスタ21およびスライド22上に固定されている。このベースプレート31内には、真空吸着用穴311(図4参照)と、熱電対挿入穴312(図4参照)とが形成されている。このうち、熱電対挿入穴312は、後述する冷却プレート32および温調プレート33内にまで延設され、温調プレート33の上面で開口している。この熱電対挿入穴312内には、制御手段24に接続される図示しない熱電対が挿入される。熱伝対は、先端がスタンパ35と粘性体カートリッジ4との間に設置され、スタンパ35の温度を測定して制御手段24に出力する。
【0035】
〔3−4.冷却プレートの構成〕
冷却プレート32は、矩形板状に形成され、ベースプレート31と温調プレート33との間に固定されている。この冷却プレート32内には、複数の水孔321が形成されている。これらの水孔321に冷却水が流通することにより、冷却プレート32は、温度が一定に保たれ、後述する温調プレート33の熱がボルスタ21およびスライド22に伝達されることを防止する。なお、水孔321は、図示しない外部機器に接続されており、この外部機器との間で冷却水が循環するようになっている。後述する温調プレートの水孔331および枠体34の水孔342も同様の構成となっている。
【0036】
〔3−5.温調プレートの構成〕
温調プレート33は、矩形板状に形成され、冷却プレート32上に設けられている。このような温調プレート33には段差部330が設けられ、温調プレート33は、先端部の方が基端部より僅かに小さい断面視凸状に形成されている。
【0037】
図3は、水孔331に係る構成を説明するための下側金型部3Aの拡大断面図である。具体的には、図3は、後述する図6のIII−III線断面図の一部である。
温調プレート33内には、図2および図3に示すように、複数の水孔331が形成されている。水孔331の両端の開口部分は止め栓333で封止されている。温調プレート33の両端付付近には、それぞれベースプレート31側の面から矩形(図3)に掘り込んだマニホールド部334が形成されている。このマニホールド部334により、前記複数の水孔331は連結されている。
【0038】
温調プレート33のベースプレート31側の面には、マニホールド部334の開口を塞ぐような形で、直方体のマニホールドブロック382が固着されている。なお、マニホールドブロック382と温調プレート33との間には、水漏れ防止用のOリングA4が介装される。
マニホールドブロック382は、冷却プレート32と同じ厚さを有し、冷却プレート32と共にベースプレート31と温調プレート33との間に介在している。このようなマニホールドブロック382には、矩形(図3)に掘り込まれてマニホールド部334と連結するマニホールド連結部383と、このマニホールド連結部383に連結し、当該マニホールドブロック382を上下方向に貫通する貫通孔384が形成されている。
【0039】
この貫通孔384の位置に合わせて、ベースプレート31のマニホールドブロック382側の面には、矩形に掘り込んだ掘込部313が形成されている。また、ベースプレート31には、この掘込部313から当該ベースプレート31の側面までを水平方向に貫通する貫通孔314(図3)が形成されている。
掘込部313には、断熱シート315を介して配管ブロック316が埋め込まれる形で配設されている。配管ブロック316には、互いに直交し、かつ連通する2つの孔317,318が掘り込まれている。
【0040】
マニホールドブロック382の貫通孔384と、配管ブロック316の孔317とには、パイプ385の両端がそれぞれが嵌め込まれている。パイプ385と、マニホールドブロック382および配管ブロック316との間には、それぞれ水漏れ防止用のOリングA5,A6が介装されている。
また、ベースプレート31の貫通孔314内には、該ベースプレート31の端面から配管319が挿入される。この配管319の一端側は、配管ブロック316の孔318に嵌め込まれる。なお、配管319と配管ブロック316との間には、水漏れ防止用のOリングA7が介挿される。
【0041】
配管319の他端側は、制御手段24下にある図示しない温調装置につながっており、この温調装置と温調プレート33の水孔331との間で水蒸気および冷却水が循環するように構成されている。これにより、温調プレート33は、この温調装置に水蒸気および冷却水が供給されることにより、所望の温度に加熱冷却され、粘性体カートリッジ4を介してスタンパ35を加熱冷却する。なお、水孔331に流通させる熱媒としては、水蒸気の代わりに例えば高温油を用いてもよい。
【0042】
また、温調プレート33は、冷却プレート32に対して複数のストリッパーボルト332(図1)により、上下方向に僅かに移動可能に設けられている。これにより、本実施形態では、温調プレート33の熱膨張および熱収縮による上下方向の寸法変化によって、当該温調プレート33を冷却プレート32に対して固定するためのボルトが変形したり緩んでしまうことを抑制することができる。本実施形態では、この温調プレート33が、後述する粘性体43の背面側に設けられる底板となる。
【0043】
〔3−6−1.枠体の開口部の構成〕
枠体34は、矩形枠状に形成され、開口部340内に、前記各プレート32,33および粘性体カートリッジ4が設けられる。この開口部340の内縁は、枠体34上にスタンパ35を介して設けられる基材mの外縁よりも大きくなっている。これにより、本実施形態では、詳しくは後述するが、開口部340内に設けられる粘性体カートリッジ4(粘性体43)の平面視内側に基材mが設けられることとなり、基材m全面に均一な成形圧力をかけることができる。
【0044】
〔3−6−2.枠体と各プレートとの隙間の構成〕
また、開口部340には、温調プレート33の段差部330に対応した形状の段差部341が設けられており、開口部340は、表面側に配置された表面側開口部340Aと、表面側開口部340Aよりも開口面積が大きい奥側の奥側開口部340Bとを備えている。このような開口部340の内縁と温調プレート33の外縁との間には隙間S1が設けられている。
【0045】
具体的に、この隙間S1は、表面側開口部340Aの内縁と温調プレート33の外縁との間に設けられた隙間S11と、奥側開口部340Bの内縁と温調プレート33の外縁との間に設けられた隙間S12とからなるが、これらの隙間S11,S12はそれぞれ異なる寸法に設定されている。
【0046】
表面側開口部340Aの内縁と温調プレート33の外縁との隙間S11は、例えば0.5mmに設定され、温調プレート33の熱膨張および熱収縮に伴う寸法変化によって、温調プレート33の外縁が表面側開口部340Aの内縁に押し付けられないような寸法、かつ粘性体カートリッジ4を封止するのに十分小さな寸法に設定される。
また、奥側開口部340Bの内縁と温調プレート33の外縁との隙間S12は、前記隙間S11に比べて大きな寸例、例えば1〜2mmに設定される。すなわち、該隙間S12は、該隙間S12に係る金型の加工公差が厳しくなく、金型の加工が容易となる寸法に設定される。
【0047】
これらの隙間S1は、図示しない真空ポンプが真空吸着用穴311(図4参照)からこの隙間S1の空気を吸引してスタンパ35を枠体34に対して固定することにも利用される。
枠体34内には、複数の水孔342が形成されている。これらの水孔342に冷却水が流通することにより、枠体34の温度は40度程度に保たれる。
【0048】
〔3−6−3.枠体とベースプレートとの連結構成〕
また、枠体34は、ストリッパーボルト343(図1)およびスプリング344によってベースプレート31に連結されており、上下にスライド移動可能に設けられるとともに、スプリング344によって上方に付勢されている。
このような上下の枠体34は、それぞれ、スライド22が下降して基材mが各金型部3A,3Bによってプレスされる際には、スプリング344の付勢力に抗してベースプレート31側にスライド移動する。そして、枠体34は、この状態からスライド22が上昇すると、この上昇に伴って、スプリング344の付勢力によってベースプレート31から離隔する側にスライド移動する。
枠体34とベースプレート31との間、および枠体34とスタンパ35との間には、枠状のパッキンA1,A2が介装され、隙間S1が密封される。
【0049】
〔3−6−4.密閉空間を形成するための構成〕
図4は、熱プレス成形装置1の図1および図3とは異なる断面を示す断面図である。具体的には、図4は、後述する図6のIV−IV線断面図である。
上側金型部3Bの枠体34には、図4に示すように、真空フレーム345がストリッパーボルト3450およびスプリング3451によって当該上側金型部3Bの枠体34に上下にスライド移動可能に連結されている。真空フレーム345の下面には、パッキンA3が設けられている。上側金型部3Bの枠体34には、平面視で温調プレート33を挟んで対向するように、一対の位置決めピン346(図4では1つのみ図示)が設けられている。
【0050】
一方、下側金型部3Aの枠体34には、真空吸引穴347と大気開放穴348(図6参照)とが形成されている。真空吸引穴347は、図示しないバルブを介して真空ポンプに接続されている。大気開放穴348は、図示しないバルブを介して熱プレス成形装置1外へ連通している。各バルブは、制御手段24の制御下にある。これにより、制御手段24は、スライド22を下降させ、真空フレーム345の内側に密閉空間を形成した際に、大気開放穴348側のバルブを閉じ、真空吸引穴347側のバルブを開けることにより、密閉空間内の空気を真空吸引穴347を介して真空ポンプにより吸い出して、密閉空間を真空にすることができる。また、制御手段24は、真空吸引穴347側のバルブを閉じ、大気開放穴348側のバルブを開けることにより、大気開放穴348を開放して密閉空間の真空状態を解除することができる。
【0051】
また、下側金型部3Aの枠体34には、各位置決めピン346に対応する位置にそれぞれ位置決め穴349が形成されている。本実施形態では、これら各位置決め穴349に各位置決めピン346が挿入されることにより、金型部3A,3Bの相対位置を位置決めすることができ、ひいては各金型部3A,3Bに取り付けられるスタンパ35の相対位置を精度よく位置決めすることができる。
【0052】
下側金型部3Aの枠体34には、さらに圧力センサー取付穴370が形成されている。圧力センサー取付穴370には、制御手段24に接続される図示しない圧力センサーが取り付けられる。圧力センサーは、真空フレーム345の内側に密閉空間が形成された際に、密閉空間内の圧力を測定し、制御手段24に出力する。
【0053】
〔3−6−5.スタンパを押さえるための構成〕
図5は、固定スライダ372を示す断面図、図6は、下側金型部3Aの平面図である。
このような各金型部3A,3Bの枠体34には、図5および図6に示すように、複数の収納溝371と、各収納溝371内に収納された固定スライダ372と、複数の逃げ溝373(図6)とが設けられている。
固定スライダ372は、対向する2つの固定スライダ372A,372Bから構成されている。
【0054】
このような固定スライダ372(372A,372B)は、固定ブロック374と、スライダ本体375とを備えている。
固定ブロック374は、スライダ本体375にボルト376で固定されている。この固定ブロック374は、スペーサ36を介してスタンパ35の端縁部を押さえ、スタンパ35を枠体34の所定の位置に位置決め固定する。このように、本実施形態では、温度が一定に保たれた枠体34に設けられた固定ブロック374によりスタンパ35を位置決め固定するので、各金型部3A,3Bに取り付けられるスタンパ35の相対位置をより精度よく位置決めすることができる。
【0055】
スライダ本体375には、スタンパ35の対応する辺に対して直交する方向に延びるトラック孔377が形成されている。スライダ本体375は、このトラック孔377を挿通し、枠体34に螺合するストリッパボルト378により、スタンパ35の対応する辺に向かってスライド移動可能に設けられている。
【0056】
このようなスライダ本体375と枠体34との間にはスプリング379が介装されており、このスプリング379により、固定スライダ372は、スタンパ35の対応する辺に向かって付勢されている。固定スライダ372Aのスプリング379の方が、固定スライダ372Bのスプリング379よりも弾性の強いものが用いられている。これにより、スタンパ35を固定ブロック374によって固定した際に、弾性力の弱いスプリング379を有する固定スライダ372B側が外側に付勢されることとなるので、弾性力の強いスプリング379を有する固定スライダ372Aの固定ブロック374を、スタンパ35の取り付け位置基準とすることができる。
また、冷却水によって温度が一定に保たれている枠体34に、固定スライダ372がスタンパ35の対応する辺に向かってスライド移動可能に設けられているので、熱転写時に水平方向に熱膨張および熱収縮するスタンパ35の寸法変化を固定スライダ372によって吸収することができる。
【0057】
また、スライダ本体375の先端には、キー溝380が設けられており、このキー溝380に所望の厚さのキー381を挿入することで、スタンパ35の対応する辺に向かったスライダ本体375の位置、ひていは固定ブロック374の位置を微調整することができるようになっている。
逃げ溝373は、ボルスタ21およびスライド22が近接した際に、対向する金型部3A,3Bに設けられた固定スライダ372の固定ブロック374を収納する。
【0058】
〔3−7.スタンパの構成〕
スタンパ35は、矩形板状に形成され、図5に示すように、枠体34の開口部340の周縁部に外縁部が固定される。具体的には、前述したように、スタンパ35は、隙間S1を利用した真空吸着と、固定スライダ372による押さえとにより、枠体34に対して固定される。このスタンパ35により、開口部340が閉塞され、スタンパ35、温調プレート33、および枠体34により囲まれた収容空間V1が形成される。この収容空間V1には、後述する粘性体カートリッジ4が収容される。
【0059】
スタンパ35の表面には、微細な凹凸パターンからなる所定の形状パターンが形成されている。そして、スタンパ35は、温調プレート33により基材の軟化温度以上に加熱された後に、基材mに押し付けられることにより、基材mに所定の形状パターンを熱転写する。このようなスタンパ35は、基材mをプレスする際に、後述するスペーサ36との隙間S2部分が粘性体カートリッジ4によって押し上げられた際に塑性変形しない程度の十分な強度(厚み)を有している。枠体34に対して固定されて開口部340を閉塞するとともに、基材mに形状パターンを熱転写する転写手段は、本実施形態では、このスタンパ35から構成されている。
【0060】
〔3−8.スペーサの構成〕
スペーサ36は、外縁がスタンパ35の外縁と等しい矩形枠状に形成されている。このスペーサ36は、スタンパ35上に載置され、固定スライダ372によって押さえられることにより、枠体34に対して固定される。このようなスペーサ36の内側には、わずかな隙間S2を介して基材mが設置される。すなわち、スペーサ36の内縁は、基材mの外縁と僅かな隙間S2を介して配置され、外縁は、枠体34の開口部340の外側に配置されることとなる。
【0061】
このようなスペーサ36の板厚は、基材mの板厚と略同様の厚さとなっている。また、基材mは、アクリル板であり、熱可塑性の板であるので、通常10パーセント程度の板圧ばらつきがあるが、スペーサ36の板厚は、この基材mの板厚ばらつきの最大厚さ+0.1mm以内であることが好ましい。スペーサ36の材質としては、ステンレス鋼(SUS)や、スタンパ35と同じ材質を採用することができる。
【0062】
ここで、スライド22が下降して各金型部3A,3Bにより基材mが加圧されると、枠体34がベースプレート31側にスライド移動し、後述する粘性体カートリッジ4が、基材mおよびスペーサ36を介してスタンパ35により圧縮されることとなる。この際、その反力により、粘性体カートリッジ4内の粘性体43に内圧が発生し、この内圧により、基材m外側部分のスタンパ35が押し上げらることとなる。しかしながら、本実施形態では、基材m外側部分のスタンパ35をスペーサ36により押さえることができるので、スタンパ35が粘性体43によって押し上げられて塑性変形することを抑制することができ、スタンパ35の耐久性を向上させることができる。
【0063】
また、基材mおよびスペーサ36の隙間S2部分のスタンパ35は、粘性体カートリッジ4の粘性体43内に発生する内圧により外側に押し上げられて弾性変形するが、本実施形態のスタンパ35は、前述したように、塑性変形しない程度の十分な強度を有している。そのため、スタンパ35の強度が低い場合には、スタンパ35の背面に天板を設け、スタンパ35の隙間S2部分が粘性体43から受ける圧力を低減させる必要があるが、本実施形態では、スタンパ35が十分な強度を有しているので、スタンパ35の下面に天板を設けることを不要にでき、部品点数を低減することができる。
【0064】
ここで、隙間S2を小さく設定した場合、この基材mの弾性変形を抑えることができる。しかしながら、隙間S2を小さく設定した場合、基材mとスペーサ36との板厚差により、基材mの外縁近傍と基材mの中央部とで、スタンパ35により加えられる面圧のばらつきが大きくなってしまう。一方、隙間S2を大きく設定した場合、隙間S2部分のスタンパ35が押し上げられて弾性変形することにより、基材mとスペーサ36との板厚差を吸収することができ、基材mの外縁近傍と、基材m中央部の面圧のばらつきを抑えることができる。しかしながら、スタンパ35の弾性変形量が増大してしまうので、隙間S2部分のスタンパ35の耐久性が低下してしまう。
【0065】
従って、このような利点および欠点を考慮したうえで、隙間S2の寸法を調整する。そして、このような隙間S2の寸法調整に加え、スペーサ36および基材mの板厚を調整することで、基材mに加わる面圧のばらつきを制御する。本実施形態では、このような制御に加え、後述する粘性カートリッジ4により、基材mに加わる面圧のばらつきを低減させる。
【0066】
〔3−9.基材の構成〕
基材mは、前述したように、液晶ディスプレイに用いられる導光板の基材であるアクリル板(PMMA(Polymethylmethacrylate)板)であり、矩形板状に形成され、スペーサ36の内側に配置されている。
【0067】
〔3−10.粘性体カートリッジの構成〕
粘性体カートリッジ4は、図5に示すように、スタンパ35、温調プレート33、および枠体34により囲まれた収容空間V1内に収納されている。
【0068】
図7は、粘性体カートリッジ4を示す断面図、図8は、粘性体カートリッジ4を示す平面図である。
粘性体カートリッジ4は、図7および図8に示すように、平面視矩形状に形成されている。この粘性体カートリッジ4は、一対の薄板(シム)41と、弾性枠材42と、粘性体43とを備えている。
【0069】
薄板41は、板厚の0.3mmのSUS(ステンレス鋼)から形成されている。このように、本実施形態では、薄板41が金属製となっているので、温調プレート33からの熱をスタンパ35に良好に伝達させることができる。なお、薄板41は、SUSの他、黄銅や、SPCC(冷間圧延鋼板)等の金属から形成されることが好ましい。また、薄板41の板厚は、0.1〜0.5mmの間にあることが好ましい。
【0070】
弾性枠材42は、第1弾性枠材421と、第2弾性枠材422とを備えている。
第1弾性枠材421は、薄板41間に設けられており、薄板41と収容空間V2を形成する。この収容空間V2内に後述する粘性体43が収容(充填)される。このような第1弾性枠材421は、幅4mm、厚さ3mmに形成されており、30%程度潰れた際に粘性体43の厚さと等しくなるように設計されている。第1弾性枠材421は、高温下で繰り返し負荷を受けても永久変形が生じにくい硬度ショアA80のPMF(フッ素ゴム)材から形成されている。
なお、上側の薄板41と粘性体43との間の空気は、スタンパ35吸着のために真空吸着穴311から空気を吸引した時に隙間S1中の空気と一緒に吸引される。
【0071】
第2弾性枠材422は、薄板41間において、第1弾性枠材421の外側に設けられている。この第2弾性枠材422は、幅3mm、厚さ2mmと、第1弾性枠材421よりは薄く、粘性体43と同じ厚さに形成されている。また、第2弾性枠材422は、高温下で繰り返し負荷を受けると永久変化が生じることがあるが硬度が高いPTFE(四フッ化エチレン)から形成されている。
【0072】
粘性体43は、熱伝導率が2W/mk以上の高熱伝導のゲル状のシリコーン(シリコーンゴム)から形成されている。粘性体とは、ねばる性質を有し、外力によって内部の一部部分に流れが生じた際に、その速度を一様にしようとする力(摩擦力)が生ずる性質を有する物体のことを意味する。この粘性体43は、厚さ2mmに形成されている。なお、粘性体43は、グリース状のシリコーンから形成されていてもよい。
【0073】
このような粘性体43は、前述したように、粘性体カートリッジ4内に収容されている。従って、枠体34内に形成される収容空間V1に直接粘性体43を設けた場合には、粘性体43を交換する際に、温調プレート33や枠体34、およびスタンパ35に付着する粘性体43を拭き取る作業が必要であるが、本実施形態では、粘性体43が粘性体カートリッジ4内に収容されているので、粘性体カートリッジ4を交換することで粘性体43を交換することができる。そのため、前記のような作業を不要にすることができ、粘性体43の交換を容易にできる。
また、粘性体43は、熱伝導率が2W/mk以上の高熱伝導のシリコーンゴムから形成されているので、温調プレート33の熱を良好にスタンパ35に伝達することができる。
【0074】
図9は、圧縮された粘性体カートリッジ4を示す断面図である。
このような粘性体カートリッジ4は、基材mをプレスする際に加圧されると、図9に示すように、薄板41が互いに近接するとともに厚みのある第1弾性枠材421が潰れ、これら薄板41および第1弾性枠材421により粘性体43が密閉され、圧縮される。これにより、本実施形態では、粘性体43の内部に均等に圧力が発生するので、粘性体カートリッジ4が、当該粘性体カートリッジ4上に設けられるスタンパ35の各部を基材mに均等の力で押し付けることができ、基材mがスタンパ35から受ける接触面圧の分布を均一にすることができる。
【0075】
このように、本実施形態では、基材mへのプレス時間を長くするなど、通常のプレス工程を変化させることなく、粘性体カートリッジ4をスタンパ35背面に設けることで、基材mがスタンパ35から受ける接触面圧の分布を均一にするので、設備コスト、ランニングコスト、生産時間などを良好に維持することができる。また、基材mに反りやうねりなどを生じさせることなく、基材mを良好にプレスすることができる。
【0076】
また、本実施形態では、開口部340の内縁が基材mの外縁よりも大きくなっており、開口部340内に設けられる粘性体カートリッジ4の粘性体43の外縁が、基材の外縁より大きくなっているので、粘性体43の平面視内側に基材mが設けられることとなる。従って、粘性体43によって、スタンパ35を基材mの全面に均等の力で押し付けることができ、基材mの全面にスタンパ35の形状パターンを良好に転写することができる。
【0077】
ここで、第2弾性枠材422は、粘性体43と同じ厚さに形成されているので、粘性体カートリッジ4が加圧された際に潰れることがない。従って、第1弾性枠材421が粘性体カートリッジ4の縁部に沿って設けられている場合には、粘性体カートリッジ4が加圧された際に、第1弾性枠材421が30%ほど潰れて水平方向に拡がって薄板41の外縁から飛び出てしまい、この飛び出た部分が温調プレート33と枠体34との隙間S11に噛み込まれて破損してしまうおそれがある。しかしながら、本実施形態では、潰れることがない第2弾性枠材422が粘性体カートリッジ4の縁部に沿って設けられているので、粘性体カートリッジ4が加圧された際に、第2弾性枠材422によって第1弾性枠材421が外側へ拡がることを規制することができる。このため、第1弾性枠材421が前記隙間S11に挟みこまれ、破損してしまうことを防止することができ、粘性体カートリッジ4の耐久性を良好にできる。
【0078】
〔4.熱プレス成形装置の成形モーション〕
以下、熱プレス成形装置1の成形モーションについて説明する。
図10は、熱プレス成形装置1の成形モーションを説明するための図である。具体的に、図10(A)は、(成形モーションの1サイクルにおける)スライド22の上下位置の変化を示す図、図10(B)は、プレス加圧力の変化を示す図、図10(C)はスタンパ35の温度変化を示す図、図10(D)は真空フレーム345内の密閉空間の圧力変化を示す図である。
【0079】
時刻t1において、基材mは、下側金型部3Aのスタンパ35上にセットされており、スライド22は上限位置B1にいる。
【0080】
時刻t1から時刻t2において、制御手段24は、スライド22を、真空フレーム345の下面が下側金型部3Aの枠体34に当接する位置B2まで下降させ、真空フレーム245の内側に、基材m等を内包する密閉空間を形成する。
【0081】
時刻t2から、制御手段24は、この密閉空間内の真空引きを開始するとともに、温調プレート33へ高温の蒸気を供給し始める。
【0082】
時刻t3になり、密閉空間内の圧力が熱転写に適した真空度P2に達すると、制御手段24は、スライド22の制御を位置制御から加圧力制御に切り替える。そして、制御手段24は、基材mへの加圧力がL1となる位置B3までスライド22を下降させ、時刻t4まで、上下のスタンパ35を予備加圧力L1で基材mの両面に押し付ける。なお、真空度P2は、−90KPa以下に設定され、予備加圧力L1は、基材mにかかる面圧が1MPaとなるように設定されている。
【0083】
このように、密閉空間内の圧力が真空度P2に達する時刻t3までは、スタンパ35を基材mに押し付けないことにより、基材mとスタンパ35との間に空気が残留することを防止することができる。そして、これにより、残留空気によって形状パターンの一部が未転写となる等の転写不具合の発生を防ぐことができる。
また、時刻t3から時刻t4まで、予備加圧力L1でスタンパ35を基材mの両面に押し付けることにより、温調プレート33、粘性体カートリッジ4、およびスタンパ35を密着させ、温調プレート33からスタンパ35へ熱を効果的に伝達させてスタンパ35を良好に加熱することができる。
【0084】
時刻t4になり、スタンパ35の温度が転写可能温度H2に達すると、制御手段24は、基材mへの加圧力が転写可能加圧力L2となる位置B4までスライド22を下降させる。そして、基材mへの加圧力が転写可能加圧力L2に達する時刻t5から時刻t6まで、制御手段24は、温調プレート33によって基材mを加熱しながら、転写可能加圧力L2でスタンパ35を基材mに加圧し続ける。
【0085】
この基材mをプレスする際に、本実施形態では、上下の枠体34が、それぞれスプリング344の付勢力に抗してベースプレート31側にスライド移動する。そして、この枠体34の移動に伴い、粘性体カートリッジ4が基材mおよびスペーサ36を介してスタンパ35によって圧縮され、粘性体カートリッジ4内の粘性体43に均等圧力が発生するので、粘性体カートリッジ4上に設けられるスタンパ35の各部を基材mに均等の力で押し付けることができ、基材mがスタンパ35から受ける接触面圧の分布を均一にすることができる。従って、スタンパ35の形状パターンを良好に基材mに転写することができる。
【0086】
なお、転写可能温度H2は、基材mがアクリル板である本実施形態では、120〜150℃に設定され、転写可能加圧力L2は、基材mにかかる面圧が4〜6MPaとなるように設定される。また、基材mを加熱しながら加圧し続ける時刻t5から時刻t6までの時間Tは、基材mの材質やスタンパ35の形状パターンに応じて、転写不具合が発生しないような最適な値に設定される。
【0087】
時刻t6になると、制御手段24は、温調プレート33への蒸気の供給を停止し、温調プレート33へ冷却水を供給して、粘性体カートリッジ4、スタンパ35、および基材mを冷却する。そして、基材mを冷却することにより、形状パターンを基材mに固定させる。
【0088】
時刻t7になり、スタンパ35の温度が離型可能温度H1になると、制御手段24は、真空フレーム245の内側の密閉空間を大気開放する。これにより、密閉空間内の圧力は、時刻t8にて大気圧P1に戻る。なお、基材mがアクリル板である本実施形態では、離型可能温度H1は、50〜80℃に設定されている。
【0089】
時刻t8になると、制御手段24は、スライド22の制御を再び加圧力制御から位置制御に切り替え、スライド22を上限位置B1まで上昇させる。これにより、基材mの取出しが可能となる。
【0090】
〔5−1.実施例1:接触面圧分布の比較〕
温調プレート上に直接スタンパが配置された従来の熱プレス成形装置と、本実施形態の熱プレス成形装置1とにおいて、それぞれ基材に6MPaの面圧が加わるように加圧し、スタンパの代わりとして用いる後述の鏡面プレートから基材が受ける接触面圧の分布を測定した。基材は、寸法340×217×0.7mmのアクリル板(PMMA板)を使用した。本実施形態の成形装置1では、スペーサとして板厚0.7mmの剛体スペーサを使用した。そして、各成形装置において、スタンパの代わりに板圧2mmの鏡面プレートを使用するとともに、この鏡面プレートと基材との間に感圧紙を介装し、各成形装置それぞれにおいて室温25℃で5秒間基材をプレスした際の接触面圧の分布を測定した。
【0091】
図11は、従来の成形装置における接触面圧分布を示す図、図12は、本実施形態の成形装置1における接触面圧分布を示す図である。各図11,12において、色の濃い部分は圧力が高く、色の薄い部分は圧力が低いことを示している。
図11に示すように、従来の成型装置では、基材部分350の接触面圧に大きなむらが生じることが分かる。
図12に示すように、本実施形態の成型装置1における接触面圧分布においては、基材部分350の周囲にスペーサ部分360による面圧分布が現れる。図12から、本実施形態の成型装置1では、基材部分350の外縁部の約5mmの幅の面圧が若干増加するものの、基材部分350においては均一な接触面圧を得られることが分かる。
【0092】
〔5−2.実施例2:板厚分布の比較〕
従来の熱プレス成形装置と、本実施形態の熱プレス成形装置1とにおいて、それぞれ基材をプレス成形し、プレス成形前後の基材の板厚分布を測定した。基材は、実施例1と同様、寸法340×217×0.7mmのアクリル板を使用した。
【0093】
図13は、従来の成形装置におけるプレス成形前の基材の板厚分布を示す図、図14は、従来の成形装置におけるプレス成形後の基材の板厚分布を示す図である。各図13,14において、横軸は、基材の長辺(340mm)方向の位置を示し、グラフの系列は、短辺(217mm)方向の位置を示している。例えば■のグラフは、基材の長辺から短辺方行に10mm内側に入った位置の板厚を長辺方向に沿って各点で測定した結果を示している。
【0094】
図13および図14に示すように、従来の成形装置では、プレス成形前の板厚ばらつきは、最大で0.02mmであるのに対し、プレス成形後の板厚ばらつきは、最大で0.093mmと大きくなっていることが分かる。
また、プレス成形前の板厚ばらつきの状態と、プレス成形後の板厚ばらつきの状態とが大きく異なることが分かる。これは、実施例1で前述したように、従来の成形装置では、基材がスタンパから受ける接触面圧にむらが生じるため、基材の各部の厚み方向の変形量にばらつきが生じるのだと考えられる。
【0095】
図15は、本実施形態の成形装置1におけるプレス成形前の基材の板厚分布を示す図、図16は、本実施形態の成形装置1におけるプレス成形後の基材の板厚分布を示す図である。
図15および図16に示すように、本実施形態の成形装置1では、プレス成形前の板厚ばらつきは、最大で0.015mmであるのに対し、プレス成形後の板厚ばらつきは、最大で0.052mmに留まっていることが分かる。
【0096】
また、図16のプレス成形後の板厚分布においては、◆のグラフに示されるように、基材の長辺から5mm短辺方向に入った部分は、局部的に板厚が減少していることが分かる。これは、実施例1で前述したように、本実施形態の成形装置1では、基材部分350の外縁部の約5mmの幅の面圧が若干増加するからであると考えられる。
そして、図16のプレス成形後の板厚分布において、外周の5mm幅の部分を除く箇所での板厚ばらつきは、最大で0.016mmとプレス成形前の板厚ばらつきと同様であり、板厚ばらつきの傾向もプレス成形前の板厚ばらつきと同様であることが分かる。従って、本実施形態の成形装置1では、基材の板厚にばらつきがあっても、基材に均一な接触面圧を与えることができることが分かる。
【0097】
〔6.第2実施形態〕
図17は、本実施形態に係る熱プレス成形装置1Aを示す断面図、図18は、下側金型部3Aの平面図である。なお、図17および図18では、分かりやすくするため、熱プレス成形装置1Aを簡略化して描いた。以降、前記第1実施形態と同一機能部位には同一符号を付し、それらの説明を省略、若しくは簡略化する。
【0098】
前記第1実施形態では、枠体34の開口部340の内縁は、基材mの外縁より大きかったが、本実施形態では、図17および図18に示すように、枠体34の開口部340の内縁は、基材mの外縁より小さくなっている点が特徴である。これにより、本実施形態では、粘性体43の外縁が基材の外縁より小さくなるので、粘性体43が基材mの外縁から飛び出ることがない。そのため、基材mの外縁から飛び出た部分の粘性体43によって押圧されるスタンパ35の所定の部分をスペーサ36によって押さえる必要がないので、スペーサ36を不要にすることができ、部品点数を低減することができる。その他の構成は、前記第1実施形態と同様となっている。
【0099】
〔7.第3実施形態〕
図19は、本実施形態に係る熱プレス成形装置1Bを示す断面図である。
前記第1実施形態では、粘性体カートリッジ4内に収容された粘性体43は、ゲル状のシリコーンから形成されていたが、本実施形態では、粘性体カートリッジ4A内に収容された粘性体43Aは、軟化温度がアクリル樹脂などの熱可塑性樹脂より低温である低融点金属から形成されている点が第1の特徴である。ここで、一般に、Pb(鉛)、Bi(ビスマス)、Sn(スズ)、Cd(カドミウム)、In(インジウム)等の種類の異なる金属を組み合わせて合金化することで、融点の低い合金を形成することができることが知られている。本実施形態の粘性体43Aは、このような性質を利用した融点が低い公知の低融点金属から形成されることにより、軟化温度がアクリル樹脂などの熱可塑性樹脂より低温になっている。
【0100】
このような本実施形態でも、粘性体43Aは、軟化温度が熱可塑性樹脂より低温である低融点金属から形成されているので、基材mをプレスする際には、温調プレート33からの熱により粘性体43Aが暖められ、柔らかくなる。そのため、基材mをプレスする際において粘性体カートリッジ4Aが加圧された際には、粘性体43Aは、確実に内部に均等圧力を発生させることができ、スタンパ35の各部を基材mに確実に均等の力で押し付けることができる。従って、基材mがスタンパ35から受ける接触面圧の分布を確実に均一にすることができる。
【0101】
また、前記第1実施形態では、スタンパ35の背面側に直接粘性体カートリッジ4が設けられていたが、本実施形態では、スタンパ35と粘性体カートリッジ4との間に天板38が設けられている点が第2の特徴である。これにより、本実施形態では、スタンパ35のスペーサ36との隙間S2部分にかかる粘性体カートリッジ4からの面圧を低減することができるので、スタンパ35が十分な強度を有していなくても、スペーサ36との隙間S2部分が粘性体カートリッジ4からの面圧により塑性変形してしまうことを防止することができる。本実施形態では、この天板38およびスタンパ35から転写手段が構成されている。
【0102】
〔8.第4実施形態〕
図20は、本実施形態に係る熱プレス成形装置1Cを示す断面図、図21は、下側金型部3Aの平面図である。
前記第1実施形態では、スタンパ35の背面側に粘性体カートリッジ4が設けられていたが、本実施形態では、図20および図21に示すように、スタンパ35の背面側にゴム部材5が設けられている点が特徴である。
【0103】
ゴム部材5は、具合的には、温調プレート33、枠体34、およびスタンパ35により囲まれた収容空間V1内に収容されている。ゴム部材5は、板厚が2〜5mm程度に設定され、シリコーンゴムから形成されている。シリコーンゴムは、一般的に熱伝導が低いため、本実施形態では、ベースシリコーンにアルミナやセラミック等の添加剤を混入させることで熱伝導率が高められている。なお、一般的に、添加剤の混入量が多くなるとシリコーンゴムの熱伝導率は向上するが、硬度は低下し、シリコーンゴムの状態がゲル状あるいは粘土状になる。
【0104】
このように、スタンパ35の背面側にゴム部材5が設けられた本実施形態でも、基材mをプレスする際にゴム部材5の内部に均等圧力が発生するので、この均等圧力によりスタンパ35の各部を基材mに均等の力で押し付けることができる。従って、本実施形態でも、基材mがスタンパ35から受ける接触面圧の分布を均一にすることができる。
本実施形態では、このゴム部材5が弾性体となる。なお、弾性体とは、外力によって形や体積が変化させられた際に、外力を取り去ると再び元の状態に回復する性質を有する物体のことを意味する。
【0105】
〔9.第5実施形態〕
図22は、本実施形態に係る熱プレス成形装置1Dを示す断面図である。
前記第4実施形態では、ゴム部材5と温調プレート33とが別体に設けられていたが、本実施形態では、図22に示すように、ゴム部材5A内部に、蒸気や冷却水等の熱媒が流通する水孔331が形成され、ゴム部材5と温調プレート33とが一体に形成されている点が第1の特徴である。本実施形態では、これにより、部品点数を低減できる。
【0106】
また、前記第4実施形態では、ゴム部材5の背面側に、内部に冷却水等の熱媒が流通する冷却プレート32が設けられていたが、本実施形態では、ゴム部材5Aの背面側に、耐熱エポキシ樹脂等の断熱性の高い材料から形成される断熱プレート32Aが設けられている点が第2の特徴である。本実施形態では、このように、ゴム部材5Aから、ベースプレート31の背面側に設けられるボルスタ21およびスライド22への熱伝導を断熱する部材として、構成の複雑な冷却プレート32の代わりに構成の簡素な断熱プレート32Aを用いたので、製造コストを低減することができる。なお、本実施形態では、この断熱プレート32Aがゴム部材5の背面側に設けられる底板となる。
【0107】
〔10.実施形態の変形〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記第4実施形態では、ゴム部材5は、単一のゴム材料から形成されていた。この場合、ゴム部材5を硬度が低いゴム材料から形成した場合には、加圧時に柔らかくなってしまい、温調プレート33と枠体34の内壁との僅かな隙間S1にゴム部材が入り込んでしまうおそれがある。これを防止するため、ゴム部材を、硬度が異なるゴム材料を組み合わせて形成してもよい。
【0108】
図23は、変形例のゴム部材5Aを示す平面図である。
すなわち、図23に示すように、ゴム部材5Aの矩形枠状の外周領域51を、例えばショア硬度A70以上の硬度の高いシリコーンゴムで構成し、この硬度の高いシリコーンゴムで囲まれた内側の矩形の内側領域52を、硬度の低い高熱伝導シリコーンゴムで構成してもよい。このようにゴム部材5Aの外周領域51を硬度の高いシリコーンゴムで構成することにより、加圧時にゴム部材5Aの外縁部が柔らかくなり、当該外縁部が温調プレート33と枠体34の内壁との隙間S1に入り込んでしまうことを防ぐことができる。
【0109】
なお、当該変形例では、ゴム部材5Aの外周領域51を構成するゴム部材は、熱伝導率の低いシリコーンゴムが使用されている。これにより、当該変形例では、温調プレート33から枠体34への熱伝導を抑えることができ、枠体34の熱膨張および熱収縮を抑制することができる。
また、ゴム部材5Aの外周領域51を硬度の高いシリコーンゴムで構成する代わりに、ゴム部材の外側にOリングを設けることで、ゴム部材が温調プレート33と枠体34の内壁との隙間S1に入り込んでしまうことを防止してもよい。
【0110】
前記第1〜第3実施形態では、粘性体43は、粘性体カートリッジ4内に収容され、枠体34、温調プレート33、およびスタンパ35により囲まれた収容空間V1内に設けられていたが、粘性体43は、収容空間V1内において、例えば枠体34の内壁に沿って設けられたパッキン内にそのまま設けられていてもよい。
【0111】
前記各実施形態では、上下の金型部3A,3Bそれぞれが、断熱プレート32Aあるいは温調プレート33、枠体34、スタンパ35、および粘性体カートリッジ4あるいはゴム部材5,5Aを備えていたが、どちらか一方の金型部3A,3Bのみが、各部材33,33A,34,35,4,5,5Aを備えていてもよい。
【0112】
前記各実施形態では、基材mとして、液晶ディスプレイの導光板の基材を例示したが、基材としては、液晶ディスプレイの拡散板の基材や、レンズおよび光ディスク基板等の光学部品の基材を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、熱プレス成形装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の第1実施形態に係る熱プレス成形装置を示す断面図。
【図2】下側金型部の一部を拡大してを示す断面図。
【図3】水孔に係る構成を説明するための下側金型部の断面図。
【図4】熱プレス成形装置の図1および図3とは異なる断面を示す断面図。
【図5】固定スライダを示す断面図。
【図6】下側金型部の平面図。
【図7】粘性体カートリッジを示す断面図。
【図8】粘性体カートリッジを示す平面図。
【図9】圧縮された粘性体カートリッジを示す断面図。
【図10】熱プレス成形装置の成形モーションを説明するための図。
【図11】従来の成形装置における接触面圧分布を示す図。
【図12】前記実施形態の成形装置における接触面圧分布を示す図。
【図13】従来の成形装置におけるプレス成形前の基材の板厚分布を示す図。
【図14】従来の成形装置におけるプレス成形後の基材の板厚分布を示す図。
【図15】前記実施形態の成形装置におけるプレス成形前の基材の板厚分布を示す図。
【図16】前記施形態の成形装置におけるプレス成形後の基材の板厚分布を示す図。
【図17】本発明の第2実施形態に係る熱プレス成形装置を示す断面図。
【図18】下側金型部の平面図。
【図19】本発明の第3実施形態に係る熱プレス成形装置を示す断面図。
【図20】本発明の第4実施形態に係る熱プレス成形装置を示す断面図。
【図21】下側金型部の平面図。
【図22】本発明の第5実施形態に係る熱プレス成形装置を示す断面図。
【図23】変形例のゴム部材を示す平面図。
【符号の説明】
【0115】
1,1A〜1D…熱プレス成形装置、2…プレス装置、3…金型装置、3A…下側金型部、3B…上側金型部、4…粘性体カートリッジ、5…ゴム部材(弾性体)、21…ボルスタ、22…スライド、32A…断熱プレート(底板)、33…温調プレート(底板)、34…枠体、35…スタンパ(転写手段)、36…スペーサ、38…天板(転写手段)、41…薄板、42…弾性枠材、43,43A…粘性体、340…開口部、421…第1弾性枠材、422…第2弾性枠材、V1…収容空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルスタ、および前記ボルスタの上方に設けられ、前記ボルスタに対して近接離間するスライドを有するプレス装置と、
前記ボルスタに設けられて基材が載置される下側金型部、および前記スライドに設けられた上側金型部を有する金型装置とを備え、
前記下側金型部および前記上側金型部の少なくとも一方は、
前記ボルスタまたは前記スライドに対して固定された底板と、
枠状に形成され、開口部内に前記底板が設置されるとともに、上下方向にスライド移動可能に設けられた枠体と、
前記枠体に対して固定されて前記開口部を閉塞するとともに、表面に所定の形状パターンを有し、前記基材に前記形状パターンを熱転写する転写手段と、
前記底板、前記枠体、および前記転写手段に囲まれた収容空間内に設けられた粘性体とを備える
ことを特徴とする熱プレス成形装置。
【請求項2】
請求項1に記載の熱プレス成形装置において、
前記収容空間内に収容された粘性体カートリッジを備え、
前記粘性体カートリッジは、
2枚の薄板と、
前記薄板間に設けられた弾性枠材と、
前記薄板および前記弾性枠材に囲まれた空間内に設けられた前記粘性体とを備える
ことを特徴とする熱プレス成形装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の熱プレス成形装置において、
前記収容空間内に設けられた前記粘性体の外縁は、前記基材の外縁より小さい
ことを特徴とする熱プレス成形装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の熱プレス成形装置において、
前記収容空間内に設けられた前記粘性体の外縁は、前記基材の外縁より大きく、
前記基材の外側には、前記基材の厚みと等しい厚みを有するスペーサが配置され、
前記スペーサの内縁は、前記基材の外縁と僅かな隙間を介して配置され、前記スペーサの外縁は、前記粘性体の外縁の外側に配置されている
ことを特徴とする熱プレス成形装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の熱プレス成形装置において、
前記転写手段は、前記枠体に対して固定されて前記開口部を閉塞するとともに、表面に前記形状パターンを有するスタンパから構成されている
ことを特徴とする熱プレス成形装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の熱プレス成形装置において、
前記転写手段は、
前記枠体に対して固定されて前記開口部を閉塞する天板と、
前記天板上に設けられ、表面に前記形状パターンを有するスタンパとから構成されている
ことを特徴とする熱プレス成形装置。
【請求項7】
ボルスタ、および前記ボルスタの上方に設けられ、前記ボルスタに対して近接離間するスライドを有するプレス装置と、
前記ボルスタに設けられて基材が載置される下側金型部、および前記スライドに設けられた上側金型部を有する金型装置とを備え、
前記下側金型部および前記上側金型部の少なくとも一方は、
前記ボルスタまたは前記スライドに対して固定された底板と、
枠状に形成され、開口部内に前記底板が設置されるとともに、上下方向にスライド移動可能に設けられた枠体と、
前記枠体に対して固定されて前記開口部を閉塞するとともに、表面に所定の形状パターンを有し、前記基材に前記形状パターンを熱転写するスタンパと、
前記底板、前記枠体、および前記スタンパに囲まれた収容空間内に設けられた弾性体とを備える
ことを特徴とする熱プレス成形装置。
【請求項8】
基材に所定の形状パターンを熱転写する熱プレス成形装置の転写手段の背面側に設けられ、
2枚の薄板と、
前記薄板間に設けられた弾性枠材と、
前記薄板および前記弾性枠材に囲まれた空間内に設けられた粘性体とを備える
ことを特徴とする粘性体カートリッジ。
【請求項9】
請求項8に記載の粘性体カートリッジにおいて、
前記弾性枠材は、
前記粘性体を密封し、前記粘性体より厚みのある第1弾性枠材と、
前記第1弾性枠材の外側に設けられ、前記第1弾性枠材より大きい硬度を有し、かつ前記粘性体と同じ厚さの第2弾性枠材とを備える
ことを特徴とする粘性体カートリッジ。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の粘性体カートリッジにおいて、
前記粘性体は、ゲル状またはグリース状のシリコーンから形成されている
ことを特徴とする粘性体カートリッジ。
【請求項11】
請求項8または請求項9に記載の粘性体カートリッジにおいて、
前記粘性体は、融点が前記基材の軟化温度より低温の低融点金属から形成されている
ことを特徴とする粘性体カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−137497(P2010−137497A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318205(P2008−318205)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(394019082)コマツ産機株式会社 (103)
【Fターム(参考)】