説明

熱交換器支持構造

【課題】 熱交換器の冷却能力をさらに向上させることが可能な熱交換器支持構造却能力を提供する。
【解決手段】 車両幅方向へ上下方向に離間されて配置されたアッパ・ラジエータ・コア・サポート11およびロア・ラジエータ・コア・サポート12と、これらに支持され通過する空気流と冷却媒体との間で熱交換を行うラジエータ2と、ラジエータ2の車両最外側端部にそれぞれ取り付けられたサイド・プレート5、5と、上下方向へ延ばされてサイド・プレート5、5の車両幅方向両側にそれぞれ配置されてラジエータ2に係止され、サイド・プレート5、5に向けて車両幅方向に延ばされてサイド・プレート5、5に上下方向に沿って当接する第1の突出部61が設けられたサイド・サポート6、6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア部内を流れる冷却媒体とコア部を通過する空気流との間で熱交換を行う熱交換器を、空気流を導くエア・ガイドあるいは/およびファン・シュラウドとともに、車両に搭載するようにした熱交換器支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
このような従来の熱交換器支持構造としては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。この従来の熱交換器支持構造にあっては、コンデンサの車両後方に配置したラジエータの後方にファン・シュラウドが取り付けられる。ファン・シュラウドの対向する2辺の一方には、第1脆弱部を介してコンデンサおよびラジエータのタンク部側へ折り曲げて係止可能なタンク・カバーが設けられ、タンク部を覆うようにされている。また、ファン・シュラウドの2辺の他方には、第2脆弱部を介してコンデンサおよびラジエータ側へ折り曲げて係止可能なエア・ガイドが設けられ、コンデンサのレシーバ・タンクを収納するようにして、車両前方にて開口するようにされている。
【0003】
また、別の従来の熱交換器支持構造として、特許文献2に記載されたたものが知られている。この従来の熱交換器支持構造にあっては、コンデンサの車両後方に配置したラジエータの後方にファン・シュラウドが取り付けられる。ファン・シュラウドの上下面部からはラジエータおよびコンデンサの上下面を覆うように車両前方へ延ばされた上面部、下面部が設けられるととともに、その両側面部には車両前方のバンパー開口部あるいはグリル側に延びる樹脂製の導風板(エア・ガイド)が設けられている。
【0004】
また、さらに別の従来の熱交換器支持構造として、特許文献3に記載されたものが知られている。この熱交換器支持構造にあっては、コンデンサの車両後方側に配置されたラジエータに、この後方から樹脂製シュラウドが取り付けられている。シュラウドは、上方の第1のシュラウドと下方の第2のシュラウドを組み合わされて箱型形状とされる。シュラウドの車両前方側は開口されてタンク部の外周を覆ってこれら間の隙間が無いようにしてエア・ガイド機能を発揮させるようにする一方、この後方側面には円形開口が形成されて電動送風機が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−192462号公報
【特許文献2】特開2005−195314号公報
【特許文献3】特開2007−56717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記いずれの従来の熱交換器支持構造にあっても、エア・ガイドやファン・シュラウドといったこれらが取り付けられる熱交換器側と車体側との間に大きな隙間が存在するので、車両前方から熱交換器に向けて取り込んだ空気流の一部は上記隙間を通り、熱交換器をバイパスしてしまう。この結果、そのバイパス分、熱交換器の冷却能力が低下するといった問題がある。また、熱交換器を通過して暖められた空気の一部が上記隙間を通ってエンジン側へ戻る、いわゆる吹き返し現象が生じることもあって、熱交換器の冷却能力はさらに低下するといった問題もある。
【0007】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、熱交換器の冷却能力をさらに向上させることが可能な熱交換器支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため、請求項1記載の本発明による熱交換器支持構造は、
車両幅方向へ上下方向に離間されて配置されたアッパ・ラジエータ・コア・サポートおよびロア・ラジエータ・コア・サポートを有するラジエータ・コア・サポートと、
両タンク間にコア部を有し、ラジエータ・コア・サポートに支持されて、コア部を通過する空気流とコア部を流れる冷却媒体との間で熱交換を行う第1の熱交換器と、
第1の熱交換器の車両幅方向最外側端部にそれぞれ取り付けられたサイド・プレートと、
上下方向へ延ばされてサイド・プレートの車両幅方向両側にそれぞれ配置されて第1の熱交換器に係止され、サイド・プレートに向けて車両幅方向に延ばされてサイド・プレートに上下方向に沿って当接する第1の突出部が設けられたサイド・サポートと、
を備えた、
ことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2記載の本発明による熱交換器支持構造は、
請求項1に記載の熱交換器支持構造において、
サイド・サポートの一方の端部には第1の熱交換器の一側方を保持する保持部が設けられ、サイド・サポートの他方には第1の熱交換器の他端側を係止可能な係止部が設けられた、
ことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3記載の本発明による熱交換器支持構造は、
請求項1又は請求項2に記載の熱交換器支持構造において、
サイド・プレートは車両幅方向外側に向けて開口するコ字状の断面を有し、サイド・サポートの第1の突出部はサイド・プレートの断面コ字状内に入るように配置されている、
ことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4記載の本発明による熱交換器支持構造は、
請求項1又請求項2に記載の熱交換器支持構造において、
サイド・プレートは車両幅方向外側に向けて開口するコ字状の断面を有し、サイド・サポートの第1の突出部はサイド・プレートの上流側面に当接するように配置されている、
ことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5記載の本発明による熱交換器支持構造は、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱交換器支持構造において、
サイド・サポートにはそれぞれエア・ガイドが取り付けられて車両前方へ延び、第1の熱交換器の前方に配置された第2の熱交換器の車両幅方向最外側端あるいは該第2の熱交換器とこれと略同一平面上に並列配置された第3の熱交換器との車両幅方向最側端部にエア・ガイドが当接するようにした、
ことを特徴とする。
【0013】
また、請求項6記載の本発明による熱交換器支持構造は、
請求項5項に記載の熱交換器支持構造において、
第2の熱交換器の車両幅方向両側端部にはそれぞれサイド・アタッチメントを設け、エア・ガイドに設けた第2の突出部が車両上下方向に沿ってサイド・アタッチメントに当接するようにした、
ことを特徴とする。
【0014】
また、請求項7記載の本発明による熱交換器支持構造は、
請求項5または請求項6項に記載の熱交換器支持構造において、
エア・ガイドはサイド・サポートの上下側部分から車両前方へ伸びて車両前方で車幅方向にそれぞれ掛け渡されたアッパ・メンバの下面側とロア・メンバの上面側とをそれぞれ覆うようにした、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の本発明による熱交換器支持構造にあっては、上下方向へ延ばされてサイド・プレートの車両幅方向両側にそれぞれ配置されて第1の熱交換器に係止され、サイド・プレートに向けて車両幅方向に延ばされてサイド・プレートに上下方向に沿って当接する第1の突出部が設けられたサイド・サポートと、を備えた構成とした。
これにより、第1の熱交換器およびこの車幅方向最外端部に設けたサイド・プレートとこれらより車体側に近い位置に配置したサイド・サポートとの間に形成される隙間を従来技術より大幅に小さくする、あるいは実質無くすことが可能となり、その分、取り込んだ空気流を第1の熱交換器のコア部に取り込むことができるので、第1の熱交換器の冷却能力を向上させることができる。また、その分、下流側から車両前方への吹き返しも防止することができる。
【0016】
請求項2記載の本発明による熱交換器支持構造にあっては、サイド・サポートの一方の端部には第1の熱交換器の一側方を保持する保持部が設けられ、サイド・サポートの他方には第1の熱交換器の他端側を係止可能な係止部を設けたので、サイド・サポートを車体側に組み付ける場合に比べて、サイド・サポートを第1の熱交換器側にあらかじめ組み付けておくことができ、その状態で車両に搭載できるので、組み付け作業が楽となり、組み付け作業性を高めることができる。
【0017】
請求項3記載の本発明による熱交換器支持構造にあっては、サイド・プレートは車両幅方向外側に向けて開口するコ字状の断面を有し、サイド・サポートの第1の突出部はサイド・プレートの断面コ字状内に入るように配置されるので、サイド・プレートとサイド・サポートを車幅方向に組み付ける作業だけで、サイド・プレートとサイド・サポートとの間の隙間を塞ぐことができ、これら間に製造誤差、組み付け誤差がある場合にも、これら間を通過する空気流を実質零に抑えることが可能となる。
【0018】
請求項4記載の本発明による熱交換器支持構造にあっては、サイド・プレートは車両幅方向外側に向けて開口するコ字状の断面を有し、サイド・サポートの第1の突出部はサイド・プレートの上流側面に当接するように配置されているので、サイド・プレートとサイド・サポートを車両前後方向に組み付ける作業だけで、サイド・プレートとサイド・サポートとの間の隙間を塞ぐことができ、これら間に製造誤差、組み付け誤差がある場合にも、これら間を通過する空気流を実質零に抑えることが可能となる。
【0019】
請求項5記載の本発明による熱交換器支持構造にあっては、サイド・サポートにはそれぞれエア・ガイドが取り付けられて車両前方へ延び、第1の熱交換器の前方に配置された第2の熱交換器の車両幅方向最外側端あるいはこの第2の熱交換器とこれと略同一平面上に並列配置された第3の熱交換器との車両幅方向最側端部にエア・ガイドが当接するようにした。
これにより、第2の熱交換器および第3の熱交換器の最外側端とエア・ガイドとの間にも隙間が形成されず、その分、空気流を全て第2の熱交換器および第3の熱交換器に取り込むことができるので、第2の熱交換器および第3の熱交換器の冷却能力を向上させることができる。また、第2の熱交換器と第3の熱交換器を略同一平面上に並列配置するようにしたので、車両前後方向の占有スペースを小さく抑えることが可能となる。
【0020】
請求項6記載の本発明による熱交換器支持構造にあっては、第2の熱交換器の車両幅方向両側端部にはそれぞれサイド・アタッチメントを設け、エア・ガイドに設けた第2の突出部が車両上下方向に沿ってサイド・アタッチメントに当接するようにしたので、サイド・サポートにエア・ガイドを組み付ける作業だけで第2の熱交換器とエア・ガイドとの間の隙間を塞ぐことができる。その分、第2の熱交換器をバイパスする空気流を少なくでき、第2の熱交換器の冷却効率を向上させることが可能となる。また、上記第2の熱交換器とエア・ガイドとの間からの吹き返しを防止することができる。
【0021】
請求項7記載の本発明による熱交換器支持構造にあっては、エア・ガイドはサイド・サポートの上下側部分から車両前方へ伸びて車体前方で車幅方向に掛け渡されたアッパ・メンバの下面側とロア・メンバの上面側とをそれぞれ覆うようにしたので、アッパ・メンバの下面と第1〜3の熱交換器の上面との間、ロア・メンバの上面と第1〜3の熱交換器の下面との間にできる隙間を小さくする、あるいは実質的に無くすことができ、第1の熱交換器、第2の熱交換器および第3の熱交換器の冷却能力をさらに向上させることが可能になる。また、上記隙間を介しての車両前方への吹き返しを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1の熱交換器支持構造を示す車両前方からの斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の熱交換器支持構造を示す車両前方からの分解斜視図である。
【図3】本発明の実施例1の熱交換器支持構造の左側部分のコンデンサ位置における平面断面図である。
【図4】本発明の実施例1の熱交換器支持構造の左側部分のサブ・ラジエータ位置における平面断面図である。
【図5】本発明の実施例1の熱交換器支持構造におけるラジエータに取りつけたサイド・プレートとサイド・サポートの突出部によるシール構造を示す部分拡大斜視図である。
【図6】本発明の実施例1の熱交換器支持構造の要部を示す縦断面図である。
【図7】本発明の実施例1の熱交換器支持構造の作用を説明する図である。
【図8】本発明の実施例2の熱交換器支持構造の左側部分のコンデンサ位置における断面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
まず、実施例1の熱交換器支持構造の全体構成を説明する。なお、以下の説明にあっては、「左右」については車両の左右方向を示し、図中の左右を示さない。
【0025】
この実施例1の熱交換器支持構造は、図1、2、6、7に示すように、車体側メンバ1と、ラジエータ(本発明の第1の熱交換器に相当)2と、コンデンサ(本発明の第2の熱交換器に相当)3と、サブ・ラジエータ(本発明の第3の熱交換器に相当)4と、左右のサイド・プレート5、5と、左右のサイド・サポート6、6と、エア・ガイド7と、ファン・シュラウド8と、アッパ・ラジエータ・コア・サポート11と、ロア・ラジエータ・コア・サポート12と、を備えている。なお、図2中、一点鎖線は互いに組み付ける部位間をそれぞれ結ぶ線で、組立ての理解を得るための仮想線である。
【0026】
車体側メンバ1は、互いに上下方向に離間されて配置され車両幅方向へ延びるアッパ・メンバ14およびロア・メンバ15と、上下方向に延びてアッパ・メンバ14とロア・メンバ15の両端同士をそれぞれ連結する図示を省略した左右のサイド・メンバ、アッパ・フロント・パネル16、ロア・フロント・パネル17などで構成されている。
【0027】
ラジエータ2は、冷却水(本発明の冷却媒体に相当)を上下方向に流通させる複数本のチューブおよび隣り合うチューブ間に配置された冷却フィンからなり、通過する空気流と冷却媒体との間で熱交換を行うコア部21と、このコア部21の上下端側にそれぞれ配置された上部のタンク22および下部のタンク23などから構成される。
また、上部のタンク22の上面左右端付近と下部のタンク23の下面左右両端付近には、車両幅方向にそれぞれ延びて車体に取り付けられるアッパ・ラジエータ・コア・サポート11とロア・ラジエータ・コア・サポート12(図7を参照)に設けた図示を省略した係合孔にブッシュを介して弾性的に取り付けるための取付ピン25が設けられており、ラジエータ2をアッパ・ラジエータ・コア・サポート11のメンバ部およびラジエータ・コア・サポート12のメンバ部にそれぞれ弾性支持する。
【0028】
コンデンサ3は、冷却水を車幅方向に流通させる複数本のチューブおよび両チューブ間に配置された冷却フィンからなるコア部31と、このコア部31の車両幅方向左側端に配置された右側のタンク32および左側のタンク33などから構成されている。
また、コンデンサ3の右側側面には、コンデンサ2から流出される気液混合の冷媒を気液分離して液冷媒のみを膨張弁に送り込むためのレシーバ・タンク34が設けられている。
そして、タンク32、33の側端部には、図3に示すように、これらをそれぞれ覆うように、サイド・アタッチメント35が設けられている。
【0029】
図1、2に戻り、サブ・ラジエータ4は、冷却水を車両幅方向に流通させる複数本のチューブおよび隣り合うチューブ間に配置された冷却フィンからなるコア部41と、このコア部41の車幅方向両端側にそれぞれ配置されたタンク42、43などから構成されている。
そして、このサブ・ラジエータ4の車両幅方向両側端部の上下2箇所には、係合片44が突出形成され、サイド・サポート6、6の車両前側面に断面略L字状に突出させた差し込み係合部65に対し上方から差し込み係合することで、サブ・ラジエータ4はサイド・サポート6、6に支持されるようになっている。
【0030】
サイド・プレート5、5は、ラジエータ2の車両幅方向の最外側端部にそれぞれ取り付けられるもので、図3、4に詳細を示すように、車両幅方向外側に向けて開口するコ字状の断面に形成され、ラジエータ2の最外側端部に沿って上下方向に延ばされている。
【0031】
図1、2に戻り、サイド・サポート6、6は、樹脂製で、上下方向へ延ばされてラジエータ2におけるサイド・プレート5、5の車両幅方向外側の両側にそれぞれ配置される。
このサイド・サポート6、6の上端部の車幅方向内側面と下端面とには、係合片67、68がそれぞれ設けられ(ただし、図1、2では係合片68は隠れてみえない)、ラジエータ2における上下両タンク部22、23の上下両端部にそれぞれ設けられた係止孔22a、23aに上方から差し込み係合することで、サイド・サポート6、6はラジエータ2に支持されるようになっている。
【0032】
また、このサイド・サポート6、6は、図3、4、5(いずれも右側端の部分のみを示す。左側端はこの対称形状となる)に示すように、断面コ字状の中央部分に第1の突出部61が設けられて、ラジエータ2に取り付けたサイド・プレート5、5へ向けて車両幅方向に延ばされて、第1の突出部61がサイド・プレート5、5のコ字状断面の開口から入りその底面に当接する状態でラジエータ2に組付けられる。なお、第1の突出部61は弾性変形可能とするのが望ましい。
【0033】
また、右側のサイド・サポート6の内側前方部分には、図2に示すように、コンデンサ3の右側に取り付けたレシーバ・タンク34の上下両端部を保持する保持部62、63がそれぞれ設けられている。この保持部62、63は、対向面側が開口する断面コ字状に形成され、レシーバ・タンク34を車両幅方向に差し込むことにより車両前後方向および上下方向に規制した状態で収納・係止可能に構成されている。なお、下方保持部63には、この底面に弾性押圧片が設けられ、レシーバ・タンク34が保持部62、63に装着されたとき、レシーバ・タンク34を上方の保持部62に向け、弾性的に付勢するようにしている。
【0034】
一方、左側のサイド・サポート6の中央よりやや下位置の前面部分には、係止部64が設けられ、コンデンサ3に取り付けたブラケット24が車両前側から車両前後・上下・左右方向に係止・結合されることで、コンデンサ3の左側を左側のサイド・サポート6に支持されるようになっている。
すなわち、ブラケット24は、この一部が、左側のタンク33の一部分を包むようにして、コンデンサ3の複数のチューブ間に挟み込まれることでコンデンサ3に取り付けられている。ブラケット24には上下2箇所に係止孔24aが設けられ、左側のサイド・サポート6の係止部64には係止孔24aに対し車両前後方向に差し込み係合可能なフック状係止部64aが設けられている。
【0035】
エア・ガイド7は、樹脂製であって、冷却風をラジエータ2に導くためのもので、サイド・サポート6、6に車両前方に延びる状態で取り付けられている。
このエア・ガイド7は、下側部材70がコ字状に底側部71と左右両側部72、73が樹脂で一体に成型され、上側部材74が下側部材70とは別体に樹脂で成形され、これらを組付けたとき口字状になるようにしている。
【0036】
そして、このエア・ガイド7は、左右両側部材72、73の後端部の取付片72a、73aをサイド・プレート6、6の前面に取り付ける。
また、下側部材70と上側部材74の後端部に設けた取付片71a、74a(図6を参照)を、ラジエータ2の上側のタンク部22および下側のタンク部23にそれぞれ取り付ける。なお、エア・ガイド7の上側部材74と下側部材70の取付片74a、71aは、アッパ・メンバ14の下面側とロア・メンバ15の上面側とをそれぞれ覆うようにそれらの後方にあるアッパ・ラジエータ・コア・サポート11およびロア・ラジエータ・コア・サポート12へ向けて突出形成されている。
【0037】
ラジエータ2の状部のタンク22およびサイド・サポート6、6の前面に取り付けられたエア・ガイド7は、図3、4に詳細を示すように、コンデンサ3の車両幅方向最側端部および底面と、コンデンサ3と略同一平面上に並列配置されたサブ・ラジエータ4の車両幅方向最側端部および上面と、にそれぞれ当接する状態で配置されている。
【0038】
すなわち、エア・ガイド7の左右両側部材72、73の内面側には、第2の突出部75がそれぞれ車両幅方向内側へ突出形成される。これらの第2の突出部75は、コンデンサ3のタンク部33、レシーバ・タンク34の車両前面およびサブ・ラジエータ4の一対のタンク部43の車両前面にそれぞれ当接することでこれら間の隙間を無くすようにしている。なお、第2の突出部75は弾性変形可能とするのが望ましい。
【0039】
また、エア・ガイド7の車両前方部分は、図7に示すように、車体のアッパ・フロント・パネル16およびロア・フロント・パネル17、これらをつなぐ図示しないサイド・フロント・パネルまで延ばされることで、これら間の隙間がなくなるようにしてある。
【0040】
一方、ファン・シュラウド8は、車両後方に向かって断面が小さくなるように傾斜し、後端面に2つの孔が形成されている。これらの孔には、それぞれモータ・ファン9が挿入されてファン・シュラウド8に支持される。ファン・シュラウド8は、この前面側端部に設けた係止部をサイド・サポート6、6の車両後側面に設けた係止部に係止されることで、サイド・サポート6、6に支持・固定される。
【0041】
次に、実施例1の作用を図3〜7に基づいて説明する。なお、これらの図において、空気流を太線の矢印で示す。
【0042】
この実施例1の熱交換器支持構造では、上述のように構成されるので、モータ・ファン9の回転により、または走行風により、バンパー13の上下に形成されたそれぞれの隙間から取り込まれた空気流は、エア・ガイド7がアッパ・メンバ14の下面側とロア・メンバ15の上面側を覆うようにしてエア・ガイド7とアッパ・フロント・パネル16、ロア・フロント・パネル17およびサイド・フロント・パネルからラジエータ2までを囲ってこれら部分とエア・ガイド7との間には隙間がないので、すべての空気流がコンデンサ3、サブ・ラジエータ4、ラジエータ2のコア部31、41、21へと向かうことになる。
【0043】
エア・ガイド7で導かれた空気流は、コンデンサ3とサブ・ラジエータ4のコア部31、41を通過することで、それぞれの冷却媒体が冷却される。その際、コンデンサ3とサブ・ラジエータ4の最外側端とエア・ガイド7との間には、いずれも隙間が実質ないので、エア・ガイド7に取り込まれた空気流が全てコンデンサ3とサブ・ラジエータ4のコア部31、41を通過し、この結果、コンデンサ3とサブ・ラジエータ4が効率的に冷却される。
【0044】
このようにしてコンデンサ3とサブ・ラジエータ4を通過した空気流は、その車両後方に配置されたラジエータ2のコア部21を通過することで、ラジエータ2の冷却水が冷却される。その際、ラジエータ2のサイド・プレート5、5とサイド・サポート6、6との間が、サイド・プレート5、5の底面に当接するサイド・サポート6、6の第1の突出部61で閉じられているので、コンデンサ3とサブ・ラジエータ4のコア部31、41を通過した空気流が全てラジエータ2のコア部21を通過する結果、ラジエータ2が効率的に冷却される。
【0045】
一方、コンデンサ3、サブ・ラジエータ4およびラジエータ2を通過して暖められた空気流は、上記隙間が無くなった結果、暖められた空気流のラジエータ2下流側から車両前方のエンジンや熱交換器側への逆流(吹き返し)が阻止されるので、コンデンサ3、サブ・ラジエータ4およびラジエータ2の冷却効率の低下が防止される。
【0046】
次に、実施例1の効果を説明する。
【0047】
(1)実施例1の熱交換器支持構造にあっては、上述のように、ラジエータ2に係止され、上下方向へ延ばされたサイド・プレート5、5に、これらの車両幅方向両側にそれぞれ配置されたサイド・サポート6、6に上下方向に沿ってサイド・プレート5、5に向けて車両幅方向へ延ばされて第1の突出部61が当接する構成とした。
これにより、ラジエータ2とサイド・プレート5、5との間に隙間形成されず、エア・ガイド7で取り込んだ空気流を全てラジエータ2に取り込むことができるので、ラジエータ2の冷却能力を向上させることができる。また、暖められた」空気流のラジエータ2の下流側から車両前方への吹き返しを防止でき、さらにラジエータ2の冷却能力の低下を防ぐことができる。
【0048】
(2)また、一方(右側)のサイド・サポート6の端部には、コンデンサ3の一側方(右側)に取り付けたレシーバ・タンク34の上下両端部を保持する保持部62、63が設けられ、他方(左側)のサイド・ポート6の端部中央には、コンデンサ3の他端側(左側)中央部に取り付けられたブラケット24を車両前側から車両前後方向に係止・結合可能な係止部64が設けられているので、サイド・サポート6、6を車体側に組み付ける場合に比べて、サイド・サポート6、6をコンデンサ3側にあらかじめ組み付けておくことができ、その状態で車両に搭載できるので、組み付け作業が楽となり、組み付け作業性を高めることができる。
【0049】
(3)また、サイド・プレート5、5は車両幅方向外側に向けて開口するコ字状の断面を有し、サイド・サポート6、6の第1の突出部61はサイド・プレート5、5の断面コ字状内に入るように配置されるので、サイド・プレート5、5とサイド・サポート6、6を車幅方向に組み付ける作業だけで、サイド・プレート5、5とサイド・サポート6、6との間の隙間を塞ぐことができ、これら間に製造誤差、組み付け誤差がある場合にも、これら間を通過する空気流を実質零に抑えることが可能となる。また、万が一、当接しなくなった場合でも、空気の通路が迷路状になっているので、空気を実質流れないようにすることができる。
【0050】
(4)また、サイド・プレート5、5は車両幅方向外側に向けて開口するコ字状の断面を有し、サイド・サポート6、6の第1の突出部61はサイド・プレート5、5の下流側端部を除く上流側(車両前方方向)側面に当接するように配置されているので、サイド・プレート5、5とサイド・サポート6、6を車幅方向に組み付ける作業だけで、サイド・プレート5、5とサイド・サポート6、6との間の隙間を塞ぐことができ、これら間に製造誤差、組み付け誤差がある場合にも、これら間を通過する空気流を実質零に抑えることが可能となる。
【0051】
(5)また、サイド・サポート6、6にはそれぞれエア・ガイド7が取り付けられて車両前方へ延び、ラジエータ2前方に配置されたコンデンサ3の車両幅方向最外側端あるいはコンデンサ3とこれと略同一平面上に並列配置されたサブ・ラジエータ4との車両幅方向最側端部および上下両端面にエア・ガイド7が当接するようにした。
これにより、コンデンサ3およびサブ・ラジエータ4の最外側端とエア・ガイド7との間にも隙間が形成されず、その分、空気流を全てコンデンサ3およびサブ・ラジエータ4に取り込むことができるので、コンデンサ3およびサブ・ラジエータ4の冷却能力を向上させることができる。また、コンデンサ3とサブ・ラジエータ4を略同一平面上に並列配置するようにしたので、車両前後方向の占有スペースを小さく抑えることが可能となる。
【0052】
(6)また、コンデンサ3およびサブ・ラジエータ4の車両幅方向両側端部にはそれぞれサイド・アタッチメント35を設け、エア・ガイド7に設けた第2の突出部75が車両上下方向に沿ってサイド・アタッチメント35に当接するようにしたので、サイド・サポート6、6にエア・ガイド7を組み付ける作業だけでコンデンサ3とエア・ガイド7との間の隙間を塞ぐことができる。その分、コンデンサ3をバイパスする空気流を少なくでき、コンデンサ3の冷却効率を向上させることが可能となる。また、上記コンデンサ3とエア・ガイド7との間からの吹き返しを防止することができる。
【0053】
(7)また、ラジエータ2の上下両タンク部22、23に取り付けられたエア・ガイド7の上側部材74と下側部材71の取付片71a、74aがアッパ・ラジエータ・コア・サポート11のメンバ部の下面側とロア・ラジエータ・コア・サポート12のメンバ部の上面側とをそれぞれ覆うようにアッパ・フロント・パネル16およびロア・フロント・パネル17まで車両前方へ延びるように形成されている。
これにより、アッパ・メンバ14の下面とラジエータ2、サブ・ラジエータ4の上面との間、ロア・メンバ15の上面とラジエータ2、コンデンサ3の下面との間にできる隙間を小さくする、あるいは実質的に無くすことができ、ラジエータ2、コンデンサ3およびサブ・ラジエータ4の冷却能力をさらに向上させることが可能になる。また、上記隙間を介しての車両前方への吹き返しを防止することができる。
【0054】
次に、他の実施例について説明する。この他の実施例の説明にあたっては、前記実施例1と同様の構成部分については図示を省略し、もしくは同一の符号を付けてその説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【実施例2】
【0055】
この実施例2は、上記実施例1の変形例を示すもので、図8にその要部を示すように、サイド・プレート5、5が車両幅方向外側に向けて開口するコ字状の断面を有する点は上記実施例1と同様であるが、サイド・サポート6、6の第1の突出部66がラジエータ2におけるサイド・プレート5、5の上流側面に当接するように配置されている点、およびエア・ガイド7が第1の突出部66の車両前面に固定されている点が上記実施例1とは相違したものである。
【0056】
この実施例2では、上述のように、ラジエータ2におけるサイド・プレート5、5の上流側面にサイド・サポート6、6の第1の突出部66が当接することで、ラジエータ2とサイド・サポート6、6との間に隙間が形成されず、エア・ガイド7で取り込んだ空気流を全てラジエータ2に取り込むことができるので、ラジエータ2の冷却能力を向上させることができる。
従って、上記実施例1と同様の効果が得られる。
【0057】
以上、本発明を上記各実施例に基づき説明してきたが、本発明はこれらの実施例に限られず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更等があった場合でも、本発明に含まれる。
【0058】
たとえば、実施例では、第1の突出部や第2の突出部の形状は、上記実施例のものに限られない。
また、熱交換器も上記実施例のものに限られない。
【符号の説明】
【0059】
1 車体側メンバ
2 ラジエータ(第1の熱交換器)
3 コンデンサ(第2の熱交換
4 サブ・ラジエータ(第3の熱交換器)
5 サイド・プレート
6 サイド・サポート
7 エア・ガイド
8 ファン・シュラウド
9 モータ・ファン
11 アッパ・ラジエータ・コア・サポート
12 ロア・ラジエータ・コア・サポート
13 バンパー
14 アッパ・メンバ
15 ロア・メンバ
16 アッパ・フロント・パネル
17 ロア・フロント・パネル
21 コア部
22 タンク部
22a 係止孔
23 タンク部
23a 係止孔
24 ブラケット
24a 係止孔
25 取付ピン
31 コア部
32 タンク部
33 タンク部
34 レシーバ・タンク
35 サイド・アタッチメント
41 コア部
42 タンク部
43 タンク部
44 係合片
61 第1の突出部
62 保持部
63 保持部
64 係止部
64a フック状係合部
65 差し込み係合部
66 第1の突出部
67 係合片
68 係合片
70 下側部材
71 底側部材
71a 取付片
72 左側部材
72a 取付片
73 右側部材
73a 取付片
74 上側部材
74a 取付片
75 第2の突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両幅方向へ上下方向に離間されて配置されたアッパ・ラジエータ・コア・サポートおよびロア・ラジエータ・コア・サポートを有するラジエータ・コア・サポートと、
両タンク間にコア部を有し、前記ラジエータ・コア・サポートに支持されて、前記コア部を通過する空気流と前記コア部を流れる冷却媒体との間で熱交換を行う第1の熱交換器と、
該第1の熱交換器の車両幅方向最外側端部にそれぞれ取り付けられたサイド・プレートと、
上下方向へ延ばされて前記サイド・プレートの車両幅方向両側にそれぞれ配置されて前記第1の熱交換器に係止され、前記サイド・プレートに向けて車両幅方向に延ばされて該サイド・プレートに上下方向に沿って当接する第1の突出部が設けられたサイド・サポートと、
を備えた、
ことを特徴とする熱交換器支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器支持構造において、
前記サイド・サポートの一方には前記第1の熱交換器の一側方を保持する保持部が設けられ、前記サイド・サポートの他方には前記第1の熱交換器の他側方を係止可能な係止部が設けられた、
ことを特徴とする熱交換器支持構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の熱交換器支持構造において、
前記サイド・プレートは車両幅方向外側に向けて開口するコ字状の断面を有し、前記サイド・サポートの第1の突出部は前記サイド・プレートの断面コ字状内に入るように配置されている、
ことを特徴とする熱交換器支持構造。
【請求項4】
請求項1又請求項2に記載の熱交換器支持構造において、
前記サイド・プレートは車両幅方向外側に向けて開口するコ字状の断面を有し、前記サイド・サポートの第1の突出部は前記サイド・プレートの上流側面に当接するように配置されている、
ことを特徴とする熱交換器支持構造。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱交換器支持構造において、
前記サイド・サポートにはそれぞれエア・ガイドが取り付けられて車両前方へ延び、前記第1の熱交換器の前方に配置された第2の熱交換器の車両幅方向最外側端あるいは該第2の熱交換器とこれと略同一平面上に並列配置された第3の熱交換器との車両幅方向最側端部に前記エア・ガイドが当接するようにした、
ことを特徴とする熱交換器支持構造。
【請求項6】
請求項5項に記載の熱交換器支持構造において、
前記第2の熱交換器の車両幅方向両側端部にはそれぞれサイド・アタッチメントを設け、前記エア・ガイドに設けた第2の突出部が車両上下方向に沿って前記サイド・アタッチメントに当接するようにした、
ことを特徴とする熱交換器支持構造。
【請求項7】
請求項5または請求項6項に記載の熱交換器支持構造において、
前記エア・ガイドは前記サイド・サポートの上下側部分から車両前方へ伸びて車両前方で車幅方向にそれぞれ掛け渡されたアッパ・メンバの下面側とロア・メンバの上面側とをそれぞれ覆うようにした、
ことを特徴とする熱交換器支持構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−251708(P2012−251708A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124063(P2011−124063)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】