説明

熱交換器

【課題】流体ヘッダ本来の性能を確保しつつ耐圧強度を向上させることができる熱交換器を提供する。
【解決手段】水熱交換器22は、1対の多穴扁平管122,123で構成される冷媒管121と、水管125と、冷媒管用ヘッダ131と、水管用ヘッダ133とを備える。多穴扁平管122,123の内部には、冷媒が流れ、水管125の内部には、水が流れる。冷媒管用ヘッダ131及び水管用ヘッダ133は、多穴扁平管122,123及び水管125それぞれの先端部122c,123c,125cが差し込まれるための開口131b,133bを有し、円筒形状となっている。そして、冷媒管用ヘッダ131及び水管用ヘッダ133の軸芯を挟んで開口131b,133bの反対側に位置する各ヘッダ131,133の第1部分131d,133dは、各開口131b,133bの周辺部131c,133cよりも肉厚である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートポンプ式給湯装置の冷凍装置としては、例えばCO2を冷媒とする圧縮式冷凍回路で構成されるものが広く利用されている。このような冷凍装置は、冷媒と水との間で熱交換を行う水熱交換器を備えている。水熱交換器は、冷媒が流通する冷媒管と、水が流通する水管とを有しており、流体同士を対向させて流すことによって冷媒と水との間で熱交換を行い、水を加熱することができる。水熱交換器としては、特許文献1(特開2007−271213号公報)に開示されているように、水管のまわりに冷媒管が螺旋状に巻き付けられた構造を有しているものが知られている。
【0003】
また、空気調和装置に利用される熱交換器としては、特許文献2(特開2006−284133号公報)に示すように、冷媒管である扁平管が筒状の流体ヘッダに連結されたものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、水熱交換器には、アルミで形成された積層型熱交換器がある。この積層型熱交換器には、特許文献2に示すように、冷媒管である扁平管を筒状の流体ヘッダに連結させた構造を有しているものがある。当該積層型熱交換器では、流体ヘッダと扁平管との位置の関係上等から、扁平管が流体ヘッダに連結されてなる構造物において、高い耐圧強度が要求される。当該構造物の耐圧強度を向上させる手法としては、例えば流体ヘッダの径を小さくする手法が挙げられるが、流体ヘッダの径を小さくすると、かえって流体ヘッダの本来の性能が低下する恐れがある。
【0005】
そこで、本発明は、流体ヘッダ本来の性能を確保しつつ耐圧強度を向上させることができる熱交換器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明1に係る熱交換器は、扁平管と、流体ヘッダとを備える。扁平管の内部には、流体が流れる。流体ヘッダは、円筒形状であって、扁平管の先端部が差し込まれるための開口を有する。そして、流体ヘッダの軸芯を挟んで開口の反対側に位置する流体ヘッダの第1部分は、流体ヘッダの開口の周辺部よりも肉厚である。
【0007】
この熱交換器によると、流体ヘッダの軸芯を挟んで開口の反対側となる流体ヘッダの第1部分は、流体ヘッダの開口の周辺部よりも肉厚となっている。従って、流体ヘッダの本来の性能を確保しつつ、流体ヘッダの第1部分における剛性を向上させることができ、流体ヘッダの内圧や、この内圧に起因してかかる応力による流体ヘッダの変形を抑制することができる。
【0008】
発明2に係る熱交換器は、発明1に係る熱交換器であって、扁平管の先端部は、扁平管の長手方向と直交する断面における長軸方向が流体ヘッダの軸芯方向に沿うようにして、流体ヘッダの開口に差し込まれる。
【0009】
この熱交換器によると、扁平管の断面における長軸方向が流体ヘッダの軸芯方向に沿うようにして、扁平管が流体ヘッダの開口に差し込まれる。従って、扁平管の断面における長軸方向が流体ヘッダの長手方向と直交する方向に沿うようにして扁平管が流体ヘッダに差し込まれていた従来の方法に比して、流体ヘッダの径を小さくすることができ、熱交換器のコンパクト化や軽量化を図ることができる。
【0010】
発明3に係る熱交換器は、発明2に係る熱交換器であって、扁平管は、流体が流れるための複数の第1流路を有する。第1流路は、扁平管の長手方向に沿って延びると共に、長軸方向に並んで配置されている。扁平管の先端部には、各第1流路に対応する穴が複数形成されている。
【0011】
この熱交換器によると、扁平管の先端部は、複数の第1流路の並び方向が流体ヘッダの軸芯方向に沿うようにして、流体ヘッダの開口に差し込まれるようになる。
【0012】
発明4に係る熱交換器は、発明1〜3のいずれかに係る熱交換器であって、流体ヘッダは、第2流路を更に有している。第2流路は、流体ヘッダの軸芯方向に延びており、流体が流れる。第2流路は、流体ヘッダの軸芯と直交して切断される断面視において、円形の形状となっている。第2流路は、開口側に寄るようにして配置されている。
【0013】
この熱交換器によると、流体ヘッダの第2流路は、断面視において円形の形状であって、開口側に寄るようにして配置されている。これにより、開口とは反対側の第1部分は、開口の周辺部側に比して肉厚となっているため、第1部分における耐圧強度を向上させることができる。
【0014】
発明5に係る熱交換器は、発明1〜3のいずれかに係る熱交換器であって、流体ヘッダは、第2流路を更に有している。第2流路は、流体ヘッダの軸芯方向に延びており、流体が流れる。第2流路は、流体ヘッダの軸芯と直交して切断される断面視において、開口側に膨らんだD型の形状となっている。
【0015】
この熱交換器によると、流体ヘッダの第2流体は、断面視において開口側に膨らんだD型の形状となっている。これにより、開口とは反対の第1部分は、開口の周辺部側に比して肉厚となっているため、第1部分における耐圧強度を向上させることができる。
【0016】
発明6に係る熱交換器は、発明1〜5のいずれかに係る熱交換器であって、補強部材を更に備える。補強部材は、流体ヘッダの第1部分に接着され、第1部分の強度を補強するための部材である。
【0017】
この熱交換器によると、流体ヘッダの第1部分には、補強部材が接着されているため、第1部分における耐圧強度を向上させることができる。
【0018】
発明7に係る熱交換器は、発明6に係る熱交換器であって、補強部材は、第1部分との接触部分にろう材が付着されたクラッド材で形成されている。
【0019】
この熱交換器では、補強部材がクラッド材で形成されている。これにより、補強部材と流体ヘッダの第1部分とが容易に接着され、流体ヘッダの第1部分付近の剛性は高くなり、圧力による流体ヘッダの変形が抑えられる。
【発明の効果】
【0020】
発明1に係る熱交換器によると、流体ヘッダの本来の性能を確保しつつ、流体ヘッダの第1部分における剛性を向上させることができ、流体ヘッダの内圧や、この内圧に起因してかかる応力による流体ヘッダの変形を抑制することができる。
【0021】
発明2に係る熱交換器によると、流体ヘッダの径を小さくすることができ、熱交換器のコンパクト化や軽量化を図ることができる。
【0022】
発明3に係る熱交換器によると、扁平管の先端部は、複数の第1流路の並び方向が流体ヘッダの軸芯方向に沿うようにして、流体ヘッダの開口に差し込まれるようになる。
【0023】
発明4〜6に係る熱交換器によると、第1部分における耐圧強度を向上させることができる。
【0024】
発明7に係る熱交換器によると、補強部材と流体ヘッダの第1部分とが容易に接着され、流体ヘッダの第1部分付近の剛性は高くなり、圧力による流体ヘッダの変形が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】水熱交換器を備えたヒートポンプ式給湯装置の構成図。
【図2】冷凍装置の内部構造を示す断面図。
【図3】冷凍装置の構成を模式的に示す図。
【図4】第1実施形態に係る水熱交換器の冷媒管及び水管のみを示す図。
【図5】図4に係る冷媒管及び水管のV−V断面図。
【図6】冷媒管の冷媒管用ヘッダへの連結方法、及び水管の水管用ヘッダへの連結方法の概念説明図。
【図7】冷媒管及び水管それぞれが連結されている冷媒管用ヘッダ及び水管用ヘッダの、軸芯方向に直交する切断面での断面図。
【図8】(a)本実施形態に係る冷媒管用ヘッダの断面図。(b)本実施形態に係る冷媒管用ヘッダとは逆に、冷媒用流路が冷媒管用ヘッダの第1部分側に寄るようにして配置された場合の、冷媒管用ヘッダの断面図。
【図9】その他の実施形態(a)に係る冷媒管用ヘッダ及び水管用ヘッダを説明するための図であって、冷媒管用ヘッダ及び水管用ヘッダの、軸芯方向に直交する切断面での断面図。
【図10】その他の実施形態(b)に係る冷媒管用ヘッダ及び水管用ヘッダを説明するための図であって、冷媒管用ヘッダ及び水管用ヘッダの、軸芯方向に直交する切断面での断面図。
【図11】その他の実施形態(e)に係る水熱交換器の冷媒管及び水管のみを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る熱交換器について、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
(1)ヒートポンプ式給湯装置の構成
図1は、本発明の熱交換器である水熱交換器22を備えたヒートポンプ式給湯装置1の構成図である。ヒートポンプ式給湯装置1は、冷凍装置2、貯湯装置3及び制御部6によって構成されている。冷凍装置2は、主として、圧縮機21、アキュムレータ21a、水熱交換器22、膨張弁23、空気熱交換器24及びファン27(図2)を有している。図1に示すように、圧縮機21、水熱交換器22内の冷媒管121、膨張弁23、空気熱交換器24、及び圧縮機21の吸入側に設けられているアキュムレータ21aは、冷媒配管25によって環状に接続されており、冷媒循環式回路20を構成している。尚、冷媒循環式回路20内を流れる冷媒としては、例えばCO2が挙げられる。
【0028】
さらに、冷媒循環式回路20には、水熱交換器22から出る高圧高温の冷媒と、空気熱交換器24から出る低圧低温の冷媒との間で熱交換を行うための、ガス熱交換器26が配置されている。ガス熱交換器26は、水熱交換器22と膨張弁23とを連結する冷媒通路と、空気熱交換器24とアキュムレータ21aとを連結する冷媒通路との間で熱交換を行う。
【0029】
また、冷凍装置2には、設置場所の外気温を検出する外気温センサ8、圧縮機21の吐出管温度を検出する吐出管温度センサ9、及び空気熱交換器24の温度を検出する熱交換温度センサ10が設けられている。これら各センサの検出信号は、制御部6に入力される。
【0030】
貯湯装置3は、主として、貯湯タンク31及び水循環ポンプ32を有する。貯湯タンク31、水熱交換器22内の水管125及び水循環ポンプ32は、水配管35によって環状に接続されており、水循環式回路30を構成している。貯湯タンク31は、水熱交換器22にて温められた水を貯めるためのタンクであって、水循環ポンプ32は、水熱交換器22で加熱された水の温度が例えば約85℃となるように、水の循環量を制御する。
【0031】
制御部6は、CPU及びメモリからなるマイクロコンピュータであって、図3に示すように、外気温センサ8、吐出管温度センサ9、熱交換温度センサ10、インバータ7及び膨張弁23と接続されている。制御部6は、水熱交換器22で温められた水の温度を約85度に保つために、水循環ポンプ32による水の循環量を制御するべく、膨張弁23の開度の調整を行う。また、制御部6は、吐出管温度センサ9で検出される吐出管温度が目標吐出管温度に近づくように、膨張弁23の開度を制御したり、外気温センサ8及び熱交換温度センサ10からの温度検出信号に基づき、目標吐出管温度を設定したりする。
【0032】
〔冷凍装置〕
図2は、冷凍装置2の内部構造を示す断面図である。図2において、断熱壁2cの右側区画が機械室2aであり、断熱壁2cの左側区画が送風室2bである。機械室2aには、圧縮機21、膨張弁23が配置されている。送風室2bには、ファン27、水熱交換器22が設置されている。
【0033】
ファン27は、図2の送風室2bの正面視において、前方に設置されている。ファン27の後方には、ファン27を駆動するモータが、モータ支持台28に固定された状態で配置されている。水熱交換器22は、断熱壁2dを隔ててファン27の下方に配置されている。尚、水熱交換器22については、「(2)水熱交換器」にて詳述する。また、図2において、空気熱交換器24は、送風室2bの左側壁と背面壁に沿って配置されており、空気熱交換器24の右端は機械室2aの中央まで延出している。
【0034】
尚、冷凍装置2の内部には、電装品ボックス4が設置されている。電装品ボックス4は、機械室2aの上部と送風室2bの上部とを跨ぐように配置されている。電装品ボックス4には、制御部6やインバータ7(図3参照)等が内蔵されている。インバータ7は、圧縮機21の圧縮機用モータ(図示せず)を駆動するための駆動信号を生成し、圧縮機モータに出力する。
【0035】
(2)水熱交換器
次に、本実施形態に係る水熱交換器22について、図4〜図8を用いて説明する。
【0036】
水熱交換器22は、冷媒管121、水管125(冷媒管121及び水管125は、「扁平管」に相当)、冷媒管用ヘッダ131、水管用ヘッダ133(冷媒管用ヘッダ131及び水管用ヘッダ133は、「流体ヘッダ」に相当)の他、図示しないフィンを備えており、冷媒管121内を流れる冷媒と水管125内を流れる水との間で熱交換を行う。尚、以下では、図示していないフィンを除き、冷媒管121,水管125、冷媒管用ヘッダ131、及び水管用ヘッダ133について、具体的に説明する。
【0037】
〔冷媒管〕
冷媒管121は、図4に示すように、Y方向に長く延びており、一対の多穴扁平管122,123で構成されている。多穴扁平管122,123は、水管125を挟むようにして位置しており、それぞれの内部には、冷媒が流れるための複数の冷媒流路(第1流路に相当)122a,123aを有している(図5)。そして、多穴扁平管122,123の長手方向(即ち、Y方向)と直交する断面は、図5に示すように長方形の形状となっており、各冷媒流路122a,123aは、各多穴扁平管122,123の断面の長軸方向(即ち、図5のX方向)に並んで配置されている。各冷媒流路122a,123aは、多穴扁平管122,123それぞれの長手方向(Y方向)に沿って延びており、各流路122a,123aに対応する複数の穴が、各多穴扁平管122,123の先端部122c,123cに設けられている。つまり、この複数の穴は、各多穴扁平管122,123の先端部122c,123cの長軸方向(X方向)に並ぶようにして設けられている(図4参照)。尚、図4及び図5では、一例として、各多穴扁平管122,123内に冷媒流路122a,123aが4本設けられている場合を表している。このように、冷媒管121が、複数の冷媒流路122a,123aを有する多穴扁平管122,123で構成されることで、冷媒側の熱伝達率が向上される。
【0038】
また、冷媒管121を構成する各多穴扁平管122,123は、図6及び図7に示すように、その先端部122c,123cが冷媒管用ヘッダ131に差し込まれてろう付けされることで、冷媒管121と冷媒管用ヘッダ131とが連結されるようになっている。
【0039】
尚、上述した構成を有する冷媒管121は、アルミニウムや銅、ステンレス等によって形成されることができるが、本実施形態では、冷媒管121が、アルミニウムで形成されている場合を例に採る。冷媒管121は、引き抜き加工や押し出し加工によって製造される。
【0040】
〔水管〕
水管125は、図4に示すように、冷媒管121(具体的には、一対の扁平管122,123)に沿ってY方向に長く延びており、1本の扁平管で構成されている。より具体的には、水管125は、一対の多穴扁平管122,123に挟まれるようにして延びており、水管125の長手方向(即ち、Y方向)と直交する断面は、図5に示すように、長方形の形状となっている。水管125の当該断面における長軸方向(即ち、図5のX方向)の長さは、冷媒管121の各多穴扁平管122,123における長軸方向の長さと略同一となっている。そして、水管125の内部には、冷媒ではなく水が流れる1本の水流路125aが設けられている。水流路125aは、水管125の長手方向(Y方向)に沿って延びており、その断面は長方形の形状となっている。
【0041】
更に、水管125の上記断面における長軸方向(X方向)と水管125の長手方向(Y方向)とを含む2つの面125b上には(図4及び図5)、クラッド層が形成されている。この面125bは、水流路125aを挟んで互いに対向して位置している。水管125は、当該2つの面125bにおいて、冷媒管121を構成する各多穴扁平管122,123の面122b,123bそれぞれと面接触している。互いに接触している多穴扁平管122の面122bと水管125の面125b、及び多穴扁平管123の面123bと水管125の面125bとが、それぞれろう付けによって接合されることで、冷媒管121及び水管125は3層構造の配管を形成している。ここで、各多穴扁平管122,123の面122b,123bは、各多穴扁平管122,123の断面における長軸方向(X方向)及び冷媒管121の長手方向(Y方向)を含む面のうち、水管125側に位置する面である。
【0042】
上述した構成を有する水管125は、冷媒管121を構成する各多穴扁平管122,123と同様、図6及び図7に示すように、その先端部125cが水管用ヘッダ133に差し込まれてろう付けされることで、水管125と水管用ヘッダ133とが連結されるようになっている。
【0043】
ここで、水管125は、アルミニウムや銅、ステンレス等によって形成されることができるが、本実施形態では、冷媒管121と同様、水管125が、アルミニウムで形成されている場合を例に採る。水管125は、冷媒管121と同様、引き抜き加工や押し出し加工によって製造される。
【0044】
尚、本実施形態では、図4に示すように、冷媒管121(具体的には、多穴扁平管122,123)と水管125との接合によって形成された配管が、蛇腹状に折り曲げ加工される場合を例に取る。
【0045】
〔冷媒管用ヘッダ〕
冷媒管用ヘッダ131は、圧縮機21とガス熱交換器26とに連通しており、冷媒管121の両端が接合される。冷媒管用ヘッダ131は、図6に示すように円筒形状を有しており、その側面部131aには、図6及び図7に示すように、冷媒管121を構成する各多穴扁平管122,123の先端部122c,123cそれぞれが差し込まれるための、開口131bが形成されている。尚、図示してはいないが、開口131bは、差し込まれる多穴扁平管122,123の各先端部122c,123cの数だけ、冷媒管用ヘッダ131の側面部131aに形成されている。また、冷媒管用ヘッダ131は、その内部に、冷媒管121内を流れる冷媒が流れるための冷媒用流路131e(第2流路に相当)を有している。冷媒用流路131eは、冷媒管用ヘッダ131の軸芯方向に延びており、冷媒管用ヘッダ131の軸芯と直交して切断される断面視において、円形の形状となっている。
【0046】
ここで、図6に示すように、多穴扁平管122,123の各先端部122c,123cは、各多穴扁平管122,123の長手方向(Y方向)と直交する断面における長軸方向(X方向)が、冷媒管用ヘッダ131の軸芯方向に沿うようにして、冷媒管用ヘッダ131の開口131bに差し込まれる。そのため、開口131bは、多穴扁平管122,123の各先端部122c,123cの断面形状と同様、長方形の形状を有しているが、その長辺が冷媒管用ヘッダ131の軸芯方向に沿うようにして、側面部131aに設けられている。そして、開口131bは、多穴扁平管122,123の各先端部122c,123cが問題なく差し込まれるように、多穴扁平管122,123の各先端部122c,123cの断面の大きさと略同一の大きさを有している。冷媒管用ヘッダ131の開口131bに差し込まれた多穴扁平管122,123の先端部122c,123cは、ろう付けによって冷媒管用ヘッダ131に固定されている。
【0047】
そして、本実施形態に係る冷媒管用ヘッダ131は、側面部131aの第1部分131dが、当該側面部131aにおける開口131bの周辺部131cよりも肉厚となっている。第1部分131dとは、図6及び図7に示すように、冷媒管用ヘッダ131の軸芯を挟んで開口131bの反対側に位置する側面部131aの部分である。即ち、第1部分131dは、開口131bから比較的遠い側面部131aの部分といえる。特に、本実施形態においては、図7に示すように、断面が円形の形状である冷媒用流路131eが、冷媒管用ヘッダ131の内部において開口131b側に寄るようにして配置されており、これにより第1部分131dが開口131bの周辺部131cよりも肉厚となっている。
【0048】
〔水管用ヘッダ〕
水管用ヘッダ133は、貯湯タンク31と、水循環ポンプ32とに連通しており、水管125の両端に接合される。水管用ヘッダ133は、冷媒管用ヘッダ131と同様、図6に示すように円筒形状を有しており、その側面部133aには、図6及び図7に示すように、水管125の先端部125cが差し込まれるための開口133bが形成されている。
【0049】
また、本実施形態に係る水管125の先端部125cは、上述した冷媒管用ヘッダ131と同様、水管125の長手方向(Y方向)と直交する断面における長軸方向(X方向)が、水管用ヘッダ133の軸芯方向に沿うようにして、水管用ヘッダ133の開口133bに差し込まれる(図6)。そのため、開口133bは、水管125の先端部125cの断面形状と同様、長方形の形状を有しているが、その長辺が水管用ヘッダ133の軸芯方向に沿うようにして、側面部133aに設けられている。また、開口133bは、水管125の先端部125cの断面の大きさと略同一の大きさを有している。水管用ヘッダ133の開口133bに差し込まれた水管125の先端部125cは、ろう付けによって水管用ヘッダ133に固定されている。また、水管用ヘッダ133は、その内部に、水が流れるための水用流路133e(第2流路に相当)を有している。水用流路133eは、水管用ヘッダ133の軸芯方向に延びており、冷媒用流路131eと同様、水管用ヘッダ133の軸芯と直交して切断される断面視において、円形の形状となっている。
【0050】
また、本実施形態に係る水管用ヘッダ133は、上述した冷媒管用ヘッダ131と同様、側面部133aにおける第1部分133dが、当該側面部133aの開口133bの周辺部133cよりも肉厚となっている。第1部分133dとは、図6及び図7に示すように、水管用ヘッダ133の軸芯を挟んで開口133bの反対側に位置する側面部133aの部分であって、つまりは、開口133bから比較的遠い側面部133aの部分と言える。具体的には、図7に示すように、断面が円形の形状である水用流路133eが、水管用ヘッダ133の内部において開口133b側に寄るようにして配置されており、これにより第1部分133dが開口133bの周辺部133cよりも肉厚となっている。
【0051】
〔ヘッダにおける流路の位置について〕
次に、冷媒管用ヘッダ131及び水管用ヘッダ133の各流路131e,133eを、上述したように開口131b,133b寄りに配置した場合の耐圧と、逆に第1部分131d,133d寄りに配置した場合の耐圧とについて、図8を用いて説明する。以下では、説明を簡単にするため、冷媒管用ヘッダ131を例に取り説明する。
【0052】
図8(a)は、上述したように、冷媒用流路131eが開口131b寄りに配置された場合(つまり、本実施形態)の冷媒管用ヘッダ131の断面図である。図8(b)は、冷媒用流路131e’が第1部分131d’寄りに配置された場合の冷媒管用ヘッダ131’の断面図である。
【0053】
一例として、図8(a)(b)のいずれの場合も、冷媒管用ヘッダ131,131’は、その外径が40mm、内径(つまり、冷媒用流路131e,131e’の直径)が20mmであるとする。図8(a)の場合は、冷媒用流路131eが開口131b側に寄っており、冷媒管用ヘッダ131の第1部分131dの肉厚は最小値で15mm、開口131bの周辺部131cの肉厚は最小値で5mmとなっている。図8(b)の場合は、冷媒用流路131e’が第1部分131d’側に寄っており、冷媒管用ヘッダ131’の開口131b’の周辺部131c’の肉厚は、最小値で15mm、第1部分131d’の肉厚は最小値で5mmとなっている。
【0054】
図8(a)(b)のいずれの場合においても、冷媒管用ヘッダ131,131’の内壁(つまり、冷媒用流路131e,131e’の壁部)には、冷媒用流路131e,131e’の内部を流れる冷媒からの圧力(内圧)がかかることになる。ここで、圧力を0.5kgf/mm2、弾性率7000kgf/mm2、ポアソン比0.34として、図8(a)(b)の各場合について冷媒管用ヘッダ131,131’が周方向へと変形する度合いを測定したところ、図8(b)においては、冷媒管用ヘッダ131’の周方向への最大変位が1.650mmであったのに対し、本実施形態である図8(a)においては、冷媒管用ヘッダ131の周方向への最大変位は0.119mmであった。尚、図示してはいないが、冷媒用流路の中心が冷媒管用ヘッダの軸芯となるように冷媒用流路を位置させ(即ち、冷媒用流路が冷媒管用ヘッダの中央に位置する)、冷媒管用ヘッダの外径を30mm、内径を20mm、冷媒管用ヘッダの肉厚を5mm均一とし、圧力等を図8(a)(b)の場合と同条件として測定を試みたところ、冷媒管用ヘッダの周方向への最大変位は、0.951mmであった。
【0055】
上記結果は、開口131b,131b’側よりも第1部分131d,131d’側の方が、耐圧強度が弱いことを示すと共に、本実施形態に係る図8(a)の冷媒管用ヘッダ131の方が、図8(b)の冷媒管用ヘッダ131’よりも耐圧強度が優れていることを示している。ここで、第1部分131d,131d’は、内圧がかかることによって冷媒管用ヘッダ131,131’の開口131b,131b’が広がろうとする結果、比較的大きな応力がかかってしまう部分であると言える。本実施形態に係る図8(a)の冷媒管用ヘッダ131では、冷媒用流路131eが開口131b側に寄って配置されていることで、上記応力に対する耐圧が不足する傾向にある部分(つまり、第1部分131d)が肉厚となっており、第1部分131dの耐圧強度が増している。従って、流体ヘッダ131の内圧や、この内圧に起因してかかる応力による冷媒管用ヘッダ131の変形及び破損が生じにくくなっている。
【0056】
(3)効果
(a)
本実施形態に係る水熱交換器22によると、冷媒管用ヘッダ131及び水管用ヘッダ133の軸芯を挟んで開口131b,133bの反対側に位置する各ヘッダ131,133の第1部分131d,133dは、各開口131b,133bの周辺部131c,133cよりも肉厚となっている。従って、各ヘッダ131,133の本来の性能を確保しつつ、各ヘッダ131,133の第1部分131d,133dにおける剛性を向上させることができ、各ヘッダ131,133の内圧や、この内圧に起因してかかる応力による各ヘッダ131,133の変形を抑制することができる。
【0057】
特に、本実施形態では、各ヘッダ131,133を従来のヘッダに比して全体的に肉厚にするのではなく、第1部分131d,133dのみを肉厚にしている。即ち、本実施形態では、応力に対する耐圧が不足する傾向にある各ヘッダ131,133の箇所が、局所的に肉厚となっている。そのため、各ヘッダ131,133を全体的に肉厚にする場合に比して、低コストにて耐圧強度を向上させることができる。
【0058】
また、各ヘッダ131,133の開口131b,133bの周辺部131c,133cにおける肉厚は従来に比して増えはいない。そのため、冷媒管121と冷媒管用ヘッダ131ならびに水管125と水管用ヘッダ133のろう付け作業はし易くなる。
【0059】
(b)
また、本実施形態に係る水熱交換器22によると、多穴扁平管122,123及び水管125の各断面における長軸方向(X方向)が各ヘッダ131,133の軸芯方向に沿うようにして、多穴扁平管122,123及び水管125それぞれは、各ヘッダ131,133の開口131b,133bに差し込まれる。従って、多穴扁平管及び水管の各断面における長軸方向(X方向)が各ヘッダの長手方向と直交する方向に沿うようにして、多穴扁平管及び水管が各ヘッダに差し込まれていた従来の方法に比して、冷媒管用ヘッダ131及び水管用ヘッダ133の径を小さくすることができ、水熱交換器22のコンパクト化や軽量化を図ることができる。
【0060】
(c)
また、本実施形態に係る水熱交換器22によると、冷媒管121は、複数の冷媒流路122a,123aをそれぞれ有する1対の多穴扁平管122,123で構成されており、各冷媒流路122a,123aは、多穴扁平管122,123の長手方向(Y方向)に沿って延びると共に、長軸方向(X方向)に並んで配置されている。これにより、多穴扁平管122,123の先端部122c,123cは、冷媒流路122a,123aの並び方向が冷媒管用ヘッダ131の軸芯方向に沿うようにして差し込まれるようになる。
【0061】
(d)
また、本実施形態に係る水熱交換器22によると、冷媒管用ヘッダ131及び水管用ヘッダ133の各流路131e,133eは、断面視において円形の形状であって、それぞれ開口131b,133b側に寄るようにして配置されている。これにより、開口131b,133bとは反対側の第1部分131d,133dは、開口131b,133bの周辺部131c,133c側に比して肉厚となっているため、第1部分131d,133dにおける耐圧強度を向上させることができる。
【0062】
<その他の実施形態>
(a)
上記実施形態では、図7に示すように、冷媒用流路131e及び水用流路133eが、冷媒管用ヘッダ131及び水管用ヘッダ133の開口131b,133b側に寄るようにして配置されることで、各ヘッダ131,133における第1部分131d,133dが開口131b,133bの周辺部131c,133cよりも肉厚となる場合について説明した。しかし、本発明においては、応力に対する耐圧が不足する傾向にある部分、即ち各第1部分131d,133dが開口131b,133b側よりも肉厚となればよく、肉厚にする方法として、上記実施形態以外の方法が用いられても良い。
【0063】
図9は、図7とは異なる方法により、各ヘッダ231,233に係る第1部分231d,233dが周辺部231c,233cよりも肉厚となっている場合を示す図である。図9の水熱交換器222は、主として、多穴扁平管122,123で構成される冷媒管121、水管125、冷媒管用ヘッダ231及び水管用ヘッダ233を備える。尚、冷媒管用ヘッダ231及び水管用ヘッダ233以外の構成については、上記実施形態に係る図7と同様であるため、図7と同様の符号を付している。
【0064】
冷媒管用ヘッダ231は、その側面部231aに、多穴扁平管122,123が差し込まれるための開口231bを有している。特に、図9の冷媒管用ヘッダ231は、冷媒管用ヘッダ231の軸芯方向に延びており、例えばCO2等の冷媒が流れるための冷媒用流路231e(第2流路に相当)を有している。冷媒用流路231eは、冷媒管用ヘッダ231の軸芯と直交して切断される断面視において、開口231b側に膨らんだD型の形状となっている。これにより、冷媒管用ヘッダ231の軸芯を挟んで開口231bの反対側に位置する側面部231aの部分、即ち第1部分231dは、開口231bの周辺部231cよりも肉厚になっている。
【0065】
また、水管用ヘッダ233においても、冷媒管用ヘッダ231と同様である。即ち、水管用ヘッダ233は、その側面部233aに水管125差し込み用の開口233bがあり、その内部には、水用流路233e(第2流路に相当)を有している。水用流路233eは、水管用ヘッダ233の軸芯方向に延びており、水が流れるようになっている。特に、この水用流路233eは、水管用ヘッダ233の軸芯と直交して切断される断面視において、開口231b側に膨らんだD型の形状となっている。これにより、水管用ヘッダ233の軸芯を挟んで開口233bの反対側に位置する側面部233aの部分、即ち第1部分233dは、開口233bの周辺部233cよりも肉厚になっている。
【0066】
このような冷媒管用ヘッダ231及び水管用ヘッダ233により、開口231b,233bとは反対側の第1部分231d,233dにおける耐圧強度を向上させることができる。
【0067】
(b)
次に、上記実施形態及びその他の実施形態(a)の方法以外で、第1部分を開口の周辺部よりも肉厚とする方法について、図10を用いて説明する。図10は、図7及び図9とは異なる方法により、各ヘッダ331,333に係る第1部分331d,333dが周辺部331c,333cよりも肉厚となっている場合を示す図である。図10に係る水熱交換器322は、主として、多穴扁平管122,123で構成される冷媒管121、水管125、冷媒管用ヘッダ331、水管用ヘッダ333、第1補強部材340、及び第2補強部材341を備える。尚、各ヘッダ331,333、第1及び第2補強部材340,341以外の構成については、上記実施形態に係る図7と同様であるため、図7と同様の符号を付している。
【0068】
冷媒管用ヘッダ331は、その側面部331aに、多穴扁平管122,123が差し込まれるための開口331bを有している。冷媒管用ヘッダ331は、その内部に例えばCO2等の冷媒が流れるための冷媒用流路331eを有している。冷媒用流路331eは、冷媒管用ヘッダ331の軸芯方向に延びており、その断面視において円形の形状を有している。尚、本実施形態に係る冷媒用流路331eは、冷媒管用ヘッダ331の軸芯を中心とした円形の形状であり、冷媒管用ヘッダ331の約中央に位置している。
【0069】
第1補強部材340は、冷媒管用ヘッダ331の第1部分331dに接着されており、当該第1部分331dの強度を補強する。ここで、第1部分331dは、上記実施形態等と同様、冷媒管用ヘッダ331の軸芯を挟んで開口331bの反対側に位置する側面部331aの部分であって、第1補強部材340は、第1部分331dとの接触部分にろう材が付着された、いわゆるクラッド材で形成されている。尚、図10では、第1補強部材340が、冷媒管用ヘッダ331の外側から第1部分331dに接着されている。この第1補強部材340により、冷媒管用ヘッダ331の第1部分331dは、開口331bの周辺部331cよりも肉厚になっている。
【0070】
また、水管用ヘッダ333においても、冷媒管用ヘッダ331と同様である。即ち、水管用ヘッダ333は、その側面部333aに水管125差し込み用の開口333bを有している。水管用ヘッダ333は、その内部に水が流れるための水用流路333eを有している。水用流路333eは、水管用ヘッダ333の軸芯方向に延びており、その断面視において円形の形状を有している。水用流路333eは、水管用ヘッダ333の軸芯を中心とした円形の形状であり、水管用ヘッダ333の約中央に位置している。
【0071】
第2補強部材341は、水管用ヘッダ333の第1部分333dに接着されており、当該第1部分333dの強度を補強する。ここで、第1部分333dは、上記実施形態等と同様、水管用ヘッダ333の軸芯を挟んで開口333bの反対側に位置する側面部333aの部分であって、第2補強部材341は、第1部分333dとの接触部分にろう材が付着された、いわゆるクラッド材で形成されている。尚、図10では、第1補強部材340と同様、第2補強部材341は、水管用ヘッダ333の外側から第1部分333dに接着されている。この第2補強部材341により、水管用ヘッダ333の第1部分333dは、開口333bの周辺部333cよりも肉厚になっている。
【0072】
上述したように、各ヘッダ331,333の第1部分331d,333dには、第1及び第2補強部材340,341がそれぞれ接着されているため、第1部分331d,333dにおける耐圧強度を向上させることができ、応力による各ヘッダ331,333の変形が抑えられる。また、第1及び第2補強部材340,341がクラッド材で形成されているため、第1及び第2補強部材340,341と各ヘッダ331,333の第1部分331d,333dとは、ろう付けによって容易に接着される。
【0073】
また、図示してはいないが、上記実施形態に係る図7及びその他の実施形態(a)に係る図9においても、各ヘッダ131,133,231,233の第1部分131d,133d,231d,233dに、本実施形態にて説明した第1及び第2補強部材340,341が接着されていてもよい。これにより、第1部分131d,133d,231d,233dの耐圧強度をより高めることができる。
【0074】
また、図10では、第1及び第2補強部材340,341が、各ヘッダ331,333の外側から第1部分331d,333dに接着されている場合について説明した。しかし、第1及び第2補強部材340,341は、各ヘッダ331,333の内側(つまり、冷媒用流路331e及び水用流路333eの壁部)から第1部分331d,333dに接着されていてもよい。
【0075】
(c)
上記実施形態では、冷媒管121が、複数の冷媒流路を有する多穴扁平管122,123で構成されている場合について説明した。しかし、冷媒管121だけではなく、水管125も、複数の水流路を有する多穴扁平管で構成されていてもよい。
【0076】
また、冷媒管121は、水管125と同様、1本の水流路を有する構成であってもよい。
【0077】
(d)
上記実施形態では、各多穴扁平管122,123には、4つの冷媒流路122a,123aが1列に並んで形成されている場合について説明したが、流路の本数及び配列は、これに限定されない。例えば、各多穴扁平管122,123内には、3つの冷媒流路が2列形成されていてもよい。
【0078】
(e)
上記実施形態では、図4に示すように、冷媒管121及び水管125で形成される配管が、蛇行形状となるように折り曲げられると説明した。しかし、折り曲げられた配管の形状は、図4に示すように蛇行形状に限定されない。
【0079】
図11は、冷媒管121及び水管125で形成される配管が、渦巻状に折り曲げられている場合を示している。具外的には、冷媒管121及び水管125で形成される配管は、その長手方向に直交する断面における長辺に沿った軸を中心として一方向に折り曲げられており、折り曲げられた後の配管は、上面視において長方形状の渦巻となっている。これにより、配管の一端は渦巻形状の内側、他端は渦巻形状の外側に位置し、各端部(つまり、先端部122c,123c、125c)それぞれ冷媒管用ヘッダ131及び水管用ヘッダ133に差し込まれて固定される。
【0080】
(f)
また、上記実施形態では、冷媒としてCO2を用いたが、冷媒の種類はこれに限定されない。例えば、高温高圧の冷媒として、炭化水素、フロン冷媒などが用いられても良い。
【0081】
(g)
また、上記実施形態では、内部に冷媒が流れる一対の多穴扁平管122,123の間に水管125が配置されている場合について説明した。しかし、本発明に係る熱交換器の配管は、上記構成に限定されず、例えば1本の多穴扁平管で構成される冷媒管と水管とで構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明に係る熱交換器は、流体ヘッダ本来の性能を確保しつつ、開口の周辺部における耐圧強度を向上させることができるという効果を有している。この熱交換器は、ヒートポンプ式給湯装置に係る水熱交換器や、空気調和装置に係る熱交換器に適用できる。
【符号の説明】
【0083】
1 ヒートポンプ式給湯装置
2 冷凍装置
3 貯湯装置
22 水熱交換器
121 冷媒管
122,123 多穴扁平管
122a,123a 冷媒流路
125 水管
125a 水流路
131 冷媒管用ヘッダ
133 水管用ヘッダ
131a,133a 側面部
131b,133b 開口
131c,133c 周辺部
131d,133d 第1部分
131e,231e 冷媒用流路
133e,233e 水用流路
340 第1補強部材
341 第2補強部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【特許文献1】特開2007−271213号公報
【特許文献2】特開2006−284133号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体が流れる扁平管(122,123,125)と、
前記扁平管(122,123,125)の先端部(122c,123c,125c)が差し込まれるための開口(131b,133b,231b,233b,331b,333b)を有する円筒形状の流体ヘッダ(131,133,231,233,331,333)と、
を備え、
前記流体ヘッダの軸芯を挟んで前記開口の反対側に位置する前記流体ヘッダの第1部分(131d,133d,231d,233d,331d,333d)は、前記流体ヘッダの前記開口の周辺部(131c,133c,231c,233c,331c,333c)よりも肉厚である、
熱交換器(22,222,322)。
【請求項2】
前記扁平管(122,123,125)の前記先端部(122c,123c,125c)は、前記扁平管の長手方向と直交する断面における長軸方向が前記流体ヘッダ(131,133)の軸芯方向に沿うようにして、前記流体ヘッダの前記開口(131b,133b)に差し込まれる、
請求項1に記載の熱交換器(22)。
【請求項3】
前記扁平管(122,123)は、前記扁平管の長手方向に沿って延びると共に前記長軸方向に並んで配置された前記流体が流れるための複数の第1流路(122a,123a)を有し、
前記扁平管の前記先端部(122c,123c)には、各前記第1流路(122a,123a)に対応する穴が複数形成されている、
請求項2に記載の熱交換器(22)。
【請求項4】
前記流体ヘッダ(131,133)は、前記流体ヘッダの軸芯方向に延びており、前記流体が流れるための第2流路(131e,133e)を更に有しており、
前記第2流路(131e,133e)は、
前記流体ヘッダの軸芯と直交して切断される断面視において、円形の形状となっており、
前記開口(131b,133b)側に寄るようにして配置されている、
請求項1〜3のいずれかに記載の熱交換器(22)。
【請求項5】
前記流体ヘッダ(231,233)は、前記流体ヘッダの軸芯方向に延びており、前記流体が流れるための第2流路(231e,233e)を更に有しており、
前記第2流路(231e,233e)は、前記流体ヘッダの軸芯と直交して切断される断面視において、前記開口(231b,233b)側に膨らんだD型の形状となっている、
請求項1〜3のいずれかに記載の熱交換器(222)。
【請求項6】
前記流体ヘッダ(331,333)の前記第1部分(331d,333d)に接着され、前記第1部分の強度を補強するための補強部材(340,341)、
を更に備える、
請求項1〜5のいずれかに記載の熱交換器(322)。
【請求項7】
前記補強部材(340,341)は、前記第1部分(331d,333d)との接触部分にろう材が付着されたクラッド材で形成されている、
請求項6に記載の熱交換器(322)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−281475(P2010−281475A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133347(P2009−133347)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】