説明

熱交換器

【課題】熱交換を効率良く行うことができる内部熱交換器を低コストで提供する。
【解決手段】内部熱交換器14を、管壁が円周方向に凸部32aと凹部32bとが交互に複数形成された多葉管32を円筒形の外管31内に該外管31と同一方向に配置し、凸部32a頂部の外面を外管31の内面に密着させ、凹部32b頂部の内面に円筒形の内管33の外面を密着させた構造とし、内管33を接続管14a、14bに接続することで内管33内に形成された流路を内部熱交換器14の高圧側配管141とし、内管33と外管31との間に形成された流路に接続管14c、14dを接続することで内管33と外管31との間に形成された流路を内部熱交換器14の低圧側配管142としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルやヒートポンプサイクル等の装置を構成する自動販売機の熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を販売する自動販売機では、自動販売機本体である本体キャビネット内を断熱材で包囲した商品収容庫に収容している商品を冷却または加熱して販売に供するための冷却加熱装置が備えられている。
【0003】
冷却加熱装置は、機械室に圧縮機、庫外熱交換器、膨張機構、内部熱交換器を配設し、商品収容庫内には蒸発器を配設し、これらの各機器を冷媒配管で接続することにより構成している。このように構成された冷却加熱装置は、冷却加熱の運転モードに応じて、商品収容庫内に冷却または加熱した空気を循環させて収容している缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を冷却または加熱するものである。
【0004】
圧縮機は、冷媒を圧縮して冷媒配管を介してこれらの各機器内を循環させるためのもので、冷媒として二酸化炭素を使用する場合には、高圧側が約9MPa、低圧側が約2.5MPaとなる。
【0005】
庫外熱交換器は、フィンチューブ型の熱交換器であり、冷却運転時に余剰な凝縮熱を排出するためのものである。膨張機構は、冷却運転時に通過する冷媒を減圧して断熱膨張させるものであり、たとえばキャピラリ、温度膨張弁、電子膨張弁が使用される。蒸発器は、冷媒が蒸発する際に発生する蒸発熱(潜熱)で商品収納庫内を冷却するためのものである。内部熱交換器は、その内部で熱交換を行う高温の高圧側配管と低温の低圧側配管を有している。高圧側配管は、庫外熱交換器と膨張機構との間に配管接続され、低圧側配管は蒸発器と圧縮機との間に配管接続される。
【0006】
このような内部熱交換器としては、従来一般に2重管式熱交換器が使用されている。2重管式熱交換器は、内側および外側に径の異なる2本の金属製の管材を配設することによって構成される最も簡単な形式の熱交換器であり、その製作および保守が容易であり、必要に応じて伝熱面積を増減でき、高温流体と低温流体とを完全に対向流にできるなど多くの利点を有するために現在でも広く使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
ところで、このような径の異なる2本の金属製の管材を内側および外側に配設する2重管式熱交換器では、内管内を通流する流体と、その外部を通流する流体との間における熱交換性能を向上させることが困難という問題を内在していた。
【0008】
そこで、熱交換性能を向上させるべく、従来から様々な工夫が行われてきており、例えば、円筒形の外管と内管との間隙に網状体を挿装した2重管式熱交換器や、内管を外管の内面に沿わせながらコイル状に巻いて内管を固定するようにした2重管式熱交換器が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭58−33091号公報
【特許文献2】特開2008−232449号公報
【特許文献3】特開2008−25902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
高圧冷媒である二酸化炭素冷媒を使用する冷却加熱装置の2重管式熱交換器では、高圧配管である内管の耐圧の課題があり、2重管の内外に高温高圧の冷媒と低温低圧の冷媒を通流させて熱交換させるには、内管、外管の肉厚を厚くする必要があり、熱交換器を大型化し、材料コストが高くなるという問題があった。また外管内で内管が振動しないように内管を外管の内面に沿わせながらコイル状に巻いて内管を固定するようにした2重管式熱交換器においては、高温の冷媒が通流している高圧側配管である内管と、その内管の外部を通流している低温の冷媒との熱交換面積が狭くなり熱交換が有効に行われなく、熱交換効率が悪化する要因となっていた。
【0011】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、熱交換を効率良く行うことができる熱交換器を低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る熱交換器は、円筒形の外管と、前記外管内に該外管と同一方向に配置され、管壁が円周方向に凸部と凹部とが交互に複数形成された多葉管の前記凸部頂部の外面を前記外管の内面に密着させ、前記凹部頂部の内面に円筒形の内管の外面を密着させてなる構造としたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項2に係る熱交換器は、上述した請求項1において、前記内管内に形成された流路を流れる第1流体と、前記内管と前記外管との間に形成された流路を流れる第2流体と、を熱交換させるようにしたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項3に係る熱交換器は、円筒形の外管と、前記外管内に該外管と同一方向に配置され、管壁が円周方向に凸部と凹部とが交互に複数形成された多葉管の前記凸部頂部の外面を前記外管の内面に密着させ、前記凹部頂部の内側面を互いに密着させてなる構造としたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項4に係る熱交換器は、上述した請求項3において、前記多葉管と前記外管との間に形成された流路を流れる第1流体と、前記多葉管内に形成された流路を流れる第2流体と、を熱交換させるようにしたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項5に係る熱交換器は、上述した請求項2または請求項4において、前記第1流体が冷却加熱装置を構成している圧縮機から供給される高温高圧の冷媒であり、前記第2流体が前記高温高圧の冷媒が蒸発器で蒸発して前記圧縮機に還流する低温低圧の冷媒であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、円筒形の外管と、前記外管内に該外管と同一方向に配置され、管壁が円周方向に凸部と凹部とが交互に複数形成された多葉管の前記凸部頂部の外面を前記外管の内面に密着させ、前記凹部頂部の内面に円筒形の内管の外面を密着させてなる構造としたことにより、高温高圧の冷媒を通流させる内管を円筒形として高圧冷媒に対応する耐圧強度を保たせることが可能となる。
【0018】
また、請求項2の発明によれば、前記内管内に形成された流路を流れる第1流体と、前記内管と前記外管との間に形成された流路を流れる第2流体と、を熱交換させるようにしたことにより、内管を常に外管の中央に固定することができる。このことにより、高温の冷媒が通流している高圧側配管である内管と、内管の外部を通流している低温の冷媒との熱交換面積が広くなるので、熱交換面積を有効に利用でき、そのうえ、多葉管のフィン効果も相まって高効率な熱交換を実現することができ、ダウンサイジング、および、コストダウンを図ることが可能となる。
【0019】
また、請求項3の発明によれば、円筒形の外管と、前記外管内に該外管と同一方向に配置され、管壁が円周方向に凸部と凹部とが交互に複数形成された多葉管の前記凸部頂部の外面を前記外管の内面に密着させ、前記凹部頂部の内側面を互いに密着させてなる構造としたことにより、高温高圧の冷媒を通流させる内部熱交換器で、多葉管と外管との間に形成された高圧側配管に高圧冷媒を循環させても、凹部頂部の内側面が互いに密着しているので、高圧冷媒に対応する耐圧強度を保たせることが可能となる。
【0020】
また、請求項4の発明によれば、前記多葉管と前記外管との間に形成された流路を流れる第1流体と、前記多葉管内に形成された流路を流れる第2流体と、を熱交換させるようにしたことにより、高温の冷媒が通流している高圧側配管である多葉管外部と、多葉管の内部を通流している低温の冷媒との熱交換面積が広くなるので、熱交換面積を有効に利用でき、高効率な熱交換を実現することができ、ダウンサイジング、および、コストダウンを図ることが可能となる。
【0021】
また、請求項5の発明によれば、前記第1流体が冷却加熱装置を構成している圧縮機から供給される高温高圧の冷媒であり、前記第2流体が前記高温高圧の冷媒が蒸発器で蒸発して前記圧縮機に還流する低温低圧の冷媒であることにより、圧縮機から庫外熱交換器を介して供給される高温高圧の冷媒と蒸発器で蒸発して低温低圧となった冷媒とを内部熱交換器内で逆方向の向きの流れ(対向流)とすることで、高温の冷媒と低温の冷媒間の熱交換を効率良く行うことが可能となる。
【0022】
以上、本発明により、熱交換を効率良く行うことができる熱交換器を低コストで提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る熱交換器を備えた自動販売機の冷却加熱装置の冷媒回路概念図
【図2】図1に示した熱交換器を備えた自動販売機の冷却加熱装置の斜視図
【図3】本発明の実施の形態1に係る熱交換器を示す図で、(a)はその斜視図、(b)はその管構造の断面図
【図4】本発明の実施の形態2に係る熱交換器を示す図で、(a)はその斜視図、(b)はその管構造の断面図
【図5】本発明の実施の形態2に係る多葉管において、(a)は多葉管の外周面の断面周長を近似的に算出した計算式、(b)は多葉管の葉数(枚)と熱交換率を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る熱交換器の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態に係る熱交換器を備えた自動販売機の冷却加熱装置の冷媒回路概念図、図2は図1に示した熱交換器を備えた自動販売機の冷却加熱装置の斜視図である。
【0026】
缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を販売する自動販売機では、自動販売機本体である本体キャビネット内を断熱材で包囲した商品収容庫に収容している商品を冷却または加熱して販売に供するための冷却加熱装置1が備えられている。
【0027】
冷却加熱装置1は、図示しない機械室に圧縮機11、三方弁12、庫外熱交換器13、内部熱交換器14、膨張機構15、分配器16、冷媒電磁弁17a、17b、17c、集合器22を配設している。また、商品収容庫2a内には膨張機構18a、蒸発器19a、商品収容庫2b内には膨張機構18b、蒸発器19b、電熱ヒータ21b、商品収容庫2c内には膨張機構18c、蒸発器19c、加熱熱交換器20、電熱ヒータ21cを配設し、これらの各機器を冷媒配管Lで接続することにより冷却加熱装置1を構成している。
【0028】
このように構成された冷却加熱装置1は、冷却加熱の運転モードに応じて、商品収容庫2a、2b、2c内に冷却または加熱した空気を循環させて収容している缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を冷却または加熱するものである。ここで、冷媒としては、不燃性、安全性、不腐食性を有し、更にオゾン層への影響が少ない二酸化炭素を用いている。
【0029】
冷却加熱用の圧縮機11は、冷媒を圧縮して冷媒回路内を循環させるためのもので、冷却運転時には、凝縮温度が約40℃、蒸発温度が約−10℃で使用される。冷却加熱運転時には、凝縮温度が約70℃、蒸発温度が約−10℃で使用され、高圧側が約9MPa、低圧側が約2.5MPaとなる。
【0030】
三方弁12は、弁位置を変えることで冷媒の循環回路を切り替えるためのもので、商品収容庫2a、2b、2c内を冷却するときは圧縮機11で圧縮された冷媒の循環方向を矢印Aで示す方向へと切り替え、庫外熱交換器13から内部熱交換器14の高圧側配管141を介して蒸発器19a、19b、19cへと循環させる。
【0031】
また、商品収容庫2c内を加熱するときは、圧縮機11で圧縮された高温高圧の冷媒の循環方向を矢印Cで示す方向へと切り替え、加熱熱交換器20へと循環させる。
【0032】
庫外熱交換器13は、フィンチューブ型の熱交換器であり、冷却運転時に余剰な凝縮熱を排出するためのものであり、加熱運転時には蒸発器を兼用する。
【0033】
内部熱交換器14は、その内部で熱交換を行う高温の高圧側配管141と低温の低圧側配管142を有している。高圧側配管141は、庫外熱交換器13と膨張機構15との間に配管接続され、低圧側配管142は集合器22と圧縮機11との間に配管接続されている。
【0034】
膨張機構15、18a、18b、18cは、冷却運転時に通過する冷媒を減圧して断熱膨張させるものであり、たとえばキャピラリ、温度膨張弁、電子膨張弁が使用される。
【0035】
分配器16は、冷媒を蒸発器19a、19b、19cに分配するためのものである。
【0036】
冷媒電磁弁17a、17b、17cは、圧縮機11で圧縮されて供給される冷媒を蒸発器19a、19b、19cへと循環させる冷媒回路を開閉するためのものである。
【0037】
蒸発器19aは、商品収納庫2a内を冷却するためのものであり、蒸発器19bは商品収容庫2b内を、蒸発器19cは商品収容庫2c内を冷却するためのものである。また、加熱熱交換器20は圧縮機11から供給される高温高圧の冷媒熱で商品収容庫2c内を加熱するためのものである。
【0038】
電熱ヒータ21bは商品収容庫2b内を加熱するためのものであり、電熱ヒータ21cは商品収容庫2c内を加熱するためのものである。
【0039】
集合器22は、蒸発器19a、19b、19cから内部熱交換器14の低圧側配管142を介して圧縮機11に還流する冷媒を集合するためのものである。
【0040】
そして、冷却加熱装置1で商品収容庫2a、2b、2c内を冷却する運転モードの場合、圧縮機11から三方弁12の矢印A方向、庫外熱交換器13、内部熱交換器14の高圧側配管141、膨張機構15を経由して分配器16に接続している。分配器16から一方は冷媒電磁弁17a、膨張機構18a、蒸発器19aを経由して集合器22に接続し、また、分配器16から冷媒電磁弁17b、膨張機構18b、蒸発器19bを経由して集合器22に接続し、さらに、分配器16から冷媒電磁弁17c、膨張機構18c、蒸発器19cを経由して集合器22に接続し、集合器22からは内部熱交換器14の低圧側配管142を経由して圧縮機11に冷媒が還流する冷媒回路を構成させている。
【0041】
このようにして構成した冷媒回路で、圧縮機11を運転して冷媒電磁弁17a、17b、17cを開放すると、圧縮機11で圧縮した冷媒が蒸発器19a、19b、19cへと循環することにより、蒸発器19a、19b、19cで冷媒が蒸発する際に発生する蒸発熱(潜熱)で冷却された空気をファン(図示せず)で循環させて商品収容庫2a、2b、2c内を冷却し、商品収容庫2a、2b、2cに収容している缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を冷却する。
【0042】
一方、商品収容庫2a、2bを冷却し、商品収容庫2cを加熱する冷却加熱の運転モードの場合、圧縮機11から三方弁12の矢印C方向、加熱熱交換器20、庫外熱交換器13、内部熱交換器14の高圧側配管141、膨張機構15を経由して分配器16に接続している。分配器16から一方は冷媒電磁弁17a、膨張機構18a、蒸発器19aを経由して集合器22に接続し、また、分配器16から冷媒電磁弁17b、膨張機構18b、蒸発器19bを経由して集合器22に接続し、集合器22からは内部熱交換器14の低圧側配管142を経由して圧縮機11に冷媒が還流する冷媒回路を構成させている。
【0043】
このようにして構成した冷媒回路で、圧縮機11を運転して冷媒電磁弁17a、17bを開放すると、圧縮機11で圧縮した高温高圧の冷媒が加熱熱交換器20を循環することにより、高温(例えば、約70°)になっている冷媒の高熱で加熱された空気をファンで循環させて商品収容庫2c内を加熱し、商品収容庫2cに収容している缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を加熱する。
【0044】
また、蒸発器19a、19bでは冷媒が蒸発する際に発生する蒸発熱(潜熱)で冷却された空気をファンで循環させて商品収容庫2a、2b内を冷却し、商品収容庫2a、2bに収容している缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を冷却する。
(実施の形態1)
図3は、本発明の実施の形態1に係る内部熱交換器14を示す図で、(a)はその斜視図、(b)はその管構造の断面図である。
【0045】
内部熱交換器14は、図3(b)に示すように、管壁が円周方向に凸部(山部)32aと凹部(谷部)32bとが交互に複数形成された多葉管32を円筒形の外管31内に該外管31と同一方向に配置し、凸部32a頂部の外面を外管31の内面に密着させ、凹部32b頂部の内面に円筒形の内管33の外面を密着させた構造とし、このように構成した管構造を図3(a)に示すようにコイル状に形成している。
【0046】
そして、内管33を接続管14a、14bに接続することで、内管33内に形成された流路を内部熱交換器14の高圧側配管141として接続管14aを庫外熱交換器13に接続し、接続管14bを膨張機構15に接続している。
【0047】
また、内管33と外管31との間に形成された流路に接続管14c、14dを接続することで、内管33と外管31との間に形成された流路を内部熱交換器14の低圧側配管142として接続管14cを集合器22に接続し、接続管14dを圧縮機11に接続している。
【0048】
このようにして冷却加熱装置1を構成している圧縮機11から庫外熱交換器13を介して供給される高温高圧の冷媒(第1流体)を接続管14aから内管33内に形成された高圧側配管141に通流させて接続管14bから膨張機構15に循環させる。
【0049】
また、膨張機構15から分配器16を経由して冷媒電磁弁17a、17b、17c、膨張機構18a、18b、18c、蒸発器19a、19b、19cを経由して集合器22から圧縮機11に還流する蒸発器19a、19b、19cで蒸発して低温低圧となった冷媒(第2流体)を接続管14cから内管33と外管31との間に形成された低圧側配管142に通流させて接続管14dから圧縮機11に還流させる。
【0050】
以上のように、本実施の形態1によれば、内部熱交換器14を、管壁が円周方向に凸部(山部)32aと凹部(谷部)32bとが交互に複数形成された多葉管32を円筒形の外管31内に該外管31と同一方向に配置し、凸部32a頂部の外面を外管31の内面に密着させ、凹部32b頂部の内面に円筒形の内管33の外面を密着させた構造とすることにより、高温高圧の冷媒を通流させる内管33を円筒形として高圧冷媒に対応する耐圧強度を保たせることができる。
【0051】
また、多葉管32の凸部32a頂部の外面を外管31の内面に密着させ、凹部32b頂部の内面に円筒形の内管33の外面を密着させているので、内管33を常に外管31の中央に固定することができる。このことにより、高温の冷媒が通流している高圧側配管である内管33と、内管33の外部を通流している低温の冷媒との熱交換面積が広くすることができるので、熱交換面積を有効に利用でき、そのうえ、多葉管32のフィン効果も相まって高効率な熱交換を実現することができ、ダウンサイジング、および、コストダウンを図ることができる。
【0052】
さらに、圧縮機11から庫外熱交換器13を介して供給される高温高圧の冷媒と蒸発器19a、19b、19cで蒸発して低温低圧となった冷媒とを内部熱交換器14内で逆向きの流れ(対向流)とすることで、高温の冷媒と低温の冷媒間の熱交換を効率良く行うことができる。
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2に係る熱交換器について図4を参照して説明する。図4は、内部熱交換器14を示す図で、(a)はその斜視図、(b)はその管構造の断面図である。なお、実施の形態1と同一構成に関しては同一符号を用いる。
【0053】
実施の形態1では、円筒形の外管31と、外管31内に該外管31と同一方向に配置され、管壁が円周方向に凸部32aと凹部32bとが交互に複数形成された多葉管32の凸部32a頂部の外面を外管31の内面に密着させ、凹部32b頂部の内面に円筒形の内管33の外面を密着させてなる構造とし、内管33内に形成された流路を流れる、冷却加熱装置1を構成している圧縮機11から供給される高温高圧の冷媒(第1流体)と、内管33と外管31との間に形成された流路を流れる、高温高圧の冷媒が蒸発器19a、19b、19cで蒸発して圧縮機11に還流する低温低圧の冷媒(第2流体)と、を熱交換させるようにしているが、この実施の形態2では、円筒形の外管31と、外管31内に該外管と同一方向に配置され、管壁が円周方向に凸部34aと凹部34bとが交互に複数形成された多葉管34の凸部34a頂部の外面を外管31の内面に密着させ、凹部34b頂部の内側面34cを互いに密着させてなる構造とし、多葉管34と外管31との間に形成された流路を流れる、冷却加熱装置1を構成している圧縮機11から供給される高温高圧の冷媒(第1流体)と、多葉管34内に形成された流路を流れる、高温高圧の冷媒が蒸発器19a、19b、19cで蒸発して圧縮機11に還流する低温低圧の冷媒(第2流体)と、を熱交換させるようにしている。
【0054】
そして、多葉管34と外管31との間に形成された流路に接続管14c、14dを接続することで、多葉管34と外管31との間に形成された流路を内部熱交換器14の高圧側配管141として接続管14dを庫外熱交換器13に接続し、接続管14cを膨張機構15に接続している。
【0055】
また、多葉管34を接続管14a、14bに接続することで、多葉管34内に形成された流路を内部熱交換器14の低圧側配管142として接続管14bを集合器22に接続し、接続管14aを圧縮機11に接続している。
【0056】
このようにして冷却加熱装置1を構成している圧縮機11から庫外熱交換器13を介して供給される高温高圧の冷媒(第1流体)を接続管14dから多葉管34と外管31との間に形成された高圧側配管141に通流させて接続管14cから膨張機構15に循環させる。
【0057】
また、膨張機構15から分配器16を経由して冷媒電磁弁17a、17b、17c、膨張機構18a、18b、18c、蒸発器19a、19b、19cを経由して集合器22から圧縮機11に還流する蒸発器19a、19b、19cで蒸発して低温低圧となった冷媒(第2流体)を接続管14bから多葉管34内に形成された低圧側配管142に通流させて接続管14aから圧縮機11に還流させる。
【0058】
以上のように、本実施の形態2によれば、内部熱交換器14を、管壁が円周方向に凸部(山部)34aと凹部(谷部)34bとが交互に複数形成された多葉管34を円筒形の外管31内に該外管31と同一方向に配置し、凸部34a頂部の外面を外管31の内面に密着させ、凹部34b頂部の内側面34cを互いに密着させてなる構造とすることにより、高温高圧の冷媒を通流させる内部熱交換器14で、多葉管34と外管31との間に形成された高圧側配管141に高圧冷媒を循環させても、凹部34b頂部の内側面34cが互いに密着させてあるので、高圧冷媒に対応する耐圧強度を保たせることができる。
【0059】
また、高温の冷媒が通流している高圧側配管である多葉管34外部と、多葉管34の内部を通流している低温の冷媒との熱交換面積が広くなるので、熱交換面積を有効に利用でき、高効率な熱交換を実現することができ、ダウンサイジング、および、コストダウンを図ることができる。
【0060】
また、本実施の形態2における内部熱交換器14は、上述したように円筒形の外管31と、外管31内に該外管と同一方向に配置され、管壁が円周方向に凸部34aと凹部34bとが交互に複数形成された多葉管34の凸部34a頂部の外面を外管31の内面に密着させ、凹部34b頂部の内側面34cを互いに密着させた構造であり、その実熱交換断面周長L(実)(多葉管34と外管31内部との密着面を除した有効熱交換周長)は、図5(a)に示す計算式で近似的に算出できる。この計算式によれば、外管31の外径φout(mm)と多葉管34と外管31との間に形成された流路を流れる高圧側圧力P(MPa)、及び管の材料許容応力σ(MPa)から、外管31の内径(多葉管34の外径)が決定され、さらに、多葉管34の葉数N(枚)から多葉管34の実熱交換断面周長L(実)が求められる。
【0061】
これにより、葉数N(枚)を多くするほど実熱交換断面周長L(実)は大きくなり、熱交換面積の増加により熱交換率は向上するが、N(葉数)を多くするに従って多葉管34内を流れる冷媒の流路面積や冷媒流速が減少して圧力損失も大きくなる。
【0062】
よって、熱交換率と圧力損失の両方から、実質熱交換比率を算出した結果、本実施の形態2における多葉管34の各葉数毎の実質熱交換比率は、図5(b)のグラフに示す結果となり、多葉管34の葉数が3葉乃至5葉の場合、従来の2重管(円筒内管)に対して熱交換比率は約60%向上し、同等の熱交換比率で比較した場合、約40%のダウンサイジング(小型化)効果があることがわかる。
【符号の説明】
【0063】
1 冷却加熱装置
11 圧縮機
14 内部熱交換器
141 高圧側配管
142 低圧側配管
19a 蒸発器
19b 蒸発器
19c 蒸発器
31 外管
32 多葉管
32a 凸部
32b 凹部
33 内管
34 多葉管
34a 凸部
34b 凹部
34c 内側面












【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形の外管と、前記外管内に該外管と同一方向に配置され、管壁が円周方向に凸部と凹部とが交互に複数形成された多葉管の前記凸部頂部の外面を前記外管の内面に密着させ、前記凹部頂部の内面に円筒形の内管の外面を密着させてなる構造としたことを特徴とする内部熱交換器。
【請求項2】
前記内管内に形成された流路を流れる第1流体と、前記内管と前記外管との間に形成された流路を流れる第2流体と、を熱交換させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の内部熱交換器。
【請求項3】
円筒形の外管と、前記外管内に該外管と同一方向に配置され、管壁が円周方向に凸部と凹部とが交互に複数形成された多葉管の前記凸部頂部の外面を前記外管の内面に密着させ、前記凹部頂部の内側面を互いに密着させてなる構造としたことを特徴とする内部熱交換器。
【請求項4】
前記多葉管と前記外管との間に形成された流路を流れる第1流体と、前記多葉管内に形成された流路を流れる第2流体と、を熱交換させるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の内部熱交換器。
【請求項5】
前記第1流体が冷却加熱装置を構成している圧縮機から供給される高温高圧の冷媒であり、前記第2流体が前記高温高圧の冷媒が蒸発器で蒸発して前記圧縮機に還流する低温低圧の冷媒であることを特徴とする請求項2または請求項4に記載の内部熱交換器。











【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−189312(P2012−189312A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−32651(P2012−32651)
【出願日】平成24年2月17日(2012.2.17)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】