説明

熱交換器

【課題】2種類の流体の流れを対向流にして伝熱性能を向上させるとともに、温度の異なる温水を得ることができ、または、単数の箱体内に複数の熱交換器を形成した熱交換器を提供する。
【解決手段】箱体1内に設けられた第一流路6内を流れる一方の流体と、前記第一流路6内に配置された少なくとも2つの第二流路10内を流れる他方の流体とで熱交換を行う熱交換器であって、前記第二流路10の一方の流路が、前記第一流路6の上流側に配置され、前記第二流路(流路管)10の他方の流路が、前記第一流路6の下流側に配置された構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種類の流体の間で熱交換する熱交換器に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
かかる熱交換器は、図8(A)および図8(B)に示すように、2種類の流体の間で熱交換を行う熱交換器100において、伝熱面積の増大で伝熱性能の向上を図り、小型化を図るものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
すなわち、絞り成形した2種類のプレート101a,101bを、周縁102a,102bを接合して薄型矩形の箱体を形成し、波形成形した流路部材103の壁面104に、左右交互の側端位置に開孔105を形成し、この流路部材103を、上下折り返し面をプレート101a,101bに接合して箱体内に収納し、箱体の周縁102a,102bに開口した入口106a,106bから出口107a,107bに到る一方の流体(水)の流路108を形成し、他方の流体(冷媒)の入口109と出口110とを有する細管111を箱体の外面に蛇行状に添設することで、箱体をなすプレート101a,101bに接合して他方の流体の流路を形成していた。
【0004】
しかしながら、箱体内に形成された流路108に対し、細管111による他方の流体の流路が箱体の外側に形成されているため、また、流路108を流れる流体と、細管111を流れる他方の流体とが対向流となっていないことから、一方の流体と他方の流体との間で充分な伝熱性能を得ることができなかった。そのため、伝熱性能を高めるとともに、更に熱交換器の小型化を図ることが困難になっていた。
【0005】
また、箱体の内部には、入口106a,106bから出口107a,107bに到る流路108が形成されるとともに、入口109から出口110に到る細管111からなる他方の流体の流路が形成されているため、例えば、流路108から、一方の流体である水を、一段階または二段階に加熱した温度の異なる温水として得ることができなかった。
【0006】
また、流路108から、低温から高温に加熱した温水や、低温から中温に加熱した温水等、温度の異なる温水を個別に得ることができないという問題点を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−314975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、2種類の流体の流れを対向流にして伝熱性能を向上させるとともに、温度の異なる温水を得ることができ、または、単数の箱体内に複数の熱交換器を形成した熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成できるように構成するため、本発明は以下に示す特徴を備えている。
【0010】
箱体内に設けられた第一流路内を流れる一方の流体と、前記第一流路内に配置された少なくとも2つの第二流路内を流れる他方の流体とで熱交換を行う熱交換器であって、
前記第二流路の一方の流路が、前記第一流路の上流側に配置され、前記第二流路の他方の流路が、前記第一流路の下流側に配置されたことを特徴としている。
【0011】
また、箱体内に設けられた少なくとも2つの第一流路内を流れる一方の流体と、前記第一流路内に配置された第二流路内を流れる他方の流体とで熱交換を行う熱交換器であって、
前記第二流路が、少なくとも2つの前記第一流路内を連通して配置されたことを特徴としている。
【0012】
また、箱体内に設けられた少なくとも2つの第一流路内を流れる一方の流体と、前記第一流路内に配置された第二流路内を流れる他方の流体とで熱交換を行う熱交換器であって、
前記第二流路が、少なくとも2つの前記第一流路内にそれぞれ配置されたことを特徴としている。
【0013】
また、前記第一流路が、前記箱体内に蛇行状に形成されてなることを特徴としている。
【0014】
また、前記第一流路が、前記箱体内に渦巻き状に形成されてなることを特徴としている。
【0015】
また、前記第一流路と前記第二流路とは、前記一方の流体と前記他方の流体とが対向流となるように構成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、2種類の流体の流れを対向流にして伝熱性能を向上させるとともに、温度の異なる温水を得ることができ、または、単数の箱体内に複数の熱交換器を形成した熱交換器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による熱交換器の第一の実施の形態の説明図で、(A)は上プレートと下プレートの説明図であり、(B)は図2に示すA−A断面図である。
【図2】本発明による熱交換器の第一の実施の形態を示す説明図で、(A)は分解図であり、(B)は流体の流れを示す模式図である。
【図3】本発明による熱交換器の第二の実施の形態の説明図で、(A)は分解図であり、(B)は流体の流れを示す模式図である。
【図4】本発明による熱交換器の第三の実施の形態の説明図で、(A)は分解図であり、(B)は流体の流れを示す模式図である。
【図5】本発明による熱交換器の第四の実施の形態の説明図で、(A)は上プレートと下プレートの説明図であり、(B)は図6に示すB−B断面図である。
【図6】本発明による熱交換器の第四の実施の形態を示す分解図である。
【図7】本発明による熱交換器の要部説明図で、(A)は平面図であり、(B)は断面図であり、(C)は下方から見た図である。
【図8】従来例による熱交換器の説明図で、(A)は要部分解斜視図であり、(B)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
【0019】
本発明による熱交換器は、例えば、冷媒を熱源とするヒートポンプ式の給湯機などに組み込まれるタイプのものであって、一方の流体である水と、他方の流体であり熱源となる冷媒との間で効率よく熱交換できて小型化を図れるように構成することで、効果的に昇温させた温水を供給できるようにするものである。
【0020】
そのための構成として、図1乃至図7に示すように、上プレート21および下プレート22からなり、一方の流体(水)の入口4と出口5とを備えた薄型箱形状の箱体1と、箱体1の内部に入口4から出口5に到るように曲折形成された第一流路6,61,62と、箱体1に備えた他方の流体(冷媒)の入口8,81,82と出口9,91,92とにそれぞれ連通し、第一流路6,61,62内に設置される流路管からなる第二流路10とを備えている。
【0021】
図2乃至図4および図6は熱交換器を説明するための分解図であり、第一流路6,61,62内に第二流路10が設置され、第一流路6,61,62を流通する一方の流体の流れ(矢印A,A1,A2)と、第二流路10を流通する他方の流体の流れ(矢印B,B1,B2)とが対向流となるように構成している。
【0022】
例えば、図8(A)および図8(B)に示す熱交換器100においては、水と冷媒用の細管111とが直に接触していないため、この細管111の外側に放熱する分だけ熱損失が生じる。これに対し、本発明の実施の形態においては、第一流路6,61,62内で水と第二流路10とが直に接触しているため、水と冷媒との間で効率よく熱交換できることになる。
【0023】
また、第一流路6,61,62を流れる水と、第二流路10を流れる冷媒とが対向して流通するように構成されていることから、水と冷媒とが直交して流通する構成に較べて、水と冷媒との間で効率よく熱交換できることになる。
【0024】
なお、第一流路6,61,62の底部は、図示はしないが、略中央を外側に膨出させた曲面形状にしてもよく、これによって、一方の流体の物性や温度や流速などに応じて、第一流路6,61,62の断面形状や断面積を変化させることで熱交換器としての性能を最適化できる。
【0025】
第一流路6,61,62を構成する上プレート21についても、図示しない底部と同じく曲面形状にしてもよく、これによって、一方の流体の物性や温度や流速などに応じて、第一流路6,61,62の断面形状や断面積を変化させることで熱交換器としての性能を最適化できる。また、図示はしないが、第一流路6,61,62の断面形状を適宜変えることで、スケールによって第一流路6,61,62が詰まりにくい構成にしてもよい。
【0026】
第一流路6,61,62内の水と第二流路10とが直に接触するように、箱体1内に形成された単数または複数の第一流路6,61,62内に、単数または複数の第二流路10が設置された構成にすることで、2種類の流体間における伝熱性能を高めて熱交換器としての性能を向上させることができるため、熱交換器の小型化を図れるようになる。
【0027】
また、単数または複数の第一流路6,61,62内に、単数または複数の第二流路10が設置されたことによって、詳細については後述するが、例えば、温水を二段階に加熱することで、1つの冷凍サイクルでは達成が困難だった温度まで温水を加熱できるようになる。または、第一流路6,61,62内の一方の水は低温から中温に加熱でき、他方の水は低温から高温に加熱できるようになる。または、単数の箱体1内に独立した複数の熱交換器を形成できるようになる。
【0028】
なお、2種類の流体は、水と冷媒とに限定しない。例えば、空気の流れと冷媒の流れとを対向させた構成にすることで、空気調和機に用いられる熱交換器の性能を高めて、空気調和機の高性能化、あるいは小型化に寄与できるようになる。
<第一の実施の形態>
【0029】
ここで、本発明による熱交換器の第一の実施の形態について、図1(A)および図1(B)と、図2(A)および図2(B)と、図7(A)乃至図7(C)とに基づいて、以下に説明する。
【0030】
箱体1は、円形の浅底容器形(凹状)に成形された上プレート21と、これに対応して円形の浅底容器形(凹状)に成形された下プレート22とからなり、下プレート22の側部外周面に形成された下プレートねじ部34に、上プレート21の側部内周面に形成された上プレートねじ部35をねじ締めする構成になっている。箱体1は、合成樹脂からなる構成にすることにより、例えば、箱体1が金属製である場合に較べて表面からの伝熱による熱損失を少なくできる。なお、箱体1の素材は、合成樹脂に限定はしない。
【0031】
箱体1を構成する上プレート21は、その内面に、下プレート22の上端部に対向する水漏れを防ぐためのパッキン11が設けられており、上プレートねじ部35が下プレートねじ部34にねじ締めされることで、箱体1が密閉されて第一流路6が形成される。
【0032】
箱体1を構成する下プレート22は、一方の流体の入口4と出口5とを備えており、この一方の流体の入口4と出口5とを蛇行状に結ぶように、立ち上がり部71と、隣り合う立ち上がり部71同士を連通する連通部72とで蛇行形成した単数の第一流路6を備えている。
【0033】
図1(A)および図1(B)に示す一方の流体の入口4および出口5には、図示はしないが、第一流路6に接続される管体が、水漏れを防ぐためのパッキンを介装してフレアナットにより締結されている。
【0034】
また、下プレート22は、他方の流体の第一の入口81および第一の出口91と、他方の流体の第二の入口82および第二の出口92とを備えており、第二の入口82および第二の出口92を結ぶように、第一流路6内の上流側に設置された流路管による他方の流路101bと、第一の入口81および第一の出口91を結ぶように、第一流路6内の下流側に設置された流路管による一方の流路101aとからなる第二流路10を備えている。
【0035】
他方の流体の第一の入口81および第一の出口91には、一方の流路101aの両端部10aに固定(ロウ付け)された管体104が、水漏れを防ぐためのOリング105を介装してナット106により締結されている。
【0036】
同様に、他方の流体の第二の入口82および第二の出口92には、他方の流路101bの両端部10aを連結するための管体104が、水漏れを防ぐためのOリング105を介装してナット106で締結されている。
【0037】
第二流路10(一方の流路101a,他方の流路101b)の両端部10aに固定された管体104は、図7(A)乃至図7(C)に示すように、補助曲げ部102で下方に折り曲げられた冷媒入出部103を、他方の流体の第一の入口81および第一の出口91と、他方の流体の第二の入口82および第二の出口92とに、Oリング105を介装してナット106により締結している。
【0038】
本発明の第一の実施の形態による熱交換器は、図1(A)と、図2(A)と、図7(A)乃至図7(C)とに示すように、下プレート22に設けられた第一流路6内に、第二流路10を構成する一方の流路101aおよび他方の流路101bが設置され、これらの両端部10aに固定された管体104が他方の流体の第二の入口82および第二の出口92にナット106で締結され、パッキン11を備えた上プレート21の上プレートねじ部35が下プレートねじ部34にねじ締めされてなる。
【0039】
これにより、図2(A)および図2(B)に示すように、一方の流体の入口4から流入した一方の流体である水は、第一流路6内を蛇行しながら流通することにより、図2(B)の矢印A−Aに示すように流通して、一方の流体の出口5に到る。
【0040】
これに対し、他方の流体の第一の入口81から、第二流路10の一方の流路101aに流入した他方の流体である冷媒は、第一流路6内の水と直に接触する第二流路10の一方の流路101aによって、図2(B)の破線の矢印B1−B1に示すように第一流路6内の水の流れに対向して流通し、他方の流体の第一の出口91に到ることになる。
【0041】
また、他方の流体の第二の入口82から、第二流路10の他方の流路101bに流入した冷媒は、第一流路6内の水と直に接触する他方の流路101bによって、図2(B)の実線の矢印B2−B2に示すように第一流路6内の水の流れに対向して流通し、他方の流体の第二の出口92に到ることになる。
【0042】
第一流路6内の水と、第二流路10の一方の流路101aおよび他方の流路101bとは直に接触していることから、また、水と冷媒とは対向流であることから、水と冷媒とが効率よく熱交換される。
【0043】
そのため、一方の流体の入口4から流入した水は、第一流路6内を図2(B)に示す矢印A−Aのように流通しながら、実線の矢印B2−B2に示す対向流のように、他方の流体の第二の入口82から他方の流体の第二の出口92に到る冷媒との間で熱交換されて温度上昇し、更に、破線の矢印B1−B1に示す対向流のように、他方の流体の第一の入口81から他方の流体の第一の出口91に到る冷媒との間でも熱交換されて温度上昇することになり、二段階に加熱された高温の温水を得ることができる。
【0044】
また、第二流路10の一方の流路101aおよび他方の流路101bは、例えば、破線の矢印B1−B1に示す冷媒の流れ(一方の流路101a内の冷媒)だけを停止することによって、第一流路6内の水が、他方の流体の第二の入口82から他方の流体の第二の出口92に到る冷媒との間のみで熱交換されて温度上昇することになり、実線の矢印B2−B2および破線の矢印B1−B1に示す冷媒との間で熱交換される場合に較べて、低い温度に加熱された温水を得ることができる。
なお、この場合、実線の矢印B2−B2に示す冷媒の流れ(第二流路10の他方の流路101b内の冷媒)だけを停止することによって、同様に、低い温度に加熱された温水を得るようにしてもよい。
<第二の実施の形態>
【0045】
次に、本発明による熱交換器の第二の実施の形態について、図3(A)および図3(B)に基づいて、以下に説明する。
【0046】
箱体1は、内部に第一流路6を構成する一方の流路61および他方の流路62を備えた構成になっており、これら一方の流路61および他方の流路62に図示しない管体が接続される構成や、第二流路10の両端部10aに固定された管体104が他方の流体の入口8および出口9に、図7(B)および図7(C)に示すナット106により締結される構成や、上プレート21およびパッキン11の構成などは第一の実施の形態と同一なので、説明の重複は避ける。
【0047】
箱体1を構成する下プレート22は、一方の流体の第一の入口41および第一の出口51と、第二の入口42および第二の出口52とを備えており、これら第一の入口41および第一の出口51と、第二の入口42および第二の出口52とをそれぞれ蛇行状に結ぶように、立ち上がり部71と、隣り合う立ち上がり部71同士を連通する連通部72とで蛇行形成した一方の流体の一方の流路61および他方の流路62を備えている。
【0048】
本発明の第二の実施の形態による熱交換器は、図3(A)と、図7(A)乃至図7(C)とに示すように、第二流路10の一部が下プレート22に設けられた第一流路6の一方の流路61内に設置され、第二流路10の中央部が一方の流体の一方の流路61および他方の流路62を連通する連通部63に設置されるとともに、第二流路10の残り半分が第一流路6の他方の流路62内に設置されるように構成されている。なお、連通部63に第二流路10の中央部を挿通させたのち、連通部63と第二流路10との隙間は充填剤を詰めることで密閉する。また、図示はしないが、充填剤の代りに第二流路10に挿通したパッキンを用いてもよい。
【0049】
これにより、図3(A)および図3(B)に示すように、一方の流体の第一の入口41から流入した一方の流体である水は、第一流路6の一方の流路61内を蛇行しながら流通することにより、図3(B)の矢印A1−A1に示すように流通して、一方の流体の第一の出口51に到る。
【0050】
また、図3(A)および図3(B)に示すように、一方の流体の第二の入口42から流入した一方の流体である水は、第一流路6の他方の流路62内を蛇行しながら流通することにより、図3(B)の矢印A2−A2に示すように流通して、一方の流体の第二の出口52に到る。
【0051】
これに対し、他方の流体の入口8から第二流路10に流入した他方の流体である冷媒は、一方の流体の他方の流路62内の水と直に接触する第二流路10と、第一流路6の一方の流路61内の水と直に接触する第二流路10とによって、図3(B)の実線の矢印B−Bに示すように、第一流路6の他方の流路62および一方の流路61内の水の流れに対向して流通し、他方の流体の出口9に到ることになる。
【0052】
第一流路6の一方の流路61および他方の流路62内の水と、第二流路10とは直に接触しており、また、水と冷媒とは対向流であることから、水と冷媒とが効率よく熱交換される。
【0053】
そのため、一方の流体の第二の入口42から流入した水は、第一流路6の他方の流路62内を図3(B)に示す矢印A2−A2のように流通しながら、実線の矢印B−Bに示す対向流のように、他方の流体の入口8から他方の流体の出口9に向かう冷媒との間で熱交換されて温度上昇し、また、一方の流体の第一の入口41から流入した水は、第一流路6の一方の流路61内を図3(B)に示す矢印A1−A1のように流通しながら、他方の流体の入口8から他方の流体の出口9に到る冷媒との間で熱交換されて温度上昇することになる。
【0054】
その際、図3(B)に示す矢印A2−A2のように流通する水は、他方の流体の入口8から流入して出口9に向かう冷媒との間で熱交換されることにより、所定の温度に加熱された温水として、一方の流体の第二の出口52から得ることができる。
【0055】
その時に、図3(B)に示す実線の矢印B−Bのように流通する冷媒は、矢印A2−A2のように流通する水と熱交換されることで温度が低下することになる。そのため、温度が低下したこの冷媒が、他方の流体の出口9に向かいながら、矢印A1−A1のように流通する水と熱交換されることになる。
【0056】
これにより、矢印A1−A1のように流通する水は、矢印A2−A2のように流通する水の温度よりも低い温度に上昇した温水として、一方の流体の第一の出口51から得ることができる。
<第三の実施の形態>
【0057】
次に、本発明による熱交換器の第三の実施の形態について、図4(A)および図4(B)に基づいて、以下に説明する。
【0058】
箱体1は、内部に第一流路6を構成する一方の流路61および他方の流路62を備えた構成になっており、これら一方の流路61および他方の流路62に図示しない管体が接続される構成や、一方の流路61内に設置される流路管による他方の流路101bおよび他方の流路62内に設置される流路管による一方の流路101aの両端部10aに固定された管体104が、他方の流体の第一の入口81および第一の出口91に、図7(B)および図7(C)に示すナット106により締結され、他方の流体の第二の入口82および第二の出口92に、図7(B)および図7(C)に示すナット106により締結される構成や、上プレート21およびパッキン11の構成などは第一の実施の形態または第二の実施の形態と同一なので、説明の重複は避ける。
【0059】
箱体1を構成する下プレート22は、一方の流体の第一の入口41および第一の出口51と、第二の入口42および第二の出口52とを備えており、これら第一の入口41および第一の出口51と、第二の入口42および第二の出口52とをそれぞれ蛇行状に結ぶように、立ち上がり部71と、隣り合う立ち上がり部71同士を連通する連通部72とで蛇行形成した一方の流体の一方の流路61および他方の流路62を備えている。
【0060】
本発明の第三の実施の形態による熱交換器は、図4(A)と、図7(A)乃至図7(C)とに示すように、第二流路10の他方の流路101bが下プレート22に設けられた第一流路6の一方の流路61内に設置され、第二流路10の一方の流路101aが、第一流路6の他方の流路62内に設置されるように構成されている。
【0061】
これにより、図4(A)および図4(B)に示すように、一方の流体の第一の入口41から流入した一方の流体である水は、第一流路6の一方の流路61内を蛇行しながら流通することにより、図4(B)の矢印A1−A1に示すように流通して、一方の流体の第一の出口51に到る。
【0062】
また、図4(A)および図4(B)に示すように、一方の流体の第二の入口42から流入した一方の流体である水は、第一流路6の他方の流路62内を蛇行しながら流通することにより、図4(B)の矢印A2−A2に示すように流通して、一方の流体の第二の出口52に到る。
【0063】
これに対し、他方の流体の第一の入口81から第二流路10の一方の流路101aに流入した他方の流体である冷媒は、第一流路6の他方の流路62内の水と直に接触する第二流路10の一方の流路101aによって、図4(B)の破線の矢印B1−B1に示すように、第一流路6の他方の流路62内の水の流れに対向して流通し、他方の流体の第一の出口91に到ることになる。
【0064】
また、他方の流体の第二の入口82から他方の流路101bに流入した他方の流体である冷媒は、第一流路6の一方の流路61内の水と直に接触する第二流路10の他方の流路101bによって、図4(B)の実線の矢印B2−B2に示すように、一方の流体の一方の流路61内の水の流れに対向して流通し、他方の流体の第二の出口92に到ることになる。
【0065】
第一流路6の一方の流路61内の水と、第二流路10の他方の流路101bとは直に接触しており、また、第一流路6の他方の流路62内の水と、第二流路10の一方の流路101aとは直に接触していることから、また、水と冷媒とは対向流であることから、水と冷媒とが効率よく熱交換される。
【0066】
そのため、一方の流体の第二の入口42から流入した水は、第一流路6の他方の流路62内を図4(B)に示す矢印A2−A2のように流通しながら、破線の矢印B1−B1に示す対向流のように、他方の流体の第一の入口81から第一の出口91に向かう冷媒との間で熱交換され加熱された温水として、一方の流体の第二の出口52から得られることになる。
【0067】
また、一方の流体の第一の入口41から流入した水は、第一流路6の一方の流路61内を図4(B)に示す矢印A1−A1のように流通しながら、他方の流体の第二の入口82から第二の出口92に到る冷媒との間で熱交換され加熱された温水として、一方の流体の第一の出口51から得られることになる。
【0068】
これにより、一方の流体の第二の出口52から温水を得ることができる1つ目の熱交換器と、一方の流体の第一の出口51から温水を得ることができる2つ目の熱交換器とによる2つの熱交換器を、1つの箱体1内に形成できるようになる。
【0069】
なお、この場合、一方の流体の第一の入口41から流入する水と、実線の矢印B2−B2に示す冷媒の流れとを停止することで、一方の流体の第二の出口52だけから温水を得ることができる熱交換器としてもよく、または、一方の流体の第二の入口42から流入する水と、破線の矢印B1−B1に示す冷媒の流れとを停止することで、一方の流体の第一の出口51だけから温水を得ることができる熱交換器としてもよい。
<第四の実施の形態>
【0070】
次に、本発明による熱交換器の第四の実施の形態について、図5(A)および図5(B)と、図6(A)および図6(B)とに基づいて、以下に説明する。
【0071】
箱体1は、内部に第一流路6を渦巻き状に備えた構成になっており、この第一流路6に図示しない管体が接続される構成や、第一流路6内に設置される第二流路10を構成する流路管による一方の流路101aおよび他方の流路101bの両端部10aに固定された管体104が、他方の流体の第一の入口81および第一の出口91に、図7(B)および図7(C)に示すナット106により締結され、他方の流体の第二の入口82および第二の出口92に、図7(B)および図7(C)に示すナット106により締結される構成や、上プレート21およびパッキン11の構成などは第一の実施の形態乃至第三の実施の形態と同一であるので、説明の重複は避ける。
【0072】
渦巻き状に形成された第一流路6には、その内部に、渦巻き状に形成された第二流路10の一方の流路101aおよび他方の流路101bが、他方の流体の第一の入口81から第一の出口91に到り、他方の流体の第二の入口82から第二の出口92に到るようにそれぞれ設置されている。
【0073】
本発明の第四の実施の形態による熱交換器は、図5(A)および図5(B)と、図6と、図7(A)乃至図7(C)とに示すように、第一流路6が渦巻き状に形成されたことで、これらが蛇行状に折曲形成された場合に較べて流路の曲げR(曲率半径)が大きくなり、その内部を流通する一方の流体である水の流通抵抗を低減できるようになる。
【0074】
また、第四の実施の形態による熱交換器は、図1(A)および図1(B)と、図2(A)および図2(B)とに基づいて説明した第一の実施の形態による熱交換器の場合と同様に、単数による第一流路6と、第二流路10を構成する一方の流路101aおよび他方の流路101bとを備えた構成として説明している。
【0075】
なお、第一流路6や第二流路10が渦巻き状に形成される構成については、第二の実施の形態と同様に、複数による一方の流路61および他方の流路62と、単数による第二流路10とを備えた構成にしてもよく、また、第三の実施の形態と同様に、複数による一方の流路61および他方の流路62と、複数による一方の流路101aおよび他方の流路101bとを備えた構成にしても同様の効果を得ることができるが、ここでは、同様の図示および説明の重複は避ける。
【0076】
以上説明したように、本発明の構成によれば、単数または複数による第一流路6内に、単数または複数による第二流路10を設置することで、2種類の流体の流れを対向流にして伝熱性能を向上させるとともに、温度の異なる温水を得ることができ、または、単数の箱体1内に複数の熱交換器を形成できるようになる。
【符号の説明】
【0077】
1 箱体
21 上プレート
22 下プレート
34 下プレートねじ部
35 上プレートねじ部
4 一方の流体(水)の入口
41 第一の入口
42 第二の入口
5 一方の流体(水)の出口
51 第一の出口
52 第二の出口
6 第一流路
61 一方の流路
62 他方の流路
63 連通部
71 立ち上がり部
72 連通部
8 他方の流体(冷媒)の入口
81 第一の入口
82 第二の入口
9 他方の流体(冷媒)の出口
91 第一の出口
92 第二の出口
10 第二流路
101a 一方の流路
101b 他方の流路
102 補助曲げ部
103 冷媒入出部
104 管体
105 Oリング
106 ナット
10a 両端部
10b 折曲部
11 パッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体内に設けられた第一流路内を流れる一方の流体と、前記第一流路内に配置された少なくとも2つの第二流路内を流れる他方の流体とで熱交換を行う熱交換器であって、
前記第二流路の一方の流路が、前記第一流路の上流側に配置され、前記第二流路の他方の流路が、前記第一流路の下流側に配置されたことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
箱体内に設けられた少なくとも2つの第一流路内を流れる一方の流体と、前記第一流路内に配置された第二流路内を流れる他方の流体とで熱交換を行う熱交換器であって、
前記第二流路が、少なくとも2つの前記第一流路内を連通して配置されたことを特徴とする熱交換器。
【請求項3】
箱体内に設けられた少なくとも2つの第一流路内を流れる一方の流体と、前記第一流路内に配置された第二流路内を流れる他方の流体とで熱交換を行う熱交換器であって、
前記第二流路が、少なくとも2つの前記第一流路内にそれぞれ配置されたことを特徴とする熱交換器。
【請求項4】
前記第一流路が、前記箱体内に蛇行状に形成されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第一流路が、前記箱体内に渦巻き状に形成されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の熱交換器。
【請求項6】
前記第一流路と前記第二流路とは、前記一方の流体と前記他方の流体とが対向流となるように構成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の熱交換器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−202577(P2012−202577A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65842(P2011−65842)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】