説明

熱交換器

【課題】本発明に係る熱交換器は、製造コストを抑えることができる。
【解決手段】熱源側熱交換器3は、内部を冷媒が流れる第1ヘッダ31aおよび第2ヘッダ31bと、複数の第1扁平多穴管32aおよび複数の第2扁平多穴管32bと、リターンヘッダ31cとを備える。第1扁平多穴管32aおよび第2扁平多穴管32bは、それぞれ、複数の冷媒流路穴33a,33bを有する扁平管である。第1扁平多穴管32aおよび第2扁平多穴管32bは、冷媒と熱交換される空気が流れる第1方向に沿って、複数の列をなすように配置され、かつ、第1ヘッダ31aおよび第2ヘッダ31bの長手方向である第2方向に沿って、複数の段をなすように配置される。リターンヘッダ31cは、段ごとに、冷媒流路穴33a,33bが開口する冷媒合流空間35を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1(特開平8−145580号公報)に開示されているように、冷媒と熱交換される空気の通風方向に沿って複数列の扁平多穴管が設けられている熱交換器が用いられている。この熱交換器は、1本の扁平多穴管を折り曲げることによって形成された複数列の扁平多穴管を備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、業務用の空気調和機に用いられるような有効長が大きい熱交換器を製造する場合、1本の扁平多穴管を精度良く折り曲げることは困難である。また、1本の扁平多穴管を折り曲げて複数列の扁平多穴管を形成する場合、扁平多穴管の折り曲げ部を設置するための十分なスペースを確保する必要がある。そのため、この熱交換器では、製造工程における折り曲げ加工および組み立て加工などのコストが高くなる。
【0004】
本発明の目的は、製造コストを抑えることができる熱交換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る熱交換器は、内部を冷媒が流れるヘッダと、複数の扁平多穴管と、継手部材とを備える。扁平多穴管は、冷媒が流れる複数の冷媒流路穴を有する扁平管である。扁平多穴管は、冷媒と熱交換される空気が流れる第1方向に沿って複数の列をなすように配置される。扁平多穴管は、ヘッダの長手方向である第2方向に沿って複数の段をなすように配置される。扁平多穴管は、第2方向に交差する方向に延びる。継手部材は、冷媒合流空間を、段ごとに形成する。冷媒合流空間は、異なる列の2つの扁平多穴管が有する冷媒流路穴が開口する空間である。
【0006】
第1観点に係る熱交換器は、例えば、冷房運転時における空気調和装置の冷媒回路において、圧縮機構によって圧縮された高圧の冷媒と、外気との間で熱交換をさせることによって、冷媒を冷却する放熱器である。この熱交換器では、外気と熱交換される冷媒が流れる冷媒流路穴を有する扁平多穴管が、複数列かつ複数段配置される。同じ段に配置される異なる列の扁平多穴管の冷媒流路穴は、継手部材の冷媒合流空間を介して、互いに連通している。第1観点に係る熱交換器では、ヘッダ内部に供給された冷媒は、段ごとに、扁平多穴管の複数の冷媒流路穴に分流する。分流した冷媒は、段ごとに、冷媒合流空間において一時的に合流する。そして、合流した冷媒は、段ごとに、他の列の扁平多穴管の複数の冷媒流路穴に分流する。分流した冷媒は、最終的に、他のヘッダ内部で合流して、冷媒回路に送られる。冷媒合流空間は、扁平多穴管の段ごとに形成されるので、ある段に配置される扁平多穴管の冷媒流路穴は、異なる段に配置される扁平多穴管の冷媒流路穴と連通しない。
【0007】
第1観点に係る熱交換器は、冷媒と外気との間で熱交換が行われる扁平多穴管の有効長を大きくするために、複数列に配置された扁平多穴管が継手部材によって連結されている構成を有する。従って、第1観点に係る熱交換器は、製造コストを抑えることができる。
【0008】
本発明の第2観点に係る熱交換器は、第1観点に係る熱交換器において、ヘッダは、鉛直方向に延びるように配置され、かつ、扁平多穴管は、第1方向に沿って冷媒流路穴が配置される構成を有する。
【0009】
本発明の第3観点に係る熱交換器は、第1観点または第2観点に係る熱交換器において、継手部材は、背板と、固定部材と、スペーサ部材と、接着部材とを有する。背板は、扁平多穴管の端面に対向して配置される。固定部材は、扁平多穴管の端部を固定する。スペーサ部材は、背板と固定部材との間に挟まれ、かつ、背板および固定部材と共に冷媒合流空間を形成する。接着部材は、扁平多穴管の端部が接着され、かつ、背板と固定部材とスペーサ部材とを保持する。
【0010】
本発明の第4観点に係る熱交換器は、第3観点に係る熱交換器において、継手部材は、第2方向に沿って、複数の冷媒合流空間を形成する。
【0011】
第4観点に係る熱交換器では、継手部材は、複数段の扁平多穴管の端部を固定することができる形状を有している。そのため、熱交換器を組み立てる際に、継手部材に、複数段の扁平多穴管の端部を同時にロウ付け加工等することができるので、製造コストを抑えることができる。
【0012】
本発明の第5観点に係る熱交換器は、第1観点から第4観点のいずれか1つに係る熱交換器において、冷媒は、二酸化炭素である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る熱交換器は、製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態における、空気調和装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態における、熱源側熱交換器の正面図である。
【図3】本発明の実施形態における、熱源側熱交換器の上面図である。
【図4】本発明の実施形態における、熱源側熱交換器の扁平多穴管の断面図である。
【図5】本発明の実施形態における、リターンヘッダの各構成部品の配置を表す外観図である。
【図6】本発明の実施形態における、熱源側熱交換器のリターンヘッダ近傍の断面図である。
【図7】本発明の実施形態における、管接着部材の正面図である。
【図8】本発明の実施形態における、管固定部材の正面図である。
【図9】本発明の実施形態における、スペーサ部材の正面図である。
【図10】本発明の実施形態における、熱源側熱交換器内の冷媒の流れを表す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る熱交換器の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明に係る熱交換器の実施形態は、本発明の具体例の一つであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0016】
(1)空気調和装置の構成
図1は、本発明に係る熱交換器を備える冷凍装置の一例としての空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、冷房運転が可能となるように構成された冷媒回路10を有し、二酸化炭素等の超臨界域で作動する冷媒を用いる冷凍サイクルを行う。
【0017】
冷媒回路10は、主として、圧縮機構2と、熱源側熱交換器3と、膨張機構4と、利用側熱交換器5とを有している。次に、これらの構成要素について説明する。
【0018】
(1−1)圧縮機構
圧縮機構2は、冷凍サイクルにおける低圧から、冷凍サイクルにおける高圧まで冷媒を圧縮する。圧縮機構2は、ケーシング21a内に、圧縮要素駆動モータ21bと、駆動軸21cと、圧縮要素2cとが収容された密閉式構造を有している。圧縮要素駆動モータ21bは、駆動軸21cに連結されている。駆動軸21cは、圧縮要素2cに連結されている。圧縮要素駆動モータ21bは、駆動軸21cを介して圧縮要素2cを駆動する。圧縮機構2は、吸入管2aから低圧の冷媒を吸入し、吸入された冷媒を圧縮要素2cによって圧縮し、圧縮された高圧の冷媒を吐出管2bに吐出する。
【0019】
(1−2)熱源側熱交換器
熱源側熱交換器3は、圧縮機構2によって圧縮された高圧の冷媒を冷却する放熱器である。熱源側熱交換器3は、冷却源としての空気と、熱源側熱交換器3内を流れる冷媒との間で熱交換をさせる。熱源側熱交換器3は、第1高圧冷媒管3aおよび吐出管2bを介して、圧縮機構2に接続されている。第1高圧冷媒管3aは、熱源側熱交換器3の入口と、吐出管2bとに接続される冷媒管である。また、熱源側熱交換器3は、第2高圧冷媒管3bを介して、膨張機構4に接続されている。第2高圧冷媒管3bは、熱源側熱交換器3の出口と、膨張機構4の入口とに接続される冷媒管である。なお、熱源側熱交換器の詳細な構成については、後述する。
【0020】
(1−3)膨張機構
膨張機構4は、熱源側熱交換器3によって冷却された高圧の冷媒を、利用側熱交換器5に送る前に、冷凍サイクルにおける低圧付近まで減圧する。膨張機構4は、例えば、電動膨張弁である。膨張機構4は、第2高圧冷媒管3bを介して、熱源側熱交換器3に接続され、第1低圧冷媒管5aを介して、利用側熱交換器5に接続されている。第1低圧冷媒管5aは、膨張機構4の出口と、利用側熱交換器5の入口とに接続される冷媒管である。
【0021】
(1−4)利用側熱交換器
利用側熱交換器5は、膨張機構4によって減圧された低圧の冷媒を加熱する蒸発器である。利用側熱交換器5は、加熱源としての空気と、利用側熱交換器5内を流れる冷媒との間で熱交換をさせる。利用側熱交換器5は、第1低圧冷媒管5aを介して、膨張機構4に接続されている。また、利用側熱交換器5は、第2低圧冷媒管5bおよび吸入管2aを介して、圧縮機構2に接続されている。第2低圧冷媒管5bは、利用側熱交換器5の出口と、吸入管2aとに接続される冷媒管である。
【0022】
(2)空気調和装置の動作
次に、空気調和装置1の冷房運転時の動作について、冷媒回路10を循環する冷媒の流れに基づいて説明する。冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入される。圧縮機構2に吸入された低圧の冷媒は、圧縮要素2cによって冷凍サイクルにおける高圧まで圧縮される。圧縮された高圧の冷媒は、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される。
【0023】
圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、第1高圧冷媒管3aを通じて熱源側熱交換器3に送られる。熱源側熱交換器3に送られた高圧の冷媒は、熱源側熱交換器3内で外部の空気と熱交換されて冷却される。冷却された高圧の冷媒は、第2高圧冷媒管3bを通じて膨張機構4に送られる。膨張機構4に送られた高圧の冷媒は、膨張機構4を通過する際に減圧されて、冷凍サイクルにおける低圧かつ気液二相状態の冷媒となり、第1低圧冷媒管5aを通じて利用側熱交換器5に送られる。利用側熱交換器5に送られた低圧かつ気液二相状態の冷媒は、利用側熱交換器5内で外部の空気と熱交換されて加熱され、液体の冷媒が蒸発する。加熱された低圧の冷媒は、第2低圧冷媒管5bおよび吸入管2aを通じて再び圧縮機構2に吸入される。このようにして、空気調和装置1は、冷媒回路10内に冷媒を循環させて、冷房運転を行う。
【0024】
(3)熱源側熱交換器の詳細な構成
次に、熱源側熱交換器3の詳細な構成について説明する。本実施形態において、熱源側熱交換器3は、本発明に係る熱交換器である。図2は、熱源側熱交換器3の正面図である。図3は、熱源側熱交換器3の上面図である。図2は、図3に示される矢印IIの方向から見た場合における正面図である。図3は、図2に示される矢印IIIの方向から見た場合における上面図である。
【0025】
熱源側熱交換器3は、主として、第1ヘッダ31aと、第2ヘッダ31bと、リターンヘッダ31cと、複数の第1扁平多穴管32aと、複数の第2扁平多穴管32bと、複数のコルゲートフィン34とから構成されている。次に、これらの構成要素について説明する。
【0026】
(3−1)第1扁平多穴管および第2扁平多穴管
図4は、図2に示される切断線IV−IVにおける、第1扁平多穴管32aおよび第2扁平多穴管32bの断面図である。第1扁平多穴管32aおよび第2扁平多穴管32bは、それぞれ、複数の冷媒流路穴33a,33bを有する扁平管である。第1扁平多穴管32aおよび第2扁平多穴管32bは、それぞれ、複数の冷媒流路穴33a,33bが水平方向に配置されるように、すなわち、扁平な面の法線が鉛直方向を指すように、設置されている。第1扁平多穴管32aおよび第2扁平多穴管32bは、図2に示されるように、ヘッダ31a,31b,31cの長手方向に沿って、複数段配置されている。また、第1扁平多穴管32aおよび第2扁平多穴管32bは、図3に示されるように、ヘッダ31a,31b,31cの長手方向に沿って見た場合に、互いに隣接するように2列に配置されている。
【0027】
第1扁平多穴管32aの両端部は、第1ヘッダ31aおよびリターンヘッダ31cに接続され、第2扁平多穴管32bの両端部は、第2ヘッダ31bおよびリターンヘッダ31cに接続されている。本実施形態において、ヘッダ31a,31b,31cの長手方向に沿って見た場合における、第1扁平多穴管32aの幅は、第2扁平多穴管32bの幅に等しい。
【0028】
本実施形態において、第1扁平多穴管32aの冷媒流路穴33aの数は、第2扁平多穴管32bの冷媒流路穴33bの数に等しい。また、本実施形態において、第1扁平多穴管32aの冷媒流路穴33aの内径は、第2扁平多穴管32bの冷媒流路穴33bの内径に等しい。
【0029】
(3−2)第1ヘッダおよび第2ヘッダ
第1ヘッダ31aは、鉛直方向に設置され、図10に示されるように、第1主流路41aと、複数の第1連絡流路42aとを内部に有している。第1主流路41aは、鉛直方向に冷媒が流れる流路である。第1連絡流路42aは、第1主流路41aから分岐して、水平方向に冷媒が流れる流路である。各第1連絡流路42aは、各第1扁平多穴管32aの冷媒流路穴33aと連通する。
【0030】
同様に、第2ヘッダ31bは、鉛直方向に設置され、図10に示されるように、第2主流路41bと、複数の第2連絡流路42bとを内部に有している。第2主流路41bは、鉛直方向に冷媒が流れる流路である。第2連絡流路42bは、第2主流路41bから分岐して、水平方向に冷媒が流れる流路である。各第2連絡流路42bは、各第2扁平多穴管32bの冷媒流路穴33bと連通する。
【0031】
(3−3)コルゲートフィン
コルゲートフィン34は、波型形状のフィンである。熱源側熱交換器3は、第1扁平多穴管32aとコルゲートフィン34とが交互に積層し、かつ、第2扁平多穴管32bとコルゲートフィン34とが交互に積層している構成を有している。コルゲートフィン34は、第1扁平多穴管32aおよび第2扁平多穴管32bと共に、冷媒流路穴33a,33bを流れる冷媒と熱交換される空気が流れる空気流路34aを形成する。コルゲートフィン34によって、広い伝熱面積が確保されるので、冷媒流路穴33a,33bを流れる冷媒と、空気流路34aを通過する空気とは、効率的に熱交換される。
【0032】
空気流路34aでは、コルゲートフィン34の延伸方向に垂直な方向、かつ、水平方向(すなわち、図4において紙面に垂直な方向)に空気が流れる。具体的には、図3の矢印AFで示されるように、空気流路34aを通過する空気は、最初に、第2扁平多穴管32bの冷媒流路穴33bを流れる冷媒と熱交換され、次に、第1扁平多穴管32aの冷媒流路穴33aを流れる冷媒と熱交換される。
【0033】
(3−4)リターンヘッダ
リターンヘッダ31cは、第1扁平多穴管32aの冷媒流路穴33aと、第2扁平多穴管32bの冷媒流路穴33bとを連通する空間である冷媒合流空間35を形成する部材である。リターンヘッダ31cは、管接着部材43aと、管固定部材43bと、スペーサ部材43cと、背板43dとから構成される。図5は、リターンヘッダ31cの各構成部品の配置を表す外観図である。図6は、図2の切断線VI−VIに沿って切断した、熱源側熱交換器3のリターンヘッダ31c近傍の断面図である。図7は、管接着部材43aの正面図である。図8は、管固定部材43bの正面図である。図9は、スペーサ部材43cの正面図である。
【0034】
管接着部材43aは、図6に示されるように、第1扁平多穴管32aおよび第2扁平多穴管32bの端部が接着され、かつ、鉛直方向に沿って見た場合の形状がU字型の板状部材である。管接着部材43aには、図7に示されるように、複数の扁平管嵌入孔44aが、鉛直方向に複数段、かつ、水平方向に2列設けられている。扁平管嵌入孔44aは、第1扁平多穴管32aおよび第2扁平多穴管32bの端部が嵌入する空間である。
【0035】
管固定部材43bは、図6に示されるように、管接着部材43aとスペーサ部材43cとの間に密着して配置される板状部材である。管固定部材43bには、図8に示されるように、複数の扁平管留め孔44bが、鉛直方向に複数段、かつ、水平方向に2列設けられている。扁平管留め孔44bには、図8に示されるように、水平方向の中央部に2つの凸部44b1が設けられている。2つの凸部44b1は、扁平管嵌入孔44aと共に、第1扁平多穴管32aおよび第2扁平多穴管32bの端部を固定する。凸部44b1の高さは、第1扁平多穴管32aおよび第2扁平多穴管32bの厚みよりも小さい。
【0036】
スペーサ部材43cは、図6に示されるように、管固定部材43bと背板43dとの間に密着して配置される板状部材である。スペーサ部材43cには、図9に示されるように、複数のスペーサ孔44cが、鉛直方向に複数段設けられている。それぞれのスペーサ孔44cは、管固定部材43bおよび背板43dと共に、各段における冷媒合流空間35を形成する。第1扁平多穴管32aおよび第2扁平多穴管32bの端面は、スペーサ部材43cの端面と接触している。
【0037】
背板43dは、第1扁平多穴管32aおよび第2扁平多穴管32bの端面と対向するように配置される板状部材である。背板43dは、管接着部材43aおよびスペーサ部材43cと密着して配置される。
【0038】
図5に示されるように、管接着部材43a、管固定部材43b、スペーサ部材43cおよび背板43dが組み合わされたリターンヘッダ31cには、2つの扁平管嵌入孔44a、2つの扁平管留め孔44bおよび1つのスペーサ孔44cが、各段に形成されている。第1扁平多穴管32aおよび第2扁平多穴管32bの端部は、扁平管嵌入孔44aおよび扁平管留め孔44bに嵌入されている。すなわち、図6に示されるように、各段において、第1扁平多穴管32aの冷媒流路穴33a、および、第2扁平多穴管32bの冷媒流路穴33bは、冷媒合流空間35を形成するスペーサ孔44cに連通する。
【0039】
(4)熱源側熱交換器における冷媒の流れ
熱源側熱交換器3における冷媒の流れについて、図6および図10を参照しながら説明する。最初に、圧縮機構2から吐出されて第1高圧冷媒管3a内を流れる高圧の冷媒が、第1ヘッダ31a内の第1主流路41aに供給される。第1主流路41aを流れる高圧の冷媒は、複数段の第1連絡流路41bに分流した後、各段において、第1扁平多穴管32aの複数の冷媒流路穴33aにさらに分流する。そして、高圧の冷媒は、第1扁平多穴管32aの冷媒流路穴33aを通過する過程で、空気流路34aを通過する空気と熱交換されて冷却される。
【0040】
次に、各段において、第1扁平多穴管32aの複数の冷媒流路穴33aを通過した高圧の冷媒は、リターンヘッダ31c内の冷媒合流空間35で合流する。合流した高圧の冷媒は、各段において、再度、第2扁平多穴管32bの複数の冷媒流路穴33bに分流する。そして、高圧の冷媒は、第2扁平多穴管32bの冷媒流路穴33bを通過する過程で、再度、空気流路34aを通過する空気と熱交換されて冷却される。
【0041】
次に、各段において、第2扁平多穴管32bの複数の冷媒流路穴33bを通過した高圧の冷媒は、第2ヘッダ31b内の第2連絡流路42bを通過して、第2主流路41bで合流する。そして、合流した高圧の冷媒は、第2主流路41bから第2高圧冷媒管3bに送られる。
【0042】
(5)特徴
(5−1)
本実施形態の熱源側熱交換器3は、第1扁平多穴管32aの冷媒流路穴33aと、第2扁平多穴管32bの冷媒流路穴33bとが、リターンヘッダ31c内の冷媒合流空間35を介して連通している構成を有している。この熱源側熱交換器3では、扁平多穴管32a,32bを複数列に配置し、かつ、異なる列に配置された扁平多穴管32a,32bをリターンヘッダ31cで接続することによって、冷媒と外気との熱交換が行われる領域の有効長を大きくすると共に、コンパクトにしている。これにより、熱源側熱交換器3は、一本の扁平多穴管を精度良く折り曲げることによって複数列の扁平多穴管を形成する必要がない。従って、本実施形態の熱源側熱交換器3は、熱交換が行われる領域の有効長を大きくしつつ、製造コストを抑えることができる。
【0043】
(5−2)
本実施形態の熱源側熱交換器3の組み立て工程では、すべての第1扁平多穴管32aおよび第2扁平多穴管32bを、リターンヘッダ31cの管固定部材43bの扁平管留め孔44bの奥まで嵌入して、リターンヘッダ31cに接着することができる。すなわち、すべての第1扁平多穴管32aおよび第2扁平多穴管32bを、リターンヘッダ31cに同時にロウ付けすることができる。従って、本実施形態の熱源側熱交換器3は、組み立て工程におけるロウ付け加工を迅速に行うことができるので、製造コストを抑えることができる。
【0044】
(5−3)
本実施形態の熱源側熱交換器3の組み立て工程では、複数の板状部材から構成されるリターンヘッダ31cに、すべての第1扁平多穴管32aおよび第2扁平多穴管32bを接着することができる。従って、本実施形態の熱源側熱交換器3は、良好な組み立て性を確保することができる。
【0045】
(5−4)
本実施形態の熱源側熱交換器3は、第1扁平多穴管32aの各冷媒流路穴33aを通過して外気と熱交換された高圧の冷媒は、冷媒合流空間35で一時的に合流する。通常、第1扁平多穴管32aの各冷媒流路穴33aにおける冷却負荷は異なるので、各冷媒流路穴33aを流れる冷媒の密度も異なっている。そのため、第1扁平多穴管32aの各冷媒流路穴33aの間において冷媒の流れの偏りが発生し、冷却効率の低下の原因となっている。また、同様の冷媒の流れの偏りは、第2扁平多穴管32bの各冷媒流路穴33bでも発生し、冷却効率の低下の原因となっている。
【0046】
本実施形態の熱源側熱交換器3では、第1扁平多穴管32aの各冷媒流路穴33aを通過した冷媒は、冷媒合流空間35で合流して均質化された後に、第2扁平多穴管32bの各冷媒流路穴33bを流れる。すなわち、第1扁平多穴管32aの各冷媒流路穴33aの間で発生した冷媒の流れの偏りは、冷媒合流空間35で消失するので、第2扁平多穴管32bの各冷媒流路穴33bの間で発生する冷媒の流れの偏りに影響を与えない。従って、本実施形態の熱源側熱交換器3は、冷媒合流空間35によって、第2扁平多穴管32bの各冷媒流路穴33bの間で発生する冷媒の流れの偏りを低減することができるので、冷却効率の低下を抑えることができる。
【0047】
(6)変形例
(6−1)変形例A
本実施形態では、熱源側熱交換器3がリターンヘッダ31cを有するが、利用側熱交換器5がリターンヘッダ31cを有してもよい。リターンヘッダ31cは、冷媒と空気との間の熱交換を行う熱交換器に、汎用的に適応することができる。
【0048】
(6−2)変形例B
本実施形態では、第1扁平多穴管32aの幅は、第2扁平多穴管32bの幅と等しいが、異なっていてもよい。また、本実施形態では、第1扁平多穴管32aの冷媒流路穴33aの数は、第2扁平多穴管32bの冷媒流路穴33bの数と等しいが、異なっていてもよい。また、本実施形態では、第1扁平多穴管32aの冷媒流路穴33aの内径は、第2扁平多穴管32bの冷媒流路穴33bの内径と等しいが、異なっていてもよい。
【0049】
本変形例では、第1扁平多穴管32aの形状および第2扁平多穴管32bの形状を変えることによって、第1扁平多穴管32aの冷却効率および第2扁平多穴管32bの冷却効率を調整することができる。例えば、第1扁平多穴管32aの冷却効率が、第2扁平多穴管32bの冷却効率よりもかなり小さい場合、第1扁平多穴管32aの冷却効率を向上させるために、第1扁平多穴管32aの冷媒流路穴33aの数を第2扁平多穴管32bの冷媒流路穴33bの数より多くし、または、第1扁平多穴管32aの冷媒流路穴33aの内径を第2扁平多穴管32bの冷媒流路穴33bの内径より大きくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る熱交換器は、製造コストを抑えることができる。
【符号の説明】
【0051】
3 熱源側熱交換器(熱交換器)
31a 第1ヘッダ(ヘッダ)
31b 第2ヘッダ(ヘッダ)
31c リターンヘッダ(継手部材)
32a 第1扁平多穴管(扁平多穴管)
32b 第2扁平多穴管(扁平多穴管)
33a 冷媒流路穴
33b 冷媒流路穴
35 冷媒合流空間
43a 管接着部材(接着部材)
43b 管固定部材(固定部材)
43c スペーサ部材
43d 背板
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開平8−145580号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を冷媒が流れるヘッダ(31a,31b)と、
前記冷媒と熱交換される空気が流れる第1方向に沿って複数の列をなすように配置され、かつ、前記ヘッダの長手方向である第2方向に沿って複数の段をなすように配置され、かつ、前記第2方向に交差する方向に延び、かつ、前記冷媒が流れる複数の冷媒流路穴(33a,33b)を有する扁平管である複数の扁平多穴管(32a,32b)と、
異なる前記列の2つの前記扁平多穴管が有する前記冷媒流路穴が開口する冷媒合流空間(35)を、前記段ごとに形成する継手部材(31c)と、
を備える熱交換器(3)。
【請求項2】
前記ヘッダは、鉛直方向に延びるように配置され、
前記扁平多穴管は、前記第1方向に沿って前記冷媒流路穴が配置される構成を有する、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記継手部材は、
前記扁平多穴管の端面に対向して配置される背板(43d)と、
前記扁平多穴管の端部を固定する固定部材(43b)と、
前記背板と前記固定部材との間に挟まれ、かつ、前記背板および前記固定部材と共に前記冷媒合流空間を形成するスペーサ部材(43c)と、
前記扁平多穴管の端部が接着され、かつ、前記背板と前記固定部材と前記スペーサ部材とを保持する接着部材(43a)と
を有する、
請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記継手部材は、前記第2方向に沿って、複数の前記冷媒合流空間を形成する、
請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記冷媒は、二酸化炭素である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−29243(P2013−29243A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165033(P2011−165033)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】