説明

熱交換装置、および作動媒体を状態調節するための方法

【課題】 作動媒体の状態調節を極力簡単な仕方で達成することができるようにする。
【解決手段】 作動媒体と熱交換媒体とを用いる熱交換装置であって、所要の動作点を生成する意味で作動媒体が熱交換面を介して熱交換媒体と熱交換させられ、室が形成されており、前記室に作動媒体が流入し、熱交換媒体を流通させる少なくとも1つの管路が前記室を貫通しおよび/または限定し、特に取り囲んでいる前記室をその最大縦伸長方向で少なくとも1つの管路が貫通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動媒体と熱交換媒体とを用いる熱交換装置であって、所要の動作点を生成する意味で作動媒体が熱交換面を介して熱交換媒体と熱交換させられるもの、および熱交換媒体によって作動媒体を状態調節するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所要の動作点を生成する意味で作動媒体が熱交換面を介して熱交換媒体と熱交換させられる熱交換装置はさまざまな態様で知られている。このような熱交換装置は例えば車両ラジエータであり、そこではエンジン冷却液が作動媒体、流通する周囲空気が熱交換媒体である。しかし内燃機関等のエンジンの他の作動媒体用にも熱交換装置が必要となる。例えば、内燃機関の燃焼排ガスを燃焼室に帰還させ、事前に熱交換器を介して冷却することが公知である。同様に、車両のブレーキまたはエンジンブレーキを作動させるために圧縮空気を冷却することが公知である。
【0003】
公知の熱交換器は、独自のハウジング内に収容されかつ部分的にのみエンジンの総冷却システムに一体化可能な個別の部材である。
【0004】
作動媒体が強制流れで流通する領域を熱交換媒体が流通するような熱交換器では、相応に適合された超耐圧性のハウジングが不可欠であることが欠点である。さらに、作動媒体の強制流れを生成することも不可欠である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明の課題は、作動媒体の状態調節を極力簡単な仕方で達成することができる熱交換装置を提供することである
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明によれば、室が形成されており、前記室に作動媒体が流入し、熱交換媒体を流通させる少なくとも1つの管路が前記室を貫通しおよび/または限定し、特に取り囲んでいることによって解決される。
【発明の実施形態】
【0007】
作動媒体を状態調節するための本発明に係る方法は、作動媒体が室に流入し、熱交換媒体が、前記室を貫通する少なくとも1つの管路を流通することを特徴とし、本発明の課題を有利な仕方で解決するのにやはり適している。
【0008】
熱交換装置内で作動媒体は熱交換媒体によって状態調節される。その際、所要の動作点を生成する意味で状態調節は作動媒体と熱交換媒体との間の熱交換によって行われる。このために熱交換装置内に熱交換面が形成されており、この熱交換面を介して熱交換は両方の媒体が相互に分離されているように行うことができる。本発明によれば、室が形成されており、前記室に作動媒体が流入する。熱交換媒体を流通させる少なくとも1つの管路が前記室を貫通している。
【0009】
この構成では作動媒体が熱交換面の脇を積極的に流れる必要がないことによって、単に部分的強制流れでも、またはまったく強制流れなしでも、熱交換は自由対流によって行うことができる。その際、作動媒体の状態調節は特に作動媒体を冷却することにあり得る。
【0010】
本発明の好ましい構成によれば、前記室をその最大縦伸長方向で少なくとも1つの管路が貫通する。前記室の最大縦伸長方向での前記管路の整列は、前記室内で前記管路の表面積を極力大きく造形して極力大きな熱交換面を形成する可能性を提供する。これは、特に熱交換が主としてまたは殆ど専ら自由対流によって行われるとき、好ましい熱交換に役立つ。
【0011】
本発明の有利な構成によれば、少なくとも1つの管路が冷却フィン等の熱交換フィンを有する。熱交換フィンは管路表面積の増大、それとともに熱交換面の増大、従って両方の媒体の間での熱交換全体に役立つ。好ましい展開によれば、前記熱交換フィンが前記管路の外面に配置され、かつ前記管路から前記室内に突出している。これにより、特に、熱交換フィンによって形成される熱交換面の作動媒体と接触する表面積が拡大される。例えば金属等の好適な良熱伝導性材料を使用することによって、材料中の熱伝導が高まる。熱交換フィンが内側に熱交換媒体を流通させない場合でも、表面積増大は作用する。前記熱交換フィンの推移方向が室内での管路の推移方向に垂直に形成されているとき、諸条件および諸要請に応じて作動媒体の室への流入および室からの流出が可能であり、また良好な熱交換の意味で有利である。その際特に、重力の作用方向に平行に配置したフィンが有利である。
【0012】
本発明の好ましい展開によれば、前記熱交換フィンは前記室への作動媒体の流入方向に合わせて、および/または前記室からの作動媒体の流出方向に合わせて形成されている。
【0013】
本発明の他の有利な構成によれば、少なくとも1つの管路が前記室の少なくとも1つの流入口の領域内に形成されている。流入口の領域に管路を形成することによって、管路の強制的周囲流れが達成され、それとともに純自由対流熱交換の他になお一定割合の強制対流熱交換も達成される。改良された構成によれば、前記室内への複数の流入口を設けておくことが可能であり、各流入口の領域内を1つの管路が延びている。複数の流入口に各1つの共通する管路を付設しておくこともできる。特に、僅かな数の管路を設けておくだけの事例も可能であり、各管路は複数の流入口の領域内を延びている。他方で、各流入口に、この流入口にのみ単独で付設される別の1つの管路を付設しておくこともやはり考えられる。その場合、少なくとも流入口と同数の管路が設けられている。
【0014】
さらに、そうする代わりにまたはそれを補足して、前記少なくとも1つの流出口の領域内に少なくとも1つの管路を形成しておくようにすることができる。ここでも、前記室からの作動媒体の流出時に管路の周囲流れが強制対流を生じ、これが自由対流を補足して作用する。特に複数の流出口を設けておくことができ、各流出口の領域内を1つの管路が延びている。しかし、同じ管路を複数の流出口に付設しておくこともまったく可能である。しかし、各流出口に別の1つの管路を付設しておくこともできる。流入口と流出口は同一としておくことができる。すなわち、1つの口は周期的に流入口として、次に流出口として使用することもできる。
【0015】
特に、各管路に少なくとも1つ、主に正確に1つの流入口と少なくとも1つの流出口、主に少なくとも正確に1つの流出口とを付設した諸構成を設けておくことができる。特に、1つの管路に複数の流入口を付設し、但し単に1つの流出口を付設しておくことができる。
【0016】
流入口からの流路または流出口に至る流路で、熱交換フィンを備えた領域を作動媒体が直接流通すると、有利なことにこのような領域の流通性が特別良好となる。そのことから、流入もしくは流出する作動媒体の強制案内が特別良好となり、また強制対流の効率が高まる。
【0017】
本発明の好ましい1構成によれば、前記室が作動媒体用貯蔵装置を成す。この措置によって、場合によって必要となる貯蔵装置は同時に熱交換装置となる。熱交換装置用の個別のハウジングは省かれる。これが有利であるのは、特に、熱交換装置のハウジングには貯蔵装置に対するのと少なくとも十分に一致した設計要求が提起されるからである。気密性、耐圧性および熱的負荷容量に対する要求は互いにほぼ一致している。
【0018】
本発明の改良構成において前記室は蓄圧器も形成することができる。蓄圧器は、特に気体作動媒体と関連して、加圧下の作動媒体が大気圧下の作動媒体よりも良好な熱交換媒体との熱交換を可能とする利点を有する。
【0019】
本発明の別の改良構成によれば、前記室はエンジン部材または圧縮機部材、特にエンジン排気ダクト、排気再循環装置またはブレーキ装置の一体な構成要素である。貯蔵機能を有するか否かにかかわりなく熱交換装置が機能要素の構成要素となることによって、熱交換装置用の構造支出が著しく低減する。有利な構成によれば、熱交換装置用に必要な室はエンジンブロックの領域内に直接形成し、またはその構成要素とすることができる。これにより、室は特別簡単に生成することができる。
【0020】
熱交換媒体によって作動媒体を状態調節するための本発明に係る方法では、作動媒体が室に流入し、熱交換媒体がこの室を流通し、その際前記室を貫通する1つの管路内で案内される。この措置は、熱交換器内を作動媒体が強制的に流通することに左右されない熱交換を可能とする。有利な実施によれば、前記室内での作動媒体の状態調節が少なくとも一部は自由対流によって行われる。この熱交換方式は特別好ましい簡単な仕方で生成することができる。本方法の有利な構成によれば、作動媒体は、少なくとも室に流入時または室から流出時に、熱交換フィンを備えた領域内に通される。熱交換フィンを備えたこの領域内に通すと強制対流が生じて熱交換器の効率を高めるが、但し、熱交換装置によって作動媒体の強制流れを特別に生成することを必要としない。元々既に存在する作動媒体の流れが利用されるだけである。この流れは特に圧力勾配を介して、もしくはいずれにしろ必要な循環もしくは室からの作動媒体の搬出を介して、大抵は自動的に生じる媒体流動挙動の態様で発生する。好ましい構成によれば、前記熱交換フィンが作動媒体の流入方向もしくは流出方向で整列しており、作動媒体は特別好ましい形でフィンの間を貫流できる。この整列態様は流れ抵抗を小さくし、同時に熱交換フィンの間の空隙の良好な流通をもたらす。
【0021】
本発明に係る方法の有利な構成によれば、前記熱交換フィンが前記室内で対流の流れ推移方向で整列している。このような整列により、特に室内での滞留時間が比較的長くかつ室内部での対流の流れを促進するように室が造形されている場合、室内での対流の流れの発生が促進されることになる。このような流れは次に僅かな流れ抵抗と熱交換フィンの良好な周囲流れとで自由対流を強めることになる。対流の流れが発生するのは、なかんずく、流出する作動媒体部分が室の容積に比べて比較的少なく、また僅かな流れ速度で流出するときである。室および室容積のこのような設計によって作動媒体の特別良好な状態調節を達成することができる。というのも、これと結び付いて室内での作動媒体の平均滞留時間が長くなることによって、作動媒体と熱交換媒体との間できわめて良好な熱エネルギー交換を達成できるからである。また流入口および流出口の配置は、それらの流通方向と室へのそれらの位置決めとによって対流の流れの発生が促進されるように行うことができる。
【0022】
本方法の他の有利な構成によれば、作動媒体が前記室内で圧力を付加されている。室内で圧力を付加して作動媒体を貯蔵するのが特別有利であるのは、作動媒体が気体状態で存在するときである。その場合圧力付加によって粒子密度が高まり、それとともに自由対流による改善された熱交換が達成される。有利なことに、作動媒体は車両のエンジン(内燃機関)、ブレーキ装置または蓄圧器を作動させるのに利用することが可能である。
【0023】
好ましい構成において、本発明により構成された熱交換装置を用いて本発明に係る方法の実行がなされる。
【実施例】
【0024】
本発明は実施例に基づいて図面に略示され、以下で図面を参照して詳しく説明される。
【0025】
図1〜図4は室およびそのなかで行われる管路配置のさまざまな実施形態を示しており、熱交換フィンは管路に一体に形成されている。さまざまな構成は室10、それぞれ少なくとも1つの流入口および流出口、室内部での前記少なくとも1つの管路の位置決めの構成が異なる点で相違している。
【0026】
図1が示す熱交換装置99は横断面で長方形に形成される室10を有する。この室は作動媒体用貯蔵装置を成し、作動媒体は特に圧力を付加されている。
【0027】
図示実施形態において室10は3つの管路20が挿通され、管路20は熱交換媒体21を流通させる。3つの管路20はそれぞれ外側を熱交換フィン22によって取り囲まれている。図示平面にある流入口11を通して作動媒体13が室10に流入する。その際3つの管路20は、流入する作動媒体13が管路20の脇を直接流れもしくは熱交換フィンの領域を流通するように取付けられている。つまり図示実施形態において1つの流入口11に複数の管路20が付設されている。しかし熱交換装置99の縦方向でこれらの管路になお他の流入口11を、選択的にまたは補足的に1つまたは複数の流出口12も、付設しておくことができ、そのことは以下で図3、図4による縦断面図においてなお説明される。
【0028】
作動媒体13と熱交換媒体21との間での熱交換は、一方で流入時に作動媒体13が熱交換フィン22と接触することによって、他方で作動媒体13が引き続き室10の内部に滞留し、これにより自由対流の形で冷却されることによって行われる。
【0029】
図1に示す本発明の構成では管路20が円形管として形成され、外輪郭で円形の熱交換フィンによって同様に取り囲まれている。熱交換フィンは主に、管路20の周りで半径方向に延びる平面にあり、そのことが例えば図5bに示してある。
【0030】
図2は排気熱交換装置の構成の変更態様を示す。図1、図2の熱交換装置99は互いに実質的に一致しており、図2には両方の構成の間の違いが図示されているにすぎない。図2の熱交換フィン22の造形では長方形外輪郭が形成されたのであり、熱交換フィンが室の断続的領域を成し、この領域が隙間なく熱交換フィンを備えている。その横に個別の貯蔵装置14が形成されており、この貯蔵装置は熱交換フィンを備えておらず、室10の主要貯蔵容積を成す。その他の点で、図2の熱交換装置99の造形は図1に相応して造形しておくことができる。熱交換フィンをこのように形成することによって一方で熱交換面が拡大され、他方でフィン付き領域によって、流入する作動媒体の案内向上が達成される。
【0031】
図1と図2は本発明に係る熱交換装置99の構造を横断面図で示す。以下に述べる図3と図4は室10の縦方向の断面図である。
【0032】
図3は熱交換装置99とその室10を示しており、この室を縦方向で管路20が貫通する。管路20は室10内に突出する熱交換フィンを外面に有し、管路は矢印23に従って熱交換媒体21が流通する。図示したように熱交換フィン22は管路20から半径方向に突出して整列している。作動媒体13は流入口11を通して作動室10に流入する。流入口11は管路20の縦推移方向で並べて配置されているが、しかし‐図示に反して‐垂直方向でも互いにずらして配置しておくことができ、従って必ずしも同じ管路20に付設しておく必要がないであろう。流入する作動媒体13はその際まず管路20および熱交換フィン22の領域に達し、流れ矢印16に従ってそれらを流通する。さらに室10がなお貯蔵領域14を有し、そこには熱交換フィン22が突出しておらず、この貯蔵領域は最大容積分の作動媒体13を貯蔵する。この領域において作動媒体は自由対流によって状態調節され、作動媒体と熱交換媒体との間で引き続き熱交換が起きる。熱交換媒体との熱交換による作動媒体の状態調節のすべての図で問題とされているのは作動媒体の冷却または加熱であるとすることができる。状態調節の方式は、温度差がいずれの方向で支配的であるかの点のみによって決まる。加熱が行われるのか冷却が行われるのかにかかわりなく、本発明による熱交換装置の基本的構造はそのことによって影響されない。
【0033】
図3には2つの選択的にまたは同時に利用可能な流出口12の配置が示してある。一方の流出口12は縦方向で配置される流出口11の延長上に配置されているのに対して、他方の流出口は貯蔵領域から軸線方向に引き出してある。最初に指摘した流出口12では、流出する作動媒体13は少なくとも1つの管路20と熱交換フィン22とを有する領域を再度流通するのに対して、第2に挙げた流出口では作動媒体は流出口12を流通して貯蔵領域14から直接離れ、熱交換フィン22および管路20の脇を再度直接に流れることはない。両方の流出口において弁15を設けておくことができ、この弁によって流出は制御可能であり、2つの流出口の弁は相互に独自に操作可能に構成しておくことができる。
【0034】
図4は熱交換装置または圧力冷却器の室10をやはり縦断面図で示す。室10の長辺面に流入口11と流出口12が交互に配置されている。室10内に、流入方向16に見て最初に空隙18が形成されている。この空隙18内に分離腹部19が配置されており、分離腹部は空隙18の流入口に付設された領域と流出口に付設された領域とを相互に分離する。
【0035】
室10に流入する作動媒体は流れ矢印16に従ってまず流入口11内を流れ、次に空隙18を流通して、熱交換フィン22を有する領域内に最初に達する。その際、管路20の周囲も流れる。作動媒体は次に溢流領域14内に達する。本発明のこの構成では、熱交換フィン22が管路20の縦伸長方向に対して半径方向に突出して整列し、これにより流れ案内的に作用すると特別好ましく、熱交換面を成す熱交換フィン22との長い接触が同時に保証される。溢流領域14内で自由対流による作動媒体13のさらなる状態調節が起きる。自由対流による作動媒体の状態調節は空隙18内でも起きる。作動媒体は流れ矢印17に従って流出口12へと流れ、管路20および熱交換フィン22の領域はやはり周囲に流しもしくは流通させる。
【0036】
さらに、溢流領域14から直接離れていく流出口12をなお設けておくことができる。選択的構成では、横方向に流入口11のみ配置しておくこともでき、その場合2つの流入口の間で空隙18は分離腹部19で相互に分離され、流入する個々の作動媒体流の混合は溢流領域14においてはじめて起きる。流出はこの場合、溢流領域14から直接離れていく個々の流出口12を通して行われ、流出口は事前に付加的流出口と称されたのであり、室10から縦方向に引き出される。
【0037】
図5が示すフィン22は管20から半径方向に突出し、管の周りを例えば円板状に延びている。このように整列したフィン22の使用が有利であるのは、特に、作動媒体の流入もしくは流出が管20の伸長方向に垂直に起き、流入または流出時に管20を流通するために作動媒体13の横流が起きるときである。熱交換フィンは特に重力の作用方向と平行に形成されている。主にフィン高さは1mm〜約40mm、フィン間隔は0.1〜約20mmである。
【0038】
本発明による熱交換装置100の他の実施例が図6に示してあり、この実施例は図1の実施に実質的に一致している。作動媒体113は流入口111を通して室110に流入する。室110に挿通された管路120は熱交換媒体121を流通させることができ、かつ熱交換フィン122によって取り囲まれている。室110の壁130に、熱交換媒体121と作動媒体113との間の付加的熱交換用に、熱交換媒体121用の他の管路140が設けられており、室110は管路140によって限定されている。この管路140は、室110の少なくとも一部を取り囲むように形成されている。室110と管路140との間の熱交換面を増大させるために壁130が熱交換フィン150を有し、この実施例において熱交換フィンは室110に挿通される管路120と平行、かつその熱交換フィン122に垂直に整列している。
【0039】
図7に示す熱交換装置200が図6の熱交換装置100と相違しているのは、実質的に、管路220の熱交換フィン222が室210の横断面を一層塞いでおり、そのことから図2に示す熱交換装置99におけると同様に作動媒体213と熱交換媒体221との間で熱交換面のさらなる増大が帰結していることによってである。
【0040】
図8は熱交換装置300を縦断面図で示す。この熱交換装置300は図6の熱交換装置100と実質的に一致しており、作動媒体313用の流入口311、室310および流出口312と熱交換媒体321用の流入口324、管路320、340および流出口325とを有する。管路320、340は熱交換フィン322もしくは350を備えている。
【0041】
作動媒体流313は流入口311を通して室310に流入し、熱交換フィン322によって矢印355に沿って熱交換フィン350へと導かれ、次に矢印360の方向に動き、例えば矢印365、366の1つに沿って再度熱交換フィン322内を流れ、最後に流出口312を通して室310から流出する。フィン322、350はこのように配置されていることによって作動媒体313用流れ案内手段を成し、これにより作動媒体313と矢印370に沿って流れる熱交換媒体321との間で熱交換を高め、事情によっては制御することが可能になる。
【0042】
この熱交換装置300では流入口311が流出口312の1つに明確には付設されていないので、室310の作動媒体313は任意に単数または複数の流入口311を通して供給しおよび/または単数または複数の流出口312を通して取り出すことができる。
【0043】
図9は図8の熱交換装置300の簡素化した実施を示す。この熱交換装置400は室410と、室410に挿通されてフィン422を備えた熱交換媒体421用管路420と、フィン450付き壁430とを有する。フィン450は室410内の作動媒体413と熱交換装置400の周囲との間で熱交換を高めるのに役立つ。図示しない実施例において、図8の実施形態におけると同様に、熱交換媒体用の他の管路が壁430に配置されている。
【0044】
フィン450はそれぞれ中断しており、中断は主にそれぞれ作動媒体413用流入口411または流出口412の領域内で行われて、これらの領域内で作動媒体413用流れ抵抗を低減しており、これにより作動媒体にとって有利なことに室410内での圧力損失が減少する。その他、熱交換装置400の機能様式は図8を基に述べたものと同じである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る熱交換装置の第1実施形態の略横断面図である。
【図2】本発明に係る熱交換装置の第2実施形態の略横断面図である。
【図3】第3熱交換装置の構造を略縦断面図で示す。
【図4】熱交換装置の第4実施形態の構造を略縦断面図で示す。
【図5】本発明に係る熱交換装置の管路領域における熱交換フィンの実施例を示す。
【図6】第5熱交換装置の略横断面図である。
【図7】第6熱交換装置の略横断面図である。
【図8】熱交換装置の略縦断面図である。
【図9】熱交換装置の変更実施形態の略縦断面図である。
【符号の説明】
【0046】
10 室
11 流入口
12 流出口
13 作動媒体
14 貯蔵装置
15 弁
16 流入方向
17 矢印
18 空隙
19 分離腹部
20 管路
21 熱交換媒体
22 熱交換フィン
23 矢印
99、100 熱交換装置
110 室
111 流入口
113 作業媒体
120 管路
121 熱交換媒体
122 熱交換フィン
130 壁
140 管路
150 熱交換フィン
200 熱交換装置
210 室
213 作業媒体
220 管路
221 熱交換媒体
222 熱交換フィン
300 熱交換装置
310 室
311 流入口
312 流出口
313 作動媒体
320、340 管路
321 熱交換媒体
322、350 熱交換フィン
324 流入口
325 流出口
355 矢印
365,366 矢印
370 矢印
400 熱交換装置
410 室
411 流入口
412 流出口
413 作動媒体
421 熱交換媒体
422 フィン
450 フィン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動媒体と熱交換媒体とを用いる熱交換装置であって、所要の動作点を生成する意味で作動媒体が熱交換面を介して熱交換媒体と熱交換させられ、室が形成されており、前記室に作動媒体が流入し、熱交換媒体を流通させる少なくとも1つの管路が前記室を貫通しおよび/または限定し、特に取り囲んでいることを特徴とする熱交換装置。
【請求項2】
前記室をその最大縦伸長方向で少なくとも1つの管路が貫通することを特徴とする、請求項1記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの管路が熱交換フィンを有することを特徴とする、請求項1または2記載の熱交換装置。
【請求項4】
前記熱交換フィンが前記管路の外面に配置され、かつ前記管路から前記室内に突出していることを特徴とする、請求項3記載の熱交換装置。
【請求項5】
前記熱交換フィンが前記少なくとも1つの管路の推移方向に関して垂直に立ち、特に半径方向に突出させて形成されていることを特徴とする、請求項4記載の熱交換装置。
【請求項6】
前記熱交換フィンが前記室への作動媒体の流入方向に合わせて形成されていることを特徴とする、請求項4または5のいずれかに記載の熱交換装置。
【請求項7】
前記熱交換フィンが前記室からの作動媒体の流出方向に合わせて形成されていることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項記載の熱交換装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの管路が前記室の少なくとも1つの流入口の領域に形成されていることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載の熱交換装置。
【請求項9】
複数の流入口が設けられており、各流入口の領域内を1つの管路が延びていることを特徴とする、請求項8記載の熱交換装置。
【請求項10】
複数の流入口に各1つの共通する管路が付設されていることを特徴とする、請求項9記載の熱交換装置。
【請求項11】
各流入口に別の1つの管路が付設されていることを特徴とする、請求項9記載の熱交換装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの管路が少なくとも1つの流出口の領域に形成されていることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載の熱交換装置。
【請求項13】
複数の流出口が設けられており、各流出口の領域内を1つの管路が延びていることを特徴とする、請求項12記載の熱交換装置。
【請求項14】
複数の流出口に各1つの共通する管路が付設されていることを特徴とする、請求項13記載の熱交換装置。
【請求項15】
各流出口に別の1つの管路が付設されていることを特徴とする、請求項13記載の熱交換装置。
【請求項16】
各管路に少なくとも1つの流入口と少なくとも1つの流出口が付設されており、主に少なくとも1つ、特に正確に1つの流入口と正確に1つの流出口が付設されていることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載の熱交換装置。
【請求項17】
前記室を取り囲む少なくとも1つの管路が前記室の壁に配置されており、前記壁が特に熱交換フィンを備えていることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載の熱交換装置。
【請求項18】
前記壁の熱交換フィンが、前記室を貫通する管路の熱交換フィンとで作動媒体用流れ案内手段を形成することを特徴とする、請求項17記載の熱交換装置。
【請求項19】
作動媒体が、流入口から流出口に至る流路で、熱交換フィンを備えた領域を流通することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載の熱交換装置。
【請求項20】
前記室が作動媒体用貯蔵容器を成すことを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載の熱交換装置。
【請求項21】
前記室が蓄圧器を成すことを特徴とする、請求項20記載の熱交換装置。
【請求項22】
前記室が車両機能要素の構成要素であることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載の熱交換装置。
【請求項23】
前記室がエンジン部材、特にエンジン排気ダクト、排気再循環装置、ブレーキ装置または圧縮機の一体な構成要素であることを特徴とする、請求項22記載の熱交換装置。
【請求項24】
前記室がエンジンブロックの領域内に直接形成され、またはその構成要素であることを特徴とする、請求項23記載の熱交換装置。
【請求項25】
フィン高さが1mm〜約40mm、フィン間隔が0.1〜約20mmであることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載の熱交換装置。
【請求項26】
熱交換媒体によって作動媒体を状態調節するための方法において、作動媒体が室に流入し、熱交換媒体が、前記室を貫通する少なくとも1つの管路を流通することを特徴とする方法。
【請求項27】
前記室内での作動媒体の状態調節が少なくとも一部は自由対流によって行われることを特徴とする、請求項26記載の方法。
【請求項28】
作動媒体が、少なくとも室に流入時または室から流出時に、熱交換フィンを備えた領域を流通することを特徴とする、請求項26または27記載の方法。
【請求項29】
前記熱交換フィンが作動媒体の流入方向もしくは流出方向で整列していることを特徴とする、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記熱交換フィンが前記室内で対流の流れ推移方向で整列していることを特徴とする、請求項28記載の方法。
【請求項31】
作動媒体が前記室内に貯蔵され、作動媒体が前記室内で圧力を付加されていることを特徴とする、請求項26〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
作動媒体が車両のエンジンまたはブレーキ装置を作動させるのに役立つことを特徴とする、請求項26〜31のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
請求項1〜23のいずれか1項記載の熱交換装置を用いて方法の実行がなされることを特徴とする、請求項26〜32のいずれか1項記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−514255(P2006−514255A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−568659(P2004−568659)
【出願日】平成15年11月10日(2003.11.10)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012495
【国際公開番号】WO2004/076951
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(594042033)ベール ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー (222)
【Fターム(参考)】