説明

熱伝導材、半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】 電気特性、放熱特性に優れ、小型、薄型化可能な熱伝導材、半導体装置および製造方法を提供する。
【解決手段】 熱伝導性樹脂33と、前記熱伝導性樹脂33内に分散して配置された熱伝導フィラー32とを備え、前記熱伝導フィラー32同士の総接触面積は、外部からの加熱の有無に応じて変化し、前記加熱により温度が上昇する際には前記総接触面積は大きくなり、前記加熱温度が下降する際には、前記総接触面積が小さくなる、熱伝導材から構成された熱伝導路26。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話などの無線通信機器や、情報処理機器等に用いられる半導体装置や、その半導体装置に用いられる熱伝導材等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話に代表される無線通信機器や、パソコンなどの情報処理機器の普及が急速にすすんでいる。
【0003】
無線通信機器においては、無線出力を所定の電力レベルに増幅するための電力増幅装置、情報処理機器においては、CPUなどの高速演算装置における消費電力が大きく、それらに用いる半導体装置の発熱量も大きい。このような半導体装置を用いる機器においては、発熱による誤動作、異常動作を防止するために、放熱機構が必須となる。またこれらの機器では携帯性、高機能化が求められるため、半導体装置においても小型化・薄型化が要求される。
【0004】
従来の半導体装置の例を図14に示す(例えば特許文献1を参照)。
【0005】
図14において、102は半導体チップ、103は基板、131は基板電極、104は蓋、123は球形のバンプ、101はフレーム下部、111はフレーム上部である。図14の半導体装置は、基板103上の基板電極131に半導体チップ101がフェイスダウン実装されている。半導体チップ102が実装された基板131に対してフレーム下部101とフレーム上部111とで上下から接続し、フレーム上部111に蓋104が接着されてなる、パッケージ構造を有している。なお、蓋104は金属または無機材料によるキャップからなる。
【0006】
この半導体装置は、図示しない実装用基板に、他の回路装置と共に実装されることにより、通信機器や情報処理機機内に組み込まれる。
【特許文献1】特開2002−305262公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したような、従来の気密封止構造を有するパッケージ構造の半導体装置には、次のような課題があった。
【0008】
すなわち、第1に、図14の半導体装置の構成は、半導体チップ102の裏面が蓋104から離れており、また、フリップチップ実装された半導体チップ102の素子側の発熱は球形のバンプを介して基板側に熱伝導することができない。つまり半導体チップの放熱対策が不十分である。
【0009】
これに対しては従来より、半導体チップ102と半導体チップ102が実装される実装基板a103または蓋104との間に、樹脂、金属等を用いた熱伝導層等の放熱手段を設け、半導体チップ102からの放熱を行わせる対策が従来行われていた。
【0010】
しかしながら、そのような放熱手段を設けると、半導体チップ102の放熱等は速やかに行われるが、例えば半導体装置の動作が繰り返し行われるような場合、半導体チップ102において、発熱、放熱のサイクルが頻繁に生ずることになり、半導体チップ012は急激な温度変化によって、その電気的特性や効率(動作速度)が低下するという問題があった。
【0011】
また第2に、半導体チップ102の具体例としては、フィルタチップや振動素子等が挙げられるが、例えば、振動素子の場合、その振動面を封止樹脂で覆うことは電気特性が得られず不可能である。そこで、フィルタチップや振動素子はそれぞれ個別にキャップしたパッケージ構造とした後に、それらをSMD電子部品と実装しなければならないが、上述のようなパッケージ構造を採用すると、コスト高になる。
【0012】
また、パッケージ構造の半導体部品や、回路部品を、図14に示さない別途実装基板に実装するとき、各単体部品の面積サイズと厚みは大きくなる上、更にはトータル複合デバイスにした時の面積サイズや厚みは更に大きくなってしまい、小型低背化、低コスト化ができない。更に半導体チップ102と回路部品を同一基板に実装すると、接続プロセスが異なるため、タクトアップ、コストアップにつながり、しかも、出来上がった半導体装置を検査して不良が発生した場合には、リペアすることができない。
【0013】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、半導体チップからの発熱を制御し、電気特性と高速化に対応させることが可能な熱伝導材、および低コスト、小型低背化が可能な半導体装置ならびにその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、第1の本発明は、熱伝導性樹脂と、前記熱伝導性樹脂内に分散して配置された熱伝導フィラーとを備え、前記熱伝導フィラー同士の総接触面積は、外部からの加熱の有無に応じて変化し、前記加熱により温度が上昇する際には前記総接触面積は大きくなり、前記加熱温度が下降する際には、前記総接触面積が小さくなる、熱伝導材である。
【0015】
また、第2の本発明は、前記熱伝導フィラーは、熱膨張および熱収縮する性質を有する、第1の本発明の熱伝導材である。
【0016】
また、第3の本発明は、前記熱伝導フィラーは紡錘形状または楕円体形状であり、前記熱膨張および熱収縮の方向は、前記フィラー長さに対して短手方向である、第1の本発明の熱伝導材である。
【0017】
また、第4の本発明は、前記熱伝導樹脂は、前記外部からの加熱に起因する圧力に応じて体積が変化し、前記熱伝導フィラーは、前記熱伝導樹脂の体積の変化により、互いの距離が変化する、第1の本発明の熱伝導材である。
【0018】
また、第5の本発明は、前記熱伝導フィラーは実質上球状または円柱状の形状を有する、第1の本発明の熱伝導材である。
【0019】
また、第6の本発明は、前記熱伝導フィラーは、少なくとも1つ以上の円柱状フィラーが、その側面が接して集まった外形柱状の構成を有する、第4の本発明の熱伝導材である。
【0020】
また、第7の本発明は、前記熱伝導フィラーは、前記熱伝導材内で、少なくとも1つ以上の縞または層を形成するように配置されている、第6の本発明の熱伝導材である。
【0021】
更に、第8の本発明は、前記熱伝導フィラーは、前記圧力が印加されると、前記円柱状の前記側面に沿って互いに摺動して前記外形柱状の形状を変化する性質を有する、第7の本発明の熱伝導材である。
【0022】
また、第9の本発明は、外部からの加熱の有無に応じて厚みが変化する熱伝導性樹脂から構成され、前記加熱により温度が上昇する際には前記厚みは大きくなり、前記加熱温度が下降する際には、前記厚みが小さくなる、熱伝導材である。
【0023】
また、第10の本発明は、半導体チップと、前記半導体チップを実装する実装基板と、前記半導体チップと前記実装基板とを熱的に接続する放熱手段とを備え、前記放熱手段は、前述の熱伝導材から構成される、半導体装置である。
【0024】
また、第11の本発明は、半導体チップと、前記半導体チップを実装し、前記半導体チップと電気的に接続する端子電極を有する第1の基板と、前記第1の基板と対向する第2の基板と、前記第1の基板および/または前記第2の基板に設けられ、前記半導体チップの周囲を取り囲むように設けられた封止材とを備え、前記第1の基板、前記第2の基板および前記封止材は、前記半導体チップを内蔵する密閉空間を形成し、前記密閉空間内には、前記第2の基板上に実装された回路部品が配置されている、半導体装置である。
【0025】
また、第12の本発明は、前記封止材は、電極を兼ねている、第11の本発明の半導体装置である。
【0026】
また、第13の本発明は、前記封止材は前記第1の基板に設けられた第1の端子電極と、前記第2の基板に設けられた第2の端子電極とを少なくとも有する、第12の本発明の半導体装置である。
【0027】
また、第14の本発明は、前記第1の基板の前記端子電極は、前記密閉空間内で、前記第2の基板に達している、第11の本発明の半導体装置である。
【0028】
また、第15の本発明は、前記半導体チップは、放熱部材を介して前記第2の基板と熱的に接続している、第11の本発明の半導体装置である。
【0029】
また、第16の本発明は、前記放熱部材は、前記第2の基板内に達する厚みを有している、第15の本発明の半導体装置である。
【0030】
また、第17の本発明は、前記放熱部材は、その全部又は一部の材料が異なる層からなる多層構造を有する、第15または第16の本発明の半導体装置である。
【0031】
また、第18の本発明は、前記放熱部材の全部または前記放熱部材の前記多層構造の一部の層は、第1から第10のいずれかの本発明の熱伝導材により構成されている、第15または第16の本発明の半導体装置である。
【0032】
また、第19の本発明は、前記一部の層は、前記半導体チップと直接接触している、第18の本発明の半導体装置である。
【0033】
また、第20の本発明は、第1の基板に、半導体チップを実装し、前記半導体チップと電気的に接続する端子電極を形成する第1の工程と、第2の基板に回路部品を実装する第2の工程と、前記第1の基板および/または前記第2の基板に、前記半導体チップの周囲を取り囲むように封止材を設ける第3の工程と、少なくとも前記第1の工程および第2の工程の後、前記第1の基板と第2の基板とを対向させて、前記半導体チップが、前記封止材と、前記第1の基板および前記第2の基板の対向面とにより形成される密閉空間内に配置されるように接合する第4の工程とを備えた、半導体装置の製造方法である。
【0034】
また、第21の本発明は、前記第2の基板に、その主面が前記半導体チップの主面と対向する放熱部材を設ける工程を更に備えた、第20の本発明の半導体装置の製造方法である。
【0035】
また、第22の本発明は、少なくとも前記第4の工程を行うより前に、前記半導体チップが実装され、前記端子電極が形成された前記第1の基板の前記端子電極に通電することにより、前記半導体チップを検査する第5の工程を更に備えた、第20の本発明の半導体装置の製造方法である。
【0036】
また、第23の本発明は、少なくとも前記第4の工程を行うより前に、前記回路部品が実装された前記第2の基板の前記回路部品に通電することにより、前記回路部品を検査する第6の工程を更に備えた、第20の本発明の半導体装置の製造方法である。
【0037】
更に、第24の本発明は、前記第4の工程を行った後、検査を行い、不具合が検出された場合は、前記第1の基板と前記第2の基板とを分離して、前記不具合の原因となる部品を交換した後、再び前記第1の基板および第2の基板を接合する第7の工程を更に備えた、第20の本発明の半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0038】
以上のような本発明によれば、半導体チップからの発熱を制御し、電気特性と高速化に対応させることが可能な熱伝導材、および低コスト、小型低背化が可能な半導体装置ならびにその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0040】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるフェイスダウン実装による半導体装置を示した概略断面図であり、図において、1は半導体チップ、2は電極パッド、3はバンプ、4は第1の実装基板、5は、半導体チップ1と電気的に接続する端子電極の一方の端部である電極端a、6は前記端子電極の他方の端部である電極端b、7は第1の気密電極、8は第4の熱伝導層、9は第1の熱伝導層、10は第1の熱伝導路、11は金属体、12は金属層、13は第1の樹脂層、14は第2の実装基板、15は第2の気密電極、16は回路部品22を実装するための端子電極a、17は電極端b6と対向する端子電極b、18は第2の熱伝導層、19は第2の熱伝導路、20は第3の熱伝導層、21は端子電極c、22は回路部品、23は回路部品の端子電極である端子電極d、24は接合材、25は第1の接合層、26は第3の熱伝導路、27は第2の接合層、28は端子電極eである。また29は第2の樹脂層である。
【0041】
図1において、第1の実装基板4は、第1の樹脂層13と、これと実質上同一形状であって、その上面に形成される金属層12と、第1の樹脂層13の内部に形成または配置される第1の熱伝導路10および金属体12とから構成される。また、第2の実装基板14は、第2の樹脂層29と、第2の樹脂層29の内部に形成または配置される第2の熱伝導路19および金属体11とから構成される。
【0042】
また、第1の実装基板4の一方の主面上であって、半導体チップ1と対向する部分には第1の熱伝導層9が配置されている。第1の熱伝導層9は、第1の樹脂層13内の第1の熱伝導路10と面接触している。また第1の熱伝導路10は、第1の実装基板4の他方の主面上 半導体チップ1は、第1の実装基板4の前記一方主面上に設けられた端子電極に、電極端aを介してバンプ3によりフェイスダウン実装される。なおバンプ3としては高温半田やAuがあげられる。低コスト形成するために、メッキ工法等で形成しておいてもよい。
【0043】
端子電極には、第2の実装基板14に向かって延伸している他方の電極端bを有し、電極端bは、第2の接合層27を介して第2の実装基板14上の端子電極b17に接続されている。
【0044】
次に、半導体チップ1の裏面、すなわち電極パッドの設けられていない面は、第3の熱伝導路26を介して、第2の実装基板14の表面に配置された第2の熱伝導層18と接続されている。また第2の実装基板14の主面上の第2の熱伝導層18と第2の熱伝導路19とは面接触しており、また第2の実装基板14のマザー実装側の第3の熱伝導層26と第2の熱伝導層18とも面接触している。
【0045】
また、電極端a5の厚みと電極端b6の厚みとの差は、半導体チップ1の電極パッド2が設けられた面から電極端a5までの高さよりも大きい。
【0046】
また、第2の実装基板14の主面上には回路部品22が接合材24によって表面実装されている。なお、回路部品22の例としては、表面実装部品、CSP(チップスケールパッケージ)、WLP(ウェハーレベルパッケージ)が挙げられる。
【0047】
また、第1の実装基板4の主面上には、第1の気密電極7が、基板外周に連なって連続的に配置されており、回路部品22や半導体チップ1の周囲をもれなく取り囲んでいる。第1の気密電極7の配置に対応して、第2の実装基板14の主面上の第2の気密用端子電極15も実装基板2の外周に連なって配置されており、第1の気密電極7と第2の気密用端子電極15とは、第1の接合層25を介して接続されている。したがって、第1の実装基板4と第2の実装基板14の対向面と、第1の気密電極7、第2の気密用端子電極15および第1の接合層25とは、半導体チップ1や回路部品22を内蔵する、気密中空の収納空間を形成している。
【0048】
この収納空間内において、第1の実装基板4の回路部品22に対向するように、第4の熱伝導層8が第2の実装基板14上に配置されている。
【0049】
次に、第3の熱伝導路26の説明を、図2および図3を参照して説明する。ただし図2は、図1の、第3の熱伝導路26およびその近傍の拡大図であり、図3は第3の熱伝導路26の詳細図である。
【0050】
図3に示すように、第3の熱伝導路26は、熱伝導性樹脂33と、そこに充填、分散して配置された、実質上球形の形状を有する、多数の熱伝導製フィラー32とから構成されている。なお、熱伝導性フィラー32の熱伝導率は、熱伝導性樹脂33のそれよりも大きい。また、第3の熱伝導路26の熱膨張係数は、半導体チップ1または、バンプ3および第2の熱伝導層18のそれぞれの熱膨張係数よりも小さい。
【0051】
以上のような構成を有する、本発明の実施の形態の半導体装置の動作を以下に説明する。
【0052】
半導体チップ1は通電、動作を開始すると発熱し、発生した熱は、主に面接触した第3の熱伝導路126を介して、第2の熱伝導層18、第2の熱伝導路19および第3の熱伝導層20へ順に放熱される。
【0053】
発熱当初は、本実施の形態の第3の熱伝導路26においては、熱伝導性樹脂33内の熱伝導性フィラー32の分布は粗になっている。すなわち、個々の熱伝導フィラー同士は互いに離れて配置されており、互いに接触しているものの個数は少なく、また接触面積もさほど大きくない。したがって、熱伝導フィラー32の総接触面積は小さくなっており、第3の熱伝導路26内に於ける熱の伝導は、熱伝導性樹脂33を介するものが比較的大になり、熱伝導率は小さい状態にある。これは第3の熱伝導路26が熱抵抗として働くことを意味し、そのため半導体チップ1の温度上昇は早く起こる。
【0054】
次に、半導体チップ1の発熱が進むと、半導体チップ1と第2の熱伝導層18が熱膨張し、第3の熱伝導路26に、その両面から圧力を加える。
【0055】
圧力が加えられた第3の熱伝導路26においては、熱伝導性樹脂33が変形することで、全体の厚みが減じている。これにより熱伝導性樹脂33内部の熱伝導性フィラー32は互いに近接、接触し、接続点数が増加する。これにより、熱伝導フィラー32の総接触面積は、半導体チップ1の発熱当初より大きくなり、半導体チップ1からの熱の伝導は、主にこの熱伝導フィラー32を通じて、第2の熱伝導層18へ伝達することになる。したがって熱伝導率はより大きくなる。これにより、半導体チップ1からの発熱は、速やかに第2の熱伝導層18以下の各伝熱手段へと伝達され、半導体チップの過昇温を防止することができる。
【0056】
一方、半導体チップ1の動作が終了し温度下降が始まると、半導体チップ1と第2の熱伝導層19の熱膨張による圧力は低下し、上記の状態と逆のプロセスを経て、第2の熱伝導路3の熱伝導率は再び低下する。したがって、半導体チップ1からの放熱は再び抑制され、過度の温度下降が防止されることになる。
【0057】
ここで図6に、従来の熱伝導率が一定の熱伝導材による熱伝導路と、本実施の形態の、熱伝導率が温度に応じて変化する第3の熱伝導路26との放熱特性の比較を示す。
【0058】
図に示すように、従来の熱伝導路は、半導体チップ1の動作開始時から効率よく放熱を行うため、温度安定化までに要する時間が長くなる一方、動作終了後は速やかに温度が低下し、再動作開始までには、当初の動作開始時まで下がっている。すなわち、従来の熱伝導路によれば、半導体チップ1は、その断続的な動作による温度変化が大きく、かつ温度が安定している時間は短い。この状態が、半導体チップ1の、レスポンスのよい高速な電気的接続と高周波特性の劣化を招くことになっていた。
【0059】
これに対し、本実施の形態の第3の熱伝導路26は、上述したように、半導体チップ1の動作開始時直後は放熱効率が低いため、半導体チップ1の温度を、安定状態まで速やかに上昇させることができる一方、一旦安定状態に達した後は、熱伝導率も大きくなり、適切な放熱効率で、半導体チップ1の加熱を防ぐことが出来、安定化状態を長く保つことができる。更に、動作終了後は、半導体チップ1の放熱につれて熱伝導率が小さくなるため、再動作開始時の温度は、当初の動作開始時よりも十分高く、再起動後の温度安定化が速やかに行われる。すなわち、半導体チップ1は、その断続的な動作による温度変化が小さく、かつ温度が安定している時間が長く、レスポンスのよい高速な電気的接続と高周波特性を維持できることになる。
【0060】
このように、本発明の実施の形態による半導体装置は、半導体チップ1と面接触し、半導体チップ1の発熱を伝達する第3の熱伝導路26に、熱伝導性樹脂33および熱伝導フィラー32から構成された熱伝導材を用いることにより、半導体チップ1の温度に応じて、熱伝導率を変動させて、半導体チップ1の動作に起因する温度変化を小さく、安定している時間を長期に保つことができるため、無線送受信のような、短時間に断続動作する場合に、半導体チップ1の昇温による安定動作温度到達までの時間を短縮でき、また、降温時には温度の急激な降下を防止し一定の時間、安定動作温度状態を保つことができ、安定動作を保持するとともに、半導体チップ1の再動作した際には安定動作温度に早く復帰させることができ、レスポンスのよい高速な電気的接続と高周波特性を得ることができる。
【0061】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2による半導体装置は、第3の熱伝導路26の構成を除けば、実施の形態1と同様なので、説明には図1〜6を用い、その詳細は省略する。また、図7および図8は、本実施の形態の第3の熱伝導路26の構成及び動作を説明するための図である。
【0062】
本実施の形態の第3の熱伝導路26は、熱伝導性樹脂33内に充填、配置された熱伝導性フィラー32の形状が、少なくとも1つ以上の円柱状フィラーが互いの側面を接して、その輪郭となる外形が柱状(以下、外形柱状と称す)の構成を有し、かつこの柱状の単位を有する1つ以上の円柱状フィラーが、熱伝導性樹脂33内で層を形成するように配置されているという特徴を有する。
【0063】
このような構成を有する本実施の形態における、第3の熱伝導路26の作用を以下に説明する。
【0064】
図7に示すように、半導体チップ1が動作直後等の低温状態にあるときは、熱伝導樹脂33内に分散配置された柱状の円柱状フィラーにおいては、熱伝導性樹脂33の厚みが大きいため、個々の円柱状フィラー同士の接面は小さく、結果として、外形柱状は、上下に細長く引き延ばされた実質上棒状の形状となっている。したがって熱伝導性フィラー32の全接触面積は小さくなり、第3の熱伝導路26としての熱伝導率は小さい。
【0065】
一方、半導体チップ1が所定時間を経て温度が上昇すると、実施の形態1の場合と同様に、半導体チップ1および第2の熱伝導層18は熱膨張し、第3の熱伝導層26に、その両面から圧力を加える。このとき熱伝導性樹脂33は厚みを減じるように変形するが、熱伝導性フィラー32は、図8に示すように、個々の円柱状フィラーは形状を変えずに、互いに接する側面に沿って互いに接近するように摺動する。これにより外形柱状の形状は、細長い棒状から柱状に変化する。このとき、円柱状フィラーの側面は互いに全面が密着し、また、上下面はそれぞれ半導体チップ1および第2の熱伝導層18にそれぞれ接している。これにより、熱伝導フィラー32の全接触面積は、半導体チップ1の発熱当初より大きくなり、半導体チップ1からの熱の伝導は、主にこの熱伝導フィラー32を通じて、第2の熱伝導層18へ伝達することになり、第3の熱伝導路26の熱伝導率は大きくなる。
【0066】
また、半導体チップ1が動作終了すると、上記の逆のプロセスをへて、熱伝導フィラー32の外形柱状の形状は、再び細長い棒状に復帰し、熱伝導率は小さくなる。
【0067】
このような作用により、第3の熱伝導路26は、熱伝導率が可変となり、実施の形態1と同様の効果を与える。
【0068】
なお、上記の説明においては、外形柱状の複数の円柱状フィラーから構成された熱伝導フィラー32は、熱伝導性樹脂33内で一層を形成しているものとしたが、熱伝導性フィラー32は多層構成されていてもいい。また、層を形成せずとも、面的な広がりを持たない縞状に配置されている構成であってもよい。
【0069】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3による半導体装置は、第3の熱伝導路26の構成を除けば、実施の形態1と同様なので、説明には図1〜6を用い、その詳細は省略する。また、図9および図10は、本実施の形態の第3の熱伝導路26の構成及び動作を説明するための図である。
【0070】
本実施の形態の第3の熱伝導路26は、実施の形態1および2とは異なり、熱伝導性樹脂32の熱膨張率は、半導体チップ1またはバンプ3および第2の熱伝導層18のそれ以上である。また、楕円体形状を有する熱伝導性フィラー32は、そのフィラー長さに対して短手方向に熱膨張する性質を有する。
【0071】
このような構成を有する本実施の形態における、第3の熱伝導路26の作用を以下に説明する。
【0072】
図9に示すように、半導体チップ1が動作直後等の低温状態にあるときは、熱伝導樹脂33内に分散配置された熱伝導性フィラー32は、低温のため体積は比較的小さく、互いの距離も離れているため、熱伝導フィラー32の全接触面積は低く、第3の熱伝導路26としての熱伝導率は小さい。
【0073】
一方、半導体チップ1が所定時間を経て温度が上昇すると、実施の形態1の場合と同様に、半導体チップ1および第2の熱伝導層18は熱膨張するが、熱伝導性樹脂33の膨張率は半導体チップ1またはバンプ3および第2の熱伝導層18のそれ以上でなので、厚みは実質上変化しない。これに対し熱伝導性フィラー32は、半導体チップ1からの熱が加わるとフィラー長さに対して短手方向に熱膨張するため体積が増加し、また表面積も増大する。これにより互いの距離が接近すると共に、接続点数、接続面積が増加する。これにより、熱伝導フィラー32の総接触面積は、半導体チップ1の発熱当初より大きくなり、第3の熱伝導路26の熱伝導率は大きくなる。
【0074】
また、半導体チップ1が動作終了すると、上記の逆のプロセスをへて、熱伝導フィラー32は熱収縮して、熱伝導率は小さくなる。
【0075】
このような作用により、第3の熱伝導路26は、熱伝導率が可変となり、実施の形態1と同様の効果を与える。
【0076】
なお、上記の説明においては熱伝導性フィラー32の形状は楕円体形状としたが、紡錘形状であってもよい。このときも、熱膨張の方向は、そのフィラー長さに対して短手方向であることが望ましい。
【0077】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4による半導体装置の構成は、実施の形態1と同様なので、説明には図1〜6を用いる。
【0078】
本実施の形態の半導体装置の特徴は、第1の実装基板4,第2の実装基板14、および第1の気密電極7と第2の気密電極15と第1の接合層25とから構成される封止材が、中空気密の収納空間を形成し、この内部に半導体チップ1および回路部品22を内蔵した構成を有している点である。すなわち、従来の半導体装置は、半導体装置を独立したパッケージ構造に封入した状態で完成し、このパッケージ構造を、表面実装部品が実装される他の実装基板に実装して、通信機器や情報処理機機装置に組み込むようにしているため、実装基板を含めた全体の大型化を招いていたのに対し、本実施の形態は、回路部品22を実装する実装基板自体が、半導体チップ1を内蔵するパッケージ構造の一部となっている。これにより、半導体装置および他の回路部品を実装した構造全体を小型化できるという利点がある。
【0079】
次に、本実施の形態のパッケージ構造の製造方法を、図11(a)〜(g)を参照して説明する。
【0080】
初めに、第2の実装基板14の両主面上に、端子電極c21,第3の熱伝導層20,端子電極e28, 第2の気密電極15、端子電極a16,端子電極b17,第2の熱伝導層18を実装し、更に端子電極a16の上には接合材24を設ける。なお、第2の実装基板14は、その主面の予め対応する箇所に貫通孔を開けて、第2の熱伝導路19を充填成型しておく(図11(a))。また接合材24は、メッキ方法や印刷方法(メタル版印刷、スクリーン印刷)やディスペンス方法等により形成する。
【0081】
次に、接合材24の上部に、回路部品22を実装する(図11(b))。このとき実装は、硬化炉または局所加熱方法またはリフロー等で、接合材24を溶融接合もしくは熱硬化させることにより行う。なお、回路部品22は同一の実装工法が可能なパッケージ部品(CSP、WLP)によって実現してもよい。
【0082】
次に、第1の実装基板4の主面上に、電極端a5およびb6を有する端子電極と、第4の熱伝導層8と、第1の熱伝導層9と、第1の気密電極7とをメッキ法等により形成し、更に電極端b6の上面に第2の接合層27を、また第1の気密電極7の上面に第1の接合層25をそれぞれ転写方法や印刷方法により設ける。なお、第1の実装基板4は、その主面の予め対応する箇所に貫通孔を開けて、第1の熱伝導路9を充填成型しておく(図11(c))。また、第1の接合層25,第2の接合層27としては、例えば半田を用いる。他の気密融着できるものであれば、金属(低融点金属)、無機(ガラス)、有機材料(LCP)でもかまわない。また、メッキ方法、印刷方法、ディッピング方法、スタンピング方法、ディスペンス方法等により形成する。ただし、半導体チップ1からの電気的接続を保つためには、導電性材料を用いることが望ましい。また、第1の接合層25,第2の接合層27の融点は、半導体チップ1の電極パッド2の融点よりも低くなるようにする。
【0083】
次に、図11(c)にて各電極が実装された第1の実装基板4に、電極パッド2およびバンプ3を介して、半導体チップ1をフリップチップ実装する(図11(d))。
【0084】
次に、図11(b)の状態にある第2の実装基板14において、第2の熱伝導層18上に、第3の熱伝導路26を設ける(図11(e))。このとき第3の熱伝導路26は、印刷方法、転写方法、ディスペンス方法、フィルムシート貼り付け方法等によって形成する。
【0085】
次に、図11(d)の状態にある第1の実装基板4と、図11(e)の状態にある第2の実装基板14とを、半導体チップ1と第3の熱伝導路26とが対向するようにして貼り合わせる。このとき、第1の気密電極7と第2の気密電極15とは、第1の接合層25を介して接するように、また電極端b6と端子電極b17とは、第2の接合層27を介して接するように配置する(図11(f))。
【0086】
最後に、第1の接合層25および第2の接合層27を、加熱加圧ヘッド、リフローもしくは硬化炉(乾燥器)を用いた溶融接合または熱硬化によって各電極と接続する(図11(g))。
【0087】
すでに述べたように、第1の気密電極7および第2の気密電極15は、それぞれ第1の実装基板4および第2の実装基板14の外周に連なって連続的に配置されており、回路部品22や半導体チップ1の周囲をもれなく取り囲んでいるため、第1の実装基板4と第2の実装基板14の対向面と、第1の気密電極7、第2の気密電極15および第1の接合層25が、半導体チップ1や回路部品22を内蔵する、気密中空の収納空間が形成される。
【0088】
なお、第3の熱伝導路26は、接合材24等を設けるのと同時に行ってもよい。
【0089】
また、第2の実装基板14における第1の接合層25,第2の接合層27の形成は、接合材24の形成に先立って行ってもよい。また、第1の実装基板1における半導体チップ1の実装は、第1の接合層25,第2の接合層27の形成に先だって行ってもよい。要するに、図11(d)の状態にある第1の実装基板4と、図11(e)の状態にある第2の実装基板14とを、半導体チップ1と第3の熱伝導路26とが対向するようにして貼り合わせ工程を実行するまでに、各実装基板上における、電極、熱伝導層、回路部品等の形成、実装の順序は順不同としてよい。したがって、多数の部品の実装を同時に行うことにより、半導体装置全体の製造工程を短縮させることができる。例えば、第1の気密電極7,第4の熱伝導層8,端子電極の電極端a5および電極端b6,第1の熱伝導層9は、それぞれの厚みに応じて一括して(ハーフ)エッチングにより形成してもよい。
【0090】
また、上述したように、本実施の形態による半導体装置は、半導体チップ1が実装された第1の実装基板4と、回路部品22が実装された第2の実装基板14とが、貼り合わせるまでは互いに独立して完成した状態にある。
【0091】
これにより、図12(a)(b)に示すように、端子電極b17にプローバ30を接触させ、ここから通電させることにより、実装した回路部品22が正常品かどうかを半導体装置完成前に検査することができる。また図12(c)(d)に示すように、別途用意した検査装置31の検査ソケット34に第2の接合層27を端子として嵌合させ、ここから通電させることにより、実装した半導体チップ1が正常品かどうかを、半導体装置完成前に検査することができる。特に、第2の接合層27が設けられた、第1の実装基板4の電極端a5およびb6を有する端子電極はソケットタイプの検査方法に適しており、加熱溶融が困難な樹脂モールドの半導体装置と異なり、本実施の形態の半導体装置において特に有効である。
【0092】
また、第2の実装基板14は、外部実装用の端子電極c21,e28が設けられており、図13(a)に示すように、これら端子電極に対応した検査用電極36を備えた検査装置35を用いて、更に完成後の半導体装置の検査をも行うことができる。
【0093】
ここで不具合が生じ、半導体チップ1または回路部品22に不良があると想定される場合は、一旦貼り合わせた第1の実装基板4と第2の実装基板14とを剥離させることができる。すなわち、第1の実装基板4の金属層12の面から加熱を行い、第1の実装基板4と第2の実装基板14との接合部をなす第1の接合層25,第2の接合層27を溶融させて、分離する。ここで図13(b)に示す例には、金属層12と全面接触するヘッド加熱治具37を用いた。ヘッド加熱処理治具37は吸着機能を有し、分離した後の第1の実装基板4を容易に分離することができる。また、溶融した第1の接合層25,第2の接合層27は残滓となって実装基板上に残留するが、これは溶剤や吸着材でクリーニングすればよい。
【0094】
後は不具合の原因となる半導体チップ1や回路部品22を個別に検査して、原因となる部品を交換した後に、図11に示す各工程によって再組み立てを行えばよい。
【0095】
このように、本実施の形態によれば、完成後の半導体装置に不具合がある場合でも、故障個所を部品毎に個別に判断して、容易に修繕することができる。これは、単に完成後の試験のみならず、他の部品に比して高価な半導体チップ1が実装された実装基板1を再利用するメリットを与え、半導体装置のリサイクルを可能とし、全体として低コスト化が期待できる。
【0096】
なお、上記の各実施の形態において、第3の熱伝導路26は本発明の放熱手段、熱伝導材に相当し、熱伝導性樹脂33は本発明の熱伝導性樹脂に相当し、熱伝導性フィラー33は本発明の熱伝導性フィラーに相当し、半導体チップ1は本発明の半導体チップに相当し、電極端a5および電極端b6を有する端子電極は本発明の端子電極に相当し、第1の実装基板4は本発明の第1の基板に相当し、第2の実装基板14は本発明の第2の基板に相当し、第1の気密電極7,第2の気密電極15および第1の接合層25は本発明の封止材に相当し、回路部品22は本発明の回路部品に相当する。
【0097】
また、第1の気密電極7は本発明の第1の端子電極に相当し、第2の気密電極13は本発明の第2の端子電極に相当する。
【0098】
また、第3の熱伝導路26、第2の熱伝導層18および第2の熱伝導路19は、多層構造を有する本発明の放熱手段に相当する。
【0099】
ただし本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、例えば本発明の放熱手段として、第2の熱伝導層18、第2の熱伝導路19も第3の熱伝導路26と同様本発明の熱伝導材により形成される単層構造としてもよい。また、第2の熱伝導層18または第2の熱伝導路19を本発明の熱伝導材で構成し、第3の熱伝導路26は従来材料により構成してもよい。
【0100】
また、本発明の熱伝導材を放熱手段として用いる半導体装置は、本発明の密閉空間を有する半導体装置のみならず、図14に示すような従来例の半導体装置において実施してもよい。本発明の熱伝導材が放熱手段として半導体チップと実装基板とを熱的に接続する構成を有していれば、その具体的構成によって限定されるものではない。
【0101】
また、上記の実施の形態1〜3においては、熱伝導材は熱伝導性樹脂および熱伝導性フィラーから構成されるものとしたが、外部からの熱圧力により厚みが変わる熱伝導性樹脂のみにより構成されるものであってもよく、実施の形態1〜3より劣るが十分な効果が得られる。
【0102】
また、第2の実装基板14は多層基板構造となってもよい、また回路部品22は表面実装でなく、薄膜転写形成されていてもよい。更に回路部品22は半導体のパッケージ(例えばチップスケールパッケージ、ウェハースケールパッケージ等)であってもよく、既存の回路部品の実装プロセス、接合プロセスが同じであれば、搭載部品の種類によって限定されない。
【0103】
また、上記の説明においては半導体チップ1はフリップチップ実装であるとしたが、ワイヤーボンディング実装によるものとしてもよい。
【0104】
なお、半導体チップ1としては、フィルタ素子、水晶振動子を用いてもよい。また、本発明の半導体装置は、有機TFTや有機ELフィルムの裏面への無線モジュールに有効である。
【0105】
以上のような本発明によれば、例えば、本発明によれば、半導体チップ(フィルタ、振動素子)からの発熱を効率よく放熱伝導させ、電気特性(接続抵抗、周波数特性)と高速化を向上させた、低コストで小型化、薄型化可能な半導体装置とすることが可能となる。
【0106】
以上のような半導体装置の構成によれば、凹凸の端子電極と端子電極を備えた第1の実装基板の下面に半導体チップ(フィルタ、振動素子)がフリップチップ実装され、また、実装基板の上面に回路部品(SMD部品、パッケージ部品)が実装され、半導体チップ(フィルタ、振動素子)の下面と実装基板の熱伝導層とが熱伝導路で熱的に接続され、また、実装基板の端子電極、気密用端子電極は実装基板の端子電極、気密用端子電極とそれぞれ接合層、接合層によって電気的、機械的に接続する構造とする。
【0107】
なお、熱伝導路は温度上昇する際に熱伝導率が徐々に大きくなり、また、温度下降する際に熱伝導率が除々に小さくなることを特徴とする熱伝導材であり、半導体チップ(フィルタ、振動素子)と熱伝導層を接続する熱伝導路に使用される。
【0108】
また他に、熱伝導路中の前記熱伝導性フィラーが熱膨張することで熱伝導率が大きくなり、また、前記熱伝導性フィラーが熱収縮することで熱伝導率が小さくなる熱伝導材を半導体チップ(フィルタ、振動素子)と熱伝導層2を接続する熱伝導路に使用してもよい。
【0109】
よって、放熱性に優れ、小型薄型化可能で樹脂充填モールド不可の半導体チップ(フィルタ、振動子)実装基板と回路部品実装基板と検査後に一括して接合層で接続することで中空気密構造にでき信頼性を向上させることができる。
【0110】
また、各基板毎に検査を行って実装することができ、あたかも半導体チップ(フィルタ)や回路部品が3次元内蔵実装されているかのような半導体パッケージ(複合デバイス)とすることができる。
【0111】
更に、中空気密構造とすることにより、中空内部の気体を熱伝導し、半導体装置の各所に設けられた熱伝導層や熱伝導路を通って放熱することができる。半導体装置には外側に金属箔層もあり、不要な電波の受信や放出を遮蔽して防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明にかかる熱伝導材、半導体装置および半導体装置の製造方法は、半導体チップからの発熱を制御し、電気特性と高速化に対応させることが可能な熱伝導材、および低コスト、小型低背化が可能な半導体装置ならびにその製造方法を提供することができ、例えば携帯電話などの無線通信機器や、情報処理機器等に用いられる半導体装置や、その半導体装置に用いられる熱伝導材等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体装置の構成図
【図2】本発明の実施の形態1における半導体装置の部分拡大図
【図3】本発明の実施の形態1における半導体装置の第3の熱伝導層26の構成図
【図4】本発明の実施の形態1における半導体装置の第3の熱伝導層26の作用を説明するための図
【図5】本発明の実施の形態1における半導体装置の第3の熱伝導層26の作用を説明するための図
【図6】本発明の実施の形態1における半導体装置の第3の熱伝導層26と従来の熱伝導層との比較を説明するための図
【図7】本発明の実施の形態2における半導体装置の第3の熱伝導層26の構成およびその作用を説明するための図
【図8】本発明の実施の形態2における半導体装置の第3の熱伝導層26の構成およびその作用を説明するための図
【図9】本発明の実施の形態3における半導体装置の第3の熱伝導層26の構成およびその作用を説明するための図
【図10】本発明の実施の形態3における半導体装置の第3の熱伝導層26の構成およびその作用を説明するための図
【図11】(a)本発明の実施の形態4における半導体装置の製造方法を説明するための図 (b)本発明の実施の形態4における半導体装置の製造方法を説明するための図 (c)本発明の実施の形態4における半導体装置の製造方法を説明するための図 (d)本発明の実施の形態4における半導体装置の製造方法を説明するための図 (e)本発明の実施の形態4における半導体装置の製造方法を説明するための図 (f)本発明の実施の形態4における半導体装置の製造方法を説明するための図 (g)本発明の実施の形態4における半導体装置の製造方法を説明するための図
【図12】(a)本発明の実施の形態4における半導体装置の製造方法における検査工程を説明するための図 (b)本発明の実施の形態4における半導体装置の製造方法における検査工程を説明するための図 (c)本発明の実施の形態4における半導体装置の製造方法における検査工程を説明するための図 (d)本発明の実施の形態4における半導体装置の製造方法における検査工程を説明するための図
【図13】(a)本発明の実施の形態4における半導体装置の製造方法における検査工程を説明するための図 (b)本発明の実施の形態4における半導体装置の製造方法における工程を説明するための図 (c)本発明の実施の形態4における半導体装置の製造方法における検査工程を説明するための図
【図14】従来の技術による半導体装置の構成図
【符号の説明】
【0114】
1 半導体チップ
2 電極パッド
3 バンプ
4 第1の実装基板
5 電極端a
6 電極端b
7 第1の気密電極
8 第4の熱伝導層
9 第1の熱伝導層
10 第1の熱伝導路
11 金属体
12 金属層
13 第1の樹脂層
14 第2の実装基板
15 第1の気密電極
16 端子電極a
17 端子電極b
18 第2の熱伝導層
19 第2の熱伝導路
20 第3の熱伝導層
21 端子電極c
22 回路部品
23 端子電極d
24 接合材
25 第1の接合層
26 第3の熱伝導路
27 第2の接合層
28 端子電極e
29 第2の樹脂層
30 プローバ
31、35 検査装置
32 熱伝導性フィラー
33 熱伝導性樹脂
34 検査ソケット
36 検査用電極
37 ヘッド加熱治具
111 フレーム上部
102 半導体チップ
103 実装基板
123 球形のバンプ
101 フレーム下部
104 蓋
131 基板電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性樹脂と、
前記熱伝導性樹脂内に分散して配置された熱伝導フィラーとを備え、
前記熱伝導フィラー同士の総接触面積は、外部からの加熱の有無に応じて変化し、
前記加熱により温度が上昇する際には前記総接触面積は大きくなり、
前記加熱温度が下降する際には、前記総接触面積が小さくなる、熱伝導材。
【請求項2】
前記熱伝導フィラーは、熱膨張および熱収縮する性質を有する、請求項1に記載の熱伝導材。
【請求項3】
前記熱伝導フィラーは紡錘形状または楕円体形状であり、前記熱膨張および熱収縮の方向は、前記フィラー長さに対して短手方向である、請求項1に記載の熱伝導材。
【請求項4】
前記熱伝導樹脂は、前記外部からの加熱に起因する圧力に応じて体積が変化し、
前記熱伝導フィラーは、前記熱伝導樹脂の体積の変化により、互いの距離が変化する、請求項1に記載の熱伝導材。
【請求項5】
前記熱伝導フィラーは実質上球状または円柱状の形状を有する、請求項4に記載の熱伝導材。
【請求項6】
前記熱伝導フィラーは、少なくとも1つ以上の円柱状フィラーが、その側面が接して集まった外形柱状の構成を有する、請求項4に記載の熱伝導材。
【請求項7】
前記熱伝導フィラーは、前記熱伝導材内で、少なくとも1つ以上の縞または層を形成するように配置されている、請求項6に記載の熱伝導材。
【請求項8】
前記熱伝導フィラーは、前記圧力が印加されると、前記円柱状の前記側面に沿って互いに摺動して前記外形柱状の形状を変化する性質を有する、請求項7に記載の熱伝導材。
【請求項9】
外部からの加熱の有無に応じて厚みが変化する熱伝導性樹脂から構成され、
前記加熱により温度が上昇する際には前記厚みは大きくなり、
前記加熱温度が下降する際には、前記厚みが小さくなる、熱伝導材。
【請求項10】
半導体チップと、
前記半導体チップを実装する実装基板と、
前記半導体チップと前記実装基板とを熱的に接続する放熱手段とを備え、
前記放熱手段は、請求項1から9のいずれかに記載の熱伝導材から構成される、半導体装置。
【請求項11】
半導体チップと、
前記半導体チップを実装し、前記半導体チップと電気的に接続する端子電極を有する第1の基板と、
前記第1の基板と対向する第2の基板と、
前記第1の基板および/または前記第2の基板に設けられ、前記半導体チップの周囲を取り囲むように設けられた封止材とを備え、
前記第1の基板、前記第2の基板および前記封止材は、前記半導体チップを内蔵する密閉空間を形成し、
前記密閉空間内には、前記第2の基板上に実装された回路部品が配置されている、半導体装置。
【請求項12】
前記封止材は、電極を兼ねている、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記封止材は、前記第1の基板に設けられた第1の端子電極と、前記第2の基板に設けられた第2の端子電極とを少なくとも有する、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1の基板の前記端子電極は、前記密閉空間内で、前記第2の基板に達している、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記半導体チップは、放熱部材を介して前記第2の基板と熱的に接続している、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記放熱部材は、前記第2の基板内に達する厚みを有する、請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記放熱部材は、その全部又は一部の材料が異なる層からなる多層構造を有する請求項15または16に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記放熱部材の全部または前記放熱部材の前記多層構造の一部の層は、請求項1から9のいずれかに記載の熱伝導材により構成されている、請求項15または16に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記一部の層は、前記半導体チップと直接接触している、請求項18に記載の半導体装置。
【請求項20】
第1の基板に、半導体チップを実装し、前記半導体チップと電気的に接続する端子電極を形成する第1の工程と、
第2の基板に回路部品を実装する第2の工程と、
前記第1の基板および/または前記第2の基板に、前記半導体チップの周囲を取り囲むように封止材を設ける第3の工程と、
少なくとも前記第1の工程および第2の工程の後、前記第1の基板と第2の基板とを対向させて、前記半導体チップが、前記封止材と、前記第1の基板および前記第2の基板の対向面とにより形成される密閉空間内に配置されるように接合する第4の工程とを備えた、半導体装置の製造方法。
【請求項21】
前記第2の基板に、その主面が前記半導体チップの主面と対向する放熱部材を設ける工程を更に備えた、請求項20に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項22】
少なくとも前記第4の工程を行うより前に、前記半導体チップが実装され、前記端子電極が形成された前記第1の基板の前記端子電極に通電することにより、前記半導体チップを検査する第5の工程を更に備えた、請求項20に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項23】
少なくとも前記第4の工程を行うより前に、前記回路部品が実装された前記第2の基板の前記回路部品に通電することにより、前記回路部品を検査する第6の工程を更に備えた、請求項20に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項24】
前記第4の工程を行った後、検査を行い、不具合が検出された場合は、前記第1の基板と前記第2の基板とを分離して、前記不具合の原因となる部品を交換した後、再び前記第1の基板および第2の基板を接合する第7の工程を更に備えた、請求項20に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−32626(P2006−32626A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208837(P2004−208837)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】