説明

熱伝達組成物

【課題】低GWPを有し、既存の冷媒(例えば、R‐134a、R‐152a、R‐1234yf、など)を用いて達成される値の10%以内で能力およびエネルギー効率を有する、それ自体で使用可能である又は既存の冷却使用の代替物として適した熱伝達組成物を提供する。
【解決手段】(i)トランス‐1,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(R‐1234ze(E));(ii)ジフルオロメタン(R‐32)、プロペン(R‐1270)、プロパン(R290)およびそれらの混合物から選択される第二成分;(iii)ペンタフルオロエタン(R‐125)、1,1,1,2‐テトラフルオロエタン(R‐134a)およびそれらの混合物から選択される第三成分;および所望により(iv)フルオロエタン(R‐161)、1,1‐ジフルオロエタン(R‐152a)およびそれらの混合物から選択される第四成分;を含んでなる熱伝達組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝達組成物、特にR‐134a、R‐152a、R‐1234yf、R‐22、R‐410A、R‐407A、R‐407B、R‐407C、R507およびR‐404aのような既存の冷媒の代替物として適しうる熱伝達組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
明細書中における既発表文献または背景の掲載または考察は、文献または背景が最新技術の一部であるか、または一般常識であることを認めるものとして必ずしも受け取るべきでない。
【0003】
機械冷却システムおよび関連熱伝達装置、例えばヒートポンプおよび空調システムは周知である。このようなシステムにおいて、冷媒液は周辺ゾーンから熱を受け取り低圧で蒸発する。得られた蒸気は次いで圧縮され、凝縮器へ送られ、そこでそれが凝縮して、第二ゾーンへ熱を放出し、凝縮液は膨張弁を通って蒸発器へ戻され、こうしてサイクルを完了する。蒸気を圧縮して液体を送り出すために要する機械的エネルギーは、例えば電気モーターまたは内燃機関により供給される。
【0004】
適切な沸点および高い気化潜熱を有することに加えて、冷媒で好ましい性質としては、低毒性、不燃性、非腐食性、高安定性および不快臭が無いことが挙げられる。他の望ましい性質は、25バール以下の圧力で速やかな圧縮性、圧縮時の低い吐出温度、高い冷却能力、高い効率(高い成績係数)および望ましい蒸発温度で1バール超の蒸発器圧力である。
【0005】
ジクロロジフルオロメタン(冷媒R‐12)は諸特性の適切な組合せを有し、長年にわたり最も広く用いられた冷媒であった。完全および部分的ハロゲン化クロロフルオロカーボンが地球の保護オゾン層を破壊しているという国際的懸念のために、それらの製造および使用が厳しく制限され、最終的には完全に廃止されるという一般協定があった。ジクロロジフルオロメタンの使用は1990年代に段階的に廃止された。
【0006】
クロロジフルオロメタン(R‐22)は、その低いオゾン破壊係数のために、R‐12の代替物として導入された。R‐22が強力な温室効果ガスであるという懸念を受けて、その使用もまた段階的に廃止されつつある。
【発明の開示】
【0007】
本発明に関するタイプの熱伝達装置は本質的に閉鎖系であるが、設備の作動中またはメンテナンス作業中における漏出のために大気への冷媒の損失が生じうる。したがって、ゼロオゾン破壊係数を有する物質で完全および部分的ハロゲン化クロロフルオロカーボン冷媒を置き換えることが重要である。
【0008】
オゾン破壊の可能性に加えて、大気中で有意な濃度のハロカーボン冷媒は地球温暖化(いわゆる温室効果)に関与しているかもしれないと示唆されていた。したがって、ヒドロキシルラジカルのような他の大気成分と反応しうる能力の結果として、または光分解プロセスによる速やかな分解の結果として、比較的短い大気寿命を有する冷媒を用いることが望ましいのである。
【0009】
R‐410AおよびR‐407冷媒(R‐407A、R‐407BおよびR‐407Cを含む)がR‐22の代替冷媒として導入されてきた。しかしながら、R‐22、R‐410AおよびR‐407冷媒はすべて高い地球温暖化係数(GWP、温室温暖化係数としても知られる)を有している。
【0010】
1,1,1,2‐テトラフルオロエタン(冷媒R‐134a)がR‐12の代替冷媒として導入された。しかしながら、さほどでないオゾン破壊係数を有するにもかかわらず、R‐134aは1300のGWPを有している。それより低いGWPを有するR‐134aの代替物を見つけることが望まれるのである。
【0011】
R‐152a(1,1‐ジフルオロエタン)がR‐134aの代替物として特定されていた。それはR‐134aよりやや効率的であり、120の温室温暖化係数を有している。しかしながら、R‐152aの燃焼性は、例えば自動車空調システムにおいてその安全な使用を行う上で、高すぎると判断されている。特に、空気中におけるその可燃下限は低すぎ、その火炎速度は高すぎ、その点火エネルギーは低すぎると考えられている。
【0012】
よって、低燃焼性のような改善された性質を有する代替冷媒を提供する必要性がある。フルオロカーボン燃焼化学は複雑かつ予測不能である。不燃性フルオロカーボンと可燃性フルオロカーボンとの混合が流体の燃焼性を減らす、または空気中における可燃性組成物の範囲を減らすとは、必ずしも限らない。例えば、不燃性R‐134aが可燃性R‐152aと混合されると、該混合物の可燃下限が予測不能なように変化することを、本発明者らは発見した。三元または四元組成物が考えられると、状況はより一層複雑で予測しづらくなる。
【0013】
ほとんどまたは全く改修を伴うことなく冷却装置のような既存の装置に用いることができる代替冷媒を提供する必要性もある。
【0014】
R‐1234yf(2,3,3,3‐テトラフルオロプロペン)が、ある種の用途、特に自動車空調またはヒートポンピング用途でR‐134aに置き換わる代替冷媒候補として特定された。そのGWPは約4である。R‐1234yfは可燃性であるが、その燃焼特性は自動車空調またはヒートポンピングを含めたいくつかの用途で許容されると一般的にみなされている。特に、R‐152aと比べた場合、その可燃下限は高く、その最小点火エネルギーは高く、空気中における火炎速度はR‐152aの場合よりかなり低い。
【0015】
温室効果ガスの排出に関して、空調または冷却システムを作動した環境影響は、冷媒のいわゆる“直接”GWPに関するのみならず、該システムを作動させる電気または燃料の消費に起因した二酸化炭素の排出を意味する、いわゆる“間接”排出に関しても考慮されねばならない。総等価温暖化影響(TEWI)分析またはライフサイクル炭素排出量(LCCP)分析として知られるものを含めて、この総GWP影響のいくつかの測定基準が開発されてきた。これら測定の双方には、冷媒GWPの試算の評価と、全体温暖化影響に及ぼすエネルギー効率を含む。
【0016】
R‐1234yfのエネルギー効率および冷却能力はR‐134aの場合よりかなり低いことがわかり、加えて該流体はシステム配管および熱交換器で高い圧力降下を示すことが分かった。この結論として、R‐1234yfを用いて、R‐134aに匹敵するエネルギー効率および冷却性能を達成するためには、設備の複雑さの増加と配管のサイズの増大が必要とされ、設備に伴う間接的排出の増加に繋がる。さらに、R‐1234yfの生産は、R‐134aより(フッ素化および塩素化された)原材料の使用に際して複雑かつ低効率であると思われる。そのように、R‐134aに置き換わるR‐1234yfの採用は、R‐134aの場合より原材料を多く消費し、温室効果ガスの間接的排出を多くもたらす。
【0017】
R‐134aに関して設計される一部の既存技術は、一部の熱伝達組成物の低減された可燃性すら受け入れることができないことがある(150未満のGWPを有する組成物は、ある程度可燃性であると考えられる)。
【0018】
したがって、本発明の主目的は、低GWPを有しながらも、例えば既存の冷媒(例えば、R‐134a、R‐152a、R‐1234yf、R‐22、R‐410A、R‐407A、R‐407B、R‐407C、R507およびR‐404a)を用いて達成される値の理想的には10%以内、好ましくはこれら値の10%未満(例えば、約5%)以内で能力およびエネルギー効率(“成績係数”として便宜上表示される)を有する、それ自体で使用可能である又は既存の冷却使用の代替物として適した熱伝達組成物を提供することである。流体間におけるこの程度の差異は、設備およびシステム作動特徴の再設計により通常解決されることが当業界で知られている。組成物は理想的には低毒性および許容しうる燃焼性も有しているべきである。
【0019】
本発明は、
(i)トランス‐1,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(R‐1234ze(E))、
(ii)ジフルオロメタン(R‐32)、プロペン(R‐1270)、プロパン(R290)およびそれらの混合物から選択される第二成分、
(iii)ペンタフルオロエタン(R‐125)、1,1,1,2‐テトラフルオロエタン(R‐134a)およびそれらの混合物から選択される第三成分、および所望により、
(iv)フルオロエタン(R‐161)、1,1‐ジフルオロエタン(R‐152a)およびそれらの混合物から選択される第四成分
を含んでなる熱伝達組成物を提供することにより、上記欠点に対処したものである。
【0020】
これらは、別記されない限り、以下において本発明の組成物と称される。
【0021】
ここで記載された化学物質のすべてが市販されている。例えば、フルオロケミカルはApollo Scientific(UK)から得られる。
【0022】
典型的には、本発明の組成物は約60または70重量%以下のR‐1234ze(E)、例として約5〜約50%、例えば約10〜約40%を含んでなる。
【0023】
便宜上、本発明の組成物は約50重量%以下の第二成分、例として約10〜約40%、例えば約15〜約35%を含んでなる。
【0024】
典型的には、本発明の組成物は約10〜約80重量%の第三成分、好ましくは約15〜約70%、例として約20〜約60%を含有している。
【0025】
便宜上、本発明の組成物は約0〜約15重量%(例えば、約5〜約15%)の第四成分を含んでなる。
【0026】
一態様において、本発明の組成物は約5〜約60重量%の第四成分を含んでなる。
【0027】
ここで用いられているように、本組成物で挙げられたすべての%量は、請求項を含めて、別記されない限り、組成物の全重量を基準にした重量によるものである。
【0028】
本発明の組成物の成分および成分の量は、典型的には、液相および気相の両方の燃焼性が純粋可燃性成分と比べて減るか、または完全に不燃性とされるように選択される。
【0029】
一態様において、第二成分はR‐32である。
【0030】
一面において、第三成分はR‐125およびR‐134aの混合物を含んでなる。
【0031】
好ましい態様において、本発明の組成物はR‐1234ze(E)、R‐32、R‐125およびR‐134aを含んでなる。
【0032】
本発明の有利な組成物は、約5〜約40重量%のR‐1234ze(E)、約20〜約35重量%のR‐32、約15〜約30重量%のR‐125および約12〜約50重量%のR‐134aを含んでなる。
【0033】
一態様において、本発明の組成物は、約10〜約50重量%のR‐1234ze(E)、約22〜約40重量%のR‐32、約10〜約30重量%のR‐125および約15〜約30重量%のR‐134aを含有している。
【0034】
本発明の組成物の好ましい群は、約17〜約46重量%のR‐1234ze(E)、約26〜約40重量%のR‐32、約10〜約18重量%のR‐125および約15〜約30重量%のR‐134aを含有している。
【0035】
本発明のさらに有利な組成物は、約14〜約40重量%のR‐1234ze(E)、約22〜約38重量%のR‐32、約18〜約28重量%のR‐125および約15〜約30重量%のR‐134aを含有している。
【0036】
本発明の好ましい組成物は、約20重量%のR‐1234ze(E)、約30重量%のR‐32、約25重量%のR‐125および約25重量%のR‐134aから実質的になる。
【0037】
一態様において、本発明は、約1〜16重量%(例えば、約3〜8%)R‐1234ze、約8〜20重量%のR‐32(例えば、約12〜18%)、約8〜20重量%のR‐125(例えば、約8〜12%)および約60〜72重量%のR‐134a(例えば、約70〜75%)を含んでなる、またはからなる組成物を除外する。別の態様において、本発明は、約6重量%のR‐1234ze、約14重量%のR‐32、約14重量%のR‐125および約66重量%のR‐134aを含んでなる、またはからなる組成物を除外する。
【0038】
一態様において、本発明の組成物は第四成分としてR‐161を含有している。典型的には、R‐161は約10〜約60重量%の量でこのような組成物中に存在する。好ましい面において、R‐161は約10〜約30重量%、例えば約10〜約20重量%の量で存在する。
【0039】
本発明の好ましい組成物は、R‐1234ze(E)、R‐32、R‐161およびR‐134aを含んでなる。
【0040】
本発明の有利な組成物は、約5〜約60重量%のR‐1234ze(E)、約20〜約50重量%のR‐32、約10〜約60重量%のR‐161および約10〜約40重量%のR‐134aを含んでなる。
【0041】
本発明の好ましい組成物は、約10〜約60重量%のR‐1234ze(E)、約20〜約50重量%のR‐32、約10〜約40重量%のR‐161および約10〜約30重量%のR‐134aを含んでなる。
【0042】
本発明のさらに好ましい組成物は、約30〜約60重量%のR‐1234ze(E)、約20〜約50重量%のR‐32、約10〜約30重量%のR‐161および約10〜約25重量%のR‐134aを含んでなる。
【0043】
本発明の他の有利な組成物は、約40〜約60重量%のR‐1234ze(E)、約20〜約50重量%のR‐32、約10〜約20重量%のR‐161および約10〜約25重量%のR‐134aを含んでなる。
【0044】
本発明の好ましい組成物は、R‐1234ze(E)、R‐32、R‐161およびR‐125を含んでなる。
【0045】
本発明の有利な組成物は、約5〜約70重量%のR‐1234ze(E)、約15〜約50重量%のR‐32、約10〜約40重量%のR‐161および約10〜約40重量%のR‐125を含んでなる。
【0046】
本発明の好ましい組成物は、約10〜約65重量%のR‐1234ze(E)、約16〜約40重量%のR‐32、約10〜約30重量%のR‐161および約10〜約25重量%のR‐125を含んでなる。
【0047】
本発明のさらに好ましい組成物は、約25〜約60重量%のR‐1234ze(E)、約20〜約40重量%のR‐32、約10〜約20重量%のR‐161および約10〜約25重量%のR‐125を含んでなる。
【0048】
本発明の他の好ましい組成物は、約20〜約55重量%のR‐1234ze(E)、約16〜約35重量%のR‐32、約20〜約30重量%のR‐161および約10〜約25重量%のR‐125を含んでなる。
【0049】
一面において、本発明の組成物は、記載される量のいずれかで、記載されう成分のいずれかから実質的になる。
【0050】
“から実質的になる”という用語とは、我々は、本発明の組成物が他の成分、特に、熱伝達組成物に用いられることが知られた別の(ヒドロ)(フルオロ)化合物(例えば、(ヒドロ)(フルオロ)アルカンまたは(ヒドロ)(フルオロ)アルケン)を実質的に含有していないことを意味する。我々は、“から実質的になる”の意味内に、用語“からなる”を含めている。
【0051】
疑義の回避のために、ここで記載された本発明の組成物はいずれも、成分の具体的に明記された量に関するものを含めて、それらの組成物で明記された成分から実質的になる(またはからなる)。
【0052】
本発明による組成物は便宜上実質的にR‐1225(ペンタフルオロプロペン)、便宜上実質的にR‐1225ye(1,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン)またはR‐1225zc(1,1,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン)を含有せず、該化合物は毒性問題を伴うことがある。
【0053】
“実質的にせず”とは、我々は、本発明の組成物が該組成物の合計重量基準で0.5重量%以下、好ましくは0.1%以下の記述成分を含有していることを意味する。
【0054】
本発明の組成物は、実質的に、
(i)2,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(R‐1234yf)、
(ii)シス‐1,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(R‐1234ze(Z))、および/または
(iii)3,3,3‐トリフルオロプロペン(R‐1243zf)
を含有しなくてもよい。
【0055】
本発明の組成物はゼロのオゾン破壊係数を有する。
【0056】
驚くべきことに、本発明の組成物は、GWPを下げ、高い燃焼危険性をもたらすことなく、R‐22、R‐410A、R‐407A、R‐407B、R‐407C、R507およびR‐404aのような既存の冷媒の代替物として、空調、ヒートポンプと低および中温冷却システムでの使用向けに許容される性質を発揮しうることが分かった。
【0057】
別記されない限り、ここで用いられている“低温冷却”とは約−50〜約−20℃の蒸発温度を有する冷却を意味する。“中温冷却”とは約−20〜約0℃の蒸発温度を有する冷却を意味する。
【0058】
別記されない限り、GWPのIPCC(気候変動に関する政府間パネル)TAR(第三次評価報告書)値がここでは用いられていた。選択された既存の冷媒混合物のGWPは、これに基づくと、以下の通りである:
R‐407A 1990
R‐407B 2695
R‐407C 1653
R‐404A 3784
R507 3850
【0059】
一態様において、本発明の組成物はR‐22、R‐410A、R‐407A、R‐407B、R‐407C、R507またはR‐404aより低いGWPを有している。好都合には、本発明の組成物のGWPは約2800未満である。例えば、GWPは2800、2500、2300、2100、2000、1900、1800、1700、1500または1400未満である。
【0060】
好ましくは、本発明の組成物は、1500未満、好ましくは1400未満、さらに好ましくは1300、1000、900または700または500未満であるGWPを有している。
【0061】
有利には、本組成物は、本組成物の個別可燃性成分、例えばR‐32、プロペンまたはプロパンと比べた場合に、低い燃焼危険性のものである。
【0062】
一面において、本組成物は、R‐32、プロペン、プロパンまたはR‐1234yfと比べて、(a)高い可燃下限;(b)高い点火エネルギー;または(c)低い火炎速度のうち1以上を有している。好ましい態様において、本発明の組成物は不燃性(または可燃性)である。
【0063】
燃焼性は、2004年付けAddendum 34p通りの試験方法論でASTM Standard E‐681を組み入れたASHRAE Standard 34に従い決定することができ、その全内容が参照によりここに組み込まれる。
【0064】
一部の用途において処方物がASHRAE34方法論により不燃性として分類される必要はないかもしれない。例えば冷却設備装填物を周囲へ漏出させることにより可燃性混合物を作ることが物理的に不可能である場合、その用途における使用に安全となるように空気中で可燃限界が十分に下げられる流体を開発することが可能である。我々は、R‐1234zeおよびR‐134a/R‐125を可燃性冷媒R‐32、プロペンおよび/またはプロパンに加える効果が、空気を伴った混合物中でこのように燃焼性を変えるものであることを知見した。
【0065】
一定圧力下における非共沸混合物の沸点温度と露点温度との差と考えられる温度勾配は、冷媒の一つの特性である。流体を混合物で置き換えることが望まれる場合、代替流体で類似したまたは低い勾配を有することが多くの場合に好ましい。一態様において、本発明の組成物は非共沸性である。
【0066】
便宜上、本発明の組成物の(蒸発器における)温度勾配は約10K未満、好ましくは約5K未満である。
【0067】
有利には、本発明の組成物の体積冷却能力は、それが置き換わる既存の冷媒流体の少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%またはさらには少なくとも95%である。
【0068】
本発明の組成物は、典型的には、中温度および/または低温度用途においてR‐407Cの場合の少なくとも90%である、体積冷却能力を有している。好ましくは、本発明の組成物は、R‐407Cの場合の少なくとも95%、例えばR‐1234yfの場合の約95%〜約120%である、体積冷却能力を有している。
【0069】
一態様において、本発明の組成物のサイクル効率(成績係数、COP)は、それが置き換わる既存の冷媒流体より約5%以内またはそれ以上で良い。
【0070】
便宜上、本発明の組成物の圧縮器吐出温度は、それが置き換わる既存の冷媒流体の約15K、好ましくは約10Kまたはさらには約5K以内である。
【0071】
本発明の組成物は、好ましくは、R‐407C、R‐407AまたはR‐404A値の95%以上で低いまたは同等の圧力降下特性および冷却能力を有しながら、同等条件下でR‐407C、R‐407AまたはR‐404Aの少なくとも95%(好ましくは少なくとも98%)のエネルギー効率を有している。有利には、本組成物は同等条件下でR‐407C、R‐407AまたはR‐404Aより高いエネルギー効率と低い圧力降下特性を有している。本組成物は、有利には、R‐407C、R‐407AまたはR‐404A単独より良いエネルギー効率と圧力降下特性も有している。
【0072】
本発明の熱伝達組成物は現行設計の設備で使用に適し、既定HFC冷媒と一緒に現在用いられている潤滑剤の全種類と適合する。それらは、所望により、適切な添加剤の使用により鉱油で安定化または適合化される。
【0073】
好ましくは、熱伝達設備で用いられる場合、本発明の組成物は潤滑剤と組み合わされる。
【0074】
便宜上、潤滑剤は鉱油、シリコーン油、ポリアルキルベンゼン類(PABs)、ポリオールエステル類(POEs)、ポリアルキレングリコール類(PAGs)、ポリアルキレングリコールエステル類(PAGエステル類)、ポリビニルエーテル類(PVEs)、ポリ(アルファ‐オレフィン類)およびそれらの組合せからなる群より選択される。
【0075】
有利には、潤滑剤はさらに安定剤を含んでなる。
【0076】
好ましくは、安定剤はジエン系化合物、ホスフェート類、フェノール化合物類およびエポキシド類とそれらの混合物からなる群より選択される。
【0077】
便宜上、本発明の組成物は難燃剤と組み合わせてもよい。
【0078】
有利には、追加の難燃剤はトリ(2‐クロロエチル)ホスフェート、(クロロプロピル)ホスフェート、トリ(2,3‐ジブロモプロピル)ホスフェート、トリ(1,3‐ジクロロプロピル)ホスフェート、リン酸二アンモニウム、様々なハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、アルミニウム三水和物、ポリ塩化ビニル、フッ素化ヨードカーボン、フッ素化ブロモカーボン、トリフルオロヨードメタン、ペルフルオロアルキルアミン類、ブロモ‐フルオロアルキルアミン類およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0079】
好ましくは、熱伝達組成物は冷媒組成物である。
【0080】
一態様において、本発明は本発明の組成物を含んでなる熱伝達装置を提供する。
【0081】
好ましくは、熱伝達装置は冷却装置である。
【0082】
便宜上、熱伝達装置は自動車空調システム、住宅用空調システム、業務用空調システム、住宅用冷蔵庫システム、住宅用冷凍庫システム、業務用冷蔵庫システム、業務用冷凍庫システム、冷却機空調システム、冷却機冷却システムと、業務用または住宅用ヒートポンプシステムからなる群より選択される。好ましくは、熱伝達装置は冷却装置または空調システムである。
【0083】
有利には、熱伝達装置は遠心型圧縮器を内蔵している。
【0084】
本発明は、ここで記載されているような熱伝達装置における本発明の組成物の使用も提供する。
【0085】
本発明の別な面によると、本発明の組成物を含んでなる発泡剤が提供される。
【0086】
本発明の他の面によると、発泡体を形成可能な1種以上の成分と本発明の組成物を含んでなる発泡性組成物が提供される。
【0087】
好ましくは、発泡体を形成可能な1種以上の成分は、ポリウレタン類、熱可塑性ポリマーおよび樹脂、例えばポリスチレン、およびエポキシ樹脂から選択される。
【0088】
本発明の別な面によると、本発明の発泡性組成物から得られる発泡体が提供される。
【0089】
好ましくは、発泡体は本発明の組成物を含んでなる。
【0090】
本発明の他の面によると、スプレーされるべき物質と、本発明の組成物を含んでなる噴射剤とを含んでなる、スプレー用組成物が提供される。
【0091】
本発明の別な面によると、本発明の組成物を凝縮させ、その後、冷却されるべき物品の近くで該組成物を蒸発させることを含んでなる、物品を冷却する方法が提供される。
【0092】
本発明の他の面によると、加熱されるべき物品の近くで本発明の組成物を凝縮させ、その後、該組成物を蒸発させることを含んでなる、物品を加熱する方法が提供される。
【0093】
本発明の別な面によると、本発明の組成物を含んでなる溶媒とバイオマスを接触させ、該溶媒から物質を分離することを含んでなる、バイオマスから物質を抽出する方法が提供される。
【0094】
本発明の他の面によると、本発明の組成物を含んでなる溶媒と物品を接触させることを含んでなる、物品を清浄化する方法が提供される。
【0095】
本発明の別な面によると、本発明の組成物を含んでなる溶媒と水溶液を接触させ、該溶媒から物質を分離することを含んでなる、水溶液から物質を抽出する方法が提供される。
【0096】
本発明の他の面によると、本発明の組成物を含んでなる溶媒と粒状固体マトリックスを接触させ、該溶媒から物質を分離することを含んでなる、粒状固体マトリックスから物質を抽出する方法が提供される。
【0097】
本発明の別な面によると、本発明の組成物を含有している機械的動力発生装置が提供される。
【0098】
好ましくは、機械的動力発生装置はランキンサイクルまたはその変法を用いて熱から動力を発生するように構成されている。
【0099】
本発明の他の面によると、既存の熱伝達流体を除去して、本発明の組成物を導入する工程を含んでなる、熱伝達装置を改修する方法が提供される。好ましくは、熱伝達装置は冷却装置または(スタティック)空調システムである。有利には、該方法は温室効果ガス(例えば、二酸化炭素)排出権の割当を得る工程をさらに含んでなる。
【0100】
上記の改修方法によると、既存の熱伝達流体は、本発明の組成物を導入する前に、熱伝達装置から完全に除去される。既存の熱伝達流体は熱伝達装置から一部除去され、その後、本発明の組成物を導入することもできる。
【0101】
既存の熱伝達流体がR‐134aであり、本発明の組成物が、R‐134a、R‐1234ze(E)、第二成分、所望によりR‐125と、所望により第四成分(および潤滑剤、安定剤または追加の難燃剤のような任意成分)を含有している他の態様において、R‐1234ze(E)、第二成分、R‐125および/または第四成分が熱伝達装置でR‐134aへ加えられ、それにより本発明の組成物と、本発明の熱伝達装置をその場で形成することができる。望ましい割合で本発明の組成物の諸成分を簡単に用意するために、R‐1234ze(E)、第二成分などを加える前に、既存のR‐134aの一部が熱伝達装置から除去されてもよい。
【0102】
このように、本発明は、R‐1234ze(E))、R‐32、プロペンおよびプロパンから選択される第二成分、所望によりR‐125、および所望によりR‐161、R‐152aおよびその混合物から選択される第四成分と、潤滑剤、安定剤または追加の難燃剤のような任意成分を、R‐134aである既存の熱伝達流体を含有した熱伝達装置へ導入することを含んでなる、本発明の組成物および/または熱伝達装置を製造する方法を提供する。所望により、R‐134aの少なくとも一部が、R‐1234ze(E)、第二成分などを導入する前に、熱伝達装置から除去される。
【0103】
もちろん、本発明の組成物は、望ましい割合でR‐1234ze(E)、第二および第三成分と、所望により第四成分(および、潤滑剤、安定剤または追加の難燃剤のような任意成分)を混合することでも、簡単に製造される。本組成物は次いで、R‐134aまたはいずれか他の既存の熱伝達流体を含有しない熱伝達装置、例えばR‐134aまたはいずれか他の既存の熱伝達流体が除去されていた装置へ加えられる(またはここで記載されているようないずれか他の手法で用いられる)。
【0104】
本発明の別な面において、既存の化合物または組成物を含んでなる製品の取扱いから生じる環境影響を減らす方法が提供され、該方法は少なくとも部分的に既存の化合物または組成物を本発明の組成物で置き換えることを含んでなる。好ましくは、この方法は温室効果ガス排出権の割当を得る工程を含んでなる。
【0105】
環境影響とは、我々は製品の取扱いによる温室温暖化ガスの発生および排出を含める。
【0106】
上記のように、この環境影響は、漏出または他の損失から有意な環境影響を有する化合物または組成物の排出を含むのみならず、装置によりその使用期間中に消費されるエネルギーから生じる二酸化炭素の排出も含めて考えられる。このような環境影響は総等価温暖化影響(TEWI)として知られる測定により定量しうる。この測定は、例えばスーパーマーケット冷却システムを含めた、ある固定冷却および空調設備の環境影響の定量化に用いられてきた(例えばhttp://en.wikipedia.org/wiki/Total equivalent warming impact参照)。
【0107】
環境影響は、化合物または組成物の合成および製造から生じる温室効果ガスの排出を含めて、さらに考えられる。この場合には、ライフサイクル炭素排出量(LCCP、例えばhttp://www.sae.org/events/aars/presentations/2007papasavva.pdf参照)として知られる測定を行うために、製造時排出がエネルギー消費および直接損失効果に加えられる。LCCPの使用は自動車空調システムの環境影響を評価する際に一般的である。
【0108】
排出権は地球温暖化に関与している汚染物質排出を減らすために与えられ、例えば預託、取引または売却される。それらは二酸化炭素の換算量で便宜上表示される。そのため、1kgのR‐134aの排出が避けられるとすれば、1×1300=1300kg CO換算の排出権が与えられる。
【0109】
本発明の他の態様において、(i)既存の化合物または組成物を本発明の組成物で置き換え、このとき本発明の組成物は既存の化合物または組成物より低いGWPを有しているものとし、(ii)該置き換え工程で温室効果ガス排出権を得ることを含んでなる、温室効果ガス排出権を生み出す方法が提供される。
【0110】
好ましい態様において、本発明の組成物の使用は、既存の化合物または組成物の使用により達成されると比べて、より低い総等価温暖化影響および/またはより低いライフサイクル炭素排出量を有する設備をもたらす。
【0111】
これらの方法は、いずれか適切な製品で、例えば、空調、冷却(例えば低および中温冷却)、熱伝達、発泡剤、エアロゾルまたはスプレー用噴射剤、気体誘電体、凍結手術、獣医処置、歯科処置、消火、火炎抑制、溶媒(例えば、フレーバーおよびフレグランスの担体)、クリーナー、エアホーン、ペレットガン、局所麻酔剤および膨張用途の分野で行われる。好ましくは、分野は空調または冷却である。
【0112】
適切な製品の例としては、熱伝達装置、発泡剤、発泡性組成物、スプレー用組成物、溶媒および機械的動力発生装置がある。好ましい態様において、製品は熱伝達装置、例えば冷却装置または空調ユニットである。
【0113】
既存の化合物または組成物は、それに置き換わる本発明の組成物より高い、GWPおよび/またはTEWIおよび/またはLCCPで測定されるような環境影響を有している。既存の化合物または組成物はフルオロカーボン化合物、例えばペルフルオロ‐、ヒドロフルオロ‐、クロロフルオロ‐またはヒドロクロロフルオロ‐カーボン化合物を含んでなるか、またはそれはフッ素化オレフィンを含んでなる。
【0114】
好ましくは、既存の化合物または組成物は冷媒のような熱伝達化合物または組成物である。置き換えられる冷媒の例としては、R‐134a、R‐152a、R‐1234yf、R‐410A、R‐407A、R‐407B、R‐407C、R‐407D、R‐407F、R507、R‐22およびR‐404Aがある。本発明の組成物は、R‐22、R‐404A、R‐407A、R‐407B、R‐407CまたはR‐410Aの代替物として特に適している。
【0115】
いかなる量の既存の化合物または組成物も、環境影響を減らせるように置き換えられる。これは、置き換えられる既存の化合物または組成物の環境影響と、本発明の代替組成物の環境影響に依存する。好ましくは、製品中における既存の化合物または組成物は本発明の組成物で完全に置換えられる。
【0116】
本発明は以下の非制限例で実証されている。
【実施例】
【0117】
実施例1
R‐32 30%、R‐125 25%、R‐134a 25%およびR‐1234ze(E) 20%(重量基準)を含んでなる組成物の性能を、中温度および低温冷却用途のモデルにした(“ブレンドA”)。選択されたサイクル条件は以下であった:
(a)中温度用途
平均凝縮温度 40℃
平均蒸発温度 −10℃
吸引ラインリターン温度 15℃
過冷 5K
蒸発器過熱 5K
圧縮器(等エントロピー)効率 65%
冷却力(Cooling duty) 10kW
吸引ライン管直径 22.7mm
【0118】
(b)低温度用途
平均凝縮温度 40℃
平均蒸発温度 −35℃
吸引ラインリターン温度 −10℃
過冷 5K
蒸発器過熱 5K
圧縮器(等エントロピー)効率 65%
冷却力 10kW
吸引ライン管直径 22.7mm
圧縮器温度を制御するための液体注入の開始温度:130℃
【0119】
これらの条件は、ヨーロッパ夏条件下において、空冷凝縮器よるスーパーマーケット冷却システムでみられるものの代表例として選択した。ブレンドAの性能が、比較のために提示された市販の常用冷媒R‐407C、R‐407AおよびR‐404Aの評価性能と合わせて、表1および2で示されている。能力、エネルギー効率(成績係数として)および吸引ライン圧力降下はR‐407Cのベースラインに匹敵しており、この冷媒が既定冷媒の最高理論的COPおよび最低直接GWPを有するからである。
【0120】
この組成物は、R‐407Cに匹敵するエネルギー効率、R‐407Cより良い冷却能力、低い圧力降下と、本質的に匹敵する吐出温度を有していることがわかる。さらに、本組成物の能力およびエネルギー効率はR‐404Aより優れている。本組成物はR‐407Cより低いGWPおよびを有し、そのためこの流体を用いたシステムの総等価温暖化影響(TEWI)は、R‐407CまたはR‐404Aを用いて達成しうる場合より低くなるであろう。
【0121】
該流体はさらに、R‐404Aに置き換わる冷媒として今日有用性を増している、R‐407Aと性能パラメーターで好対照を示す。作動圧力はR‐407Aでみられる場合と非常に類似し、そのためこの組成物によるR‐407Aの置換えには、冷却システムコントロールスキームにほとんどまたは全く変更を要しないであろう。
【0122】
さらに、本組成物は本質的に不燃性であると考えられる。
【表1】

【表2】

【0123】
実施例2
表1の場合と同一の条件で、能力、エネルギー効率および吸引ライン圧力降下の比較のために参照流体としてR‐407Cを用いて、範囲20〜35%w/wでR‐32;範囲15〜30%w/wでR‐125;範囲15〜50%w/wでR‐134aおよび残部であるR‐1234zeを含んでなる本発明の別な組成物について性能をモデル化した。本発明の組成物は、R‐407A、R‐407CまたはR‐404Aより低いGWPおよび低い全体TEWIで、許容しうるまたは改善された性能を呈する。
【0124】
実施例3
以下でさらに詳細に説明されているように、本発明の別な組成物について性能をモデル化した。用いられたモデルの誘導法は次の通りである。
【0125】
冷却サイクル性能、すなわち臨界点、蒸気圧、液体および蒸気エンタルピー、液体および蒸気密度と蒸気および液体の熱容量をモデル化するために必要なR‐1234ze(E)の物理的性質を、圧力範囲0〜200バールおよび温度範囲−40〜200℃にわたる実験法で正確に調べ、ユーザーガイドwww.nist.gov/srd/PDFfiles/REFPROP8.PDFでさらに詳細に記載されて参照によりここに組み込まれるNIST REFPROP Version 8.0ソフトウェアで流体に関するSpan-Wagnerタイプの状態モデルのHelmholtz自由エネルギー方程式を作成するために、得られたデータを用いた。温度による両流体の理想気体エンタルピーの変動は分子モデリングソフトウェアHyperchem v7.5(参照によりここに組み込まれる)を用いて評価し、得られた理想気体エンタルピー関数はこれら流体に関する状態の方程式の回帰で用いた。このモデルR‐1234ze(E)の予測を、REFPROP Version 9.0に含まれたR‐1234ze(E)に関する標準ファイルの使用により得られる予測と比較した。近似した一致が各流体の性質について得られることが分かった。
【0126】
R‐1234ze(E)の蒸気液体平衡挙動を、ほとんどの冷却および空調システムの実用作動範囲を包含した温度範囲−40〜+60℃にわたり、二酸化炭素、R‐32、R‐125、R‐134a、R‐152a、R‐161、プロパンおよびプロピレンとの一連の二元ペアで研究した。実験プログラムでは各二元系の全組成スペースにわたり組成を変え、各二元ペアの混合物パラメーターを実験で得られたデータへ回帰し、該パラメーターもREFPROPソフトウェアモデルへ組み込んだ。次いで、二酸化炭素とヒドロフルオロカーボンR‐32、R‐125、R‐152a、R‐161およびR‐152aとの蒸気液体平衡挙動に関するデータについて学術文献を調査した。その後、関連二元混合物に関する混合パラメーターを得るために出典から得られたVLEデ−タ(論文Applications of the simple multi-fluid model to correlations of the vapour-liquid equilibrium of refrigerant mixtutes containing carbon dioxide,by Akasaka,Journal of Thermal Science and Technology,159-168,4,1,2009参照)を用い、次いでこれらもREFPROPモデルへ組み込んだ。二酸化炭素とプロパンおよびプロピレンとに関する標準REFPROP混合パラメーターもこのモデルへ組み込んだ。
【0127】
得られたソフトウェアモデルは、低温度スーパーマーケット冷却システムシミュレーションにおいて、本発明の選択流体の性能をR‐407Aと比較するために用いた。圧縮器吐出温度を制御する際における液体注入の使用を、このサイクルの特徴として含めた。R‐407AまたはR‐22がこのような用途に用いられることになれば、液体注入は圧縮器製造業者および冷媒供給業者により勧められている。
【0128】
望ましい最高温度またはそれ以下で圧縮器吐出ガスを維持するために必要な液体の量は、圧縮器へ注入される液体が凝縮器を出た液体と同様の熱力学的状態にあると仮定し、さらに機械で熱平衡を保つことにより見積もった。次いで、圧縮器を通る総質量流量と特定の出口および入口冷媒状態の情報から、要求される総圧縮仕事を求めた。
【0129】
冷媒で同等の平均蒸発および凝縮温度と、一定程度の過冷および蒸発器過熱と仮定して、流体の比較を行った。蒸発器、凝縮器および圧縮器吸引ガスラインにおいて、R‐407Aでは一定の圧力降下と仮定した。次いで流体で達成される圧縮器スループットを評価し、ラインで冷媒の質量流速を求め、その後、参照冷媒の仮定圧力降下との比較で圧力降下を計算することにより、本発明の流体に関する圧力降下を同一サイクルで評価した。
【0130】
R‐407Aおよび本発明の流体で達成される圧縮器スループットを計算するために、圧縮器は、3%の有効クリアランス容積比および65%の平均断熱(等エントロピー)効率の既知ピストン排気量にて一定速度で駆動し、20℃の一定圧縮器吸引ガス温度で作動するピストン型機械であると仮定した。次いでこのような機械で体積効率の評価のための標準関係を用いて、圧縮器で生じる圧力比とガスの熱力学的性質から、圧縮器の体積効率を各冷媒について評価した。
【0131】
用いられたサイクル条件は以下であった:
【表3】

【0132】
R‐32/R‐125/R‐134a/R‐1234ze(E)ブレンド
上記モデルを用いて、16〜40重量%のR‐32、10〜24重量%のR‐125、16〜28重量%のR‐134aおよび8〜56重量%のR‐1234ze(E)を含有している本発明の選択組成物の性能が下記表3〜34で示されている。
【0133】
R‐404A、R‐407C、R‐407DおよびR‐407Fのモデル化性能が、すぐ下の比較表Xで示されている。
【表4】

【0134】
R‐404AまたはR‐407Fのいずれかより低い凝縮圧力とR‐407AおよびR‐407Fで達成される場合に匹敵するまたはそれより低い圧力比で作動しながら、R‐404AまたはR‐407Fの場合に匹敵する能力を達成しうることが、意外にも分かった。事実、本発明の一部の組成物はR‐404Aに匹敵する圧力比を呈する。
【0135】
流体へのR‐1234ze(E)の配合は、R‐407流体のGWPと比べて、およびR‐404Aと比べて、混合物のGWPの減少をさらにもたらす。R‐1234ze(E)は、その(比較的)高い−19℃の沸点からみて、この用途にそれ自体では不適切である。意外にも、したがって、流体の作動圧力に有害な影響なく、本発明の組成物で有意な量のR‐1234ze(E)を用いることが可能であると証明された。
【0136】
したがって、本発明の流体は:
‐匹敵しうる能力で改善されたエネルギー効率
‐改善された体積効率および低い圧力比
‐システムの高圧ラインから冷媒の漏出の可能性減少
‐冷媒の直接GWP減少
という理由から、匹敵する公知のHFC冷媒(例えば、R‐407A、R‐407FおよびR‐404a)と比較した場合に、非常に予想外な有意の改善された環境性能を発揮している。
【0137】
本発明の現在最も好ましい流体は、この手法で比較された場合に、冷却能力がR‐404Aの場合に相当するもの、凝縮圧力がR‐404Aの場合より低いもの、およびエネルギー効率がR‐407AまたはR‐407Fの場合より高いものである。
【0138】
中/高スーパーマーケット温度冷却システムに典型的な蒸発温度において、上記の性能獲得がすべて維持され、そのため流体がすべての業務用冷却用途に応じられることに、留意すべきである。事実、R‐404Aと比べた本発明の流体の性能は高い蒸発温度でさらに改善されるのである。特に、本発明の流体のCOPはR‐407Cの場合と類似しているか、またはそれより良いことがわかる。本発明の流体はそのため、低度冷却のみならず、中高度冷却および空調用途にも応じられる。
【0139】
例えばR‐32含有分が範囲16〜20%で用いられるならば、CFC冷媒R‐500の代替物としてある冷蔵輸送用途に用いられる流体、R‐407Dの性能を越えることも、本発明の組成物で可能と分かった。R‐407Dの場合またはそれ以下に圧縮器吐出圧力を維持しながら、R‐407Dの能力およびCOPに相当するまたは優ることは、性能比較から明らかである。このように、該流体について先に述べられた利点もこの用途で達成されている。
【0140】
R‐32/R‐161/R‐134a/R‐1234ze(E)ブレンド
実施例3で前述されたものと同一の冷却サイクル条件を用いて、20〜46重量%のR‐32、10〜60重量%のR‐161、10〜22重量%のR‐134aおよび8〜60重量%のR‐1234ze(E)を含有する本発明の選択組成物の分析が行われた。結果が下記表35〜105で示されている(参考のため前記表X参照)。
【0141】
該流体の成績係数(COP)は同等のサイクル条件でR‐407Aの場合より高いのみならず、本発明のR32/R125/R134a/R1234ze(E)流体で達成しうる場合より高いことが、予想外にわかる。R‐125に代わる副次的量のR‐161の使用は、エネルギー効率(COP)の更なる改善、冷媒のGWPの更なる減少、凝縮器作動圧力の低下と、匹敵しうる冷却能力を発揮するために要するR‐32の量の減少をもたらす。該流体はしたがって、既に記載されたものと類似の性能利点を呈する。これらの流体は、冷媒の軽度な燃焼性が許容されうる用途および設備で特に魅力的である。
【0142】
R‐32/R‐161/R‐125/R‐1234ze(E)ブレンド
実施例3で前述されたものと同一の冷却サイクル条件を用いて、16〜40重量%のR‐32、10〜30重量%のR‐161、10〜25重量%のR‐125および10〜64重量%のR‐1234ze(E)を含有する本発明の選択組成物の分析が行われた。結果が下記表106〜124で示されている(参考のため前記表X参照)。
【0143】
驚くべきことに、該流体の成績係数(COP)は同等のサイクル条件でR‐407Aの場合より高い。副次的量のR‐161の使用は、エネルギー効率(COP)の改善と冷媒のGWPの減少をもたらす。凝縮器作動圧力および圧力比の低下と一緒に、匹敵しうる冷却能力を発揮するために要するR‐32の量の減少も観察される。該流体はしたがって、既に記載されたものと類似の性能利点を呈する。これらの流体は、冷媒の軽度な燃焼性が許容されうる用途および設備で特に魅力的である。
【0144】
本発明は請求項により規定される。
【0145】
【表5】

【0146】
【表6】

【0147】
【表7】

【0148】
【表8】

【0149】
【表9】

【0150】
【表10】

【0151】
【表11】

【0152】
【表12】

【0153】
【表13】

【0154】
【表14】

【0155】
【表15】

【0156】
【表16】

【0157】
【表17】

【0158】
【表18】

【0159】
【表19】

【0160】
【表20】

【0161】
【表21】

【0162】
【表22】

【0163】
【表23】

【0164】
【表24】

【0165】
【表25】

【0166】
【表26】

【0167】
【表27】

【0168】
【表28】

【0169】
【表29】

【0170】
【表30】

【0171】
【表31】

【0172】
【表32】

【0173】
【表33】

【0174】
【表34】

【0175】
【表35】

【0176】
【表36】

【0177】
【表37】

【0178】
【表38】

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【表39】

【0180】
【表40】

【0181】
【表41】

【0182】
【表42】

【0183】
【表43】

【0184】
【表44】

【0185】
【表45】

【0186】
【表46】

【0187】
【表47】

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【表49】

【0190】
【表50】

【0191】
【表51】

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【表53】

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【表54】

【0195】
【表55】

【0196】
【表56】

【0197】
【表57】

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【表59】

【0200】
【表60】

【0201】
【表61】

【0202】
【表62】

【0203】
【表63】

【0204】
【表64】

【0205】
【表65】

【0206】
【表66】

【0207】
【表67】

【0208】
【表68】

【0209】
【表69】

【0210】
【表70】

【0211】
【表71】

【0212】
【表72】

【0213】
【表73】

【0214】
【表74】

【0215】
【表75】

【0216】
【表76】

【0217】
【表77】

【0218】
【表78】

【0219】
【表79】

【0220】
【表80】

【0221】
【表81】

【0222】
【表82】

【0223】
【表83】

【0224】
【表84】

【0225】
【表85】

【0226】
【表86】

【0227】
【表87】

【0228】
【表88】

【0229】
【表89】

【0230】
【表90】

【0231】
【表91】

【0232】
【表92】

【0233】
【表93】

【0234】
【表94】

【0235】
【表95】

【0236】
【表96】

【0237】
【表97】

【0238】
【表98】

【0239】
【表99】

【0240】
【表100】

【0241】
【表101】

【0242】
【表102】

【0243】
【表103】

【0244】
【表104】

【0245】
【表105】

【0246】
【表106】

【0247】
【表107】

【0248】
【表108】

【0249】
【表109】

【0250】
【表110】

【0251】
【表111】

【0252】
【表112】

【0253】
【表113】

【0254】
【表114】

【0255】
【表115】

【0256】
【表116】

【0257】
【表117】

【0258】
【表118】

【0259】
【表119】

【0260】
【表120】

【0261】
【表121】

【0262】
【表122】

【0263】
【表123】

【0264】
【表124】

【0265】
【表125】

【0266】
【表126】

【0267】
【表127】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)トランス‐1,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(R‐1234ze(E))、
(ii)ジフルオロメタン(R‐32)、プロペン(R‐1270)、プロパン(R290)およびそれらの混合物から選択される第二成分、
(iii)ペンタフルオロエタン(R‐125)、1,1,1,2‐テトラフルオロエタン(R‐134a)およびそれらの混合物から選択される第三成分、および所望により
(iv)フルオロエタン(R‐161)、1,1‐ジフルオロエタン(R‐152a)およびそれらの混合物から選択される第四成分、
を含んでなる熱伝達組成物。
【請求項2】
約5〜約50重量%のR‐1234ze(E)を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
約10〜約40重量%の第二成分を含んでなる、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
約10〜約80重量%の第三成分を含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
第二成分がR‐32を含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
第三成分がR‐125およびR‐134aである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
R‐1234ze(E)、R‐32、R‐125およびR‐134aを含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
約5〜約40重量%のR‐1234ze(E)、約20〜約35重量%のR‐32、約15〜約30重量%のR‐125および約12〜約50重量%のR‐134aを含んでなる、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
約10〜約50重量%のR‐1234ze(E)、約22〜約40重量%のR‐32、約10〜約30重量%のR‐125および約15〜約30重量%のR‐134aを含んでなる、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
第四成分としてR‐161を含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
R‐1234ze(E)、R‐32、R‐134aおよびR‐161を含んでなる、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
約5〜約60重量%のR‐1234ze(E)、約20〜約50重量%のR‐32、約10〜約60重量%のR‐161および約10〜約40重量%のR‐134aを含んでなる、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
約30〜約60重量%のR‐1234ze(E)、約20〜約50重量%のR‐32、約10〜約30重量%のR‐161および約10〜約25重量%のR‐134aを含んでなる、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
R‐1234ze(E)、R‐32、R‐125およびR‐161を含んでなる、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
約10〜約65重量%のR‐1234ze(E)、約15〜約40重量%のR‐32、約10〜約30重量%のR‐161および約10〜約25重量%のR‐125を含んでなる、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
約25〜約60重量%のR‐1234ze(E)、約20〜約40重量%のR‐32、約10〜約20重量%のR‐161および約10〜約25重量%のR‐125を含んでなる、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
組成物が2800未満、好ましくは1500未満のGWPを有している、請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
温度勾配が約15K未満、好ましくは約10K未満である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
組成物が、置き換えようと意図される既存の冷媒の約15%以内、好ましくは約10%以内の体積冷却能力を有している、請求項1〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
組成物がR‐32単独よりも可燃性が低い、請求項1〜19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
組成物が、R‐32単独と比べて、
(a)高い可燃限界、
(b)高い点火エネルギー、および/または
(c)低い火炎速度、
を有している、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
不燃性である、請求項20または21に記載の組成物。
【請求項23】
組成物が、置き換えようと意図される既存の冷媒の約10%以内のサイクル効率を有している、請求項1〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
組成物が、置き換えようと意図される既存の冷媒の約15K以内、好ましくは約10K以内の圧縮器吐出温度を有している、請求項1〜23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
潤滑剤と、請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる、組成物。
【請求項26】
潤滑剤が、鉱油、シリコーン油、ポリアルキルベンゼン類(PABs)、ポリオールエステル類(POEs)、ポリアルキレングリコール類(PAGs)、ポリアルキレングリコールエステル類(PAGエステル類)、ポリビニルエーテル類(PVEs)、ポリ(アルファ‐オレフィン類)およびそれらの組合せから選択される、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
安定剤をさらに含んでなる、請求項25または26に記載の組成物。
【請求項28】
安定剤が、ジエン系化合物類、ホスフェート類、フェノール化合物類およびエポキシド類とそれらの混合物から選択される、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
難燃剤と、請求項1〜28のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる、組成物。
【請求項30】
追加の難燃剤が、トリ(2‐クロロエチル)ホスフェート、(クロロプロピル)ホスフェート、トリ(2,3‐ジブロモプロピル)ホスフェート、トリ(1,3‐ジクロロプロピル)ホスフェート、リン酸二アンモニウム、様々なハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、アルミニウム三水和物、ポリ塩化ビニル、フッ素化ヨードカーボン、フッ素化ブロモカーボン、トリフルオロヨードメタン、ペルフルオロアルキルアミン類、ブロモ‐フルオロアルキルアミン類およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
冷媒組成物である、請求項1〜30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物を含有している、熱伝達装置。
【請求項33】
熱伝達装置における、請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項34】
冷却装置である、請求項32または33に記載の熱伝達装置。
【請求項35】
自動車空調システム、住宅用空調システム、業務用空調システム、住宅用冷蔵庫システム、住宅用冷凍庫システム、業務用冷蔵庫システム、業務用冷凍庫システム、冷却機空調システム、冷却機冷却システムと、業務用または住宅用ヒートポンプシステムからなる群より選択される、請求項34に記載の熱伝達装置。
【請求項36】
圧縮器を内蔵している、請求項34または35に記載の熱伝達装置。
【請求項37】
請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる、発泡剤。
【請求項38】
発泡体を形成可能な1種以上の成分と請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物とを含んでなる発泡性組成物であって、発泡体を形成可能な1種以上の成分が、ポリウレタン類、熱可塑性ポリマーおよび樹脂、例えばポリスチレン、およびエポキシ樹脂、ならびにそれらの混合物から選択される、発泡性組成物。
【請求項39】
請求項38に記載の発泡性組成物から得られる、発泡体。
【請求項40】
請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる、請求項39に記載の発泡体。
【請求項41】
スプレーされるべき物質と、請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる噴射剤とを含んでなる、スプレー用組成物。
【請求項42】
請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物を凝縮させ、その後、冷却されるべき物品の近くで該組成物を蒸発させることを含んでなる、物品を冷却する方法。
【請求項43】
加熱されるべき物品の近くで請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物を凝縮させ、その後、該組成物を蒸発させることを含んでなる、物品を加熱する方法。
【請求項44】
請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる溶媒とバイオマスを接触させ、該溶媒から物質を分離することを含んでなる、バイオマスから物質を抽出する方法。
【請求項45】
請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる溶媒と物品を接触させることを含んでなる、物品を清浄化する方法。
【請求項46】
請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる溶媒と水溶液を接触させ、該溶媒から物質を分離することを含んでなる、水溶液から物質を抽出する方法。
【請求項47】
請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる溶媒と粒状固体マトリックスを接触させ、該溶媒から物質を分離することを含んでなる、粒状固体マトリックスから物質を抽出する方法。
【請求項48】
請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物を含有している、機械的動力発生装置。
【請求項49】
ランキンサイクルまたはその変法を用いて熱から動力を発生するように構成されている、請求項48に記載の機械的動力発生装置。
【請求項50】
既存の熱伝達流体を除去して、請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物を導入する工程を含んでなる、熱伝達装置を改修する方法。
【請求項51】
熱伝達装置が冷却装置である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
熱伝達装置が空調システムである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
既存の化合物または組成物を含んでなる製品の取扱いから生じる環境影響を減らす方法であって、少なくとも部分的に既存の化合物または組成物を請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物で置き換えることを含んでなる、方法。
【請求項54】
組成物または熱伝達装置がR‐134aを含有する、請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物、および/または請求項32または34〜36のいずれか一項に記載の熱伝達装置を製造する方法であって、R‐1243ze(E)、第二成分、所望によりR‐125、所望により第四成分、および所望により潤滑剤、安定剤および/または追加の難燃剤を、R‐134aである既存の熱伝達流体を含有した熱伝達装置へ導入することを含んでなる、方法。
【請求項55】
R‐1243ze(E)、第二成分、所望によりR‐125、所望により第四成分、および所望により潤滑剤、安定剤および/または追加の難燃剤を導入する前に、既存のR‐134aの少なくとも一部を熱伝達装置から除去する工程を含んでなる、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
(i)既存の化合物または組成物を請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物で置き換え、このとき請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物は既存の化合物または組成物より低いGWPを有しているものとし、(ii)該置き換え工程で温室効果ガス排出権を得ることを含んでなる、温室効果ガス排出権を生み出す方法。
【請求項57】
本発明の組成物の使用が、既存の化合物または組成物の使用により達成される場合と比べて、より低い総等価温暖化影響および/またはより低いライフサイクル炭素排出量をもたらす、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
空調、冷却、熱伝達、発泡剤、エアロゾルまたはスプレー用噴射剤、気体誘電体、凍結手術、獣医処置、歯科処置、消火、火炎抑制、溶媒、クリーナー、エアホーン、ペレットガン、局所麻酔剤および膨張用途の分野からの製品で行われる、請求項56または57の方法。
【請求項59】
製品が熱伝達装置、発泡剤、発泡性組成物、スプレー用組成物、溶媒または機械的動力発生装置から選択される、請求項53または58に記載の方法。
【請求項60】
製品が熱伝達装置である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
既存の化合物または組成物が熱伝達組成物である、請求項53および56〜60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
熱伝達組成物が、R‐22、R‐410A、R‐407A、R‐407B、R‐407C、R507およびR‐404aから選択される冷媒である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
所望により実施例を参照しつつ、実質的にここまでに記載されるような、あらゆる新規の熱伝達組成物。

【公開番号】特開2012−7164(P2012−7164A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−140497(P2011−140497)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(510127697)メキシケム、アマンコ、ホールディング、ソシエダッド、アノニマ、デ、カピタル、バリアブレ (24)
【氏名又は名称原語表記】MEXICHEM AMANCO HOLDING S.A. DE C.V.
【Fターム(参考)】