説明

熱処理装置

【課題】塗装ラインにおいて、水洗などの前処理されたワークの被塗装面の乾燥や塗装後のワークの塗装面の乾燥・焼付けなどに活用することができる熱処理装置を提案する。
【解決手段】下側開放の熱処理炉40、この熱処理炉40内の加熱手段(熱風循環経路54、加熱手段55、熱風循環用ブロワー56、及びコントローラー57)、当該熱処理炉40の真下に位置させることができるワーク支持台45、及び熱処理炉40とワーク支持台45とを相対的に昇降移動させてワーク支持台45上で支持されたワークWを熱処理炉40に対して上下方向に出し入れする昇降駆動手段44から構成された熱処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装ラインにおいて、水洗などの前処理されたワークの被塗装面の乾燥や塗装後のワークの塗装面の乾燥・焼付けなどに活用することができる熱処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の熱処理装置でバッチ式にワークを処理する熱処理装置としては、特許文献1に記載されるように、ワーク搬送経路脇に熱処理炉を配設し、ワーク搬送経路上を走行する搬送用走行体が備えたランニングフォーク方式などのワーク移載手段により当該搬送用走行体と熱処理炉内との間でワークを水平横方向に出し入れする構成のものが知られている。
【特許文献1】特開平11−10056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような従来のバッチ式熱処理装置では、ワーク出し入れのための開口部を熱処理炉の横側壁部に水平横向きに設けることになるので、熱処理時又は待機時に当該開口部を閉鎖することができる開閉扉を併設して、熱処理炉内の熱気が逃げないようにするか若しくは、ワークに向けて熱線を照射するタイプの赤外線ランプなどの加熱手段を利用しなければ、効率よく加熱処理ができない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記のような従来の問題点を解消し得る熱処理装置を提供することを目的とするものであって、請求項1に記載の発明では、後述する実施形態の参照符号を付して示すと、下側開放の熱処理炉40、この熱処理炉40内の加熱手段(熱風循環経路54、加熱手段55、熱風循環用ブロワー56、及びコントローラー57)、当該熱処理炉40の真下に位置させることができるワーク支持台45、及び熱処理炉40とワーク支持台45とを相対的に昇降移動させてワーク支持台45上で支持されたワークWを熱処理炉40に対して上下方向に出し入れする昇降駆動手段44から構成された熱処理装置を提案している。
【0005】
上記構成の本発明を実施するについて、具体的には請求項2に記載のように、ワーク支持台45をワーク搬送経路2の脇に設け、ワーク搬送経路2を走行し且つワーク支持台45の横位置で停止可能な搬送用走行体1に、ワーク支持台45との間でワークWを移載するワーク移載手段10を設けることができる。この場合、請求項3に記載のように、ワーク搬送経路2のワーク支持台45がある側とは反対側にワーク支持棚(ワーク一時保管棚26)を設け、搬送用走行体1のワーク移載手段10は、ワーク支持台45側とワーク支持棚(ワーク一時保管棚26)側の何れにも出退移動自在で、ワーク支持棚(ワーク一時保管棚26)との間でもワークWを移載できるように構成し、ワーク支持台45上から取り出した熱処理済みのワークWをワーク支持棚(ワーク一時保管棚26)に移載して冷却できるように構成することができる。
【0006】
又、請求項4に記載のように、熱処理炉40を位置固定し、昇降駆動手段44は、ワーク支持台45を熱処理炉40の真下のワーク移載用下降限位置と当該ワーク支持台45上のワークWが熱処理炉40内に入る上昇限位置との間で昇降移動させるように構成することができる。
【0007】
又、請求項5に記載のように、ワーク支持台45は、熱処理炉40の下方床面上で移動自在な可動台43上に搭載し、当該可動台43は、熱処理炉40とワーク支持台45との相対的昇降移動によりワーク支持台45が支持するワークWを熱処理炉40内に装入できる第一位置P1と、このワーク支持台45に対してワークWを積み下ろしするための第二位置P2との間で往復移動自在に構成することができる。
【0008】
更に、請求項6に記載のように、熱処理炉40とワーク支持台45とを相対的に昇降移動させてワーク支持台45上で支持されたワークWを熱処理炉40内に装入したとき、ワーク支持台45が熱処理炉40の下側開放部(開口部51)内に位置するように構成することができるし、請求項7に記載のように、ワークWは、両側に被支持部(第一被支持部17a,17b)を備えたワーク吊下げ用架台15から吊り下げ、ワーク支持台45には、ワーク吊下げ用架台15の両側被支持部(第一被支持部17a,17b)を支持する一対の支持レール部材49を設け、ワーク吊下げ用架台15を介してワーク支持台45上に支持されたワークWが当該ワーク支持台45から上方に離れて吊り下げられるように構成することができる。
【発明の効果】
【0009】
上記請求項1に記載の本発明に係る熱処理装置によれば、炉内の下から上への対流による熱移動方向の上手になる炉下側部がワーク出し入れ口として開放された熱処理炉であるから、当該熱処理炉の下側開放部、即ち、ワークの出し入れ口を熱処理時又は待機時に開閉扉で閉じなくとも、熱風循環方式において熱処理炉内を流れる熱風や熱線照射方式における炉内の熱気が前記下側開放部を通じて炉外に流出することが少なく、又、待機時にも炉外の冷気が熱処理炉内に流入して炉内温度が急激に低下することがない。従って、熱処理炉のワーク出し入れ口に開閉扉を設けないで、構造及び制御が簡単な構成の熱処理装置としながら、比較的効率良く熱処理が行えるのである。勿論、熱風循環タイプの加熱手段も利用し易くなる。
【0010】
尚、請求項1に記載の本発明は、ワーク支持台を例えばスラットコンベヤ上に適当間隔おきに設置することによりワーク支持台をワーク搬送経路に沿って移動させるように構成すると共に、昇降自在な熱処理炉をワーク搬送経路途中の上方に配設し、ワークを支持したワーク支持台が熱処理炉の真下位置に到着した状態でワーク支持台を停止させると共に熱処理炉を降下させ、ワーク支持台上のワークを熱処理炉内に相対的に装入させて熱処理を行うように構成することも可能であるが、請求項2に記載の構成によれば、ワーク支持台との間でワークを移載するワーク移載手段を備えた搬送用走行体の走行経路でワーク搬送経路を構成することができ、このワーク搬送経路でのワークの搬送を前記熱処理炉におけるワークの熱処理には関係なく行うことができるので、熱処理炉以外のワークに対する各種作業を行う設備やワークの一時保管棚をワーク搬送経路脇に併設する場合に好適な設備を構築することができる。
【0011】
又、請求項2に記載の構成を採用する場合、請求項3に記載の構成によれば、熱処理に続く処理として一般的に必要な冷却工程を熱処理済みワークに対して行う場合、熱処理炉に併設のワーク支持台に対してワークを搬入する搬送用走行体を利用して、ワーク冷却用支持棚へ熱処理済みワークを速やかに移し替え、所期のワーク冷却工程を実行に移すことができるので、熱処理炉内の温度を下げたり冷却用エアーの供給に切り換えたりして熱処理炉内でワーク冷却工程を実施する場合よりも効率よく冷却できる。
【0012】
又、請求項1に記載の本発明を実施する場合、ワーク支持台に対して熱処理炉を昇降可能に構成し、ワーク支持台に支持されたワークに対して熱処理炉を降下させることにより当該ワークを熱処理炉内に装入させることも可能であるが、請求項4に記載の構成によれば、熱処理炉が位置固定されるので、当該熱処理炉内を加熱する加熱手段として、熱風循環方式の加熱手段が採用し易くなり、本発明を簡単且つ安価に実施することができる。
【0013】
更に、ワーク支持台は昇降移動のみ可能に構成することもできるが、この場合、熱処理炉の真下位置に位置するワーク支持台に対してワークを積み下ろししなければならないが、請求項5に記載の構成によれば、ワーク支持台に対するワーク積み下ろし作業は、当該ワーク支持台が熱処理炉の真下位置から横側方に離れた第二位置にある状態で行うことができるので、フォークリフトによるワーク移載作業など、仮に人的作業でワーク支持台に対するワーク積み下ろし作業を行う場合でも熱処理炉の下側開放部から下向きに照射される輻射熱の影響を直接受けない環境のもとでワーク積み下ろし作業を安全に行うことができ、搬送用走行体が備えるワーク移載手段でワーク積み下ろし作業を行う場合でも、当該搬送用走行体の走行経路を平面視において熱処理炉から横側方に離すことができるので、搬送用走行体の走行経路を構築し易くなると共に、搬送用走行体が備えるワーク移載手段の横方向出退移動量を短くすることができるので、当該ワーク移載手段の構成が容易になる。
【0014】
又、熱処理炉とワーク支持台とを相対的に昇降移動させてワーク支持台上で支持されたワークを熱処理炉内に装入したとき、ワーク支持台が熱処理炉の下側開放部より下側にあっても良いし、ワーク支持台が熱処理炉内に入り込む位置にあっても良いが、請求項6に記載の構成によれば、熱処理炉とワーク支持台とを相対的に昇降移動させてワーク支持台上で支持されたワークを熱処理炉内に装入したときにワーク支持台が熱処理炉の下側開放部内に位置して当該下側開放部の上下方向に開放された通路を狭めることになり、熱風循環方式の加熱手段を採用している場合の熱処理炉下側への熱風の漏れや、熱線照射方式の加熱手段を採用している場合の熱処理炉下側への輻射熱の漏れを大巾に少なくすることができる。
【0015】
更に、ワークはワーク支持台上に載置することもできるが、請求項7に記載の構成によれば、熱処理炉内でのワークは、ワーク吊下げ用架台から吊り下げられてその全周囲を熱処理炉内の高温雰囲気にさらすことができるので、ワークの全面を効率よく熱処理することができると共に、ワーク支持台に対するワークの積み下ろしもワーク吊下げ用架台を利用して安全且つ容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の具体的実施例を添付図に基づいて説明すると、図1において、1は水平直線状のワーク搬送経路2に沿って往復走行自在なスタッカークレーンタイプの搬送用走行体であって、図2及び図4に示すように、床面上に敷設された支持用ガイドレール3に支持された下側台車部4と、天井側に架設された振れ止め用ガイドレール5に係合するローラーユニット6を備えた上部フレーム7とを前後一対の支柱材8で連結一体化すると共に、前後一対の支柱材8間で昇降する昇降キャレッジ9にはワーク移載手段10が設けられている。
【0017】
ワーク移載手段10は、互いに同期して左右両方向何れにも出退移動自在な左右一対のランニングフォーク11によって構成されたものである。これらランニングフォーク11は、昇降キャレッジ9の下側に固定された固定レール部12と、この固定レール部12に対して出退移動自在な中間フォーク部13と、当該中間フォーク部13に対して出退移動自在な終段フォーク部14から構成され、従来周知の出退駆動手段により、固定レール部12に対して中間フォーク部13を出退移動させると終段フォーク部14が中間フォーク部13に対して同一方向に出退移動するものであって、終段フォーク部14を、昇降キャレッジ9の下側中央位置に位置するホームポジションと、昇降キャレッジ9の横側方に離れて位置する進出限位置との間で出退移動させることができる。尚、図では1つの中間フォーク部13を備えたランニングフォーク11を示しているが、昇降キャレッジ9に対する終段フォーク部14の横側方への進出距離を大きくするために複数の中間フォーク部13を備えたランニングフォーク11を採用することもできる。
【0018】
上記ワーク移載手段10で取り扱われるワークWは、図2〜図4に示すようにワーク吊下げ用架台15に適当な吊下げ具16を介して吊り下げられる。ワーク吊下げ用架台15は、左右両端部上側に左右外側に張り出すように設けられた左右一対の第一被支持部17a,17bと、これら両被支持部17a,17bの内側に設けられた左右一対の第二被支持部18a,18bを備えたもので、第二被支持部18a,18bは、前記ワーク移載手段10における左右一対のランニングフォーク11の終段フォーク部14が抜き差し自在に係合し得るように構成されたものである。
【0019】
図1に示すように、搬送用走行体1が走行するワーク搬送経路2の一側方には、第一ワーク積み下ろしブース19、第二ワーク積み下ろしブース20、塗装ブース21、前処理ブース22、水洗ブース23、第一熱処理装置24、及び第二熱処理装置25がこの順番に並設され、ワーク搬送経路2の他側方には、ワーク一時保管棚26がワーク搬送経路2の全域にわたって立設されている。このワーク一時保管棚26は、ワーク搬送経路2に沿った水平方向と垂直方向の両方向に区画された多数のワーク保管空間26aを立体的に備えたもので、各ワーク保管空間26aの上部には、前記ワーク吊下げ用架台15の第一被支持部17a,17bを載置させることができる左右一対の支持レール部材27a,27bが架設されている。
【0020】
第一ワーク積み下ろしブース19と第二ワーク積み下ろしブース20は同一構造のもので、図5〜図7に示すように、ワーク吊下げ用架台15をこれらブース内でワーク搬送経路2に対して直交する水平方向に移動させるための搬送手段28を備えている。これら搬送手段28は、ワーク吊下げ用架台15の左右一対の第一被支持部17a,17bを載置させることができる左右一対のチエンコンベヤ29a,29bから構成されている。これらチエンコンベヤ29a,29bは、各ブース19,20内に立設された左右両側枠30に支持され、モーター31a,31bにより同期駆動される。
【0021】
塗装ブース21は、図8及び図9に示すように、ワーク搬送経路2に面する側を開閉シャッター32により開閉することができると共に開閉扉33aを備えた作業者の出入り口33を有する、閉じた空間で構成されたもので、内部には、前記第一ワーク積み下ろしブース19と第二ワーク積み下ろしブース20に設置された搬送手段28と同一構造の搬送手段34が設けられている。
【0022】
前処理ブース22と水洗ブース23は同一構造のもので、図10及び図11に示すように、ワーク搬送経路2に面する側を開閉シャッター35により開閉することができると共に開閉扉36aを備えた作業者の出入り口36を有する、閉じた空間で構成されたもので、内部には、前記第一ワーク積み下ろしブース19と第二ワーク積み下ろしブース20に設置された搬送手段28と同一構造の搬送手段37が設けられると共に、ワークWに対する前処理液や洗浄水の噴射のためのノズル付き配管38が配設されている。
【0023】
第一熱処理装置24と第二熱処理装置25は同一構造のもので、図12〜図15に示すように、下側のワーク中継ブース39とその上に設けられた熱処理炉40から成る二階建て構造である。ワーク中継ブース39は、ワーク搬送経路2側が開放され且つワーク搬送経路2の床面より低いピット状床面を有する区画空間から構成されたもので、このワーク中継ブース39内には、ピット状床面上に敷設されたガイドレール41に車輪42を介して支持されてワーク搬送経路2の経路方向に対し直交する方向に往復移動する可動台43と、この可動台43上に昇降駆動手段44を介して支持されたワーク支持台45とが設けられている。昇降駆動手段44は、可動台43に対してワーク支持台45を水平姿勢に保って平行に昇降させるクロスリンク機構46と当該クロスリンク機構46を起伏駆動するシリンダーユニット47から成る従来周知のものを例示しているが、勿論これに限定されるものではない。可動台43を往復移動させるための走行駆動手段としては、図示していないが、車輪42を回転駆動する電車方式の他、床側との間に介装されたシリンダーユニットにより可動台43を押し引き駆動する方式、床側のラックギヤ(又はピニオンギヤ)と可動台43側のピニオンギヤ(又はラックギヤ)とを利用してピニオンギヤの回転駆動により可動台43を往復移動させるラックピニオンギヤ方式など、如何なる方式のものでも良い。
【0024】
ワーク支持台45の上側には、左右両側枠48aに、ワークWを吊り下げるワーク吊下げ用架台15の左右一対の第一被支持部17a,17bを支持する一対の支持レール部材48bを架設して成るワーク支持手段49が設けられ、ワーク吊下げ用架台15を介してワーク支持台45上に支持されたワークWが当該ワーク支持台45から上方に離れて吊り下げられるように構成している。尚、左右両側枠48aは、ワーク搬送経路2側からのワーク吊下げ用架台15の移載時に当該ワーク吊下げ用架台15やこれに吊り下げられたワークWと干渉しない位置で連結枠48cにより互いに連結一体化されている。
【0025】
熱処理炉40は、その床部50に開口部51を有する下側開放構造のもので、床部50には開口部51の側面に開口する横長の熱風送給口52が設けられると共に、この熱処理炉40内の上部から熱風を回収する横長の排気口53が設けられ、この排気口53から熱風送給口52に至る熱風循環経路54に加熱手段55と熱風循環用ブロワー56とが介装され、これら加熱手段55と熱風循環用ブロワー56を制御するコントローラー57が併設されている。尚、熱処理炉床部50の開口部51は、ワーク支持台45が無理なく昇降し得るサイズのものである。
【0026】
可動台43は、昇降駆動手段44によりワーク支持台45を上昇させたときに、図14に示すように当該ワーク支持台45を熱処理炉床部50の開口部51内に嵌入させて当該開口部51を閉じることができる第一位置P1と、図12で示すようにワーク支持台45上のワーク支持手段49(支持レール部材48b)に対し搬送用走行体1のワーク移載手段10がワーク吊下げ用架台15を積み下ろしすることができる第二位置P2との間でガイドレール41上を往復移動できるように構成され、ワーク支持台45の昇降駆動手段44は、図12で示すようにワーク支持台45が熱処理炉床部50の開口部51からワーク中継ブース39内に降下して当該ワーク支持台45上のワーク支持手段49(支持レール部材48b)に対し搬送用走行体1のワーク移載手段10がワーク吊下げ用架台15を積み下ろしすることができるワーク移載のための下降限位置と、ワーク支持台45が熱処理炉床部50の開口部51内に入り込んで当該ワーク支持台45上のワーク支持手段49でワーク吊下げ用架台15を介して支持されたワークWが熱処理炉40内に入る上昇限位置との間で、可動台43に対しワーク支持台45を昇降移動させるものである。
【0027】
而して、ワーク支持台45は、図14に示すように熱処理炉床部50の開口部51内に嵌入して当該開口部51を閉じたとき、この開口部51の側面に開口する熱処理炉40側の熱風送給口52と連通するダクト空間58を内部に備えると共に、当該ダクト空間58に連通して熱風を上向きに噴射する多数の開口を備えた熱風噴射床板部59を備えている。
【0028】
図1及び図12に示すように、ワーク一時保管棚26のワーク保管空間26aの内、第一熱処理装置24や第二熱処理装置25の真向かいに位置する特定複数のワーク保管空間26aには、冷却用エアー噴射ノズル管60を、収納保管するワークW及び当該ワークWを吊り下げるワーク吊下げ用架台15と干渉しない位置において配設することにより、当該ワーク保管空間26aそれぞれをワーク冷却ブース61としている。62は冷却用エアー噴射ノズル管60に冷却用エアーを送給するブロワーである。尚、ワーク冷却ブース61内への冷却用エアーの供給手段は如何なるものであっても良い。例えばワーク冷却ブース61として利用するワーク保管空間26aの周囲適当箇所、例えば上下に隣接する2つのワーク保管空間26aの中間でワークW及び当該ワークWを吊り下げるワーク吊下げ用架台15と干渉しない位置に、上側(又は下側)のワーク保管空間26a内に向けてエアーを吐出するファンを配設するだけの簡単な構成でワーク冷却ブース61を構成することもできる。勿論、ワーク冷却ブース61として利用するワーク保管空間26aの数や配置も、図示例のものに限定されない。例えば、ワーク保管空間26aの底部に上向きにエアーを吐出するファンを配設してワーク冷却ブース61を構成する場合、平面視(図1)において第一熱処理装置24と第二熱処理装置25の真向かいに位置すると共に、側面視(図12)において下から2段目の、搬送用走行体1の走行方向に並列する2つのワーク保管空間26aのみをワーク冷却ブース61として利用するように構成することができる。
【0029】
以上のように構成された塗装ラインの使用方法について説明すると、ワーク一時保管棚26における入出庫作業対象のワーク保管空間26a内から搬送用走行体1へのワーク吊下げ用架台15の出庫作業に際しては、搬送用走行体1を出庫作業対象のワーク保管空間26aに対面する位置で停止させ、昇降キャレッジ9を昇降させてそのワーク移載手段10(ランニングフォーク11)を出庫作業対象のワーク保管空間26aに対する出庫レベルで停止させる。係る状態で、ランニングフォーク11を進出限位置まで進出移動させることにより終段フォーク部14を、ワーク保管空間26a内の支持レール部材27a,27bで吊り下げられているワーク吊下げ用架台15の第二被支持部18a,18bに挿入し、この後、昇降キャレッジ9の所定高さ分の上昇とランニングフォーク11のホームポジションへの引き込み運動により、終段フォーク部14で支持したワーク吊下げ用架台15を、ワーク保管空間26a内の支持レール部材27a,27bから少し持ち上げた状態で、ワーク保管空間26a内から昇降キャレッジ9側に引き込めば良い。逆に、搬送用走行体1側からワーク保管空間26a内へのワーク吊下げ用架台15の入庫作業に際しては、搬送用走行体1を入庫作業対象のワーク保管空間26aに対面する位置で停止させ、昇降キャレッジ9を昇降させてそのワーク移載手段10(ランニングフォーク11)を入庫作業対象のワーク保管空間26aに対する入庫レベルで停止させる。係る状態で、ワーク吊下げ用架台15の第二被支持部18a,18bに挿入された終段フォーク部14でワーク吊下げ用架台15を吊り下げているランニングフォーク11をホームポジションから進出限位置まで進出移動させ、この後、昇降キャレッジ9の所定高さ分の降下とランニングフォーク11のホームポジションへの引き込み運動により、ワーク吊下げ用架台15の第一被支持部17a,17bをワーク保管空間26a内の支持レール部材27a,27bに載置させれば良い。
【0030】
又、第一ワーク積み下ろしブース19,20、塗装ブース21、前処理ブース22、水洗ブース23、第一熱処理装置24、及び第二熱処理装置25の何れかと搬送用走行体1との間のワーク吊下げ用架台15の移載も、搬送用走行体1側の昇降キャレッジ9に対するランニングフォーク11の進出方向が、ワーク一時保管棚26のある側とは反対側に成るだけで、上記の入出庫作業対象のワーク保管空間26a内と搬送用走行体1との間のワーク吊下げ用架台15の移載と同様に行われる。図4に示すように、ランニングフォーク11が左右各方向へ進出移動したときの進出限位置、即ち、搬送用走行体1から見たワーク吊下げ用架台積み下ろし位置XR,XLは、左右何れ側に進出したときも搬送用走行体1の中心(ワーク搬送経路2の巾方向の中央位置)に対して同一一定距離だけ離れた位置であり、ワーク一時保管棚26側のワーク吊下げ用架台積み下ろし位置XRは、ワーク保管空間26a内の奥行き方向の略中心位置となっている。
【0031】
以下、上記構成の塗装設備の使用方法を具体的に説明すると、ワークWをワーク吊下げ用架台15に吊り下げる作業を行うために、空のワーク吊下げ用架台15が空き状態の第一ワーク積み下ろしブース19又は第二ワーク積み下ろしブース20に準備される。即ち、空のワーク吊下げ用架台15がワーク一時保管棚26の特定のワーク保管空間26aを利用して収納保管されているときは、搬送用走行体1を利用して当該空のワーク吊下げ用架台15が第一ワーク積み下ろしブース19又は第二ワーク積み下ろしブース20に出庫され、これら第一ワーク積み下ろしブース19又は第二ワーク積み下ろしブース20に空の状態で残されたワーク吊下げ用架台15があるときは、その空のワーク吊下げ用架台15を利用することができる。
【0032】
搬送用走行体1により例えば第一ワーク積み下ろしブース19内に出庫される空のワーク吊下げ用架台15は、図5に示すように搬送用走行体1から見たワーク吊下げ用架台積み下ろし位置XLで、その第一被支持部17a,17bが搬送手段28のチエンコンベヤ29a,29b上に載置される状態に下ろされるので、チエンコンベヤ29a,29bを稼働させてワーク吊下げ用架台積み下ろし位置XLにある空のワーク吊下げ用架台15を当該第一ワーク積み下ろしブース19の奥行き方向の略中央になる作業位置Y1までワーク搬送経路2から遠ざかる方向に搬送させる。これにより、空のワーク吊下げ用架台15に対するワークWの吊下作業を、当該空のワーク吊下げ用架台15の全周囲の広い空間を利用して容易に行うことができる。ワークWを吊り下げたワーク吊下げ用架台15は、再びチエンコンベヤ29a,29bを逆方向に稼働させることにより、元の搬送用走行体1のワーク吊下げ用架台積み下ろし位置XLまで搬送しておく。
【0033】
上記のようにして例えば第一ワーク積み下ろしブース19のワーク吊下げ用架台積み下ろし位置XLにワーク吊下げ用架台15に吊り下げられたワークW(以下、単にワークWという)が準備されたならば、これを搬送用走行体1により前処理ブース22に搬送する。この前処理ブース22での脱脂化成液による脱脂洗浄が不要で水洗のみ必要なワークWであれば、水洗ブース23に搬送する。これら前処理ブース22や水洗ブース23に対するワークWの搬入時には、図10及び図11に示す開閉シャッター35が開かれ、当該前処理ブース22や水洗ブース23が備える搬送手段37のチエンコンベヤ29a,29b上にワーク吊下げ用架台15の第一被支持部17a,17bが載置される状態で、搬送用走行体1から見たワーク吊下げ用架台積み下ろし位置XLでワークWが下ろされる。この後(ランニングフォーク11がホームポジションに引き込まれた後)、開閉シャッター35を閉じると共に、チエンコンベヤ29a,29bを稼働させてワーク吊下げ用架台積み下ろし位置XLにあるワーク吊下げ用架台15を当該前処理ブース22又は水洗ブース23の奥行き方向の略中央になる作業位置Y2までワーク搬送経路2から遠ざかる方向に搬送させる。これにより、ワーク吊下げ用架台15に吊り下げられているワークWが、これら前処理ブース22又は水洗ブース23が備えるノズル付き配管38に好適に対応することになるので、ノズル付き配管38に前処理液(脱脂化成液)又は洗浄水を送給し、ワークWに対する所期の前処理又は水洗を好適に行わせることができる。
【0034】
前処理ブース22での前処理又は水洗ブース23での水洗が完了したワークWは、再びチエンコンベヤ29a,29bを逆方向に稼働させることにより、作業位置Y2から元の搬送用走行体1から見たワーク吊下げ用架台積み下ろし位置XLまで搬送し、開閉シャッター35を開いた後、搬送用走行体1により取り出して次のブースに搬送する。即ち、前処理ブース22での前処理が終わったワークWは水洗ブース23に搬送して水洗を行い、水洗ブース23での水洗が終わったワークWは、第一熱処理装置24と第二熱処理装置25の内、空き状態の例えば第一熱処理装置24に搬入して、水切り乾燥を行うことができる。
【0035】
第一熱処理装置24を例にとって説明すると、ワークWが搬入される第一熱処理装置24では、ワーク中継ブース39の可動台43を、図12に示すように、昇降駆動手段44によりワーク支持台45を下降限位置まで下ろした状態で、搬送用走行体1のワーク移載手段10がワーク吊下げ用架台15を積み下ろしすることができる第二位置P2に移動させ、待機させておく。このとき熱処理炉床部50の開口部51は開放された状態にあるが、加熱手段55及び熱風循環用ブロワー56を適宜作動させて熱風送給口52から熱処理炉40内を経由して排気口53に至る熱風の流れを形成し、当該熱処理炉40内の雰囲気を所定の待機温度に維持させておくことが可能である。
【0036】
而して、搬送用走行体1が水洗ブース23内から取り出したワークWは、当該搬送用走行体1により、第一熱処理装置24のワーク中継ブース39内の第二位置P2で待機している可動台43上にあって且つ下降限位置にあるワーク支持台45上のワーク支持手段49に、当該ワークWを吊り下げているワーク吊下げ用架台15の第一被支持部17a,17bがワーク支持手段49の支持レール部材48b上に載置される状態で、図12に示すように搬送用走行体1から見たワーク吊下げ用架台積み下ろし位置XLにおいて移載することができる。次に図14に示すように、可動台43を第二位置P2から第一位置P1へ移動させ、続いて当該可動台43上の昇降駆動手段44を作動させてワーク支持台45を上昇限位置まで上昇させる。この結果、ワーク支持台45が熱処理炉床部50の開口部51内に入り込み、当該開口部51をワーク支持台45が閉じる状態になると共に、当該ワーク支持台45上のワーク支持手段49にワーク吊下げ用架台15を介して吊り下げられた状態のワークWが熱処理炉40内に装入されることになる。
【0037】
ワークWが熱処理炉40内に装入されたならば、コントローラー57において予め設定された水切り乾燥プログラムに従って加熱手段55及び熱風循環用ブロワー56を自動運転し、熱風送給口52から送出される所定温度、所定風量の熱風をワーク支持台45内のダクト空間58を経由させて、熱処理炉40の底面相当箇所となっているワーク支持台45の熱風噴射床板部59から上向き面状に熱処理炉40内に送入させ、排気口53に至る熱風の流れを所定時間だけ熱処理炉40内に形成させることにより、当該熱処理炉40内で空中に吊り下げられた状態のワークWに対する水切り乾燥を行わせることができる。
【0038】
尚、この図示の実施形態では、図12に示すように、第二位置P2にある可動台43上で且つ下降限位置にあるワーク支持台45上のワーク支持手段49に搬送用走行体1から移載されたワーク吊下げ用架台15(ワークW)が、当該可動台43(ワーク支持台45)の中心線に対してワーク搬送経路2側にずれて位置する構成となっている。従ってこの実施形態では、図14に示すように、ワーク支持台45の上昇により熱処理炉40内に装入されたワークWが当該熱処理炉40内の略中央に位置するように、可動台43の第一位置P1を、熱処理炉40の中心線に対してワーク搬送経路2から遠い側にずれるように設定している。
【0039】
所定時間の水切り乾燥が終了すれば、ワーク支持台45を下降限位置まで降下させてワークWを熱処理炉40内から開口部51を通じて下方のワーク中継ブース39に脱出させると共に、可動台43を第一位置P1から第二位置P2へ移動させ、ワーク支持台45上のワーク支持手段49で支持されているワークW(ワーク吊下げ用架台15)を搬送用走行体1から見たワーク吊下げ用架台積み下ろし位置XLに戻しておくことにより、水切り乾燥済みのワークWを搬送用走行体1により受け取らせ、次段工程の塗装を行うために塗装ブース21に搬送することができる。
【0040】
塗装ブース21においても、図8及び図9に示すようにワークWは、開閉シャッター32が開かれた状態で、搬送手段34のチエンコンベヤ29a,29b上にワーク吊下げ用架台15の第一被支持部17a,17bが載置されることにより、搬送用走行体1から見たワーク吊下げ用架台積み下ろし位置XLに下ろされる。この後(ランニングフォーク11がホームポジションに引き込まれた後)、開閉シャッター32を閉じると共に、チエンコンベヤ29a,29bを稼働させてワーク吊下げ用架台積み下ろし位置XLにあるワーク吊下げ用架台15を当該塗装ブース21の奥行き方向の略中央になる作業位置Y3までワーク搬送経路2から遠ざかる方向に搬送させる。これにより、ワークWが塗装ブース21の略中央位置に吊り下げられることになるので、当該ワークWの周囲に十分な作業空間が確保され、例えばスプレーガンによる手作業の塗装作業であっても、当該塗装作業を容易且つ良好に行わせることができる。
【0041】
塗装が完了したワークWは、再びチエンコンベヤ29a,29bを逆方向に稼働させることにより、作業位置Y3から元の搬送用走行体1から見たワーク吊下げ用架台積み下ろし位置XLまで搬送し、開閉シャッター32を開いた後、搬送用走行体1により取り出して次段工程のブースに搬送することができる。即ち、塗装が完了したワークWは、第一熱処理装置24と第二熱処理装置25の内、空き状態の例えば第一熱処理装置24に搬入して、塗膜乾燥又は塗膜乾燥と焼付け処理の連続処理を行うことができる。これら熱処理のためにワークWを搬送用走行体1により搬送して第一熱処理装置24又は第二熱処理装置25の熱処理炉40に装入する手順及び熱処理後のワークWを搬送用走行体1で受け取らせる手順は、先に説明した水切り乾燥工程実施時の手順と同一であるから、説明は省略する。そして熱処理炉40内での熱処理は、コントローラー57において予め設定された塗膜乾燥プログラムと塗膜乾燥焼付け処理連続プログラムから目的の熱処理プログラムを選択し、実行することにより、加熱手段55及び熱風循環用ブロワー56が自動運転され、所期通りの熱処理が行われる。
【0042】
尚、塗装が完了したワークWや、第一熱処理装置24又は第二熱処理装置25において塗膜乾燥プログラムによる塗膜乾燥工程が終了したワークWは、ワーク一時保管棚26の空き状態のワーク保管空間26a内に移して所要時間放置した後、第一熱処理装置24又は第二熱処理装置25に送り込み、コントローラー57に設定されている焼付け処理プログラムの選択実行により、当該ワークWに焼付け処理のみを実施することも可能である。
【0043】
熱処理が完了したワークWは、搬送用走行体1によりワーク一時保管棚26内の空いているワーク保管空間26a内に収納し、自然冷却することができるが、強制冷却が必要なときは、第一熱処理装置24や第二熱処理装置25の向かい位置にあるワーク冷却ブース61としてのワーク保管空間26a内に当該ワークWを収納し、当該ワーク冷却ブース61に接続のブロワー62を作動させて冷却用エアー噴射ノズル管60から冷却用エアーを噴射させることにより、ワーク冷却ブース61内に収納されたワークWを強制冷却することができる。このとき、第一熱処理装置24や第二熱処理装置25の向かい位置にワーク冷却ブース61としてのワーク保管空間26aが配設されているので、搬送用走行体1を殆ど走行させることなく能率良く熱処理済みワークWをワーク冷却ブース61としてのワーク保管空間26aに移し変えることができる。特に図1に仮想線で囲って例示したワーク冷却ブース61のように、第一熱処理装置24と第二熱処理装置25のそれぞれの真向かい位置に、平面視において中心位置がこれら第一熱処理装置24と第二熱処理装置25のそれぞれと一致するようにワーク冷却ブース61を配設すれば、熱処理後のワークWを、搬送用走行体1を全く走行させることなくワーク冷却ブース61に移し変えることができる。又、図12に示すように、第一熱処理装置24と第二熱処理装置25のワーク中継ブース39の真向かいに、搬送用走行体1のランニングフォーク11によるワーク吊下げ用架台15の持ち上げ、引込み、反対側への送り出し、下ろしの一連の動作だけで熱処理済みワークWを移し変えることができる、ワーク冷却ブース61としてのワーク保管空間26aを設けることも可能である。
【0044】
ワーク一時保管棚26内で収納保管されている冷却時間経過後のワークWは、第一ワーク積み下ろしブース19又は第二ワーク積み下ろしブース20内に搬送用走行体1で出庫し、これらワーク積み下ろしブース19,20内で作業位置Y1に移動させたワーク吊下げ用架台15から当該ワークWを取り外して搬出することができる。
【0045】
尚、図示の実施形態において、塗装ブース21内に作業者が入り込んで手作業で塗装作業を行うように説明したが、塗装ブース21内に塗装ロボットなどを配設し、塗装を機械的自動的に行わせるように構成することもできる。この場合には、ワーク積み下ろしブース19,20、前処理ブース22、水洗ブース23、塗装ブース21、及び熱処理装置24,25をこの順番に並列配置することができるが、上記のように、塗装ブース21内に作業者が入り込んで手作業で塗装作業を行う設備とする場合には、ワーク積み下ろしブース19,20、塗装ブース21、水洗ブース23、前処理ブース22、及び熱処理装置24,25をこの順番に並列配置し、作業者が関与するブースを隣接配置して作業者間の連係をとり易くすると共に、前処理工程が不要な場合のワークWの搬送経路長さを短くすることができる。
【0046】
請求項1に記載の本発明は以上のように実施して使用することができるが、その実施形態は上記のものに限定されず、請求項1に記載の技術的範囲内で種々の実施形態を採用することができる。いくつかの例を述べると、
1)ワーク支持台とその上方に位置する熱処理炉とは相対的に昇降すれば良いので、ワー ク支持台を昇降させないで、熱処理炉を昇降させることにより、ワーク支持台上のワ ークを熱処理炉に対して上下に出し入れすることができる。
2)ワーク支持台を例えばスラットコンベヤ上に設置するなどしてワーク搬送経路上で移 動可能に構成し、定位置で停止したワーク支持台に対して上方待機位置で待機してい る熱処理炉が下降し、ワーク支持台上で支持されているワークが熱処理炉内に相対的 に装入されるように構成することができる。
3)ワーク支持台とその上方に位置する熱処理炉とを相対的に昇降させて、ワーク支持台 上のワークを熱処理炉内に装入させたときのワーク支持台の位置は、熱処理炉床部の 開口部の下方炉外であっても良いし、炉内に入る位置であっても良い。又、熱処理炉 床部の開口部内にワーク支持台が入り込んだ状態で停止するように構成する場合でも 、当該ワーク支持台は、熱処理炉床部の開口部を実質的に閉じるようなサイズでなく とも良い。
4)上記実施形態では、塗装ラインに本発明の熱処理装置を組み込んだが、本発明の熱処 理装置のみを独立的に設置して利用することもできる。
5)熱処理炉内の加熱手段として、赤外線ランプなどの熱線照射タイプのものを利用する こともできる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態を示す塗装ライン全体の概略平面図である。
【図2】ワークを搬送する搬送用走行体の側面図である。
【図3】ワーク一時保管棚内でのワークの収納保管状態を示す正面図である。
【図4】搬送用走行体のワーク移載手段を説明する縦断正面図である。
【図5】ワーク積み下ろしブースを示す平面図である。
【図6】同ワーク積み下ろしブースを示す背面図である。
【図7】同ワーク積み下ろしブースと搬送用走行体とを示す縦断側面図である。
【図8】塗装ブースと搬送用走行体とを示す縦断側面図である。
【図9】同塗装ブースを示す横断平面図である。
【図10】前処理ブース又は水洗ブースと搬送用走行体とを示す縦断側面図である。
【図11】前処理ブース及び水洗ブースを示す横断平面図である。
【図12】熱処理装置、搬送用走行体、及びワーク冷却ブースを示す縦断側面図である。
【図13】熱処理装置を示す縦断正面図である。
【図14】ワークが装入された状態の熱処理装置を示す縦断側面図である。
【図15】ワークが装入された状態の熱処理装置を示す縦断正面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 搬送用走行体
2 ワーク搬送経路
9 昇降キャレッジ
10 ワーク移載手段
11 ランニングフォーク
15 ワーク吊下げ用架台
17a,17b 第一被支持部
18a,18b 第二被支持部
19 第一ワーク積み下ろしブース
20 第二ワーク積み下ろしブース
21 塗装ブース
22 前処理ブース
23 水洗ブース
24 第一熱処理装置
25 第二熱処理装置
26 ワーク一時保管棚
28,34,37 搬送手段
29a,29b チエンコンベヤ
32,35 開閉シャッター
39 ワーク中継ブース
40 熱処理炉
43 可動台
44 昇降駆動手段
45 ワーク支持台
46 クロスリンク機構
47 シリンダーユニット
48b 支持レール部材
49 ワーク支持手段
51 開口部
52 熱風送給口
53 排気口
54 熱風循環経路
55 加熱手段
56 熱風循環用ブロワー
57 コントローラー
58 ダクト空間
59 熱風噴射床板部
60 冷却用エアー噴射ノズル管
61 ワーク冷却ブース
62 ブロワー
W ワーク(被塗装物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下側開放の熱処理炉、この熱処理炉内の加熱手段、当該熱処理炉の真下に位置させることができるワーク支持台、及び熱処理炉とワーク支持台とを相対的に昇降移動させてワーク支持台上で支持されたワークを熱処理炉に対して上下方向に出し入れする昇降駆動手段から構成された、熱処理装置。
【請求項2】
ワーク支持台がワーク搬送経路脇に設けられ、ワーク搬送経路を走行し且つワーク支持台の横位置で停止可能な搬送用走行体に、ワーク支持台との間でワークを移載するワーク移載手段が設けられている、請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項3】
ワーク搬送経路のワーク支持台がある側とは反対側にワーク支持棚が設けられ、搬送用走行体のワーク移載手段は、ワーク支持台側とワーク支持棚側の何れにも出退移動自在で、ワーク支持棚との間でもワークを移載できるように構成され、ワーク支持台上から取り出した熱処理済みのワークをワーク支持棚に移載して冷却できるように構成されている、請求項2に記載の熱処理装置。
【請求項4】
熱処理炉が位置固定され、昇降駆動手段は、ワーク支持台を熱処理炉の真下のワーク移載用下降限位置と当該ワーク支持台上のワークが熱処理炉内に入る上昇限位置との間で昇降移動させるように構成された、請求項1〜3の何れか1項に記載の熱処理装置。
【請求項5】
ワーク支持台は、熱処理炉の下方床面上で移動自在な可動台上に搭載され、当該可動台は、熱処理炉とワーク支持台との相対的昇降移動によりワーク支持台が支持するワークを熱処理炉内に装入できる第一位置と、このワーク支持台に対してワークを積み下ろしするための第二位置との間で往復移動自在に構成されている、請求項1〜4の何れか1項に記載の熱処理装置。
【請求項6】
熱処理炉とワーク支持台とを相対的に昇降移動させてワーク支持台上で支持されたワークを熱処理炉内に装入したとき、ワーク支持台が熱処理炉の下側開放部内に位置するように構成されている、請求項1〜5の何れか1項に記載の熱処理装置。
【請求項7】
ワークは、両側に被支持部を備えたワーク吊下げ用架台から吊り下げられ、ワーク支持台は、ワーク吊下げ用架台の両側被支持部を支持する一対の支持レール部材を備え、ワーク吊下げ用架台を介してワーク支持台上に支持されたワークが当該ワーク支持台から上方に離れて吊り下げられるように構成された、請求項1〜6の何れか1項に記載の熱処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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