説明

熱収縮包装用白色ポリエステルフィルム

【課題】 PETボトルの白色ラベル用に用いるフィルムであり、特に隠蔽性が高く、内容物保護性およびハンドリング性に優れたラベル用の熱収縮包装用白色ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 白色顔料を20〜40重量%含有するポリエステル組成物からなり、見掛け密度が1400〜1800kg/m、光学濃度が0.70以上、80℃の温水中で10秒間処理した際の収縮率が主収縮方向に20%以上かつ主収縮方向と直角方向に10%以下である、熱収縮包装用白色ポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱収縮包装に用いる熱収縮包装用白色ポリエステルフィルムに関する。詳しくは、白色隠蔽性に優れ、内容物保護性を有するラベル材料として有用な延伸ポリエステルフィルムである、熱収縮包装用白色ポリエステルフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PETボトル胴部のラベル用の熱収縮性フィルムとしては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンからなるフィルムが用いられてきた。このうちポリ塩化ビニルについては、近年、廃棄時に焼却する際の塩素系ガス発生が問題となり、ポリエチレンについては、印刷が困難である等の問題がある。さらに、PETボトルの回収リサイクルにあたっては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等のPET以外の樹脂ラベルは分別する必要がある。このため、これらの問題の無いポリエステル系の熱収縮性フィルムが注目を集めている。
【0003】
このような中、PETボトルの内容物の種類によっては外部からの光線に対する劣化を防止するために白色フィルム基材をラベルとして使用したものも登場してきた。すなわち、ポリエステル系収縮フィルムに白色隠蔽性を付与する技術がある。例えば、フィルム中に発泡構造を持たせたり、白色顔料を若干量添加させる方法が提案されている(特開2002−36356号公報)。
【0004】
近年、PETボトルの内容物はますます多様化しており、PETボトル胴部のラベル用の高品質化、高機能化が著しく、従来の白色収縮フィルムの技術ではその隠蔽性が不足する。特に薬効成分を含有する内容物や、ビールなど高いフレーバー性を求められる内容物に用いるPETボトル胴部のラベルにおいては、外部の光線から限りなく隠蔽される必要があるが、従来の白色フィルムはもともと白色顔料の添加濃度が低く、また低密度発泡構造による隠蔽性も顔料添加タイプと比較して低いことから、市場の要求を満たすのが難しい状況となっている。
【0005】
さらに、発泡構造をもつ白色フィルムはその腰が弱く、ラベルの挿入工程等で搬送不良を起こすことが多く、その改善が望まれている。
【特許文献1】特開2002−36356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、その目的とするところは、PETボトルの白色ラベル用に用いるフィルムであり、特に隠蔽性が高く、内容物保護性およびハンドリング性に優れたラベル用の熱収縮包装用白色ポリエステルフィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、白色顔料を20〜40重量%含有するポリエステル組成物からなり、見掛け密度が1400〜1800kg/m、光学濃度が0.70以上、80℃の温水中で10秒間処理した際の収縮率が主収縮方向に20%以上かつ主収縮方向と直角方向に10%以下である、熱収縮包装用白色ポリエステルフィルムである。
【0008】
本発明の熱収縮包装用白色ポリエステルフィルムは、フィルムを構成するポリエステル組成物100重量%あたり20〜40重量%の白色顔料、好ましくは26〜40重量%の白色顔料を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、PETボトルの白色ラベル用に用いるフィルムであり、特に隠蔽性が高く、内容物保護性およびハンドリング性に優れたラベル用の熱収縮包装用白色ポリエステルフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
[ポリエステル]
本発明の熱収縮包装用白色ポリエステルフィルムは、ポリエステル組成物から構成される。このポリエステル組成物は白色顔料を含有する。
【0011】
本発明におけるポリエステルは、酸成分がテレフタル酸、グリコール成分がエチレングリコールからなるポリエステルである。このポリエステルは共重合成分を含有することが好ましい。共重合成分としては、酸成分としてアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ダイマー酸、コハク酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、2−6ナフタレンジカルボン酸、2−7ナフタレンジカルボン酸、1−5ナフタレンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、アンスラセンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ε−カプロラクトン、乳酸などのオキシカルボン酸を例示することができる。アルコール成分としては、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体などのグリコールを例示することができる。トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多官能化合物を共重合成分として用いてもよい。これらの中で酸成分としてはイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が特に好ましい。またアルコール成分としてはジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノールが特に好ましい。これらの共重合成分は1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
【0012】
ポリエステルは単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。ポリエステルは他のホモのポリエステル樹脂を混合して使用してもよい。ホモのポリエステル樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリネオペンチレンテレフタレート、ポリネオペンチレンイソフタレートを例示することができる。
【0013】
ポリエステルのテレフタル酸およびエチレングリコール以外の成分を共重合成分として用いる場合、共重合成分は、酸成分およびグリコール成分の合計で、好ましくは5〜40モル%、さらに好ましくは10〜30モル%共重合される。5モル%未満であると結晶性が高すぎて収縮特性が悪化するので好ましくなく、他方40モル%を超えると非晶性が高すぎてフィルムの機械強度が大幅に低下し製膜が困難になるため好ましくない。特に、ポリエステルがイソフタル酸成分および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸成分を5〜40モル%共重合成分として含有する態様は、良好な収縮特性を得るためにも好ましい態様である。
【0014】
ポリエステルの固有粘度は、好ましくは0.50〜1.0、さらに好ましくは0.52〜0.80、特に好ましくは0.55〜0.75である。
【0015】
[重合触媒]
本発明においてポリエステルの重合には、チタン化合物を触媒として用いることが好ましい。この触媒としてのチタン化合物は、単独で用いてもよく、ゲルマニウム化合物と併用して用いてもよい。チタン化合物を重合触媒として重合したポリエステルを用いることにより、白色顔料を多量に含有するフィルムでありながら、フィルムの製膜時に、ポリマーの結晶性を低く保ち、良好な製膜性を得ることができる。他方、重合触媒としてアンチモン化合物を使用するとポリマーの結晶性が高くなり易く、その結果として、白色顔料を高濃度で含有する本発明のフィルムにおいては、延伸製膜時に配向結晶化しやすく製膜性を悪化させるため、本発明ではアンチモン化合物を使用することは好ましくない。
【0016】
チタン化合物としては、例えばテトラブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、酢酸チタン、好ましくはテトラブトキシチタンを用いればよい。チタン化合物の触媒としての添加量は、ポリエステル中のチタン元素濃度として、好ましくは1〜30ppm、さらに好ましくは2〜25ppmである。ゲルマニウム化合物としては例えば二酸化ゲルマニウムを用いればよい。
【0017】
本発明におけるポリエステルは公知の方法で製造できる。具体的にはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコール、および所望の共重合成分のモノマーからのエステル交換反応法、あるいはテレフタル酸とエチレングリコール、および所望の共重合成分のモノマーとの直接エステル化によりオリゴマーを得た後、溶融重合して得られる。これらはさらに必要により常法による固相重合をしてもよい。
【0018】
[白色顔料]
本発明における白色顔料としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、炭酸カルシウム、カオリン、クレーが挙げられ、好ましくは酸化チタン、酸化ケイ素、硫酸バリウム、硫化亜鉛、特に好ましくは酸化チタン、特に二酸化チタンである。
【0019】
共重合ポリエステル中における白色顔料の割合は、20〜40重量%、好ましくは26〜40重量%である。白色顔料の割合が20重量%未満では白色隠蔽性が不足する。40重量%を超えると製膜性が不足し安定した生産ができない。また製膜安定性の観点から、白色顔料の平均粒子径は、好ましくは0.05〜1.0μm、さらに好ましくは0.1〜0.8μm、特に好ましくは0.2〜0.5μmである。
【0020】
[見掛け密度]
本発明のフィルムの見掛け密度は、1400〜1800kg/mであり、好ましくは1500〜1750kg/m、特に好ましくは1600〜1700kg/mである。1400kg/m未満であるとフィルムの腰が足りずにラベル装着工程においてチューブが開き難くなり、搬送不良を起こし易く不具合である。1800kg/mを超えるとフィルムが脆弱になるため製膜性が悪化する。
【0021】
[収縮率]
本発明のフィルムの収縮率は、80℃の温水中で10秒間処理した際の収縮率が主収縮方向に20%以上かつ主収縮方向と直角方向に10%以下であることが必要であり、さらに主収縮方向に35%以上かつ主収縮方向と直角方向に5%以下であることが好ましい。このような性質を備えればPETボトルの白色ラベル用に用いたときに、特に隠蔽性が高く、内容物保護性およびハンドリング性に優れた飲料用容器を得ることができる。
【0022】
[結晶融解熱量]
本発明のフィルムの示差走査熱量計により測定した結晶融解熱量ΔHmは、好ましくは20〜60J/g、さらに好ましくは25〜55J/g、特に好ましくは30〜50J/gである。ΔHmはフィルム中の結晶(製膜時の配向結晶及び、昇温中の冷結晶化)存在量の指標となり、ΔHmが大きいほど結晶の存在量は多いと考えられる。ΔHmが20J/g未満ではフィルムが非晶に近くフィルムの機械的強度の不足が生じることがあり好ましくない。他方、60J/gを超えると結晶化度が高くなりすぎ、収縮特性が低下し易くなるため好ましくない。
【0023】
[光学濃度]
本発明のフィルムの光学濃度は0.70以上であり、好ましくは0.75以上、さらに好ましくは0.80以上である。光学濃度が0.70未満であると隠蔽性が不足し内容物の保護性に劣る。
【0024】
[滑剤]
本発明のフィルムは、ハンドリング性を維持する上で、平均粒径が5.0μm以下の微粒子からなる滑剤を若干量含有することが好ましい。滑剤を含有する場合、滑剤の平均粒径が5.0μmを越えると、フィルムの表面平坦性が低下し易く好ましくない。滑剤の平均粒径は、少なくとも1.0μmであることがフィルムの製膜性や滑り性の観点から好ましい。上記滑剤の添加量としてはその粒径にも依存するが、フィルムの巻き取り性および表面平坦性に悪影響を及ぼさない範囲で選択するとよい。滑剤は無機系でも有機系でもよく、好ましくは無機系滑剤である。無機系滑剤としては、塊状シリカ、真球状シリカが例示でき、有機系滑剤としてはシリコーン粒子が例示できる。
【0025】
[厚み]
本発明のフィルムは、厚みが好ましくは20〜70μm、さらに好ましくは30〜60μm、特に好ましくは35〜55μmである。20μm未満であるとフィルムの剛性(腰)が弱くなって、ラベル装着時に折れ曲がったりして不良品を発する可能性があり好ましくない。70μmを超えるとフィルムの剛性(腰)が強すぎて、加工時の取り扱いが難しくなり好ましくない。
【0026】
[製造方法]
次に、本発明のフィルムの製造方法を、白色顔料として二酸化チタン粉末を用いる場合を例にとり、詳しく説明する。
【0027】
ポリエステルのチップを押出機に投入する際に、押出機投入口直上にて酸化チタン粉末をスクリューフィーダーにて所望の添加量となる比率にて粉体添加し、押出機スクリューに送り込み、加熱溶融した後、Tダイのダイオリフィスからシート状に押出し吐出する。ダイオリフィスから吐出された軟化状態にあるシートは、冷却ドラムに密着して巻きつけて冷却する。続いて、得られた未延伸シートを85〜135℃の温度で予熱後、60〜80℃の温度にて3.0〜5.0倍の延伸倍率で横一軸延伸する。延伸温度が60℃未満であると均質な延伸フィルムを得ることができない場合があり、80℃を超えると、ポリエステルの結晶化が促進されてフィルムが脆弱になり製膜製が悪くなる場合がある。また、延伸倍率が3.0倍未満であると強度が小さく、チューブ状に折り畳んだときにピンホールが発生しやすく、5.0倍を超えると熱収縮率が下がり好ましくない。未延伸シートを横延伸するまでの間に縦延伸をしても構わない。この場合、延伸温度は70〜145℃の温度にて1.1〜5.0倍の延伸倍率で延伸し、その直後に25℃以下の温度へ冷却すればよい。延伸されたフィルムは60〜70℃の温度で熱処理する。熱処理温度が60℃より低いとフィルムの寸法安定性が悪化し、印刷工程や輸送工程、あるいは経時でフィルムが変形する原因となる場合があり、また、70℃より高いとフィルムの熱収縮率が低下し過ぎる。延伸方法としては、チューブラー法、ロールおよび/またはテンターによる延伸方法のいずれを用いてもよい。
【0028】
本発明のフィルムには、コロナ放電処理、表面硬化処理、あるいは各種のコーティング処理による表面処理を付与することができる。
【0029】
[用途]
本発明のフィルムは、常法により印刷されチューブ状に加工され、所望の長さに切断した後、例えばペットボトル、アルミボトル缶、弁当トレーや惣菜トレーなどの収縮ラベルとして使用することができる。このようなラベルとしても本発明のフィルムの白色高隠蔽性によって、優れた内容物保護性を有するとともに、外観意匠性が良好なラベルを得ることができる。特に医薬品やビールなどのように外部から進入する光線により劣化しやすい内容物であってもその優れた遮光性により、外部の光線に対して、より内容物保護性に優れたラベルを得ることができる。
【実施例】
【0030】
以下に、実施例を掲げて本発明をさらに説明する。なお、各特性の測定および評価は以下の方法に従った。
(1)フィルム厚み
打点式フィルム厚み計(Anritsu、K402B)を用い、フィルム幅方向の任意の場所50箇所、フィルム幅の中心付近の長手方向で任意の場所50箇所について厚みを測定し、全100箇所の数平均値をフィルム厚みとする。
(2)光学濃度
光学濃度計(X-Rite社製 TR-310型)を用いて、フィルム試料の3原色におけるV(Visual)光学濃度を測定する。
(3)見掛け密度
10cm×10cmの大きさの試料を採り、その試科の厚みをマイクロメーターで測定し、試料の体積を求め、次いで試科の重量を測定し、1m3当りの重量を算出する。試料数を5枚として、その平均値を見掛け密度とする。
(4)熱収縮率
JIS−Z1709に従い、80℃の温水中で10秒間処理した際の主収縮方向および主収縮方向と直角方向の熱収縮率を測定する。各々N=3の平均値を測定値とする。尚、フィルム平面方向の測定を行い、最も収縮の大きい方向を主収縮方向とする。
(5)結晶融解熱量(ΔHm)
DuPont Instruments910型DSCを用い、サンプル量20mgについて昇温速度20℃/分で290℃まで昇温させた時の結晶融解ピーク面積を読み取り結晶融解熱量を求める。測定は合計5回行い、その平均値を結晶融解熱量とする。
【0031】
[実施例1〜6および比較例1〜6]
ジメチルテレフタレートとエチレングリコールおよび表1に記載の共重合成分、重合触媒を使用して、正リン酸を安定剤として用い、常法により固有粘度(o−クロロフェノール、35℃)0.65のポリエステル組成物を製造した。なお、このポリエステルには酸化チタンを表1のように含有させ、また平均粒径1.7μmの真球状シリカ0.05重量%を含有させた。酸化チタンとしては、平均粒径0.28μmのテイカ(株)製JR603の二酸化チタン粒子を用いた。
【0032】
上記のポリエステルを160℃で4時間乾燥した後、押出機ホッパーに供給して溶融温度275℃で溶融し、ダイを用いて表面温度20℃の冷却ドラム上に押出して急冷し未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムをステンターに供給し、表1に示す延伸温度、延伸倍率にて製膜方向に直交する方向(TD方向)に延伸し、その後77℃にて熱固定を行い一軸延伸ポリエステルフィルムを得た。また実施例2では表1に示す条件にて製膜方向に縦延伸(MD方向)を行ない、続けて直ぐに20℃の金属ロールにて冷却を行なった上でステンターでの横延伸を行なった。また延伸倍率1.0は実質延伸していないことを意味する。得られた延伸ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
実施例1〜6の延伸ポリエステルフィルムはいずれもその隠蔽性が高く、内容物の保護性とハンドリング性に優れ、かつ熱収縮ラベルに必要な良好な収縮特性をも有するものであった。
【0035】
実施例1の延伸ポリエステルフィルムに対して常法により印刷を施し、チューブ状に加工し、ラベラー(フジシール製SAJ3100型)を使用して200BPMの速度で、500ml丸型ペットボトル(コカコーラナショナルビバレッジ製爽健美茶で使用のもの)に各々100本ずつに挿入したところ、100本共に搬送不良がなくラベルを納入することができ、優れたハンドリング性を得ることができた。
【0036】
比較例1は酸化チタンの含有量が低すぎて隠蔽性が低く、内容物の保護性に劣るものであった。
【0037】
比較例2は酸化チタンの含有量が高すぎて延伸工程にて切断してしまい、延伸フィルムが採取できなかった。
【0038】
比較例3は共重合成分をなしにホモのポリエチレンテレフタレートにて延伸製膜したが結晶性が高すぎる為に、収縮フィルムとしての必要な収縮特性を得ることができなかった。
【0039】
比較例4は共重合ポリマーの共重合比率が高すぎるため、フィルムの機械特性が低すぎて延伸工程で切断してしまい、延伸フィルムが採取できなかった。
【0040】
比較例5は共重合成分の比率が低すぎたために結晶性が高すぎる為に、収縮フィルムとしての必要な収縮特性を得ることができなかった。
【0041】
比較例6は共重合ポリエステルの結晶性が高すぎて延伸工程にて切断してしまい、延伸フィルムが採取できなかった。比較例7は隠蔽性が低く、内容物の保護性に劣るものであった。
【0042】
比較例7の延伸ポリエステルフィルムに対して常法により印刷を施し、チューブ状に加工し、ラベラー(フジシール製SAJ3100型)を使用して200BPMの速度で、500ml丸型ペットボトル(コカコーラナショナルビバレッジ製爽健美茶で使用のもの)に各々100本ずつに挿入したところ、ハンドリング性が悪く、搬送途中で引っかかってしまうものが4本生じた。
【0043】
[比較例7]
実施例1において二酸化チタン10重量%および結晶性ポリプロピレン(グランドポリマー製FO-50F)10重量%を添加した以外は、実施例1と同様に行った。得られた延伸ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の熱収縮性包装用白色ポリエステルフィルムは、従来の熱収縮ラベルに用いるポリエステルフィルムの収縮特性およびハンドリング特性を損なうことなく、優れた高隠蔽性を有する。そのため、医薬品やビールなどの外部光線により変質し易い内容物の保護性に優れるため、これらの収縮ラベルとして極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色顔料を20〜40重量%含有するポリエステル組成物からなり、見掛け密度が1400〜1800kg/m、光学濃度が0.70以上、80℃の温水中で10秒間処理した際の収縮率が主収縮方向に20%以上かつ主収縮方向と直角方向に10%以下である、熱収縮包装用白色ポリエステルフィルム。
【請求項2】
ポリエステルがチタン化合物を触媒として用いて重合されたポリエステルである、請求項1記載の熱収縮包装用白色ポリエステルフィルム。
【請求項3】
ポリエステルがイソフタル酸成分および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸成分を全ジカルボン酸成分あたり合計5〜40モル%共重合成分として含有する、請求項1記載の熱収縮包装用白色ポリエステルフィルム。
【請求項4】
80℃の温水中で10秒間処理した際の収縮率が主収縮方向に35%以上である、請求項1記載の熱収縮包装用白色ポリエステルフィルム。
【請求項5】
ポリエステル組成物が白色顔料を26〜40重量%含有する、請求項1記載の熱収縮包装用白色ポリエステルフィルム。
【請求項6】
白色顔料が二酸化チタンである、請求項1記載の熱収縮包装用白色ポリエステルフィルム。
【請求項7】
フィルムの示差走査熱量計により測定した結晶融解熱量ΔHmが20〜60J/gである、請求項1記載の熱収縮包装用白色ポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2006−89516(P2006−89516A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−273106(P2004−273106)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(301020226)帝人デュポンフィルム株式会社 (517)
【Fターム(参考)】