説明

熱収縮性フィルム用樹脂組成物、熱収縮性フィルム、及びそれを巻着したボトル

【課題】 低温での収縮が可能で、且つ収縮勾配が高すぎず適正であり、ボトル形状保持性に優れた熱収縮性フィルムを与える樹脂組成物、該熱収縮性フィルム用樹脂組成物を加工してなる熱収縮性フィルム、及びそのフィルムを巻着したボトルを提供すること。
【解決手段】 スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)と、スチレン系重合体ブロック(b1)と共役ジエン重合体ブロック(b2)とを有するブロック共重合体(B)とを含有する樹脂組成物であって、前記スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)が、多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a1)を含むことを特徴とする熱収縮性フィルム用樹脂組成物、該熱収縮性フィルム用樹脂組成物から得られることを特徴とする熱収縮性フィルム、及び該熱収縮性フィルムを巻着したことを特徴とするボトル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に薄肉軽量PETボトルの形状保持性に優れ、該ボトルの包装用シュリンクラベルとして好適な熱収縮性と透明性とを有するフィルムを与えることが出来る熱収縮性フィルム用樹脂組成物、該組成物より得られる熱収縮性フィルム、及びそれを巻着したボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
熱収縮性フィルムは、PETボトルやガラス瓶などの飲料ボトルの意匠性向上等の目的からシュリンクラベルとして広く用いられている。以前は、熱収縮性、強度、印刷適性、収縮後の仕上がりの良さから塩化ビニル樹脂系のシュリンクフィルムが多用されていたが、近年、塩化ビニル樹脂が燃焼時にダイオキシンを発生する可能性がある問題から、日本国内の飲料ボトル用シュリンクラベルのほとんどがスチレン系樹脂フィルムあるいはPET系フィルムに置き換わっており、特に、低温収縮性や収縮後の仕上がりの良さからスチレン系樹脂フィルムの需要が高い。
【0003】
また、近年では完全無菌ラインにより内容物を常温充填するアセプティック充填方式が増加傾向にあり、PETボトルを耐熱化する必要がなく、更に容器リサイクル法による負担金軽減や石油資源の枯渇抑制等の観点から非耐熱PETボトルの薄肉軽量化が進展している。この結果、該PETボトル用シュリンクラベルには従来のラベルに比べて5〜10℃程度、場合によっては10℃以上の低温収縮性と、広い収縮温度範囲、つまり収縮勾配が低い(熱収縮曲線における温度に対する収縮率の変化量が急激ではない)ことが求められるようになった。
【0004】
前記のような要求に対し、本出願人は既に、低温収縮性と透明性を兼備するものとして、2種の異なるガラス転移温度を有する特定なスチレン系共重合体と、スチレン−共役ジエン系共重合体とを混合した低温収縮性フィルム用樹脂組成物を提案した(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、該組成物から得られるフィルムを、前述の薄肉軽量PETボトルに適用した場合、ボトルの変形を抑制する「ボトル形状保持性」に劣るため、自動販売機で排出した場合、サーペンタインコラム(ボトルを十数本横向きに充填ストックする装置)に充填されている上部ボトルの落下加重により、ベンドメック(ボトルを1本ずつ排出するためのストッパー)で止まるべきボトルの形状が変形してしまい、ベンドメックで止まらず、残りの充填されていたボトルが一気に多数本排出されてしまうという問題が発生し、解決方法が切望されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−036057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記実状に鑑み、本発明が達成しようとする課題は、低温での収縮が可能で、且つ収縮勾配が高すぎず適正であり、ボトル形状保持性に優れた熱収縮性フィルムを与える樹脂組成物、該熱収縮性フィルム用樹脂組成物を加工してなる熱収縮性フィルム、及びそのフィルムを巻着したボトルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体を含むスチレン−(メタ)アクリル系共重合体と、スチレン系重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体とを含有する樹脂組成物が低温収縮性に優れ、収縮勾配も適正であり、特に前述のボトル形状保持性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)と、スチレン系重合体ブロック(b1)と共役ジエン重合体ブロック(b2)とを有するブロック共重合体(B)とを含有する樹脂組成物であって、前記スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)が、多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a1)を含むことを特徴とする熱収縮性フィルム用樹脂組成物、該樹脂組成物を加工することで得られる熱収縮性フィルム、及び該フィルムを巻着したボトルを提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、低温での収縮が可能で、且つ収縮勾配が高すぎず適正であり、ボトル形状保持性に優れた熱収縮性フィルムを与える樹脂組成物及び該樹脂組成物を加工してなる収縮性フィルム、該フィルムを巻着したボトルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の熱収縮性フィルム用樹脂組成物は、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)と、スチレン系重合体ブロック(b1)と共役ジエン重合体ブロック(b2)とを有するブロック共重合体(B)とを含有する樹脂組成物であって、前記スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)が、多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a1)を含むことを特徴とするものである。また、本発明の熱収縮性フィルムは、該樹脂組成物を延伸加工することにより得られるものである。
【0011】
前記スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)は、本発明の課題である低温収縮性、適正な収縮勾配、高ボトル形状保持性を実現するため、多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a1)を含むことを必須とする。
【0012】
即ち、前記スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)は、多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a1)と、多分岐構造を有さない線状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a2)とからなるものである。この共重合体(A)をGPC−MALLS(多角度光散乱検出器)で分子量測定すると、多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体に由来するピークが高分子量側に、多分岐構造を有さない線状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a2)に由来するピークが低分子量側に現れ、両ピークの面積比から両共重合体の組成比と、それぞれの共重合体の重量平均分子量及び共重合体(A)としての重量平均分子量を決定することができる。以下に記す重量平均分子量は、GPC−MALLSで測定した値である。また、GPC−MALLSでは、重量平均分子量と慣性半径の関係も求めることも可能である。前記慣性半径の算出については、例えば高分子、微粒子のキャラクタリゼーション(昭光通商株式会社)などに記載されている。
【0013】
本発明で用いるスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)のGPC−MALLSから求められる重量平均分子量は、好ましくは35万〜100万であり、より好ましくは50万〜90万である。該共重合体(A)の重量平均分子量が前記範囲であると、ラベルを熱収縮する時の応力緩和が抑制されボトル形状保持性が向上するのみならず、収縮勾配や耐衝撃性、後述するブロック共重合体(B)との相溶性が良好となり、更には押出加工時の流動性や延伸加工時の展延性が良好で生産性にも優れているので好ましい。
【0014】
また、得られる熱収縮性フィルム用樹脂組成物の成形加工性と、得られる熱収縮性フィルムのボトル形状保持性を高いレベルで兼備できる点から、前記スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)の、GPC−MALLSから求められる重量平均分子量を横軸とし、慣性半径を縦軸とした両対数グラフにおいて、該分子量が10万〜1000万の領域での傾きが0.20〜0.45であることが好ましい。尚、前述の傾きが大きいことは、線状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体により近い物性で、多分岐構造を有することの特徴が発現されにくくなる事を意味するものであり、又、前記傾きが小さいことは、分岐度増加に伴う分子量増大を意味するものである。
【0015】
又、前記スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)のJIS K 7121に準拠して、示差走査熱量計(DSC)を用いて昇温速度20℃/分の測定条件により得たガラス転移温度Tgとしては、熱収縮フィルムに加工した後、常温で保管した場合や印刷してボトルに装着する直前の円筒状ラベルを常温で保管した場合の寸法変化(自然収縮性)が少なく、且つ、低温収縮性が十分で、シュリンクトンネル等で収縮装着する際にPETボトル等を変形させにくい点から、50〜80℃であることが好ましく、特に60〜75℃であることが好ましい。
【0016】
更に、多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a1)と多分岐構造を有さない線状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a2)との質量比(a1)/(a2)としては、後述するブロック共重合体(B)との相溶性が良好で、均一な延伸加工が容易であり、得られるフィルムのボトル形状保持性に優れる点から70/30〜30/70の範囲であることが好ましい。
【0017】
又、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)のメルトマスフローレート(MFR)としては、特に限定されるものではなく、フィルム化の加工法の選択に基づいて適宜調整すれば良いが、JIS K7210:99に準拠した温度200℃、荷重49Nで測定した数値で、3〜12g/10minの範囲内であれば、本発明の組成物から得られる熱収縮性フィルムの押出加工性、延伸加工性、収縮性、透明性、耐衝撃性についてバランスがとれた特性を与えることができるため好ましい。
【0018】
本発明のスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)に含まれる、多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a1)は、1分子中に多分岐構造を有するものであれば良く、分子末端に二重結合を有する多分岐状マクロモノマー(x1)〔以下、多分岐状マクロモノマー(x1)という〕と、スチレン系モノマー(x2)と、(メタ)アクリル系モノマー(x3)とを重合させて得られる共重合体であることが好ましい。
【0019】
前記多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a1)は、電子吸引基と該電子吸引基に結合する結合手以外の3つの結合手すべてが炭素原子に結合している飽和炭素原子とからなる分岐構造を有し、好ましくは、エーテル結合、エステル結合及びアミド結合からなる群から選ばれる1種以上の結合単位を複数有するものである。該電子吸引基含有量としては、多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a1)1g当たり2.5×10−4〜5.0×10−1ミリモル、好ましくは5.0×10−4〜5.0×10−2ミリモルである。
【0020】
多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a1)の原料として用いる多分岐状マクロモノマー(x1)としては、1分子中に電子吸引基と該電子吸引基に結合する結合手以外の3つの結合手すべてが炭素原子に結合している飽和炭素原子とから成る分岐構造と、末端に芳香環に直接結合した二重結合とを含有する多分岐状マクロモノマーを挙げることができる。この多分岐状マクロモノマーは、AB型モノマーから誘導されるハイパーブランチマクロモノマーである。
【0021】
このような分岐構造は、電子吸引基が結合した活性メチレン基の求核置換反応によって容易に得られる。電子吸引基としては、例えば、−CN、−NO、−CONH、−CON(R)、−SOCH、−P(=O)(OR)などが挙げられ、これらの電子吸引基が結合したメチレン基が芳香環またはカルボニル基に直接結合している場合は、メチレン基の活性はさらに高いものとなる。
【0022】
本発明に用いる多分岐状マクロモノマー(x1)としては、例えば、下記一般式で表される繰り返し単位を含有する分岐鎖を有する多分岐状マクロモノマーが挙げられる。
【0023】
【化1】

[式中、Yは−CN、−NO、−CONH、−CON(R)、−SOCH、−P(=O)(OR)(ここでRはアルキル基またはアリール基を表す)から成る群から選ばれる電子吸引基であり、Yはアリーレン基、−O−CO−または−NH−CO−であり、Zは−(CHO−、−(CHCHO)−、−(CHCHCHO)−から成る群から選ばれる基であり、かつYが−O−CO−または−NH−CO−である場合はZは−(CH−、−(CHAr−、−(CHO−Ar−、−(CHCHO)−Ar−、または−(CHCHCHO)−Ar−(ここでArはアリール基である)を表す]
【0024】
前記Yとしては、例えば、
【0025】
【化2】

等のアリーレン基が挙げられる。これらのなかでもYが−CN、Yがフェニレン基であることが好適である。Yがフェニレン基である場合は、Zの結合位置はo−位、m−位又はp−位のいずれであってもよく特に制限されるものではないが、p−位が好ましい。またZの繰り返し数nは特に制限されるものではないが、スチレン系モノマー(x2)との相溶性が良好である点から1〜12であることが好ましく、更に好ましくは2〜10である。
【0026】
上記、分岐構造を有する多分岐状マクロモノマーは、塩基性化合物の存在下で、
(1)1分子中に活性メチレン基と、活性メチレン基の求核置換反応における脱離基とを有するAB型モノマーを求核置換反応させて得られる多分岐状の自己縮合型重縮合体を前駆体として
(2)該重縮合体中に残存する未反応の活性メチレン基またはメチン基を、1分子中に芳香環に直接結合した二重結合と活性メチレン基の求核置換反応における脱離基とを有する化合物と求核置換反応させる、ことによって得られる。
【0027】
ここで、活性メチレン基の求核置換反応における脱離基とは、いずれも飽和炭素原子に結合したハロゲン、−OS(=O)R(Rはアルキル基またはアリール基を表す)などであり、具体的には、臭素、塩素、メチルスルホニルオキシ基、トシルオキシ基などが挙げられる。また、前記塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの強アルカリが好適であり、反応に際しては水溶液として使用することが好ましい。
【0028】
1分子中に活性メチレン基と活性メチレン基の求核置換反応における脱離基とを有するAB型モノマーとしては、例えば、ブロモエトキシ−フェニルアセトニトリル、クロロメチルベンジルオキシ−フェニルアセトニトリルなどのハロゲン化アルコキシ−フェニルアセトニトリル類、トシルオキシ−(エチレンオキシ)−フェニルアセトニトリル、トシルオキシ−ジ(エチレンオキシ)−フェニルアセトニトリルなどのトシルオキシ基を有するフェニルアセトニトリル類等が挙げられる。
【0029】
1分子中に芳香環に直接結合した二重結合と、活性メチレン基の求核置換反応における脱離基とを有する化合物としては、例えば、クロロメチルスチレン、ブロモメチルスチレンなどが挙げられる。
【0030】
多分岐状の自己縮合型重縮合体を示す上記(1)では前駆体としての重縮合体を合成する反応について明示し、又前記(2)では該前駆体に芳香環に直接結合した二重結合を導入して多分岐状マクロモノマーを合成する反応について説明している。(1)の反応と(2)の反応は、それぞれの反応を逐次的に行うことができるが、同一の反応系で同時に行うこともできる。多分岐状マクロモノマーの分子量は、単量体と塩基性化合物との配合比を変えることによって制御することができる。
【0031】
本発明で用いる多分岐状マクロモノマー(x1)の好ましいものとしては、エステル結合、エーテル結合及びアミド結合から選ばれる一種以上の繰り返し構造単位からなる分岐構造と、分岐末端のエチレン性二重結合とを含有する多分岐状マクロモノマーである。
【0032】
エステル結合を繰り返し構造単位として有する多分岐状マクロモノマーは、分子鎖を形成するエステル結合のカルボニル基に隣接する炭素原子が飽和炭素原子であり、かつ該炭素原子上の水素原子がすべて置換されている分子鎖からなる多分岐ポリエステルポリオールに、ビニル基またはイソプロペニル基などのエチレン性二重結合を導入したものである。多分岐ポリエステルポリオールにエチレン性二重結合を導入する場合、エステル化反応や付加反応によって行なうことができる。尚、上記多分岐ポリエステルポリオールとして、Perstorp社製「Boltorn H20、H30、H40」が市販されている。
【0033】
上記多分岐ポリエステルポリオールは、そのヒドロキシル基の一部にあらかじめエーテル結合やその他の結合によって置換基が導入されていてもよいし、また、そのヒドロキシル基の一部が酸化反応やその他の反応で変性されていてもよい。また、多分岐ポリエステルポリオールは、そのヒドロキシル基の一部が、あらかじめエステル化されていてもよい。
【0034】
前記多分岐状マクロモノマーとしては、例えば、ヒドロキシル基を1個以上有する化合物に、カルボキシル基に隣接する炭素原子が飽和炭素原子であり、かつ該炭素原子上の水素原子がすべて置換され、且つ水酸基を2個以上有するモノカルボン酸を反応することにより多分岐状ポリマーとし、次いで該ポリマーの末端基であるヒドロキシル基にアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和酸、イソシアネート基含有アクリル系化合物などを反応させて得られるものが挙げられる。尚、エステル結合を繰り返し構造単位として有する多分岐状ポリマーについては、タマリア(Tamalia)氏等による「Angew.Chem.Int.Ed.Engl.29」p138〜177(1990)にも記載されている。
【0035】
上記ヒドロキシル基を1個以上有する化合物としては、a)脂肪族ジオール、脂環式ジオール、又は芳香族ジオール、b)トリオール、c)テトラオール、d)ソルビトール及びマンニトール等の糖アルコール、e)アンヒドロエンネア−ヘプチトール又はジペンタエリトリトール、f)α−メチルグリコシド等のα−アルキルグルコシド、g)エタノール、ヘキサノールなどの一官能性アルコール、h)分子量が多くとも8000であり、かつ、アルキレンオキシド或いはその誘導体と、上記a)〜g)のいずれかから選択されたアルコールの1種以上のヒドロキシル基とを反応させることにより生成されたヒドロキシル基含有ポリマーなどを挙げることができる。
【0036】
脂肪族ジオール、脂環式ジオール及び芳香族ジオールとしては、例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリテトラヒドロフラン、ジメチロールプロパン、ネオペンチルプロパン、2−プロピル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール;シクロヘキサンジメタノール、1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール;1,4−キシリレンジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオールなどが挙げられる。
【0037】
トリオールとしては、例えば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールブタン、グリセロール、1,2,5−ヘキサントリオールなどが挙げられる。
【0038】
テトラオールとしては、例えば、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジグリセロール、ジトリメチロールエタンなどを挙げることができる。
【0039】
芳香環に結合したヒドロキシル基を2個以上有する芳香族化合物としては、例えば、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,4−キシリレンジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオールなどを挙げることができる。
【0040】
カルボキシル基に隣接する炭素原子が飽和炭素原子であり、かつ該炭素原子上の水素原子がすべて置換され、且つヒドロキシル基を2個以上有するモノカルボン酸としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、α,α,α−トリス(ヒドロキシメチル)酢酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)吉草酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸などがある。前記モノカルボン酸を使用することにより、エステル分解反応が抑制され、多分岐ポリエステルポリオールを形成することができる。
【0041】
また、前記多分岐状ポリマーを製造する際には触媒を使用することが好ましく、前記触媒としては、例えば、ジアルキルスズオキシド、ハロゲン化ジアルキルスズ、ジアルキルスズビスカルボキシレート、あるいはスタノキサンなどの有機錫化合物、テトラブチルチタネートなどのチタネート、ルイス酸、パラトルエンスルホン酸などの有機スルホン酸などが挙げられる。
【0042】
エーテル結合を繰り返し構造単位として有する多分岐状マクロモノマーは、例えばヒドロキシル基を1個以上有する化合物にヒドロキシル基を1個以上有する環状エーテル化合物を反応することにより多分岐状ポリマーとし、次いで該ポリマーの末端基であるヒドロキシル基にアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和酸、イソシアネート基含有アクリル系化合物、4−クロロメチルスチレンなどのハロゲン化メチルスチレンを反応させて得られるものが挙げられる。また、多分岐状ポリマーの製法としては、Williamsonのエーテル合成法に基づいて、ヒドロキシル基を1個以上有する化合物と、2個以上のヒドロキシル基とハロゲン原子、−OSOOCH又は−OSOCHを含有する化合物とを反応する方法も有用である。
【0043】
ヒドロキシル基を1個以上有する化合物としては、前記したものがいずれも使用可能である。ヒドロキシル基を1個以上有する環状エーテル化合物としては、例えば、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、2,3−エポキシ−1−プロパノール、2,3−エポキシ−1−ブタノール、3,4−エポキシ−1−ブタノールなどが挙げられる。
【0044】
Williamsonのエーテル合成法に於いて使用されるヒドロキシル基を1個以上有する化合物としては、前記したものでよいが、芳香環に結合したヒドロキシル基を2個以上有する芳香族化合物が好ましい。この様な化合物としては、例えば、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,4−キシリレンジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオールなどが挙げられる。
【0045】
また、2個以上のヒドロキシル基とハロゲン原子、−OSOOCH又は−OSOCHを含有する化合物としては、例えば、5−(ブロモメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−エチル−2−(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、2−(ブロモメチル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
【0046】
なお、前記多分岐状ポリマーを製造する際には、通常触媒を使用することが好ましく、前記触媒としては、例えば、BFジエチルエーテル、FSOH、ClSOH、HClOなどを挙げることができる。
【0047】
また、アミド結合を繰り返し構造単位として有する多分岐状マクロモノマーとしては、例えば、分子中にアミド結合を、窒素原子を介して繰り返し構造となったものがあり、Dentoritech社製のゼネレーション2.0(PAMAMデントリマー)が挙げられる。
【0048】
多分岐状マクロモノマー(x1)に導入される、芳香環に直接結合した二重結合の数が多いほど、スチレン系モノマー(x2)、(メタ)アクリル系モノマー(x3)との共重合体である多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a1)の分岐度を高くすることが出来る。
【0049】
本発明に用いる多分岐状マクロモノマー(x1)の分岐度(DB)は、下記の式1により定義され、分岐度(DB)の範囲は0.3〜1.0が好ましい。
DB=(D+L)/(D+T+L) ・・(1)
(式中、Dはデンドリックユニットの数、Lは線状ユニットの数、Tは末端ユニットの数を表す)
【0050】
なお、上記D、LおよびTは、13C−NMRにより測定できる活性メチレン基及びその反応に由来する第2、第3、第4炭素原子数により求めることができ、Dは第4炭素原子数に、Lは第3炭素原子数に、Tは第2炭素原子数に相当する。
【0051】
本発明において使用する多分岐状マクロモノマー(x1)の重量平均分子量としては、多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a1)の重量平均分子量を1000万以下に制御できる点から、1000〜15000であることが好ましく、2000〜5000であることがより好ましい。
【0052】
多分岐状マクロモノマー(x1)に導入される、芳香環に直接結合した二重結合の含有量としては、多分岐状マクロモノマー(x1)1g当たり0.1〜5.5mmolであることが好ましく、0.5〜3.5mmolであることがなお好ましい。0.1mmolより少ない場合は、高分子量の多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体が得られにくく、5.5mmolを超える場合は、多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体の分子量が過度に増大する傾向がある。
【0053】
本発明におけるスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)を構成するスチレン系モノマー(x2)としては、例えば、スチレンの他に、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレンなどのα−アルキル置換スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、m−ビニルフェノール、p−メトキシスチレンなどの核置換スチレンなどが挙げられ、これらは1種類のみであっても2種類以上用いても構わない。これらの中でも安価で、反応性も良好で重合が容易であり、収縮性フィルムの透明性が良好になる等の理由から、スチレンを用いる事が好ましい。
【0054】
スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)を構成する(メタ)アクリル系モノマー(x3)は、アクリル系モノマー及び/又はメタクリル系モノマーであり、(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましく、特にアルキル基の炭素数が1〜20のものが好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等のメタクリル酸エステル類が挙げられ、これらモノマーから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせにより、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度等が所望の値となるよう、適宜選択して用いれば良い。
【0055】
(メタ)アクリル系モノマー(x3)の中でも、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)の高分子量化を抑制することや、得られる収縮性フィルムの低温収縮性、透明性、後述するブロック共重合体(B)との相溶性、商業的な入手の容易さや安価である観点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルを用いる事がより好ましい。
【0056】
前記多分岐状マクロモノマー(x1)とスチレン系モノマー(x2)と(メタ)アクリル系モノマー(x3)とを重合させることにより、多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a1)と、同時に生成する多分岐構造を有さない線状のスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a2)との混合物である、本発明で用いるスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)を得ることが出来る。
【0057】
共重合させる反応において、スチレン系モノマー(x2)と(メタ)アクリル系モノマー(x3)との仕込み質量比としては、得られるフィルムの低温収縮性と、後述するブロック共重合体(B)との相溶性を兼備できる点から、(x2)/(x3)=90/10〜35/65の範囲であることが好ましく、より好ましいのは85/15〜78/22である。
【0058】
また、さらに好まくは、スチレン系モノマー(x2)、メタクリル系モノマー、アクリル系モノマーの仕込み質量比率としては、スチレン系モノマー(x2)62〜85質量%、メタクリル系モノマー3〜16質量%、アクリル系モノマー6〜19質量%である。
【0059】
スチレン系モノマー(x2)と(メタ)アクリル系モノマー(x3)との合計量に対する多分岐状マクロモノマー(x1)の配合率としては、本発明で用いるスチレン−(メタ)アクリル共重合体(A)を効率よく製造することが出来、得られるフィルムのボトル形状保持性に優れる点から、0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがより好ましく、0.02〜0.15質量%であることが最も好ましい。
【0060】
本発明で用いるスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)の重合反応としては、特に制限されるものではなく、従来スチレン−(メタ)アクリル系共重合体の重合方法として用いられている方法を使用することができ、多分岐状マクロモノマー(x1)を用いることによる考慮は特に必要ない。重合方式としても特に限定はないが、塊状重合、懸濁重合、あるいは溶液重合が好ましい。中でも生産効率の点で特に連続塊状重合が好ましく、例えば一個以上の攪拌式反応器と可動部分の無い複数のミキシングエレメントが内部に固定されている管状反応器を組み込んだ連続塊状重合を行うことにより、分子量の均一性に優れた共重合体を得ることができる。重合開始剤を使用せずに熱重合させることもできるが、種々のラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。また、重合に必要な懸濁剤や乳化剤などのような重合助剤は、従来の、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体の製造に使用されている種々のものが使用可能である。
【0061】
連続塊状重合法の中でも、可動部分のない複数のミキシングエレメントが内部に固定された管状反応器を複数連結した連続塊状重合ラインを用いて重合する方法が、組成の均一性が良好となることから特に好ましい。また、各原料成分を混合させた後、1個以上の撹拌式反応器で重合させて、更に前記の連続塊状重合ラインに導入して連続塊状重合を行うことも好ましい。
【0062】
ここで、攪拌式反応器と可動部分のない複数のミキシングエレメントが内部に固定された管状反応器を複数連結した連続塊状重合ラインとは連結させた連続重合ラインとして用いることが生産性の点から好ましく、この様な連続重合ラインとしては、例えば、図1に示すようなa.撹拌式反応器と、b.撹拌式反応器から続き可動部分の全くない複数のミキシングエレメントが内部に固定されている1個以上の管状反応器からなる初期重合ラインと、c.初期重合ラインから続き可動部分の全くない複数のミキシングエレメントが内部に固定されている1個以上の管状反応器からなる主重合ラインと、d.初期重合ラインと主重合ラインとの間で分枝して初期重合ライン内に戻る還流ラインとによって構成される重合ラインであることが特に好ましい。
【0063】
尚、ここで用いるミキシングエレメントとしては、例えば、管内に流入した重合液の流れの分割と流れ方向を変え、分割と合流を繰り返すことにより重合液を混合するものが挙げられる。このような管状反応器としては、例えば、SMX型、SMR型のスルザー式の管状ミキサー、ケニックス式のスタティックミキサー、東レ式の管状ミキサー等が挙げられる。
【0064】
以下に、この連続塊状重合ラインを用いたスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)の重合方法を、図1の工程図により説明する。
【0065】
プランジャーポンプ(1)によって原料成分は、まず攪拌式反応器(2)へ送られ、攪拌下で初期グラフト重合させた後、ギアポンプ(3)により、静的ミキシングエレメントを有する管状反応器(4)、(5)および(6)とギアポンプ(7)とを有する循環重合ライン(I)に送られる。
【0066】
攪拌式反応器(2)での初期重合は、スチレン系モノマー(x2)と(メタ)アクリル系モノマー(x3)との合計の重合転化率が、該反応器(2)の出口において10〜40質量%、好ましくは14〜30質量%となる迄実施することが好ましい。また、攪拌式反応器(2)としては、例えば攪拌式槽型反応器、攪拌式塔型反応器等が挙げられ、攪拌翼としては、例えばアンカー型、タービン型、スクリュー型、ダブルヘリカル型、ログボーン型等の攪拌翼が挙げられる。
【0067】
次に、循環重合ライン(I)内で、重合液は循環しながら重合が進み、その一部の重合液は、次の非循環重合ライン(II)へ送られる。ここで、循環重合ライン(I)内を循環する重合液の流量と、非循環重合ライン(II)へ流出する重合液の流量との比、還流比Rは、非循環重合ライン(II)に流出せずに循環重合ライン(I)内を還流する混合溶液の流量をF1(リットル/時間)とし、循環重合ライン(I)から非循環重合ライン(II)に流出する混合溶液の流量F2(リットル/時間)とした場合、通常R=F1/F2が3〜15の範囲であることが好ましい。
【0068】
また、該循環重合ライン(I)での重合は、該循環重合ライン(I)出口でのスチレン系モノマー(x2)と(メタ)アクリル系モノマー(x3)との合計の重合転化率が、通常30〜70質量%、好ましくは35〜65質量%になる様に重合させる。重合温度としては120〜140℃が適している。
【0069】
非循環重合ライン(II)での重合温度は、通常140〜160℃の重合温度であり、重合転化率60〜90質量%となるまで連続的にグラフト重合される。
【0070】
次に、この混合溶液はギアポンプ(11)により予熱器、次いで脱揮発槽に送られ、減圧下にて未反応単量体および溶剤を除去した後、ペレット化することにより目的とする共重合体(A)が得られる。
【0071】
また、重合反応中の粘性を低下させるために溶剤を使用しても良く、その使用量としては原料として使用するモノマー類の合計100質量部に対して5〜20質量部であることが好ましい。溶剤の種類としては、スチレン系樹脂の塊状重合法で一般的に使用されている溶媒が使用でき、中でも、エチルベンゼン、トルエン、キシレン等が適している。
【0072】
スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)の分子量調節のために、連鎖移動剤を添加することもできる。前記連鎖移動剤の添加量としては、通常、原料として使用するモノマー類の合計100質量部に対して0.005〜0.5質量部の範囲である。連鎖移動剤としては、連鎖移動基を1つ有する単官能連鎖移動剤でも連鎖移動剤を複数有する多官能連鎖移動剤でも良い。
【0073】
単官能連鎖移動剤としては、例えば、アルキルメルカプタン類、チオグリコール酸エステル類等が挙げられる。多官能連鎖移動剤としては、例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール性ヒドロキシル基をチオグリコール酸または3−メルカプトプロピオン酸でエステル化したものが挙げられる。
【0074】
本発明で用いるスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)を製造するには、上述のように多分岐状マクロモノマー(x1)とスチレン系モノマー(x2)と(メタ)アクリル系モノマー(x3)とを、1段で重合させる方法の他に、予め別々に多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a1)と、多分岐構造を有さない線状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a2)とを混合し、任意の混合比を有する多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)としても良い。
【0075】
本発明で用いるスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)には、超高分子量の多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体を含んでいても、ゲル化が実質的に生じないために、有機溶媒に容易に溶解するため、使用可能である。
【0076】
スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)は、例えば上記手法で重合された後、更に、減圧下にて未反応モノマー、オリゴマー及び溶剤を除去し、最終的にペレット化することが好ましい。
【0077】
本発明で用いるブロック共重合体(B)は、スチレン系モノマーを主体とするスチレン系重合体ブロック(b1)と共役ジエンを主体とする共役ジエン重合体ブロック(b2)とを有するブロック共重合体であることを特徴とする。スチレン系重合体ブロック(b1)を構成するスチレン系モノマーとしては、前記でスチレン系モノマー(x2)として例示した各種化合物をいずれも挙げる事ができ、特にスチレンを用いる事が好ましい。又、共役ジエン重合体ブロック(b2)を構成する共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等が挙げられるが、スチレン系モノマーとの反応性に優れる点からブタジエンを用いる事好ましい。
【0078】
前記ブロック共重合体(B)としては、前述のスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)との相溶性に優れる点から、スチレン系重合体ブロック(b1)を30〜80質量%、共役ジエン重合体ブロック(b2)を70〜20質量%含有することが好ましい。特に、透明性が良好となる点から、スチレン系重合体ブロック(b1)を65〜85質量%、共役ジエン重合体ブロック(b2)を15〜35質量%含有するものを主体成分とすることが好ましい。
【0079】
又、前記ブロック共重合体(B)としては、1種で使用してもよいが、前述のスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)との相溶性を高め、得られるフィルムの透明性を損なうことなく衝撃性を向上させる点から、2種以上の異なる組成比を有するブロック共重合体を併用してもよく、このときは、スチレン系重合体ブロック(b1)を65〜85質量%、共役ジエン重合体ブロック(b2)を15〜35質量%含有するもの(B−1)と、スチレン系重合体ブロック(b1)を30〜65質量%、共役ジエン重合体ブロック(b2)を35〜70質量%含有するブロック共重合体(B−2)を併用することが好ましい。
【0080】
前記ブロック共重合体(B)は、共役ジエン重合体ブロック(b2)に由来するガラス転移温度より高温側である、ガラス転移温度が90〜110℃の範囲内であると、前記スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)との相溶性が良好となり、本発明の樹脂組成物から得られる延伸フィルムの低温収縮性や透明性、衝撃強度のバランスに優れることから好ましい。更に、ガラス転移温度が85〜105℃の前記ブロック共重合体(B−2)を併用することが、更に各成分間の相溶性を向上し、収縮勾配や衝撃性のバランスをより向上することから好ましい。尚、重合体ブロック(b1)及び(b2)の比率は、FT−IRあるいはH−NMRで算出できる。
【0081】
ブロック共重合体(B)の製造方法としては、特に限定されるものではなく、種々の方法により製造することができる。例えば、特公昭47−4361号公報、特開昭48−48546号公報により開示される方法により製造できる。
【0082】
本発明の樹脂組成物としては、得られるフィルムの衝撃強度に優れ、且つ透明性が良好である点から、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、ブロック共重合体(B)を50〜300質量部配合することが好ましく、特に70〜200重量部配合することが好ましい。更に、ブロック共重合体(B)100質量部に対して、収縮性フィルムとしての性能バランスをとるためブロック共重合体(B−2)を5〜40質量部の範囲内で併用しても良い。
【0083】
本発明の熱収縮性フィルム用樹脂組成物としては、更に、ゴム状重合体を分散粒子として含有するゴム変性スチレン系重合体(C)を含有させることが好ましい。前記ゴム変性スチレン系重合体(C)を併用すると、得られる低温収縮性フィルムの熱収縮性や透明性を阻害することなく、フィルム表面を均一に荒らすことができるため、該フィルムにアンチブロッキング性及び滑り性を付与することができると同時に、印刷後の収縮フィルムが筒状のラベルに成形される際の屈曲裂け性を向上させることが出来る。
【0084】
前記ゴム変性スチレン系重合体(C)としては、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、メタクリル酸−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)等が挙げられる、これらを2種類併用してもよい。特に、本発明の樹脂組成物から得られる延伸フィルムのアンチブロッキング性及び滑り性と透明性のバランスに優れることからHIPSを主体として使用することが好ましい。
【0085】
前記ゴム変性スチレン系重合体(C)中に含有されるゴム状重合体の平均粒子径としては、得られるフィルムの透明性が良好である点から2μm未満であることが好ましい。平均粒子径が2μm以上であると、樹脂組成物から得られる延伸フィルムのアンチブロッキング性及び滑り性が向上するが、透明性が低下することがある。尚、分散粒子径の測定方法は、種々の方法、例えば、特開平4−351652号公報8ページに記載されている技術で、超薄膜切片法による透過型電子顕微鏡写真を撮影し、写真中の分散粒子径を測定することにより求めることができる。
【0086】
前記ゴム変性スチレン系重合体(C)の配合量としては、得られるフィルムのアンチブロッキング性及び滑り性と透明性のバランスが良好である点から、前記スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、1〜10質量部、より好ましくは1.5〜5質量部の範囲であることが好ましい。
【0087】
また、該フィルムの透明性とアンチブロッキング性及び滑り性のバランスが良いことから、ゴム状重合体の平均粒子径が0.5〜2μmのゴム変性スチレン系重合体(C)と滑剤を併用することが好ましい。滑剤としては、熱収縮時の滑剤のブリードアウトによる透明性低下を避けるため、融点が100℃以上のものが好ましく、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属縁、及び、高級脂肪酸アミド等が挙げられるが、アンチブロッキング性及び滑り性と透明性のバランスが優れる点から、高級脂肪酸アミドがより好ましく、具体的には、エチレン−ビス−ステアリン酸アマイド、ヘキサメチレン−ビス−ステアリン酸アマイド、ヘキサメチレン−ビス−ベヘン酸アマイド等が挙げられる。
【0088】
本発明の熱収縮性フィルム用樹脂組成物の調製方法としては、特に限定されないが、溶融ブレンドにより行うことが得られる組成物の均一性に優れる点から好ましい。具体的には、各成分を加熱、溶融させることによって混合する方法が挙げられ、例えば、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)、ブロック共重合体(B)、必要に応じて併用されるゴム変性スチレン系重合体(C)のペレットあるいはパールを、押出機にて190〜240℃で溶融ブレンドし、そのままフィルム化する方法、一旦ペレット化した後に再度押出機で溶融混錬しフィルム化する方法、或いは、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)と添加剤類を一端溶融ブレンドしたマスターバッチとし、それにブロック共重合体(B)をドライブレンドしフィルム化する方法等が挙げられる。また、混合の方法としては、種々のあらゆる混合方法により製造することができる。例えば、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダー、オープンロール等により溶融混練し、目的とする組成物を得ることができる。また、前記手法における溶融混合時の温度としては、ブロック共重合体(B)中の共役ジエン重合体ブロック(b2)等のゲル化を防止するため240℃以下とすることが好ましい。
【0089】
また、本発明の樹脂組成物中には、共役ジエン重合体ブロック(b2)等のゲル化を防止する目的で、得られる低温収縮性フィルムの低温収縮性、収縮勾配、ボトル形状保持性を阻害しない範囲で酸化防止剤を適量添加することができる。酸化防止剤としては、フェノール系化合物等の一次酸化防止剤、リン系化合物等の二次酸化防止剤を単独使用若しくは併用することが出来る。その他、紫外線吸収剤、着色剤、熱安定剤、可塑剤、染料等の一般的にスチレン系樹脂に添加できる各種添加剤を混在させても良い。これらの添加剤は、樹脂組成物の混練時、あるいは各重合体の重合中に添加することができる。具体的には、ミネラルオイル、エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等の可塑剤、シリコンオイル等が挙げられ、これらを1種以上添加して用いることができる。
【0090】
本発明の樹脂組成物は、前記した諸条件を兼備させることにより、収縮性フィルムとして、これまで実現できなかった、低温収縮性、適正な収縮勾配と優れたボトル形状保持性を併せ持たせることができる。
【0091】
本発明の熱収縮性フィルムは、本発明の樹脂組成物を用いて得ることを特徴とするが、その製造方法については、特に限定されるものではなく、種々の手法により得ることができる。例えば、本発明の樹脂組成物を、押出機等を用いて溶融状態とした後、T−ダイを通してフィルム状に押し出し、チルロールやエアーナイフ等でフィルムを一旦冷却した後、延伸装置を用いて1軸または2軸に、同時あるいは逐次に延伸する方法が挙げられる。
【0092】
本発明の樹脂組成物をT−ダイを通してフィルム状に押し出す場合、押出機中の樹脂温度としては190〜240℃であることが好ましく、更に200〜230℃とすることがブロック重合体(B)等のゲル化防止やゴム変性スチレン系共重合体(C)等の微分散化効果が高まるためより好ましい。
【0093】
本発明の低温収縮性フィルムは、本発明の樹脂組成物を2種類以上用いた多層化延伸フィルムであっても良い。また、本発明の樹脂組成物を主体層とし、片側若しくは両側の表層に、本発明範囲外のスチレン系樹脂組成物を用いた2種2層、2種3層、3種3層の多層化延伸フィルムであっても良い。ただし、この場合、本発明の特徴である低温収縮性、適正な収縮勾配、ボトル形状保持性を発現させるため、本発明の組成物を主体とする層を60質量%以上とすることが好ましい。
【0094】
延伸方法としては、ロール延伸法、テンター法、インフレーション法を用いることができるが、主延伸方向については延伸配向の均一性が良好となることからテンター法が好ましい。延伸倍率は、要求される収縮率により適宜調整すればよいが、本発明の樹脂組成物から得られる延伸フィルムの収縮勾配が適正となることや生産性の観点から、主延伸方向に2〜6倍、好ましくは3〜4倍である。延伸温度は、延伸工程での滞留時間により適宜調整すればよいが、(樹脂組成物のガラス転移温度)〜(樹脂組成物のガラス転移温度+30℃)、好ましくは(樹脂組成物のガラス転移温度+5℃)〜(樹脂組成物のガラス転移温度+20℃)の範囲内である。
【0095】
また、主延伸方向と鉛直方向に延伸処理を施しても良く、その方法としては加熱ロール間の速度差を用いたロール延伸法、並びに、テンター内での同時二軸延伸法が挙げられ、延伸倍率は、要求される収縮率により適宜調整すればよいが、主延伸方向の収縮に伴う鉛直方向の膨張を抑えシュリンクラベルの収縮後の仕上がりを良好にすることから、1.05〜2.0倍が好ましく、更に好ましくは1.05〜1.2倍である。
【0096】
本発明の熱収縮性フィルムは、70℃の熱水中に10秒間浸した際の主延伸方向の熱収縮率が5%以上、80℃の熱水中に10秒間浸した際の主延伸方向の熱収縮率が30%以上、60%未満の範囲であることを特徴とする。
【0097】
PETボトル等の飲料ボトル用シュリンクラベルは、ボトル最大円周長に対して弛緩率が5〜10%となるようにフィルムを円筒状に製袋加工し、ボトルに装着後、シュリンクトンネル等で収縮しラベルとなる。そのため5%収縮する温度が重要であり、特に前述したアセプティック充填方式用シュリンクフィルムの場合、PETボトルは非耐熱の薄肉軽量化ボトルであるため、5%収縮温度を70℃以下とする必要がある。また、ボトルの形状やラベルをボトルの胴径が細くなる部分まで装着するフルラベル等では、最大50%以上の熱収縮率が必要となるため、シュリンクラベルの80℃熱収縮率が30%未満であると収縮不足によりラベルの波打ちが発生し、60%を越えると収縮勾配が高すぎるため適正な収縮温度範囲が狭くなり、シュリンクラベルにシワが入る場合がある。
【0098】
本発明のボトルは、前述の熱収縮性フィルムを巻着したボトルであり、詳しくは、前記したシュリンクラベルを巻着してなるボトルであり、本発明の熱収縮性フィルム用樹脂組成物を用いた効果を効率よく発現できる点から、ボトルの肉厚が0.1〜0.3mmのPETボトルであることが好ましいものである。
【実施例】
【0099】
次に実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0100】
実施例及び比較例の評価方法を以下に示す。
(連続塊状重合装置)
本実施例で得られる樹脂組成物は、図1に示すように配列された装置により得られる。各種モノマー及び溶媒を含む混合溶液を、プランジャーポンプ(1)によって20リットルの攪拌式反応器(2)へ送り、攪拌翼による動的混合下で初期重合した。次いで、この混合溶液をギアポンプ(3)により循環重合ライン(I)へ送る。循環重合ライン(I)は入口から順に内径2.5インチ管状反応器(スイス国ゲブリューター・ズルツァー社製SMX型スタティックミキサー・静的ミキシングエレメント30個内蔵)、(4)、(5)及び(6)と混合溶液を循環させるためのギアポンプ(7)から構成されている。管状反応器(6)とギアポンプ(7)の間には非循環重合ライン(II)には入口から順に上記と同様の管状反応器(8)、(9)及び(10)とギアポンプ(11)が直結されている。
【0101】
(ガラス転移温度測定)
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC7)を用い、JIS K 7121に準拠して加熱速度20℃/分で測定した。
【0102】
(GPC−MALLS測定条件)
スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)のGPC−MALLS測定を、Shodex HPLC、検出器Wyatt Technology DAWN EOS、Shodex RI−101、カラムShodex KF−806L×2、溶媒THF、流量1.0ml/minの条件にて行った。また、GPC−MALLSの測定の解析は、Wyatt社の解析ソフトASTRAにより行い、分子量、重量平均分子量、多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a1)と線状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a2)との比率を求めた。
【0103】
一例として、後記する合成例によって得られたスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−2)のクロマトグラフを図2に示した。横軸が測定開始時からの流した溶媒量(リテンションタイム)、縦軸がピーク強度であり、溶媒量が少ない成分ピークほど高い分子量を有する。図中の実線は測定結果により得られたピークである。高分子量部分(多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体部分)(P2)と低分子量部分(線状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体部分)(P1)の割合については、高分子量部分のトップピークから下ろした横軸の垂線を用い、高分子量部分の線対称及び高分子量部分の面積の和と全体からそれらの部分を引いた、残りの部分の面積比率として求めた。
【0104】
又、後記する合成例で得られたスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−2)、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A’−1)のGPC−MALLSから求められる重量平均分子量(Molar Mass)−慣性半径(RMS Radius)の両対数グラフを図3に示した。
【0105】
(多分岐状マクロモノマーのRI−GPC測定条件)
多分岐状マクロモノマーのGPC測定は、高速液体クロマトグラフィー(東ソー株式会社製HLC−8220GPC)、RI検出器、TSK gel G6000H×1+G5000H×1+G4000H×1+G3000H×1+TSK guard column H×1、溶媒THF、流速1.0ml/分、温度40℃の条件にて行った。
【0106】
(NMR測定法)
核磁気共鳴分光法(H−NMR)により多分岐状マクロモノマーのエチレン性二重結合の量を求め、試料質量当たりのモル数で示した。また13C−NMRにより、活性メチレン基及びその反応に由来する第2、第3、第4炭素原子数を求めることにより、多分岐状マクロモノマーの分岐度を求めた。
【0107】
(ヘイズ測定)
JIS K7105に準拠して、濁度・曇り度計(日本電色工業製)を用い、実施例及び比較例により得た延伸フィルムの透明性を示すヘイズ値を測定した。
【0108】
(熱収縮率測定)
実施例及び比較例により得た延伸フィルムを100mm角に切り取り、70℃、80℃に調整した恒温水槽中に10秒間浸し、以下に記載する式2より各温度における収縮率を測定した。また、恒温水槽の温度を横軸にフィルムの収縮率を縦軸にとった収縮曲線より、5%収縮する温度と以下に記載する式3から収縮勾配を算出した。
熱収縮率=(100−主延伸方向収縮後の寸法)/100×100・・(2)
熱収縮勾配=(80℃の主延伸方向の収縮率−70℃の主延伸方向の収縮率)/(80℃−70℃)・・(3)
【0109】
(ボトル形状保持性評価方法)
薄肉軽量ボトルにラベルを収縮装着し、図4に示すような評価装置で、幅10×長さ300×高さ10mmの鉄角柱の10×300mmの面がボトル側面に接触するようにし、その上から自動販売機内のサーペンタインコラムに充填されるボトル最大数量に相当する荷重6kgをかけ、シュリンクラベルを収縮装着したボトルの変形量を測定し、更にボトルの変形率(変形率=変形量/ボトル最大胴径×100)を算出した。
【0110】
ボトルは、最大胴径66mm、最大円周長208mm、重量20.5g/本、内容量500mlのウーロン茶が充填された非耐熱薄肉軽量PETボトル(市販品)を使用した。また、ラベルを装着するボトル胴周部分の平均肉厚は、0.23mm(最大肉厚0.27mm、最小肉厚0.19)である。ラベルは、主延伸方向が円周方向となるようボトル最大胴径に対し弛緩率5%(ラベル円周長218mm)の円筒状に、メチルエチルケトン/酢酸エチル/シクロヘキサン(体積比:4/3/3)の混合溶剤を用いて背貼り加工し、主延伸方向と鉛直方向に97mmの長さでカットし作成した。その円筒状のラベルを内容物が充填された上記ボトルに装着し、スチーム式シュリンクトンネル(協和電気製スチームシュリンカーJK−1000)で収縮した。スチーム式シュリンクトンネルの収縮条件は、内部温度83〜88℃、ラベルを装着したボトルのトンネル内での滞留時間は8秒とした。
【0111】
(メルトマスフローレイト測定法)
JIS K7210に準拠して測定した。なお測定条件は、温度200℃、荷重49Nである。
【0112】
合成例1〔多分岐状マクロモノマー(x1−1)の製造例〕
7モル%酸素導入管、温度計、コンデンサーを備えたディーンスタークデカンター、および攪拌機を備えた反応容器に、「Boltorn H20」10g、ジブチル錫オキシド1.25g、官能基としてイソプロペニル基を有するメチルメタクリレート100g、およびヒドロキノン0.05gを加え、混合溶液中に3ml/分の速度で7モル%酸素を吹き込みながら、撹拌下に加熱した。デカンターへの留出液量が1時間あたり15〜20gになるように加熱量を調節し、1時間ごとにデカンター内の留出液を取り出し、これに相当する量のメチルメタクリレートを加えながら4時間反応させた。
【0113】
反応終了後、メチルメタクリレートを減圧下で留去し、残っているヒドロキシル基をキャッピングするために無水酢酸10g、スルファミン酸2gを加えて室温下、10時間撹拌した。濾過でスルファミン酸を除去し、減圧下で無水酢酸および酢酸を留去した後に、残留物を酢酸エチル70gに溶解し、ヒドロキノンを除去する為に5質量%水酸化ナトリウム水溶液20gで4回洗浄した。さらに7質量%硫酸水溶液20gで2回、水20gで2回洗浄した。得られた有機層にメトキノン0.0045gを加え、減圧下、7モル%酸素を導入しながら溶媒を留去し、イソプロペニル基およびアセチル基を有する多分岐状マクロモノマー(x1−1)11gを得た。得られた多分岐状マクロモノマー(x1−1)の重量平均分子量は3000、数平均分子量は2100であり、多分岐状マクロモノマー(x1−1)へのイソプロペニル基およびアセチル基導入率は、それぞれ55モル%および36モル%であった。尚、得られた多分岐状マクロモノマーの分岐度は1.0で、分岐末端には、2.4mmol/1gモノマーの二重結合を含有する。
【0114】
合成例2〔スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−1)の製造例〕
スチレン(St)79質量部、アクリル酸ブチル(BuA)19質量部、メタクリル酸メチル(MMA)2質量部、多分岐状マクロモノマー(x1−1)0.03質量部(モノマー比300ppm)、トルエン10質量部から成る混合溶液を調製し、重合開始剤としてモノマー混合物100質量部に対して0.003質量部(30ppm)の2,2−ビス(4,4−ジ−パーオキシシクロヘキシル)プロパンを加え、図1の工程図で示した重合ラインを用い以下の条件下で連続塊状重合により[スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−1)を得た。
攪拌式反応器(2)での反応温度:115℃
循環重合ライン(I)での反応温度:120℃
非循環重合ライン(II)での反応温度:140〜150℃
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で240℃まで加熱し、減圧下で揮発成分を除去した後、ペレット化した。得られたスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−1)の物性を表1に示す。
【0115】
合成例3〔スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−2)の製造例〕
合成例2において、多分岐状マクロモノマー(x1−1)を0.06質量部(モノマー比600ppm)、重合開始剤としてモノマー混合物100質量部に対して0.002質量部(20ppm)の2,2−ビス(4,4−ジ−パーオキシシクロヘキシル)プロパンを用いる以外は、合成例2と同様にして、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−2)を得た。得られたスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−2)の物性を表1に示す。
【0116】
合成例4〔スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−3)の製造例〕
St 79質量部、BuA 19質量部、MMA 2質量部、多分岐状マクロモノマー(x1−1)0.03質量部(モノマー比300ppm)、トルエン10.5質量部から成る混合溶液を調製し、重合開始剤としてモノマー混合物100質量部に対して0.004質量部(モノマー比40ppm)の2,2−ビス(4,4−ジ−パーオキシシクロヘキシル)プロパン及び0.005質量部(モノマー比50ppm)のn−オクチル3−メルカプトプロピオネートを加え、合成例2と同装置を用い、連続塊状重合によりスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−3)を得た。
攪拌式反応器(2)での反応温度:115℃
循環重合ライン(I)での反応温度:125℃
非循環重合ライン(II)での反応温度:140〜150℃
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で240℃まで加熱し、減圧下で揮発成分を除去した後、ペレット化した。得られたスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−3)の物性を表1に示す。
【0117】
合成例5〔スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−4)の製造例〕
合成例2において、多分岐状マクロモノマー(x1−1)を0.06質量部(モノマー比600ppm)、重合開始剤及び重合調整剤としてモノマー混合物100質量部に対して0.002質量部(モノマー比20ppm)の2,2−ビス(4,4−ジ−パーオキシシクロヘキシル)プロパンと0.005質量部(モノマー比50ppm)のn−オクチル3−メルカプトプロピオネートを用いることに変更する以外は、合成例2と同様にして、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−4)を得た。得られたスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−4)の物性を表1に示す。
【0118】
合成例6〔スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−5)の製造例〕
St 82質量部、BuA 12質量部、MMA6質量部、多分岐状マクロモノマー(x1−1)0.03質量部(モノマー比300ppm)、トルエン6質量部から成る混合溶液を調製し、重合開始剤としてモノマー混合物100質量部に対して0.025質量部(モノマー比250ppm)のt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートを加え、合成例2と同装置を用い、連続塊状重合によりスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−5)を得た。
攪拌式反応器(2)での反応温度:119℃
循環重合ライン(I)での反応温度:123℃
非循環重合ライン(II)での反応温度:150〜165℃
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で240℃まで加熱し、減圧下で揮発成分を除去した後、ペレット化した。得られたスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−5)の物性を表1に示す。
【0119】
合成例7〔スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A’−1)の製造例〕
St 79質量部、BuA 19質量部、MMA 2質量部、トルエン8質量部から成る混合溶液を調製し、重合開始剤としてモノマー混合物100質量部に対して0.025質量部(モノマー比250ppm)の2,2−ビス(4,4−ジ−パーオキシシクロヘキシル)プロパンを加え、合成例2と同装置を用い、連続塊状重合により分岐構造を有さないスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A’−1)を得た。
攪拌式反応器(2)での反応温度:115℃
循環重合ライン(I)での反応温度:120℃
非循環重合ライン(II)での反応温度:130〜150℃
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で240℃まで加熱し、減圧下で揮発成分を除去した後、ペレット化した。得られたスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A’−1)の物性を表1に示す。
【0120】
合成例8〔スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A’−2)の製造例〕
St 82質量部、BuA 12質量部、MMA6質量部、トルエン9質量部から成る混合溶液を調製し、重合開始剤としてモノマー混合物100質量部に対して0.025質量部(モノマー比250ppm)の2,2−ビス(4,4−ジ−パーオキシシクロヘキシル)プロパンを加え、合成例2と同装置を用い、連続塊状重合により分岐構造を有さないスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A’−2)を得た。
攪拌式反応器(2)での反応温度:115℃
循環重合ライン(I)での反応温度:131℃
非循環重合ライン(II)での反応温度:140〜160℃
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で240℃まで加熱し、減圧下で揮発成分を除去した後、ペレット化した。得られたスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A’−2)の物性を表1に示す。
【0121】
[ブロック共重合体(B−1−1)、(B−1−2)、(B−2−1)]
ブロック共重合体(B−1−1)としては、シェブロン・フィリップス化学製「KレジンDK11」(スチレン系重合体ブロックの含有率:73質量%、ブタジエン重合体ブロックの含有率:27質量%、ガラス転移温度:102℃)を、ブロック共重合体(B−1−2)としては、シェブロン・フィリップス化学製「KレジンXK44」(スチレン系重合体ブロックの含有率:75質量%、ブタジエン重合体ブロック含有率:25質量%、ガラス転移温度:96℃)を用いた。また、ブロック共重合体(B−2−1)として、JSR製「TR2000」(スチレン系重合体ブロックの含有量:40質量%、ブタジエン重合体ブロック含有量:60質量%、ガラス転移温度:99℃)を用いた。
【0122】
合成例9〔ゴム変性スチレン系共重合体(C−1)の製造例〕
St100質量部、ポリブタジエン(旭化成製720A)7質量、エチルベンゼン7質量から成る混合溶液を調製し、重合開始剤としてモノマー混合物100質量部に対して0.01質量部のt−ブチルパーオキシベンゾエートを加え、合成例2と同装置を用い、連続塊状重合によりゴム変性スチレン系共重合体(C−1)を得た。
攪拌式反応器(2)での反応温度:134℃
循環重合ライン(I)での反応温度:136℃
非循環重合ライン(II)での反応温度:150℃
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で250℃まで加熱し、減圧下で揮発成分を除去した後、ペレット化した。平均ゴム粒子径は0.9μm、ポリブタジエンゴム含有量は7.6質量%であった。
【0123】
その他添加剤
酸化防止剤として、チバスペシャルティケミカルズ製「イルガノックスB900FF」及び住友化学製「スミライザーGS(F)」を用いた。
【0124】
【表1】

【0125】
実施例1
スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−1):34質量部、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−5):4質量部、ブロック共重合体(B−1−1):53質量部、ブロック共重合体(B−2−1):9質量部の合計100質量部に対して、イルガノックスB−900FF:0.1質量部、スミライザーGS(F):0.4質量部を添加した樹脂組成物を、日本製鋼所製30mmφ二軸押出機(L/D=31.5)により、シリンダー温度230℃、Q/N(1回転当たりの吐出量)=0.1〜0.08とし混錬分散し、リップ開度0.9mm、温度210℃のダイスからフィルム状に押し出し、65℃の冷却ロールで一旦冷却し、その後ロール延伸法によりフィルム引取方向に1.15倍、テンター法によりフィルムの引き取り方向と鉛直方向に3.85倍延伸して0.055mmの延伸フィルム(1)を得た。尚、以下実施例の樹脂組成とフィルムの加工条件及び評価結果を表2に示す。
【0126】
実施例2
スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−1)の代わりに、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−2)を使用する以外は実施例1と同様にして延伸フィルム(2)を得た。樹脂組成とフィルムの加工条件及び評価結果を表2に示す。
【0127】
実施例3
スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−1)の代わりに、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−3)を使用する以外は実施例1と同様にして延伸フィルム(3)を得た。樹脂組成とフィルムの加工条件及び評価結果を表2に示す。
【0128】
実施例4
スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−1)の代わりに、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−4)を使用し、更にゴム変性スチレン系共重合体(C−1)を1.5質量部配合すること以外は実施例1と同様にして延伸フィルム(4)を得た。樹脂組成とフィルムの加工条件及び評価結果を表2に示す。
【0129】
実施例5
スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−1):34質量部、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−5):7質量部、ブロック共重合体(B−1−2):50質量部、ブロック共重合体(B−2−1):9質量部の合計100質量部に対して、イルガノックスB−900FF:0.1質量部、スミライザーGS(F):0.4質量部を添加した樹脂組成物とし、ロール延伸法による延伸倍率を1.10倍に変更した以外は、実施例1と同様にして延伸フィルム(5)を得た。樹脂組成とフィルムの加工条件及び評価結果を表2に示す。
【0130】
実施例6
スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−1)の代わりに、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−2)を使用する以外は、実施例5と同様にして延伸フィルム(6)を得た。樹脂組成とフィルムの加工条件、評価結果を表2に示す。
【0131】
実施例7
スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−1)の代わりに、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−3)を使用する以外は、実施例5と同様にして延伸フィルム(7)を得た。樹脂組成とフィルムの加工条件及び評価結果を表2に示す。
【0132】
実施例8
スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−1)の代わりに、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−4)を使用し、更にゴム変性スチレン系共重合体(C−1)を1.5質量部配合すること以外は、実施例5と同様にして延伸フィルム(8)を得た。樹脂組成とフィルムの加工条件及び評価結果を表2に示す。
【0133】
実施例9
スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−2):40質量部、ブロック共重合体(B−1−1):53質量部、ブロック共重合体(B−2−1):7質量部の樹脂組成物100部に対して、ゴム変性スチレン系共重合体(C−1)を1.5質量部配合し、延伸温度を変更すること以外は実施例1と同様にして延伸フィルム(9)を得た。樹脂組成とフィルムの加工条件及び評価結果を表2に示す。
【0134】
実施例10
スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−4):34質量部、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A’−2):6質量部、ブロック共重合体(B−1−1):53質量部、ブロック共重合体(B−2−1):7質量部の樹脂組成物100質量部とすること以外は、実施例1と同様にして延伸フィルム(10)を得た。樹脂組成とフィルムの加工条件及び評価結果を表2に示す。
【0135】
実施例11
スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−4):39質量部、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−5):4質量部、ブロック共重合体(B−1−2):57質量部の合計100質量部の樹脂組成物とすることと、テンター法での延伸倍率を3.90倍とする以外は、実施例1と同様にして延伸フィルム(11)を得た。樹脂組成とフィルムの加工条件及び評価結果を表2に示す。
【0136】
実施例12
スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−4):47質量部、ブロック共重合体(B−1−2):53質量部の合計100質量部の樹脂組成物とすることと、テンター法での延伸倍率を3.90倍とする以外は、実施例1と同様にして延伸フィルム(12)を得た。樹脂組成とフィルムの加工条件及び評価結果を表2に示す。
【0137】
【表2】

【0138】
表2の結果の通り、実施例1〜12により得られた延伸フィルム(1)〜(12)は、いずれも適正な収縮勾配や低温収縮性を有し、透明性も良好でボトル形状保持性にも優れることが解った。
【0139】
比較例1
実施例1の樹脂組成物を、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A’−1):34質量部、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A’−2):4質量部、ブロック共重合体(B−1−1):53質量部、ブロック共重合体(B−2−1):9質量部の合計100質量部とすること以外は、実施例1と同様にして比較用延伸フィルム(1’)を得た。樹脂組成とフィルムの加工条件と評価結果を表3に示す。
【0140】
比較例2
実施例8の樹脂組成物を、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A’−1):34質量部、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A’−2):7質量部、ブロック共重合体(B−2−2):50質量部、ブロック共重合体(B−2−2):9質量部の合計100質量部とすること以外は、実施例8と同様にして比較用延伸フィルム(2’)を得た。樹脂組成とフィルムの加工条件と評価結果を表3に示す。
【0141】
比較例3
スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A’−1):38質量部、ブロック共重合体(B−1−2):53質量部、ブロック共重合体(B−2−1):9質量部の合計100質量部の樹脂組成物を用いる以外は、実施例1と同様にして比較用延伸フィルム(3’)を得た。樹脂組成とフィルムの加工条件と評価結果を表3に示す。
【0142】
比較例4
スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A’−2):47質量部、ブロック共重合体(B−1−1):53質量部の合計100質量部の樹脂組成物を用いる以外は、実施例1と同様にして比較用延伸フィルム(4’)を得た。樹脂組成とフィルムの加工条件と評価結果を表3に示す。
【0143】
【表3】

【0144】
表4に示す結果の通り、比較用延伸フィルム(1’)〜(4’)は、実施例で得られたフィルム(1)〜(12)に比べ透明性やボトル形状保持性に劣り、比較用延伸フィルム(4’)に至っては、低温収縮性も不十分なものであった。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】静的ミキシングエレメントを有する管状反応器を組み込んだ連続塊状重合ラインの1例を示す工程図である。
【図2】スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−2)のGPC−MALLSで求められる質量分子量分布である。
【図3】スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A−2)とスチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A’−1)についてのGPC−MALLSにより求められるMolar Mass(g/mol)−慣性半径(RMS Radius /nm)の両対数グラフである。
【図4】ボトル形状保持性を測定する装置である。
【符号の説明】
【0146】
(1):プラジャーポンプ
(2):攪拌式反応器
(3):ギアポンプ
(4):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(5):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(6):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(7):ギアポンプ
(8):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(9):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(10):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(11):ギヤーポンプ
(I):循環重合ライン
(II):非循環重合ライン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)と、スチレン系重合体ブロック(b1)と共役ジエン重合体ブロック(b2)とを有するブロック共重合体(B)とを含有する樹脂組成物であって、前記スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)が、多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a1)を含むことを特徴とする熱収縮性フィルム用樹脂組成物。
【請求項2】
前記スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)が、
(1)GPC−MALLSにより求められる重量平均分子量が35万〜100万であり、
(2)GPC−MALLSにより求められる重量平均分子量を横軸、慣性半径を縦軸とした両対数グラフにおいて、分子量10万〜1000万の領域での傾きが0.20〜0.45である請求項1記載の熱収縮性フィルム用樹脂組成物。
【請求項3】
前記スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)のJIS K 7121に準拠して測定したガラス転移温度Tgが、50〜80℃である請求項1記載の熱収縮性フィルム用樹脂組成物。
【請求項4】
前記スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)を構成する多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a1)と線状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a2)との質量比(a1)/(a2)が30/70〜70/30である請求項2記載の熱収縮性フィルム用樹脂組成物。
【請求項5】
前記多分岐状スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(a1)が、分子末端に二重結合を有する多分岐状マクロモノマー(x1)と、スチレン系モノマー(x2)と、(メタ)アクリル系モノマー(x3)とを重合して得られる共重合体である請求項1記載の熱収縮性フィルム用樹脂組成物。
【請求項6】
前記多分岐状マクロモノマー(x1)が、エステル結合、エーテル結合及びアミド結合からなる群から選ばれる少なくとも一つの結合を有する多分岐状マクロモノマーである請求項5記載の熱収縮性フィルム用樹脂組成物。
【請求項7】
前記多分岐状マクロモノマー(x1)の分岐度が0.3〜1.0であり、分岐末端に二重結合を該モノマー1g当たり0.1〜5.5mmol含有する請求項5記載の熱収縮性フィルム用樹脂組成物。
【請求項8】
前記スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)の原料として用いるモノマー混合物100質量部中に、スチレン系モノマー(x2)を62〜85質量部含有する請求項1記載の熱収縮性フィルム用樹脂組成物。
【請求項9】
前記スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、前記ブロック共重合体(B)を50〜300質量部配合してなる請求項1記載の熱収縮性フィルム用樹脂組成物。
【請求項10】
ゴム状重合体を分散粒子として含有するゴム変性スチレン系共重合体(C)を含有する請求項1〜9の何れか1項記載の熱収縮性フィルム用樹脂組成物。
【請求項11】
前記ゴム変性スチレン系共重合体(C)中の分散粒子の平均粒子径が2μm未満である請求項10記載の熱収縮性フィルム用樹脂組成物。
【請求項12】
前記スチレン−(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、前記ゴム変性スチレン系共重合体(C)を1〜10質量部配合してなる請求項10記載の熱収縮性フィルム用樹脂組成物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項記載の熱収縮性フィルム用樹脂組成物から得られることを特徴とする熱収縮性フィルム。
【請求項14】
70℃の熱水中に10秒間浸した際の主延伸方向の熱収縮率が5%以上であり、且つ80℃の熱水中に10秒間浸した際の主延伸方向の熱収縮率が30%以上60%未満である請求項13記載の熱収縮性フィルム。
【請求項15】
請求項14記載の熱収縮性フィルムを巻着したことを特徴とするボトル。
【請求項16】
前記ボトルの肉厚が0.1〜0.3mmのPETボトルである請求項15記載のボトル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−291264(P2007−291264A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−121915(P2006−121915)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】