説明

熱収縮性多層フィルムおよびその製造方法

【課題】溶剤シールを適用できる上に、溶剤シールした後でも強度が確保され、しかも接着剤を用いずにスキン層と中間層とが貼り合わされている熱収縮性多層フィルムを提供する。
【解決手段】本発明の熱収縮性多層フィルム10は、ポリプロピレンを含有する中間層11と、中間層11の両面に形成されたスキン層12,12とを有し、スキン層12は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体と、ポリプロピレンと、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体またはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体とを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル等のラベルに使用される熱収縮性の多層フィルムおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、飲料または調味料のボトル本体には、熱収縮性フィルムからなるラベルが装着されている。
ボトル本体にラベルを装着する方法としては、印刷した熱収縮性フィルムを所定の長さに切断し、その切断したフィルムの端部同士を溶剤シールにより接合して筒状体とし、該筒状体にボトル本体を挿入した後、加熱して熱収縮性フィルムを収縮させる方法が一般的である。ここで、溶剤シールとは、フィルムの一端の表面に溶剤を塗布して溶解させ、その溶解した部分にフィルムの他端を接触させ、乾燥させて接着するシール方法である。
溶剤シールが適用されるフィルムとしては、溶剤に溶解しつつも、溶剤の塗布によっても強度が低下しにくいものが使用される。そのようなフィルムとしては、特許文献1,2に、耐溶剤性の高いポリオレフィンを含有する中間層と、溶剤溶解性の高いスチレン系樹脂を含有するスキン層とを有する熱収縮性多層フィルムが開示されている(特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開平6−23890号公報
【特許文献2】特許第3286594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、ポリオレフィンとスチレン系樹脂とは相溶性が低い。そのため、特許文献1,2に記載の熱可塑性多層フィルムでは、ポリオレフィンを含むスキン層とスチレン系樹脂を含む中間層とを貼り合わせるために、ポリウレタンや無水マレイン酸変性超低密度ポリエチレン等の接着剤が用いられている。しかしながら、接着剤を使用すると、作業性の低下やコストの増加等を招くことがあった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、溶剤シールを適用できる上に、溶剤シールした後でも強度が確保され、しかも接着剤を用いずにスキン層と中間層とが貼り合わされている熱収縮性多層フィルムを提供することを目的とする。また、そのような熱収縮性多層フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下の構成を包含する。
[1] ポリプロピレンを含有する中間層と、該中間層の両面に形成されたスキン層とを有し、
スキン層は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体と、ポリプロピレンと、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体またはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体とを含有することを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
[2] 中間層が発泡層であることを特徴とする[1]に記載の熱収縮性多層フィルム。
[3] 共押出により、第1の層と、第1の層の両面に配置された第2の層とを有する積層体を作製し、該積層体を延伸する熱収縮性多層フィルムの製造方法であって、
第1の層を、ポリプロピレンを含有する中間層形成用樹脂組成物から形成し、
第2の層を、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体と、ポリプロピレンと、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体またはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体とを含有するスキン層形成用樹脂組成物から形成することを特徴とする熱収縮性多層フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0005】
本発明の熱収縮性多層フィルムは、溶剤シールを適用できる上に、溶剤シールした後で強度が確保され、しかも接着剤を用いずにスキン層と中間層とが貼り合わされている。
本発明の熱収縮性多層フィルムの製造方法によれば、上述した熱収縮性多層フィルムを容易に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
<熱収縮性多層フィルム>
本発明の熱収縮性多層フィルムの一実施形態例について説明する。
図1に、本実施形態例の熱収縮性多層フィルムを示す。この熱収縮性多層フィルム10は、中間層11と、中間層11の両面に形成されたスキン層12,12とを有するものである。
【0007】
(中間層)
中間層11は、ポリプロピレンを含有する層である。ポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレン、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等が挙げられる。これらの中でも、充分な強度を確保できることから、ホモポリプロピレンが好ましい。
また、ポリプロピレンは、チグラー・ナッタ触媒、塩化マグネシウム担持チタン触媒、メタロセン触媒のいずれの触媒で製造されたものであってもよい。
【0008】
中間層11には、ポリプロピレン以外の他の樹脂が含まれてもよい。他の樹脂としては、例えば、ポリブテン、アイオノマー樹脂、石油樹脂等が挙げられる。
【0009】
中間層11中のポリプロピレンの含有量は50〜100質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましい。ポリプロピレンの含有量が50質量%未満であると、熱収縮性多層フィルム10の強度が低下することがある。
【0010】
中間層11は発泡層であってもよい。中間層11が発泡層である場合には、熱収縮性多層フィルム10が断熱性を有するため、加熱飲料用ボトルのラベルに適したものとなる。
中間層11が発泡層である場合、その発泡倍率は1.3〜4.5倍であることが好ましく、1.5〜3.5倍であることがより好ましい。発泡倍率が1.3倍未満であると断熱性が低くなる傾向にあり、4.5倍を超えると熱収縮性多層フィルム10の平滑性が低くなる傾向にある。ここで、「発泡倍率」とは、発泡剤を使用しないで成形して得た層の密度をD、同じ樹脂で発泡剤を使用して成形して得た層の密度をdとした場合に、D/dで表される値である。
【0011】
中間層11が発泡層の場合は、その厚さが40〜200μmであることが好ましく、60〜170μmであることがより好ましい。中間層11が非発泡層の場合は20〜80μmであることが好ましく、25〜50μmであることがより好ましい。中間層11の厚さが下限値以上であれば、耐溶剤性がより高くなって溶剤シール後の強度の低下をより防止でき、上限値以下であれば、該熱収縮性多層フィルム10の可撓性の低下を防止できる。
【0012】
(スキン層)
スキン層12は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体と、ポリプロピレンと、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体またはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体とを含有する層である。
スキン層12は発泡層であってもよいし、非発泡層であってもよい。
【0013】
ここで、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体は、該熱収縮性多層フィルム10に溶剤シール性を持たせるためのものである。スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体としては、ブタジエン単位の含有量が10〜50質量%のものが好ましい。ブタジエン単位含有量が10質量%以上かつ50質量%以下であれば、適切な熱収縮性を確保できる。
ポリプロピレンは、中間層11との密着強度を高めるためのものである。ポリプロピレンとしては、中間層11を構成するものと同様のものが使用される。
スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体は、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水添物であり、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体とは、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水添物である。これらは、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体とポリプロピレンとを相溶させる相溶化剤として機能する。
【0014】
スキン層12におけるスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の含有量は30〜85質量%であることが好ましく、40〜85質量%であることがより好ましい。スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の含有量が30質量%以上であれば、より溶剤シールしやすくなり、85質量%以下であれば、中間層11との密着強度を高くできる。
ポリプロピレンの含有量は10〜40質量%であることが好ましく、10〜35質量%であることがより好ましい。ポリプロピレンの含有量が10質量%以上であれば、中間層11との密着強度を高くすることができ、40質量%以下であれば、より溶剤シールしやすくなる。
スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体またはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体の含有量は5〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体またはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体の含有量が5〜40質量%であれば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体とポリプロピレンとの相溶性をより高くできる。
【0015】
また、スキン層12には、低温収縮を防止できることから、スチレン−メタクリル酸共重合体を含有することが好ましい。スチレン−メタクリル酸共重合体を含有する場合、その含有量は5〜50質量%であることが好ましい。スチレン−メタクリル酸共重合体の含有量が5質量%以上であれば、低温収縮を充分に防止でき、50質量%以下であれば、充分な溶剤シール性、中間層11との密着強度を充分に確保できる。
【0016】
スキン層12は、中間層11が発泡層である場合には、その厚さが5〜20μmであることが好ましく、5〜15μmであることがより好ましい。スキン層12は、中間層11が発泡層である場合には、その厚さが2〜10μmであることが好ましく、2〜5μmであることがより好ましい。スキン層12の厚さが下限値以上であれば、溶剤シールによる接着性を高くでき、上限値以下であれば、該熱収縮性多層フィルム10の可撓性の低下を防止できる。
【0017】
この熱収縮性多層フィルム10の熱収縮率は、100℃の熱水浴に30秒間浸漬した際に、主収縮方向で15%以上、かつ、主収縮方向に直交する方向で12%以下であることが好ましく、主収縮方向で20%以上、かつ、主収縮方向に直交する方向で10%以下であることがより好ましい。熱収縮性多層フィルム10の熱収縮率が主収縮方向で20%以上、かつ、主収縮方向に直交する方向で12%以下であれば、該熱収縮性多層フィルム10を熱収縮によってボトル本体等により容易に装着できる。
【0018】
以上説明した熱収縮性多層フィルム10におけるスキン層12では、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体またはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体を相溶化剤として、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体とポリプロピレンとが相溶している。このスキン層12に含まれるスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体は溶剤溶解性を有するため、該熱収縮性多層フィルム10は溶剤シールを適用でき、その上、印刷性に優れる。
また、スキン層12はポリプロピレンを含有しているため、ポリプロピレンを含有する中間層11との密着強度が高くなっている。したがって、熱収縮性多層フィルム10の製造で共押出を適用することによって、接着剤を用いずに中間層11とスキン層12とを貼り合わせることができる。
さらに、熱収縮性多層フィルム10における中間層11は、耐溶剤性の高いポリプロピレンを含有するため、溶剤シールした際に溶剤で侵されにくくなっている。したがって、熱収縮性多層フィルム10は、溶剤シールした後でも強度が確保されている。
また、中間層11がポリプロピレンを含有しているため、耐熱性および強度が高い。このような中間層11を発泡させた層は、加熱されても形態を維持できるから、断熱層として適している。
【0019】
上述した熱収縮性多層フィルム10は、ボトル本体に装着されるラベルとして好適に使用される。
ボトル本体にラベルを装着する際には、まず、所定の長さに切断した熱収縮性フィルムを溶剤シールによって筒状体にする。溶剤シールの際に使用される溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、n−ペンタン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶剤、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられる。これらの中でも、溶剤シールしやすいことから、シクロヘキサン/n−ヘキサン系混合溶剤が好ましい。
このようにして得られた筒状体にボトル本体を挿入した後、加熱し、熱収縮性多層フィルム10を収縮させて、ボトル本体に熱収縮性多層フィルム10からなるラベルを装着することができる。
【0020】
<熱収縮性多層フィルムの製造方法>
次に、熱収縮性多層フィルム10の製造方法の一例について説明する。
熱収縮性多層フィルム10は、共押出および延伸によって製造される。具体的には、まず、ポリプロピレンを含有する中間層形成用樹脂組成物を調製する。また、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体と、ポリプロピレンと、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体またはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体とを含有するスキン層形成用樹脂組成物を調製する。
次いで、3層形成用共押出機により、中間層形成用樹脂組成物からなる第1の層と、第1の層の両面に配置された、スキン層形成用樹脂組成物からなる第2の層とを有する積層体を作製する。
次いで、一軸または二軸の延伸機を用いて、前記積層体を延伸し、第1の層を中間層11とし、第2の層をスキン層12,12として、熱収縮性多層フィルム10を得る。
該製造方法では、丸ダイからチューブ状シートを共押出して積層体を作製し、これをチューブ状で延伸しても構わないし、チューブ状のシートを切り開いてフラット状としてから、上記のように延伸しても構わない。
【0021】
中間層11を発泡層とする場合には、例えば、第1の層に不活性ガス、炭化水素等のガスを含有させる方法、あるいは、第1の層に、炭酸アンモニウム、重炭酸ソーダ等の無機系発泡剤、ニトロソ系発泡剤、アゾ系発泡剤等の加熱分解型発泡剤を含有させる方法等を適用すればよい。上記ガスあるいは発泡剤を含有させた第1の層を共押出することにより、第1の層を発泡層にすることができる。
【0022】
この製造方法では、中間層11を形成する中間層形成用樹脂組成物とスキン層12を形成するスキン層形成用樹脂組成物とが共にポリプロピレンを含有する。そのため、これらを共押出することにより、接着剤を用いずに、ポリプロピレンを含有する中間層11とスチレン系樹脂を含有するスキン層12とを容易に貼り合わせることができる。したがって、この製造方法によれば、ポリプロピレンを含有する中間層11とスチレン系樹脂を含有するスキン層12とを有する熱収縮性多層フィルム10を容易に製造できる。
【実施例】
【0023】
(実施例1)
ポリプロピレン(日本ポリプロ製)75質量部と、石油樹脂(荒川化学工業製アルコンP140)25質量部と、発泡剤マスターバッチ(発泡剤20質量%)2質量部とを混合して、中間層形成用樹脂組成物を調製した。
また、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(クラレ社製ハイブラーKL7350、表中ではSEPSと表記する。)15質量部と、メタロセン触媒を用いて製造されたポリプロピレン(日本ポリプロ社製商品名ウィンテックWFX−4T、表中では、PPと表記する。)25質量部と、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(電気化学工業社製商品名クリアレン880L、表中ではSBSと表記する。)60質量部とを混合して、スキン層形成用樹脂組成物を調製した。
この中間層形成用樹脂組成物およびスキン層形成用樹脂組成物を、Tダイを備えた共押出機により220℃で押出し、40℃の冷却ロールで冷却固化させて、中間層になる第1の層と、その両面に配置された、スキン層になる第2の層とを有する積層体を作製した。
次いで、該積層体を80℃で横方向に5倍テンター延伸し、引き続き同テンター内で幅方向に5%弛緩させつつ、75℃×5秒間アニールして、厚さが150μm、中間層の発泡倍率1.5倍が熱収縮性多層フィルムを得た。各層の厚さは、スキン層/中間層/スキン層=10μm/130μm/10μmである。
【0024】
得られた熱収縮性多層フィルムの溶剤シール性、耐溶剤性、中間層とスキン層との密着強度、熱収縮性を、以下のように評価した。これらの結果を表1に示す。
(溶剤シール性)
まず、熱収縮性多層フィルムを2枚用意した。また、溶剤を充填した注射器の先端に幅10mmのフェルトを取り付け、注射器から溶剤を供給し、フェルトに浸透させた。
次いで、溶剤を浸透させたフェルトを、一方の熱収縮性多層フィルムのTD方向の一端に接触させて、溶剤を塗布した。その溶剤を塗布した部分に、他方の熱収縮性多層フィルムのTD方向の一端を重ね、23℃、1日間放置した。そして、幅25mmに切り出して試験片を作製し、この試験片を用いて、引張速度50mm/分にて、180度剥離試験をおこない、剥離強度を測定した。その測定にて、剥離強度35g以上のものを○とし、35g未満のものを×とした。
なお、溶剤シールは、溶剤として、シクロヘキサン/酢酸エチル/テトラヒドロフラン混合溶剤を用いた方法でおこなった。
(耐溶剤性)
一対のチャックにMD方向の幅が25mmの熱収縮フィルムを、チャック間距離50mmで緊張状態に取り付けた。そして、その熱収縮フィルムにイソプロパノール/酢酸エチルの混合溶媒を塗布して、熱収縮フィルムの表面状態を目視にて観察し、評価した。微細なクラック等の表面変化のないものを○とし、表面変化のあったものを×とした。
(中間層とスキン層との密着強度)
熱収縮フィルムの両面にセロテープ(登録商標、ニチバン株式会社製No.405)を貼り付けた後、これを剥離した。その際に、中間層とスキン層とが完全には剥離しないものを○、抵抗なく完全に剥離したものを×とした。
(熱収縮性)
10cm×10cmに切り出した熱収縮フィルムを100℃の熱水浴に30秒間浸漬後、取り出し、横方向及び縦方向の収縮率を測定した。収縮率が15%以上のものを○、15%未満のものを×とした。
(相溶性)
各々、スキン層形成用樹脂組成物を用い、押出成形にて厚さ20μmの単層フィルムを作製し、この単層フィルムを縦方向に引き裂くときの抵抗力にて評価した。容易には引き裂けないものを○、容易に引き裂けるものを×とした。なお、相溶性の低いものは強度等が低く、実用性が不充分である。
【0025】
【表1】

【0026】
(実施例2〜14、比較例1〜5)
スキン層形成用樹脂組成物の配合を表1〜3に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして熱収縮性多層フィルムを製造した。そして、実施例1と同様にして、評価した。評価結果を表1〜3に示す。
なお、表中のMAA−STとは、メタクリル酸−スチレン共重合体のことである。
【0027】
【表2】

【0028】
【表3】

【0029】
中間層がポリプロピレンを含有し、スキン層が特定の樹脂を含有する実施例1〜14の熱収縮性多層フィルムは、溶剤シール性、耐溶剤性、密着性、熱収縮性のいずれもが優れていた。
スキン層がポリプロピレンのみからなる比較例1の熱収縮性多層フィルムは、溶剤シール性、熱収縮性が低かった。
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体およびポリプロピレンは含有するが、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体を含有しない比較例2〜4の熱収縮性多層フィルムは、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体およびポリプロピレンとの相溶性が低かった。さらに、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の含有量が25質量%であった比較例2の熱収縮性多層フィルムは、溶剤シール性、熱収縮性が低かった。
スキン層がスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体のみからなる比較例5の熱収縮性多層フィルムは、耐溶剤性、密着強度が低かった。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の熱収縮性多層フィルムの一実施形態例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0031】
10 熱収縮性多層フィルム
11 中間層
12 スキン層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレンを含有する中間層と、該中間層の両面に形成されたスキン層とを有し、
スキン層は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体と、ポリプロピレンと、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体またはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体とを含有することを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
【請求項2】
中間層が発泡層であることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性多層フィルム。
【請求項3】
共押出により、第1の層と、第1の層の両面に配置された第2の層とを有する積層体を作製し、該積層体を延伸する熱収縮性多層フィルムの製造方法であって、
第1の層を、ポリプロピレンを含有する中間層形成用樹脂組成物から形成し、
第2の層を、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体と、ポリプロピレンと、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体またはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体とを含有するスキン層形成用樹脂組成物から形成することを特徴とする熱収縮性多層フィルムの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−132621(P2008−132621A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318827(P2006−318827)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000106726)シーアイ化成株式会社 (267)
【Fターム(参考)】