説明

熱可塑性エラストマー、熱可塑性エラストマー組成物および成形品

【課題】耐候性、屈曲性、引裂強度に優れた成形品を得ることができ、流動性がよく、成形時のガスの発生が少なく、二色成形性がよい熱可塑性エラストマー、該熱可塑性エラストマーを含む組成物、およびこれらの成形品を提供する。
【解決手段】エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)の存在下に芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含む単量体成分(G)を重合して得られた熱可塑性エラストマーであって、(A)成分と(G)成分の合計のうち(A)成分が65〜90質量%、(G)成分が35〜10質量%であり、(G)成分のうち芳香族ビニル系単量体が10〜42質量%、シアン化ビニル系単量体が1〜14質量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体が52〜85質量%であり、芳香族ビニル系単量体のうちα−メチル基を有するものが10〜80質量%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性エラストマー、該熱可塑性エラストマーを含む組成物、およびこれらの成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPAE)等が知られている。
【0003】
TPSは、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のソフトセグメントと、ポリスチレンのハードセグメントとから構成されたブロック共重合体、またはその水添物である。TPSは、成形品の柔軟性、耐熱性、耐候性に優れる。また、二色成形に用いた場合、ポリオレフィンに溶着可能であるが、ABS樹脂等の極性樹脂には溶着しない。
【0004】
TPOは、EPDM等のソフトセグメントと、ポリプロピレン(PP)のハードセグメントとから構成されたものである。TPOとしては、単純ブレンド、インプラント型、動的架橋型がある。TPOは、成形性、成形品の耐熱性、柔軟性に優れるが、成形品の耐候性が悪く、耐候助剤の添加を必要とする。また、二色成形に用いた場合、ポリオレフィンに溶着可能であるが、ABS樹脂等の極性樹脂には溶着しない。
【0005】
TPUは、長鎖グリコールによるポリウレタンのソフトセグメントと、短鎖グリコールによるポリウレタンのハードセグメントとから構成されたものである。TPUは、成形品の屈曲性、耐寒性に優れるが、成形品の耐候性が悪い。また、二色成形に用いた場合、ABS樹脂等の極性樹脂には溶着するが、ポリプロピレン等の非極性樹脂には溶着しない。
【0006】
TPEEは、ポリエーテルのソフトセグメントと、ポリエステルのハードセグメントとから構成されたものである。TPEEは、成形品の耐熱性、屈曲性に優れるが、硬度が高くショアA硬度のものは物性が劣る。また、二色成形に用いた場合、ABS樹脂等の極性樹脂には溶着するが十分でなく、ポリプロピレン(PP)等の非極性樹脂には溶着しない。最近、極性樹脂との二色成形性が改良されたTPEEが提案されているが、成形時のガスの発生量が非常に多い。
【0007】
TPAEは、ポリエーテルのソフトセグメントと、ポリアミドのハードセグメントとから構成されたものである。TPAEは、成形品の耐熱性、引張強度に優れる。また、二色成形した場合、極性樹脂では、ウレタンに特異的に溶着可能であるが、ABS樹脂等には溶着しない。また、ポリプロピレン(PP)等の非極性樹脂には溶着しない。
【0008】
極性樹脂に溶着するエラストマーとしては、スチレン系樹脂の海成分と、ゴム成分の島成分とから構成された海島構造を有するスチレンマトリクス系エラストマー材料(例えば、ABS樹脂のゴム成分をアクリルゴムやシリコーンゴムに置き換えたASA系エラストマー材料やSAS系エラストマー材料)が知られている。しかし、該エラストマー材料は、成形品の屈曲性、引裂強度が低く、また、ポリプロピレン(PP)等の非極性樹脂には溶着しない。
【0009】
また最近、ABS樹脂等の極性樹脂およびポリオレフィン等の非極性樹脂に溶着する樹脂材料としては、芳香族ブロックポリマーとスチレン系極性樹脂とのコンパウンド品が提案されている。しかし、該コンパウンド品は、成形時のガスの発生量が多く、成形品の耐候性が悪いという問題がある。
【0010】
また、ポリオレフィン等の非極性樹脂に溶着する樹脂材料としては、エチレン−α−オレフィン系共重合体の存在下に、スチレン、アクリロニトリルおよび(メタ)アクリル酸エステルの群から選ばれた少なくとも1種からなる単量体成分を重合して得られるゴム変性熱可塑性樹脂と、水添ブロック共重合体とを主成分とした熱可塑性組成物が提案されている(特許文献1)。しかし、該組成物は、流動性が悪いため射出成形による成形性が悪く、さらに二色成形に用いた場合、ABS樹脂、耐熱ABS樹脂、PC/ABSアロイ等の極性樹脂には溶着しない。該組成物に流動性を付与する方法としては、滑剤(プロセスオイル(パラフィンオイル等)、アミドワックス等)を添加する方法、または分子量を極端に小さくする方法がある。しかし、前者の方法では、該組成物のブリードアウト現象が激しく、後者の方法では、ゴム弾性が失われる。
【特許文献1】特開2001−207014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、耐候性、屈曲性、引裂強度に優れた成形品を得ることができ、流動性がよく、成形時のガスの発生が少なく、二色成形に用いた場合、ABS樹脂、耐熱ABS樹脂、PC/ABSアロイ等の極性樹脂およびポリプロピレン(PP)等の非極性樹脂の双方に熱溶着する熱可塑性エラストマー、該熱可塑性エラストマーを含む組成物、およびこれらの成形品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の熱可塑性エラストマーは、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)の存在下に、芳香族ビニル系単量体の2種以上と、シアン化ビニル系単量体の1種以上と、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の1種以上とを含む単量体成分(G)を重合して得られた熱可塑性エラストマー(F)であって、前記エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)と前記単量体成分(G)との合計(100質量%)のうち、前記エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)が65〜90質量%であり、かつ前記単量体成分(G)が35〜10質量%であり、前記単量体成分(G)(100質量%)のうち、前記芳香族ビニル系単量体が10〜42質量%であり、前記シアン化ビニル系単量体が1〜14質量%であり、かつ前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体が52〜85質量%であり、前記芳香族ビニル系単量体が、α−メチル基を有する芳香族ビニル系単量体を含み、前記芳香族ビニル系単量体(100質量%)のうち、前記α−メチル基を有する芳香族ビニル系単量体が10〜80質量%であることを特徴とする。
【0013】
さらに本発明においては、特に、α−メチル基を有する芳香族ビニル系単量体を特定の範囲で用いることにより、流動性、二色成形性を飛躍的に向上させることができる。従来からα−メチル基を有する芳香族ビニル系単量体は、スチレン系樹脂の耐熱性の向上に用いられ、耐熱性を向上させることはできるが、流動性および成形性を低下させることが常識とされている。ところが、本発明では、この従来の常識を破り、α−メチル基を有する芳香族ビニル系単量体のグラフト重合による流動性の飛躍的向上という予想だにしなかった効果を発揮させるとともに、二色成形性をも飛躍的に向上させることに成功した。
【0014】
前記α−メチル基を有する芳香族ビニル系単量体は、α−メチルスチレンであることが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマーは、前記エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)の存在下に前記単量体成分(G)を乳化重合して得られたラテックスを、酸性物質を含む凝析剤で凝析させて得られたものであることが好ましい。
前記エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)は、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体であることが好ましい。
前記エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)のメルトフローレートは、3g/10分以上であることが好ましい。
【0015】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、本発明の熱可塑性エラストマー(F)を含むことを特徴とする。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、さらに、芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)を含むことが好ましく、さらに、エチレン−α−オレフィン共重合体(C)(ただし、前記エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)を除く。)を含むことが好ましい。
【0016】
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性エラストマー(F)または熱可塑性エラストマー組成物を成形してなるものである。
また、本発明の成形品は、本発明の熱可塑性エラストマー(F)または熱可塑性エラストマー組成物と、他の樹脂材料とを二色成形してなるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性エラストマー組成物によれば、耐候性、屈曲性、引裂強度に優れた成形品を得ることができる。また、本発明の熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性エラストマー組成物は、流動性がよく、成形時のガスの発生が少なく、二色成形に用いた場合、ABS樹脂、耐熱ABS樹脂、PC/ABSアロイ等の極性樹脂およびポリプロピレン(PP)等の非極性樹脂の双方に熱溶着する。
本発明の成形品は、耐候性、屈曲性、引裂強度に優れ、フローマークも少ない。また、二色成形品の場合、層間の密着性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<熱可塑性エラストマー>
本発明の熱可塑性エラストマー(F)は、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)の存在下に、単量体成分(G)を重合して得られた熱可塑性エラストマーである。
【0019】
(エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A))
エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)は、エチレンとα−オレフィンと非共役ジエンとを共重合して得られたゴム質共重合体である。
エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)としては、流動性がよい点、グラフト重合が容易である点から、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体が好ましい。
【0020】
α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられ、プロピレン、1−ブテン、1−オクテンが好ましく、プロピレンがより好ましい。α−オレフィンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
非共役ジエンとしては、環状ジエン(アルケニルノルボルネン類、環状ジエン類等)が好ましい。該環状ジエンは分子内のジエンの反応性が違うため、該環状ジエンを用いることによって、ポリマー主鎖に二重結合を持たせることなく、ラジカル反応開始点に必要な二重結合をポリマー内に導入できる。該二重結合を開始点としてグラフトポリマーを導入することにより、成形品の引裂強度、熱可塑性エラストマー(F)または組成物の流動性が良好となり、熱可塑性エラストマー(F)または組成物を二色成形に用いた場合、ABS樹脂、耐熱ABS樹脂、PC/ABSアロイ等の極性樹脂との熱溶着性が良好となる。
【0022】
エチレンの仕込み量は、エチレンとα−オレフィンと非共役ジエンとの合計(100質量%)のうち、40〜89質量%が好ましい。
α−オレフィンの仕込み量は、エチレンとα−オレフィンと非共役ジエンとの合計(100質量%)のうち、10〜59質量%が好ましい。α−オレフィンが59質量%以下であれば、成形品の耐候性が良好となる。α−オレフィンが10質量%以上であれば、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)のゴム弾性が十分となるため、成形品の屈曲性が良好となる。
非共役ジエンの仕込み量は、エチレンとα−オレフィンと非共役ジエンとの合計(100質量%)のうち、1〜10質量%が好ましい。非共役ジエンが1質量%以上であれば、単量体成分(G)のグラフト重合が十分に進行するため、熱可塑性エラストマー(F)または組成物の二色成形性が良好となる。非共役ジエンが10質量%以内であれば、成形品の耐候性が良好となる。
【0023】
エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)のメルトフローレート(MFR)は、3g/10分以上が好ましく、3〜70g/10分がより好ましい。MFRが3g/10分以上であれば、熱可塑性エラストマー(F)または組成物の射出成形時における流動性が非常に良好となる。
エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)のMFRは、ISO1133に準拠し、230℃、21.17Nの条件にて測定される。
【0024】
エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)は、通常、不活性炭化水素溶媒中でエチレンとα−オレフィンと非共役ジエンとを共重合させることによって製造される。
不活性炭化水素溶媒としては、脂肪族炭化水素(ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン等)、脂環族炭化水素(シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン等)等が挙げられる。不活性炭化水素溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。原料の単量体も、炭化水素溶媒として利用できる。
【0025】
重合開始剤としては、不均一系触媒および均一系触媒のいずれの触媒も用いることができる。
不均一系触媒としては、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とを組み合わせたバナジウム系触媒等が挙げられる。
均一系触媒としては、メタロセン系触媒等が挙げられる。
【0026】
(単量体成分(G))
単量体成分(G)は、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含む。必要に応じて、他のビニル系単量体を含んでいてもよい。
【0027】
芳香族ビニル系単量体としては、α−メチル基を有する芳香族ビニル系単量体と、α−メチル基を有さない芳香族ビニル系単量体とを併用する。
α−メチル基を有する芳香族ビニル系単量体としては、α−メチルスチレン、イソプロペニルトルエン、o−エチルα−メチルスチレン、t−ブチルα−メチルスチレン、α−メチルジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルα−メチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルα−メチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノメチルα−メチルスチレン、α−メチルビニルピリジン、α−メチルビニルキシレン、α−メチルビニルナフタレンが挙げられ、α−メチルスチレンが好ましい。α−メチル基を有する芳香族ビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
α−メチル基を有する芳香族ビニル系単量体の割合は、芳香族ビニル系単量体(100質量%)のうち、10〜80質量%であり、20〜70質量%が好ましい。α−メチル基を有する芳香族ビニル系単量体の割合が10質量%未満では、射出成形時の熱可塑性エラストマー(F)または組成物の流動性、二色成形性が劣る傾向になる。α−メチル基を有する芳香族ビニル系単量体の割合が80質量%を超えると、重合反応性が悪化する傾向になり、この場合も熱可塑性エラストマー(F)または組成物の二色成形性が低下する傾向になる。
【0029】
α−メチル基を有さない芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、t−ブチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン、メチルスチレン等が挙げられ、スチレンが好ましい。α−メチル基を有さない芳香族ビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、アクリロニトリルが好ましい。シアン化ビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
本明細書においては、(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを意味する。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル等が挙げられ、(メタ)アクリル酸メチルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
他のビニル系単量体としては、不飽和無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等)、不飽和酸(アクリル酸、メタクリル酸等)、イミド化合物(マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等)、エポキシ基含有不飽和化合物(α,β−不飽和ジカルボン酸の、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等)、不飽和カルボン酸アミド(アクリルアミド、メタクリルアミド等)、水酸基含有不飽和化合物(3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス,トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、ヒドロキシスチレン等)、オキサゾリン基含有不飽和化合物(ビニルオキサゾリン等)等が挙げられる。
【0033】
芳香族ビニル系単量体の仕込み量は、単量体成分(G)(100質量%)のうち、10〜42質量%であり、12〜37質量%が好ましい。芳香族ビニル系単量体が10質量%未満では、熱可塑性エラストマー(F)または組成物の流動性、二色成形性が劣る傾向になる。芳香族ビニル系単量体が42質量%を超えると、成形品の耐候性が悪化する傾向になる。
シアン化ビニル系単量体の仕込み量は、単量体成分(G)(100質量%)のうち、1〜14質量%であり、2〜8質量%が好ましい。シアン化ビニル系単量体が1質量%未満では、熱可塑性エラストマー(F)または組成物の二色成形性が劣る傾向になる。シアン化ビニル系単量体が14質量%を超えると、成形時のガスの発生が顕著になる傾向になり、熱可塑性エラストマー(F)または組成物の流動性、二色成形性も悪化する傾向になる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体の仕込み量は、単量体成分(G)(100質量%)のうち、52〜85質量%であり、55〜80質量%が好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系単量体が52質量%未満では、成形品の耐候性が劣る傾向になる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体が85質量%を超えると、熱可塑性エラストマー(F)または組成物の流動性が悪化する傾向になる。
他のビニル系単量体の仕込み量は、通常、単量体成分(G)(100質量%)のうち、0〜5質量%である。
【0034】
(熱可塑性エラストマー(F)の製造方法)
熱可塑性エラストマー組成物(F)は、ゴム成分である、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)の存在下に、単量体成分(G)を重合することにより製造される。
【0035】
エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)の割合は、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)と単量体成分(G)との合計(100質量%)のうち、65〜90質量%であり、75〜85質量%が好ましい。エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)が65質量%未満では、成形品の屈曲性が劣る傾向になる。エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)が90質量%を超えると、熱可塑性エラストマー(F)または組成物の二色成形性が劣る傾向になる。
単量体成分(G)の割合は、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)と単量体成分(G)との合計(100質量%)のうち、35〜10質量%であり、25〜15質量%が好ましい。
【0036】
重合法としては、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法が挙げられ、ミクロンオーダーの乳化ゴム粒子表面への選択的にグラフト重合を行うことができる点や高ゴム系での反応の容易さの点から、乳化重合法が好ましい。
【0037】
乳化重合法においては、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)のラテックスに単量体成分(G)を添加してもよく;エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)のラテックスの一部に単量体成分(G)を添加し、単量体成分(G)の重合途中にエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)のラテックスの残部を添加してもよく;単量体成分(G)の重合途中にエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)のラテックスの全部を添加してもよい。
【0038】
単量体成分(G)の添加は、一括、分割、または連続のいずれでもよく、これらを組み合わせてもよい。
エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)のラテックスは、溶媒置換法、または特公平7−8933号公報等に記載の水性分散体の製造方法により調製できる。
乳化重合法の場合の重合温度は、10〜90℃が好ましく、40〜80℃がより好ましい。該温度範囲であれば、容易に乳化重合を行うことができる。
【0039】
単量体成分(G)の重合においては、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤(乳化重合法の場合)等を用いてもよい。
【0040】
乳化重合法の場合の重合開始剤としては、ハイドロパーオキサイド、過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル等の開始剤が挙げられ、乳化ゴム粒子表面へ選択的に重合を行うことができる点や油溶性単量体への溶解が容易な点から、ハイドロパーオキサイド系油溶性開始剤が好ましい。
ハイドロパーオキサイド系油溶性開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。レドックスの組み合わせとしては、熱可塑性エラストマー(F)または組成物を成形した後の臭気、ラテックスのpHにおける重合安定性を考慮すると、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウムおよびデキストローズからなるものが好ましい。
重合開始剤の添加は、一括、分割、連続のいずれでもよい。
重合開始剤の量は、単量体成分(G)(100質量%)に対し、通常、0.5〜2.0質量%程度である。
【0041】
連鎖移動剤としては、メルカプタン類(オクチルメルカプタン、n−,t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−,t−テトラデシルメルカプタン等)、テトラエチルチウラムスルフィド、四塩化炭素、臭化エチレン、炭化水素類(ペンタフェニルエタン等)、アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。連鎖移動剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
連鎖移動剤の添加は、一括、分割、連続のいずれでもよい。
連鎖移動剤の量は、単量体成分(G)(100質量%)に対し、通常、2.0質量%以下である。
【0042】
乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸スルホン酸塩、リン酸系塩、脂肪酸塩、アミノ酸誘導体塩等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アニオン部にカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等を有し、カチオン部にアミン塩、第4級アンモニウム塩等を有するものが挙げられる。
界面活性剤の量は、単量体成分(G)(100質量%)に対し、通常、0.3〜5.0質量%程度である。
【0043】
乳化重合法によって得られた熱可塑性エラストマー(F)のラテックスには、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよい。
乳化重合の後、熱可塑性エラストマー(F)のラテックスから樹脂固形分を凝析剤で凝析させる。凝析剤としては、射出成形時の流動性、二色成形性の点から、酸性物質を含むものが好ましい。
酸性物質としては、硫酸、酢酸、塩酸等が挙げられる。
凝析剤として、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の塩を酸性物質と併用してもよい。
【0044】
<熱可塑性エラストマー組成物>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性エラストマー(F)を含むものである。
【0045】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、要求される性能に応じて、他の樹脂(D)を含んでいてもよい。
他の樹脂(D)としては、熱可塑性樹脂、または熱可塑性エラストマー(F)以外の他の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド、アクリル系樹脂、ポリエステル(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリカーボネート、アイオノマー等が挙げられる。
他の熱可塑性エラストマーとしては、TPO、TPEE、TPAE、TPU、TPS等が挙げられる。
【0046】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物としては、下記の熱可塑性エラストマー組成物(H)または熱可塑性エラストマー組成物(I)が好ましい。
(H)熱可塑性エラストマー(F)と芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)とを含む組成物。
(I)熱可塑性エラストマー(F)と芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)とエチレン−α−オレフィン共重合体(C)とを含む組成物。
【0047】
(熱可塑性エラストマー組成物(H))
熱可塑性エラストマー組成物(H)は、熱可塑性エラストマー(F)と芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)とを含む組成物である。
芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)としては、芳香族ビニル共重合体ブロック(b1)とオレフィン系共重合体ブロック(b2)とからなるブロック共重合体が好ましい。該ブロック共重合体の構造としては、ジブロックまたはトリブロックが好ましい。例えば、(b1)−〔(b2)−(b1)〕、〔(b2)−(b1)〕(ただし、nは1以上の整数である。)で表される構造が好ましく、(b1)−(b2)−(b1)、(b2)−(b1)で表される構造がより好ましい。
【0048】
芳香族ビニル共重合体ブロック(b1)は、芳香族ビニル系単量体の重合体からなる。
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられ、重合性や経済性の点から、スチレンが好ましい。芳香族ビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
芳香族ビニル共重合体ブロック(b1)の割合は、芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)(100質量%)のうち、10〜40質量%が好ましい。芳香族ビニル共重合体ブロック(b1)が10質量%以上であれば、成形品の引裂強度が良好となる。芳香族ビニル共重合体ブロック(b1)が40質量%以下であれば、成形品の屈曲性が良好となる。
【0050】
オレフィン系共重合体ブロック(b2)は、共役ジエン系単量体の重合体の水素添加物、または飽和ビニル系単量体の重合体からなる。
共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、イソブチレン等が挙げられ、工業的に利用でき、物性の優れた水添ジエン系ゴム質重合体を得るには、1,3−ブタジエン、イソプレン、イソブチレンが好ましい。
【0051】
熱可塑性エラストマー(F)の割合は、熱可塑性エラストマー(F)と芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)との合計(100質量%)のうち、22〜75質量%が好ましい。熱可塑性エラストマー(F)が22質量%以上であれば、熱可塑性エラストマー組成物(H)の二色成形性が良好となる。熱可塑性エラストマー(F)が75質量%以下であれば、成形時のガスの発生が少なく、成形品の外観が良好となる。
【0052】
芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)の割合は、熱可塑性エラストマー(F)と芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)との合計(100質量%)のうち、25〜78質量%が好ましい。芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)が25質量%以上であれば、成形品の屈曲性が良好となる。芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)が78質量%以下であれば、熱可塑性エラストマー組成物(H)の流動性が良好となる。
【0053】
熱可塑性エラストマー組成物(H)は、要求される性能に応じて、他の樹脂(D)を含んでいてもよい。
他の樹脂(D)としては、熱可塑性樹脂、または熱可塑性エラストマー(F)および芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)以外の他の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド、アクリル系樹脂、ABS樹脂、ポリエステル(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリカーボネート、アイオノマー等が挙げられる。
他の熱可塑性エラストマーとしては、TPO、TPEE、TPAE、TPU、TPS等が挙げられる。
他の樹脂(D)の割合は、熱可塑性エラストマー組成物(H)(100質量%)のうち、0〜20質量%が好ましい。
【0054】
(熱可塑性エラストマー組成物(I))
熱可塑性エラストマー組成物(H)において、他の樹脂(D)がエチレン−α−オレフィン共重合体(C)(ただし、前記エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)を除く。)である場合には、特異的に成形品の引裂強度が向上する。該組成物を熱可塑性エラストマー組成物(I)とする。
【0055】
エチレン−α−オレフィン共重合体(C)は、エチレンとα−オレフィンとを共重合して得られたゴム質共重合体である。
α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられ、1−オクテンが好ましい。α−オレフィンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0056】
エチレンの仕込み量は、エチレンとα−オレフィンとの合計(100質量%)のうち、40〜90質量%が好ましい。
α−オレフィンの仕込み量は、エチレンとα−オレフィンとの合計(100質量%)のうち、10〜60質量%が好ましい。α−オレフィンが10質量%以上であれば、エチレン−α−オレフィン共重合体(C)のゴム弾性が十分となるため、成形品の屈曲性が良好となる。α−オレフィンが60質量%以下であれば、成形品の耐候性が良好となる。
【0057】
エチレン−α−オレフィン共重合体(C)のML1+4、125℃におけるムーニー粘度は、5〜30が好ましい。ムーニー粘度が5以上であれば、成形品の引裂強度が良好となる。ムーニー粘度が30以下であれば、熱可塑性エラストマー組成物(I)の射出成形時における流動性が良好となる。
【0058】
エチレン−α−オレフィン共重合体(C)は、通常、不活性な炭化水素溶媒中でエチレンとα−オレフィンとを共重合させることによって製造される。
不活性炭化水素溶媒としては、脂肪族炭化水素(ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン等)、脂環族炭化水素(シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン等)等が挙げられる。不活性炭化水素溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。原料の単量体も、炭化水素溶媒として利用できる。
【0059】
重合開始剤としては、不均一系触媒および均一系触媒のいずれの触媒も用いることができる。
不均一系触媒としては、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とを組み合わせたバナジウム系触媒等が挙げられる。
均一系触媒としては、メタロセン系触媒等が挙げられる。
【0060】
熱可塑性エラストマー(F)の割合は、熱可塑性エラストマー(F)と芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)とエチレン−α−オレフィン共重合体(C)との合計(100質量%)のうち、22〜75質量%が好ましい。熱可塑性エラストマー(F)が22質量%以上であれば、熱可塑性エラストマー組成物(I)の二色成形性が良好となる。熱可塑性エラストマー(F)が75質量%以下であれば、成形時のガスの発生が少なく、成形品の外観が良好となる。
【0061】
芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)の割合は、熱可塑性エラストマー(F)と芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)とエチレン−α−オレフィン共重合体(C)との合計(100質量%)のうち、23〜76質量%が好ましい。芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)が23質量%以上であれば、成形品の屈曲性が良好となる。芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)が76質量%以下であれば、熱可塑性エラストマー組成物(I)の流動性が良好となる。
【0062】
エチレン−α−オレフィン共重合体(C)の割合は、熱可塑性エラストマー(F)と芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)とエチレン−α−オレフィン共重合体(C)との合計(100質量%)のうち、2〜20質量%が好ましい。エチレン−α−オレフィン共重合体(C)が2質量%以上であれば、成形品の引裂強度が良好となる。エチレン−α−オレフィン共重合体(C)が20質量%以下であれば、熱可塑性エラストマー組成物(I)の二色成形性が良好となる。
【0063】
熱可塑性エラストマー組成物(I)は、要求される性能に応じて、他の樹脂(D)を含んでいてもよい。
他の樹脂(D)としては、熱可塑性樹脂、または熱可塑性エラストマー(F)および芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)以外の他の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド、アクリル系樹脂、ABS樹脂、ポリエステル(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリカーボネート、アイオノマー等が挙げられる。
他の熱可塑性エラストマーとしては、TPO、TPEE、TPAE、TPU、TPS等が挙げられる。
他の樹脂(D)の割合は、熱可塑性エラストマー組成物(I)(100質量%)のうち、0〜18質量%が好ましい。
【0064】
(熱可塑性エラストマー組成物の製造方法)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、公知の混練り手段を用い、混練り温度180〜280℃で各成分を混練りすることにより製造される。
混練り手段としては、各種押し出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダー、フィーダールーダー等が挙げられ、押し出し機、バンバリーミキサー、ニーダーが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、混練りの押し出し機での多段添加式でペレット化してもよく、バンバリーミキサー、ニーダー等による混練り後に押し出し機でペレット化してもよい。
【0065】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、必要に応じて、難燃剤、フィラー(炭酸カルシウム、タルク、ガラス繊維、ガラスフィラー、炭素繊維等)、可塑剤(オイル、流動パラフィン等)、加工助剤、酸化防止剤(イオウ系、リン系、ヒンダードフェノール系等)、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、抗菌剤等の公知の添加剤を添加してもよい。
【0066】
<成形品>
本発明の成形品は、熱可塑性エラストマー(F)または本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなるものである。
成形法としては、射出成形法、共押し出し成形法、押し出し成形法、真空成形法、発泡成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられる。
【0067】
熱可塑性エラストマー(F)および本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、流動性がよく、成形時のガスの発生が少なく、ABS樹脂、耐熱ABS樹脂、PC/ABSアロイ等の極性樹脂およびポリプロピレン(PP)等の非極性樹脂の双方に熱溶着することから、二色成形品に有用である。具体例としては、熱可塑性エラストマー(F)および本発明の熱可塑性エラストマー組成物を極性樹脂または非極性樹脂の被覆材として用いることができる。また、熱可塑性エラストマー(F)および本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、多層成形にて極性樹脂と非極性樹脂との接着性樹脂として用いることができる。
【0068】
本発明によれば、従来ではなし得なかった、熱可塑性エラストマーおよびスチレンマトリクス系エラストマー(ABS樹脂等)の両方の特長、すなわち耐候性、屈曲性、引裂強度に優れた成形品を得ることができ、流動性がよく、成形時のガスの発生が少なくフローマークも発生しにくいという特長を有し、かつ二色成形に用いた場合、ABS樹脂、耐熱ABS樹脂、PC/ABSアロイ等の極性樹脂およびポリプロピレン(PP)等の非極性樹脂の双方に熱溶着するという特長を有する熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性エラストマー組成物を提供できる。
【実施例】
【0069】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例になんら制約されるものではない。なお、実施例中、部および%は、特に断らない限り、質量基準である。
また、実施例中の各種評価は、下記のように行った。
【0070】
(MFR)
エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)のMFRを、株式会社安田精機製作所製のメルトインデクサーSAS−2000を用い、ISO1133に準拠し、230℃、21.17Nの条件にて測定した。
【0071】
(ムーニー粘度)
エチレン−α−オレフィン共重合体(C)のムーニー粘度を、JIS K6300に準拠し、株式会社上島製作所製のムーニー粘度計VR−1130を用い、測定温度125℃、予熱1分、測定4分で測定した。
【0072】
(二色成形性)
100mm×100mm×3mm平板の金型に100mm×100mm×1mmの1次樹脂成形品(ABS樹脂、耐熱ABS樹脂、PC/ABSアロイまたはポリプロピレン)をセットし、熱可塑性エラストマー(F)、熱可塑性エラストマー組成物(H)または熱可塑性エラストマー組成物(I)を、シリンダー温度220℃にて射出し、100mm×100mm×3mmの二色成形品を得た。
得られた二色成形板の角の部分において、1次樹脂成形品とエラストマーとをニッパー等で2〜3cm引き剥がした後、1次樹脂成形品を片手で押さえ、エラストマーをもう一方の手で持ち、引き剥がすことによって、二色成形性の官能試験を行い、下記の基準にて評価した。
◎◎:手の力では剥がれない(材料破壊)。
◎:何度も強く引っ張らなければ剥がれない(材料破壊)。
○:簡単には剥がれず、引き剥がし後の基材界面が材料破壊している。
△:弱い力で引っ張り続けると剥がれてくる。
×:簡単に剥がれる。
【0073】
(硬度)
熱可塑性エラストマー(F)、熱可塑性エラストマー組成物(H)または熱可塑性エラストマー組成物(I)を射出成形し、100mm×100mm×3mmの成形品を得た。
得られた成形品の硬度(ショアA)を、ISO868に準拠し、ショアA型硬度計(株式会社島津製作所製、A型)を用いて測定した。
【0074】
(耐候性)
熱可塑性エラストマー(F)、熱可塑性エラストマー組成物(H)または熱可塑性エラストマー組成物(I)の100部、チタンホワイトの5.0部、ステアリン酸カルシウムの0.3部を混練りして白色配合したペレットを得た後、これを射出成形し、100mm×100mm×3mmの成形品を得た。
得られた成形品を、カーボンアークを光源とするサンシャインウェザーメーター(スガ試験機株式会社製、WEL−6XS−DC)に下記の試験条件にて2000時間曝露し、分光白色測色計(スガ試験機株式会社製、SC10W)にて色差ΔEを測定した。
(試験条件)
ブラックパネル温度:63±3℃、
槽内湿度:60±5%RH、
降雨サイクル:2時間毎に18分、
カーボン交換サイクル:60時間。
【0075】
(屈曲性)
熱可塑性エラストマー(F)、熱可塑性エラストマー組成物(H)または熱可塑性エラストマー組成物(I)を射出成形し、JIS K6251の3号試験片を得た。
得られた試験片について、素手による折り曲げ白化試験(試験片を1回/1秒素手にて折り曲げ、合計100回繰り返す)を行った後、外観を目視により観察し、折り曲げ白化が観察されなければ、引き続き屈曲部分を観察しながら屈曲試験機による試験(安田精機製作所製、恒温槽付きデマチャ屈曲試験機ISO−132)を行い評価した。
◎◎:素手による折り曲げ試験で変化なし、かつ屈曲試験機で5万回以上変化なし。
◎:素手による折り曲げ試験で変化なし、かつ屈曲試験機1000回以上5万回未満で亀裂発生。
○:素手による折り曲げ試験で変化なし、かつ屈曲試験機1000未満で亀裂発生。
△:素手による折り曲げ試験で白化しないが形状が変化する。
×:素手による折り曲げ試験で白化する。
【0076】
(引裂強度)
熱可塑性エラストマー(F)、熱可塑性エラストマー組成物(H)または熱可塑性エラストマー組成物(I)を射出成形し、JIS K6252に準拠した厚さ2mm、アングル型の試験片を得た。
得られた試験片について、JIS K6252に準拠し、株式会社安田精機製作所製、引張試験機LR10Kを用いて引裂強度を測定した。
【0077】
(流動性)
熱可塑性エラストマー(F)、熱可塑性エラストマー組成物(H)または熱可塑性エラストマー組成物(I)のMFRを、株式会社安田精機製作所製のメルトインデクサーSAS−2000を用い、ISO1133に準拠し、220℃、98Nにて測定した。
【0078】
(ガス量)
熱可塑性エラストマー(F)、熱可塑性エラストマー組成物(H)または熱可塑性エラストマー組成物(I)を、カーボンブラック(対樹脂1phr)にて着色し、射出成形して100mm×100mm×3mmの平板成形品を得た。
得られた平板成形品のゲート部を中心に目視し、下記の基準にて評価した。
◎:全く曇りがない。
○:ほとんど曇りがない。
△:ゲート部分が少し曇る。
×:全体が曇っている。
【0079】
〔製造例1〕
エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A−1)の製造:
十分に窒素置換した内容量400部のステンレス製オートクレーブに、精製トルエンの160部、メチルアミノキサンの精製トルエン溶液(濃度:1.5mol/L、アルミニウム原子量換算)の0.80部を入れ、40℃に昇温した後、エチレンの70部、プロピレンの27部、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)の3部を加えた。ついで、ジシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリドの精製トルエン溶液(濃度:1.0mmol/L)の0.24部を加えて重合を開始させた。反応中は温度を40℃に保ち、20分間反応を行った。その後、メタノールを加えて反応を停止させ、水蒸気蒸留にて共重合体を回収し、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A−1)を得た。評価結果を表1に示す。
【0080】
〔製造例2〕
エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A−2)〜(A−10)の製造:
α−オレフィン、非共役ジエンの種類、量を、表1に示すように変更した以外は、製造例1と同様にしてエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A−2)〜(A−10)を得た。評価結果を表1に示す。
【0081】
【表1】

【0082】
〔製造例3〕
芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B−1)の製造:
オートクレーブ中に、シクロヘキサンの400部、イソプレンの87部、テトラヒドロフランの0.05部、n−ブチルリチウムの0.04部を入れ、60℃で4時間重合し、最後にスチレンの13部を加えて、60℃で4時間重合した。得られた活性重合体を、メタノールで失活させ、重合体溶液をジャケット付きの反応器に移し、水添触媒として、ジ−p−トリルビス(1−シクペンタジエニル)チタニウム/シクロヘキサン溶液(濃度1mmol/L)の5.0部とn−ブチルリチウム溶液(濃度5mmol/L)の1.0部とを0℃、2.0kg/cmの水素圧下で混合したものを加え、水素分圧3.0kg/cmにて30分間、重合体あたり0.2部のトルエンを加え、溶剤を除去し、芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B−1)を得た。
【0083】
〔製造例4〕
芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B−2)〜(B−4)の製造:
イソプレンおよびスチレンの量を、表2に示すように変更した以外は、製造例3と同様にして芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B−2)〜(B−4)を得た。
【0084】
〔製造例5〕
芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B−5)の製造:
イソプレンを1,3−ブタジエンに変更し、1,3−ブタジエンおよびスチレンの量を、表2に示す量に変更した以外は、製造例3と同様にして芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B−5)を得た。
【0085】
芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B−6)として、下記のものを用意した。
(B−6):カネカ株式会社製、SIBSTAR 073T。
【0086】
【表2】

【0087】
〔製造例6〕
エチレン−α−オレフィン共重合体(C−1)の製造:
十分に窒素置換した内容量400部のステンレス製オートクレーブに、精製トルエンの160部、メチルアミノキサンの精製トルエン溶液(濃度:1.5mol/L、アルミニウム原子量換算)の0.80部を入れ、40℃に昇温した後、エチレンの80部、オクテンの20部を加えた。ついで、ジシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリドの精製トルエン溶液(濃度:1.0mmol/L)の0.24部を加えて重合を開始させた。反応中は温度を40℃に保ち、20分間反応を行った。その後、メタノールを加えて反応を停止させ、水蒸気蒸留にて共重合体を回収し、エチレン−α−オレフィン共重合体(C−1)を得た。評価結果を表3に示す。
【0088】
〔製造例7〕
エチレン−α−オレフィン共重合体(C−2)〜(C−6)の製造:
触媒量、エチレン、オクテンまたはブチレンの量を、表3に示すように変更した以外は、製造例6と同様にして、エチレン−α−オレフィン共重合体(C−2)〜(C−6)を得た。評価結果を表3に示す。
【0089】
【表3】

【0090】
他の樹脂(D)として、下記のものを用意した。
(D−1):アイオノマー(三井・デュポン株式会社製、ハイミラン1650)。
(D−2):熱可塑性ポリアミドエラストマー(TPAE)(宇部興産株式会社製、UBESTA XPA XPA9063X1)。
(D−3):熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)(東レ・デュポン株式会社製、ハイトレル #5557)。
(D−4):熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPO)(三井化学株式会社製、ミラストマー7030N)。
(D−5):熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)(BASF社製、エラストラン、ET−630)。
(D−6):スチレンマトリクス系エラストマー材料(ASA)(UMG ABS株式会社製、ダイヤラック SV10)。
【0091】
〔実施例1〕
熱可塑性エラストマー(F−1)の製造:
エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A−1)、該共重合体の100部に対して10部の酸変性ポリオレフィン(三井化学製、ハイワックス2203A)および3部のオレイン酸カリウムを、二軸押出機(スクリュー径:30mm、L/D:40、バレル温度:200℃)の投入口から供給して溶融混練しながら、該二軸押出機のベント部に設けた供給口より14%の水酸化カリウム水溶液を、酸変性ポリオレフィンの100部に対する水の量が4部になるように1.8MPaで圧入した。二軸押出機の先端より押し出された固形状の水性分散体を、165部の温水中に分散させて、固形分濃度が40%のエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A−1)のラテックスを得た。
【0092】
ついで、攪拌機付きステンレス重合槽に、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A−1)のラテックスの80部(固形分)、水の170部(ラテックス中の水分も含む)、水酸化ナトリウムの0.01部、ピロリン酸ナトリウムの0.45部、硫酸第一鉄の0.05部、デキストローズの0.57部を入れ、75℃に加温した後、これに、メタクリル酸メチルの13.6部(単量体成分(G)100%のうち68%)、スチレンの3.2部(単量体成分(G)100%のうち16%)、α−メチルスチレンの2.0部(単量体成分(G)100%のうち10%)、アクリロニトリルの1.2部(単量体成分(G)100%のうち6%)からなる単量体成分(G)の20部およびターシャリーブチルハイドロパーオキサイドの1.0部からなる溶液を80分間で滴下して重合した。得られたラテックスを、水の330部および硫酸の2.3部(樹脂固形分100%に対して2.5%)からなる硫酸水溶液に加え、樹脂固形分を凝析させた後、乾燥して熱可塑性エラストマー(F−1)の粉体を得た。
【0093】
熱可塑性エラストマー(F−1)を、30mmφの真空ベント付き押し出し機(220℃、700mmHg真空)にてペレット化した。
得られたペレットを、株式会社東芝製の型締め圧力50トンの射出成形機により、成形し、各種評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0094】
〔実施例2〜38、比較例1〜10〕
熱可塑性エラストマー(F−2)〜(F−48)の製造:
表4〜表10に示すように、各成分の種類、量を変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー(F−2)〜(F−48)の粉体を得た。
得られた熱可塑性エラストマー(F−2)〜(F−48)について、実施例1と同様にして各種評価を行った。評価結果を表4〜表10に示す。
【0095】
【表4】

【0096】
【表5】

【0097】
【表6】

【0098】
【表7】

【0099】
【表8】

【0100】
【表9】

【0101】
【表10】

【0102】
〔実施例39〜55、比較例11〕
熱可塑性エラストマー組成物(H)の製造:
熱可塑性エラストマー(F)、芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)および他の樹脂(D)を、表11、表12に示す組成にて30mmφの真空ベント付き押し出し機(220℃、700mmHg真空)にてペレット化した。
得られたペレットを、株式会社東芝製の型締め圧力50トンの射出成形機により、成形し、各種評価を行った。評価結果を表11〜13に示す。
【0103】
【表11】

【0104】
【表12】

【0105】
【表13】

【0106】
〔実施例56〜71、比較例12〜18〕
熱可塑性エラストマー組成物(I)の製造:
熱可塑性エラストマー(F)、芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)、エチレン−α−オレフィン共重合体(C)および他の樹脂(D)を、表13、表14に示す組成にて30mmφの真空ベント付き押し出し機(220℃、700mmHg真空)にてペレット化した。
得られたペレットを、株式会社東芝製の型締め圧力50トンの射出成形機により、成形し、各種評価を行った。評価結果を表14〜17に示す。
【0107】
【表14】

【0108】
【表15】

【0109】
【表16】

【0110】
【表17】

【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の熱可塑性エラストマーまたはその組成物を用いた成形品(二色成形品)は、耐候性が必要とされる建材等の被覆材、極性樹脂や非極性樹脂との熱溶着性が求められる二色成形材料、インサート成形材料、共押し出し材料、例えば、手すりの表皮材料、エアコン吹き出し口ダンパーパッキンやスイッチボタン部品等として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)の存在下に、芳香族ビニル系単量体の2種以上と、シアン化ビニル系単量体の1種以上と、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の1種以上とを含む単量体成分(G)を重合して得られた熱可塑性エラストマー(F)であって、
前記エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)と前記単量体成分(G)との合計(100質量%)のうち、前記エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)が65〜90質量%であり、かつ前記単量体成分(G)が35〜10質量%であり、
前記単量体成分(G)(100質量%)のうち、前記芳香族ビニル系単量体が10〜42質量%であり、前記シアン化ビニル系単量体が1〜14質量%であり、かつ前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体が52〜85質量%であり、
前記芳香族ビニル系単量体が、α−メチル基を有する芳香族ビニル系単量体を含み、
前記芳香族ビニル系単量体(100質量%)のうち、前記α−メチル基を有する芳香族ビニル系単量体が10〜80質量%である、熱可塑性エラストマー(F)。
【請求項2】
前記α−メチル基を有する芳香族ビニル系単量体が、α−メチルスチレンである、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー(F)。
【請求項3】
前記エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)の存在下に前記単量体成分(G)を乳化重合して得られたラテックスを、酸性物質を含む凝析剤で凝析させて得られたものである、請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー(F)。
【請求項4】
前記エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)が、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体である、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー(F)。
【請求項5】
前記エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)のメルトフローレートが、3g/10分以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー(F)。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー(F)を含む、熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項7】
さらに、芳香族系飽和型熱可塑性エラストマー(B)を含む、請求項6に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項8】
さらに、エチレン−α−オレフィン共重合体(C)(ただし、前記エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体(A)を除く。)を含む、請求項7に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性エラストマーを成形してなる、成形品。
【請求項10】
請求項6〜8のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる、成形品。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性エラストマーと、他の樹脂材料とを二色成形してなる、成形品。
【請求項12】
請求項6〜8のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物と、他の樹脂材料とを二色成形してなる、成形品。

【公開番号】特開2009−298836(P2009−298836A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151860(P2008−151860)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(502163421)ユーエムジー・エービーエス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】