説明

熱可塑性エラストマー組成物、その製造方法および成形体

【課題】従来の熱可塑性エラストマーよりもゴム弾性に優れ、加硫ゴム同等レベルの物性
を有する熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法、並びに該組成物よりなる成形
体を提供する。
【解決手段】結晶性ポリオレフィン樹脂(A)およびエチレン・α−オレフィン・非共役ポ
リエン共重合体ゴム(B)[成分(A)、(B)の合計量は100重量部]を含む組成物であっ
て、(1)この示差走査型熱量計(DSC)により測定される融点のピーク値が80〜200
℃にあり、かつ、融解熱量(吸熱ピークエネルギー)の合計が2〜44J/gの範囲であ
り、(2)溶媒膨潤法により測定された架橋密度指数aが8.0×10−5モル/cm
6.0×10−4モル/cmであり、かつ(3)前記(A)の分子量分布Mz/Mnが10〜1
000[Mn:数平均分子量、Mz:Z平均分子量]であることを特徴とするオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法、さらに上記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を用いて得られる成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、軽量でリサイクルが容易であることから、省エ
ネルギー、省資源タイプのエラストマーとして、特に加硫ゴムの代替として自動車部品、
工業機械部品、電気・電子部品、建材等に広く使用されている。しかし、従来のオレフィ
ン系熱可塑性エラストマーは、一般に加硫ゴムに比べてゴム弾性および引張強度が劣ると
いう欠点があり、その改良が強く求められていた。
【0003】
また国際公開96/07681号パンフレット(特許文献1)には、エチレン・スチレ
ン・エチリデンノルボルネン共重合体とポリプロピレンとからなる熱可塑性架橋体が記載
されているが、この熱可塑性架橋体は、ゴム弾性、引張強度、低温特性および表面強度の
バランスが必ずしも充分ではなかった。
【特許文献1】国際公開96/07681号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の熱可塑性エラストマーよりもゴム弾性に優れ、加硫ゴム同等レベルの
物性を有する、熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法、並びに該組成物を用いて成形された成形体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の[1]〜[15]により提供される。
[1] 結晶性ポリオレフィン樹脂(A)およびエチレン、炭素数3〜20のα−オレフ
ィン及び非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴ
ム(B)[成分(A)、(B)の合計量は100重量部]を含む組成物であって、
(1)この示差走査型熱量計(DSC)により測定される融点のピーク値が80〜200
℃、融解熱量(吸熱ピークエネルギー)の合計が2〜44J/g
(2)溶媒膨潤法により測定された架橋密度指数aが8.0×10−5モル/cm〜6.0×10−4モル/cm
(3)前記(A)の分子量分布がMz/Mnが10〜1000であり[Mn:数平均分子
量、Mz:Z平均分子量]
であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
〔2〕さらに、(4)ショア硬度がA1〜A90であることを特徴とする前記〔1〕に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
【0006】
[3] 前記結晶性ポリオレフィン樹脂(A)からなる海相に、前記エチレン・α−オレ
フィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)が島相として微分散化され、電子顕微鏡(E
M)を用いた観察写真の画像解析により得られたゴム島相の円相当の平均粒子径dnが5
μm以下であり、且つゴム島相の粒径分布dv/dn(dvはゴム島相の円相当の体積平
均粒子径)が1.5以下であることを特徴とする前記[1]又は〔2〕に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
【0007】
[4]前記結晶性ポリオレフィン樹脂(A)と前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポ
リエン共重合体ゴム(B)の合計100重量部に対し、さらに軟化剤(C)を1〜200
重量部含有することを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
【0008】
[5]引張クリープ値(粘弾性試験機を用いて、0.6MPa一定荷重下、25℃から8
0℃まで2℃/minで昇温する際の伸び変化率)が20%以下であることを特徴とする
前記[1]〜[4]のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
【0009】
[6]圧縮クリープ回復値(圧縮クリープ測定機を用いて、80℃、1.0MPa一定荷
重で24時間放置し、荷重解放後、室温で1時間放置後の歪回復率)が10%以下である
ことを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラスト
マー組成物。
【0010】
[7]目ヤニ量(スクリュー径50mm、L/D=31、圧縮比=3.1のフルフライト
型スクリューを有する1軸押出機と、それに取り付けた開口部25mm×1mmのダイス
を用いて、前記押出機の導入部からダイス出口まで160から200℃のグラジエント昇
温により、テープ状の成形品を13kg/hで30分間押出した後、ダイスに付着した目
ヤニ、さらには成形品に付着した目ヤニを秤量し、総押出量で除した値)が2g/トン以
下であることを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性
エラストマー組成物。
【0011】
[8]前記結晶性ポリオレフィン樹脂(A)5〜60重量部および前記エチレン、炭素数
3〜20のα−オレフィン及び非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共
役ポリエン共重合体ゴム(B)40〜95重量部[成分(A)、(B)の合計量は100
重量部]を含む前記[1]〜[7]のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラスト
マー組成物。
【0012】
[9]結晶性ポリオレフィン樹脂(A)5〜60重量部が、プロピレン単独重合体及びプ
ロピレンとエチレン又は炭素数が4以上20以下のα−オレフィンとの共重合体からなる
群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記[1]〜[8]のいずれかに
記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
【0013】
[10]エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン及び非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)を架橋剤(D)及び架橋助剤(E
)を用いて部分的あるいは完全に架橋後、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)を混合するこ
とを特徴とする前記[1]〜[9]のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー組成物を製造することを特徴とするオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
【0014】
[11]結晶性ポリオレフィン樹脂(A1)とエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)とを含み、共重合体ゴム(B)からなるマ卜リックス相(海相)中に、ポリオレフィン樹脂(A1)の粒子が分散相(島相)として平均分散粒子径5μm以下で分散している海島構造を有する混合物を、原料として使用することを特徴とする前記〔10〕に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
【0015】
[12]結晶性ポリオレフィン樹脂(A)の一部である結晶性ポリオレフィン樹脂(A1
)とエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン及び非共役ポリエンからなるエチレン・
α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)を架橋剤(D)及び架橋助剤(E)
を用いて部分的あるいは完全に架橋後、残部の結晶性ポリオレフィン樹脂(A2)を混合
することを特徴とする前記[10]に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。((A1)と(A2)は同一でも異なってもよい)
[13]前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)又は前記結
晶性ポリオレフィン樹脂(A1)とエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体
ゴム(B)との合計量を100重量部とした時、架橋剤(D)を0.5〜3.0重量部及
び架橋助剤(E)を0.1〜3.0重量部の範囲で使用することを特徴とする前記[10]
又は[11]に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
【0016】
[14]結晶性ポリオレフィン樹脂(A1)と結晶性ポリオレフィン樹脂(A2)との重
量比が、(A1)/(A2)=10〜90/90〜10の範囲であることを特徴とする前
記[11]に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
〔15〕前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載されたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を用いて成形された成形体。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物は、その構成成分であるエチレン、炭素数3
〜20のα−オレフィン及び非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役
ポリエン共重合体ゴム(B)の架橋度を高めていること、結晶性ポリオレフィン樹脂(A
)の分子量分布を制御すること、さらには、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)からなる海
相に、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)が島相として
微分散化されていることにより、ゴム弾性、特には長期耐久性の指標とされるクリープ性
能に優れることから、シール性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明にかかる熱可塑性エラストマー組成物、その製造方法および成形体について具体的に説明する。
【0019】
本発明にかかる熱可塑性エラストマー組成物は、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)およ
びエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン及び非共役ポリエンからなるエチレン・α
−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)からなる組成物である。
【0020】
本熱可塑性エラストマー組成物において、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン
及び非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(
B)は柔軟性を付与するソフトセグメント(軟質相)を構成し、結晶性ポリオレフィン樹
脂(A)は擬似架橋構造を提供するハードセグメント(硬質相)を構成する。
【0021】
そして、エラストマー組成物において、前記ソフトセグメントからなる相(以下、島相
という。)が前記ハードセグメントからなる相(以下、海相という。)の中に分散する構
造を有していることが望ましい。
【0022】
まず、これらの各成分について説明する。
[結晶性ポリオレフィン樹脂(A)]
本発明で用いられる結晶性ポリオレフィン樹脂(A)の好ましい樹脂としては、後述
の架橋剤(D)と混合し加熱下で混練することによって、熱分解して分子量を減じ、樹脂
の流動性が増加する、オレフィン系のプラスチックが挙げられる。このようなオレフィン
系のプラスチックの具体的な例としては、以下のような単独重合体または共重合体が挙げ
られる。
【0023】
(1)プロピレン単独重合体
(2)プロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(3)プロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィンとのブロック共重合体
(4)1-ブテン単独重合体
(5)1-ブテンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(6)4-メチル-1-ペンテン単独重合体
(7)4-メチル-1-ペンテンと20モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
【0024】
上記のα−オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メ
チル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどが挙げられる。上記のオレフィン系のプ
ラスチックの中でも、プロピレン単独重合体及びプロピレンとエチレン又は炭素数が4以
上20以下のα−オレフィンとの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である
こと、プロピレン含量が50モル%以上のプロピレン・α−オレフィン共重合体が好まし
く、中でも、アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン・α−オレフィン共重合体、
たとえばプロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体、プロピレン・
1-ヘキセン共重合体、プロピレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体などが特に好ましい。
【0025】
本発明の結晶性ポリオレフィン樹脂(A)として共重合体が用いられる場合には、上記
α−オレフィンのほかスチレン、ビニルベンゼン等、非共役ポリエンでない成分を含むこ
とができる。また、該共重合体がエチリデンノルボルネン等の非共役ポリエンを含む場合
には、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)が擬似架橋構造を提供するハードセグメント(硬
質相)としての機能を損なわないよう、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン及び
非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)
等に加える前に予め水素添加することが好ましい。
【0026】
本発明で用いられる結晶性ポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレート(ASTM
D−1238−65T,230℃、2.16kg荷重)は、0.5〜80g/10分、
特に0.6〜30g/10分の範囲にあることが好ましい。
【0027】
本発明にかかる熱可塑性エラストマー組成物は、前記結晶性ポリオレフィン樹脂(A)の分子量分布Mz/Mnが10〜1000、好ましくは、10〜700、さらに好ましくは10〜400である。ここでMnは数平均分子量を表し、MzはZ平均分子量を表す。
Mz/Mnが上記範囲であると、押出成形時の不良原因となる目ヤニ量を削減した成形品を提供し得るという点で好ましい。
【0028】
上記結晶性ポリオレフィン樹脂(A)は、上記エチレン、炭素数3〜20のα−オレフ
ィン及び非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴ
ム(B)との合計100重量部に対し、好ましくは5〜60重量部の割合、さらに好ましくは5〜30重量部の割合で用いられる。
【0029】
また結晶性ポリオレフィン樹脂(A)の一部である結晶性ポリオレフィン樹脂(A1)
とエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン及び非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)を後述の架橋剤(D)及び架橋助剤(
E)を用いて部分的あるいは完全に架橋後、残部の結晶性ポリオレフィン樹脂(A2)を
後混合してなる((A1)と(A2)は同一でも異なってもよい)。結晶性ポリオレフィン
樹脂(A1)と後混合する結晶性ポリオレフィン樹脂(A2)との重量比が、(A1)/(A2)=10〜90/90〜10の範囲が好ましく、更に好ましくは(A1)/(A2)=40〜80/60〜20の範囲で用いられる。
【0030】
上記結晶性ポリオレフィン樹脂(A)が上記割合で用いられると、押出成形時の不良原
因となる目ヤニ量を削減した成形品を提供し得る組成物が得られる。
【0031】
[エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)]
本発明で用いられるエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン及び非共役ポリエンか
らなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)として、公知の各
種オレフィン系ゴムを用いることができる。ここで、エチレン・α−オレフィン・非共役
ポリエン共重合体ゴムは、エチレンと炭素原子数が3〜20のα−オレフィンと非共役ポ
リエンとからなる無定形ランダムな弾性共重合体が好ましく、ペルオキシドと混合し、加熱下で混練することによって、架橋して流動性が低下するか、あるいは流動しなくなるオレフィン系共重合体ゴムをいう。
【0032】
このようなオレフィン系共重合体ゴムとしては、具体的には、エチレン・α−オレフィ
ン・非共役ジエン共重合体ゴム[エチレン/α−オレフィン(モル比)=約90/10〜
50/50]などが挙げられる。本発明においては、エチレン、炭素数3〜20のα−オ
レフィン及び非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合
体ゴム(B)としてエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム[エチレン/
α−オレフィン(モル比)=90/10〜51/49]を用いることが好ましい。
【0033】
上記非共役ジエンとしては、具体的には、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、
シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等の非共役ジエン
などが挙げられる。これらのうちでは、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴ
ム、エチレン・1-ブテン・非共役ジエン共重合体ゴムが好ましく、特にエチレン・プロピ
レン・非共役ジエン共重合体ゴム、中でもエチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネ
ン共重合体ゴムが特に好ましい。
【0034】
また、非共役ジエン以外の非共役ポリエンとしては、具体的には、6,10-ジメチル-1,5,
9-ウンデカトリエン、5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、6,9-ジメチル-1,5,8-デカトリ
エン、6,8,9-トリメチル-1,5,8-デカトリエン、6-エチル-10-メチル-1,5,9-ウンデカトリ
エン、4-エチリデン-1,6-オクタジエン、7-メチル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、7-
メチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、7-エチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、6,7-ジ
メチル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、6,7-ジメチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、
4-エチリデン-1,6-デカジエン、7-メチル-4-エチリデン-1,6-デカジエン、7-メチル-6-プ
ロピル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-1,7-ノナジエン、8-メチル-4-エ
チリデン-1,7-ノナジエン、4-エチリデン-1,7-ウンデカジエン等の非共役トリエンなどが
挙げられる。
【0035】
本発明で用いられるエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン及び非共役ポリエンか
らなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)のムーニー粘度[
ML1+4(100℃)]は、10〜250が好ましく、特に50〜200の範囲内にあることが好ましい。
【0036】
また、このエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン及び非共役ポリエンからなるエ
チレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)のヨウ素価は、25以下で
あることが好ましい。エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン及び非共役ポリエンか
らなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)のヨウ素価がこの
ような範囲にあると、部分的にバランスよく架橋された熱可塑性エラストマー組成物が得
られる。
【0037】
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲で、上記エチレン・α−オレフィン
・非共役ポリエン共重合体ゴムと、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体
ゴム以外のゴムとを組合せて用いることもできる。このようなエチレン・α−オレフィン
・非共役ポリエン共重合体ゴム以外のゴムとしては、たとえばスチレン・ブタジエンゴム
(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)等のジエン系ゴム、シリコンゴ
ムなどが挙げられる。
【0038】
また、結晶性ポリオレフィン樹脂(A1)とエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)とを含み、共重合体ゴム(B)からなるマ卜リックス相(海相)中に、結晶性ポリオレフィン樹脂(A1)が分散相(島相)として平均分散粒子径5μm以下、好ましくは3μm以下で分散している海島構造を有する混合物を、本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の原料として使用するのが好ましい。平均分散粒子径は、エラストマーの切片を重金属で染色処理し、透過型電子顕微鏡などの電子顕微鏡で撮影した写真から求めることができる。
【0039】
[軟化剤(C)]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、軟化剤(C)を含むことができる。本発明に
おいては、軟化剤(C)は、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン及び非共役ポリ
エンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)とあらかじ
め分散された軟化剤(C−1)としての態様と、その他、後述の結晶性ポリオレフィン樹
脂(A)とともに用いられる軟化剤(C−2)としての態様との2つの態様にて用いるこ
とができる。
【0040】
本発明で用いられる軟化剤(C)としては、前記(C−1)及び(C−2)のいずれの
軟化剤についても、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。具体的には、プ
ロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の
石油系物質;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール類;ヒマシ油、アマニ
油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油;トール油、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリ
ン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ス
テアリン酸カルシウム等の脂肪酸またはその金属塩;石油樹脂、クマロンインデン樹脂、
アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルア
ジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;その他マイクロクリスタリンワ
ックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオ
コールなどが挙げられ、これらの中でエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムとの親和性の点からプロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等が好ましい。
【0041】
本発明に用いられる軟化剤(C)((C−1)と(C−2)の総和)は、結晶性ポリオ
レフィン樹脂(A)とエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)の
合計100重量部に対し、軟化剤(C)を好ましくは1〜200重量部、より好ましくは30〜100重量部の割合で用いることができる。上記のような割合で軟化剤を用いると、成形品のシール性能を低下させることなく、熱可塑性エラストマー組成物の流動性を十分に改善することができる。なお、本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、軟化剤として(C−2)としての態様のみにて用いることも、(C−1)としての態様のみにて用いることもできるが、(C−1)としての態様と(C−2)としての態様との両方の態様にて用いることもできる。
【0042】
[架橋剤(D)]
本発明で用いられる架橋剤(D)としては、有機過酸化物、イオウ、イオウ化合物、フ
ェノール樹脂等のフェノール系加硫剤などが挙げられる。これらの中では、有機過酸化物
が好ましい。
【0043】
本発明で用いられる有機過酸化物の具体例としては、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-
ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-
ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシン、1,3-ビス(tert-ブチルペル
オキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチル
シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイル
ペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド
、tert- ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルベンゾエート、tert-ブチルペ
ルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド
、tert- ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられる。
【0044】
これらの中では、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチ
ルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシン
、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペ
ルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオ
キシ)バレレートが好ましく、中でも、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル
)ベンゼンが最も好ましい。
【0045】
本発明における熱可塑性エラストマー組成物において、架橋剤(D)は、エチレン、炭
素数3〜20のα−オレフィン及び非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・
非共役ポリエン共重合体ゴム(B)の架橋度を高める目的から、前記エチレン・α−オレ
フィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)又は前記結晶性ポリオレフィン樹脂(A1)
とエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)との合計量を100重
量部に対して、好ましくは0.5〜3.0重量部、より好ましくは0.7〜3.0重量部
、さらに好ましくは1.0〜3.0重量部の割合で用いられる。
【0046】
[架橋助剤(E)]
本発明においては、上記架橋剤(D)による架橋処理に際し、架橋助剤(E)を用いることができる。この架橋助剤(E)として、具体的には、硫黄、p-キノンジオキシム、p,p'-ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N,4-ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、ビスマレイミド、トリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤;あるいは、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー;ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーなどが挙げられる。
【0047】
このような架橋助剤を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。これ
らの架橋助剤のなかでは、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレー
ト、ジビニルベンゼン、ビスマレイミドが好ましい。これらは、取扱いが容易であり、被
架橋処理物の主成分であるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B
)と、結晶性オレフィン系樹脂(A)との相溶性が良好であり、かつ、有機過酸化物を可
溶化する作用を有し、有機過酸化物の分散剤として働くため、熱処理による架橋効果が均
質で、流動性と物性とのバランスのとれたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が得
られる。
【0048】
本発明において、架橋助剤(E)は、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン
共重合体ゴム(B)又は前記結晶性ポリオレフィン樹脂(A1)とエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)との合計量を100重量部に対して、0.1〜3.0重量部の割合で用いることが好ましい。架橋助剤の配合量が上記範囲にあると、得られる熱可塑性エラストマー組成物は、架橋助剤がエラストマー中に未反応のモノマーとして残存することがないため、加工成形の際に熱履歴による物性の変化が生じることがなく、しかも、流動性に優れている。
【0049】
[その他の成分]
さらに、本発明で用いられる熱可塑性エラストマー組成物には、上記各成分のほか、必
要に応じて、従来公知の耐熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、帯電防止剤、充填剤、着
色剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0050】
[熱可塑性エラストマー組成物の特性]
本発明にかかる熱可塑性エラストマー組成物は、
(1)この示差走査型熱量計(DSC)により測定される融点のピーク値が80〜200
℃、好ましくは100〜200℃、さらに好ましくは120〜200℃にあり、かつ、融
解熱量(吸熱ピークエネルギー)の合計が2〜44J/g、好ましくは2〜35J/g、
皿に好ましくは2〜30J/gの範囲であり、かつ、
(2)溶媒膨潤法により測定された架橋密度指数aが8.0×10−5モル/cm〜6
.0×10−4モル/cm、好ましくは8.0×10−5モル/cm〜5.0×10
−4モル/cm、さらに好ましくは8.0×10−5モル/cm〜4.0×10−4
ル/cmであり、かつ
(3)前記(A)の分子量分布Mz/Mnが10〜1000、好ましくは、10〜70
0、さらに好ましくは10〜400であり、かつ、
さらに(4)ショア硬度がA10〜A90が好ましく、より好ましくは、A10〜85、さらに好ましくは、A15〜A85であることを特徴とする。
【0051】
(1)(4)は、結晶性ポリオレフィン樹脂の重量分率、(2)は架橋剤量、架橋助剤量、(3)は結晶性ポリオレフィン樹脂(A1)と結晶性ポリオレフィン樹脂(A2)との重量比で増減する。
【0052】
上記(1)の融点範囲にあることで、耐熱性に優れ、かつ、成形性にも優れており、か
つ、上記(1)融解熱量範囲および、上記(4)により柔軟性に優れ、かつ、上記(2)
により、シール性能に優れ、さらには、上記(3)により押出成形時の不良原因となる目
ヤニ量を削減した成形品を提供し得る組成物が得られる。
【0053】
また本発明にかかる熱可塑性エラストマー組成物は、 前記結晶性ポリオレフィン樹脂(A)からなる海相に、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)が島相として微分散化され、電子顕微鏡(EM)を用いた観察写真の画像解析により得られたゴム島相の円相当の平均粒子径dnが5μm以下であり、且つゴム島相の粒径分布dv/dn(dvはゴム島相の円相当の体積平均粒子径)が1.5以下であることが好ましい。
dnは好ましくは4μm以下、さらに好ましくは2μm以下であり、dnがこの範囲であると、ゴム弾性向上という点で好ましい。
また、ゴム島相の粒径分布dv/dnは、好ましくは1.45以下、さらに好ましくは1.4以下であり、dv/dnがこの範囲であると、ゴム弾性向上という点で好ましい。
【0054】
また、本発明にかかる熱可塑性エラストマー組成物は、 引張クリープ値(粘弾性試験機を用いて、0.6MPa一定荷重下、25℃から80℃まで2℃/minで昇温する際の伸び変化率)が好ましくは20%以下、更に好ましくは18%以下であることが好ましい。
引張クリープ値がこの範囲であると、ゴム弾性向上という点で好ましい。
【0055】
また、本発明にかかる熱可塑性エラストマー組成物は、圧縮クリープ回復値(圧縮クリープ測定機を用いて、80℃、1.0MPa一定荷重で24時間放置し、荷重解放後、室温で1時間放置後の歪回復率)が10%以下、更には9%以下であることが好ましい。
圧縮クリープ回復値がこの範囲であると、ゴム弾性向上という点で好ましい。
【0056】
また、本発明にかかる熱可塑性エラストマー組成物は、 目ヤニ量(スクリュー径50mm、L/D=31、圧縮比=3.1のフルフライト型スクリューを有する1軸押出機と、それに取り付けた開口部25mm×1mmのダイスを用いて、前記押出機の導入部からダイス出口まで160から200℃のグラジエント昇温により、テープ状の成形品を13kg/hで30分間押出した後、ダイスに付着した目ヤニ、さらには成形品に付着した目ヤニを秤量し、総押出量で除した値)が好ましくは2g/トン以下、更に好ましくは1.5g/トン以下であることが好ましい。
目ヤニ量がこの範囲であると、良押出成形性という点で好ましい。
【0057】
[熱可塑性エラストマー組成物の製造方法]
本発明にかかる熱可塑性エラストマー組成物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポ
リエン共重合体ゴム(B)を架橋剤(D)及び架橋助剤(E)を用いて部分的あるいは完
全に架橋後、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)を混合することにより得られる。
【0058】
ここで、前記結晶性ポリオレフィン樹脂(A)の一部である結晶性ポリオレフィン樹脂
(A1)とエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン及び非共役ポリエンからなるエチ
レン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)を予め混合したものに、架橋
剤(D)及び架橋助剤(E)を用いて部分的あるいは完全に架橋した後、残部の結晶性ポ
リオレフィン樹脂(A2)を混練させて得ることもできる。
【0059】
また、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)には、あらかじ
め軟化剤(C−1)が予め混練されていても良い。また、「動的架橋」とは、架橋剤の存
在下に溶融状態で混練することで架橋反応をせしめることをいう。
【0060】
混練は、解放型のミキシングロール、非解放型のバンバリーミキサー、ニーダー、一軸
または二軸押出機、連続ミキサーなどの混練装置により行なうが、非開放型の混練装置に
より行なうことが好ましい。また、架橋剤(D)等を添加後に行なう混練は、使用する有
機ペルオキシドの半減期が1分未満となる温度で行なうのが望ましいことから、その混練
温度は、通常150〜280℃が好ましく、更に好ましくは、170〜240℃であり、また、混練時間は、1〜20分間好ましく、更に好ましくは1〜5分間である。この混練にあたり、酸化防止剤を添加することがさらに好ましい。混練の際に加えられる剪断力は、通常、剪断速度で10〜104 sec-1が好ましく、更に好ましくは102 〜104 sec-1の範囲内で決定される。
【0061】
本発明の熱可塑性エラストマーを製造する際に軟化剤を使用する場合、架橋剤(D)等
との混練に先立ち、軟化剤(C−1)として予めエチレン・α−オレフィン・非共役ポリ
エン共重合体ゴム(B)等とともに混練することもできる。また、本発明においては、軟
化剤を軟化剤(C−2)として、架橋剤(D)等とともに混練、及び/もしくは、動的架
橋後混練することもできる。加えて、軟化剤(C−1)として予めエチレン・α−オレフ
ィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)等とともに予め混練した後、さらに、軟化剤(
C−2)として、架橋剤(D)等とともに混練、及び/もしくは、動的架橋後混練するこ
ともできる。
【0062】
本発明においては、軟化剤(C)を、架橋剤(D)等との混練に先立ち(C−1)とし
て予めエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)等とともに混練す
るとともに、架橋剤(D)等との混練時、および動的架橋後の混練の際にも(C−2)と
して使用することが好ましい。
【0063】
[熱可塑性エラストマー組成物で製造される成形体]
本発明に係る熱可塑性エラストマーは、従来公知の成形方法、たとえば押出成形、プレ
ス成形、射出成形、カレンダー成形、ブロー成形等の各種の成形方法を採用することがで
きる。これらの成形方法により、成形体を製造することができる。成形品としては、自動
車部品、工業機械部品、電気電子部品、土木建築部品、医療部品などの用途に供され、柔
軟性、機械的強度、形状回復性、反撥弾性などが要求されるものがあげられる。
【0064】
また、本発明に係る熱可塑性エラストマーは、公知の発泡方法を用いて発泡体とするこ
ともできる。
【実施例】
【0065】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定され
るものではない。
【0066】
なお、実施例および比較例で得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の融点
のピーク値及び融解熱量、架橋密度指数a、分子量分布、分散状態の各指数(架橋ゴムの
平均粒子径dn、架橋ゴムの体積平均粒子径dvおよび架橋ゴムの粒径分布dv/dn)
の測定、さらには引張クリープ値、圧縮クリープ回復値、目ヤニ量、メルトフローレート
(MFR)、硬度(ショアーA)、の測定は次の方法により行った。
【0067】
(1)融点、融解熱量 ; 示差走査型熱量計(DSC)
JIS K7121に従って測定した。オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を2
20℃でプレス成形して5分間保持した後、室温まで約10℃/minの冷却速度で冷却
プレスしてシートを成形する。DSCを用いて、20℃から10℃/minで220℃ま
で昇温し、80〜200℃にある融点(もっとも大きな吸熱ピーク温度)、および、融解
熱量(吸熱ピークエネルギーの合計)を測定した。
【0068】
(2)架橋密度指数a
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を210℃でプレス成形した厚み2±0.0
5mmのシートを用いた。該シートから20mm×20mm×2mmの試験片を打ち抜き
、JIS K6258に準拠し、37℃のトルエン50cm中に72時間浸漬し膨潤さ
せ、平衡膨潤を利用した下記Flory−Rehnerの式(i)から求めた。
F l o r y − R e h n e r の式
架橋密度指数a(モル/cm
={V+ln(1−V)+μV}/−V(V1/3−V/2) (i)
ここで、
: 膨潤した熱可塑性エラストマー組成物中における純ゴムの容積分率
μ: ゴム− 溶剤間の相互作用定数で0.49
:トルエンの分子容108.15cm
は式(ii)により求めた。
【0069】
=Vr/(Vr+Vs) (ii)
ここで、Vr:試験片中の純ゴム容量(cm)、Vs:試験片に吸収された溶剤の容量
(cm
なお、試験片中の純ゴム容量が不明の場合は、以下の方法で実測した。
【0070】
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を210℃でプレス成形し、200μm〜3
00μmのフィルムを作製し、これを3mm〜5mm角の細片に切り、約5gを精秤後、
抽出溶媒であるメチルエチルケトンを用い、抽出時間12時間以上でソックスレー抽出を
行ない軟化剤を抽出した。
【0071】
次いで抽出残を100mlの熱キシレンに入れ、撹拌しながら3時間加熱後、熱いうち
に精秤した325メッシュのステンレススチール製の金網を用いて濾過し、金網に残った
濾過残の乾燥重量を架橋したゴム重量とした。抽出残中にフィラーが含まれている場合は
、熱天秤TGAを用いて窒素雰囲気で850℃まで昇温後、雰囲気を空気に切り替え、1
9分間保持し減少重量を求めゴム重量とした。
【0072】
一方、熱キシレン抽出液を室温に戻し5 時間以上放置後、325メッシュのステンレ
ススチール製の金網を用いて濾過し、濾液の溶媒を完全に蒸発させた後の重量を非架橋の
ゴム重量とし、架橋したゴム重量と非架橋のゴム重量を合算し、これをゴムの比重で除し
、試験片中の純ゴム容量を求めた。
(3)結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)の分子量分布
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物をプレス成形し、200μm〜300μmの
フィルムを作製し、これを3mm〜5mm角の細片に切り、約5gを精秤後、抽出溶媒で
あるメチルエチルケトンを用い、抽出時間12時間以上でソックスレー抽出を行ない軟化
剤を抽出した。
【0073】
次いで抽出残を100mlの熱キシレンに入れ、撹拌しながら3時間加熱後、熱いうち
に精秤した325メッシュのステンレススチール製の金網を用いて濾過する。濾液を室温
に戻し5時間以上放置後、325メッシュのステンレススチール製の金網を用いて濾過し
、金網に残った濾過残を乾燥させ、GPC測定を行い、ISO16014などに従い、ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、Mz/Mnを算出した。
【0074】
(4)ゴム島相のdn、dv/dn
予めオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を凍結ミクロトームで薄片とし、四酸化
ルテニウム又は四酸化オスミウムの染色剤を使用して染色する。染色剤の選択にあたって
は、観察対象とするオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の高分子中に含まれる官能
基の種類により最適な染色剤を選択する必要がある。染色したオレフィン系熱可塑性エラ
ストマー組成物の薄片を電子顕微鏡(EM)を用いた観察写真の画像解析で倍率2000
倍に拡大して写真撮影する。
【0075】
架橋ゴムの平均粒子径dn、架橋ゴムの体積平均粒子径dvおよび架橋ゴムの粒径分布
dv/dnは、EM写真の画像解析より求められるものであるが、例えば、画像解析ソフ
トとして、Image−Pro PlusVer.4.0 for Windows(登録
商標)(MediaCybernetics社(USA)製、(株)プラネトロン販売)
等を用いることができる。
【0076】
画像解析より架橋ゴム粒子の面積を求め、架橋ゴムの平均粒子径dn、架橋ゴムの体積
平均粒子径dvおよび架橋ゴムの粒径分布dv/dnを計算することができる。具体的に
はJ.MACROMOL.SCI.−PHYS.,B38(5&6),527(1999
)に記載されている計算方法を用いることができる。
【0077】
(5)引張クリープ値
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を、210℃でプレス成形した厚み2±0.
05mmのシートを用いた。試験には動的粘弾性測定装置(TA INSTRUMENT
S社製 ARES)及び制御ソフトウエア(TA INSTRUMENTS社製 Orc
hestrator Version 7.1.2.3)を用いた。前記プレス成形した
シートから、図1に示す形状に打ち抜いた試験片を用い、Torsion Rectan
gular Geometryを介して装置に取り付けた。引張方向の荷重としてAxi
al Forceを−400±5g(この範囲で一定)に設定し、22±1℃から試験を
開始し、2℃/minの昇温速度で昇温した。途中25℃における平行部分の長さと、8
0℃における平行部分の長さを測定し、式(2)により引張クリープ値(単位 %)を算
出した。
引張クリープ値(%)=(L80−L25)/L×100 (2)
ここで、L25は25℃における平行部分の長さ(単位:mm)を、L80は80℃にお
ける平行部分の長さ(単位:mm)を、Lは初期の平行部分の長さ(=25、単位:m
m)を表す。
【0078】
(6)圧縮クリープ回復値
縦型射出成形機にて直径29.0mm、厚さ12.7mmの円柱状のオレフィン系熱可
塑性エラストマー組成物の成形品を製造し、ISO 8013:2006に準拠して、1
MPaの荷重で、23℃×24時間、80℃×24時間熱処理により圧縮クリープ試験を
行い、圧縮クリープ試験後 23℃恒温室で30分放置した後の厚さ(d1)を測定し、
圧縮クリープ測定前の厚さ(d0:今回は成形品の厚さ 12.7mm)と、(2)式を
用いることにより、圧縮クリープ回復値(単位 %)を計算した。
(圧縮クリープ回復値/%)=[(d0)−(d1)]÷(d0)×100・・・(2)
【0079】
(7)目ヤニ量
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を使用し、スクリュー径50mm、L/Dが
31、圧縮比が3.1のフルフライト型スクリューを有する1軸押出機と、それに取り付
けた開口部25mm×1mmのダイスを用いて、前記押出機の導入部からダイス出口まで
160から200℃のグラジエント昇温により、テープ状の成形品を13kg/hで30
分間押出した後、ダイスに付着した目ヤニ、さらには成形品に付着した目ヤニを秤量した

【0080】
(8)硬度
硬度は、JIS K6253に準拠して、ショアーA硬度を測定した。測定は、プレス
成形機によりオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のシートを作製し、A型測定器を
用い、押針接触後直ちに目盛りを読み取った。
【0081】
〔 実施例1〕
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−1)としてエチレ
ン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン共重合体ゴム[エチレン含量:78モル
%、プロピレン含量:22モル%、ヨウ素価:13、ムーニー粘度(ML1+4(100℃
))74]80重量部に対して、結晶性ポリオレフィン樹脂(A1−1)として、ポリプ
ロピレン樹脂 [プライムポリマー(株)製、銘柄名 J−700GP、ポリプロピレン単
独重合体、MFR=8.0g/10分 230℃、2.16kgf]20重量部、酸化防
止剤として[旭電化工業(株)製、商品名 アデカスタブAO−60]0.01重量部と
をバンバリーミキサーにより80〜170℃の温度で約3〜10分間混練した後、更に軟
化剤(C−1)としてパラフィン系プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名 PW−
90)を20重量部配合して、バンバリーミキサーにより170℃の温度で約3〜10分
間混練した。
【0082】
この後、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−1)と結晶性
ポリオレフィン樹脂(A1−1)の合計量100重量部に対し、架橋剤(D−1)として
有機過酸化物[日本油脂(株)製、商品名 パーブチルP]0.7重量部と、架橋助剤(
E−1)として エチレングリコールジメタクリレート[三新化学工業(株)製、商品名
サンエステルEG]0.5重量部とを、ラボプラストミル[型式 75C100、(株)東洋
精機製作所製、ローター回転数100rpm]により、温度200℃、ローター回転数1
00rpmで約5分間混練し、オレフィン系ゴム組成物を作製した。
【0083】
このオレフィン系ゴム組成物100重量部に対して、軟化剤(C−2)としてのパラフィン系プロセスオイル[出光興産(株)製、商品名 PW−90]35重量部、フィラー(H−1)としてカーボンブラック[旭カーボン(株)製、 旭#55]2重量部とを、同様にラボプラストミルにて、温度200℃、ローター回転数100rpmで約3分間混練し、架橋されたオレフィン系可塑性エラストマー組成物(TPV−1)を作製した。
【0084】
この架橋されたオレフィン系可塑性エラストマー組成物(TPV−1)100重量部に
対して、結晶性ポリオレフィン樹脂(A2−1)として、ポリプロピレン樹脂 [プライム
ポリマー(株)製、銘柄名 J−700GP、ポリプロピレン単独重合体、MFR=8.
0g/10分 230℃、2.16kgf]15重量部を加え、同様にラボプラストミル
にて、温度200℃、ローター回転数100rpmで約3分間混練し、オレフィン系熱可
塑性エラストマー組成物のペレットを得た。その結果を第1表に示す。
【0085】
〔実施例2、実施例3〕
架橋剤(E−2)(E−3)として他の有機過酸化物[日本油脂(株)製、商品名 パ
ーヘキシン25B、パーヘキサ25B]を用いた以外は、実施例1と同様に行った。その
結果を第1表に示す。
【0086】
〔実施例4〜6〕
架橋剤(E−1)の配合量として、1.0重量部、2.0重量部、3.0重量部とした
以外は、実施例1と同様に行った。その結果を第1表に示す。
【0087】
〔実施例7〜9〕
架橋助剤(F−2)(F−3)(F−4)として、トリアリルイソシアヌレート[日本
化成(株)製、タイク]、ジビニルベンゼン[三共化成(株)製、ジビニルベンゼン]、
ビスマレイミド[大和化成工業(株)製、BMI−4000]を用いた以外は実施例1と
同様に行った。その結果を第2表に示す。
【0088】
〔実施例10〜12〕
架橋助剤(F−1)の配合量として、1.0重量部、2.0重量部、3.0重量部とし
た以外は、実施例1と同様に行った。その結果を第2表に示す。
【0089】
[実施例13]
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−2)としてエチレ
ン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体ゴム[エチレン含量:60モル
%、プロピレン含量:40モル%、ヨウ素価:8、ムーニー粘度(ML1+4(100℃)
)100]を用いた以外は、実施例1と同様に行った。その結果を第3表に示す。
【0090】
〔実施例14〕
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−3)としてエチレ
ン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体ゴム[エチレン含量:60モル
%、プロピレン含量:40モル%、ヨウ素価:13、ムーニー粘度(ML1+4(100℃
))140]を用いた以外は、実施例1と同様に行った。その結果を第3表に示す。
【0091】
〔実施例15〜17〕
結晶性ポリオレフィン樹脂(A1−2)(A1−3)(A1−4)として、それぞれプロ
ピレンエチレンランダム共重合体 [プライムポリマー(株)製 J−721GR、MFR=
11g/10分 230℃、2.16kgf]、プロピレンエチレンブロック共重合体 [
プライムポリマー(株)製 J−750HP、MFR=14g/10分 230℃、2.
16kgf]、ポリブテン−1樹脂[ブテン−1単独重合体、MFR=1.8g/10分
230℃、2.16kgf]を用いた以外は、実施例1と同様に行った。その結果を第3
表に示す。
【0092】
〔実施例18〜21〕
実施例1において、軟化剤(C−1)を配合せず、軟化剤(C−2)を30重量部、5
0重量部、100重量部、200重量部とした以外は、実施例1と同様に行った。その結
果を第4表に示す。
【0093】
〔実施例22、23〕
実施例1において、軟化剤(C−2)を配合せず、軟化剤(C−1)を60重量部、1
00重量部とした以外は、実施例1と同様に行った。その結果を第4表に示す。
【0094】
〔実施例24〜26〕
実施例1において、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−1
)と結晶性ポリオレフィン樹脂(A1−1)の重量部数をそれぞれ、(A1−1):(B
−1)=0:100、35:65、50:50とした以外は、実施例1と同様に行った。
その結果を第5表に示す。
【0095】
〔実施例27、28〕
実施例1において、結晶性ポリオレフィン樹脂(A2−1)の重量部数を5、30重量
部とした以外は、実施例1と同様に行った。その結果を第5表に示す。
【0096】
〔比較例1〕
実施例1において、架橋剤(E−1)を0.3重量部、架橋助剤(F−1)を0.05
重量部とした以外は、実施例1と同様に行った。その結果を第6表に示す。
【0097】
〔比較例2〕
実施例1において、架橋剤(E−1)を0.4重量部、架橋助剤(F−1)を0.08
重量部とした以外は、実施例1と同様に行った。その結果を第6表に示す。
【0098】
〔比較例3〕
実施例1において、架橋剤(D)、架橋助剤(E)を配合しない以外は、実施例1と同
様に行った。その結果を第6表に示す。
【0099】
〔比較例4〕
実施例1において、結晶性ポリオレフィン樹脂(A2−1)を配合しない以外は、実施
例1と同様に行った。その結果を第6表に示す。
【0100】
【表1】

【0101】
【表2】

【0102】
【表3】

【0103】
【表4】

【0104】
【表5】

【0105】
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明における引張クリープ試験に用いられる試験片を示す構成図である。
【符号の説明】
【0107】
a.治具で締め付けられる幅
b.治具で締め付けられる長さ
c.初期の平行部分の長さ;L
d.試験片の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性ポリオレフィン樹脂(A)およびエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン及
び非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B
)[成分(A)、(B)の合計量は100重量部]を含む組成物であって、
(1)示差走査型熱量計(DSC)により測定される融点のピーク値が80〜200℃に
あり、かつ、融解熱量(吸熱ピークエネルギー)の合計が2〜44J/gの範囲であり、
(2)溶媒膨潤法により測定された架橋密度指数aが8.0×10−5モル/cm〜6.0×10−4モル/cm
(3)前記(A)の分子量分布Mz/Mnが10〜1000 [Mn:数平均分子量、Mz:Z平均分子量]
であることを特徴とするオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項2】
さらに、(4)ショア硬度がA1〜A90であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項3】
前記結晶性ポリオレフィン樹脂(A)からなる海相に、前記エチレン・α−オレフィン
・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)が島相として微分散化され、電子顕微鏡(EM)を
用いた観察写真の画像解析により得られたゴム島相の円相当の平均粒子径dnが5μm以下であり、且つゴム島相の粒径分布dv/dn(dvはゴム島相の円相当の体積平均粒子径)が1.5以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項4】
前記結晶性ポリオレフィン樹脂(A)と前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエ
ン共重合体ゴム(B)の合計100重量部に対し、さらに軟化剤(C)を1〜200重量
部含有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項5】
引張クリープ値(粘弾性試験機を用いて、0.6MPa一定荷重下、25℃から80℃
まで2℃/minで昇温する際の伸び変化率)が20%以下であることを特徴とする請求
項1〜4のいずれか1項に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項6】
圧縮クリープ回復値(圧縮クリープ測定機を用いて、80℃、1.0MPa一定荷重で
24時間放置し、荷重解放後、室温で1時間放置後の歪回復率)が10%以下であること
を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項7】
目ヤニ量(スクリュー径50mm、L/D=31、圧縮比=3.1のフルフライト型ス
クリューを有する1軸押出機と、それに取り付けた開口部25mm×1mmのダイスを用
いて、前記押出機の導入部からダイス出口まで160から200℃のグラジエント昇温に
より、テープ状の成形品を13kg/hで30分間押出した後、ダイスに付着した目ヤニ
、さらには成形品に付着した目ヤニを秤量し、総押出量で除した値)が2g/トン以下で
あることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項8】
前記結晶性ポリオレフィン樹脂(A)5〜60重量部および前記エチレン、炭素数3〜
20のα−オレフィン及び非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポ
リエン共重合体ゴム(B)40〜95重量部[成分(A)、(B)の合計量は100重量部]を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項9】
前記結晶性ポリオレフィン樹脂(A)5〜60重量部が、プロピレン単独重合体及びプ
ロピレンとエチレン又は炭素数が4以上20以下のα−オレフィンとの共重合体からなる
群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項10】
エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン及び非共役ポリエンからなるエチレン・α
−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)を架橋剤(D)及び架橋助剤(E)を
用いて部分的あるいは完全に架橋後、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)を混合することを
特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を製造することを特徴とするオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
【請求項11】
結晶性ポリオレフィン樹脂(A1)とエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)とを含み、共重合体ゴム(B)からなるマ卜リックス相(海相)中に、ポリオレフィン樹脂(A1)の粒子が分散相(島相)として平均分散粒子径5μm以下で分散している海島構造を有する混合物を、原料として使用することを特徴とする請求項10に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
【請求項12】
結晶性ポリオレフィン樹脂(A)の一部である結晶性ポリオレフィン樹脂(A1)とエ
チレン、炭素数3〜20のα−オレフィン及び非共役ポリエンからなるエチレン・α−オ
レフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)を架橋剤(D)及び架橋助剤(E)を用い
て部分的あるいは完全に架橋後、残部の結晶性ポリオレフィン樹脂(A2)を混合するこ
とを特徴とする請求項10又は請求項11に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。((A1)と(A2)は同一でも異なってもよい)
【請求項13】
前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B)又は前記結晶性ポ
リオレフィン樹脂(A1)とエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(
B)との合計量を100重量部とした時、架橋剤(D)を0.5〜3.0重量部及び架橋
助剤(E)を0.1〜3.0重量部の範囲で使用することを特徴とする請求項10〜請求項12のいずれか1項に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
【請求項14】
結晶性ポリオレフィン樹脂(A1)と結晶性ポリオレフィン樹脂(A2)との重量比が
、(A1)/(A2)=10〜90/90〜10の範囲であることを特徴とする請求項1
1に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載されたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を用いて成形された成形体。

【図1】
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【公開番号】特開2009−173927(P2009−173927A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334972(P2008−334972)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】