説明

熱可塑性ポリイミド、積層体及びプリント配線板用基板

【課題】耐熱性に優れると共に、熱可塑性ポリイミド層を薄くした場合でも緩和された条件で良好な接着性が確保される熱可塑性ポリイミドを提供する。
【解決手段】式(1)〜(3)で表される構成単位をすべて有する熱可塑性ポリイミド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリイミドに関するものである。本発明はまた、該熱可塑性ポリイミドを用いた積層体と、この積層体を用いて得られるプリント配線板用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドは一般にジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを溶媒中で反応させてポリアミック酸を生成させ、これを脱水閉環することにより得ることができ、用いるジアミン、テトラカルボン酸二無水物を選択することにより、種々のポリイミドを得ることが出来る。その中で、テトラカルボン酸二無水物としてビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を用いたポリイミドは、優れた耐熱性及び機械特性を有し、かつ吸水率が低いため、幅広く検討されており、種々のジアミンを組み合わせたポリイミドが提案され実用化されている。
【0003】
また、ポリオキシアルキレン鎖を含むブロック共重合ポリイミド樹脂が、柔軟性、熱安定性に比較的優れた熱可塑性エラストマー(ガラス転移温度(Tg)が約−80℃)や溶剤可溶性ポリイミド樹脂(Tgが27〜174℃)として提案されている(例えば特許文献1〜3)。しかしながら、特許文献1〜3に記載されている熱可塑性ポリイミドは、柔軟性は良好であるものの、ガラス転移温度Tgが低く、プリント配線板用基板等の耐熱性が要求される材料としては、満足できるものではなかった。
【0004】
一方、電子機器内に設けられるプリント配線板用基板については、電子機器の小型・軽量化、薄型化に伴い、更なる高性能化、高密度化が要求され、片面基板から両面基板、さらには多層基板への開発要求が高まっている。
【0005】
これらのプリント配線板用基板は、通常、絶縁層に接着層を設けた積層体を導体である銅箔等と貼り合わせて製造され、該接着層の接着剤として熱可塑性ポリイミド(TPI)を用いた積層体が提案されている。また、前記積層体としては、種々の構造の積層体が知られているが、例えば、非熱可塑性ポリイミド(PI)フィルムからなる絶縁層の両面にTPIからなる接着層を設けた積層体の両接着層面に金属箔からなる導体を熱圧着した5層構造の両面プリント配線板用基板が提案されている(例えば特許文献4〜5)。
【0006】
しかしながら、この両面基板は、導体と絶縁層との間に接着層が存在するために、耐熱性、難燃性、電気的特性などが低下するという問題があった。また、導体にエッチングを施した際や、基板に何らかの熱処理を施した際の寸法変化率が大きく、その後の工程で支障をきたすという問題があった。
【0007】
このような問題を解決するために、接着層を介在させることなく導体上に直接PIからなる絶縁層を形成するとともに、絶縁層同士をTPIからなる接着層にて一体化した両面基板も提案されている(例えば特許文献6)。
【0008】
このようなタイプの両面基板は、先ず金属箔からなる導体の片面にPI層、TPI層の順に各ポリイミド層を積層して3層の積層体を製造し、この積層体のTPI層同士を熱圧着して製造される。このような3層構造の積層体は、例えば両面基板に利用する場合、熱圧着して形成される両面基板の耐熱性、電気的特性、寸法安定性、耐屈曲性等を確保する観点から、接着層であるTPI層の厚みが出来るだけ薄い方が好ましい。また、TPI層の厚みが厚くなると、積層体がカールしやすくなるため、熱圧着する際に、皺などが入って、操作に支障をきたす場合があり、この観点からもTPI層の厚みは出来るだけ薄い方が好ましいが、一方で、このTPI層の厚みを薄くすると、接着性が低下してしまうという問題が見出された。
【0009】
このようなことから、従来技術では、接着層のTPI層の厚みとしては1.5μm程度が限界であり、これ以上TPI層の厚みを薄くすると、形成された両面基板の接着性が低下し、両面基板の導体をエッチング等により回路を形成する工程等ではがれ、ねじれ等が発生し、プリント配線板用基板の製造に支障を来たしてしまうことがあった。
【0010】
また、プロセス面から接着性を向上させるためには、熱圧着時の温度や圧力を上げたり、圧着時間を長くしたりする必要があったが、このように熱圧着条件を過酷にすると、熱圧着時に材料に皺が発生しやすくなる;接着層に含有されている水分に起因して膨れが発生することがある;導体を構成する銅箔等の金属箔の表面が酸化しやすくなる;といった問題が生じることから、緩和された熱圧着条件で十分な接着強度を実現できるTPIが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平05−230212号公報
【特許文献2】特開2010−196041号公報
【特許文献3】特開2006−022302号公報
【特許文献4】特開2003−192789号公報
【特許文献5】特開平10-030025号公報
【特許文献6】特開2005−329641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記課題を解決するものであって、本発明の目的は、耐熱性に優れ、また、薄層であっても緩和された熱圧着条件で良好な接着性が確保される熱可塑性ポリイミドと、この熱可塑性ポリイミドを用いた積層体及びこの積層体を用いたプリント配線板用基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、共重合成分として特定の化学構造を有するジアミンを配合したビフェニルテトラカルボン酸二無水物ベースの共重合TPIが、接着層の厚みを薄くし、緩和された熱圧着条件でも良好な接着性が確保されると共に、耐熱性にも優れることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0014】
すなわち本発明は、下記を要旨とするものである。
【0015】
[1] 下記式(1)〜(3)で表される構成単位をすべて有するポリイミドであって、かつ、下記式(2)で表される構成単位と下記式(3)で表される構成単位のモル比が1/99〜99/1であり、ガラス転移温度(Tg)が180〜240℃である熱可塑性ポリイミド。
【0016】
【化1】

【0017】
(上記式(2)中、R及びRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。上記式(3)中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R、R及びRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数2〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。x、y及びzは、それぞれ平均値で0〜50の数値を表し、且つ、x+y+zの合計が2〜70である。)
【0018】
[2] 金属箔に、2層以上のポリイミドを含む層が積層された積層体であって、該ポリイミドを含む層の少なくとも1層が[1]に記載の熱可塑性ポリイミドを含む層である積層体。
【0019】
[3] 金属箔に、非熱可塑性ポリイミド層及び熱可塑性ポリイミド層がこの順で積層された積層体であって、該熱可塑性ポリイミド層が[1]に記載の熱可塑性ポリイミドを含む層である[2]に記載の積層体。
【0020】
[4] [2]又は[3]に記載の積層体を含むプリント配線板用基板。
【0021】
[5] [3]に記載の積層体を、熱可塑性ポリイミド層面を接着面として、他の被接着体と熱圧着してなるプリント配線板用基板。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、耐熱性に優れると共に、薄い熱可塑性ポリイミド層であっても、緩和された熱圧着条件で良好な接着性が確保される熱可塑性ポリイミドを提供することが出来る。本発明によればまた、この熱可塑性ポリイミドを用いた積層体、及びこの積層体を含むプリント配線板用基板を提供することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0024】
なお、本明細書において、非熱可塑性ポリイミド(PI)とは、400℃未満の温度で熱圧着性を示さないポリイミドを言い、例えばDSC(示差走査熱量計)によるガラス転移温度(Tg)が350℃以上のポリイミドを言う。また、熱可塑性ポリイミド(TPI)とは400℃未満の温度で熱圧着性を示すポリイミドを言い、例えばDSCによるTgが350℃未満のポリイミドを言うが、後述の如く、本発明の熱可塑性ポリイミドのTgは180〜240℃である。
【0025】
[熱可塑性ポリイミド]
本発明の熱可塑性ポリイミドは、下記式(1)〜(3)で表される構成単位をすべて有するポリイミドであって、かつ、下記式(2)で表される構成単位と下記式(3)で表される構成単位のモル比が1/99〜99/1であり、ガラス転移温度(Tg)が180〜240℃であるものである。
【0026】
【化2】

【0027】
(上記式(2)中、R及びRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。上記式(3)中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R、R及びRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数2〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。x、y及びzは、それぞれ平均値で0〜50の数値を表し、且つ、x+y+zの合計が2〜70である。)
【0028】
上記式(2)中、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。R及びRとしては、水素原子、メチル基、エチル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましく、原料の入手のしやすさからメチル基が最も好ましい。
【0029】
上記式(3)中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。Rとして好ましいのは水素原子又はメチル基であり、より好ましいのはメチル基である。
【0030】
上記式(3)中、R、R及びRは、互いに異なっていてもよく、炭素数2〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基である。これらの中でも好ましいのは炭素数2のアルキレン基、炭素数3の分岐鎖状のアルキレン基であり、より好ましいのは炭素数3の分岐鎖状のアルキレン基、即ち、−CH−CH(−CH)−又は−CH(−CH)−CH−であり、更に好ましいのは−CH−CH(−CH)である。
【0031】
上記式(3)中、x、y及びzは、それぞれ平均値で0〜50、好ましくは0〜30、より好ましくは0〜10の数値を表し、且つ、x+y+zの合計が2〜70、好ましくは2〜40、更に好ましくは2〜10である。x、y、zが上記条件を満たしているものであると、耐熱性、接着性ともに良好な熱可塑性ポリイミドが得られる傾向にある。
【0032】
本発明の熱可塑性ポリイミドにおいて、前記式(2)で表される構成単位と前記式(3)で表される構成単位のモル比(以下、この比を「(2)/(3)モル比」と称す場合がある。)は1/99〜99/1であるが、好ましくは70/30以上であり、より好ましくは80/20以上、更に好ましくは90/10以上である。(2)/(3)モル比が上記上限値以下であることにより接着性が高められる傾向にある。また、上記下限値より小さいと耐熱性が低下する傾向にある。
【0033】
本発明の熱可塑性ポリイミドは、式(1)で表されるポリイミドユニットからなるブロック構造を有するものであってもよいが、本発明の熱可塑性ポリイミドの特徴は、上記の式(1)で表される酸二無水物成分由来の構成単位と、式(2)及び式(3)で表されるジアミン成分由来の構成単位とを必須成分として含むことにあり、ブロック構造を有していなくともよく、酸二無水物成分由来の構成単位とジアミン成分由来の構成単位とからなるランダム共重合構造を有していてもよい。
【0034】
なお、本発明の熱可塑性ポリイミドにおいて、式(1)で表される構成単位の割合は、酸二無水物成分由来の構成単位の全てに対するモル比で90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、特に99モル%以上であることが好ましい。熱可塑性ポリイミド中の式(1)で表される構成単位の割合が上記下限値以上であることにより優れた耐熱性及び機械特性を有し、かつ吸水率が低い熱可塑性ポリイミドが得られる。
【0035】
また、後述するように、本発明の熱可塑性ポリイミドの製造に際しては原料である酸二無水物成分、ジアミン成分、また、必要に応じて末端封鎖剤を、酸無水物とアミンがモル比で実質的に等当量となるように用いて反応させる。このため、[前記式(1)で表される構成単位]:[前記式(2)で表される構成単位及び前記式(3)で表される構成単位の合計]のモル比は、その他の酸二無水物成分、その他のジアミン成分、末端封鎖剤の使用によっても適宜変更されうるが、通常0.5:1.5〜1.5:0.5であり、好ましくは0.8:1.2〜0.8:1.2である。
【0036】
本発明の熱可塑性ポリイミドのDSC(示差走査熱量計)によるガラス転移温度(Tg)は180〜240℃、好ましくは200〜240℃である。Tgが240℃を超えると、後述の本発明の積層体を製造する際に高温での熱処理が必要となり、材料に皺が発生しやすくなる;接着層に含有されている水分に起因して膨れが発生する;導体を構成する銅箔等の金属箔の表面が酸化しやすくなる;という問題が生じるおそれがあり、低温での熱処理では高い接着性が得られない傾向にある。また、Tgが180℃未満の場合は、この熱可塑性ポリイミドを用いる後述の本発明の積層体の耐熱性が低下する傾向にある。
【0037】
本発明の熱可塑性ポリイミドのTgは、前記(2)/(3)モル比を好ましい値としたり、熱可塑性ポリイミドにその他の酸無水物及びジアミンに由来する構成単位を適宜含ませたりすることにより制御することができる。
【0038】
本発明の熱可塑性ポリイミドは、前記式(1)〜(3)で表される構成単位をすべて含むものであるが、その他の酸二無水物に由来する構成単位やその他のジアミンに由来する構成単位を含んでいてもよく、その他の酸二無水物、ジアミンに由来する構成単位としては後述のポリイミドの原料として例示する酸二無水物及びジアミンから誘導されるものが挙げられる。
【0039】
また、本発明の熱可塑性ポリイミドは、熱可塑性ポリイミドの末端基が、末端封鎖剤(1官能性酸無水物、1官能性アミン、1官能性酸無水物と1官能性アミンの混合物から選ばれる1種)により封鎖されていてもよい。末端基を封鎖することによって、この熱可塑性ポリイミドを接着層として使用した場合、ポリイミドとしての分子量が確保されつつ適度な熱流動性が確保され、緩和された条件での熱圧着が可能とされた上で、高い接着性を得ることができる。
【0040】
本発明の熱可塑性ポリイミドの全構成単位(構成ユニット)に対する末端基の末端封鎖剤(1官能性酸無水物、1官能性アミン、1官能性酸無水物と1官能性アミンの混合物から選ばれる1種)による封鎖割合は1〜15モル%であることが好ましい。この封鎖割合が上記下限未満であると、これを用いた接着層の熱流動性が低下するために、熱圧着時の接着強度が低下し、上記上限を超えるとポリイミドとしての分子量が低下するために接着強度が低下する。
【0041】
[熱可塑性ポリイミドの製造方法]
本発明の熱可塑性ポリイミドは、例えば以下のような方法により製造することが出来る。
【0042】
<前駆体溶液の調製>
本発明の熱可塑性ポリイミドは熱可塑性ポリイミド前駆体溶液(TPI前駆体溶液)を調製し、このTPI前駆体溶液を加熱して脱水縮合させることにより得ることが出来る。
【0043】
TPI前駆体溶液は、原料となる、少なくとも下記式(1)’で表される酸二無水物を含む酸二無水物成分と、少なくとも下記式(2)’で表されるジアミンと下記式(3)で表されるジアミンを含むジアミン成分と、末端封鎖剤とを溶媒中で反応させて得られるポリアミック酸溶液が好ましく、該ポリアミック酸溶液中のポリアミック酸の固形分濃度としては1〜50質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましい。このポリアミック酸溶液は部分的にイミド化されていてもよい。
【0044】
このTPI前駆体溶液は、25℃での粘度が、0.1〜200Pa・sであることが好ましく、0.5〜150Pa・sであることがより好ましく、1〜50Pa・sであることが更に好ましく、2〜20Pa・sであることが特に好ましい。25℃での粘度が0.1Pa・s以上であることにより、フィルム化しやすくなる。一方、25℃での粘度が200Pa・sより高いと塗工が難しくなる傾向にある。なお、TPI前駆体溶液の25℃での粘度は後掲の実施例の項に記載の方法により測定することができる。
【0045】
【化3】

【0046】
(上記式(2)’中、R、Rは前記式(2)におけると同義である。また、上記式(3)’中、R〜R、x、y、zは、前記式(3)におけると同義である。)
【0047】
上記式(1)’で表される酸二無水物は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
上記式(2)’で表されるジアミンとしては、好ましくは2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンが挙げられる。また、上記式(3)’で表されるジアミンとしては、ジェファーミン(ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン)から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0048】
このポリアミック酸溶液からなるTPI前駆体溶液は、酸無水物(酸二無水物と末端封鎖剤としての1官能性酸無水物との合計)とジアミンとが実質的に等当量となるように溶媒中で反応させて製造することが出来る。また、このTPI前駆体溶液は、酸二無水物とアミン(ジアミンと末端封鎖剤としての1官能性アミンとの合計)とが実質的に等当量となるように、溶媒中で反応させて製造することも出来る。さらに、このTPI前駆体溶液は、酸無水物(酸二無水物と末端封鎖剤としての1官能性酸無水物との合計)とアミン(ジアミンと1官能性アミンの合計)とが実質的に等当量となるように、溶媒中で反応させて製造することも出来る。
【0049】
<その他の酸二無水物>
ポリイミド原料としての上記式(1)’で表される酸二無水物以外の酸二無水物の具体例としては以下のものが挙げられるが、何ら以下のものに限定されるものではない。
【0050】
ピロメリット酸二無水物、3−フルオロピロメリット酸二無水物、3,6−ジフルオロピロメリット酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物、3,3’’,4,4’’−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−クァテルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−キンクフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、メチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1−エチニリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−へキサフルオロプロパン二無水物、ジフルオロメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2−テトラフルオロ−1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1,3−トリメチレン−4、4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロ−1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロ−1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、チオ−4,4’−ジフタル酸二無水物、スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルシロキサン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3−ビス〔2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン二無水物、ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕メタン二無水物、ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕メタン二無水物、2,2−ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,2−ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、カルボニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、メチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1−エチニリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、オキシ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、チオ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、スルホニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、2,2’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、9−フェニル−9−(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ〔2,2,2〕オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシ)フェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシ)フェニル〕フルオレン二無水物。
【0051】
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いることもできる。
【0052】
<その他のジアミン>
ポリイミド原料としての、前記式(2)’で表されるジアミン及び式(3)’で表されるジアミン以外のジアミンの具体例としては以下のものが挙げられるが、何ら以下のものに限定されるものではない。
【0053】
m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2−メチルベンゼン、1,3−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)−4−メチルベンゼン、1,3−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2−エチルベンゼン、1,3−ビス(3−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)−5−sec−ブチルベンゼン、1,3−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2,5−ジメチルベンゼン、1,3−ビス(4−(2−アミノ−6−メチルフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(2−アミノ−6−エチルフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)−4−メチルフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(4−アミノフェノキシ)−4−tert−ブチルフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2,5−ジ−tert−ブチルベンゼン、1,4−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2,3−ジメチルベンゼン、1,4−ビス(3−(2−アミノ−3−プロピルフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−4−メチルベンゼン、1,2−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)−3−n−ブチルベンゼン、1,2−ビス(3−(2−アミノ−3−プロピルフェノキシ)フェノキシ)ベンゼンビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(10−アミノデカメチレン)テトラメチルジシロキサン、ビス(3−アミノフェノキシメチル)テトラメチルジシロキサン、上記ジアミンの類似物。
【0054】
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いることもできる。
【0055】
<末端封鎖剤>
(1官能性酸無水物)
末端封鎖剤としての1官能性酸無水物の具体例としては以下のものが挙げられるが、何ら以下のものに限定されるものではない。
【0056】
無水フタル酸、2,3−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水物、2,3−ビフェニルジカルボン酸無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、1,9−アントラセンジカルボン酸無水物。
【0057】
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いることもできる。
【0058】
(1官能性アミン)
末端封鎖剤としての1官能性アミンの具体例としては以下のものが挙げられるが、何ら以下のものに限定されるものではない。
【0059】
アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,3−キシリジン、2,4−キシリジン、2,5−キシリジン、2,6−キシリジン、3,4−キシリジン、3,5−キシリジン、o−クロロアニリン,m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、o−ニトロアニリン、o−ブロモアニリン、m−ブロモアニリン、o−ニトロアニリン、m−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アニリジン、m−アニリジン、p−アニリジン、o−フェネチジン、m−フェネチジン、p−フェネチジン、o−アミノベンツアルデヒド、m−アミノベンツアルデヒド、p−アミノベンツアルデヒド、o−アミノベンゾニトリル、m−アミノベンゾニトリル、p−アミノベンゾニトリル、2−アミノビフェニル、3−アミノビフェニル、4−アミノビフェニル、2−アミノフェノールフェニルエーテル、3−アミノフェノールフェニルエーテル、4−アミノフェノールフェニルエーテル、2−アミノベンゾフェノン、3−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、2−アミノフェノールフェニルスルフィド、3−アミノフェノールフェニルスルフィド、4−アミノフェノールフェニルスルフィド、2−アミノフェノールフェニルスルホン、3−アミノフェノールフェニルスルホン、4−アミノフェノールフェニルスルホン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、1−アミノ−2−ナフトール、2−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−2−ナフトール、7−アミノ−2−ナフトール、8−アミノ−2−ナフトール、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミノアントラセン。
【0060】
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いることもできる。
【0061】
<好適原料>
本発明の熱可塑性ポリイミドを製造するためのTPI前駆体溶液を調製するための前記式(1)’で表される酸二無水物以外の好ましい酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物及び/又はエチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)が挙げられ、前記式(2)’で表されるジアミン及び前記式(3)’で表されるジアミン以外の好ましいジアミンとしては4,4’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリンが挙げられる。
【0062】
末端封鎖剤としての1官能性酸無水物としては、無水フタル酸が、1官能性アミンとしてはアニリンが好ましく用いられる。
【0063】
<溶媒>
前記ポリアミック酸溶液を製造するための溶媒の具体例としては以下のものが挙げられるが、何ら以下のものに限定されるものではない。
【0064】
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、ビス〔2−(メトキシエトキシ)エチル〕エーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ピリジン、ピコリン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、フェノール、クレゾール、クロロフェノール、アニソール、ベンゼン、トルエン、キシレン。
【0065】
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いることもできる。
【0066】
ここで好ましい溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンの単体もしくは混合物が挙げられる。
【0067】
<反応条件等>
本発明において、前記ポリイミド原料を溶媒中で反応させる際の、反応温度は、−30〜60℃が好ましく、−20〜40℃がより好ましい。
また、この反応において、前記ポリイミド原料及び溶媒の添加順序は特に制限はなく、いかなる順序でもよい。
【0068】
また、前記ポリイミド前駆体溶液は2種以上を混合して用いることもできる。
また、これらのポリイミド樹脂前駆体の溶液には、上記溶媒に可溶なポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等、他の耐熱性樹脂を混合してもよい。
さらに、接着性(密着性)向上やフィルム物性を向上させるため、シランカップリン剤や各種界面活性剤を微量添加することもできる。
【0069】
[積層体]
本発明の積層体は、金属箔に、2層以上のポリイミドを含む層が積層された積層体であって、該ポリイミドを含む層の少なくとも1層が本発明の熱可塑性ポリイミドを含む層であるものである。この積層体は、好ましくは金属箔に、非熱可塑性ポリイミドを含む層と本発明の熱可塑性ポリイミドを含む層がこの順で積層された積層体である。
【0070】
<金属箔>
本発明において、金属箔としては、銅箔、ステンレス箔、アルミニウム箔、ニッケル箔等如何なる金属箔も使用することが出来るが、電解銅箔や圧延銅箔等の銅箔が好ましく用いられる。これら金属箔の厚みは5〜50μmが好ましく、9〜18μmがより好ましい。また、これらの金属箔の表面は接着性を向上させるための粗面化処理や防錆処理が施されていてもよい。
【0071】
<非熱可塑性ポリイミド>
前述の如く、非熱可塑性ポリイミド(PI)とは、400℃未満の温度で熱圧着性を示さないポリイミドを言い、例えばDSC(示差走査熱量計)によるガラス転移温度(Tg)が350℃以上のポリイミドを言う。
【0072】
本発明の積層体に使用可能な非熱可塑性ポリイミドとしては、400℃未満の温度で熱圧着性を示さないものであれば特に制限されないが、好ましくは以下に挙げる酸二無水物に由来する構成単位とジアミンに由来する構成単位とを含んでいることが好ましい。
【0073】
非熱可塑性ポリイミドの原料の酸二無水物成分としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物又はピロメリット酸二無水物を用いることが好ましく、最も好ましいのは3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。これらの好ましい酸二無水物は、非熱可塑性ポリイミドの原料としての酸二無水物成分全体の80モル%以上、好ましくは90モル%以上用いることが好ましい。従って、非熱可塑性ポリイミドは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応に由来する前記式(1)で表される構造単位、及び/又は、ピロメリット酸二無水物とジアミンとの反応に由来する下記式(4)で表される構造単位を有することが好ましく、前記式(1)で表される構造単位を有することが最も好ましい。
【0074】
【化4】

【0075】
非熱可塑性ポリイミドの原料の好ましいジアミン成分としては、p−フェニレンジアミンもしくは4,4’−オキシジアニリンが挙げられ、p−フェニレンジアミンを非熱可塑性ポリイミドの原料としてのジアミン成分全体の70モル%以上、好ましくは80モル%以上用いることが好ましい。従って、非熱可塑性ポリイミドは、p−フェニレンジアミンと酸二無水物との反応に由来するp−フェニレン基を有することが好ましい。
【0076】
本発明で用いる非熱可塑性ポリイミドの原料は、上記の好ましい酸二無水物成分以外の酸二無水物及び上記の好ましいジアミン成分以外のジアミンを含んでいてもよく、酸二無水物成分、ジアミン成分はそれぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いることもできる。
【0077】
非熱可塑性ポリイミドの原料として使用可能なその他の酸二無水物成分、及びその他のジアミン成分は、それぞれ上記に挙げた非熱可塑性ポリイミドの好ましい原料以外には、本発明の熱可塑性ポリイミドに使用可能な原料として挙げた「その他の酸二無水物成分」や「その他のジアミン成分」を適宜組み合わせて使用することができる。
【0078】
本発明の積層体に用いる非熱可塑性ポリイミドは、上記で挙げた原料を用いる他は本発明の熱可塑性ポリイミドと同様にして調製したPI前駆体溶液を用いて、同様の方法によって製造することができる。
【0079】
このPI前駆体溶液についても、原料となる酸二無水物成分、及びジアミン成分を溶媒中で反応させて得られるポリアミック酸溶液が好ましく、ポリアミック酸溶液中のポリアミック酸の固形分濃度としては1〜50質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましい。このポリアミック酸溶液は部分的にイミド化されていてもよい。
【0080】
このポリアミック酸溶液からなるPI前駆体溶液は実質的に等当量の酸二無水物とジアミンとを溶媒中で反応させて製造することが出来る。
【0081】
<前駆体溶液の塗布・乾燥・熱硬化>
本発明の積層体のうち、金属箔上に非熱可塑性ポリイミド層と本発明の熱可塑性ポリイミド層とがこの順で積層形成された積層体は、例えば、PI前駆体溶液を金属箔上に塗布、乾燥してPI前駆体層を形成し、さらにこのPI前駆体層の表面にTPI前駆体溶液を塗布、乾燥してTPI前駆体層を形成させ、しかる後、PI前駆体及びTPI前駆体を熱硬化してイミド化することにより製造することができる。
【0082】
これらのポリイミド前駆体溶液は、複数回に分けて塗布してもよい。また、2種類以上のポリイミド前駆体溶液を用いて2層以上のポリイミド前駆体からなる層としてもよい。
【0083】
ポリイミド前駆体溶液を金属箔へ塗布するに際しては、ロールツーロールにより連続的に塗布する方法、枚様で塗布する方法を採用することが出来、いずれの方法でもよい。ポリイミド前駆体溶液の塗布に用いられる塗布装置としては、バーコータ、アプリケータ、ダイコータ、多層ダイコータ、グラビアコータ、コンマコータ、リバースロールコータ、ドクタブレードコータ等が挙げられる。
【0084】
上記乾燥温度は80℃以上であって、200℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましい。
また、熱イミド化の為の加熱温度は150℃〜500℃が好ましい。熱硬化(イミド化)する際の雰囲気としては、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましいが、空気雰囲気や真空中で行うこともできる。
【0085】
<ポリイミド層の厚み>
本発明の積層体のTPI層(本発明の熱可塑性ポリイミド層)の厚みは0.1〜1.4μmであることが好ましく、0.4〜0.8μmがさらに好ましい。TPI層の厚みが0.1μm以上であると、この層を接着層として使用したときの接着強度を十分に確保することができ、1.4μmを超えると接着層の熱収縮が大きくなり、積層体がカールしやすくなる場合がある。
【0086】
本発明の積層体のPI層の厚みとしては1〜50μmが好ましく、5〜25μmがより好ましい。
【0087】
[プリント配線板用基板]
本発明の積層体は、そのTPI層(本発明の熱可塑性ポリイミド層)を接着層として利用することにより、他の基板用材料等の被接着体と複合化してプリント配線板用基板等の積層板を製造することができる。
【0088】
例えば、本発明の積層体のTPI層同士を熱圧着することにより、例えば、後述の実施例の項に記載した方法で測定される接着強度として7N/cm以上の良好な接着特性を有する両面基板とすることが出来る。
【0089】
また、本発明の積層体の間にガラス織物に耐熱性樹脂を含浸したようなプリプレグやPIフィルムの両面に接着層としてTPI層を設けた積層フィルムを挟んで熱圧着することにより両面基板とすることも可能である。
さらに、本発明の積層体を多層プリント配線板用基板の表層部に使用し、多層プリント配線板用基板とすることも可能である。
【0090】
本発明の積層体を熱圧着するに際しては、ロールツーロールにより連続的にプレスする方法、枚様でバッチプレスする方法を採用することができ、いずれの方法でもよい。
【0091】
熱圧着する際の温度条件としては、300〜400℃が好ましく、320〜360℃がより好ましい。
また、圧力としては、バッチプレスの場合、20〜80kg/cmが好ましい。連続プレスの場合は50〜150kg/cmが好ましい。
なお、熱圧着する際の雰囲気としては、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましいが、空気雰囲気や真空中で行うこともできる。
【実施例】
【0092】
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例における、各種特性の評価方法及び用いたポリイミド前駆体溶液の合成方法は、次の通りである。
【0093】
[評価方法]
(1)ガラス転移温度(Tg)の評価
作製したフィルムのガラス転移温度Tg(℃)をサーモメカニカルアナライザー(TMA:TAインスツルメント社製、TMA 2940型)を用いて測定した。
【0094】
(2)接着強度の評価
積層体におけるTPI層同士の接着力を、テンシロンテスター(インテスコ社製、精密万能材料試験機2020型)を用いて測定した。
測定に際しては、得られた両面基板を幅10mm、長さ100mmに切断して試験片を作製し、粘着剤が両面に塗布された両面粘着テープを用いて、試験片の一方の金属箔面をアルミニウム板に固定した。そして、アルミニウム板に固定されていない側の金属箔の側の絶縁層のPI層を180°方向に50mm/分間の速度で引っ張り、他方の絶縁層から剥離して接着強度(剥離強度)を求め、以下の基準で評価した。
○:接着強度7N/cm以上
×:接着強度7N/cm未満
【0095】
(3)TPI前駆体溶液の粘度測定
合成したTPI前駆体溶液の25℃における粘度を、回転型粘度計(東京計器社製、TVE−20H形)を用いて測定した。
【0096】
[ポリイミド前駆体溶液の合成方法]
以下の説明において使用した略語は、以下のとおりである。
【0097】
<ポリイミド原料>
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
PA:無水フタル酸
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
4,4’ODA:4,4’−オキシジアニリン
PDA:p−フェニレンジアミン
JM230:ハンツマン社製ジェファーミンD230※1
JM400:ハンツマン社製ジェファーミンD400※2
※1:前記式(3)’においてx〜2.5、y=0、z=0、
はメチル基、Rは炭素数3の分岐鎖状のアルキレン基
※2:前記式(3)’においてx〜6.1、y=0、z=0、
はメチル基、Rは炭素数3の分岐鎖状のアルキレン基
【0098】
<溶媒>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
【0099】
<PI前駆体溶液の合成>
三つ口フラスコに窒素ガス気流下で、4,4’ODA30.03g(0.15mol)、PDA91.92g(0.85mol)、及びNMP3329gを採取し、このフラスコを氷水中に入れて、内容物を30分間攪拌した。次いで、BPDA294.22g(1.00mol)を加え、40℃の湯浴中で1時間攪拌を行い、固形分濃度11.1質量%のポリアミック酸からなる均一な溶液を得た。
【0100】
前記PI前駆体溶液を清浄なガラス基板上に熱硬化後の被膜の厚みが10μmになるようにバーコータによって塗布し、130℃で10分間乾燥した。次いで、窒素雰囲気下100℃から400℃まで2時間かけて昇温した後、400℃で2時間熱処理し、PI前駆体を熱硬化させてイミド化した後ガラス基板から剥離してPIフィルムを得た。このPIフィルムは400℃以下の温度で熱可塑性を示さず、非熱可塑性ポリイミド(PI)であることが確認された。
【0101】
<TPI前駆体溶液Aの合成>
三つ口フラスコに窒素ガス気流下で、BAPP389.99g(0.95mol)、JM400を20.00g(0.05mol)、及びNMP2113gを採取し、このフラスコを氷水中に入れて、内容物を30分間攪拌した。次いで、BPDA294.22g(1.00mol)を加え、40℃の湯浴中で1時間攪拌を行い、固形分濃度25.0質量%のポリアミック酸からなる均一な溶液を得た。25℃での粘度は9.7Pa・sであった。これをTPI前駆体溶液Aとする。
【0102】
<TPI前駆体溶液Bの合成>
三つ口フラスコに窒素ガス気流下で、BAPP402.31g(0.98mol)、JM230を4.60g(0.02mol)、及びNMP2103gを採取し、このフラスコを氷水中に入れて、内容物を30分間攪拌した。次いで、BPDA294.22g(1.00mol)を加え、40℃の湯浴中で1時間攪拌を行い、固形分濃度25.0質量%のポリアミック酸からなる均一な溶液を得た。25℃での粘度は15.3Pa・sであった。これをTPI前駆体溶液Bとする。
【0103】
<TPI前駆体溶液Cの合成>
三つ口フラスコに窒素ガス気流下で、BAPP410.52g(1.00mol)とNMP2114gを採取し、このフラスコを氷水中に入れて、内容物を30分間攪拌した。次いで、BPDA294.22g(1.00mol)を加え、40℃の湯浴中で1時間攪拌を行い、固形分濃度25.0質量%のポリアミック酸からなる均一な溶液を得た。25℃での粘度は17.9Pa・sであった。これをTPI前駆体溶液Cとする。
【0104】
<TPI前駆体溶液Dの合成例>
三つ口フラスコに窒素ガス気流下で、4,4’ODA200.24g(1.00mol)とNMP1483gを採取し、このフラスコを氷水中に入れて、内容物を30分間攪拌した。次いで、BPDA294.22g(1.00mol)を加え、40℃の湯浴中で1時間攪拌を行い、固形分濃度25.0質量%のポリアミック酸からなる均一な溶液を得た。これをTPI前駆体溶液Dとする。
【0105】
前記PIフィルムの作成と同様に、上記TPI前駆体溶液A〜Dをそれぞれ清浄なガラス基板上に熱硬化後の被膜の厚みが10μmになるようにアプリケータ及びバーコータによって塗布し、130℃で10分間乾燥した。次いで、窒素雰囲気下100℃から360℃まで2時間かけて昇温した後、360℃で2時間熱処理し、TPI前駆体を熱硬化させてイミド化した後ガラス基板から剥離してTPIフィルムを得た。DSCで測定した各TPIフィルムのTgを表−1に示す。
【0106】
[実施例1〜2、比較例1〜2]
厚み12μmの電解銅箔(古河電気工業製 F2−WS)上に、前記PI前駆体溶液を熱硬化後の被膜の厚みが11.7μmになるようにアプリケータを用いて均一に塗布し、130℃で10分間乾燥した。次いで、塗布面に表−2に示すTPI前駆体溶液を熱イミド化後の被膜が表−2に示す所定の厚みになるようにバーコータを用いて塗布し、130℃で10分間乾燥し、銅箔にPI及びTPI前駆体が積層された積層体を得た。なお、各TPI前駆体溶液は、NMPでポリアミック酸濃度5.0質量%に希釈して用いた。
【0107】
次に、この積層体を窒素ガス雰囲気下で140℃から360℃まで36分かけて昇温した後、360℃で1時間熱処理し、ポリアミック酸を熱硬化させてイミド化し、銅箔/PI層/TPI層の3層からなる積層体(A−1,B−1,C−1,D−1)を得た。
得られた積層体を2枚用いて、TPI層同士が向かい合うように、熱間ロール圧合機にて320℃、120kg/cm、ライン速度1.5m/minの条件で連続的に熱圧着することにより接着一体化し、両面基板を得た。
これらの両面基板の外接着強度の評価結果を表−2に示す。
【0108】
【表1】

【0109】
【表2】

【0110】
[結果の評価]
実施例1,2及び比較例1,2の結果から、次のことが分かる。
前記式(1)〜(3)で表される構成単位をすべて有する熱可塑性ポリイミドを用いた実施例1、2では、TPI層の膜厚が薄くても接着性が良好であった。
これに対し、比較例1,2では接着性が悪く、特に、比較例2ではTPI層の膜厚が厚いにも関わらず、接着性が悪かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)〜(3)で表される構成単位をすべて有するポリイミドであって、かつ、下記式(2)で表される構成単位と下記式(3)で表される構成単位のモル比が1/99〜99/1であり、ガラス転移温度(Tg)が180〜240℃である熱可塑性ポリイミド。
【化1】

(上記式(2)中、R及びRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。上記式(3)中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R、R及びRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数2〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。x、y及びzは、それぞれ平均値で0〜50の数値を表し、且つ、x+y+zの合計が2〜70である。)
【請求項2】
金属箔に、2層以上のポリイミドを含む層が積層された積層体であって、該ポリイミドを含む層の少なくとも1層が請求項1に記載の熱可塑性ポリイミドを含む層である積層体。
【請求項3】
金属箔に、非熱可塑性ポリイミド層及び熱可塑性ポリイミド層がこの順で積層された積層体であって、該熱可塑性ポリイミド層が請求項1に記載の熱可塑性ポリイミドを含む層である請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の積層体を含むプリント配線板用基板。
【請求項5】
請求項3に記載の積層体を、熱可塑性ポリイミド層面を接着面として、他の被接着体と熱圧着してなるプリント配線板用基板。

【公開番号】特開2012−140568(P2012−140568A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1212(P2011−1212)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】