熱可塑性樹脂複合シート
【課題】昆虫が蛍光ランプ等の光源からの光に感応して群がり寄って来ることを防ぐことができ、該光源の消灯時にも灯具の存在感を違和感無く軽減する高品位な外観を有する熱可塑性樹脂複合シート及びその製造方法の提供。
【解決手段】紫外線吸収剤を含む熱可塑性樹脂からなるコア層と、該コア層の両面に形成された、紫外線吸収剤の含有割合が該コア層中の紫外線吸収剤の含有割合よりも少ない熱可塑性樹脂からなる表皮層とを有することを特徴とする熱可塑性樹脂複合シート。
【解決手段】紫外線吸収剤を含む熱可塑性樹脂からなるコア層と、該コア層の両面に形成された、紫外線吸収剤の含有割合が該コア層中の紫外線吸収剤の含有割合よりも少ない熱可塑性樹脂からなる表皮層とを有することを特徴とする熱可塑性樹脂複合シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線吸収剤を比較的多く含んだ熱可塑性樹脂シートの合理的な製造技術と、それによって得られる蛍光ランプ点灯時に昆虫類の誘引を防止できる高品位の照明カバー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光ランプ等の光源からの光を充分に透過し、また均一に拡散して直接光源が観察者の目に触れるのを防止する樹脂製光源保護カバーを用いた例として、家庭用及び施設用照明、食品および衣料品等の各種ディスプレイ、表示用看板等が挙げられる。
一方、昆虫類は光刺激に対して飛行する趨(すう)向性を有することは良く知られており、該光源点灯時に群がり寄って来ることが多く、美観上、衛生上悪影響を与えている。
【0003】
昆虫類は、紫外線領域に近い波長に特に強く感応して活動するものが多いことから、光源にカバーをして380nm以下の波長の光を実質上阻止する方策が考案されているが、人間の可視光領域である380nmより長波長側にも感応して活動する昆虫もあり、400〜480nmの波長の光の透過率を30%以下とし、580nm以上の波長の光の透過率を実質上阻止しないことを特徴とする樹脂シートを間仕切り材に使用する防虫方法の技術が開示されている(特許文献1)。
また、400nm以下の波長の光をカットし、420nm以上の光の透過率の高いアクリル樹脂透明フィルム、及びこれを表面に有することを特徴とする照明カバー用樹脂積層体の技術が開示されている(特許文献2)。
【0004】
さらに、より効果的に昆虫類の感応を防止する目的で410nm以下の波長範囲の光線透過率を1%以下にするためには、紫外線吸収剤の紫外線吸収特性で最大吸収波長が350nm未満の場合には多量に含有させる必要があり、長波長域までを吸収する最大吸収波長が350〜370nmであるものを選択したとしても比較的多くの添加量を必要とし、板厚2mmのアクリル樹脂組成物シートで通常に実施されている該アクリル樹脂を紫外線劣化から保護するために添加する量に比べてかなり多い1重量%を超える量が必要であることが例示されている(特許文献3)。
【0005】
光源保護カバー用の樹脂シートの製造方法として、熱可塑性樹脂を原料とした押出し成形方法があり、連続生産が可能で、板厚の均一性、表面精度の高いことから広く実施されている。
この場合に、熱可塑性樹脂を略230℃以上の高温域で可塑化押出しする必要があり、紫外線吸収剤の量が多い場合には該紫外線吸収剤がブリードアウト(滲み出し)、揮発、昇華等で機器に付着し、得られる製品品質を悪くする問題がある。
特にシート押出し成形に際して、得られるシート表面の外観品質を決定する重要機器であるTダイ出口、及び艶付けロールの表面に該紫外線吸収剤が連続運転中に蓄積すると、製品表面に曇り、ムラ等の欠陥が生じ、この欠陥を解消するために機器の清掃、磨き等を実施する必要から運転停止が必要となり、連続した安定な操業が阻害される。
【0006】
また、410nm以下の光をカットするために紫外線吸収剤を多く添加すると樹脂シートが黄色を呈する傾向にあり、これをカバー部材として使用すると蛍光灯の点灯時に本来の光源の色調を損なう恐れがあり、又該蛍光灯の消灯時に好ましい透明又は白色状態とするのが難しくなる。
特に室内において消灯時には清涼感のある透明あるいは白色の高品位な外観を有しつつ、周りと良く調和しその存在感が弱いという照明用カバー部材が求められているが、黄色を呈していると一般的には該部材が古くなった、もしくは劣化したイメージを与えるので、この要請に応えられないという問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開昭62−278931号公報
【特許文献2】特開2000−169767号公報
【特許文献3】特開2005−58019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、昆虫が蛍光ランプ等の光源からの光に感応して群がり寄って来ることを防ぐことができ、該光源の消灯時にも灯具の存在感を違和感無く軽減する高品位な外観を有する熱可塑性樹脂複合シートを、安定して連続生産することを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、前記課題を解決するため、鋭意検討を進め、下記の構成を有する熱可塑性樹脂複合シート及び熱可塑性樹脂複合シートの製造方法が上記課題を解決することを見出した。
(1) 紫外線吸収剤を含む熱可塑性樹脂からなるコア層と、該コア層の両面に形成された、紫外線吸収剤の含有割合が該コア層中の紫外線吸収剤の含有割合よりも少ない熱可塑性樹脂からなる表皮層とを有することを特徴とする熱可塑性樹脂複合シート。
(2) 前記コア層が、紫外線吸収剤の含有割合が0.1〜3.0重量%で厚さが0.5〜5mmであり、前記表皮層が、紫外線吸収剤の含有割合が0.1重量%未満で厚さが10〜200μmであることを特徴とする (1)に記載の熱可塑性樹脂複合シート。
(3)全光線透過率が80%以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の熱可塑性樹脂複合シート。
(4)全光線透過率が30〜80%であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の熱可塑性樹脂複合シート。
(5)表皮層がマット化剤を含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂複合シート。
(6)熱可塑性樹脂が、PMMA系樹脂、MS系樹脂及びPC系樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂複合シート。
(7)(1)〜(6)のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂複合シートからなる低誘虫用照明カバー。
(8) 紫外線吸収剤を含む熱可塑性樹脂からなるコア層と、該コア層の両面に形成される紫外線吸収剤の含有割合が該コア層中の紫外線吸収剤の含有割合よりも少ない熱可塑性樹脂からなる表皮層とを共押出し成形することを特徴とする熱可塑性樹脂複合シートの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、昆虫が蛍光ランプ等の光源からの光に感応して群がり寄って来ることを防ぐことができ、光源からの光の色調を大きく損なうことなく透過、及び必要な場合には拡散させ、該光源の消灯時には灯具の存在感を違和感無く軽減する高品位な外観を有する熱可塑性樹脂複合シートを、連続して安定生産することを可能とする有用な技術を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明について、以下詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂複合シートは、熱可塑性を有する樹脂を原料として、紫外線吸収剤を含むコア層の両面に、コア層における含有割合よりも少ない含有割合で紫外線吸収剤を含む表皮層を共押出し成形して得られる多層シートからなり、好ましくは、紫外線吸収剤の含有量が、コア層0.1〜3.0重量%、表皮層0.1重量%未満であり、より好ましくはコア層1.0〜3.0重量%、表皮層0.05重量%未満であり、場合によっては表皮層が紫外線吸収剤を実質的に含まなくてもよい。
【0012】
本発明で使用する熱可塑性樹脂の種類については、PMMA(アクリル)系、PS(ポリスチレン)系、MS(アクリルとスチレンの共重合体)系、PC(ポリカーボネート)系、PVC(塩化ビニル)系等が挙げられる。
これらの中で低誘虫用照明カバーとして使用される場合、高い透明性と十分な機械強度、耐久性を持ち、かつ加工性に優れた表面精度の高い共押出しシートが得られるPMMA系、MS系、PC系が好適なものとして推奨され、コア層と表皮層の樹脂の組み合わせについては、コア層と表皮層が密着する組み合わせであれば同質であっても異質であってもよい。
シート層構成としては、表皮層の樹脂及び組成が表裏同じである2種3層の組み合わせでも、表皮層の樹脂及び組成が表裏で異なる3種3層の組み合わせでもよい。
【0013】
本発明で用い得るPMMA系樹脂は、メチルメタクリレートを主成分とする樹脂であり、メチルメタクリレートの単独重合体でもよいし、30重量%以下の範囲でメチルメタクリレートとメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシアクリレート、無水マレイン酸、α−メチルスチレンなどの共重合可能なモノマーの少なくとも一つとの共重合体でもよい。これらは単独で用いてもよいしブレンドしてもよい。
また透明性を維持して耐衝撃性を同時に持たせるために、メタクリル系重合体芯材料のまわりにブチルアクリレートを主成分とする弾性層、及びメチルメタクリレートを主成分とする非弾性層を交互に生成させる多段階逐次重合法により製造される多段重合体からなるメタクリル系ゴム弾性体を配合した耐衝撃性メタクリル樹脂も本発明のPMMA系樹脂に含まれる。
【0014】
本発明に用い得るMS系樹脂は、メチルメタクリレートとスチレンの共重合体を主成分とする樹脂を示すが、上記PMMA系樹脂で例示した様な共重合可能なモノマーのいずれか一つ以上が全体の30重量%以下の範囲で加わった多元共重合体なども含まれ、これらは単独で用いてもよいし、ブレンドしてもよい。
MS系樹脂全体を100部としたとき、メチルメタクリレートの割合が60部を超えるものが耐光性が良好でより好ましい。
MS系樹脂の衝撃強度を向上する為に、アクリル系重合体芯材料のまわりにブチルアクリレートを主成分とする弾性層、及びメチルメタクリレートを主成分とする非弾性層を交互に生成させる多段階逐次重合法により製造されるゴム弾性体、又はブタジエン系ゴム弾性体をMS系樹脂にブレンドしたものも、本発明のMS系樹脂に含まれる。
【0015】
PC系樹脂としては、ビスフェノールAタイプに代表される芳香族ポリカーボネート、及び芳香環は有しているが水酸基が直接芳香環に結合していないタイプの芳香族−脂肪族ポリカーボネートが挙げられる。
【0016】
該熱可塑性樹脂としては最も高い透明性と耐久性を有することからPMMA系樹脂が最も好ましい。
これらの樹脂には、その特性を損なわない範囲に於いて他の成分、例えば光拡散剤、ブルーイング剤、蛍光増白剤、着色顔料、着色染料、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤等を含有させることができる。
【0017】
光拡散剤を例示すると、微粉状の硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン等の汎用無機系光拡散剤があり、また有機系としてアクリル樹脂系、スチレン系、シリコーン系等の架橋透明性樹脂の粉状粒子もまたよく知られている。
本発明で使用する光拡散剤の平均粒径は0.1〜50μmが好ましく、透明樹脂中にて各粒子の界面における可視光線の屈折、反射が有効に生じ、光透過性と光拡散性に優れた低誘虫用照明カバーが得られる点で好ましい。
これら光拡散剤は混合して使用しても差し支え無い。
【0018】
さらに公知のブルーイング剤を含有させ、色調を調整することも任意に可能である。
このブルーイング剤として、アンスラキノン系誘導品であるC.I.Solvent Blue 94(三菱化学株式会社製・商品名ダイヤレジン・ブルーN)が好ましい。
また公知の蛍光増白剤を透明樹脂中に含有させると、上記光拡散剤粒子との併用効果によって色調が更に安定し、各種光源にて本来の色調を発現する点で推奨される。
【0019】
低誘虫用照明カバーに使用する場合、コア層厚さは、0.5〜5mmの範囲が好ましく、0.5mm以上では該シートの強度が高く、5mm以下であれば装着が容易である。
本発明の構成通りに表皮層を設けることは重要であり、該表皮層でコア層に含まれる紫外線吸収剤のブリードアウト(滲み出し)、揮発、昇華を防止できるので、製造に際して製品表面の曇り、ムラを解消することができ、さらには得られた製品の経時変化でのブリードアウトによる印刷不良やベタ付き等も防ぐことができる。
【0020】
また表皮層が形成されていることで、シート外観が深みのある高級感を持ち、かつ色調を微調整する事ができる点や、マット化剤を配合すれば表面艶消し性を付与することが可能となり、その他帯電防止性、防曇性等の機能を付与する事で、該シートの本来的な物理的性能を大幅に変える事無く高機能化できる点で有利である。
マット化剤の例としては、架橋構造を持ったPMMA、PS等の有機系ポリマー微粒子、タルク、マイカ等の無機系微粒子があげられる。
【0021】
表皮層厚さは、10〜200μmの範囲が推奨され、この範囲であればコア層の光学特性、及び色調により光源保護カバー用シートの特性が維持され、層構造にとらわれる事なく多種多様な低誘虫用照明カバーの設計が可能となるが、10μm以上では共押出しの際に均一な厚さになり、200μm以下であるとコア層の持つ性能を維持でき好ましい。
【0022】
本発明の熱可塑性樹脂複合シートは、所定のサイズに切削加工し、また必要があれば真空成形、圧空成形等の熱成形法により立体及び曲面状に二次加工し、低誘虫用照明カバーとして使用することができる。
更に、異形ダイによる異形共押出し成形の方法でも、簡単な形状の立体及び曲面を持つ低誘虫用照明カバーを連続的に得る事ができる。
【0023】
本発明の熱可塑性樹脂複合シートは共押出し成形により得られる。共押出し成形で多層シートとするには、コア層を押出すメイン押出し機と、表皮層を押出すサブ押出し機を備え、これにTダイ、艶付けロール、引き取りロール等から構成されるシーティングラインを使用したシート賦形方法に拠り、各押出し機とTダイとの間にフィードブロックを設置して多層とする方式や、ダイ内で直接多層構成とするマルチマニホールド方式が一般的に良く知られている。
【0024】
本発明の熱可塑性樹脂複合シートは、厚みを3mmとした際に、JIS−K7361−1で測定される厚み方向の全光線透過率が80%以上、より好ましくは同85%以上のものが好ましい。
また、光拡散剤を添加し、充分な光透過性と光拡散性のバランスを保つためには、同じ方法で測定した全光線透過率が30〜80%の範囲にあるものが好ましく、40〜80%の範囲にあるものがより好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂複合シートは、昆虫類の誘引を防止するために、400nm以下の紫外域波長の透過率は20%以下が好ましく、10%以下であればより好ましい。
【実施例】
【0025】
以下、実施例、比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
尚、各実施例、比較例で用いた評価及び試験方法は次の通りである。
(1)外観:得られた押出しシートを目視観察し、表面に異常の見られないものを○、表面に曇り、艶ムラ等の異常が見られたものを×とする。
(2)全光線透過率:日本電色工業株式会社製NDH2000型濁度計を用いて、JIS K7361−1に準じて測定する。
(3)分光光線透過率:株式会社島津製作所製UV−3150分光光度計を用いて測定し、透過率曲線をチャートに記録する。
【0026】
[実施例1〜7]
光源保護カバー樹脂シート用のコア層原料の調製は、表1に示した通りの配合割合で、PMMA系樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製・商品名デルパウダ70H)と、紫外線吸収剤1として2−〔5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル〕−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製・商品名TINUVIN 326)、及び必要に応じて光拡散剤を配合し、タンブラーを用いて均質に混合後、ベント付き30mmφ二軸押出機にて樹脂温度250℃で溶融混練してペレット化してコア層原料A1〜A3を得た。
光拡散剤aは、株式会社同和カルファイン社製の重質炭酸カルシウムで商品名エース25(平均粒径1.5μm)であり、同じく光拡散剤bは、日本化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウムで商品名AD(平均粒径3μm)である。
【0027】
光源保護カバー用樹脂シートの表皮層原料の調製は、表2に示した通りの配合割合でPMMA系樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製・商品名デルパウダ70H)と、紫外線吸収剤2(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−P−クレゾールチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製・商品名TINUVIN P/樹脂劣化の原因となる紫外線領域の光を吸収し、樹脂の黄変化、機械的物性の低下等を遅延させるのに汎用されている)、及び必要に応じその他成分を配合し、タンブラーを用いて均質に混合後、ベント付き30mmφ二軸押出機にて樹脂温度250℃で溶融混練してペレット化し、表皮層原料B1〜B3を得た。
その他成分のcは表面マット化剤で、日本タルク株式会社製の商品名タルクNTX−174A(MSP)を示し、dは帯電防止剤で、アルカンスルホン酸ナトリウムを主成分とする竹本油脂株式会社製商品名AKS−540を示し、eは熱安定剤で、有機硫黄系の旭電化工業株式会社製商品名アデカスタブAO−412Sを示す。
【0028】
コア用のメイン押出し機(スクリュー径50mmφ、L/D=32、単軸)、及び表皮用のサブ押出し機(スクリュー径32mmφ、L/D=32、単軸)にフィードブロックを連結し、Tダイ、及び艶付けロール3本から成るユニットと、引き取りロールを用い常法により共押し出し方式による2種3層シート成形を行った。
メイン押出機にはコア層原料A1〜A3を用い、サブ押出機には表皮層原料B1〜B3を用いた。
シート押出時の樹脂温度は260℃に設定し、得られるシートはコア層の両面に表皮層が積層された構成で、各層の厚みはメイン、サブ押出機の押し出し量バランスで調整した。
Tダイ吐出口とポリッシングロールの間隔、及び艶付けロールと引き取りロールの回転速度を調整し、シート全体の厚みは2.0mmを目標に設定し、シート押出速度は1.2m/分で、幅240mmの共押出しシートを得た。
【0029】
この様にして得られた実施例1〜5のシートは、コア層の両面のそれぞれに50μmの厚みの表皮層が形成されていた。
実施例6、7では、引き取りロールの回転速度を順次早い方向に変更した。
実施例6では、シート押出し速度1.6m/分で幅225mmの共押出しシートを得た。このシートは全体厚みが1.5mmで、コア層の両面のそれぞれに40μmの厚みの表皮層が形成されていた。
実施例7では、シート押出し速度2.4m/分で幅215mmの共押出しシートを得た。このシートは全体厚みが1.0mmで表、コア層の両面のそれぞれ30μmの厚みの表皮層が形成されていた。
【0030】
使用したコア層原料と表皮層原料の組み合わせ、及び得られたシートの評価結果をまとめて表3に示す。また、実施例1〜7で得たシートの分光光線透過率チャートを図1〜7に示す。
得られたシートは何れも外観が良好で、照明カバーに好適な樹脂シートとなっている。
また、分光光線透過率チャートから、実施例1〜7のシートは410nm以下の光を殆ど透過せず、可視光領域の光を良く透過、あるいは拡散して、蛍光ランプ点灯時に昆虫類の誘引を防止する機能を有しながら、好ましい照明カバーとしての性能を持っていることがわかる。
【0031】
これに加え、実施例2〜7では表皮層にマット化剤であるタルク(その他成分c)を配合している事からシート表面が艶消しマット状態を呈しており、実施例2〜7の白色系シートを株式会社堀場製作所製グロスチェッカIG−331を用いて表面の60°光沢度を測定すると何れも光沢度が15±3の範囲内であり、外光の表面反射による照り返しの少ない風合いの優れた照明カバー用シートとなっている。
中でも、実施例4のシート色調が目視観察で最も白色度が高く好ましい。
さらに実施例4〜7では艶消しマットに加え帯電防止性能も兼ね備えており、東亜ディーケーケー株式会社製超絶縁計SM−8200、同電極SME−8301を用いて測定した表面抵抗値が10×10乗以下であり、これは帯電が少なく静電気による塵埃付着の少ない優れた照明カバーとなっている事を示している。
【0032】
[実施例8、9]
熱可塑性樹脂としてMS系樹脂(エスチレンMS600、透明/新日鉄化学株式会社製品)を使用し、表1に示す配合割合とし、押出し時の樹脂温度は230℃に設定した他は実施例1と同様にしてコア層原料A4を得た。
また、MS系樹脂(エスチレンMS600、透明/新日鉄化学株式会社製品)を使用し、表2に示す配合割合とし、押出し時の樹脂温度は230℃に設定した他は実施例1〜7と同様にして表皮層原料B4を得た。
メイン押出機にはコア層原料A4を用い、サブ押出機に表皮層原料B4(実施例8)、または表皮層原料B3(実施例9)を用い、シート押出時の樹脂温度を240℃に設定した他は実施例1と同様にして共押出しシートを得た。
得られた評価結果をまとめて表3に示すが、何れも外観が良好で、照明カバーに好適な樹脂シートとなっている。
また、図8、9に示した実施例8、9のシートの分光光線透過率チャートから410nm以下の光を殆ど透過せず、可視光領域の光を良く透過して、蛍光ランプ点灯時に昆虫類の誘引を防止する機能を有しながら、好ましい照明カバーとしての性能を持っていることがわかる。
また、実施例9のシートは実施例2〜7のシートと同様に表皮層にマット化剤であるタルク(その他成分c)を配合している事からシート表面が艶消しマット状態を呈しており、表面光沢度が13であって外光の表面反射による照り返しの少ない風合いの優れた照明カバー用シートとなっていることに加えて、実施例4〜7のシートと同様に帯電防止剤を含んでいるため、表面抵抗値が10×10乗以下であり、帯電が少なく静電気による塵埃付着の少ない優れた照明カバーとなっている。
【0033】
[実施例10]
熱可塑性樹脂としてPC系樹脂(パンライトK−1300、透明/帝人化成株式会社製品)を使用し、表1及び表2に示す配合割合とし、押出時の樹脂温度を280℃に調節し実施例1と同様にしてコア層原料A5、表皮層原料B5を得た。
メイン押出機にはコア層原料A5を用い、サブ押出機に表皮層原料B5を用い、シート押出時の樹脂温度を280℃に設定した他は実施例1と同様にして共押出しシートを得た。
得られた評価結果をまとめて表3に示すが、何れも外観が良好で、照明カバーに好適な樹脂シートとなっている。
また、図10に示した実施例10の分光光線透過率チャートから410nm以下の光を殆ど透過せず、可視光領域の光を良く透過して、蛍光ランプ点灯時に昆虫類の誘引を防止する機能を有しながら、好ましい照明カバーとしての性能を持っていることがわかる。
【0034】
[比較例1]
原料として、メイン押出機にB1、サブ押出機にA1を用い、実施例1と同様にして共押出方式により2種3層シート成形を行った。
押出しを開始すると、鏡面に磨かれた艶付けロールの硬質クロムメッキ面に曇りが発生し始め、時間の経過と共にこの曇りが濃くなる現象が確認された。
約30分後に採取したシートの表面は艶ムラが観察され、外観を損ねていた。
【0035】
[比較例2、3]
メイン押出機のみを使用し、フィードブロックのサブ押出し機側導入口を閉鎖して、コア層原料A1、A3を用いて押出しを行う他は実施例1と同様にして押出しシートを作成した。
得られたシートは表皮層の無い単層であった。
押出しを開始すると、鏡面に磨かれた艶付けロールの硬質クロムメッキ面に曇りが発生し始め、時間の経過と共にこの曇りが濃くなる現象が確認された。
約30分後に採取したシートの表面は艶ムラが観察され、外観を損ねていた。
【0036】
[比較例4]
メイン押出機のみを使用し、コア層原料A4を用いて押出しを行う他は実施例8と同様にして押出しシートを作成した。
得られたシートは表皮層の無い単層であった。
押出しを開始すると、比較例1、2と同様に鏡面に磨かれた艶付けロールの硬質クロムメッキ面に曇りが発生し始め、時間の経過と共にこの曇りが濃くなる現象が確認され、約30分後に採取したシートの表面には艶ムラがあり、外観を損ねていた。
【0037】
[比較例5]
メイン押出機のみを使用し、コア層原料A5を用いて押出しを行う他は実施例10と同様にして、表皮層の無い単層押出しシートを作成した。
押出しを開始すると、比較例1〜3と同様に鏡面に磨かれた艶付けロールの硬質クロムメッキ面に曇りが発生し始め、時間の経過と共にこの曇りが濃くなる現象が確認され、約30分後に採取したシートの表面には艶ムラがあり、外観を損ねていた。
【0038】
[参考例]
実施例5において、コア層原料として紫外線吸収剤1を配合しないA3を用いた他は実施例5と同様にして複合シートを得た。この複合シートの分光光線透過率のチャートを図11に示す。図11に示されるように、この複合シートは410nm以下の光を透過している。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、昆虫類の誘引を防止する照明カバー用樹脂シートの製造に関する分野で、好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例1で得られた複合シートの分光光線透過率を示す図
【図2】実施例2で得られた複合シートの分光光線透過率を示す図
【図3】実施例3で得られた複合シートの分光光線透過率を示す図
【図4】実施例4で得られた複合シートの分光光線透過率を示す図
【図5】実施例5で得られた複合シートの分光光線透過率を示す図
【図6】実施例6で得られた複合シートの分光光線透過率を示す図
【図7】実施例7で得られた複合シートの分光光線透過率を示す図
【図8】実施例8で得られた複合シートの分光光線透過率を示す図
【図9】実施例9で得られた複合シートの分光光線透過率を示す図
【図10】実施例10で得られた複合シートの分光光線透過率を示す図
【図11】参考例:実施例5のコア層に紫外線吸収剤を配合していない複合シートの分光光線透過率を示す図
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線吸収剤を比較的多く含んだ熱可塑性樹脂シートの合理的な製造技術と、それによって得られる蛍光ランプ点灯時に昆虫類の誘引を防止できる高品位の照明カバー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光ランプ等の光源からの光を充分に透過し、また均一に拡散して直接光源が観察者の目に触れるのを防止する樹脂製光源保護カバーを用いた例として、家庭用及び施設用照明、食品および衣料品等の各種ディスプレイ、表示用看板等が挙げられる。
一方、昆虫類は光刺激に対して飛行する趨(すう)向性を有することは良く知られており、該光源点灯時に群がり寄って来ることが多く、美観上、衛生上悪影響を与えている。
【0003】
昆虫類は、紫外線領域に近い波長に特に強く感応して活動するものが多いことから、光源にカバーをして380nm以下の波長の光を実質上阻止する方策が考案されているが、人間の可視光領域である380nmより長波長側にも感応して活動する昆虫もあり、400〜480nmの波長の光の透過率を30%以下とし、580nm以上の波長の光の透過率を実質上阻止しないことを特徴とする樹脂シートを間仕切り材に使用する防虫方法の技術が開示されている(特許文献1)。
また、400nm以下の波長の光をカットし、420nm以上の光の透過率の高いアクリル樹脂透明フィルム、及びこれを表面に有することを特徴とする照明カバー用樹脂積層体の技術が開示されている(特許文献2)。
【0004】
さらに、より効果的に昆虫類の感応を防止する目的で410nm以下の波長範囲の光線透過率を1%以下にするためには、紫外線吸収剤の紫外線吸収特性で最大吸収波長が350nm未満の場合には多量に含有させる必要があり、長波長域までを吸収する最大吸収波長が350〜370nmであるものを選択したとしても比較的多くの添加量を必要とし、板厚2mmのアクリル樹脂組成物シートで通常に実施されている該アクリル樹脂を紫外線劣化から保護するために添加する量に比べてかなり多い1重量%を超える量が必要であることが例示されている(特許文献3)。
【0005】
光源保護カバー用の樹脂シートの製造方法として、熱可塑性樹脂を原料とした押出し成形方法があり、連続生産が可能で、板厚の均一性、表面精度の高いことから広く実施されている。
この場合に、熱可塑性樹脂を略230℃以上の高温域で可塑化押出しする必要があり、紫外線吸収剤の量が多い場合には該紫外線吸収剤がブリードアウト(滲み出し)、揮発、昇華等で機器に付着し、得られる製品品質を悪くする問題がある。
特にシート押出し成形に際して、得られるシート表面の外観品質を決定する重要機器であるTダイ出口、及び艶付けロールの表面に該紫外線吸収剤が連続運転中に蓄積すると、製品表面に曇り、ムラ等の欠陥が生じ、この欠陥を解消するために機器の清掃、磨き等を実施する必要から運転停止が必要となり、連続した安定な操業が阻害される。
【0006】
また、410nm以下の光をカットするために紫外線吸収剤を多く添加すると樹脂シートが黄色を呈する傾向にあり、これをカバー部材として使用すると蛍光灯の点灯時に本来の光源の色調を損なう恐れがあり、又該蛍光灯の消灯時に好ましい透明又は白色状態とするのが難しくなる。
特に室内において消灯時には清涼感のある透明あるいは白色の高品位な外観を有しつつ、周りと良く調和しその存在感が弱いという照明用カバー部材が求められているが、黄色を呈していると一般的には該部材が古くなった、もしくは劣化したイメージを与えるので、この要請に応えられないという問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開昭62−278931号公報
【特許文献2】特開2000−169767号公報
【特許文献3】特開2005−58019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、昆虫が蛍光ランプ等の光源からの光に感応して群がり寄って来ることを防ぐことができ、該光源の消灯時にも灯具の存在感を違和感無く軽減する高品位な外観を有する熱可塑性樹脂複合シートを、安定して連続生産することを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、前記課題を解決するため、鋭意検討を進め、下記の構成を有する熱可塑性樹脂複合シート及び熱可塑性樹脂複合シートの製造方法が上記課題を解決することを見出した。
(1) 紫外線吸収剤を含む熱可塑性樹脂からなるコア層と、該コア層の両面に形成された、紫外線吸収剤の含有割合が該コア層中の紫外線吸収剤の含有割合よりも少ない熱可塑性樹脂からなる表皮層とを有することを特徴とする熱可塑性樹脂複合シート。
(2) 前記コア層が、紫外線吸収剤の含有割合が0.1〜3.0重量%で厚さが0.5〜5mmであり、前記表皮層が、紫外線吸収剤の含有割合が0.1重量%未満で厚さが10〜200μmであることを特徴とする (1)に記載の熱可塑性樹脂複合シート。
(3)全光線透過率が80%以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の熱可塑性樹脂複合シート。
(4)全光線透過率が30〜80%であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の熱可塑性樹脂複合シート。
(5)表皮層がマット化剤を含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂複合シート。
(6)熱可塑性樹脂が、PMMA系樹脂、MS系樹脂及びPC系樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂複合シート。
(7)(1)〜(6)のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂複合シートからなる低誘虫用照明カバー。
(8) 紫外線吸収剤を含む熱可塑性樹脂からなるコア層と、該コア層の両面に形成される紫外線吸収剤の含有割合が該コア層中の紫外線吸収剤の含有割合よりも少ない熱可塑性樹脂からなる表皮層とを共押出し成形することを特徴とする熱可塑性樹脂複合シートの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、昆虫が蛍光ランプ等の光源からの光に感応して群がり寄って来ることを防ぐことができ、光源からの光の色調を大きく損なうことなく透過、及び必要な場合には拡散させ、該光源の消灯時には灯具の存在感を違和感無く軽減する高品位な外観を有する熱可塑性樹脂複合シートを、連続して安定生産することを可能とする有用な技術を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明について、以下詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂複合シートは、熱可塑性を有する樹脂を原料として、紫外線吸収剤を含むコア層の両面に、コア層における含有割合よりも少ない含有割合で紫外線吸収剤を含む表皮層を共押出し成形して得られる多層シートからなり、好ましくは、紫外線吸収剤の含有量が、コア層0.1〜3.0重量%、表皮層0.1重量%未満であり、より好ましくはコア層1.0〜3.0重量%、表皮層0.05重量%未満であり、場合によっては表皮層が紫外線吸収剤を実質的に含まなくてもよい。
【0012】
本発明で使用する熱可塑性樹脂の種類については、PMMA(アクリル)系、PS(ポリスチレン)系、MS(アクリルとスチレンの共重合体)系、PC(ポリカーボネート)系、PVC(塩化ビニル)系等が挙げられる。
これらの中で低誘虫用照明カバーとして使用される場合、高い透明性と十分な機械強度、耐久性を持ち、かつ加工性に優れた表面精度の高い共押出しシートが得られるPMMA系、MS系、PC系が好適なものとして推奨され、コア層と表皮層の樹脂の組み合わせについては、コア層と表皮層が密着する組み合わせであれば同質であっても異質であってもよい。
シート層構成としては、表皮層の樹脂及び組成が表裏同じである2種3層の組み合わせでも、表皮層の樹脂及び組成が表裏で異なる3種3層の組み合わせでもよい。
【0013】
本発明で用い得るPMMA系樹脂は、メチルメタクリレートを主成分とする樹脂であり、メチルメタクリレートの単独重合体でもよいし、30重量%以下の範囲でメチルメタクリレートとメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシアクリレート、無水マレイン酸、α−メチルスチレンなどの共重合可能なモノマーの少なくとも一つとの共重合体でもよい。これらは単独で用いてもよいしブレンドしてもよい。
また透明性を維持して耐衝撃性を同時に持たせるために、メタクリル系重合体芯材料のまわりにブチルアクリレートを主成分とする弾性層、及びメチルメタクリレートを主成分とする非弾性層を交互に生成させる多段階逐次重合法により製造される多段重合体からなるメタクリル系ゴム弾性体を配合した耐衝撃性メタクリル樹脂も本発明のPMMA系樹脂に含まれる。
【0014】
本発明に用い得るMS系樹脂は、メチルメタクリレートとスチレンの共重合体を主成分とする樹脂を示すが、上記PMMA系樹脂で例示した様な共重合可能なモノマーのいずれか一つ以上が全体の30重量%以下の範囲で加わった多元共重合体なども含まれ、これらは単独で用いてもよいし、ブレンドしてもよい。
MS系樹脂全体を100部としたとき、メチルメタクリレートの割合が60部を超えるものが耐光性が良好でより好ましい。
MS系樹脂の衝撃強度を向上する為に、アクリル系重合体芯材料のまわりにブチルアクリレートを主成分とする弾性層、及びメチルメタクリレートを主成分とする非弾性層を交互に生成させる多段階逐次重合法により製造されるゴム弾性体、又はブタジエン系ゴム弾性体をMS系樹脂にブレンドしたものも、本発明のMS系樹脂に含まれる。
【0015】
PC系樹脂としては、ビスフェノールAタイプに代表される芳香族ポリカーボネート、及び芳香環は有しているが水酸基が直接芳香環に結合していないタイプの芳香族−脂肪族ポリカーボネートが挙げられる。
【0016】
該熱可塑性樹脂としては最も高い透明性と耐久性を有することからPMMA系樹脂が最も好ましい。
これらの樹脂には、その特性を損なわない範囲に於いて他の成分、例えば光拡散剤、ブルーイング剤、蛍光増白剤、着色顔料、着色染料、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤等を含有させることができる。
【0017】
光拡散剤を例示すると、微粉状の硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン等の汎用無機系光拡散剤があり、また有機系としてアクリル樹脂系、スチレン系、シリコーン系等の架橋透明性樹脂の粉状粒子もまたよく知られている。
本発明で使用する光拡散剤の平均粒径は0.1〜50μmが好ましく、透明樹脂中にて各粒子の界面における可視光線の屈折、反射が有効に生じ、光透過性と光拡散性に優れた低誘虫用照明カバーが得られる点で好ましい。
これら光拡散剤は混合して使用しても差し支え無い。
【0018】
さらに公知のブルーイング剤を含有させ、色調を調整することも任意に可能である。
このブルーイング剤として、アンスラキノン系誘導品であるC.I.Solvent Blue 94(三菱化学株式会社製・商品名ダイヤレジン・ブルーN)が好ましい。
また公知の蛍光増白剤を透明樹脂中に含有させると、上記光拡散剤粒子との併用効果によって色調が更に安定し、各種光源にて本来の色調を発現する点で推奨される。
【0019】
低誘虫用照明カバーに使用する場合、コア層厚さは、0.5〜5mmの範囲が好ましく、0.5mm以上では該シートの強度が高く、5mm以下であれば装着が容易である。
本発明の構成通りに表皮層を設けることは重要であり、該表皮層でコア層に含まれる紫外線吸収剤のブリードアウト(滲み出し)、揮発、昇華を防止できるので、製造に際して製品表面の曇り、ムラを解消することができ、さらには得られた製品の経時変化でのブリードアウトによる印刷不良やベタ付き等も防ぐことができる。
【0020】
また表皮層が形成されていることで、シート外観が深みのある高級感を持ち、かつ色調を微調整する事ができる点や、マット化剤を配合すれば表面艶消し性を付与することが可能となり、その他帯電防止性、防曇性等の機能を付与する事で、該シートの本来的な物理的性能を大幅に変える事無く高機能化できる点で有利である。
マット化剤の例としては、架橋構造を持ったPMMA、PS等の有機系ポリマー微粒子、タルク、マイカ等の無機系微粒子があげられる。
【0021】
表皮層厚さは、10〜200μmの範囲が推奨され、この範囲であればコア層の光学特性、及び色調により光源保護カバー用シートの特性が維持され、層構造にとらわれる事なく多種多様な低誘虫用照明カバーの設計が可能となるが、10μm以上では共押出しの際に均一な厚さになり、200μm以下であるとコア層の持つ性能を維持でき好ましい。
【0022】
本発明の熱可塑性樹脂複合シートは、所定のサイズに切削加工し、また必要があれば真空成形、圧空成形等の熱成形法により立体及び曲面状に二次加工し、低誘虫用照明カバーとして使用することができる。
更に、異形ダイによる異形共押出し成形の方法でも、簡単な形状の立体及び曲面を持つ低誘虫用照明カバーを連続的に得る事ができる。
【0023】
本発明の熱可塑性樹脂複合シートは共押出し成形により得られる。共押出し成形で多層シートとするには、コア層を押出すメイン押出し機と、表皮層を押出すサブ押出し機を備え、これにTダイ、艶付けロール、引き取りロール等から構成されるシーティングラインを使用したシート賦形方法に拠り、各押出し機とTダイとの間にフィードブロックを設置して多層とする方式や、ダイ内で直接多層構成とするマルチマニホールド方式が一般的に良く知られている。
【0024】
本発明の熱可塑性樹脂複合シートは、厚みを3mmとした際に、JIS−K7361−1で測定される厚み方向の全光線透過率が80%以上、より好ましくは同85%以上のものが好ましい。
また、光拡散剤を添加し、充分な光透過性と光拡散性のバランスを保つためには、同じ方法で測定した全光線透過率が30〜80%の範囲にあるものが好ましく、40〜80%の範囲にあるものがより好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂複合シートは、昆虫類の誘引を防止するために、400nm以下の紫外域波長の透過率は20%以下が好ましく、10%以下であればより好ましい。
【実施例】
【0025】
以下、実施例、比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
尚、各実施例、比較例で用いた評価及び試験方法は次の通りである。
(1)外観:得られた押出しシートを目視観察し、表面に異常の見られないものを○、表面に曇り、艶ムラ等の異常が見られたものを×とする。
(2)全光線透過率:日本電色工業株式会社製NDH2000型濁度計を用いて、JIS K7361−1に準じて測定する。
(3)分光光線透過率:株式会社島津製作所製UV−3150分光光度計を用いて測定し、透過率曲線をチャートに記録する。
【0026】
[実施例1〜7]
光源保護カバー樹脂シート用のコア層原料の調製は、表1に示した通りの配合割合で、PMMA系樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製・商品名デルパウダ70H)と、紫外線吸収剤1として2−〔5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル〕−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製・商品名TINUVIN 326)、及び必要に応じて光拡散剤を配合し、タンブラーを用いて均質に混合後、ベント付き30mmφ二軸押出機にて樹脂温度250℃で溶融混練してペレット化してコア層原料A1〜A3を得た。
光拡散剤aは、株式会社同和カルファイン社製の重質炭酸カルシウムで商品名エース25(平均粒径1.5μm)であり、同じく光拡散剤bは、日本化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウムで商品名AD(平均粒径3μm)である。
【0027】
光源保護カバー用樹脂シートの表皮層原料の調製は、表2に示した通りの配合割合でPMMA系樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製・商品名デルパウダ70H)と、紫外線吸収剤2(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−P−クレゾールチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製・商品名TINUVIN P/樹脂劣化の原因となる紫外線領域の光を吸収し、樹脂の黄変化、機械的物性の低下等を遅延させるのに汎用されている)、及び必要に応じその他成分を配合し、タンブラーを用いて均質に混合後、ベント付き30mmφ二軸押出機にて樹脂温度250℃で溶融混練してペレット化し、表皮層原料B1〜B3を得た。
その他成分のcは表面マット化剤で、日本タルク株式会社製の商品名タルクNTX−174A(MSP)を示し、dは帯電防止剤で、アルカンスルホン酸ナトリウムを主成分とする竹本油脂株式会社製商品名AKS−540を示し、eは熱安定剤で、有機硫黄系の旭電化工業株式会社製商品名アデカスタブAO−412Sを示す。
【0028】
コア用のメイン押出し機(スクリュー径50mmφ、L/D=32、単軸)、及び表皮用のサブ押出し機(スクリュー径32mmφ、L/D=32、単軸)にフィードブロックを連結し、Tダイ、及び艶付けロール3本から成るユニットと、引き取りロールを用い常法により共押し出し方式による2種3層シート成形を行った。
メイン押出機にはコア層原料A1〜A3を用い、サブ押出機には表皮層原料B1〜B3を用いた。
シート押出時の樹脂温度は260℃に設定し、得られるシートはコア層の両面に表皮層が積層された構成で、各層の厚みはメイン、サブ押出機の押し出し量バランスで調整した。
Tダイ吐出口とポリッシングロールの間隔、及び艶付けロールと引き取りロールの回転速度を調整し、シート全体の厚みは2.0mmを目標に設定し、シート押出速度は1.2m/分で、幅240mmの共押出しシートを得た。
【0029】
この様にして得られた実施例1〜5のシートは、コア層の両面のそれぞれに50μmの厚みの表皮層が形成されていた。
実施例6、7では、引き取りロールの回転速度を順次早い方向に変更した。
実施例6では、シート押出し速度1.6m/分で幅225mmの共押出しシートを得た。このシートは全体厚みが1.5mmで、コア層の両面のそれぞれに40μmの厚みの表皮層が形成されていた。
実施例7では、シート押出し速度2.4m/分で幅215mmの共押出しシートを得た。このシートは全体厚みが1.0mmで表、コア層の両面のそれぞれ30μmの厚みの表皮層が形成されていた。
【0030】
使用したコア層原料と表皮層原料の組み合わせ、及び得られたシートの評価結果をまとめて表3に示す。また、実施例1〜7で得たシートの分光光線透過率チャートを図1〜7に示す。
得られたシートは何れも外観が良好で、照明カバーに好適な樹脂シートとなっている。
また、分光光線透過率チャートから、実施例1〜7のシートは410nm以下の光を殆ど透過せず、可視光領域の光を良く透過、あるいは拡散して、蛍光ランプ点灯時に昆虫類の誘引を防止する機能を有しながら、好ましい照明カバーとしての性能を持っていることがわかる。
【0031】
これに加え、実施例2〜7では表皮層にマット化剤であるタルク(その他成分c)を配合している事からシート表面が艶消しマット状態を呈しており、実施例2〜7の白色系シートを株式会社堀場製作所製グロスチェッカIG−331を用いて表面の60°光沢度を測定すると何れも光沢度が15±3の範囲内であり、外光の表面反射による照り返しの少ない風合いの優れた照明カバー用シートとなっている。
中でも、実施例4のシート色調が目視観察で最も白色度が高く好ましい。
さらに実施例4〜7では艶消しマットに加え帯電防止性能も兼ね備えており、東亜ディーケーケー株式会社製超絶縁計SM−8200、同電極SME−8301を用いて測定した表面抵抗値が10×10乗以下であり、これは帯電が少なく静電気による塵埃付着の少ない優れた照明カバーとなっている事を示している。
【0032】
[実施例8、9]
熱可塑性樹脂としてMS系樹脂(エスチレンMS600、透明/新日鉄化学株式会社製品)を使用し、表1に示す配合割合とし、押出し時の樹脂温度は230℃に設定した他は実施例1と同様にしてコア層原料A4を得た。
また、MS系樹脂(エスチレンMS600、透明/新日鉄化学株式会社製品)を使用し、表2に示す配合割合とし、押出し時の樹脂温度は230℃に設定した他は実施例1〜7と同様にして表皮層原料B4を得た。
メイン押出機にはコア層原料A4を用い、サブ押出機に表皮層原料B4(実施例8)、または表皮層原料B3(実施例9)を用い、シート押出時の樹脂温度を240℃に設定した他は実施例1と同様にして共押出しシートを得た。
得られた評価結果をまとめて表3に示すが、何れも外観が良好で、照明カバーに好適な樹脂シートとなっている。
また、図8、9に示した実施例8、9のシートの分光光線透過率チャートから410nm以下の光を殆ど透過せず、可視光領域の光を良く透過して、蛍光ランプ点灯時に昆虫類の誘引を防止する機能を有しながら、好ましい照明カバーとしての性能を持っていることがわかる。
また、実施例9のシートは実施例2〜7のシートと同様に表皮層にマット化剤であるタルク(その他成分c)を配合している事からシート表面が艶消しマット状態を呈しており、表面光沢度が13であって外光の表面反射による照り返しの少ない風合いの優れた照明カバー用シートとなっていることに加えて、実施例4〜7のシートと同様に帯電防止剤を含んでいるため、表面抵抗値が10×10乗以下であり、帯電が少なく静電気による塵埃付着の少ない優れた照明カバーとなっている。
【0033】
[実施例10]
熱可塑性樹脂としてPC系樹脂(パンライトK−1300、透明/帝人化成株式会社製品)を使用し、表1及び表2に示す配合割合とし、押出時の樹脂温度を280℃に調節し実施例1と同様にしてコア層原料A5、表皮層原料B5を得た。
メイン押出機にはコア層原料A5を用い、サブ押出機に表皮層原料B5を用い、シート押出時の樹脂温度を280℃に設定した他は実施例1と同様にして共押出しシートを得た。
得られた評価結果をまとめて表3に示すが、何れも外観が良好で、照明カバーに好適な樹脂シートとなっている。
また、図10に示した実施例10の分光光線透過率チャートから410nm以下の光を殆ど透過せず、可視光領域の光を良く透過して、蛍光ランプ点灯時に昆虫類の誘引を防止する機能を有しながら、好ましい照明カバーとしての性能を持っていることがわかる。
【0034】
[比較例1]
原料として、メイン押出機にB1、サブ押出機にA1を用い、実施例1と同様にして共押出方式により2種3層シート成形を行った。
押出しを開始すると、鏡面に磨かれた艶付けロールの硬質クロムメッキ面に曇りが発生し始め、時間の経過と共にこの曇りが濃くなる現象が確認された。
約30分後に採取したシートの表面は艶ムラが観察され、外観を損ねていた。
【0035】
[比較例2、3]
メイン押出機のみを使用し、フィードブロックのサブ押出し機側導入口を閉鎖して、コア層原料A1、A3を用いて押出しを行う他は実施例1と同様にして押出しシートを作成した。
得られたシートは表皮層の無い単層であった。
押出しを開始すると、鏡面に磨かれた艶付けロールの硬質クロムメッキ面に曇りが発生し始め、時間の経過と共にこの曇りが濃くなる現象が確認された。
約30分後に採取したシートの表面は艶ムラが観察され、外観を損ねていた。
【0036】
[比較例4]
メイン押出機のみを使用し、コア層原料A4を用いて押出しを行う他は実施例8と同様にして押出しシートを作成した。
得られたシートは表皮層の無い単層であった。
押出しを開始すると、比較例1、2と同様に鏡面に磨かれた艶付けロールの硬質クロムメッキ面に曇りが発生し始め、時間の経過と共にこの曇りが濃くなる現象が確認され、約30分後に採取したシートの表面には艶ムラがあり、外観を損ねていた。
【0037】
[比較例5]
メイン押出機のみを使用し、コア層原料A5を用いて押出しを行う他は実施例10と同様にして、表皮層の無い単層押出しシートを作成した。
押出しを開始すると、比較例1〜3と同様に鏡面に磨かれた艶付けロールの硬質クロムメッキ面に曇りが発生し始め、時間の経過と共にこの曇りが濃くなる現象が確認され、約30分後に採取したシートの表面には艶ムラがあり、外観を損ねていた。
【0038】
[参考例]
実施例5において、コア層原料として紫外線吸収剤1を配合しないA3を用いた他は実施例5と同様にして複合シートを得た。この複合シートの分光光線透過率のチャートを図11に示す。図11に示されるように、この複合シートは410nm以下の光を透過している。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、昆虫類の誘引を防止する照明カバー用樹脂シートの製造に関する分野で、好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例1で得られた複合シートの分光光線透過率を示す図
【図2】実施例2で得られた複合シートの分光光線透過率を示す図
【図3】実施例3で得られた複合シートの分光光線透過率を示す図
【図4】実施例4で得られた複合シートの分光光線透過率を示す図
【図5】実施例5で得られた複合シートの分光光線透過率を示す図
【図6】実施例6で得られた複合シートの分光光線透過率を示す図
【図7】実施例7で得られた複合シートの分光光線透過率を示す図
【図8】実施例8で得られた複合シートの分光光線透過率を示す図
【図9】実施例9で得られた複合シートの分光光線透過率を示す図
【図10】実施例10で得られた複合シートの分光光線透過率を示す図
【図11】参考例:実施例5のコア層に紫外線吸収剤を配合していない複合シートの分光光線透過率を示す図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線吸収剤を含む熱可塑性樹脂からなるコア層と、該コア層の両面に形成された、紫外線吸収剤の含有割合が該コア層中の紫外線吸収剤の含有割合よりも少ない熱可塑性樹脂からなる表皮層とを有することを特徴とする熱可塑性樹脂複合シート。
【請求項2】
前記コア層が、紫外線吸収剤の含有割合が0.1〜3.0重量%で厚さが0.5〜5mmであり、前記表皮層が、紫外線吸収剤の含有割合が0.1重量%未満で厚さが10〜200μmであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂複合シート。
【請求項3】
全光線透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂複合シート。
【請求項4】
全光線透過率が30〜80%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂複合シート。
【請求項5】
表皮層がマット化剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂複合シート。
【請求項6】
熱可塑性樹脂が、PMMA系樹脂、MS系樹脂及びPC系樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂複合シート。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂複合シートからなる低誘虫用照明カバー。
【請求項8】
紫外線吸収剤を含む熱可塑性樹脂からなるコア層と、該コア層の両面に形成される紫外線吸収剤の含有割合が該コア層中の紫外線吸収剤の含有割合よりも少ない熱可塑性樹脂からなる表皮層とを共押出し成形することを特徴とする熱可塑性樹脂複合シートの製造方法。
【請求項1】
紫外線吸収剤を含む熱可塑性樹脂からなるコア層と、該コア層の両面に形成された、紫外線吸収剤の含有割合が該コア層中の紫外線吸収剤の含有割合よりも少ない熱可塑性樹脂からなる表皮層とを有することを特徴とする熱可塑性樹脂複合シート。
【請求項2】
前記コア層が、紫外線吸収剤の含有割合が0.1〜3.0重量%で厚さが0.5〜5mmであり、前記表皮層が、紫外線吸収剤の含有割合が0.1重量%未満で厚さが10〜200μmであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂複合シート。
【請求項3】
全光線透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂複合シート。
【請求項4】
全光線透過率が30〜80%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂複合シート。
【請求項5】
表皮層がマット化剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂複合シート。
【請求項6】
熱可塑性樹脂が、PMMA系樹脂、MS系樹脂及びPC系樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂複合シート。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂複合シートからなる低誘虫用照明カバー。
【請求項8】
紫外線吸収剤を含む熱可塑性樹脂からなるコア層と、該コア層の両面に形成される紫外線吸収剤の含有割合が該コア層中の紫外線吸収剤の含有割合よりも少ない熱可塑性樹脂からなる表皮層とを共押出し成形することを特徴とする熱可塑性樹脂複合シートの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−36849(P2008−36849A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210444(P2006−210444)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】
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